表示装置
【課題】簡易な構成により、スペックルノイズの発生を低減することが可能な表示装置を提供する。
【解決手段】この携帯型プロジェクタ100(表示装置)は、レーザ光を出力する赤色LD12、青色LD13および緑色LD14と、レーザ光を走査させることにより、任意の投影領域に複数の画素からなる画像を投影するスキャナミラー17と、複数の画素のうち一部の画素に対して、レーザの発振初期においてレーザ光の出力が不安定になる緩和振動の領域を含むレーザ光を出力するとともに、複数の画素のうち一部の画素以外の画素に対して、緩和振動の領域を含まないレーザ光を出力する制御を行うレーザ制御部15とを備える。
【解決手段】この携帯型プロジェクタ100(表示装置)は、レーザ光を出力する赤色LD12、青色LD13および緑色LD14と、レーザ光を走査させることにより、任意の投影領域に複数の画素からなる画像を投影するスキャナミラー17と、複数の画素のうち一部の画素に対して、レーザの発振初期においてレーザ光の出力が不安定になる緩和振動の領域を含むレーザ光を出力するとともに、複数の画素のうち一部の画素以外の画素に対して、緩和振動の領域を含まないレーザ光を出力する制御を行うレーザ制御部15とを備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、表示装置に関し、特に、レーザ光を出力するレーザ光発生部を備える表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、レーザ光を出力するレーザ光発生部を備える表示装置が知られている(たとえば、特許文献1参照)。
【0003】
上記特許文献1には、レーザ光を出力するレーザ光源(レーザ光発生部)と、レーザ光が干渉することに起因して生じるスペックルノイズ(被投影部に現れる白い点状のむら)の発生を低減するためにレーザ光の位相を変換する液晶空間光変調器とを備えるレーザ刻印装置(表示装置)が開示されている。この特許文献1によるレーザ刻印装置では、レーザ光源がレーザ光を出力し続けるとともに、出力されたレーザ光を液晶空間光変調器に通過させることによりレーザ光の位相を変換することによって、スペックルノイズの発生を低減することが可能なように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3475947号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1によるレーザ刻印装置では、レーザ光源から出力されたレーザ光を液晶空間光変調器に通過させることによりレーザ光の位相を変換することによって、スペックルノイズの発生を低減するため、レーザ光の位相を変換するための専用の液晶空間光変調器が必要であり、レーザ刻印装置(表示装置)の構成が複雑化するという問題点がある。
【0006】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この発明の1つの目的は、簡易な構成により、スペックルノイズの発生を低減することが可能な表示装置を提供することである。
【課題を解決するための手段および発明の効果】
【0007】
この発明の一の局面による表示装置は、レーザ光を出力するレーザ光発生部と、レーザ光を走査させることにより、任意の投影領域に複数の画像形成要素からなる画像を投影する投影部と、複数の画像形成要素のうち一部の第1画像形成要素に対して、レーザの発振初期においてレーザ光の出力が不安定になる緩和振動の領域を含む第1レーザ光を出力するとともに、複数の画像形成要素のうち第1画像形成要素以外の第2画像形成要素に対して、緩和振動の領域を含まない第2レーザ光を出力する制御を行う制御部とを備える。
【0008】
この発明の一の局面による表示装置では、上記のように、複数の画像形成要素のうち一部の第1画像形成要素に対して、レーザの発振初期においてレーザ光の出力が不安定になる緩和振動の領域を含む第1レーザ光を出力する制御を行うことによって、緩和振動の領域を含む安定した波長ではない第1レーザ光により、レーザ光の干渉が発生するのを抑制することができるので、効果的にスペックルノイズの発生を低減することができる。また、第1レーザ光の緩和振動の領域を用いてスペックルノイズの発生を低減することによって、レーザ光の位相を変換するための専用の液晶空間光変調器などを設ける構成とは異なり、制御部により緩和振動の領域を含む第1レーザ光を出力する制御を行うだけで、容易に、スペックルノイズの発生を低減することができるので、装置の構成が複雑化するのを抑制することができる。これらの結果、この表示装置では、簡易な構成により、スペックルノイズの発生を低減することができる。また、複数の画像形成要素のうち一部の第1画像形成要素に対して、レーザの発振初期においてレーザ光の出力が不安定になる緩和振動の領域を含む第1レーザ光を出力するとともに、複数の画像形成要素のうち第1画像形成要素以外の第2画像形成要素に対して、緩和振動の領域を含まない第2レーザ光を出力する制御を行うことによって、出力が不安定な第1レーザ光に加えて、出力が安定した第2レーザ光も合わせて出力されるので、出力が不安定な第1レーザ光のみを出力する場合に比べて、投影領域に投影される画像の輝度が低下するのを抑制することができる。
【0009】
上記一の局面による表示装置において、好ましくは、制御部は、複数の画像形成要素からなる画像の所定のフレーム数毎に、複数の画像形成要素からなる画像における第1画像形成要素および第2画像形成要素の位置を変更するように構成されている。このように構成すれば、フレームが切り替わることによって、スペックルノイズの発生が抑制される領域が画像全体にわたって分散(平均化)されるので、画像全体で効果的にスペックルノイズの発生を低減することができる。
【0010】
上記第1画像形成要素および第2画像形成要素の位置を変更する表示装置において、好ましくは、制御部は、複数の画像形成要素からなる画像の所定のフレーム数毎に、複数の画像形成要素からなる画像における第1画像形成要素および第2画像形成要素の位置をランダムに選択することにより画像の所定のフレーム数毎に、第1画像形成要素および第2画像形成要素の位置を変更するように構成されている。このように構成すれば、第1画像形成要素および第2画像形成要素の位置をランダムに選択して変更することにより、容易に、第1画像形成要素の位置と第2画像形成要素の位置とが同一の位置で固定されるのを抑制することができる。また、所定のフレーム数毎に第1画像形成要素および第2画像形成要素の位置をランダムに選択して変更することによって、第1画像形成要素および第2画像形成要素の位置の配置パターンを記憶するための記憶領域を設ける必要がない。
【0011】
上記第1画像形成要素および第2画像形成要素の位置を変更する表示装置において、好ましくは、制御部は、予め設定された所定の配置パターンに基づいて、複数の画像形成要素からなる画像の所定のフレーム数毎に、複数の画像形成要素からなる画像における第1画像形成要素および第2画像形成要素の位置を変更するように構成されている。このように構成すれば、たとえば、第1画像形成要素および第2画像形成要素の位置が画像全体にわたって満遍なく移動されるように所定の配置パターンを予め設定することによって、画像全体にわたって満遍なくスペックルノイズの発生を抑制することができるので、画像全体でより効果的にスペックルノイズの発生を低減することができる。
【0012】
上記第1画像形成要素および第2画像形成要素の位置を所定の配置パターンに基づいて変更する表示装置において、好ましくは、配置パターンは、所定のフレーム数の複数倍のフレーム数からなるフレーム期間の間に、第1レーザ光が複数の画像形成要素の各々に少なくとも1回出力されるように第1画像形成要素および第2画像形成要素の位置を変更するように構成されている。このように構成すれば、所定のフレーム数の複数倍のフレーム数からなるフレーム期間の間に、スペックルノイズの発生を低減する第1レーザ光が複数の画像形成要素の各々に少なくとも1回出力されることにより、輝度の低下を抑制しながら全ての画像形成要素の位置でスペックルノイズの発生を低減することができる。
【0013】
この場合において、好ましくは、第1画像形成要素および第2画像形成要素の配置パターンにおける1フレーム当りの第1画像形成要素の割合が1/nである場合に、フレーム期間は、所定のフレーム数のn倍以上の数のフレームからなるフレーム期間である。このように構成すれば、所定のフレーム数のn倍以上の数のフレームからなるフレーム期間内に全ての画像形成要素に対して1回(1/n×n=1)は第1画像形成要素が割り当てられる計算になるので、全ての画像形成要素の位置でスペックルノイズの発生を低減することができる。
【0014】
上記第1画像形成要素および第2画像形成要素の位置を所定の配置パターンに基づいて変更する表示装置において、好ましくは、第1画像形成要素および第2画像形成要素の配置パターンは、複数の画像形成要素からなる画像の走査方向の中心側部分よりも走査方向の両端側部分の方が、第1画像形成要素が配置される割合が高くなるように構成されている。ここで、走査方向の中心側部分よりも走査方向の両端側部分の方が走査速度が小さい分、走査方向の両端側部分に出力されるレーザ光の量は、走査方向の中心側部と比べて多い。この場合に、走査方向の両端側部分で第1画像形成要素が配置される割合が高くなるように構成すれば、走査方向の両端側部分で十分にスペックルノイズの発生を低減しながら十分な輝度を確保することができる。
【0015】
上記第1画像形成要素および第2画像形成要素の位置を所定の配置パターンに基づいて変更する表示装置において、好ましくは、第1画像形成要素および第2画像形成要素の配置パターンを記憶する記憶部をさらに備える。このように構成すれば、記憶部に記憶された第1画像形成要素および第2画像形成要素の配置パターンに基づいて、容易に、第1画像形成要素および第2画像形成要素の位置を予め設定された所定の配置パターンに配置することができる。
【0016】
上記第1画像形成要素および第2画像形成要素の位置を変更する表示装置において、好ましくは、複数の画像形成要素からなる画像の所定のフレーム数は、1枚である。このように構成すれば、1フレーム毎に複数の画像形成要素からなる画像における第1画像形成要素および第2画像形成要素の位置を変更することができるので、複数フレーム毎に第1画像形成要素および第2画像形成要素の位置を変更する場合と比べて、スペックルノイズの発生が抑制される領域を画像全体にわたってより分散(平均化)することができるので、画像全体で効果的にスペックルノイズの発生を低減することができる。
【0017】
上記一の局面による表示装置において、好ましくは、レーザ光発生部は、赤色レーザ光を出力する赤色レーザ光発生部と、緑色レーザ光を出力する緑色レーザ光発生部と、青色レーザ光を出力する青色レーザ光発生部とを含み、制御部は、青色レーザ光発生部、赤色レーザ光発生部および緑色レーザ光発生部の順に、緩和振動の領域を含む第1レーザ光に対応する第1画像形成要素の割合を大きくする制御を行うように構成されている。このように構成すれば、スペックルノイズが発生しにくい青色レーザ光発生部では、第1画像形成要素の割合を小さくする一方で、スペックルノイズが発生しやすい緑色レーザ光発生部では、第1画像形成要素の割合を大きくすることができるので、レーザの色に応じて効果的にスペックルノイズの発生を低減することができる。
【0018】
上記一の局面による表示装置において、好ましくは、複数の画像形成要素のうち一部の第1画像形成要素の割合と、複数の画像形成要素のうち第1画像形成要素以外の第2画像形成要素の割合とを、ユーザにより設定可能に構成されている。このように構成すれば、スペックルノイズの発生をより低減したい場合には、第1画像形成要素の割合を多し、画像の輝度をより確保したい場合には、第2画像形成要素の割合を多くするようにユーザ自らが設定を行うことができるので、ユーザが所望する画像(映像)を表示するように柔軟に対応することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の第1実施形態による携帯型プロジェクタの使用状態を示した図である。
【図2】本発明の第1実施形態による携帯型プロジェクタの構成を示したブロック図である。
【図3】本発明の第1実施形態による携帯型プロジェクタのレーザ制御部の構成を示したブロック図である。
【図4】本発明の第1実施形態による携帯型プロジェクタの緩和振動の領域を含むレーザ光を出力する際におけるレーザダイオードの電流と光出力との関係を示したタイミングチャートである。
【図5】本発明の第1実施形態による携帯型プロジェクタの緩和振動の領域を含まないレーザ光を出力する際におけるレーザダイオードの電流と光出力との関係を示したタイミングチャートである。
【図6】本発明の第1実施形態による携帯型プロジェクタにおいてレーザ光が出力される画素の位置をランダムに変更する例を説明するための模式図である。
【図7】本発明の第2実施形態による携帯型プロジェクタのレーザ制御部の構成を示したブロック図である。
【図8】本発明の第2実施形態による携帯型プロジェクタにおいてレーザ光が出力される画素の位置を配置パターンに対応して変更する例を説明するための模式図である。
【図9】本発明の第2実施形態による携帯型プロジェクタにおいて配置パターンが選択される順序を説明するための図である。
【図10】本発明の第3実施形態による携帯型プロジェクタのレーザ制御部の構成を示したブロック図である。
【図11】本発明の第3実施形態による携帯型プロジェクタのメモリの記憶量を削減する例を説明するための模式図である。
【図12】本発明の第4実施形態による携帯型プロジェクタのレーザ制御部の構成を示したブロック図である。
【図13】本発明の第4実施形態による携帯型プロジェクタのスキャナミラーが駆動する範囲と駆動する角速度との関係を説明するための模式図である。
【図14】本発明の第4実施形態による携帯型プロジェクタの緩和振動の領域を含むレーザ光の割合が走査方向で異なる場合の配置パターンを説明するための模式図である。
【図15】本発明の第5実施形態による携帯型プロジェクタのレーザ制御部の構成を示したブロック図である。
【図16】本発明の第5実施形態による携帯型プロジェクタにおいて、緩和振動の領域を含むレーザ光の出力を赤色LD、青色LDおよび緑色LDごとで異ならせる例を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明を具体化した実施形態を図面に基づいて説明する。
【0021】
(第1実施形態)
まず、図1〜図6を参照して、第1実施形態による携帯型プロジェクタ100の構成を説明する。なお、携帯型プロジェクタ100は、本発明の「表示装置」の一例である。
【0022】
本発明の第1実施形態による携帯型プロジェクタ100は、図1に示すように、赤色、緑色および青色の3色のレーザ光(RGBレーザ光)をXY平面からなる投影範囲2に投影するように構成されている。また、携帯型プロジェクタ100は、RGBレーザ光が走査されることによって、投影範囲2に複数の画素(画像形成要素)からなる映像(画像)を投影可能なように構成されている。また、携帯型プロジェクタ100は、映像入力インターフェース10(図2参照)を介して、パーソナルコンピュータ3と接続されることにより、パーソナルコンピュータ3から入力される映像を投影範囲(スクリーン)2に投影するように構成されている。また、携帯型プロジェクタ100は、ユーザ4が携帯した状態で使用することが可能なように構成されている。
【0023】
次に、携帯型プロジェクタ100の構成について説明する。携帯型プロジェクタ100は、図2に示すように、映像処理部11と、赤色のレーザ光を出力可能な赤色レーザダイオード(赤色LD)12と、青色のレーザ光を出力可能な青色レーザダイオード(青色LD)13と、緑色のレーザ光を出力可能な緑色レーザダイオード(緑色LD)14と、レーザ制御部15と、レーザドライバ16とを備えている。なお、赤色LD12、青色LD13および緑色LD14は、「レーザ光発生部」の一例であるとともに、それぞれ、本発明の「赤色レーザ光発生部」、「青色レーザ光発生部」および「緑色レーザ光発生部」の一例である。また、レーザ制御部15およびレーザドライバ16は、本発明の「制御部」の一例である。また、携帯型プロジェクタ100は、1つのスキャナミラー17と、スキャナミラー制御部18と、スキャナミラー17を駆動するスキャナミラードライバ19と、RGBレーザ光の有する階調を検出する光検出器20とをさらに備えている。また、携帯型プロジェクタ100の光学系としては、赤色LD12、青色LD13、緑色LD14、スキャナミラー17および光検出器20の他に、2つのハーフミラー21および22と、レンズ23とが設けられている。これら携帯型プロジェクタ100の構成要素は、プロジェクタ本体(筐体)1(図1参照)に収容されている。
【0024】
映像処理部11は、パーソナルコンピュータ3(図1参照)から入力された映像信号に基づいて、所定の時間間隔でビデオ信号データをレーザ制御部15に送信するように構成されている。これにより、レーザ制御部15は、ある所定の走査位置における画素(画像形成要素)情報を認識することが可能となる。
【0025】
ここで、第1実施形態では、レーザ制御部15は、映像処理部11により認識された画素情報に基づいて投影範囲2に複数の画素からなる映像を投影するために、レーザドライバ16を制御するように構成されている。また、レーザ制御部15は、安定した波長のレーザ光の干渉に起因して、投影範囲2に投影される映像に発生するスペックルノイズを低減するための処理を行うように構成されている。また、レーザ制御部15は、後述する緩和振動の領域を含む(スペックルノイズを低減するように駆動する領域を含む)レーザ光(図4参照)、および、緩和振動の領域を含まない(通常の駆動領域のみを含む)レーザ光(図5参照)が出力される所定の画素からなる映像の1フレーム毎に、緩和振動の領域を含むレーザ光が出力される位置、および、緩和振動の領域を含まないレーザ光が出力される位置をランダムに選択して変更するように構成されている。
【0026】
具体的には、レーザ制御部15は、図3に示すように、ランダムパターン生成回路としてのスペックルノイズ低減画素選択回路15aと、レーザ駆動電流生成回路15bとを含んでいる。スペックルノイズ低減画素選択回路15aは、緩和振動の領域を含むレーザ光(図4参照)、または、緩和振動の領域を含まないレーザ光(図5参照)のいずれかを映像中の所定の画素に対して選択的に出力する機能を有する。また、スペックルノイズ低減画素選択回路15aは、図6に示すように、1フレームの全画素のうち約33%の画素をランダムに選択して選択した画素に対して緩和振動の領域を含むレーザ光を出力する制御を行うように構成されている。
【0027】
すなわち、第1実施形態では、レーザ制御部15は、1フレーム毎にスペックルノイズの低減を行う画素として約33%(1/3)の画素が選択されるようにランダムパターンを生成するとともに、その生成されたランダムパターンに基づいて、スペックルノイズの低減を行う画素が選択されて、その選択された画素に対して緩和振動の領域を含むレーザ光が出力されるように構成されている。これにより、1フレーム毎にスペックルノイズの低減を行う画素が変更される。この場合、複数フレームからなる長いフレーム期間においてスペックルノイズの発生が抑制される領域を分散(平均化)することが可能となる。なお、生成されるランダムパターンは、フレーム毎に関連がなく、フレーム間で緩和振動の領域を含むレーザ光を出力する画素の位置が重なる場合がある。また、緩和振動の領域を含むレーザ光は、本発明の「第1レーザ光」の一例であり、緩和振動の領域を含まないレーザ光は、本発明の「第2レーザ光」の一例である。また、緩和振動の領域を含むレーザ光を出力する画素は、本発明の「第1画像形成要素」の一例であり、緩和振動の領域を含まないレーザ光を出力する画素は、本発明の「第2画像形成要素」の一例である。また、1フレームは、本発明の「所定のフレーム数」の一例である。
【0028】
上記のようにスペックルノイズ低減画素選択回路15aを構成することによって、レーザ駆動電流生成回路15bは、スペックルノイズ低減画素選択回路15aから出力された信号を受信するとともに、受信した信号に応じてレーザドライバ16に緩和振動の領域を含むレーザ光または緩和振動の領域を含まないレーザ光のレーザ駆動電流波形を出力することが可能となる。また、レーザドライバ16は、上述したレーザ制御部15による制御に基づいて、赤色LD12、青色LD13および緑色LD14を駆動するように構成されている。具体的には、レーザドライバ16は、緩和振動の領域を含むレーザ光を出力する場合には、赤色LD12、青色LD13および緑色LD14に対して発振しきい値電流Ith(図4参照)以上の大きさの電流を供給する制御、および、発振しきい値電流Ith未満の大きさに電流を下げる制御を繰り返し行うように構成されている。また、レーザドライバ16は、緩和振動の領域を含むレーザ光を出力する場合には、1つの画素につき1回発振しきい値電流Ith未満の大きさに電流を下げる制御を行うことにより、レーザ光の出力を停止するように構成されている。また、レーザドライバ16は、緩和振動の領域を含まないレーザ光を出力する場合には、赤色LD12、青色LD13および緑色LD14に対して発振しきい値電流Ith(図5参照)以上の大きさの電流を供給し続ける制御を行うように構成されている。
【0029】
また、赤色LD12、青色LD13および緑色LD14は、それぞれ、図4および図5に示すように、一般的なレーザダイオードの性質を有する。つまり、赤色LD12、青色LD13および緑色LD14は、それぞれ、供給される電流が一定値(発振しきい値電流Ith)以上である場合には、誘導放出による発光が行われる。これにより、赤色LD12、青色LD13および緑色LD14に対して発振しきい値電流Ith以上の電流が供給された場合には、レーザ光を出力することが可能となる。また、赤色LD12、青色LD13および緑色LD14に対して発振しきい値電流Ith未満の電流が供給された場合には、レーザ光の出力を停止することが可能となる。また、赤色LD12、青色LD13および緑色LD14は、それぞれ、供給される電流値が大きくなるのに従って、輝度の大きいレーザ光が出力されるように構成されている。
【0030】
ここで、第1実施形態では、赤色LD12、青色LD13および緑色LD14から出力されるレーザ光は、図4に示すように、レーザの発振初期において、レーザ光出力の形状が波形形状になる振動現象を示す。この波形形状は、レーザ光を出力する時間が経過するのに従って徐々に減衰する形状を示し、このレーザの発振初期におけるレーザ光が不安定になる振動現象は、緩和振動と呼ばれている。この緩和振動は、所定の期間(約3nsec)が経過すると一定の出力に収束する。また、緩和振動の領域は、レーザ光出力の形状が波形形状であることから、他のレーザ光との干渉を緩和することができ、その結果、スペックルノイズ(被投影部に現れる白い点状のむら)の発生を抑制することが可能である。したがって、第1実施形態の携帯型プロジェクタ100では、緩和振動の領域を含むレーザ光を出力することにより、スペックルノイズの発生を低減するように構成されている。なお、第1実施形態では、緩和振動後のレーザ光の出力が安定した期間は、緩和振動の所定の期間よりも長くなるように設定されている。
【0031】
1つのスキャナミラー17は、スキャナミラードライバ19によりX軸およびY軸回りに駆動され、所定の振れ角で振動可能な小型の振動ミラー素子である。これにより、X方向およびY方向に走査可能である。また、スキャナミラー制御部18は、映像処理部11において認識されたある所定の走査位置における画素情報に基づいて、スキャナミラードライバ19を制御するように構成されている。つまり、スキャナミラー17は、スキャナミラー制御部18による制御に基づいて、投影範囲2全体にわたってジグザグに(Y方向に高さ位置をずらしながらX方向に(図1参照))RGBレーザ光を走査するように振動させられるように構成されている。なお、スキャナミラー17は、本発明の「投影部」の一例である。
【0032】
また、光検出器20は、赤色LD12、青色LD13および緑色LD14からレーザ光を検出可能に配置されている。また、光検出器20は、レーザ制御部15と接続されており、検出されたレーザ光の階調をレーザ制御部15に出力するように構成されている。また、レーザ制御部15は、光検出器20から入力された階調に基づいて、走査位置における画素情報と比較して正しい階調か否かを判断するとともに、正しい階調でない場合には、正しい階調になるように赤色LD12、青色LD13および緑色LD14の出力(輝度)を調整するように構成されている。
【0033】
次に、携帯型プロジェクタ100の光学系の構成について説明する。図2に示すように、ハーフミラー21は、青色のレーザ光と緑色のレーザ光とが直角に交差する位置に配置されている。このハーフミラー21は、青色のレーザ光を透過するとともに、緑色のレーザ光を反射するように構成されている。また、ハーフミラー22は、ハーフミラー21を通過した青色のレーザ光および緑色のレーザ光と赤色のレーザ光とが直角に交差する位置に配置されている。ハーフミラー22は、青色のレーザ光および緑色のレーザ光の一部を光検出器20側に反射させるとともに、青色のレーザ光および緑色のレーザ光の一部以外の残りをレンズ23側に透過させるように構成されている。また、ハーフミラー22は、赤色のレーザ光の一部を光検出器20側に透過させるとともに、赤色のレーザ光の一部以外の残りをレンズ23側に反射させるように構成されている。また、レンズ23は、赤色のレーザ光、青色のレーザ光および緑色のレーザ光の光軸を揃えて所定の階調を有するRGBレーザ光にする機能を有する。また、レンズ23において光軸が揃えられたRGBレーザ光は、スキャナミラー17により反射されることによって投影範囲2に向けて走査されるように構成されている。
【0034】
第1実施形態では、上記のように、複数の画像形成要素(画素)のうち一部の画素に対して、レーザの発振初期においてレーザ光の出力が不安定になる緩和振動の領域を含むレーザ光を出力する制御を行うことによって、緩和振動の領域を含む安定した波長ではないレーザ光により、レーザ光の干渉が発生するのを抑制することができるので、効果的にスペックルノイズの発生を低減することができる。また、緩和振動の領域を含むレーザ光の緩和振動の領域を用いてスペックルノイズの発生を低減することによって、レーザ光の位相を変換するための専用の液晶空間光変調器などを設ける構成とは異なり、レーザ制御部15およびレーザドライバ16により緩和振動の領域を含むレーザ光を出力する制御を行うだけで、容易に、スペックルノイズの発生を低減することができるので、装置の構成が複雑化するのを抑制することができる。これらの結果、この携帯型プロジェクタ100では、簡易な構成により、スペックルノイズの発生を低減することができる。また、複数の画像形成要素(画素)のうち一部の画素に対して、レーザの発振初期においてレーザ光の出力が不安定になる緩和振動の領域を含むレーザ光を出力するとともに、複数の画像形成要素(画素)のうち一部の画素以外の画素に対して、緩和振動の領域を含まないレーザ光を出力する制御を行うことによって、出力が不安定な緩和振動の領域を含むレーザ光に加えて、出力が安定した緩和振動の領域を含まないレーザ光も合わせて出力されるので、出力が不安定な緩和振動の領域を含むレーザ光のみを出力する場合に比べて、投影領域に投影される画像の輝度が低下するのを抑制することができる。
【0035】
また、第1実施形態では、上記のように、複数の画素からなる画像の1フレーム毎に、緩和振動の領域を含むレーザ光が出力される画素および緩和振動の領域を含まないレーザ光が出力される画素の位置を変更することによって、フレームが切り替わることによって、スペックルノイズの発生が抑制される領域が画像全体にわたって分散(平均化)されるので、画像全体で効果的にスペックルノイズの発生を低減することができる。
【0036】
また、第1実施形態では、上記のように、複数の画素からなる画像の1フレーム毎に、緩和振動の領域を含むレーザ光が出力される画素および緩和振動の領域を含まないレーザ光が出力される画素の位置をランダムに選択することにより画像の1フレーム毎に、緩和振動の領域を含むレーザ光が出力される画素および緩和振動の領域を含まないレーザ光が出力される画素の位置を変更することによって、緩和振動の領域を含むレーザ光が出力される画素および緩和振動の領域を含まないレーザ光が出力される画素の位置をランダムに選択して変更することにより、容易に、緩和振動の領域を含むレーザ光が出力される画素の位置と緩和振動の領域を含まないレーザ光が出力される画素の位置とが同一の位置で固定されるのを抑制することができる。また、画像の1フレーム毎に、緩和振動の領域を含むレーザ光が出力される画素および緩和振動の領域を含まないレーザ光が出力される画素の位置をランダムに選択して変更することによって、緩和振動の領域を含むレーザ光が出力される画素および緩和振動の領域を含まないレーザ光が出力される画素の位置の配置パターンを記憶するためのメモリなどを設ける必要がない。
【0037】
(第2実施形態)
次に、図7〜図9を参照して、第2実施形態について説明する。この第2実施形態による携帯型プロジェクタでは、1フレーム毎に、緩和振動の領域を含むレーザ光が出力される画素および緩和振動の領域を含まないレーザ光が出力される画素の位置をランダムに選択して変更する上記第1実施形態と異なり、予め設定された画素の配置パターンに基づいて、緩和振動の領域を含むレーザ光が出力される画素および緩和振動の領域を含まないレーザ光が出力される画素の位置を変更する例について説明する。
【0038】
第2実施形態では、レーザ制御部115は、図7に示すように、配置パターン生成回路115aと、配置パターン生成回路115aにより生成された配置パターン(パターン1、2および3)を記憶するメモリ115bと、メモリ115bから配置パターンを選択するパターン選択回路115cとを含んでいる。このレーザ制御部115は、予め設定された緩和振動の領域を含む(スペックルノイズを低減するように駆動する領域を含む)レーザ光、および、緩和振動の領域を含まない(通常の駆動領域のみを含む)レーザ光を出力する画素の配置パターンに基づいて、映像の1フレーム毎に、予め設定された緩和振動の領域を含むレーザ光、および、緩和振動の領域を含まないレーザ光を出力する画素の位置を変更するように構成されている。なお、メモリ115bは、本発明の「記憶部」の一例である。
【0039】
配置パターン生成回路115aは、緩和振動の領域を含むレーザ光、および、緩和振動の領域を含まないレーザ光を出力する画素の配置パターン(図8参照)を生成する機能を有する。また、配置パターン生成回路115aは、図8に示すように、緩和振動の領域を含むレーザ光を、映像の1フレームにつき略均一に約33%(1/3)の割合で出力させる制御を行うように構成されている。また、配置パターン生成回路115aは、3(n=3)フレーム分の配置パターンを生成するように構成されている。このように、1フレーム当りに緩和振動の領域を含むレーザ光が約33%(1/n=1/3)の割合で含まれる配置パターンを生成するように設定されている場合には、1フレームの3(n=3)倍のフレーム数からなるフレーム期間の間に、緩和振動の領域を含むレーザ光が全ての画素において1回出力される。第2実施形態の場合、配置パターンは、画像中の全ての画素において、必ず1回は緩和振動の領域を含むレーザ光が出力されるように構成されている。なお、緩和振動の領域を含むレーザ光は、本発明の「第1レーザ光」の一例であり、緩和振動の領域を含まないレーザ光は、本発明の「第2レーザ光」の一例である。また、緩和振動の領域を含むレーザ光を出力する画素は、本発明の「第1画像形成要素」の一例であり、緩和振動の領域を含まないレーザ光を出力する画素は、本発明の「第2画像形成要素」の一例である。また、1フレームは、本発明の「所定のフレーム」の一例である。
【0040】
また、第2実施形態では、メモリ115bは、配置パターン生成回路115aにより生成された配置パターンを記憶する機能を有する。また、パターン選択回路115cは、図9に示すように、メモリ115bから配置パターンをパターン1、パターン2およびパターン3の順番で選択する機能を有する。そして、レーザ制御部115は、図7に示すように、映像処理部11から出力された映像データとパターン選択回路115cにより選択された配置パターンとに基づくレーザ駆動電流波形をレーザドライバ16に出力する制御を行うように構成されている。
【0041】
第2実施形態では、上記のように、複数の画像形成要素(画素)のうち一部の画素に対して、レーザの発振初期においてレーザ光の出力が不安定になる緩和振動の領域を含むレーザ光を出力する制御を行うことによって、第1実施形態と同様に、簡易な構成により、スペックルノイズの発生を低減することができるとともに、投影領域に投影される画像の輝度が低下するのを抑制することができる。
【0042】
また、第2実施形態では、上記のように、予め設定された配置パターンに基づいて、複数の画素からなる画像(映像)の1フレーム毎に、1フレームの映像における緩和振動の領域を含むレーザ光および緩和振動の領域を含まないレーザ光が出力される画素の位置を変更することによって、緩和振動の領域を含むレーザ光および緩和振動の領域を含まないレーザ光が出力される画素の位置が画像全体にわたって満遍なく移動されるように配置パターンを予め設定することによって、画像全体にわたって満遍なくスペックルノイズの発生を抑制することができるので、画像全体でより効果的にスペックルノイズの発生を低減することができる。
【0043】
また、第2実施形態では、上記のように、配置パターンにおける1フレーム当りの緩和振動の領域を含むレーザ光が出力される画素の割合が1/3である場合に、フレーム期間は、1フレームの3倍の数のフレーム(3フレーム)からなるように構成することによって、1フレームの3倍の数のフレーム(3フレーム)からなるフレーム期間内に全ての画素に1回(1/3×3=1)は緩和振動の領域を含むレーザ光が出力される画素が割り当てられる計算になるので、全ての画素の位置でスペックルノイズの発生を低減することができる。
【0044】
また、第2実施形態では、上記のように、緩和振動の領域を含むレーザ光が出力される画素および緩和振動の領域を含まないレーザ光が出力される画素の配置パターンを記憶するメモリ115bを設けることによって、メモリ115bに記憶された緩和振動の領域を含むレーザ光が出力される画素および緩和振動の領域を含まないレーザ光が出力される画素の配置パターンに基づいて、容易に、緩和振動の領域を含むレーザ光が出力される画素および緩和振動の領域を含まないレーザ光が出力される画素の位置を予め設定された配置パターンに配置することができる。
【0045】
(第3実施形態)
次に、図10および図11を参照して、第3実施形態について説明する。この第3実施形態による携帯型プロジェクタでは、映像の1フレーム全体についての緩和振動の領域を含むレーザ光が出力される画素および緩和振動の領域を含まないレーザ光が出力される画素の配置パターンを生成する上記第2実施形態と異なり、1フレームを複数に分割した画素数分の配置パターンを生成するとともに、1フレームを複数に分割した画素数分の配置パターンを繋ぎ合わせることにより、1フレーム分の緩和振動の領域を含むレーザ光が出力される画素および緩和振動の領域を含まないレーザ光が出力される画素の配置パターンを生成する例について説明する。
【0046】
第3実施形態では、レーザ制御部215は、図10に示すように、配置パターン生成回路215aと、配置パターン生成回路215aにより生成された配置パターン(A、BおよびCパターン(図11参照))を記憶するメモリ215bと、メモリ215bから配置パターンを選択するパターン選択回路215cとを含んでいる。このレーザ制御部215は、予め設定された緩和振動の領域を含む(スペックルノイズを低減するように駆動する領域を含む)レーザ光、および、緩和振動の領域を含まない(通常の駆動領域のみを含む)レーザ光を出力する画素の配置パターンに基づいて、映像の1フレーム毎に、予め設定された緩和振動の領域を含むレーザ光、および、緩和振動の領域を含まないレーザ光を出力する画素の位置を変更するように構成されている。なお、メモリ215bは、本発明の「記憶部」の一例である。
【0047】
配置パターン生成回路215aは、緩和振動の領域を含むレーザ光、および、緩和振動の領域を含まないレーザ光を出力する画素の配置パターン(図11参照)を生成する機能を有する。また、配置パターン生成回路215aは、図11に示すように、1フレームのうちの1/4フレームにつき、緩和振動の領域を含むレーザ光を約33%の割合で出力させるパターンを生成するように構成されている。そして、レーザ制御部215は、1/4フレーム単位で生成した配置パターン(たとえば、配置パターンA)を4枚繋ぎ合わせることにより、1フレーム分の緩和振動の領域を含むレーザ光が出力される画素および緩和振動の領域を含まないレーザ光が出力される画素の配置パターンを生成するように構成されている。これにより、生成するパターンの量が1/4になるので、メモリの使用量を削減することが可能となる。
【0048】
また、レーザ制御部215は、緩和振動の領域を含むレーザ光が約33%(1/n=1/3)の割合で含まれる配置パターンを生成するように設定されている場合には、配置パターンAを4枚繋ぎ合わせた配置パターンの他に、配置パターンBを4枚繋ぎ合わせた配置パターンおよび配置パターンCを4枚繋ぎ合わせた配置パターンの3(n=3)フレーム分の配置パターンを生成するように構成されている。この配置パターンでは、3フレームからなるフレーム期間の間に、緩和振動の領域を含むレーザ光が全ての画素において1回出力される。なお、緩和振動の領域を含むレーザ光は、本発明の「第1レーザ光」の一例であり、緩和振動の領域を含まないレーザ光は、本発明の「第2レーザ光」の一例である。また、緩和振動の領域を含むレーザ光を出力する画素は、本発明の「第1画像形成要素」の一例であり、緩和振動の領域を含まないレーザ光を出力する画素は、本発明の「第2画像形成要素」の一例である。
【0049】
また、第3実施形態では、メモリ215bは、配置パターン生成回路215aにより生成された配置パターンを記憶する機能を有する。また、パターン選択回路215cは、図11に示すように、メモリ215bから配置パターンをAパターン、BパターンおよびCパターンの順番で選択する機能を有する。そして、レーザ制御部215は、図10に示すように、映像データと、パターン選択回路215cにより選択された配置パターン(Aパターン、BパターンおよびCパターンのいずれか)が4枚繋ぎ合わされた配置パターンとに基づくレーザ駆動電流波形をレーザドライバ16に出力する制御を行うように構成されている。
【0050】
第3実施形態では、上記のように、複数の画像形成要素(画素)のうち一部の画素に対して、レーザの発振初期においてレーザ光の出力が不安定になる緩和振動の領域を含むレーザ光を出力する制御を行うことによって、第1実施形態および第2実施形態と同様に、簡易な構成により、スペックルノイズの発生を低減することができるとともに、投影領域に投影される画像の輝度が低下するのを抑制することができる。
【0051】
また、第3実施形態では、上記のように、1フレームのうちの1/4フレームにつき、緩和振動の領域を含むレーザ光を約33%の割合で出力させるパターンを生成するとともに、1/4フレーム単位で生成した配置パターンを4枚繋ぎ合わせることにより、1フレーム分の緩和振動の領域を含むレーザ光が出力される画素および緩和振動の領域を含まないレーザ光が出力される画素の配置パターンを生成することによって、生成する画素の配置パターンのデータ量が1フレーム全体分を生成する場合と比べて、1/4のサイズにすることができるので、メモリの使用量を低減することができる。
【0052】
(第4実施形態)
次に、図1、図2および図12〜図14を参照して、第4実施形態について説明する。この第4実施形態による携帯型プロジェクタでは、緩和振動の領域を含むレーザ光が出力される画素および緩和振動の領域を含まないレーザ光が出力される画素の配置パターンを、映像の1フレームについて略均一に生成する第2実施形態と異なり、映像の走査方向の中心側部分よりも走査方向の両端側部分の方が、緩和振動の領域を含むレーザ光が出力される画素が配置される割合が高くなるように配置パターンを生成する例について説明する。
【0053】
第4実施形態では、レーザ制御部315は、図12に示すように、配置パターン生成回路315aと、配置パターン生成回路315aにより生成された配置パターンを記憶するメモリ315bと、メモリ315bから配置パターンを選択するパターン選択回路315cとを含んでいる。このレーザ制御部315は、予め設定された緩和振動の領域を含む(スペックルノイズを低減するように駆動する領域を含む)レーザ光、および、緩和振動の領域を含まない(通常の駆動領域のみを含む)レーザ光を出力する画素の配置パターンに基づいて、映像の1フレーム毎に、予め設定された緩和振動の領域を含むレーザ光、および、緩和振動の領域を含まないレーザ光を出力する画素の位置を変更するように構成されている。なお、メモリ315bは、本発明の「記憶部」の一例である。
【0054】
また、第4実施形態では、図13に示すように、スキャナミラー17(図2参照)は、RGBレーザ光を走査する速度を変化させながら複数の画素(画像形成要素)からなる映像(画像)を投影するように構成されている。具体的には、スキャナミラー17が投影範囲2の水平方向(X方向(図1参照))に振動される角速度は、投影範囲2の水平方向(X方向)の中心部分近傍Aで最も大きくなるとともに、投影範囲2の水平方向(X方向)の両端部近傍Bで最も小さくなるように構成されている。つまり、スキャナミラー17が投影範囲2の水平方向(X方向(図1参照))に振動させられる場合に、投影範囲2の水平方向(X方向)の中心部分近傍Aにおける走査速度は、投影範囲2の水平方向(X方向)の両端部近傍Bにおける走査速度よりも大きくなるように構成されている。
【0055】
また、図12に示すように、配置パターン生成回路315aは、緩和振動の領域を含むレーザ光、および、緩和振動の領域を含まないレーザ光を出力する画素の配置パターン(図14参照)を生成する機能を有する。また、配置パターン生成回路315aは、図14に示すように、フレームを走査方向に3分割した中心部分の画素に対して、緩和振動の領域を含むレーザ光を約33%(1/3)の割合で出力させる制御を行うように構成されている。また、配置パターン生成回路315aは、フレームを走査方向に3分割した両端部分の画素に対して、緩和振動の領域を含むレーザ光を50%(1/2)の割合で出力させる制御を行うように構成されている。なお、緩和振動の領域を含むレーザ光は、本発明の「第1レーザ光」の一例であり、緩和振動の領域を含まないレーザ光は、本発明の「第2レーザ光」の一例である。また、緩和振動の領域を含むレーザ光を出力する画素は、本発明の「第1画像形成要素」の一例であり、緩和振動の領域を含まないレーザ光を出力する画素は、本発明の「第2画像形成要素」の一例である。
【0056】
第4実施形態では、上記のように、複数の画像形成要素(画素)のうち一部の画素に対して、レーザの発振初期においてレーザ光の出力が不安定になる緩和振動の領域を含むレーザ光を出力する制御を行うことによって、第1〜第3実施形態と同様に、簡易な構成により、スペックルノイズの発生を低減することができるとともに、投影領域に投影される画像の輝度が低下するのを抑制することができる。
【0057】
また、第4実施形態では、上記のように、緩和振動の領域を含むレーザ光および緩和振動の領域を含まないレーザ光が出力される画素の配置パターンを、映像の走査方向の中心側部分よりも走査方向の両端側部分の方が、緩和振動の領域を含むレーザ光が出力される画素が配置される割合が高くなるように構成する。ここで、走査方向の中心側部分よりも走査方向の両端側部分の方が走査速度が小さい分、走査方向の両端側部分に出力されるレーザ光の量は、走査方向の中心側部と比べて多い。この場合に、走査方向の両端側部分で緩和振動の領域を含むレーザ光が出力される画素が配置される割合が高くなるように構成すれば、走査方向の両端側部分で十分にスペックルノイズの発生を低減しながら十分な輝度を確保することができる。
【0058】
(第5実施形態)
次に、図2、図4、図5、図15および図16を参照して、第5実施形態について説明する。この第5実施形態による携帯型プロジェクタでは、緩和振動の領域を含むレーザ光を出力する際には、レーザ光の色に関わらず、赤色LD12、青色LD13および緑色LD14の全てで緩和振動の領域を含むようにレーザ光を出力する第1実施形態と異なり、緩和振動の領域を含むレーザ光をレーザ光の色ごとに対応して出力する例について説明する。
【0059】
第5実施形態では、レーザ制御部415は、図15に示すように、スペックルノイズ低減画素選択回路415aと、レーザ駆動電流生成回路415bとを含んでいる。スペックルノイズ低減画素選択回路415aは、緩和振動の領域を含むレーザ光、または、緩和振動の領域を含まないレーザ光のいずれかを映像中の所定の画素に対して出力する選択を行う機能を有する。また、スペックルノイズ低減画素選択回路415aは、図16に示すように、映像データに対応して、赤色LD12、青色LD13および緑色LD14ごとに緩和振動の領域を含むレーザ光を出力する制御を行うように構成されている。
【0060】
緩和振動の領域を含むレーザ光を出力する割合は、最もスペックルノイズの発生が生じやすい緑色LD14、2番目にスペックルノイズの発生が生じやすい赤色LD12および最もスペックルノイズの発生が生じにくい青色LD13の順番に高い。すなわち、第5実施形態では、緑色LD14の緩和振動の領域を含むレーザ光は、50%〜100%の割合の範囲で出力されるように構成されている。また、赤色LD12の緩和振動の領域を含むレーザ光は、30%〜80%の割合の範囲で出力されるように構成されている。また、青色LD13の緩和振動の領域を含むレーザ光は、0%〜50%の割合の範囲で出力されるように構成されている。
【0061】
また、第5実施形態では、緩和振動の領域を含むレーザ光を出力する場合には、緑色LD14、赤色LD12および青色LD13は、それぞれ、緩和振動の領域を含まないレーザ光を出力する場合と比べて出力が大きくなるように出力される。具体的には、図4の出力電流と時間とに囲まれた面積S1(図4の斜線部)が図5の出力電流と時間とに囲まれた面積S2(図5の斜線部)と同じ面積になるように、緩和振動の領域を含むレーザ光を出力する電流は、大きくなるように調整される。これにより、緩和振動の領域を含むレーザ光を出力する場合にも、緩和振動の領域を含まないレーザ光を出力する場合と比べても、十分な光量を確保することが可能となる。
【0062】
第5実施形態では、上記のように、複数の画像形成要素(画素)のうち一部の画素に対して、レーザの発振初期においてレーザ光の出力が不安定になる緩和振動の領域を含むレーザ光を出力する制御を行うことによって、第1〜第4実施形態と同様に、簡易な構成により、スペックルノイズの発生を低減することができるとともに、投影領域に投影される画像の輝度が低下するのを抑制することができる。
【0063】
また、第5実施形態では、上記のように、レーザ制御部415を、青色LD13、赤色LD12および緑色LD14の順に、緩和振動の領域を含むレーザ光に対応する画素の割合を大きくする制御を行うように構成することによって、スペックルノイズが発生しにくい青色LD13では、緩和振動の領域を含むレーザ光が出力される画素の割合を小さくする一方で、スペックルノイズが発生しやすい緑色LD14では、緩和振動の領域を含むレーザ光が出力される画素の割合を大きくすることができるので、レーザの色に応じて効果的にスペックルノイズの発生を低減することができる。
【0064】
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【0065】
たとえば、上記第1〜第5実施形態では、本発明の表示装置の一例としての携帯型プロジェクタに本発明を適用した例について示したが、本発明はこれに限られない。レーザ光を出力する表示装置であれば、たとえば、据え置き型のレーザプロジェクタなどの表示装置にも本発明を適用可能である。
【0066】
また、上記第1〜第5実施形態では、1フレーム毎に画素の位置を変更する例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、たとえば、複数フレーム毎に画素の位置を変更するようにしてもよい。
【0067】
また、上記第1〜第4実施形態では、緩和振動の領域を含むレーザ光が出力される画素の割合を約33%(1/3)に設定する例について示したが、本発明はこれに限られない。緩和振動の領域を含むレーザ光が出力される画素の割合が0%より大きく、かつ、100%よりも小さければ、緩和振動の領域を含むレーザ光が出力される画素の割合をいずれの割合に設定してもよい。
【0068】
また、上記第2〜第4実施形態では、緩和振動の領域を含むレーザ光が出力される画素の割合を約33%(1/3)に設定するとともに、3種類のパターンを生成した例について示したが、本発明はこれに限られない。緩和振動の領域を含むレーザ光が出力される画素の割合が1/nである場合にn種類のパターンを生成するのであれば、nがn=3以外の値であってもよい。
【0069】
また、上記第3実施形態では、1フレームのうちの1/4フレームについて配置パターンを生成した例を示したが、本発明はこれに限られない。1フレームを分割して配置パターンを生成するのであれば、1/4フレーム単位で配置パターンを生成しなくてもよい。
【0070】
また、上記第5実施形態では、1フレームを走査方向に3分割して緩和振動の領域を含むレーザ光が出力される画素の割合を分割した領域ごとに異ならせる例について示したが、本発明はこれに限られない。1フレームを走査方向に4分割以上に分割して緩和振動の領域を含むレーザ光が出力される画素の割合を分割した領域ごとに異ならせるようにしてもよい。
【0071】
また、上記第1〜第5実施形態では、投影部として振動可能な小型の振動ミラー素子であるスキャナミラーを用いた例を示したが、本発明はこれに限られない。レーザ光を走査可能なものであれば、ミラー素子以外の部材を用いてもよい。
【0072】
また、上記第1〜第5実施形態では、レーザ光発生部として赤色LD12、青色LD13および緑色LD14を用いることによって、RGBレーザ光を投影領域2に投影した例を示したが、本発明はこれに限らず、レーザ光発生部を、1つのLD(レーザダイオード)からRGBレーザ光を発生させるように構成してもよい。また、レーザ光発生部を、単色のレーザ光のみを発生させるように構成してもよいし、2色または4色以上のレーザ光を発生させるように構成してもよい。
【0073】
また、上記第1〜第5実施形態では、赤色LD12、青色LD13および緑色LD14を1つずつ設けることによりRGBレーザ光を出力した例について示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、赤色LD、青色LDおよび緑色LDのうち少なくともいずれかの色のLDを複数設けることにより、RGBレーザ光を出力しても良い。たとえば、緑色LDのみを2つ設けることにより、RGGBレーザ光としてレーザ光を出力するようにしてもよい。
【0074】
また、上記第1〜第5実施形態では、1つのスキャナミラー17をX軸およびY軸回りに駆動することにより、1つのスキャナミラー17のみでレーザ光をX軸およびY軸回りに駆動することによりX方向およびY方向に走査する例について示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、Y軸回りに駆動することによりレーザ光をX方向に走査するY軸駆動ミラーと、X軸回りに駆動することによりレーザ光をY方向に走査するX軸駆動ミラーとの2つのミラーを設けることにより、レーザ光をX方向およびY方向に走査するようにしてもよい。
【0075】
また、上記第1〜第5実施形態では、映像入力インターフェースを介してパーソナルコンピュータから入力された映像を投影領域に投影する例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、メモリーカードに記憶された映像データをカードスロットを介して入力するとともに入力された映像を投影領域に投影するなど、外部機器からの信号入力以外の方法により映像を入力するとともに、入力された映像を投影領域に投影するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0076】
12 赤色LD(レーザ光発生部、赤色レーザ光発生部)
13 青色LD(レーザ光発生部、青色レーザ光発生部)
14 緑色LD(レーザ光発生部、緑色レーザ光発生部)
15、115、215、315、415 レーザ制御部(制御部)
16 レーザドライバ(制御部)
17 スキャナミラー(投影部)
100 携帯型プロジェクタ(表示装置)
115b、215b、315b メモリ(記憶部)
【技術分野】
【0001】
この発明は、表示装置に関し、特に、レーザ光を出力するレーザ光発生部を備える表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、レーザ光を出力するレーザ光発生部を備える表示装置が知られている(たとえば、特許文献1参照)。
【0003】
上記特許文献1には、レーザ光を出力するレーザ光源(レーザ光発生部)と、レーザ光が干渉することに起因して生じるスペックルノイズ(被投影部に現れる白い点状のむら)の発生を低減するためにレーザ光の位相を変換する液晶空間光変調器とを備えるレーザ刻印装置(表示装置)が開示されている。この特許文献1によるレーザ刻印装置では、レーザ光源がレーザ光を出力し続けるとともに、出力されたレーザ光を液晶空間光変調器に通過させることによりレーザ光の位相を変換することによって、スペックルノイズの発生を低減することが可能なように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3475947号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1によるレーザ刻印装置では、レーザ光源から出力されたレーザ光を液晶空間光変調器に通過させることによりレーザ光の位相を変換することによって、スペックルノイズの発生を低減するため、レーザ光の位相を変換するための専用の液晶空間光変調器が必要であり、レーザ刻印装置(表示装置)の構成が複雑化するという問題点がある。
【0006】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この発明の1つの目的は、簡易な構成により、スペックルノイズの発生を低減することが可能な表示装置を提供することである。
【課題を解決するための手段および発明の効果】
【0007】
この発明の一の局面による表示装置は、レーザ光を出力するレーザ光発生部と、レーザ光を走査させることにより、任意の投影領域に複数の画像形成要素からなる画像を投影する投影部と、複数の画像形成要素のうち一部の第1画像形成要素に対して、レーザの発振初期においてレーザ光の出力が不安定になる緩和振動の領域を含む第1レーザ光を出力するとともに、複数の画像形成要素のうち第1画像形成要素以外の第2画像形成要素に対して、緩和振動の領域を含まない第2レーザ光を出力する制御を行う制御部とを備える。
【0008】
この発明の一の局面による表示装置では、上記のように、複数の画像形成要素のうち一部の第1画像形成要素に対して、レーザの発振初期においてレーザ光の出力が不安定になる緩和振動の領域を含む第1レーザ光を出力する制御を行うことによって、緩和振動の領域を含む安定した波長ではない第1レーザ光により、レーザ光の干渉が発生するのを抑制することができるので、効果的にスペックルノイズの発生を低減することができる。また、第1レーザ光の緩和振動の領域を用いてスペックルノイズの発生を低減することによって、レーザ光の位相を変換するための専用の液晶空間光変調器などを設ける構成とは異なり、制御部により緩和振動の領域を含む第1レーザ光を出力する制御を行うだけで、容易に、スペックルノイズの発生を低減することができるので、装置の構成が複雑化するのを抑制することができる。これらの結果、この表示装置では、簡易な構成により、スペックルノイズの発生を低減することができる。また、複数の画像形成要素のうち一部の第1画像形成要素に対して、レーザの発振初期においてレーザ光の出力が不安定になる緩和振動の領域を含む第1レーザ光を出力するとともに、複数の画像形成要素のうち第1画像形成要素以外の第2画像形成要素に対して、緩和振動の領域を含まない第2レーザ光を出力する制御を行うことによって、出力が不安定な第1レーザ光に加えて、出力が安定した第2レーザ光も合わせて出力されるので、出力が不安定な第1レーザ光のみを出力する場合に比べて、投影領域に投影される画像の輝度が低下するのを抑制することができる。
【0009】
上記一の局面による表示装置において、好ましくは、制御部は、複数の画像形成要素からなる画像の所定のフレーム数毎に、複数の画像形成要素からなる画像における第1画像形成要素および第2画像形成要素の位置を変更するように構成されている。このように構成すれば、フレームが切り替わることによって、スペックルノイズの発生が抑制される領域が画像全体にわたって分散(平均化)されるので、画像全体で効果的にスペックルノイズの発生を低減することができる。
【0010】
上記第1画像形成要素および第2画像形成要素の位置を変更する表示装置において、好ましくは、制御部は、複数の画像形成要素からなる画像の所定のフレーム数毎に、複数の画像形成要素からなる画像における第1画像形成要素および第2画像形成要素の位置をランダムに選択することにより画像の所定のフレーム数毎に、第1画像形成要素および第2画像形成要素の位置を変更するように構成されている。このように構成すれば、第1画像形成要素および第2画像形成要素の位置をランダムに選択して変更することにより、容易に、第1画像形成要素の位置と第2画像形成要素の位置とが同一の位置で固定されるのを抑制することができる。また、所定のフレーム数毎に第1画像形成要素および第2画像形成要素の位置をランダムに選択して変更することによって、第1画像形成要素および第2画像形成要素の位置の配置パターンを記憶するための記憶領域を設ける必要がない。
【0011】
上記第1画像形成要素および第2画像形成要素の位置を変更する表示装置において、好ましくは、制御部は、予め設定された所定の配置パターンに基づいて、複数の画像形成要素からなる画像の所定のフレーム数毎に、複数の画像形成要素からなる画像における第1画像形成要素および第2画像形成要素の位置を変更するように構成されている。このように構成すれば、たとえば、第1画像形成要素および第2画像形成要素の位置が画像全体にわたって満遍なく移動されるように所定の配置パターンを予め設定することによって、画像全体にわたって満遍なくスペックルノイズの発生を抑制することができるので、画像全体でより効果的にスペックルノイズの発生を低減することができる。
【0012】
上記第1画像形成要素および第2画像形成要素の位置を所定の配置パターンに基づいて変更する表示装置において、好ましくは、配置パターンは、所定のフレーム数の複数倍のフレーム数からなるフレーム期間の間に、第1レーザ光が複数の画像形成要素の各々に少なくとも1回出力されるように第1画像形成要素および第2画像形成要素の位置を変更するように構成されている。このように構成すれば、所定のフレーム数の複数倍のフレーム数からなるフレーム期間の間に、スペックルノイズの発生を低減する第1レーザ光が複数の画像形成要素の各々に少なくとも1回出力されることにより、輝度の低下を抑制しながら全ての画像形成要素の位置でスペックルノイズの発生を低減することができる。
【0013】
この場合において、好ましくは、第1画像形成要素および第2画像形成要素の配置パターンにおける1フレーム当りの第1画像形成要素の割合が1/nである場合に、フレーム期間は、所定のフレーム数のn倍以上の数のフレームからなるフレーム期間である。このように構成すれば、所定のフレーム数のn倍以上の数のフレームからなるフレーム期間内に全ての画像形成要素に対して1回(1/n×n=1)は第1画像形成要素が割り当てられる計算になるので、全ての画像形成要素の位置でスペックルノイズの発生を低減することができる。
【0014】
上記第1画像形成要素および第2画像形成要素の位置を所定の配置パターンに基づいて変更する表示装置において、好ましくは、第1画像形成要素および第2画像形成要素の配置パターンは、複数の画像形成要素からなる画像の走査方向の中心側部分よりも走査方向の両端側部分の方が、第1画像形成要素が配置される割合が高くなるように構成されている。ここで、走査方向の中心側部分よりも走査方向の両端側部分の方が走査速度が小さい分、走査方向の両端側部分に出力されるレーザ光の量は、走査方向の中心側部と比べて多い。この場合に、走査方向の両端側部分で第1画像形成要素が配置される割合が高くなるように構成すれば、走査方向の両端側部分で十分にスペックルノイズの発生を低減しながら十分な輝度を確保することができる。
【0015】
上記第1画像形成要素および第2画像形成要素の位置を所定の配置パターンに基づいて変更する表示装置において、好ましくは、第1画像形成要素および第2画像形成要素の配置パターンを記憶する記憶部をさらに備える。このように構成すれば、記憶部に記憶された第1画像形成要素および第2画像形成要素の配置パターンに基づいて、容易に、第1画像形成要素および第2画像形成要素の位置を予め設定された所定の配置パターンに配置することができる。
【0016】
上記第1画像形成要素および第2画像形成要素の位置を変更する表示装置において、好ましくは、複数の画像形成要素からなる画像の所定のフレーム数は、1枚である。このように構成すれば、1フレーム毎に複数の画像形成要素からなる画像における第1画像形成要素および第2画像形成要素の位置を変更することができるので、複数フレーム毎に第1画像形成要素および第2画像形成要素の位置を変更する場合と比べて、スペックルノイズの発生が抑制される領域を画像全体にわたってより分散(平均化)することができるので、画像全体で効果的にスペックルノイズの発生を低減することができる。
【0017】
上記一の局面による表示装置において、好ましくは、レーザ光発生部は、赤色レーザ光を出力する赤色レーザ光発生部と、緑色レーザ光を出力する緑色レーザ光発生部と、青色レーザ光を出力する青色レーザ光発生部とを含み、制御部は、青色レーザ光発生部、赤色レーザ光発生部および緑色レーザ光発生部の順に、緩和振動の領域を含む第1レーザ光に対応する第1画像形成要素の割合を大きくする制御を行うように構成されている。このように構成すれば、スペックルノイズが発生しにくい青色レーザ光発生部では、第1画像形成要素の割合を小さくする一方で、スペックルノイズが発生しやすい緑色レーザ光発生部では、第1画像形成要素の割合を大きくすることができるので、レーザの色に応じて効果的にスペックルノイズの発生を低減することができる。
【0018】
上記一の局面による表示装置において、好ましくは、複数の画像形成要素のうち一部の第1画像形成要素の割合と、複数の画像形成要素のうち第1画像形成要素以外の第2画像形成要素の割合とを、ユーザにより設定可能に構成されている。このように構成すれば、スペックルノイズの発生をより低減したい場合には、第1画像形成要素の割合を多し、画像の輝度をより確保したい場合には、第2画像形成要素の割合を多くするようにユーザ自らが設定を行うことができるので、ユーザが所望する画像(映像)を表示するように柔軟に対応することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の第1実施形態による携帯型プロジェクタの使用状態を示した図である。
【図2】本発明の第1実施形態による携帯型プロジェクタの構成を示したブロック図である。
【図3】本発明の第1実施形態による携帯型プロジェクタのレーザ制御部の構成を示したブロック図である。
【図4】本発明の第1実施形態による携帯型プロジェクタの緩和振動の領域を含むレーザ光を出力する際におけるレーザダイオードの電流と光出力との関係を示したタイミングチャートである。
【図5】本発明の第1実施形態による携帯型プロジェクタの緩和振動の領域を含まないレーザ光を出力する際におけるレーザダイオードの電流と光出力との関係を示したタイミングチャートである。
【図6】本発明の第1実施形態による携帯型プロジェクタにおいてレーザ光が出力される画素の位置をランダムに変更する例を説明するための模式図である。
【図7】本発明の第2実施形態による携帯型プロジェクタのレーザ制御部の構成を示したブロック図である。
【図8】本発明の第2実施形態による携帯型プロジェクタにおいてレーザ光が出力される画素の位置を配置パターンに対応して変更する例を説明するための模式図である。
【図9】本発明の第2実施形態による携帯型プロジェクタにおいて配置パターンが選択される順序を説明するための図である。
【図10】本発明の第3実施形態による携帯型プロジェクタのレーザ制御部の構成を示したブロック図である。
【図11】本発明の第3実施形態による携帯型プロジェクタのメモリの記憶量を削減する例を説明するための模式図である。
【図12】本発明の第4実施形態による携帯型プロジェクタのレーザ制御部の構成を示したブロック図である。
【図13】本発明の第4実施形態による携帯型プロジェクタのスキャナミラーが駆動する範囲と駆動する角速度との関係を説明するための模式図である。
【図14】本発明の第4実施形態による携帯型プロジェクタの緩和振動の領域を含むレーザ光の割合が走査方向で異なる場合の配置パターンを説明するための模式図である。
【図15】本発明の第5実施形態による携帯型プロジェクタのレーザ制御部の構成を示したブロック図である。
【図16】本発明の第5実施形態による携帯型プロジェクタにおいて、緩和振動の領域を含むレーザ光の出力を赤色LD、青色LDおよび緑色LDごとで異ならせる例を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明を具体化した実施形態を図面に基づいて説明する。
【0021】
(第1実施形態)
まず、図1〜図6を参照して、第1実施形態による携帯型プロジェクタ100の構成を説明する。なお、携帯型プロジェクタ100は、本発明の「表示装置」の一例である。
【0022】
本発明の第1実施形態による携帯型プロジェクタ100は、図1に示すように、赤色、緑色および青色の3色のレーザ光(RGBレーザ光)をXY平面からなる投影範囲2に投影するように構成されている。また、携帯型プロジェクタ100は、RGBレーザ光が走査されることによって、投影範囲2に複数の画素(画像形成要素)からなる映像(画像)を投影可能なように構成されている。また、携帯型プロジェクタ100は、映像入力インターフェース10(図2参照)を介して、パーソナルコンピュータ3と接続されることにより、パーソナルコンピュータ3から入力される映像を投影範囲(スクリーン)2に投影するように構成されている。また、携帯型プロジェクタ100は、ユーザ4が携帯した状態で使用することが可能なように構成されている。
【0023】
次に、携帯型プロジェクタ100の構成について説明する。携帯型プロジェクタ100は、図2に示すように、映像処理部11と、赤色のレーザ光を出力可能な赤色レーザダイオード(赤色LD)12と、青色のレーザ光を出力可能な青色レーザダイオード(青色LD)13と、緑色のレーザ光を出力可能な緑色レーザダイオード(緑色LD)14と、レーザ制御部15と、レーザドライバ16とを備えている。なお、赤色LD12、青色LD13および緑色LD14は、「レーザ光発生部」の一例であるとともに、それぞれ、本発明の「赤色レーザ光発生部」、「青色レーザ光発生部」および「緑色レーザ光発生部」の一例である。また、レーザ制御部15およびレーザドライバ16は、本発明の「制御部」の一例である。また、携帯型プロジェクタ100は、1つのスキャナミラー17と、スキャナミラー制御部18と、スキャナミラー17を駆動するスキャナミラードライバ19と、RGBレーザ光の有する階調を検出する光検出器20とをさらに備えている。また、携帯型プロジェクタ100の光学系としては、赤色LD12、青色LD13、緑色LD14、スキャナミラー17および光検出器20の他に、2つのハーフミラー21および22と、レンズ23とが設けられている。これら携帯型プロジェクタ100の構成要素は、プロジェクタ本体(筐体)1(図1参照)に収容されている。
【0024】
映像処理部11は、パーソナルコンピュータ3(図1参照)から入力された映像信号に基づいて、所定の時間間隔でビデオ信号データをレーザ制御部15に送信するように構成されている。これにより、レーザ制御部15は、ある所定の走査位置における画素(画像形成要素)情報を認識することが可能となる。
【0025】
ここで、第1実施形態では、レーザ制御部15は、映像処理部11により認識された画素情報に基づいて投影範囲2に複数の画素からなる映像を投影するために、レーザドライバ16を制御するように構成されている。また、レーザ制御部15は、安定した波長のレーザ光の干渉に起因して、投影範囲2に投影される映像に発生するスペックルノイズを低減するための処理を行うように構成されている。また、レーザ制御部15は、後述する緩和振動の領域を含む(スペックルノイズを低減するように駆動する領域を含む)レーザ光(図4参照)、および、緩和振動の領域を含まない(通常の駆動領域のみを含む)レーザ光(図5参照)が出力される所定の画素からなる映像の1フレーム毎に、緩和振動の領域を含むレーザ光が出力される位置、および、緩和振動の領域を含まないレーザ光が出力される位置をランダムに選択して変更するように構成されている。
【0026】
具体的には、レーザ制御部15は、図3に示すように、ランダムパターン生成回路としてのスペックルノイズ低減画素選択回路15aと、レーザ駆動電流生成回路15bとを含んでいる。スペックルノイズ低減画素選択回路15aは、緩和振動の領域を含むレーザ光(図4参照)、または、緩和振動の領域を含まないレーザ光(図5参照)のいずれかを映像中の所定の画素に対して選択的に出力する機能を有する。また、スペックルノイズ低減画素選択回路15aは、図6に示すように、1フレームの全画素のうち約33%の画素をランダムに選択して選択した画素に対して緩和振動の領域を含むレーザ光を出力する制御を行うように構成されている。
【0027】
すなわち、第1実施形態では、レーザ制御部15は、1フレーム毎にスペックルノイズの低減を行う画素として約33%(1/3)の画素が選択されるようにランダムパターンを生成するとともに、その生成されたランダムパターンに基づいて、スペックルノイズの低減を行う画素が選択されて、その選択された画素に対して緩和振動の領域を含むレーザ光が出力されるように構成されている。これにより、1フレーム毎にスペックルノイズの低減を行う画素が変更される。この場合、複数フレームからなる長いフレーム期間においてスペックルノイズの発生が抑制される領域を分散(平均化)することが可能となる。なお、生成されるランダムパターンは、フレーム毎に関連がなく、フレーム間で緩和振動の領域を含むレーザ光を出力する画素の位置が重なる場合がある。また、緩和振動の領域を含むレーザ光は、本発明の「第1レーザ光」の一例であり、緩和振動の領域を含まないレーザ光は、本発明の「第2レーザ光」の一例である。また、緩和振動の領域を含むレーザ光を出力する画素は、本発明の「第1画像形成要素」の一例であり、緩和振動の領域を含まないレーザ光を出力する画素は、本発明の「第2画像形成要素」の一例である。また、1フレームは、本発明の「所定のフレーム数」の一例である。
【0028】
上記のようにスペックルノイズ低減画素選択回路15aを構成することによって、レーザ駆動電流生成回路15bは、スペックルノイズ低減画素選択回路15aから出力された信号を受信するとともに、受信した信号に応じてレーザドライバ16に緩和振動の領域を含むレーザ光または緩和振動の領域を含まないレーザ光のレーザ駆動電流波形を出力することが可能となる。また、レーザドライバ16は、上述したレーザ制御部15による制御に基づいて、赤色LD12、青色LD13および緑色LD14を駆動するように構成されている。具体的には、レーザドライバ16は、緩和振動の領域を含むレーザ光を出力する場合には、赤色LD12、青色LD13および緑色LD14に対して発振しきい値電流Ith(図4参照)以上の大きさの電流を供給する制御、および、発振しきい値電流Ith未満の大きさに電流を下げる制御を繰り返し行うように構成されている。また、レーザドライバ16は、緩和振動の領域を含むレーザ光を出力する場合には、1つの画素につき1回発振しきい値電流Ith未満の大きさに電流を下げる制御を行うことにより、レーザ光の出力を停止するように構成されている。また、レーザドライバ16は、緩和振動の領域を含まないレーザ光を出力する場合には、赤色LD12、青色LD13および緑色LD14に対して発振しきい値電流Ith(図5参照)以上の大きさの電流を供給し続ける制御を行うように構成されている。
【0029】
また、赤色LD12、青色LD13および緑色LD14は、それぞれ、図4および図5に示すように、一般的なレーザダイオードの性質を有する。つまり、赤色LD12、青色LD13および緑色LD14は、それぞれ、供給される電流が一定値(発振しきい値電流Ith)以上である場合には、誘導放出による発光が行われる。これにより、赤色LD12、青色LD13および緑色LD14に対して発振しきい値電流Ith以上の電流が供給された場合には、レーザ光を出力することが可能となる。また、赤色LD12、青色LD13および緑色LD14に対して発振しきい値電流Ith未満の電流が供給された場合には、レーザ光の出力を停止することが可能となる。また、赤色LD12、青色LD13および緑色LD14は、それぞれ、供給される電流値が大きくなるのに従って、輝度の大きいレーザ光が出力されるように構成されている。
【0030】
ここで、第1実施形態では、赤色LD12、青色LD13および緑色LD14から出力されるレーザ光は、図4に示すように、レーザの発振初期において、レーザ光出力の形状が波形形状になる振動現象を示す。この波形形状は、レーザ光を出力する時間が経過するのに従って徐々に減衰する形状を示し、このレーザの発振初期におけるレーザ光が不安定になる振動現象は、緩和振動と呼ばれている。この緩和振動は、所定の期間(約3nsec)が経過すると一定の出力に収束する。また、緩和振動の領域は、レーザ光出力の形状が波形形状であることから、他のレーザ光との干渉を緩和することができ、その結果、スペックルノイズ(被投影部に現れる白い点状のむら)の発生を抑制することが可能である。したがって、第1実施形態の携帯型プロジェクタ100では、緩和振動の領域を含むレーザ光を出力することにより、スペックルノイズの発生を低減するように構成されている。なお、第1実施形態では、緩和振動後のレーザ光の出力が安定した期間は、緩和振動の所定の期間よりも長くなるように設定されている。
【0031】
1つのスキャナミラー17は、スキャナミラードライバ19によりX軸およびY軸回りに駆動され、所定の振れ角で振動可能な小型の振動ミラー素子である。これにより、X方向およびY方向に走査可能である。また、スキャナミラー制御部18は、映像処理部11において認識されたある所定の走査位置における画素情報に基づいて、スキャナミラードライバ19を制御するように構成されている。つまり、スキャナミラー17は、スキャナミラー制御部18による制御に基づいて、投影範囲2全体にわたってジグザグに(Y方向に高さ位置をずらしながらX方向に(図1参照))RGBレーザ光を走査するように振動させられるように構成されている。なお、スキャナミラー17は、本発明の「投影部」の一例である。
【0032】
また、光検出器20は、赤色LD12、青色LD13および緑色LD14からレーザ光を検出可能に配置されている。また、光検出器20は、レーザ制御部15と接続されており、検出されたレーザ光の階調をレーザ制御部15に出力するように構成されている。また、レーザ制御部15は、光検出器20から入力された階調に基づいて、走査位置における画素情報と比較して正しい階調か否かを判断するとともに、正しい階調でない場合には、正しい階調になるように赤色LD12、青色LD13および緑色LD14の出力(輝度)を調整するように構成されている。
【0033】
次に、携帯型プロジェクタ100の光学系の構成について説明する。図2に示すように、ハーフミラー21は、青色のレーザ光と緑色のレーザ光とが直角に交差する位置に配置されている。このハーフミラー21は、青色のレーザ光を透過するとともに、緑色のレーザ光を反射するように構成されている。また、ハーフミラー22は、ハーフミラー21を通過した青色のレーザ光および緑色のレーザ光と赤色のレーザ光とが直角に交差する位置に配置されている。ハーフミラー22は、青色のレーザ光および緑色のレーザ光の一部を光検出器20側に反射させるとともに、青色のレーザ光および緑色のレーザ光の一部以外の残りをレンズ23側に透過させるように構成されている。また、ハーフミラー22は、赤色のレーザ光の一部を光検出器20側に透過させるとともに、赤色のレーザ光の一部以外の残りをレンズ23側に反射させるように構成されている。また、レンズ23は、赤色のレーザ光、青色のレーザ光および緑色のレーザ光の光軸を揃えて所定の階調を有するRGBレーザ光にする機能を有する。また、レンズ23において光軸が揃えられたRGBレーザ光は、スキャナミラー17により反射されることによって投影範囲2に向けて走査されるように構成されている。
【0034】
第1実施形態では、上記のように、複数の画像形成要素(画素)のうち一部の画素に対して、レーザの発振初期においてレーザ光の出力が不安定になる緩和振動の領域を含むレーザ光を出力する制御を行うことによって、緩和振動の領域を含む安定した波長ではないレーザ光により、レーザ光の干渉が発生するのを抑制することができるので、効果的にスペックルノイズの発生を低減することができる。また、緩和振動の領域を含むレーザ光の緩和振動の領域を用いてスペックルノイズの発生を低減することによって、レーザ光の位相を変換するための専用の液晶空間光変調器などを設ける構成とは異なり、レーザ制御部15およびレーザドライバ16により緩和振動の領域を含むレーザ光を出力する制御を行うだけで、容易に、スペックルノイズの発生を低減することができるので、装置の構成が複雑化するのを抑制することができる。これらの結果、この携帯型プロジェクタ100では、簡易な構成により、スペックルノイズの発生を低減することができる。また、複数の画像形成要素(画素)のうち一部の画素に対して、レーザの発振初期においてレーザ光の出力が不安定になる緩和振動の領域を含むレーザ光を出力するとともに、複数の画像形成要素(画素)のうち一部の画素以外の画素に対して、緩和振動の領域を含まないレーザ光を出力する制御を行うことによって、出力が不安定な緩和振動の領域を含むレーザ光に加えて、出力が安定した緩和振動の領域を含まないレーザ光も合わせて出力されるので、出力が不安定な緩和振動の領域を含むレーザ光のみを出力する場合に比べて、投影領域に投影される画像の輝度が低下するのを抑制することができる。
【0035】
また、第1実施形態では、上記のように、複数の画素からなる画像の1フレーム毎に、緩和振動の領域を含むレーザ光が出力される画素および緩和振動の領域を含まないレーザ光が出力される画素の位置を変更することによって、フレームが切り替わることによって、スペックルノイズの発生が抑制される領域が画像全体にわたって分散(平均化)されるので、画像全体で効果的にスペックルノイズの発生を低減することができる。
【0036】
また、第1実施形態では、上記のように、複数の画素からなる画像の1フレーム毎に、緩和振動の領域を含むレーザ光が出力される画素および緩和振動の領域を含まないレーザ光が出力される画素の位置をランダムに選択することにより画像の1フレーム毎に、緩和振動の領域を含むレーザ光が出力される画素および緩和振動の領域を含まないレーザ光が出力される画素の位置を変更することによって、緩和振動の領域を含むレーザ光が出力される画素および緩和振動の領域を含まないレーザ光が出力される画素の位置をランダムに選択して変更することにより、容易に、緩和振動の領域を含むレーザ光が出力される画素の位置と緩和振動の領域を含まないレーザ光が出力される画素の位置とが同一の位置で固定されるのを抑制することができる。また、画像の1フレーム毎に、緩和振動の領域を含むレーザ光が出力される画素および緩和振動の領域を含まないレーザ光が出力される画素の位置をランダムに選択して変更することによって、緩和振動の領域を含むレーザ光が出力される画素および緩和振動の領域を含まないレーザ光が出力される画素の位置の配置パターンを記憶するためのメモリなどを設ける必要がない。
【0037】
(第2実施形態)
次に、図7〜図9を参照して、第2実施形態について説明する。この第2実施形態による携帯型プロジェクタでは、1フレーム毎に、緩和振動の領域を含むレーザ光が出力される画素および緩和振動の領域を含まないレーザ光が出力される画素の位置をランダムに選択して変更する上記第1実施形態と異なり、予め設定された画素の配置パターンに基づいて、緩和振動の領域を含むレーザ光が出力される画素および緩和振動の領域を含まないレーザ光が出力される画素の位置を変更する例について説明する。
【0038】
第2実施形態では、レーザ制御部115は、図7に示すように、配置パターン生成回路115aと、配置パターン生成回路115aにより生成された配置パターン(パターン1、2および3)を記憶するメモリ115bと、メモリ115bから配置パターンを選択するパターン選択回路115cとを含んでいる。このレーザ制御部115は、予め設定された緩和振動の領域を含む(スペックルノイズを低減するように駆動する領域を含む)レーザ光、および、緩和振動の領域を含まない(通常の駆動領域のみを含む)レーザ光を出力する画素の配置パターンに基づいて、映像の1フレーム毎に、予め設定された緩和振動の領域を含むレーザ光、および、緩和振動の領域を含まないレーザ光を出力する画素の位置を変更するように構成されている。なお、メモリ115bは、本発明の「記憶部」の一例である。
【0039】
配置パターン生成回路115aは、緩和振動の領域を含むレーザ光、および、緩和振動の領域を含まないレーザ光を出力する画素の配置パターン(図8参照)を生成する機能を有する。また、配置パターン生成回路115aは、図8に示すように、緩和振動の領域を含むレーザ光を、映像の1フレームにつき略均一に約33%(1/3)の割合で出力させる制御を行うように構成されている。また、配置パターン生成回路115aは、3(n=3)フレーム分の配置パターンを生成するように構成されている。このように、1フレーム当りに緩和振動の領域を含むレーザ光が約33%(1/n=1/3)の割合で含まれる配置パターンを生成するように設定されている場合には、1フレームの3(n=3)倍のフレーム数からなるフレーム期間の間に、緩和振動の領域を含むレーザ光が全ての画素において1回出力される。第2実施形態の場合、配置パターンは、画像中の全ての画素において、必ず1回は緩和振動の領域を含むレーザ光が出力されるように構成されている。なお、緩和振動の領域を含むレーザ光は、本発明の「第1レーザ光」の一例であり、緩和振動の領域を含まないレーザ光は、本発明の「第2レーザ光」の一例である。また、緩和振動の領域を含むレーザ光を出力する画素は、本発明の「第1画像形成要素」の一例であり、緩和振動の領域を含まないレーザ光を出力する画素は、本発明の「第2画像形成要素」の一例である。また、1フレームは、本発明の「所定のフレーム」の一例である。
【0040】
また、第2実施形態では、メモリ115bは、配置パターン生成回路115aにより生成された配置パターンを記憶する機能を有する。また、パターン選択回路115cは、図9に示すように、メモリ115bから配置パターンをパターン1、パターン2およびパターン3の順番で選択する機能を有する。そして、レーザ制御部115は、図7に示すように、映像処理部11から出力された映像データとパターン選択回路115cにより選択された配置パターンとに基づくレーザ駆動電流波形をレーザドライバ16に出力する制御を行うように構成されている。
【0041】
第2実施形態では、上記のように、複数の画像形成要素(画素)のうち一部の画素に対して、レーザの発振初期においてレーザ光の出力が不安定になる緩和振動の領域を含むレーザ光を出力する制御を行うことによって、第1実施形態と同様に、簡易な構成により、スペックルノイズの発生を低減することができるとともに、投影領域に投影される画像の輝度が低下するのを抑制することができる。
【0042】
また、第2実施形態では、上記のように、予め設定された配置パターンに基づいて、複数の画素からなる画像(映像)の1フレーム毎に、1フレームの映像における緩和振動の領域を含むレーザ光および緩和振動の領域を含まないレーザ光が出力される画素の位置を変更することによって、緩和振動の領域を含むレーザ光および緩和振動の領域を含まないレーザ光が出力される画素の位置が画像全体にわたって満遍なく移動されるように配置パターンを予め設定することによって、画像全体にわたって満遍なくスペックルノイズの発生を抑制することができるので、画像全体でより効果的にスペックルノイズの発生を低減することができる。
【0043】
また、第2実施形態では、上記のように、配置パターンにおける1フレーム当りの緩和振動の領域を含むレーザ光が出力される画素の割合が1/3である場合に、フレーム期間は、1フレームの3倍の数のフレーム(3フレーム)からなるように構成することによって、1フレームの3倍の数のフレーム(3フレーム)からなるフレーム期間内に全ての画素に1回(1/3×3=1)は緩和振動の領域を含むレーザ光が出力される画素が割り当てられる計算になるので、全ての画素の位置でスペックルノイズの発生を低減することができる。
【0044】
また、第2実施形態では、上記のように、緩和振動の領域を含むレーザ光が出力される画素および緩和振動の領域を含まないレーザ光が出力される画素の配置パターンを記憶するメモリ115bを設けることによって、メモリ115bに記憶された緩和振動の領域を含むレーザ光が出力される画素および緩和振動の領域を含まないレーザ光が出力される画素の配置パターンに基づいて、容易に、緩和振動の領域を含むレーザ光が出力される画素および緩和振動の領域を含まないレーザ光が出力される画素の位置を予め設定された配置パターンに配置することができる。
【0045】
(第3実施形態)
次に、図10および図11を参照して、第3実施形態について説明する。この第3実施形態による携帯型プロジェクタでは、映像の1フレーム全体についての緩和振動の領域を含むレーザ光が出力される画素および緩和振動の領域を含まないレーザ光が出力される画素の配置パターンを生成する上記第2実施形態と異なり、1フレームを複数に分割した画素数分の配置パターンを生成するとともに、1フレームを複数に分割した画素数分の配置パターンを繋ぎ合わせることにより、1フレーム分の緩和振動の領域を含むレーザ光が出力される画素および緩和振動の領域を含まないレーザ光が出力される画素の配置パターンを生成する例について説明する。
【0046】
第3実施形態では、レーザ制御部215は、図10に示すように、配置パターン生成回路215aと、配置パターン生成回路215aにより生成された配置パターン(A、BおよびCパターン(図11参照))を記憶するメモリ215bと、メモリ215bから配置パターンを選択するパターン選択回路215cとを含んでいる。このレーザ制御部215は、予め設定された緩和振動の領域を含む(スペックルノイズを低減するように駆動する領域を含む)レーザ光、および、緩和振動の領域を含まない(通常の駆動領域のみを含む)レーザ光を出力する画素の配置パターンに基づいて、映像の1フレーム毎に、予め設定された緩和振動の領域を含むレーザ光、および、緩和振動の領域を含まないレーザ光を出力する画素の位置を変更するように構成されている。なお、メモリ215bは、本発明の「記憶部」の一例である。
【0047】
配置パターン生成回路215aは、緩和振動の領域を含むレーザ光、および、緩和振動の領域を含まないレーザ光を出力する画素の配置パターン(図11参照)を生成する機能を有する。また、配置パターン生成回路215aは、図11に示すように、1フレームのうちの1/4フレームにつき、緩和振動の領域を含むレーザ光を約33%の割合で出力させるパターンを生成するように構成されている。そして、レーザ制御部215は、1/4フレーム単位で生成した配置パターン(たとえば、配置パターンA)を4枚繋ぎ合わせることにより、1フレーム分の緩和振動の領域を含むレーザ光が出力される画素および緩和振動の領域を含まないレーザ光が出力される画素の配置パターンを生成するように構成されている。これにより、生成するパターンの量が1/4になるので、メモリの使用量を削減することが可能となる。
【0048】
また、レーザ制御部215は、緩和振動の領域を含むレーザ光が約33%(1/n=1/3)の割合で含まれる配置パターンを生成するように設定されている場合には、配置パターンAを4枚繋ぎ合わせた配置パターンの他に、配置パターンBを4枚繋ぎ合わせた配置パターンおよび配置パターンCを4枚繋ぎ合わせた配置パターンの3(n=3)フレーム分の配置パターンを生成するように構成されている。この配置パターンでは、3フレームからなるフレーム期間の間に、緩和振動の領域を含むレーザ光が全ての画素において1回出力される。なお、緩和振動の領域を含むレーザ光は、本発明の「第1レーザ光」の一例であり、緩和振動の領域を含まないレーザ光は、本発明の「第2レーザ光」の一例である。また、緩和振動の領域を含むレーザ光を出力する画素は、本発明の「第1画像形成要素」の一例であり、緩和振動の領域を含まないレーザ光を出力する画素は、本発明の「第2画像形成要素」の一例である。
【0049】
また、第3実施形態では、メモリ215bは、配置パターン生成回路215aにより生成された配置パターンを記憶する機能を有する。また、パターン選択回路215cは、図11に示すように、メモリ215bから配置パターンをAパターン、BパターンおよびCパターンの順番で選択する機能を有する。そして、レーザ制御部215は、図10に示すように、映像データと、パターン選択回路215cにより選択された配置パターン(Aパターン、BパターンおよびCパターンのいずれか)が4枚繋ぎ合わされた配置パターンとに基づくレーザ駆動電流波形をレーザドライバ16に出力する制御を行うように構成されている。
【0050】
第3実施形態では、上記のように、複数の画像形成要素(画素)のうち一部の画素に対して、レーザの発振初期においてレーザ光の出力が不安定になる緩和振動の領域を含むレーザ光を出力する制御を行うことによって、第1実施形態および第2実施形態と同様に、簡易な構成により、スペックルノイズの発生を低減することができるとともに、投影領域に投影される画像の輝度が低下するのを抑制することができる。
【0051】
また、第3実施形態では、上記のように、1フレームのうちの1/4フレームにつき、緩和振動の領域を含むレーザ光を約33%の割合で出力させるパターンを生成するとともに、1/4フレーム単位で生成した配置パターンを4枚繋ぎ合わせることにより、1フレーム分の緩和振動の領域を含むレーザ光が出力される画素および緩和振動の領域を含まないレーザ光が出力される画素の配置パターンを生成することによって、生成する画素の配置パターンのデータ量が1フレーム全体分を生成する場合と比べて、1/4のサイズにすることができるので、メモリの使用量を低減することができる。
【0052】
(第4実施形態)
次に、図1、図2および図12〜図14を参照して、第4実施形態について説明する。この第4実施形態による携帯型プロジェクタでは、緩和振動の領域を含むレーザ光が出力される画素および緩和振動の領域を含まないレーザ光が出力される画素の配置パターンを、映像の1フレームについて略均一に生成する第2実施形態と異なり、映像の走査方向の中心側部分よりも走査方向の両端側部分の方が、緩和振動の領域を含むレーザ光が出力される画素が配置される割合が高くなるように配置パターンを生成する例について説明する。
【0053】
第4実施形態では、レーザ制御部315は、図12に示すように、配置パターン生成回路315aと、配置パターン生成回路315aにより生成された配置パターンを記憶するメモリ315bと、メモリ315bから配置パターンを選択するパターン選択回路315cとを含んでいる。このレーザ制御部315は、予め設定された緩和振動の領域を含む(スペックルノイズを低減するように駆動する領域を含む)レーザ光、および、緩和振動の領域を含まない(通常の駆動領域のみを含む)レーザ光を出力する画素の配置パターンに基づいて、映像の1フレーム毎に、予め設定された緩和振動の領域を含むレーザ光、および、緩和振動の領域を含まないレーザ光を出力する画素の位置を変更するように構成されている。なお、メモリ315bは、本発明の「記憶部」の一例である。
【0054】
また、第4実施形態では、図13に示すように、スキャナミラー17(図2参照)は、RGBレーザ光を走査する速度を変化させながら複数の画素(画像形成要素)からなる映像(画像)を投影するように構成されている。具体的には、スキャナミラー17が投影範囲2の水平方向(X方向(図1参照))に振動される角速度は、投影範囲2の水平方向(X方向)の中心部分近傍Aで最も大きくなるとともに、投影範囲2の水平方向(X方向)の両端部近傍Bで最も小さくなるように構成されている。つまり、スキャナミラー17が投影範囲2の水平方向(X方向(図1参照))に振動させられる場合に、投影範囲2の水平方向(X方向)の中心部分近傍Aにおける走査速度は、投影範囲2の水平方向(X方向)の両端部近傍Bにおける走査速度よりも大きくなるように構成されている。
【0055】
また、図12に示すように、配置パターン生成回路315aは、緩和振動の領域を含むレーザ光、および、緩和振動の領域を含まないレーザ光を出力する画素の配置パターン(図14参照)を生成する機能を有する。また、配置パターン生成回路315aは、図14に示すように、フレームを走査方向に3分割した中心部分の画素に対して、緩和振動の領域を含むレーザ光を約33%(1/3)の割合で出力させる制御を行うように構成されている。また、配置パターン生成回路315aは、フレームを走査方向に3分割した両端部分の画素に対して、緩和振動の領域を含むレーザ光を50%(1/2)の割合で出力させる制御を行うように構成されている。なお、緩和振動の領域を含むレーザ光は、本発明の「第1レーザ光」の一例であり、緩和振動の領域を含まないレーザ光は、本発明の「第2レーザ光」の一例である。また、緩和振動の領域を含むレーザ光を出力する画素は、本発明の「第1画像形成要素」の一例であり、緩和振動の領域を含まないレーザ光を出力する画素は、本発明の「第2画像形成要素」の一例である。
【0056】
第4実施形態では、上記のように、複数の画像形成要素(画素)のうち一部の画素に対して、レーザの発振初期においてレーザ光の出力が不安定になる緩和振動の領域を含むレーザ光を出力する制御を行うことによって、第1〜第3実施形態と同様に、簡易な構成により、スペックルノイズの発生を低減することができるとともに、投影領域に投影される画像の輝度が低下するのを抑制することができる。
【0057】
また、第4実施形態では、上記のように、緩和振動の領域を含むレーザ光および緩和振動の領域を含まないレーザ光が出力される画素の配置パターンを、映像の走査方向の中心側部分よりも走査方向の両端側部分の方が、緩和振動の領域を含むレーザ光が出力される画素が配置される割合が高くなるように構成する。ここで、走査方向の中心側部分よりも走査方向の両端側部分の方が走査速度が小さい分、走査方向の両端側部分に出力されるレーザ光の量は、走査方向の中心側部と比べて多い。この場合に、走査方向の両端側部分で緩和振動の領域を含むレーザ光が出力される画素が配置される割合が高くなるように構成すれば、走査方向の両端側部分で十分にスペックルノイズの発生を低減しながら十分な輝度を確保することができる。
【0058】
(第5実施形態)
次に、図2、図4、図5、図15および図16を参照して、第5実施形態について説明する。この第5実施形態による携帯型プロジェクタでは、緩和振動の領域を含むレーザ光を出力する際には、レーザ光の色に関わらず、赤色LD12、青色LD13および緑色LD14の全てで緩和振動の領域を含むようにレーザ光を出力する第1実施形態と異なり、緩和振動の領域を含むレーザ光をレーザ光の色ごとに対応して出力する例について説明する。
【0059】
第5実施形態では、レーザ制御部415は、図15に示すように、スペックルノイズ低減画素選択回路415aと、レーザ駆動電流生成回路415bとを含んでいる。スペックルノイズ低減画素選択回路415aは、緩和振動の領域を含むレーザ光、または、緩和振動の領域を含まないレーザ光のいずれかを映像中の所定の画素に対して出力する選択を行う機能を有する。また、スペックルノイズ低減画素選択回路415aは、図16に示すように、映像データに対応して、赤色LD12、青色LD13および緑色LD14ごとに緩和振動の領域を含むレーザ光を出力する制御を行うように構成されている。
【0060】
緩和振動の領域を含むレーザ光を出力する割合は、最もスペックルノイズの発生が生じやすい緑色LD14、2番目にスペックルノイズの発生が生じやすい赤色LD12および最もスペックルノイズの発生が生じにくい青色LD13の順番に高い。すなわち、第5実施形態では、緑色LD14の緩和振動の領域を含むレーザ光は、50%〜100%の割合の範囲で出力されるように構成されている。また、赤色LD12の緩和振動の領域を含むレーザ光は、30%〜80%の割合の範囲で出力されるように構成されている。また、青色LD13の緩和振動の領域を含むレーザ光は、0%〜50%の割合の範囲で出力されるように構成されている。
【0061】
また、第5実施形態では、緩和振動の領域を含むレーザ光を出力する場合には、緑色LD14、赤色LD12および青色LD13は、それぞれ、緩和振動の領域を含まないレーザ光を出力する場合と比べて出力が大きくなるように出力される。具体的には、図4の出力電流と時間とに囲まれた面積S1(図4の斜線部)が図5の出力電流と時間とに囲まれた面積S2(図5の斜線部)と同じ面積になるように、緩和振動の領域を含むレーザ光を出力する電流は、大きくなるように調整される。これにより、緩和振動の領域を含むレーザ光を出力する場合にも、緩和振動の領域を含まないレーザ光を出力する場合と比べても、十分な光量を確保することが可能となる。
【0062】
第5実施形態では、上記のように、複数の画像形成要素(画素)のうち一部の画素に対して、レーザの発振初期においてレーザ光の出力が不安定になる緩和振動の領域を含むレーザ光を出力する制御を行うことによって、第1〜第4実施形態と同様に、簡易な構成により、スペックルノイズの発生を低減することができるとともに、投影領域に投影される画像の輝度が低下するのを抑制することができる。
【0063】
また、第5実施形態では、上記のように、レーザ制御部415を、青色LD13、赤色LD12および緑色LD14の順に、緩和振動の領域を含むレーザ光に対応する画素の割合を大きくする制御を行うように構成することによって、スペックルノイズが発生しにくい青色LD13では、緩和振動の領域を含むレーザ光が出力される画素の割合を小さくする一方で、スペックルノイズが発生しやすい緑色LD14では、緩和振動の領域を含むレーザ光が出力される画素の割合を大きくすることができるので、レーザの色に応じて効果的にスペックルノイズの発生を低減することができる。
【0064】
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【0065】
たとえば、上記第1〜第5実施形態では、本発明の表示装置の一例としての携帯型プロジェクタに本発明を適用した例について示したが、本発明はこれに限られない。レーザ光を出力する表示装置であれば、たとえば、据え置き型のレーザプロジェクタなどの表示装置にも本発明を適用可能である。
【0066】
また、上記第1〜第5実施形態では、1フレーム毎に画素の位置を変更する例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、たとえば、複数フレーム毎に画素の位置を変更するようにしてもよい。
【0067】
また、上記第1〜第4実施形態では、緩和振動の領域を含むレーザ光が出力される画素の割合を約33%(1/3)に設定する例について示したが、本発明はこれに限られない。緩和振動の領域を含むレーザ光が出力される画素の割合が0%より大きく、かつ、100%よりも小さければ、緩和振動の領域を含むレーザ光が出力される画素の割合をいずれの割合に設定してもよい。
【0068】
また、上記第2〜第4実施形態では、緩和振動の領域を含むレーザ光が出力される画素の割合を約33%(1/3)に設定するとともに、3種類のパターンを生成した例について示したが、本発明はこれに限られない。緩和振動の領域を含むレーザ光が出力される画素の割合が1/nである場合にn種類のパターンを生成するのであれば、nがn=3以外の値であってもよい。
【0069】
また、上記第3実施形態では、1フレームのうちの1/4フレームについて配置パターンを生成した例を示したが、本発明はこれに限られない。1フレームを分割して配置パターンを生成するのであれば、1/4フレーム単位で配置パターンを生成しなくてもよい。
【0070】
また、上記第5実施形態では、1フレームを走査方向に3分割して緩和振動の領域を含むレーザ光が出力される画素の割合を分割した領域ごとに異ならせる例について示したが、本発明はこれに限られない。1フレームを走査方向に4分割以上に分割して緩和振動の領域を含むレーザ光が出力される画素の割合を分割した領域ごとに異ならせるようにしてもよい。
【0071】
また、上記第1〜第5実施形態では、投影部として振動可能な小型の振動ミラー素子であるスキャナミラーを用いた例を示したが、本発明はこれに限られない。レーザ光を走査可能なものであれば、ミラー素子以外の部材を用いてもよい。
【0072】
また、上記第1〜第5実施形態では、レーザ光発生部として赤色LD12、青色LD13および緑色LD14を用いることによって、RGBレーザ光を投影領域2に投影した例を示したが、本発明はこれに限らず、レーザ光発生部を、1つのLD(レーザダイオード)からRGBレーザ光を発生させるように構成してもよい。また、レーザ光発生部を、単色のレーザ光のみを発生させるように構成してもよいし、2色または4色以上のレーザ光を発生させるように構成してもよい。
【0073】
また、上記第1〜第5実施形態では、赤色LD12、青色LD13および緑色LD14を1つずつ設けることによりRGBレーザ光を出力した例について示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、赤色LD、青色LDおよび緑色LDのうち少なくともいずれかの色のLDを複数設けることにより、RGBレーザ光を出力しても良い。たとえば、緑色LDのみを2つ設けることにより、RGGBレーザ光としてレーザ光を出力するようにしてもよい。
【0074】
また、上記第1〜第5実施形態では、1つのスキャナミラー17をX軸およびY軸回りに駆動することにより、1つのスキャナミラー17のみでレーザ光をX軸およびY軸回りに駆動することによりX方向およびY方向に走査する例について示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、Y軸回りに駆動することによりレーザ光をX方向に走査するY軸駆動ミラーと、X軸回りに駆動することによりレーザ光をY方向に走査するX軸駆動ミラーとの2つのミラーを設けることにより、レーザ光をX方向およびY方向に走査するようにしてもよい。
【0075】
また、上記第1〜第5実施形態では、映像入力インターフェースを介してパーソナルコンピュータから入力された映像を投影領域に投影する例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、メモリーカードに記憶された映像データをカードスロットを介して入力するとともに入力された映像を投影領域に投影するなど、外部機器からの信号入力以外の方法により映像を入力するとともに、入力された映像を投影領域に投影するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0076】
12 赤色LD(レーザ光発生部、赤色レーザ光発生部)
13 青色LD(レーザ光発生部、青色レーザ光発生部)
14 緑色LD(レーザ光発生部、緑色レーザ光発生部)
15、115、215、315、415 レーザ制御部(制御部)
16 レーザドライバ(制御部)
17 スキャナミラー(投影部)
100 携帯型プロジェクタ(表示装置)
115b、215b、315b メモリ(記憶部)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーザ光を出力するレーザ光発生部と、
前記レーザ光を走査させることにより、任意の投影領域に複数の画像形成要素からなる画像を投影する投影部と、
前記複数の画像形成要素のうち一部の第1画像形成要素に対して、レーザの発振初期において前記レーザ光の出力が不安定になる緩和振動の領域を含む第1レーザ光を出力するとともに、前記複数の画像形成要素のうち前記第1画像形成要素以外の第2画像形成要素に対して、前記緩和振動の領域を含まない第2レーザ光を出力する制御を行う制御部とを備える、表示装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記複数の画像形成要素からなる前記画像の所定のフレーム数毎に、前記複数の画像形成要素からなる前記画像における前記第1画像形成要素および前記第2画像形成要素の位置を変更するように構成されている、請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記複数の画像形成要素からなる前記画像の所定のフレーム数毎に、前記複数の画像形成要素からなる前記画像における前記第1画像形成要素および前記第2画像形成要素の位置をランダムに選択することにより前記画像の所定のフレーム数毎に、前記第1画像形成要素および前記第2画像形成要素の位置を変更するように構成されている、請求項2に記載の表示装置。
【請求項4】
前記制御部は、予め設定された所定の配置パターンに基づいて、前記複数の画像形成要素からなる前記画像の所定のフレーム数毎に、前記複数の画像形成要素からなる画像における前記第1画像形成要素および前記第2画像形成要素の位置を変更するように構成されている、請求項2に記載の表示装置。
【請求項5】
前記配置パターンは、前記所定のフレーム数の複数倍のフレーム数からなるフレーム期間の間に、前記第1レーザ光が前記複数の画像形成要素の各々に少なくとも1回出力されるように前記第1画像形成要素および前記第2画像形成要素の位置を変更するように構成されている、請求項4に記載の表示装置。
【請求項6】
前記第1画像形成要素および前記第2画像形成要素の前記配置パターンにおける1フレーム当りの前記第1画像形成要素の割合が1/nである場合に、前記フレーム期間は、前記所定のフレーム数のn倍以上の数のフレームからなるフレーム期間である、請求項5に記載の表示装置。
【請求項7】
前記第1画像形成要素および前記第2画像形成要素の前記配置パターンは、前記複数の画像形成要素からなる前記画像の走査方向の中心側部分よりも走査方向の両端側部分の方が、前記第1画像形成要素が配置される割合が高くなるように構成されている、請求項4〜6のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項8】
前記第1画像形成要素および前記第2画像形成要素の配置パターンを記憶する記憶部をさらに備える、請求項4〜7のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項9】
前記複数の画像形成要素からなる前記画像の所定のフレーム数は、1枚である、請求項2〜8のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項10】
前記レーザ光発生部は、赤色レーザ光を出力する赤色レーザ光発生部と、緑色レーザ光を出力する緑色レーザ光発生部と、青色レーザ光を出力する青色レーザ光発生部とを含み、
前記制御部は、前記青色レーザ光発生部、前記赤色レーザ光発生部および前記緑色レーザ光発生部の順に、前記緩和振動の領域を含む前記第1レーザ光に対応する前記第1画像形成要素の割合を大きくする制御を行うように構成されている、請求項1〜9のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項11】
前記複数の画像形成要素のうち一部の前記第1画像形成要素の割合と、前記複数の画像形成要素のうち前記第1画像形成要素以外の前記第2画像形成要素の割合とを、ユーザにより設定可能に構成されている、請求項1〜10のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項1】
レーザ光を出力するレーザ光発生部と、
前記レーザ光を走査させることにより、任意の投影領域に複数の画像形成要素からなる画像を投影する投影部と、
前記複数の画像形成要素のうち一部の第1画像形成要素に対して、レーザの発振初期において前記レーザ光の出力が不安定になる緩和振動の領域を含む第1レーザ光を出力するとともに、前記複数の画像形成要素のうち前記第1画像形成要素以外の第2画像形成要素に対して、前記緩和振動の領域を含まない第2レーザ光を出力する制御を行う制御部とを備える、表示装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記複数の画像形成要素からなる前記画像の所定のフレーム数毎に、前記複数の画像形成要素からなる前記画像における前記第1画像形成要素および前記第2画像形成要素の位置を変更するように構成されている、請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記複数の画像形成要素からなる前記画像の所定のフレーム数毎に、前記複数の画像形成要素からなる前記画像における前記第1画像形成要素および前記第2画像形成要素の位置をランダムに選択することにより前記画像の所定のフレーム数毎に、前記第1画像形成要素および前記第2画像形成要素の位置を変更するように構成されている、請求項2に記載の表示装置。
【請求項4】
前記制御部は、予め設定された所定の配置パターンに基づいて、前記複数の画像形成要素からなる前記画像の所定のフレーム数毎に、前記複数の画像形成要素からなる画像における前記第1画像形成要素および前記第2画像形成要素の位置を変更するように構成されている、請求項2に記載の表示装置。
【請求項5】
前記配置パターンは、前記所定のフレーム数の複数倍のフレーム数からなるフレーム期間の間に、前記第1レーザ光が前記複数の画像形成要素の各々に少なくとも1回出力されるように前記第1画像形成要素および前記第2画像形成要素の位置を変更するように構成されている、請求項4に記載の表示装置。
【請求項6】
前記第1画像形成要素および前記第2画像形成要素の前記配置パターンにおける1フレーム当りの前記第1画像形成要素の割合が1/nである場合に、前記フレーム期間は、前記所定のフレーム数のn倍以上の数のフレームからなるフレーム期間である、請求項5に記載の表示装置。
【請求項7】
前記第1画像形成要素および前記第2画像形成要素の前記配置パターンは、前記複数の画像形成要素からなる前記画像の走査方向の中心側部分よりも走査方向の両端側部分の方が、前記第1画像形成要素が配置される割合が高くなるように構成されている、請求項4〜6のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項8】
前記第1画像形成要素および前記第2画像形成要素の配置パターンを記憶する記憶部をさらに備える、請求項4〜7のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項9】
前記複数の画像形成要素からなる前記画像の所定のフレーム数は、1枚である、請求項2〜8のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項10】
前記レーザ光発生部は、赤色レーザ光を出力する赤色レーザ光発生部と、緑色レーザ光を出力する緑色レーザ光発生部と、青色レーザ光を出力する青色レーザ光発生部とを含み、
前記制御部は、前記青色レーザ光発生部、前記赤色レーザ光発生部および前記緑色レーザ光発生部の順に、前記緩和振動の領域を含む前記第1レーザ光に対応する前記第1画像形成要素の割合を大きくする制御を行うように構成されている、請求項1〜9のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項11】
前記複数の画像形成要素のうち一部の前記第1画像形成要素の割合と、前記複数の画像形成要素のうち前記第1画像形成要素以外の前記第2画像形成要素の割合とを、ユーザにより設定可能に構成されている、請求項1〜10のいずれか1項に記載の表示装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2012−118186(P2012−118186A)
【公開日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−266277(P2010−266277)
【出願日】平成22年11月30日(2010.11.30)
【出願人】(000201113)船井電機株式会社 (7,855)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年11月30日(2010.11.30)
【出願人】(000201113)船井電機株式会社 (7,855)
【Fターム(参考)】
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