説明

血管新生の調節を通したアルツハイマー病および関連障害の処置のための新たな治療アプローチ

本発明は、アルツハイマー病および関連障害の処置のための組成物および方法に関する。より特定すると、本発明は、前記疾患を処置するために血管新生を調節する併用療法に関する。好ましい実施態様において、本発明は、同時の、別々のまたは逐次的な投与のための、レフルノミド、スルフィソキサゾール、テルビナフィン、バクロフェン、クロピドグレル、フェノルドパム、メパクリンおよびフェンホルミン、またはその塩もしくはプロドラッグもしくは誘導体もしくは徐放性処方物からなる群より選択される少なくとも2つの化合物の組み合わせを含む組成物に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アルツハイマー病(AD)および関連障害の処置のための組成物および方法に関する。
【0002】
ADは、皮質連合野の関与に起因し得る失語症(会話および会話の理解の機能障害が存在する言語障害)、統合運動障害(運動または感覚機能障害の非存在下で特定の目的のある動作および身振りを協調および実施することの能力障害)および失認(物体、人物、音、形状、または臭いを認識する能力)と一緒の記憶欠損によって特徴付けられる原型皮質認知症である。痙性対麻痺(下肢を冒す脱力)のような特殊な症候も関与し得る(1〜4)。
【0003】
アルツハイマー病の発生率は年齢とともに劇的に増加する。ADは、現在、認知症の最も一般的な原因である。それは、ゆっくりと進行し、そして末期患者をベッドに結びつけ、失調させ、そして療護に依存したたままにする認知機能の包括的な減退によって臨床的に特徴付けられる。死亡は、平均で、診断の9年後に起こる(5)。
【0004】
ADの発生率は年齢とともに劇的に増加する。国際連合人口予測は、80歳より高齢の人々の数は2050年までに3億7千万に近づくと見積もっている。現在、85歳より高齢の人々の50%がADに苦しんでいると見積もられている。それゆえ、世界中で1億人より多くの人々が50年のうちに認知症に罹患する。不断の介護および他の奉仕を必要とする多数の人々が医学的、金銭的および人的資源に厳しい影響を及ぼす(6)。
【0005】
記憶障害は、疾患の初期の特徴であり、そしてそれにはエピソード記憶(毎日の出来事のための記憶)が関与する。意味記憶(言語的および視覚的意味のための記憶)は、より後期に疾患に関与する。対照的に、作業記憶(情報を一時的に貯蔵および操作するために使用される構造およびプロセスが関与する短期記憶)および手続記憶(技術および手順の長期記憶である無意識記憶)は後期まで保存される。疾患が進行するにつれて、言語機能障害、視覚的知覚および空間欠損、失認および失行のさらなる特徴が出現する。
【0006】
アルツハイマー病の古典的臨床像は、症例の約80%における同定を可能にするために十分に特徴的である(7)。それにもかかわらず、臨床的不均一性が起こり、そしてこれは臨床管理のために重要であるだけでなく、機能的に異なる形態のための特定の薬物適用処置のさらなる意味を提供する(8)。
【0007】
ADの病理学的特徴は、βアミロイド(Aβ)を含むアミロイド斑、タウを含む神経原線維変化(NFT)ならびにニューロンおよびシナプスの機能障害および損失を含む(9〜11)。この10年間の間に、ADの原因についての2つの主要な仮説が提唱されている:神経変性プロセスがアミロイド前駆体タンパク質(APP)の異常なプロセシングによって誘発される一連の事象であると述べる「アミロイドカスケード仮説」(12)、および細胞骨格の変化が誘発事象であると提唱する「ニューロン細胞骨格変性仮説」(13)。ADの進行を説明する最も広く受け入れられている理論はアミロイドカスケード仮説に留まっており(14〜16)、そしてAD研究者は主に、Aβタンパク質に関連する毒性の基礎をなす機構の決定に集中している。反対に、タウタンパク質は、根本的および実用的の両方の懸念の故に、アミロイドよりもずっと少ない注目を製薬業界から受けている。さらに、シナプス密度の変化は、他の2つよりも認知機能障害に最も良好に相関する病理学的病変である。研究により、アミロイド病理が、コリン作動性終末が最も脆弱に見え、グルタミン酸作動性終末および最後にGABA作動性終末が続く、神経伝達物質特異的様式で進行するようであることが明らかになった(11)。
【0008】
発明の概要
本発明の目的は、ADおよび関連障害を処置するための新たな治療アプローチを提供することである。
【0009】
本発明者らは、ADの起源に関与する分子経路を同定し、そしてADおよび関連障害を寛解させるための新たな処置の開発のための、特に、新規の分子または他の適応症において以前に使用されている既存の分子を使用する併用療法の開発のための新規の標的を提供する。より特定すると、本発明者らは、単独でまたは組み合わせで、そのような経路に有効に影響を及ぼし、そしてADおよび関連障害の処置のための新たなそして有効な治療を表すいくつかの薬物を同定した。
【0010】
それゆえ、本発明は、ADおよび関連障害を処置するための新規の組成物および方法を提供する。
【0011】
より特定すると、本発明は、それを必要とする対象においてアルツハイマー病または関連障害を処置するために適切な組成物に関し、ここで組成物は血管新生を増加させる薬物を含む。
【0012】
本発明のさらなる目的は、それを必要とする対象においてアルツハイマー病または関連障害を処置するために適切な組成物に関し、ここで組成物は、併用の、別々のまたは逐次的な投与のための、少なくとも2つの、血管新生を増加させる薬物の組み合わせを含む。
【0013】
より好ましくは、血管新生を増加させる薬物(単数または複数)は、ABCA1、ACAT、ACC2、ADAMTS12、ADCY2、ADIPOQ、ADIPOR1、ADIPOR2、ADRB2、AGPAT5、AIP4、AKAP2、AKR1C2、AMPK、ANG2、ANK1、ANXA1、APOA1、ARHGAP17、ATP10A、AUH、AUTOTAXIN、BAI3、BCAR1、BIN1、BMP3A、CA10、CAMK1D、CAMKK2、CD36、CD44、CDC42、CDH13、CHAT、CNTFR、COL4A2、CPT、CSH1、CTNN、CUBN、CYP7B1、CYSLTR1、CYSLTR2、DGKB、DGKH、DGKZ、DHCR7、DHFR、DRD2、DRD5、EDG1、EDG2、EDG3、EDG4、EDG5、EDG6、EDG7、EDG8、EDNRA、EHHADH、ENPP6、ERBB4、ERK1、ERK2、ESRRG、ETFA、F2、FDPS、FGF2、FLNA、FLT4、FOXO1、FOXO3A、FTO、GABBR2、GATA3、GH1、GNA12、GNA13、GRK2、GRK5、GRM5、HAPLN1、HAS1、HAS2、HAS3、HCRTR2、HIF1A、HSD11B1、HYAL1、HYAL2、HYAL3、IL20RA、IL20RB、IL6ST、IL8、ITGA6、ITGB1、KDR、LAMA1、LDLR、LEPR、LEPTIN、LIFR、LIPL2、LKB1、LRP、LTBP2、MAT2B、ME1、MEGALIN、MERLIN、MET、MGST2、MMP2、MMP9、MTOR、MTR、NCK2、NEDD9、NFKB1、NFKBIB、NOS2A、NOS3、NR1I2、NR3C2、NRG1、NRP1、NRP2、OPRS1、OSBPL10、OSBPL3、OSTEOPONTIN、P2RY1、P2RY12、PAI1、PAI2、PAK1、PAK6、PALLD、PAP1、PAR1、PAXILLIN、PC、PCTP、PDE11A、PDE1A、PDE3A、PDE4D、PDE5、PDGFA、PDGFB、PDGFRA、PDGFRB、PI3K、PITPNC1、PKA、PKCD、PLA1A、PLA2、PLAT、PLAU、PLCB1、PLD1、PLD2、PLG、PLXDC2、PPARA、PPARG、PPARGC1B、PRKG1、PRL、PTGS2、PTN、PTPN11、PYK2、RAC1、RAS、RHEB、RHOA、ROCK1、ROCK2、RPS6KA1、RPS6KB2、SCARB1、SCHIP1、SGPP2、SLC25A21、SMAD3、SMAD4、SNCA、SORBS2、SPLA2、SPOCK1、SRD5A1、SREBF1、SREBF2、STAT3、TGFBR1、TGFBR2、TGFBR3、THBS1、THBS2、THEM2、THRB、TIAM1、TIMP2、TLL2、TSC1、TSC2、TSPO、VEGFA、VEGFR1、およびYES1から選択される遺伝子によってコードされるタンパク質に結合するかまたはその活性を調節する。
【0014】
そのような薬物の特定のそして好ましい例としては、限定するものではないが、アカンプロセート、アルブテロール、アレンドロネート、アンブリセンタン、アミノカプロン酸、アルガトロバン、バクロフェン、バルサラジド、ベカプレルミン、カベルゴリン、シロスタゾール、クロピドグレル、デシルジン、ジヒドロエルゴタミン、エプレレノン、フェノルドパム、フルドロコルチゾン、フルニトラゼパム、ゲムフィブロジル、ヘスペレチン、イマチニブ、ケトチフェン、レフルノミド、L−ヒスチジン、リオチロニン、マリマスタット、メロキシカム、メパクリン、メタゾラミド、メチマゾール、ミルリノン、モンテルカスト、ネチルマイシン、ニトログリセリン、ニトロプルシド、ペガプタニブ、ペンタゾシン、フェンホルミン、フェニル酪酸ナトリウム、ピリメタミン、スルフィソキサゾール、スニチニブ、タダラフィル、テマゼパム、テルビナフィン、チエチルペラジン、チロフィバン、トピラメート、トポテカン、ビダラビンおよびワルファリン、またはその組み合わせから選択される化合物が挙げられる。
【0015】
特定の実施態様において、本発明の組成物は、併用の、別々のまたは逐次的な使用のための、少なくとも1つの、シナプス機能を調節する薬物をさらに含む。
【0016】
あるいは、またはさらに、本発明の組成物は、併用の、別々のまたは逐次的な使用のための、少なくとも1つの、細胞ストレス応答を調節する薬物をさらに含んでもよい。
【0017】
本発明の組成物は、典型的には、薬学的に許容され得る担体または賦形剤をさらに含む。
【0018】
本発明のさらなる目的は、アルツハイマー病または関連障害を処置するための薬物の製造方法であって、血管新生に対する活性について候補薬物を試験し、そして血管新生を増加させる候補薬物を選択する工程を含む、方法にある。
【0019】
本発明はまた、アルツハイマー病または関連障害を処置するための組成物の製造方法であって、それを必要とする対象への同時の、別々のまたは逐次的な投与のための、血管新生を増加させる薬物およびシナプス機能または細胞ストレス応答を調節する薬物の組み合わせを調製すること、および薬物の組み合わせを処方することを含む、方法に関する。
【0020】
本発明はさらに、アルツハイマー病または関連障害の処置方法であって、血管新生を増加させる薬物または薬物の組み合わせを、それを必要とする対象に同時に、別々にまたは逐次的に投与することを含む、方法に関する。
【0021】
本発明はさらに、アルツハイマー病または関連障害の処置方法であって、血管新生を増加させる薬物およびシナプス機能を調節する薬物および/または細胞ストレス応答を調節する薬物を、それを必要とする対象に同時に、別々にまたは逐次的に投与することを含む、方法に関する。
【0022】
本発明はさらに、アルツハイマー病または関連障害を処置するための医薬の製造のための、血管新生を増加させる薬物の使用に関する。
【0023】
本発明はさらに、アルツハイマー病または関連障害を処置するための医薬の製造のための、少なくとも2つの、血管新生を増加させる薬物の組み合わせの使用に関し、ここで少なくとも2つの薬物は一緒に、別々にまたは逐次的に投与される。
【0024】
本願において考察するように、上記の治療および併用療法は、ヒト対象においてADを処置するための新規のそして有効なアプローチを提供する。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】ラット内皮大脳細胞からのLDH遊離に対するβアミロイドペプチド毒性に対する選択した薬物の保護効果。:p<0.05:ビヒクルとは有意に異なる。**:p<0.01;***:p<0.0001;****:p<0.00001:Aβ25−35とは有意に異なる。両側スチューデントt検定。Aβ25−35 30μMは、中程度のしかし有意な中毒を生じる(図1−A〜D、赤色)。この中毒は、レフルノミド(図1A)、テルビナフィン(図1B)、スルフィソキサゾール(図1C)またはバクロフェン(−)(図1D)によって有意に防止される。さらに、レフルノミドおよびテルビナフィンは、アミロイドの有害な効果を防止するだけでなく、培養培地における自発的細胞死を減少させもする。
【0026】
発明の詳細な説明
本発明は、ADまたは関連障害を処置するための新たな治療アプローチを提供する。本発明は、そのような疾患の有効な矯正を可能にし、そして患者の処置のために使用され得る薬物または薬物の組み合わせの新規の使用を開示する。
【0027】
用語「AD関連障害」は、アルツハイマー病(AD)、AD型老年認知症(SDAT)、パーキンソン病、レビー小体型認知症(Lewis body dementia)、血管性認知症、軽度認知機能障害(MCI)、加齢性記憶障害(AAMI)および加齢に関連する問題、脳炎後パーキンソニズム、ALSおよびダウン症候群を指す。
【0028】
本明細書において使用する障害の「処置」は、障害によって誘発される症候の治療、防止、予防、遅延または低下を含む。処置なる用語は、特に、疾患の進行および関連する症候の制御を含む。
【0029】
血管新生に言及する場合の用語「増加」は、対象における既存のレベルに比較しての血管新生の任意の増加を含む。そのような寛解は、回復(すなわち、正常レベルへの)、または、患者の状態を改善するためになお十分であるより低い増加を含み得る。そのような増加を、実験の節において記載するような、公知の生物学的試験を使用して評価または検証することができる。
【0030】
また、本発明の関連内での特定の化合物の指摘は、具体的に指名された分子だけでなく、その任意の薬学的に許容され得る塩、水和物、エステル、エーテル、異性体、ラセミ体、複合物、またはプロドラッグも含むことが意味される。
【0031】
用語「組み合わせ」は、少なくとも2つ以上の薬物が対象に共投与されて、生物学的効果を引き起こす処置を指す。本発明による併用療法において、少なくとも2つの薬物を、一緒にまたは別々に、同時にまたは逐次的に投与してもよい。また、少なくとも2つの薬物を、異なる経路およびプロトコルを通して投与してもよい。その結果、それらは一緒に処方されてもよいが、組み合わせの薬物は別々に処方されてもよい。
【0032】
上記で考察するように、本発明は、血管新生を増加させる薬物または薬物の組み合わせを使用する、それを必要とする対象におけるアルツハイマー病または関連障害を処置するための組成物および方法に関する。
【0033】
アルツハイマー病の様々な局面ならびに細胞シグナル伝達および機能的経路に存在する関連を描写する、細胞生物学研究、発現プロファイリング実験および遺伝子関連研究の結果をカバーする実験データの包括的統合により、本発明者らは、血管新生が、ADを有する対象において変化した重要な機構を表すこと明らかにした。機能的ネットワーク中に位置し、そしてアルツハイマー病に関係付けられる遺伝子を以下の基準によって選択した:
(1) − アルツハイマー病の家族性症例を原因として担う遺伝子との直接的相互作用(APP、ApoE、プレセニリン、タウタンパク質)、
(2) − 基準(1)によって選択される遺伝子の機能的パートナー;
(3) − 基準(2)によって選択される遺伝子の最も近い機能的パートナー。
【0034】
このプロセスを通して、本発明者らは、血管新生を担うネットワークがアルツハイマー病において冒されている主要な機能的ネットワークであることを確立することができた。
【0035】
血管新生は、組織ホメオスタシスの保証ならびに低酸素または創傷治癒のような環境的および生理的チャレンジに対する適応応答における根本的な役割を果たしている;その機能障害は、心血管合併症から腫瘍の成長および転移に及ぶ多数のそして不均一な病理の病因に寄与する。
【0036】
アルツハイマー病は、側副血管病理が付随する神経変性状態として古典的に考えられているが、本発明者らの分析は、血管調節解除の病原性の影響の再評価を可能にし、そしてこの疾患の病因学において、重要なそしておそらく原因となる役割を血管新生経路に起因させる。本発明者らは、血管新生を調節している遺伝子がアルツハイマー病に関係付けられるシグナル伝達ネットワークにおいて非常に富化されることを見出した。この結論は、アルツハイマー病の防止および治癒のための深い重大さを有し、そしてこの複雑な神経変性障害の組み合わせ治療のための新たなガイドラインを提供する。本発明者らはまた、このネットワークが、血管新生の調節に密接に関与する血管新生因子のファミリーおよび2つの経路(AMPK経路およびLPA代謝経路)からのタンパク質のファミリーに形式上細分され得ることを見出した。
【0037】
アミロイドAβタンパク質は、ニューロンの生物学に強く影響を及ぼすだけでなく、強い抗血管新生活性も有する(17)。アルツハイマー病の家族性症例に原因として関連する別の遺伝子であるプレセニリンは、膜内タンパク質分解の調節により、その機能的基質であるVEGFR1、ErbB4、ノッチ、DCC、CD44、エフリン受容体およびカドヘリンによって媒介されるいくつかの独立したシグナル伝達経路を通して血管新生を調節することができる(18〜20)。
【0038】
CD44遺伝子は、その分解産物が血管新生を促進するヒアルロン酸(HA)の受容体をコードする(21)。この受容体は、形成中のまたは新たに形成された血管の内皮の組織化および/または安定化に関係付けられた(22)。それはまた、新たな血管の形成が付随する細胞外マトリックスダイナミクスに関係付けられるオステオポンチン、コラーゲン、およびマトリックスメタロプロテイナーゼ(MMP)のようなタンパク質に結合しそしてその活性を調節することができる(23)。
【0039】
本発明者らのデータマイニングによって同定された他の膜受容体としては、IL20Rα、LEPTR、NRP1およびNRP2、ならびにエンドセリンEDNRA受容体が挙げられる。IL20Rα遺伝子は、血管形成に関与する多面性サイトカインであるIL20の受容体をコードする(24)。内分泌ホルモンおよびLEPTRのリガンドであるレプチンは、2つの最も強力なそして偏在性に発現される血管新生因子である線維芽細胞増殖因子FGF−2および血管内皮増殖因子(VEGF)と相乗的に血管新生を刺激する。同様に、それは血管透過性の増加に関与する(25)。NRP1およびNRP2は、発生血管新生を保証する、VEGFR−2シグナル伝達活性化を調節する膜貫通共受容体である(26)。
【0040】
最後に、本発明者らはまた、細胞外マトリックスの組織化およびリモデリング(THBS2、LAMA1、COL4A2、ADAMTS12およびADAM10)、またはプロラクチン、成長ホルモン、および胎盤性ラクトゲンのような周知の血管新生モジュレーターの機能的プロセシング(TLL2)に関与する一群の遺伝子を選択した(27)。
【0041】
AMP活性化プロテインキナーゼ(AMPK)ファミリーは、AMP:ATP比の細胞内センサーとして認識されており、そして、グルコースまたは脂肪酸代謝のような代謝プロセスを調節することによってエネルギーホメオスタシスの維持における主要な役割を果たしている。このファミリーのセリン/スレオニンキナーゼは、ATP産生を阻害するかまたはATP消費を刺激する代謝ストレスによって活性化される(28)。
【0042】
細胞エネルギーバランスの制御におけるその十分に確立された役割に加えて、AMPKシグナル伝達はまた、低酸素の条件下での内皮細胞の移動および分化のために必要とされる血管新生のレギュレーターである(29)。このキナーゼは、VEGF(30)、アディポネクチン(31)、IGF−1および、おそらく、PPARγ受容体の血管新生促進効果を担う下流エフェクターの1つである。AMPKは、アルツハイマー病のインビボモデルである二重トランスジェニックAPP/PS2マウスにおいて異常に活性化されることが見出されている(32)。
【0043】
本発明者らは、アルツハイマー病に関連し、そしてAMP活性化キナーゼの上流モジュレーターおよび下流エフェクターの両方を表すいくつかの遺伝子を同定した。AMPKタンパク質の上流モジュレーターの中で、レプチンおよびCNTF受容体、アディポネクチンAcrp30の推定の共受容体であるCDH13(33)、およびトロンビンシグナル伝達経路、ならびに、LKB1キナーゼと一緒に、AMPK活性の主な直接的モジュレーターとして認識されているCAMKK2βキナーゼに言及し得る(28)。
【0044】
AMPKの下流エフェクターに関して、脂肪酸およびコレステロール代謝に関与する遺伝子は特定の関心を表す。特に、AMPKシグナル伝達の十分に確立された標的であるACC2遺伝子は、アセチルCoAのマロニルCoAへのATP依存性カルボキシル化を触媒し、従って脂肪酸合成における律速段階を制御するアセチルCoAカルボキシラーゼ(ACC)をコードする。活性化されたAMPKは、ACC2タンパク質をリン酸化し、その酵素活性を減少させ、それゆえ、脂肪酸酸化を増強する。脂肪酸代謝に関与するいくつかの他の、主にミトコンドリアの、遺伝子、例えば、EFTA、AUH、SLC25A21、PC、ME1およびEHHADHも、アルツハイマー病の関連で細胞エネルギーバランスのAMPK媒介制御に関与し得る。それらの中で、PC遺伝子は、ピルビン酸カルボキシラーゼをコードし、そして糖新生、脂肪生成および神経伝達物質であるグルタミン酸の合成のような複数の代謝経路に関与する。PC活性における機能障害が脳機能不全に関連し得ることが示されている(34〜35)。興味深いことに、GABA(B)受容体も、AMP活性化キナーゼのための機能的標的として同定された。最近の研究により、AMPK活性化が、GABA(B)受容体のリン酸化を介して、神経保護的であり得(36)、従って、GABA作動性終末を標的化するアミロイド病理の進行に関与し得ることが実証された(11)。
【0045】
さらに、AMPKシグナル伝達経路は、コレステロール代謝に影響を及ぼすことによってアルツハイマー病関連病変の発展を改変し得る。AMPKは、SREBP転写因子の活性を低下させることによってコレステロール代謝に影響を及ぼし得る(37)。SREBPタンパク質は、細胞内コレステロールレベルの主なセンサーおよびレギュレーターであり;コレステロールレベルが低下するとタンパク質分解切断によって活性化され、SREBPは、コレステロール生合成に関与する酵素をコードする遺伝子のプロモーター領域中の特異的ステロール調節エレメント(SRE)に結合し、そしてその転写を増強する。
【0046】
コレステロールは、神経保護ステロイドの生合成のための前駆体として作用するだけでなく、膜流動性の重要なレギュレーターとしても認識されており、そして脂質ラフトのダイナミクスにおける中心的な役割を果たしており、膜ソーティング、輸送およびシグナル伝達に関与する種々の分子のために構築基板を濃縮する。ファルネシルPPおよびゲラニルゲラニルPPシンターゼによって生成されるコレステロール生合成における中間産物は、血管新生および軸索成長の主要なレギュレーターであるRhoAおよびRacを含む低分子GTPaseの活性の調節における中心的な役割を果たしている。
【0047】
コレステロールの代謝および輸送に関係付けられるいくつかの他の遺伝子も、アルツハイマー病の発達に影響を及ぼし得る。DHCR7、SRD5A1およびCYP7B1タンパク質は、アルツハイマー病に関連する有毒な発作に対してニューロン細胞を保護し得るステロイドの産生に関与する(38)。ATP結合カセット(ABC)トランスポーターファミリーのメンバーをコードするABCA1遺伝子も、それがアルツハイマー病の発達のための主な素因危険因子であるApoEリポタンパク質の分泌を制御するので、特定の関心を表す(39)。
【0048】
ホスファチジン酸(PA)、リゾホスファチジン酸(LPA)、およびスフィンゴシン1−リン酸(S1P)は、強力なシグナル伝達特性を有する天然のリン脂質である。特に、これらのリン脂質増殖因子は、内皮細胞の血管新生能に対する多岐にわたる効果を示し、そして、相補的な組み合わせの様式で、新血管新生を有効に誘導し得る。S1Pは、内皮細胞の走化性移動の促進に主に関与し、LPAは、血管新生の後期における内皮単層バリアー機能の安定化により多く関係付けられる(40)。
【0049】
LPAは、RhoA GTPaseの活性を調節することによってか、またはいくつかの血管新生因子(VEGF、PDGFBおよびIL−8)の発現を増強することによってかのいずれかで血管新生に影響を及ぼす(41〜45)。血管新生へのその密接な関与のほかに、LPAはまた、神経突起成長円錐崩壊を誘発し、そして発生の間に初期有糸分裂後ニューロンの移動に影響を及ぼす、細胞外脂質シグナル伝達として認識されている(46)。
【0050】
LPAは、分泌されたリゾホスホリパーゼD(オートタキシン)によって合成され得、そして特異的Gタンパク質共役型EDG2、EDG4およびEDG7受容体を介して作用し、細胞の増殖、生存および運動に影響を及ぼす(47)。おそらく、細胞の形態および運動を制御するLPAの能力は、G12/13タンパク質を通したRhoA−ROCKシグナル伝達モジュールの活性化によって媒介されている(48)。
【0051】
いくつかの実験データは、アルツハイマー病の病因におけるLPA媒介シグナル伝達のための重要な役割を示す。オートタキシン発現がアルツハイマー型認知症患者の前頭皮質において増強され(49)、そして分化したヒト神経芽細胞腫細胞におけるタウタンパク質のアルツハイマー病様リン酸化パターンの増加が、インビトロでLPAによって誘導される神経突起退縮に付随することが実証されている(50)。さらに、APPまたはプレセニリンタンパク質での遺伝子操作は、トランスジェニックマウスの脳におけるオートタキシン酵素の発現に影響を及ぼす(51〜52)。
【0052】
本発明者らのデータマイニングアプローチを使用して、本発明者らは、LPA代謝に関与するかまたはLPAシグナル伝達によって調節され、そしてアルツハイマー病の進行に潜在的に関連付けられる多数の遺伝子を同定した(MTR、MAT2B、CUBN、ATP10A、THEM2、PITPNC1、ENPPG、SGPP2、AGPAT、DGKH、DGKB、MGST2、PLD2、およびDRD2)。それらの中で、CUBN遺伝子は内因子ビタミンB12の受容体をコードし、葉酸およびコバラミン(ビタミンB9およびB12)生物学的利用能の欠損は以前にアルツハイマー病の病因に関連付けられた(53)。
【0053】
本発明において、本発明者らは、アルツハイマー病および他の神経変性障害において変化した血管新生を増加させるために使用することができる新規の組成物を提唱する。
【0054】
特定の実施態様において、本発明によるADを処置する組成物および方法は、上記で列挙するような1つの遺伝子またはタンパク質とのその相互作用またはその調節を通して血管新生を増加させる薬物を使用する。
【0055】
より具体的には、本発明の組成物は、ABCA1、ACAT、ACC2、ADAMTS12、ADCY2、ADIPOQ、ADIPOR1、ADIPOR2、ADRB2、AGPAT5、AIP4、AKAP2、AKR1C2、AMPK、ANG2、ANK1、ANXA1、APOA1、ARHGAP17、ATP10A、AUH、AUTOTAXIN、BAI3、BCAR1、BIN1、BMP3A、CA10、CAMK1D、CAMKK2、CD36、CD44、CDC42、CDH13、CHAT、CNTFR、COL4A2、CPT、CSH1、CTNN、CUBN、CYP7B1、CYSLTR1、CYSLTR2、DGKB、DGKH、DGKZ、DHCR7、DHFR、DRD2、DRD5、EDG1、EDG2、EDG3、EDG4、EDG5、EDG6、EDG7、EDG8、EDNRA、EHHADH、ENPP6、ERBB4、ERK1、ERK2、ESRRG、ETFA、F2、FDPS、FGF2、FLNA、FLT4、FOXO1、FOXO3A、FTO、GABBR2、GATA3、GH1、GNA12、GNA13、GRK2、GRK5、GRM5、HAPLN1、HAS1、HAS2、HAS3、HCRTR2、HIF1A、HSD11B1、HYAL1、HYAL2、HYAL3、IL20RA、IL20RB、IL6ST、IL8、ITGA6、ITGB1、KDR、LAMA1、LDLR、LEPR、LEPTIN、LIFR、LIPL2、LKB1、LRP、LTBP2、MAT2B、ME1、MEGALIN、MERLIN、MET、MGST2、MMP2、MMP9、MTOR、MTR、NCK2、NEDD9、NFKB1、NFKBIB、NOS2A、NOS3、NR1I2、NR3C2、NRG1、NRP1、NRP2、OPRS1、OSBPL10、OSBPL3、OSTEOPONTIN、P2RY1、P2RY12、PAI1、PAI2、PAK1、PAK6、PALLD、PAP1、PAR1、PAXILLIN、PC、PCTP、PDE11A、PDE1A、PDE3A、PDE4D、PDE5、PDGFA、PDGFB、PDGFRA、PDGFRB、PI3K、PITPNC1、PKA、PKCD、PLA1A、PLA2、PLAT、PLAU、PLCB1、PLD1、PLD2、PLG、PLXDC2、PPARA、PPARG、PPARGC1B、PRKG1、PRL、PTGS2、PTN、PTPN11、PYK2、RAC1、RAS、RHEB、RHOA、ROCK1、ROCK2、RPS6KA1、RPS6KB2、SCARB1、SCHIP1、SGPP2、SLC25A21、SMAD3、SMAD4、SNCA、SORBS2、SPLA2、SPOCK1、SRD5A1、SREBF1、SREBF2、STAT3、TGFBR1、TGFBR2、TGFBR3、THBS1、THBS2、THEM2、THRB、TIAM1、TIMP2、TLL2、TSC1、TSC2、TSPO、VEGFA、VEGFR1、およびYES1から選択される遺伝子によってコードされるタンパク質への結合またはその活性の調節を通して血管新生を増加させる薬物(単数または複数)を含む。
【0056】
上記に列挙する遺伝子およびタンパク質の全ての配列は、遺伝子ライブラリーから入手可能であり、そして当技術分野において公知の技術によって単離され得る。さらに、これらの遺伝子およびタンパク質の活性を、実験の節において考察するような当技術分野において自体公知の技術によって評価することができる。
【0057】
本発明はさらに、これらの標的遺伝子およびタンパク質を調節するために使用することができる薬物を記載する。本発明は、単独で、しかし好ましくは組合せで、上記の経路を調節し、そして前記疾患を処置するために使用され得る特定の薬物の同定および活性を開示する。特に、本発明者らは、文献中に既に存在するが、ヒト対象における異なる疾患を処置するために使用されている低分子を同定した。
【0058】
この点で、最も好ましい実施態様において、本発明の組成物は、少なくともACATのインヒビター(好ましくは、ヘスペレチン)、ADCY2のモジュレーター(好ましくは、ビダラビン)、AMPKのモジュレーター(好ましくはフェンホルミンおよびビダラビンから選択される)、AUTOTAXINのモジュレーター(好ましくは、L−ヒスチジン)、CA10のインヒビター(好ましくは、メタゾラミド)、CYSLTR1およびCYSLTR2のアンタゴニスト(好ましくは、モンテルカスト)、DHFRのインヒビター(好ましくは、ピリメタミン)、DRD2のモジュレーター(好ましくはジヒドロエルゴタミンおよびカベルゴリンから選択される)、ドーパミン受容体DRD5のアゴニスト(好ましくは、フェノルドパム)、EDNRAのアンタゴニスト(好ましくは、スルフィソキサゾール)、F2のモジュレーター(好ましくは、ワルファリン)、FDPSのインヒビター(好ましくは、アレンドロネート)、GABBR2のモジュレーター(好ましくはバクロフェンおよびアカンプロセートから選択される)、HAS1−3ヒアルロナンシンターゼのモジュレーター(好ましくは、レフルノミド)、HIF1Aのモジュレーター(好ましくはトポテカンおよびメロキシカムから選択される)、MGST2のモジュレーター(好ましくは、バルサラジド)、MMP2およびMMP9のモジュレーター(好ましくは、マリマスタット)、NOS2Aのモジュレーター(好ましくはゲムフィブロジル、アルブテロールおよびチエチルペラジンから選択される)、NOS3のモジュレーター(好ましくは、ケトチフェン)、NR1I2のアゴニスト(好ましくは、トピラメート)、NR3C2のモジュレーター(好ましくはエプレレノンおよびフルドロコルチゾンから選択される)、OPRS1のアゴニスト(好ましくは、ペンタゾシン)、P2RY1およびP2RY12のモジュレーター(好ましくはクロピドグレルおよびチロフィバンから選択される)、トロンビン受容体PAR1のインヒビター(好ましくは、アルガトロバン)、PDE11Aのインヒビター(好ましくは、タダラフィル)、PDE3Aのインヒビター(好ましくは、シロスタゾール)、PDE4Dのインヒビター(好ましくは、ミルリノン)、PDGFRAおよびPDGFRBのモジュレーター(好ましくはベカプレルミンおよびイマチニブから選択される)、ホスホリパーゼPLA1AおよびPLA2のインヒビター(好ましくはネチルマイシンおよびメパクリンから選択される)、PLATのモジュレーター(好ましくは、フェニルブチレート)、PLD2のモジュレーター(好ましくはアンブリセンタンおよびフェノルドパムから選択される)、PLGのモジュレーター(好ましくは、アミノカプロン酸)、PPARAのアゴニスト(好ましくは、ゲムフィブロジル)、PPARGのアゴニスト(好ましくは、フェニル酪酸ナトリウム)、PRKG1のアクチベーター(好ましくはニトロプルシド、ニトログリセリン、タダラフィルおよびシロスタゾールから選択される)、RHOAのモジュレーター(好ましくはアレンドロネートおよびテルビナフィンから選択される)、THRBのモジュレーター(好ましくはリオチロニンおよびメチマゾールから選択される)、トロンビンのインヒビター(好ましくは、デシルジン)、TSPOのモジュレーター(好ましくはフルニトラゼパムおよびテマゼパムから選択される)、および/またはVEGFR1のアンタゴニスト(好ましくはスニチニブおよびペガプタニブから選択される)を含む。
【0059】
上記で考察するように、本発明は、特に、ADおよび関連障害の機構に取り組むための併用療法をデザインすることを提唱する。この点で、最も好ましい標的および薬物の組み合わせの例を以下に開示する。
【0060】
より好ましくは、本発明の組成物は、併用の、別々のまたは逐次的な投与のための、以下の薬物の組み合わせの少なくとも1つを含む:
− GABBR2受容体のモジュレーター(好ましくは、バクロフェン)およびRHOAのモジュレーター(好ましくは、テルビナフィン)、
− GABBR2受容体のモジュレーター(好ましくは、バクロフェン)およびEDNRAエンドセリン受容体のアンタゴニスト(好ましくは、スルフィソキサゾール)、
− GABBR2受容体のモジュレーター(好ましくは、バクロフェン)およびHAS1−3ヒアルロナンシンターゼのモジュレーター(好ましくは、レフルノミド)、
− RHOAのモジュレーター(好ましくは、テルビナフィン)およびEDNRAエンドセリン受容体のアンタゴニスト(好ましくは、スルフィソキサゾール)、
− RHOAのモジュレーター(好ましくは、テルビナフィン)およびHAS1−3ヒアルロナンシンターゼのモジュレーター(好ましくは、レフルノミド)、
− RHOAのモジュレーター(好ましくは、テルビナフィン)およびドーパミン受容体DRD5のアゴニスト(好ましくは、フェノルドパム)、
− RHOAのモジュレーター(好ましくは、テルビナフィン)およびホスホリパーゼPLA1AおよびPLA2のインヒビター(好ましくは、メパクリン)、
− RHOAのモジュレーター(好ましくは、テルビナフィン)およびAMPKのモジュレーター(好ましくは、フェンホルミン)、
− RHOAのモジュレーター(好ましくは、テルビナフィン)およびプリン作動性受容体P2RY1およびP2RY12のモジュレーター(好ましくは、クロピドグレル)、
− GABBR2受容体のモジュレーター(好ましくは、バクロフェン)およびAMPKのモジュレーター(好ましくは、フェンホルミン)、
− GABBR2受容体のモジュレーター(好ましくは、バクロフェン)およびプリン作動性受容体P2RY1およびP2RY12のモジュレーター(好ましくは、クロピドグレル)、
− EDNRAエンドセリン受容体のアンタゴニスト(好ましくは、スルフィソキサゾール)およびAMPKのモジュレーター(好ましくは、フェンホルミン)、
− HAS1−3ヒアルロナンシンターゼのモジュレーター(好ましくは、レフルノミド)およびドーパミン受容体DRD5のアゴニスト(好ましくは、フェノルドパム)、または
− HAS1−3ヒアルロナンシンターゼのモジュレーター(好ましくは、レフルノミド)およびホスホリパーゼPLA1AおよびPLA2のインヒビター(好ましくは、メパクリン)。
【0061】
本発明の組成物の最も好ましい例は、アカンプロセート、アルブテロール、アレンドロネート、アンブリセンタン、アミノカプロン酸、アルガトロバン、バクロフェン、バルサラジド、ベカプレルミン、カベルゴリン、シロスタゾール、クロピドグレル、デシルジン、ジヒドロエルゴタミン、エプレレノン、フェノルドパム、フルドロコルチゾン、フルニトラゼパム、ゲムフィブロジル、ヘスペレチン、イマチニブ、ケトチフェン、レフルノミド、L−ヒスチジン、リオチロニン、マリマスタット、メロキシカム、メパクリン、メタゾラミド、メチマゾール、ミルリノン、モンテルカスト、ネチルマイシン、ニトログリセリン、ニトロプルシド、ペガプタニブ、ペンタゾシン、フェンホルミン、フェニル酪酸ナトリウム、ピリメタミン、スルフィソキサゾール、スニチニブ、タダラフィル、テマゼパム、テルビナフィン、チエチルペラジン、チロフィバン、トピラメート、トポテカン、ビダラビンおよびワルファリン、またはその組み合わせから選択される化合物を含む。
【0062】
別の好ましい実施態様において、本発明による組成物は、同時の、別々のまたは逐次的な投与のための、レフルノミド、スルフィソキサゾール、テルビナフィン、バクロフェン、クロピドグレル、フェノルドパム、メパクリンおよびフェンホルミン、またはその塩もしくはプロドラッグもしくは誘導体もしくは徐放性処方物からなる群より選択される少なくとも1つの化合物を含む。
【0063】
別の好ましい実施態様において、本発明による組成物は、同時の、別々のまたは逐次的な投与のための、レフルノミド、スルフィソキサゾール、テルビナフィン、バクロフェン、クロピドグレル、フェノルドパム、メパクリンおよびフェンホルミン、またはその塩もしくはプロドラッグもしくは誘導体もしくは徐放性処方物からなる群より選択される少なくとも2つの化合物の組み合わせを含む。
【0064】
別の実施態様において、本発明の組成物は、レフルノミド、スルフィソキサゾール、テルビナフィン、バクロフェン、クロピドグレル、フェノルドパム、メパクリンおよびフェンホルミン、またはその塩もしくはプロドラッグもしくは誘導体もしくは徐放性処方物からなる群より選択される少なくとも2つの化合物の組み合わせを含み、ここで、組成物は、アルツハイマー病(AD)、パーキンソン病(PD)、筋萎縮性側索硬化症(ALS)および多発性硬化症(MS)からなる群より選択される神経変性障害において変化した血管新生を増加させる。
【0065】
別の好ましい実施態様において、本発明の組成物は、アルツハイマー病(AD)を処置するための、レフルノミド、スルフィソキサゾール、テルビナフィン、バクロフェン、クロピドグレル、フェノルドパム、メパクリンおよびフェンホルミン、またはその塩もしくはプロドラッグもしくは誘導体もしくは徐放性処方物からなる群より選択される少なくとも2つの化合物の組み合わせを含む。
【0066】
好ましくは、それを必要とする対象におけるアルツハイマー病または関連障害を処置する組成物は、併用の、別々のまたは逐次的な投与のための、以下の薬物の組み合わせの少なくとも1つを含む:
− バクロフェンおよびテルビナフィン、
− バクロフェンおよびスルフィソキサゾール、
− バクロフェンおよびレフルノミド、
− テルビナフィンおよびスルフィソキサゾール、
− テルビナフィンおよびレフルノミド、
− テルビナフィンおよびフェノルドパム、
− テルビナフィンおよびメパクリン、
− テルビナフィンおよびフェンホルミン、
− テルビナフィンおよびクロピドグレル、
− バクロフェンおよびフェンホルミン、
− バクロフェンおよびクロピドグレル、
− スルフィソキサゾールおよびフェンホルミン、
− レフルノミドおよびフェノルドパム、または
− レフルノミドおよびメパクリン。
【0067】
最も好ましい実施態様において、本発明の組成物は、同時の、別々のまたは逐次的な投与のための、レフルノミド、テルビナフィン、スルフィソキサゾールおよびバクロフェン、またはその塩もしくはプロドラッグもしくは誘導体もしくは徐放性処方物から選択される少なくとも2つの化合物の組み合わせを含む。
【0068】
別の好ましい実施態様において、本発明による組成物は、アルツハイマー病または関連障害を処置するための、レフルノミド、テルビナフィン、スルフィソキサゾールおよびバクロフェン、またはその塩もしくはプロドラッグもしくは誘導体もしくは徐放性処方物から選択される1つ以上の化合物を含む。
【0069】
別の実施態様において、本発明の組成物は、併用の、別々のまたは逐次的な使用のための、少なくとも1つの、血管新生を増加させる薬物をさらに含む。
【0070】
好ましくは、血管新生を増加させるさらなる薬物は、ACATのインヒビター(好ましくは、ヘスペレチン)、ADCY2のモジュレーター(好ましくは、ビダラビン)、AMPKのモジュレーター(好ましくは、ビダラビン)、AUTOTAXINのモジュレーター(好ましくは、L−ヒスチジン)、CA10のインヒビター(好ましくは、メタゾラミド)、CYSLTR1およびCYSLTR2のアンタゴニスト(好ましくは、モンテルカスト)、DHFRのインヒビター(好ましくは、ピリメタミン)、DRD2のモジュレーター(好ましくはジヒドロエルゴタミンおよびカベルゴリンから選択される)、F2のモジュレーター(好ましくは、ワルファリン)、FDPSのインヒビター(好ましくは、アレンドロネート)、GABBR2のモジュレーター(好ましくは、アカンプロセート)、HIF1Aのモジュレーター(好ましくはトポテカンおよびメロキシカムから選択される)、MGST2のモジュレーター(好ましくは、バルサラジド)、MMP2およびMMP9のモジュレーター(好ましくは、マリマスタット)、NOS2Aのモジュレーター(好ましくはゲムフィブロジル、アルブテロールおよびチエチルペラジンから選択される)、NOS3のモジュレーター(好ましくは、ケトチフェン)、NR1I2のアゴニスト(好ましくは、トピラメート)、NR3C2のモジュレーター(好ましくはエプレレノンおよびフルドロコルチゾンから選択される)、OPRS1のアゴニスト(好ましくは、ペンタゾシン)、P2RY1およびP2RY12のモジュレーター(好ましくは、チロフィバン)、トロンビン受容体PAR1のインヒビター(好ましくは、アルガトロバン)、PDE11Aのインヒビター(好ましくは、タダラフィル)、PDE3Aのインヒビター(好ましくは、シロスタゾール)、PDE4Dのインヒビター(好ましくは、ミルリノン)、PDGFRAおよびPDGFRBのモジュレーター(好ましくはベカプレルミンおよびイマチニブから選択される)、PLA1AおよびPLA2のインヒビター(好ましくは、ネチルマイシン)、PLATのモジュレーター(好ましくは、フェニル酪酸ナトリウム)、PLD2のモジュレーター(好ましくは、アンブリセンタン)、PLGのモジュレーター(好ましくは、アミノカプロン酸)、PPARAのアゴニスト(好ましくは、ゲムフィブロジル)、PPARGのアゴニスト(好ましくは、フェニルブチレート)、PRKG1のアクチベーター(好ましくはニトロプルシド、ニトログリセリン、タダラフィルおよびシロスタゾールから選択される)、RHOAのモジュレーター(好ましくは、アレンドロネート)、THRBのモジュレーター(好ましくはリオチロニンおよびメチマゾールから選択される)、トロンビンのインヒビター(好ましくは、デシルジン)、TSPOのモジュレーター(好ましくはフルニトラゼパムおよびテマゼパムから選択される)、および/またはVEGFR1のアンタゴニスト(好ましくはスニチニブおよびペガプタニブから選択される)から選択される。
【0071】
他の実施態様において、血管新生を増加させるさらなる薬物は、ABCA1、ACAT、ACC2、ADAMTS12、ADCY2、ADIPOQ、ADIPOR1、ADIPOR2、ADRB2、AGPAT5、AIP4、AKAP2、AKR1C2、AMPK、ANG2、ANK1、ANXA1、APOA1、ARHGAP17、ATP10A、AUH、AUTOTAXIN、BAI3、BCAR1、BIN1、BMP3A、CA10、CAMK1D、CAMKK2、CD36、CD44、CDC42、CDH13、CHAT、CNTFR、COL4A2、CPT、CSH1、CTNN、CUBN、CYP7B1、CYSLTR1、CYSLTR2、DGKB、DGKH、DGKZ、DHCR7、DHFR、DRD2、DRD5、EDG1、EDG2、EDG3、EDG4、EDG5、EDG6、EDG7、EDG8、EDNRA、EHHADH、ENPP6、ERBB4、ERK1、ERK2、ESRRG、ETFA、F2、FDPS、FGF2、FLNA、FLT4、FOXO1、FOXO3A、FTO、GABBR2、GATA3、GH1、GNA12、GNA13、GRK2、GRK5、GRM5、HAPLN1、HAS1、HAS2、HAS3、HCRTR2、HIF1A、HSD11B1、HYAL1、HYAL2、HYAL3、IL20RA、IL20RB、IL6ST、IL8、ITGA6、ITGB1、KDR、LAMA1、LDLR、LEPR、LEPTIN、LIFR、LIPL2、LKB1、LRP、LTBP2、MAT2B、ME1、MEGALIN、MERLIN、MET、MGST2、MMP2、MMP9、MTOR、MTR、NCK2、NEDD9、NFKB1、NFKBIB、NOS2A、NOS3、NR1I2、NR3C2、NRG1、NRP1、NRP2、OPRS1、OSBPL10、OSBPL3、OSTEOPONTIN、P2RY1、P2RY12、PAI1、PAI2、PAK1、PAK6、PALLD、PAP1、PAR1、PAXILLIN、PC、PCTP、PDE11A、PDE1A、PDE3A、PDE4D、PDE5、PDGFA、PDGFB、PDGFRA、PDGFRB、PI3K、PITPNC1、PKA、PKCD、PLA1A、PLA2、PLAT、PLAU、PLCB1、PLD1、PLD2、PLG、PLXDC2、PPARA、PPARG、PPARGC1B、PRKG1、PRL、PTGS2、PTN、PTPN11、PYK2、RAC1、RAS、RHEB、RHOA、ROCK1、ROCK2、RPS6KA1、RPS6KB2、SCARB1、SCHIP1、SGPP2、SLC25A21、SMAD3、SMAD4、SNCA、SORBS2、SPLA2、SPOCK1、SRD5A1、SREBF1、SREBF2、STAT3、TGFBR1、TGFBR2、TGFBR3、THBS1、THBS2、THEM2、THRB、TIAM1、TIMP2、TLL2、TSC1、TSC2、TSPO、VEGFA、VEGFR1、およびYES1から選択される遺伝子によってコードされるタンパク質に結合するかまたはその活性を調節する薬物(単数または複数)から選択される。
【0072】
本発明者らは、上記の薬物および薬物の組み合わせが有効な矯正を導く改善されそして相乗的な生物学的効果またはADおよび関連障害に導く機能的調節不全の正常化を提供することを確立した。
【0073】
上記の指名した化合物を以下の表1に、そのCAS番号と一緒に列挙する。上記で考察したように、本発明が上記の化合物ならびにその任意の薬学的に許容され得る塩、水和物、エステル、エーテル、異性体、ラセミ体、複合物、またはプロドラッグの使用を包含することを理解すべきである。プロドラッグは、処置の薬物動態パラメーターに対するより良好な制御を与えるように(例えば、薬物を適切な担体に結合することによって)調製され得る。
【0074】
【表1】



【0075】
薬学的に許容され得る塩の例としては、薬学的に許容され得る酸付加塩、薬学的に許容され得る塩基付加塩、薬学的に許容され得る金属塩、アンモニウムおよびアルキル化アンモニウム塩が挙げられる。酸付加塩としては、無機酸および有機酸の塩が挙げられる。適切な無機酸の代表的な例としては、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、リン酸、硫酸、硝酸などが挙げられる。適切な有機酸の代表的な例としては、ギ酸、酢酸、トリクロロ酢酸、トリフルオロ酢酸、プロピオン酸、安息香酸、ケイ皮酸、クエン酸、フマル酸、グリコール酸、乳酸、マレイン酸、リンゴ酸、マロン酸、マンデル酸、シュウ酸、ピクリン酸、ピルビン酸、サリチル酸、コハク酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、酒石酸、アスコルビン酸、パモ酸、ビスメチレンサリチル酸、エタンジスルホン酸、グルコン酸、シトラコン酸、アスパラギン酸、ステアリン酸、パルミチン酸、EDTA、グリコール酸、p−アミノ安息香酸、グルタミン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、硫酸塩、硝酸塩、リン酸塩、過塩素酸塩、ホウ酸塩、酢酸塩、安息香酸塩、ヒドロキシナフトエ酸塩、グリセロリン酸塩、ケトグルタル酸塩などが挙げられる。薬学的に許容され得る無機または有機酸付加塩のさらなる例は、例えば、J. Pharm. Sci. 1977, 66, 2(本明細書に参照により組み入れる)に列挙されている。金属塩の例としては、リチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム塩などが挙げられる。アンモニウムおよびアルキル化アンモニウム塩の例としては、アンモニウム、メチルアンモニウム、ジメチルアンモニウム、トリメチルアンモニウム、エチルアンモニウム、ヒドロキシエチルアンモニウム、ジエチルアンモニウム、ブチルアンモニウム、テトラメチルアンモニウム塩などが挙げられる。有機塩基の例としては、リジン、アルギニン、グアニジン、ジエタノールアミン、コリンなどが挙げられる。
【0076】
本発明による治療を、単独で、または薬物の組み合わせとして、そして/または、同じ経路を標的化するかまたは異なる作用様式を有する、任意の他の治療と共同で行ってもよい。それは、家、医師のオフィス、クリニック、病院の外来、または病院で、医師が治療の効果を綿密に観察でき、そして必要とされる任意の調整を行えるように、提供され得る。
【0077】
特定の実施態様において、本発明の組成物は、併用の、別々のまたは逐次的な使用のための、少なくとも1つの、シナプス機能を調節する、好ましくはシナプス機能を寛解させる薬物をさらに含む。より好ましくは、少なくとも1つの、シナプス機能を調節する薬物は、アルフェンタニル、アミロライド、アムロジピン、アズトレオナム、ブクリジン、ブメタニド、ブプレノルフィン、リドカイン、クロルゾキサゾン、シナカルセト、ダサチニブ、ジフィリン、エレトリプタン、エルゴタミン、ホスフェニトイン、フェノバルビタール、プレガバリン、プロピルチオウラシル、チアガビン、トリアムテレン、ビガバトリンおよびゾニサミドから選択される(以下の表2参照)。
【0078】
【表2】

【0079】
あるいは、または先行する実施態様に加えて、本発明の組成物は、併用の、別々のまたは逐次的な使用のための、少なくとも1つの、細胞ストレス応答を調節する、好ましくは細胞ストレス応答を阻害する薬物をさらに含んでもよい。最も好ましい細胞ストレス応答を調節する薬物は、アラビトール、マンニトール、メタラミノール、オメプラゾール、プリロカイン、ラパマイシン、リファブチン、チオグアニン、トレハロースおよびビダラビンから選択される(以下の表3参照)。
【0080】
【表3】

【0081】
特定の実施態様において、本発明は、同時の、別々のまたは逐次的な投与のための、血管新生を増加させる薬物、シナプス機能を寛解させる薬物、および細胞ストレス応答を阻害する薬物を含む組成物に関する。
【0082】
本発明の組成物は、典型的には、1つまたはいくつかの薬学的に許容され得る担体または賦形剤を含む。治療の持続期間は、処置される疾患のステージ、使用される組み合わせ、患者の年齢および状態、ならびに患者が処置にどのように応答するかに依存する。
【0083】
組み合わせの各成分の投与量、頻度および投与様式を独立して制御することができる。例えば、1つの薬物を経口投与し、第2の薬物を筋肉内投与してもよい。患者の身体が任意の不測の副作用から回復する機会を有するように、併用療法を、休息期間を含む断続(on-and-off)サイクルで与えてもよい。1つの投与が全ての薬物を送達するように、薬物を一緒に処方してもよい。
【0084】
組み合わせの各々の薬物の投与は、他の成分と組み合わせて、ADに関係付けられる経路の機能を矯正できる薬物の濃度を生じる任意の適切な手段により得る。
【0085】
組み合わせの活性成分を純粋な化学薬品として投与することは可能であるが、それらを医薬組成物(この関連で医薬処方物ともいう)として提供することが好ましい。可能な組成物としては、経口、直腸、局所(経皮、頬側および舌下を含む)、または非経口(皮下、筋肉内、静脈内および皮内を含む)投与に適切なものが挙げられる。
【0086】
より一般的には、これらの医薬処方物は、単一の包装、通常ブリスター包装中に別個の処置期間の間の使用のための計量された単位用量の投与のための数投薬単位(number dosing unit)または他の手段を含む「患者パック(patient pack)」中で患者に処方される。患者パックは、伝統的な処方を上回る利点を有する。ここで、薬剤師は医薬の患者の供給を原体供給から分け、その中で、患者は常に患者パック中に含まれる包装挿入物(伝統的な処方においては通常紛失される)を利用できる。包装挿入物を含めることは、医師の指示についての患者のコンプライアンスを改善することが示されている。従って、本発明はさらに、処方物に適切な包装材料と組み合わせた、本明細書において上記したような医薬組成物を含む。そのような患者パックにおいて、併用処置のための処方物の意図される使用を、処置のために最も適切な処方物の使用を助ける説明書、設備、規定、適用および/または他の手段によって推量することができる。そのような基準は、患者パックを、本発明の組み合わせでの処置のための使用に特に適切にしそしてそれに適合させる。
【0087】
薬物は、任意の適切な量で任意の適切な担体物質中で含まれ得、そして組成物の全重量の1〜99重量%の量で存在し得る。組成物は、経口、非経口(例えば、静脈内、筋肉内)、直腸、皮膚、鼻、膣、吸入、皮膚(パッチ)、または眼投与経路に適切な投与形態で提供され得る。従って、組成物は、例えば、錠剤、カプセル、丸剤、散剤、顆粒剤、懸濁液、乳濁液、溶液、ゲル(ヒドロゲルを含む)、ペースト、軟膏、クリーム、プラスター、水薬、浸透圧送達デバイス、坐薬、浣腸、注射剤、インプラント、スプレー、またはエアロゾルの形態であり得る。
【0088】
医薬組成物は、従来の医薬習慣に従って処方され得る(例えば、Remington: The Science and Practice of Pharmacy (20th ed.), ed. A. R. Gennaro, Lippincott Williams & Wilkins, 2000およびEncyclopedia of Pharmaceutical Technology, eds. J. Swarbrick and J. C. Boylan, 1988-1999, Marcel Dekker, New York参照)。
【0089】
本発明による医薬組成物は、投与に際して実質的に即時に、または投与後の任意の所定の時点もしくは期間に、活性薬物を放出するように処方され得る。
【0090】
放出制御処方物としては、(i)延長された期間にわたって身体内で実質的に一定の薬物濃度を生じる処方物;(ii)所定の時間経過後に、延長された期間にわたって身体内で実質的に一定の薬物濃度を生じる処方物;(iii)活性薬物物質の血漿レベルの変動に関連する所望されない副作用の同時の最小化をともなって、身体における相対的に一定の有効な薬物レベルを維持することによって所定期間、薬物作用を持続させる処方物;(iv)例えば疾患組織または器官の近くまたはその中への放出制御組成物の空間的配置によって、薬物作用を局在化させる処方物;および(v)特定の標的細胞型に薬物を送達するために担体または化学誘導体を使用することによって薬物作用を標的化する処方物が挙げられる。
【0091】
放出制御処方物の形態の薬物の投与は、薬物(単独または組み合わせのいずれか)が、(i)狭い治療指数(すなわち、有害な副作用または有毒な反応を導く血漿濃度と、治療効果を導く血漿濃度との間の差が小さい;一般に、治療指数(TI)は半有効量(ED50)に対する半致死量(LD50)の比として定義される);(ii)胃腸管における狭い吸収ウインドウ(absorption window);または(iii)治療レベルで血漿レベルを持続させるために1日の間の頻繁な投薬が必要とされるような非常に短い生物学的半減期を有する場合、特に好ましい。
【0092】
問題の薬物の代謝の速度に放出の速度がまさる放出制御を得るために、いくつかのストラテジーの任意のものを実行することができる。放出制御を、例えば、種々の型の放出制御組成物およびコーティングを含む種々の処方パラメーターおよび成分の適切な選択によって得てもよい。従って、薬物は、投与に際して、制御された様式で薬物を放出する医薬組成物(単または多単位錠剤またはカプセル組成物、油溶液、懸濁液、乳濁液、マイクロカプセル、マイクロスフェア、ナノ粒子、パッチ、およびリポソーム)に、適切な賦形剤を用いて処方される。
【0093】
経口使用のための固体投与形態
経口使用のための処方物としては、非毒性の薬学的に許容され得る賦形剤との混合物中に活性成分を含む錠剤が挙げられる。これらの賦形剤は、例えば、不活性な希釈剤または充填剤(例えば、スクロース、微結晶セルロース、デンプン(バレイショデンプンを含む)、炭酸カルシウム、塩化ナトリウム、リン酸カルシウム、硫酸カルシウム、またはリン酸ナトリウム);造粒および崩壊剤(例えば、セルロース誘導体(微結晶セルロースを含む)、デンプン(バレイショデンプンを含む)、クロスカルメロースナトリウム、アルギン酸塩、またはアルギン酸);結合剤(例えば、アカシア、アルギン酸、アルギン酸ナトリウム、ゼラチン、デンプン、アルファ化デンプン、微結晶セルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、エチルセルロース、ポリビニルピロリドン、またはポリエチレングリコール);ならびに潤滑剤、滑剤(glidant)、および抗接着剤(例えば、ステアリン酸、シリカ、またはタルク)であり得る。他の薬学的に許容され得る賦形剤は、着色料、香料、可塑化剤、湿潤剤、緩衝剤などであり得る。
【0094】
錠剤は無コーティングであってもよく、またはそれは、場合により、胃腸管における崩壊および吸収を遅延させ、それにより長期間にわたる持続性の作用を提供するように、公知の技術によってコーティングされてもよい。コーティングを、所定のパターンで活性薬物物質を放出するように適合させてもよく(例えば、放出制御処方物を達成するために)またはそれを、胃の通過後まで活性薬物物質を放出しないように適合させてもよい(腸溶コーティング)。コーティングは、糖衣、フィルムコーティング(例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルソース、メチルセルロース、メチルヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース、アクリレートコポリマー、ポリエチレングリコール、および/またはポリビニルピロリドンに基づく)、または腸溶コーティング(例えば、メタクリル酸コポリマー、酢酸フタル酸セルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートスクシネート、ポリビニルアセテートフタレート、シェラック、および/またはエチルセルロースに基づく)であってもよい。例えば、モノステアリン酸グリセリンまたはグリセリルジステアレートのような時間遅延材料を用いてもよい。
【0095】
固体錠剤組成物としては、所望されない化学的変化(例えば、活性薬物物質の放出前の化学的分解)から組成物を保護するように適合させられたコーティングが挙げられ得る。コーティングは、Encyclopedia of Pharmaceutical Technologyに記載されるのと同様に固体投与形態上に適用され得る。
【0096】
いくつかの薬物を、錠剤中で一緒に混合してもよく、または分割してもよい。例えば、第2の薬物の実質的部分が第1の薬物の放出前に放出されるように、第1の薬物は錠剤の内側に含まれ、そして第2の薬物は外側である。
【0097】
経口使用のための処方物を、咀嚼錠として、または活性成分が不活性固体希釈剤(例えば、バレイショデンプン、微結晶セルロース、炭酸カルシウム、リン酸カルシウムまたはカオリン)と混合されている硬ゼラチンカプセルとして、または活性成分が水または油媒質(例えば、流動パラフィン、またはオリーブ油)と混合されている軟ゼラチンカプセルとして提供してもよい。散剤および顆粒剤を、従来の方法で錠剤およびカプセルについて上記した成分を使用して調製してもよい。
【0098】
経口使用のための放出制御組成物を、例えば、活性薬物物質の溶解および/または拡散を制御することによって活性薬物を放出するように構築してもよい。
【0099】
溶解または拡散放出制御を、薬物の錠剤、カプセル、ペレット、もしくは顆粒剤処方物の適切なコーティングによって、または適切なマトリックス中に薬物を組み込むことによって達成することができる。放出制御コーティングは、上記のコーティング物質、および/または、例えば、シェラック、ミツロウ、グリコワックス、ヒマロウ、カルナウバロウ、ステアリルアルコール、モノステアリン酸グリセリン、グリセリルジステアレート、パルミトステアリン酸グリセロール、エチルセルロース、アクリル樹脂、dl−ポリ乳酸、セルロースアセテートブチレート、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ビニルピロリドン、ポリエチレン、ポリメタクリレート、メチルメタクリレート、2−ヒドロキシメタクリレート、メタクリレートヒドロゲル、1,3ブチレングリコール、エチレングリコールメタクリレート、および/またはポリエチレングリコールの1つ以上を含んでもよい。放出制御マトリックス処方物において、マトリックス材料は、例えば、水和メチルセルロース、カルナウバロウおよびステアリルアルコール、カルボポール934、シリコーン、三ステアリン酸グリセリン、メチルアクリレート−メチルメタクリレート、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、および/またはハロゲン化フルオロカーボンを含んでもよい。
【0100】
本発明の組み合わせの薬物の1つ以上を含む放出制御組成物は、浮揚性の錠剤またはカプセル(すなわち、経口投与に際して、特定の期間、胃内容物の上部に浮かぶ錠剤またはカプセル)の形態であってもよい。薬物の浮揚性錠剤処方物を、薬物の、賦形剤および20〜75%w/wの親水コロイド、例えば、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、またはヒドロキシプロピルメチルセルロースとの混合物を造粒することによって調製することができる。次いで、得られた顆粒を錠剤に圧縮することができる。胃液と接触して、錠剤は実質的に水不透過性のゲルバリアをその表面の周囲に形成する。このゲルバリアは、1未満の密度の維持に関与し、それにより錠剤が胃液中に浮揚したままになることを可能にする。
【0101】
経口投与のための液剤
水の添加による水性懸濁液の調製に適切な粉末、分散粉末、または顆粒は、経口投与のための好都合な投与形態である。懸濁液としての処方物は、活性成分を、分散または湿潤剤、懸濁剤、および1つ以上の保存料との混合物中で提供する。適切な懸濁剤は、例えば、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、アルギン酸ナトリウムなどである。
【0102】
非経口組成物
医薬組成物を、注射、注入または埋め込みによって(静脈内、筋肉内、皮下など)、従来の非毒性の薬学的に許容され得る担体および佐剤を含む投与形態、処方物中で、または適切な送達デバイスもしくはインプラントを介して非経口で投与してもよい。そのような組成物の処方および調製は医薬処方物の当業者に周知である。
【0103】
非経口使用のための組成物を、単位投与形態で(例えば、単一用量アンプル中で)、またはいくつかの用量を含みそして適切な保存料を添加してもよいバイアル中で提供してもよい(下記参照)。組成物は、溶液、懸濁液、乳濁液、注入デバイス、もしくは埋め込みのための送達デバイスの形態であってもよく、またはそれは、使用前に水または別の適切なビヒクルで再構成されるべき乾燥粉末として提供されてもよい。活性薬物のほかに、組成物は適切な非経口的に許容され得る担体および/または賦形剤を含んでもよい。活性薬物を、放出制御のために、マイクロスフェア、マイクロカプセル、ナノ粒子、リポソームなどに組み入れてもよい。組成物は、懸濁剤、可溶化剤、安定化剤、pH調整剤、および/または分散剤を含んでもよい。
【0104】
本発明による医薬組成物は、無菌注射のために適切な形態であってもよい。そのような組成物を調製するために、適切な活性薬物は、非経口的に許容され得る液体ビヒクル中に溶解または懸濁される。用いられ得る許容され得るビヒクルおよび溶媒の中には、水、適切な量の塩酸、水酸化ナトリウムまたは適切な緩衝剤の添加によって適切なpHに調整された水、1,3−ブタンジオール、リンゲル液、および等張塩化ナトリウム溶液がある。水性処方物は、1つ以上の保存料(例えば、メチル、エチルまたはn−プロピルp−ヒドロキシ安息香酸)を含んでもよい。薬物の1つが乏しくまたはわずかにのみ水中に可溶性である場合、溶解増強剤または可溶化剤を添加することができるか、または溶媒に10〜60%w/wのプロピレングリコールなどを含めてもよい。
【0105】
放出制御非経口組成物は、水性懸濁液、マイクロスフェア、マイクロカプセル、磁性マイクロスフェア、油溶液、油懸濁液、または乳濁液の形態であってもよい。あるいは、活性薬物を、生体適合性担体、リポソーム、ナノ粒子、インプラント、または注入デバイス中に組み入れてもよい。マイクロスフェアおよび/またはマイクロカプセルの調製における使用のための材料は、例えば、生分解性/生物腐食性ポリマー、例えば、ポリガラクチン、ポリ(イソブチルシアノアクリレート)、ポリ(2−ヒドロキシエチル−L−グルタミン)である。放出制御非経口処方物を処方する場合に使用し得る生体適合性担体は、炭水化物(例えば、デキストラン)、タンパク質(例えば、アルブミン)、リポタンパク質、または抗体である。インプラントにおける使用のための材料は、非生分解性(例えば、ポリジメチルシロキサン)または生分解性(例えば、ポリ(カプロラクトン)、ポリ(グリコール酸)もしくはポリ(オルトエステル))であることができる。
【0106】
直腸組成物
直腸適用について、組成物に適切な投与形態としては、坐薬(乳濁液または懸濁液型)、および直腸ゼラチンカプセル(溶液または懸濁液)が挙げられる。典型的な坐薬処方物において、活性薬物は、適切な薬学的に許容され得る坐薬基材、例えばカカオバター、エステル型脂肪酸、グリセリン化ゼラチン、および種々の水溶性または分散性基材、例えば、ポリエチレングリコールと組み合わされる。種々の添加物、増強剤または界面活性剤を組み込んでもよい。
【0107】
経皮および局所組成物
医薬組成物を、マイクロスフェアおよびリポソームを含む、従来の非毒性の薬学的に許容され得る担体および賦形剤を含む投与形態または処方物中で経皮吸収のために皮膚上に局所的に投与してもよい。処方物としては、クリーム、軟膏、ローション、リニメント、ゲル、ヒドロゲル、溶液、懸濁液、スティック、スプレー、ペースト、プラスター、および他の種類の経皮薬物送達システムが挙げられる。薬学的に許容され得る担体または賦形剤は、乳化剤、抗酸化剤、緩衝剤、保存料、湿潤剤、浸透増強剤、キレート剤、ゲル形成剤、軟膏基材、香料、および皮膚保護剤を含んでもよい。
【0108】
乳化剤は天然ガム(例えば、アカシアガムまたはトラガカントガム)であってもよい
保存料、湿潤剤、浸透増強剤は、パラベン、例えば、メチルまたはプロピルp−ヒドロキシ安息香酸、および塩化ベンザルコニウム、グリセリン、プロピレングリコール、尿素などであってもよい。
【0109】
皮膚上の局所投与について上記した医薬組成物を、処置しようとする身体の部分上へのまたはその近くの局所投与に関連して使用してもよい。組成物を、直接適用のために、または、ドレッシングあるいはプラスター、パッド、スポンジ、ストリップ、または他の形態の適切な可動性材料のような特殊な薬物送達デバイスによる適用のために適合させてもよい。
【0110】
投与量および処置の持続期間
組み合わせの薬物が同時に(同じかまたは異なるかのいずれかの医薬処方物中で)または逐次的に投与され得ることが理解される。逐次的な投与が存在する場合、第2の(または、追加の)活性成分の投与の遅延は、活性成分の組み合わせの有効な効果の利益が失われるようにすべきでない。本説明に従う組み合わせのための最小の要件は、組み合わせが、活性成分の組み合わせの有効な効果の利益を有して併用のために意図されるべきであるということである。意図される組み合わせの使用を、本発明による組み合わせの使用を助ける設備、規定、適用および/または他の手段によって推量することができる。
【0111】
本発明の活性薬物を分割用量で(例えば、1日に2回または3回)投与してもよいが、組み合わせ中の各薬物の単一1日用量が好ましく、単一の医薬組成物中の全ての薬物の単一1日用量(単位投与形態)が最も好ましい。
【0112】
用語「単位投与形態」は、各々の単位が、必要とされる医薬担体と共同で所望の治療効果を生じるように算出された所定量の活性材料(単数または複数)を含む、ヒト対象のための単位投薬として適切な物理的に分離した単位(例えば、カプセル、錠剤、またはロードしたシリンジシリンダー)を指す。
【0113】
投与は、1日に1回〜数回、数日間〜数年間であることができ、そして患者の生涯にわたりさえし得る。慢性のまたは少なくとも定期的に反復される長期投与の必要が大部分の症例において示される。
【0114】
さらに、特定の患者についての薬理ゲノミクス(治療の薬物動態、薬力学または効力プロファイルに対する遺伝子型の効果)情報が、使用される投与量に影響を及ぼし得る。
【0115】
より高い投与量が必要とされ得る特に損なわれているAD疾患症例に応答する場合以外、組み合わせ中の各薬物の好ましい投与量は通常、長期維持処置のために通常処方されるかまたは大きな第3相臨床試験において安全であると判明した用量を上回らない範囲内にある。
【0116】
最も好ましい投与量は、長期維持処置のために通常処方されるものの1%〜10%の量に対応する。
【0117】
例えば、本発明の特に好ましい併用療法のための可能な投与量は以下のとおりであり得る:
− エプレレノン、経口、約0.25〜5mg、1日当たり1回または2回、およびマリマスタット、経口、1日当たり約0.1〜1mg、
− ゲムフィブロジル、経口、約12〜120mg、朝食および夕食の30分前に2分割用量で投与、およびマリマスタット、経口、1日当たり約0.1〜1mg、
− マリマスタット、経口、1日当たり約0.1〜1mg、およびテルビナフィン、経口、約2.5〜25mg、1日1回または2回、
− トポテカン、経口、1日当たり約0.025〜0.25mg、およびメタゾラミド、経口、約1〜10mg、1日2〜3回、
− エプレレノン、経口、約0.25〜5mg、1日当たり1回または2回、およびタダラフィル、経口、1日当たり約0.05〜0.5mg、
− エプレレノン、経口、約0.25〜5mg、1日当たり1回または2回、およびシロスタゾール、経口、1日当たり約1〜10mg、
− スニチニブ、経口、1日当たり約0.5〜5mg、およびテルビナフィン、経口、約2.5〜25mg、1日1回または2回、
− フェンホルミン、経口、1日当たり約0.5〜5mg、およびバクロフェン、経口、1日当たり約0.4〜8mg、2または3分割用量で投与、
− フェンホルミン、経口、1日当たり約0.5〜5mg、およびテルビナフィン、経口、約2.5〜25mg、1日1回または2回、
− タダラフィル、経口、1日当たり約0.05〜0.5mg、およびアレンドロネート、経口、約0.7〜7mg、1週1回、または0.7〜7mg、1日1回、
− シロスタゾール、経口、1日当たり約1〜10mg、およびアレンドロネート、経口、約0.7〜7mg、1週1回、または0.7〜7mg、1日1回、
− メパクリン、経口、1日当たり約3〜30mg、およびテルビナフィン、経口、約2.5〜25mg、1日1回または2回、
− メパクリン、経口、1日当たり約3〜30mg、およびバルサラジド、経口、約7〜75mg、1日3回投与、
− テルビナフィン、経口、約2.5〜25mg、1日1回または2回、およびイマチニブ、経口、1日当たり約4〜60mg。
【0118】
実際に投与される薬物の量が、処置しようとする状態(単数または複数)、投与しようとする正確な組成物、個々の患者の年齢、体重、および応答、患者の症候の重症度、および選択された投与経路を含む関連事情の見地から、医師よって決定されることが理解される。それゆえ、上記の投与量範囲は、本明細書における教示のための一般的な案内および支持を提供することが意図され、本発明の範囲を限定することは意図されない。
【0119】
以下の実施例は、例証の目的のために与えられ、そして限定としては与えられない。
【0120】
実施例
インビトロアッセイを使用する薬物検証
インビトロアッセイは、ADに関係付けられる経路に作用する薬物およびその組み合わせの改良のための強力なツールである。本発明の薬物およびその組み合わせを、本発明において同定されたADネットワークに従って適合させた特異的インビトロアッセイに対する作用によって最適化する。その後、これらの分子またはその組み合わせを、ADのインビボモデルにおいて試験し得る。
【0121】
これらのインビトロ試験は、Aβタンパク質の毒性効果に曝露された内皮細胞に対する薬物の保護潜在力の研究で開始する。関係付けられる経路における薬物を個々に試験し、続いてその組み合わせの作用のアッセイを行い得る。その後の段階で、個々の経路における標的に対して作用する最も効率的な組み合わせを、組み合わせそして細胞ストレス、軸索成長および血管毒性についてのアッセイにおいて再度試験する。
【0122】
細胞培養
ラット内皮大脳細胞の初代培養物(Vect-Horus SAS, Marseille)を、継代0で培養する。コンフルエンスで、内皮細胞をトリプシンEDTA(Pan Biotech Ref: P10-023100)を用いて解離させる。細胞を96ウェルプレート(ウェルは1.5mg/mlのタイプIラットコラーゲン30μlでコーティングされている、Vect-Horus SAS, Marseille)中25000細胞/ウェルの密度で播種し、そして1%の微小血管成長補充物(MVGS, S-005-25, Invitrogen)を補充したMCBD131培地(M-131-500, Invitrogen)中で培養する。細胞を37℃で湿潤空気(95%)/CO(5%)雰囲気中で培養する。培地の半分を1日おきに新鮮な培地に交換する。
【0123】
4日後、DMSO 0.1%または水に溶解した、様々な濃度の薬物を細胞培養培地に加える。2%のウシ胎児血清(FBS ; Invitrogen ref: 16000-036)、1%のL−グルタミン(Pan Biotech ref: P04-80100)、1%のペニシリン−ストレプトマイシン(PS;Pan Biotech ref: P06-07100)、0.1mg/mlのヘパリン(Sigma)、10ng/mlの上皮増殖因子(EGF、Invitrogen)および10ng/mlの血管内皮増殖因子(VEGF、PHG0146, Invitrogen)を補充したダルベッコ改変イーグル培地(DMEM、Pan Biotech Ref: P04-03600)を含む培養培地中で1時間のプレインキュベーションを行う。
【0124】
次いで、同じ培養培地中、薬物と一緒の30μMのβアミロイド(25−35;Sigma)を用いて細胞を中毒させる。次いで、細胞を3日間中毒させる。
【0125】
乳酸デヒドロゲナーゼ(LDH)活性アッセイ
各々の培養物について、中毒の3日後に、上清を収集し、そしてCytotoxicity Detection Kit(LDH, Roche Applied Sciences)を用いて分析する。細胞死の定量のためのこの比色アッセイは、上清中へ損傷細胞の細胞質ゾルから遊離された乳酸デヒドロゲナーゼ(LDH)活性の測定に基づく。光学密度(DO)を、マルチスキャン装置(Thermo, Ref Ascent)による492nm波長における分光光度計によって評価する。
【0126】
結果
図1に示す結果は、2つの独立した培養物(条件当たり6つのウェル)から抽出されている。全ての値を平均±s.e.m.で表す。両側スチューデントt検定分析が生データに対して行われている。結果を、コントロール(ビヒクル)と比較した、細胞生存率の百分率で表す。
【0127】
薬物を、3日間続くAβ25−35 30μM中毒の1時間前にラット初代大脳内皮細胞とともにインキュベートする。
【0128】
このインキュベーションの3日後に、細胞死のレベルを反映する、培養培地におけるLDH遊離を定量する。本発明者らは、4つの薬物が、このAβ25−35中毒に対する保護効果を明らかに発揮することを観察した(図1)。
【0129】
インビボ試験
インビトロ試験において活性な化合物およびその組み合わせを、アルツハイマー病のインビボモデルにおいて試験した。アルツハイマー病関連変異ヒトアミロイドβタンパク質前駆体(APP)トランスジーンの過剰発現は、多数の研究においてAD疾患モデルとして作用するトランスジェニックマウスの脳におけるAβの沈着を促進する最も信頼できる手段であった。加齢とともに、これらの変異APPマウスは強いアミロイド病理および他のAD様特徴(減少したシナプス密度、反応性グリオーシス、およびいくらかの認知障害を含む)を発達させる。多くの変異APPマウスモデルは、明白なニューロン損失および神経原線維変化(NFT)病理の証拠をほとんど示さない。このBRI−Aβ42トランスジーンについてヘミ接合型のマウスは、正常な寿命を有して生存可能でありそして繁殖性である。トランスジェニックBRI−Aβ42 mRNAは、マウスプリオンタンパク質プロモーターに特徴的なパターンで発現される;最高のトランスジーン発現レベルは小脳顆粒細胞および海馬、続いて皮質、脳橋、視床、および中脳において検出される。トランスジェニック融合タンパク質において、Aβ1−42はフューリン様切断部位でBRIタンパク質のC末端に融合されており、その結果、切断によって管腔または細胞外空間中への効率的なAβ1−42分泌が生じる。それゆえ、これらのマウスはAβ1−42アイソフォームを特異的に発現する。ヘミ接合型BRI−Aβ42マウスは、加齢とともに界面活性剤不溶性アミロイドβを蓄積し、そして3月齢ほどの早期に小脳においてコア斑(cored plaque)を発達させる。前脳病理の発達が後に起こり、12月齢まで海馬および嗅内/梨状葉皮質中に細胞外Aβ斑は一貫して存在しない。アミロイドβ沈着(コア斑)は、3ヶ月ほどの早期にトランスジェニックマウスの小脳の分子層において観察され得、そして加齢とともにより明白になる;ところどころの細胞外斑が6月齢で嗅内/梨状葉皮質および海馬において見られるが、>12月齢まで一貫して見出されない。最高齢のマウスは、小脳、皮質、海馬、および嗅球におけるコアおよび拡散斑を有して広範な病理を示す。細胞外アミロイド斑は、放射型原線維を有して密なアミロイドコアを示す;多くの異栄養性神経突起の束がこれらの斑の末梢において観察される。反応性グリオーシスが斑に付随する。
【0130】
薬物処置
トランスジェニックTg(Prnp−ITM2B/APP695*42)A12E mcマウス(57)をJackson Laboratoryから得た(http://jaxmice.jax.org/strain/007002.html)。最高のAβ42血漿レベルを有するマウス樹立系統BRI−Aβ42A(12e)を混合B6C3バックグラウンド上で維持した。成体雄性トランスジェニックマウスは食物および水への自由な接近を有する。承認されたInstitutional Animal Care and Use Committeeプロトコルに従って、マウスを秤量し、そしてコントロール溶液(プラセボ)または様々な用量で調製したPXT薬物のいずれかを10〜20週間連続して1日に1回i.p.注射するかまたは強制摂取した。
【0131】
生存分析
Kaplan-Meier方法を使用して生存率を分析した。Holm-Sidak方法(post hoc)を全ての多重対比較検定のために使用した。外来性の死亡を検閲する。いずれもの、バックグラウンド系統の差異からの潜在的に混乱させる効果を制限するために、全ての比較を同腹仔間で行った。
【0132】
行動試験
行動試験を数人の著者らによって公開された方法に従ってデザインしそして実施した(58〜61)。
【0133】
モーリス水迷路(MWM)における空間学習および記憶
この実験を、白色プラスチックで作製され、そして乳白色の水を満たした直径90cmの円形プール中で行う。透明プラスチックで作製された直径8cmの避難プラットフォームを水面下0.5cmに水没させた。A4サイズの文字で印刷し、そして4つの周囲の壁(プールからの距離は50〜70cmであった)に配置した様々な幾何学形態によって視覚的目印を提供する。各々のマウスに4日間1日に4回の試行を与えた(試行の間5〜7分間隔、合計16回の試行)。各々の試行を4つの異なる開始点の1つから行った。マウスの移動をVideotrack Software(View Point)を使用してモニターする。避難プラットフォームを位置付けるためにかかった時間(避難潜伏期;60秒まで)を決定した。プラットフォームを位置付けた後、マウスをその上に15秒間座らせた。60秒以内にプラットフォームを見出せなかったマウスを、それに導き、そしてその上に15秒間留めた。60秒の潜伏期をそのような出来事について記録に入れる。1日目の1回目の試行以外、1日当たりの4回の試行の全てを統計分析のために平均した。9日目(最後の訓練の5日後)に、マウスを、プラットフォームを取り外しそしてマウスにそれを探索させる60秒間探索試行に供した。各動物が各四分円において費やした時間を記録した(四分円探索時間)。雄性マウスのいくつかの群を3、7、10、および12月で使用した。
【0134】
いくつかの少しのマウスは試験を強く妨害するすくみ行動(例えば、水中で動かないで横たわり、そして泳ぎを拒む)を示し、これらの動物をデータ分析から除外した。
【0135】
全ての行動試験を静かな減光環境下で行う。
【0136】
放射状水迷路における作業記憶試験
この認識に基づく作業記憶の高感度の測定を、6つの放射状に分布した水泳アームを作製するようにアルミニウムインサートを装着した直径100cmの水を満たしたプール(モーリス水迷路およびプラットフォーム認識課題のためにも使用)からなる器具の助けで得た。試験は、連続した9〜12日間、1日のセッション当たり5回の1分間試行からなる。各セッションの開始時に、透明な水没させたプラットフォームを6つの水泳アームの1つの末端に配置する(ランダムに選択、毎日変更)。最初の4回の獲得試行の各々について、動物を非プラットフォーム含有アームの1つに配置し(ランダム化した順序)、そしてプラットフォームを探索させる。60秒間試行の間、動物が別の非プラットフォーム含有アームに入る毎に、静かにそれをその出発位置に戻し、そしてエラーを記録する。第4の試行の後、動物を30分間休ませ、続いて最後の非プラットフォーム含有水泳アームにおいて始める第5の(保持)試行を行う。エラー(正しくないアームの選択)の数および避難潜伏期(プラットフォームに到達する時間、最大60秒)を各試行について記録する。
【0137】
円形プラットフォーム試験における空間参照学習および記憶
この認識に基づく課題試験を、外周の周りに等距離間隔で配置した16個の「避難」孔を有する直径69cmの円形プラットフォームからなる器具の助けで行う。避難所は孔の1つの下に取り付けられており、そしてその上に種々の視覚的合図が配置されている黒色のカーテンがプラットフォームを取り囲んでいる。動物を単一の5分間試行の開始時にプラットフォームの中央に配置し、そして嫌悪刺激(明光、ファンの風)を与える。エラー(非避難孔中へ頭を突くこと)の総数および避難潜伏期(避難孔に到達する時間)を記録する。
【0138】
プラットフォーム認識試験における認識能力
この認識に基づく探索課題は、物体同定および認識能力を評価する。標的物体は、直径100cmの円形プール中の水表面の0.8cm上に配置されている10cm×40cm黒色の旗を装着した直径9cmの円形プラットフォームからなる。試験は、連続した4日間の各々の日当たり4回の60秒間試行からなる。各々の日に、標的物体を各試行についてプールの異なる四分円中に配置し、そして動物を4回全ての試行についてプールの外周に沿った同じ位置で放す。全潜伏期(最大60秒)を各試行について記録する。
【0139】
改変Irwin検査
Irwinから改変した包括的スクリーニングを、マウスのいずれかがその遺伝子型に関連する生理的な、行動の、または感覚運動の機能障害を示したかどうかを決定するために使用する。運動習熟、協調、および筋力を調査するために、マウスを2つの高さ30cmの柱の間に張ったワイヤー上に配置し、そしてワイヤー上でバランスを取るその能力を評価する。さらに、少なくとも5秒間4つ全部の足でワイヤーを掴みそしてそれにぶら下がり、そしてワイヤー上に登って戻るその能力を決定する。
【0140】
血管アミロイド沈着の定量
脳アミロイドアンギオパチー(CAA)の定量のために、頭頂葉皮質または小脳皮質軟膜を通した30μm間隔の5μmパラフィン包埋切片を、一晩4℃でビオチン化Ab9抗体(抗Aβ1−16、1:500)を用いて免疫染色する(各齢群における遺伝子型当たりn=5〜7匹のマウス、マウス当たりn=6切片)。陽性に染色された血管を、改変Vonsattelスコアリングシステムを使用して視覚的に評価する(62)。CAA重症度スコアを、CAA血管数にCAA重症度グレードを掛けることによって算出する。
【0141】
組織学:免疫組織化学および免疫蛍光
3〜12月のTgおよびWTマウスを麻酔し、そして0.1mol/Lリン酸緩衝食塩水(PBS)(pH7.4)中の0.9%NaClおよび4%パラホルムアルデヒドまたは0.1mol/L PBS(pH7.4)中の10%ホルマリンおよび4%パラホルムアルデヒドで順次経心的に灌流する。脳および脊髄を取り出し、そして4%パラホルムアルデヒド中で貯蔵する。いくつかの試料をパラフィン中に包埋し、そしてスライディングミクロトーム上で10μmの厚さで切断する。凍結切片(14μm)をクリオスタット上で切断し、そしてクロムミョウバンコーティングしたスライド上にマウントする。内在性ペルオキシダーゼを、切片を0.3%Hを含むメタノールで30分間処理することによってクエンチする。切片を10%ウマ血清中でブロックする。一次抗体を使用し、そして一晩4℃で1%ウマ血清の存在下でインキュベートする。全ての二次ビオチン化またはフルオレセイン、Texas Red、およびAMCA結合抗体、蛍光色素、ABCキット、およびペルオキシダーゼ活性用の色素原としての3,3’−ジアミノベンジジンは、Vector Laboratoriesからである。二次抗体とのインキュベーションを室温で1時間保持する。全ての洗浄工程(3〜10分)および抗体希釈をリン酸緩衝食塩水(0.1mol/L PBS、pH7.4)またはTris緩衝食塩水(0.01mol/L Tris、0.15mol/L NaCl、pH7.4)を使用して行う。ABC複合体とのインキュベーションおよび3,3’−ジアミノベンジジンを用いる検出を、製造業者のマニュアルに従って行う。ヘマトキシリン対比染色を標準的手順に従って行う。遺伝子型、齢および性別当たり最小3匹のマウスを各々の決定のために使用する(63)。
【0142】
インビボデータの統計分析
全ての実験からの結果をSTATISTICA 8.0(Statsoft)を用いて分析する。
【0143】
CAA重症度を、post hoc Holm-Sidak多重比較検定または両側スチューデントt検定とともにANOVAを使用することによって分析する。データのセットがパラメトリックな検定仮定を満たさない場合は、Kruskal-Wallis検定およびそれに続くpost hoc Dunn多重比較またはMann-Whitney順位和検定のいずれかを行う。全ての比較を同腹仔間で行う。
【0144】
コントロール(0mg/kg)試料を除外して薬物応答モデリングを行う。ED50は、実験における最大薬物誘導応答の50%を誘導するために必要とされる用量(mg/kg)に対応する。それをED50の対数についてHill式モデルを使用して算出する。
【0145】
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【特許請求の範囲】
【請求項1】
同時の、別々のまたは逐次的な投与のための、レフルノミド、スルフィソキサゾール、テルビナフィン、バクロフェン、クロピドグレル、フェノルドパム、メパクリンおよびフェンホルミン、またはその塩もしくはプロドラッグもしくは誘導体もしくは徐放性処方物からなる群より選択される少なくとも2つの化合物の組み合わせを含む組成物。
【請求項2】
レフルノミド、スルフィソキサゾール、テルビナフィン、バクロフェン、クロピドグレル、フェノルドパム、メパクリンおよびフェンホルミン、またはその塩もしくはプロドラッグもしくは誘導体もしくは徐放性処方物からなる群より選択される少なくとも2つの化合物の組み合わせを含む組成物であって、組成物が、アルツハイマー病(AD)、パーキンソン病(PD)、筋萎縮性側索硬化症(ALS)および多発性硬化症(MS)からなる群より選択される神経変性障害において変化した血管新生を増加させる、組成物。
【請求項3】
アルツハイマー病(AD)を処置するための、レフルノミド、スルフィソキサゾール、テルビナフィン、バクロフェン、クロピドグレル、フェノルドパム、メパクリンおよびフェンホルミン、またはその塩もしくはプロドラッグもしくは誘導体もしくは徐放性処方物からなる群より選択される少なくとも2つの化合物の組み合わせを含む、請求項1記載の組成物。
【請求項4】
併用の、別々のまたは逐次的な投与のための、以下の薬物の組み合わせの少なくとも1つを含む組成物:
− GABBR2受容体のモジュレーター(好ましくは、バクロフェン)およびRHOAのモジュレーター(好ましくは、テルビナフィン)、
− GABBR2受容体のモジュレーター(好ましくは、バクロフェン)およびEDNRAエンドセリン受容体のアンタゴニスト(好ましくは、スルフィソキサゾール)、
− GABBR2受容体のモジュレーター(好ましくは、バクロフェン)およびHAS1−3ヒアルロナンシンターゼのモジュレーター(好ましくは、レフルノミド)、
− RHOAのモジュレーター(好ましくは、テルビナフィン)およびEDNRAエンドセリン受容体のアンタゴニスト(好ましくは、スルフィソキサゾール)、
− RHOAのモジュレーター(好ましくは、テルビナフィン)およびHAS1−3ヒアルロナンシンターゼのモジュレーター(好ましくは、レフルノミド)、
− RHOAのモジュレーター(好ましくは、テルビナフィン)およびドーパミン受容体DRD5のアゴニスト(好ましくは、フェノルドパム)、
− RHOAのモジュレーター(好ましくは、テルビナフィン)およびホスホリパーゼPLA1AおよびPLA2のインヒビター(好ましくは、メパクリン)、
− RHOAのモジュレーター(好ましくは、テルビナフィン)およびAMPKのモジュレーター(好ましくは、フェンホルミン)、
− RHOAのモジュレーター(好ましくは、テルビナフィン)およびプリン作動性受容体P2RY1およびP2RY12のモジュレーター(好ましくは、クロピドグレル)、
− GABBR2受容体のモジュレーター(好ましくは、バクロフェン)およびAMPKのモジュレーター(好ましくは、フェンホルミン)、
− GABBR2受容体のモジュレーター(好ましくは、バクロフェン)およびプリン作動性受容体P2RY1およびP2RY12のモジュレーター(好ましくは、クロピドグレル)、
− EDNRAエンドセリン受容体のアンタゴニスト(好ましくは、スルフィソキサゾール)およびAMPKのモジュレーター(好ましくは、フェンホルミン)、
− HAS1−3ヒアルロナンシンターゼのモジュレーター(好ましくは、レフルノミド)およびドーパミン受容体DRD5のアゴニスト(好ましくは、フェノルドパム)、
− HAS1−3ヒアルロナンシンターゼのモジュレーター(好ましくは、レフルノミド)およびホスホリパーゼPLA1AおよびPLA2のインヒビター(好ましくは、メパクリン)。
【請求項5】
それを必要とする対象におけるアルツハイマー病または関連障害を処置するための、請求項1記載の組成物であって、組成物が、併用の、別々のまたは逐次的な投与のための、以下の薬物の組み合わせの少なくとも1つを含む、組成物:
− バクロフェンおよびテルビナフィン、
− バクロフェンおよびスルフィソキサゾール、
− バクロフェンおよびレフルノミド、
− テルビナフィンおよびスルフィソキサゾール、
− テルビナフィンおよびレフルノミド、
− テルビナフィンおよびフェノルドパム、
− テルビナフィンおよびメパクリン、
− テルビナフィンおよびフェンホルミン、
− テルビナフィンおよびクロピドグレル、
− バクロフェンおよびフェンホルミン、
− バクロフェンおよびクロピドグレル、
− スルフィソキサゾールおよびフェンホルミン、
− レフルノミドおよびフェノルドパム、
− レフルノミドおよびメパクリン。
【請求項6】
組成物が、併用の、別々のまたは逐次的な使用のための、少なくとも1つの、血管新生を増加させる薬物をさらに含む、請求項1〜5のいずれか1項記載の組成物。
【請求項7】
少なくとも1つの、血管新生を増加させる薬物が、ACATのインヒビター(好ましくは、ヘスペレチン)、ADCY2のモジュレーター(好ましくは、ビダラビン)、AMPKのモジュレーター(好ましくは、ビダラビン)、AUTOTAXINのモジュレーター(好ましくは、L−ヒスチジン)、CA10のインヒビター(好ましくは、メタゾラミド)、CYSLTR1およびCYSLTR2のアンタゴニスト(好ましくは、モンテルカスト)、DHFRのインヒビター(好ましくは、ピリメタミン)、DRD2のモジュレーター(好ましくはジヒドロエルゴタミンおよびカベルゴリンから選択される)、F2のモジュレーター(好ましくは、ワルファリン)、FDPSのインヒビター(好ましくは、アレンドロネート)、GABBR2のモジュレーター(好ましくは、アカンプロセート)、HIF1Aのモジュレーター(好ましくはトポテカンおよびメロキシカムから選択される)、MGST2のモジュレーター(好ましくは、バルサラジド)、MMP2およびMMP9のモジュレーター(好ましくは、マリマスタット)、NOS2Aのモジュレーター(好ましくはゲムフィブロジル、アルブテロールおよびチエチルペラジンから選択される)、NOS3のモジュレーター(好ましくは、ケトチフェン)、NR1I2のアゴニスト(好ましくは、トピラメート)、NR3C2のモジュレーター(好ましくはエプレレノンおよびフルドロコルチゾンから選択される)、OPRS1のアゴニスト(好ましくは、ペンタゾシン)、P2RY1およびP2RY12のモジュレーター(好ましくは、チロフィバン)、トロンビン受容体PAR1のインヒビター(好ましくは、アルガトロバン)、PDE11Aのインヒビター(好ましくは、タダラフィル)、PDE3Aのインヒビター(好ましくは、シロスタゾール)、PDE4Dのインヒビター(好ましくは、ミルリノン)、PDGFRAおよびPDGFRBのモジュレーター(好ましくはベカプレルミンおよびイマチニブから選択される)、PLA1AおよびPLA2のインヒビター(好ましくは、ネチルマイシン)、PLATのモジュレーター(好ましくは、フェニル酪酸ナトリウム)、PLD2のモジュレーター(好ましくは、アンブリセンタン)、PLGのモジュレーター(好ましくは、アミノカプロン酸)、PPARAのアゴニスト(好ましくは、ゲムフィブロジル)、PPARGのアゴニスト(好ましくは、フェニルブチレート)、PRKG1のアクチベーター(好ましくはニトロプルシド、ニトログリセリン、タダラフィルおよびシロスタゾールから選択される)、RHOAのモジュレーター(好ましくは、アレンドロネート)、THRBのモジュレーター(好ましくはリオチロニンおよびメチマゾールから選択される)、トロンビンのインヒビター(好ましくは、デシルジン)、TSPOのモジュレーター(好ましくはフルニトラゼパムおよびテマゼパムから選択される)、および/またはVEGFR1のアンタゴニスト(好ましくはスニチニブおよびペガプタニブから選択される)から選択される、請求項6記載の組成物。
【請求項8】
少なくとも1つの、血管新生を増加させる薬物が、ABCA1、ACAT、ACC2、ADAMTS12、ADCY2、ADIPOQ、ADIPOR1、ADIPOR2、ADRB2、AGPAT5、AIP4、AKAP2、AKR1C2、AMPK、ANG2、ANK1、ANXA1、APOA1、ARHGAP17、ATP10A、AUH、AUTOTAXIN、BAI3、BCAR1、BIN1、BMP3A、CA10、CAMK1D、CAMKK2、CD36、CD44、CDC42、CDH13、CHAT、CNTFR、COL4A2、CPT、CSH1、CTNN、CUBN、CYP7B1、CYSLTR1、CYSLTR2、DGKB、DGKH、DGKZ、DHCR7、DHFR、DRD2、DRD5、EDG1、EDG2、EDG3、EDG4、EDG5、EDG6、EDG7、EDG8、EDNRA、EHHADH、ENPP6、ERBB4、ERK1、ERK2、ESRRG、ETFA、F2、FDPS、FGF2、FLNA、FLT4、FOXO1、FOXO3A、FTO、GABBR2、GATA3、GH1、GNA12、GNA13、GRK2、GRK5、GRM5、HAPLN1、HAS1、HAS2、HAS3、HCRTR2、HIF1A、HSD11B1、HYAL1、HYAL2、HYAL3、IL20RA、IL20RB、IL6ST、IL8、ITGA6、ITGB1、KDR、LAMA1、LDLR、LEPR、LEPTIN、LIFR、LIPL2、LKB1、LRP、LTBP2、MAT2B、ME1、MEGALIN、MERLIN、MET、MGST2、MMP2、MMP9、MTOR、MTR、NCK2、NEDD9、NFKB1、NFKBIB、NOS2A、NOS3、NR1I2、NR3C2、NRG1、NRP1、NRP2、OPRS1、OSBPL10、OSBPL3、OSTEOPONTIN、P2RY1、P2RY12、PAI1、PAI2、PAK1、PAK6、PALLD、PAP1、PAR1、PAXILLIN、PC、PCTP、PDE11A、PDE1A、PDE3A、PDE4D、PDE5、PDGFA、PDGFB、PDGFRA、PDGFRB、PI3K、PITPNC1、PKA、PKCD、PLA1A、PLA2、PLAT、PLAU、PLCB1、PLD1、PLD2、PLG、PLXDC2、PPARA、PPARG、PPARGC1B、PRKG1、PRL、PTGS2、PTN、PTPN11、PYK2、RAC1、RAS、RHEB、RHOA、ROCK1、ROCK2、RPS6KA1、RPS6KB2、SCARB1、SCHIP1、SGPP2、SLC25A21、SMAD3、SMAD4、SNCA、SORBS2、SPLA2、SPOCK1、SRD5A1、SREBF1、SREBF2、STAT3、TGFBR1、TGFBR2、TGFBR3、THBS1、THBS2、THEM2、THRB、TIAM1、TIMP2、TLL2、TSC1、TSC2、TSPO、VEGFA、VEGFR1、およびYES1から選択される遺伝子によってコードされるタンパク質に結合するかまたはその活性を調節する薬物から選択される、請求項6記載の組成物。
【請求項9】
組成物が、併用の、別々のまたは逐次的な使用のための、少なくとも1つの、シナプス機能を調節する薬物をさらに含む、請求項1〜8のいずれか1項記載の組成物。
【請求項10】
少なくとも1つの、シナプスを調節する薬物が、アルフェンタニル、アミロライド、アムロジピン、アズトレオナム、ブクリジン、ブメタニド、ブプレノルフィン、リドカイン、クロルゾキサゾン、シナカルセト、ダサチニブ、ジフィリン、エレトリプタン、エルゴタミン、ホスフェニトイン、フェノバルビタール、プレガバリン、プロピルチオウラシル、チアガビン、トリアムテレン、ビガバトリンおよびゾニサミドから選択される、請求項9記載の組成物。
【請求項11】
組成物が、併用の、別々のまたは逐次的な使用のための、少なくとも1つの、細胞ストレス応答を調節する薬物をさらに含む、請求項1〜10のいずれか1項記載の組成物。
【請求項12】
少なくとも1つの、細胞ストレス応答を調節する薬物が、アラビトール、マンニトール、メタラミノール、オメプラゾール、プリロカイン、ラパマイシン、リファブチン、チオグアニン、トレハロースおよびビダラビンから選択される、請求項11記載の組成物。
【請求項13】
薬学的に許容され得る担体または賦形剤を含む、請求項1〜12のいずれか1項記載の組成物。
【請求項14】
組成物が対象に反復して投与される、請求項1〜13のいずれか1項記載の組成物。
【請求項15】
アルツハイマー病または関連障害を処置するための薬物の製造方法であって、血管新生に対する活性について候補薬物を試験し、そして血管新生を増加させる候補薬物を選択する工程を含む、方法。
【請求項16】
候補薬物が、請求項8に記載する遺伝子またはタンパク質に結合するか、またはその活性を調節するかどうかを決定することを含む、請求項15記載の方法。
【請求項17】
アルツハイマー病または関連障害を処置するための組成物の製造方法であって、それを必要とする対象への同時の、別々のまたは逐次的な投与のための血管新生を増加させる薬物およびシナプス機能または細胞ストレス応答を調節する薬物の組み合わせを調製することを含む、方法。
【請求項18】
アルツハイマー病または関連障害の処置方法であって、血管新生を調節する薬物およびシナプス機能または細胞ストレス応答を調節する薬物を、それを必要とする対象に同時に、別々にまたは逐次的に投与することを含む、方法。
【請求項19】
同時の、別々のまたは逐次的な投与のための、レフルノミド、テルビナフィン、スルフィソキサゾールおよびバクロフェン、またはその塩もしくはプロドラッグもしくは誘導体もしくは徐放性処方物から選択される少なくとも2つの化合物の組み合わせを含む組成物。
【請求項20】
アルツハイマー病または関連障害を処置するための、レフルノミド、テルビナフィン、スルフィソキサゾールおよびバクロフェン、またはその塩もしくはプロドラッグもしくは誘導体もしくは徐放性処方物から選択される1つ以上の薬物を含む組成物。

【図1】
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【公表番号】特表2011−518864(P2011−518864A)
【公表日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−506707(P2011−506707)
【出願日】平成21年4月29日(2009.4.29)
【国際出願番号】PCT/EP2009/055205
【国際公開番号】WO2009/133141
【国際公開日】平成21年11月5日(2009.11.5)
【出願人】(510149471)
【氏名又は名称原語表記】PHARNEXT
【Fターム(参考)】