説明

表示装置

【課題】拡大表示または縮小表示のためにスケーラによる画像処理を必要とせず、高速かつ高品位な拡大表示または縮小表示を可能とする表示装置を提供する。
【解決手段】第1解像度を有する第1表示パネルと、第1解像度に比して高い第2解像度を有する第2表示パネルと、第2表示パネルの一部に表示された画像の画像データを出力し、第1表示パネルに拡大画像を表示させる画像出力部と、を備える表示装置とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、液晶パネルを前後に2枚重ねる構造を有した表示装置であるマルチレイヤーディスプレイが提案されている(例えば特許文献1参照)。このようなマルチレイヤーディスプレイによれば、前後の液晶パネルに同時に画像を表示させて三次元的な視覚効果を狙ったり、前後の液晶パネルのいずれか一方にのみ画像を表示させたりすることができる。
【0003】
ここで、後面液晶パネルに表示された画像を前面液晶パネルへ拡大・縮小する場合と前面液晶パネルに表示された画像を後面液晶パネルへ拡大・縮小する場合の従来例について図5を用いて説明する。図5に示す従来のマルチレイヤーディスプレイは、VDP(Video Display Processor)101と、スケーラ102と、駆動回路103と、前面液晶パネル104と、VDP105と、スケーラ106と、駆動回路107と、後面液晶パネル108を備える。このとき、スケーラは、VDPに内蔵されている構成も考えられる。前面液晶パネル104と後面液晶パネル108は、いずれも画面サイズは同じ画面サイズであり、いずれも解像度は同じ解像度である。図5の例においては、画面サイズは12インチ、画面解像度はXGA(1024×768)として説明する。
【0004】
後面液晶パネル108の画像を前面液晶パネル104へ拡大・縮小する場合においては、VDP105から出力された画像がスケーラ106、駆動回路107を通り後面液晶パネル108へ表示される。このとき、スケーラ106は、スケーリングを行わない。そして、VDP101から出力された画像はスケーラ102によってスケーリングされ、拡大・縮小された画像が駆動回路103を通して前面液晶パネル104へ表示される。
【0005】
前面液晶パネル104の画像を前面液晶パネル108へ拡大・縮小する場合においては、VDP101から出力された画像がスケーラ102、駆動回路103を通り前面液晶パネル104へ表示される。このとき、スケーラ102は、スケーリングを行わない。そして、VDP105から出力された画像はスケーラ106によってスケーリングされ、拡大・縮小された画像が駆動回路107を通して後面液晶パネル108へ表示される。
【0006】
後面液晶パネル108の画像領域A100を前面液晶パネル104で拡大表示させる場合、後面液晶パネル108の画像をVDP101より出力し、スケーラ102において拡大処理を行い、駆動回路103を通して前面液晶パネル104へ表示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2007−139865号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、上記従来のマルチレイヤーディスプレイでは、拡大表示を行うためにスケーラによる画像処理が必要であり、表示速度が遅くなるといった問題がある。
【0009】
また、スケーラは、外付け(単体)タイプと、VDPに内蔵されるタイプの2つがある。前者の場合、回路実装面積やコストアップの問題があり、後者の場合、VDPの回路規模面積やコストアップの問題がある。
【0010】
また、スケーラで拡大・縮小すると、画像ボケや画像潰れが生じることがあるので、これを防止するため、通常画像と、拡大または縮小画像の両方を予めROMに格納させることも考えられるが、ROMのコストアップにつながる。
【0011】
上記問題点に鑑み、本発明は、拡大表示または縮小表示のためにスケーラによる画像処理を必要とせず、高速かつ高品位な拡大表示または縮小表示を可能とする表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の或る態様に係る表示装置は、
第1解像度を有する第1表示パネルと、
第1解像度に比して高い解像度を有する第2表示パネルと、
第2表示パネルの一部に表示された画像の画像データを出力し、第1表示パネルに拡大画像を表示させる画像出力部と、
を備えることを特徴とする。
【0013】
また、本発明の他の態様に係る表示装置は、
第1解像度を有する第1表示パネルと、
第1解像度に比して高い解像度を有する第2表示パネルと、
第1表示パネルに表示された画像の画像データを出力し、第2表示パネルに縮小画像を表示させる画像出力部と、
を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、拡大表示または縮小表示のためにスケーラによる画像処理を必要とせず、高速かつ高品位な拡大表示または縮小表示を可能とする。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の一実施形態に係る液晶表示装置のブロック構成図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る液晶表示装置の概略分解斜視図である。
【図3】本発明の一実施形態に係る拡大表示処理を説明するための図である。
【図4A】本発明の別実施形態に係る拡大表示処理を説明するための図である。
【図4B】本発明の別実施形態に係る拡大表示処理を説明するための図である。
【図5】従来の拡大表示処理を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の一実施形態について図面を参照して説明する。
【0017】
本発明の一実施形態に係る液晶表示装置20の概略分解斜視図を図1に示す(なお、図1におけるX方向は左右方向、Y方向は上下方向、Z方向は前後方向を示す)。図1に示すように、液晶表示装置20の後方から前方へ向かってバックライトユニット12、後面液晶パネル10、拡散板13、前面液晶パネル7及びタッチパネル4がこの順番に配置され、液晶表示装置20はマルチレイヤーディスプレイとして構成される。バックライトユニット12より出力された白色光が後面液晶パネル10、拡散板13、前面液晶パネル7及びタッチパネル4の順に透過し、画像が表示される。
【0018】
なお、後面液晶パネル10の偏光板によって偏光された光が直接、前面液晶パネル7へ入射すると、光の干渉によってモアレが発生する場合がある。そこで、後面液晶パネル10と前面液晶パネル7の間に拡散板13を設けることで、後面液晶パネル10によって偏光された光を拡散板13により無偏光の光へ戻してから前面液晶パネル7へ入射させ、モアレの発生を抑えている。
【0019】
前面液晶パネル7及び後面液晶パネル10に同時に画像を表示させることで奥行き感のある三次元的な視覚効果を得ることが可能である。また、前面液晶パネル7及び後面液晶パネル10のいずれか一方に画像を表示させ、他方を画像非表示とすることも可能である。
【0020】
本発明の一実施形態に係る液晶表示装置20のブロック構成を図2に示す。図2に示すように、液晶表示装置20は、CPU(Central Processing Unit)1と、ROM(Read Only Memory)2と、コントローラ3と、タッチパネル4と、VDP(Video Display Processor)5と、駆動回路6と、前面液晶パネル7と、VDP8と、駆動回路9と、後面液晶パネル10と、制御回路11と、バックライトユニット12を備える。なお、VDP5とVDP8の2系統ではなく、VDP1系統から駆動回路6、9へ接続される構成も考えられる。
【0021】
液晶表示装置20は、例えば車載用ナビゲーション装置、モバイル端末、デジタルサイネージ及びアミューズメント機器(パチスロ機等)に搭載可能である。なお、デジタルサイネージとは、屋外や公共施設に配置されて広告コンテンツやメッセージ等を表示するものである。
【0022】
CPU1は、液晶表示装置20の各部を制御する演算装置である。ROM2は、CPU1の制御プログラムや画像データ(例えば地図画像データ)などを記憶する読み出し専用の記憶装置である。
【0023】
タッチパネル4は、ユーザによるタッチを検知する透光性のセンサであり、例えば静電容量方式タッチパネルを採用できる。タッチパネル4に接続されたコントローラ3は、タッチパネル4におけるタッチされた位置を検出する。
【0024】
VDP5及びVDP8は、画像データ出力用のプロセッサである。駆動回路6及び駆動回路9は、それぞれVDP5及びVDP8から画像データを入力され、入力された画像データに基づいて前面液晶パネル7及び後面液晶パネル10の各画素に対応する液晶を駆動する。
【0025】
バックライトユニット12は、前面液晶パネル7及び後面液晶パネル10に白色光を照射する照明装置であり、例えばLED(Light Emitting Diode)や冷陰極管が用いられる。省電力化の観点からはLEDを用いることが望ましい。
【0026】
次に、液晶表示装置20における拡大表示処理の一例について図3を参照して説明する。
【0027】
図3に示す例では、前面液晶パネル7と後面液晶パネル10で画面サイズを12インチとして同じ画面サイズとしている。しかし、解像度については、前面液晶パネル7をVGA(640×480)とし、後面液晶パネル10をXGA(1024×768)とし、前後の液晶パネルで解像度を異ならせている。
【0028】
VDP8がROM2より画像データを読み出して駆動回路9に出力し、駆動回路9により後面液晶パネル10の全画面に地図画像が表示されているとする(このとき、前面液晶パネル7は全白表示)。
【0029】
ここで、タッチパネル4がタッチされると、コントローラ3によりタッチされた位置が検出される。すると、VDP5は、検出されたタッチ位置を中心とするVGA(640×480)の解像度を有する領域A10の画像データをCPU1の制御によりROM2から読み出して駆動回路6に出力する。
【0030】
駆動回路6は、入力された画像データに基づいて前面液晶パネル7を駆動する。これにより、前面液晶パネル7に領域A10の拡大地図画像が表示される(このとき、後面液晶パネル10は全白表示)。即ち、ROM2に記憶された画像データに対してスケール画像処理を行うことなく、前面液晶パネル7に拡大画像が表示される。
【0031】
このように、従来(図5)は必要であったスケーラによる画像処理を行わずに拡大表示を行うことができるので、高速かつ高品位な拡大表示が可能となる。また、スケーラを設けることが不要となるので、部品実装面積及びコストの低減につながり、特にモバイル端末や車載用機器に適用する場合に有効なものとなる。
【0032】
次に、液晶表示装置20における拡大表示処理の別の一例について図4A及び図4Bを参照して説明する。
【0033】
図4A及び図4Bに示す例でも、図3と同様、前面液晶パネル7と後面液晶パネル10で画面サイズを12インチとして同じ画面サイズとし、解像度については、前面液晶パネル7をVGA(640×480)とし、後面液晶パネル10をXGA(1024×768)とし、前後の液晶パネルで解像度を異ならせている。
【0034】
VDP8がROM2より画像データを読み出して駆動回路9に出力し、駆動回路9により後面液晶パネル10の全画面に地図画像が表示されているとする(このとき、前面液晶パネル7は全白表示)(図4A)。
【0035】
ここで、タッチパネル4がタッチされると、コントローラ3によりタッチされた位置が検出される。すると、VDP5は、検出されたタッチ位置を中心とする320×240の解像度を有する領域A20(図4A)の画像データをCPU1の制御によりROM2から読み出す。VDP5は、読み出した画像データを画面左上半分として画面の残りを全白表示としたVGA(640×480)の画像データを作成して駆動回路6に出力する。そして、駆動回路6により前面液晶パネル7が駆動され、前面液晶パネル7の画面左上半分に領域A20の拡大地図画像が表示される(図4B)。
【0036】
このとき、VDP8は、後面液晶パネル10の全画面に表示された地図画像(図4A)のうち画面左上半分を全白表示とした画像データを駆動回路9に出力する。そして、駆動回路9による駆動により、後面液晶パネル10の画面左上半分を除いた部分に地図画像が表示される(図4B)。
【0037】
前面液晶パネル7の画像と後面液晶パネル10の画像が合成されることにより、画面左上半分に拡大地図画像が表示され、それ以外の部分に元の地図画像が表示される。
【0038】
なお、拡大画像を表示する箇所は画面左上半分に限ることはなく、例えば画面中央の所定領域としてもよい。
【0039】
以上、拡大表示処理について説明したが、以下のような縮小表示処理も可能である。
【0040】
例えば、図3に示すように、VDP5の画像データ出力により前面液晶パネル7(解像度VGA)の全画面に地図画像が表示されているとする(このとき、後面液晶パネル10は全白表示)。ここで、タッチパネル4をタッチすると、VDP8が前面液晶パネル7に表示された画像の画像データ(解像度VGA)を駆動回路9に出力する。そして、駆動回路9による駆動により、後面液晶パネル10(解像度XGA)の画面一部領域(例えば図3の領域A10)に前面液晶パネル7に表示されていた画像の縮小画像(解像度VGA)が表示される(このとき、前面液晶パネル7は全白表示)。
【0041】
これにより、スケーラによる画像処理を行わずに縮小表示できるので、高速かつ高品位な縮小表示が可能となる。
【0042】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明の趣旨の範囲内であれば、実施形態は種々変形が可能である。例えば上述した実施例では、後面液晶パネル(XGA)のほうが前面液晶パネル(VGA)よりも解像度を高くしたが、逆としてもよい。
【0043】
また、上記例では、タッチパネルで指定された位置を中心とした拡大・縮小の例を示したが、他の例でもよい。例えば、パソコンのマウスで指定する場合もある。あるいは、アミューズメント(パチスロ等)用途などでは、あらかじめ決められた位置の画像を拡大・縮小する仕様でもよい(即ち、タッチパネルやマウス等は使用しない仕様)。
【符号の説明】
【0044】
1 CPU
2 ROM
3 コントローラ
4 タッチパネル
5 VDP
6 駆動回路
7 前面液晶パネル
8 VDP
9 駆動回路
10 後面液晶パネル
11 制御回路
12 バックライトユニット
20 液晶表示装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1解像度を有する第1表示パネルと、
第1解像度に比して高い第2解像度を有する第2表示パネルと、
第2表示パネルの一部に表示された画像の画像データを出力し、第1表示パネルに拡大画像を表示させる画像出力部と、
を備えることを特徴とする表示装置。
【請求項2】
画像データを記憶する記憶部を更に備え、
第1表示パネル及び第2表示パネルに表示される画像は、前記記憶部に記憶された同一の画像データに基づいて表示され、
前記記憶部に記憶された画像データに対してスケール画像処理を行うことなく、第1表示パネルに拡大画像が表示されることを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
第1表示パネルと第2表示パネルは重なって配置され、
第1表示パネルと第2表示パネルの画面サイズはほぼ同一であることを特徴とする請求項2に記載の表示装置。
【請求項4】
前記第2表示パネルの画面の一部に表示された画像は、第1表示パネルに表示される画像サイズの画像であることを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項5】
前記拡大画像が第1表示パネルの画面の一部に表示されると共に、第2表示パネルの画面領域のうち前記拡大画像が第1表示パネルに表示される領域に対応する領域以外の画面領域に画像が表示されることを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項6】
第1解像度を有する第1表示パネルと、
第1解像度に比して高い解像度を有する第2表示パネルと、
第1表示パネルに表示された画像の画像データを出力し、第2表示パネルに縮小画像を表示させる画像出力部と、
を備えることを特徴とする表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−88465(P2013−88465A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−225797(P2011−225797)
【出願日】平成23年10月13日(2011.10.13)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【出願人】(506387959)三洋電機システムソリューションズ株式会社 (12)
【Fターム(参考)】