説明

衛生的な手の消毒および消毒目的の手の洗浄のための組成物

【課題】
衛生的な手の消毒、消毒目的の手の洗浄のための、および皮膚の消毒剤としての特に低い表面張力およびそれによる優れた濡れ性を有する消毒用組成物を提供すること。
【解決手段】
1以上の1−または2−(C1 からC24アルキル)−グリセロールエーテル(グリセロールモノアルキルエーテル)、1以上のビスピリジニウムアルカンおよび適切であれば1以上のポリオールおよび/またはc1)ノニオン性界面活性剤およびc2)第4級アンモニウム化合物の群より選択される1以上の界面活性剤を含む組成物を提供すること。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、好ましくは衛生的な手の消毒および消毒目的の手の洗浄のために用いられる消毒用組成物に関する。その組成物は、特に皮膚の消毒物として適切である。
【背景技術】
【0002】
手の消毒、手の汚染防止、および皮膚の消毒の目的は、微生物およびウイルスの伝播を防止し、または身体の危険領域またはより感受性の高い領域への望ましからぬ侵入を抑制することである。衛生的な手の消毒および消毒目的の手の洗浄のための組成物は、ある種の効果上の要求、標準として規定されるいくつかを満足させねばならない。さまざまの方法が汚染後の手の処置のために可能である。
【0003】
水を加えない摩擦方法としてのEN1500と合致する衛生的な手の消毒は、微生物が周囲に広がるリスクが無く、水の中に存在し得る微生物による手の再汚染のリスクも無く、手の一過性の微生物の死または不活性化を引き起こす。水道水を用いる微生物殺傷組成物によるEN1499と合致する消毒目的の手の洗浄は、同様に、周囲に微生物が広がることを妨げることなく一過性の微生物に対抗する。特にそれは、洗浄手順の間に微生物を減少させる役割をするが、手の消毒には置き換わりえない。消毒目的の手の洗浄では、組成物は希釈されずにこすられ、少しの水とともに発泡し、手は洗浄され、水により徹底的にすすがれる。
【0004】
消毒目的の手の洗浄および衛生的な手の消毒のための組成物は、短時間(例えば、30秒または1分)作用した後有効でなければならない。効果試験では、短時間作用した後は良好な効果(RF>3桁の強度)が存在することが重要である。毒性学的な理由のために、加えて、適切な効果のほかに、特に、ヒトの皮膚との相容性が保証されることが必要である。
【0005】
消毒目的の手の洗浄のための市販の組成物は、通常、アルコールまたは界面活性剤含有液体石鹸およびさらに殺生物剤が加えられている直接使用できる洗浄ローションである。公知の組成物には、殺生物剤としてたとえば短鎖アルコールおよび添加剤として皮膚の相容性と受容性を改善するための脂肪添加剤(superfatting agent)、保湿剤および香料が含まれる。効果を高め、手の微生物の数が再び増加することを防ぐことを意図する残留効果を達成するために、公知の組成物はまた、しばしば、ビグアニド(例えばクロルヘキシジン)、第4級アンモニウム化合物(例えばベンザルコニウムクロリド)、フェノール誘導体(例えばオルソフェニルフェノール)またはカルボン酸のような付加的な薬剤も含む。したがって、例えば手の消毒のための公知の水性組成物は、0.1重量%のオクテニジンジヒドロクロリドおよび2重量%のフェノキシエタノールおよび添加剤としてグルコン酸ナトリウム、グリセロールおよびコカミドプロピルベタインが含まれる。
【0006】
消毒目的の手の洗浄のための公知の組成物は、多数の欠点を有する。したがって、いくつかの製品は常に満足しない効果しか示さず、または所望される効果は長時間作用させた後でのみ達成される。いくつかの組成物は、不十分な皮膚の相容性を付加的に有する。したがって、クロルヘキシジンに基づく製品は皮膚に相容性がない傾向があることが報告され、例えばクロロアニリンの部分的放出が起こることが示唆される。
【0007】
付加的な要因は、クロルヘキシジンのような有機的に結合したハロゲンを有する薬剤は、条件環境相容性のみしか有さない。さらに、クロルヘキシジンは洗浄製品の中で比較的高濃度の薬剤(例えば2重量%)を有してのみ十分に有効であり、汚染された表面上での脱色をもたらし得る。ポリ(ヘキサメチレンビグアニド)ヒドロクロリドは、構造が正確に規定されていない高分子ビグアニド塩である。この理由のために、この薬剤を含む医薬製品はまだドイツでは販売の認可を受けていない。高分子ビグアニドは、化粧品組成物について0.3重量%までの濃度でのみ用いられ得る。
【0008】
付加的な要因は、公知の組成物が比較的高い粘度および/または比較的高い表面張力を有すると言うことである。そのような組成物は、手の消毒のためには基本的にはあまり適切ではないと言うだけのことである。と言うのは、手の消毒剤が可能な限り完全に皮膚上の微生物を攻撃し、そうして可能な限り完全に皮膚をぬらすことは必須事項だからである。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
したがって、良好な効果と同時に、良好な皮膚の相容性および公知の組成物と比較してよりすぐれた(より減少した)表面張力を有する組成物についての必要が存在する。特に、本発明の目的は毒性学的に許容可能であり、皮膚と相容性があり、良好な微生物殺傷効果を有する皮膚の消毒剤を提供することであった。
【課題を解決するための手段】
【0010】
さて、驚くべきことに、先行技術の問題は、a)1以上の1−または2−(C1 からC24アルキル)グリセロールエーテル(グリセロールモノアルキルエーテル)、b)1以上のビスピリジニウムアルカンおよびc)1以上のポリオールおよび/またはc1)ノニオン性界面活性剤およびc2)第4級アンモニウム化合物の群から選択される1以上の界面活性剤を含む組成物により克服され得ることが見出された。本発明による組成物は、良好な効果と同時に、良好な皮膚の相容性および安定性および非常に低下した表面張力を有する。それらは、公知の組成物と比較してきわめて優れた効果を示す。さらに、効果の相乗作用による向上がいくつかの場合に観察される。多数の界面活性剤について観察されるビスピリジニウムアルカンおよびグリセロールモノアルキルエーテルの効果のよく見られる顕著な阻害は、群c)の化合物については発生しない。
【0011】
組成物は、個人的な衛生のための製品として、および衣料用洗浄製品、手、皮膚、身体のすべての洗浄のための高付加価値の石鹸を含まない洗浄製品として、および入浴剤として、および生物の表面(例えば、皮膚、手、粘膜、外傷)および無生物の表面(例えば、装置、道具、内視鏡)の消毒または汚染防止のための製品として用いられ得る。
【0012】
この関連で好ましい組成物は、2−フェノキシエタノール、ベンジルアルコール、フェネチルアルコール、1−フェノキシプロパン−2−オール、3−(4−クロロフェノキシ)−1,2−プロパンジオール、クロロブタノール、2,4−ジクロロベンジルアルコールまたはそれらの混合物のような芳香族アルコールの存在しないものである。さらに、好ましい組成物は、安息香酸、プロピオン酸、サリチル酸、ソルビン酸、4−ヒドロキシ−安息香酸、デヒドロ酢酸および10−ウンデシレン酸および/または言及された遊離酸のいずれかの塩から選択される塩を含まないものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
グリセロールモノアルキルエーテル
すべての適切なグリセロールモノアルキルエーテルを使用することが可能である。シクロアルキル基もまたアルキル基とみなされる。グリセロールモノアルキルエーテルのアルキル基は、好ましくは脂肪族分岐鎖または非分岐鎖C3 からC18アルキル基、より好ましくは分岐鎖または非分岐鎖C6 からC12炭化水素基、特に、分岐鎖または非分岐鎖オクチルまたはドデシル基である。本発明により用いられるグリセロールモノアルキルエーテルの例は、ドデシルグリセロールエーテル、デシルグリセロールエーテル、オクチルグリセロールエーテル、プロピルグリセロールエーテル、オクタデシルグリセロールエーテル(バチルアルコール)、ヘキサデシルグリセロールエーテル(キミルアルコール)、およびオクタデセニルグリセロールエーテル(セラチルアルコール)である。好ましくは、1−グリセロールモノアルキルエーテルが用いられる。1−(2−エチルヘキシル)−グリセロールエーテル(センシバ(登録商標)SC50)および1−ドデシルグリセロールエーテルが特に好ましい。
【0014】
グリセロールモノアルキルエーテルの含有量は、一般的に、0.03から5重量%、好ましくは0.05から3重量%、より好ましくは0.15から0.5重量%、例えば約0.25重量%のような0.1から1重量%の範囲にある。
【0015】
ビスピリジニウムアルカン
すべての適切なビスピリジニウムアルカンが本発明により用いられ得る。本発明により用いられるビスピリジニウムアルカンは、好ましくは、一般式IまたはIIのビス[4−(置換されたアミノ)−1−ピリジニウム]アルカンである。
【化2】

【0016】
ここで、Yは4個から18個の炭素原子を有するアルキレン基であり、Rは6個から18個の炭素原子を有するアルキル基または5個から7個の炭素原子を有するシクロアルキル基またはハロゲン原子により置換され得るフェニルラジカルであり、Aはアニオンまたは複数のアニオンである。特に好ましい態様において、本発明により用いられるビスピリジニウムアルカンは、N,N’−(1,10−デカンジイルジ−1[4H]−ピリジニル−4−イリデン)ビス(1−オクタンアミン)ジヒドロクロリド(オクテニジンジヒドロクロリド)である。オクテニジンジスルフェートもまたさらに適切である。
【0017】
好ましい態様において、ビスピリジニウムアルカンの含有量は、0.01から2重量%、より好ましくは0.02から1.5重量%、特に0.06から0.2重量%、例えば約0.1重量%のような0.04から0.6重量%の範囲にある。
【0018】
ポリオール
すべてのポリオールが本発明により用いられ得る。この関連で好ましい態様は、ポリオールが3以上のヒドロキシ基を有するものである。1以上の界面活性剤c1)および/またはc2)の任意の付加的な存在とともに組成物が1以上のポリオールを含む態様がさらに好ましい。
【0019】
適切なポリオールの例は、1,2−プロピレングリコール、グリセロール、エリスリトール、1,2,6−ヘキサントリオール、イノシトール、ラクチトール、マルチトール、マンニトール、メチルプロパンジオール、フィタントリオール、ポリグリセロール、ソルビトールおよびキシリトールであり、特に好ましいのは、グリセロールである。
【0020】
好ましい態様において、ポリオールの含有量は、0.05から10重量%、より好ましくは0.2から7重量%、特に例えば約0.4重量%のような0.4から5重量%の範囲にあり、または例えば約2.4重量%のような1.5から4重量%の範囲にある。
【0021】
ノニオン性界面活性剤
すべての適切なノニオン性界面活性剤を本発明によるノニオン性界面活性剤として用いることが可能であり、好ましくは、(脂肪)アルコールエトキシレート、アルキルポリグリコシド(特にアルキルポリグルコシド)、アミンオキシド、エチレンオキシド/プロピレンオキシドブロックコポリマー、両性界面活性剤およびエーテルカルボン酸を用いることが可能であり、特に好ましいのは脂肪アルコールエトキシレートである。
【0022】
アルコールポリアルコキシレートには、脂肪アルコールアルコキシレート、例えば、さまざまの比率のエチレンオキシドを有するイソデシルエトキシレート、イソトリデシルエトキシレート、ステアリル、ラウリルおよびセチルおよびオレイルアルコールのポリエチレングリコールエーテルが含まれる。この関連において、アルコールは、エチレンオキシド、プロピレンオキシドまたはエチレンオキシドとプロピレンオキシドの混合物によりアルコキシル化されることが可能である。アルコールポリアルコキシレートは、とりわけ、名称ルテンゾール(登録商標)、マルリパール(登録商標)、マルロックス(登録商標)、ブリッジ(登録商標)およびプルラファック(登録商標)の下で公知である。ラウリルアルコールエトキシレートは、ノニオン性界面活性剤として特に好ましい。
【0023】
オレエート、ステアレート、ラウレートおよびパルミテートの形態で存在するソルビタンエステルはノニオン性界面活性剤としてもまた用いられるし、ポリソルベート(例えばトゥイーン(登録商標))と称される)。ノニオン性界面活性剤がアルキルグルコシド(すなわち、グルコースのアルキルグリコシド)のようなアルキルグリコシド、より好ましくはC8 からC20アルキルポリグルコース、特に、C8 からC16アルキルポリグルコース、好ましくはラウリルポリグルコース、デシルポリグルコースまたはそれらの混合物であることが付加的に可能である。ココイルポリグルコースの場合のC鎖長は8個から16個のC原子であり、ラウリルポリグルコースの場合には、12個から16個のC原子であり、デシルポリグルコースの場合には、12個から16個のC原子であり、デシルポリグルコースの場合には同様に8個から16個のC原子である。特に好ましく用いられるノニオン性界面活性剤は名称ブリッジ(登録商標)35P(ラウレス−35、35EO単位を有するラウリルアルコール)の下で販売されるラウリルエトキシレートである。
【0024】
好ましい態様において、ノニオン性界面活性剤の量は、0.005から1重量%、より好ましくは0.015から0.05重量%、例えば約0.02重量%のような0.01から0.1重量%である。
【0025】
第4級アンモニウム化合物
基本的に、本発明によれば、すべての適切な第4級アンモニウム化合物を用いることが可能である。第4級アンモニウム化合物は、好ましくはベタインおよびジメチルアンモニウム塩から選択される。
【0026】
本発明により用いられる第4級アンモニウム塩は、式[R1 2 3 (CH3 )N]+[X]- により表され、ここでR1 からR3 は同一または異なってもよく、C1 からC30アルキル、アラルキル、アルケニルおよび混合された官能基から選択され、それらはO、S、NおよびPから選択される1以上の原子を有しうるものであり、ここでR1 からR3 は例えばC8 からC18アルキル、ベンジルまたはメチル、好ましくはC16アルキル、ベンジルまたはメチルのようなC9 からC18アルキル、ベンジルまたはメチルである。Xはアニオンである(無機酸または有機酸)。この関連において、第4級アンモニウム塩のアニオンとカチオンの両方が多価の荷電したイオンであることが可能であり、化学量論量[A(n+)m [K(m+)n をもたらす。
【0027】
本発明による適切な第4級アンモニウム塩は、当該技術で公知の上記式のすべての第4級アンモニウム塩であり、例えばWO00/63337において開示され、それは参照により本明細書に組み込まれる。しかしながら、好ましくはジアルキルジメチルアンモニウム塩が用いられ、それは例えばアルキル鎖がC8 からC18アルキル、好ましくはC16アルキルのようなC9 からC18アルキルから互いに独立に選択されるジアルキルジメチルアンモニウムクロリドである。ジアルキルジメチルアンモニウム塩の中のメチル基の1つは、アルコキシル化されうるものであり、例えばエトキシル化され、ヒドロキシメチル基となる。
【0028】
本発明により好ましく用いられる第4級アンモニウム塩は、式[R1 N(CH3 3 +[X]- 、[R1 2 N(CH3 2 + [X]- 、および[R1 2 3 (CH3 )N]+ [X]- の化合物であり、ここでR1 からR3 はC8 からC18アルキルおよび−(CH2 −CHR4 O)n −R5 から互いに独立に選択され、nは1から20、好ましくは1から5の数であり、同一または異なってもよいR4 およびR5 はHおよび/またはC1 からC4 アルキル、好ましくはHである。
【0029】
本発明により用いられる第4級アンモニウム塩のアニオンの例およびアニオンのクラスは、水酸化物、硫酸塩、硫酸水素塩、メト硫酸塩、エト硫酸塩、ラウリル硫酸塩、ラウリルエーテル硫酸塩、セルロース硫酸塩、スルファミン酸塩、ハロゲン化物(フッ化物、塩化物、臭化物、ヨウ化物)、亜硝酸塩、硝酸塩、炭酸塩、炭酸水素塩、リン酸塩、アルキルリン酸塩、メタリン酸塩、ポリリン酸塩、チオシアン酸塩、安息香酸塩、乳酸塩、酢酸塩、プロピオン酸塩、クエン酸塩、コハク酸塩、グルタール酸塩、アジピン酸塩、トルエンスルホン酸塩(トシレート)およびサリチル酸塩のようなカルボン酸塩である。特に好ましいアニオンは、塩化物およびプロピオン酸塩である。
【0030】
特に好ましく用いられる第4級アンモニウム塩は、メセトロニウムエチルスルフェート(ヘキサデシル(エチル)ジメチルアンモニウムエチルスルフェート)およびベンザルコニウムクロリドである。
【0031】
すべての適切なベタインがベタインとして用いられ得る。コカミドプロピルベタインが特に好ましい。
【0032】
第4級アンモニウム化合物の好ましい量は、0.01から5重量%の範囲にある。ベタインの量は、好ましくは0.03から5重量%、より好ましくは0.05から3重量%、特に0.15から0.5重量%のような0.1から1重量%の範囲にあり、例えば約0.3重量%である。第4級アンモニウム塩(例えばメセトロニウムエチルスルフェートまたはベンザルコニウムクロリド)の量は、好ましくは0.01から5重量%、より好ましくは0.02から2.5重量%、特に0.05から0.4重量%のような0.04から0.8重量%である。
【0033】
付加的に好ましい組成物は、アラントインまたはグルコン酸ナトリウムのようなスキンケア添加物をそれら0.05から0.5重量%、より好ましくは0.1から0.3重量%付加的に含むものである。
【0034】
本発明の組成物は、好ましくは水性組成物の形態にあり、組成物に対して5から99.5重量%、より好ましくは30から99重量%、特に80から98重量%、90から97.5重量%、例えば96から97重量%のような50から98.5重量%を含む。
【0035】
特に好ましい組成物は、
a)0.15から5重量%の1−(2−エチルヘキシル)グリセロールエーテル、
b)0.06から0.2重量%のオクテニジンジヒドロクロリド、および
c)1.5から4重量%のグリセロール
および
c1)0.015から0.05重量%のノニオン性界面活性剤、
c2)0.15から0.5重量%の第4級アンモニウム化合物、好ましくは、コカミドプロピルベタイン、ベンザルコニウムクロリドまたはメセトロニウムエチルスルフェートおよび/または
d)0.2から0.6重量%のグルコン酸ナトリウム
を充当する、
を含む。
【0036】
組成物は、着色料、香料、緩衝材、電解質、および保湿剤のような機能性添加剤を付加的に含んでもよい。組成物の好ましいpHは、4から8、好ましくは5から6である。
【0037】
本発明はさらに、特に皮膚の消毒剤としての衛生的な手の消毒または消毒目的の手の洗浄のための組成物の使用に関する。本発明による組成物は、衛生的な外科用の手の消毒、衛生的な手の洗浄、手の汚染防止、皮膚の汚染防止、個人的な衛生用洗浄ローションのために適切であり、抗微生物的な洗浄ローションとして適切であり、MRS(メチシリン耐性スタフィロコッカス・アウレウス)と関連する全身の洗浄とケアのために適切であり、さらに、消毒目的の手の洗浄のために、患者の衛生的なカテーテルケアのために適切であり、例えば、抗微生物石鹸、手の洗浄用のゲルまたは手の洗浄のためのローションのような手の洗浄製品として適切である。それらは、例えば病院、医療施設、老人ホームおよび看護ホームのような医療的および非医療的セクターおよび食品製造セクターにおける強い衛生上の要求を伴うすべてのセクターで有益に用いられ得る。
【0038】
本発明による組成物はまた、アルコール含有物、消毒剤、ゲル組成物、軟膏組成物、および抗微生物被覆物として配合されてもよい。
【0039】
本発明は、
a)3−(1−メントキシ)−1,2−プロパンジオール(グリセロールモノメンチルエーテル)および
b)1以上のビスピリジニウムアルカン
および
c)1以上のポリオールおよび/またはc1)ノニオン性界面活性剤およびc2)第4級アンモニウムの群より選択される1以上の界面活性剤
を充当する、
を付加的に含む組成物に関する。
【0040】
この最後に言及される態様において、成分c)の存在は、任意である。好ましいグリセロールモノアルキルエーテル、ビスピリジニウムアルカンなどに関する上記注意およびそれぞれの場合に用いられる量は対応して適用される。本発明によるそのような組成物について、グリセロールモノメンチルエーテルの水溶性はビスピリジニウムアルカン(特にオクテニジンジヒドロクロリド)の添加により有意に向上する。本発明によるそのような組成物は、衛生的な手の消毒または消毒目的の手の洗浄のために、皮膚の消毒剤、防腐剤、外傷の消毒剤、消臭剤または口腔の衛生用製品として用いられ得る。
【0041】
手の消毒のためにグリセロールモノアルキルエーテルを含む本発明による組成物によりほんの短時間後に効果が達成されることは驚くべきことであった。グリセロールモノアルキルエーテルは、例えばDE4240674C1から消臭剤として機能することは公知であるが、消毒は消臭のためには不十分である。この理由のために、公知の消臭剤は抗生物活性しか有さず、一方手の消毒は微生物殺傷活性を有さねばならない。付加的な要因は、グリセロールモノアルキルエーテルそれ自体は、実質的に微生物殺傷効果を有さず、したがって手の消毒のための(単独の)薬剤としては不適切である。それゆえ、グリセロールモノアルキルエーテルが手の消毒効果に対して本発明による組成物について寄与することは驚くべきことであった。
【0042】
また、長時間皮膚上にとどまる性質が意図される消臭剤組成物は、好ましくは界面活性剤が存在しない。したがって、消臭剤と界面活性剤との間の相容性は消臭剤組成物では不十分である。対照的に、本発明による組成物がビスピリジニウムアルカンとグリセロールモノアルキルエーテルの効果を損なうことなくノニオン性界面活性剤と第4級アンモニウム化合物で配合することができることは驚くべきことであった。
【0043】
好ましくは皮膚の消毒剤、医薬製品、腐敗防止剤、外傷消毒剤として用いられる本発明による組成物は、好ましい態様において、フェノキシエタノールおよび/またはフェノキシプロパノールが存在せず、毒性学的に許容可能である。本発明による組成物は、付加的に以下の利点を有する。
【0044】
−良好な抗微生物効果と良好な短時間効果(例えば、30または60秒間の作用)と組み合わせられた良好な耐久性およびグラム陰性細菌に対するきわめて良好な効果。
【0045】
−ウイルス(外膜があるものと無いもの)およびMRSAのような多様な薬物に耐性の微生物に対する良好な効果。
【0046】
−自己保存性であるためにさらに保存料を添加する必要が無いこと。
【0047】
−水についての溶解性およびグリセロールモノアルキルエーテル(1−(2−エチルヘキシル)グリセロールエーテルのような)の水性組成物は単に限定されている(水についての溶解性0.1重量%)。本発明による組成物中のビスピリジニウムアルカンの存在は、グリセロールモノアルキルエーテルの水についての顕著に優れた溶解性をもたらす。
【0048】
−低い表面張力/低い接触角およびそれによる例外的に良好な濡れ性効果。
【0049】
本発明の利点は、以下の例(重量%のデータ)から特に明瞭となる。
【0050】

以下の組成物が配合された(重量%の比率)。
【表1】

【0051】
表面張力と接触角の研究
表面張力と接触角(ガラス上)の測定を組成物A、F、およびHを用いて実施した。接触角を、ドイツのハンブルグのA,クリュスオプトロニックGmbHにより提供されるG10接触角測定装置を用いることにより測定した。表面張力を、ドイツのハンブルグのA.クリュスオプトロニックGmbH由来のDSA10装置およびソフトウエアを用いて懸垂滴下法により測定した。
【表2】

【0052】
組成物の効果を測定するための方法
本発明による組成物の効果を定量的懸濁試験で試験した。化学的消毒方法、J.ゲーベル、H.P.ベルナー、A.キルシュ−アルテナ、K.バンセミール、mhp ファーラックGmbH、ビースバーデン、ドイツ、方法9.1(日付:2001年9月1日)(細菌(マイコバクテリアは別である)および真菌についての定量的懸濁試験)を試験するためのDGHMの標準方法を比較する。
【0053】
効果試験
【表3】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
消毒用組成物であって、
a)1以上の1−または2−(C1 からC24アルキル)グリセロールエーテル(グリセロールモノアルキルエーテル)、
b)1以上のビスピリジニウムアルカンおよび
c)1以上のポリオールおよび/またはc1)ノニオン性界面活性剤およびc2)第4級アンモニウム化合物の群から選択される1以上の界面活性剤
を含む組成物。
【請求項2】
前記グリセロールモノアルキルエーテルのアルキル基が分岐鎖または非分岐鎖C3 からC18アルキル基、特に2−エチルヘキシル基またはドデシル基であることを特徴とする請求項1記載の組成物。
【請求項3】
前記グリセロールモノアルキルエーテルが1−(2−エチルヘキシル)グリセロールエーテルであることを特徴とする請求項1または2記載の組成物。
【請求項4】
a)3−(1−メントキシ)−1,2−プロパンジオールおよび
b)1以上のビスピリジニウムアルカン
および
c)1以上のポリオールおよび/またはc1)ノニオン性界面活性剤およびc2)第4級アンモニウム化合物の群から選択される1以上の界面活性剤
を充当する、
を含む組成物。
【請求項5】
0.03から5重量%のグリセロールモノアルキルエーテルを含むことを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項記載の組成物。
【請求項6】
前記ビスピリジニウムアルカンが一般式IまたはIIのビス[4−(置換されたアミノ)−1−ピリジニウム]−アルカンであることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1項記載の組成物。
【化1】

ここで、Yは4個から18個の炭素原子を有するアルキレン基であり、Rは6個から18個の炭素原子を有するアルキル基または5個から7個の炭素原子を有するシクロアルキル基またはハロゲン原子により置換され得るフェニルラジカルであり、Aはアニオンまたは複数のアニオンである。
【請求項7】
前記ビスピリジニウムアルカンがオクテニジンジヒドロクロリドであることを特徴とする請求項1ないし6のいずれか1項記載の組成物。
【請求項8】
0.01から2重量%のビスピリジニウムアルカンを含むことを特徴とする請求項1ないし7のいずれか1項記載の組成物。
【請求項9】
c)1以上のポリオールおよび1以上の界面活性剤c1)および/またはc2)を充当する、を含むことを特徴とする請求項1ないし8のいずれか1項記載の組成物。
【請求項10】
前記ポリオールが1,2−プロピレングリコール、グリセロール、エリスリトール、1,2,6−ヘキサントリオール、イノシトール、ラクチトール、マルチトール、マンニトール、メチルプロパンジオール、フィタントリオール、ポリグリセロール、ソルビトールおよびキシリトールから選択され、好ましくはグリセロールであることを特徴とする請求項1ないし9のいずれか1項記載の組成物。
【請求項11】
0.05から10重量%のポリオールを含むことを特徴とする請求項1ないし10のいずれか1項記載の組成物。
【請求項12】
ノニオン性界面活性剤が脂肪アルコールエトキシレート、アルキルポリグリコシド、アミンオキシド、エチレンオキシド/プロピレンオキシドブロックコポリマー、両性界面活性剤、エーテルカルボン酸から選択され、好ましくは脂肪アルコールエトキシレートであることを特徴とする請求項1ないし11のいずれか1項記載の組成物。
【請求項13】
0.005から1重量%のノニオン性界面活性剤を含むことを特徴とする請求項1ないし12のいずれか1項記載の組成物。
【請求項14】
前記第4級アンモニウム化合物がベタインおよびジメチルアンモニウム塩、好ましくはコカミドプロピルベタイン、メセトロニウムエチルスルフェートおよびベンザルコニウムクロリドから選択されることを特徴とする請求項1ないし13のいずれか1項記載の組成物。
【請求項15】
0.01から5重量%の第4級アンモニウム化合物を含む請求項1ないし14のいずれか1項記載の組成物。
【請求項16】
a)0.15から5重量%の1−(2−エチルヘキシル)グリセロールエーテル、
b)0.06から0.2重量%のオクテニジンジヒドロクロリドおよび
c)1.5から4重量%のグリセロール
および
c1)0.015から0.05重量%のノニオン性界面活性剤、好ましくはラウレス−35、
c2)0.15から0.5重量%の第4級アンモニウム化合物、好ましくはコカミドプロピルベタイン、ベンザルコニウムクロリドまたはメセトロニウムエチルスルフェートおよび/または
d)0.2から0.6重量%のグルコン酸ナトリウム
を充当する、
を含むことを特徴とする請求項1ないし15のいずれか1項記載の組成物。
【請求項17】
衛生的な手の消毒または消毒目的の手の洗浄のための、特に皮膚の消毒剤としての
a)1以上の1−または2−(C1 からC24アルキル)グリセロールエーテル(グリセロールモノアルキルエーテル)、
b)1以上のビスピリジニウムアルカンおよび
c)1以上のポリオールおよび/またはc1)ノニオン性界面活性剤およびc2)第4級アンモニウム化合物の群より選択される1以上の界面活性剤
を含む組成物の使用。
【請求項18】
衛生的な手の消毒または消毒目的の手の洗浄のための、皮膚の消毒剤、腐敗防止剤、外傷消毒剤、消臭剤または口腔衛生製品としての
a)3−(1−メントキシ)−1,2−プロパンジオールおよび
b)1以上のビスピリジニウムアルカン
および
c)1以上のポリオールおよび/またはc1)ノニオン性界面活性剤およびc2)第4級アンモニウム化合物の群から選択される1以上の界面活性剤
を充当する、
を含む組成物の使用。

【公開番号】特開2006−213708(P2006−213708A)
【公開日】平成18年8月17日(2006.8.17)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2006−10032(P2006−10032)
【出願日】平成18年1月18日(2006.1.18)
【出願人】(399035504)エール・リキード・サンテ(アンテルナスィオナル) (26)
【Fターム(参考)】