説明

表面保護フィルム用樹脂組成物、及びそれを用いたフィルム。

【課題】光学材料、合成樹脂板、銘板、LCD表示体、建材などの被着体に対して良好な初期剥離強度を有し、剥離強度の経時変化が室温中ではもちろんのこと、加熱下においても少なく、実用的な剥離速度(30m/分程度)において良好な易剥離性を有する表面保護フィルム用樹脂組成物およびそれよりなるフィルムを提供する。
【解決手段】JIS K6922−1(1999年)で測定したメルトフローレートが0.5〜50g/10min、JIS K7192(1999年)で測定した酢酸ビニル含量が3〜50重量%であるエチレン−酢酸ビニル共重合体98.0〜99.99重量%、及び25℃で液状であるエポキシ変性ジエン系重合体を0.01〜2重量%とからなる表面保護フィルム用樹脂組成物を用いる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は粘着特性に優れる表面保護フィルム用樹脂組成物に関するものである。さらに詳しくは、エチレン−酢酸ビニル共重合体組成物を粘着層とした自己粘着型表面保護フィルムに関し、光学材料、合成樹脂板、銘板、LCD表示体、建材などの表面保護用として、高い初期剥離強度を必要とする場合や、印刷加工や真空成形加工、および樹脂板などの加熱処理を伴う場合において良好な易剥離性を有する表面保護フィルムが得られるエチレン−酢酸ビニル共重合体組成物及びそれを用いたフィルムに関するのである。
【背景技術】
【0002】
表面保護フィルムは、光学材料、合成樹脂板、銘板、LCD表示体、建材などの製品(以下、被着体と記す)の表面を加工、輸送、あるいは保管時に生じる傷つき、汚染、腐食、埃などを防止することを目的に使用され、被着体の加工後や消費者などが使用する際には剥離して除去される。このため、被着体の加工時などでは容易に剥離しない適度な初期剥離強度を有し、加熱処理や経時保管での粘着力の変化が少なく、かつ被着体の加工後や使用時には比較的低い力によって短時間で剥離できる易剥離性が求められている。従来、エチレン−酢酸ビニル共重合体に融点が30℃以下の可塑剤を添加する方法が提案されているが、添加する可塑剤の分子量が小さいため、フィルム成形時に発煙が発生したり、成形時の熱によるブリードアウトが多く、十分な易剥離性が得られなかったり、被着体の汚染を招く恐れがあった(特許文献1参照。)。一方、低密度ポリエチレンなどのポリオレフィン樹脂に特定の分子量の液状ゴムを少量配合する方法が提案されているが、初期剥離強度が小さく、被着体への貼付時に剥がれを生じたり、加熱処理を行っても粘着力が弱く、処理中に不用意な剥がれを生じる恐れがあった(特許文献2参照。)。
【0003】
【特許文献1】特開平10−110146号公報
【特許文献2】特開2002−69407号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、光学材料、合成樹脂板、銘板、LCD表示体、建材などの被着体に対して良好な初期剥離強度を有し、粘着力の経時変化が室温中ではもちろんのこと、加熱下においても少なく、かつ、実用的な剥離速度(30m/分程度)において良好な易剥離性を有し、被着体の汚染の少ない表面保護フィルム用樹脂組成物及びそれを用いたフィルムを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記の目的に対して鋭意検討した結果見出されたものである。すなわち本発明は、JIS K6922−1(1999年)で測定したメルトフローレートが0.5〜50g/10min、JIS K7192(1999年)で測定した酢酸ビニル含量が3〜50重量%であるエチレン−酢酸ビニル共重合体98.0〜99.99重量%、及び25℃で液状であるエポキシ変性ジエン系重合体を0.01〜2重量%とからなる樹脂組成物及びこの樹脂組成物よりなる粘着層及び基材層を積層してなることを特徴とする表面保護フィルムに関するものである。
【0006】
本発明を構成するエチレン−酢酸ビニル共重合体は、一般的にエチレンと酢酸ビニルの共重合より得られるものであり、重合方法は、特に限定するものでもなく、例えば、高圧法によるラジカル重合法を挙げることができる。
【0007】
本発明を構成するエチレン−酢酸ビニル共重合体のメルトフローレートは、190℃で、2.16kg荷重で測定した値が0.5〜50g/10min以下である。メルトフローレートが0.5g/10min未満であると成形加工時に押出機のモーター負荷が大きくなり、生産性が低下するため好ましくない。また、50g/10minを超えると溶融張力が小さくなり、成形安定性が悪化することに加えて製品の強度も低下するため好ましくない。
【0008】
本発明を構成するエチレン−酢酸ビニル共重合体の酢酸ビニル含量は、3〜50重量%、好ましくは、5〜30重量%である。酢酸ビニル含量が3重量%未満の場合には、表面保護フィルムの粘着層として必須の性能である初期剥離強度が十分に得られず好ましくない。また、酢酸ビニル含量が50重量%を超える場合には、耐熱性が低下するため、加熱処理に問題を生じる恐れがある。
【0009】
本発明を構成するエポキシ変性ジエン系重合体は、25℃で液状であることを特徴とする。被着体との剥離性は、上記エポキシ変性ジエン系重合体が被着体との界面に適度にブリードすることで発現すると考えられるが、25℃で固体の場合には、エポキシ変性ジエン系重合体が上記界面にブリードし難くなるため好ましくない。
【0010】
ここで、上記の被着体としては、光学材料、合成樹脂板、銘板、LCD表示体、建材
などが例示することができる。光学材料としては、偏光板、位相差板、導光板などを例示することができる。合成樹脂板としては、ポリカーボネート、アクリル、ノルボルネン系樹脂、その他環状オレフィン系樹脂、ポリビニルアルコールなどを例示することができる。
【0011】
本発明を構成するエポキシ変性ジエン系重合体は、ジエン系重合体をエポキシ変性されたものが用いられる。
【0012】
ジエン系重合体は、例えば、1,3−ブタジエン、イソプレン、2−メチル−1,3−ブタジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、1,3−ヘキサジエン、2,4−ヘキサジエン、2,4−ヘプタジエン等の単独重合体あるいは2種以上の共重合体を例示することができる。また、スチレン、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、メチルアクリレート、メチルメタアクリレート等がジエン系単量体と共重合されていてもよい。ジエン系重合体の製造方法に関しては、25℃で液状であるジエン系重合体が得られれば特に限定するものでもなく、「オリゴマーハンドブック(化学工業日報社刊)、S52.3.31発行」85項、111項等に記載されている方法を例示することができる。例えば、液状1,4−ポリブタジエンの製法は、ニッケル化合物−有機アルミニウム化合物からなるいわゆるチーグラーナッタ型触媒を用いて水や空気を厳密に遮断した状態で1、3−ブタジエンの均一溶液重合法によって製造される。
【0013】
ジエン系重合体のエポキシ変性方法はとしては、特に限定されるものではないが、特公昭47−36271号公報や特公昭51−31243号公報に記載されている方法が例示できる。例えば、テトラヒドロフラン溶媒の存在下にナトリウムを触媒としてブタジエンを重合させて製造したポリブタジエン100部に、ベンゼン100部、3フツ化ホウ素エーテラート3部を加えて、窒素雰囲気下に60℃で5時間加熱攪拌して環状化反応を行った後、反応液を大量のメタノール中に注ぎ生成物を沈殿させた。次いで該生成物をトルエンに溶解して水洗後減圧下に溶剤を除去してポリマーを得、さらに該ポリマー80部を120部のトルエンに溶解した溶液に硫酸1.2部、酢酸10部を加えて、70℃に攪拌しながら50%過酸化水素水を70部滴下して8時間反応させた後、反応液の油層部を取出して水洗、減圧下にトルエンを除去してエポキシ化ポリブタジエンが製造される。
この内、分子当たりのエポキシ基量を多くするため、過酸による処理方法が好ましい。
【0014】
本発明を構成するエポキシ変性ジエン系重合体の分子末端基は、メチル基、ヒドロキシル基、エポキシ基等に変性されていることが好ましい。
【0015】
本発明を構成するエポキシ変性ジエン系重合体は、部分的あるいは完全に水素添加されていてもよい。
【0016】
本発明を構成するエポキシ変性ジエン系重合体は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーを用いて、以下の条件で測定し、単分散ポリスチレンでユニバーサルな検量線を測定し、直鎖のポリエチレンの分子量として計算した数平均分子量(以下、Mnと記す。)が2000〜40000のものがエポキシ変性ジエン系重合体の添加量制御や剥離強度の安定性の点で好ましい。数平均分子量が2000未満の場合には、粘着層を形成するベース樹脂との絡み合いが小さく、ブリード量が多くなり、被着体汚染を生じ易くなる。また、数平均分子量が40000を超える場合には、粘着層を形成するベース樹脂との相溶性が悪く、分散不良となり、十分な剥離強度の低下効果が得られない。
【0017】
機種:東ソー製 HLC−8120GPC、SC8020
溶媒;テトラヒドロフラン
流速:1ml/min
温度:40℃
測定濃度:1mg/ml
注入量:100μl
カラム:東ソー製 TSKgel GMH HR−H2本
本発明を構成するエポキシ変性ジエン系重合体は、「可塑剤−その理論と応用(幸書房観刊)S48.3.1発行」等に記載されている臭化水素による滴定により求められるオキシラン酸素が5%以上であることが好ましい。オキシラン酸素量は、例えば、AOCS法、すなわち、HBr規定液による直接滴定によって求められる。具体的には、試薬として氷酢酸およびHBr0.1N氷酢酸規定液を用い、調製は、HBrガスを上記氷酢酸中に通し、評定は、乾燥純フタル酸水素カリで次式に従って行う。N=フタル酸水素カリの重量(g)/0.2042×滴定cc数とし、指示薬クリスタルバイオレットの0.1g/100ml−氷酢酸溶液を用いる。操作は、試料0.3〜0.5gを50mlの三角フラスコに秤量し、10mlのベンゼンまたはクロロホルムに溶解、0.1ml以下の指示薬を加える、マグネチックスターラーを用い、攪拌しながらHBr規定液で滴定、この際、HBrの蒸発を防ぐため、ビュレットの下部に付けたゴム栓で三角フラスコ上部を止める。また、ビュレットの先端が溶液のすぐ上になるようにする。終点は青緑色を示す点とする。尚、計算は、次式にて行う。
【0018】
オキシラン酸素量(%)=(滴定cc数×N×1.60)/試料重量(g)
上記構造および性能を有するエポキシ変性ジエン系重合体として、前述のジエン系重合体をエポキシ変性したものであれば特に限定されるものではなく、なかでも、液状エポキシ化ポリブタジエンが最も好ましい。液状エポキシ化ポリブタジエンを形成する液状ポリブタジエンは、1,2−ポリブタジエンもしくは、1,4−ポリブタジエンのいずれでもよい。ダイセル化学工業(株)製「エポリードPB3600」、出光興産(株)製「Poly bd R−45EPT」、旭電化工業(株)製「FC3000」を例示することができ、旭電化工業(株)製「FC3000」が最も好ましい。
【0019】
本発明の樹脂組成物は、エチレン−酢酸ビニル共重合体98.0〜99.99重量%、エポキシ変性ジエン系重合体の配合量は、0.01〜2重量%からなるものである。エポキシ変性ジエン系重合体の配合量が0.01重量%未満の場合には、加熱処理後の接着力昂進が大きいため好ましくない。2重量%を超える場合には、粘着層の表面にべたつきや曇りを発生して被着体汚染を生じたり、また、コストも高くなるため好ましくない。
【0020】
本発明の樹脂組成物は、エチレン−酢酸ビニル共重合体およびエポキシ変性ジエン系重合体よりなるものである。従来、エポキシ化合物は、酸化防止剤としての効果を有しており、エポキシ基を有することによって、高温下でフィルムを成形した場合に、エチレン−酢酸ビニル共重合より発生する遊離酢酸を捕捉して、フィルムと被着体の界面の極性を低下させる作用があり、加熱処理後の剥離強度の上昇を抑制し、良好な易剥離性を発現させることができると考えられる。加えて、エポキシ変性ジエン系重合体は、適度な分子量と分子末端構造を有することによって、フィルムと被着体界面の極性の調節が可能となり、良好な易剥離性を発現させることができると考えられる。
【0021】
そして、本発明の樹脂組成物は、エチレン−酢酸ビニル共重合体とエポキシ変性ジエン系重合体とを押出機等で溶融混合したものでも良いし、エチレン−酢酸ビニル共重合ペレットとエポキシ変性ジエン系重合体を予めポリオレフィン樹脂に練り込んだマスターバッチとをドライブレンドしたものであってもよい。
【0022】
また、本発明の樹脂組成物は、必要に応じて酸化防止剤、滑剤、中和剤、ブロッキング防止剤、界面活性剤、スリップ剤、紫外線剤、架橋剤等、無機・有機充填剤、フィラー、通常のポリオレフィンに使用される添加剤を添加したものでもかまわないが、エチレン−酢酸ビニル共重合とエポキシ変性ジエン系重合体を押出機で反応させうる添加剤は、ゲル化を促進したり、剥離性を向上させる効果が低くなるため好ましくない。
【0023】
本発明の表面保護フィルムは上記の樹脂組成物よりなる粘着層及び基材層からなる表面保護フィルムからなるものである。基材としては、ポリエチレン及び/又はポリプロピレンが用いられる。
【0024】
本発明の表面保護フィルムは、上記樹脂組成物を基材に積層することにより製造される。樹脂組成物を粘着層に用いた積層体の製造方法は、一般的なフィルムの成形方法であれば特に限定されるものではない。例えば、多層キャスト成形機や多層インフレーション成形機を用いて、基材層にポリオレフィン樹脂を使用し、粘着層に当該樹脂組成物を用いて共押出成形することによって得ることができる。
【0025】
本発明の樹脂組成物を用いたフィルムを被着体に貼り付ける場合の圧力は、特に限定されるものではないが、フィルムと被着体が密着し、貼付時の気泡の巻き込みを防止するためには、面圧で0.5〜1.5MPaにすることが好ましい。1.5MPaを超える場合には、被着体の変形を招く恐れがあるので好ましくない。
【0026】
本発明の樹脂組成物からなるフィルムを被着体から剥離する場合の速度は、被着体の加工時などで、不容易な剥れを想定した場合においては、100〜300mm/minの範囲に相当し、本発明の初期剥離強度の評価においては、300mm/minで実施した。また、被着体の加工後に消費者が短時間で剥離して使用する際の速度は、10〜30m/minの範囲に相当し、本発明においては、30m/minで実施した。
【発明の効果】
【0027】
本発明の樹脂組成物及びそれを用いたフィルムは、被着体に対して良好な初期剥離強度を有し、剥離強度の経時変化が室温中ではもちろんのこと、加熱下においても少なく、実用的な剥離速度(30m/分程度)において良好な易剥離性を有し、被着体の汚染が少ないという特長を有する。したがって、光学材料、合成樹脂板、銘板、LCD表示体、建材などの被着体の表面保護用として好適に用いることができる。
【実施例】
【0028】
以下実施例によって本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0029】
実施例1
MFRが3.0g/10min、酢酸ビニル含量が15重量%であるエチレン−酢酸ビニル共重合体(東ソー(株)製 商品名ウルトラセン626)99.6重量%と25℃で液状であるエポキシ変性ジエン系重合体として、液状エポキシ化ポリブタジエン(ダイセル化学工業(株)製 商品名エポリードPB3600、Mn=7300、末端ヒドロキシル基)を0.4重量%になるように配合し、単軸押出機にて溶融混合してペレットを得た。得られたペレットを粘着層に用い、基材層に低密度ポリエチレン(東ソー(株)製 商品名ペトロセン219、MFR=3.0g/10min、密度=932kg/m)を用いて、2層キャスト成形を実施して、粘着層の厚みが15μm、基材層の厚みが45μm、トータル厚みが60μmの2層フィルムを得た。得られたフィルムを表面保護フィルムとしてポリマーボネート板にピンチロールで貼り付け、以下の方法で粘着力、被着体の表面汚染の評価を実施した。
【0030】
〜初期剥離強度〜
表面保護フィルムを縦150mm、横100mm、厚み0.5mmのポリカーボネート板に常温で面圧=1.0MPa、ロール速度4.0m/minのピンチロールで貼り付け、23℃で2時間状態調整した後、剥離幅25mm、剥離角度180°、剥離速度300mm/minで剥離させた際に要する強度を測定した。初期剥離強度は、0.05N/25mm以上0.3N/25mm未満であれば、実用上、不用意な剥離などが発生しないために有効な強度と判断した。
【0031】
〜易剥離性〜
加熱処理後の剥離強度を以下の方法によって評価し、加熱後剥離強度が1.0N/25mm未満であれば、実用上、スムーズな剥離が実施できる強度と判断し、易剥離性が良好とし、良好なものは○、不良なものは×とした。
【0032】
表面保護フィルムを縦150mm、横100mm、厚み0.5mmのポリカーボネート板に常温で面圧=1.0MPa、ロール速度4.0m/minのピンチロールで貼り付けた後、70℃のオーブンで30分間加熱処理を実施した、その後、2時間常温で放置後、剥離幅25mm、剥離速度30m/minで剥離させた際に要する強度を評価した。
【0033】
〜被着体汚染〜
加熱後剥離力を測定した後の、ポリカーボネート板の表面を目視で観察し、表面状態が良好なものは○、付着物などの汚染が認められた場合は、×として評価した。その結果、初期剥離強度は、0.10N/25mm、加熱後剥離強度は、0.35N/25mmで易剥離性は○であり、被着体汚染は○であった。
【0034】
実施例2
MFRが3.0g/10min、酢酸ビニル含量が15重量%であるエチレン−酢酸ビニル共重合体(東ソー(株)製 商品名ウルトラセン626)99.95重量%と25℃で液状であるエポキシ変性ジエン系重合体として、液状エポキシ化ポリブタジエン(ダイセル化学工業(株)製 商品名エポリードPB3600、Mn=7300、末端ヒドロキシル基)を0.05重量%になるように配合した以外は、実施例1と同様の方法で評価を実施した。その結果、初期剥離強度は、0.12N/25mm、加熱後剥離強度は、0.65N/25mmで易剥離性は○であり、被着体汚染は○であった。
【0035】
実施例3
MFRが3.0g/10min、酢酸ビニル含量が15重量%であるエチレン−酢酸ビニル共重合体(東ソー(株)製 商品名ウルトラセン626)98.0重量%と25℃で液状であるエポキシ変性ジエン系重合体として、液状エポキシ化ポリブタジエン(ダイセル化学工業(株)製 商品名エポリードPB3600、Mn=7300、末端ヒドロキシル基)を2.0重量%になるように配合した以外は、実施例1と同様の方法で評価を実施した。その結果、初期剥離強度は、0.12N/25mm、加熱後剥離強度は、0.20N/25mmであり易剥離性は○であり、被着体汚染は○であった。
【0036】
実施例4
MFRが3.0g/10min、酢酸ビニル含量が15重量%であるエチレン−酢酸ビニル共重合体(東ソー(株)製 商品名ウルトラセン626)99.975重量%と25℃で液状であるエポキシ変性ジエン系重合体として、液状エポキシ化ポリブタジエン(旭電化(株)製 商品名FC3000、Mn=5800、末端メチル基)を0.025重量%になるように配合した以外は、実施例1と同様の方法で評価を実施した。その結果、初期剥離強度は、0.11N/25mm、加熱後剥離強度は、0.65N/25mmで易剥離性は○であり、被着体汚染は○であった。
【0037】
実施例5
MFRが3.0g/10min、酢酸ビニル含量が15重量%であるエチレン−酢酸ビニル共重合体(東ソー(株)製 商品名ウルトラセン626)99.6重量%と25℃で液状であるエポキシ変性ジエン系重合体として、液状エポキシ化ポリブタジエン(旭電化(株)製 商品名FC3000、Mn=5800、末端メチル基)を0.4重量%になるように配合した以外は、実施例1と同様の方法で評価を実施した。その結果、初期剥離強度は、0.08N/25mm、加熱後剥離強度は、0.20N/25mmであり易剥離性は○であり、被着体汚染は○であった。
【0038】
実施例6
MFRが3.0g/10min、酢酸ビニル含量が15重量%であるエチレン−酢酸ビニル共重合体(東ソー(株)製 商品名ウルトラセン626)99.0重量%と25℃で液状であるエポキシ変性ジエン系重合体として、液状エポキシ化ポリブタジエン(旭電化(株)製 商品名FC3000、Mn=5800、末端メチル基)を1.0重量%になるように配合した以外は、実施例1と同様の方法で評価を実施した。その結果、初期剥離強度は、0.08N/25mm、加熱後剥離強度は、0.15N/25mmであり、易剥離性は○であり、被着体汚染は○であった。
【0039】
比較例1
MFRが3.0g/10min、酢酸ビニル含量が15重量%であるエチレン−酢酸ビニル共重合体(東ソー(株)製 商品名ウルトラセン626)100重量%とした以外は実施例1と同様にして評価を実施した。その結果、初期剥離強度は、0.15N/25mm、加熱後剥離強度は、3.55N/25mmであり、易剥離性は×であり、被着体汚染は×であった。
【0040】
比較例2
MFRが3.0g/10min、酢酸ビニル含量が15重量%であるエチレン−酢酸ビニル共重合体(東ソー(株)製 商品名ウルトラセン626)95.0重量%と25℃で液状であるエポキシ変性ジエン系重合体として、液状エポキシ化ポリブタジエン(ダイセル化学工業(株)製 商品名エポリードPB3600、Mn=7300、末端ヒドロキシル基)を5.0重量%になるように配合した以外は、実施例1と同様の方法で評価を実施した。その結果、初期剥離強度は、0.04N/25mm、加熱後剥離強度は、0.10N/25mmであり、易剥離性は○であったが、被着体汚染は×であった。
【0041】
比較例3
MFRが3.0g/10min、酢酸ビニル含量が15重量%であるエチレン−酢酸ビニル共重合体(東ソー(株)製 商品名ウルトラセン626)95.0重量%と25℃で液状であるエポキシ変性ジエン系重合体として、液状エポキシ化ポリブタジエン(旭電化工業(株)製 商品名FC3000、Mn=5800、末端メチル基)を5.0重量%になるように配合した以外は、実施例1と同様の方法で評価を実施した。その結果、初期剥離強度は、0.05N/25mm、加熱後剥離強度は、0.08N/25mmであり、易剥離性は○であったが、被着体汚染は×であった。
【0042】
比較例4
MFRが3.0g/10min、酢酸ビニル含量が15重量%であるエチレン−酢酸ビニル共重合体(東ソー(株)製 商品名ウルトラセン626)99.9重量%と25℃で液状であるジエン系重合体として、ポリイソプレンゴム(クラレ(株)製 商品名LIR−50、Mn=57000)を0.1重量%になるように配合した以外は、実施例1と同様の方法で評価を実施した。その結果、初期剥離強度は、0.12N/25mm、加熱後剥離強度は、2.55N/25mmであり、易剥離性は×であり、被着体汚染は×であった。
【0043】
比較例5
MFRが3.0g/10min、酢酸ビニル含量が15重量%であるエチレン−酢酸ビニル共重合体(東ソー(株)製 商品名ウルトラセン626)95.0重量%と25℃で液状であるジエン系重合体として、ポリイソプレンゴム(クラレ(株)製 商品名LIR−50、Mn=57000)を5.0重量%になるように配合した以外は、実施例1と同様の方法で評価を実施した。その結果、初期剥離強度は、0.10N/25mm、加熱後剥離強度は、2.85N/25mmであり、易剥離性は×であり、被着体汚染は×であった。
【0044】
比較例6
MFRが3.0g/10min、酢酸ビニル含量が15重量%であるエチレン−酢酸ビニル共重合体(東ソー(株)製 商品名ウルトラセン626)99.9重量%と25℃で液状である可塑剤として、エポキシ化ステアリン酸−2−エチルヘキシル(旭電化工業(株)製 商品名アデカサイザーD−32、Mn=400)を0.1重量%になるように配合した以外は、実施例1と同様の方法で評価を実施した。その結果、初期剥離強度は、0.12N/25mm、加熱後剥離強度は、2.55N/25mmであり、易剥離性は×であり、被着体汚染は×であった。
【0045】
比較例7
MFRが3.0g/10min、酢酸ビニル含量が15重量%であるエチレン−酢酸ビニル共重合体(東ソー(株)製 商品名ウルトラセン626)97.0重量%と25℃で液状である可塑剤として、エポキシ化ステアリン酸−2−エチルヘキシル(旭電化工業(株)製 商品名アデカサイザーD−32、Mn=400)を3.0重量%になるように配合した以外は、実施例1と同様の方法で評価を実施した。その結果、初期剥離強度は、0.06N/25mm、加熱後剥離強度は、0.25N/25mmであり、易剥離性は○であったが、被着体汚染は×であった。
【0046】
比較例8
MFRが3.0g/10min、密度が932kg/mの低密度ポリエチレン(東ソー(株)製 商品名ペトロセン219)を用いた以外は、比較例6と同様にして評価を実施した。その結果、初期剥離強度は、0.02N/25mm、加熱後剥離強度は、0.03N/25mmであり、十分な初期剥離強度が得られず、被着体汚染の評価は不能であった。
【0047】
【表1】

【0048】
【表2】

【0049】
【表3】

【0050】
【表4】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
JIS K6922−1(1999年)で測定したメルトフローレートが0.5〜50g/10min、JIS K7192(1999年)で測定した酢酸ビニル含量が3〜50重量%であるエチレン−酢酸ビニル共重合体98.0〜99.99重量%、及び25℃で液状であるエポキシ変性ジエン系重合体を0.01〜2.0重量%とからなる樹脂組成物。
【請求項2】
エポキシ変性ジエン系重合体がゲルパーミエーションクロマトグラフィーによって測定した数平均分子量(Mn)が2000〜40000であることを特徴とする請求項1に記載の樹脂組成物。
【請求項3】
請求項1〜2のいずれかに記載の樹脂組成物よりなる粘着層及び基材層からなる表面保護フィルム。
【請求項4】
基材層がポリエチレン及び/又はポリプロピレンであることを特徴とする請求項3に記載の表面保護フィルム。

【公開番号】特開2008−150503(P2008−150503A)
【公開日】平成20年7月3日(2008.7.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−340257(P2006−340257)
【出願日】平成18年12月18日(2006.12.18)
【出願人】(000003300)東ソー株式会社 (1,901)
【Fターム(参考)】