説明

蟻酸ホルミエートの製造法

蟻酸を含有する液状の流れIおよび金属ホルミエートを含有する液状の流れIIを準備し、この液状の流れIおよびIIを、液状の流れIIのために液状の流れIの場合よりも高いかまたは液状の流れIの場合と同じ、精留塔に対する供給位置を選択するように精留塔に供給し、液状の流れIとIIとを精留塔内で水の分離下で精留塔の塔頂部を経て混合し、精留塔から蟻酸ホルミエートを含有する塔底部の流れを取り出すことにより、蟻酸ホルミエートを製造する方法において、塔底部の流れを水0.5質量%未満を含有する溶融液として取得することを特徴とする、蟻酸ホルミエートを製造する方法が提案されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蟻酸ホルミエートの製造法、ならびにその後に製造された、植物性物質および/または動物性物質を保存および/または酸性化するため、生物廃棄物を処理するためならびに動物性食品中への添加剤としてまたは動物用成長促進剤としての蟻酸ホルミエートの使用に関する。
【0002】
蟻酸ホルミエートは、抗菌作用を有し、例えば植物性物質および動物性物質、例えば草、農産物または食肉を保存および酸化性化するため、生物廃棄物を処理するためにか、または動物性食品用添加剤として使用されている。
【0003】
蟻酸ホルミエートとしては、蟻酸アニオン(HCOO)、カチオン(Mx+)および蟻酸(HCOOH)を含有する化合物および混合物が当てはまる。この蟻酸ホルミエートは、一緒になって固体または液体の形で存在することができ、場合によってはなお他の成分、例えば塩、添加剤または溶剤、例えば水を含有することができる。一般に、蟻酸ホルミエートは、一般式
HCOOx+*yHCOOH (I)、
〔式中、Mは一価または多価の無機カチオンまたは有機カチオンを表わし、xは、正の整数であり、カチオンの電荷が記載されており、yは、蟻酸アニオンに対する蟻酸のモル含量を表わす〕によって記載される。蟻酸アニオンyに対する蟻酸のモル含量は、一般に0.01〜100、有利に0.05〜20、特に有利に0.5〜5、殊に0.9〜3.1である。
【0004】
無機カチオンまたは有機カチオンMx+の性質は、このカチオンが蟻酸ホルミエートが取り扱われる条件下で安定である限り原理的には取るに足りないことである。それらの中で、例えば還元作用を有する蟻酸アニオンに対する安定性が当てはまる。可能な無機カチオンとしては、周期律表の第1族〜第14族からの金属、例えばリチウム(Li)、ナトリウム(Na)、カリウム(K)、セシウム(Cs)、マグネシウム(Mg2+)、カルシウム(Ca2+)、ストロンチウム(Sr2+)およびバリウム(Ba2+)、有利にナトリウム(Na)、カリウム(K)、セシウム(Cs)およびカルシウム(Ca2+)が挙げられる。可能な有機カチオンとしては、非置換のアンモニウム(NH4+)および場合によっては互いに結合されていてもよい、1個以上の炭素を含有する基によって置換されたアンモニウム、例えばメチルアンモニウム、ジメチルアンモニウム、トリメチルアンモニウム、エチルアンモニウム、ジエチルアンモニウム、トリエチルアンモニウム、ピロリジニウム、N−メチルピロリジニウム、ピペリジニウム、N−メチルピペリジニウムまたはピリジニウムが挙げられる。
【0005】
炭素を含有する有機基は、1〜30個の炭素原子を有する非置換または置換の脂肪族基、芳香族基または芳香脂肪族基である。前記基は、1個以上のヘテロ原子、例えば酸素、窒素、硫黄または燐、例えば−O−、−S−、−NR−、−CO−、−N=、−PR−および/または−PRを含有することができ、および/または例えば酸素、窒素、硫黄および/またはハロゲンを含有する1個以上の官能基、例えば弗素、塩素、臭素、沃素および/またはシアノ基によって置換されていてよい(この場合、基Rは、同様に炭素を含有する有機基である)。炭素を含有する有機基は、一価または多価、例えば二価または三価の基であることができる。
【0006】
蟻酸ホルミエートを製造するために、多数の方法が公知である。この場合には、一般に蟻酸を含有する液状の流れIならびに金属ホルミエートを含有する液状の流れIIが調製され、記載された液状の流れIとIIは、蟻酸ホルミエートを含有する生成物流の維持下に混合され、この流れは、場合によってはさらに後処理される。
【0007】
この種の方法は、例えばドイツ連邦共和国特許出願公開第10237379号明細書の記載から公知である。その後に、蟻酸または金属ホルミエートを含有する流れは、特に塔内で捕集され、この場合この塔は、供給された溶剤、一般に水の一部分が取り出されるように運転される。この運転形式の場合には、0.5〜30質量%の含水量、殊に一般に1質量%以下の含水量を有する、蟻酸ホルミエートを含有する塔底生成物を得ることができる。
【0008】
これとは異なり、当業者には、これまで蟻酸ホルミエートを含有する生成物流の後加工における予想することができる利点にも拘わらず、公知方法と比較して本質的に低い含水量を有する生成物流を、蟻酸および金属ホルミエートを含有する流れが混合される塔から直接に得ることができることは、公知ではなかった。
【0009】
相応して、蟻酸ホルミエートを製造するための方法が見出され、それによれば、蟻酸を含有する液状の流れIおよび金属ホルミエートを含有する液状の流れIIが調製され、液状の流れIとIIとは、液状の流れIIについては、液状の流れIの場合よりも精留塔に対して高いかまたは等しい供給位置が選択されるように精留塔に供給され、
液状の流れIとIIとは、精留塔内で水の分離下に精留塔の塔頂部を経て混合され、精留塔から蟻酸ホルミエートを含有する塔底流が取り出される方法であって、この方法は、水0.5質量%未満を含有する塔底流を溶融液として取得することによって特徴付けられる。
【0010】
この方法の好ましい実施態様において、蟻酸を含有する液状の流れIが準備され、この場合この液状の流れIは、比較的高度に濃縮されており、即ち蟻酸を少なくとも85質量%含有する。特に好ましくは、液状の流れIは、蟻酸を少なくとも94質量%、殊に99質量%含有する。この場合、好ましくは、商業的に得ることができる蟻酸タイプ、例えば85%、94%または99%の純度を有する蟻酸を得ることができる。
【0011】
蟻酸を含有する前記の液状の流れIは、有利に水性の流れである。
【0012】
本発明者らは、濃厚な蟻酸溶液を使用する場合には、液状の流れIとIIとが混合される精留塔から溶融液として取り出される目的生成物の蟻酸ジホルミエート中の低い残留含水量、殊に0.3質量%未満、有利に0.2〜0.1質量%の範囲内、殊に0.1〜0.05質量%の残留含水量を得ることができることを確認した。
【0013】
また、本発明者らは、精留塔内でとにかく不変の条件下で液状の流れ中の含水量が減少すると、塔底部を介して取り出される溶融液中の含水量は、偏向的に減少することを確認した。
【0014】
溶融液中での低い残留含水量は、調製された最終製品の蟻酸ジホルミエートの貯蔵安定性に決定的に影響を及ぼす。最終製品中での残留含水量が低ければ低い程、焼付け傾向または団塊化傾向は、ますます僅かになる。
【0015】
更に、液状の流れI中でのよりいっそう高い含水量を有する運転形式と比較しての利点は、同様に低い含水量を有する溶融液を得るためには、殊に約4〜8の分離段に減少されている僅かな分離段数で十分であることである。相応して、僅かな建築寸法、ひいては低い投資費用および運転費用で精留塔は、形成されていてよい。
【0016】
好ましくは、液状の流れIとIIは、それぞれ水性の流れである。
【0017】
前記方法は、液状の流れIおよびHを調製するための具体的な方法に関連して制限されるものではない。好ましくは、この方法によって本明細書中の開示内容に広範囲に含まれているドイツ連邦共和国特許出願公開第10321733号明細書の記載と同様に使用されてよい。
【0018】
液状の流れIは、例えば蟻酸メチルエステル、以下MeFoと略記される、を部分的に加水分解し(ドイツ連邦共和国特許出願公開第10321733号明細書の記載からの処理工程(a))、未反応のMeFoおよびメタノールを蒸留により分離することによって得ることができる。
【0019】
液状の流れIIは、例えばドイツ連邦共和国特許出願公開第10321733号明細書中に記載の変法により得ることができる。
【0020】
その後、MeFoおよびメタノールを含む流れは、処理工程c)において、i)塩基化合物と水溶液中で25℃で測定された3以上の相応する解離段階の相応する酸のpKa値を有する塩基性化合物と水の存在下で反応させ、ii)メタノールを蒸留により分離することによって、金属ホルミエートおよび水を含有する流れIIに変換されうる。 処理工程c)の詳細な記載については、記載されたドイツ連邦共和国特許出願公開第10321733号明細書に指摘されている。
【0021】
もう1つの方法において、金属ホルミエートを含有する流れIIを相応する金属水酸化物のカルボニル化によって取得することは、可能である。この種の方法は、ドイツ連邦共和国特許出願公開第10237380号明細書中に記載されており、この場合このドイツ連邦共和国特許出願公開明細書の開示内容は、広範囲に亘って本明細書中に含まれている。
【0022】
蟻酸ホルミエートを製造するための直ぐ次の処理工程において、蟻酸を含有する調製された流れIおよび金属ホルミエートを含有する流れIIは、精留塔内で混合される。
【0023】
この場合、蟻酸を含有する液状の流れIおよび/または金属ホルミエートを含有する液状の流れIIを精留塔内での混合前に、殊に蒸発、有利に留去による存在する水の一部分の除去によって蟻酸または金属ホルミエートの濃縮にかけることは、可能であり、場合によっては好ましい。
【0024】
精留塔の運転にとって、液状の流れIIのために液状の流れIの場合よりも高いかまたは少なくとも同じ供給位置を選択することは、本質的なことであることが見出された。本発明者らは、前記塔のできるだけ幅広い範囲内、殊に蟻酸を含有する流れを供給する位置よりも高い範囲内に金属ホルミエートが存在することは、塔底流からの水の十分な分離のために重要であることが確認された。この場合、本質的なことは、物質系中の金属ホルミエートが塔内で蟻酸のための連行剤として機能することである。
【0025】
好ましいのは、精留塔内の塔底温度が135℃未満の値、殊に125℃未満の値に制限されるように精留塔を運転することである。このために、当業者は、通常の考察、殊に塔内で発生する圧力損失を考慮しながら塔内の塔頂圧力を相応して調節する。
【0026】
1つの好ましい変法においては、液状の流れIIのための供給位置は、精留塔の分離段上または分離段の上方で相応する低い投資費用で選択される。
【0027】
付加的または選択的に、塔内での運転の実施は、液状の流れIIとIとの量比を選択することによって影響を及ぼされうる。液状の流れIIとIとの量比は、液状の流れIIからの金属ホルミエートと液状の流れIからの蟻酸との量比が1より大きい、1より少ない、または有利に0.95〜1.05、特に有利に1に等しいように選択されうる。それによって、精留塔の塔頂流中の蟻酸の損失は、制限されることができ、このために精留塔内で強化部分が必要とされることはない。この場合、殆んど純粋な水の取出しは、可能である。
【0028】
精留塔のために分離作用を有する取付け物を選択する場合には、低い圧力損失を有する取付け物、有利に充填物を同時に良好な分離効率で配慮することは、好ましい。
【0029】
精留塔の理論的分離段の数は、一般的な常法により計算される。本発明の課題の分離のためには、一般に理論的分離段の数5〜15が好ましい。
【0030】
また、本発明の対象は、植物性物質および/または動物性物質を保存および/または酸性化するため、生物廃棄物を処理するため、または動物性食品中への添加剤としておよび/または動物用成長促進剤としての、本発明による方法により製造された蟻酸ホルミエートの使用である。
【0031】
本発明による方法により既に、蟻酸または金属ホルミエートを含有する液状の流れが混合される塔内で0.5質量%未満の含水量を有する価値のある物質の蟻酸ホルミエートが溶融液として取り出されることにより、重要な経済的利点が生じる。殊に、精留塔から取り出される溶融液をさらに後処理するため、余り複雑でなく、殆んど損傷に敏感でない、高い含水量を有する生成物流を後加工するために公知の装置とは別の装置、殊に冷却ロールまたは冷却ベルト、冷却板または噴射凝縮塔(Prill-Tuerme)が必要とされる。それによって、生成物流中によりいっそう高い含水量を有する従来法のための装置と比較して投資費用は、減少される。
【0032】
公知方法の場合に必要とされるような後加工工程、例えば固体/液体の分離、結晶化および引続く乾燥は、不用である。
【0033】
次に、本発明を図面及び実施例を用いて詳細に説明する。
【0034】
本発明による方法の図1で略示された実施態様において、精留塔Rには、金属ホルミエートを含有する水性の流れIIが供給され、同一の精留塔には、蟻酸を含有する水性の流れIが供給される。水性の流れIIの供給管の上方には、強化部分が配置されている。精留塔R内では、水性の流れIとIIとが混合され、主要な水を含有する塔頂流が取り出され、この塔頂流は、凝縮器K内で塔頂部で凝縮され、部分的に返送流として再び塔内に供給され、その他の点では排出される。塔の塔底部からは、水0.5質量%未満を含有する溶融液が取り出され、後接続された装置E中または該装置上に凝固のためにもたらされる。後接続された装置Eから、場合によっては図示されていない突き固め機中での処理後に望ましい粒径を有する生成物が取り出される。
【0035】
図2に示された好ましい実施態様は、水性の流れIIが精留塔Rの最上段の棚段上に供給されることによって図1の実施形式と区別される。従って、この実施形式においては、精留塔Rは、強化部分を有しない。また、この変法において、液状の流れIIとIとの量比が、液状の流れIIからの金属ホルミエートと液状の流れIからの蟻酸とのモル比が1以上であるように選択される限り、精留塔の塔頂部から十分に純粋な水は、取り出されうる。
【0036】
実施例
それぞれ10個の泡鐘段がそれぞれ30mmの直径を有する3または2個の区間からなる実験室用塔中でカリウムジホルミエートを製造した。この塔を純粋な分離塔として運転した。
【0037】
流入量は、前記塔の最上段の棚段上の75%の蟻酸カリウム水溶液と下方から5段目の棚段上の蟻酸水溶液とから形成されていた。蟻酸および蟻酸カリウムを化学量論的に進行させた。
【0038】
塔底部中の異なる含水量を有するカリウムジホルミエートを搬出し、塔の塔頂部から1000ppm未満の蟻酸の残分を有する殆んど純粋な水を搬出した。
【0039】
実施例において、濃縮蟻酸は流入量中で変動した。更に、全ての蟻酸濃度の際に、第1の試験(以下、添加物Aで示した)をよりいっそう高い塔頂圧力で進行させ、他の試験(以下、添加物Bで示した)をよりいっそう低い塔頂圧力で進行させた。
【0040】
例1A
流入量中の蟻酸濃度は、30質量%であった。塔は、3個の区間から形成されており、塔に亘っての圧力損失は、約35ミリバールであった。塔を50ミリバールの塔頂部圧力で運転した。塔底温度は、132〜135℃であった。塔底部内の溶融液中で、約0.45質量%の含水量が達成された。
【0041】
例1B
流入量中の蟻酸濃度、塔区間の数ならびに塔に亘っての圧力損失は、例1Aと比較して不変のままであった。塔を20ミリバールの塔頂圧力および122〜127℃の塔底部温度で運転した。塔底部から約0.35質量%の含水量を有する溶融液を取り出した。
【0042】
例2A
流入量中の蟻酸濃度は、85質量%であった。塔は、2個の区間から形成されており、塔に亘っての圧力損失は、約25ミリバールであった。塔を約35ミリバールの塔頂部圧力で運転した。約126℃の塔底部温度の場合、塔底部から取り出されたカリウムジホルミエート溶融液中の0.18〜0.2質量%の含水量が達成された。
【0043】
例2B
流入量中の蟻酸濃度、塔区間の数ならびに塔に亘っての圧力損失は、例2Aと比較して不変のままであった。塔頂部圧力を約25ミリバールに減少させた。124〜126℃の範囲内の塔底部温度の場合、約0.08〜0.12質量%の塔底部から取り出されたカリウムジホルミエート溶融液中での含水量を達成した。
【0044】
例3A
流入量中の蟻酸濃度は、94質量%であった。塔区間の数および圧力損失は、例2Aに相当した。塔を約35ミリバールの塔頂部圧力で運転した。126〜128℃の塔底部温度の場合、約0.08〜0.1質量%の塔底部から取り出されたカリウムジホルミエート溶融液中での含水量を達成した。
【0045】
例3B
蟻酸濃度は、例2Aに対して不変のままであった。塔区間の数および圧力損失は、例2Aに相当した。塔頂部圧力を約25ミリバールに減少させた。124〜126℃の塔底部温度の場合、約0.05〜0.07質量%の塔底部から取り出されたカリウムジホルミエート溶融液中での含水量を達成した。
【0046】
例4A
流入量中の蟻酸濃度は、99質量%であった。塔区間の数および圧力損失は、例2Aに相当した。塔を約35ミリバールの塔頂部圧力で運転した。124〜126℃の塔底部温度の場合、約0.05〜0.08質量%の塔底部から取り出されたカリウムジホルミエート溶融液中での含水量を達成した。
【0047】
例4B
流入量中の蟻酸濃度が不変である場合、塔頂部圧力を約25ミリバールに減少させた。塔区間の数および圧力損失は、例2Aに相当した。塔底部温度ならびに塔底部から取り出されたカリウムジホルミエート溶融液の含水量は、例3Aと同様の範囲内で記載された。従って、例3Aおよび3Bで使用された高い蟻酸濃度の場合、塔底部から取り出された溶融液中での含水量に対する塔頂部圧力の影響は本質的に示されず、この場合塔頂部の圧力は、35ミリバールから25ミリバールへ変動した。
【0048】
例2A、2B、3A、3B、4Aおよび4Bは、高度に濃縮された蟻酸を用いての好ましい方法の実施態様において、エダクト流Iとして塔底部から取り出される溶融液中での低い含水量が達成されることを示す。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本発明による方法を実施するための装置の1つの好ましい実施形式を示す系統図。
【図2】本発明による方法を実施するための装置の1つの好ましい他の実施形式を示す系統図。
【符号の説明】
【0050】
E 後接続された装置、 K 凝縮器、 R 精留塔、 I 蟻酸を含有する水性の流れ、 II 金属ホルミエートを含有する水性の流れ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
蟻酸を含有する液状の流れIおよび金属ホルミエートを含有する液状の流れIIを準備し、この液状の流れIおよびIIを、液状の流れIIのために液状の流れIの場合よりも高いかまたは液状の流れIの場合と同じ、精留塔に対する供給位置を選択するように精留塔に供給し、液状の流れIとIIとを精留塔内で水の分離下で精留塔の塔頂部を経て混合し、精留塔から蟻酸ホルミエートを含有する塔底部の流れを取り出すことにより、蟻酸ホルミエートを製造する方法において、塔底部の流れを水0.5質量%未満を含有する溶融液として取得することを特徴とする、蟻酸ホルミエートを製造する方法。
【請求項2】
液状の流れIの蟻酸含量は、少なくとも85質量%である、請求項1記載の方法。
【請求項3】
液状の流れIの蟻酸含量は、少なくとも94質量%、有利に少なくとも99質量%である、請求項2記載の方法。
【請求項4】
液状の流れIおよびIIが水性の流れである、請求項1から3までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
塔底部の流れが水0.3質量%未満、有利に水0.2〜0.1質量%、特に有利に水0.1〜0.05質量%を含有する、請求項1から4までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
精留塔内の塔底部温度を135℃未満の値に制限する、請求項1から5までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
精留塔内の塔底部温度を125℃未満の値に制限する、請求項6記載の方法。
【請求項8】
液状の流れIIのための供給位置を精留塔の最上部の分離段上または該分離段の上方に選択する、請求項1から7までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
液状の流れIIと液状の流れIとの量比を液状の流れIIからの金属ホルミエートと液状の流れIからの蟻酸とのモル比が0.95〜1.05、有利に1であるように選択する、請求項1から8までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
精留塔に、低い圧力損失を有する分離作用を有する取付け物、有利に充填物を備えさせる、請求項1から9までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
精留塔の理論的分離段の数を5〜15から選択する、請求項1から10までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
植物性物質および/または動物性物質を保存および/または酸性化するため、生物廃棄物を処理するため、または動物性食品中への添加剤としておよび/または動物用成長促進剤としての、請求項1から11までのいずれか1項に記載の方法により製造された蟻酸ホルミエートの使用。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2007−533650(P2007−533650A)
【公表日】平成19年11月22日(2007.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−537260(P2006−537260)
【出願日】平成16年11月5日(2004.11.5)
【国際出願番号】PCT/EP2004/012543
【国際公開番号】WO2005/044771
【国際公開日】平成17年5月19日(2005.5.19)
【出願人】(595123069)ビーエーエスエフ アクチェンゲゼルシャフト (847)
【氏名又は名称原語表記】BASF Aktiengesellschaft
【住所又は居所原語表記】D−67056 Ludwigshafen, Germany
【Fターム(参考)】