説明

表示装置および有機発光表示装置

【課題】表示部の密封機能を向上させることができる表示装置および有機発光表示装置を提供する。
【解決手段】表示装置は、基板と、基板上に形成された表示部と、表示部を囲む接合層によって基板に固定されて樹脂マトリックスと複数の炭素繊維を含む複合部材および複合部材に結合して貫通ホールを形成する絶縁部材を備えた密封基板と、基板に向かう密封基板の一面に位置する金属膜と、貫通ホールを満たして金属膜と接する導電性の連結部とを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は表示装置に関し、より詳細には、有機発光表示装置に関する。さらに、本発明は表示部を密封する密封基板に関する。
【背景技術】
【0002】
表示装置のうち、平板型でありながら自体発光型である有機発光表示装置がある。
有機発光表示装置は自ら光を出す有機発光素子を備えて画像を表示する。複数の有機発光素子を含む表示部は水分と酸素に露出すれば機能が低下するため、表示部を密封させて外部の水分と酸素浸透を抑制する技術が求められる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、表示部の密封機能を向上させることができる表示装置および有機発光表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の一実施形態に係る表示装置は、基板と、基板上に形成された表示部と、表示部を囲む接合層によって基板に固定されて樹脂マトリックスと複数の炭素繊維を含む複合部材および複合部材に結合して貫通ホールを形成する絶縁部材を備えた密封基板と、基板に向かう密封基板の一面に位置する金属膜と、貫通ホールを満たして金属膜と接する導電性の連結部とを含む。
【0005】
複数の炭素繊維は樹脂マトリックス内部で互いに交差してもよい。複合部材は複数の層で構成され、複数の層それぞれは樹脂マトリックスと複数の炭素繊維を含んでもよい。複数の層のうちの少なくとも一層に配置された複数の炭素繊維と複数の層のうち、少なくとも他の一層に配置された複数の炭素繊維は互いに交差してもよい。
絶縁部材は複合部材の少なくとも3つの周縁外側に固定されて複数の第1貫通ホールを形成してもよく、複合部材は複数の第2貫通ホールを形成してもよい。
【0006】
表示装置は、第1貫通ホールを介して絶縁部材の内面と外面に渡って形成されて第1電気信号の印加を受ける第1導電部と、第2貫通ホールを介して複合部材の内面と外面に渡って形成されて第2電気信号の印加を受ける第2導電部とをさらに含んでもよい。
【0007】
一方、絶縁部材は複合部材の全体周縁外側に固定され、複数の第1貫通ホールと複数の第2貫通ホールを形成してもよい。
表示装置は、第1貫通ホールを介して絶縁部材の内面と外面に渡って形成されて第1電気信号の印加を受ける第1導電部と、第2貫通ホールを介して絶縁部材および複合部材の内面と絶縁部材の外面に渡って形成されて第2電気信号の印加を受ける第2導電部とをさらに含んでもよい。
【0008】
複合部材は絶縁部材と対向する側面に突起を形成してもよく、絶縁部材は突起を収容する溝を形成してもよい。一方、複合部材は絶縁部材と対向する側面に互いに距離をおいて複数の突出部を形成してもよく、絶縁部材は突出部を収容する凹部を形成してもよい。
絶縁部材は複合部材の外面を覆う絶縁板材をさらに含んでもよい。絶縁部材は接合層と基板の側面を覆って保護する保護部をさらに含んでもよい。
【0009】
絶縁部材はプラスチック射出成形物であってもよい。絶縁部材は負熱膨張フィラーを含んでもよい。金属膜はアルミニウム膜、アルミニウム合金膜、銅膜、および銅合金膜のうちのいずれか1つで形成されてもよい。
【0010】
本発明の一実施形態に係る有機発光表示装置は、基板と、基板上に形成されて共通電源ラインと共通電極を含む表示部と、表示部を囲む接合層によって基板に固定されて第1貫通ホールと第2貫通ホールを形成する密封基板と、第1貫通ホールを介して密封基板の内面と外面に渡って形成されて共通電源ラインに第1電気信号を供給する第1導電部と、第2貫通ホールを介して密封基板の内面と外面に渡って形成されて共通電極に第2電気信号を供給する第2導電部とを含む。密封基板は、樹脂マトリックスと複数の炭素繊維を含む複合部材と、複合部材に結合して第1貫通ホールと第2貫通ホールのうちの少なくとも1つの貫通ホールを形成する絶縁部材とを含む。
【0011】
有機発光表示装置は、表示部外側に位置して共通電源ラインと連結した第1パッド部および共通電極と連結した第2パッド部を含むパッド部と、第1パッド部と第1導電部の間および第2パッド部と第2導電部の間に位置する導電接合層とをさらに含んでもよい。
共通電源ラインは、互いに交差する第1共通電源ラインと第2共通電源ラインとを含んでもよい。第1パッド部と第2パッド部は基板の一方向に沿って交互に反復配置されてもよい。導電接合層は厚さ方向に導電性を示し、厚さ方向以外の他の方向に絶縁性を示してもよい。
【0012】
有機発光表示装置は、表示部外側に位置して共通電源ラインと連結した第1パッド部と、第1パッド部と第1導電部間に位置する導電接合層とをさらに含んでもよい。第2導電部は共通電極に密着してもよい。
有機発光表示装置は共通電極の下部に位置する複数のスペーサをさらに含んでもよく、共通電極はスペースに対応する突出部を形成してもよい。
【0013】
絶縁部材は複合部材の少なくとも3つの周縁外側に固定されて第1貫通ホールを形成してもよく、複合部材は第2貫通ホールを形成してもよい。
第1導電部は、絶縁部材の内面に形成された第1内部層と、第1貫通ホールに満たされた第1連結部と、絶縁部材の外面に形成された第1外部層とを含んでもよい。第2導電部は、複合部材の内面に形成された第2内部層と、第2貫通ホールに満たされた第2連結部と、複合部材の外面に形成された第2外部層とを含んでもよい。
【0014】
一方、絶縁部材は複合部材の全体周縁外側に固定されて第1貫通ホールと第2貫通ホールを形成してもよい。
第1導電部は、絶縁部材の内面に形成された第1内部層と、第1貫通ホールに満たされた第1連結部と、絶縁部材の外面に形成された第1外部層とを含んでもよい。第2導電部は、絶縁部材の内面と複合部材の内面に渡って形成された第2内部層と、第2貫通ホールに満たされた第2連結部と、絶縁部材の外面に形成された第2外部層とを含んでもよい。
【0015】
第2内部層は金属箔で製造されてもよく、複合部材に向かう一面に正極処理による酸化被膜を形成してもよい。絶縁部材はプラスチック射出成形物であってもよい。絶縁部材は負熱膨張フィラーを含んでもよい。
複合部材は絶縁部材と対向する側面に突起を形成してもよく、絶縁部材は突起を収容する溝を形成してもよい。一方、複合部材は絶縁部材と対向する側面に互いに距離をおいて複数の突出部を形成してもよく、絶縁部材は突出部を収容する凹部を形成してもよい。
絶縁部材は複合部材の外面を覆う絶縁板材をさらに含んでもよい。絶縁部材は接合層と基板の側面を覆って保護する保護部をさらに含んでもよい。
【発明の効果】
【0016】
有機発光表示装置は、表示部の密封機能を高め、大面積の表示部を実現しながら画面の輝度均一度を高め、部品数を減らして全体構造と製造工程を簡素化することができる。さらに、密封基板の複合部材に絶縁膜のような絶縁手段を備えなくても第1導電部と第2導電部を絶縁させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の第1実施形態に係る有機発光表示装置を概略化して示す断面図である。
【図2】図1に示す有機発光表示装置のうちで基板を示す平面図である。
【図3】図1に示す有機発光表示装置のうちで密封基板の内面を示す平面図である。
【図4】図1に示す有機発光表示装置のうちで密封基板の外面を示す平面図である。
【図5】本発明の第1実施形態に係る有機発光表示装置を部分拡大した断面図である。
【図6】本発明の第1実施形態に係る有機発光表示装置を部分拡大した断面図である。
【図7】本発明の第1実施形態に係る有機発光表示装置を部分拡大した断面図である。
【図8】図1に示す有機発光表示装置のうちで複合部材の一部を拡大して概略的に示す平面図である。
【図9】図8の変形例であって、図1に示す有機発光表示装置のうちで複合部材を示す分解斜視図である。
【図10】本発明の第2実施形態に係る有機発光表示装置を概略化して示す断面図である。
【図11】図10に示す有機発光表示装置のうちで密封基板の内面を示す平面図である。
【図12】図10に示す有機発光表示装置のうちで密封基板の外面を示す平面図である。
【図13】本発明の第3実施形態に係る有機発光表示装置を概略化して示す断面図である。
【図14】本発明の第4実施形態に係る有機発光表示装置を概略化して示す断面図である。
【図15】本発明の第5実施形態に係る有機発光表示装置のうちで密封基板の外面を示す平面図である。
【図16】本発明の第6実施形態に係る有機発光表示装置を概略化して示す断面図である。
【図17】本発明の第7実施形態に係る有機発光表示装置を概略化して示す断面図である。
【図18】図17に示す有機発光表示装置の部分拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、添付の図面を参照しながら、本発明の実施形態について本発明が属する技術分野において通常の知識を有する者が容易に実施できるように詳しく説明する。本発明は多様に相違した形態で実現することができ、ここで説明する実施形態に限定されるものではない。
【0019】
本発明を明確に説明するために説明上で不必要な部分は省略し、明細書全体において同一または類似する構成要素については同じ図面符号を付与する。図面に表示された各構成の大きさおよび厚さは説明の便宜のために任意に示したものであるため、本発明は図に示す例に限定されるものではない。
【0020】
明細書全体において層、膜、領域、板などの部分が他の部分の「上に」あるとするとき、これは他の部分の「すぐ上に」ある場合だけではなく、その中間に他の部分がある場合も含む。
図1は、本発明の第1実施形態に係る有機発光表示装置を概略化して示す断面図である。
【0021】
図1を参照すれば、第1実施形態の有機発光表示装置100は、基板10と、基板10に形成された表示部40と、表示部40を囲む接合層31、32によって基板10に固定された密封基板20とを含む。基板10は、表示部40が位置する表示領域A10と表示領域A10の外側の非表示領域とを含む。非表示領域は、配線およびシーリング領域A20とパッド領域A30とに区分されてもよい。
【0022】
表示部40は複数の画素を含み、各画素ごとに有機発光素子と駆動回路部が形成される。有機発光素子は画素電極と有機発光層および共通電極42を含む。駆動回路部はスイッチング薄膜トランジスタと駆動薄膜トランジスタを含む少なくとも2つの薄膜トランジスタと少なくとも1つのキャパシタで構成される。
【0023】
また、各画素ごとにゲートラインとデータラインおよび共通電源ライン41が位置する。ゲートラインはスキャン信号を伝達し、データラインはデータ信号を伝達する。共通電源ライン41は駆動薄膜トランジスタに共通電圧を印加する。共通電源ライン41はデータラインと並んで形成されたり、データラインと並んだ第1共通電源ラインおよびゲートラインと並んだ第2共通電源ラインで構成されてもよい。
【0024】
表示部40の細部構造については後述して説明することにし、図1では共通電源ライン41と共通電極42が形成された表示部40を概略化して示した。
接合層31、32は、表示部40を囲む第1接合層31と、第1接合層31の外側に位置する第2接合層32とを含む。また、第1接合層31と第2接合層32の間に導電接合層33が位置する。第1接合層31と第2接合層32は導電物質を含まずに熱硬化性樹脂、例えばエポキシ樹脂を含んでもよい。また、第1接合層31の内側で基板10と密封基板20の間に図には示されていない吸湿充填材が位置する。
【0025】
上述した有機発光表示装置100において、共通電源ライン41と共通電極42は、パッド領域A30に付着される可撓性印刷回路(図示せず)と連結しない。その代わりに、共通電源ライン41は密封基板20に形成された第1導電部110と連結してこれから第1電気信号の印加を受け、共通電極42は密封基板20に形成された第2導電部120と連結してこれから第2電気信号の印加を受ける。
【0026】
したがって、有機発光表示装置100は、基板10の上下左右の4つの周縁にパッド領域A30を形成しなくても、共通電源ライン41と共通電極42に該当する電気信号を均一に印加することができる。その結果、大面積の表示部40製作に伴う輝度不均一を防ぐと共に、有機発光表示装置100の全体構造と製造工程を簡素化することができる。
【0027】
図2は、図1に示す有機発光表示装置のうちで基板を示す平面図である。
図1と図2を参照すれば、基板10は一対の長辺と一対の短辺を有する長方形からなり、表示領域A10の4つの周縁の外側に配線およびシーリング領域A20が位置する。配線およびシーリング領域A20には上述した第1接合層31と導電接合層33および第2接合層32が位置する。
【0028】
また、配線およびシーリング領域A20の外側に基板10のいずれか1つの周縁にパッド領域A30が位置する。図2では基板10の下側長辺にパッド領域A30が位置するものとして示したが、パッド領域A30の位置は図に示す例に限定されるものではない。
配線およびシーリング領域A20には、表示部40の共通電源ライン41と電気的に連結した第1パッド部35と、表示部40の共通電極42と電気的に連結した第2パッド部36とが位置する。第1パッド部35と第2パッド部36は4ヶ所の配線およびシーリング領域A20すべてに形成され、基板10の横方向(図面のx軸方向)および縦方向(図面のy軸方向)に沿って第1パッド部35と第2パッド部36が交互に反復配置される。
【0029】
図2では、第1パッド部35と第2パッド部36を区分するために、第2パッド部36をドットパターンで示した。複数の第1パッド部35のうち、基板10の長辺に位置する第1パッド部35は第1共通電源ラインと電気的に連結し、基板10の短辺に位置する第1パッド部35は第2共通電源ラインと電気的に連結する。図2に示す第1パッド部35と第2パッド部36は概略化されたものであり、これらの位置と個数などは図に示す例に限定されるものではない。
【0030】
第1パッド部35と第2パッド部36は、配線およびシーリング領域A20のうちで導電接合層33に対応する位置に形成される。このとき、導電接合層33は厚さ方向(図面のz軸方向)にのみ導電性を示し、他の方向には導電性を示さない。したがって、1つの導電接合層33が第1パッド部35および第2パッド部36すべてと接しても、第1パッド部35と第2パッド部36は互いに短絡しない。
【0031】
一方、すべての方向に導電性を有する導電接合層33を用いてもよい。この場合、導電接合層33は、第1パッド部に対応して位置する第1導電接合層(図示せず)と、第2パッド部に対応する第2導電接合層(図示せず)とに分けて形成される。このとき、第1導電接合層と第2導電接合層は互いに短絡しないように所定の距離をおいて位置する。
【0032】
図3と図4はそれぞれ、図1に示す有機発光表示装置のうちで密封基板の内面と外面を示す平面図である。
図1〜図4を参照すれば、密封基板20は、基板10の表示領域A10と4ケ所の配線およびシーリング領域A20を覆う大きさで形成される。したがって、基板10のパッド領域A30は密封基板20と重ならずに外部に露出する。
【0033】
密封基板20は、共通電源ライン41の第1電気信号印加のための第1貫通ホール21および共通電極42の第2電気信号印加のための第2貫通ホール22を形成する。また、密封基板20の内面と第1貫通ホール21および密封基板20の外面に渡って第1導電部110が形成され、密封基板20の内面と第2貫通ホール22および密封基板20の外面に渡って第2導電部120が形成される。
【0034】
密封基板20は、樹脂マトリックスと複数の炭素繊維を含む複合部材23と、複合部材23の外側に固定された絶縁部材24とからなる。第1貫通ホール21と第1導電部110は絶縁部材24に形成され、第2貫通ホール22と第2導電部120は複合部材23に形成される。
【0035】
複合部材23は表示部40全体と対向して第1接合層31と接するように形成される。絶縁部材24は複合部材23の少なくとも3つの周縁外側に固定され、配線およびシーリング領域A20の一部と対向する。絶縁部材24は複合部材23と同じ厚さで形成されてもよく、プラスチックを用いた射出整形によって製造されてもよい。
【0036】
図3と図4では、絶縁部材24が複合部材23のいずれか1つの長辺側周縁の一部を除いた残りの周縁全体と接する場合を例示して示した。しかしながら、絶縁部材24の形状は図に示す例に限定されるものではなく、多様な変形が可能である。
【0037】
有機発光表示装置100の基板10は、その上に駆動回路部と有機発光素子を形成するための熱処理工程を数十回に渡って行うため、熱膨張係数が小さいガラスまたは高分子樹脂を用いる。複合部材23は炭素繊維の含有量と樹脂マトリックスの含有量を調節し、基板10の熱膨張係数とほぼ類似する熱膨張係数を有してもよい。
【0038】
したがって、第1および第2接合層31、32および導電接合層33を高温で硬化させて基板10と密封基板20を合着するとき、両基板10、20の熱膨張係数の差による反り問題が発生せず、合着後の環境信頼性テストにおいてベンディング問題も発生しない。
【0039】
一方、複合部材23は炭素繊維によって導電性を有する。密封基板20が複合部材23でのみ構成され、複合部材23の表面に第1導電部110と第2導電部120が直接形成される場合を仮定すれば、複合部材23によって第1導電部110と第2導電部120が短絡する。したがって、複合部材23上に第1導電部110と第2導電部120を形成する前に、複合部材23の表面と第1および第2貫通ホール21、22の側壁に絶縁膜を形成するなどの別途の絶縁措置が必要となる。
【0040】
しかしながら、第1実施形態の有機発光表示装置100では、密封基板20が複合部材23と絶縁部材24とに区分され、絶縁部材24に第1貫通ホール21と第1導電部110が形成されることにより、絶縁膜のような別途の絶縁手段を備えなくても第1導電部110と第2導電部120を絶縁させることができる。複合部材23の細部構造および構成物質については後述して説明する。
【0041】
第1導電部110は、絶縁部材24の内面に形成された第1内部層111と、第1内部層111と接して第1貫通ホール21に満たされた第1連結部112と、第1連結部112と接して絶縁部材24の外面に形成された第1外部層113とを含む。
第2導電部120は、複合部材23の内面に形成された第2内部層121と、第2内部層121と接して第2貫通ホール22に満たされた第2連結部122と、第2連結部122と接して複合部材23の外面に形成された第2外部層123とを含む。
【0042】
第2導電部120は複合部材23のすぐ上に形成されるため複合部材23と第2導電部120は互いに導電するが、絶縁部材24が複合部材23と絶縁を維持するため、絶縁部材24上に形成された第1導電部110は第2導電部120と短絡しない。第1貫通ホール21と第2貫通ホール22は基板10の配線およびシーリング領域A20と対向する位置に形成されてもよい。
【0043】
第2内部層121は表示部40全体をカバーして第1接合層31と接する大きさで形成される。第2内部層121は抵抗が低いながらも水分と酸素遮断効果が優れた金属膜、例えばアルミニウム膜、アルミニウム合金膜、銅膜、または銅合金膜で形成されてもよい。また、第2内部層121は、アルミニウムまたは銅を含む金属箔(foil)で形成されてもよい。
【0044】
第2内部層121は、第1接合層31に密着して第1接合層31内側の表示部40を完全に覆って保護し、表示部40に向かう外部の水分と酸素浸透を遮断する。外部の水分と酸素は緻密な構造を有する複合部材23によって一次遮断され、第2内部層121によって2次遮断される。したがって、第2内部層121が形成された複合部材23は、ガラス基板と同じ程度の高い機密性を確保することができる。
【0045】
第2内部層121は第2連結部122と接するように複合部材23の周縁に向かって第1延長部124を形成し、基板10の第2パッド部36と対向するように絶縁部材24の内面に複数の第2延長部125を形成して導電接合層33と接するようにする。これにより、基板10の第2パッド部36は、導電接合層33および第2延長部125を経て第2内部層121と電気的に連結する。
【0046】
第1内部層111は、第2内部層121の第2延長部125の間で導電接合層33と接するように形成される。第1内部層111は複数に分かれて形成され、導電接合層33を間において第1パッド部35と重なる。したがって、基板10の第1パッド部35は導電接合層33を経て第1内部層111と電気的に連結する。第1内部層111は第2内部層121と同じ物質で形成されてもよい。
【0047】
第1外部層113は絶縁部材24の外面で複数の第1内部層111すべてと重なるように形成され、第2外部層123は第2貫通ホール22が形成された複合部材23の長辺側周縁に形成される。第1外部層113は絶縁部材24の周縁全体に形成されてもよい。
【0048】
第1外部層113と第2外部層123に、図に示されていない外部接続端子が付着される。したがって、第1外部層113は外部接続端子から共通電源ライン41の第1電気信号の印加を受けてこれを第1内部層111に伝達し、第2外部層123は外部接続端子から共通電極42の第2電気信号の印加を受けてこれを第2内部層121に伝達する。
【0049】
このとき、第1外部層113は第1内部層111よりも幅と厚さのうちの少なくとも1つがより大きく形成され、第2外部層123は第2内部層121よりも大きい厚さで形成されてもよい。すべての場合において、第1内部層111と第2内部層121は同じ厚さで形成され、第1外部層113と第2外部層123は同じ厚さで形成され、基板10と密封基板20の合着工程において段差が発生しないようにする。上述した構造は、電流容量が大きい大型有機発光表示装置に有効に適用される。
【0050】
図5〜図7は、本発明の第1実施形態に係る有機発光表示装置の部分拡大を示す断面図である。図5では第1共通電源ラインと第1パッド部を詳細に示し、図6では第2共通電源ラインと第1パッド部を詳細に示した。また、図7では共通電極と第2パッド部を詳細に示した。
【0051】
図5〜図7を参照すれば、上述したように、表示部40には各画素ごとに有機発光素子43と駆動回路部が形成される。駆動回路部は少なくとも2つの薄膜トランジスタと少なくとも1つのキャパシタから構成される。図5〜図7では、1つの薄膜トランジスタ50と1つの有機発光素子43が表示部40に位置するものとして概略化して示した。
【0052】
薄膜トランジスタ50は、半導体層51、ゲート電極52、ソース電極53、およびドレイン電極54とを含む。半導体層51は多結晶シリコン膜で形成され、チャネル領域511とソース領域512およびドレイン領域513を含む。チャネル領域511は不純物がドーピングされない真性半導体であり、ソース領域512とドレイン領域513は不純物がドーピングされた不純物半導体である。
【0053】
ゲート電極52はゲート絶縁膜11を間において半導体層51のチャネル領域511上に位置する。ソース電極53とドレイン電極54は層間絶縁膜12を間においてゲート電極52上に位置し、層間絶縁膜12に形成されたコンタクトホールを介してソース領域512およびドレイン領域513にそれぞれ連結する。ソース電極53とドレイン電極54上に平坦化膜13が形成され、平坦化膜13上に画素電極44が位置する。画素電極44は平坦化膜13のコンタクトホールを介してドレイン電極54と連結する。
【0054】
画素電極44と平坦化膜13の上に画素定義膜14が位置する。画素定義膜14は各画素ごとに第1開口部141を形成して画素電極44の一部を露出させる。露出した画素電極44上に有機発光層45が形成され、有機発光層45と画素定義膜14を覆うように表示部40全体に共通電極42が形成される。画素電極44と有機発光層45および共通電極42が有機発光素子43を構成する。
【0055】
画素電極44は正孔注入電極であってもよく、共通電極42は電子注入電極であってもよい。この場合、有機発光層45は、画素電極44から順に積層された正孔注入層、正孔輸送層、発光層、電子輸送層、および電子注入層からなる。画素電極44と共通電極42から有機発光層45に正孔と電子が注入され、注入された正孔と電子が結合したエキシトン(exciton)が励起状態から基底状態に落ちるときに発光が起こる。
【0056】
画素電極44は透過型導電膜で形成され、共通電極42は反射型導電膜で形成される。有機発光層45から放出した光は共通電極42によって反射し、基板10を経て外部に放出する。このような発光構造を背面発光型という。画素電極44はITO/銀(Ag)/ITOの三重膜で形成されてもよく、共通電極42は銀(Ag)、アルミニウム(Al)、銀合金、およびアルミニウム合金のうちのいずれか1つを含んでもよい。
【0057】
第1共通電源ライン411と第2共通電源ライン412は、ゲート電極52およびソース/ドレイン電極53、54のうちのいずれか1つの電極と同じ層に形成されてもよい。図5では第1共通電源ライン411がソース/ドレイン電極53、54と同じ層でこれと同じ物質で形成された場合を示し、図6では第2共通電源ライン412がゲート電極52と同じ層でこれと同じ物質で形成された場合を示した。
【0058】
図5と図6を参照すれば、第1共通電源ライン411と第2共通電源ライン412の端部は表示部40の外側の配線およびシーリング領域A20に延長する。また、表示部40に形成された4つの絶縁膜のうちの少なくとも1つの絶縁膜が配線およびシーリング領域A20に延長してもよい。第1共通電源ライン411の端部は平坦化膜13で覆われてもよく、第2共通電源ライン412の端部は層間絶縁膜12と平坦化膜13で覆われてもよい。
【0059】
平坦化膜13は第2開口部131を形成して第1共通電源ライン411の端部を露出させ、第1パッド導電膜151が平坦化膜13上に形成されて第2開口部131を介して第1共通電源ライン411と電気的に連結する。基板10の長辺に位置する第1パッド部35は第1パッド導電膜151で定義してもよい。
【0060】
層間絶縁膜12と平坦化膜13は第3開口部16を形成して第2共通電源ライン412の端部を露出させ、第2パッド導電膜152が平坦化膜13上に形成されて第3開口部16を介して第2共通電源ライン412と電気的に連結する。基板10の短辺に位置する第1パッド部35は第2パッド導電膜152で定義してもよい。
【0061】
第1パッド導電膜151と第2パッド導電膜152は画素電極44と同じ層でこれと同じ物質で形成されてもよい。これにより、第1および第2パッド導電膜151、152形成のための別途のパターニング過程を省略することができるため、製造段階を簡素化することができる。
図7を参照すれば、共通電極42は第1接合層31の内側に位置し、第2パッド部36が第1接合層31の内側と外側に渡って形成されて共通電極42と導電接合層33を導電させる。
【0062】
第2パッド部36は、第3パッド導電膜153、第4パッド導電膜154、および第5パッド導電膜155を含む。第3パッド導電膜153は第1接合層31の内側に位置し、共通電極42と接触する。第4パッド導電膜154は平坦化膜13の第4開口部132を介して第3パッド導電膜153に連結し、第1接合層31の内側と外側に渡って位置する。第5パッド導電膜155は導電接合層33と平坦化膜13の間に位置し、平坦化膜13の第5開口部133を介して第4パッド導電膜154と連結する。
【0063】
第3パッド導電膜153と第5パッド導電膜155は画素電極44と同じ層で画素電極44と同じ物質で形成してもよい。また、第4パッド導電膜154はゲート電極52およびソース/ドレイン電極53、54のうちのいずれか1つの電極と同じ層でこれと同じ物質で形成されてもよい。したがって、第2パッド部36形成のための別途のパターニング過程を省略することができるため、製造段階を簡素化することができる。
【0064】
図7では、第4パッド導電膜154がソース/ドレイン電極53、54と同じ層に形成されたことを例示して図に示した。第2パッド部36の詳細構造は図に示す例に限定されるものではなく、表示部40の共通電極42と配線およびシーリング領域A20の導電接合層33を導電させることができる構成であればすべて適用が可能である。
【0065】
上述した有機発光表示装置100において、基板10は透明ガラスまたは透明プラスチックで製造されてもよい。透明プラスチック素材の基板10は、ポリエーテルスルホン、ポリアクリレート、ポリエーテルイミド、ポリエチレンナフタレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリフェニレンサルファイド、ポリアリレート、ポリイミド、ポリカーボネート、セルローストリアセテート、およびセルロースアセテートプロピオネートのうちのいずれか1つを含んでもよい。
【0066】
基板10上に複数の画素を形成するための多数の工程が進められ、このような工程の間に熱が加わるため、基板10は熱によって膨張する。基板10の膨張は有機発光表示装置100の耐久性および表示部40の精密度を減少させるため、基板10の素材を選定するときには低い熱膨張係数を有する素材を選択する。上述したガラスまたはプラスチックで製造された基板10は大略3×10−6/K〜4×10−6/Kの熱膨張係数を有する。
【0067】
図8は、図1に示す有機発光表示装置のうちで複合部材の一部を拡大して概略的に示す平面図である。
図8を参照すれば、複合部材23は、樹脂マトリックス25と複数の炭素繊維26を含む炭素複合材料で製造される。複合部材23は樹脂マトリックス25に複数の炭素繊維26を含沈した構成からなってもよい。
【0068】
炭素繊維26は基板10よりも低い熱膨張係数を有する。特に、炭素繊維26の長さ方向への熱膨張係数はマイナス(−)値を有する。この反面、樹脂マトリックス25は基板10よりも高い熱膨張係数を有する。したがって、炭素繊維26の量と樹脂マトリックス25の量を調節して複合部材23の熱膨張係数を調節してもよい。
【0069】
すなわち、炭素繊維26と樹脂マトリックス25を混合して複合部材23を製造するとき、樹脂マトリックス25と炭素繊維26の比率を調節し、複合部材23の熱膨張係数が基板10の熱膨張係数と同じであるか類似するようにこれを制御してもよい。
【0070】
炭素繊維26は水分を吸収しないため、複合部材23の水分浸透防止能力を高める。また、炭素繊維26を含む複合部材23は機械的物性が優れているため、小さい厚さでも大きい機械的剛性を実現することができる。したがって、有機発光表示装置100の全体厚さを減らすことができる。また、複合部材23は、第1内部層111と第2内部層121の熱膨張を抑制する役割を行う。
【0071】
複数の炭素繊維26は互いに交差するように配置され、例えば横糸と縦糸を互いに組み合わせて製織された形態を有してもよい。図8では炭素繊維26が直交する場合を示したが、本発明は図に示す例に限定されるものではなく、炭素繊維26は直角以外の他の角度で交差してもよい。上述した構成によって全体領域において均一かつ低い熱膨張係数を有する複合部材23を形成することができ、複合部材23の耐久性を高めることができる。
【0072】
図9は図8の変形例であって、図1に示す有機発光表示装置のうちで複合部材を示す分解斜視図である。
図9を参照すれば、複合部材230は複数の層で構成される。例えば、複合部材230は第1層L10、第2層L20、第3層L30、および第4層L40の積層構造からなされてもよい。各層L10、L20、L30、L40は樹脂マトリックス25と複数の炭素繊維261、262、263、264とを含む。
【0073】
第1層L10と第4層L40の炭素繊維261、264は第1方向に沿って配列されてもよく、第2層L20と第3層L30の炭素繊維262、263は第2方向に沿って配列されてもよい。第1方向と第2方向は直交したり直交しなくてもよい。図9では第1方向と第2方向が直交することを例示して図に示した。複数の炭素繊維261、262、263、264を上述したように配置する場合、複合部材230のずれを抑制して複合部材230の平坦度を高めることができる。
【0074】
複合部材230の熱膨張係数を調節するために、第1層L10と第4層L40に備えられた炭素繊維261、264の配列方向と第2層L20と第3層L30に備えられた炭素繊維262、263の配列方向がなす角を多様に設定してもよい。もちろん、各層L10、L20、L30、L40に含まれている樹脂マトリックス25と炭素繊維261、262、263、264の量を調節して各層L10、L20、L30、L40の熱膨張係数を容易に調節してもよい。
【0075】
第1実施形態の有機発光表示装置100は、密封基板20に第1導電部110と第2導電部120を形成して共通電源ライン41と共通電極42に該当する電気信号を印加する。このとき、密封基板20が複合部材23でのみ形成されずに複合部材23と絶縁部材24の結合構造からなることにより、第1導電部110と第2導電部120を絶縁させるための絶縁膜形成工程を省略することができる。
【0076】
また、複合部材23は固い炭素繊維26を含むためホール加工が容易ではないが、第2貫通ホール22よりも個数がさらに多い第1貫通ホール21を絶縁部材24に形成するため、密封基板20の製造を容易にすることができる。すなわち、プラスチックを射出成形して絶縁部材24を形成するときにホールを共に形成してもよく、絶縁部材24にホールを後で形成する場合にも絶縁部材24のホール加工は極めて容易である。
【0077】
図10は、本発明の第2実施形態に係る有機発光表示装置を概略化して示す断面図であり、図11と図12はそれぞれ、図10に示す有機発光表示装置のうちで密封基板の内面と外面を示す平面図である。
図10〜図12を参照すれば、第2実施形態の有機発光表示装置200は、絶縁部材241が複合部材231の側面全体を囲むように固定されて第1貫通ホール21と第2貫通ホール22が絶縁部材241に形成される構造を除いては、上述した第1実施形態と類似する構成からなる。第1実施形態と同じ部材については同じ図面符号を用いる。
【0078】
第2導電部120の第2内部層121は、第2貫通ホール22に満たされた第2連結部122と接するために絶縁部材241の内面に延長した第1延長部124を含む。また、第2内部層121は、基板10に形成された第2パッド部36と重なるために絶縁部材241の内面に延長した複数の第2延長部125を含む。第2外部層123は絶縁部材241の外面に位置する。
【0079】
第1および第2延長部124、125が複合部材231と絶縁部材241に渡って形成されるが、第1および第2延長部124、125は絶縁部材241上で第1内部層111と間隔を維持するため、第1導電部110と短絡しない。
【0080】
一方、第2内部層121が金属箔で製造される場合、複合部材231を向く第2内部層121の一面に正極処理(anodizing)による酸化被膜を形成した後、第2内部層121を複合部材231に固定させてもよい。この場合、酸化被膜が絶縁体の機能をするため、第2内部層121は複合部材231と絶縁され、酸化被膜の粗度によって複合部材231により堅固に接合されることができる。
【0081】
図13は、本発明の第3実施形態に係る有機発光表示装置を概略化して示す断面図である。
図13を参照すれば、第3実施形態の有機発光表示装置300は、複合部材232の側面と絶縁部材242の側面に突起−溝結合構造を形成したことを除いては、上述した第1実施形態または第2実施形態の有機発光表示装置と類似した構成からなる。図14では第2実施形態の構造に突起−溝結合構造を形成した場合を示し、第2実施形態と同じ部材については同じ図面符号を用いる。
【0082】
複合部材232の側面には絶縁部材242に向かって突出したブイ(v)字状の突起271が形成され、これと対向する絶縁部材242の内側面には突起271を収容する溝272が形成される。突起271は複合部材232の周縁を研磨または切断する方法によって形成されてもよい。突起271と溝272の形状は図に示す例に限定されるものではなく、突起−溝結合をなすことができる構成であればすべて適用が可能である。
【0083】
密封基板20は、樹脂マトリックス25と炭素繊維26を含む複合部材232をホットプレス(hot press)などの方法によって製作した後、これを射出金型に入れ、射出金型内部に複合部材232の枠部分に樹脂を注入して絶縁部材242を射出整形する2段階方式によって製造してもよい。一方、密封基板20は、複合部材232を射出金型の上部金型を用いて圧搾し、射出金型内部に複合部材232の枠部分に樹脂を注入して絶縁部材242を射出整形する1段階方式によって製造してもよい。
【0084】
上述した2種類の方法すべてにおいて、複合部材232と絶縁部材242の突起271−溝272結合構造は、絶縁部材242が複合部材232により効果的に接合されるようにし、複合部材232と絶縁部材242の結合力を高める役割を行う。したがって、密封基板20製造後の複合部材232と絶縁部材242は簡単に分離しない。
図14は、本発明の第4実施形態に係る有機発光表示装置を概略化して示す断面図である。
【0085】
図14を参照すれば、第4実施形態の有機発光表示装置400は、複合部材233の外面を覆う絶縁板材28をさらに形成した構造を除いては、上述した第1実施形態〜第3実施形態のうちのいずれか1つの実施形態の有機発光表示装置と類似した構成からなる。図14では第3実施形態の構造に絶縁板材28を追加したものを示し、第3実施形態と同じ部材については同じ図面符号を用いる。
【0086】
絶縁板材28は射出整形によって絶縁部材243を製作するとき、絶縁部材243と一体に形成されてもよい。絶縁板材28は複合部材233の外面全体に密着して絶縁部材243と複合部材233の結合力を高め、複合部材233の外面を絶縁させる役割を行う。このとき、絶縁板材28は、密封基板20の全体的な熱膨張係数を引き上げないように薄い厚さで形成される。例えば、絶縁板材28の厚さは、複合部材233厚さの20%〜30%以下で設定してもよい。
【0087】
図15は、本発明の第5実施形態に係る有機発光表示装置のうちで密封基板の外面を示す平面図である。
図15を参照すれば、第5実施形態の有機発光表示装置500は、複合部材234の側面と絶縁部材244の内側面に複合部材234の周縁に沿って鋸歯形状の突出部273と凹部274が形成されたことを除いては、上述した第1実施形態〜第4実施形態のうちのいずれか1つの実施形態の有機発光表示装置と類似した構成からなる。
【0088】
図15では第2実施形態の密封基板構造に突出部273と凹部274が形成されたことを例示して示し、第1導電部110と第2導電部120の図示は省略した。第2実施形態と同じ部材については同じ図面符号を用いる。
【0089】
複合部材234の側面には、複合部材234の周縁に沿って互いに距離をおいて複数の突出部273が形成される。また、これと対向する絶縁部材244の内側面には、突出部273を収容する複数の凹部274が形成される。突出部273と凹部274の形状は図に示す例に限定されるものではなく、突出部−凹部結合をなすことができる構成であればすべて適用が可能である。
【0090】
突出部273と凹部274は、複合部材234と絶縁部材244の接合面積を拡大させて複合部材234と絶縁部材244の結合力を高める機能を行う。したがって、密封基板20製造後の複合部材234と絶縁部材244は簡単に分離しない。
図16は、本発明の第6実施形態に係る有機発光表示装置を概略化して示す断面図である。
【0091】
図16を参照すれば、第6実施形態の有機発光表示装置600は、第2接合層32と基板10の側面を覆って保護する保護部29をさらに形成した構造を除いては、上述した第1実施形態〜第5実施形態のうちのいずれか1つの実施形態の有機発光表示装置と類似した構成からなる。図16では第2実施形態の構造に保護部29を形成したものを示し、第2実施形態と同じ部材については同じ図面符号を用いる。
【0092】
保護部29は絶縁部材245と一体に形成され、絶縁部材245と垂直に位置する。保護部29はパッド領域A30と対向しない絶縁部材245の3つの周縁に形成されてもよい。保護部29は壊れやすいガラス素材の基板10を保護し、複合部材235のベンディング強度を向上させる機能を行う。このような保護部29は、射出整形によって絶縁部材245を製作するときに絶縁部材245と共に製作してもよい。
【0093】
上述した第1実施形態〜第6実施形態の有機発光表示装置100〜600において、絶縁部材24、241、242、243、244、245は負熱膨張(negative thermal expansion)フィラーを含むプラスチックで製造されてもよい。
通常のプラスチックは、炭素繊維26を含む複合部材23に比べて大きい熱膨張係数を有する。通常のプラスチックで絶縁部材24を製造すれば、有機発光表示装置の周囲温度の変化が大きい場合に一体に結合した複合部材23と絶縁部材24の間に応力が発生し、変形または分離が起こることがある。
【0094】
したがって、絶縁部材24、241、242、243、244、245は負熱膨張フィラーが含沈したプラスチックで製造され、複合部材23との熱膨張係数の差を減らすことができる。負熱膨張フィラーはタングステンジルコニウム(ZrW)、AM(ここで、AはZrまたはHfであり、MはMoまたはWである)、ZrV、およびA(MO(ここで、AはZrまたはHfであり、MはMoまたはWである)のうちの少なくとも1つを含んでもよい。
【0095】
図17は、本発明の第7実施形態に係る有機発光表示装置を概略化して示す断面図であり、図18は、図17に示す有機発光表示装置の部分拡大図である。
図17と図18を参照すれば、第7実施形態の有機発光表示装置700は、第2パッド部が省略されることと共に密封基板20に形成された第2内部層121が共通電極420と接触する構成を除いては、上述した第1実施形態〜第6実施形態のうちのいずれか1つの実施形態の有機発光表示装置と類似した構成からなる。図17では第1実施形態の構造を基本構成で示し、第1実施形態と同じ部材については同じ図面符号を用いる。
【0096】
表示部40において、共通電極420は凹凸構造、すなわち複数の突出部421を形成し、突出部421が密封基板20に形成された第2内部層121に密着する。したがって、共通電極420は導電接合層33を経ずに第2導電部120と直接連結し、これから第2電気信号の印加を受ける。
【0097】
共通電極420の凹凸構造はスペーサ17によって実現されてもよい。例えば、画素定義膜14上に複数のスペーサ17が形成され、共通電極420が複数のスペーサ17を覆いながら表示部40全体に形成されてもよい。共通電極420は基板10と密封基板20を加圧条件で合着するとき、第2内部層121に密着して第2導電部120と電気的に連結する。
【0098】
第7実施形態の有機発光表示装置700において、基板10の配線およびシーリング領域A20には共通電源ライン41の第1電気信号印加のための第1パッド部35のみが位置する。また、密封基板20に形成された第2内部層121は、第1実施形態において、第2パッド部36に向かって延長した複数の第2延長部を備えない。
【0099】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、特許請求の範囲と発明の詳細な説明および添付した図面の範囲内で多様に変形して実施することが可能であり、これも本発明の範囲に属することは当然である。
【符号の説明】
【0100】
100:有機発光表示装置
10:基板
20:密封基板
21:第1貫通ホール
22:第2貫通ホール
23:複合部材
24:絶縁部材
31:第1接合層
32:第2接合層
33:導電接合層
40:表示部
41:共通電源ライン
42:共通電極
50:薄膜トランジスタ
110:第1導電部
120:第2導電部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板;
前記基板上に形成された表示部;
前記表示部を囲む接合層によって前記基板に固定されて樹脂マトリックスと複数の炭素繊維を含む複合部材および前記複合部材に結合して貫通ホールを形成する絶縁部材を備えた密封基板;
前記基板に向かう前記密封基板の一面に位置する金属膜;および
前記貫通ホールを満たして前記金属膜と接する導電性の連結部;
を含む、表示装置。
【請求項2】
前記複数の炭素繊維は前記樹脂マトリックス内部で互いに交差する、請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記複合部材は複数の層で構成され、
前記複数の層それぞれは樹脂マトリックスと複数の炭素繊維を含み、
前記複数の層のうちの少なくとも一層に配置された複数の炭素繊維と前記複数の層のうちの少なくとも他の一層に配置された複数の炭素繊維は互いに交差する、請求項1に記載の表示装置。
【請求項4】
前記絶縁部材は前記複合部材の少なくとも3つの周縁外側に固定されて複数の第1貫通ホールを形成し、
前記複合部材は複数の第2貫通ホールを形成する、請求項1に記載の表示装置。
【請求項5】
前記第1貫通ホールを介して前記絶縁部材の内面と外面に渡って形成されて第1電気信号の印加を受ける第1導電部;および
前記第2貫通ホールを介して前記複合部材の内面と外面に渡って形成されて第2電気信号の印加を受ける第2導電部;
をさらに含む、請求項4に記載の表示装置。
【請求項6】
前記絶縁部材は前記複合部材の全体周縁外側に固定されて複数の第1貫通ホールと複数の第2貫通ホールを形成する、請求項1に記載の表示装置。
【請求項7】
前記第1貫通ホールを介して前記絶縁部材の内面と外面に渡って形成されて第1電気信号の印加を受ける第1導電部;および
前記第2貫通ホールを介して前記絶縁部材および前記複合部材の内面と前記絶縁部材の外面に渡って形成されて第2電気信号の印加を受ける第2導電部;
をさらに含む、請求項6に記載の表示装置。
【請求項8】
前記複合部材は前記絶縁部材と対向する側面に突起を形成し、
前記絶縁部材は前記突起を収容する溝を形成する、請求項4〜7のうちのいずれか一項に記載の表示装置。
【請求項9】
前記複合部材は前記絶縁部材と対向する側面に互いに距離をおいて複数の突出部を形成し、
前記絶縁部材は前記突出部を収容する凹部を形成する、請求項4〜7のうちのいずれか一項に記載の表示装置。
【請求項10】
前記絶縁部材は前記複合部材の外面を覆う絶縁板材をさらに含む、請求項4〜7のうちのいずれか一項に記載の表示装置。
【請求項11】
前記絶縁部材は前記接合層と前記基板の側面を覆って保護する保護部をさらに含む、請求項4〜7のうちのいずれか一項に記載の表示装置。
【請求項12】
前記絶縁部材はプラスチック射出成形物である、請求項1に記載の表示装置。
【請求項13】
前記絶縁部材は負熱膨張フィラーを含む、請求項12に記載の表示装置。
【請求項14】
前記金属膜はアルミニウム膜、アルミニウム合金膜、銅膜、および銅合金膜のうちのいずれか1つで形成される、請求項1に記載の表示装置。
【請求項15】
基板;
前記基板上に形成されて共通電源ラインと共通電極を含む表示部;
前記表示部を囲む接合層によって前記基板に固定されて第1貫通ホールと第2貫通ホールを形成する密封基板;
前記第1貫通ホールを介して前記密封基板の内面と外面に渡って形成されて前記共通電源ラインに第1電気信号を供給する第1導電部;および
前記第2貫通ホールを介して前記密封基板の内面と外面に渡って形成されて前記共通電極に第2電気信号を供給する第2導電部を含み、
前記密封基板は、
樹脂マトリックスと複数の炭素繊維を含む複合部材;および
前記複合部材に結合して前記第1貫通ホールと前記第2貫通ホールのうちの少なくとも1つの貫通ホールを形成する絶縁部材;
を含む、有機発光表示装置。
【請求項16】
前記表示部外側に位置し、前記共通電源ラインと連結した第1パッド部と前記共通電極と連結した第2パッド部を含むパッド部;および
前記第1パッド部と前記第1導電部の間および前記第2パッド部と前記第2導電部の間に位置する導電接合層をさらに含む、請求項15に記載の有機発光表示装置。
【請求項17】
前記共通電源ラインは互いに交差する第1共通電源ラインと第2共通電源ラインを含み、前記第1パッド部と前記第2パッド部は前記基板の一方向に沿って交互に反復配置される、請求項16に記載の有機発光表示装置。
【請求項18】
前記導電接合層は厚さ方向に導電性を示し、前記厚さ方向以外の他の方向に絶縁性を示す、請求項16に記載の有機発光表示装置。
【請求項19】
前記表示部外側に位置し、前記共通電源ラインと連結した第1パッド部および前記第1パッド部と前記第1導電部の間に位置する導電接合層をさらに含み、
前記第2導電部は前記共通電極に密着する、請求項15に記載の有機発光表示装置。
【請求項20】
前記共通電極の下部に位置する複数のスペーサをさらに含み、
前記共通電極は前記スペースに対応する突出部を形成する、請求項19に記載の有機発光表示装置。
【請求項21】
前記絶縁部材は前記複合部材の少なくとも3つの周縁外側に固定されて前記第1貫通ホールを形成し、
前記複合部材は前記第2貫通ホールを形成する、請求項15に記載の有機発光表示装置。
【請求項22】
前記第1導電部は、前記絶縁部材の内面に形成された第1内部層、前記第1貫通ホールに満たされた第1連結部、および前記絶縁部材の外面に形成された第1外部層を含み、
前記第2導電部は、前記複合部材の内面に形成された第2内部層、前記第2貫通ホールに満たされた第2連結部、および前記複合部材の外面に形成された第2外部層を含む、請求項21に記載の有機発光表示装置。
【請求項23】
前記絶縁部材は前記複合部材の全体周縁外側に固定されて前記第1貫通ホールと前記第2貫通ホールを形成する、請求項15に記載の有機発光表示装置。
【請求項24】
前記第1導電部は、前記絶縁部材の内面に形成された第1内部層、前記第1貫通ホールに満たされた第1連結部、および前記絶縁部材の外面に形成された第1外部層を含み、
前記第2導電部は、前記絶縁部材の内面と前記複合部材の内面に渡って形成された第2内部層、前記第2貫通ホールに満たされた第2連結部、および前記絶縁部材の外面に形成された第2外部層を含む、請求項23に記載の有機発光表示装置。
【請求項25】
前記第2内部層は金属箔で製造され、前記複合部材に向かう一面に正極処理による酸化被膜を形成する、請求項24に記載の有機発光表示装置。
【請求項26】
前記絶縁部材はプラスチック射出成形物である、請求項15〜25のうちのいずれか一項に記載の有機発光表示装置。
【請求項27】
前記絶縁部材は負熱膨張フィラーを含む、請求項26に記載の有機発光表示装置。
【請求項28】
前記複合部材は前記絶縁部材と対向する側面に突起を形成し、
前記絶縁部材は前記突起を収容する溝を形成する、請求項26に記載の有機発光表示装置。
【請求項29】
前記複合部材は前記絶縁部材と対向する側面に互いに距離をおいて複数の突出部を形成し、
前記絶縁部材は前記突出部を収容する凹部を形成する、請求項26に記載の有機発光表示装置。
【請求項30】
前記絶縁部材は前記複合部材の外面を覆う絶縁板材をさらに含む、請求項26に記載の有機発光表示装置。
【請求項31】
前記絶縁部材は前記接合層と前記基板の側面を覆って保護する保護部をさらに含む、請求項26に記載の有機発光表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2012−32753(P2012−32753A)
【公開日】平成24年2月16日(2012.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−249906(P2010−249906)
【出願日】平成22年11月8日(2010.11.8)
【出願人】(308040351)三星モバイルディスプレイ株式會社 (764)
【氏名又は名称原語表記】Samsung Mobile Display Co., Ltd.
【住所又は居所原語表記】San #24 Nongseo−Dong,Giheung−Gu,Yongin−City,Gyeonggi−Do 446−711 Republic of KOREA
【Fターム(参考)】