説明

融解によって2個のポリマー部品を溶接するための装置と方法

【課題】融解によって2個のポリマー部品を溶接するための装置と方法を提供する。
【解決手段】融解は、絶縁ワニスによって被覆された抵抗線で編まれた発熱体シート(1)によって得られ、発熱体シート(1)は、前記電圧または電流強度が調整可能で短絡に対する耐性を有する自動装置によって電力供給されるようになっている。発熱体シート(1)は、直径が0.2mm〜0.3mmの抵抗線から得られ、寸法(a、b)が1.5×3mm2〜2.5×4.5mm2のほぼ平行六面体の網目(M)を示す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発熱体シートによって得られる融解によって2個のポリマー部品を溶接するための装置、ならびに発熱体シートによって得られる融解によって2個のポリマー部品を溶接するための方法に関する。
【0002】
したがって、本発明は、流体分配網の配置の分野、およびこの種の分配網の熱融解性材料製の配管または導管の1つまたは複数の筒形断片の取替えの分野に関する。
【背景技術】
【0003】
特に都市ガスまたは天然ガスの分配に関する分配網は、現在既に、ポリエチレンまたはポリアミド、ポリブチレン、ポリプロピレンまたはポリ塩化ビニルから形成される導管が大多数を占めており、またこれは今後ますます進むことになる。
このような管を継ぎ合せるために多くの技法が存在する。この一例は、相対して配設された2個の導管の端口部を、熱融解性材料が十分に流動的になって互いに軽い圧力で接近し、互いに合併して、ガスに対してかなり気密であって、形成する導管の使用と両立できる機械的抗性を有する接合を形成するまで、加熱することからなる。
【0004】
別の技法によれば、絶縁ワニスによって被覆された抵抗性の線で作られた発熱体シートが使用される。
そこで、長方形またはカバーの形に作られた発熱体シートは、電圧または電流強度が調整可能で短絡に対する耐性を有する自動装置によって電力供給されるようになっている。
【0005】
発熱体網または発熱体シートによる溶接技法は十分に有望であり、継合せ作業の経過に関しても、こうして行われる接合時における良好な管理に関しても有望であるように思われる。
【0006】
発熱体シートによって得られる融解による2個のポリマー部品の溶接は、熱抵抗を形成する電熱エレメントによって熱融解性材料、例えばポリエチレン製の導管の融解しようとするゾーンを適度に局所的に加熱することに基礎を置くものである。
この溶接は、まったく再装填材料を投入することなく実施される。発熱体シートの導体への適切な電気エネルギーによる供給が保証されるのは有利であるが、専ら自動装置、例えば電気溶着による溶接のために通常使用される自動溶接装置によるものはそうではない。
【0007】
発熱体シートまたは発熱体網の配置は、本発明に頼らない場合には、本質的に4つのステップで実施される。すなわち、
薄い、一般に厚さが0.3mm〜0.8mm程度のポリエチレンまたはその他の熱融解性ポリマーからなる型またはプレフォームを注入し、型は抵抗線を受け入れるために当てられるステップと、
抵抗線をボビン巻取りによって型の中に挿入し、維持するステップと、
巻かれた線の各端部にコネクタを配置するステップと、
前段階の終りに構成された発熱体インプラントの上に継ぎ目本体を再度型取りするステップである。
【0008】
この形でのインプラントの実現は、工程を妨害する可能性のある様々な要因を考慮すると、最も微妙で最も費用のかかる過程を構成する。このような要因とは例えば、ボビン巻取り中における線の切断、線におけるコネクタの不十分な連結、および型と継ぎ目本体との間で多かれ少なかれ残留応力の差が存在することである。
【0009】
その上、インプラントの実現は溶接しようとする管の準備に関する多くの問題を蒙ることが経験によって示されており、これらの問題は主として、継ぎ合せようとする表面の不十分な表面削りに関連するものである。
【0010】
こうして、発熱体シートによる熱融解技法は、継ぎ目の従来のボビン巻きを排除し、ボビン巻きシステムの特性よりもすぐれた熱特性を有する界面に向けられた。その上、発熱体シートによる融解は、多様で複雑な幾何学的形状のポリマーの部品の溶接継合せを行う場合に適用することができ、これはボビン巻きによっては必然的に可能にはならない。
【0011】
しかし、発熱体シートによって得られる融解による溶接がどんなに有望であり有利であると見えても、やはり溶接時に溶接すべき部品の状態に固有のいくつかの難点を調整できなかったことには変わりはない。この難点は主として、溶接すべき部品の不完全な準備(表面削り、掃除、脂肪除去など)に起因するが、多かれ少なかれ進行する侵害(酸化、炭化など)またはさらに幾何形状的規模のまたは大きな粗度の傷にも起因する。
【0012】
その他の諸問題が、部品の所定の幾何形状のためには層の柔軟性が不十分なことがあること、溶接すべき部品の上への層の固定が不十分なことがあること、および溶接すべき部品の融解まで所定の位置に層を維持することが困難であることの結果として生じる。
【0013】
さらに別の問題は、ある特定の場合において、溶接すべき部品の上におけるある位置の融解エネルギーの他の位置への寄与を変更できることが望ましいことである。理論的には、複数の発熱体シートを使用し、各発熱体シートがその局部的必要性に応じて調整されたエネルギー供給を伴うようにすることが多分可能であろう。それでもやはり、このような取組み方は、工事現場では、すなわち実験室以外では実現するにはいたって困難であると思われる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明の目的は、上述の不都合性を是正することができる方法を提示することである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の目的はまず、絶縁ワニスによって被覆され、抵抗線で編まれた発熱体シートによって得られる融解により2個のポリマー製の部品を溶接するための装置によって達成され、発熱体シートは、電圧または電流強度が調整可能で短絡に対する耐性を有する自動装置によって電力供給されるようになっている。
【0016】
本発明によれば、発熱体シートは、直径が0.2mm〜0.3mmの抵抗線から得られ、寸法が1.5×3mm2〜2.5×4.5mm2のほぼ平行六面体の網目を示す。
【0017】
本発明の手順によって、熱融解性の通常の材料のためのmm2当り10〜100ジュール程度のエネルギーレベルを発生させるために電気的に十分に強く、また同時に、溶接すべき部品の様々な幾何学的形状に適合することができるように機械的平面および幾何学的平面の上で十分に柔軟である発熱体シートを使用することが可能であり、また後で明白に述べるように、溶接すべき複数の部品のある位置の熱エネルギーの他の位置への寄与を変更し、部品が単一の発熱体シートと単一の電源を有するようにすることも可能である。
【0018】
さらにまた、本発明の追加特性によれば、溶接すべき部品の上に熱融解性材料の固定接点によって発熱体シートを固定することによって、工事現場における操作のためにも工場における製造のためにも同様に適切な一時的位置付けが可能になる。特に工場においては、この固定が可能であることは、発熱体シートの位置を維持するために特別の手段に頼る必要を排除し、したがって発熱体シートの配置のために伴う精密ロボット化を不要にする。この固定方法の別の利点は、発熱体シートの位置決めのために、例えば網の全体または網のある一定の部分のみを固定しながら、大きな柔軟性をもたらすこと、ならびに、各部品が同じ性質のものであるとき、または最も流動性の材料の上に発熱体シートが固定される不均一な継合せが問題になるときに、溶接すべき部品の材料への固定接点の適合をもたらすことである。
【0019】
本発明の目的はさらにまた、絶縁ワニスによって被覆された抵抗線で編まれた発熱体シートによって得られる融解により2個のポリマー製の部品の溶接法によって達成され、発熱体シートは、電圧または電流強度が調整可能で短絡に対する耐性を有する自動装置によって電力供給されるようになっており、直径が0.2mm〜0.3mmの抵抗線から得られ、寸法が1.5×3mm2〜2.5×4.5mm2のほぼ平行六面体の網目を示し、この方法は少なくとも下記のステップを含む。すなわち、
発熱体シートに、溶接すべき部品の融解すべき面の少なくとも1つの形に最も近い形を与えるステップと、
この面の上に発熱体シートを固定するステップと、
溶接すべき2個の部品を継ぎ合せるステップと、
溶接を実施するステップ
である。
【0020】
この方法の実施の一様式によれば、発熱体シートを、熱融解性材料で作られた固定接点によって、溶接しようとする部品の1つの上に固定することができる。
【0021】
既に上で言及したように、本発明は、溶接すべき2個または複数個のポリマー部品の界面において、これらの部品の電気溶着による溶接を確実にする目的で発熱体シートを活用することに基づくものである。これらの部品を、例えばポリエチレンなどの同じ材料で作ることができるが、例えばポリエチレンとポリプロピレンなどの異なる材料で作ることもできる。
【0022】
本発明の説明を読み易くするために、2個の部品の継合せのみを参照する。しかし本発明は、例えば1つの導管の孔あけを2つの他の導管によって行う必要があるとき、またこれら2つの孔あけ導管を前もって継ぎ合せることができないときに、3個またはそれ以上の部品の継合せにも適用される。
【0023】
様々な方式で実現できる発熱体シートは、本発明の特定の要件のために、溶接すべきポリマー部品の分解温度より低くなければならない融点を有する絶縁ワニスによって被覆された抵抗線で編むことによって実現される。線の被覆は、実現すべき溶接接合部の所定の温度、つまり継ぎ合せるべき部品の接触面の分子鎖の相互貫入を保証する温度に達したときに、編まれた線の絶縁ワニスが溶けて、発熱体シートの加熱の停止と共に短絡を生じさせるという意味で、溶接すべき部品の加熱継続時間の自動調整機能をもたらす。
【0024】
さらにまた発熱体シートを、様々な形に、例えば平面に従って、円筒形、またはカラーの形に変更することができ、また複雑な継合せ幾何形状に、また万一の場合に部品の特定のゾーンもしくは点、例えば角、空洞、または余盛りにもたらされたエネルギーを集中させるために、容易に適合させることができる。
【0025】
発熱体シートを、溶接すべき部品の形式に適合させるために、様々な幾何学的形状にすることができる。溶接界面にもたらされるエネルギーの管理を望む様式に応じて、発熱体シートの網目は様々な寸法をとることができる。その上、所定の網目サイズのために、発熱体シートを有利に1つまたは複数の層によって構成することができる。この利点もやはり、溶接すべき部品の様々な熱ゾーンとは異なる加熱を行うために使用することができる。
【0026】
発熱体シートを固定するため、およびこれを所定の場所に維持するために、発熱体シートを溶けたポリマーの溶接固定接点によって固定することができる。代替バージョンによって、および特に溶接すべき部品の間の接触を改善するように、発熱体シートを溶接サイクルの前に溶接すべき部品の1つの中に統合することができるのは有利である。この統合は、適切に外部から装着して事前加熱するという手法を用いて実現することができる。
【0027】
こうして、本発明は、表面単位当りのよりすぐれたエネルギーレベル、溶接界面におけるこのエネルギーのよりすぐれた均一性、ならびに時間に応じた温度のよりすぐれた管理を同時に保証すること、したがって、(不十分な表面削り、または清掃の欠如などの)不適切に準備された界面における残留物質の存在、さらには酸化、熱分解、または炭化によって劣化した界面を含めて、溶接の品質を向上させることを可能にする。
【0028】
本発明の機能動作は、ポリマー製、例えばポリエチレン製の2個の部品の少なくとも1つの界面を、所定の時間中に、溶接機形式の自動装置によって課される加熱/冷却サイクルの終りに界面の溶接を誘発させるように、制御された局部的な加熱を行うことに基づくものである。
【0029】
ポリエチレン製の部品の場合には、溶接は、発熱体シートによって課された温度と時間の効果の下で接触した製品の界面における分子相互貫入の結果生じる。
【0030】
フィラメントまたはボビン巻による従来の技法に比べて、また導線を交差させた配置によって形成された発熱体シート技法と比べても、本発明は、この流儀でもたらされるエネルギーのよりすぐれた管理とよりすぐれた配分によって、発熱体シートの各編目によってほぼ画定された各微細セルの内部にある巨大分子の相互拡散を助長すること、およびこうして、拡散分子の大部分を活性化させて、溶接すべき材料の相互貫入可能性を局部的に向上させることを可能にする。こうして、本発明の方法は、クレータ、ひどい粗度、波形などに起因する、または部分的に品質低下した、さらには汚染された材料に起因する不完全な表面状態が存在する場合に特に有利である。
【0031】
この場合、品質低下した分子によって構成される相互拡散に対する障壁を、フィラメント巻線による従来の溶接の場合に必要であるように、溶接時間を有意に増加させることを必要とせず、さらに深くまで囲む異常のない材料によって克服することができる。その上、界面の加熱は、発熱体シートが適合した機械または自動装置によって電力供給されるときにジュール効果によって加熱される所定の抵抗の発熱体シートによって保証される。自動装置によって継合せに課される加熱/冷却サイクルを、市販の自動溶接装置セットの使用を可能にするような電気的パラメータによって実現できることは有利である。
【0032】
最適の溶接パラメータを、独立した機械的抵抗試験による継続的取組み方によって、例えばピールテストによって決定することができる。最適溶接品質のためには、初期に品質低下した材料が存在する場合でも、界面に配分されるエネルギーは、有利には、特にポリエチレンに関してはmm2当り約10ジュールとmm2当り約100ジュールの間に含まれなければならない。
【0033】
したがって、強制電圧溶接の一様式例では、発熱体シートの加熱時間は、このエネルギー枠内にあるように発熱体シートの抵抗に応じて適合される。
【0034】
単位表面積当りエネルギーの低い値の手前では、溶接の品質は、界面レベルにおける分子の不完全な相互拡散と相互貫入の結果として、最適なものではない。エネルギーの高い値の先では、溶接の品質は、材料の品質低下の動力学が巨大分子の相互拡散の動力学に先んじるときには、低下する傾向がある。
【0035】
溶接面の近くにおける発熱体網または発熱体シートの配置によって、単位表面積当りの電気エネルギーを、従来の技術、例えばボビンまたはシート形のフィラメント巻線によるものと比較して、より多くより均質にもたらすことができる。より多くより良好に分配された単位表面積当たりエネルギーによって、界面における巨大分子の相互拡散を改善することができ、こうして(ひどい粗度、波形、クレータなどによる)不完全な表面状態、および/または酸化や炭化などによって部分的に品質低下した材料の場合を含めて、溶接の品質を改善することができる。
【0036】
参考までに、下表に示す寸法を有する小さな網目と大きな網目の編物による実験室における試験によれば、
【0037】
[表1]


960kg/m3の固体状態における密度、180〜200ジュール/グラムの融解エンタルピー、および120〜140℃の融解領域を有するポリエチレン導管については、溶接すべき部品の融解に必要な下記のエネルギー段階、すなわち実験室における良好な溶接条件を得るために運ぶべき単位表面積当りエネルギー(古くない材料および古い材料)は、10J/mm2〜100J/mm2と決定された。
【0038】
1mm3の材料を融解するために必要なエネルギーは190(J/g)×10-6(g/mm3)程度、つまり約0.2J/mm3である。
【0039】
実験室における試験の場合には、界面の両方の溶けた深さは最適溶接条件では1mmより小さく、つまり溶けた全深さは2mmより小さい(2個の試験片の継ぎ目の全厚さは約4mmであった)。
【0040】
以上のことから、2a・b(mm3)程度のセル当り溶解容積には、少なくとも0.2(J/mm3)・2a・b(mm3)すなわち0.4・a・b(J)を持ち込まなければならない。
【0041】
さらに一般的には次のようになる。
min>(溶融エンタルピー)・(密度)・(a・b)・(溶解深さ) (条件1)
界面において所定の深さだけ材料を融解するために持ち込むべき最小エネルギー、所定の密度の材料を融解するために必要なエネルギー、および「加熱セル」の表面に関する条件。
【0042】
エネルギーの式、E=(U2・t)/R(ただしUは時間t中に加えられる電圧、Rは編物の全抵抗)、
および抵抗の式、R=(ρ・l)/S(ただしρ、l、およびSは、それぞれ線の固有抵抗、長さ、および断面積である)から、
E=(U2・t)・S/(ρ・l)
が導き出され、
以上のことから、単位表面積当りエネルギーは下記のようになる。
S=(U2・t)・[πr2]/(ρ・l)・A・B
(ただしA・Bは加熱される全表面積)
【0043】
セルのサイズに帰着すると、単位表面積当りエネルギーは次のようになる。
S=(U2・t)・[πr2]/(ρ・[2a+2b])・([a+2r]・[b+2r])
以上のことから下記が得られる。
10J/mm2<(U2t)・(πr2)/(ρ・[2a+2b])・([a+2r]・[b+2r])<100J/mm2 (条件2)
「加熱セル」のサイズを線のパラメータならびに機能動作条件に関連付ける条件。
【0044】
本発明はまた、考えられる下記の特徴すなわち、
− 発熱体シートの抵抗線は、溶接すべきポリマー部品の品質低下温度より低い融点を有するワニスによって被覆される、
− 発熱体シートの抵抗線は、融点に応じて選択されたワニスによって被覆される、
− 発熱体シートは、長い物体の形に作られる、
− 発熱体シートは、カバーの形に作られる、
− 発熱体シートは、帯の形に作られる、
− 発熱体シートは、不規則な網目ピッチを示す、
− 溶接エネルギーの点状過度集中が、必要な限り発熱体シートをその上に折り曲げるときに得られる、
− 溶接エネルギーの点状過度集中が、発熱体シートに不規則な網目ピッチを与えるときに得られる
という特徴に、個別に、または技術的に可能ないずれの組合せによっても関連する。
【0045】
本発明のその他の特徴および利点は、本発明の装置の発熱体シートとその溶接すべき2個の導管への適用の実施形態の下記説明から明らかになろう。以下に図面を参照してこの説明を行う。
【発明を実施するための最良の形態】
【0046】
図1は、本発明の装置のために使用される編まれた発熱体シート1の一部分を示す。発熱体シート1は、直径が2rの抵抗線から編むことによって得られ、この抵抗線は絶縁ワニスによって被覆され、寸法がa、bのほぼ平行六面体の網目Mを呈するように作られている(ただしaはセルまたは網目Mの短側部を指す参照記号、bは網目Mの長側部を指す参照記号、また積a・bは発熱体シート1の加熱セルにほぼ対応する網目の表面積である)。本発明によれば、網目Mの短側部は1.5〜2.5mmの寸法を有し、長側部bは3〜4.5mmの寸法を有する。
【0047】
発熱体シート1は、平面体の形またはカバーの形で実現されている。そのうえ、この編物は、完成した発熱体シートに対してシートの長手方向に寸法に関連するある一定の可とう性を、横方向にわずかな可とう性を与えるように作られている。
【0048】
図2は、カバーの形で実現され、したがって溶接すべき円筒状部品の上にかけることができ、または平たくして帯状の発熱体シートとして使用することができる。したがって後者の場合には、発熱体シートは網目が重なり合った二重層を有することになる。図2を描き過ぎないように、シート1は単一の帯として示され、すなわち手前にある層だけしか見えない。
【0049】
図2は、具体的には、網目層の数を局部的に増やすため、またこうして溶接エネルギーを点状に過度に集中させるために、平たくして1回折り畳まれたカバーの形の発熱体シート1を示している。
【0050】
実際、図2に示されているように、発熱体シート1は1回折り畳まれ、こうして得られたシートの2つの部分1Aおよび1Bは互いに部分的にずれて配置され、こうして編目層の数と持ち込むべきエネルギー容量に関して、第1単シート部分11、二重シート部分12、および第2単シート部分13が得られる。シート1の2つの部分1A、1Bをずらす方式によれば、二重シート部分12は多少幅広で多少長い。
【0051】
図3は、問題となる表面上の網目が不均一な配置を示すことで図1の装置に対して異なる、本発明の装置の発熱体シート1の一部分を示す。この不規則な網目の配置は、エネルギーの過度集中を必要とする区画の上に網目を集中させ、別のゾーンでは網目の間隔を最大限にあけて、溶解すべき表面の上に発熱体シートを置くときに手動によって得られる。
【0052】
編む方式を理由として、発熱体シート1の網目は互いに、ある方向においては他の方向におけるよりもさらに移動可能である。図1〜3では、網目Mは水平方向よりも垂直方向において、さらに移動可能である。したがって、エネルギーの過度集中を必要とする区画を配置することが重要である場合には、シート1を垂直方向に圧縮し、シート1によって(図1の側部bに対応する)長側部b1を長側部b2に対して小さくする。
【0053】
図4は、例示として、溶接サイクルのために、溶接すべき2個の部品に課される機械的応力(曲線A)と継ぎ目の界面における実測温度(曲線B)を表す概略図を示す。溶接サイクルは、継続時間が約20秒間の加熱段階を含み、これに続いて約10秒間の比較的速い冷却と、約80秒間のもっと遅い冷却がある。この加熱サイクルは、継ぎ目に課される応力の付加サイクルに対してずれている。図4に示されているように、加熱期間はもっぱらサイクル開始の約60秒後に始まり、このサイクル開始は、応力の付加による継ぎ目の事前負荷によって示され、この応力は約10秒の期間中に最大値に上昇し、その後50秒間ある一定の緩和が続き、これまでの期間に加熱期間が始まる。この加熱には補足緩和が伴い、それから継ぎ目に加えられる応力の回復が加熱期間の終了まで伴う。溶接された部品の冷却の間、継ぎ目に課される応力は、次いで低いレベル(100ニュートン程度)に維持されるために急速に減少する。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】本発明の装置の発熱体シートの一部分を示す図である。
【図2】折り曲げた位置にある図1の発熱体シートを示す図である。
【図3】図1の発熱体シートの変形形態を示す図である。
【図4】溶接中の界面における温度と課される応力の測定を伴う、溶接サイクルの概略図である。
【符号の説明】
【0055】
1 発熱体シート
11 第1単シート部分
12 二重シート部分
13 第2単シート部分
1A シートの部分
1B シートの部分
M 網目
a セルまたは網目の短側部
b セルまたは網目の長側部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
絶縁ワニスによって被覆された抵抗線で編まれた発熱体シート(1)によって得られる融解により2個のポリマー製の部品を溶接するための装置であって、前記発熱体シート(1)は、電圧または電流強度が調整可能で短絡に対する耐性を有する自動装置によって電力供給されるようになっており、寸法が1.5×3mm2〜2.5×4.5mm2のほぼ平行六面体の網目を示す、装置において、
前記発熱体シート(1)が、0.2mmから0.3mm以下までの直径を有し、ワニスによって被覆された抵抗線から得られ、前記ワニスの融点が、前記発熱体シートの加熱の停止と共に短絡を生じさせる所定の温度で前記ワニスが溶けるように選択されることを特徴とする装置。
【請求項2】
前記発熱体シート(1)が細長い物体の形に作られていることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記発熱体シート(1)がケースの形に作られていることを特徴とする請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記発熱体シート(1)が帯の形に作られていることを特徴とする請求項2に記載の装置。
【請求項5】
前記発熱体シート(1)が不規則な網目ピッチ(b1、b2)を示すことを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の装置。
【請求項6】
絶縁ワニスによって被覆された抵抗線で編まれた発熱体シート(1)により得られる2個の融解部品の界面の融解によって2個のポリマー製部品を溶接する方法であって、前記発熱体シート(1)は、電圧または電流強度が調整可能で短絡に対する耐性を有する自動装置によって電力供給されるようになっており、直径が0.2mmから0.3mm以下までであって所定の融点を有するワニスによって被覆された抵抗線から得られ、寸法が1.5×3mm2〜2.5×4.5mm2のほぼ平行六面体の網目を示す、溶接方法において、
少なくとも下記のステップすなわち、
発熱体シート(1)に、溶接すべき部品の融解すべき面の少なくとも1つの形に最も近い形を与えるステップと、
この面の上に前記発熱体シート(1)を熱融解性材料で作られた固定接点によって固定するステップと、
溶接すべき2個の部品を継ぎ合せるステップと、
溶接を実施するステップと
を含む方法。
【請求項7】
溶接エネルギーの点状過度集中が、前記発熱体シート(1)を必要な限りそれ自体の上に折り畳むことで得られることを特徴とする請求項6に記載の方法。
【請求項8】
溶接エネルギーの点状過度集中が、前記発熱体シート(1)に不規則な網目ピッチ(b1、b2)を与えることによって得られることを特徴とする請求項6または7に記載の方法。
【請求項9】
溶接界面に配分されるエネルギーが10〜100J/mm2であることを特徴とする請求項6から8のいずれか一項に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−307906(P2007−307906A)
【公開日】平成19年11月29日(2007.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−131533(P2007−131533)
【出願日】平成19年5月17日(2007.5.17)
【出願人】(592144124)ギャズ ド フランス (1)
【Fターム(参考)】