説明

表示装置、表示方法、および表示プログラム

【課題】観視者の眼へ負担をかけずに自然な立体的画像を提供する。
【解決手段】左眼用画像および右眼用画像を時分割で表示する表示部と、前記左眼用画像および前記右眼用画像の間で表示を切り替える場合に、切替後画像を表示する前に、切替前画像の残像を軽減させる残像軽減画像を観視者に与える残像軽減部とを備える表示装置、並びに当該表示装置に関する表示方法、および表示プログラムを提供する。前記表示装置は、前記表示部の表示領域内において2次元画像を左右にずらした前記左眼用画像および前記右眼用画像を生成する生成部を更に備えてもよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示装置、表示方法、および表示プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、立体的な画像(3D画像)の提示技術が知られている。立体的画像を提示する技術の一つとして、物体をそれぞれ右眼および左眼から見たときの右眼用画像および左眼用画像を生成して、それぞれ観視者の右眼および左眼に対してだけ表示する技術(ステレオ立体視技術)が存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10−117362号公報
【特許文献2】特開2002−262310号公報
【特許文献3】特開平8−205201号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、このようなステレオ立体視技術は、視差情報を使用して観視者に立体的画像を認識させることを目的として、視差を与えるように左眼用画像および右眼用画像を高速で切り替える。また、右眼用画像および左眼用画像に一定のシフト量を与える技術、および2次元画像を左右にずらすことにより立体的画像を提示する方法も提案されている。しかし、観視者のそれぞれの眼に異なる画像を与えることによって、観視者へ不快感または不自然感等の負担を与えてしまう。
【0005】
そこで本発明は、上記の課題を解決することのできる表示装置、表示方法、および表示プログラムを提供することを目的とする。この目的は特許請求の範囲における独立項に記載の特徴の組み合わせにより達成される。また従属項は本発明の更なる有利な具体例を規定する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明の第1の態様においては、左眼用画像および右眼用画像を時分割で表示する表示部と、左眼用画像および右眼用画像の間で表示を切り替える場合に、切替後画像を表示する前に、切替前画像の残像を軽減させる残像軽減画像を観視者に与える残像軽減部とを備える表示装置、並びに当該表示装置に関する表示方法、および表示プログラムを提供する。
【0007】
なお、上記の発明の概要は、本発明の必要な特徴の全てを列挙したものではない。また、これらの特徴群のサブコンビネーションもまた、発明となりうる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本実施形態に係る表示装置10の構成を示す。
【図2】表示装置10が、左側画像および右側画像を交互に表示する場合の一例を示す。
【図3】左側画像上の表示点、右側画像上の表示点、及び、観視者により知覚される像の一例を示す。
【図4】左側画像または右側画像の一方のみが表示される非対応領域およびクロストークの一例を示す。
【図5】外枠画像の一例を示す。
【図6】切替前画像の残像を軽減させる残像軽減画像を表示する場合の一例を示す。
【図7】表示装置10が観賞用眼鏡30を利用して残像軽減画像を観視者の眼に与える場合の一例を示す。
【図8】本実施形態に係るコンピュータ1900のハードウェア構成の一例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は特許請求の範囲にかかる発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0010】
図1は、本実施形態に係る表示装置10の構成を示す。表示装置10は、2次元画像から観視者に対し立体的に見せる左側画像および右側画像を生成する。より具体的には、表示装置10は、2次元画像に基づき、観視者の右眼に対して出力する画像および当該観視者の左眼に対して出力する画像を生成することにより、立体的に見えうる画像を生成する。そして、表示装置10は、生成した左側画像および右側画像を時分割で交互に表示する。ここで、表示装置10は、左眼用画像および右眼用画像の間で表示を切り替える場合に、切替後画像を表示する前に、切替前画像の残像を軽減させる残像軽減画像を観視者に与える。なお、与えられる2次元画像は、静止画像であっても、時間的に連続する複数の静止画像を含む動画像であってもよい。
【0011】
表示装置10は、生成部100と、残像軽減部110と、表示部120を備える。生成部100は、表示部120の表示領域内において2次元画像を左右にずらした左眼用画像および右眼用画像を生成する。ここで、生成部100は、一例として、同一の2次元画像を左右にずらす。動画の場合には、生成部100は、2次元画像において左眼用画像に対するフレームと右眼用画像に対するフレームとをそれぞれ左右にずらしてもよい。
【0012】
また、生成部100は、左側画像および右側画像が表示される各表示領域の外枠として表示されるべき外枠画像を生成する。生成部100は、左側画像および右側画像が表示される各表示領域の周囲における、少なくとも一部に設けられる外枠として表示される外枠画像を生成してもよい。
【0013】
残像軽減部110は、切替前画像から切替後画像へ切り替えの間に、切替前画像の残像軽減画像を表示部120を介して観視者に与える。残像軽減部110は、一例として、切替前画像よりも低輝度の残像軽減画像を切替前画像を見た眼に与える。これに代えて、残像軽減部110は、均一輝度の残像軽減画像を切替前画像を見た眼に与えてもよい。
【0014】
これにより、残像軽減部110は、2次元画像に基づいて取得される輝度値、またはテレビ受像機もしくはコンピュータのモニタ等の表示装置に予め設定されている輝度値等から生成した残像軽減画像を観視者の眼に与えることによって、自然に見えるように画像を切り替えることができる。
【0015】
また、残像軽減部110は、表示部120を制御して残像軽減画像を表示させる。ここで、残像軽減部110は、表示部120が動画を表示している場合に、静止画を表示している場合と比較してより長い期間、残像軽減画像を表示部120により表示させる。これに代えて、残像軽減部110は、表示部120が動画を表示している場合に残像軽減画像を表示部120により表示させ、表示部120が静止画を表示している場合に残像軽減画像を表示させなくてもよい。
【0016】
表示部120は、生成部100が生成した左眼用画像および右眼用画像を時分割で交互に切り替えて表示する。表示部120は、1フレームおきまたは複数フレームおきに左眼用画像および右眼用画像を切り替えて表示してもよい。ここで、表示部120は、同一の2次元画像を左右にずらす動画の場合には、2次元動画像において左眼用画像に対応するフレームと右眼用画像に対応するフレームとをそれぞれ左右にずらしてもよい。これによって、表示装置10は、観視者の眼の負担を軽減して、より鮮明な画像を観視者へ提供できる。
【0017】
図2は、表示装置10が、左側画像および右側画像を交互に表示する場合の一例を示す。ここで、残像軽減部110は、左眼用画像が表示される場合に、観賞用眼鏡30を制御して右眼側の視界を遮る。また、残像軽減部110は、右眼用画像が表示される場合に、観賞用眼鏡30を制御して左眼側の視界を遮る。以上により、表示装置10は、観視者に対し左側画像を左眼へおよび右側画像を右眼へ提供することができる。これを連続することで、観視者は、左眼用画像と右眼用画像との視差によって、見ている物体及び景色等に立体感および臨場感を感じることができる。
【0018】
本実施形態においては、生成部100は、同一の2次元画像を、表示領域内において左右に瞳孔間距離以下の距離分ずらした左側画像および右側画像を生成する。生成部100は、一例として、元の2次元画像を、瞳孔間距離の1/2の距離分左方向にずらして左側画像を生成する。また、生成部100は、一例として、元の2次元画像を瞳孔間距離の1/2の距離分右方向にずらして右側画像を生成する。
【0019】
また、生成部100は、一例として、元の2次元画像を左方向にずらして生成された左側画像における、表示領域の左側境界から左側にはみ出した部分を削除してもよい。生成部100は、一例として、元の2次元画像を右方向にずらして生成された右側画像における、表示領域の右側境界から右側にはみ出した部分を削除してもよい。
【0020】
ここで、瞳孔間距離は、人間が、左眼で見た左側画像の表示物と右眼で見た右側画像の表示物とを融合して一つの像として認識することができ、且つ、融合した像を無限遠に認識する距離である。瞳孔間距離は、一般に、観視者の両眼の視線が並行となった場合の瞳間の距離(40mmから90mm)である。従って、生成部100は、2次元画像を表示領域内において左右に0より大きく90mm以下の距離分ずらした左側画像および右側画像を生成する。
【0021】
なお、人間は、両眼の視線が並行状態から左右に2〜3度程度開いた状態でも、両眼融合視をできる場合がある。従って、瞳孔間距離は、左眼の視線が並行状態から左側に3度以下(好ましくは2度)、右眼の視線が並行状態から右側に3度以下(好ましくは2度)ずれる距離であってもよい。ただし、このような場合、瞳孔間距離は、観視者と表示面との間の距離が遠くなるほど長くなる。
【0022】
表示部120が2次元画像を表示する表示領域は、一例として、テレビ受像機の表示面、コンピュータのモニタ内に表示された1つのウィンドウ領域等の1つの画面上に形成された領域である。生成部100は、与えられた2次元画像の画素サイズと表示領域の大きさとに応じて、左側画像および右側画像間の表示領域上における距離が瞳孔間距離となるように、左側画像と右側画像と間のデータ上における距離を変更してもよい。
【0023】
本実施形態においては、当該表示装置10が1個の表示領域を有する表示装置により左側画像および右側画像を提供する場合、生成部100は、動画像に含まれる各フレームを時間順に所定枚ずつ交互に選択した場合における一方のフレーム(例えば偶数フレーム)に表示される画像を、左側画像とする。また、この場合、生成部100は、動画像に含まれる各フレームを時間順に所定枚ずつ交互に選択した場合における他方のフレーム(例えば奇数フレーム)に表示される画像を、右側画像とする。
【0024】
また、生成部100は、一例として、左側画像および右側画像の生成をコンピュータのソフトウェアによって演算処理する。これに代えて、生成部100は、リアルタイムで伝送または再生されるビデオ信号に対してリアルタイムで画像処理を行ってもよい。
【0025】
図3は、左側画像上の表示点、右側画像上の表示点、及び、観視者により知覚される像の一例を示す。人間が近距離の2次元画像を見ている場合、左眼に与えられている画像と右眼に与えられているが画像とは同一ではなく視差がある。人間は、この視差から、見ているものが2次元画像であると認識する。また、人間が無限遠(例えば10m以上)の物体を見ている場合、左眼に与えられている画像と右眼に与えられているが画像とは、視差がなく同一となる。人間は、無限遠を見ている場合、左眼に与えられている画像と右眼に与えられている画像との間に視差が無いことにより、見ている物体及び景色等に立体感および臨場感を感じる。
【0026】
表示装置10は、観視者の瞳孔間距離と同じだけ左右に距離ずらした視差のない(即ち、互いに同じ)右側画像および左側画像を生成する。そして、表示装置10は、左側画像を観視者の左眼に与え、右側画像を観視者の右眼に与える。この結果、表示装置10は、観視者の左眼および右眼の視線を平行状態とする、即ち、観視者の視線を輻輳させない(左眼および右眼の視線を交差させない)状態とすることができる。これにより、表示装置10は、観視者を、無限遠を見ている状態にすることができる。即ち、例えば、図3に示されるように、表示装置10は、観視者に、A点(黒丸の点)およびB点(三角の点)をともに無限遠に位置する点として知覚させることができる。
【0027】
このように表示装置10は、観視者に無限遠を見ている状態として且つ左眼と右眼とに視差のない画像を与えることにより、観視者に立体的を感じる画像を提供することができる。例えば、表示装置10は、例えば風景画像等に、窓から外を見たような臨場感を与えることができる。また、表示装置10は、マクロ撮影などの近距離撮影の画像に、虫眼鏡でみたような実物感を与えることができる。
【0028】
表示装置10が、以上のような臨場感および実物感といった現実感を画像に与えることができる理由は、以下のように推定される。表示装置10は、観視者の視線を輻輳させないので、視差による像の位置の特定をさせることができない。しかし、視差が無い場合であっても、人間は、経験常識から導き出される実際の対象物の大きさと画角から、像の位置を推定している。そして、人間は、このような位置の推定を無意識かつ瞬時に行い、立体感とともに実寸の感覚を得る。従って、表示装置10は、観視者の視線を輻輳させなくても、以上のような現実感を画像に与えることができると推定される。
【0029】
また、人間は、動画像を見ている場合、遠くの物体は動きが小さく、近くの物体は動きが大きく感じる。人間は、動画像を見ている場合、視差よりも、このような物体の動きに、より強く立体感を感じる。従って、表示装置10は、動画像を表示させる場合には、観視者に立体感をより強く感じさせることができる。
【0030】
さらに、表示装置10は、書割り効果と呼ばれる平面が立って見える現象、および、箱庭効果と呼ばれる、奥行きおよび飛び出し感を強調することによって画面の横方向の拡がり感を低下させる現象を発生させない。従って、表示装置10によれば、自然な立体感および臨場感を有する立体画像を提供することができる。
【0031】
また、表示装置10は、観視者の視線を輻輳させないので、視覚の輻輳と調節との不一致が生じず、不快感を少なくすることができる。また、表示装置10は、画面よりも遠い位置に立体像を知覚させるので、枠(例えば、窓枠および虫眼鏡の枠等)を通してみるような感覚を観視者に与えることができる。従って、表示装置10によれば、画面より前に飛び出して見える像が画面枠で不自然に切断される現象が生じず、自然な立体画像を観視者に提供することができる。
【0032】
図4は、左側画像または右側画像の一方のみが表示される非対応領域およびクロストークの一例を示す。外枠画像を表示しない場合における表示領域の左辺部分には、1枚の2次元画像を左右にずらして右側画像および左側画像を生成した場合における左側画面は表示されるが右側画面は表示されない領域(即ち、右側画像および左側画像が重ならない非対応領域)が存在する。同様に、外枠画像を表示しない場合における表示領域の右辺部分には、右側画面は表示されるが左側画面は表示されない非対応領域が存在する。
【0033】
また、表示領域の右端から瞳孔間距離分内側の位置、および、表示領域の左端から瞳孔間距離分内側の位置には、縦方向の線に見えるクロストーク(またはゴースト)が観察される。このような非対応領域およびクロストークは、観視者に不自然感を与えてしまう。
【0034】
図5は、外枠画像の一例を示す。生成部100は、表示用画像に含まれる少なくとも非対応領域およびクロストークを覆う外枠画像を生成することが好ましい。即ち、生成部100は、左辺および右辺のそれぞれの枠幅が少なくとも瞳孔間距離以上である外枠画像を生成することが好ましい。これにより表示装置10によれば、表示用画像において不自然感を与える非対応領域およびクロストーク部分を隠して、観視者に自然な表示用画像を提供することができる。
【0035】
また、生成部100は、外枠の一部の画像を生成してもよい。これにより、生成部100は、表示装置が有する外枠と合わせて、表示用画像の外枠を形成することができる。また、生成部100は、左辺部分および右辺部分のみを有する外枠画像を生成してもよい。即ち、上辺部分および下辺部分を有さない外枠画像を生成してもよい。これにより、表示装置10は、少なくとも非対応領域およびクロストーク部分を隠した表示用画像を提供することができる。
【0036】
図6は、切替前画像の残像を軽減させる残像軽減画像を表示する場合の一例を示す。表示装置10は、表示部120が表示する左側画像および右側画像の各切り替える間に、残像軽減部110が生成した残像軽減画像を挿入する。また、表示装置10は、一例として、残像軽減部110が生成した残像軽減画像を、左側画像および右側画像の画像毎に表示する。そして、表示装置10は、左側画像および右側画像の各画像の表示期間に基づいて、一定の比率によって算出した期間だけ画像毎に挿入する。これに代えて、表示装置10は、左側画像および右側画像の各表示期間に関わらず、左側画像および右側画像の各表示期間より短い期間で、予め設定した一定期間で残像軽減画像を挿入してもよい。
【0037】
この場合、残像軽減部110は、生成部100が生成した切替前画像または切替後画像における左側画像および右側画像の画像輝度を取得して、取得した画像輝度に対して一定の比率で低減した輝度の残像軽減画像を観視者の眼に与えてもよい。ここで、残像軽減部110は、生成部100が生成した切替前画像または切替後画像における左側画像および右側画像の各表示領域の各輝度値に基づいて決定した各輝度値を有する画像を残像軽減画像としてよい。
【0038】
また、残像低減画像を生成する場合、残像軽減部110は、一例として、生成部100が生成した左側画像および右側画像の各表示領域をピクセル単位で輝度値を求める。そして、残像軽減部110は、一例として、左側画像および右側画像の輝度値の分布を狭めた画像、または輝度を高めた若しくは低くした画像を残像軽減画像とする。これに代えて、残像軽減部110は、切替前画像の輝度の大小を逆転し、かつ分布を狭めた残像軽減画像を生成してもよい。
【0039】
また、残像軽減部110は、表示部120が表示する画面単位あたりの輝度値または表示装置10の設定機能により観視者が予め設定した表示部120の明暗設定情報から残像低減画像の輝度値を求めてもよい。そして、残像軽減部110は、求めた輝度値に基づいて、低減した均一輝度の残像軽減画像を生成する。ここで、残像軽減部110は、黒一色もしくは黒に近い色(紺、群青など)の単色画像、または輝度値に基づいた一定の補色残像となる色の単色画像を残像軽減画像としてよい。以上のようにして、表示装置10は、残像が残りにくく違和感のない画像を、観視者に提示できる。
【0040】
図7は、表示装置10が観賞用眼鏡30を利用して残像軽減画像を観視者の眼に与える場合の一例を示す。ここで、表示装置10内の残像軽減部110は、一例として、切替前画像を表示するフレーム期間および切替後画像を表示するフレーム期間の間の、少なくとも1つのフレーム期間において、表示装置10内の表示部120により残像軽減画像を表示させる。本例では、表示部120は、240フレーム/秒の表示速度を有しており、左眼用画像および右眼用画像をそれぞれ4フレームずつ交互に表示する。そして、残像軽減部110は、左眼用画像および右眼用画像の間で表示を切り替える直前の1フレームに、表示部120によって残像軽減画像を表示させる。
【0041】
これによって、短い表示間隔で画像の切り替えが可能な場合には、残像軽減部110は、切替前画像から切替後画像への切り替える間に残像軽減画像を表示するフレームを設けることにより、観視者に対して立体的画像を違和感なく提供できる。
【0042】
また本例では、観賞用眼鏡30は、表示部120が左眼用画像および右眼用画像を表示するフレーム期間に合わせるので、1/60秒毎に左眼側および右眼側シャッタを切り替える。観賞用眼鏡30は、左眼用画像から右眼用画像へ切り替える場合に、視界を遮らせていた右眼側のシャッタを開いて、開放していた左眼側のシャッタを閉じる。また、観賞用眼鏡30は、右眼用画像から左眼用画像へ切り替える場合に、視界を遮らせていた左眼側のシャッタを開いて、開放していた右眼側のシャッタを閉じる。
【0043】
これによって、表示装置10は、表示部120が左眼用画像を表示するフレーム期間において、左眼用画像と、右眼用画像へ切り替える直前に残像軽減画像を観視者の左眼に与え、右眼用画像を表示するフレーム期間において、右眼用画像と、左眼用画像へ切り替える直前に残像軽減画像を観視者の右眼に与える。
【0044】
また、左眼用画像および右眼用画像の間で表示を切り替える場合、残像軽減部110は、表示部120が切替後画像を表示を開始するより予め定められた期間前から、観視者が装着した観賞用眼鏡30によって切替前画像を見る側の眼の視界を遮らせることにより、残像軽減画像を観視者に与えてもよい。この場合、表示装置10は、一例として、左眼用画像から右眼用画像へ切り替える場合に右眼用画像を表示するフレーム期間において、観賞用眼鏡30の左眼側のシャッタから残像軽減画像を観視者の左眼へ与えて、右眼用画像から左眼用画像へ切り替える場合に左眼用画像を表示するフレーム期間において、観賞用眼鏡30の右眼側のシャッタから残像軽減画像を観視者の右眼へ与える。
【0045】
これに代えて、左眼用画像および右眼用画像の間で表示を切り替える場合に、観賞用眼鏡30に両眼の視界を遮るマージン期間を設けて、マージン期間内でシャッタから残像軽減画像を観視者の眼へ与えてもよい。ここで、観賞用眼鏡30は、表示装置10が送信した赤外線信号または光通信などを利用して、残像軽減部110から残像軽減画像と、シャッタ制御情報を受信して制御してもよい。このようにして、表示装置10は、観視者の眼に対して負担を与えることなく、違和感なく立体的画像を提供できる。
【0046】
図8は、本実施形態に係るコンピュータ1900のハードウェア構成の一例を示す。本実施形態に係るコンピュータ1900は、ホスト・コントローラ2082により相互に接続されるCPU2000、RAM2020、グラフィック・コントローラ2075、及び表示装置2080を有するCPU周辺部と、入出力コントローラ2084によりホスト・コントローラ2082に接続される通信インターフェイス2030、ハードディスク・ドライブ2040、及びDVDドライブ2060を有する入出力部と、入出力コントローラ2084に接続されるROM2010、フレキシブルディスク・ドライブ2050、及び入出力チップ2070を有するレガシー入出力部とを備える。
【0047】
ホスト・コントローラ2082は、RAM2020と、高い転送レートでRAM2020をアクセスするCPU2000及びグラフィック・コントローラ2075とを接続する。CPU2000は、ROM2010及びRAM2020に格納されたプログラムに基づいて動作し、各部の制御を行う。グラフィック・コントローラ2075は、CPU2000等がRAM2020内に設けたフレーム・バッファ上に生成する画像データを取得し、表示装置2080上に表示させる。これに代えて、グラフィック・コントローラ2075は、CPU2000等が生成する画像データを格納するフレーム・バッファを、内部に含んでもよい。
【0048】
入出力コントローラ2084は、ホスト・コントローラ2082と、比較的高速な入出力装置である通信インターフェイス2030、ハードディスク・ドライブ2040、DVDドライブ2060を接続する。通信インターフェイス2030は、ネットワークを介して他の装置と通信する。ハードディスク・ドライブ2040は、コンピュータ1900内のCPU2000が使用するプログラム及びデータを格納する。DVDドライブ2060は、DVD2095からプログラム又はデータを読み取り、RAM2020を介してハードディスク・ドライブ2040に提供する。
【0049】
また、入出力コントローラ2084には、ROM2010と、フレキシブルディスク・ドライブ2050、及び入出力チップ2070の比較的低速な入出力装置とが接続される。ROM2010は、コンピュータ1900が起動時に実行するブート・プログラム、及び/又は、コンピュータ1900のハードウェアに依存するプログラム等を格納する。フレキシブルディスク・ドライブ2050は、フレキシブルディスク2090からプログラム又はデータを読み取り、RAM2020を介してハードディスク・ドライブ2040に提供する。入出力チップ2070は、フレキシブルディスク・ドライブ2050を入出力コントローラ2084へと接続すると共に、例えばパラレル・ポート、シリアル・ポート、キーボード・ポート、マウス・ポート等を介して各種の入出力装置を入出力コントローラ2084へと接続する。
【0050】
RAM2020を介してハードディスク・ドライブ2040に提供されるプログラムは、フレキシブルディスク2090、DVD2095、又はICカード等の記録媒体に格納されて利用者によって提供される。プログラムは、記録媒体から読み出され、RAM2020を介してコンピュータ1900内のハードディスク・ドライブ2040にインストールされ、CPU2000において実行される。
【0051】
コンピュータ1900にインストールされ、コンピュータ1900を表示装置10の制御用コンピュータとして機能させるプログラムは、生成モジュールと、残像軽減モジュールと、表示モジュールとを備える。これらのプログラム又はモジュールは、CPU2000等に働きかけて、コンピュータ1900を、生成部100と、残像軽減部110と、表示部120としてそれぞれ機能させる。
【0052】
これらのプログラムに記述された情報処理は、コンピュータ1900に読込まれることにより、ソフトウェアと上述した各種のハードウェア資源とが協働した具体的手段である生成部100と、残像軽減部110と、表示部120として機能する。そして、これらの具体的手段によって、本実施形態におけるコンピュータ1900の使用目的に応じた情報の演算又は加工を実現することにより、使用目的に応じた特有の表示装置10が構築される。
【0053】
一例として、コンピュータ1900と外部の装置等との間で通信を行う場合には、CPU2000は、RAM2020上にロードされた通信プログラムを実行し、通信プログラムに記述された処理内容に基づいて、通信インターフェイス2030に対して通信処理を指示する。通信インターフェイス2030は、CPU2000の制御を受けて、RAM2020、ハードディスク・ドライブ2040、フレキシブルディスク2090、又はDVD2095等の記憶装置上に設けた送信バッファ領域等に記憶された送信データを読み出してネットワークへと送信し、もしくは、ネットワークから受信した受信データを記憶装置上に設けた受信バッファ領域等へと書き込む。このように、通信インターフェイス2030は、DMA(ダイレクト・メモリ・アクセス)方式により記憶装置との間で送受信データを転送してもよく、これに代えて、CPU2000が転送元の記憶装置又は通信インターフェイス2030からデータを読み出し、転送先の2030又は記憶装置へとデータを書き込むことにより送受信データを転送してもよい。
【0054】
また、CPU2000は、ハードディスク・ドライブ2040、DVDドライブ2060(DVD2095)、フレキシブルディスク・ドライブ2050(フレキシブルディスク2090)等の外部記憶装置に格納されたファイルまたはデータベース等の中から、全部または必要な部分をDMA転送等によりRAM2020へと読み込ませ、RAM2020上のデータに対して各種の処理を行う。そして、CPU2000は、処理を終えたデータを、DMA転送等により外部記憶装置へと書き戻す。このような処理において、RAM2020は、外部記憶装置の内容を一時的に保持するものとみなせるから、本実施形態においてはRAM2020および外部記憶装置等をメモリ、記憶部、または記憶装置等と総称する。本実施形態における各種のプログラム、データ、テーブル、データベース等の各種の情報は、このような記憶装置上に格納されて、情報処理の対象となる。なお、CPU2000は、RAM2020の一部をキャッシュメモリに保持し、キャッシュメモリ上で読み書きを行うこともできる。このような形態においても、キャッシュメモリはRAM2020の機能の一部を担うから、本実施形態においては、区別して示す場合を除き、キャッシュメモリもRAM2020、メモリ、及び/又は記憶装置に含まれるものとする。
【0055】
また、CPU2000は、RAM2020から読み出したデータに対して、プログラムの命令列により指定された、本実施形態中に記載した各種の演算、情報の加工、条件判断、情報の検索・置換等を含む各種の処理を行い、RAM2020へと書き戻す。例えば、CPU2000は、条件判断を行う場合においては、本実施形態において示した各種の変数が、他の変数または定数と比較して、大きい、小さい、以上、以下、等しい等の条件を満たすかどうかを判断し、条件が成立した場合(又は不成立であった場合)に、異なる命令列へと分岐し、またはサブルーチンを呼び出す。
【0056】
また、CPU2000は、記憶装置内のファイルまたはデータベース等に格納された情報を検索することができる。例えば、第1属性の属性値に対し第2属性の属性値がそれぞれ対応付けられた複数のエントリが記憶装置に格納されている場合において、CPU2000は、記憶装置に格納されている複数のエントリの中から第1属性の属性値が指定された条件と一致するエントリを検索し、そのエントリに格納されている第2属性の属性値を読み出すことにより、所定の条件を満たす第1属性に対応付けられた第2属性の属性値を得ることができる。
【0057】
以上に示したプログラム又はモジュールは、外部の記録媒体に格納されてもよい。記録媒体としては、フレキシブルディスク2090、DVD2095の他に、DVD又はCD等の光学記録媒体、MO等の光磁気記録媒体、テープ媒体、ICカード等の半導体メモリ等を用いることができる。また、専用通信ネットワーク又はインターネットに接続されたサーバシステムに設けたハードディスク又はRAM等の記憶装置を記録媒体として使用し、ネットワークを介してプログラムをコンピュータ1900に提供してもよい。
【0058】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。その様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【0059】
特許請求の範囲、明細書、および図面中において示した装置、システム、プログラム、および方法における動作、手順、ステップ、および段階等の各処理の実行順序は、特段「より前に」、「先立って」等と明示しておらず、また、前の処理の出力を後の処理で用いるのでない限り、任意の順序で実現しうることに留意すべきである。特許請求の範囲、明細書、および図面中の動作フローに関して、便宜上「まず、」、「次に、」等を用いて説明したとしても、この順で実施することが必須であることを意味するものではない。
【符号の説明】
【0060】
10 表示装置、30 観賞用眼鏡、100 生成部、110 残像軽減部、120 表示部、1900 コンピュータ、2000 CPU、2010 ROM、2020 RAM、2030 通信インターフェイス、2040 ハードディスク・ドライブ、2050 フレキシブルディスク・ドライブ、2060 DVDドライブ、2070 入出力チップ、2075 グラフィック・コントローラ、2080 表示装置、2082 ホスト・コントローラ、2084 入出力コントローラ、2090 フレキシブルディスク、2095 DVD

【特許請求の範囲】
【請求項1】
左眼用画像および右眼用画像を時分割で表示する表示部と、
前記左眼用画像および前記右眼用画像の間で表示を切り替える場合に、切替後画像を表示する前に、切替前画像の残像を軽減させる残像軽減画像を観視者に与える残像軽減部と、
を備える表示装置。
【請求項2】
前記表示部の表示領域内において2次元画像を左右にずらした前記左眼用画像および前記右眼用画像を生成する生成部を更に備える
請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記残像軽減部は、前記切替前画像よりも低輝度の前記残像軽減画像を前記切替前画像を見た眼に与える
請求項1または2に記載の表示装置。
【請求項4】
前記残像軽減部は、均一輝度の前記残像軽減画像を前記切替前画像を見た眼に与える
請求項3に記載の表示装置。
【請求項5】
前記残像軽減部は、前記表示部を制御して前記残像軽減画像を表示させる
請求項1から4のいずれかに記載の表示装置。
【請求項6】
前記残像軽減部は、前記表示部が動画を表示している場合に、静止画を表示している場合と比較してより長い期間、前記残像軽減画像を前記表示部により表示させる
請求項1から5のいずれかに記載の表示装置。
【請求項7】
前記残像軽減部は、前記表示部が動画を表示している場合に前記残像軽減画像を前記表示部により表示させ、前記表示部が静止画を表示している場合に前記残像軽減画像を表示させない
請求項1から6のいずれかに記載の表示装置。
【請求項8】
前記表示部は、複数フレームおきに前記左眼用画像および前記右眼用画像を切り替えて表示し、
前記残像軽減部は、前記切替前画像を表示するフレーム期間および前記切替後画像を表示するフレーム期間の間の少なくとも1つのフレーム期間において、前記表示部により前記残像軽減画像を表示させる
請求項1から7のいずれかに記載の表示装置。
【請求項9】
前記左眼用画像および前記右眼用画像の間で表示を切り替える場合に、前記残像軽減部は、前記表示部が前記切替後画像を表示を開始するより予め定められた期間前から、前記観視者が装着した観賞用眼鏡によって前記切替前画像を見る側の眼の視界を遮らせることにより、前記残像軽減画像を前記観視者に与える
請求項1から8のいずれかに記載の表示装置。
【請求項10】
表示装置として、コンピュータを機能させる表示プログラムであって、
前記コンピュータを、
左眼用画像および右眼用画像を時分割で表示する表示部と、
前記左眼用画像および前記右眼用画像の間で表示を切り替える場合に、切替後画像を表示する前に、切替前画像の残像を軽減させる残像軽減画像を観視者に与える残像軽減部と
して機能させる表示プログラム。
【請求項11】
左眼用画像および右眼用画像を時分割で表示する表示ステップと、
前記左眼用画像および前記右眼用画像の間で表示を切り替える場合に、切替後画像を表示する前に、切替前画像の残像を軽減させる残像軽減画像を観視者に与える残像軽減ステップと、
を備える表示方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−259022(P2010−259022A)
【公開日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−110053(P2009−110053)
【出願日】平成21年4月28日(2009.4.28)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】