表示装置および表示システム
【課題】 表示の変更に電力を要するが表示の維持には電力を必要としないメモリ性の液晶表示素子を利用し、液晶表示素子の表示切り替え用電力を光発電器(太陽電池)で生成すると共に、太陽電池で生成した電気を蓄電池に蓄えておき、必要に応じて液晶表示素子の表示切り替えに利用するようにした情報表示装置を提供する。
【解決手段】 情報表示装置1は、メモリ性の液晶表示素子2と、光エネルギを電気エネルギに変換する光発電器26と、光発電器で生成した電気を蓄える蓄電池27と、表示情報受信器21と、表示情報受信器21で受信した表示情報に基づいて蓄電池27から液晶表示素子2に電気を供給し、液晶表示素子2の表示を変更する制御部24を有する。
【解決手段】 情報表示装置1は、メモリ性の液晶表示素子2と、光エネルギを電気エネルギに変換する光発電器26と、光発電器で生成した電気を蓄える蓄電池27と、表示情報受信器21と、表示情報受信器21で受信した表示情報に基づいて蓄電池27から液晶表示素子2に電気を供給し、液晶表示素子2の表示を変更する制御部24を有する。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、メモリ性を有する表示素子を備えた表示装置、また該表示装置を含む情報表示装置、さらに表示システムに関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】従来、液晶表示素子を利用した種々の情報表示装置が提供されている。しかし、一般に利用されている液晶表示素子は、表示内容を維持するために電力を必要とする。また、表示画面が大きくなるほど多くの電力を消費する。したがって、費用対効果を考慮した場合、液晶表示装置を広告等の表示装置として利用することは、経済性の点で問題があった。
【0003】
【課題を解決するための手段】そこで、本願発明の表示装置は、表示の維持には電力を必要としないメモリ性表示素子と、光エネルギを電気エネルギに変換する光発電器と、光発電器で生成した電力を蓄える蓄電装置と、上記蓄電装置から上記液晶表示素子に電力を供給し、上記表示素子の表示を変更する制御部とを備えたことを特徴とする。
【0004】本発明の他の形態の表示装置は、外部から情報を受信する情報受信器をさらに備えたことを特徴とする。
【0005】本発明の他の形態の表示装置は、上記情報受信器が無線で情報を受信するものであることを特徴とする。
【0006】本発明の他の形態の表示装置は、上記蓄電装置の出力を所定の電圧まで昇圧する昇圧回路をさらに備えたことを特徴とする。
【0007】本発明の他の形態の表示装置は、上記メモリ性表示素子が反射型液晶表示素子であることを特徴とする。
【0008】本発明の他の形態の表示装置は、上記メモリ性液晶表示素子が複数の液晶表示素子を積層したものであることを特徴とする。
【0009】本発明の他の形態の表示装置は、上記液晶表示素子と光発電器が乗り物の窓に取り付けられていることを特徴とする。
【0010】本発明の他の形態の表示装置は、スピーカを有することを特徴とする。
【0011】本発明の他の形態の表示装置は、上記液晶表示素子を照明する光源とを備えたことを特徴とする。
【0012】また、本発明の情報表示装置は、上記表示装置を備えていることを特徴とする。さらに、本発明の表示システムは、上記表示装置と、該表示装置に情報を送信するホスト装置とを含むことを特徴とする。
【0013】
【発明の実施の形態】A.液晶表示装置図1は、本発明係る液晶表示装置の回路ブロック図である。図示するように、液晶表示装置(情報表示装置)1は、液晶表示素子2を有する。液晶表示素子2は、図2に示すように、基板3と、この基板3上に配置された光吸収体4と、光吸収体4の上に積層された3つの色表示層5(赤色表示層5R、緑色表示層5G、青色表示層5B)とを有している。各色表示層5は、透明材料からなる上層基板6と下層基板7と、これら上層基板6と下層基板7とを接着支持するための樹脂構造物8と、樹脂構造物8によって形成された間隙に充填された液晶9を有する。なお、図示を省略しているが、上下基板の間には球状のスペーサも含まれている。また、上層基板6の下面には、複数(n個)の透明帯状走査電極(共通電極)10が所定の間隔をあけて平行に配置されている。他方、下層基板7の上面には、複数(m個)の透明帯信号電極(個別電極)11が所定の間隔をあけて平行に配置されている。図3に示すように、走査電極10と信号電極11の配列方向を直交しており、これら走査電極10と信号電極11とが対向する点(交点)が液晶表示素子2の画素を形成している。
【0014】液晶9として、メモリ性を有するコレステリック液晶が使用されている。コレステリック液晶は、プレーナ状態からフォーカルコニック状態へ、逆に、フォーカルコニック状態からプレーナ状態へと状態変化することができ、いずれの状態も外的なエネルギ(すなわち電力)の供給無しで維持できる。プレーナ状態の場合、コレステリック液晶の螺旋ピッチをP、液晶の平均屈折率をnとすると、液晶9は波長λ=P・nの光が選択的に反射する。他方、フォーカルコニック状態の場合、コレステリック液晶の選択反射波長が赤外領域にある場合には可視光を散乱し、上記選択反射波長が赤外領域よりも短波長の領域にある場合には可視光を透過する。そして、本実施形態では、3つの色表示層5に充填されたコレステリック液晶9は、プレーナ状態において対応する色の波長を選択的に反射し、フォーカルコニック状態において可視光を透過するように、調整されている。プレーナ状態とフォーカルコニック状態とが混在した中間状態をとることも可能であり、この中間状態により中間調の表示を行うことができる。したがって、各色表示層をプレーナ状態、フォーカルコニック状態、および中間状態にすることにより、フルカラー表示を行うことができる。これによって、フルカラーの写真画像の表示も可能である。なお、複数の液晶層が積層されていることにより、液晶表示素子の反射率を大きくすることができるという効果もある。
【0015】液晶9の状態変化(すなわち、プレーナ状態からフォーカルコニック状態へ、逆に、フォーカルコニック状態からプレーナ状態への状態変化)は、走査電極10と信号電極11との間に所定の電圧を印加することで行われる。例えば、ある部位にある液晶9をフォーカルコニック状態からプレーナ状態に切り替える場合、その部位に対応した走査電極10と信号電極11との間の電位差を、コレステリック相を示す液晶のねじれを解くために必要な第1の閾値電圧に設定し、所定時間後、第1の閾値電圧よりも低い第2の閾値電圧に下げる。逆に、ある部位にある液晶9をプレーナ状態からフォーカルコニック状態に切り替える場合、その部位に対応した走査電極10と信号電極11との間の電位差を、第2の閾値電圧よりも高く且つ第1の閾値電圧よりも低い電圧に所定時間維持する。
【0016】図1に戻って液晶表示装置1について再び説明すると、液晶表示素子2の走査電極10と信号電極11は、それぞれ走査電極駆動回路12と信号電極駆動回路13に接続されている。走査電極駆動回路12は、デコーダ14と、複数(m個)の走査電極10に対応した複数(m個)のスイッチング回路15を備えており、デコーダ14から出力された信号に基づいて各スイッチング回路15が駆動し、対応する走査電極10に所定の電圧が印加されるようにしてある。他方、信号電極駆動回路13は、ラインバッファ16と、複数(n個)のデジタル/アナログ変換器17と、複数(n個)の駆動バッファ18を備えており、ラインバッファ16から出力された信号に基づいて各デジタル/アナログ変換器17、駆動バッファ18が駆動さえ、対応する信号電極11に表示すべき画像データに対応した所定の電圧が印加されるようにしてある。
【0017】液晶表示装置1の表示情報伝達系20はまた、画像情報を受信する受信回路(受信器)21と、受信回路21で受信した画像情報をデータ変換するデータ変換回路22と、データ変換回路22で変換されたデータを記憶する画像メモリ23と、この変換されたデータに基づいてラインバッファ16とデコーダ14にそれぞれ信号を出力するコントロール回路24とを備えている。
【0018】受信回路21は無線受信装置が用いられ、例えば、公知のループアンテナ、ダイポールアンテナ、ダイバシティーアンテナ、スリーブアンテナ、グランドプレーンアンテナ、アンブレラアンテナ等のアンテナ、またはIRDA用赤外光受信機と、復調回路とで構成されている。なお、受信回路21の受信する受信情報は、表示すべき画像データなどの表示情報であってもよいし、受信情報は表示の更新などの指令とし、表示装置に内蔵された記憶媒体に予め記憶させておいた表示情報に基づいて画像を更新させるようにしてもよい。
【0019】これらの回路等を駆動するために必要な電力の供給は、電源25から供給される。電源25は、太陽電池(光発電器)26と、太陽電池26で生成された電力を蓄える蓄電池(蓄電装置)27と、蓄電池27の出力を必要な電圧まで昇圧する一次昇圧回路28と、一次昇圧された電圧を更に必要な電圧まで昇圧する二次昇圧回路29とで構成されている。
【0020】太陽電池26としては、市販の多結晶シリコン系太陽電池が好適に利用できる。ただし、太陽電池はこれに限るものでなく、単結晶シリコン系太陽電池、アモルファスシリコン系太陽電池、微結晶シリコン系太陽電池、ポリシリコン系太陽電池、多元素系太陽電池等も利用可能である。また、蓄電池27には、鉛蓄電池、アルカリ電池、ニッカド(Ni−Cd;ニッケルカドニウム)電池、ニッケル水素電池、リチウムイオン電池、ポリマー電解質電池、ポリアセン電池等が用いられる。蓄電装置としては蓄電池に限られず、従来公知の各種の蓄電装置を用いることができる。
【0021】一次及び二次昇圧回路28、29としては種々の昇圧回路(例えば、トランジスタ、オペアンプ、トランス、DC−DCコンバータ)が利用可能である。
【0022】このように構成した液晶表示装置1において、太陽電池26は光を受けて電気を生成し、その生成した電気を蓄電池27に出力する。蓄電池27に蓄えられた電気は、必要に応じて一次昇圧回路28に供給される。一次昇圧された電圧は画像メモリ23に供給され、画像メモリ23において画像情報が保持される。また、一次昇圧された電圧は二次昇圧回路29に供給され、二次昇圧回路29で所定の電圧に昇圧される。
【0023】他方、画像情報は送信器30から出力され、受信回路21で受信される。受信回路21は受信した画像情報をデータ変換回路22に出力する。データ変換回路22は、画像情報をデータ変換し、画像メモリ23に供給する。また、画像メモリ23から供給された変換データをコントロール回路24に供給する。
【0024】上述したように、本表示装置は光発電器によって外光から発電した電力を蓄電装置に蓄えるようにしており商用電源等に接続しなくてもよいので、受信回路として無線受信装置を用いることにより、ケーブルレスの表示装置となる。したがって、表示の設置の自由度が高くなり、ホスト装置に対して多数の表示装置を割当てることも容易となる。
【0025】コントロール回路24は、変換データをもとに一ライン分の表示データを作成し、その表示データに基づいてデコーダ14とラインバッファ16に信号を出力する。デコーダ14は受信信号に対応して必要なスイッチング回路15を駆動し、目的の走査電極10に所定の電圧を印加する。他方、ラインバッファ16は受信信号に対応して必要なデジタルーアナログ変換器17を駆動し、駆動バッファ18を介して、目的の信号電極11に所定の電圧を印加する。なお、スイッチング回路15、駆動バッファ18等は、コントロール回路24から出力される信号に基づいて、二次昇圧回路29から所定の駆動電圧が供給される。
【0026】このようにして、各画素に対応した部分の3つの色表示層5の液晶部分が、プレーナ状態からフォーカルコニック状態、またはフォーカルコニック状態からプレーナ状態に切り替えられ、目的のカラー画像が表示される。
【0027】状態が切り替えられた液晶は、その後、その状態を維持するために電力を必要としない。したがって、維持電力の供給が無くても、液晶表示素子2に表示された画像は長期に亘って(例えば、数年間)保持される。また、反射型表示であるので、バックライトがなくても太陽光などの外光や照明光があれば表示内容を視認することができ、省エネルギー化に極めて有利である。
【0028】なお、上述のように、液晶9をプレーナ状態からフォーカルコニック状態、又はその逆に状態変化するためには、所定の電圧をある程度の時間印加する必要がある。その必要から、本発明の液晶表示装置1では電源25に蓄電池27を設け、この蓄電池27に太陽電池26から供給される電気を蓄えているので、状態変化に必要な電力の供給は問題なく行える。
【0029】また、昇圧回路により電圧が昇圧されているので、書換えのためには比較的高電圧が必要とされるメモリ性液晶表示素子に対しても十分大きい電圧が印加することができ、良好に書換えを行うことができる。さらに、反射型の表示装置とすることにより、表示を視認できる環境下においては必ず照明光が存在していることになるので、表示を行いながら光発電器により発電を行うことができる。
【0030】太陽電池の充電エネルギと液晶表示素子の消費電力について検討した。太陽電池には、三洋ソーラーインダストリーズ(株)製の屋内用アモルファスシリコン太陽電池AM1815(外形寸法58.1×48.6mm)を用いた。この太陽電池は、動作能力3.0V、42μAの出力が可能で、一秒あたりの充電エネルギは0.126mJ/s(=3.0V×42μA)である。また、照度200ルクスの照明が8時間点灯している屋内環境に一週間(ただし、屋内照明の点灯は5日間だけとする)放置した場合(つまり、40時間照明した場合)、一週間あたりの充電エネルギは18144mJ(=0.126×3600×40)である。屋外の場合、平均日照を10000ルクス、照明時間を10時間とすると、一週間あたりの充電エネルギは1587600mJ(=0.126×(10000÷200)×3600×70)である。
【0031】一方、液晶表示素子は、画素数2100×1480ドット(A4サイズ、180dpi相当)とした。液晶表示素子の全画素の表示を切り替える場合、液晶表示素子の消費エネルギは36mJ/A4、その他の電気回路の消費エネルギは2442mJ、両者の合計消費エネルギは2478mJである。
【0032】したがって、一週間あたりの表示画像の書き換え可能回数は、屋内で7回(18144÷2478=7.3)、屋外で637回(1587600÷2478=637)である。
【0033】なお、上記実施形態では、液晶表示素子は一つだけの場合を示したが、一つの電源25に対して複数の液晶表示素子を接続していもよい。
【0034】また、一回の画像情報送信で複数の画像情報を送信するとともに、送信された複数の画像情報を画像メモリ23に記録しておき、所定の時間ごとに新たな画像情報を画像メモリから呼び出して表示画像を切り替えるようにしてもよい。
【0035】さらに、図4に示すように、液晶表示素子2の表面側に、光透過体(アクリル、スチレンーアクリル、ポリカーボネート等)31と光拡散層32を設けると共に、光透過体31の一辺に沿って蛍光灯(光源)32と反射傘33とを設け、蛍光灯32から出射した光を直接又は反射傘33を介して光透過体31に入射し、多少暗い場所でも液晶表示素子2の表示内容が明瞭に見えるようにしてもよい。この場合、液晶表示装置1の設置されている環境の光量を受光センサ(図示せず)で検出し、その検出結果から環境光量が低いと判断されたときに蛍光灯32を点灯するようにしてもよい。なお、蛍光灯32への電力は、蓄電池27から供給してもよいが、長時間に亘って蛍光灯32を点灯する場合は別の専用バッテリや商用電源に接続するなどして、別の電源から電力供給するようにし、蓄電池27による電力供給は蛍光灯を短期で点灯する際や蛍光灯が不要なときのみに電力を供給するなど補助電源的に使用することが好ましい。
【0036】さらにまた、上述のように、メモリー性を有する液晶の場合、液晶表示素子2の表示切り替えには多くの電力を要する。したがって、書き替えの必要な画素についてのみ表示を切り替え、必要の無い画素については従前の表示を維持するようにしてもよい。図5は、そのような形態の液晶表示装置1’の回路ブロック図を示す。このブロック図に示すように、液晶表示装置1’は、現在表示している画像データを記憶した第1の画像メモリ35と、新たに表示しようとする画像データを記憶した第2の画像メモリ36とを有する。また、画像メモリ35、36はそれぞれ対応したラインメモリ37、38に接続され、それぞれの画像メモリ35、36から一列分の画像データが対応するラインメモリ37、38に出力される。コンパレータ39はラインメモリ37、38に接続されており、これらのラインメモリ37、38から出力された画像情報を比較し、一致しない画素データ(ラインアドレス番号)をアドレス記憶部40に記憶させる。そして、走査電極駆動回路12と信号電極駆動回路13はアドレス記憶部40の出力を得て、一致しない画素データに対応する液晶部分だけを状態変化させる。このようにすれば、表示の書き替えに必要な電力が一段と低減できる。特に、書き替えの必要ある画像部分が液晶表示素子2の一部に過ぎない場合、書き替えに要する時間とエネルギが相当減少する。例えば、液晶表示素子の1/10の走査ラインに相当する領域しか書換えを行わない場合、書換えに要する時間とエネルギは約1/10に削減される。したがって、太陽電池による電気の生成が中断されている夜間等においても、蓄電池27から供給される電力による表示内容の切り替え回数を増加させることができる。なお、上記表示装置はカード状の小型軽量のものから大判の表示装置まで様々な形態で使用することができ、特定の機種には限定されない。
【0037】B.利用形態(1)利用形態1図6は、液晶表示装置の第1の利用形態を示す図である。この利用形態は、例えばデパートなどで取り扱う商品の値札に液晶表示素子を利用したものである。このような利用形態では、各商品ごとに液晶表示装置1が設置され、ホストコンピュータ等の通信端末(送信器30)から商品データ(例えば、商品の値段、商品の説明)が液晶表示装置1に無線送信される。液晶表示装置1は、通信端末(送信器30)から送信された商品データを受信器21によって受信し、これに基づいて液晶表示素子2に表示する(又は書き替える)。このとき、商品データの表示又は書き替えに必要な電力は太陽電池26で生成された電気を蓄えている蓄電池から供給される。
【0038】この利用形態の場合、送信器と各表示装置との間、および、商用電源と各表示装置との間には電気的な配線が不要である。また、商品データの表示又は書き替えは電子的に行われるので、店員が個々の商品について商品データを書き替えることに比べて、格段に手間が省ける。なお、以下の各利用形態において、本利用形態と同様の機能を持つ部材については同じ符号を付し、詳しい説明は省略する。
【0039】(2)利用形態2図7は、液晶表示装置1の第2の利用形態を示す図である。この利用形態は、例えば、電車、バス、航空機などの交通機関の発着案内の表示に液晶表示素子2を利用したものである。この利用形態によれば、一つの表示板(液晶表示素子2)で平日用のダイヤ時刻表と休日(祝日)用のダイヤ時刻表41を表示できる。また、ダイヤ改正の場合、また事故等によりダイヤの変更が必要になった場合、即座に時刻表41を新しい時刻表41’に変更できる。
【0040】(3)利用形態3図8は、液晶表示装置1の第3の利用形態を示す図である。この利用形態は、時刻表41と共に、乗客に必要な情報42を液晶表示素子2に表示して報知するようにしたものである。この利用形態によれば、例えば、事故により電車の出発が遅れる場合、その原因、遅れ時間等を表示して乗客に知らせることができる。
【0041】(4)利用形態4図9は、液晶表示装置1の第4の利用形態を示す図である。この利用形態は、時刻表41と共に、地域公告43等を液晶表示素子2に表示するようにしたものである。
【0042】(5)利用形態5図10は、液晶表示装置1の第5の利用形態を示す図である。この利用形態は、電車等の乗り物44の車内に液晶表示素子2を設け、必要な情報(例えば、路線図、到着時刻、停車液、最終到着駅、宣伝広告、緊急案内)を表示するようにしたものである。本利用形態の場合、液晶表示素子2の近傍に適当な入力装置44を設け、入力装置44で入力された情報に応じて液晶表示素子2の表示内容を変更するようにしてもよい。この場合、例えば、乗客が特定の駅名を入力したときには、その駅に到着する時刻を表示するようにできる。
【0043】(6)利用形態6図11は、液晶表示装置1の第6の利用形態を示す図である。この利用形態は、社員の居場所(外出先、会議場所等)を表示する表示装置、伝言装置に液晶表示素子2を利用したものである。この利用形態の場合、社内に設置された通信端末45〔パソコン、タッチパネル式入力装置(抵抗膜式タッチパネル、光学式タッチパネル、静電容量式タッチパネル、超音波式タッチパネル)、PHS、携帯端末(例えば、NTT社製のポケットボード、NEC社製造のモバイルギヤMC−R510)〕から無線で表示内容を液晶表示装置1に送信し表示できる。また、利用場所は会社内に限るものでなく、パーキングエリア、駅等の待合室、競技場、遊園地等の伝言板として利用することもできる。
【0044】(7)利用形態7図12は、液晶表示装置1の第7の利用形態を示す図である。この利用形態は、GPS(グローバル・ポジショニング・システム)46の表示装置として液晶表示素子2を利用したものである。なお、図面中、47はGPS46の本体、48は開閉カバー、49は受信部、50は画面移動方向キー、51は専用キー(住所表示キー等)、52は電源スイッチ、53はモードキーである。ただし、GPS46の場合、液晶表示素子2の表示内容は頻繁に書き替えることが予想されるので、太陽電池26に接続した蓄電池は補助電源として利用するのが好ましい。
【0045】(8)利用形態8図13は、液晶表示装置1の第8の利用形態を示す図である。この利用形態は、電車54(又は建物)の窓55に液晶表示装置1を取り付けたものである。本利用形態の場合、図14に示すように、窓55の内側に液晶表示素子2を設け、液晶表示素子2と窓55の間に太陽電池26を配置し、太陽電池26が効果的に太陽の光を受けるようにするのが好ましい。また、電車の窓に2枚のガラスが嵌め込まれている場合、これら2枚のガラスの間に液晶表示装置1を配置してもよい。
【0046】(9)利用形態9図15は、液晶表示装置1の第9の利用形態を示す図である。この利用形態は、液晶表示装置1の一部にフィルムスピーカ56を設け、画面表示と共にこの画面表示の内容を音声で表示するようにしたものである。この利用形態は、画面と音声の両方で情報を表示できるので、画面表示だけの場合に比べて、情報伝達効果が高いという利点を有する。
【0047】(10)利用形態10図16は、液晶表示装置1の第10の利用形態を示す図である。この利用形態は、液晶表示装置1を野球のスコア表示板57に用いたもので、野球場に設けたパソコン(送信器)58から無線送信された信号に基づいて、スコア表示板57の表示内容が変更される。
【0048】以上の説明では、メモリ性を有する液晶としてコレステリック液晶を挙げた。コレステリック液晶は反射型表示によりバックライトが不要で省エネルギー化を図ることができ目に優しい自然な表示が行える、大面積化が容易である、フルカラー表示が容易であるなど種々の利点があり、特に好ましいものである。しかしながら、本発明はコレステリック液晶に限るものでなく、これらの特徴がなくても許容される場合には、強誘電性液晶などメモリ性を有する液晶であればいかなる液晶も利用可能である。また、液晶表示パネル以外にもエレクトロクロミック表示パネル等のメモリ性表示パネルを用いることができる。特に、エレクトロクロミック表示パネルは駆動電圧を2〜3ボルトに下げることができ、電力消費量が少なく、小型の太陽電池、蓄電池を利用できるという利点がある。
【0049】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明に係る表示装置によれば、メモリ性の表示素子を利用しているので、表示画面を変更するときのみ電力が消費され、通常は電力を供給しなくても表示画面を維持できる。したがって、消費電力が極めて少なく、経済的である。また、光発電器を利用し、この光発電器で発電した電気を蓄電装置に蓄えておき、必要に応じて表示素子の画面表示切り替えに利用できるので、表示画面の切り替えは、商用電源等から電力の供給を受けることなく行えるので、経済的である。外部から情報を受信する情報受信器をさらに備えた形態では、外部からの指令により表示を更新したり、外部から表示情報を送信することができる。特に、情報受信器が無線で情報を受信すると、外部機器を表示装置とをケーブルで接続する必要がなくなるので表示装置の設置の自由度が高くなる。蓄電装置の出力を所定の電圧まで昇圧する昇圧回路をさらに備えた形態では、メモリ性表示素子に対して書換えに必要な十分大きい電圧を印加することができ、良好に書換えを行うことができる。メモリ性表示素子は反射型液晶表示素子である形態では、バックライトがなくても太陽光などの外光や照明光があれば表示内容を視認することができ、省エネルギー化に極めて有利である。メモリ性液晶表示素子は複数の液晶表示素子を積層した形態では、カラー化や反射率の向上などの点で有利となり、よりカラフルで高品位な表示が可能である。さらにまた、液晶表示素子と光発電器を窓に取り付けた形態では、光発電器は太陽光線を受けて十分な電気を供給できる。したがって、表示素子の表示を短時間の間に繰り返し変更できる。そして、音声表示部を備えた形態では、画面と共に画面の内容を音声で表示できるので、高い表示効果が得られる。そしてまた、液晶表示素子の前面を照明する光源から光を供給する形態では、例えば電車内のように明るさの不十分な場所でも、表示素子の表示画面を明るく保つことができる。本発明に係る表示システムによれば、請求項1記載の表示装置と、該表示装置に情報を送信するホスト装置とを含むことにより、簡素な構成でかつ省エネルギー化に有利な表示システムを構成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る情報表示装置の回路ブロック図。
【図2】 液晶表示素子の拡大部分断面図。
【図3】 液晶表示素子における電極の配置を模式的に示す図。
【図4】 液晶表示素子の表面に取り付ける光透過体の拡大部分断面図。
【図5】 情報表示装置の他の形態の回路ブロック図。
【図6】 情報表示装置の第1の利用形態を示す図。
【図7】 情報表示装置の第2の利用形態を示す図。
【図8】 情報表示装置の第3の利用形態を示す図。
【図9】 情報表示装置の第4の利用形態を示す図。
【図10】 情報表示装置の第5の利用形態を示す図。
【図11】 情報表示装置の第6の利用形態を示す図。
【図12】 情報表示装置の第7の利用形態を示す図。
【図13】 情報表示装置の第8の利用形態を示す図。
【図14】 図13に示す液晶表示素子等の断面図。
【図15】 情報表示装置の第9の利用形態を示す図。
【図16】 情報表示装置の第10の利用形態を示す図。
【符号の説明】
1…液晶表示装置(情報表示装置)、2…液晶表示素子、21…受信回路、26…太陽電池、27…蓄電池、30…送信器。
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、メモリ性を有する表示素子を備えた表示装置、また該表示装置を含む情報表示装置、さらに表示システムに関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】従来、液晶表示素子を利用した種々の情報表示装置が提供されている。しかし、一般に利用されている液晶表示素子は、表示内容を維持するために電力を必要とする。また、表示画面が大きくなるほど多くの電力を消費する。したがって、費用対効果を考慮した場合、液晶表示装置を広告等の表示装置として利用することは、経済性の点で問題があった。
【0003】
【課題を解決するための手段】そこで、本願発明の表示装置は、表示の維持には電力を必要としないメモリ性表示素子と、光エネルギを電気エネルギに変換する光発電器と、光発電器で生成した電力を蓄える蓄電装置と、上記蓄電装置から上記液晶表示素子に電力を供給し、上記表示素子の表示を変更する制御部とを備えたことを特徴とする。
【0004】本発明の他の形態の表示装置は、外部から情報を受信する情報受信器をさらに備えたことを特徴とする。
【0005】本発明の他の形態の表示装置は、上記情報受信器が無線で情報を受信するものであることを特徴とする。
【0006】本発明の他の形態の表示装置は、上記蓄電装置の出力を所定の電圧まで昇圧する昇圧回路をさらに備えたことを特徴とする。
【0007】本発明の他の形態の表示装置は、上記メモリ性表示素子が反射型液晶表示素子であることを特徴とする。
【0008】本発明の他の形態の表示装置は、上記メモリ性液晶表示素子が複数の液晶表示素子を積層したものであることを特徴とする。
【0009】本発明の他の形態の表示装置は、上記液晶表示素子と光発電器が乗り物の窓に取り付けられていることを特徴とする。
【0010】本発明の他の形態の表示装置は、スピーカを有することを特徴とする。
【0011】本発明の他の形態の表示装置は、上記液晶表示素子を照明する光源とを備えたことを特徴とする。
【0012】また、本発明の情報表示装置は、上記表示装置を備えていることを特徴とする。さらに、本発明の表示システムは、上記表示装置と、該表示装置に情報を送信するホスト装置とを含むことを特徴とする。
【0013】
【発明の実施の形態】A.液晶表示装置図1は、本発明係る液晶表示装置の回路ブロック図である。図示するように、液晶表示装置(情報表示装置)1は、液晶表示素子2を有する。液晶表示素子2は、図2に示すように、基板3と、この基板3上に配置された光吸収体4と、光吸収体4の上に積層された3つの色表示層5(赤色表示層5R、緑色表示層5G、青色表示層5B)とを有している。各色表示層5は、透明材料からなる上層基板6と下層基板7と、これら上層基板6と下層基板7とを接着支持するための樹脂構造物8と、樹脂構造物8によって形成された間隙に充填された液晶9を有する。なお、図示を省略しているが、上下基板の間には球状のスペーサも含まれている。また、上層基板6の下面には、複数(n個)の透明帯状走査電極(共通電極)10が所定の間隔をあけて平行に配置されている。他方、下層基板7の上面には、複数(m個)の透明帯信号電極(個別電極)11が所定の間隔をあけて平行に配置されている。図3に示すように、走査電極10と信号電極11の配列方向を直交しており、これら走査電極10と信号電極11とが対向する点(交点)が液晶表示素子2の画素を形成している。
【0014】液晶9として、メモリ性を有するコレステリック液晶が使用されている。コレステリック液晶は、プレーナ状態からフォーカルコニック状態へ、逆に、フォーカルコニック状態からプレーナ状態へと状態変化することができ、いずれの状態も外的なエネルギ(すなわち電力)の供給無しで維持できる。プレーナ状態の場合、コレステリック液晶の螺旋ピッチをP、液晶の平均屈折率をnとすると、液晶9は波長λ=P・nの光が選択的に反射する。他方、フォーカルコニック状態の場合、コレステリック液晶の選択反射波長が赤外領域にある場合には可視光を散乱し、上記選択反射波長が赤外領域よりも短波長の領域にある場合には可視光を透過する。そして、本実施形態では、3つの色表示層5に充填されたコレステリック液晶9は、プレーナ状態において対応する色の波長を選択的に反射し、フォーカルコニック状態において可視光を透過するように、調整されている。プレーナ状態とフォーカルコニック状態とが混在した中間状態をとることも可能であり、この中間状態により中間調の表示を行うことができる。したがって、各色表示層をプレーナ状態、フォーカルコニック状態、および中間状態にすることにより、フルカラー表示を行うことができる。これによって、フルカラーの写真画像の表示も可能である。なお、複数の液晶層が積層されていることにより、液晶表示素子の反射率を大きくすることができるという効果もある。
【0015】液晶9の状態変化(すなわち、プレーナ状態からフォーカルコニック状態へ、逆に、フォーカルコニック状態からプレーナ状態への状態変化)は、走査電極10と信号電極11との間に所定の電圧を印加することで行われる。例えば、ある部位にある液晶9をフォーカルコニック状態からプレーナ状態に切り替える場合、その部位に対応した走査電極10と信号電極11との間の電位差を、コレステリック相を示す液晶のねじれを解くために必要な第1の閾値電圧に設定し、所定時間後、第1の閾値電圧よりも低い第2の閾値電圧に下げる。逆に、ある部位にある液晶9をプレーナ状態からフォーカルコニック状態に切り替える場合、その部位に対応した走査電極10と信号電極11との間の電位差を、第2の閾値電圧よりも高く且つ第1の閾値電圧よりも低い電圧に所定時間維持する。
【0016】図1に戻って液晶表示装置1について再び説明すると、液晶表示素子2の走査電極10と信号電極11は、それぞれ走査電極駆動回路12と信号電極駆動回路13に接続されている。走査電極駆動回路12は、デコーダ14と、複数(m個)の走査電極10に対応した複数(m個)のスイッチング回路15を備えており、デコーダ14から出力された信号に基づいて各スイッチング回路15が駆動し、対応する走査電極10に所定の電圧が印加されるようにしてある。他方、信号電極駆動回路13は、ラインバッファ16と、複数(n個)のデジタル/アナログ変換器17と、複数(n個)の駆動バッファ18を備えており、ラインバッファ16から出力された信号に基づいて各デジタル/アナログ変換器17、駆動バッファ18が駆動さえ、対応する信号電極11に表示すべき画像データに対応した所定の電圧が印加されるようにしてある。
【0017】液晶表示装置1の表示情報伝達系20はまた、画像情報を受信する受信回路(受信器)21と、受信回路21で受信した画像情報をデータ変換するデータ変換回路22と、データ変換回路22で変換されたデータを記憶する画像メモリ23と、この変換されたデータに基づいてラインバッファ16とデコーダ14にそれぞれ信号を出力するコントロール回路24とを備えている。
【0018】受信回路21は無線受信装置が用いられ、例えば、公知のループアンテナ、ダイポールアンテナ、ダイバシティーアンテナ、スリーブアンテナ、グランドプレーンアンテナ、アンブレラアンテナ等のアンテナ、またはIRDA用赤外光受信機と、復調回路とで構成されている。なお、受信回路21の受信する受信情報は、表示すべき画像データなどの表示情報であってもよいし、受信情報は表示の更新などの指令とし、表示装置に内蔵された記憶媒体に予め記憶させておいた表示情報に基づいて画像を更新させるようにしてもよい。
【0019】これらの回路等を駆動するために必要な電力の供給は、電源25から供給される。電源25は、太陽電池(光発電器)26と、太陽電池26で生成された電力を蓄える蓄電池(蓄電装置)27と、蓄電池27の出力を必要な電圧まで昇圧する一次昇圧回路28と、一次昇圧された電圧を更に必要な電圧まで昇圧する二次昇圧回路29とで構成されている。
【0020】太陽電池26としては、市販の多結晶シリコン系太陽電池が好適に利用できる。ただし、太陽電池はこれに限るものでなく、単結晶シリコン系太陽電池、アモルファスシリコン系太陽電池、微結晶シリコン系太陽電池、ポリシリコン系太陽電池、多元素系太陽電池等も利用可能である。また、蓄電池27には、鉛蓄電池、アルカリ電池、ニッカド(Ni−Cd;ニッケルカドニウム)電池、ニッケル水素電池、リチウムイオン電池、ポリマー電解質電池、ポリアセン電池等が用いられる。蓄電装置としては蓄電池に限られず、従来公知の各種の蓄電装置を用いることができる。
【0021】一次及び二次昇圧回路28、29としては種々の昇圧回路(例えば、トランジスタ、オペアンプ、トランス、DC−DCコンバータ)が利用可能である。
【0022】このように構成した液晶表示装置1において、太陽電池26は光を受けて電気を生成し、その生成した電気を蓄電池27に出力する。蓄電池27に蓄えられた電気は、必要に応じて一次昇圧回路28に供給される。一次昇圧された電圧は画像メモリ23に供給され、画像メモリ23において画像情報が保持される。また、一次昇圧された電圧は二次昇圧回路29に供給され、二次昇圧回路29で所定の電圧に昇圧される。
【0023】他方、画像情報は送信器30から出力され、受信回路21で受信される。受信回路21は受信した画像情報をデータ変換回路22に出力する。データ変換回路22は、画像情報をデータ変換し、画像メモリ23に供給する。また、画像メモリ23から供給された変換データをコントロール回路24に供給する。
【0024】上述したように、本表示装置は光発電器によって外光から発電した電力を蓄電装置に蓄えるようにしており商用電源等に接続しなくてもよいので、受信回路として無線受信装置を用いることにより、ケーブルレスの表示装置となる。したがって、表示の設置の自由度が高くなり、ホスト装置に対して多数の表示装置を割当てることも容易となる。
【0025】コントロール回路24は、変換データをもとに一ライン分の表示データを作成し、その表示データに基づいてデコーダ14とラインバッファ16に信号を出力する。デコーダ14は受信信号に対応して必要なスイッチング回路15を駆動し、目的の走査電極10に所定の電圧を印加する。他方、ラインバッファ16は受信信号に対応して必要なデジタルーアナログ変換器17を駆動し、駆動バッファ18を介して、目的の信号電極11に所定の電圧を印加する。なお、スイッチング回路15、駆動バッファ18等は、コントロール回路24から出力される信号に基づいて、二次昇圧回路29から所定の駆動電圧が供給される。
【0026】このようにして、各画素に対応した部分の3つの色表示層5の液晶部分が、プレーナ状態からフォーカルコニック状態、またはフォーカルコニック状態からプレーナ状態に切り替えられ、目的のカラー画像が表示される。
【0027】状態が切り替えられた液晶は、その後、その状態を維持するために電力を必要としない。したがって、維持電力の供給が無くても、液晶表示素子2に表示された画像は長期に亘って(例えば、数年間)保持される。また、反射型表示であるので、バックライトがなくても太陽光などの外光や照明光があれば表示内容を視認することができ、省エネルギー化に極めて有利である。
【0028】なお、上述のように、液晶9をプレーナ状態からフォーカルコニック状態、又はその逆に状態変化するためには、所定の電圧をある程度の時間印加する必要がある。その必要から、本発明の液晶表示装置1では電源25に蓄電池27を設け、この蓄電池27に太陽電池26から供給される電気を蓄えているので、状態変化に必要な電力の供給は問題なく行える。
【0029】また、昇圧回路により電圧が昇圧されているので、書換えのためには比較的高電圧が必要とされるメモリ性液晶表示素子に対しても十分大きい電圧が印加することができ、良好に書換えを行うことができる。さらに、反射型の表示装置とすることにより、表示を視認できる環境下においては必ず照明光が存在していることになるので、表示を行いながら光発電器により発電を行うことができる。
【0030】太陽電池の充電エネルギと液晶表示素子の消費電力について検討した。太陽電池には、三洋ソーラーインダストリーズ(株)製の屋内用アモルファスシリコン太陽電池AM1815(外形寸法58.1×48.6mm)を用いた。この太陽電池は、動作能力3.0V、42μAの出力が可能で、一秒あたりの充電エネルギは0.126mJ/s(=3.0V×42μA)である。また、照度200ルクスの照明が8時間点灯している屋内環境に一週間(ただし、屋内照明の点灯は5日間だけとする)放置した場合(つまり、40時間照明した場合)、一週間あたりの充電エネルギは18144mJ(=0.126×3600×40)である。屋外の場合、平均日照を10000ルクス、照明時間を10時間とすると、一週間あたりの充電エネルギは1587600mJ(=0.126×(10000÷200)×3600×70)である。
【0031】一方、液晶表示素子は、画素数2100×1480ドット(A4サイズ、180dpi相当)とした。液晶表示素子の全画素の表示を切り替える場合、液晶表示素子の消費エネルギは36mJ/A4、その他の電気回路の消費エネルギは2442mJ、両者の合計消費エネルギは2478mJである。
【0032】したがって、一週間あたりの表示画像の書き換え可能回数は、屋内で7回(18144÷2478=7.3)、屋外で637回(1587600÷2478=637)である。
【0033】なお、上記実施形態では、液晶表示素子は一つだけの場合を示したが、一つの電源25に対して複数の液晶表示素子を接続していもよい。
【0034】また、一回の画像情報送信で複数の画像情報を送信するとともに、送信された複数の画像情報を画像メモリ23に記録しておき、所定の時間ごとに新たな画像情報を画像メモリから呼び出して表示画像を切り替えるようにしてもよい。
【0035】さらに、図4に示すように、液晶表示素子2の表面側に、光透過体(アクリル、スチレンーアクリル、ポリカーボネート等)31と光拡散層32を設けると共に、光透過体31の一辺に沿って蛍光灯(光源)32と反射傘33とを設け、蛍光灯32から出射した光を直接又は反射傘33を介して光透過体31に入射し、多少暗い場所でも液晶表示素子2の表示内容が明瞭に見えるようにしてもよい。この場合、液晶表示装置1の設置されている環境の光量を受光センサ(図示せず)で検出し、その検出結果から環境光量が低いと判断されたときに蛍光灯32を点灯するようにしてもよい。なお、蛍光灯32への電力は、蓄電池27から供給してもよいが、長時間に亘って蛍光灯32を点灯する場合は別の専用バッテリや商用電源に接続するなどして、別の電源から電力供給するようにし、蓄電池27による電力供給は蛍光灯を短期で点灯する際や蛍光灯が不要なときのみに電力を供給するなど補助電源的に使用することが好ましい。
【0036】さらにまた、上述のように、メモリー性を有する液晶の場合、液晶表示素子2の表示切り替えには多くの電力を要する。したがって、書き替えの必要な画素についてのみ表示を切り替え、必要の無い画素については従前の表示を維持するようにしてもよい。図5は、そのような形態の液晶表示装置1’の回路ブロック図を示す。このブロック図に示すように、液晶表示装置1’は、現在表示している画像データを記憶した第1の画像メモリ35と、新たに表示しようとする画像データを記憶した第2の画像メモリ36とを有する。また、画像メモリ35、36はそれぞれ対応したラインメモリ37、38に接続され、それぞれの画像メモリ35、36から一列分の画像データが対応するラインメモリ37、38に出力される。コンパレータ39はラインメモリ37、38に接続されており、これらのラインメモリ37、38から出力された画像情報を比較し、一致しない画素データ(ラインアドレス番号)をアドレス記憶部40に記憶させる。そして、走査電極駆動回路12と信号電極駆動回路13はアドレス記憶部40の出力を得て、一致しない画素データに対応する液晶部分だけを状態変化させる。このようにすれば、表示の書き替えに必要な電力が一段と低減できる。特に、書き替えの必要ある画像部分が液晶表示素子2の一部に過ぎない場合、書き替えに要する時間とエネルギが相当減少する。例えば、液晶表示素子の1/10の走査ラインに相当する領域しか書換えを行わない場合、書換えに要する時間とエネルギは約1/10に削減される。したがって、太陽電池による電気の生成が中断されている夜間等においても、蓄電池27から供給される電力による表示内容の切り替え回数を増加させることができる。なお、上記表示装置はカード状の小型軽量のものから大判の表示装置まで様々な形態で使用することができ、特定の機種には限定されない。
【0037】B.利用形態(1)利用形態1図6は、液晶表示装置の第1の利用形態を示す図である。この利用形態は、例えばデパートなどで取り扱う商品の値札に液晶表示素子を利用したものである。このような利用形態では、各商品ごとに液晶表示装置1が設置され、ホストコンピュータ等の通信端末(送信器30)から商品データ(例えば、商品の値段、商品の説明)が液晶表示装置1に無線送信される。液晶表示装置1は、通信端末(送信器30)から送信された商品データを受信器21によって受信し、これに基づいて液晶表示素子2に表示する(又は書き替える)。このとき、商品データの表示又は書き替えに必要な電力は太陽電池26で生成された電気を蓄えている蓄電池から供給される。
【0038】この利用形態の場合、送信器と各表示装置との間、および、商用電源と各表示装置との間には電気的な配線が不要である。また、商品データの表示又は書き替えは電子的に行われるので、店員が個々の商品について商品データを書き替えることに比べて、格段に手間が省ける。なお、以下の各利用形態において、本利用形態と同様の機能を持つ部材については同じ符号を付し、詳しい説明は省略する。
【0039】(2)利用形態2図7は、液晶表示装置1の第2の利用形態を示す図である。この利用形態は、例えば、電車、バス、航空機などの交通機関の発着案内の表示に液晶表示素子2を利用したものである。この利用形態によれば、一つの表示板(液晶表示素子2)で平日用のダイヤ時刻表と休日(祝日)用のダイヤ時刻表41を表示できる。また、ダイヤ改正の場合、また事故等によりダイヤの変更が必要になった場合、即座に時刻表41を新しい時刻表41’に変更できる。
【0040】(3)利用形態3図8は、液晶表示装置1の第3の利用形態を示す図である。この利用形態は、時刻表41と共に、乗客に必要な情報42を液晶表示素子2に表示して報知するようにしたものである。この利用形態によれば、例えば、事故により電車の出発が遅れる場合、その原因、遅れ時間等を表示して乗客に知らせることができる。
【0041】(4)利用形態4図9は、液晶表示装置1の第4の利用形態を示す図である。この利用形態は、時刻表41と共に、地域公告43等を液晶表示素子2に表示するようにしたものである。
【0042】(5)利用形態5図10は、液晶表示装置1の第5の利用形態を示す図である。この利用形態は、電車等の乗り物44の車内に液晶表示素子2を設け、必要な情報(例えば、路線図、到着時刻、停車液、最終到着駅、宣伝広告、緊急案内)を表示するようにしたものである。本利用形態の場合、液晶表示素子2の近傍に適当な入力装置44を設け、入力装置44で入力された情報に応じて液晶表示素子2の表示内容を変更するようにしてもよい。この場合、例えば、乗客が特定の駅名を入力したときには、その駅に到着する時刻を表示するようにできる。
【0043】(6)利用形態6図11は、液晶表示装置1の第6の利用形態を示す図である。この利用形態は、社員の居場所(外出先、会議場所等)を表示する表示装置、伝言装置に液晶表示素子2を利用したものである。この利用形態の場合、社内に設置された通信端末45〔パソコン、タッチパネル式入力装置(抵抗膜式タッチパネル、光学式タッチパネル、静電容量式タッチパネル、超音波式タッチパネル)、PHS、携帯端末(例えば、NTT社製のポケットボード、NEC社製造のモバイルギヤMC−R510)〕から無線で表示内容を液晶表示装置1に送信し表示できる。また、利用場所は会社内に限るものでなく、パーキングエリア、駅等の待合室、競技場、遊園地等の伝言板として利用することもできる。
【0044】(7)利用形態7図12は、液晶表示装置1の第7の利用形態を示す図である。この利用形態は、GPS(グローバル・ポジショニング・システム)46の表示装置として液晶表示素子2を利用したものである。なお、図面中、47はGPS46の本体、48は開閉カバー、49は受信部、50は画面移動方向キー、51は専用キー(住所表示キー等)、52は電源スイッチ、53はモードキーである。ただし、GPS46の場合、液晶表示素子2の表示内容は頻繁に書き替えることが予想されるので、太陽電池26に接続した蓄電池は補助電源として利用するのが好ましい。
【0045】(8)利用形態8図13は、液晶表示装置1の第8の利用形態を示す図である。この利用形態は、電車54(又は建物)の窓55に液晶表示装置1を取り付けたものである。本利用形態の場合、図14に示すように、窓55の内側に液晶表示素子2を設け、液晶表示素子2と窓55の間に太陽電池26を配置し、太陽電池26が効果的に太陽の光を受けるようにするのが好ましい。また、電車の窓に2枚のガラスが嵌め込まれている場合、これら2枚のガラスの間に液晶表示装置1を配置してもよい。
【0046】(9)利用形態9図15は、液晶表示装置1の第9の利用形態を示す図である。この利用形態は、液晶表示装置1の一部にフィルムスピーカ56を設け、画面表示と共にこの画面表示の内容を音声で表示するようにしたものである。この利用形態は、画面と音声の両方で情報を表示できるので、画面表示だけの場合に比べて、情報伝達効果が高いという利点を有する。
【0047】(10)利用形態10図16は、液晶表示装置1の第10の利用形態を示す図である。この利用形態は、液晶表示装置1を野球のスコア表示板57に用いたもので、野球場に設けたパソコン(送信器)58から無線送信された信号に基づいて、スコア表示板57の表示内容が変更される。
【0048】以上の説明では、メモリ性を有する液晶としてコレステリック液晶を挙げた。コレステリック液晶は反射型表示によりバックライトが不要で省エネルギー化を図ることができ目に優しい自然な表示が行える、大面積化が容易である、フルカラー表示が容易であるなど種々の利点があり、特に好ましいものである。しかしながら、本発明はコレステリック液晶に限るものでなく、これらの特徴がなくても許容される場合には、強誘電性液晶などメモリ性を有する液晶であればいかなる液晶も利用可能である。また、液晶表示パネル以外にもエレクトロクロミック表示パネル等のメモリ性表示パネルを用いることができる。特に、エレクトロクロミック表示パネルは駆動電圧を2〜3ボルトに下げることができ、電力消費量が少なく、小型の太陽電池、蓄電池を利用できるという利点がある。
【0049】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明に係る表示装置によれば、メモリ性の表示素子を利用しているので、表示画面を変更するときのみ電力が消費され、通常は電力を供給しなくても表示画面を維持できる。したがって、消費電力が極めて少なく、経済的である。また、光発電器を利用し、この光発電器で発電した電気を蓄電装置に蓄えておき、必要に応じて表示素子の画面表示切り替えに利用できるので、表示画面の切り替えは、商用電源等から電力の供給を受けることなく行えるので、経済的である。外部から情報を受信する情報受信器をさらに備えた形態では、外部からの指令により表示を更新したり、外部から表示情報を送信することができる。特に、情報受信器が無線で情報を受信すると、外部機器を表示装置とをケーブルで接続する必要がなくなるので表示装置の設置の自由度が高くなる。蓄電装置の出力を所定の電圧まで昇圧する昇圧回路をさらに備えた形態では、メモリ性表示素子に対して書換えに必要な十分大きい電圧を印加することができ、良好に書換えを行うことができる。メモリ性表示素子は反射型液晶表示素子である形態では、バックライトがなくても太陽光などの外光や照明光があれば表示内容を視認することができ、省エネルギー化に極めて有利である。メモリ性液晶表示素子は複数の液晶表示素子を積層した形態では、カラー化や反射率の向上などの点で有利となり、よりカラフルで高品位な表示が可能である。さらにまた、液晶表示素子と光発電器を窓に取り付けた形態では、光発電器は太陽光線を受けて十分な電気を供給できる。したがって、表示素子の表示を短時間の間に繰り返し変更できる。そして、音声表示部を備えた形態では、画面と共に画面の内容を音声で表示できるので、高い表示効果が得られる。そしてまた、液晶表示素子の前面を照明する光源から光を供給する形態では、例えば電車内のように明るさの不十分な場所でも、表示素子の表示画面を明るく保つことができる。本発明に係る表示システムによれば、請求項1記載の表示装置と、該表示装置に情報を送信するホスト装置とを含むことにより、簡素な構成でかつ省エネルギー化に有利な表示システムを構成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る情報表示装置の回路ブロック図。
【図2】 液晶表示素子の拡大部分断面図。
【図3】 液晶表示素子における電極の配置を模式的に示す図。
【図4】 液晶表示素子の表面に取り付ける光透過体の拡大部分断面図。
【図5】 情報表示装置の他の形態の回路ブロック図。
【図6】 情報表示装置の第1の利用形態を示す図。
【図7】 情報表示装置の第2の利用形態を示す図。
【図8】 情報表示装置の第3の利用形態を示す図。
【図9】 情報表示装置の第4の利用形態を示す図。
【図10】 情報表示装置の第5の利用形態を示す図。
【図11】 情報表示装置の第6の利用形態を示す図。
【図12】 情報表示装置の第7の利用形態を示す図。
【図13】 情報表示装置の第8の利用形態を示す図。
【図14】 図13に示す液晶表示素子等の断面図。
【図15】 情報表示装置の第9の利用形態を示す図。
【図16】 情報表示装置の第10の利用形態を示す図。
【符号の説明】
1…液晶表示装置(情報表示装置)、2…液晶表示素子、21…受信回路、26…太陽電池、27…蓄電池、30…送信器。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 表示の維持には電力を必要としないメモリ性表示素子と、光エネルギを電気エネルギに変換する光発電器と、光発電器で生成した電力を蓄える蓄電装置と、上記蓄電装置から上記液晶表示素子に電力を供給し、上記表示素子の表示を変更する制御部とを備えた表示装置。
【請求項2】 外部から情報を受信する情報受信器をさらに備えた請求項1記載の表示装置。
【請求項3】 上記情報受信器が無線で情報を受信するものである請求項2記載の表示装置。
【請求項4】 上記蓄電装置の出力を所定の電圧まで昇圧する昇圧回路をさらに備えた請求項1又は2に記載の表示装置。
【請求項5】 上記メモリ性表示素子は反射型液晶表示素子である請求項1〜4のいずれかに記載の表示装置。
【請求項6】 上記メモリ性液晶表示素子は複数の液晶表示素子を積層したものである請求項1〜5のいずれかに記載の表示装置。
【請求項7】 上記液晶表示素子と光発電器が乗り物の窓に取り付けられていることを特徴とする請求項1又は2の情報表示装置。
【請求項8】 スピーカを有することを特徴とする請求項1から3のいずれかの表示装置。
【請求項9】 上記液晶表示素子を照明する光源とを備えたことを特徴とする請求項1から4のいずれかの情報表示装置。
【請求項10】 請求項1記載の表示装置と、該表示装置に情報を送信するホスト装置とを含む表示システム。
【請求項1】 表示の維持には電力を必要としないメモリ性表示素子と、光エネルギを電気エネルギに変換する光発電器と、光発電器で生成した電力を蓄える蓄電装置と、上記蓄電装置から上記液晶表示素子に電力を供給し、上記表示素子の表示を変更する制御部とを備えた表示装置。
【請求項2】 外部から情報を受信する情報受信器をさらに備えた請求項1記載の表示装置。
【請求項3】 上記情報受信器が無線で情報を受信するものである請求項2記載の表示装置。
【請求項4】 上記蓄電装置の出力を所定の電圧まで昇圧する昇圧回路をさらに備えた請求項1又は2に記載の表示装置。
【請求項5】 上記メモリ性表示素子は反射型液晶表示素子である請求項1〜4のいずれかに記載の表示装置。
【請求項6】 上記メモリ性液晶表示素子は複数の液晶表示素子を積層したものである請求項1〜5のいずれかに記載の表示装置。
【請求項7】 上記液晶表示素子と光発電器が乗り物の窓に取り付けられていることを特徴とする請求項1又は2の情報表示装置。
【請求項8】 スピーカを有することを特徴とする請求項1から3のいずれかの表示装置。
【請求項9】 上記液晶表示素子を照明する光源とを備えたことを特徴とする請求項1から4のいずれかの情報表示装置。
【請求項10】 請求項1記載の表示装置と、該表示装置に情報を送信するホスト装置とを含む表示システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図11】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
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【図10】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2001−184033(P2001−184033A)
【公開日】平成13年7月6日(2001.7.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願平11−369906
【出願日】平成11年12月27日(1999.12.27)
【出願人】(000006079)ミノルタ株式会社 (155)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成13年7月6日(2001.7.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成11年12月27日(1999.12.27)
【出願人】(000006079)ミノルタ株式会社 (155)
【Fターム(参考)】
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