説明

表示制御装置

【課題】画面データを記憶する揮発性メモリーの内容がクリアされても画面表示を適切に行なう。
【解決手段】LCDコントローラーに、揮発性メモリーであるVRAMの他に、固定画面を予め記憶すると共にメインコントローラーから受信される画面データ(更新画面)とその画面の内容を示す設定情報を記憶する不揮発性メモリーであるフラッシュメモリーを設け、LCDコントローラーに予期しない初期化が発生してVRAMの内容がクリアされたとき、設定情報がユーザーのボタン操作によらずに自動更新される画面Aを示す情報の場合には、フラッシュメモリーから更新画面を読み込んでVRAMに書き込み(S210)、設定情報がユーザーのボタン操作によって更新される画面Bを示す情報の場合には、フラッシュメモリーから固定画面を読み込んでVRAMに書き込む(S220)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主制御装置から画面データを通信により受信し、該受信した画面データに基づいて表示部の画面表示を制御する表示制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の表示制御装置としては、計数を繰り返すタイマ回路がオーバーフローする度に表示用RAMの内容をフラッシュメモリーに書き込んでおき、電源が停電または瞬停した後に復帰した場合に、フラッシュメモリーの内容を表示用RAMに書き込むものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。この装置では、表示用RAMの内容をフラッシュメモリーに書き込むから、電源が停電または瞬停して表示用RAMの内容がクリアされても、停電または瞬停から復帰したときに表示用RAMの内容を継続表示することができる、としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11−161248号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
画面データを生成する主制御装置と画面データに基づいて画面表示する表示制御装置とが通信可能に接続された表示装置では、表示制御装置の予期しない初期化によって主制御装置側が認識する最新画面と実際に表示される画面とに不整合が生じる場合がある。主制御装置がユーザーの操作に伴って画面を遷移させる場合、こうした画面の不整合が生じると、ユーザーの操作に対して予期しない画面が表示されてしまう。
【0005】
本発明の表示制御装置は、画面データを記憶する揮発性メモリーの内容がクリアされても画面表示を適切に行なうことを主目的とする。
【0006】
本発明の表示制御装置は、上述の主目的を達成するために以下の手段を採った。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の表示制御装置は、
主制御装置から画面データを通信により受信し、該受信した画面データに基づいて表示部の画面表示を制御する表示制御装置であって、
揮発性メモリーにより構成され、画面データを記憶可能な第1の記憶手段と、
不揮発性メモリーにより構成され、予め所定の画面データが記憶されると共に新たな画面データを記憶可能な第2の記憶手段と、
前記主制御装置から画面データが受信された場合に、該受信した画面データを前記第1の記憶手段と前記第2の記憶手段とに記憶させる記憶制御手段と、
前記第1の記憶手段に記憶された画面データを読み出し、該読み出した画面データを前記表示部に出力する表示制御手段と、
を備え、
前記表示制御手段は、前記第1の記憶手段がクリアされた場合には、該クリア直前の表示状態に応じて、前記第2の記憶手段から新たに記憶された画面データを読み出して前記表示部に出力する第1の表示制御と、前記第2の記憶手段に予め記憶された前記所定の画面データを読み出して前記表示部に出力する第2の表示制御とを選択的に実行する手段である
ことを要旨とする。
【0008】
この本発明の表示制御装置では、主制御装置から画面データが受信された場合に、受信した画面データを揮発性メモリーとして構成された第1の記憶手段と不揮発性メモリーとして構成された第2の記憶手段とに記憶させ、第1の記憶手段に記憶された画面データを読み出し、読み出した画面データを表示部に出力する。そして、第1の記憶手段がクリアされた場合には、クリア直前の表示状態に応じて、第2の記憶手段から新たに記憶された画面データを読み出して表示部に出力する第1の表示制御と、第2の記憶手段に予め記憶された所定の画面データを読み出して表示部に出力する第2の表示制御とを選択的に実行する。これにより、何らかの原因により第1の記憶手段がクリアされても画面の表示内容を適切なものとすることができる。
【0009】
こうした本発明の表示制御装置において、前記主制御装置は、ユーザー操作を伴って画面を更新する第1のモードと、ユーザーの操作を伴わずに自動的に画面を更新する第2のモードとを有し、前記表示制御手段は、前記クリア直前の表示状態が前記第1のモードで送信された画面データに基づく場合には前記第1の表示制御を実行し、前記クリア直前の表示状態が前記第2のモードで送信された画面データに基づく場合には前記第2の表示制御を実行する手段であるものとすることもできる。こうすれば、ユーザーの操作により予期しない画面の遷移が生じるのを抑制することができる。この態様の本発明の表示制御装置において、前記第2のモードは、ユーザーによる選択操作によりトップ画面から選択された項目に応じた下層の画面へ順次遷移し、ユーザーによる戻り操作により下層の画面から上層の画面に遷移するよう画面を更新するモードであり、前記第2の記憶手段は、前記所定の画面データとして前記トップ画面の画面データと前記戻り操作をユーザーに促すための戻り操作案内画面の画面データとを記憶する手段であり、前記表示制御手段は、前記クリア直前の表示状態が前記第2のモードで送信された画面データに基づく場合、前記クリア直前に前記トップ画面が表示されていた場合には前記第2の記憶手段から前記トップ画面を読み出して前記表示部に表示出力し、前記クリア直前に前記トップ画面以外の下層の画面が表示されていた場合には前記第2の記憶手段から前記戻り操作案内画面を読み出して前記表示部に表示出力する手段であるものとすることもできる。また、これらの態様の本発明の表示制御装置において、前記第1のモードは、画像を順次切り替えて表示するスライドショーを行なうモードであるものとすることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本実施形態であるプリンター20の外観を示す外観斜視図。
【図2】本実施形態のプリンター20の機能ブロックを示すブロック図。
【図3】LCDコントローラー60の機能ブロックを示すブロック図。
【図4】トップメニュー画面80の一例を示す説明図。
【図5】写真の印刷を実行する際の画面遷移の一例を示す説明図。
【図6】フォトスライドショーを実行する際の画面遷移の一例を示す説明図。
【図7】書き込み処理ルーチンの一例を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0011】
次に、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1は、本発明の一実施形態であるプリンター20の外観を示す外観斜視図であり、図2は、本実施形態のプリンター20の機能ブロックを示すブロック図である。
【0012】
本実施形態のプリンター20は、印刷機構40(図2参照)を内蔵し用紙に印刷を行なうフォトプリンターとして構成されており、その外観としては、図1に示すように、本体21の上面には本体21を持ち運ぶための取っ手22が、本体21の背面にはセットした用紙を自動給紙するオートシートフィーダー23が、本体21の前面には印刷機構40により印刷された用紙を保持する排紙トレイ24と写真や印刷時の設定を確認するための液晶ディスプレイ(LCD)25が、本体21の側面には電源をオンオフするための電源ボタン26が、それぞれ設けられている。また、本体21の前面には、排紙トレイ24に隣接した位置に赤外線通信ポート28(受光部)が設けられており、この赤外線通信ポート28に発光部30aを向けてリモートコントロール装置30を操作することにより、プリンター20を遠隔操作できるようになっている。なお、リモートコントロール装置30は、プリンター20を遠隔操作するためのボタン類として、電源をオンオフするための電源ボタン31と、印刷中に押されると印刷を中止し写真選択画面で押されると印刷枚数や写真の選択を解除するストップ/設定クリアボタン32と、トップメニュー画面を表示するためのトップメニューボタン33と、印刷枚数を設定するための印刷枚数設定ボタン(印刷枚数を1枚ずつ増やすプラスボタンおよび印刷枚数を1枚ずつ減らすマイナスボタン)34と、項目や設定値を選択するための上下左右ボタン35と、項目を決定したり次の画面に進むためのOKボタン36と、一つ前の画面に戻る戻るボタン37と、印刷を開始する印刷ボタン38と、設定画面を表示する設定ボタン39などを備える。
【0013】
印刷機構40は、図2に示すように、左右方向(主走査方向)にループ状に架け渡されたキャリッジベルト43により駆動されガイド42に沿って左右に往復するキャリッジ41と、キャリッジ41にシアン・マゼンタ・イエロー・ブラック等の各色のインクを供給するインクカートリッジ44と、各インクカートリッジ44から供給された各インクに圧力をかけてノズルから用紙Sに向けてインクを吐出する印刷ヘッド45と、副走査方向に用紙Sを搬送する搬送ローラー46とを備える。インクカートリッジ44は、印刷機構40の下方に取り付けられており、インクカートリッジ44がキャリッジ41上に搭載されていない、いわゆるオフキャリッジタイプである。印刷ヘッド45は、ここでは圧電素子に電圧をかけることによりこの圧電素子を変形させてインクを加圧する方式を採用しているが、発熱抵抗体(例えばヒーターなど)に電圧をかけインクを加熱して発生した気泡によりインクを加圧する方式を採用してもよい。
【0014】
LCD25は、LCDコントローラー60による表示制御を受けて文字や図形,記号などを表示する。LCD25は、本実施形態では、960ドット×240ドットの画素により構成されている。
【0015】
また、本実施形態のプリンター20は、その制御系としては、図2に示すように、プリンター全体の制御を司るメインコントローラー50と、印刷機構40を制御するプリンターASIC48と、赤外線通信ポート28を介して入力した赤外線信号を操作信号として処理する赤外線通信コントローラー56と、LCD25を表示制御するLCDコントローラー60と、メモリーカードスロット57に挿入されたメモリーカードMCに対するデータの書き込みや読み出しを制御するメモリーカードコントローラー58と、を備え、これらはバス59を介して互いに電気的に接続されている。
【0016】
図3は、LCDコントローラー60の機能ブロックを示すブロック図である。LCDコントローラー60は、図示するように、入力されたシリアルデータの画像データをパラレルデータの画像データに変換する入力SP変換部61と、パラレルデータに変換された画像データの1ライン分を一時的に保持するラインバッファー62と、ラインバッファー62から画像データを1画素ずつ読み出して圧縮する圧縮部63と、1フレーム分の圧縮データを保持する揮発性メモリーとしてのVRAM70と、圧縮データを保持する不揮発性メモリーとしてのフラッシュメモリー72と、圧縮データのVRAM70への書き込みとVRAM70に保持されている圧縮データの読み出しとを制御すると共に圧縮データのフラッシュメモリー72への書き込みとフラッシュメモリー72に保持されている圧縮データの読み出しとを制御する記憶制御部64と、水平/垂直同期信号などの各種同期信号を発生させる同期信号発生部65と、LCD25への画面表示の水平/垂直同期信号に同期してVRAM70から周期的に圧縮データを読み出すと共に解凍して元の画像データを復元する解凍部66と、復元された画像データをLCD25に表示するためのデータ変換を行なう出力データ変換部67と、LCD25に接続されたLCDインターフェース(I/F)68とを備える。
【0017】
メインコントローラー50は、CPU51を中心とするマイクロプロセッサーとして構成されており、各種処理プログラムや各種データ、各種テーブルなどを記憶するROM52と、一時的にデータを記憶するRAM53と、書き換え可能で電源を切ってもデータは保持されるフラッシュメモリー54と、電源ボタン26からの操作信号を入力するインターフェース(I/F)55とを備える。このメインコントローラー50は、メモリーカードスロット57に挿入されたメモリーカードMCから画像ファイルなどを入力したり、赤外線通信コントローラー56からの操作信号や印刷機構40の各部からの検出信号などを入力したりする。また、メインコントローラー50は、メモリーカードMCに編集画像などを保存したり、プリンターASIC48への指令信号やLCDコントローラー60への制御信号を出力したりする。
【0018】
メインコントローラー50やLCDコントローラー60は、電源の電圧低下を検出し所定時間以内に復電した場合や、外来ノイズにより動作を停止した場合に自動的に再起動するようになっている。
【0019】
こうして構成された本実施形態のプリンター20では、トップメニューボタン33が押されると、トップメニュー画面を表示して各種項目の選択を受け付ける。図4にトップメニュー画面80の一例を示す。トップメニュー画面80では、本実施形態では、図示するように、写真を印刷するための「写真の印刷」や写真を多面レイアウトで印刷するレイアウト印刷や写真にフレームを付けて印刷するフレーム印刷などを行なうための「いろいろな印刷」,メモリーカードMCやフラッシュメモリー54に記憶されている画像データを順次再生するための「フォトスライドショー」,メモリーカードMC内のデータをフラッシュメモリー54にバックアップするための「データ管理」の項目がある。ユーザーは、これらの項目のいずれかを上下左右ボタン35により選択し、OKボタン36を押すことにより決定することができる。
【0020】
図5は、写真の印刷を実行する際の画面遷移の一例を示す説明図である。トップメニュー画面80でユーザーにより「写真の印刷」が選択されると、メモリーカードMC内に記憶されている写真のうちユーザーが印刷する写真を選ぶ「選んで印刷」とメモリーカードMC内に記憶されている全ての写真を印刷する「すべて印刷」の各項目の選択を受け付ける選択設定画面81に遷移する。続いて、選択設定画面81で「選んで印刷」が選択されると、メモリーカードMC内に記憶されている写真を一覧表示して写真の選択を受け付ける写真選択画面82に遷移する。そして、写真が選択されると、選択された写真の表示と共に必要な用紙の枚数や用紙サイズ,用紙種類を表示するプレビュー画面83に遷移する。選択設定画面81で「すべて印刷」が選択されると、写真選択画面82をスキップしてプレビュー画面83に遷移する。ここで、各画面で戻るボタン37が押されると、一つ上層の画面に遷移する。即ち、プレビュー画面83で戻るボタン37が押されると、写真選択画面82に遷移し、写真選択画面82で戻るボタン37が押されると、選択設定画面81に遷移し、選択設定画面81で戻るボタン37が押されると、トップメニュー画面80に遷移する。プレビュー画面83で印刷ボタン38が押されると、選択された写真(圧縮画像ファイル)を読み出して解凍し、解凍後のRGBデータをリサイズしてCMYKデータに色変換し、色変換後のCMYKデータにハーフトーン処理を施すことにより2値化して印刷データを生成し、生成した印刷データに基づいて印刷機構40を制御することにより印刷を実行する。
【0021】
図6は、フォトスライドショーを実行する際の画面遷移の一例を示す説明図である。トップメニュー画面80でユーザーにより「フォトスライドショー」が選択されると、フォトスライドショーの写真切替エフェクトの種類を選択する効果選択画面91に遷移する。効果選択画面91で選択可能な写真切替エフェクトとしては、「スピンジャイロ」や「クロスフェード」,「ズームイン」,「スライドイン」,「ブックアルバム」,「カレンダー」などが用意されている。効果選択画面91で「カレンダー」が選択されると、メモリーカードMCに記憶されている画像データを読み出して解凍し、解凍後のRGBデータに基づいてスライドショー再生画面92を作成し、LCD25に順次画像を表示するフォトスライドショー再生を行なう。フォトスライドショー再生は、写真切替エフェクトによる写真の切り替えを伴って所定時間間隔(例えば、数秒間隔)で1枚ずつ写真をLCD25に表示することにより行なわれる。本実施形態では、フォトスライドショー再生中に、印刷枚数設定ボタン34のプラスボタンが押されると、印刷予約が受け付けられるようになっており、その後に印刷ボタン38が押されるか、スライドショー再生が完了した後に、印刷予約を受け付けた写真のプレビュー画面83に遷移し、さらに印刷ボタン38が押されると、その写真の印刷を実行する。
【0022】
次に、こうして構成された本実施形態のプリンター20の動作、特に、LCDコントローラー60が起動されたときの動作について説明する。図7は、LCDコントローラー60の記憶制御部64により実行される書き込み処理ルーチンの一例を示すフローチャートである。このルーチンは、起動したときに実行される。ここで、LCDコントローラー60が備える不揮発性メモリーとしてのフラッシュメモリー72は、前述したトップメニュー画面80の圧縮データと、例えば「戻るボタン37を押してください。」などユーザーに対して戻るボタン37の操作を促すためのメッセージを含む戻り操作案内画面の圧縮データとが固定画面として予め記憶されており、後述するメインコントローラー50から受信した更新画面や設定情報を記憶するための記憶エリアが確保されている。
【0023】
書き込み処理ルーチンが実行されると、LCDコントローラー60は、まず、フラッシュメモリー72から状態フラグFを読み出し(ステップS100)、読み出した状態フラグFの値を調べる(ステップS110)。ここで、状態フラグFは、後述するが、電源オン時の初期化処理として動作状態を示す値1を設定し、電源オフ時の終了処理として終了状態を示す値0を設定するものである。したがって、起動時に状態フラグFの値が値0であれば、前回に正常終了し今回の起動は正常起動と判断することができ、状態フラグFの値が値1であれば、前回に外来ノイズや電源の瞬停など何らかの原因により異常終了し今回の起動は予期しない起動と判断することができる。状態フラグFが値0、即ち、正常起動と判定された場合には、状態フラグFに値1を設定し、設定した状態フラグFをフラッシュメモリー72の所定の記憶エリアに格納する(ステップS120)。そして、メインコントローラー50から更新画面データの受信を待ち(ステップS130)、更新画面データを受信すると、受信した更新画面データをVRAM70に書き込むと共に(ステップS140)、同一の更新画面データとこの更新画面データの設定情報とをフラッシュメモリー72の所定の記憶エリアに書き込む(ステップS150,S160)。ここで、フラッシュメモリー72に更新画面データと設定情報とを書き込む際に既に古い更新画面データと設定情報とが記憶されている場合にはデータが上書きされ、最新のデータのみが記憶される。また、設定情報は、更新画面の内容を示す情報であり、具体的には、更新画面がトップメニュー画面80であるかフォトスライドショー再生画面92であるかこれら以外の画面であるかを示す情報である。VRAM70に画面データが書き込まれると、LCD25への画面表示の水平/垂直同期信号に同期して記憶制御部64がVRAM70から周期的に圧縮データを読み出し、解凍部66が読み出された圧縮データを解凍して元の画面データを復元し、出力データ変換部67が復元された画面データをLCDインターフェース(I/F)68を介してLCD25に出力することにより、画面表示を行なう。そして、電源オフされたか否かを判定し(ステップS170)、電源オフされていない場合には、ステップS130に戻って更新画面データを受信するたびに更新画面データをVRAM70とフラッシュメモリー72とに書き込むステップS130〜S160の処理を繰り返し実行し、電源オフされた場合に、状態フラグFに値0を設定し、設定した状態フラグFをフラッシュメモリー72の所定の記憶エリアに格納して(ステップS180)、本ルーチンを終了する。
【0024】
一方、ステップS110で状態フラグFが値1と判定されると、予期しない起動がなされたと判断し、フラッシュメモリー72から設定情報を読み出し(ステップS190)、読み出した設定情報を調べる(ステップS200)。設定情報がユーザーのボタン操作によらずに自動更新される画面Aを示す情報の場合には、フラッシュメモリー72から更新画面を読み込んでVRAM70に書き込み(ステップS210)、設定情報がユーザーのボタン操作によって更新される画面Bを示す情報の場合には、フラッシュメモリー72から固定画面を読み込んでVRAM70に書き込む(ステップS220)。具体的には、ステップS210の処理としては、設定情報がスライドショー再生画面92を示す情報である場合には、ステップS150で書き込まれた更新画面をフラッシュメモリー72から読み出してVRAM50に書き込む処理となり、ステップS220の処理としては、設定情報がトップメニュー画面80を示す情報である場合にはフラッシュメモリー72から固定画面であるトップメニュー画面80を読み出してVRAM70に書き込み、設定情報がトップメニュー画面80を示す情報でなくスライドショー再生画面92を示す情報でもない場合にはフラッシュメモリー72から固定画面である前述した戻り操作案内画面を読み出してVRAM70に書き込む処理となる。いま、何らかの異常によりLCDコントローラー60が初期化された場合を考える。この場合、揮発性メモリーであるVRAM70はクリアされて情報が失われるが、不揮発性メモリーであるフラッシュメモリー72から画面データを読み込んでVRAM70に書き込むことにより、起動直後でも画面表示を行なうことができる。しかしながら、この場合、メインコントローラー50側が認識する最新の画面と実際にLCD25に表示される画面とに不整合が生じることがある。フォトスライドショー再生中のときには、自動的に画面が更新され且つ次に更新される画面が決まっているため、上述した画面の不整合が生じても問題はないが、トップメニュー画面80やその下層のメニュー画面ではユーザーの操作によって異なる画面に遷移するため、上述した画面の不整合によりユーザーの操作に対して予期しない画面への遷移が生じる場合がある。本実施形態では、初期化直前の状態がトップメニュー画面80である場合にはフラッシュメモリー72に予め記憶されたトップメニュー画面80を表示し、トップメニュー画面80以外のメニュー画面である場合にはフラッシュメモリー72に予め記憶された戻るボタン37の操作をユーザーに促す戻り操作案内画面を表示するから、ユーザーの操作に対して予期しない画面への遷移が生じるのをより確実に抑制することができる。
【0025】
ここで、本実施形態の構成要素と本発明の構成要素との対応関係を明らかにする。本実施形態のメインコントローラー50が本発明の「主制御装置」に相当し、VRAM70が「第1の記憶手段」に相当し、フラッシュメモリー72が「第2の記憶手段」に相当し、LCDコントローラー60の記憶制御部64が「記憶制御手段」に相当し、LCDコントローラー60の同期信号発生部65や記憶制御部64,解凍部66,出力データ変換部67などが「表示制御手段」に相当する。
【0026】
以上説明した本実施形態のプリンター20によれば、LCDコントローラー60に、揮発性メモリーであるVRAM70の他に、トップメニュー画面80と戻るボタン37の操作をユーザーに促すための戻り操作案内画面(固定画面)を予め記憶すると共にメインコントローラー50から受信される画面データ(更新画面)とその画面の内容を示す設定情報を記憶する不揮発性メモリーであるフラッシュメモリー72を設け、LCDコントローラー60に予期しない初期化が発生してVRAM70の内容がクリアされたとき、設定情報がスライドショー再生画面92を示す情報である場合には、更新画面をフラッシュメモリー72から読み出してVRAM50に書き込み、設定情報がトップメニュー画面80を示す情報である場合には、トップメニュー画面80をフラッシュメモリー72から読み出してVRAM70に書き込み、設定情報がトップメニュー画面80を示す情報でなくスライドショー再生画面92を示す情報でもない場合には、戻り操作案内画面をフラッシュメモリー72から読み出してVRAM70に書き込むから、ユーザーの操作に対して予期しない画面への遷移が生じるのをより確実に抑制することができる。
【0027】
上述した実施形態では、LCDコントローラー60に予期しない初期化が発生してVRAM70の内容がクリアされたとき、初期化直前の画面がスライドショー再生画面92である場合には更新画面をフラッシュメモリー72から読み出してVRAM70に書き込み、トップメニュー画面80である場合にはトップメニュー画面80をフラッシュメモリー72から読み出してVRAM70に書き込み、トップメニュー画面80でなくスライドショー再生画面92でもない場合には戻り操作案内画面をフラッシュメモリー72から読み出してVRAM70に書き込むものとしたが、これに限定されるものではなく、初期化直前の画面がユーザーのボタン操作によらずに自動更新される画面である場合にはフラッシュメモリー72から更新画面を読み込んでVRAM70に書き込み、ユーザーのボタン操作によって更新される画面である場合には、フラッシュメモリー72から固定画面を読み込んでVRAM70に書き込むものであれば、他の如何なる固定画面を用いるものとしてもよい。
【0028】
上述した実施形態では、LCDコントローラー60にVRAM70の他に画面データを記憶するためのフラッシュメモリー72を備えるものとしたが、これに限定されるものではなく、画面データを記憶可能な不揮発性メモリーであれば、EEPROMなど他の如何なる不揮発性メモリーを用いるものとしてもよい。
【0029】
上述した実施形態では、本発明の表示制御装置をLCD25付きのプリンター20に適用して説明したが、これに限られず、原稿の読み取りが可能なスキャナーを備えるマルチファンクションプリンターに適用するものとしたり、FAX機能を備えるFAX装置に適用するなど、スライドショー再生が可能なデジタルフォトフレーム,ディスプレイ付きの携帯電話など、表示部を備える装置であれば、如何なるものに適用するものとしても構わない。
【0030】
なお、本発明は上述した実施形態に何ら限定されることはなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の態様で実施し得ることはいうまでもない。
【符号の説明】
【0031】
20 プリンター、21 本体、22 取っ手、23 オートシートフィーダー、24 排紙トレイ、25 液晶ディスプレイ、26 電源ボタン、28 赤外線通信ポート、30 リモートコントロール装置、30a 発光部、31 電源ボタン、32 ストップ/設定クリアボタン、33 トップメニューボタン、34 印刷枚数設定ボタン、35 上下左右ボタン、36 OKボタン、37 戻るボタン、38 印刷ボタン、39 設定ボタン、40 印刷機構、41 キャリッジ、42 ガイド、43 キャリッジベルト、44 インクカートリッジ、45 印刷ヘッド、46 搬送ローラー、48 プリンターASIC、50 メインコントローラー、51 CPU、52 ROM、53 RAM、54 フラッシュメモリー、55 インターフェース(I/F)、56 赤外線通信コントローラー、57 メモリーカードスロット、58 メモリーカードコントローラー、60 LCDコントローラー、61 入力SP変換部、62 ラインバッファー、63 圧縮部、64 記憶制御部、65 同期信号発生部、66 解凍部、67 出力データ変換部、68 LCDインターフェース(I/F)、70 VRAM、72 フラッシュメモリー、80 トップメニュー画面、81 選択設定画面、82 写真選択画面、83 プレビュー画面、91 効果選択画面、92 スライドショー再生画面、MC メモリーカード。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
主制御装置から画面データを通信により受信し、該受信した画面データに基づいて表示部の画面表示を制御する表示制御装置であって、
揮発性メモリーにより構成され、画面データを記憶可能な第1の記憶手段と、
不揮発性メモリーにより構成され、予め所定の画面データが記憶されると共に新たな画面データを記憶可能な第2の記憶手段と、
前記主制御装置から画面データが受信された場合に、該受信した画面データを前記第1の記憶手段と前記第2の記憶手段とに記憶させる記憶制御手段と、
前記第1の記憶手段に記憶された画面データを読み出し、該読み出した画面データを前記表示部に出力する表示制御手段と、
を備え、
前記表示制御手段は、前記第1の記憶手段がクリアされた場合には、該クリア直前の表示状態に応じて、前記第2の記憶手段から新たに記憶された画面データを読み出して前記表示部に出力する第1の表示制御と、前記第2の記憶手段に予め記憶された前記所定の画面データを読み出して前記表示部に出力する第2の表示制御とを選択的に実行する手段である
表示制御装置。
【請求項2】
請求項1記載の表示制御装置であって、
前記主制御装置は、ユーザーの操作を伴わずに自動的に画面を更新する第1のモードと、ユーザー操作を伴って画面を更新する第2のモードとを有し、
前記表示制御手段は、前記クリア直前の表示状態が前記第1のモードで送信された画面データに基づく場合には前記第1の表示制御を実行し、前記クリア直前の表示状態が前記第2のモードで送信された画面データに基づく場合には前記第2の表示制御を実行する手段である
表示制御装置。
【請求項3】
請求項2記載の表示制御装置であって、
前記第2のモードは、ユーザーによる選択操作によりトップ画面から選択された項目に応じた下層の画面へ順次遷移し、ユーザーによる戻り操作により下層の画面から上層の画面に遷移するよう画面を更新するモードであり、
前記第2の記憶手段は、前記所定の画面データとして前記トップ画面の画面データと前記戻り操作をユーザーに促すための戻り操作案内画面の画面データとを記憶する手段であり、
前記表示制御手段は、前記クリア直前の表示状態が前記第2のモードで送信された画面データに基づく場合、前記クリア直前に前記トップ画面が表示されていた場合には前記第2の記憶手段から前記トップ画面を読み出して前記表示部に表示出力し、前記クリア直前に前記トップ画面以外の下層の画面が表示されていた場合には前記第2の記憶手段から前記戻り操作案内画面を読み出して前記表示部に表示出力する手段である
表示制御装置。
【請求項4】
前記第1のモードは、画像を順次切り替えて表示するスライドショーを行なうモードである請求項2または3記載の表示制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−203538(P2012−203538A)
【公開日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−66031(P2011−66031)
【出願日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】