説明

表面弾性波トランスデューサ

本発明は、これまでの公知の表面弾性波(SAW)トランスデューサに比べて伝搬特性の高いエッジ急峻度のもとで群遅延時間の周波数応答が格段に改善された表面波で作動するトランスデューサに関する。このトランスデューサは、SPUDTセルをベースに構成されており、この変換器構造においては2つのセルが設けられている。これらのセルは縦方向で異ならせてスケーリングを施される以外は同じようにデザインされている。スケーリングレベルに応じて音響波の局所フェーズは本発明のトランスデューサが用いられるフィルタの通過帯域における群遅延時間の周波数特性における脈動率が最大でも50nsとなるように作用する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表面弾性波で作動するトランスデューサ(SAWトランスデューサ)に関する。
【背景技術】
【0002】
SAWトランスデューサは通常、2つの櫛形電極を含んでおり、これらの電極は、相互にかみ合う形状の電極フィンガーを有している。これらの構造体は、圧電基板の上に設けられており、(高周波な)電気信号から音響波への並びに音響波から電気信号への電気音響変換のために用いられている。これらのSAWトランスデューサは、特にデータ伝送システムの帯域通過フィルタに用いられている。
【0003】
フィルタの電気的な特性は、通常は伝搬機能特性(伝搬される信号の振幅と位相の周波数応答)によって定まる。この伝搬機能の重要な特性は、特にフィルタの通過領域における群遅延時間のリプルである。
【0004】
トランスデューサの音響特性は、(縦方向において局所的に)重み付け関数(励起関数ないし反射関数)によって特徴付けられる。この重み付け関数は縦座標に依存し、トランスデューサにおいて励起強度ないし反射強度の分布を表す。トランスデューサの重み付け関数は、予め定められた電気的なフィルタ特性に基づいて定められる。算出された重み付け関数からは所要の接続順序と電極フィンガー構成が推論される。しかしながらこれらの関係は一義的ではない。
【0005】
いわゆるSPUDT(単相単方向トランスデューサ)フィルタは、それらのセルが音響波の放射の方向付けに用いられる点で優れていることが公知である。この方向付けされた放射ビームは1つの方向における励起波と反射波の構造的な重畳と、逆方向での励起波と反射波の非構造的な重畳によって実現される。
【0006】
フィルタデザインにおいては、フィルタの通過領域における電気信号の低い挿入損失が望まれると同時にフィルタの阻止領域における信号の高い抑圧も望まれる。この通過領域における信号の低い挿入損と通過領域近傍で特定される阻止領域における信号の高い抑圧を同時に保証するためには、フィルタの伝搬特性(伝搬機能)の高いエッジ急峻度が望まれる。伝搬特性のエッジ急峻度を高めるためには、フィルタのインパルス応答が時間領域において延在されなければならない。それに対しては例えばSPUDT(single phase unidirectional transducer)フィルタにおいてセル順序が次のように選択される。すなわちトランスデューサにおいて音響波の多重反射が生じるように選択される。これによりトランスデューサ内の音響波の伝搬区間が相応に延在される。励起された励起波と(多重に)反射された反射波の成分は、それらの相対的な位相に応じて構造的若しくは非構造的に重畳される。しかしながらそれに要する反射強度の引き上げは、周波数特性における群遅延時間のリプルも増大させるという欠点を有する。
【0007】
通過領域の低い挿入損失と阻止領域における高い抑圧は、基本的には2トラック型SPUDTフィルタにおいて達成可能である。周波数上で隣接して密に配置される通過領域と阻止領域のもとでは、2つのトラックにおいて波長成分の構造的な重畳から非構造的な重畳への移行が困難である。これらの重畳はフィルタの伝搬特性のエッジ急峻度を定めているが、フィルタの通過領域における群遅延時間の例えば50ns以下の僅かなリプルを伝搬特性の高いエッジ急峻度のもとで達成することは特に困難である。
【0008】
音響波の伝搬に深く関わるフィルタ幾何学構造と電気的なフィルタ特性の間の関係は、極端に複雑であって、所定のフィルタ幾何学構造に対しては、特に多重反射される波長成分の考慮のもとで複雑な数値シミュレーションを用いることでしか評価することができない。それゆえに予め定められた電気的特性を備えたフィルタをどのように構成すべきかはたやすく導き出せるものではない。
【0009】
その上さらにフィルタの重み付け関数ないし重み付け機能が相応の最適化によって限られた範囲ではあるが位相特性の非線形性が低減されるように改善できることも周知である。しかしながらこのことはトランデューサ内の反射強度の不所望な低減に結び付き、通過領域の群遅延時間の達成可能なリプルに対して不十分な結果しか招かない。
【0010】
発明が解決しようとする課題
本発明の課題は、反射強度の低減を招くことなく阻止領域の高い抑圧のもとでフィルタ通過領域の群遅延時間の周波数特性における僅かなリプルが達成できる、SAWフィルタに使用可能なトランスデューサを提供することである。
【0011】
課題を解決するための手段
前記課題は請求項1若しくは請求項2の特徴部分に記載された本発明による電気音響的トランスデューサによって達成される。本発明の別の有利な構成例は従属請求項に記載されている。
【0012】
本発明の第1実施形態は、次のような考察に基づいている。すなわち多重反射された音響波成分の複雑な重畳の結果として生じるフィルタの位相特性が制御可能なことに基づいている。この場合は同じように構成されたセルが縦方向(伝搬方向)で相互にスケーリングを施される。すなわち圧縮若しくは伸張される。
【0013】
1つのセルを縦方向に横断する音響波の伝搬区間は、セル長によって確定される。セルの通過の際には、所定の周波数、例えばフィルタの中心周波数のもとで励起される音響波がセル長に相応する位相回転を受ける。伝搬区間の変更、例えば縦方向におけるセルの圧縮または伸張によって、当該セルの音響波成分の位相回転も変化する。セルの適切なスケーリングによって、あるいは代替的に、相応するセルの電極フィンガー配置構成のスケーリングの維持のもとで1つのセルの最後の電極フィンガーと後続のセルの第1の電極フィンガーとの間の間隔の延長によって、多重反射に起因するフィルターの積分特性を表している位相特性の非線形性が補償調整可能となる。その際にはフィルタの通過領域における群遅延時間の周波数特性の特に僅かなリプル、例えば50nsよりも少ないリプルが達成可能である。
【0014】
本発明の第1の実施形態としては表面波で作動する電気音響フィルタのためのトランスデューサが挙げられ、このトランスデューサは少なくとも1つの音響トラックを有しており、該トラック内でトランスデューサの中心周波数のもとで音響表面波が励起可能である。
【0015】
この音響トラックはセルの縦方向において分割される。複数のセルのうちの少なくともいくつかは、機能セル(SPUDTセル)として構成され、それらは音響波の励起及び/又は反射のために用いられる。この場合は所定のセルタイプの少なくとも2つの機能セルが設けられる。
【0016】
セルのタイプは、
1)電極フィンガーの接続順序と、
2)波長に関する相対的な電極フィンガー幅と、
3)波長に関する相対的な電極フィンガー間の間隔によって定まる。
【0017】
機能セルの絶対セル長は、例えば相応のセルタイプに対応する機能セルの第1の電極フィンガーの左方縁部からそれに続く後続セルの第1の電極フィンガーの相応の縁部までの間隔距離によって定められる。その場合中心周波数のもとで励起される音響波は、絶対セル長に等しい伝搬区間の通過の際に実質的に2πの位相回転若しくは2πの整数倍に等しい値の位相回転を受ける。
【0018】
この場合同じセルタイプの少なくとも2つの(特に励起形の)機能セルに対して言えることは、フィルタの中心周波数のもとでトランスデューサ内で励起される音響波が伝搬区間の通過の際に相応のセルタイプの機能セルの始端部分からそれぞれの機能セルの後続するセルの始端部分まで、相互に異なる位相回転φ及びφ′を受けることである。
【0019】
公知のトランスデューサにおける全ての機能セルの絶対セル長は、次のように選択される。すなわち所定の周波数(例えば中心周波数)の音響波が当該セルの通過の際に常に2πnの位相回転を受けるように選択される。
【0020】
それに対して本発明によって変更された伝搬区間を有している機能セル上に現れる中心周波数に相応する音響波は、当該機能セルの通過の際に2πnの値からずれた位相回転を受ける。それゆえにこの音響波は、変更された機能セルの通過の後では後続のセルに対してもはや正確な位相適正をとらない。結果としての音響波に対する個々の機能セルの寄与は、相互に対向的に僅かに位相ずれを生じる。
【0021】
本発明によるトランスデューサは次のような利点を有している。すなわち相応するフィルタの通過領域における音響波の位相整合が反射強度の低減と伝搬機能特性のエッジ急峻度の低減なしで達成できる。その場合にこのトランスデューサにおいてはセル長の適切な最適化のもとで群遅延時間の僅かなリプルを達成できる。
【0022】
本発明による第1の実施形態の有利な変化例によれば、所定のセルタイプの少なくとも2つの機能セルが設けられ、それらは縦方向において幾何学的類似性、すなわち縦方向のスケーリング部分まで同一の構造を有し、それらは当該の方向において相互に対向的に異なってスケーリングされており、それによってそれらは所定の周波数の音響波に対してそれぞれ相互に異なる伝搬区間を表す。
【0023】
同じセルタイプの異なったスケーリングを施される機能セルのスケーリングの違いは、有利には0.1%〜20%の間である。
【0024】
本発明のさらに別の有利な変化例においては、同一的に構成された電極フィンガーグループを有している、同じセルタイプの少なくとも2つの機能セルのもとで、相応する機能セルの最終的な電極フィンガーとこの電極フィンガーとは反対側の、同じセルタイプの種々の機能セルにおける後続セルのフィンガー間隔を種々異ならせて選択することが提案されている。ここでの電極フィンガーグループとは、本願においては相応する機能セルの全ての電極フィンガーを指すものと理解されたい。同一的に構成された電極フィンガーグループは、同じ電極フィンガー接続順序を有し、それらは相応する電極フィンガーの(波長に関して)同じフィンガー幅を有し、さらに2つのグループにおいてそれぞれ(波長に関して)相互に同じフィンガー間隔を有している。
【0025】
電極フィンガーの幅は有利には次のように選択される。すなわち実質的にmλ/16か若しくは最大でもこの値の20%増しの値となるように選択される。この場合前記mは整数である。
【0026】
本発明のさらに別の変化例においては、少なくとも1つのさらなる音響トラックが設けられ、この音響トラックは実質的に最初に挙げた音響トラックと同じ特徴を有しており、ここでの音響トラックは、相互に並列に配置され、電気的に相互接続されている。
【0027】
本発明の第2実施形態によれば、音響トラックを有しているトランスデューサにおいて、前記音響トラックは異なるセルタイプのセルにおいて縦方向で分割されており、この場合同じセルタイプの少なくとも2つの機能セルは、それぞれ少なくとも1つの広幅な電極フィンガーと少なくとも1つの狭幅な電極フィンガーを有している。同じセルタイプの異なる機能セルにおいては、本発明によれば、後続のものと同じセルタイプのセルを最適化することで相互に異なる反射強度を達成している。
【0028】
最適化すべき機能セルのもとでは、反射強度を低減すべきか高めるべきかに応じて処理が異なり、例えば狭幅な(すなわち非反射性の)電極フィンガーのフィンガー幅の一部をカットしてその部分を広幅な(すなわち反射性の)電極フィンガーのフィンガー幅に加えたり、あるいは広幅な電極フィンガーのフィンガー幅の一部をカットしてその部分を狭幅な電極フィンガーのフィンガー幅に加えたりする。本発明に従って最適化されたセルのもとでは、全ての電極フィンガーのセル長に関する相対的な変更幅の総和がゼロとなる。
【0029】
本願における狭幅な電極フィンガーとは、その幅が、広幅と称される電極フィンガーの幅に比べて例えば少なくとも係数2だけ小さいものを意味するものと理解されたい。
【0030】
最適化されたセルは、最適化されていないセルと次の点で異なっている。すなわち全ての狭幅な電極フィンガーのセル長に関する相対的な幅の総和が差分+αだけ(α≠0、有利には|α|<0.1)異なって選択され、同時に最適化されたセルにおいては全ての広幅な電極フィンガーのセル長に関する相対的な幅の総和は差分−αだけ異なって選択される。そのため全ての電極フィンガーの相対的な幅変更はゼロとなる。同じセルタイプの種々のセルにおけるフィンガー間の間隔は有利には一定に維持される。
【0031】
同じセルタイプの複数のセルは、相互に次のように異なっている。すなわち1つまたはそれ以上のフィンガーの幅の最大20%が他の1つ若しくはそれ以上のフィンガーに割り当てられている。
【0032】
トランスデューサにおける相対的なフィンガー幅の本発明による変更は、(反射の)重み付け関数によって規定されており、これは僅かなパラメータのみによって定められる。
【0033】
本発明の第2実施形態は、ここのセルの反射強度が是認できる起算時間コストで連続的に変化し得る利点を有している。
【0034】
どのフィンガーが本発明による反射強度の最適化のもとで狭幅化され、どのフィンガーが広幅化されるかは、セルのクラス(たとえばEWCセルクラス、Hanma-Hunsingerセルクラスなど)やセルタイプに依存する。フィンガーをどの程度広幅化もしくは狭幅化させるかの尺度は、わずかなパラメータを介して定められる重み付け関数から容易に定めることが可能である。
【0035】
本発明による個々のセルの反射強度の最適化によって、離散化エラーが反射の連続的重み付け関数の離散的トランスデューサ幾何学形態への置き換えのもとで音響敵トラックにおいて限られた数のセルを用いて補償される。このことは特に低い中心周波数とその結果生じる大きな波長によって重要である。なぜなら可用の長さに対してごく僅かなセルしかもたらされないからである。この場合連続的な重み付け関数の走査は、相応の大きさの離散化エラーとともにおおざっぱに抜け落ちる。
【0036】
本発明の第1および第2実施形態は、相互に組み合わせることが可能である。その場合は第2の実施形態に従って最適化される機能セルが例えば最適化されてないセルの長さに対して付加的に圧縮もしくは伸張される。その際に金属化特性と音響波の伝搬速度は、最適化されたセルと最適化されていないセルの間では同じである。
【0037】
本発明の第2実施形態に従って変更されるセルの付加的なスケーリングによって特に反射やフィンガー幅の変更によって実現される励起中心の不所望なシフトが補償される。
【0038】
以下の明細書では本発明を図面と実施例に基づいて詳細に説明する。これらの図面には、本発明の種々の実施例が概略的にかつ必ずしも厳密な縮尺ではない表示で示されている。なお同じ部材もしくは同じ機能の部材には同じ符号が付されている。この場合図1は、本発明によるトランスデューサの第1実施例を表した図であり、
図2は、本発明によるトランスデューサの第1実施例のさらなる変化例を表した図であり、
図3は、本発明によるトランスデューサに使用されるセルタイプを例示的に示した図であり、
図4は、HH(Hanma-Husinger Cell)セルクラスのセルを用いた本発明によるトランスデューサの第2の実施形態を表した図であり、
図5は、EWC(Electrode Width Control Cell)セルクラスのセルを用いた本発明によるトランスデューサの第2の実施形態を表した図であり、
図6は、従来技術によるトランスデューサを用いたフィルタの特性曲線と本発明によるトランスデューサを用いたフィルタの特性曲線を比較した図であり、
図7は、図6の特性曲線の通過領域を表した図である。
【実施例】
【0039】
図1には、音響トラックASを備えた本発明によるトランスデューサが概略的に示されている。この音響トラックASは圧電基板上に配設されており、第1および第2の櫛形電極の2つの電流線路SS1,SS2を有している。それぞれの電流線路には電極フィンガーが接続されており、これらの電極フィンガーは第1および第2の電極と相互にかみ合っている。異なる電極の縦方向に配設されている隣接した2つの電極フィンガーは音響波を励起する。同じ電極の隣接した2つの電極フィンガーは大抵は反射的に作用する。というのもそれらはλ/8だけ相互に離間され、λ/8の幅を有しており、すなわちそれらが一緒にスプリットフィンガーを形成しているからである(図3のセルH00,E00参照)。
【0040】
音響トラックASは、セルにおいて縦方向で分割されている。例示的なセルタイプないしセルクラスは図3に示されている。図1では機能セルZ1,Z2,Z1′,Z3′,Z2′,Z1″が示されている。セルZ1,Z2は異なって形成されているが、しかしながら同じ周波数に適合している。セルZ1′,Z2′,Z3′は、本発明に従って変更されたセルである。
【0041】
この場合第1のセルタイプのセルZ1とZ1′は、幾何学形状が類似しており、縦方向で相互に相応のスケーリングで変化している。ここではセルZ1の第1フィンガー1の左方縁部からそれに続くセルZ2の第1フィンガー11の左方縁部までを測った絶対長L1は、スケーリングされたセルZ1′の長さL1′と異なっており、それによって音響波がこれらの2つのセルを通過する際には異なる伝搬区間を進むこととなり、従って異なる位相回転を受ける。このような形式で、次のセルの始端に音響波が受ける初期フェーズが有利に設定される。
【0042】
同じように第1のセルタイプに属するセルZ1″は、セルZ1に対してスケーリングされていない。
【0043】
セルZ2とZ2′は、第2のセルタイプのセルであり、第1のセルタイプのセルと同じように相互にスケーリングされている。この場合異なるセルタイプのスケーリング尺度は同じように選択されてもよいし異なって選択されてもよい。
【0044】
セルZ1及びZ1′は、図3のセルタイプE11に相応している。これらのセルは反射的にも励起的にも作用する。セルZ2及びZ2′は図3のセルタイプH02に相応している。これらのセルは反射的にのみ作用する。
【0045】
図2には本発明のさらなる変化例が示されている。所定の周波数に整合されているセルZ1、Z1″及びZ2並びにZ1′、Z2′及びZ3′は、それぞれ1つの固有の電極フィンガーグループFG1,FG2,FG3を有している(図面参照)。これらはそれぞれのセルの全ての電極フィンガーを含んでいる。
【0046】
第1のセルタイプのセルZ1,Z1′は、本発明の当該変化例においては、それぞれ同じように構成された電極フィンガーグループFG1を有している。
【0047】
その場合それらのセルZ1、Z1′は、異なる長さである。同じセルタイプの機能セルにおける異なったセル長は、次のことによって達成される。すなわち、相応する機能セルZ1の電極フィンガーグループFG1の最後のフィンガー10と次のセルZ2の第1のフィンガー11との間の間隔Lと、変更された機能セルZ1′の電極フィンガーグループFG1の最後のフィンガー10′とセルZ3の第1のフィンガー11′との間の間隔L′を異ならせることによって達成される。
【0048】
それに類似して第2のセルタイプのセルZ2及びZ2′は、同じように構成された電極フィンガーグループFG2を有している。
【0049】
セルZ2′は、前述したようにセルZ2に対して変更されている。
【0050】
伝搬区間ないし絶対セル長の変更は、種々異なるセルタイプにおいて同じような選択若しくは異なる選択が可能である。
【0051】
図3には、本発明によるトランスデューサに適用が可能なSPUDTセルの例示的なセルタイプが示されている。図中の上方に配置されているセルタイプは、セルクラスHH(Hanma-Hunsinger Cell)に属している。また図中の下方に配置されているセルタイプは、セルクラスEWC(Electorode Width Controlled Cell)に属している。
【0052】
それぞれのセルは、励起(図3中の符号E)と反射(図3中の符号R)によって特徴付けられる。これらの励起ないし反射は、正又は負の極性あるいは0であり得る。本発明の趣旨における機能セルとは、音響波に関して反射的及び/又は励起的に作用する、すなわちE≠0及び/又はR≠0の値を有しているセルである。
【0053】
有利には同じセルクラスの複数のセルタイプ(例えばセルクラスEWCのセルタイプE00〜E22)は、同じ音響トラックにおいて混合が生じ得る。トランスデューサ内のセルタイプの順序は、所望の伝搬機能特性とその結果として定められるトランスデューサの励起重み付け関数と反射重み付け関数によって確定される。その場合個々のセルの励起と反射は相応の重み付け関数に整合される。
【0054】
セルタイプE00及びH00までのセルタイプは、nλに相応する長さを有している。λ/2幅の長さを有しているセルタイプE00及びH00は、分割フィンガーを有し、反射機能若しくは励起機能は有していない。それらは専ら音響波の位相を180°回転させるのに用いられ、複数のセルグループの間で、所定の励起極性を有する機能セルの1つのグループから(逆の極性を有する)機能セルの別のグループへの移行の際に使用される。そのようなセルが本発明に従って変更されたセル長を有する2つのセルの間に設けられた場合には、それらは有利に相応にスケーリングないしは区分化されたものとなる。またそのようなセルが周波数に整合されて変更された機能セルの間に設けられた場合には、それらのディメンションが次のように適応化される。すなわちこれらのセルの通過の際に音響波の正確な若しくは近似的な180°の位相回転が得られるように適応化される。
【0055】
セルE00及びH00の相応に選択されたスケーリング度合によって次の機能セルにおける音響波の初期フェーズも制御可能である。
【0056】
反射的に作用するEWCセル(例えばE01,E02,E11,E12,E21,E22)は、次のような機能セルである。すなわち波長の長さスケールに対して3つのフィンガーを有しており、それらのフィンガーのうちの1つは他の2つのフィンガーよりも広幅に形成されており、さらに3λ/8の幅を有しているような機能セルである。この場合広幅な電極フィンガーの幅は、本発明によるトランスデューサにおいては3λ/8幅の値から最大で20%ずれていてもよい。
【0057】
音響波の励起に用いられ、反射には寄与していないEWCセル(E10,E20)は、次のような機能セルである。すなわち波長の長さスケールに対して4つのフィンガーを有しており、その場合第1のフィンガーが第1の電極に割り当てられ、それに続く3つのフィンガーは第2の電極に割り当てられている機能セルである。電極フィンガーの幅はそのようなEWCセルにおいては有利には実質的に同等に選択される。
【0058】
音響波の励起に用いられる“Hanma-Husinger”セル(H11,H12,H10,H21,H22,H20)は、次のような機能セルである。すなわち波長の長さスケールに対して4つのフィンガーを有しており、その場合第1及び第2の電極フィンガーが第1の電極に所属し、第3及び第4の電極フィンガーは第2の電極に所属している機能セルである。
【0059】
専ら音響波の励起に用いられる“Hanma-Husinger”セル(H10,H20)は、同じ幅の4つの電極フィンガーを有している。励起にも反射にも用いることができるように構成されている“Hanma-Husinger”セル(H11,H12,H21,H22)の場合は、電極フィンガーが異なる幅に選択されている。
【0060】
専ら音響波の反射用いられる“Hanma-Husinger”セル(H01,H02)は、波長の長さスケールに対して4つのフィンガーを有し、それらが同じ電極に接続されている機能セルである。
【0061】
図4には本発明によるトランスデューサの第2実施形態が概略的に示されている。このトランスデューサはHanma-Husingerセルタイプの最適化されていない機能セルZ1〜Z4と相応に最適化された機能セルZ4′,Z1″〜Z4″を有しており、これらは全て音響トラック内に配置されている。
【0062】
セルZ1と最適化されたセルZ1′及びZ1″は、電極フィンガーの接続順序に応じてセルタイプH11ないしH21に相応している。これらのセルは(右方に向けて)正の反射を生じる。
【0063】
セルZ2と最適化されたセルZ2′及びZ2″は、電極フィンガーの接続順序に応じてセルタイプH12ないしH22に相応している。これらのセルは(左方に向けて)負の反射を生じる。
【0064】
セルZ3と最適化されたセルZ3′及びZ3″は、電極フィンガーの接続順序に応じてセルタイプH10ないしH20に相応している。これらのセルは(左方に向けて)負の反射を生じる。セルZ4と最適化されたセルZ4′及びZ4″は、セルタイプH00に相応している。これらのセルは非反射的である。
【0065】
セルZ1は、2つの狭幅な電極フィンガーSF1及びSF2(第1及び第3フィンガー)と2つの広幅な電極フィンガーBF1及びBF2(第2及び第4フィンガー)を有している。符号Z1′によって、正の方向に高められた反射強度を有する最適化されたセルZ1が表され、符号Z1″によって、正の方向に低減された反射強度を有する最適化されたセルが表されている。最適化されたセルZ1′は、電極フィンガーSF1′,BF1′,SF2′,BF2′を有しており、それらの幅は、セルZ1の相応のフィンガーに対して最適化されている。最適化されたセルZ1″は、電極フィンガーSF1″,BF1″,SF2″,BF2″を有しており、それらの幅はセルZ1の相応のフィンガーに対して最適化されている。
【0066】
所定の方向に放射されるセルの反射強度を高めるために、広幅が故に反射的に作用していたフィンガーをさらに有利には同じように拡幅し、狭幅なフィンガーも相応に有利には同じように狭幅化させる。所定の方向に放射するセルの反射強度を低減するためには、広幅が故に反射的に作用していたフィンガーは狭幅化し、狭幅なフィンガーは相応に拡幅させる。
【0067】
非反射的なセル、すなわち同じような幅の複数のフィンガーを有する非反射的なセルのもとでは、所定のフィンガーの僅かな幅変更によって(本発明によるセル毎の全フィンガー幅の維持のもとで)本来のゼロ反射を正の方向又は負の方向にずらすことが可能である。
【0068】
正の方向に放射されるセルZ1の反射強度を正の方向に高めるために特に狭幅なフィンガーのフィンガー幅の一部がカットされ、広幅なフィンガーに加えられる(セルZ1′参照)。その場合有利には各狭幅なフィンガーから(相対的)フィンガー幅の同じ部分α/2が取り除かれ、(相対的)フィンガー幅の同じ部分が隣接する広幅なフィンガーに加えられる。それにより全てのフィンガー幅ないし相対的フィンガー幅の総和が一定に維持される。
正の方向に放射されるセルZ1の反射強度を(正の方向に)低減するためには、全ての広幅な(すなわち反射的に作用する)フィンガーのフィンガー幅の一部がカットされ、狭幅なフィンガーに分配される(セルZ1″参照)。その場合有利には各広幅なフィンガーから相対的フィンガー幅の同じ部分α/2が取り除かれ、相対的フィンガー幅の同じ部分が隣接する狭幅なフィンガーに加えられる。それにより全てのフィンガー幅ないし相対的フィンガー幅の総和が一定に維持される。
【0069】
セルZ2′〜Z4′は、正の方向に高められた反射強度を有する最適化されたセルに相応している。セルZ2″〜Z4″は、正の方向に低減されるかないしは負の方向に高められた反射強度を有する最適化されたセルに相応している。
【0070】
最適化されていない非反射的セルZ3及びZ4は、4つのないしは2つの同じ幅のフィンガーを有している。正の方向に反射を高めるためには、第1及び第3のフィンガーが狭幅化され、ないしは第2及び第4のフィンガーが相応に拡幅される(セルZ3′及びZ4′参照)。負の方向に反射を高めるためには、第1及び第3のフィンガーが拡幅され、ないしは第2及び第4のフィンガーが相応に狭幅化される(セルZ3″及びZ4″参照)。
【0071】
最適化されていないセルと本発明によって最適化されたセルは、基本的には直接隣接させて配置してもよいし、別のセルタイプのセルの連続によって相互に分離させてもよい。
【0072】
図5には、本発明の第2実施形態によるさらなるトランスデューサが示されている。このトランスデューサは、EWCセルタイプの最適化されてない機能セルZ1〜Z4、並びに相応に最適化された機能セルZ1′〜Z3′及びZ1″〜Z3″を有している。これらのセルは全て音響トラック内に配置されている。
【0073】
セルZ1と最適化されたセルZ1′及びZ1″は、電極フィンガーの接続順序に応じてセルタイプE11若しくはE21に相応している。これらのセルは正の方向(右方向)に反射を生じる。
【0074】
セルZ2と最適化されたセルZ2′及びZ2″は、電極フィンガーの接続順序に応じてセルタイプE12若しくはE22に相応している。これらのセルは負の方向(左方向)に反射を生じる。
【0075】
セルZ3と最適化されたセルZ3′及びZ3″は、電極フィンガーの接続順序に応じてセルタイプE10若しくはE20に相応している。これらのセルは非反射性である。
【0076】
セルZ1は、2つの狭幅な電極フィンガーSF1及びSF2(第1及び第2フィンガー)と、1つの広幅な電極フィンガーBF1(第3フィンガー)を有している。符号Z1′を用いて、高められた反射強度を有する最適化されたセルが表され、符号Z1″を用いて、低減された反射強度を有する最適化されたセルが表されている。
【0077】
正の方向に放射されるセルZ1′の反射的に作用するフィンガーBF1′は、セルZ1の相応に拡幅されたフィンガーBF1に対して拡幅されており、その場合狭幅なフィンガーSF1′及びSF2′がそれぞれ相応に狭幅化されている。それによりセルZ1′の正の方向の反射が高められる。セルZ1″の反射は、セルZ1に対して低減される。
【0078】
負の方向に放射されるセルZ2のもとでは、正の方向に高められるかないしは負の方向に低減される反射が次のことによって達成される。すなわち広幅なフィンガー(第2フィンガー)が狭幅化され、狭幅なフィンガー(第1及び第3フィンガー)は相応に拡幅されることによって達成される(セルZ2′参照)。それとは反対にこのセルタイプの最適化されたセルZ2″では、負の方向に高められるかないしは正の方向に低減された反射が次のことによって達成される。すなわち広幅なフィンガー(第2フィンガー)が拡幅され、狭幅なフィンガー(第1及び第3フィンガー)は相応に狭幅化されることによって達成される。
【0079】
4つの同じ幅のフィンガーを有する非反射性のセルZ3のもとでは、正の方向への反射のシフトのために、最初の2つのフィンガーが狭幅化され、負の方向への反射のシフトに対しては第1と最後のフィンガーが狭幅化される。
【0080】
図6には、本発明によって最適化されたトランスデューサを有するフィルタの伝搬機能特性22が、最適化されていないトランスデューサを有するフィルタの伝搬機能特性21と比較して示されている。最適化されたフィルタは、一方の側で低めの挿入損失を有し、他方の側では高められた密な選択度特性を有している。
【0081】
図7には、図6による伝搬機能特性22及び21の通過領域が拡大して示されている。
【0082】
最適化されたフィンガーの相対的な幅変更は、有利にはフィンガー幅の10%までの値である。
【0083】
本発明の実施形態によれば、本発明による特性を備えたトランスデューサは広帯域フィルタ(FANとも称される)に用いられる。この場合絶対的フィンガー中心間隔若しくはフィンガー中心間隔とトランスデューサのフィンガー幅は、トランスバーサル方向に低減される。
【0084】
前記実施例においては本発明の限られた数の改善例しか開示されなかったが、しかしながら本発明はこれらの改善例に限定されるものではない。電気音響的に活性な構造、例えばトランスデューサや反射器の構造は、フィルタの特性を所望のように変更するために任意の数及び形態で構築することが可能である。また本発明によるフィルタは、前述したような材料、例えば図示の構成要素の数や所定の周波数領域に限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0085】
【図1】本発明によるトランスデューサの第1実施例を表した図
【図2】本発明によるトランスデューサの第1実施例のさらなる変化例を表した図
【図3】本発明によるトランスデューサに使用されるセルタイプを例示的に示した図
【図4】HH(Hanma-Husinger Cell)セルクラスのセルを用いた本発明によるトランスデューサの第2の実施形態を表した図
【図5】EWC(Electrode Width Control Cell)セルクラスのセルを用いた本発明によるトランスデューサの第2の実施形態を表した図
【図6】従来技術によるトランスデューサを用いたフィルタの特性曲線と本発明によるトランスデューサを用いたフィルタの特性曲線を比較した図
【図7】図6の特性曲線の通過領域を表した図
【符号の説明】
【0086】
AS 音響トラック
Z1,Z2,Z3,Z1′,Z1″ 機能セル
Z1,Z2 変更されていない機能セル
Z1′,Z2′ 変更された機能セル
Z1″,Z2″ 変更された機能セル
Z1,Z1′ 同じセルタイプの機能セル
SS1 第1の電極の電流線路
SS2 第2の電極の電流線路
L1 セルZ1の絶対セル長
L1′ セルZ1′の絶対セル長
L 機能セルZ1の電極フィンガー(10)とこの電極フィンガーに対向する
後続セルZ2の電極フィンガー(11)との間の間隔
L 機能セルZ1の電極フィンガー(10′)とこの電極フィンガーに対向す
る後続セルZ3の電極フィンガー(11′)との間の間隔
1 セルZ1の第1の電極フィンガー
10 セルZ1の最後の電極フィンガー
11 セルZ2の第1の電極フィンガー
10′ セルZ1′の最後の電極フィンガー
11′ セルZ3の第1の電極フィンガー
21 変更されていないトランスデューサを有するフィルタの特性曲線
22 本発明によって変更されたトランスデューサを有するフィルタの特性
曲線
SF1,SF2 狭幅な電極フィンガー
BF1、BF2 広幅な電極フィンガー
FG1 セルZ1の電極フィンガーグループ
FG1′ 変更されたセルZ1′の電極フィンガーグループ
EWC EWC(Electrode Width Controlled)タイプのセル
HH Hanma-Husingerタイプのセル
E セルの励起
R セルの反射
E00,E01〜E22 EWCタイプのセル
H00,H01〜H22 Hanma-Husingerタイプのセル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面波で動作するフィルタのためのトランスデューサであって、
音響トラック(AS)を有しており、
前記音響トラック内ではフィルタの中心周波数のもとで音響表面波が励起可能である形式のトランスデューサにおいて、
前記音響トラック(AS)は、異なるセルタイプのセル内で縦方向に分割されており、
前記セルタイプは、1つのセルの電極フィンガーの接続順序によって定められており、
少なくとも1つ以上のセルが機能セルとして構成されており、該機能セルは音響波の励起と反射から選択される少なくとも1つの機能を充足するものであり、
前記機能セルの長さは実質的に中心周波数のもとで励起された音響波の2πnの位相回転に相応しており、この場合前記nは整数であり、
同じセルタイプの少なくとも2つの機能セル(Z1、Z1′)が設けられており、
中心周波数のもとでトランスデューサ内で励起される音響波は、そのつど同じセルタイプの機能セルの始端から次に続くセル(Z2,Z3)の始端まで測定される少なくとも2つの異なる伝搬区間の通過の際に、相互に異なる位相回転φ,φ′を受けるように構成されていることを特徴とするトランスデューサ。
【請求項2】
表面波で動作するフィルタのためのトランスデューサであって、
音響トラック(AS)を有しており、
前記音響トラック内でフィルタの中心周波数のもとで音響表面波が励起可能である形式のトランスデューサにおいて、
前記音響トラック(AS)は、異なるセルタイプのセル内で縦方向に分割されており、
前記セルタイプは、1つのセルの電極フィンガーの接続順序によって定められており、
少なくとも1つ以上のセルが機能セルとして構成されており、該機能セルは音響波の励起と反射から選択される少なくとも1つの機能を充足するものであり、
同じセルタイプの少なくとも2つの機能セル(Z1、Z1′)が設けられており、該機能セルはそれぞれ少なくとも1つの広幅な電極フィンガー(BF)と少なくとも1つの狭幅な電極フィンガー(SF)を有しており、
前記同じセルタイプの異なる機能セルにおいて相互に異なる反射強度が以下の手段によって達成されており、すなわち、
同じセルタイプの種々異なる機能セルのもとで、全ての狭幅な電極フィンガーのセル長に関する相対的な幅の総和を差分+αだけ異ならせると同時に全ての広幅な電極フィンガーのセル長に関する相対的な幅の総和を差分−αだけ異ならせ、それによって同じセルタイプの種々異なる機能セルにおいて全てのフィンガーの相対的な幅変更の総和がゼロとなるように構成されていることを特徴とするトランスデューサ。
【請求項3】
機能セルの長さが実質的に中心周波数のもとで励起される音響波の2πnの位相回転に相応し、この場合前記nは整数であり、中心周波数のもとでトランスデューサ内で励起される音響波は、そのつど同じセルタイプの機能セルの始端から次に続くセル(Z2,Z3)の始端まで測定される少なくとも2つの異なる伝搬区間の通過の際に、相互に異なる位相回転φ,φ′を受けるように構成されている、請求項2記載のトランスデューサ。
【請求項4】
同じセルタイプの少なくとも2つの機能セル(Z1,Z1′)が同じ構造を有し、但し縦方向において異なるスケーリングを施されている、請求項1から3いずれか1項記載のトランスデューサ。
【請求項5】
単一のセルタイプとして異なるスケーリングの施された機能セルが備えられている、請求項4記載のトランスデューサ。
【請求項6】
同じセルタイプの少なくとも2つの機能セルが異なるスケーリングを施されており、この場合のスケーリングの違いは、0.1%〜20%の間の範囲にある、請求項4または5記載のトランスデューサ。
【請求項7】
機能セル(Z1,Z1′)の全ての電極フィンガーが共に1つの電極フィンガーグループ(FG1,FG1′)を形成し、この場合同じセルタイプの少なくとも2つの機能セル(Z1,Z1′)は同一に形成された電極フィンガーグループ(FG1,FG1′)を有しており、同じセルタイプの機能セル(Z1,Z1′)は、異なった絶対セル長を有しており、1つの機能セルの電極フィンガーとこの電極フィンガーに対向する次に続くセルの電極フィンガー(11)との間のそのつどの間隔は、同一構造の電極フィンガーグループを備えた別の機能セルにおいて異なって選択されている、請求項1または2記載のトランスデューサ。
【請求項8】
音響波の反射にも励起にも寄与しないλ/2幅の長さを備えた複数のセルが設けられている、請求項1から7いずれか1項記載のトランスデューサ。
【請求項9】
同じセルタイプの機能セルがそれぞれ4つの電極フィンガーを有している。請求項1から7いずれか1項記載のトランスデューサ。
【請求項10】
同じセルタイプの全ての機能セルがそれぞれ3つの電極フィンガーを含んでおり、広幅な電極フィンガーの幅は、実質的に3λ/8の値か若しくは3λ/8の値から最大で20%異なる値である、請求項1から8いずれか1項記載のトランスデューサ。
【請求項11】
その幅が実質的にmλ/16の値か若しくはこの値から最大で±20%異なる値であって、前記mは整数である、複数の電極フィンガーが設けられている、請求項1から10いずれか1項記載のトランスデューサ。
【請求項12】
前記音響トラック(AS)と実質的に同じ特徴を備えた少なくとも1つのさらなる音響トラックが設けられており、これらの音響トラックは相互に並列に配置され電気的に相互接続されている、請求項1から11いずれか1項記載のトランスデューサ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2007−507189(P2007−507189A)
【公表日】平成19年3月22日(2007.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−529962(P2006−529962)
【出願日】平成16年8月20日(2004.8.20)
【国際出願番号】PCT/EP2004/009371
【国際公開番号】WO2005/036742
【国際公開日】平成17年4月21日(2005.4.21)
【出願人】(300002160)エプコス アクチエンゲゼルシャフト (318)
【氏名又は名称原語表記】EPCOS  AG
【住所又は居所原語表記】St.−Martin−Strasse 53, D−81669 Muenchen, Germany
【Fターム(参考)】