説明

衛星ナビゲーション・システムにおけるステータス・レポートの最適化方法

【課題】衛星ナビゲーション・システムにおけるステータス・レポートを最適化する方法を提供する。
【解決手段】衛星ナビゲーション・システムの通信網に関する情報を求める情報取得ステップ(S10)と、求めた前記情報を、ステータス・レポートとして、1つまたは複数のナビゲーション・メッセージを介して伝送する情報伝送ステップ(S12)とを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1に記載した種類の衛星ナビゲーション・システムにおけるステータス・レポートの最適化方法に関する。
【背景技術】
【0002】
全世界的ナビゲーションを行うための衛星システム(これはグローバル・ナビゲーション・サテライト・システム(GNSS)と呼ばれており、また簡略化した名称として衛星ナビゲーション・システムとも呼ばれている)が、地上用並びに航空用の測位並びにナビゲーションのために利用されている。GNSSシステムは、例えば、現在構築が進められている欧州衛星ナビゲーション・システム(以下の説明ではこれをガリレオ・システム、或いは更に簡略化した名称として単にガリレオと呼ぶ)などのように、複数の衛星を含んで成る衛星システム(宇宙側セグメント)と、地上に対して固定して設置され中央処理局に接続された受信装置システム(地上側セグメント)と、ユーザ・システムとから成り、受信装置システムは、複数の地上ステーション並びに複数のガリレオ・センサー・ステーションを含んでおり、またユーザ・システムは、ナビゲーションなどのために、複数の衛星から無線で伝送されてくる衛星信号を解析して利用している。更に、複数の地上ステーションからは、例えば宇宙側セグメントの全ての衛星の機械構造的状態やインテグリティ(安全性)などに関するステータス・レポートが送出されており、ユーザ・システムは、それらステータス・レポートを受信して解析を行っている。
【0003】
ガリレオなどの衛星ナビゲーション・システムの通信網のトポロジには、一般的に、同時に複数の地上ステーションに障害が発生するおそれが付随しており、これは、同じ通信要素を同時に複数の地上ステーションが利用するようなトポロジだからである。そのためある通信要素に障害が発生したならば、それによって、通信機能の完全な喪失が起こらないまでも、衛星ナビゲーション・システムにおける通信のコンティニュイティ(連続性)が低下することがある。また特に、ステータス・レポートの伝送状態が悪化するおそれがあり、このことは特に、ガリレオが提供しているセイフティクリニカルサービス(セイフティ・オブ・ライフ(Sol)サービス)にとっては看過し得ない欠点である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は係る事情に鑑み成されたものであり、本発明の目的は、衛星ナビゲーション・システムにおけるステータス・レポートを最適化する方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的は、請求項1に記載した特徴を備えた衛星ナビゲーション・システムにおけるステータス・レポートの最適化方法により達成される。従属請求項は、本発明の好適な実施の形態を主題としたものである。
【0006】
本発明の本質的概念は、通信網のトポロジや通信網の通信要素のコンティニュイティ予測値などの衛星ナビゲーション・システムの通信網に関する情報を、ユーザ・システムへ伝送するようにし、それによって、ユーザ・システムにおいて、それらの情報に対して更なる処理を施せるようにすることにある。これによって、ユーザ・システムが、衛星ナビゲーション・システムにおけるモニタ・データ(観測データ)のアベイラビリティ(有効性)についてのコンティニュイティ予測値を算出できるようになる。またこれによって、衛星ナビゲーション・システムにおけるステータス・レポートが最適化される。なぜならば、ユーザ・システムが、受信した通信網に関する情報に処理を施すことにより、特に、ステータス・レポートの通信のコンティニュイティの低下を推定し、距離の計測における精度を推定できるからである。
【0007】
本発明は、その1つの実施の形態によれば、衛星ナビゲーション・システムにおけるステータス・レポートの最適化方法に関するものであり、この方法は、前記衛星ナビゲーション・システムの通信網に関する情報を求める情報取得ステップと、求めた前記情報を、ステータス・レポートとして、1つまたは複数のナビゲーション・メッセージを介して伝送する情報伝送ステップとを含んでいる。通信網に関する情報を伝送することによって、ユーザ・システムが、コンティニュイティ予測値を求めることができるようになると共に、そのコンティニュイティ予測値から、例えば、ナビゲーション・メッセージに基づいて実行する距離の計測の減少の予測の可能性があることについての警報を発することができるようになる。
【0008】
本発明の1つの実施の形態として、前記衛星ナビゲーション・システムの前記通信網に関する情報を求める前記情報取得ステップは、前記衛星ナビゲーション・システムの前記通信網のトポロジを求めるステップと、前記通信網の通信要素のコンティニュイティ予測値を求めるステップとを含んでいるようにすることができる。こうすることによって、ユーザ・システムを、ナビゲーション・メッセージのコンティニュイティ予測値についての比較的精度の高い評価結果を求められる状態にすることができる。それが可能であるのは、トポロジと通信要素のコンティニュイティ予測値とを把握することで、衛星ナビゲーション・システムにおけるコンティニュイティの総合的評価が可能になるからである。
【0009】
本発明の別の1つの実施の形態として、求めた前記衛星ナビゲーション・システムの前記通信網に関する情報を伝送する前記情報伝送ステップが、通常のナビゲーション・メッセージをより低速で反復伝送されるナビゲーション・メッセージの形で実行されるようにすることができる。こうすることによって、衛星ナビゲーション・システムにおける通信の流れが、前記通信網に関する情報の伝送の影響を殆ど受けずに済むようになる。
【0010】
また、本発明の別の1つの実施の形態によれば、前記方法は、1つまたは複数の通信要素における障害の発生情報を、1つまたは複数のアラーム・メッセージを介して伝送する障害発生情報伝送ステップを更に含むものとすることができる。こうすることによって、障害の発生に関する情報をユーザ・システムに迅速に伝送することが可能となり、ひいては、コンティニュイティ予測値を新たに算出することや、必要に応じてその新たに算出したコンティニュイティ予測値にユーザ・システムを適合させることなどが可能になる。更に、これによって、衛星ナビゲーション・システムの複数の地上ステーションにおける測距データのアベイラビリティに関するエラーを、アラーム・メッセージによってより効率的に通知できるようになる。
【0011】
特に、本発明の1つの実施の形態によれば、前記アラーム・メッセージは、障害を発生した通信要素のIDを含んでいるものとすることができ、そうすることによって、ユーザ・システムが、その障害の発生によって変化したコンティニュイティ予測値を、可能最大限の精度をもって算出できるようになる。そのため、通信要素が障害を発生したときには、殆ど常に、複数のモニタ・ステーションが同時に障害を発生するのであるが、以上のようにすることで、1つのアラーム・メッセージ内にアベイラビリティ無しとして個々のモニタ・ステーションを明示する必要がなくなる。
【0012】
本発明は更に、その1つの実施の形態によれば、衛星ナビゲーション・システムに関するものであり、この衛星ナビゲーション・システムは、宇宙側セグメントと地上側セグメントとを備え、前記宇宙側セグメントは複数の衛星を含んで成り、それら複数の衛星はナビゲーション・メッセージを含む衛星信号を送信し、それら衛星信号はユーザ・システムが測位及びナビゲーションのために受信して解析する信号であり、前記地上側セグメントは前記複数の衛星を監視する複数のモニタ・アンド・コマンド・ステーションを含んで成る、衛星ナビゲーション・システムであって、1つまたは複数の前記モニタ・アンド・コマンド・ステーションが、上記本発明に係る方法を実施することにより、該衛星ナビゲーション・システムにおけるステータス・レポートを最適化するように構成されている。かかる衛星ナビゲーション・システムによれば、1つには、ユーザ・システムが、モニタ・システムの特性を、みずからの目的に適合するように非常に良好に設定することができ、またもう1つには、ただ1つのデータ・ストリームによって、様々な利用要求に良好に応えることができる。
【0013】
本発明は更に、その1つの実施の形態として、衛星ナビゲーション・システムにおいてナビゲーション・メッセージと共に伝送されたステータス・レポートに処理を施す方法とすることができ、この方法は、上記した本発明に係る方法により生成されて伝送されたステータス・レポートを伴うナビゲーション・メッセージを受信するステップと、受信した前記ナビゲーション・メッセージの前記ステータス・レポートに含まれている前記衛星ナビゲーション・システムの前記通信網に関する情報を求め、その求めた前記衛星ナビゲーション・システムの前記通信網に関する情報に基づいて、前記衛星ナビゲーション・システムにおけるモニタ・データのアベイラビリティについてのコンティニュイティ予測値を算出するステップとを含んでいる。
【0014】
また更に、本発明は、その1つの実施の形態として、ナビゲーション・メッセージを含む衛星ナビゲーション・システムの信号を受信するための受信装置とすることができ、この受信装置は、衛星ナビゲーション・システムにおいてナビゲーション・メッセージと共に伝送されたステータス・レポートに処理を施すための、上記本発明に係る方法を実施するように構成されている。この構成によれば、例えば、前記方法を、ナビゲーション装置などの、ナビゲーション・メッセージを受信するための受信装置のオペレーティング・ソフトウェアに組込むことができる。またこれによって、受信装置の機能性が拡張され、受信装置がユーザ・システムに、コンティニュイティに関する問題が発生したことを通知できるようになり、また、コンティニュイティ予測値を従来より高い精度をもって通知できるようになる。
【0015】
本発明のその他の利点並びにその他の用途は、添付図面に示した実施例についての以下の詳細な説明から明らかとなる。
【0016】
本明細書、特許請求の範囲、要約書、及び、添付図面に記載されている様々な構成要素は、本明細書の末尾に示した参照符号のリストに、それらに付した参照符号と共に一覧として掲載してある。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明に係る衛星ナビゲーション・システムにおけるステータス・レポートの最適化装置を備えた衛星ナビゲーション・システムの一実施形態を示した図である。
【図2】本発明に係る衛星ナビゲーション・システムにおけるステータス・レポートの最適化方法の一実施形態を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下の説明では、同一または対応する構成要素、ないしは機能的に同一または対応する構成要素には、同一の参照符号を付すことがある。
【0019】
図1に示したのは、衛星ナビゲーション・システム10であり、この衛星ナビゲーション・システム10は、宇宙側セグメント12と地上側セグメント20とを備えている。宇宙側セグメント12は複数の衛星14を含んで成り、それら衛星14は地上側セグメント20の周囲を軌道を描いて回っている。また、それら衛星14は、その各々が衛星信号16を送信しており、それら衛星信号16を、例えば移動体搭載型のナビゲーション装置などのユーザ・システム18が受信しており、また更に、地上側セグメント20の複数のモニタ・アンド・コマンド・ステーション22が受信している。衛星信号16は、衛星ナビゲーション・システム10のナビゲーション・メッセージを含んでおり、そのナビゲーション・メッセージには軌道を記述したパラメータである軌道パラメータが含まれている。複数のモニタ・アンド・コマンド・ステーション22は、ガリレオにおいては、その各々が独立したユニットとして構成されており、それらモニタ・アンド・コマンド・ステーション22の機能としては特に、衛星14を監視すること、それに衛星14を操作することがある。更に、それらモニタ・アンド・コマンド・ステーション22は、受信しているナビゲーション信号(衛星信号)16を、通信網を介してコントロール・センター24(これは地上側セグメント20の中央処理地点である)へ送信しており、コントロール・センター24は、モニタ・アンド・コマンド・ステーション22が受信しているそれらナビゲーション信号16の解析を行うことによって、それらナビゲーション信号16によって伝送されている衛星14に関するデータの検証を行い、また特に、軌道、信号発生時刻、並びに、受信した信号の信号構造及びインテグリティの検証を行っている。モニタ・アンド・コマンド・ステーション22は更に、ナビゲーション・メッセージ28を生成している。そのナビゲーション・メッセージ28は、本明細書の冒頭でも述べたようにステータス・レポートを含むものであり、そのステータス・レポートは、宇宙側セグメントの全ての衛星の機械構造的状態やインテグリティなどを含むものである。モニタ・アンド・コマンド・ステーション22は更に、そのナビゲーション・メッセージ28を、複数の衛星14へシーケンシャルに送出することによって、継続的に複数のユーザ・システム18へ向けて一斉送信している。これによって、個々のユーザ・システム18が、衛星信号16を介して受信したナビゲーション・メッセージ28から、インテグリティに関する情報を、またひいては、そのとき受け取っているナビゲーション関連データの信頼性に関する情報を、取得できるようになっている。
【0020】
特に、本明細書の冒頭でも言及した、ガリレオが提供しているSolサービスのようなクリティカルサービスにとっては、地上側セグメント20の通信網のデータ・ストリームがコンティニュイティを備えているということが重要である。なぜならば、衛星ナビゲーション・システム10に問題が発生したときに、その問題の発生がSolサービスを利用しているユーザ・システム18に迅速に通知されるようにするためには、そのデータ・ストリームのコンティニュイティが確保されていなければならないからである。尚、Solサービスの具体例としては、例えば、航空機の着陸進入に際して、その航空機のナビゲーションを、衛星を利用して行うようなサービスがある。そのため、ガリレオの通信網のトポロジは、基本的に、個々の通信要素(ここでいう通信要素とは、例えば、モニタ・アンド・コマンド・ステーション22などである)のうちの1つまたは幾つかに障害が発生した場合でも、連続したデータ・ストリームが維持されるようなトポロジに設計されている。しかしながら、障害によってコンティニュイティが損なわれることがあり、また特に、例えば重要なメッセージがユーザ・システムに到達するまでの遅延時間が増大するなどによって、コンティニュイティが低下することがある。障害が発生した結果、地上側セグメント20から送出されて宇宙側セグメント12を経由してユーザ・システム18へ伝送されるメッセージの伝搬時間が増大したり、地上側セグメント20から送出されるメッセージのコンティニュイティが変動したりすることがあるからである。
【0021】
そこで、それらに対処するために、地上側セグメント20から送出するナビゲーション・メッセージ28は、通信網のトポロジや、通信網の通信要素のコンティニュイティ予測値などの、衛星ナビゲーション・システム10の通信網に関する情報を含んでいる。それら情報を、モニタ・アンド・コマンド・ステーション22においてナビゲーション・メッセージ28の中に埋込み、そのナビゲーション・メッセージ28を、通常のナビゲーション・メッセージを反復伝送するときの反復レートと比べてより低速の反復レートで、衛星信号16を介してユーザ・システム18へ反復伝送する。ユーザ・システム18は、それら情報が埋込まれたナビゲーション・メッセージに対応できるように構成されており、それら情報に基づいて、コンティニュイティ予測値を、また特に、コントロール・センター24に格納されているモニタ・データ(観測データ)のアベイラビリティについてのコンティニュイティ予測値を算出することができる。また、ある衛星14やあるモニタ・アンド・コマンド・ステーション22などの通信要素に障害が発生した場合には、地上ステーションであるモニタ・アンド・コマンド・ステーション22から、ナビゲーション・メッセージ28と共に更にアラーム・メッセージを送出するようにする。このアラーム・メッセージは、例えば障害を発生した通信要素を一義的に特定する識別情報(ID)などの、障害を発生した通信要素に関する情報を含むものとするとよく、そうすることによって、ユーザ・システム18が、通信網や、特にトポロジや個々の通信要素のコンティニュイティ予測値についての情報、及び障害を発生した通信要素に関する情報に基づいて、コントロールセンター24で用意するモニタデータのコンティニュイティを用いて計算することができるようになる。即ち、ユーザ・システム18が、コントロール・センター24に保持されている情報に基づいて、距離を計測するための信号をどれほどの精度でモニタし得るかを判定することが可能になる。尚、コンティニュイティに対するユーザ・システム18の要求が厳しくなるほど、それに対応してモニタの精度は低下せざるを得ない。なぜならば、そのコンティニュイティを確保するために、より多くの回数のモニタを実行しなければならなくなるからである。
【0022】
トポロジ並びにコンティニュイティ予測値に関する情報をナビゲーション・メッセージ28の中に埋込むために、モニタ・アンド・コマンド・ステーション22は、それに対応することのできる処理手段26を備えている。この処理手段26は、図2にフローチャートによって概要を示した方法を実施するように構成されており、より具体的には、このフローチャートに対応したアルゴリズムを実行するように構成されている。
【0023】
図2に概要を示した方法手順では、先ずステップS10において、衛星ナビゲーション・システムの通信網に関する情報を求める。このステップS10は2つのサブステップに分けられる。そのうちの第1のサブステップであるステップS102では、衛星ナビゲーション・システムの通信網のトポロジを求める。それには、例えば、コントロール・センター24にトポロジを示す情報を格納しておき、モニタ・アンド・コマンド・ステーション22が通信網を介してそれを読出せるようにしておくとよい。続く次のサブステップであるステップS104では、通信網の通信要素のコンティニュイティ予測値を求める。それには、例えば、通信要素のコンティニュイティ予測値に関するデータをコントロール・センター24のデータバンクの中に格納しておき、そして、モニタ・アンド・コマンド・ステーション22がそれを読出せるようにしておけばよい。以上のステップS10を実行するには、例えば、モニタ・アンド・コマンド・ステーション22の処理手段26が、先ず、コントロール・センター24に格納されているトポロジの情報に対する問合せを送信し、次に、コントロール・センター24から受信するトポロジに関するデータをバッファに格納し、続いて、そのトポロジに関するデータに記述されている通信要素を特定して、その通信要素のコンティニュイティ予測値をコントロール・センター24のデータバンクから読出すようにすればよい。続いて処理手段26は、こうして取得したデータに基づいて、ナビゲーション・メッセージ28を生成し、生成されたナビゲーション・メッセージ28は、比較的低速で反復伝送されて、宇宙側セグメント12の複数の衛星14へ次々とシーケンシャルに伝送される。こうして伝送されるナビゲーション・メッセージ28に含まれている通信網に関する情報は、広い意味でいうならば衛星ナビゲーション・システムに関するステータス・レポートであり、より狭い意味でいうならば衛星ナビゲーション・システムの通信網に関するステータス・レポートである。更に、コントロール・センター24が、地上側セグメント20の個々のモニタ・アンド・コマンド・ステーション22へ信号を送出して、それらモニタ・アンド・コマンド・ステーション20においてトポロジ及びコンティニュイティ予測値の自動的な変更が行われるようにすることができるようにしてあり、これを行うことによって、モニタ・アンド・コマンド・ステーション22が、比較的低速の反復レートで反復伝送されるナビゲーション・メッセージに、自動的に適合するようにしてある。
【0024】
本発明によれば、衛星ナビゲーション・システムのユーザ・システムが、衛星ナビゲーション・システムのモニタ・システムの特性を、みずからの目的に適合するように良好に設定することができる。また更に、ただ1つのデータ・ストリームによって、様々な利用要求に応えることができ、これが可能であるのは、ユーザ・システムが、伝送されてくる通信網に関する情報に基づいてコンティニュイティ予測値を算出することができるからである。また更に、例えばモニタ・アンド・コマンド・ステーションなどの複数の地上ステーションにおける測距データのアベイラビリティに関するエラーを、アラーム・メッセージによって極めて効率的に通知することができる。衛星ナビゲーション・システムの通信要素が障害を発生したときには、殆ど常に、複数のモニタ・ステーションが同時に障害を発生するのであるが、以上により、1つのアラームメッセージ内にアベイラビリティ無しとして個々のモニタ・アンド・コマンド・ステーションを明示する必要がない。
【符号の説明】
【0025】
10 衛星ナビゲーション・システム
12 宇宙側セグメント
14 衛星
16 衛星信号
18 ユーザ・システム
20 地上側セグメント
22 モニタ・アンド・コマンド・ステーション
24 コントロール・センター
26 ナビゲーション・メッセージ28に処理を施すための処理手段
28 モニタ・アンド・コマンド・ステーション22が送出するナビゲーション・メッセージ
S10〜S12 方法ステップ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
衛星ナビゲーション・システムにおけるステータス・レポートの最適化方法において、
前記衛星ナビゲーション・システムの通信網に関する情報を求める情報取得ステップ(S10)と、
求めた前記情報を、ステータス・レポートとして、1つまたは複数のナビゲーション・メッセージを介して伝送する情報伝送ステップ(S12)と、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項2】
前記衛星ナビゲーション・システムの前記通信網に関する情報を求める前記情報取得ステップ(S10)は、
前記衛星ナビゲーション・システムの前記通信網のトポロジを求めるステップ(S102)と、
前記通信網の通信要素のコンティニュイティ予測値を求めるステップ(S104)と、
を含んでいることを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項3】
求めた前記衛星ナビゲーション・システムの前記通信網に関する情報を伝送する前記情報伝送ステップが、通常のナビゲーション・メッセージより低速で反復伝送されるナビゲーション・メッセージの形で実行される、
ことを特徴とする請求項1または2記載の方法。
【請求項4】
1つまたは複数の通信要素における障害の発生情報を、1つまたは複数のアラーム・メッセージを介して伝送する障害発生情報伝送ステップ(S14)を更に含む、
ことを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項記載の方法。
【請求項5】
前記アラーム・メッセージは、障害を発生した通信要素のIDを含んでいる、
ことを特徴とする請求項4記載の方法。
【請求項6】
宇宙側セグメント(12)と地上側セグメント(20)とを備え、前記宇宙側セグメント(12)は複数の衛星(14)を含んで成り、それら複数の衛星(14)はナビゲーション・メッセージを含む衛星信号(16)を送信し、それら衛星信号(16)はユーザ・システム(18)が測位及びナビゲーションのために受信して解析する信号であり、前記地上側セグメント(20)は前記複数の衛星(14)を監視する複数のモニタ・アンド・コマンド・ステーション(22)を含んで成る、衛星ナビゲーション・システム(10)において、
1つまたは複数の前記モニタ・アンド・コマンド・ステーション(22)が、請求項1乃至5の何れか1項記載の方法を実施することにより、該衛星ナビゲーション・システム(10)におけるステータス・レポートを最適化するように構成されている、
ことを特徴とする衛星ナビゲーション・システム(10)。
【請求項7】
衛星ナビゲーション・システムにおいてナビゲーション・メッセージと共に伝送されたステータス・レポートに処理を施す方法において、
請求項1乃至5の何れか1項記載の方法により生成されて伝送されたステータス・レポートを伴ったナビゲーション・メッセージを受信するステップと、
受信している前記ナビゲーション・メッセージの前記ステータス・レポートに含まれている前記衛星ナビゲーション・システムの前記通信網に関する情報を求め、その求めた前記衛星ナビゲーション・システムの前記通信網に関する情報に基づいて、前記衛星ナビゲーション・システムにおけるモニタ・データのアベイラビリティについてのコンティニュイティ予測値を算出するステップと、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項8】
ナビゲーション・メッセージ(28)を含む衛星ナビゲーション・システム(10)の信号(16)を受信するための受信装置(18)において、
請求項7記載の方法を実施するように構成されている、
ことを特徴とする受信装置(18)。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2009−288242(P2009−288242A)
【公開日】平成21年12月10日(2009.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−126173(P2009−126173)
【出願日】平成21年5月26日(2009.5.26)
【出願人】(500466717)アストリウム・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング (34)
【Fターム(参考)】