説明

表示装置

【課題】発熱量が少なく、静音化及び小型化が可能であって、且つ高解像度の画像の取り込みを可能とし得る表示装置を提供する。
【解決手段】光透過性を有する表示パネル2と、結像光学系を有する撮像部4と、表示パネル2の観察者側へ検出光を出射する光源15を有する検出光源部7とを備えた表示装置を用いる。検出光源部7は、表示パネル2の表示領域3の周辺の領域に配置する。また、検出光源部7には、検出光の表示パネル2の厚み方向における発散度を制限する遮光部材16及び17を備えさせる。撮像部4によって、観察者側から表示パネル2に入射し、且つ、表示パネル2及び結像光学系を通過する検出光を受光して、表示パネル2の観察者側における状態を撮像する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示装置、特には画像入力機能を供えた表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、表示装置の分野においては、表示機能に加え、入力機能をも兼ね備えた表示装置が普及してきている。このような表示装置の一例としては、タッチパネル付の表示装置が挙げられる(例えば、特許文献1参照。)。特許文献1に開示の表示装置は、プロジェクタが照射した光を表示領域へと導き、導かれた光のうち表示領域上に置かれたユーザの指で反射された光をCCDカメラで受光することによってタッチ位置の検出を行なっている。
【0003】
また、タッチパネル付の表示装置の他に、画像そのものを取り込むことができるように構成された液晶表示装置も開示されている(例えば、特許文献2参照)。特許文献2に開示された液晶表示装置は、アクティブマトリクス基板上にマトリクス状に配置された複数個のフォトダイオードを備えており、これにより、表示画面上の物体の画像を取り込んでいる。
【特許文献1】特開2001−350586号公報(第1図)
【特許文献2】特開2004−159273号公報(第2図−第3図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に開示の表示装置においては、プロジェクタを使用する必要があるため、電源ファンによる騒音が大きいという問題、発熱量が大きいという問題、装置全体を小型化できないという問題がある。
【0005】
また、特許文献2に開示の液晶表示装置は、画像の取り込みを可能とする構成を備えているが、結像光学系を備えていないため、特許文献2に開示の液晶表示装置において、鮮明な取り込み画像を得ることは不可能である。特許文献2の液晶表示装置には、高解像度の取り込みを行なうことが不可能であるという問題がある。
【0006】
本発明の目的は、上記問題を解消し、発熱量が少なく、静音化及び小型化が可能であって、且つ高解像度の画像の取り込みを可能とし得る表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために本発明における表示装置は、光透過性を有する表示パネルと、結像光学系を有する撮像部と、前記表示パネルの観察者側へ検出光を出射する光源を有する検出光源部とを備え、前記検出光源部は、前記表示パネルの観察者側における表示領域の周辺に配置され、且つ、前記検出光の前記表示パネルの厚み方向における発散度を制限する制限部材を備え、前記撮像部は、観察者側から前記表示パネルに入射し、且つ、前記表示パネル及び前記結像光学系を通過する前記検出光を受光して、前記表示パネルの観察者側における状態を撮像することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
以上のように本発明における表示装置によれば、表示パネル等の表示パネルを用いて画像を表示できるため、発熱量の減少化、静音化及び小型化を達成できる。更に、本発明における表示装置においては、撮像部が結像光学系を備えるため、従来の入力機能を備えた表示装置に比べて、高解像度の画像の取り込みを達成できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明における表示装置は、光透過性を有する表示パネルと、結像光学系を有する撮像部と、前記表示パネルの観察者側へ検出光を出射する光源を有する検出光源部とを備え、前記検出光源部は、前記表示パネルの観察者側における表示領域の周辺に配置され、且つ、前記検出光の前記表示パネルの厚み方向における発散度を制限する制限部材を備え、前記撮像部は、観察者側から前記表示パネルに入射し、且つ、前記表示パネル及び前記結像光学系を通過する前記検出光を受光して、前記表示パネルの観察者側における状態を撮像することを特徴とする。
【0010】
上記特徴により、本発明における表示装置によれば、発熱量の減少化、静音化及び小型化を図ることができ、更に、高解像度の画像の取り込みが可能となる。また、本発明における表示装置では、検出光源部から出射された検出光の発散が制限される。このため、表示パネルの表示領域から離れた位置にある物体までもが撮像されてしまうのを抑制でき、表示領域近傍の被写体のみを撮像できる。また、センシング精度の向上を図ることができ、更に、検出光が撮像部に直接入射することによる撮像品位の低下を抑制できる。
【0011】
上記本発明における表示装置は、前記表示パネルの観察者側に、前記表示パネルの表示領域を覆う透明板を備え、前記透明板は、前記表示領域との間に空間が形成されるように配置され、前記検出光源部は、前記検出光が前記空間から前記透明板の観察者側へと出射されるように、前記空間内に配置されている態様(第1の態様)とするのが好ましい。上記第1の態様によれば、撮像対象となる物体の表示領域側の部分に効率良く検出光を照射できるため、検出光の利用効率を向上でき、この結果、撮像部における感度の向上を図ることができる。
【0012】
また、上記第1の態様においては、前記光源に最も近い前記表示領域の周縁上の点からそれに対向する別の前記周縁上の点までの距離をaとし、前記検出光が前記表示領域の周縁の観察者側において到達できる、前記透明板の観察者側の主面からの高さの上限値をbとし、前記光源の発光面の中心を含み、且つ、前記表示領域に平行な面と、前記透明板の観察者側の主面との距離をcとし、前記光源の発光面の中心を通り、且つ、前記表示領域に垂直な線と、前記光源に最も近い前記表示領域の周縁上の点を通り、且つ、前記表示領域に垂直な線との距離をdとし、前記検出光が前記表示領域の周縁の観察者側において到達している、前記透明板の観察者側の主面からの高さの最大値をzとしたときに、前記制限部材によって発散度が制限された前記検出光の前記表示パネルの厚み方向における出射角γが、下記式(1)及び下記式(2)を満足するように設定されているのが良い。この場合は、上述した種々の効果の確実性を高めることができる。
【0013】
(数3)
(a/2)tan(γ/2)<z<b ・・・・・・(1)
【0014】
(数4)
z=(a+d)tan(γ/2)−c ・・・・・・(2)
【0015】
また、上記本発明における表示装置は、前記制限部材が、前記光源の前記表示領域側及びその反対側の少なくとも一方に配置された遮光部材である態様(第2の態様)とするのも好ましい。上記第2の態様によれば、簡単な構成で、検出光の発散を制限することができる。
【0016】
上記第2の態様では、前記制限部材となる前記遮光部材が、前記光源の前記表示領域側及びその反対側に配置され、前記光源は、出射された前記検出光の最も輝度の高い方向が、前記表示領域に対して平行な方向となるように配置されていても良い。また、上記第2の態様では、前記制限部材となる前記遮光部材が、前記光源の前記表示領域側に配置され、前記光源は、出射された前記検出光の最も輝度の高い方向が、前記表示領域の裏側において前記表示領域から次第に遠ざかる方向となるように配置されていても良い。更に、上記第2の態様では、前記制限部材となる前記遮光部材が、前記光源の前記表示領域側の反対側に配置され、前記光源は、出射された前記検出光の最も輝度の高い方向が、前記観察者側において前記表示領域から次第に遠ざかる方向となるように配置されていても良い。
【0017】
また、上記本発明における表示装置においては、前記制限部材がレンズ素子であり、前記レンズ素子は、その光軸が、出射された前記検出光の最も輝度の高い方向と一致するように配置されている態様(第3の態様)とするのも好ましい。上記第3の態様によれば、検出光の利用効率を一層高めることができる。
【0018】
また、上記本発明における表示装置においては、前記光源が、700nm以上の波長の光を出射する発光ダイオードであり、前記撮像部が、700nm以上の波長の光のみを受光するとするのが好ましく、特には、前記光源が、800nm以上1000nm以下の波長の光を照射し、前記撮像部が、800nm以上の波長の光のみを受光するとするのが好ましい。このようにした場合は、可視光によるノイズを除去でき、更なる撮像画像の高解像度化を図ることができる。
【0019】
また、上記本発明における表示装置において、前記表示パネルは、液晶表示パネルであっても良いし、EL表示パネルであっても良い。
【0020】
(実施の形態)
以下、本発明の実施の形態における表示装置について、図1〜図4を参照しながら説明する。最初に、本実施の形態における表示装置の全体構成について図1及び図2を用いて説明する。図1は、本発明の実施の形態における表示装置の全体の概略構成を示す断面図である。図2は、図1に示す表示装置の主要部分の位置関係を示す分解斜視図である。
【0021】
図1及び図2に示すように、本実施の形態における表示装置は、光透過性を有する表示パネル2と、結像光学系を有する撮像部4と、検出光源部7とを備えている。検出光源部7は、表示パネル2の観察者側へ検出光を出射する光源15を備えている。また、検出光源部7は、表示パネル2の観察者側において、表示領域3の周辺に配置されている。
【0022】
本実施の形態では、光源15は発光ダイオードである。また、光源15が出射する検出光の波長は、可視領域以外の領域に設定されているのが好ましい。検出光の波長については後述する。また、各検出光源部7は、それと対向する位置にある検出光源部7へ向けて検出光を出射する。
【0023】
また、本実施の形態では、検出光源部7は、4つ配置されている。各検出光源部7は、表示領域3のいずれかの辺に沿って、表示領域3を囲むように配置されている(図2参照)。但し、検出光源部7の数は特に限定されるものではない。例えば、検出光源部7の数が二つであって、対向する2辺にのみ検出光源部7が配置された態様であっても良い。
【0024】
また、図1及び図2に示すように、撮像部4は、観察者側から表示パネル2に入射し、且つ、表示パネル2及び結像光学系(後述の図4参照)を通過する検出光を受光して、表示パネル2の観察者側における状態を撮像する。具体的には、撮像部4は、検出光源部7から出射され、その後、被写体1で反射されて表示パネル2に入射した検出光を、結像光学系(図3参照)を介して受光することによって、被写体1を撮像する。
【0025】
このような構成により、本実施の形態における表示装置によれば、発熱量の減少化、静音化及び小型化を達成でき、しかも、撮像部4が結像光学系を備えるため、従来の入力機能を備えた表示装置に比べて、高解像度の画像の取り込みを達成できる。
【0026】
また、本実施の形態では、表示パネル2の観察者側に透明板14が配置されており、表示パネルの表示領域3は透明板14によって覆われている。撮像部4は、主に、透明板14の観察者側の主面に接触にしている物体や、透明板14の観察者側の主面の近傍に位置している物体を、被写体1として撮像する。
【0027】
また、透明板14は、それと表示領域3との間に空間22が形成されるように設置される。更に、検出光源部7は、検出光が空間15から透明板14の観察者側へと出射されるように、空間15内に配置されている。このため、透明板14の観察者側の主面に接触にしている物体や、透明板14の観察者側の主面の近傍に位置している物体、即ち、撮像対象となる物体の表示領域側の部分に効率良く検出光が照射される。本実施の形態では、透明板14の観察者側の主面がセンシング面となる。
【0028】
なお、透明板14は、例えば、アクリル板やガラス板といった透明の材料によって形成された板材であれば良い。透明板14の透過率は100%である必要はなく、100%に満たなくても良い。
【0029】
また、本実施の形態では、表示パネル2は液晶表示パネルであり、表示装置は液晶表示装置である。また、表示パネル2が液晶表示パネルであるため、表示パネルの裏面には、バックライト装置5が配置されている。
【0030】
表示パネル2は、アクティブマトリクス基板2cと、液晶層2bと、フィルタ基板(対向基板)2aとを備えている。液晶層2bは、アクティブマトリクス基板2cとフィルタ基板2aとによって挟み込まれている。液晶層2bを封止するためのシールについては、図示を省略している。また、フィルタ基板2a及びアクティブマトリクス基板2cそれぞれにおける液晶層2b側の反対側の面には、図示していないが、偏光板が設けられている。
【0031】
アクティブマトリクス基板2cには、マトリクス状に配置された複数のアクティブ素子(図示せず)が形成されている。アクティブ素子は画素を構成しており、画素が設けられた領域と厚み方向において重なる領域が、表示領域3となっている。また、アクティブマトリクス基板2cには、図示していないが、ゲート駆動回路やソース駆動回路といった駆動回路が設けられている。フィルタ基板2aには、各画素に対応する複数のカラーフィルタ(図示せず)や、対向電極が形成されている。
【0032】
なお、表示パネル2は、光透過性を備えたものであれば良い。表示パネル2としては、その他、EL表示パネルが挙げられる。表示パネル2がEL表示パネルである場合は、EL表示パネルが自発光であるため、バックライト装置を配置する必要はない。更に、この場合は、表示パネル2は、例えば、透明基板上に、透明電極(アノード)となるITO(Indium Tin Oxide)膜、正孔輸送層、電子輸送層、背面電極(カソード)等を順に積層して構成される。
【0033】
バックライト装置5は、直下型のバックライト装置であり、複数の蛍光ランプ6と、光学層13とを備えている。複数の蛍光ランプ6は、バスタブ型の筐体8に、互いに平行な状態で配置されている(図2参照)。また、筐体8の内面には反射シートが貼付されている。光学層13は、拡散板9、拡散シート10、プリズムシート11、反射/偏光シート12を順に積層して形成されている。
【0034】
また、本実施の形態では、撮像部4の光学的撮像距離(結像光学系の焦点距離)を稼ぐため、表示パネル2とバックライト装置5とは、従来の液晶表示装置に比べて距離を置いて配置される。具体的には、表示パネル2とバックライト装置5とは、フレーム21によって、一定の距離Lを置いて保持されており、これらの間には空洞が存在している。また、撮像部4もフレーム21に保持されている。
【0035】
例えば、表示パネル2の大きさが30インチ程度であるならば、表示パネル2とバックライト装置5との距離Lは15cm程度に設定される。表示パネル2とバックライト装置5との間には、表示装置の強度を高めるため、透明の樹脂材料を充填する等しても良い。
【0036】
更に、表示パネル2とバックライト装置5との距離が大きいため、図1及び図2に示すように、バックライト装置5は、その発光領域の面積が表示領域3の面積よりも大きくなるように構成するのが好ましい。これは、表示パネル2とバックライト装置5との距離が大きいと、表示パネル2の照射領域が減少する傾向にあるからである。
【0037】
また、図1及び図2に示すように、撮像部4は複数個設けておくのが好ましい。この場合、複数個の撮像部4は、それぞれが異なる領域を撮像するように配置される。このような構成とすると、単一の撮像部しか設けられない場合に比べて、撮像部4それぞれの撮像領域を狭くすることができ、撮像部4が求める光学的撮像距離を短くすることができる。よって、単一の撮像部しか設けられない場合に比べて、表示パネル2とバックライト装置5との間の距離を短くでき、表示装置の薄型化を図ることができる。
【0038】
ここで、撮像部4の構成について図3を用いて具体的に説明する。図3は、図1及び図2に示した表示装置に備えられた撮像部の概略構成を示す断面図である。図3に示すように、本実施の形態においては、撮像部4は、結像光学系を構成するレンズ素子30と、レンズ素子30によって結像された像を受光する固体撮像素子32と、設定波長以上の波長の光のみを透過させる光学フィルタ31とを備えている。固体撮像素子32は、CCD固体撮像素子や、MOS型固体撮像素子といった固体撮像素子である。光学フィルタ31の機能については後述する。
【0039】
レンズ素子30と固体撮像素子32とは、いわゆるシフト光学系を構成している。具体的には、固体撮像素子32及びレンズ素子30は、固体撮像素子32の受光面の中心を通る法線32aとレンズ素子30の光軸30aとが平行となり、且つ、光軸30aが法線32aからシフトした状態でフレーム33に保持されている。更に、図1及び図2に示したように、撮像部4は、固体撮像素子32の受光面が表示領域3に対して平行となり、且つ、固体撮像素子32の法線32aがレンズ素子30の光軸30aよりも表示領域3の外側に位置するように配置される。
【0040】
このように、本実施の形態では、シフト光学系が採用されているため、固体撮像素子32の受光面には、台形歪みの少ない像が結像される。よって、本実施の形態によれば、撮像部4が出力した撮像データに対して、台形歪みを改善するための補正を行うことなく、画質の優れた画像を得ることができる。
【0041】
なお、撮像部4の構成は、図3に示す例に限定されるものではなく、固体撮像素子32の受光面の中心を通る法線32aとレンズ素子30の光軸30aとが一致するものであっても良い。但し、法線32aと光軸30aとを一致させた場合は、これらを表示領域に向けて傾斜させた状態で、撮像部4を配置する必要がある。
【0042】
また、本発明でいう「結像光学系」とは、表示パネルの表面近傍(本実施の形態では、透明板14の観察者側の主面近傍)と撮像部の受光面とに焦点を有し、表示パネルの表面近傍の像を受光面に結像させるレンズ系をいう。図3の例では、結像光学系は、レンズ素子30のみによって構成されているが、複数のレンズ素子を備えたレンズ群で構成されていても良い。但し、シフト光学系を構成する場合は、結像光学系は、斜め光が蹴られずにレンズ系を透過するように設計されている必要がある。この場合、結像光学系は、シフト光学系が構成されない場合に比べて、大口径のレンズ系によって構成する必要がある。
【0043】
次に、検出光源部7の構成について、図4及び図5を用いて具体的に説明する。図4は、図1に示した断面図の一部を拡大して示す部分断面図である。図5は、図1及び図2に示した検出光源部の概略構成を示す図であり、図5(a)は検出光の出射方向に沿って切断した断面図、図5(b)は正面図である。
【0044】
本実施の形態においては、図5(a)及び(b)に示すように、検出光源部7は、並列に配置された複数個の光源15を備えている。各光源15それぞれの出射方向は一致している。また、光源15としては、発光ダイオードが用いられている。更に、検出光源部7は、各光源15から出射された検出光の最も輝度の高い方向が、表示領域3に対して平行な方向となるように配置されている。なお、18は、検出光源部7のフレームであり、19は、各光源15をフレーム15に固定する樹脂製の固定部材である。また、20は、透明の樹脂材料によって形成された導光路である。
【0045】
また、図4及び図5(b)に示すように、検出光源部7は、検出光の表示パネル2の厚み方向における発散度を制限する制限部材を備えている。本実施の形態では、板状の遮光部材16及び17が制限部材として用いられている。遮光部材17は、各光源15の表示領域3側に配置されており、遮光部材16は、各光源15の表示領域側の反対側、つまり透明板14側に配置されている。また、遮光部材16及び17の例としては、検出光を透過させない部材、例えば、検出光を反射させる反射部材や、検出光を吸収する吸収部材が挙げられる。このうち、光源15の発散度を制限するという観点からは、吸収部材が好ましい。
【0046】
よって、遮光部材16及び17により、光源15から出射された検出光の表示パネル2の厚み方向における出射角は、図1及び図4に示すように、角αから角γ(α>γ)へと狭められることとなる。また、この結果、検出光が表示領域3の周縁上において到達する高さ(透明板14の観察者側の主面からの高さ)は、制限されることとなる。ここで、制限部材による効果について以下に説明する。
【0047】
表示パネル2の観察者側に存在する被写体1を読み取るため、図1に示すように、撮像部4は表示パネル2の裏面側に配置するのが好ましい。一方、表示パネル2の裏面での反射による撮像への悪影響を防ぐため、図1に示すように、検出光源部7は、表示パネル2の観察者側に配置するのが好ましい。また、表示領域3全体に検出光を照射するため、光源15から出射された検出光は、表示パネル2の面方向において発散するのが好ましい。
【0048】
しかしながら、一般に、光は、進行方向に対して垂直な全ての方向に発散する。このため、光源15から出射された検出光は、表示パネル2の面方向のみならず、厚み方向においても発散する。このため、図1に示したように、検出光は、表示領域3から離れたところにも到達する。また、検出光が届く範囲内に存在する被写体は、全て、検出光を反射するため、表示領域3からの高さに関係なく撮像部4によって撮像されてしまう。
【0049】
この場合、撮像部4においては、被写体の表示領域3からの高さ(表示パネルの厚み方向における距離)に関する情報は得られないため、撮像された画像に基づいて、被写体がセンシング面に密着しているかどうかを判別することは困難である。よって、表示装置の撮像機能をタッチパネルとして利用することは難しいとも考えられる。また、このことは、実施の形態のように、検出光の利用効率を図るために、表示領域3の観察者側に透明板14を配置して、透明板14の観察者側の主面をセンシング面とした場合は、特に顕著となる。
【0050】
また、図1に示すように、表示領域3の中央部分と周縁部分とでは、検出光が届く範囲は異なる。このため、場所によって、必要ない被写体が撮像されたり、逆に、必要な被写体が撮像されなかったりといった、センシング精度が低いという問題が生じてしまう可能性がある。更に、各光源15から出射された検出光は、表示パネル2の裏面側へも発散するため、撮像部4に検出光が直接入射する可能性もある。この場合、撮像品位が低下してしまう。
【0051】
これに対して、本実施の形態においては、図1、図4及び図5(b)に示すように、遮蔽部材16及び17によって、各光源15から出射された検出光の表示パネル2の厚み方向における発散度が制限される。このため、表示パネル2の厚み方向において検出光が届く範囲を小さくでき、表示パネル2の表示領域3から離れた位置にある物体までもが撮像されてしまうのを抑制できる。よって、本実施の形態によれば、表示装置の撮像機能をタッチパネルとして利用することも可能となる。また、本実施の形態によれば、検出光が届く範囲のばらつきは小さくなるため、センシング精度の向上を図ることもできる。更に、撮像部4に検出光が直接入射するのを抑制できるため、撮像品位の低下も抑制できる。
【0052】
また、上述の効果を確実なものとするため、本実施の形態において、発散度が制限された検出光の表示パネル2の厚み方向における出射角γは、下記式(1)及び下記式(2)を満足するように設定されているのが好ましい。遮蔽部材16及び17は、出射角γが下記式(1)及び下記式(2)を満足するように形成するのが好ましい。
【0053】
(数5)
(a/2)tan(γ/2)<z<b ・・・・・・(1)
【0054】
(数6)
z=(a+d)tan(γ/2)−c ・・・・・・(2)
【0055】
上記式(1)及び(2)において、図1に示すように、aは、一の光源15に最も近い表示領域3の周縁上の点からそれに対向する別の周縁上の点までの距離である。本実施の形態では、表示領域3の形状が矩形であることから、aは表示領域3の一辺の長さに相当する。
【0056】
また、図1に示すように、bは、検出光が表示領域3の周縁の観察者側において到達できる高さ(透明板14の観察者側の主面が基準)の上限値である。bの値は、表示パネルの大きさに応じて予め設定される。例えば、表示パネル2の大きさが30インチ程度である場合は、bは5mm〜20mm程度に設定される。
【0057】
図1及び図4に示すように、cは、光源15の発光面の中心を含み、且つ、表示領域3に平行な面と、透明板14の観察者側の主面との距離である。また、本実施の形態では、光源15は、先端に球形の部分を有しており、先端の頂点が発光面の中心となる。
【0058】
図1及び図4に示すように、dは、一の光源15の発光面の中心を通り、且つ、表示領域3に垂直な線と、該一の光源15に最も近い表示領域の周縁上の点を通り、且つ、表示領域3に垂直な線との距離である。つまり、dは、観察者側から表示パネル2をみたときの、光源15の発光面の中心と表示領域3との距離に相当する。
【0059】
図1に示すように、zは、遮蔽部材16及び17によって発散が制限された検出光が、表示領域3の周縁の観察者側において到達している高さ(透明板14の観察者側の主面が基準)の最大値である。
【0060】
例えば、表示パネル2の大きさが30インチ、表示領域3のアスペクト比が16:9、表示領域3の長辺の長さが664mm、表示領域3の短辺の長さが374mmの場合は、出射角γの値は、以下の通りとなる。なお、bが10mm、cが5mm、dが20mmに設定されているとする。
【0061】
先ず、表示領域3の短辺に沿って配置された検出光源部7について考える。このとき、aは664mmとなるから、上記式(1)及び(2)は下記式(3)及び(4)のように書き換えることができる。
【0062】
(数7)
332tan(γ/2)<z<10 ・・・・・(3)
【0063】
(数8)
z=684tan(γ/2)−5 ・・・・・(4)
【0064】
そして、bより小さい範囲でzの採りうる範囲を決定し、上記(3)及び(4)から、zが決定された範囲で変動したときのγの変動する範囲を算出する。この場合、例えば、γ=0.8°〜1.3°と算出される。よって、表示領域3の短辺に沿って配置された検出光源部7においては、遮蔽部材16及び17は、γ=0.8°〜1.3°となるように形成すれば良い。
【0065】
次に、表示領域3の長辺に沿って配置された検出光源部7について考える。このとき、aは374mmとなるから、上記式(1)及び(2)は下記式(5)及び(6)のように書き換えることができる。
【0066】
(数9)
187tan(γ/2)<z<10 ・・・・・(5)
【0067】
(数10)
z=394tan(γ/2)−5 ・・・・・(6)
【0068】
そして、上述した短辺の場合と同様に、bより小さい範囲でzの採りうる範囲を決定し、上記(5)及び(6)から、zが決定された範囲で変動したときのγの変動する範囲を算出する。この場合は、例えば、γ=1.4°〜2.2°と算出される。よって、表示領域3の長辺に沿って配置された検出光源部7においては、遮蔽部材16及び17は、γ=1.4°〜2.2となるように形成すれば良い。
【0069】
また、本実施の形態において、検出光源部7の構成は、図1、図4及び図5に示した例に限定されるものではない。検出光源部7の他の例について図6〜図8を用いて説明する。図6〜図8は、本実施の形態における表示装置に用いることができる検出光源部の他の例を示す断面図である。なお、図6〜図8は、図4と同様に、表示装置の一部分を拡大して示している。
【0070】
図6の例では、光源15の表示領域3側のみに、制限部材となる遮光部材17が配置されている。また、光源15は、それから出射された検出光の最も輝度の高い方向(図中矢印で示す方向)が、表示領域3の裏側において表示領域3から次第に遠ざかる方向となるように配置されている。
【0071】
このように、図6の例は、光源15の出射方向を表示パネル2の裏面側に傾斜させることによって、検出光が表示領域3の周縁の観察者側において到達できる高さを制限している。一方、検出光の撮像部4への入射は、遮光部材17によって制限される。このため、図6の例を用いた場合も、図4及び図5に示した例と同様に、光源15から出射された検出光の表示パネル2の厚み方向における出射角は、角αから角γ(α>γ)へと狭められる。
【0072】
また、図7の例では、光源15の透明板14側のみに、制限部材16が配置されている。更に、光源15は、それから出射された検出光の最も輝度の高い方向が、表示領域3の観察者側において表示領域3から次第に遠ざかる方向となるように配置されている。
【0073】
このように、図7の例では、図6の例と異なり、遮光部材16によって、検出光が表示領域3の周縁の観察者側において到達できる高さが制限されている。また、図6の例と異なり、検出光の撮像部4への入射は、光源15の出射方向を表示パネル2の観察者側に傾斜させることによって制限されている。図7の例を用いた場合も、図6に示した例と同様に、光源15から出射された検出光の表示パネル2の厚み方向における出射角は、角αから角γ(α>γ)へと狭められる。
【0074】
図8の例では、図1、図4、図5、図6及び図7に示した例と異なり、制限部材として、レンズ素子23が用いられている。レンズ素子23は、その光軸が検出光の最も輝度が高い方向と一致するように配置されている。図8の例によれば、光源15から出射された検出光はレンズ素子23によって収束されるので、光源15から出射された検出光の表示パネル2の厚み方向における出射角は、角αから角γ(α>γ)へと狭められる。
【0075】
但し、図8の例では、検出光の面方向への広がりも制限される。よって、図8の例を採用する場合においては、図5〜図7の例を採用する場合よりも、光源15間のピッチを小さくし、より多くの光源15を搭載するのが好ましい。
【0076】
以上のように、図6〜図8に示した検出光源部7を用いた場合も、図1、図4及び図5に示した検出光源部7を用いた場合と同様に、検出光の出射角を小さくすることができる。よって、これらの場合においても、表示パネル2の表示領域3から離れた位置にある物体までもが撮像されてしまうのを抑制でき、表示装置のタッチパネルとしての利用を可能なものとできる。また、検出光が届く範囲のばらつきの抑制により、センシング精度の向上を図ることもできる。更に、撮像部4に検出光が直接入射するのを抑制できるため、撮像品位の低下も抑制できる。
【0077】
また、光源15から出射される検出光の波長は、特には限定されるものではないが、本実施の形態においては、上述したように、可視領域以外の領域に設定されているのが好ましい。具体的には、検出光の波長は、700nm以上、好ましくは800nm以上、特に好ましくは850nm以上に設定するのが良い。このような範囲に設定すると、表示パネル2が液晶表示パネルである場合に、液晶表示パネルを構成するカラーフィルタや偏光板に対する検出光の透過率を高めることができるからである。また、一般に、波長が1000nmを超える光を受光できる固体撮像素子は、高価であることから、検出光の波長の上限は、1000nm以下とするのが好ましい。
【0078】
また、検出光の波長が赤外領域に設定されている場合に、被写体1によって反射された可視光線が撮像部4に入射すると、この可視光線はノイズ成分となる。また、ここでいう可視光線としては、表示パネル2が液晶表示パネルの場合は、バックライトから出射され、表示パネル2を通過した照明光や、表示装置の外部からの光が挙げられる。このため、本実施の形態においては、図3に示した光学フィルタ31として、波長が700nm以上、好ましくは800nm以上、特に好ましくは850nm以上の光のみを透過させるハイパスフィルタを用いるのが良い。
【産業上の利用可能性】
【0079】
以上のように、本発明の表示装置は、入力機能を備えており、パーソナルコンピュータ、テレビ、ゲーム機器等の表示装置として有用であり、産業上の利用可能性を有している。
【図面の簡単な説明】
【0080】
【図1】図1は、本発明の実施の形態における表示装置の全体の概略構成を示す断面図である。
【図2】図2は、図1に示す表示装置の主要部分の位置関係を示す分解斜視図である。
【図3】図3は、図1及び図2に示した表示装置に備えられた撮像部の概略構成を示す断面図である。
【図4】図4は、図1に示した断面図の一部を拡大して示す部分断面図である。
【図5】図5は、図1及び図2に示した検出光源部の概略構成を示す図であり、図5(a)は検出光の出射方向に沿って切断した断面図、図5(b)は正面図である。
【図6】図6は、本実施の形態における表示装置に用いることができる検出光源部の他の例を示す断面図である。
【図7】図7は、本実施の形態における表示装置に用いることができる検出光源部の他の例を示す断面図である。
【図8】図8は、本実施の形態における表示装置に用いることができる検出光源部の他の例を示す断面図である。
【符号の説明】
【0081】
1 被写体
2 表示パネル
2a フィルタ基板
2b 液晶層
2c アクティブマトリクス基板
3 表示領域
4 撮像部
5 バックライト装置
6 蛍光ランプ
7 検出光源部
8 筐体
9 拡散板
10 拡散シート
11 プリズムシート
12 反射/偏光シート
13 光学層
14 透明板
15 検出光源部の光源
16、17 制限部材(遮蔽部材)
18 検出光源部のフレーム
19 固定部材
20 導光路
21 表示装置のフレーム
22 透明板と表示領域との間の空間
30、35 レンズ素子(結像光学系)
30a、35a 光軸
31 光学フィルタ
32 固体撮像素子
32a 固体撮像素子の受光面の中心を通る法線
33、36 撮像部のフレーム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光透過性を有する表示パネルと、結像光学系を有する撮像部と、前記表示パネルの観察者側へ検出光を出射する光源を有する検出光源部とを備え、
前記検出光源部は、前記表示パネルの観察者側における表示領域の周辺に配置され、且つ、前記検出光の前記表示パネルの厚み方向における発散度を制限する制限部材を備え、
前記撮像部は、観察者側から前記表示パネルに入射し、且つ、前記表示パネル及び前記結像光学系を通過する前記検出光を受光して、前記表示パネルの観察者側における状態を撮像することを特徴とする表示装置。
【請求項2】
前記表示パネルの観察者側に、前記表示パネルの表示領域を覆う透明板を備え、
前記透明板は、前記表示領域との間に空間が形成されるように配置され、
前記検出光源部は、前記検出光が前記空間から前記透明板の観察者側へと出射されるように、前記空間内に配置されている請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記制限部材が、前記光源の前記表示領域側及びその反対側の少なくとも一方に配置された遮光部材である請求項1または2に記載の表示装置。
【請求項4】
前記制限部材となる前記遮光部材が、前記光源の前記表示領域側及びその反対側に配置され、
前記光源は、出射された前記検出光の最も輝度の高い方向が、前記表示領域に対して平行な方向となるように配置されている請求項3に記載の表示装置。
【請求項5】
前記制限部材となる前記遮光部材が、前記光源の前記表示領域側に配置され、
前記光源は、出射された前記検出光の最も輝度の高い方向が、前記表示領域の裏側において前記表示領域から次第に遠ざかる方向となるように配置されている請求項3に記載の表示装置。
【請求項6】
前記制限部材となる前記遮光部材が、前記光源の前記表示領域側の反対側に配置され、
前記光源は、出射された前記検出光の最も輝度の高い方向が、前記観察者側において前記表示領域から次第に遠ざかる方向となるように配置されている請求項3に記載の表示装置。
【請求項7】
前記制限部材がレンズ素子であり、
前記レンズ素子は、その光軸が、出射された前記検出光の最も輝度の高い方向と一致するように配置されている請求項1または2に記載の表示装置。
【請求項8】
前記光源に最も近い前記表示領域の周縁上の点からそれに対向する別の前記周縁上の点までの距離をaとし、
前記検出光が前記表示領域の周縁の観察者側において到達できる、前記透明板の観察者側の主面からの高さの上限値をbとし、
前記光源の発光面の中心を含み、且つ、前記表示領域に平行な面と、前記透明板の観察者側の主面との距離をcとし、
前記光源の発光面の中心を通り、且つ、前記表示領域に垂直な線と、前記光源に最も近い前記表示領域の周縁上の点を通り、且つ、前記表示領域に垂直な線との距離をdとし、
前記検出光が前記表示領域の周縁の観察者側において到達している、前記透明板の観察者側の主面からの高さの最大値をzとしたときに、
前記制限部材によって発散度が制限された前記検出光の前記表示パネルの厚み方向における出射角γが、下記式(1)及び下記式(2)を満足するように設定されている請求項2に記載の表示装置。
(数1)
(a/2)tan(γ/2)<z<b ・・・・・・(1)
(数2)
z=(a+d)tan(γ/2)−c ・・・・・・(2)
【請求項9】
前記光源が、700nm以上の波長の光を出射する発光ダイオードであり、
前記撮像部が、700nm以上の波長の光のみを受光する請求項1〜8のいずれかに記載の表示装置。
【請求項10】
前記光源が、800nm以上1000nm以下の波長の光を照射し、
前記撮像部が、800nm以上の波長の光のみを受光する請求項9に記載の表示装置。
【請求項11】
前記表示パネルが、液晶表示パネルまたはEL表示パネルである請求項1〜請求項10のいずれかに記載の表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2007−156647(P2007−156647A)
【公開日】平成19年6月21日(2007.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−348369(P2005−348369)
【出願日】平成17年12月1日(2005.12.1)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】