説明

衣料用液体洗浄剤組成物

【課題】優れた洗浄力、再汚染防止性能、抗菌性、消臭性能、液安定性を有し、衣料の着心地を損なうことなく洗浄できる衣料用液体洗浄剤組成物の提供。
【解決手段】特定のノニオン性界面活性剤(A)および(B)を含有し、4級アンモニウム塩型カチオン活性剤(C)、SO基又はSO基を有するアニオン性界面活性剤(D)、グリコール類(F)を含有し、(A)及び(B)の合計量が40〜70質量%、(B)/(A)=80/20〜0/100、(C)が0.1〜5質量%、(D)が0.1〜25質量%、かつ、(D)/(C)=1/1〜5/1、(E)が3〜20質量%、(F)が1〜20質量%、更に(E)+(F)は12質量%以上、かつ、(E)/(F)=5/1(質量比)よりも低い割合である液体衣料用洗浄剤組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、衣料用液体洗浄剤組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、地球環境にやさしい製品の開発、販売の重要性がいっそう増しており、日用品分野でも地球環境に配慮した商品が求められている。たとえば、容器を小さくするなどといった対応が必要とされている。
また、家庭用の電気洗濯機でも、省エネ、節水、節電といった技術をキーとして、地球環境に配慮した新型機種が相次いで発売されている。これらの洗濯機では、洗い方(機械力)を工夫しより少ないエネルギーでの洗濯を可能としたり、より少ない水量での洗濯を可能としている。しかし、このような洗い方では、衣料にかかる負荷が大きく、洗濯後に仕上がり感が悪くなる。そのため、洗濯後に良好な仕上がり感を付与できる衣料用洗剤に対する要求が高まっており、例えば特許文献1〜2には、長鎖アミンやカチオン性界面活性剤などの柔軟性付与成分を含む洗浄剤組成物が開示されている。
また、昨今の生活スタイルの変化に伴い部屋干しを行う家庭が増加し、被洗物に「消臭効果」を付与するために洗浄剤には抗菌性化合物が配合されている(特許文献3)。更には洗濯機の大型化、節水型洗濯機の普及により、より水が少ない条件で、衣料を詰め込んで洗濯する場合が多くなっている。しかし、このような条件で洗濯した場合、洗濯によって落とされた汚れが再び衣料に付着し、洗濯後の衣料がくすんでくるといった再汚染の問題を生じやすい。このような問題に対し、洗浄剤組成物に直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩などのアニオン性界面活性剤を配合すると、再汚染防止効果が得られることが知られている。更に最近の洗濯機は機能が充実しており、洗剤の投入口を付与しており、最大24時間まで予約運転が可能である。(非特許文献1)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−206500号公報
【特許文献2】特開2005−23123号公報
【特許文献3】特許第3566171号公報
【非特許文献1】(株)東芝 家電カタログ 2009夏
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら容器を小さくし使用量を少なくするためには、少量で高い洗浄力を有する必要がある。そのためには高濃度で安定配合できる洗浄基剤が必要となる。また、液体洗浄剤組成物に長鎖アミン、カチオン性界面活性剤等の抗菌・消臭付与成分と、再汚染防止のために用いられるアニオン性界面活性剤の両成分を配合した場合、抗菌性・消臭性付与性能や再汚染防止性能が充分に発揮されなかったり、液体洗浄剤組成物の保存安定性が低下することがある。また予約運転に関しては、投入口に洗剤を入れた後、運転開始時間までが長時間に亘る場合、水や安定化剤として配合されているエタノールなどの溶剤が蒸発し、洗剤が溶け残りを生じてしまうケースもある。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、優れた洗浄力、再汚染防止性能及び抗菌性・消臭性付与性能を有し、液安定性・投入口でのとけ残りが良好な衣料用液体洗浄剤組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、鋭意検討を重ねた結果、特定のノニオン性界面活性剤と、特定の4級カチオン性界面活性剤と、特定のアニオン性界面活性剤と、特定溶剤とを特定量配合することにより上記課題が解決されることを見出し、本発明を完成した。
そこで、我々は脂肪酸メチルエステルエトキシレートを主剤とし、カチオン性界面活性剤などの抗菌付与成分とアニオン性界面活性剤を特定の混合比で配合することにより、抗菌性・消臭性と再汚染防止性能を安定配合できる濃縮洗剤であり、更にその上で、洗浄力・保存安定性を確保し、ポリエチレングリコールを用いることで予約選択により長時間放置される場合の低温での溶け残り防止力も有する液体洗浄剤組成物を見出した。
上記課題を解決する本発明は、R−CO(OROR[式中、Rは炭素数9〜13のアルキル基又は炭素数9〜13のアルケニル基であり、Rは炭素数2〜4のアルキレン基であり、Rは炭素数1〜3のアルキル基であり、mは平均付加モル数を表し5〜20である。]で表されるノニオン性界面活性剤(A)と、
−O(RO)H[式中、Rは炭素数10〜22の炭化水素基であり、Rは炭素数2〜4のアルキレン基であり、nは平均付加モル数を表し5〜20である。]で表されるノニオン性界面活性剤(B)と
下記一般式(I−1)、(I−2)、(II)で示される4級アンモニウム塩型のカチオン性活性剤群[(I−1)におけるR〜Rのうち、2つ以上はそれぞれ独立して炭素数1〜3のアルキル基またはヒドロキシアルキル基であり;それ以外は炭素数8〜22の直鎖もしくは分岐鎖状のアルキル基またはアルケニル基である。Zはハロゲンイオンまたはアルキル硫酸イオンである。また(I−2)で表される第4級アンモニウム塩型カチオン界面活性剤も挙げられ、EOはエチレンオキサイド基を示す。x及びyは、エチレンオキサイド基の平均付加モル数であり、各々独立に0以上の整数を示す。また、x+y=10モル以上、好ましくは10〜50モル、x+yが10未満では、泥中の有機物の分散効果が小さく、泥汚れに対する洗浄力が不充分となることがある。特に好ましくは、R11、R12のうち一方が炭素数10〜18の直鎖又は分岐鎖のアルキル基またはアルケニル基、他方がメチル基又はトリル基の組み合わせである。Zはハロゲンイオンまたはアルキル硫酸イオンである。式(II)中、R13およびR14はそれぞれ独立して炭素数1〜3のアルキル基またはヒドロキシアルキル基であり;R15は炭素数8〜22の直鎖もしくは分岐鎖状のアルキル基またはアルケニル基であり;R16は炭素数1〜3のアルキレン基である。Zはハロゲンイオンまたはアルキル硫酸イオンである]から選択される化合物(C)と、
【化1】


【化2】


【化3】


SO基又はSO基を有するアニオン性界面活性剤(D)と、
炭素数2〜4の一価アルコール、炭素数2〜4の多価アルコール及びR17−(OR18OH[式中、R17は炭素数1〜6のアルキル基又はフェニル基であり、R18は炭素数2〜4のアルキレン基であり、lは平均付加モル数を表し1〜5である。]で表されるグリコールエーテル系溶剤からなる群から選択される溶剤(E)と、ポリエチレングリコール[平均分子量200〜5000](F)を含有し、
(A)成分及び(B)成分の配合量の合計が40〜70質量%であり、(A)成分と(B)成分との配合比率(質量比)が(B)/(A)=80/20〜0/100であり、
(C)成分の配合量が0.1〜5質量%であり、(D)成分の配合量が0.1〜25質量%であり、(C)成分と(D)成分との配合比率(質量比)が(D)/(C)=1/1〜5/1であり、
(E)成分の配合量が3〜20質量%であり、
(F)成分の配合量が1〜20質量%であり、
(E)+(F)は12質量%以上であり、(E)成分と(F)成分との配合比率(質量比)は、(E)/(F)=5/1よりも低い割合であることを特徴とする液体衣料用洗浄剤組成物である。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、優れた洗浄力、再汚染防止性能及び抗菌性・消臭性付与性能を有し、液安定性・低温での溶け残りが良好な衣料用液体洗浄剤組成物を提供することを目的とする。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本発明の衣料用液体洗浄剤組成物(以下、液体洗浄剤組成物ということがある。)は、以下に示す(A)〜(F)成分を含有する。
【0008】
<(A)成分>
(A)成分は、R−CO(ORORで表されるノニオン性界面活性剤である。
式中、Rは炭素数9〜13のアルキル基又は炭素数9〜13のアルケニル基である。炭素数が上記範囲内であることにより、洗浄力やゲル化防止性に優れる。該アルキル基及びアルケニル基の炭素数は、それぞれ、10〜13であることが好ましく、11〜13であることがより好ましい。
該アルキル基及びアルケニル基は、それぞれ、直鎖状又は分岐鎖状であることが好ましい。
は炭素数2〜4のアルキレン基であり、エチレン基又はプロピレン基が好ましい。なかでも、すすぎ時の泡切れ性がよく安価であることから、Rがエチレン基であることが好ましい。
は炭素数1〜3のアルキル基であり、メチル基が好ましい。
mはアルキレンオキサイドの平均付加モル数を表す。mは5〜20であり、12〜18が好ましい。mが該範囲内であることで、洗浄力、特に皮脂汚れに対する洗浄力が向上する。
【0009】
(A)成分において、アルキレンオキサイドの付加モル数が異なるアルキレンオキサイド付加体の分布の割合を示すナロー率は、20質量%以上であることが好ましく、上限値としては実質的には80質量%以下であることが好ましい。当該ナロー率は、20〜50質量%であることがより好ましく、保存安定性が向上するため、30〜45質量%がさらに好ましい。
該ナロー率は高いほど、良好な洗浄力が得られる。また、当該ナロー率が20質量%以上、特に30質量%以上であると、界面活性剤の原料臭気の少ない液体洗浄剤組成物が得られやすくなる。これは、(A)成分の製造後、(A)成分と共存する(A)成分の原料である脂肪酸エステルと前記式中のmが1又は2のアルキレンオキサイド付加体が少なくなるためである。
ここで、本明細書において「ナロー率」とは、アルキレンオキサイドの付加モル数が異なるアルキレンオキサイド付加体の分布の割合を示す下記の数式(S)で表されるものを意味する。
【0010】
【数1】

【0011】
式(S)中、nmaxは、全体のアルキレンオキサイド付加体中に最も多く存在するアルキレンオキサイド付加体のアルキレンオキサイドの付加モル数を示す。
iはアルキレンオキサイドの付加モル数を示す。
Yiは全体のアルキレンオキサイド付加体中に存在するアルキレンオキサイドの付加モル数がiであるアルキレンオキサイド付加体の割合(質量%)を示す。
前記ナロー率は、例えば該(A)成分の製造方法等によって制御することができる。
(A)成分の製造方法としては、特に限定されるものではないが、例えば表面改質された複合金属酸化物触媒を用いて、脂肪酸アルキルエステルにアルキレンオキサイドを付加重合させる方法(特開2000−144179号公報参照)により容易に製造することができる。
かかる表面改質された複合金属酸化物触媒の好適なものとしては、具体的には、金属水酸化物等により表面改質された金属イオン(Al3+、Ga3+、In3+、Tl3+、Co3+、Sc3+、La3+、Mn2+等)が添加された酸化マグネシウム等の複合金属酸化物触媒や金属水酸化物及び/又は金属アルコキシド等により表面改質されたハイドロタルサイトの焼成物触媒である。
また、前記複合金属酸化物触媒の表面改質においては、複合金属酸化物と、金属水酸化物及び/又は金属アルコキシドとの混合割合を、複合金属酸化物100質量部に対して、金属水酸化物及び/又は金属アルコキシドの割合を0.5〜10質量部とすることが好ましく、1〜5質量部とすることがより好ましい。
本発明の液体洗浄剤組成物において、(A)成分は、一種類のみを単独で用いてもよく、複数種類を組み合わせて使用してもよい。
【0012】
<(B)成分>
(B)成分は、R−O(RO)Hで表されるノニオン性界面活性剤である。
(B)成分は、アルコール(R−OH)に炭素数2〜4の酸化アルキレンが平均付加モル数nにて付加したアルコールアルコキシレートである。
式中、Rは炭素数10〜22の炭化水素基である。炭素数が10以上であることで皮脂汚れに対する洗浄力が向上し、22以下であることで液体洗浄剤組成物としての溶解性と液安定性が向上する。該炭化水素基の炭素数は、10〜20が好ましく、10〜18がより好ましい。該炭化水素基は、脂肪族炭化水素基(芳香族性を有さない炭化水素基)であることが好ましい。該炭化水素基は、不飽和結合を有してよく、有さなくてもよい。該炭化水素基は、直鎖状又は分岐鎖状であることが好ましい。
は、単一鎖長であってもよく、複数の鎖長の混合物であってもよい。
は原料のアルコール(R−OH)に由来し、該アルコールとしては、ヤシ油、パーム油、牛脂などの天然油脂由来のアルコールや石油由来の合成アルコールが挙げられる。
【0013】
は炭素数2〜4のアルキレン基であり、エチレン基又はプロピレン基が好ましい。なかでも、洗浄時の泡立ちが良く、安価であることから、Rがエチレン基であることが好ましい。
nはアルキレンオキサイドの平均付加モル数を表す。nは5〜20であり、8〜18が好ましく、10〜16が特に好ましい。nが該範囲内であると、皮脂汚れに対し優れた洗浄力を示す。また、nが5以上であると、さらに、臭気の劣化を防ぐこともできる。一方、nが20を超えると、HLB(Hydrophile−Lipophile Balance)が高くなりすぎて皮脂汚れに対する洗浄力が低下する。
【0014】
(B)成分において、アルキレンオキサイドの付加モル数分布は特に限定されない。該分布は、(B)成分の製造時の反応方法によって変動し、例えば、一般的な水酸化ナトリウムや水酸化カリウムなどのアルカリ触媒を用いて酸化エチレンを疎水性原料に付加させた際には、比較的広い分布となる傾向にある。また、特公平6−15038号公報に記載のAl3+、Ga3+、In3+、Tl3+、Co3+、Sc3+、La3+、Mn2+等の金属イオンを添加した酸化マグネシウム等の特定のアルコキシル化触媒を用いて酸化エチレンを疎水基原料に付加させた際には、比較的狭い分布となる傾向にある。
【0015】
(B)成分の具体例としては、第1級アルコール由来のものとして、Shell製:商品名Neodol(C12/C13)、Sasol製:Safol23(C12/C13)等のアルコールに対して、12及び、15モル相当の酸化エチレンを付加したもの、P&G社製:商品名CO−1214やCO−1270等の天然アルコールに9、12及び、15モル相当の酸化エチレンを付加したものなどが挙げられる。また、第2級アルコール由来のものの具体例としては、炭素数12〜14の第2級アルコールに9、12及び、15モル相当の酸化エチレンを付加したもの(日本触媒(株)製、ソフタノール90、120及び、150)などが挙げられる。
本発明の液体洗浄剤組成物において、(B)成分は、一種類のみを単独で用いてもよく、複数種類を組み合わせて使用してもよい。
【0016】
上記(A)成分及び(B)成分は、本発明の液体洗浄剤組成物へ洗浄力を付与することを主目的として配合される。
これらのうち、(A)成分の配合量は、該液体洗浄剤組成物の総質量に対して、8〜70質量%が好ましく、12〜50質量%がより好ましく、16〜44質量%がさらに好ましい。本発明の液体洗浄剤組成物中、(A)成分を必須の成分として含み、任意に(B)成分を含んでもよい。(B)成分の配合量は、該液体洗浄剤組成物の総質量に対して、0〜56質量%が好ましく、0〜28質量%がより好ましく、0〜24質量%がさらに好ましい。
(A)成分と(B)成分との配合比率(質量比)は、(B)/(A)=80/20〜0/100である必要がある。70/30〜0/100が好ましく、60/40〜0/100がより好ましい。(B)の比率が高すぎると、組成物の粘度が高くなって、計量カップに注ぎにくいなど、使用性が悪くなる。また、ゲル化が生じたり、投入口で固化しやすくなる。該合計が40質量%以上であると、液体洗浄剤組成物に高い洗浄力を与えることができる。一方、70質量%を超えると、ゲル化が生じやすく、また(C)成分や(D)成分を安定に配合できず、液体洗浄剤組成物としての安定性が低下する。
【0017】
<(C)成分>
本発明において、(C)成分は、前記一般式(I―1)または(I―2)または(II)で表される4級アンモニウム塩型のカチオン性界面活性剤である。該(C)成分を含有することにより、消臭効果が得られる。また、本発明の液体洗浄剤組成物においては、洗濯液中、該(C)成分が少量であっても部屋干しによって発生するニオイを消す効果が表れる。
【0018】

(C)成分において、4級カチオン性活性剤としては、特に限定されるものではなく、通常、衣料用液体洗浄剤組成物に用いられるものとして従来公知のものを用いることができる。
【0019】
【化1】


前記一般式(I−1)におけるR〜Rのうち、2つ以上はそれぞれ独立して炭素数1〜3のアルキル基またはヒドロキシアルキル基であり;それ以外は炭素数8〜22の直鎖もしくは分岐鎖状のアルキル基またはアルケニル基である。Zはハロゲンイオンまたはアルキル硫酸イオンである。
【化2】

前記一般式(I−2)で表される第4級アンモニウム塩型のカチオン性界面活性剤も挙げられ、EOはエチレンオキサイド基を示す。x及びyは、エチレンオキサイド基の平均付加モル数であり、各々独立に0以上の整数を示す。また、x+y=10モル以上、好ましくは10〜50モル、x+yが10未満では、泥中の有機物の分散効果が小さく、泥汚れに対する洗浄力が不充分となることがある。特に好ましくは、R11、R12のうち一方が炭素数10〜18の直鎖又は分岐鎖のアルキル基またはアルケニル基、他方がメチル基又はトリル基の組み合わせである。Zはハロゲンイオンまたはアルキル硫酸イオンである。
【化3】

前記一般式(II)中、R13およびR14はそれぞれ独立して炭素数1〜3のアルキル基またはヒドロキシアルキル基であり;R15は炭素数8〜22の直鎖もしくは分岐鎖状のアルキル基またはアルケニル基であり;R16は炭素数1〜3のアルキレン基である。Zはハロゲンイオンまたはアルキル硫酸イオンである
【0020】
前記一般式、化1、化2、化3で表される(C)成分のなかで好適なものとしては、たとえば、R〜Rが、それぞれ独立して炭素数1〜3のアルキル基または炭素数1〜3のヒドロキシアルキル基であり、Rが炭素数8〜22の直鎖もしくは分岐鎖状のアルキル基または炭素数8〜22の直鎖もしくは分岐鎖状のアルケニル基である化合物(C−1)(以下、(C−1)成分という。);RおよびRが、それぞれ独立して炭素数1〜3のアルキル基または炭素数1〜3のヒドロキシアルキル基であり、RおよびRが、それぞれ独立して炭素数8〜22の直鎖もしくは分岐鎖状のアルキル基または炭素数8〜22の直鎖もしくは分岐鎖状のアルケニル基である化合物(C−2)(以下、(C−2)成分という。);前記(C−3)中、R13およびR14はそれぞれ独立して炭素数1〜3のアルキル基またはヒドロキシアルキル基であり、R15は炭素数8〜22の直鎖もしくは分岐鎖状のアルキル基またはアルケニル基であり、R16は炭素数1〜3のアルキレン基である化合物(以下、(C−3)成分という。)が挙げられる。
【0021】
前記(C−1)成分において、R〜Rは、それぞれ炭素数1〜3のアルキル基であることが好ましく、それぞれメチル基であることがより好ましく、いずれもメチル基であることが特に好ましい。
のアルキル基またはアルケニル基において、炭素数は8〜22であり、10〜22であることが好ましく、16〜18であることがより好ましい。また、R9は、直鎖もしくは分岐鎖状のアルキル基であることが好ましく、直鎖状のアルキル基であることがより好ましい。
【0022】
前記(C−2)成分において、RおよびRは、それぞれ炭素数1〜3のアルキル基であることが好ましく、それぞれメチル基であることがより好ましく、いずれもメチル基であることが特に好ましい。
およびRのアルキル基またはアルケニル基において、炭素数は8〜22であり、8〜12であることが好ましく、8〜10であることがより好ましい。また、RおよびRは、それぞれ直鎖もしくは分岐鎖状のアルキル基であることが好ましく、それぞれ直鎖状のアルキル基であることがより好ましく、いずれも直鎖状のアルキル基であることが特に好ましい。
【0023】
前記(C−3)成分において、R13およびR14は、それぞれ炭素数1〜3のアルキル基であることが好ましく、それぞれメチル基であることがより好ましく、いずれもメチル基であることが特に好ましい。 R15のアルキル基またはアルケニル基において、炭素数は8〜22であり、10〜18であることが好ましく、12〜14であることがより好ましい。またR15は、直鎖もしくは分岐鎖状のアルキル基であることが好ましく、直鎖状のアルキル基であることがより好ましい。
16は、炭素数1〜3のアルキレン基であり、メチレン基であることが好ましい。
【0024】
は、ハロゲンイオンまたはアルキル硫酸イオンである。
ハロゲンイオンを構成するZとしては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、塩素原子が好ましい。
アルキル硫酸イオンを構成するZとしては、炭素数1〜3のアルキル基を有するものが好ましい。
なかでもZは、ハロゲンイオンであることが好ましい。
【0025】
カチオン性界面活性剤の好ましいものとして具体的には、塩化アルキルトリメチルアンモニウム(たとえば、商品名「アーカードT−800」、ライオンアクゾ製など)等の(C−1)成分; 塩化ジデシルジメチルアンモニウム(たとえば、商品名「アーカード210」、ライオンアクゾ製など)等の(C−2)成分;椰子アルキルジメチルベンジルアンモニウムクロライド(たとえば、商品名「CB−50」)等の(C−3)成分などが例示できる。
【0026】
(C)成分は、1種または2種以上混合して用いることができる。(C)成分の含有量は、衣料用液体洗浄剤組成物中、0.1〜5質量%未満であり、1〜3質量%であることが好ましく、1.5〜2%が特に好ましい。該範囲の下限値以上であることにより、消臭効果が向上する。一方、上限値以下であることにより、被洗物に対する移染や再汚染等が抑制される。また、液体洗浄剤組成物の液安定性(着色の抑制、粘度低下の防止効果、香気安定化等)がより向上する。さらに、経済的にも有利となる。
【0027】
本発明の液体洗浄剤組成物は、消臭効果に優れる。かかる理由については定かではないが、おそらく、本発明の液体洗浄剤組成物は、(A)成分および(B)成分を多量に含有することによって、自由水が少なく、濃厚な(A)ならびに(B)成分のミセル内(比較的に弱い配向性)に(C)成分が取り込まれていると考えられる。そのため、洗浄行程の初期段階で、迅速かつ有効に、被洗物へ(C)成分が高吸着するようになるため、消臭効果に優れると推測される。
【0028】
<(D)成分>
(D)成分は、SO基又はSO基を有するアニオン性界面活性剤である。
(D)成分は、本発明の液体洗浄剤組成物へ再汚染防止性能を付与することを主目的に配合される。
(D)成分としては、特に限定されず、公知のものを利用できる。
(D)成分の具体例としては、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸又はその塩;α−オレフィンスルホン酸塩;直鎖又は分岐鎖のアルキル硫酸エステル塩;アルキルエーテル硫酸エステル塩又はアルケニルエーテル硫酸エステル塩;アルキル基を有するアルカンスルホン酸塩;α−スルホ脂肪酸エステル塩などが挙げられる。
これらの塩としては、ナトリウム、カリウムなどのアルカリ金属塩、マグネシウムなどのアルカリ土類金属塩、モノエタノールアミン、ジエタノールアミンなどのアルカノールアミン塩等が挙げられる。
上記のうち、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸又はその塩としては、直鎖アルキル基の炭素数が8〜16のものが好ましく、炭素数10〜14のものが特に好ましい。
α−オレフィンスルホン酸塩としては、炭素数10〜20のものが好ましい。
アルキル硫酸エステル塩としては、炭素数10〜20のものが好ましい。
アルキルエーテル硫酸エステル塩又はアルケニルエーテル硫酸エステル塩としては、炭素数10〜20の直鎖又は分岐鎖のアルキル基もしくはアルケニル基を有し、平均1〜10モルの酸化エチレンを付加したもの(すなわち、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩又はポリオキシエチレンアルケニルエーテル硫酸エステル塩)が好ましい。
アルカンスルホン酸塩の炭素数は10〜20、好ましくは14〜17であり、2級アルカンスルホン酸塩が特に好ましい。
α−スルホ脂肪酸エステル塩としては、炭素数10〜20のものが好ましい。
これらの(D)成分は市場において容易に入手することができる。また、公知の方法により合成してもよい。
(D)成分としては、上記のなかでも、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸又はその塩、アルカンスルホン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、及びα−オレフィンスルホン酸塩からなる群から選択される少なくとも1種が好ましい。
【0029】
(D)成分は、一種類のみを単独で用いてもよく、複数種類を組み合わせて使用してもよい。
本発明の液体洗浄剤組成物中、(D)成分の配合量は、該液体洗浄剤組成物の総質量に対して、1〜25質量%であり、1〜10質量%が好ましく、特に1〜3質量%が好ましい。(D)成分の含有量が1質量%以上であれば、充分な再汚染防止性能が得られる。また、(D)成分の含有量が20質量%以下であれば、本組成物の液安定性が向上し、3質量%以下だと抗菌性にも影響しない。
【0030】
前記(C)成分と(D)成分とを特定比率で配合することにより、再汚染防止性能の向上と、抗菌性の向上を両立できる。
本発明の液体洗浄剤組成物中、(C)成分と(D)成分の配合比率(質量比)は、(D)/(C)=0.8/1.0〜5.0/1.0であり、1.0/1.0〜2.0/1.0が好ましい。(D)成分の比率が低すぎると、(D)成分による再汚染防止効果が充分に得られないだけでなく、液体洗浄剤組成物として安定配合できない。一方、(C)成分の比率が低すぎると、(C)成分による充分な抗菌性付与効果が得られない。
上記効果を奏する理由については定かではないが、おそらく、(C)成分と(D)成分とが洗浄時に水中で複合体を形成することによって抗菌性付与成分である(C)成分の疎水性が高まり、特に疎水性の繊維表面に対し高い吸着性を示すようになったためと推察される。
【0031】
<(E)成分>
(E)成分は、炭素数2〜4の一価アルコール、炭素数2〜4の多価アルコール及びR17−(OR18OH[式中、R17は炭素数1〜6のアルキル基又はフェニル基であり、R18は炭素数2〜4のアルキレン基であり、lは平均付加モル数を表し1〜5である。]で表されるグリコールエーテル系溶剤で表されるグリコールエーテル系溶剤からなる群から選択される溶剤である。
炭素数2〜4の1価アルコールとしては、たとえば、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール等が挙げられる。
炭素数2〜4の多価アルコールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、グリセリン等が挙げられる。
前記式R17−(OR18OHで表されるグリコールエーテル系溶剤としては、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、プロピレングリコールモノフェニルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル等が挙げられる。
これらのなかでも、臭気の穏やかな点や原料の入手のしやすさから、一価アルコール、多価アルコールが好ましく、特にエタノール、プロピレングリコールが好ましい。
本発明の液体洗浄剤組成物において、(E)成分は、一種類のみを単独で用いてもよく、複数種類を組み合わせて使用してもよい。
【0032】
本発明の液体洗浄剤組成物中、(E)成分の配合量は、該液体洗浄剤組成物の総質量に対し、3〜20質量%であり、4〜15質量%が好ましく、5〜12質量%がより好ましい。(E)成分の含有量が3質量%以上であれば、該組成物の液流動性が良好となり、ゲル化せず、洗浄剤として使用できる。20質量%より多く配合してもそれに見合う液流動性の改善効果は見られず、経済的にも不利になる。
【0033】
<F成分>
F成分はトリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、平均分子量約200〜5000のポリエチレングリコールなどのグリコール類である。ポリエチレングリコールの平均分子量は、既知の平均分子量を有するポリエチレングリコールの標準サンプルを用いて、ゲル浸透クロマトグラフィーにより測定することができる。本発明の液体洗浄剤組成物中、(F)成分の配合量は2〜20質量%であり、好ましくは200〜2000のポリエチレングリコールを2〜10重量%、特に好ましくは200〜1000のポリエチレングリコールを2〜6質量%含有することで投入口における低温での溶け残りを防止することが可能となる。これはポリエチレングリコールのハイドロトロープとしての効果の高さと揮発しにくい性質に由来するものである。
【0034】
上記(E)成分及び(F)成分は、本発明の液体洗浄剤組成物の保存安定性を付与することを主目的として配合される。
(E)+(F)は12質量%以上であり、(E)成分と(F)成分との配合比率(質量比)は、(E)/(F)=5/1よりも低い割合が好ましい。この範囲外であると安定性が極端に悪化する。
【0035】
本発明の液体洗浄剤組成物は、上記(A)〜(F)成分を必須の成分として含むものであり、(A)〜(F)成分のみから構成されてもよく、必要に応じて、(A)〜(F)成分以外の成分等を含有してもよい。該他の成分としては、特に限定されず、衣料用液体洗浄剤組成物に通常用いられている成分を含有することができる。
たとえば、本発明の液体洗浄剤組成物は、液体洗浄剤組成物の調製しやすさ、洗浄剤組成物としての水への溶解性や保存安定性等から、さらに、水を含むことが好ましい。本発明の液体洗浄剤組成物中、水の含有量は、該液体洗浄剤組成物の総質量に対して、1〜56質量%であることが好ましく、20〜40質量%であることがより好ましい。
【0036】
また、本発明の液体洗浄剤組成物は、(A)成分、(B)成分、(C)成分、(D)成分、(E)成分及び(F)成分以外の界面活性剤を含むことができる。
該界面活性剤としては、(A)成分及び(B)成分以外のノニオン性界面活性剤、(D)成分以外のアニオン性界面活性剤、(C)以外のカチオン性界面活性剤、両性界面活性剤等が挙げられる。
(A)成分及び(B)成分以外のノニオン性界面活性剤の例としては、アルキルフェノール、高級アミン等のアルキレンオキサイド付加体、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックコポリマー、脂肪酸アルカノールアミン、脂肪酸アルカノールアミド、多価アルコール脂肪酸エステル又はそのアルキレンオキサイド付加体、多価アルコール脂肪酸エーテル、アルキル(又はアルケニル)アミンオキサイド、硬化ヒマシ油のアルキレンオキサイド付加体、糖脂肪酸エステル、N−アルキルポリヒドロキシ脂肪酸アミド、アルキルグリコシド等が挙げられる。
(C)成分以外のカチオン性界面活性剤の例としては、アルキルピリジニウム塩が挙げられる
(D)成分以外のアニオン性界面活性剤の例としては、高級脂肪酸塩、アルキルエーテルカルボン酸塩、ポリオキシアルキレンエーテルカルボン酸塩、アルキル(又はアルケニル)アミドエーテルカルボン酸塩、アシルアミノカルボン酸塩等のカルボン酸型、アルキルリン酸エステル塩、ポリオキシアルキレンアルキルリン酸エステル塩、ポリオキシアルキレンアルキルフェニルリン酸エステル塩、グリセリン脂肪酸エステルモノリン酸エステル塩等のリン酸エステル型アニオン性界面活性剤等が挙げられる。

両性界面活性剤の例としては、アルキルベタイン型、アルキルアミドベタイン型、イミダゾリン型、アルキルアミノスルホン型、アルキルアミノカルボン酸型、アルキルアミドカルボン酸型、アミドアミノ酸型、リン酸型両性界面活性剤等が挙げられる。
【0037】
また、パラトルエンスルホン酸、安息香酸塩(防腐剤としての効果もある)、クメンスルホン酸塩、尿素等の減粘剤及び可溶化剤を、例えば0.01〜15質量%含むことができる。
また、マロン酸、コハク酸、リンゴ酸、ジグリコール酸、酒石酸、クエン酸等の金属イオン疎捕捉剤を、例えば0.1〜20質量%含むことができる。
また、ブチルヒドロキシトルエン、ジスチレン化クレゾール、亜硫酸ナトリウム及び亜硫酸水素ナトリウム等の酸化防止剤を、例えば0.01〜2質量%含むことができる。
また、ローム・アンド・ハウス社製ケーソンCG(商品名)等の防腐剤を、例えば0.001〜1質量%含むことができる。
【0038】
また、洗浄力向上や安定性向上等を目的として、風合い向上剤、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N−メチル−ジエタノールアミン、N,N−ジメチルモノエタノールアミン等のアルカノールアミン等のアルカリビルダー、pH調整剤、ハイドロトロープ剤、蛍光剤、酵素、移染防止剤、前記(D)成分に該当しない再汚染防止剤(例えばポリビニルピロリドン、カルボキシメチルセルロースなど)、パール剤、ソイルリリース剤等を含むことができる。
風合い向上剤としては、東レ・ダウコーニング(株)製のFZ−3707、FZ−3504、BY16−205、FZ−3760、FZ−3705、BY16−209、FZ−3710、SF8417、BY16−849、BY16−850、BY16−879B、BY16−892、FZ3501、FZ−3785、BY16−872、BY16−213、BY16−203、BY16−898、BY16−890、BY16−878、BY16−891、BY16−893、FZ−3789、BY16−880、SF8428、FZ−3704、BY16−606、CF1188HV、SH3748、SH3794、SH3772M、SH3775M、SF8410、SH8700、BY22−008、BY22−012、SILWET L−7001、SILWET L−7002、SILWET L−7602、SILWET L−7604、SILWET FZ−2104、SILWET FZ−2120、SILWET FZ−2161、SILWET FZ−2162、SILWET FZ−2164、SILWET FZ−2171、ABN SILWET FZ−F1−009−01、ABN SILWET FZ−F1−009−02、ABN SILWET FZ−F1−009−03、ABN SILWET FZ−F1−009−05、ABN SILWET FZ−F1−009−09ABN SILWET FZ−F1−009−11、ABN SILWET FZ−F1−009−13、ABN SILWET FZ−F1−009−54、ABN SILWET FZ−22−22、;信越化学工業(株)製のX−20−8010B、KF352A、KF6008、KF615A、KF6012、KF6016、KF6017;GE東芝シリコーン(株)製のTSF4450、TSF4452、TSF4445(以上、商品名)等の変性シリコーンを用いることができ、当該変性シリコーンは、液体洗浄剤組成物中、0.1〜3質量%含むことができる。
【0039】
上記の他、商品の付加価値向上等を目的として、着香剤、着色剤、乳濁化剤、天然物などのエキス等を含むこともできる。
着香剤としては、代表的な例として、特開2002−146399号公報や特開2009−108248号公報に記載の香料組成物などが使用でき、好ましい配合量としては、0.1〜2質量%である。
着色剤としては、アシッドレッド138、Polar Red RLS、アシッドイエロー203、アシッドブルー9、青色1号、青色205号、緑色3号、黄色203号ターコイズP−GR(いずれも商品名)等の汎用の色素や顔料を、例えば0.00005〜0.005質量%程度含むことができる。
乳濁剤は、ポリスチレンエマルション、ポリ酢酸ビニルエマルジョン等が挙げられ、通常、固形分30〜50質量%のエマルションが好適に用いられる。具体例としては、ポリスチレンエマルション(サイデン化学社製(商品名)サイビノールRPX−196 PE−3、固形分40質量%)等を、0.01〜0.5質量%含むことができる。
天然物などのエキスとしては、イヌエンジュ、ウワウルシ、エキナセア、コガネバナ、キハダ、オウレン、オールスパイス、オレガノ、エンジュ、カミツレ、スイカズラ、クララ、ケイガイ、ケイ、ゲッケイジュ、ホオノキ、ゴボウ、コンフリー、ジャショウ、ワレモコウ、シャクヤク、ショウガ、セイタカアワダチソウ、セイヨウニワトコ、セージ、ヤドリギ、ホソバオケラ、タイム、ハナスゲ、チョウジ、ウンシュウミカン、ティーツリー、バーベリー、ドクダミ、ナンテン、ニュウコウ、ヨロイグサ、シロガヤ、ボウフウ、オランダヒユ、ホップ、ホンシタン、マウンテングレープ、ムラサキタガヤサン、セイヨウヤマハッカ、ヒオウギ、ヤマジソ、ユーカリ、ラベンダー、ローズ、ローズマリー、バラン、スギ、ギレアドバルサムノキ、ハクセン、ホウキギ、ミチヤナギ、ジンギョウ、フウ、ツリガネニンジン、ヤマビシ、ヤブガラシ、カンゾウ、セイヨウオトギリソウなどの植物のエキスが挙げられ、これらを例えば、0〜0.5質量%程度含むことができる。
【0040】
本発明の液体洗浄剤組成物は、25℃でのpHが4〜9であることが好ましく、4〜8であることがより好ましい。該pHが4〜9であることにより、特に、液体洗浄剤組成物を長期間保存しても、経時安定性を良好に保つことができる。
pHはpH調整剤により調整できる。pH調整剤としては、塩酸、硫酸、リン酸等の無機酸;多価カルボン酸類、ヒドロキシカルボン酸類等の有機酸;水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アルカノールアミン、アンモニア等が挙げられる。これらのなかでも、液体洗浄剤組成物の経時安定性の面から、硫酸、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アルカノールアミンが好ましく、硫酸、水酸化ナトリウムが好ましい。
pH調整剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。たとえば一定量の硫酸、水酸化ナトリウム等を添加することにより制御した場合、さらに、pHの微調整用として無機酸(好ましくは塩酸、硫酸)又は水酸化カリウム等をさらに添加することができる。
本明細書において、液体洗浄剤組成物(25℃に調温)のpHは、pHメーター(製品名:HM−30G、東亜ディーケーケー(株)製)等により測定される値を示す。
【0041】
本発明の液体洗浄剤組成物は、常法に基づいて製造することができ、たとえば上記各成分を混合することにより製造できる。このとき、液体媒体として水を添加することが好ましい。
【0042】
本発明の液体洗浄剤組成物は、衣料用液体洗浄剤組成物の通常の使用方法と同様の方法で使用できる。すなわち液体洗浄剤組成物を、洗濯時に洗濯物と一緒に水に投入する方法、液体洗浄剤組成物を泥汚れや皮脂汚れに直接塗布する方法、液体洗浄剤組成物を予め水に溶かして衣類を浸漬する方法等が挙げられる。また、液体洗浄剤組成物を洗濯物に塗布後、適宜放置し、その後、通常の洗濯液を用いて通常の洗濯を行う方法も好ましい。
【実施例】
【0043】
本発明について、実施例を示してさらに具体的に説明する。ただし本発明はこれらの限定されるものではない。
<実施例1〜31、比較例1〜11>
表1〜表3に示す組成の液体洗浄剤組成物を下記の手順で調製した。
500mLビーカーに(A)成分、(B)成分、(E)成分及び(F)成分を入れ、マグネットスターラー(MITAMURA KOGYO INC.製)で充分に攪拌した。続いて、その他の成分((C)成分、(D)成分、共通添加成分)を加えて攪拌しながら、全体量が98質量部になるように精製水を入れ、さらによく攪拌した。25℃でのpHが7.0になるようにpH調整剤(モノエタノールアミン、水酸化ナトリウムは硫酸)を適量添加した後、全体量が100質量部になるように精製水を加えて、液体洗浄剤組成物を得た。
表1〜表3中、各成分の配合量の単位は「質量%」である。 また、表1〜表3に、液体洗浄剤組成物中の(A)成分及び(B)成分の合計の割合(A+B)(質量%)と、(A)成分及び(B)成分の配合量の比(B/A)と、(C)成分及び(D)成分の配合量の比(D/C)とを併記する。
得られた液体洗浄剤組成物について、以下の評価を行った。その結果を表1〜表3に併記する。
【0044】
<初期外観の評価>
上記手順で調製した液体洗浄剤組成物500gの入ったビーカー(容量500mL)を斜め(水平面とビーカー側面が約30度まで)に傾けて、内容物約100mLを透明のガラス瓶(広口規格びんPS−NO.11)に取り出す操作を行った。
このとき、ガラス瓶に取り出せた液体洗浄剤組成物を流動性あり、取り出せなかったものを流動性なしと判定した。
また、ガラス瓶に取り出せた液体洗浄剤組成物の外観を目視にて観察した。
それらの結果から、各液体洗浄剤組成物の初期外観を下記基準で評価した。
○:流動性があり、かつ外観が透明均一である。
×:流動性がない(ガラス瓶に取り出せない)。または、流動性はあるものの、外観に濁り、浮遊・沈殿物がある。
【0045】
<皮脂洗浄力の評価>
上記初期外観の評価にて流動性ありと判定された液体洗浄剤組成物について、下記の手順で皮脂洗浄力を評価した。
顔面の皮脂汚れを擦り付けたアクリルジャージ布を20cm角の大きさに裁断したものを10枚と、市販のTシャツ(綿100%、B.V.D.社製)4枚とを電気洗濯機(三菱電機社製、「CW−C30A1型」)に投入した。
ついで、15℃の水道水約30Lに対し、液体洗浄剤組成物を12.5g添加し、標準水流で洗浄(10分)、脱水(1分)、標準水流でためすすぎ(2回繰り返しを各5回)、脱水(1分)、を順次行う洗浄操作を行った。
皮脂汚れを擦り付けていないアクリルジャージ布を未汚染布、洗浄処理前のアクリルジャージ布を汚染布、洗浄処理後のアクリルジャージ布を洗浄布とした。未汚染布、汚染布、洗浄布それぞれについて、分光式色差計(日本電色工業社製、「SE2000」)にてZ値(反射率)を測定し、下記式(I)により洗浄率(%)を算出した。
【0046】
【数2】

【0047】
求めた洗浄率(%)(同時に洗浄処理した10枚の平均値)から、下記基準により液体洗浄剤組成物の皮脂汚れに対する洗浄力を評価した。
◎:洗浄率が75%以上。
○:洗浄率が65%以上75%未満。
△:洗浄率が55%以上65%未満。
×:洗浄率が55%未満。
【0048】
<抗菌性の評価>
・洗濯条件
全自動電気洗濯機(Haier社製JW−Z23A)に、綿メリヤス布(日清紡 CK43202、谷頭商店より購入)約100g、および綿肌シャツ(B.V.D.社製)を全被洗布質量合計約800gとなるように調整して投入した[浴比(洗濯水/被洗布総質量):15倍]。次に、表1〜表3に示した衣料用液体洗浄剤組成物10mLを加え、標準コースで洗浄、すすぎ、脱水を順次行う洗浄操作を行った。洗浄時間、すすぎ、脱水、水量(低水位に設定、水量約12L)に関しては、一切調整せず、洗濯機の標準コース設定を使用した。洗濯終了後、取り出した綿メリヤス布を25℃、湿度65%RHの恒温恒湿室に放置して乾燥させた。乾燥後5×5cmに切りわけ、これを試験布として抗菌効果の評価に用いた。
・抗菌効果の評価方法
本評価に用いた器具、水などは予めオートクレーブにより滅菌処理を行い用いた。黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)及び大腸菌(Esherichia coli)の菌母液は、TSA平板培地を用いて試験開始48時間前および24時間前に2度培養を行った菌を用い、ニュートリエント培地が20倍に希釈され、菌数が1±0.3×10個/mLとなるように調製した。前述の洗濯処理を行った試験布(5×5cm)に対し、4箇所に前記菌母液を0.1mLずつ接種し、37℃の恒温槽にて18時間培養させ、布上で増殖または静菌させた後、抽出液にて布から菌を抽出し、抽出液を生理食塩水によって10倍希釈を繰り返し、希釈液を得た。各希釈液から100μL採取し、標準寒天培地(株式会社アテクト製)に加え、コンラージ棒により均一にしたものを37℃恒温槽で1〜2日培養した後、コロニー数をカウントし、生菌数を求めた。抗菌活性値は未処理布における生菌数を基準として、その値に対する菌の減少数を常用対数差により表し、抗菌活性値として算出し、下記基準で評価した。
<評価基準>
比較洗剤で処理した試験布と比較して
◎:菌数差2.2桁以上
○:菌数差1.0以上〜2.2桁未満
△:菌数差0.5以上〜1.0桁未満
×:菌数差0.5桁未満
【0049】
<消臭効果の評価>
皮脂汚れ等のひどい汚れが付着した衣料は、洗濯後、湿度の高い室内で乾燥させたとき、菌に由来する異臭や悪臭が発生する。
本評価においては、上記現象を、モデル化(実験室レベルで再現)した評価方法を用いた。
1週間実家庭にて使用済みの汚れが付着した綿タオル約100gと全布重量が約800gとなるように1日着用した綿肌シャツを投入し、全自動電気洗濯機(Haier社製JW−Z23A)で、表1〜表3記載の液体洗浄剤組成物10mLを添加し、標準コースで洗浄、すすぎ、脱水を順次行う洗浄操作を行った。洗浄時間、すすぎ、脱水、水量(低水位に設定、水量約12L)に関しては、一切調整せず、洗濯機の標準コース設定を使用した。洗濯終了後、15℃、湿度85%以上の恒温恒湿室内で一昼夜乾燥した。その際、ほぼ乾ききる段階(乾燥中)の衣料と、完全に乾いた段階(乾燥後)の衣料のそれぞれについての「イヤな臭い」を、官能により、下記に示す6段階の評価基準に従って評価した。評価は、専門パネラー10人の平均値を求めることにより行った。
(評価基準)
0点:無臭。
1点:やっと感知できる臭い。
2点:何の臭いであるか分かる臭い。
3点:楽に感知できる臭い。
4点:強い臭い。
5点:強烈な臭い。
前記6段階の評価基準による評価結果を基に、消臭効果を下記基準に基づいて評価した。評価の平均点が3.0点未満であれば、消臭効果が良好であると判定した。
◎:1.5点未満。
○:1.5点以上2.5点未満。
△:2.5点以上3.0点未満。
×:3.0点以上。
【0050】
<再汚染防止性の評価>
上記初期外観の評価にて流動性ありと判定された液体洗浄剤組成物について、下記の手順で再汚染防止性を評価した。
Terg−O−Tometer(UNITED STATES TESTING社製)の洗浄浴中に、水道水900mL、洗浄液0.75gを入れ、120rpmで1分間攪拌した後、油汚垢布(5×5cm)1枚、赤土汚垢布(5×5cm)1枚、白色ポリエステルトロピカル布(5×5cm)2枚を入れ、10分間洗浄した(15℃)。その後、ザルに空けて洗浄液を除き、試験布(油汚垢布、赤土汚垢布、白色ポリエステルトロピカル布)を2槽式洗濯機の脱水槽で1分間脱水した。さらに、水道水900mLを入れたTerg−O−Tometer浴中で3分間すすぎ、試験布を2槽式洗濯機(三菱電機社製、CW−C30A1型)の脱水槽で1分間脱水した。同様に、すすぎ(3分)、脱水(1分)の操作を繰り返した後、白色ポリエステルトロピカル布を乾燥させて反射率を測定し、洗浄前の反射率との差を再汚染度(ΔZ)として算出した。ΔZの値から、下記基準により再汚染防止性を評価した。
◎:ΔZが3以下、○:ΔZが3超6以下、△:ΔZが6超9以下、×:ΔZが9超。
【0051】
<低温での投入口溶け残りの評価>
5℃恒温室(プラスマイナス2℃)に設置した全自動洗濯機(東芝TW−4000VFL(S))の洗剤投入口に液体洗浄剤組成物を25g入れて24時間放置後、綿タオル2kgを洗濯槽に入れた後、標準コースで運転を行い、注水完了後、洗濯機を停止し投入口の蓋を開け、液体洗浄剤組成物の残り具合を観察した。このとき使用した水道水の温度は10℃プラスマイナス2℃であった。
以下の基準により評価し、○以上を合格とした。
◎:投入口には洗浄剤残りが観察されず、水をかけても泡が発生しなかった。
○:投入口には洗浄剤残りは観察されないが、水をかけるとわずかに泡が発生した。
△:投入口にやや多くの洗浄剤が残りゲル化もしくは沈殿していた。
×:投入口に非常に多くの洗浄剤が残りゲル化もしくは沈殿していた。
【0052】
<保存安定性の評価>
上記初期外観の評価にて流動性ありと判定された液体洗浄剤組成物について、下記の手順で保存安定性を評価した。
液体洗浄剤組成物100mLを透明のガラス瓶(広口規格びんPS−NO.11)に取り、蓋を閉めて密封し、この状態で−5℃の恒温槽中に置いて1ヵ月保存した。その後、恒温槽から取り出し、それから1分以内に室温(25℃)にて内容物の外観を目視で観察し下記基準により評価した。
○:外観が透明均一であった。
△:沈殿又はゲル化が認められたが、40℃の湯浴に1時間浸すと外観が透明均一となった。
×:沈殿又はゲル化が認められ、40℃の湯浴に1時間浸しても外観が透明均一にならなかった。
【0053】
表1〜表3の結果に示すように、本発明の液体洗浄剤組成物は、液安定性が良好で、初期外観、保存安定性ともに良好な結果が得られた。また皮脂洗浄力、抗菌性、消臭性、再汚染防止性、固化防止性の全ての評価項目でバランス良く、良好な結果が得られた。
一方、本発明の(A)成分を配合していない比較例1、(A)成分に該当しない脂肪酸メチルエステルエトキシレートを配合した比較例2、(E)成分を配合していない比較例5、(F)成分を配合していない比較例6、(A)成分の配合量が範囲外である比較例7、(B)/(A)が90/10である比較例8は初期外観が悪く、以降の評価ができなかった。また、(C)成分を配合していない比較例3、(D)/(C)が範囲外である比較例9では抗菌性、消臭性に劣り、(D)成分を配合していない比較例4では再汚染防止性が悪かった。更に、(E)+(F)が範囲外である比較例10、(E)/(F)が範囲外である比較例11では保存安定性が悪かった。
【0054】
【表1】

【0055】
【表2】

【0056】
【表3】

【0057】
表1〜表3中の各符号は以下のものを示す。
<(A)成分>
(a−1):C1123CO(OCHCHOCHとC1327CO(OCHCHOCHとの質量比で8/2の混合物、m=平均15、ナロー率33質量%、合成品。
(a−2):C1123CO(OCHCHOCH、m=平均15、ナロー率33質量%、合成品。
(a−3):C1123CO(OCHCHOCHとC1327CO(OCHCHOCHとの質量比で8/2の混合物、m=平均15、ナロー率45質量%、合成品。
(a−4):C1123CO(OCHCHOCHとC1327CO(OCHCHOCHとの質量比で8/2の混合物、m=平均15、ナロー率60質量%、合成品。
(a−5(比較品)):C1733CO(OCHCHOCH、m=平均9、ナロー率65質量%、合成品。
【0058】
前記(a−1)〜(a−5)のナロー率は下記の手順で測定した。
下記測定条件により、酸化エチレンの付加モル数が異なる酸化エチレン付加体の分布を測定し、前記数式(S)によりナロー率(質量%)を算出した。
[HPLCによる酸化エチレン付加体の分布の測定条件]
装置:LC−6A((株)島津製作所製)、
検出器:SPD−10A、
測定波長:220nm、
カラム:Zorbax C8(Du Pont(株)製)、
移動相:アセトニトリル/水=60/40(体積比)、
流速:1mL/分、
温度:20℃
【0059】
前記(a−1)〜(a−4)はそれぞれ以下の手順で合成した。
(a−1)の合成:
特開2000−144179号公報に記載の実施例における製造例1に準じて合成した。
すなわち、化学組成が2.5MgO・Al・nHOである水酸化アルミナ・マグネシウム(協和化学工業(株)製、商品名:キョーワード300)を、600℃で1時間、窒素雰囲気下で焼成して得られた焼成水酸化アルミナ・マグネシウム(未改質)触媒2.2gと、0.5規定の水酸化カリウムエタノール溶液2.9mLと、ラウリン酸メチルエステル280g及びミリスチン酸メチルエステル70gとを4リットルオートクレーブに仕込み、オートクレーブ内で触媒の改質を行った。次いで、オートクレーブ内を窒素で置換した後、昇温を行い、温度を180℃、圧力を3atmに維持しつつ、酸化エチレン1052gを導入し、撹拌しながら反応させた。さらに、反応液を80℃に冷却し、水159gと、濾過助剤として活性白土及び珪藻土をそれぞれ5g添加した後、触媒を濾別して、(a−1)を得た。
触媒に対するアルカリ添加量は、(a−1)のナロー率が33質量%となるように調節した。
【0060】
(a−2)の合成:
ラウリン酸メチルエステル280g及びミリスチン酸メチルエステル70gの代わりに、ラウリン酸メチルエステル350gを用い、酸化エチレン1079gを導入し、触媒に対するアルカリ添加量をナロー率が33質量%となるように調整した以外は、上記(a−1)の合成方法と同様にして(a−2)を製造した。
(a−3)の合成:
触媒に対するアルカリ添加量をナロー率が45質量%となるように調整した以外は、上記(a−1)の合成方法と同様にして(a−3)を製造した。
(a−4)の合成:
触媒に対するアルカリ添加量をナロー率が65質量%となるように調整した以外は、上記(a−1)の合成方法と同様にして(a−4)を製造した。
(a−5)の合成:
オレイン酸メチルエステル350gを用い、酸化エチレン468gを導入し、触媒に対するアルカリ添加量をナロー率が65質量%となるように調整した以外は、上記(a−1)の合成方法と同様にして(a−5)を製造した。

【0061】
<(B)成分>
(b−1):P&G社製の天然アルコールCO−1270(商品名)に対して平均15モル相当の酸化エチレンを付加したもの。
(b−2):P&G社製の天然アルコールCO−1214(商品名)に対して平均15モル相当の酸化エチレンを付加したもの。
(b−3):P&G社製の天然アルコールCO−1270(商品名)に対して平均12モル相当の酸化エチレンを付加したもの。
(b−4):P&G社製の天然アルコールCO−1270(商品名)に対して平均9モル相当の酸化エチレンを付加したもの。
【0062】
前記(b−1)〜(b−4)はそれぞれ以下の手順で合成した。
(b−1)の合成:
P&G社製の天然アルコールCO−1270を224.4g、30%NaOH水溶液2.0gを耐圧型反応容器中に採取し、容器内を窒素置換した。次に温度100℃、圧力2.0kPa以下で30分間脱水してから、温度を160℃まで昇温した。アルコールを攪拌しながら酸化エチレン(ガス状)760.4gを、吹き込み管を使って、反応温度が180℃を超えないように添加速度を調整しながらアルコールの液中に徐々に加えた。
酸化エチレンの添加終了後、温度180℃、圧力0.3MPa以下で30分間熟成した後、温度180℃、圧力6.0kPa以下で10分間未反応の酸化エチレンを留去した。
次に温度を100℃以下まで冷却した後、反応物の1%水溶液のpHが約7になるように、70%p−トルエンスルホン酸を加えて中和し、(b−1)を得た。
【0063】
(b−2)の合成:
天然アルコールCO−1270の代わりにP&G社製の天然アルコールCO−1214を224.4g用いた以外は、(b−1)と同様に合成した。
(b−3)の合成:
酸化エチレンを610.2g用いた以外は、(b−1)と同様に合成した。
(b−4)の合成:
酸化エチレンを457.2g用いた以外は、(b−1)と同様に合成した。
【0064】
<(C)成分>
(C)成分
(C−1):塩化アルキル(炭素数C16〜C18)トリメチルアンモニウム、ライオンアクゾ製、商品名「アーカードT−800」。
(C−2):塩化ジデシルメチルアンモニウム、ライオンアクゾ製、商品名「アーカード210」。
(C−3):塩化ベンザルコニウム、ライオンアクゾ製、商品名「アーカードCB」。
【0065】
<(D)成分>
(d−1):ライポンLH−200(商品名、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸(LAS)、炭素数10〜14、平均分子量322、ライオン社製)。
(d−2):HOSTAPUR SAS30A(商品名、セカンダリーアルカンスルホン酸ナトリウム(SAS)、クラリアント・ジャパン社製)。
(d−3):ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸ナトリウム(AES)(合成品、炭素数12〜13、EOの平均付加モル数2モル、原料アルコール:ネオドール23(商品名、シェルケミカルズ社製))。
【0066】
(d−3)は以下の手順で合成した。
4Lのオートクレーブ中に、Neodol23アルコール[商品名、シェルケミカルズ社製;C12、13アルコール(炭素数12のアルコールと、炭素数13のアルコールとの質量比1/1の混合物)、分岐率20質量%]400gと水酸化カリウム触媒0.8gとを仕込み、オートクレーブ内を窒素置換し、攪拌しながら昇温した。その後、温度180℃、圧力0.3mPaに維持しながら酸化エチレン272gを導入し、酸化エチレンの平均付加モル数2の反応物を得た。
次に、上記で得られたアルコールエトキシレート280gを、攪拌装置付の500mLフラスコにとり、窒素置換後、液体無水硫酸(サルファン)67gを反応温度40℃に保ちながらゆっくりと滴下した。滴下終了後、1時間攪拌を続け(硫酸化反応)、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸を得た。さらに、これを水酸化ナトリウム水溶液で中和することにより、(d−3)を得た。
【0067】
<(E)成分>
(e−1):エタノール(日本アルコール販売(株)製 商品名、特定アルコール95度合成)。
(e−2):フェノキシプロパノール(東京化成(株)製 商品名、1−フェノキシ−2−プロパノール)。
(e−3):フェノキシエタノール(三洋化成(株)製 商品名、RGP−55)。
(e−4):ヘキシルカルビトール(三井石油化学工業(株)製 商品名、ヘキシレングリコール)。
(e−5):プロピレングリコール(ダウ・ケミカル日本株式会社製 商品名、プロピレングリコール)
(e−6):ブチルカルビトール(日本乳化剤(株)製 商品名、ブチルジグリコール)
(e−7):1,3―ブチレングリコール(ダイセル化学工業(株)製 商品名、1,3―ブチレングリコール)。
(e−8):ジプロピレングリコール(旭硝子(株)製 商品名、DPG−FC)。
<(F)成分>
(f−1):ポリエチレングリコール 分子量1000(ライオンケミカル(株)社製)。
【0068】
<共通添加成分a>
クエン酸:0.15質量%、
モノエタノールアミン:バランス(中和するための量)、
香料:0.4質量%、
黄203号:0.0002質量%、
水(精製水):バランス(液体洗浄剤組成物全体の量を100質量%とするための量)
<共通添加成分b>
クエン酸:0.1質量%、
水酸化ナトリウム:(中和するための量)、
香料:0.4質量%、
黄203号:0.0002質量%、
水(精製水):バランス(液体洗浄剤組成物全体の量を100質量%とするための量)
【0069】
共通添加成分a、b、c、dに含まれる各成分の詳細は以下の通りである。
クエン酸:一方社油脂工業(株)製、商品名「液体クエン酸」。
モノエタノールアミン:(株)日本触媒製。
香料:特開2002−146399号公報の表11〜18に記載の香料物。
黄203号(色素):中央合成化学(株)製、商品名「キノリン イエロー WG−GCONC」。
また、pH調整剤として用いた水酸化ナトリウム及び硫酸の詳細は以下の通りである。
水酸化ナトリウム:鶴見曹達(株)製。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
−CO(OROR[式中、Rは炭素数9〜13のアルキル基又は炭素数9〜13のアルケニル基であり、Rは炭素数2〜4のアルキレン基であり、Rは炭素数1〜3のアルキル基であり、mは平均付加モル数を表し5〜20である。]で表されるノニオン性界面活性剤(A)と、
−O(RO)H[式中、Rは炭素数10〜22の炭化水素基であり、Rは炭素数2〜4のアルキレン基であり、nは平均付加モル数を表し5〜20である。]で表されるノニオン性界面活性剤(B)と、
下記一般式(I−1)、(I−2)、(II)で示される4級アンモニウム塩型カチオン性活性剤から選択される化合物(C)と、
【化1】

[R〜R:少なくとも2つ以上は炭素数1〜3のアルキル基またはヒドロキシアルキル基であり、それ以外は炭素数8〜22の直鎖もしくは分岐鎖状のアルキル基またはアルケニル基。Z:ハロゲンイオンまたはアルキル硫酸イオンである]
【化2】

[R11、R12:少なくともいずれか1つ以上が炭素数8〜22の直鎖もしくは分岐鎖状のアルキル基またはアルケニル基であり、他方がメチル基又はトリル基。EO:エチレンオキサイド基。X,Y:エチレンオキサイド基の平均付加モル数を表し、独立に0以上の整数でX+Yが10以上。Z:ハロゲンイオンまたはアルキル硫酸イオンである。]
【化3】


[R13、R14:炭素数1〜3のアルキル基またはヒドロキシアルキル基。 R15:炭素数8〜22の直鎖もしくは分岐鎖状のアルキル基またはアルケニル基。R16:炭素数1〜3のアルキレン基。Z:ハロゲンイオンまたはアルキル硫酸イオン。]
SO基又はSO基を有するアニオン性界面活性剤(D)と、
炭素数2〜4の一価アルコール、炭素数2〜4の多価アルコール及びR17−(OR18OH[式中、R17は炭素数1〜6のアルキル基又はフェニル基であり、R18は炭素数2〜4のアルキレン基であり、lは平均付加モル数を表し1〜5である。]で表されるグリコールエーテル系溶剤からなる群から選択される溶剤(E)と、
トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、平均分子量約200〜5000のポリエチレングリコールなどのグリコール類(F)を含有し、
(A)成分及び(B)成分の配合量の合計が40〜70質量%であり、(A)成分と(B)成分との配合比率(質量比)が(B)/(A)=80/20〜0/100であり、
(C)成分の配合量が0.1〜5質量%であり、(D)成分の配合量が0.1〜25質量%であり、(C)成分と(D)成分との配合比率(質量比)が(D)/(C)=0.8〜5.0であり、
(E)成分の配合量が3〜20質量%であり、
(F)成分の配合量が1〜20質量%であり、
(E)+(F)は12質量%以上であり、(E)成分と(F)成分との配合比率(質量比)は、(E)/(F)=5/1以下であることを特徴とする液体衣料用洗浄剤組成物。

【公開番号】特開2011−137112(P2011−137112A)
【公開日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−299043(P2009−299043)
【出願日】平成21年12月29日(2009.12.29)
【出願人】(000006769)ライオン株式会社 (1,816)
【Fターム(参考)】