説明

衝撃及び音響センサ

【課題】衝撃及び音響の双方を検出することができる衝撃及び音響センサを提供する。
【解決手段】パッケージ2内に第1,第2の圧電素子16,20が収納されており、第1,第2の圧電素子16,20が、音響入力に対して逆相で変形し、振動入力に対して同相で変形するように配置されており、かつ第1,第2の圧電素子の出力信号が個別に引き出されるように構成されている配線構造を備える、衝撃及び音響センサ1。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、衝撃と音圧とを検出することが可能な衝撃及び音響センサに関し、より詳細には、複数の圧電板を用いた衝撃及び音響センサに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、圧電素子を用いた音響センサや加速度センサなどが種々提案されている。下記の特許文献1には、機械的振動消去圧電セラミック・マイクロフォンが開示されている。
【0003】
図16に示すように、このマイクロフォン1001では、ハウジング1002内に、圧電素子1003,1004が対向配置されている。圧電素子1003,1004は、ハウジング1002内を仕切っているダイアフラム1005,1006にそれぞれ貼り付けられている。それによって、ハウジング1002内が、空間A1〜A3に区画されている。空間A3は、ダイアフラム1005,1006が対向している部分である。空間A3に臨むように、ハウジング1002には貫通孔1002aが形成されている。また、空間A1,A2にそれぞれ連なるように、それぞれ貫通孔1002b,1002cが形成されている。
【0004】
圧電素子1003,1004は、直列に接続されている。すなわち、配線1007が、圧電素子1003の一端に接続されており、圧電素子1003の他方電極が、配線1008に接続されている。また、圧電素子1004の一方電極が、配線1008に接されており、他方電極が配線1009に接されている。
【0005】
マイクロフォン1001では、貫通孔1002aから音波が空間A3内に至ると、圧電素子1003,1004が、逆相で変位する。すなわち、ダイアフラム1005,1006が、空間A1,A2側にそれぞれ突出するように屈曲し、それに伴って、圧電素子1003,1004も、空間A1,A2側に突出するように屈曲する。この場合、圧電素子1003,1004が直列に接続されているため、圧電素子1003からの信号と、圧電素子1004からの信号とに基づき、出力装置1010において入力された音圧に対する出力を取り出すことができる。すなわち、マイクロフォンとして機能する。
【0006】
他方、図17に示すように、矢印Fで示す方向に衝撃が加わった場合、圧電素子1003,1004は同相で変位する。しかしながら、矢印F方向において、圧電素子1003の分極方向と圧電素子1004の分極方向とが反対方向となっている。そのため、圧電素子1003で取り出される信号の極性と、圧電素子1004から取り出される信号の極性が逆となる。従って、出力装置1010から信号は出力されない。
【0007】
そのため、マイクロフォン1001では、衝撃等が加わった際の音が出力されず、貫通孔1002aからハウジング1002内に到達した音圧に基づく電気信号のみが取り出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特表平6−508498号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
特許文献1に記載のマイクロフォン1001では、上記のように衝撃力による電気信号を消去することができる。しかしながら、このようなマイクロフォン1001では、音圧による信号を検出することはできるものの、上記衝撃力自体を検出することはできなかった。すなわち、マイクロフォン1001を、音響センサとして用い、さらに衝撃を検出したい場合には、衝撃センサを別途用意しなければならなかった。
【0010】
本発明の目的は、複数の圧電素子を用いて構成されており、音響だけでなく、衝撃をも検出することを可能とする衝撃及び音響センサを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係る衝撃及び音響センサは、パッケージと、パッケージ内に収納されている第1及び第2の圧電素子を備える。パッケージ内においては、板状の第1及び第2の圧電素子の各一方側の空間が音響的に閉じられた空間とされている。
【0012】
第1及び第2の圧電素子は、音響入力に対して、逆位相で変形するように、かつ振動入力に対して同位相で変形するように、パッケージ内に配置されている。また、本発明では、第1の圧電素子の出力と、第2の圧電素子の出力とを個別に取り出す配線構造が設けられている。
【0013】
本発明に係る衝撃及び音響センサのある特定の局面では、前記第1及び第2の圧電素子に接続されている信号処理回路をさらに備え、第1の圧電素子の出力信号をx、第2の圧電素子の出力信号をyとしたとき、前記信号処理回路が、音響出力としてax+by(但し、a及びbは複素数)を出力し、信号出力としてax−byを出力するように構成されている。この場合には、信号処理回路から、ax+byの音響出力と、ax−byの衝撃検出出力を取り出すことができる。
【0014】
上記第1,第2の圧電素子は、バイモルフ型圧電素子であってもよく、ユニモルフ型圧電素子であってもよい。
【0015】
本発明に係る衝撃及び音響センサのさらに特定の局面では、前記パッケージ内において、前記第1の圧電素子と、前記第2の圧電素子とが対向するように配置されている。この場合には、第1,第2の圧電素子の対向方向と直交する方向の寸法を小さくすることができる。
【0016】
また、本発明に係る衝撃及び音響センサのさらに別の特定の局面では、前記パッケージ内において、第1の圧電素子と第2の圧電素子とに挟まれた空間が音響的に閉じられており、該第1の圧電素子と第2の圧電素子とに挟まれた空間とは逆の側に音が導かれる。この場合には、音響入力に対し、後気室が共通となるため、音響検出感度の低下度合いが第1及び第2の圧電素子間で等しくなる。そのため、振動検出する際に、音による信号の除去性能が高められ、S/Nを高めることができる。さらに、振動入力に対し、第1,第2の圧電素子間に挟まれた空間の体積は変化しない。そのため、空気による加速度感度の低下も生じ難い。従って、音響検出に際しては、振動による信号の除去性能が高められるので、音響検出に際してのS/Nを高めることができる。
【0017】
本発明に係る衝撃及び音響センサのさらに他の特定の局面では、前記パッケージ内において、前記第1の圧電素子と前記第2の圧電素子とに挟まれた空間に音が導かれ、前記第1及び第2の圧電素子の前記空間とは逆側が、音響的に閉じられた空間とされている。この場合には、第1,第2の圧電素子に挟まれた空間に導かれ、音による音圧が第1,第2の圧電素子に均等に加わる。従って、衝撃センサの機能として、広い周波数帯域で音に起因するノイズ信号を除去できる。
【0018】
本発明に係る衝撃及び音響センサのさらに別の特定の局面では、前記第1の板状圧電素子と、前記第2の板状圧電素子とが対向し合わないように前記パッケージ内において並設されており、前記第1及び第2の圧電素子のそれぞれにおいて、音響信号を受ける受圧面と反対側の面に音響的に閉じられた空間である後気室が設けられており、第1の圧電素子の受圧面及び後気室と、第2の圧電素子の受圧面及び後気室とが第1,第2の圧電素子に対して逆側とされている。この場合には、第1,第2の圧電素子の厚み方向に沿う衝撃及び音響センサの寸法を小さくすることができる。すなわち、低背型の衝撃及び音響センサを提供することができる。
【0019】
本発明に係る衝撃及び音響センサのさらに他の特定の局面では、前記第1,第2の圧電素子の面密度σが、0.01〜1kg/mの範囲内にある。この場合には、小型であり、高感度の衝撃及び音響センサを提供することができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明に係る衝撃及び音響センサは、第1の圧電素子及び第2の圧電素子が、音響入力に対して逆位相で変形するように、かつ振動入力に対して同位相で変形するように配置されており、第1,第2の圧電素子の出力を個別に取り出すように配線構造が形成されているので、音響及び衝撃の双方を検出することが可能となる。従って、単一のセンサにより、衝撃及び音響を検出することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】(a)及び(b)は、本発明の第1の実施形態に係る衝撃及び音響センサの正面断面図及び該衝撃及び音響センサの第1,第2の圧電素子と信号処理回路との接続関係を示すブロック図である。
【図2】(a)は、第1の実施形態における第1,第2の圧電素子の積層構造を説明するための分解斜視図であり、(b)及び(c)は、第1,第2の圧電素子の下面の電極形状を示す各模式的平面図である。
【図3】第1の実施形態の衝撃及び音響センサの第1,第2の圧電素子と信号処理回路とを示す回路図である。
【図4】(a)及び(b)は、第1の実施形態の衝撃及び音響センサにおいて、振動入力が加わった場合及び音響入力が加わった場合の第1及び第2の圧電素子の変位状態を示す各模式図である。
【図5】第1の実施形態の衝撃及び音響センサの音響センサとしての感度特性を示す図である。
【図6】第1の実施形態の衝撃及び音響センサの衝撃センサとしての感度特性を示す図である。
【図7】衝撃及び音響センサにおける音圧感度と加速度感度とのバランスが良好な例を示す模式図である。
【図8】衝撃及び音響センサにおける音圧感度と加速度感度とのバランスが良くない例を示す模式図である。
【図9】本発明の衝撃及び音響センサの変形例における衝撃及び音響センサと信号処理回路の接続関係を示すブロック図である。
【図10】本発明の第2の実施形態の衝撃及び音響センサの正面断面図である。
【図11】本発明の第3の実施形態に係る衝撃及び音響センサの正面断面図である。
【図12】本発明の第3の実施形態の衝撃及び音響センサの分解斜視図である。
【図13】本発明の第4の実施形態に係る衝撃及び音響センサの模式的正面断面図である。
【図14】本発明の第4の実施形態の衝撃及び音響センサの斜視図である。
【図15】本発明の第5の実施形態に係る衝撃及び音響センサの模式的正面断面図である。
【図16】従来のマイクロフォンの一例を示す模式的断面図である。
【図17】図16に示したマイクロフォンにおいて加速度が加わった場合の圧電素子の変位状態を説明するための模式的正面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面を参照しつつ、本発明の具体的な実施形態を説明することにより、本発明を明らかにする。
【0023】
図1(a)は、本発明の第1の実施形態に係る衝撃及び音響センサを示す正面断面図である。
【0024】
衝撃及び音響センサ1は、パッケージ2を有する。パッケージ2は、基板3と、基板3の上面に固定された蓋材4とを有する。基板3は、絶縁性材料からなる。基板3の上面には、電極ランド5〜7が形成されている。また、基板3の下面には、外部電極8,9が形成されている。電極ランド6と外部電極9とを電気的に接続するように、基板3にビアホール電極11が形成されている。図1(a)には表れないが、電極ランド5とFET12は電気接続され、電極ランド7と外部電極8はビアホール接続されている。電極ランド6及び7に電気的に接続されるように、基板3上にFET12、図示しないがFET12Aが実装されている。
【0025】
なお、FET12、FET12Aは、第1,第2の圧電素子16,20の出力を増幅する機能を果たしている。このFET12、FET12Aは、後述する信号処理回路の一部を構成している。
【0026】
蓋材4は、下方に開いた開口を有する。この下方開口端縁が、基板3の上面に接合されている。それによって、基板3の上面と蓋材4とにより囲まれた空間が形成されている。なお、蓋材4の上面には、貫通孔4aが形成されている。貫通孔4aは、後述するように、パッケージ2内の空間に音を導くための音通孔である。蓋材4は、本実施形態では、金属からなる。それによって、内部の空間を電磁シールドすることが可能とされている。もっとも、蓋材4は、金属以外の導電性材料、あるいは表面または内部に導電層を有する材料により形成されてもよい。さらには、電磁シールド機能を有しない絶縁性材料により蓋材4が形成されていてもよい。
【0027】
パッケージ2内の空間においては、矩形枠状のスペーサー14が導電性接着剤層13を介して接合されている。矩形枠状のスペーサー14は、本実施形態では、絶縁性セラミックスからなる。もっとも、他の絶縁性材料を用いてもよい。
【0028】
スペーサー14上に、接着剤層15を介して板状の第1の圧電素子16が接合されている。また、第1の圧電素子16上に、接着剤層17を介して矩形枠状の保持部材18が接合されている。矩形枠状の保持部材18上に、接着剤層19を介して板状の第2の圧電素子20が接合されている。
【0029】
図2(a)は、上記第1の圧電素子16、保持部材18及び第2の圧電素子20が積層されている構造の分解斜視図である。図2(a)に示すように、第1の圧電素子16は、主面が互いに対向する矩形板状の圧電板16aを有する。圧電板16aは、2層の圧電セラミックスからなり、おのおの厚み方向逆向きに分極処理されている。圧電板16aの一方の主面である上面に、第1の電極16bが形成されている。図2(b)に示すように、圧電板16aのもう一方の主面である下面には、第2の電極16cが形成されている。第1の電極16bは、圧電板16aの一端に引き出されており、第2の電極16cは他端に引き出されている。本実施形態では、圧電体の材料として、チタン酸ジルコン酸鉛系セラミックスを用いたが、ニオブ酸カリウムナトリウム系及びアルカリニオブ酸系セラミックスなど非鉛系圧電体セラミックスなどの圧電材料を適宜用いることができる。
【0030】
なお、本実施形態では、第1,第2の圧電素子16,20は、弾性板の上面と下面のそれぞれに電極が形成された圧電体層が配置されたバイモルフ型の圧電素子であり、ここでは、上下面の圧電体層が直列に電気的に接続されている。しかも、本発明においては、第1,第2の圧電素子は、バイモルフ構造を有し、かつ上下面の圧電体層を並列に電気的に接続した構成であってもよく、あるいはユニモルフ構造を有するものであってもよい。さらに、圧電体層の数は、特に限定されず、上記バイモルフ型圧電素子の場合、より多くの圧電体層が積層されていてもよい。また、ユニモルフ型の圧電体素子を用いる場合、複数の圧電体層を積層して一つの圧電体を構成してもよい。なお、圧電体層の内部に内部電極を有してもよい。
【0031】
同様に、図2(a)及び(c)に示すように、第2の圧電素子20もまた、矩形板状の圧電板20aと、第1,第2の電極20b,20cとを有する。第1の電極20bが、圧電板20aの一端に引き出されており、第2の電極20cが他端に引き出されている。
【0032】
図2(a)に示すように、上記積層構造において、長さ方向一端側において、第1,第2の側面電極21,22が形成されている。第1の側面電極21は、第1の圧電素子16の第1の電極16bに電気的に接続されており、第2の側面電極22は、第2の圧電素子20の第1の電極20bに接続されている。すなわち、上記積層体の側面においては、上記積層構造の幅方向において、異なる位置に第1,第2の側面電極21,22が形成されている。
【0033】
同様に、上記積層構造の他端側には、第3の側面電極23が形成されており、第3の側面電極23が、第1の圧電素子16の第2の電極16c及び第2の圧電素子20の第2の電極20cに接続されている。
【0034】
図2(a)及び(b)に示すように、第1の電極16b及び第2の電極16cは、圧電板16aの上面及び下面において部分的に形成されている。また、第1の電極16bと第2の電極16cとは、引出し部を除いて同一の形状を有しており、圧電板16aを介して表裏対向されている。本実施形態では、第1の電極16b及び第2の電極16cの引出し部を除いた対向部分の形状は矩形とされている。もっとも、この対向部の平面形状は矩形に限定されるものではない。
【0035】
上述したFET12及び図1(a)では図示されないFET12Aは、それぞれ第1,第2の圧電素子16,20と電気的に接続される信号処理回路の一部を構成している。上記第1の側面電極21が電極ランド5に接続されており、電極ランド5が、図1(a)では図示されていないが、FET12に接続されている。同様に、第2の圧電素子20は、第2の側面電極22に接続されており、第2の側面電極22が、図示されていない電極ランドを介して、FET12Aに接続されている。他方、第3の側面電極23は図1(a)に示した電極ランド6に接続されており、電極ランド6を介してFET12,FET12Aに接続されている。図1(a)に示すように、上記衝撃及び音響センサ1の第1,第2の圧電素子16,20は、直列に接続されている。そして、第1の圧電素子16の一端が、前述した第1の側面電極21を介して、信号処理回路26に接続されている。第2の圧電素子20の一端が上記第2の側面電極22を介して信号処理回路26に接続されている。第1,第2の圧電素子16,20の互いに接続されている側の一端が共通接続され、第3の側面電極23により信号処理回路26に接続されている。従って、第1,第2の圧電素子16,20からなるセンサ部分は、3つの出力端子を有する3端子型のセンサを構成している。
【0036】
図3は、上記衝撃及び音響センサ1の第1,第2の圧電素子16,20と信号処理回路26とを含む回路構成を示す図である。図3に示すように、パッケージ2内においては、前述したFET12と、もう1つのFET12Aが内蔵されています。図1(a)ではFET12のみが図示されている。FET12,FET12Aは、それぞれ、第1,第2の圧電素子16,20の出力を増幅するために設けられている。FET12,FET12Aは、必ずしも設けられずともよい。
【0037】
信号処理回路26の入力端は、前述した第1〜第3の側面電極21〜23となる。第1の側面電極21が、FET12のゲート端子に接続されている。同様に第2の側面電極22が、FET12Aのゲート端子に接続されている。FET12,FET12Aのドレイン電極がそれぞれ、カップリングコンデンサ31,32を介して、演算増幅器27,29に接続されている。演算増幅器27の出力端が、A/D変換器28の一方入力端に接続されている。演算増幅器29の出力端が、A/D変換器28の他方入力端に接続されている。
【0038】
第1,第2のFET12,12Aのソース電極は、グラウンド電位に接続されている。
【0039】
また、A/D変換器28の後段には、加減算器33が接続されており、加減算器33は第1の出力端子34に接続されている。第1の出力端子34は、検知された音響に基づく出力信号を出力する。第2の出力端子35は、検出された衝撃に基づく出力信号を出力する。
【0040】
本実施形態では、上記信号処理回路26の第1の入力端である第1の側面電極21に、第1の圧電素子16の出力信号が与えられる。この出力信号が、演算増幅器27で増幅され、A/D変換器28により、デジタル信号に変換される。同様に、上記信号処理回路26の第3の入力端である第2の側面電極22には、第2の圧電素子20の出力信号が与えられ、該出力信号がA/D変換器28においてデジタル信号に変換される。
【0041】
第1の圧電素子16から取り出された信号であって、上記のように処理され、加減算器33に与えられる信号をx、第2の圧電素子20から取り出される信号が上記のように処理され、加減算器33に与えられる信号をyとする。加減算器33では、ax+byまたはax−byが演算される。ここで、a及びbは任意の複素数である。なお、a及びbは実数であってもよい。
【0042】
ax+byは、音を検出した場合の出力信号に相当し、上記出力端子34から出力される。ax−byは、衝撃すなわち振動を検出した際の信号として第2の出力端子35から出力される。
【0043】
すなわち、本実施形態では、上記第1,第2の圧電素子16,20の出力を信号処理回路26で処理することにより、音を検出し得るだけでなく、衝撃や振動を検出することも可能とされている。この原理を、図4(a)及び(b)を参照して説明する。
【0044】
図4(a)に示すように、第1,第2の圧電素子16,20が積層されている部分において、矢印F1で示すように、加速度が加わった場合、すなわち矢印F1で示す方向に衝撃が加わった場合、第1,第2の圧電素子16,20は同相で変位する。例えば、図4(a)に示すように、第1の圧電素子16の主面が伸びる方向と、第2の圧電素子20の主面が伸びる方向とが互いに直交せずに、この場合は互いに平行に配置されるため、主面の上方から下方へと主面に垂直な成分有する加速度が加われば、第1の圧電素子16が下方に凸に屈曲し、第2の圧電素子20も同様に第1の圧電素子16と同じ屈曲方向である下方に凸に屈曲した状態となる。
【0045】
従って、直列に接続されている第1,第2の圧電素子16,20の各出力信号x,yからax−byを演算することにより、衝撃すなわち振動を検出することができる。
【0046】
他方、図1(a)に示す衝撃及び音響センサ1においては、貫通孔4aから音がパッケージ2内に導かれると、図1(a)の矢印B1,B2で示すように、第1の圧電素子16及び第2の圧電素子20において、外側の面から両者が対向している空間側に向かって音圧が加わることとなる。従って、図4(b)に示すように、音圧により第1の圧電素子16と第2の圧電素子20とが逆相で変位する。従って、直列に接続されている第1,第2の圧電素子16,20の出力信号から、ax+byを演算することにより、上記音に基づく出力信号を取り出すことができる。
【0047】
すなわち、本実施形態では、第1,第2の圧電素子16,20は、パッケージ2内において、音が加わった際には逆相で変位し、衝撃や加速度が加わった際には同相で変位するように、第1,第2の圧電素子16,20が配置されている。
【0048】
より具体的には、第1の実施形態では、前述したように、板状の第1,第2の圧電素子16,20がその主面同士が平行となるように空間Aを隔てて対向されている。この空間Aは、矩形枠状の保持部材18及び接着剤層17,19により封止されている。従って、空間Aは、音響的に閉じられた空間であって、圧電素子16,20の後気室を形成している。なお、後気室とは、板状の圧電振動子が振動した際に、音圧が加わる側と反対側の面に位置している閉じられた空間をいうものとする。
【0049】
なお、音響的に閉じられた空間とは、該空間内と空間外との間で実質的に音波を透過させない空間をいうものとする。このような空間は、必ずしも密閉された空間に限らず、内外の差圧を低めるための小さな貫通孔が外空間内と空間外とを隔てている部分に設けられているものをも含むものとする。
【0050】
なお、本実施形態では、上記のように、第1,第2の圧電素子16,20の出力信号がA/D変換器28によりデジタル信号に変換しているが、アナログ信号のまま処理してもよい。さらに、周波数変調等の何らかの変調処理を施した後、上記加算及び減算と同等の演算処理を行ってもよい。また、本実施形態ではセンサパッケージ内にFETを内蔵し、その他の信号処理回路はパッケージ外としたが、信号処理回路の全部あるいは他の部分構成をセンサパッケージに内蔵してもよい。もちろん、増幅回路として必ずしもFETを使用する必要はなく、信号処理回路の一部あるいは全部をICに集積化してもよい。
【0051】
圧電素子が変形する際に、後気室には体積変化が生じる。それに伴い圧電素子は反力となる圧力を受けるため、圧電素子の感度は低下する。感度の低下量は、一般的には圧電素子の変形量や後気室の体積に依存する。本実施形態では、上記後気室が第1,第2の圧電素子16,20において共通である。従って、音響検出感度の低下が第1,第2の圧電素子16,20で等しく生じる。そのため、衝撃センサとして衝撃を検知した場合のS/Nを高めることができる。
【0052】
他方、衝撃すなわち振動を検出する場合には、第1,第2の圧電素子16,20は同相で変形するため、両圧電素子間の空間Aの体積はほとんど変化しない。そのため、振動検出感度の低下が生じ難く、第1,第2の圧電素子16,20の感度差も生じにくい。従って、音響を検出する場合には、振動信号の除去性能に優れているため、音響検出信号のS/Nを高めることができる。
【0053】
なお、本実施形態で検出される音については、可聴周波数の音に限らず、数Hz以下の低周波信号から超音波領域までの高周波信号を含むものとする。
【0054】
ノイズ除去効果の観点からは、好ましくは、上記加算及び減算処理に際し、微調整を行うことが望ましい。圧電素子の材料バラツキや加工プロセス上のバラツキ、また圧電素子が変形する際に後気室の体積変化に伴い反力として受ける圧力、音響抵抗により、第1,第2の圧電素子の感度には差が生じうる。感度差が生じた場合、x+y、x−yといった単純な加減算ではノイズ除去効果が低くなる。また、信号処理回路で増幅される際のゲインバラツキについても同様にノイズ除去効果が低下する原因となる。これに対し、感度差やゲイン差を補正するよう、加減算処理に際し微調整を行うことで、音響を検出する場合には、振動に基づく信号をキャンセルする効果を高めることができる。同様に、振動を検出する場合には、音響信号による出力信号のキャンセル効果を高めることができる。このような微調整としては、上記加算及び減算に際して複素数a,bを調整する方法が挙げられる。通常の調整ではa,bは複素数のうち実数で十分な効果が得られる。上記a,bの設定については、衝撃及び音響センサ1を作製した後に、信号処理回路からの出力信号に応じて調整すればよい。音については、概ね10kHz以上の周波数では第1,第2の圧電素子に加わる音圧に位相差が生じる。高周波部ではa,bを複素数とし位相の補正を行って加減算することで、衝撃センサとして機能させる際に音響信号の除去効果を高められる。
【0055】
図5は、上記実施形態の衝撃及び音響センサにおいて、音圧を検出する感度周波数特性を示す。実線が音圧感度を、破線が衝撃すなわちノイズとなる加速度の感度を示す。100Hzから20000Hz付近の広い周波数範囲にわたり、音圧を高感度で測定することができる、他方ノイズとなる加速度の感度は、それよりも33dB以上低いことがわかる。
【0056】
すなわち、本実施形態では、前述したように、後気室が第1,第2の圧電素子16,20間に挟まれている。従って、振動入力が変化したとしても、圧電素子は同相で変形して後気室の体積は変化しない。従って、第1,第2の圧電素子16,20の変形が妨げられ難い。よって、加速度感度の低下が生じ難いと同時に、感度差も生じにくい。そのため、図5に示したように、ノイズとなる加速度感度を十分に低くすることができる。すなわち、S/Nを効果的に高めることができる。
【0057】
また、図6は、上記実施形態の衝撃及び音響センサにおいて、衝撃すなわち加速度を検出した場合の加速度の感度とノイズとしての音圧感度の特性を示す図である。
【0058】
図6から明らかなように、加速度を検出する場合においても、広い周波数範囲にわたり、加速度を高感度で検出し得ることがわかる。他方、その場合のノイズとなる音圧感度は、広い周波数範囲にわたり、40dB以上低いことがわかる。
【0059】
すなわち、本実施形態では、前述したように、第1,第2の圧電素子16,20において共通である。従って、音響検出感度の低下が第1,第2の圧電素子16,20で等しく生じる。そのため、ノイズとなる音圧感度を十分に低くすることができる。また、前述したように、振動に対しては、後気室の体積はほとんど変化しないため加速度感度の低下が生じにくい。したがって、図6に示したように、加速度に対する感度を効果的に高め、ノイズとなる音圧感度を十分に低くすることができる。すなわち、衝撃センサとして衝撃を検知した場合のS/Nを高めることができる。
【0060】
好ましくは、上記第1,第2の圧電素子16,20の面密度σは0.01〜1kg/mの範囲内とすることが望ましい。これを以下において説明する。
【0061】
圧電素子16,20が音圧p(Pa)の音響入力により、単位面積当たりに受ける力をfsとし、加速度c(m/sec)の振動入力から単位面積当たりに受ける力をfaとする。圧電素子16,20の単位面積当たりの質量である面密度σ〔kg/m〕を用いると、fs〔N〕=p〔Pa〕・1〔m〕であり、fa〔N〕=σ〔kg/m〕・1〔m〕・c〔m/s〕と表わされる。
【0062】
音響入力の際の出力電圧はfsに比例し、振動入力に対する出力電圧はfaに比例することとなる。音圧感度は、音圧p=1〔Pa〕、加速度感度は、c=1G=9.8〔m/sec〕に対する出力電圧で表わされる。そのため、加速度感度/音圧感度の比は、fa/fs=1/(9.8×σ)となる。すなわち、加速度感度と音圧感度とのバランスは、上記面密度σに依存することになる。
【0063】
ここで、fs=faすなわちσ=p/cの場合、図7に模式的に示すように、音響センサと振動センサの出力電圧は等しくなる。p及びcが検知したい音圧及び加速度の標準的な信号レベルとすると、σ=p/cの条件で、信号とノイズとのアイソレーションが最も高められることがわかる。
【0064】
他方、図8は、σ>p/cの場合の例であり、この場合には、音響検出時に、振動によるノイズが入りやすいことがわかる。
【0065】
上記のように、音響検出感度と、加速度検出感度のバランスは、面密度σで調整することができる。従って、検出したい音圧及び加速度の標準的値が入力された際に出力される音響及び衝撃センサの信号電圧が互いに等しくなるように、面密度σで感度バランスを調整することが望ましい。それによって、音圧信号または加速度信号と、ノイズとなる加速度信号または音圧信号とのアイソレーションを高めることができる。
【0066】
例えば、基準レベルとしてよく用いられる1paの音と、1G(9.8m/sec)の加速度に対しては、σ=1/9.8すなわちσは約0.1kg/mのときに、上記アイソレーションが最も良好となる。圧電素子16,20の密度が8×10−3kg/mの場合、圧電素子16,20の厚みは好ましくは13μmとすればよいことがわかる。
【0067】
上記のように、一般的な用途を考えると、面密度σは、0.01〜1kg/mの範囲とすればよいことがわかる。
【0068】
なお、上記実施形態では、3端子型の衝撃及び音響センサを構成したが、図9に示すように、第1,第2の圧電素子16,20の信号を個別に取り出す4端子型の衝撃及び音響センサとしてもよい。
【0069】
図10は、本発明の第2の実施形態に係る衝撃及び音響センサの正面断面図である。本実施形態の衝撃及び音響センサ41は、図1に示した衝撃及び音響センサ1とほぼ同様に構成されている。異なるところは、蓋材4に貫通孔4aが形成されておらず、代わりに、基板3に貫通孔3aが形成されていることにある。すなわち、音をパッケージ2内に導く部分が、パッケージ2ではなく、基板3に設けられている。その他の点については、同様であるため、同一部分に同一の参照番号を付することにより、第1の実施形態の説明を援用することとする。
【0070】
本実施形態では、衝撃及び音響センサ41を機器に内蔵する際に、蓋材4の上方にクリアランスを設ける必要がない。従って、衝撃及び音響センサ41が組み込まれる製品の低背化を進めることができる。また、本実施形態においては、その他の構造は第1の実施形態と同様であるため、第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0071】
図11は、本発明の第3の実施形態の衝撃及び音響センサの正面断面図であり、図12は、その分解斜視図である。
【0072】
本実施形態では、基板3上に、接着剤層62を介してスペーサー基板63が積層されている。スペーサー基板63上に、略円形の開口部を有する接着剤層64を介して第1の圧電素子65が積層されている。図11では略図的に示しているが、図12に示すように、第1の圧電素子65は、圧電板からなり、圧電板の上面に、円形の第1の電極65aと、第1の電極65aを囲むように設けられたリング状の第2の電極65bとを有する。
【0073】
第1の圧電素子65上に、円形の開口部材を有する接着剤層66を介して、保持部材67が積層されている。保持部材67は、接着剤層66と同様に円形の開口部を有する。そして、保持部材67上に、円形の開口部を有する接着剤層68を介して、第2の圧電素子69が積層されている。第2の圧電素子69は、第1の圧電素子65と同様に構成されている。
【0074】
第2の圧電素子69上に、円形の開口部を有する接着剤層70を介して蓋基板71が積層されている。蓋基板71には、貫通孔71aが形成されている。貫通孔71aは、音をパッケージ2内に導く部分である。
【0075】
すなわち、第3の実施形態では、蓋材4を用いずに、上記第1,第2の圧電素子65,69と、蓋基板71とを積層することにより、内部空間が形成されている。ここでは、音圧を下方の第1の圧電素子65の下面に導くために、図11に示す音通孔72が形成されている。音通孔72は、第2の圧電素子69、接着剤層68、保持部材67、接着剤層66及び第1の圧電素子65を貫くように形成されている。
【0076】
従って、図11の矢印Dで示すように、内部に導かれた音圧が、第1の圧電素子65の下面側の空間にも導かれる。
【0077】
このように、本発明では、下方に開いた蓋材4に代えて、蓋基板71を用い、かつ圧電素子及び接着剤層を積層することにより、内部に音を導入するための貫通孔を除いて閉じられた内部空間を形成してもよい。本実施形態によれば、シート状の複数の部材を積層するだけで、衝撃及び音響センサ61を得ることができる。従って、製造工程の簡略化を図ることができる。また、衝撃及び音響センサ61では、小型化及び低背化を進めることも容易である。
【0078】
本実施形態においても、第1の実施形態同様に、第1,第2の圧電素子が対向している部分が閉じられた空間とされているため、第1の実施形態と同様に、衝撃及び音響を確実にかつ高精度に検出することが可能となる。
【0079】
図13は、本発明の第4の実施形態に係る衝撃及び音響センサの正面断面図であり、図14は、その斜視図である。本実施形態の衝撃及び音響センサ81では、第3の実施形態と同様に、複数のシート状部材を積層することにより、パッケージが構成されている。すなわち、基板3上に、スペーサー基板82が積層されている。スペーサー基板82の外周縁には、上方に突出した支持部82aが形成されている。この支持部82a上に、第1の圧電素子83が積層されている。第1の圧電素子83が、スペーサー84を介し、第2の圧電素子85と積層されている。第1,第2の圧電素子83,85は、第1の実施形態と同様に構成されている。ここでは、スペーサー84の側方に、外部と通ずる貫通孔84aが形成されている。この貫通孔84aが、音通孔として作用する。
【0080】
第2の圧電素子85の上面には、蓋基板86が接合されている。蓋基板86は、下面外周縁に枠状の支持部86aを有する。枠状の支持部86aが第2の圧電素子85の上面に接合されている。なお、図13では、各部材を接合する接着剤層などの図示は省略していることを指摘しておく。また、基板3上の積層構造の外表面を覆うように導電膜87が形成されている。
【0081】
本実施形態のように、パッケージの側面に音通孔となる貫通孔84aを設けてもよい。また、本実施形態では、音通孔である貫通孔84aは、第1,第2の圧電素子83,85間の空間に連通している。従って、貫通孔84aから導かれた音の音圧を第1の圧電素子83の上面及び第2の圧電素子85の下面により受けることになる。このように、音圧を、対向されている第1,第2の圧電素子間に導いてもよい。
【0082】
本実施形態においても、音圧検出時には、第1,第2の圧電素子83,85が逆相で変位し、衝撃が与えられた場合には、第1,第2の圧電素子83,85が同相で変位する。従って、第1の実施形態と同様に、音響及び衝撃を高精度に検出することができる。加えて、音による音圧が第1,第2の圧電素子に均等に加わるため、衝撃センサの機能として、広い周波数帯域で音に起因するノイズ信号を除去できる。振動板間の空間を音響的に閉じる構造では、10kHz程度以上に周波数が高くなると、2枚の振動板の外側位置に到達する音に位相差が生じ、衝撃センサとして機能させる際に音信号の除去効果が低下する。これに対し振動板間の空間に音を導く本実施形態では、2枚の振動板に加わる音圧が同位相となるため、そのような問題が生じず広い周波数帯域で高いノイズ除去効果が得られる。
【0083】
図15は、本発明の第5の実施形態に係る衝撃及び音響センサの正面断面図である。本実施形態の衝撃及び音響センサ91では、基板92上に、開口部93a,93bを有するスペーサー93が積層されている。開口部93aを閉成するように、基板92上に第1の圧電素子94が積層されている。同様に、開口部93bを閉成するように、第2の圧電素子95が積層されている。
【0084】
また、第1,第2の圧電素子94,95の上面に、蓋基板96が積層されている。蓋基板96は、下面に、凹部96a,96bを有する。凹部96aは、スペーサー93の開口部93aと対向するように形成されている。同様に、凹部96bは、開口部93bと対向するように形成されている。従って、衝撃及び音響センサ91では、基板92、スペーサー93、第1,第2の圧電素子94,95のスペーサー93及び蓋基板96で支持されている部分、並びに蓋基板96によりパッケージが構成されている。
【0085】
本実施形態のように、第1,第2の圧電素子94,95は、圧電素子同士が対向しないように並設されていてもよい。ここでは、第1の圧電素子94で閉じられた凹部96aにおいて、第1の圧電素子94に対向するように、蓋基板96に貫通孔96cが形成されている。この貫通孔96cが音通孔として機能する。従って、閉じられた空間である開口部93aが後気室を構成している。
【0086】
他方、第2の圧電素子95側においては、基板92において、第2の圧電素子95に対向するように貫通孔92aが形成されている。貫通孔92aが音通孔として作用する。従って、凹部96bが、第2の圧電素子95で閉じられている空間が、第2の圧電素子95の後気室を構成している。
【0087】
本実施形態においても、第1,第2の圧電素子94,95は、音圧が加わった際には、逆相で変位し、衝撃が加わった際には同相で変位する。従って、第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。加えて、第1,第2の圧電素子94,95が上記のように並設されているため、低背化を進めることができる。
【符号の説明】
【0088】
1…衝撃及び音響センサ
2…パッケージ
3…基板
3a…貫通孔
4…蓋材
4a…貫通孔
5〜7…電極ランド
8,9…外部電極
11…ビアホール電極
12…FET
12A…FET
13…導電性接着剤層
14…スペーサー
15…接着剤層
16…第1の圧電素子
16a…圧電板
16b…第1の電極
16c…第2の電極
17,19…接着剤層
18…保持部材
20…第2の圧電素子
20a…圧電板
20b…第1の電極
20c…第2の電極
21…第1の側面電極
22…第2の側面電極
23…第3の側面電極
24…第4の側面電極
25…外部電極
26…信号処理回路
27,29…演算増幅器
28…A/D変換器
31,32…コンデンサ
33…加減算器
34…第1の出力端子
35…第2の出力端子
36…外部電極
41…衝撃及び音響センサ
61…衝撃及び音響センサ
62…接着剤層
63…スペーサー基板
64…接着剤層
65…第1の圧電素子
65a…第1の電極
65b…第2の電極
66…接着剤層
67…保持部材
68…接着剤層
69…第2の圧電素子
70…接着剤層
71…蓋基板
71a…貫通孔
72…音通孔
72…蓋基板
81…音響センサ
82…スペーサー基板
82a…支持部
83…第1の圧電素子
84…スペーサー
84a…貫通孔
85…第2の圧電素子
86…蓋基板
86a…支持部
87…導電膜
91…音響センサ
92…基板
92a…貫通孔
93…スペーサー
93a,93b…開口部
94…第1の圧電素子
95…第2の圧電素子
96…蓋基板
96a,96b…凹部
96c…貫通孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
パッケージと、
前記パッケージ内に収納されている第1及び第2の圧電素子とを備え、
前記第1の圧電素子及び第2の圧電素子が、音響入力に対して逆位相で変形するように、かつ振動入力に対して同位相で変形するように配置されており、第1の圧電素子の出力と、第2の圧電素子の出力とを個別に取り出す配線構造をさらに備える、衝撃及び音響センサ。
【請求項2】
前記第1及び第2の圧電素子に接続されている信号処理回路をさらに備え、第1の圧電素子の出力信号をx、第2の圧電素子の出力信号をyとしたとき、前記信号処理回路が、音響出力としてax+by(但し、a及びbは複素数)を出力し、信号出力としてax−byを出力するように構成されている、請求項1に記載の衝撃及び音響センサ。
【請求項3】
前記パッケージ内において、前記第1の圧電素子と、前記第2の圧電素子とが対向するように配置されている、請求項1または2に記載の衝撃及び音響センサ。
【請求項4】
前記パッケージ内において、前記第1の圧電素子と前記第2の圧電素子とに挟まれた空間が音響的に閉じられ、前記空間とは逆側に音が導かれる、請求項3に記載の衝撃及び音響センサ。
【請求項5】
前記パッケージ内において、前記第1の圧電素子と前記第2の圧電素子とに挟まれた空間に音が導かれ、前記第1及び第2の圧電素子の前記空間とは逆側が、音響的に閉じられた空間とされている、請求項3に記載の衝撃及び音響センサ。
【請求項6】
前記第1の板状圧電素子と、前記第2の板状圧電素子とが前記パッケージ内において併設されており、前記第1及び第2の圧電素子において、音響信号を受ける受圧面と反対側の面に音響的に閉じられた空間である後気室が設けられており、第1の圧電素子の受圧面及び後気室と、第2の圧電素子の受圧面及び後気室とが第1,第2の圧電素子に対して逆側とされている、請求項1または2に記載の衝撃及び音響センサ。
【請求項7】
前記第1,第2の圧電素子の面密度σが、0.01〜1kg/mの範囲内にある、請求項1〜6のいずれか1項に記載の衝撃及び音響センサ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2012−127759(P2012−127759A)
【公開日】平成24年7月5日(2012.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−278474(P2010−278474)
【出願日】平成22年12月14日(2010.12.14)
【出願人】(000006231)株式会社村田製作所 (3,635)
【Fターム(参考)】