説明

表示装置

【課題】従来の2枚以上の表示パネルを横に並べた大画面表示パネルは、表示パネルの枠の非表示部の幅が大きい、または、表示パネルの表示部の端部が目立って表示画像が不連続に見えてしまうという課題があった。
【解決手段】第二表示素子の端部の上に透明な表示部からなる自発光型の第一表示素子を重ねて大画面表示を行う。第一表示素子の裏面には透明と不透明が表示できる第三表示素子を配置し、第三表示素子は第一表示素子の表示している画素の下は不透明表示とし、前記第一表示素子と第二表示素子が重なる部分に、不透明表示の境界線が位置するようにする。これにより、第一及び第二表示素子の境界線が目立つことなく大画面表示を行うことが可能になるとともに、使用しないときは小さく収容できる携帯端末装置が実現できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、テレビや携帯電話や携帯端末などに用いられる表示装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯電話などの携帯端末装置に使用される表示素子(ディスプレイ)は大型化が進み、ディスプレイサイズは3インチ以上のものが多くなってきている。しかし、これ以上大きくすると持ち運びにくく携帯性が犠牲になるため、さらなる大型化には限界があった。
【0003】
2枚以上の表示パネルを横に並べてつなぎ合わせて大画面表示を行い、使用しないときには折り畳む構造にすることで携帯性が高く大画面表示が可能な折畳み型表示装置が実現できる。
【0004】
図6は従来の折畳み型の大画面表示パネルの構造の一例である。表示パネルには非表示の枠部分が存在するため、2枚の表示パネルを単に横に並べただけでは境界に隙間(非表示部)が存在してしまう。そこで、2枚の表示パネル(19と9)の端を重ねて段差をつける。上に重ねた方の表示パネル19の枠にあたる非表示部分12を透明材料にすることによって、2枚の表示パネル間に隙間のない大型表示が可能になる。使用しないときはヒンジ22を中心に折り畳むことで小型になる。(例えば参考文献1)
また、表示パネル上にマイクロレンズを形成し、表示パネルからの光線を曲げることによって、横に並べた表示パネルの境界の隙間が無くなったように見せることができる。(例えば参考文献2)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−10811
【特許文献2】特開2006−174435
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述の特許文献1の折畳み型表示装置は、上に重ねた方の表示パネルの非表示部を透明にすることで2枚の表示パネル間の隙間がなくなるが、表示パネルの端部の境界線を見えなくすることはできない。なぜなら、表示素子の表示部(または、EL素子またはバックライトなどの発光部)の裏面から光が漏れないようにするために、図6に示すように、表示素子19の裏面に反射板または遮光板20が存在するからである。この反射板または遮光板は、裏面へ光が漏れないようにするため、表示素子の発光部と同じか少し大きいサイズとなっている。従って、反射板(遮光板)の端部の境界線21が表示パネル表面側から見えてしまう。
【0007】
一方、上述の特許文献2の方法では、表示パネルの端部で発光する光をマイクロレンズにより、少なくとも2枚の表示パネルの非表示の枠の幅の分だけ曲げる必要がある。この枠の幅の分だけ曲げるためにはマイクロレンズと表示パネルの距離やマイクロレンズの焦点距離を、この幅に相当する分だけ大きくする必要があり、表示パネル全体の厚さが非常に厚くなってしまう。また、マイクロレンズが数多く必要となることから高価になる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
次に、上記の課題を解決するための手段について述べる。
【0009】
本発明の表示装置は、表示部が透明な自発光素子からなる第一表示素子と、第二表示素子を有し、前記第一表示素子の表示部の一部が、前記第二表示素子の表示部の端部の重畳領域上に重なるように配置され、前記第一表示素子と前記第二表示素子で一つの表示情報を表示し、前記第一表示素子と前記第二表示素子は、前記重畳領域では同一情報を表示する。
【0010】
さらに、前記第一表示素子とほぼ同じサイズで、かつ透明状態と不透明状態を表示することが可能な複数の画素で構成された第三表示素子を有し、前記第三表示素子は、前記第二表示素子の上であって、かつ前記第一表示素子の裏面上にほぼ重なるように一体化され、前記表示情報を表示しているときは、前記第三表示素子は、前記第一表示素子の表示部の下の前記重畳領域以外は不透明表示とする。
【0011】
また、本発明の表示装置を有する携帯端末装置は、スライドする上筐体と、下筐体からなるスライド型携帯端末装置であり、前記上筐体は第一表示素子を有し、前記下筐体は第二表示素子を有し、前記携帯端末装置が閉状態においては、前記第一表示素子は前記第二表示素子の上にほぼ重なる状態で収容され、前記携帯端末装置が開状態においては、前記第一表示素子は前記第二表示素子の上をスライドして移動し、前記第一表示素子の端部と前記第二表示素子が前記重畳領域で重なったところで固定した状態で前記表示情報を表示する。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、2枚以上の表示パネルを組合せて大画面表示を行うとともに、使用しないときは小さく収容が可能な表示パネルが実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施の形態1の携帯端末装置の表示装置のブロック構成図
【図2】本発明の実施の形態1のスライド型携帯端末装置の断面構造図
【図3】本発明の実施の形態1の表示装置の表示方法の説明図
【図4】本発明の実施の形態1の表示装置の表示方法の説明図
【図5】本発明の実施の形態1のスライド型携帯端末装置の概略構造図
【図6】従来の大画面表示装置を含む携帯端末装置の概略断面図
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。
(実施の形態1)
図1は、本発明の大画面表示装置のブロック構成図である。
【0015】
本表示装置は、主制御手段1、表示画像制御手段2、第一表示素子3、第二表示素子4、第三表示素子5、筐体開閉検出手段6を有する。筐体開閉検出手段6はスライド型携帯端末装置の上筐体が開状態か閉状態かを検出するものである。表示画像制御手段2は、筐体開閉検出手段6からの筐体開閉状態の信号に応じて、第一表示素子3、第二表示素子4及び第三表示素子5を制御する。具体的な制御方法は後述する。
【0016】
以下、本実施の形態では本発明の大画面表示装置をスライド型携帯端末装置に適用した場合を例に説明するが、その他、カーナビゲーションやテレビなどの一般的な表示装置に適用した場合も同様である。
【0017】
図2は、スライド型携帯端末装置の断面構造図である。図2(1)はスライドを開状態にしたとき、(2)は閉状態のときの断面構造図である。すなわち、図2(1)、(2)は、図5に示すスライド型携帯端末装置のA−A‘の断面図を示す。
【0018】
上筐体の上面には第一表示素子3が配置されている。第一表示素子3は透明な自発光表示素子であり、各画素は非表示の場合には画素が透明であるが、表示した場合には両面発光する。この透明な自発光表示素子は、例えば、ガラス基板上に形成された有機エレクトロルミネッセンス(EL)素子や無機EL素子と透明電極などにより実現できる。
【0019】
なお、本実施の形態1において、透明とは、光の透過率が少なくとも約10%以上の場合を指すものとする。
【0020】
第一表示素子3は表示部7と非表示部8からなり、ガラス基板などの透明な材料で構成されている。上筐体12も透明なガラスやアクリル材料で構成されていて、少なくとも、第一表示素子3の上面と、スライド端末が開状態のときに上筐体と下筐体の重なる部分は透明材料とする。
【0021】
上筐体の下面、すなわち、スライドを閉じたときに下筐体と接する面には、第三表示素子5を有する。第三表示素子5は、透明と不透明を表現することが可能な複数の画素からなる表示素子である。この表示素子は、例えば、液晶層をガラスと二枚の偏光フィルムで挟んだ液晶表示素子などである。モノクロ液晶素子でもカラー液晶素子でも構わないが、カラー液晶素子はカラーフィルターが必要なことから、モノクロ液晶素子に比べて透過光が小さく表示画面が暗くなるため、モノクロ液晶素子の方が望ましい。
【0022】
図2のように第一表示素子3と第三表示素子5はほぼ同じサイズを有していて、それぞれが、ほぼぴったり重なるように一体化されている。
【0023】
下筐体の上面には第二表示素子4が配置されている。第二表示素子4は表示部9と非表示部10からなり、例えば、カラーの液晶素子(LCD)やEL素子などである。
【0024】
第一表示素子3と第二表示素子4は、開状態において表示部の一部が重なるように配置されている。この重なり部分を重畳領域13と呼ぶ。
【0025】
図2(1)のようにスライドが開状態では、第一表示素子3と第二表示素子4を利用して、第一表示素子のほぼ2倍のサイズの大画面表示を行う。
【0026】
図2(2)のようにスライドが閉状態では、第一表示素子または第二表示素子を用いて表示を行う。第一表示素子で表示する場合は第二表示素子をオフにし、第二表示素子で表示する場合には第一表示素子を透明にすることによっていずれの表示も可能である。
【0027】
次に、大画面表示のときの表示方法について図3を用いて説明する。
【0028】
第一表示素子3と第二表示素子の重なり部分にあたる重畳領域13においては、第一表示素子3と第二表示素子4は同一表示情報を表示させることで、第一表示素子と第二表示素子の表示情報を結合する。このように、連続した大画面の表示情報を2つの表示素子を用いて表示することができる。
【0029】
重畳領域13を設ける理由は、2つの表示素子の境界線を目立たなくするためである。
【0030】
第一表示素子3は裏面に反射板や遮光板がないので、第一表示素子の表示部8の端部の境界線はない。さらに、第一表示素子の端部とその下の第二表示素子が同一表示情報を発光表示しているため、表示情報が連続的に結合されて境界を目立たなくなる。一方、第二表示素子の端部の境界線は第一表示素子3の発光部の下に隠れるため目立たない。
【0031】
なお、第一表示素子3は透明表示素子なので、黒画素が表現できない。従って、重畳領域における第一表示素子の黒画素は裏面に配置されている第二表示素子で表示する必要があり第二表示素子は重畳領域においても表示を行うことが必要である。
【0032】
次に、第一表示素子の下に配置された第三表示素子の動作について説明する。第一表示素子3は透明なので黒画素が表現できない。従って、第三表示素子5の画素のうち、第一表示素子の表示部8の直下にある画素(非重畳領域14)を不透明表示にすることにより、黒画素を第三表示素子で表現することが可能となる。
【0033】
但し、図3に示すように、重畳領域13の一部6は透明表示とする。すなわち、第三表示素子5の不透明表示の画素の端部は重畳領域13の中に位置するようにする。
【0034】
このようにすることで、不透明表示(黒画素)の端部の境界線が重畳領域の中に配置されることになり、第一表示素子の表示部8に隠れて見えなくすることができる。
【0035】
図4に第三表示素子の表示方法のもう一つの例を示す。第三表示素子5の不透明表示の画素の端部にグレー表示領域17を設け、このグレー表示領域は重畳領域の中に位置する。不透明表示画素の端部をグレー表示にすることで境界線を、図3のときよりもさらに目立たなくすることができる。
【0036】
なお、このグレー表示領域は図4(2)に示すように白画素と黒画素のまだら模様にしても構わない。
【0037】
このように、スライド型携帯端末装置の開状態において、上記の第一表示素子と第二表示素子を用いて表示情報を大画面で表示することが可能となり、使用しないときはスライドを閉状態にすることで大画面表示装置の小型収容が可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0038】
本発明は収容可能な大画面表示装置として有用であり、テレビ、携帯電話、携帯端末、カーナビゲーション、等々の様々な電子機器に利用可能である。
【符号の説明】
【0039】
1 主制御手段
2 表示画像制御手段
3 第一表示素子
4 第二表示素子
5 第三表示素子
6 筐体開閉検出手段
7 第一表示素子の表示部
8 第一表示素子の非表示部
9 第二表示素子の表示部
10 第二表示素子の非表示部
11 下筐体
12 上筐体
13 重畳領域
14 非重畳領域
15 第三表示素子の不透明表示領域
16 第三表示素子の透明表示領域
17 グレー表示領域
18 キー
19 従来の表示素子
20 反射板または遮光板
21 従来の表示素子の端部の境界線
22 ヒンジ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示部が透明な自発光素子からなる第一表示素子と、第二表示素子を有し、
前記第一表示素子の表示部の一部が、前記第二表示素子の表示部の端部の重畳領域上に重なるように配置され、前記第一表示素子と前記第二表示素子で一つの表示情報を表示し、前記第一表示素子と前記第二表示素子は、前記重畳領域では同一情報を表示することを特徴とする、表示装置。
【請求項2】
前記第一表示素子とほぼ同じサイズで、かつ透明状態と不透明状態を表示することが可能な複数の画素で構成された第三表示素子を有し、前記第三表示素子は、前記第二表示素子の上であって、かつ前記第一表示素子の裏面上にほぼ重なるように一体化され、前記表示情報を表示しているときは、前記第三表示素子は、前記第一表示素子の表示部の下の前記重畳領域以外は不透明表示とすることを特徴とする、請求項1記載の表示装置。
【請求項3】
画面表示中において、前記第三表示素子の不透明表示領域が前記重畳領域と一部重なっていることを特徴とする請求項2記載の表示装置。
【請求項4】
画面表示中において、前記重畳領域内にある前記不透明表示領域の端部に、グレー表示があることを特徴とする請求項3に記載の表示装置。
【請求項5】
画面表示中において、前記重畳領域内にある前記不透明表示領域の端部に、まだら模様の白黒表示があることを特徴とする請求項3記載の表示装置。
【請求項6】
前記第一表示素子を二つ以上有することを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項7】
スライドする上筐体と、下筐体からなるスライド型携帯端末装置において、前記上筐体は第一表示素子を有し、前記下筐体は第二表示素子を有し、前記携帯端末装置が閉状態においては、前記第一表示素子は前記第二表示素子の上にほぼ重なる状態で収容され、前記携帯端末装置が開状態においては、前記第一表示素子は前記第二表示素子の上をスライドして移動し、前記第一表示素子の端部と前記第二表示素子が前記重畳領域で重なったところで固定した状態で前記表示情報を表示することを特徴とする、請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の大画面表示装置を含む携帯端末装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−75823(P2011−75823A)
【公開日】平成23年4月14日(2011.4.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−226941(P2009−226941)
【出願日】平成21年9月30日(2009.9.30)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】