説明

表面検査装置および表面検査方法

【課題】高速かつ高精度で回転する被検査物体の被検査面上の傷や欠陥を検出できる表面検査装置および表面検査方法を提供する。
【解決手段】 表面検査装置100は、取付部41と、レーザ光源42a,42bと、受光手段としてのフォトダイオード43a,43bとから構成されるセンサ部40を用いることで、2つの光源がそれぞれ所定角度に配置され、光ビームを被検査面へ照射し、所定の受光面積を有する2つの受光手段で被検査面からの反射光をそれぞれ受光するようになされる。これにより、回転する被検査物体、例えばカムシャフトのような真円ではない回転体の被検査面からの反射光も確実に検出でき、高速かつ高精度で回転する被検査物体の被検査面上の傷や欠陥を検出できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転する被検査物体、例えばカムシャフトのような真円ではない回転体の被検査面に光を照射し、被検査面からの反射光に基づいて被検査面上に存在する傷や欠陥を検出する表面検査装置および表面検査方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、素材や製品の表面の傷、欠陥の検査は、自動車、電気部品をはじめとして、あらゆる産業分野において必要である。この表面検査では、表面の傷、欠陥の位置、大きさを検出するだけでは不十分で、傷や欠陥の種別を判別することが要求されている。
【0003】
このため、従来から、物品の傷検査を行う分野では反射型光センサが多用されている。その多くは発光素子と受光素子を並べて配置し、発光素子が発する光線を直接またはレンズを通して検査対象面(被検査面)に照射し、その反射光を受光素子で受光し、電気信号に変換して、センサまたは物品を動かすことで物品の表面をスキャンし、電気信号の変化を分析することで傷、欠陥の検査を行うものであった。円筒状物品の表面を検査する場合、物品の表面をスキャンするためには、物品を回転させながらセンサを回転体の軸方向に移動することで表面を連続的にスキャンすることが一般的に行われている(特許文献1参照)。
【0004】
特許文献1に係る表面検査方法は、円筒形状の被検体をその胴方向の軸を中心に回転させ、該被検体の表面に前記被検体の表面の2次元的な欠陥を検出するための第1のビームと、当該被検体の表面の3次元的な欠陥を検出するための第2のビームとを互いに交錯しないように前記被検体表面の異なる部分に照射し、当該照射された第1のビームおよび第2のビームの反射光をそれぞれ光電変換し、当該それぞれ光電変換された電気信号の波形分析を行うことにより2次元的な欠陥および3次元的な欠陥を検出することが可能となる。
【0005】
【特許文献1】特開平5−340743号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、微小な傷、欠陥等を検出するためには、発光素子による光照射範囲が十分に小さいことが必要であり、鏡面を検査するためには物品の表面の向きに合わせて発光素子の照射角と入射角を精確に保持する必要がある。しかし、カムシャフトのように検査対象の表面が鏡面であり、精確な円形でない物体が回転する場合にはセンサを検査対象の回転方向に移動するだけでは発光素子からの光線を受光素子で受光することができないため、反射型光センサで傷検査を行うことが困難であった。
【0007】
また、被検査面が精確な円形でない曲面である場合、照射したレーザ光は、照射点の局所的な傾きにより反射方向が絶えず変化するので、受光部に反射光が常に入射するような大面積のセンサもしくは受光センサを反射位置ごとに精確に移動する機構が必要となり、高速検査が困難である。仮にこのような受光センサで受光できるとしても、傷や欠陥による反射光の反射角度を変化させたか曲面による反射光の反射角度を変化させたかを区別できないので、曲面上の傷や欠陥を検出することができないという問題点があった。
【0008】
そこで、本発明は、このような問題点を考慮してなされたもので、2つの光ビームを異なる方向から被検査面へ照射させ、2つの受光手段でそれぞれの反射光を受光し、これらに基づいて、高速かつ高精度で回転する被検査物体の被検査面上の傷や欠陥を検出できる表面検査装置および表面検査方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため、本発明に係る表面検査装置は、特許請求の範囲の請求項1〜5に記載の手段を採用する。
【0010】
即ち、請求項1に記載のように、回転する被検査物体の被検査面に光を照射し、被検査面からの反射光に基づいて被検査面上に存在する欠陥を検出する表面検査装置において、光ビームを発光させ、それぞれ所定角度に配置され、前記被検査面へ照射する2つの光源と、所定の受光面積を有し、前記2つの光源に対応して、前記被検査面からの反射光をそれぞれ受光する2つの受光手段と、前記受光手段により受光した反射光の光量に基づいてデータ処理を行うデータ処理手段と、前記データ処理手段により得られた結果と予め設定した判定基準を比較し欠陥を判断する欠陥判断手段とを備えることを特徴とする。
【0011】
また、請求項2に記載のように、回転する被検査物体の被検査面に光を照射し、被検査面からの反射光に基づいて被検査面上に存在する欠陥を検出する表面検査装置において、光ビームを発光させる光源と、前記光源から光ビームを2つに分割してそれぞれ異なる方向に進行させる光分割手段と、前記2つに分割された光ビームをそれぞれ反射させ、前記被検査面へ照射するように所定位置に配置された2つの反射手段と、所定の受光面積を有し、前記2つの光源に対応して、前記被検査面からの反射光をそれぞれ受光する2つの受光手段と、前記受光手段により受光した反射光の光量に基づいてデータ処理を行うデータ処理手段と、前記データ処理手段により得られた結果と予め設定した判定基準を比較し欠陥を判断する欠陥判断手段とを備えることを特徴とする。
【0012】
また、請求項3に記載のように、請求項1または2の表面検出装置において、前記受光手段は、前記被検査面の円周方向の半分以上の面からの反射光を受光することを特徴とする。
【0013】
また、請求項4に記載のように、請求項1乃至3の表面検出装置において、前記データ処理手段は、受光手段からの光量データと形状データをリアルタイムで画像表示することを特徴とする。
【0014】
また、請求項5に記載のように、請求項2の表面検出装置において、前記反射手段は、前記被検査面へ照射する光の入射角度を調整するために、回動可能に装着されることを特徴とする。
【0015】
上記課題を解決するため、本発明に係る表面検査方法は、特許請求の範囲の請求項6および7に記載の手段を採用する。
【0016】
即ち、請求項6に記載のように、回転する被検査物体の被検査面に光を照射し、被検査面からの反射光に基づいて被検査面上に存在する欠陥を検出する表面検査方法において、2つの光源から光ビームを発光させ、それぞれ所定角度から前記被検査面へ照射し、前記被検査面からの反射光をそれぞれ受光し、受光した反射光の光量に基づいてデータ処理を行い、前記データ処理により得られた結果と予め設定した判定基準を比較し欠陥を判断することを特徴とする。
【0017】
また、請求項7に記載のように、回転する被検査物体の被検査面に光を照射し、被検査面からの反射光に基づいて被検査面上に存在する欠陥を検出する表面検査方法において、1つの光源から光ビームを発光させ、前記光ビームを2つに分割してそれぞれ異なる方向に進行させ、前記2つに分割された光ビームをそれぞれ反射させ、前記被検査面へ照射し、前記被検査面からの反射光をそれぞれ受光し、受光した反射光の光量に基づいてデータ処理を行い、前記データ処理により得られた結果と予め設定した判定基準を比較し欠陥を判断することを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
請求項1に記載の発明においては、2つの光源がそれぞれ所定角度に配置され、光ビームを被検査面へ照射し、所定の受光面積を有する2つの受光手段で被検査面からの反射光をそれぞれ受光することで、回転する被検査物体、例えばカムシャフトのような真円ではない回転体の被検査面からの反射光も確実に検出でき、高速かつ高精度で回転する被検査物体の被検査面上の傷や欠陥を検出できる。
【0019】
請求項2に記載の発明においては、1つの光源から光ビームを2つに分割してそれぞれ異なる方向に進行させ、所定の受光面積を有する2つの受光手段で被検査面からの反射光をそれぞれ受光することで、回転する被検査物体、例えばカムシャフトのような真円ではない回転体の被検査面からの反射光も確実に検出でき、高速かつ高精度で回転する被検査物体の被検査面上の傷や欠陥を検出できる。そのため、光源の数を減らすことができ、コスト削減を図ることができる。さらに装置の小型化を図ることができる。
【0020】
請求項3に記載の発明においては、受光手段は、前記被検査面の円周方向の半分以上の面からの反射光を受光することで、一般的に用いられている形状のカムシャフトに対しては2つ受光手段で検査対象の全周を検査することができる。
【0021】
請求項4に記載の発明においては、データ処理手段は、受光手段からの光量データと形状データをリアルタイムで画像表示することで、被検査面上の傷や欠陥の形状が分かる。
【0022】
請求項5に記載の発明においては、反射手段は、被検査面へ照射する光の入射角度を調整するために、回動可能に装着されることで、様々な曲面を有する回転被検査物体に対応することができる。
【0023】
請求項6に記載の発明においては、2つの光源がそれぞれ所定角度に配置され、光ビームを被検査面へ照射し、所定の受光面積を有する2つの受光手段で被検査面からの反射光をそれぞれ受光し、受光した反射光の光量に基づいてデータ処理を行い、データ処理により得られた結果と予め設定した判定基準を比較し欠陥を判断することで、回転する被検査物体、例えばカムシャフトのような真円ではない回転体の被検査面からの反射光も確実に検出でき、高速かつ高精度で回転する被検査物体の被検査面上の傷や欠陥を検出できる。
【0024】
請求項7に記載の発明においては、1つの光源から光ビームを2つに分割してそれぞれ異なる方向に進行させ、所定の受光面積を有する2つの受光手段で被検査面からの反射光をそれぞれ受光、受光した反射光の光量に基づいてデータ処理を行い、データ処理により得られた結果と予め設定した判定基準を比較し欠陥を判断することで、回転する被検査物体、例えばカムシャフトのような真円ではない回転体の被検査面からの反射光も確実に検出でき、高速かつ高精度で回転する被検査物体の被検査面上の傷や欠陥を検出できる。そのため、光源の数を減らすことができ、コスト削減を図ることができる。さらに装置の小型化を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
本発明に係る表面検査装置および表面検査方法を実施するための最良の形態を、図を参照して説明する。
【0026】
図1は、第1の実施の形態の表面検査装置100の構成を示す斜視図である。図2は、センサ部40の構成を示す図である。図3は、表面検査装置100を用いて表面検査を行うフローチャートである。
【0027】
図1に示すように、表面検査装置100は、設置台10と、カムシャフト保持部20a,20bと、回転駆動部30と、センサ部40と、スライド機構50と、と、制御部60と、光電変換部70と、処理部80と、表示部90とから構成されている。光電変換部70と処理部80はデータ処理手段として機能する。
【0028】
図1に示すように、設置台10には、カムシャフト保持部20a,20bと、スライド機構50とが配置されている。
【0029】
カムシャフト保持部20a,20bは、スライド機構を有し、カムシャフトの長さに対応して位置調整できる。カムシャフト保持部20a側に、回転駆動部30が設けられている。この回転駆動部30は、カムシャフトを高速に回転させるためのモータおよび変速器から構成される。モータの回転は制御部60により制御される。
【0030】
センサ部40は、取付部41と、レーザ光源42a,42bと、受光手段としてのフォトダイオード43a,43bとから構成されている。センサ部40は、スライド機構50に取り付けられている。
【0031】
取付部41は、表面検査装置100の本体に取り付けるためのアーム部41aと、その先端に設けられて、U字形の開口部からなる受光手段装着部41bとから構成されている。
【0032】
センサ部40の投光系において、2つのレーザ光源42a,42bを用いている。この2つのレーザ光源42a,42bは、互いに90度の角度で取付部41に配置されている。また、この2つのレーザ光源42a,42bからレーザビームは、異なる角度から直接にカムシャフトSの被検査面に照射するようになされる。
【0033】
受光手段として、応答周波数とコストの面を考慮して、大面積長尺のフォトダイオードを用いた。フォトダイオード43a,43bは、例えば所定の長さを有する長方形のものである。フォトダイオード43a,43bの長さは、カムシャフトSの寸法によって選定される。また、このフォトダイオード43a,43bは、それぞれ取付部41のU字形の開口部の両側の受光手段装着部41bに設けられており、かつ光電変換部70に接続される。
【0034】
なお、受光手段としてフォトトランジスタなど受光した光の強弱を電気信号の強弱に変えるものを用いてもよい。また、受光面が広ければより少ないセンサの組で被検査物体11の全周をカバーでき、より応答速度が速ければ検査時間を短縮することができるため、受光面が広く、応答速度が速いものほど本発明の受光手段としては有利である。
【0035】
スライド機構50は、レール51とスライド部52から構成されている。スライド部5はレール51に沿ってカムシャフトSの軸方向に所定速度で移動することができる。スライド部52の移動は、制御部60により制御される。
【0036】
制御部60は、回転駆動部30の回転およびスライド機構50の移動を制御するものである。制御部60の制御によりカムシャフトSは所定の速度、例えば毎分2000回転程度の回転数で回転することができ、またスライド部52は所定の速度でレール51に沿って移動することができる。
【0037】
光電変換部70では、フォトダイオード43a,43bで受信した光信号が電気信号に変換され、処理部80へ出力される。
【0038】
処理部80は、光電変換部70からの信号をデジタル信号に変換し、これらの光量データと形状データをリアルタイム画像表示させると共に、測定データから画像処理し、算出したしき値に基づいて、傷・欠陥部分を分離検出し、予め設定した判定基準に従って、良品と不良品とを自動的に判断する。
【0039】
表示部90は、検出結果を、画像または文字で表示することができ、もしくは画像および文字で表示することができる。ここで、回転するワークには当然回転ムラがあり、一回転あたりのデータ量は毎回転毎に同じとは限りない。そこで回転センサのデータを元に一回転あたりの平均データ量を求めて、それで得られたデータを補間し、方形な画像データとして表示する(後述図4参照)。表示部90に表示された画像に基づいて傷・欠陥部分の形状を確認することができる。なお、表示部90には、検出された欠陥の数、位置、大きさを表示することができる。
【0040】
続いて、表面検査装置100用いてカムシャフトSを検査する方法について説明する。検査する際に、予め標準被検査面に対して測定を行う。そして被検査物としてのカムシャフトSを検査する。
【0041】
まず、図1に示すように、カムシャフトSをカムシャフト保持部20a,20bに保持し、センサ部40のU字形の開口部にカムシャフトSを位置するようにセンサ部40を設置する。
【0042】
次に、図3に示すように、制御部6により回転駆動部30およびスライド機構50を制御し、カムシャフトSを所定の速度、例えば毎分2000回転程度の回転数で回転させ(ステップS1)、そしてスライド機構50を所定の速度でレール51に沿って移動させ(ステップS2)、センサ部40よりカムシャフトSの表面を連続的にスキャンする(ステップS3)。
【0043】
カムシャフトSの被検査面からの反射回折光はフォトダイオード43a,43bで受光され、フォトダイオード43a,43bで受光された光信号は光電変換部70で電気信号に変換され(ステップS4)、処理部80に伝送される。処理部80で画像処理し(ステップS5)、得られた画像を表示する(ステップS6)。また、ステップS5でデータ処理を行った後、しきい値と比較する(ステップS7)。次に、ステップS8で、算出したしきい値に基づいて、傷・欠陥部分を分離検出し、予め設定した判定基準に従って、良品と不良品とを自動的に判断する。最後に、ステップS9で、判断結果を表示するようになされる。
【0044】
図4は、カムシャフトSの表面をスキャニングして画像処理ソフトで処理された画像である。図4中のA部、B部は表面傷の巣であり、この画像により、表示部90で傷・欠陥部分を確認することができる。
【0045】
また、図5は、A部における一回転データを示す図である。図6は、B部における一回転データを示す図である。図5中のa曲線および図6中のb曲線は、受光した光量である。図5、図6に示すように、A部、B部では、光量が大きく減じている。また、曲線c、dは、動的しきい値である。このしきい値に基づいて、傷・欠陥部分を分離検出する。
【0046】
このように本実施の形態において、表面検査装置100は、取付部41と、レーザ光源42a,42bと、受光手段としてのフォトダイオード43a,43bとから構成されるセンサ部40を用いることで、2つの光源がそれぞれ所定角度に配置され、光ビームを被検査面へ照射し、所定の受光面積を有する2つの受光手段で被検査面からの反射光をそれぞれ受光するようになされる。
【0047】
これにより、回転する被検査物体、例えばカムシャフトのような真円ではない回転体の被検査面からの反射光も確実に検出でき、高速かつ高精度で回転する被検査物体の被検査面上の傷や欠陥を検出できる。
【0048】
以下、第2の実施の形態の表面検査装置について説明する。第2の実施の形態の表面検査装置は、センサ部以外に上述した表面検査装置100の構成と同じ構成を有する。また、第2の実施の形態の表面検査装置を用いた測定方法も上述した表面検査装置100の測定方法と同様である。
【0049】
図7は、第2の実施の形態の表面検査装置のセンサ部40Aの構成を示す図である。図7に示すように、センサ部40Aは、取付部41と、レーザ光源42と、受光手段としてのフォトダイオード43a,43bと、ビームスプリッタ44と、反射ミラー45a,45bから構成されている。
【0050】
取付部41は、表面検査装置の本体に取り付けるためのアーム部41aと、その先端に設けられて、U字形の開口部からなる受光手段装着部41bとから構成されている。
【0051】
センサ部40Aの投光系において、1つのレーザ光源42を用いている。このレーザ光源42からのレーザビームは、ビームスプリッタ44で等分の光量で2方向に分岐される。この2つのレーザビームは、それぞれ反射ミラー45a,45bへ入射され、反射ミラー45a,45bによりレーザビームの照射方向を変えて、例えば互いに90度の角度を形成し、それぞれ異なる角度からカムシャフトSの被検査面に照射するようになされる。
【0052】
受光手段としてのフォトダイオード43a,43bは、例えば所定の長さを有する長方形のものである。フォトダイオード43a,43bの長さは、カムシャフトSの寸法によって選定される。また、このフォトダイオード43a,43bは、それぞれ取付部41のU字形の開口部の両側の受光手段装着部41bに設けられており、かつ光電変換部70に接続される。
【0053】
反射ミラー45a,45bは、設置角度を調整することが可能とされる。反射ミラー45a,45bの設置角度を調整することで、カムシャフトSの大きさ、形状に対応することができ、また、レーザビームの照射位置を調整できる。
【0054】
センサ部40Aを用いて、カムシャフトSを検査する方法は、カムシャフトSをカムシャフト保持部20a,20bに保持し、センサ部40のU字形の開口部にカムシャフトSを位置するようにセンサ部40Aを設置する。
【0055】
次に、制御部6により回転駆動部30およびスライド機構50を制御し、カムシャフトSを所定の速度、例えば毎分2000回転程度の回転数で回転させ、そしてスライド機構50を所定の速度でレール51に沿って移動させ、センサ部40よりカムシャフトSの表面を連続的にスキャンする。
【0056】
この場合、レーザ光源42から光ビームを発光させ、ビームスプリッタ44で等分の光量で光ビームを2つに分割してそれぞれ異なる方向に進行させ、反射ミラー45a,45bで2つに分割された光ビームをそれぞれ反射させ、カムシャフトSの被検査面へ照射し、カムシャフトSの被検査面からの反射回折光はフォトダイオード43a,43bで受光され、フォトダイオード43a,43bで受光された光信号は光電変換部70で電気信号に変換され、処理部80に伝送される。処理部80で画像処理し、算出したしきい値に基づいて、傷・欠陥部分を分離検出し、予め設定した判定基準に従って、良品と不良品とを自動的に判断するようになされる。
【0057】
このように本実施の形態において、表面検査装置には、取付部41と、レーザ光源42と、受光手段としてのフォトダイオード43a,43bと、ビームスプリッタ44と、反射ミラー45a,45bから構成されるセンサ部40Aを用いることで、1つの光源で異なる角度から照射するレーザビームを得ることができ、センサ部40Aを小型化でき、コスト削減を図ることができると共に、製造などが簡単になるなどの利点がある。
【0058】
なお、上述の第1の実施の形態においては、2つのレーザ光源42a,42bを用いたものを説明したが、これに限定されるものではない。3以上のレーザ光源を用いるようにしてもよい。
【0059】
また、上述の第1、2の実施の形態においては、1つのセンサ部40、または40Aを用いたものを説明したが、これに限定されるものではない。複数のセンサ部40、または40Aを用いて、それぞれ所定の移動範囲で検査するようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0060】
本発明に係る表面検査装置および表面検査方法は、自動車、電気部品をはじめとして、あらゆる産業分野において、回転する被検査物体、例えばカムシャフトのような真円ではない回転体表面に製造時に発生する微小な傷、欠陥を高速かつ高精度で検査する目的に利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】第1の実施の形態の表面検査装置100の構成を示す斜視図である。
【図2】センサ部40の構成を示す図である。
【図3】表面検査装置100を用いて表面検査を行うフローチャートである。
【図4】カムシャフトSの表面をスキャニングして画像処理ソフトで処理された画像である。
【図5】A部における一回転データを示す図である。
【図6】B部における一回転データを示す図である。
【図7】第2の実施の形態の表面検査装置のセンサ部40Aの構成を示す図である。
【符号の説明】
【0062】
10 設置台
20a,20b カムシャフト保持部
30 回転駆動部
40,40A センサ部
41 取付部
41a アーム部
41b 受光手段装着部
42,42a,42b レーザ光源
43a,43b フォトダイオード
44 ビームスプリッタ
45a,45b 反射ミラー
50 スライド機構
51 レール
52 スライド部
60 制御部
70 光電変換部
80 処理部
90 表示部
100 表面検査装置
S カムシャフト

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転する被検査物体の被検査面に光を照射し、被検査面からの反射光に基づいて被検査面上に存在する欠陥を検出する表面検査装置において、
光ビームを発光させ、それぞれ所定角度に配置され、前記被検査面へ照射する2つの光源と、
所定の受光面積を有し、前記2つの光源に対応して、前記被検査面からの反射光をそれぞれ受光する2つの受光手段と、
前記受光手段により受光した反射光の光量に基づいてデータ処理を行うデータ処理手段と、
前記データ処理手段により得られた結果と予め設定した判定基準を比較し欠陥を判断する欠陥判断手段と
を備えることを特徴とする表面検査装置。
【請求項2】
回転する被検査物体の被検査面に光を照射し、被検査面からの反射光に基づいて被検査面上に存在する欠陥を検出する表面検査装置において、
光ビームを発光させる光源と、
前記光源から光ビームを2つに分割してそれぞれ異なる方向に進行させる光分割手段と、
前記2つに分割された光ビームをそれぞれ反射させ、前記被検査面へ照射するように所定位置に配置された2つの反射手段と、
所定の受光面積を有し、前記2つの光源に対応して、前記被検査面からの反射光をそれぞれ受光する2つの受光手段と、
前記受光手段により受光した反射光の光量に基づいてデータ処理を行うデータ処理手段と、
前記データ処理手段により得られた結果と予め設定した判定基準を比較し欠陥を判断する欠陥判断手段と
を備えることを特徴とする表面検査装置。
【請求項3】
前記受光手段は、前記被検査面の円周方向の半分以上の面からの反射光を受光することを特徴とする請求項1または2記載の表面検査装置。
【請求項4】
前記データ処理手段は、受光手段からの光量データと形状データをリアルタイムで画像表示することを特徴とする請求項1乃至3記載の表面検査装置。
【請求項5】
前記反射手段は、前記被検査面へ照射する光の入射角度を調整するために、回動可能に装着されることを特徴とする請求項2記載の表面検査装置。
【請求項6】
回転する被検査物体の被検査面に光を照射し、被検査面からの反射光に基づいて被検査面上に存在する欠陥を検出する表面検査方法において、
2つの光源から光ビームを発光させ、それぞれ所定角度から前記被検査面へ照射し、
前記被検査面からの反射光をそれぞれ受光し、
受光した反射光の光量に基づいてデータ処理を行い、
前記データ処理により得られた結果と予め設定した判定基準を比較し欠陥を判断することを特徴とする表面検査方法。
【請求項7】
回転する被検査物体の被検査面に光を照射し、被検査面からの反射光に基づいて被検査面上に存在する欠陥を検出する表面検査方法において、
1つの光源から光ビームを発光させ、
前記光ビームを2つに分割してそれぞれ異なる方向に進行させ
前記2つに分割された光ビームをそれぞれ反射させ、前記被検査面へ照射し、
前記被検査面からの反射光をそれぞれ受光し、
受光した反射光の光量に基づいてデータ処理を行い、
前記データ処理により得られた結果と予め設定した判定基準を比較し欠陥を判断することを特徴とする表面検査方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−164532(P2008−164532A)
【公開日】平成20年7月17日(2008.7.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−356623(P2006−356623)
【出願日】平成18年12月28日(2006.12.28)
【出願人】(595099889)日本システムデザイン株式会社 (4)
【出願人】(591224744)シグマ株式会社 (22)
【出願人】(593203594)株式会社sanzo (2)
【Fターム(参考)】