説明

衣料用液体洗浄剤組成物

【課題】泥汚れ等に有効で保存安定性のよい衣料用液体洗浄剤組成物の提供。
【解決手段】(A)アルキル基の炭素数10〜20、エチレンオキシドの平均付加モル数3〜26のポリオキシエチレンアルキルエーテル;(B)1−ヒドロキシエタン−1,1−ジホスホン酸及び/またはその塩;(C)モノエタノールアミン、(D)半極性界面活性剤、両性界面活性剤、ポリオキシエチレン付加型4級アンモニウム塩及びポリオキシエチレン付加型アミンを含む組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は衣料用液体洗浄剤組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、衣料用液体洗浄剤組成物は、粉末洗浄剤と比較し粉むせがない、解け残って衣類に付着しないなどの点から急速に普及しつつある。
一般的に、衣料用液体洗浄剤組成物は、洗浄成分として界面活性剤を含有し、更に洗浄の阻害因子となる水中の金属イオンを効率的に除去するために金属イオン補足剤も含有する。例えば、特許文献1においては、アルキル基が炭素数10〜20、エチレンオキシドの平均付加モル数が8〜26であるポリオキシエチレンアルキルエ−テル(以下、この成分を「特定のノニオン界面活性剤」ということがある)及び/またはアルキル基が炭素数が10〜20、エチレンオキシドの平均付加モル数が1〜5であるポリオキシエチレンアルキルエ−テル硫酸塩を含有し、金属イオン補足剤として1−ヒドロキシエタン−1,1−ジホスホン酸またはその塩を配合した組成物が開示されている。
【特許文献1】特開平2004−210961号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、特許文献1に記載の衣料用液体洗浄剤組成物は、特に泥汚れの洗浄力が不充分であり、更なる向上が望まれている。
そこで、本発明者は泥汚れの洗浄力向上を目的として、異なる界面活性剤を新たに配合したり、組成物のpHをコントロールする等の検討を行った。
その結果、特に上記特定のノニオン界面活性と1−ヒドロキシエタン−1,1−ジホスホン酸とともに、半極性界面活性剤、両性界面活性剤、及び特定のカチオン界面活性剤から選ばれる1種以上の界面活性剤を用い、さらに衣料用液体洗浄剤組成物のpHをアルカリ性に調整すると、泥汚れの洗浄力に優れ、さらには皮脂汚れの洗浄力にも優れることがわかった。
しかしながら、この様な組成において、アルカリ性に調整するために、一般的なアルカリ剤である水酸化ナトリウム、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等を用いると、調整後の衣料用液体洗浄剤組成物を高温で長期保存した場合に、結晶が析出し、保存安定性が不良となることがわかった。
【0004】
本発明は前記事情に鑑みてなされたものであって、泥汚れ、好ましくは皮脂汚れの洗浄力に優れているとともに、保存安定性に優れた衣料用液体洗浄剤組成物を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記課題を解決するために本発明においては以下の手段を提案する。
すなわち、本発明の衣料用液体洗浄剤組成物は、下記(A)成分、(B)成分、(C)成分及び(D)成分を含有することを特徴とする衣料用液体洗浄剤組成物である。
(A)アルキル基の炭素数が10〜20でエチレンオキシドの平均付加モル数が3〜26のポリオキシエチレンアルキルエーテル、
(B)1−ヒドロキシエタン−1,1−ジホスホン酸及び/またはその塩、
(C)モノエタノールアミン、
(D)半極性界面活性剤、両性界面活性剤、下記一般式(I)で表される化合物及び下記一般式(II)で表される化合物から選ばれる1種以上の化合物。
【化1】

(式中、R11、R12は、それぞれ独立に、炭素数1〜20の直鎖または分岐鎖のアルキル基またはアルケニル基、直鎖ヒドロキシアルキル基、トリル基、フェニル基、ベンジル基のいずれかであり;R13は、炭素数8〜20の直鎖または分岐鎖のアルキル基またはアルケニル基、直鎖ヒドロキシアルキル基、トリル基、フェニル基、ベンジル基のいずれかであり;EOはエチレンオキシド基であり;a、bはそれぞれ0以上の整数を示し、a+bは10以上であり;Xは、陰イオンである。)
本発明の衣料用液体洗浄剤組成物は、さらに(E)下記一般式(III)で表される化合物を含有することが好ましい。
【化2】

[式中、X、Y、Zは、それぞれ独立してH、Cn”2n”+1、または(CHCH(n”は1〜3の整数である)であり;Mは、H、アルカリ金属原子、アルカリ土類金属原子、NH、または、アルカノールアミン類を示す。]
【発明の効果】
【0006】
本発明においては、泥汚れ、好ましくは皮脂汚れの洗浄力に優れているとともに、保存安定性に優れた衣料用液体洗浄剤組成物を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
(A)成分
(A)成分は、アルキル基の炭素数が10〜20でエチレンオキシドの平均付加モル数が3〜26のポリオキシエチレンアルキルエーテルである。
アルキル基の炭素数は、泥汚れ洗浄力の点から、下限値は好ましくは11以上、さらに好ましくは12以上であり、上限値は好ましくは18以下、特には15以下である。また、(A)成分1モルにおいて、泥汚れ洗浄力の点から、エチレンオキシドの平均付加モル数は、下限値は好ましくは5以上、上限値は好ましくは20以下、より好ましくは18以下である。
(A)成分は、ノニオン界面活性剤であり、高級アルコールにエチレンオキシドを、アルカリ触媒等を用いた常法により付加反応させて得ることもできるし、市販品を使用することもできる。
高級アルコールとしては、直鎖1級アルコール、分岐1級アルコール、直鎖2級アルコール等が挙げられる。
【0008】
(A)成分は1種または2種以上混合して用いることができる。
(A)成分の配合量は、衣料用液体洗浄剤組成物中、好ましくは2〜50質量%である。より好ましくは10〜50質量%であり、さらに好ましくは15〜45質量%、特に好ましいのは20〜40質量%の範囲である。(A)成分の配合量がこの範囲にあると、泥汚れの洗浄力が向上する。また、皮脂汚れの洗浄力が向上する。
【0009】
(B)成分
(B)成分は1−ヒドロキシエタン−1,1−ジホスホン酸及び/またはその塩である。
塩としては、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩やモノエタノールアミン塩等のアルカノールアミン塩等が挙げられる。
中でも1−ヒドロキシエタン−1,1−ジホスホン酸が好ましい。
(B)成分は1種または2種以上混合して用いることができる。
(B)成分の含有量は、泥汚れ洗浄力の観点から、衣料用液体洗浄剤組成物中、好ましくは0.1〜10質量%、より好ましくは0.1〜5質量%である。0.1質量%以上であることにより、泥汚れの洗浄力が向上し、10質量%以下であることにより、(B)成分をより安定に配合することができる。また皮脂汚れの洗浄力向上の点でも好ましい。
【0010】
(C)成分
(C)成分はモノエタノールアミンである。
モノエタノールアミンの配合量は、衣料用液体洗浄剤組成物中、0.1〜20質量%であり、好ましくは0.5〜8質量%、より好ましくは1〜5質量%である。この範囲内にあると、皮脂汚れ及び泥汚れ洗浄力が向上する。また、後述する好ましいpHの範囲に調整することが容易となり、保存安定性が向上する。
モノエタノールアミンとしては、例えば日本触媒(株)製、三井化学(株)製が市販されている。
【0011】
(D)成分
(D)成分は、半極性界面活性剤、両性界面活性剤、前記一般式(I)で表される化合物及び前記一般式(II)で表される化合物から選ばれる1種以上の化合物である。
【0012】
半極性界面活性剤としては、例えば、下記一般式(IV)で示されるアミンオキシド型界面活性剤等が挙げられる。
【0013】
【化3】

【0014】
(式中、Rは炭素数8〜18、好ましくは8〜16、さらに好ましくは10〜14の直鎖状または分岐鎖状のアルキル基またはアルケニル基であり、R、Rはそれぞれ独立して炭素数1〜3のアルキル基またはヒドロキシアルキル基である。Rは炭素数1〜4のアルキル基であり、Aは−CO−NH−、−NHCO−、−COO−、−OCO−または−O−から選ばれる基であり、n’は0または1である。)
【0015】
具体的には、アルキルジメチルアミンオキシド、アルキルアミドプロピルジメチルアミンオキシド等が挙げられ、好ましくは、洗浄力の点からアルキルジメチルアミンオキシドが望ましく、特にn−ドデシルジメチルアミンオキシドが好ましい。n−ドデシルジメチルアミンオキシドは例えばライオンアクゾ(株)製のもの等が市販されている。
【0016】
両性界面活性剤としては、例えばN−アルキル若しくはアルケニルアミノ酸またはその塩と、ベタインが挙げられる。
N−アルキル若しくはアルケニルアミノ酸は、チッ素原子にアルキル基またはアルケニル基が結合し、さらに1つまたは2つの「−R−COOH」(式中Rは2価の炭化水素基を示し、好ましくはアルキレン基であり、特に炭素数1〜2であることが好ましい)で表される基が結合した構造を有する。「−R−COOH」が1つ結合した化合物においては、チッ素原子にはさらに水素原子が結合している。
「−R−COOH」が1つのものをモノ体、2つのものをジ体という。(C)成分においては、これらモノ体、ジ体のいずれも用いることができる。
N−アルキル若しくはアルケニルアミノ酸において、アルキル基、アルケニル基の炭素数は10〜20であることが好ましく、これらは直鎖状でも分岐鎖状であってもよい。
塩としては、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属塩であることが好ましく、ナトリウム塩であることが好ましい。
好ましいものとしては、アルキル若しくはアルケニルアミノプロピオン酸またはその塩が挙げられ、ラウリルアミノプロピオン酸またはそのナトリウム塩がより好ましい。市販品としては、例えばラウリルアミノプロピオン酸Na(一方社油脂工業(株)製)等が挙げられる。これはモノ体とジ体の90質量%:10質量%の混合物である。
【0017】
ベタインとしては、アルキルベダイン、カルボベタイン、アミドベタイン、スルホベタイン、アミドスルホベタイン、イミダゾリニウムベタイン、ホスホベタイン等があり、具体的には、ラウリン酸アミドプロピルベタイン等の脂肪酸アミドプロピルベタイン、2−アルキル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、アルキルジメチルアミノ酢酸ベタイン、アルキルヒドロキシスルホベタイン、ラウリルジメチルベダイン等のアルキルジメチルベダイン等が挙げられる。
市販品としては、ラウリン酸アミドプロピルベタイン(商品名「ソフタゾリン LPB」;川研ファインケミカル(株)製)、ラウリルジメチルベタイン(商品名「アンヒトール24B」;花王(株)製)等が挙げられる。
中でもアルキルベダイン、アミドベダイン、スルホベダインが好ましく、特にラウリン酸アミドプロピルベタイン、ラウリルジメチルベタインが好ましい。
【0018】
両性界面活性剤の中では、特にN−アルキル若しくはアルケニルアミノ酸またはその塩や、アルキルベダイン、アミドベダイン、スルホベダインが好ましい。
【0019】
前記一般式(I)において、R11及びR12は各々独立に、炭素数1〜20の直鎖または分岐鎖のアルキル基またはアルケニル基、長鎖ヒドロキシアルキル基、トリル基、フェニル基、ベンジル基のいずれかを示す。
アルキル基の炭素数はさらに好ましくは10〜18である。アルケニル基の炭素数は特に好ましくは10〜18である。
長鎖ヒドロキシアルキル基において、アルキル基の炭素数は好ましくは10〜20であり、特には10〜18である。ヒドロキシ基の数は例えば1〜3であり、好ましくは1つである。
特に好ましくは、R11,R12のうち一方が炭素数10〜18の直鎖または分岐鎖のアルキル基またはアルケニル基、他方がメチル基、トリル基またはベンジル基の組み合わせである。
【0020】
EOはエチレンオキシド基を示す。a、bは、それぞれ独立にエチレンオキシド基の平均付加モル数を示し、各々独立に0以上の整数である。
また、a+bは10モル以上、好ましくは10〜50モルである。a+bが10モル以上であることにより、泥中の有機物の分散効果が向上し、泥汚れに対する洗浄力が良好になる。
は、陰イオンであり、塩素イオン、臭素イオン、ヨウ素イオン等のハロゲン原子イオンや、一般式R[但し、Rは、炭素数1〜3のアルキル基(メチル基、エチル基、プロピル基等)であり、特に好ましくはメチル基である]で表されるイオン等が挙げられる。
【0021】
市販品としては例えば、一方社油脂工業(株)製 商品名「ビスノ−ルUP−10」(R11:牛脂由来のアルキル基(炭素数14〜20)、R12:ベンジル基、a+b=30、X:Cl)や、ライオン・アクゾ(株)製 商品名「ETHOQUAD(エソカート) C/25」(R11:ヤシ油由来のアルキル基(炭素数8〜18)、R12:メチル基、a+b=15、X:Cl)等が挙げられる。
【0022】
前記一般式(II)において、R13は、炭素数8〜20の直鎖または分岐鎖のアルキル基またはアルケニル基、長鎖ヒドロキシアルキル基、トリル基、フェニル基、ベンジル基のうちいずれかである。
アルキル基の炭素数はさらに好ましくは10〜18である。アルケニル基の炭素数は特に好ましくは10〜18である。
長鎖ヒドロキシアルキル基において、アルキル基の炭素数は好ましくは10〜20であり、特には10〜18である。ヒドロキシ基の数は例えば1〜3であり、好ましくは1つである。
13において、特に好ましくは、炭素数10〜18の直鎖または分岐鎖のアルキル基またはアルケニル基である。
【0023】
EOは、エチレンオキシド基を示す。a、bはエチレンオキシド基の平均付加モル数であり、各々独立に0以上の整数を示す。また、a+bは10モル以上、好ましくは10〜50モルである。a+bが10以上であることにより、泥中の有機物の分散効果が向上し、泥汚れに対する洗浄力が良好になる。
市販品としては、例えばライオン・アクゾ(株)製、商品名「ETHOMEEN(エソミン) C/25」(R13:ヤシ由来のアルキル基(炭素数8〜18)、a+b=15)、ライオン・アクゾ(株)製、商品名「ETHOMEEN(エソミン) SA2Y−103」(R13:硬化牛脂由来のアルキル基(炭素数 14〜20)、a+b=50)、ライオン・アクゾ(株)製、商品名「ETHOMEEN(エソミン) SAJ−103」(R13:硬化牛脂由来のアルキル基(炭素数 12〜20)、a+b=10)等が挙げられる。
【0024】
(D)成分は1種または2種以上混合して用いることができる。
(D)成分の含有量は、泥汚れの洗浄力向上の観点から、衣料用液体洗浄剤組成物中、好ましくは0.5〜10質量%、より好ましくは0.5〜5質量%である。また、この範囲であると皮脂汚れに対する洗浄力も向上する。
なお、10質量%以下にすることにより、すすぎ時間が短くなり、より好ましい。また製剤化もより容易となり好ましい。
【0025】
(E)成分
本発明の衣料用液体洗浄剤組成物には、さらに(E)成分を配合することにより、泥汚れ洗浄力を向上させることができる。また皮脂汚れ洗浄力も向上させることができる。
(E)成分は前記一般式(III)で表される化合物である。
式中、X,Y,Zはそれぞれ独立してH、Cn”2n”+1または(CHCH(式中n”は1〜3の整数である)であり、好ましくはCHである。
MはH;ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属原子;マグネシウム、カルシウム等のアルカリ土類金属原子;NH;またはモノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアルカノールアミン類を示し、好ましくは、ナトリウム、モノエタールアミン、ジエタノールアミンである。
【0026】
具体的な化合物の例としては、ベンゼンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸ナトリウム塩、ベンゼンスルホン酸カリウム塩、ベンゼンスルホン酸アンモニウム塩、ベンゼンスルホン酸マグネシウム塩、ベンゼンスルホン酸カルシウム塩、ベンゼンスルホン酸モノエタノールアミン塩、ベンゼンスルホン酸ジエタノールアミン塩、ベンゼンスルホン酸トリエタノールアミン塩、p−トルエンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸ナトリウム塩、p−トルエンスルホン酸カリウム塩、p−トルエンスルホン酸アンモニウム塩、p−トルエンスルホン酸マグネシウム塩、p−トルエンスルホン酸カルシウム塩、p−トルエンスルホン酸モノエタノールアミン塩、p−トルエンスルホン酸ジエタノールアミン塩、p−トルエンスルホン酸トリエタノールアミン塩、o−またはm−またはp−キシレンスルホン酸、o−またはm−またはp−キシレンスルホン酸ナトリウム塩、o−またはm−またはp−キシレンスルホン酸カリウム塩、o−またはm−またはp−キシレンスルホン酸アンモニウム塩、o−またはm−またはp−キシレンスルホン酸マグネシウム塩、o−またはm−またはp−キシレンスルホン酸カルシウム塩、o−またはm−またはp−キシレンスルホン酸モノエタノールアミン塩、o−またはm−またはp−キシレンスルホン酸ジエタノールアミン塩、o−またはm−またはp−キシレンスルホン酸トリエタノールアミン塩、キュメンスルホン酸、キュメンスルホン酸ナトリウム塩、キュメンスルホン酸カリウム塩、キュメンスルホン酸アンモニウム塩、キュメンスルホン酸マグネシウム塩、キュメンスルホン酸カルシウム塩、キュメンスルホン酸モノエタノールアミン塩、キュメンスルホン酸ジエタノールアミン塩、キュメンスルホン酸トリエタノールアミン塩等が挙げられる。
中でもp−トルエンスルホン酸、m−キシレンスルホン酸、キュメンスルホン酸若しくはこれらのモノエタノールアミン塩が好ましい。
【0027】
(E)成分は1種または2種以上混合して用いることができる。
(E)成分の配合量は、衣料用液体洗浄剤組成物中、好ましくは1〜15質量%であり、より好ましくは、3〜10質量%、特に好ましいのは、3〜6質量%の範囲である。(E)成分がこの範囲にあると、泥汚れの洗浄力が向上する。さらに保存安定性に優れるので好ましい。
【0028】
その他の任意成分
衣料用液体洗浄剤組成物には、(A)成分以外のノニオン界面活性剤、アニオン界面活性剤を配合することができる。
ノニオン界面活性剤としては、炭素数8〜18のアルキル基を有し、グルコ−スユニットの平均付加モル数1〜10のアルキルポリグルコシド、炭素数8〜18のアルキル基を有し、グリセリンユニットの平均付加モル数1〜3のアルキルグリセリルエーテル、炭素数10〜20の脂肪酸ジエタノ−ルアミド、炭素数10〜18のアルキル基を有し、エチレンオキシドの平均付加モル数1〜30のメトキシポリオキシエチレンアルカノエ−ト等が挙げられる。
これらの(A)成分以外のノニオン界面活性剤の配合量は、衣料用液体洗浄剤組成物中0〜10質量%の範囲が好ましい。
【0029】
アニオン界面活性剤としては、炭素数8〜16のアルキル基を有するアルキルベンゼンスルホン酸塩、炭素数10〜20のアルキル基を有するアルキル硫酸塩、炭素数10〜20のアルキル基を有し、エチレンオキシドの平均付加モル数1〜10のポリオキシエチレンアルキルエ−テル硫酸塩、炭素数10〜20のアルキル基を有するα−オレフィンスルホン酸塩、炭素数10〜20のアルキル基を有するアルカンスルホン酸塩、炭素数10〜20のアルキル基を有するα−スルホ脂肪酸メチルエステル塩、炭素数10〜20のアルキル基を有し、エチレンオキシドの平均付加モル数1〜10のポリオキシエチレンアルキルエ−テルカルボン酸塩等が挙げられる。
これらのアニオン界面活性剤の配合量は、衣料用液体洗浄剤組成物中0〜10質量%の範囲が好ましい。
【0030】
本発明の衣料用液体洗浄剤組成物には、必要に応じてその他任意成分を配合することができる。具体的には、ハイドロトロ−プ剤として、エチレングリコ−ル、プロピレングリコ−ル、ポリエチレングリコ−ル、ポリプロピレングリコ−ル等のグリコ−ル系溶剤やエタノ−ル等のアルコ−ル等が挙げられる。この中でも質量平均分子量400〜5000のポリエチレングリコ−ル、エタノ−ルが好ましい。
さらに、再汚染防止を目的として、ポリビニルピロリドン、カルボキシメチルセルロ−ス等の再汚染防止剤を0〜2質量%、洗浄力向上を目的として、リパ−ゼ、セルラ−ゼ、アミラ−ゼ、プロテア−ゼ等の酵素を0〜1質量%、酵素安定化を目的として、ホウ酸、ホウ砂、蟻酸又はその塩、塩化カルシウム・硫酸カルシウム等のカルシウム塩類0〜3質量%、風合い向上を目的として、ジメチルシリコ−ン、ポリエ−テル変性シリコ−ン、アミノ変性シリコ−ン等のシリコ−ンを0〜5質量%、白色衣料の白度向上を目的として、ジスチリルビフェニル型等の蛍光剤を0〜1質量%、衣料用液体洗浄剤組成物の着色を目的として、酸性染料等の色素を0.0001〜0.001質量%、香気安定化を目的として、ジブチルヒドロキシトルエン等の酸化防止剤を0.0001〜0.5質量%、防腐性を目的として、ケ−ソンCG/ICP等の抗菌剤を0〜0.05質量%、消泡を目的として高級脂肪酸またはポリエ−テル変性シリコ−ン、アミノ変性シリコ−ン等のシリコ−ンを0〜5質量%配合することができる。
【0031】
また、芳香のための香料としては、特開2002−146399号公報記載の、香料成分、溶剤及び安定化剤を含有する香料組成物等が挙げられ、本発明の衣料用液体洗浄剤組成物中に0.01〜1質量%配合することができる。
【0032】
さらに、本発明の衣料用液体洗浄剤組成物のpHとしては、泥汚れ洗浄力、保存後の洗浄力維持の観点から、7.0〜11.0が好ましく、9.0〜10.5がより好ましい。
したがって、(C)成分の配合量をこの範囲になる様に調整することが好ましい。
【0033】
本発明の衣料用液体洗浄剤組成物は、好適には水を溶剤として、常法に基づいて調整することができる。
使用方法は、通常の使用方法、すなわち洗濯時に洗濯物と一緒に水に投入する方法、泥汚れや皮脂汚れに衣料用液体洗浄剤組成物を直接塗る方法、衣料用液体洗浄剤組成物を水に溶かして衣類を浸漬する方法等が挙げられる。また、衣料用液体洗浄剤組成物を洗濯物に塗布後、適宜放置し、その後、アニオン界面活性剤を含有する洗濯液を用いて通常の洗濯を行う方法も好ましい。
【0034】
この様に本発明においては、泥汚れ、好ましくは皮脂汚れの洗浄力に優れているとともに、保存安定性に優れた衣料用液体洗浄剤組成物を提供することができる。
特に高温(例えば30〜35℃)で長期(例えば1年以上)保存した場合であっても、保存安定性に優れ、析出等が生じない衣料用液体洗浄剤組成物を提供できる。
【実施例】
【0035】
以下に実施例を用いて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。また「%」は特に断りがない限り「質量%」を示す。
【0036】
(実施例1〜18、比較例1〜6)
表1〜4に示す組成の衣料用液体洗浄剤組成物を調整した。配合量の単位は質量%であり、総量が100質量%となるように、水量を調整した。
得られた衣料用液体洗浄剤組成物について、以下の様にして評価を行い、その結果を表1〜4にあわせて示した。
【0037】
《表中に示した成分の説明》
(A)成分
A−1:C2n+1O(EO)15H(n=12/13混合物(質量比55/45))、下記方法にて得られた合成品
[(A−1)成分の合成方法]
Sasol製 商品名Safol23アルコ−ル(分岐率*150%)224.4g、30%NaOH水溶液2.0gを耐圧型反応容器中に採取し、容器内を窒素置換した。次に温度100℃、圧力2.0kPa以下で30分間脱水してから、温度を160℃まで昇温した。アルコ−ルを攪拌しながら酸化エチレン(ガス状)763.6gを吹き込み管を使って、反応温度が180℃を超えないように添加速度を調整しながらアルコ−ルの液中に徐々に加えた。酸化エチレンの添加終了後、温度180℃、圧力0.3MPa以下で30分間熟成した後、温度180℃、圧力6.0kPa以下で10分間未反応の酸化エチレンを留去した。次に温度を100℃以下まで冷却した後、反応物の1%水溶液のpHが約7になるように、70%p−トルエンスルホン酸を加えて中和し、これを得た。
*1分岐率:分岐率とは、全炭素数に対する分岐鎖を構成する炭素数の割合を示す。
【0038】
A−2:C2n+1CH C2m+1O(EO)H(m+n=11〜13)、
日本触媒(株)製 商品名ソフタノ−ル90、分岐鎖含有2級アルコ−ルの平均EO9モル付加物)
【0039】
A−3:C2n+1O(EO)15H(n=12/14混合物(質量比71/29))、下記方法で得られた合成品
[(A−3)成分の合成方法]
P&G製C12〜14アルコ−ル224.4gを用い、A−1と同様に合成した。
【0040】
A−4:C1327O(EO)H(分岐鎖含有、ダイアド−ル13、分岐率*150%)
三菱化学(株)製炭素数13の分岐鎖含有高級アルコ−ルの平均EO5モル付加物
A−5:C1327O(EO)H(C鎖長、分岐型)、
BASF社製 商品名:Lutenzol TO7
【0041】
(B)成分
B−1:1−ヒドロキシエタン−1,1−ジホスホン酸(ALBRITE&WILSON製 商品名「BRIQUEST ADPA−A」
【0042】
(C)成分
C−1:モノエタノ−ルアミン:(株)日本触媒製
【0043】
(D)成分
D−1:ラウリルアミノプロピオン酸Na:一方社油脂工業(株)製
D−2:ラウリン酸アミドプロピルベタイン:川研ファインケミカル(株)製 商品名「ソフタゾリン LPB」
D−3:エソカ−トC/25:ライオンアクゾ(株)製 (I)式で表される化合物、但しR11:ヤシ由来のアルキル基(炭素数8〜18) 、R12:メチル基、a+b=15、X=Cl
D−4:n−ドデシルジメチルアミンオキシド:ライオンアクゾ(株)製
D−5:エソミンSA2Y−103:ライオンアクゾ(株)製 (II)式で表される化合物、但しR13:硬化牛脂由来のアルキル基(炭素数 14〜20)、a+b=50)
【0044】
D−6: エソミンSAJ−103:ライオンアクゾ(株)製 (II)式で表される化合物、但しR13:硬化牛脂由来のアルキル基(炭素数 12〜20)、a+b=10)
D−7:ビスノ−ルUP−10:一方社油脂工業(株)製 (I)式で表される化合物、但しR11:牛脂由来のアルキル基(炭素数14〜20)、R12:ベンジル基、a+b=30、X=Cl
D−8:ラウリルジメチルベタイン:花王(株)製 商品名「アンヒト−ル24B」
【0045】
(E)成分
パラトルエンスルホン酸:協和発酵工業(株)製
キュメンスルホン酸:テイカ(株)製 商品名「テイカトックス 500」
【0046】
任意成分
ジエタノ−ルアミン:(株)日本触媒製
炭酸ナトリウム:(株)旭硝子 商品名「ソーダ灰」
水酸化ナトリウム:純正化学試薬
LAS−Na:ライオン(株)製 直鎖型アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム(アルキル基の炭素数 C10/12/14の混合物)
パルミチン酸:日本油脂(株)製
エタノ−ル:95vol%合成エタノ−ル NEDO製
プロピレングリコ−ル:PEG#1000(質量平均分子量1000) 日本油脂(株)製
香料組成物:特開2002−146399号公報記載の表11〜18記載の香料組成物A〜D
色素A:緑色201、癸巳化成(株)製
色素B:黄色201、癸巳化成(株)製
色素C:緑色3号、癸巳化成(株)製
【0047】
《保存安定性評価と基準》
衣料用液体洗浄剤組成物100mLを、100mL容のスクリューキャップ付きガラス瓶中に収納密閉し、50℃の恒温室中で1ヵ月間保存した。保存安定性は、この保存後と配合直後の衣料用液体洗浄剤組成物を目視で比較し、以下の基準で評価した。
○:配合直後との変化が全くない
×:配合物中に結晶が析出している
【0048】
《泥汚れ洗浄力評価》
園芸用黒土(kyotochiya製)15gを秤量し、水道水500g中に投入し、ホモジナイザ−(KINEMATICAスイス)社製、商品名ポリトロン Type PT 10/35)にて、80rpmで約5分間分散させた。得られた泥分散液中に、10cm×25cmに裁断した綿メリヤスニット布((株)谷頭商店製 染色試材、綿ニット未シル晒)15枚を浸漬させ、布を手で良く揉み、布全体に均一に泥分散液を含ませた。布を取り出し、ロ−ラ−で軽く絞った。1時間自然乾燥させた後、105℃の恒温槽にてさらに1時間乾燥させた。
最後に布表面をウレタンスポンジで擦り、余分な泥粒子を落としたものをモデル泥汚れ布として、評価に供した。
上記で調整した各モデル泥汚れ布を5枚(各2×2cm)に分断し、これを評価布として、実験に使用した。
洗浄方法としては、衣料用液体洗浄剤組成物を汚垢布5枚あたり0.6g塗布し、5分放置後、5枚の汚垢布をそのままTerg−O−Tometer(洗浄試験機)に投入し、25℃水道水(硬度3DH)0.9Lを入れ、120rpmで10分攪拌した後、二槽式洗濯機(三菱電機製、品番:CW−C30A1−H1)に移し、1分脱水した。その後、1分流水すすぎ、1分脱水をした後、風乾した。
【0049】
《皮脂汚れ洗浄力評価》
10cm角に裁断した100番手の綿平織り布(未汚染布)に顔面の皮脂汚れを擦りつけて作製した皮脂汚れ布(汚染布)10枚を用意した。
洗浄方法としては、衣料用液体洗浄剤組成物0.6gをTerg−O−Tometerに投入し、30秒攪拌した後、10枚の汚垢布をそのままTerg−O−Tometerに投入し、15℃水道水(硬度3DH)0.9Lを入れ、120rpmで10分攪拌した後、二槽式洗濯機(三菱電機製、品番:CW−C30A1−H1)に移し、1分脱水した。その後、1分流水すすぎ、1分脱水をした後、風乾した。
【0050】
《洗浄力の評価基準》
泥汚れ洗浄力、皮脂汚れ洗浄力は、汚れ付着前の原布及び洗浄前後の汚染布のZ値を測色色差計(日本電色社製:商品名、SE2000)を用いて測定し、次式の洗浄率として評価した。なお、評価には10枚のサンプルを用い、その平均値を示した。
【0051】
洗浄率(%)=(洗浄後のZ値−洗浄前のZ値)/(原布のZ値−洗浄前のZ値)×100
【0052】
泥汚れ洗浄力の評価は以下の基準で行った。
A:洗浄率 25%以上
B:洗浄率 20〜25%
C:洗浄率 20%未満
【0053】
皮脂汚れ洗浄力の評価は以下の基準で行った。
A:洗浄率 60%以上
B:洗浄率 40〜60%
C:洗浄率 40%未満
【0054】
【表1】

【0055】
【表2】

【0056】
【表3】

【0057】
【表4】

【0058】
表1〜4に示した結果から明らかな様に、本発明に係る実施例においては保存安定性に優れており、また泥汚れ、皮脂汚れともに良好な洗浄力が得られることが確認できた。







【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記(A)成分、(B)成分、(C)成分及び(D)成分を含有することを特徴とする衣料用液体洗浄剤組成物。
(A)アルキル基の炭素数が10〜20でエチレンオキシドの平均付加モル数が3〜26のポリオキシエチレンアルキルエーテル、
(B)1−ヒドロキシエタン−1,1−ジホスホン酸及び/またはその塩、
(C)モノエタノールアミン、
(D)半極性界面活性剤、両性界面活性剤、下記一般式(I)で表される化合物及び下記一般式(II)で表される化合物から選ばれる1種以上の化合物。
【化1】

(式中、R11、R12は、それぞれ独立に、炭素数1〜20の直鎖または分岐鎖のアルキル基またはアルケニル基、直鎖ヒドロキシアルキル基、トリル基、フェニル基、ベンジル基のいずれかであり;R13は、炭素数8〜20の直鎖または分岐鎖のアルキル基またはアルケニル基、直鎖ヒドロキシアルキル基、トリル基、フェニル基、ベンジル基のいずれかであり;EOはエチレンオキシド基であり;a、bはそれぞれ0以上の整数を示し、a+bは10以上であり;Xは、陰イオンである。)
【請求項2】
さらに(E)下記一般式(III)で表される化合物を含有する請求項1に記載の衣料用液体洗浄剤組成物。
【化2】

[式中、X、Y、Zは、それぞれ独立してH、Cn”2n”+1、または(CHCH(n”は1〜3の整数である)であり;Mは、H、アルカリ金属原子、アルカリ土類金属原子、NH、または、アルカノールアミン類を示す。]


【公開番号】特開2007−77362(P2007−77362A)
【公開日】平成19年3月29日(2007.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−270568(P2005−270568)
【出願日】平成17年9月16日(2005.9.16)
【出願人】(000006769)ライオン株式会社 (1,816)
【Fターム(参考)】