説明

表面を処理するためのポリマー

本発明は、成分Aとして、aa)成分Aaとしてポリアルキレンポリアミン、ポリアミドアミン、エチレンイミンでグラフトされたポリアミドアミン、ポリエーテルアミン並びに前記化合物の混合物、ab)場合により成分Abとして官能基としてハロゲンヒドリン単位、グリシジル単位、アジリジン単位又はイソシアナート単位又はハロゲン原子を有する少なくとも二官能性の架橋剤及びac)モノエチレン系不飽和カルボン酸、モノエチレン系不飽和カルボン酸の塩、エステル、アミド又はニトリル、クロロカルボン酸及び/又はグリシジル化合物、例えばグリシジル酸、グリシジルアミド又はグリシジルエステルの反応により得ることができる水溶性又は水分散性の化合物;及び水を含有している硬質表面を処理するための組成物;水溶性又は水分散性の化合物の製造方法、本発明による方法により製造可能である水溶性又は水分散性の化合物並びに迅速かつしまのない乾燥、汚れはがしの容易化、水の凝縮の減少又は回避及び/又は硬質表面上への乾固した水の痕跡の形成の減少又は回避のために硬質表面を処理するための組成物における本出願による水溶性又は水分散性の化合物の使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水溶性又は水分散性の化合物及び水を含有している、硬質表面を処理するための組成物、水溶性又は水分散性の化合物の製造方法、本発明による方法により製造可能である水溶性又は水分散性の化合物並びに迅速かつしまのない乾燥、汚れはがし(Schmutzabloesung)の容易化、水の凝縮の減少又は回避及び/又は硬質表面上への乾固した水の痕跡の形成の減少又は回避のための、硬質表面を処理するための組成物中の本出願による水溶性又は水分散性の化合物の使用に関する。
【0002】
さらに、本発明は、クリーナー適用において汚れ及び特に石灰せっけんの分散を可能にする水溶性又は水分散性の化合物(ポリマー)の使用に関する。
【0003】
硬質表面、特に滑らかな表面、例えばガラス又はセラミックの清浄化の場合に、高い清浄性能、単純かつ快適な適用並びにしまがなくかつ迅速な乾燥に加えて、清浄化された表面からの水の流出が薄い水膜(Wasserfilm)として行われるので、これらの表面上への乾固した水の痕跡の形成が回避されることが望ましい。さらに、例えば石灰残留物の、容易になった汚れはがしが望ましい。硬質表面上への水の湿潤は、例えば浴室中でシャワー浴又は入浴の間及びそれらの後に行われ、その際に乾固した水の痕跡の形成も観察されうる。これらの水の痕跡は、特に水の硬度に基づいて石灰痕跡及び石灰縁部(Kalkraendern)の形で生じる。浴室中並びにその他の領域において、例えば硬質表面を形成する床敷き材(Fussbodenbelaegen)を有する領域において、迅速かつしまのない乾燥、並びに容易になった汚れはがしがさらに望ましい。食器の自動清浄又は手による清浄化の場合にも前記の性質の多くが望ましい。さらに、乾固した水滴の形成は窓ガラスの清浄化の場合に、例えば清浄化された窓がその後ににわか雨を受ける場合に問題である。
【0004】
故に、硬質表面に1よりも多い湿潤サイクルの期間に亘り前記の性質の1つ又はそれ以上を備えさせるのに適している硬質表面を処理するための組成物を提供することが望ましい。
【0005】
清浄剤においてせっけんの使用は通常である。せっけんは、液体洗剤に加えて身体の手入れのための清浄剤及び手入れ剤においても使用される。ここでも、水の硬度と組み合わさって、硬質表面上に沈殿しかつそこで難溶性残留物を形成しうる不溶性石灰せっけんが形成されうる。例えば、これはシャワーライニング及び洗面台並びに風呂桶上へ生じうる。故に、石灰せっけん汚れの容易になったはがしを可能にすることがさらに望ましい。
【0006】
国際公開(WO)第96/04358号パンフレットからは、塗膜形成及び/又はしまの形成の問題となる程度を回避し、かつガラス表面にこうして望ましい外観を付与するガラス用清浄剤が公知である。この望ましい外観はより長い期間に亘って維持され、このことはガラス用クリーナーがより高い親水性をガラスに付与する材料を含有することにより達成される。この材料は、好ましくはポリカルボキシレート、例えばポリ(ビニルピロリドン/アクリル酸)、ポリアクリル酸又はスルホン化ポリスチレンポリマーである。
【0007】
独国特許出願公開(DE-A)第198 59 777号明細書には、リグニンスルホン酸塩を含有し、硬質表面、特にガラス用の水性液体界面活性剤含有清浄剤に関する。清浄剤中のリグニンスルホン酸塩により、同時にいわゆる耐雨効果(乾固した水の痕跡の回避)及び曇り防止効果(硬質表面上への水の縮合の回避)が達成される。
【0008】
硬質表面を処理するための技術水準から公知の組成物に比較して、硬質表面を処理するための、特に滑らかな表面、例えばガラス、金属、セラミック又はプラスチック用の組成物の性質をさらに改善すること、すなわち前記の性質の望ましい組合せを有する組成物を提供することが望ましく、その際にこれらの性質の少なくとも幾つかが1よりも多い湿潤サイクルの期間に亘って得られたままである。
【0009】
この課題は、
aa)成分Aaとして、ポリアルキレンポリアミン、ポリアミドアミン、エチレンイミンでグラフトされたポリアミドアミン、ポリエーテルアミン並びに前記化合物の混合物、
ab)場合により、成分Abとして、官能基としてハロゲンヒドリン単位、グリシジル単位、アジリジン単位又はイソシアナート単位又はハロゲン原子を有する少なくとも二官能性の架橋剤、及び
ac)モノエチレン系不飽和カルボン酸、モノエチレン系不飽和カルボン酸の塩、エステル、アミド又はニトリル、クロロカルボン酸及び/又はグリシジル化合物、例えばグリシジル酸、グリシジルアミド又はグリシジルエステル
の反応により得ることができる、少なくとも1つの水溶性又は水分散性の化合物である、成分A;及び

を含有している、硬質表面を処理するための組成物により解決される。
【0010】
前記の水溶性又は水分散性の化合物を含有する組成物が、迅速かつしまのない乾燥、水の縮合の回避又は減少、硬質表面上への特に水の硬度に基づく石灰痕跡及び石灰縁部の形での乾固した水の痕跡の形成の回避又は減少及び容易になった汚れはがし、特に石灰はがしに関して、卓越した性質を有することが意外なことに見出された。
【0011】
水溶性又は水分散性の化合物(ポリマー)により、クリーナー適用において汚れ及び特に石灰せっけんの分散が可能になる。分散により石灰せっけんの沈殿は阻害され、ひいては清浄化すべき平面上の堆積は防止される。さらにまたポリマーは、ポリマーで処理された表面に石灰せっけん汚れが付着することを防止する性質を有し、こうして前記効果を促進する。これらの表面上に施された石灰せっけん汚れは、明らかにより容易にはがされる。
【0012】
水溶性又は水分散性の化合物(ポリマー)で前処理されていた表面上に、石灰せっけんが沈殿される場合には、これらは引き続いて、前処理されていなかった表面よりも極めてずっとより良好に清浄化されることができる。
【0013】
硬質表面は、公知の全ての硬質表面であると理解されるべきである。これらは特に滑らかな表面、例えばガラス、セラミック、金属、例えば合金鋼、エナメル、塗面及びプラスチックからなる表面である。
【0014】
処理は、清浄化の前又は後での硬質表面の前処理又は後処理並びに清浄化中の処理であると理解されるべきである。さらに硬質表面の処理は清浄化過程から独立して行われることができる。
【0015】
成分Aa、場合によりAb、及びAcの反応により得ることができるポリマーは既に技術水準から公知である。
【0016】
例えば、独国特許出願公開(DE-A)第42 44 194号明細書は、アミノ基を有する化合物及び架橋剤からなる水溶性縮合生成物に関する。これらの縮合生成物は、
a)ポリアルキレンポリアミン、ポリアミドアミン、エチレンイミンでグラフトされたポリアミドアミン、ポリエーテルアミン並びに前記化合物の混合物、
b)モノエチレン系不飽和カルボン酸、モノエチレン系不飽和カルボン酸の塩、エステル、アミド又はニトリル、クロロカルボン酸及び/又はグリシジル化合物、例えばグリシジル酸、グリシジルアミド又はグリシジルエステル、及び
c)官能基としてハロゲンヒドリン単位、グリシジル単位、アジリジン単位又はイソシアナート単位又はハロゲン原子を有する少なくとも二官能性の架橋剤
の反応により得ることができる生成物である。
【0017】
これらの水溶性縮合生成物は、製紙の際に脱水促進剤、凝集剤及び歩留まり向上剤として使用される。硬質表面を処理するための組成物における前記水溶性縮合生成物の使用は、独国特許出願公開(DE-A)第42 44 194号明細書に開示されていない。
【0018】
国際公開(WO)第97/42285号パンフレットは、水溶性又は水分散性の変性ポリアミン化合物を有する、木綿用のソイルリリース−ポリマーに関する。詳細な説明によれば、変性ポリアミンは好ましくは、一般的に600Daを下回る低い分子量を有し、かつ“オキシ”−単位を介して互いに結合されているポリエチレンイミン及びポリエチレンアミンである。硬質表面用の清浄剤における国際公開(WO)第97/42285号パンフレットに開示されたポリマーの使用は、国際公開(WO)第97/42285号パンフレットに開示されていない。
【0019】
国際公開(WO)第00/49126号パンフレットは少なくとも1つの変性ポリアミン化合物及び界面活性剤を含有する洗剤組成物に関する。変性ポリアミン化合物は、グラフトされた又はグラフトされていない、変性又は未変性の、架橋されているポリアミンである。ポリアミンとして一実施態様においてポリエチレンイミンが使用される。架橋剤として、アミドを形成する架橋剤並びに別の架橋剤、例えばエピハロヒドリン又は例えばポリエチレングリコールとの組合せでのエピハロヒドリンが使用されることができる。ポリアミン化合物の変性は、例えばアジリジンでのグラフトにより、又は線状又は分枝鎖状であるC〜C22−アルキル基を有するモノカルボン酸との反応によるいわゆる“キャッピング(Capping)”により行われる。不飽和カルボン酸と反応されたポリアミン化合物は、国際公開(WO)第00/49126号パンフレットに開示されていない。さらに、国際公開(WO)第00/49126号パンフレットには、硬質表面用の清浄剤における変性ポリアミン化合物の使用は開示されていない。
【0020】
本発明により使用される水溶性又は水分散性の化合物(成分A)は既に単独で、水溶液中の単一成分として、硬質表面を処理するための組成物中で使用されることができる。本出願のさらなる実施態様において、前記組成物は水溶性又は水分散性の化合物(成分A)に加えて、成分Bとして少なくとも1つの界面活性剤を含有する。少なくとも1つの水溶性又は水分散性の化合物(成分A)に加えて、少なくとも1つの界面活性剤(成分B)を含有する組成物は、硬質表面の処理に加えて、これらの表面の清浄化のためと同時に所望の前記の性質の達成のために適している。
【0021】
水溶性又は水分散性の化合物(成分A)及び少なくとも1つの界面活性剤(成分B)に加えて、組成物は通常、硬質表面用の清浄剤において使用される別の成分を含有していてよい。
【0022】
a)成分Aとして、本出願による少なくとも1つの水溶性又は水分散性の化合物;
b)成分Bとして、アニオン界面活性剤、非イオン界面活性剤、両性界面活性剤及びカチオン界面活性剤からなる群から選択される少なくとも1つの界面活性剤;
c)場合により、成分Cとして、少なくとも1つの水溶性有機溶剤;
d)場合により、成分Dとして、アンモニア及び/又は少なくとも1つのアルカノールアミン;
e)場合により、成分Eとして、少なくとも1つの無機酸、カルボン酸及び/又はスルホン酸;
f)場合により、成分Fとして、少なくとも1つのビルダー;
g)場合により、成分Gとして、別の助剤及び添加剤;及び
h)水
を含有する組成物が特に好ましい。
【0023】
成分Aは、本発明による組成物中に一般的に0.01〜40質量%、好ましくは0.05〜20質量%、特に好ましくは0.1〜5質量%の量で含まれている。成分B〜Fは一般的に当業者に公知の量で本発明による組成物中に含まれている。
【0024】
a)成分A 0.01〜40質量%、好ましくは0.05〜20質量%、特に好ましくは0.1〜5質量%;
b)成分B 0.01〜80質量%、好ましくは0.01〜30質量%、特に好ましくは0.01〜20質量%、極めて特に好ましくは0.01〜5質量%;
c)成分C 0〜50質量%、好ましくは0.1〜30質量%、特に好ましくは0.5〜15質量%、極めて特に好ましくは1〜10質量%;
d)成分D 0〜5質量%、好ましくは0.01〜3質量%、特に好ましくは0.02〜1質量%、極めて特に好ましくは0.05〜0.5質量%;
e)成分E 0〜5質量%、好ましくは0.01〜3質量%、特に好ましくは0.02〜1質量%、極めて特に好ましくは0.05〜0.5質量%;
f)成分F 0〜10質量%、好ましくは0.1〜5質量%、特に好ましくは0.1〜3質量%;
g)成分G 0〜5質量%、好ましくは0.01〜3質量%;
h)及び残りの量として水;
を含有する組成物が特に好ましく、その際に成分A〜G及び水の全量は100質量%となる。
【0025】
前記の量の記載はすぐ使用できる組成物に基づいている。すぐ使用できる組成物は、表面用に典型的な種類において、例えばワイピング、噴霧又はすすぎ又は硬質表面を有する対象物の処理のために通常使用されるような類似の方法により表面上に施与される水溶液であると理解されるべきである。しかしながら本発明は、濃縮物、すなわち前記の成分A〜Gを含有するが、しかしながら水を含有しないか又は前記のものよりも少ない水を含有している組成物にも関するものであり、このことは成分A〜Gがより高い濃度で存在することを意味する。水が存在しないか又は前記のものよりも少ない水の存在での成分A〜Gの濃度は、当業者に前記の量の記載に基づいて容易に算出されることができる。本出願はさらに、粉末形、グラニュール形、ペースト形又はゲル形で存在する成分A〜Gを含有する組成物に関する。相応する助剤及び添加剤並びに多様な形の本発明による組成物の製造方法は、当業者に公知である。
【0026】
本発明による組成物を用いて達成される、迅速かつしまのない乾燥、水の縮合の回避又は減少及び/又は硬質表面上への乾固した水の痕跡の形成の回避又は減少及び/又は容易になった汚れはがしの効果は、一般的により長い期間及び1よりも多い再湿潤サイクルに亘り持続する。それにより清浄化、例えば汚れはがしは、本発明による組成物での処理後の清浄化操作において容易になる。このことは、硬質表面の表面がより長い期間に亘って変性される(親水化される)ことによって達成される。それにより、水の改善された流出挙動及び同時に硬質表面上のより低い汚れ堆積及び塩堆積が達成される。
【0027】
成分A
成分Aは、成分Aa、場合によりAb、及びAcの反応により得られる。それゆえ水溶性又は水分散性の化合物は架橋された又は架橋されていない形で存在していてよく、その際に成分Aaはいずれにせよ成分Acで変性されていた。
【0028】
その際に、成分Aa、場合によりAb、及びAcは互いに任意の比で使用されることができる。成分Abが使用される場合には、成分Aa及びAbは好ましくは100対1〜1対1000、特に好ましくは20対1〜1対20のモル比で使用される。成分AaとAcとの間のモル比は、好ましくは、Aa中の窒素上の水素原子対成分Acのモル比が1対0.2〜1対0.95、好ましくは1対0.3〜1対0.9、特に好ましくは1対0.4〜1対0.85であるように選択される。
【0029】
成分Aa
成分Aaとして、ポリアルキレンポリアミンが使用されることができる。ポリアルキレンポリアミンは本出願によれば、少なくとも3個の窒素原子を有する化合物、例えばジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミン、ジアミノプロピレンエチレンジアミン、トリスアミノプロピルアミン及びポリエチレンイミンであると理解されるべきである。ポリエチレンイミンは好ましくは少なくとも300の平均モル質量(M)を有する。好ましくは、ポリエチレンイミンの平均モル質量は、光散乱を用いて算出して、800〜2000000、特に好ましくは20000〜1000000、極めて特に好ましくは20000〜750000である。
【0030】
ポリアルキレンポリアミンは部分的にアミド化されていてよい。この種類の生成物は、例えばポリアルキレンポリアミンとカルボン酸、カルボン酸エステル、無水カルボン酸又はカルボン酸ハロゲン化物との反応により製造される。ポリアルキレンポリアミンは、本出願によればその後の反応のために、好ましくは1〜30%、特に好ましくは20%までアミド化される。アミド化されたポリアルキレンポリアミンは、これらが化合物Ab及びAcと反応されることができるようになお遊離NH基を有することが必要である。ポリアルキレンポリアミンのアミド化に適しているカルボン酸は、C〜C28−カルボン酸、例えばギ酸、酢酸、プロピオン酸、安息香酸、ラウリン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸及びベヘン酸である。アミド化がポリアルキレンポリアミンとアルキルジケテンとの反応により行われることは同様に可能である。
【0031】
ポリアルキレンアミンはさらに部分的に四級化された形で成分Aaとして使用されることができる。適している四級化剤は、例えばハロゲン化アルキル、例えば塩化メチル、塩化エチル、塩化ブチル、エピクロロヒドリン、塩化ヘキシル、硫酸ジメチル、硫酸ジエチル塩及び塩化ベンジルである。成分Aaとして四級化されたポリアルキレンポリアミンが使用される場合には、四級化度は好ましくは1〜30%、特に好ましくは20%までである。
【0032】
さらにポリアミドアミンが成分Aaとして適している。ポリアミドアミンは、例えばC〜C10−ジカルボン酸と、分子中に好ましくは塩基窒素原子3〜10個を有するポリアルキレンポリアミンとの反応により得ることができる。適しているジカルボン酸は、例えばコハク酸、マレイン酸、アジピン酸、グルタル酸、スベリン酸、セバシン酸又はテレフタル酸である。カルボン酸からなる混合物、例えばアジピン酸及びグルタル酸又はマレイン酸及びアジピン酸からなる混合物も使用されることができる。好ましくはアジピン酸がポリアミドアミンの製造のために使用される。ジカルボン酸と縮合される適したポリアルキレンポリアミンは既に前記されており、例えばジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、ジプロピレントリアミン、トリプロピレンテトラミン、ジヘキサメチレントリアミン、アミノプロピルエチレンジアミン及びビス−アミノプロピル−エチレンジアミンが適している。ポリアルキレンポリアミンはポリアミドアミンの製造の際に混合物の形でも使用されることができる。ポリアミドアミンの製造は好ましくはバルクで行われるが、しかしながら場合により不活性溶剤中でも行われることができる。ポリアルキレンポリアミンとのジカルボン酸の縮合はより高い温度で、例えば120〜220℃の範囲内で行われる。反応の間に形成された水は反応混合物から留去される。縮合は場合により、炭素原子4〜8個を有するカルボン酸のラクトン又はラクタムの存在で行われることができる。ジカルボン酸1mol当たり一般的にポリアルキレンポリアミン0.8〜1.4molが使用される。こうして得ることができるポリアミドアミンは、第一級NH基及び第二級NH基を有し、かつ水中に可溶である。
【0033】
さらに成分Aaとしてエチレンイミンでグラフトされたポリアミドアミンが使用されることができる。この種類の生成物は、エチレンイミンをブレーンステッド酸又はルイス酸、例えば硫酸、リン酸又は三フッ化ホウ素エーテラートの存在で前記のポリアミドアミンに作用させることにより製造可能である。前記条件下で、エチレンイミンがポリアミドアミン上へグラフトされる。例えばポリアミドアミン中の塩基性窒素基1個当たりエチレンイミン単位1〜10個がグラフトされることができ、すなわちポリアミドアミン100質量部にエチレンイミン約10〜500質量部が使用される。
【0034】
さらに成分Aaとしてポリエーテルアミンが使用されることができる。この種類の化合物は、例えば独国特許出願公開(DE-A)第29 16 356号明細書から公知である。ポリエーテルアミンは、高められた温度でのクロロヒドリンエーテルとのジアミン及びポリアミンの縮合により得られることができる。ポリアミンは窒素原子10個までを含有していてよい。クロロヒドリンエーテルは例えば、炭素原子2〜5個を有する二価アルコール、アルキレンオキシド単位60個までを有するこれらのアルコールのアルコキシル化生成物、グリセリン又はグリセリン単位15個までを有するポリグリセリン、エリトリトール又はペンタエリトリトールと、エピクロロヒドリンとの反応により製造される。前記アルコールのうちの1つ1mol当たりエピクロロヒドリン少なくとも2〜8molが使用される。ジアミン及びポリアミンとクロロヒドリンエーテルとの反応は通常1〜200℃、好ましくは110〜200℃の温度で実施される。さらにポリエーテルポリアミンは、ジエタノールアミン又はトリエタノールアミンの縮合により、例えば米国特許(US)第4,404,362号明細書、米国特許(US)第4,459,220号明細書及び米国特許(US)第2,407,895号明細書に開示されている公知の方法に従い、製造されることができる。
【0035】
好ましくは、成分Aaとして、場合により最大20%までアミド化されているポリアルキレンポリアミンが使用される。特に好ましくは、ポリアルキレンポリアミン、殊に、800〜2000000、特に好ましくは20000〜1000000、極めて特に好ましくは20000〜750000の平均モル質量を極めて特に好ましくは有するポリエチレンイミンが使用される。
【0036】
成分Ab
成分Abとして、官能基としてハロゲンヒドリン単位、グリシジル単位、アジリジン単位又はイソシアナート単位又はハロゲン原子を有する少なくとも二官能性の架橋剤が適している。
【0037】
適している架橋剤は例えばエピハロゲンヒドリン、好ましくはエピクロロヒドリン、並びにα,ω−ビス−(クロロヒドリン)ポリアルキレングリコールエーテル及びこれらから塩基での処理により得ることができるポリアルキレングリコールエーテルのα,ω−ビス(エポキシド)である。クロロヒドリンエーテルは例えば、ポリアルキレングリコールをエピクロロヒドリンと1対少なくとも2〜5のモル比で反応させることにより製造される。適しているポリアルキレングリコールは、例えばポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール及びポリブチレングリコール並びにC−〜C−アルキレンオキシドのブロックコポリマーである。ポリアルキレングリコールの平均モル質量(M)は一般的に100〜6000、好ましくは300〜2000g/molである。α,ω−ビス(クロロヒドリン)ポリアルキレングリコールエーテルは例えば米国特許(US)第4,144,123号明細書に記載されている。その中に同様に開示されているように、ジクロロヒドリンエーテルから塩基での処理によりポリアルキレングリコールの相応するビスグリシジルエーテルが生じる。
【0038】
さらに架橋剤として、例えば欧州特許出願公開(EP-A)第0 025 515号明細書に開示されているα,ω−ジクロロポリアルキレングリコールが適している。これらのα,ω−ジクロロポリアルキレングリコールは、二価ないし四価のアルコール、好ましくはアルコキシル化された二価ないし四価のアルコールが、HCl脱離下に塩化チオニルと反応され、引き続いて二酸化硫黄の脱離下にクロロスルホン化された化合物が接触分解されるか、又はHCl脱離下にホスゲンと反応されて相応するビスクロロ炭酸エステルへ変換され、それらから引き続いて二酸化炭素の脱離下での接触分解によりα,ω−ジクロロエーテルが得られることにより、得ることができる。
【0039】
二価ないし四価のアルコールは好ましくは、グリコール1mol当たりエチレンオキシド1〜100mol、特に4〜40molと反応されるエトキシル化及び/又はプロポキシル化されたグリコールである。
【0040】
適している別の架橋剤は、α,ω−又はビシナルなジクロロアルカン、例えば1,2−ジクロロエタン、1,2−ジクロロプロパン、1,3−ジクロロプロパン、1,4−ジクロロブタン及び1,6−ジクロロヘキサンである。適している別の架橋剤は、少なくとも2つのクロロヒドリン単位を有する反応生成物を与える少なくとも三価のアルコールとエピクロロヒドリンとの反応生成物である。例えば、多価アルコールとしてグリセリン、エトキシル化又はプロポキシル化されたグリセリン、分子中にグリセリン単位2〜15個を有するポリグリセリン並びに場合によりエトキシル化及び/又はプロポキシル化されたポリグリセリンが使用される。この種類の架橋剤は例えば独国特許出願公開(DE-A)第29 16 356号明細書から公知である。さらに、ブロックイソシアナート基を有する架橋剤、例えば2,2,3,6−テトラメチルピペリジノン−4でブロックされたトリメチルヘキサメチレンジイソシアナートが適している。これらの架橋剤は例えば独国特許出願公開(DE-A)第40 28 285号明細書から公知である。さらに、ポリエーテル又は置換された炭化水素をベースとし、アジリジン単位を有している架橋剤、例えば1,6−ビス−N−アジリジノヘキサンが適している。本出願によれば、架橋剤は個々にか又は2つ又はそれ以上の架橋剤からなる混合物として使用されることができる。
【0041】
特に好ましくは、成分Abとしてエピハロヒドリン、好ましくはエピクロロヒドリン、α,ω−ビス−(クロロヒドリン)ポリアルキレングリコールエーテル、ポリアルキレングリコールエーテルのα,ω−ビス(エポキシド)及び/又はポリアルキレングリコールのビスグリシジルエーテルが使用される。
【0042】
成分Ac
成分Acとして、アルケニル基中に好ましくは炭素原子3〜18個を有するモノエチレン系不飽和カルボン酸が適している。適しているモノエチレン系不飽和カルボン酸は、アクリル酸、メタクリル酸、ジメタクリル酸、エチルアクリル酸、アリル酢酸、ビニル酢酸、マレイン酸、フマル酸、エタコン酸、メチレンマロン酸、シトラコン酸、オレイン酸及びリノレン酸である。好ましくはモノエチレン系不飽和カルボン酸はアクリル酸、メタクリル酸及びマレイン酸からなる群から選択されている。
【0043】
さらに、前記のモノエチレン系不飽和カルボン酸の塩が成分Acとして適している。適している塩は、一般的に前記の酸のアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩及びアンモニウム塩である。ナトリウム塩、カリウム塩及びアンモニウム塩が好ましい。アンモニウム塩はアンモニアから並びにアミン又はアミン誘導体、例えばエタノールアミン、ジエタノールアミン及びトリエタノールアミンから誘導されることができる。アルカリ土類金属塩として、一般的に前記のモノエチレン系不飽和カルボン酸のマグネシウム及びカルシウム塩が考慮に値する。
【0044】
前記のモノエチレン系不飽和カルボン酸の適しているエステルは一価C〜C20−アルコール又は二価C〜C−アルコールから誘導される。適しているエステルは例えばアクリル酸メチルエステル、アクリル酸エチルエステル、アクリル酸−n−プロピルエステル、アクリル酸イソプロピルエステル、アクリル酸−n−ブチルエステル、アクリル酸イソブチルエステル、メタクリル酸メチルエステル、メタクリル酸エチルエステル、メタクリル酸イソプロピルエステル、メタクリル酸−n−ブチルエステル、2−エチルヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、パルミチルアクリレート、ラウリルアクリレート、ジアリールアクリレート、ラウリルメタクリレート、パルミチルメタクリレート、ステアリルメタクリレート、ジメチルマレエート、ジエチルマレエート、イソプロピルマレエート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、3−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、3−ヒドロキシプロピルメタクリレート、ヒドロキシブチルアクリレート、ヒドロキシブチルメタクリレート及びヒドロキシヘキシルアクリレート及びヒドロキシヘキシルメタクリレートである。
【0045】
モノエチレン系不飽和カルボン酸の適しているアミドは例えばアクリルアミド、メタクリルアミド及びオレイン酸アミドである。モノエチレン系不飽和カルボン酸の適しているニトリルは好ましくはアクリロニトリル及びメタクリロニトリルである。さらに、適しているアミドは、モノエチレン系不飽和カルボン酸、特に(メタ)アクリル酸と、アミドアルカンスルホン酸との反応生成物であると理解されるべきである。モノエチレン系不飽和カルボン酸、特に(メタ)アクリル酸と、アミドアルカンスルホン酸との反応により得ることができる特に適しているアミドは、式I又はII
C=CH−X−SOH (I)
C=C(CH)−X−SOH (II)
[式中、Xは存在していないか又は式−C(O)−NH−CH2−n(CH(CH−、−C(O)NH−、−C(O)−NH−(CH(CH)CH−、又は−C(O)−NH−CH(CHCH)−のスペーサー基を表し、ここでnは0〜2を表し、かつmは0〜3を表す]で示される化合物である。1−アクリルアミド−1−プロパンスルホン酸(式I中X=−C(O)−NH−CH(CHCH)−)、2−アクリルアミド−1−プロパンスルホン酸(式I中X=−C(O)−NH−CH(CH)CH−)、2−アクリルアミド−2−メチル−1−プロパンスルホン酸(式I中X=−C(O)−NH−C(CHCH−)−)、2−メタクリルアミド−2−メチル−1−プロパンスルホン酸(式II中X=−C(O)−NH−C(CHCH−)−)及びビニルスルホン酸(Xが式I中に存在していない)が特に好ましい。
【0046】
さらに成分Acとしてクロロカルボン酸が適している。適しているクロロカルボン酸は、例えばクロロ酢酸、2−クロロプロピオン酸、2−クロロ酪酸、ジクロロ酢酸及び2,2′−ジクロロプロピオン酸である。
【0047】
さらに、成分Acとして、次の式:
【0048】
【化1】

[式中、次の意味を表す:
Xは、NH、OMe、ORであり、
Meは、H、Na、K、アンモニウムであり、かつ
Rは、C〜C−アルキル又はC〜C−ヒドロキシアルキルである]を有するグリシジル化合物が適している。
【0049】
式IIIの好ましい化合物は、グリシジル酸、それらのナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩、マグネシウム塩又はカルシウム塩、グリシジル酸アミド及びグリシジル酸エステル、例えばグリシジル酸メチルエステル、グリシジル酸エチルエステル、グリシジル酸−n−プロピルエステル、グリシジル酸−n−ブチルエステル、グリシジル酸イソブチルエステル、グリシジル酸−2−エチルヘキシルエステル、グリシジル酸−2−ヒドロキシプロピルエステル及びグリシジル酸−4−ヒドロキシブチルエステルである。グリシジル酸、それらのナトリウム塩、カリウム塩又はアンモニウム塩又はグリシジル酸アミドが特に好ましい。
【0050】
好ましくは成分Acとしてモノエチレン系不飽和カルボン酸、特に好ましくはアクリル酸、メタクリル酸又はマレイン酸、極めて特に好ましくはアクリル酸が使用される。
【0051】
水溶性又は水分散性の化合物(成分A)は、技術水準による方法に従い製造されることができる。適している製造方法は例えば独国特許出願公開(DE-A)第42 44 194号明細書に開示されており、そこでは成分Aaはまず最初に成分Acと反応され、その後はじめて成分Abが添加される。さらに、独国特許出願公開(DE-A)第42 44 194号明細書によれば、成分Ac及びAbを成分Aaと同時に反応させることが可能である。
【0052】
好ましい一実施態様において、成分Aa、Ab及びAcを含有している水溶性又は水分散性の化合物(成分A)は、次の工程を含む方法により製造される:
i)成分Aaとして、ポリアルキレンポリアミン、ポリアミドアミン、エチレンイミンでグラフトされたポリアミドアミン、ポリエーテルアミン並びに前記化合物の混合物を、
成分Abとして、官能基としてハロゲンヒドリン単位、グリシジル単位、アジリジン単位又はイソシアナート単位又はハロゲン原子を有する少なくとも二官能性の架橋剤で
架橋する工程;
及び
ii)工程i)において得られた生成物を、成分Cとしてモノエチレン系不飽和カルボン酸、モノエチレン系不飽和カルボン酸の塩、エステル、アミド又はニトリル、クロロカルボン酸及び/又はグリシジル化合物、例えばグリシジル酸、グリシジルアミド又はグリシジルエステルと反応させる工程。
【0053】
本発明によるこの反応は、独国特許出願公開(DE-A)第42 44 194号明細書に開示された反応とは、反応の順序が、まず最初に成分Abの架橋剤での成分Aaの化合物の架橋が行われ、それに引き続いてはじめて、得られた生成物と成分Acの化合物との反応が行われることが変更された点で相違する。
【0054】
工程i)
成分Acの架橋剤での成分Aaの化合物の架橋は、当業者に公知の方法により行われる。一般的に架橋は10〜200℃の温度、好ましくは30〜100℃で行われる。反応は通常、常圧で実施される。反応時間は使用される成分Aa及びAbに依存している。一般的に反応期間は0.5〜20時間、好ましくは1〜10時間である。架橋剤(成分Ab)は一般的に水溶液中に添加されるので、反応は通常水溶液中で行われる。得られた生成物は、単離されることができるか又は直接的に−単離工程なしで−工程ii)において反応されることができ、これが好ましい。
【0055】
工程ii)
工程ii)において、工程i)において得られた生成物と、モノエチレン系不飽和二重結合を有する群Acのそのような化合物との反応はマイケル−付加の種類により行われるのに対して、クロロカルボン酸及び式Iのグリシジル化合物はクロロ基又はエポキシド基を介して、工程i)において得られた架橋生成物の第一級アミノ基又は第二級アミノ基と反応する。反応は一般的に10〜200℃の温度、好ましくは30〜100℃で行われる。通常、反応は常圧で実施される。反応期間は使用される成分に依存している。一般的に反応期間は0.5〜100時間、好ましくは1〜50時間である。
【0056】
通常、前記反応は水溶液中で実施され、その際に工程i)において得られた生成物は既に水溶液中に存在している。
【0057】
本発明による方法において使用される成分Aa、Ab及びAcは既に前記で定義されている。
【0058】
本出願のさらなる対象は、工程i)及びii)を含む本出願の本発明による方法により製造可能である水溶性又は水分散性の化合物である。
【0059】
本発明による組成物は成分A及び水に加えてさらなる成分B〜Gを含有していてよい。
【0060】
成分B
本発明による組成物は、成分Bとして、アニオン界面活性剤、非イオン界面活性剤、両性界面活性剤及びカチオン界面活性剤からなる群から選択される少なくとも1つの界面活性剤を0.01〜80質量%、好ましくは0.01〜30質量%、特に好ましくは0.01〜20質量%、極めて特に好ましくは0.01〜5質量%含有する。
【0061】
適しているアニオン界面活性剤は、例えば炭素原子8〜22個、好ましくは8〜18個を有する脂肪アルコールの脂肪アルコール硫酸塩、例えばC〜C11−アルコール硫酸塩、C12〜C13−アルコール硫酸塩、C14〜C18−アルコール硫酸塩、例えばラウリル硫酸塩、セチル硫酸塩、ミリスチル硫酸塩、パルミチル硫酸塩、ステアリル硫酸塩又は獣脂脂肪アルコール硫酸塩である。
【0062】
適している別のアニオン界面活性剤は、硫酸化されたエトキシル化C〜C22−アルコール(アルキルエーテル硫酸塩)もしくはそれらの可溶性塩である。この種類の化合物は例えば、まず最初にC8〜22、好ましくはC10〜18−アルコール、例えば脂肪アルコールがアルコキシル化され、引き続いてアルコキシル化生成物が硫酸化されることによって製造される。アルコキシル化のためには好ましくはエチレンオキシドが使用され、その際に脂肪アルコール1mol当たりエチレンオキシド2〜50mol、好ましくは2〜30molが使用される。しかしながらアルコールのアルコキシル化は、プロピレンオキシド単独で及び場合によりブチレンオキシドでも実施されることができる。そのうえ、エチレンオキシド及びプロピレンオキシド又はエチレンオキシド及びブチレンオキシドを有するそのようなアルコキシル化C8〜22−アルコールが適している。アルコキシル化C8〜22−アルコールは、ブロックの形で又はランダム分布でエチレンオキシド単位、プロピレンオキシド単位及びブチレンオキシド単位を有していてよい。
【0063】
適している別のアニオン界面活性剤は、アルカンスルホン酸塩、例えばC〜C24−、好ましくはC10〜C18−アルカンスルホン酸塩並びにせっけん、例えばC〜C24−カルボン酸のNa塩及びK塩である。
【0064】
適している別のアニオン界面活性剤は、C〜C20−直鎖型アルキルベンゼンスルホン酸塩(LAS)、好ましくは直鎖型C〜C13−アルキルベンゼンスルホン酸塩及びC〜C13−アルキルトルエンスルホン酸塩である。
【0065】
さらにアニオン界面活性剤として、アルケンスルホン酸塩及びヒドロキシアルカンスルホン酸塩もしくは−ジスルホン酸塩からなる混合物であってもよいC〜C24−オレフィンスルホン酸塩及びC〜C24−オレフィンジスルホン酸塩、アルキルエステルスルホン酸塩、スルホン化ポリカルボン酸、アルキルグリセリンスルホン酸塩、脂肪酸グリセリンエステルスルホン酸塩、アルキルフェノールポリグリコールエーテル硫酸塩、炭素原子20〜50個を有するパラフィンスルホン酸塩(天然の源から取得されたパラフィン又はパラフィン混合物をベースとする)、アルキルリン酸塩、アシルイセチオン酸塩、アシルタウレート、アシルメチルタウレート、アルキルコハク酸、アルケニルコハク酸又はそれらの半エステル又は半アミド、アルキルスルホコハク酸又はそれらのアミド、スルホコハク酸のモノエステル及びジエステル、アシルサルコシネート、硫酸化アルキルポリグリコシド、アルキルポリグリコールカルボキシレート並びにヒドロキシアルキルサルコシネートが適している。
【0066】
適しているアニオン界面活性剤はさらにアルキルリン酸塩である。
【0067】
アニオン界面活性剤は、本発明による組成物に好ましくは塩の形で添加される。適している塩はアルカリ金属塩、例えばナトリウム塩、カリウム塩、リチウム塩及びアンモニウム塩、例えばヒドロキシエチルアンモニウム塩、ジ(ヒドロキシエチル)アンモニウム塩及びトリ(ヒドロキシエチル)アンモニウム塩である。
【0068】
アニオン界面活性剤は個々にか又は異なるアニオン界面活性剤の組合せで並びに前記の別の界面活性剤との混合物で使用されることができる。1つのみのクラスからなるアニオン界面活性剤、例えば脂肪アルコール硫酸塩のみ又はアルキルベンゼンスルホン酸塩のみ、しかしまた異なるクラスからなる混合物、例えば脂肪アルコール硫酸塩及びアルキルベンゼンスルホン酸塩からなる混合物が使用されることができる。
【0069】
好ましいアニオン界面活性剤はアルキルエーテル硫酸塩、アルキル硫酸塩及びアルキルリン酸塩である。
【0070】
非イオン界面活性剤として、例えばアルコキシル化C〜C22−アルコール、例えば脂肪アルコールアルコキシラート又はオキソアルコールアルコキシラートが適している。アルコキシル化はエチレンオキシド、プロピレンオキシド及び/又はブチレンオキシドを用いて実施されることができる。この場合に界面活性剤として使用可能であるのは、前記のアルキレンオキシドの少なくとも2つの分子を付加して含有する全てのアルコキシル化アルコールである。この場合にも、エチレンオキシド、ブチレンオキシド及び/又はプロピレンオキシドのブロックコポリマー又は前記のアルキレンオキシドをランダム分布で有する付加生成物が考慮に値する。アルコール1mol当たり、少なくとも1つのアルキレンオキシド2〜50mol、好ましくは3〜20molが使用される。好ましくはアルキレンオキシドとしてエチレンオキシドが使用される。アルコールは好ましくは炭素原子10〜18個を有する。
【0071】
別のクラスの適している非イオン界面活性剤は、C〜C14−アルキル鎖及びエチレンオキシド単位5〜30molを有するアルキルフェノールエトキシラートである。
【0072】
別のクラスの非イオン界面活性剤は、アルキル鎖中に炭素原子8〜22個、好ましくは10〜18個を有するアルキルポリグルコシドである。これらの化合物はグルコシド単位をたいてい1〜20個、好ましくは1.1〜5個有する。別のクラスの非イオン界面活性剤はN−アルキルグルカミドである。
【0073】
非イオン界面活性剤としてさらにアルキルアミンアルコキシラート又はアルキルアミドエトキシラートが適している。
【0074】
好ましくは本発明による組成物は、エチレンオキシド3〜12molでエトキシル化されたC10〜C16−アルコール、特に好ましくはエトキシル化脂肪アルコールを含有する。さらにアルキルポリグルコシド、アルキルアミンアルコキシラート及びアミドエトキシラートが好ましい。
【0075】
個々の非イオン界面活性剤又は異なる非イオン界面活性剤の組合せ又は前記の別の界面活性剤との混合物が使用されることができる。好ましくはアルコキシル化C〜C22−アルコールが単独で使用される。
【0076】
両性界面活性剤の典型的な例は、アルキルベタイン、アルキルアミドベタイン、アミノプロピオネート、アミノグリシネート又は両性イミダゾリウム化合物である。好ましい例は、ココヤシ両性カルボキシプロピオネート(Cocoamphocarboxypropionat)、ココヤシアミドカルボキシプロピオン酸、ココヤシ両性カルボキシグリシネート及びココヤシ両性アセテートである。
【0077】
適しているカチオン界面活性剤は、置換又は非置換の、直鎖状又は分枝鎖状の第四級アンモニウム塩、例えばC8〜6−ジアルキルジメチルアンモニウムハロゲン化物、ジアルコキシジメチルアンモニウムハロゲン化物又は長鎖アルキル基を有するイミダゾリウム塩である。
【0078】
極めて特に好ましくは、成分Bとしてアニオン界面活性剤、非イオン界面活性剤又はアニオン界面活性剤と非イオン界面活性剤とからなる組合せが使用される。極めて特に好ましくは、成分Bは、脂肪アルコール硫酸塩、アルキルエーテル硫酸塩、脂肪アルコールアルコキシラート及びそれらの混合物から選択されている。
【0079】
成分C
水溶性有機溶剤(成分C)は本発明による組成物中で一般的に0〜50質量%、好ましくは0.1〜30質量%、特に好ましくは0.5〜15質量%、極めて特に好ましくは1〜10質量%の量で使用される。
【0080】
適している水溶性有機溶剤は、C〜C−アルコール及び/又はエーテルアルコールであり、その際に異なるアルコール及び/又はエーテルアルコールの混合物が好ましい。
【0081】
適しているアルコールはグリセリン、プロピレングリコール、エチレングリコール、エタノール、イソプロパノール及びn−プロパノールである。適しているエーテルアルコールは、分子中に炭素原子10個までを有するエーテルアルコール、例えばエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノ第三級ブチルエーテル及びプロピレングリコールモノエチルエーテルである。エチレングリコールモノブチルエーテル及びプロピレングリコールモノブチルエーテルが特に好ましい。エタノール、イソプロパノール、n−プロパノール、エチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル及び前記の水溶性有機溶剤の2つ又はそれ以上からなる混合物から選択される成分Cが極めて特に好ましい。
【0082】
アルコール及びエーテルアルコールが混合物中で使用される場合には、アルコール及びエーテルアルコールの質量比は好ましくは1対2〜4対1である。2つの異なるエーテルアルコールの混合物、好ましくはエチレングリコールモノブチルエーテル及びプロピレングリコールモノブチルエーテル中で、質量比は好ましくは1対6〜6対1、特に好ましくは1対5〜5対1、極めて特に好ましくは4対1であり、その際に特に好ましくはより少ない炭素原子を有するエーテルアルコールの含分は双方のものの中でより高い。
【0083】
成分D及びE
アンモニア及び/又は少なくとも1つのアルカノールアミン(成分D)もしくは少なくとも1つの無機酸、カルボン酸及び/又はスルホン酸(成分E)はその都度、一般的に0〜5質量%、好ましくは0.01〜3質量%、特に好ましくは0.02〜1質量%、極めて特に好ましくは0.05〜0.5質量%の含分で使用される。
【0084】
成分Dとして好ましくはアンモニア及び/又は分子中に炭素原子1〜9個を有するアルカノールアミンが使用される。好ましくはアルカノールアミンとしてエタノールアミン、特に好ましくはモノエタノールアミンが使用される。
【0085】
アンモニア及び/又は少なくとも1つのアルカノールアミンに加えて、本発明による組成物は付加的に少なくとも1つの無機酸、カルボン酸又はスルホン酸を含有していてよく、その際にアンモニア及び/又はアルカノールアミン対カルボン酸のモル比は好ましくは1対0.9〜1対0.1である。適しているカルボン酸は炭素原子1〜6個を有するカルボン酸であり、これらはモノカルボン酸、ジカルボン酸又はポリカルボン酸であってよい。適しているカルボン酸の例はギ酸、酢酸、グリコール酸、乳酸、クエン酸、コハク酸及びアジピン酸、好ましくはギ酸、酢酸、クエン酸及び乳酸、極めて特に好ましくは酢酸である。適しているスルホン酸の例はアミドスルホン酸及びメタンスルホン酸、好ましくはアミドスルホン酸である。適している無機酸の例はHCl及びHPOである。
【0086】
成分F
少なくとも1つのビルダーは、一般的に0〜10質量%、好ましくは0.1〜5質量%、特に好ましくは0.1〜3質量%の含分で使用される。
【0087】
ビルダーには無機ビルダー及び有機(コ)ビルダーが含まれる。
【0088】
無機ビルダーとして、常用の全ての無機ビルダー、例えばアルミノケイ酸塩、ケイ酸塩、炭酸塩、リン酸塩及びホスホン酸塩が適している。
【0089】
適している無機ビルダーは当業者に公知であり、かつ例えば独国特許出願公開(DE-A)第101 60 993号明細書に開示されている。
【0090】
(コ)ビルダーとして、例えば低分子量ポリカルボキシレートが使用される。さらにホスホン酸の塩及びオリゴマー又はポリマーのポリカルボキシレートが適している。さらに、付加的に変性されていてよい、不飽和C〜C−ジカルボン酸とモノエチレン系不飽和モノマーとのコポリマー及びターポリマーが適しており、並びにポリグリオキシル酸、ポリアミドカルボン酸及び変性されたポリアミドカルボン酸、ポリアスパラギン酸又はアスパラギン酸と別のアミノ酸との共縮合物、C〜C25−モノ−又は−ジカルボン酸及び/又はC〜C25−モノ−又は−ジアミン、クエン酸と一般的に10000まで、好ましくは5000までのモル質量を有するヒドロキシカルボン酸又はポリヒドロキシ化合物との縮合生成物が適している。
【0091】
適している有機(コ)ビルダーは例えば独国特許出願公開(DE-A)第101 60 993号明細書に挙げられている。
【0092】
さらに本発明による組成物は成分A〜Fに加えて、成分Gとして別の助剤及び添加剤を含有していてよい。
【0093】
成分G
別の助剤及び添加剤は、本発明による組成物中に0〜5質量%、好ましくは0.01〜3質量%の量で存在していてよい。
【0094】
適している助剤及び添加剤は、硬質表面用の処理剤及び清浄剤において通常使用される全ての助剤及び添加剤、好ましくは染料、香油、pH調節剤、例えばクエン酸、アルカノールアミン又はNaOH、防腐剤、アルカリ土類金属イオン用の錯化剤、酵素、漂白系、ソイルリリースポリマー、発泡増強剤、発泡抑制剤又は発泡防止剤、殺生物剤、防錆剤及び/又は耐食剤、懸濁剤、充填剤、無機増量剤、消毒剤、ヒドロトロープ化合物、酸化防止剤、溶解促進剤、分散剤、加工助剤、可溶化剤、可塑剤及び帯電防止物質を含む。
【0095】
適している助剤及び添加剤は例えば独国特許出願公開(DE-A)第101 60 993号明細書に挙げられている。
【0096】
本発明による組成物は一般的に、本発明による組成物中に存在している限り、成分A〜G並びに水を混合することにより製造される。
【0097】
前記組成物は、例えば硬質表面、特にガラス及びセラミック用の前処理剤又は後処理剤又は清浄剤、例えばガラス用クリーナー、床用クリーナー、汎用クリーナー、バス用クリーナー、すすぎ剤(Klarspueler)、食器の手清浄又は機械清浄のための食器用洗剤、機械用クリーナー、金属油とり、高圧クリーナー、アルカリクリーナー、酸性クリーナー、ポイント油とり(Spitzenentfetter)、酪農用クリーナー(Molkereireiniger)等として使用されることができる。好ましくは、前記組成物は硬質表面、特にガラス及びセラミック用の前処理剤又は後処理剤又は清浄剤、例えばガラス用クリーナー、床用クリーナー、汎用クリーナー及びバス用クリーナーとして使用される。
【0098】
本出願のさらなる対象は硬質表面の処理方法であり、その際に硬質表面は本発明による組成物と接触される。
【0099】
適している組成物及び硬質表面は既に前記されている。“接触すること”は、一般的にすすぎ、噴霧又はワイピング又は当業者に公知の他の方法により行われる。“接触すること”は、清浄化の前又は後の前処理又は後処理として、清浄化中に又は清浄化から独立して行われることができる。
【0100】
さらなる対象は、迅速かつしまのない乾燥、汚れはがしの容易化、水の凝縮の減少又は回避及び/又は硬質表面上への乾固した水の痕跡の形成の減少又は回避のために硬質表面を処理するための、本出願による水溶性又は水分散性の化合物(成分A)の使用である。好ましい水溶性又は水分散性の化合物及び表面は既に前記されている。前記化合物は、例えば硬質表面、特にガラス及びセラミック用の前処理剤又は後処理剤、又は清浄剤、例えばガラス用クリーナー、床用クリーナー、汎用クリーナー、バス用クリーナー、すすぎ剤、食器の手清浄又は機械清浄のための食器用洗剤、機械用クリーナー、金属油とり、高圧クリーナー、アルカリクリーナー、酸性クリーナー、ポイント油とり、酪農用クリーナー等において使用されることができる。好ましくは水溶性又は水分散性の化合物は、硬質表面、特にガラス及びセラミック用の前処理剤又は後処理剤又は清浄剤、例えばガラス用クリーナー、床用クリーナー、汎用クリーナー及びバス用クリーナーにおいて使用される。
【0101】
本出願のさらなる対象は、汚れ及び特に石灰せっけんの分散のためのクリーナー適用における本出願による水溶性又は水分散性の化合物(成分A)の使用である。好ましい水溶性又は水分散性の化合物及び表面は既に前記されている。分散により石灰せっけんの沈殿は阻害され、ひいては清浄化すべき平面上の堆積が防止される。さらにまた水溶性又は水分散性の化合物(成分A)は、石灰せっけん汚れが水溶性又は水分散性の化合物(成分A)で処理された表面上に付着することを防止する性質を有し、かつこうして前記効果を促進する。これらの表面上に施される石灰せっけん汚れは、明らかにより容易にはがされる。
【0102】
石灰せっけんが水溶性又は水分散性の化合物(成分A)で前処理された表面上に沈殿される場合には、これらは引き続いて、前処理されていなかった表面よりも極めてずっとより良好に清浄化されることができる。
【0103】
本出願のさらなる対象は、迅速かつしまのない乾燥、汚れはがしの容易化、水の凝縮の減少又は回避及び/又は硬質表面上への乾固した水の痕跡の形成の減少又は回避のために硬質表面を処理するための本発明による組成物の使用である。好ましい組成物及び表面は既に前記されている。好ましくは、前記組成物は硬質表面、特にガラス及びセラミック用の前処理剤又は後処理剤又は清浄剤、例えばガラス用クリーナー、床用クリーナー、汎用クリーナー及びバス用クリーナーにおいて使用される。
【0104】
本出願のさらなる対象は、汚れ及び特に石灰せっけんの分散のためのクリーナー適用における本出願による本発明による組成物の使用である。好ましい組成物及び表面は既に前記されている。
【0105】
実施例
製造例:
製造例1:
ポリマー1 − ポリエチレンイミンの架橋及び引き続くアクリル酸とのマイケル−付加
金属撹拌機及び還流冷却器を備えた四つ口フラスコ中に、窒素雰囲気下にポリエチレンアミン196g(無水、Mw=25,000g/mol、Lupasol(登録商標) WF)を添加し、完全脱塩水588gで25%に希釈する。撹拌しながら70℃に加熱し、この温度で架橋剤の22%水溶液40mlを素早く添加する。架橋剤は平均モル質量1500を有するポリエチレングリコールとエピクロロヒドリンとの反応生成物である。添加が完了した後に混合物を70℃で5時間撹拌する。引き続いて80℃に加熱し、この温度で3時間かけてアクリル酸263.2gを滴加する。添加が完了した後に溶液を80℃でさらに1時間、さらに撹拌する。冷却後に、42%の固体含量(2h、真空/120℃)及び17のK値(水中1%)を有する、生成物の粘稠な黄−橙色の溶液が得られる。
【0106】
製造例2:
ポリマー2 − アクリル酸とのマイケル−付加におけるポリエチレンイミンの反応
金属撹拌機及び還流冷却器を備えた四つ口フラスコ中に、窒素雰囲気下にポリエチレンアミン350g(56%濃度、Mw=25,000g/mol、Lupasol(登録商標) HF)を添加し、完全脱塩水456gで24%に希釈する。80℃未満に加熱し、この温度で3時間に亘ってアクリル酸259.4gを滴加する。添加が完了した後に、溶液を80℃でさらに6時間、さらに撹拌する。冷却後に43.2%の固体含量(2h、真空/120℃)及び14.9のK値(水中1%)を有する、生成物の粘稠な黄−橙色の溶液が得られる。
【0107】
製造例3:
ポリマー3 − ポリエチレンイミンの架橋及び引き続くアクリル酸とのマイケル-付加
金属撹拌機及び還流冷却器を備えた四つ口フラスコ中に、窒素雰囲気下にポリエチレンアミン350g(56%濃度、Mw=25,000g/mol、Lupasol(登録商標) HF)を添加し、完全脱塩水456gで希釈する。撹拌しながら70℃に加熱し、この温度で架橋剤の50%水溶液18mlを素早く添加する。架橋剤は平均モル質量660を有するポリエチレングリコールとエピクロロヒドリンとの反応生成物である。添加が完了した後に混合物を70℃で5時間撹拌する。引き続いて反応溶液を80℃に加熱し、この温度で3時間かけてアクリル酸259.4gを一滴ずつ添加する。添加が完了した後に、溶液を95℃でさらに1時間撹拌する。冷却後に44.1%の固体含量(2h、真空/120℃)及び23.1のK値(水中1%)を有する、生成物の粘稠な黄−橙色の溶液が得られる。
【0108】
製造例4:
ポリマー4 − ポリエチレンイミンの架橋及び引き続くAMPSとのマイケル−付加
金属撹拌機及び還流冷却器を備えた四つ口フラスコ中に、窒素雰囲気下にポリエチレンアミン350g(56%濃度、Mw=25,000g/mol、Lupasol(登録商標) HF)を添加し、完全脱塩水434gで希釈する。撹拌しながら55℃に加熱し、この温度で架橋剤の22%水溶液40mlを素早く添加する。架橋剤は、平均モル質量1500を有するポリエチレングリコールとエピクロロヒドリンとの反応生成物である。添加が完了した後に混合物を70℃で1時間撹拌する。
【0109】
引き続いてバッチ203gにヒドロキノン0.19gを添加し、80℃に加熱し、この温度で3時間かけて水560g中のAMPS 186.5gを滴加する。添加が完了した後に、溶液を80℃でさらに48時間、さらに撹拌する。冷却後に、25.5%(2h、真空/120℃)の固体含量及び22.9のK値(水中1%)を有する、生成物の粘稠な黄−橙色の溶液が得られる。
【0110】
製造例5:
ポリマー5 − ビニルスルホン酸との部分架橋(anvernetztem)ポリエチレンイミンのマイケル−付加
ポリマー例4からの単に部分架橋されたバッチ406gを80℃に加熱し、この温度で3時間かけてビニルスルホン酸Na塩936.7g(水中25%濃度、Tamol(登録商標) VS)を滴加する。添加が完了した後に、溶液を80℃でさらに48時間、さらに撹拌する。冷却後に34.7%の固体含量(2h、真空/120℃)及び22.3のK値(水中1%)を有する、生成物の粘稠な黄−橙色の溶液が得られる。
【0111】
FikentscherによるK値はポリマーの分子量の尺度であり、かつH. Fikentscher, Cellulose-Chemie, 13, 38〜64及び71〜74 (1932)に従い水中1質量%溶液として測定される。
【0112】
使用例:
使用例A
ポリマー1〜5からその都度水中0.5%溶液を製造する。比較において市販のバス用クリーナー(biff(登録商標))及び製造例1からのポリマー0.5%の添加を伴う同じバス用クリーナーを使用する。
【0113】
試験のためにNovokerセラミックタイルを使用する。まず最初にタイルの接触角を測定する。ポリマー溶液からその都度0.3gをタイル1枚ずつの上に添加し、布で30秒間に亘り均一に円を描いて表面上にこすりつける。引き続いてタイルを横にして乾燥させる。
【0114】
ついでタイルを垂直に立てて置き、10個の噴霧噴出(Spruehstoessen)中で飲用水約10.5g(硬度10.4°dH)で噴霧する。水膜の外観を評価する(第1表参照)。ついでタイルを15分間に亘り通風室中で立てて乾燥させる。その場合に完全な乾燥に必要な時間は制御される(第2表参照)。乾燥後のタイルの外観を同様に評価する(第3表)。最終的に接触角を新たに測定する(第4表)。全過程(噴霧/乾燥)を5回繰り返す。比較のために未処理のタイルを同様に噴霧し、評価し、測定する。
【0115】
【表1】

【0116】
【表2】

【0117】
【表3】

【0118】
【表4】

【0119】
使用例B:汚れはがし
ポリマーからその都度水中1%溶液を製造する。付加的に商業的に入手可能なバス用クリーナー(biff (登録商標))及び1%ポリマー添加を伴うこのバス用クリーナーを調べる。試験を、15×15cmの大きさを有するミラーガラスタイル上で実施する。ポリマー溶液からその都度0.3gをタイルに添加し、布で30secに亘り均一に円を描いて表面上にこすりつける。引き続いてタイルを横にして乾燥させる。全ての溶液は良好に塗布されることができる。バス用クリーナーを含有している溶液は軽微なしみが残り、水性ポリマー溶液は乾燥後に目に見えない。比較として未処理のタイルを利用する。
【0120】
タイルを垂直に立てて置き、かつ2.2%オレイン酸ナトリウム溶液の2つの噴霧噴出(約0.4g)で、引き続いて0.2モル濃度CaCl溶液の1つの噴霧噴出(約0.2g)で噴霧する。その際に目に見えて石灰せっけんが表面上に形成される。
【0121】
ついでタイルを軽く傾け、かつ飲用水150ml(硬度10.4°dH)で洗い流す(ガラス水びんからの流れを均一に上部タイル縁部に沿って導く)。
【0122】
その後タイルを横にして乾燥させ、最終的に視覚的に評価する(第5表)。この場合に、以下に対応する:0=完全な清浄表面、1=細いしま、2=縁部での軽微な汚れ堆積、3=軽微な汚れ堆積を有する全表面、4=縁部での重点を有する強い目に見える汚れ堆積、5=強い汚れ堆積で完全に被覆される。
【0123】
【表5】

【0124】
使用例C:曇り防止
ミラータイル(15×15cm)上に、1%ポリマー溶液0.3g(ポリマー1)を添加し、布で30secに亘り均一に円を描いて表面上にこすりつける。引き続いて、このタイルを未処理のタイルと一緒に冷蔵庫中に置く(5℃)。
【0125】
4h後にタイルを冷蔵庫から取り出す。その際に未処理のタイルのみが曇り、それに対して処理したタイルは澄んだままである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
硬質表面を処理するための組成物であって、成分Aとして、
aa)成分Aaとして、ポリアルキレンポリアミン、ポリアミドアミン、エチレンイミンでグラフトされたポリアミドアミン、ポリエーテルアミン並びに前記化合物の混合物、
ab)場合により、成分Abとして、官能基としてハロゲンヒドリン単位、グリシジル単位、アジリジン単位又はイソシアナート単位又はハロゲン原子を有する少なくとも二官能性の架橋剤、及び
ac)モノエチレン系不飽和カルボン酸、モノエチレン系不飽和カルボン酸の塩、エステル、アミド又はニトリル、クロロカルボン酸及び/又はグリシジル化合物、例えばグリシジル酸、グリシジルアミド又はグリシジルエステル
の反応により得ることができる、少なくとも1つの水溶性又は水分散性の化合物;及び

を含有している、硬質表面を処理するための組成物。
【請求項2】
a)成分Aとして、請求項1記載の少なくとも1つの水溶性又は水分散性の化合物;
b)成分Bとして、アニオン界面活性剤、非イオン界面活性剤、両性界面活性剤及びカチオン界面活性剤からなる群から選択される少なくとも1つの界面活性剤;
c)場合により、成分Cとして、少なくとも1つの水溶性有機溶剤;
d)場合により、成分Dとして、アンモニア及び/又は少なくとも1つのアルカノールアミン;
e)場合により、成分Eとして、少なくとも1つの無機酸、カルボン酸及び/又はスルホン酸;
f)場合により、成分Fとして、少なくとも1つのビルダー;
g)場合により、成分Gとして、別の助剤及び添加剤;及び
h)水
を含有している、請求項1記載の組成物。
【請求項3】
a)成分A 0.01〜40質量%、好ましくは0.05〜20質量%、特に好ましくは0.1〜5質量%;
b)成分B 0.01〜80質量%、好ましくは0.01〜30質量%、特に好ましくは0.01〜20質量%、極めて特に好ましくは0.01〜5質量%;
c)成分C 0〜50質量%、好ましくは0.1〜30質量%、特に好ましくは0.5〜15質量%、極めて特に好ましくは1〜10質量%;
d)成分D 0〜5質量%、好ましくは0.01〜3質量%、好ましくは0.02〜1質量%、特に好ましくは0.05〜0.5質量%;
e)成分E 0〜5質量%、好ましくは0.01〜3質量%、特に好ましくは0.02〜1質量%、極めて特に好ましくは0.05〜0.5質量%;
f)成分F 0〜10質量%、好ましくは0.1〜5質量%、特に好ましくは0.1〜3質量%;
g)成分G 0〜5質量%、好ましくは0.01〜3質量%;及び
h)水
を含有しており、成分A〜G及び水の全量が100質量%である、請求項2記載の組成物。
【請求項4】
成分Aaがポリアルキレンアミン、好ましくはポリエチレンイミンである、請求項1から3までのいずれか1項記載の組成物。
【請求項5】
成分Abが、エピハロゲンヒドリン、好ましくはエピクロロヒドリン、α,ω−ビス−(クロロヒドリン)ポリアルキレングリコールエーテル、ポリアルキレングリコールエーテルのα,ω−ビス(エポキシド)及び/又はビス−グリシジルエーテルである、請求項1から4までのいずれか1項記載の組成物。
【請求項6】
成分Acが、モノエチレン系不飽和カルボン酸、好ましくはアクリル酸、メタクリル酸又はマレイン酸である、請求項1から5までのいずれか1項記載の組成物。
【請求項7】
成分Bが、脂肪アルコール硫酸塩、アルキルエーテル硫酸塩、脂肪アルコールアルコキシラート及びそれらの混合物からなる群から選択されている、請求項1から6までのいずれか1項記載の組成物。
【請求項8】
成分Cが、グリセリン、プロピレングリコール、エチレングリコール、エタノール、イソプロパノール、n−プロパノール、エチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル及び前記の水溶性有機溶剤の2つ又はそれ以上からなる混合物から選択されている、請求項1から7までのいずれか1項記載の組成物。
【請求項9】
成分Dがアンモニア及び/又はモノエタノールアミンであり、及び/又は成分Eがギ酸、酢酸、クエン酸、乳酸又はアミドスルホン酸である、請求項1から8までのいずれか1項記載の組成物。
【請求項10】
水溶性又は水分散性の化合物の製造方法において、次の工程:
i)成分Aaとして、ポリアルキレンポリアミン、ポリアミドアミン、エチレンイミンでグラフトされたポリアミドアミン、ポリエーテルアミン並びに前記化合物の混合物を、
成分Abとして、官能基としてハロゲンヒドリン単位、グリシジル単位、アジリジン単位又はイソシアナート単位又はハロゲン原子を有する少なくとも二官能性の架橋剤
で架橋する工程;
及び
ii)工程i)において得られた生成物を、成分Cとしてモノエチレン系不飽和カルボン酸、モノエチレン系不飽和カルボン酸の塩、エステル、アミド又はニトリル、クロロカルボン酸及び/又はグリシジル化合物、例えばグリシジル酸、グリシジルアミド又はグリシジルエステルと反応させる工程
を含んでいることを特徴とする、水溶性又は水分散性の化合物の製造方法。
【請求項11】
請求項10記載の方法により製造可能である、水溶性又は水分散性の化合物。
【請求項12】
硬質表面を請求項1から9までのいずれか1項記載の組成物と接触させる、硬質表面の処理方法。
【請求項13】
迅速かつしまのない乾燥、汚れはがしの容易化、水の凝縮の減少又は回避及び/又は硬質表面上への乾固した水の痕跡の形成の減少又は回避のため及び/又は汚れ及び特に石灰せっけんの分散のためのクリーナー適用において硬質表面を処理するための、請求項1又は4から6までのいずれか1項記載又は請求項11記載の水溶性又は水分散性の化合物の使用。
【請求項14】
迅速かつしまのない乾燥、汚れはがしの容易化、水の凝縮の減少又は回避及び/又は硬質表面上への乾固した水の痕跡の形成の減少又は回避のため及び/又は汚れ及び特に石灰せっけんの分散のためのクリーナー適用において硬質表面を処理するための、請求項1から9までのいずれか1項記載の組成物の使用。

【公表番号】特表2007−534791(P2007−534791A)
【公表日】平成19年11月29日(2007.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−550106(P2006−550106)
【出願日】平成17年1月27日(2005.1.27)
【国際出願番号】PCT/EP2005/000794
【国際公開番号】WO2005/073357
【国際公開日】平成17年8月11日(2005.8.11)
【出願人】(595123069)ビーエーエスエフ アクチェンゲゼルシャフト (847)
【氏名又は名称原語表記】BASF Aktiengesellschaft
【住所又は居所原語表記】D−67056 Ludwigshafen, Germany
【Fターム(参考)】