説明

袋詰め包装機における被包装物充填装置及び充填方法

【課題】被包装物の性状の変化に応じて重量式制御とパルス式制御を切り替えることにより、充填精度の向上と生産性向上とのバランスを図り、従来に比して効率の良い被包装物の充填装置及び充填方法を提供する。
【解決手段】回転テーブル13に複数組のグリッパー15を備えた間欠移送式縦型袋詰め包装機。充填ステーションIVにはオーガ式充填装置17と、チャック29と計量器31とを備えた第1掴み替え計量装置を配置する。計量ステーションVにはチャック39と計量器41とを備えた第2掴み替え計量装置37を配置する。第2掴み替え計量装置により計量した袋の重量が予め定めた範囲内である場合には、次に充填ステーションへ移送される袋への充填量は、第1掴み替え計量装置を駆動せず、オーガスクリューを回転させるサーボモータから発するパルス数に基づいて制御し、予め定めた範囲内でない場合には、第1掴み替え計量装置を駆動し、その計量器で実際の充填量を計量して充填量を制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は間欠移送式縦型袋詰め包装機に使用する被包装物充填装置及び充填方法に関する。さらに詳細に言えば、充填装置として所謂オーガ式充填装置を使用する被包装物充填装置及び充填方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来袋を袋口側を上側にしてグリッパなどの把持装置により把持し、間欠移送しながら各処理ステーションで被包装物の充填、袋口のシールなど各種の処理を施して包装する間欠移送式縦型袋詰め包装機が使用されている。そして、被包装物が粉状物、粒状物、あるいは粘性を有するものを充填するために使用される充填装置として所謂オーガ式充填装置がある。
【0003】
オーガ式充填装置は、被包装物を貯留するホッパ内にオーガスクリューを配置し、このオーガスクリューを回転させることによりホッパの下端に設けた吐出口から被包装物を吐出し、下方に配置した袋内へ充填する構成を備えている。そして、オーガスクリューを回転させるものとしてサーボモータを使用し、スクリューの回転量すなわち駆動源であるサーボモータの回転角度(パルス数)を所定の値に設定することにより所定量の充填を行うものである。
【0004】
しかしこのようなオーガ式充填装置では、ホッパ内に貯留された被包装物の湿気などに影響される見掛け比重の変化、ホッパ内の貯留量に影響されるかさ密度の変化、さらには粘性を有する被包装物の場合のその粘性の変化など、被包装物の性状の変化に伴う充填量の変化に対応できず、充填量がばらつくという問題があった。
【0005】
このような問題に対応するものとして、特公平6−29043号公報に開示されたグロス計量包装方法では、第1段階で大出しホッパで充填し、第2段階で計量装置のグリッパで袋を掴み替え、小出しホッパで充填しながら計量し、所定量充填されたことを検知して充填を停止するようにしている。
【0006】
また、特開平11−314602号公報に開示された計量充填包装方法及び装置では、充填位置で計量用クランプで袋を掴み替え、サーボモータで容積型ポンプ(オーガスクリューに代替可能としている)を駆動して充填しながら計量し、所定量に達したら充填を停止する。そして袋がコンベアで移動する途中で重量チェッカーで計量し、その結果をフィードバックしてサーボモータの回転量を制御するようにしている。
【0007】
また、特許第3559483号公報に開示された定量充填方法では、充填ステーションでグリッパベースごとテーブルから持ち上げ、総重量を検出してゼロ点調整し、充填を開始して大出し投入に続けて小出し投入を行いながら計量し、その計量値に基づく信号を被包装物供給手段にリアルタイムで出力し、被包装物供給手段の制御部がスクリューを減速し、排出ゲートを徐々に絞り込むようにフィードバック制御している。
【0008】
上記特許文献に記載された技術では充填量の精度は向上する。しかし、充填工程において袋の掴み替えを行う関係で充填工程に要する時間が長くなり(全工程について同じ)、その結果生産性が低下する。これに対応する方法として、オーガ式充填を行った後に次の工程で掴み替え計量を行い、その結果をフィードバックしてスクリューの回転角度を補正する構成とし、充填工程では充填のみを行い、掴み替えは計量工程で行うようにすることが考えられる。
【0009】
しかしながら、前述の通り充填量が変化する原因としてはさまざまなものがあり、同じ量の充填量の過不足が生じても、その過不足を補正するための補正量はその原因によって異なるため、補正量を正確に得ることができない。従って生産性は向上できても充填量精度の低下は避けられない。特に包装機の運転開始直後は被包装物の見掛け比重や粘性などの性状が前日の生産終了時のときとは異なっていて、サーボモータの発するパルス数とそれに対応する実際の充填量との関係が変化してしまっている場合が多い。その結果充填精度が悪化して、充填量の過不足による不良品が多く発生し、それが落ち着くまでには時間がかかるために生産性も低下する可能性がある。一般的に充填精度向上と生産性向上とは相反するものと考えられ、充填精度の向上を図れば生産性が低下し、生産性の向上を図れば充填精度が低下すると考えられている。
【特許文献1】特公平6−29043号公報
【特許文献2】特開平11−314602号公報
【特許文献3】特許第3559483号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本願発明は上記従来技術の問題点に鑑みなされたものであり、充填精度の向上と生産性の向上とのバランスを図り、従来に比して効率の良い被包装物の充填が行える被包装物の充填装置及び方法を提供することをその課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために、本願発明に係る被包装物充填装置においては、該充填装置を、間欠移動する搬送装置と、該搬送装置に所定の間隔で設けられた、包装袋を把持する複数の把持装置と、搬送装置の移動軌跡に沿って設定された充填ステーションに設けられ、サーボモータにより駆動されるオーガスクリューを備えたオーガ式充填装置と、充填ステーションに設けられ、包装袋を保持可能な第1保持部材と、該第1保持部材が連結され、第1保持部材により保持された包装袋の重量を計量する第1計量器とを備えた第1掴み替え計量装置と、充填ステーションの下流側に設定された計量ステーションに設けられ、包装袋を保持可能な第2保持部材と、該第2保持部材が連結され、第2保持部材により保持された包装袋の重量を計量する第2計量器とを備えた第2掴み替え計量装置と、制御装置とで構成し、その制御装置は、次に充填ステーションへ移送される包装袋への充填を制御する方式として、第2計量器により計量された計量値が予め定めた第1設定計量値範囲内に入っている場合には、第1掴み替え計量装置を停止させ、把持装置で包装袋を把持したまま被包装物を充填し、該充填を行っている間にサーボモータが発するパルス数をカウントし、該パルス数が基準パルス数に達したときにサーボモータへ停止信号を送るパルス式制御を選択し、第2計量器により計量された計量値が第1設定計量値範囲内に入っていない場合には、搬送装置が間欠停止しているときの停止時間をパスル式制御を選択している場合に比して長くし、包装袋を把持装置から第1保持部材へ掴み替えて被包装物を充填し、第1計量器で計量し、該第1計量器による計量値が基準重量値に達したときにサーボモータへ停止信号を送る重量式制御を選択するように制御する。
上記制御装置がパルス式制御を選択している場合に、第2計量器での計量値が第1設定計量値範囲内に入らない範囲外充填をカウントし、該範囲外充填が所定の回数連続して発生した場合に重量式制御を選択するようにすることができる。
上記制御装置が重量式制御を選択している場合に、第2計量器による計量値が第1設定計量値範囲内に入らない場合、該第2計量器による計量値に基づき基準重量値を補正するようにすることができる。
上記制御装置がパスル式制御を選択している場合に、制御装置はさらに、第2計量器による計量値が第1設定計量値範囲内に予め設定される第2設定計量値範囲内に入っているかどうかを判定し、入っていない場合に第2計量器による計量値に基づいて基準パルス数を補正するようにすることができる。
上記課題を解決するために、本願発明に係る間欠移送式縦型袋詰め包装における被包装物充填方法は以下の構成とした。
(1)包装袋を充填ステーションに停止させ、
(2)該充填ステーションに停止している間に、包装袋を第1の袋保持手段で掴み替え、サーボモータでオーガ式充填装置を駆動して被包装物を包装袋内へ充填し、被包装物を内包した包装袋の重量を計量し、基準重量に達したときに前記サーボモータへ停止信号を送り、
(3)包装袋を計量ステーションへ移送して停止させ、
(4)該計量ステーションに停止している間に、被包装物を内包した包装袋を第2の保持手段で掴み替え、被包装物を内包した包装袋を計量し、その計量値が予め定めた範囲内に入っているかどうかを判定し、
(5)工程(4)において計量値が上記予め定めた範囲内に入っていないと判定された場合には、次に充填ステーションへ移送される包装袋への充填を工程(1)に戻って行うように指示信号を出し、
(6)工程(4)において計量値が上記予め定めた範囲内に入っていると判定された場合には、次に充填ステーションへ移送される包装袋への充填方法を変更する指示信号を出し、
(7)次の包装袋を充填ステーションに停止させ、
(8)該次の袋が充填ステーションに停止している間に、サーボモータでオーガ式充填装置を駆動して被包装物を前記把持手段に把持された包装袋内へ充填し、充填をしながらサーボモータから発せられる実パルス数をカウントし、該カウントした実パルス数が基準パルス数に達したときにサーボモータへ停止信号を送り、
(9)上記次の包装袋を計量ステーションへ移送して停止させ、
(10)該計量ステーションに停止している間に、被充填物を内包した包装袋を計量し、その計量値が上記予め定めた範囲内に入っているかどうかを判定し、
(11)工程(10)で計量値が上記予め定めた範囲内に入っていないと判定された場合に、次に充填ステーションへ移送される包装袋への充填を上記工程(1)に戻って行うよう変更する指示信号を出し、
(12)工程(10)で計量値が上記予め定めた範囲内に入っていると判定された場合には、次に充填ステーションへ移送される包装袋への充填を上記工程(7)に戻って行うように指示信号を出し、
(13)上記工程(2)での停止時間を上記工程(8)での停止時間より長くする。
【発明の効果】
【0012】
上記の通り、本願発明においては被包装物の見掛け比重、粘性等の性状が変化し、それ以前に維持されていたオーガ式充填装置のオーガスクリューの回転量と吐出される被包装物の実際の重量との関係が維持されず不安定な場合には、第1掴み替え計量装置を作動させて重量式制御を行い、充填精度が安定しているときにはパスル式制御を行うように切り替えることとした。従って、オーガ式充填装置の充填精度の状況に応じて適宜制御方法を変更し、高い充填精度を維持しつつ、生産性も向上でき、従来に比して効率の良い被包装物の充填を行える。
制御装置がパルス式制御を選択している場合に、第2計量器での計量値が第1設定計量値範囲内に入らない範囲外充填をカウントし、該範囲外充填が所定の回数連続して発生した場合に重量式制御を選択することにより、傾向により重量式制御に切り替えることとなるので、何らかの原因で突発的に充填量が第1設定計量値範囲外になった場合はパルス式制御を維持し、高い生産性を維持することができる。
制御装置が重量式制御を選択している場合に、第2計量器による計量値が第1設定計量値範囲内に入らない場合、該第2計量器による計量値に基づき基準重量を補正することにより、重量式制御を行っている場合の充填精度をさらに向上できる。
制御装置がパルス式制御を選択している場合に、制御装置がさらに、第2計量器による計量値が第1設定計量値範囲内に予め設定される第2設定計量値範囲内に入っているかどうかを判定し、入っていない場合に第2計量器による計量値に基づいて基準パルス数を補正するようにすることにより、パルス式制御を行っている場合の充填精度をさらに高めることが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本願の実施の形態に係る被包装物充填装置を使用した間欠移送式縦型袋詰め包装機の模式斜視図である。
【図2】被包装物充填装置を構成するオーガ式充填装置(一部切り欠いている)と第1掴み替え計量装置を示す斜視図であり、第1掴み替え装置は作動せず、袋を把持装置で把持して充填している状態を示す図である。
【図3】第1掴み替え装置で袋を掴み替えて充填し、計量している状態を示す斜視図である。
【図4】第2掴み替え装置で袋を掴み替え、計量している状態を示す斜視図である。
【図5A】本願発明の実施の形態に係る被包装物充填装置を使用して充填する際のフローチャートの一部を示し、主として重量式制御を示す図である。
【図5B】フローチャートの他の部分を示し、主としてパルス式制御を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下図面を参照して本願発明の一実施の形態に係る被包装物充填装置(以下、「充填装置」という。)について説明する。
【0015】
図1は本願発明の一実施の形態に係る充填装置11を使用した間欠移送式縦型袋詰め包装機(以下「包装機」という。)1を示す模式的斜視図である。符号13は回転テーブルであり、図示しないインデックスユニット及びモータに連結され、モータの回転角に応じて移動と停止を間欠的に繰返すようにインデックスユニットで決められている。従ってモータの回転速度が変化するとその移動速度と停止時間は変わるが、移動、停止のタイミングとモータの回転角度との対応関係に変化は生じない。なお、本実施の形態では袋の移動軌跡は円であるが、これに限定されるものではなく、移動軌跡は直線、長円等に形成されても良い。
【0016】
回転テーブル13には円周方向所定の間隔で、包装袋(以下「袋」という。)Bの上部両側縁部を把持する把持装置すなわち左右のグリッパ15が取付けられている。回転テーブル13の周囲に沿って付されたアラビア数字は回転テーブル13の周囲に沿って設定された各種包装処理を行うためのステーションを示し、ステーションIではコンベア式マガジン2から袋Bが順次グリッパ15に供給され、グリッパ15によって上部両側縁部を把持され、垂直状態に保持される。ステーションIIでは印字機3により袋Bに製造日等が印刷される。ステーションIIIでは吸盤対4を用いて袋Bの袋口を開くようになっている。ステーションIVは被包装物を充填する充填ステーション、ステーションVは袋ごと重量を計量する計量ステーションであり、これらについては後で詳述する。
【0017】
ステーションVIでは不活性ガス源に繋がれたノズル5を袋B内へ挿入し、左右のグリッパ対15を互いに遠ざけて袋口を緊張させ、ノズル5から不活性ガスを袋B内へ噴射して袋B内の空気をガス置換する。ステーションVIIでは一対の熱板6を用いて袋口の第1シールが行われ、ステーションVIIIでは同じく一対の熱板7を用いて袋口の第2シールが行われ、ステーションIXでは一対の冷却板8を用いて袋口を冷却し、被包装物を内包した製品としての袋Bをシュート9へと放出する。ステーションXは予備である。図中符号45 は充填装置11の動作を含め包装機1の動作を制御する制御装置である。
【0018】
図2は充填ステーションIVに設けられたオーガ式充填装置17と第1掴み替え計量装置27とを示す一部を切り欠いて示す斜視図であり、後述するパルス式制御を行っている際の被包装物の充填を行う状態を示している。オーガ式充填装置17としては、背景技術において説明した従来用いられているタイプのものを使用できる。符号19はホッパであり、下側部分は円筒形に形成され、下端に吐出口を備えている。ホッパ19内には図示しないサーボモータにより駆動されるオーガスクリュー21が配置され、回転することによりホッパ19内に貯留された被包装物(図示せず)をその回転した角度に応じた量だけ吐出口から吐出するようになっている。
【0019】
符号27は第1掴み替え計量装置であり、グリッパ15により把持されてこの充填ステーションに移送されてきた袋Bの上側両側縁部を掴むことのできる保持部材としての一対のチャック29と、図示しないスタンドを介して包装機1の機台(図示せず)に立設され、チャック29の基部が連結された計量器31とを備えている。計量器31により、チャック29により保持された袋Bの重量を計量することができる。図2に示されているのは前述の通りパルス式制御を行う場合であり、この場合には第1掴み替え計量装置27は作動せず、袋Bはグリッパ15により把持された状態のままで内部にオーガ式充填装置17により被包装物を充填されることとなる。
【0020】
図3は図2と同じく充填ステーションIVにおけるオーガ式充填装置17と第1掴み替え計量装置27を示しているが、この場合は後述する重量式制御を行っている場合を示しており、袋Bは開いたグリッパ15に代わって閉じたチャック29により保持されており、この状態でオーガ式充填装置17により被包装物の充填が行われ、それと同時に計量器31により袋の計量が行われ、後述するようにその重量が基準重量値に達するとオーガスクリュー21を駆動するサーボモータへ停止信号が送られ、充填が停止される。
【0021】
図4は計量ステーションVに設けられた第2掴み替え計量装置37を示す斜視図である。この第2掴み替え計量装置37の構成は基本的に第1掴み替え計量装置27と同じであり、一対のチャック39と計量器41とからなり、グリッパ15に代わってチャック39により保持された袋Bの重量を計量器41で計量するようになっている。この計量ステーションVでの第2掴み替え計量装置37による袋Bの掴み替えと計量は後述するようにパルス式制御を行っている場合でも重量式制御を行っている場合でも実施され、計量結果に基づいて後述の通り制御方法が変更されるようになっている。
【0022】
次に、この充填装置11による被包装物の充填作業について図5A,5Bに示されたフローチャートに基づき説明するが、その説明の前に以下の説明で使用する用語について説明する。
【0023】
(1)目標充填量とは、袋Bに充填する被包装物の量の目標値であり、例えば1000gとする。
(2)基準パルス数とは、目標充填量を充填するに必要な角度だけサーボモータが回転する間にサーボモータから発せられるパルス数であり、例えば800パルスであるが、この基準パルス数は後述の通り包装機1の運転中に必要に応じて補正される。
(3)実充填量の範囲Aとは充填良否の閾値であり、例えば990g〜1010gとされ、袋Bへ充填された実際の被包装物の重量がこの範囲内にあれば製品として合格、入らなければ不合格とされる。この計量は計量ステーションにおいて第2掴み替え装置37により行われる。
(4)実充填量の範囲Bとは、範囲A内に設定された範囲Aより狭い範囲であり、例えば995g〜1005gとされ、後述するパルス式制御と重量式制御との制御方法を変更或いは選択するための閾値であり、閾値内であればパルス式制御が、閾値外であれば重量式制御が、次に充填ステーションIVへ移送される袋への被包装物の充填操作を制御する方式として選択される。この判別は第2掴み替え計量装置により計量された重量に対して、前述の範囲Aに入っているかどうかの判別に続いて行われる。
(5)実充填量の範囲Cとは、範囲B内に設定された範囲Bより狭い範囲であり、例えば998g〜1002gと設定される。この範囲に実充填量が入っているかどうかの判定は、後述のパルス式制御を行っている場合に、先の範囲Bに入っているかどうかの判定に続いて行われ、その判定結果によって前述の基準パルス数の補正が行われる場合がある。
(6)実パルス数の範囲Dとは、基準パルス数を挟んで設定される範囲であり、例えば798パルス〜802パルスと設定され、これも制御方法の変更或いは選択の閾値の一つである。なお、この範囲Dは基準パルス数の補正に伴って自動的に補正される。
(7)基準重量値とは、サーボモータへの停止信号発信と実際の停止との間の時間的ズレを考慮し、目標充填量からそのズレ時間の間に充填されると見込まれる量(飛び込み量)を差し引いた重量値であり、例えば995gと設定されるが、重量式制御を行っている場合に充填量が範囲A内にはあるが範囲B内に入っていないと判断された場合に補正される。以下、順を追って説明する。
【0024】
包装機1のメインスイッチが入れられると図5AにおいてステップS1(以下では「ステップ」の語を省略する。)で制御がスタートする。運転開始時においては以下に説明する重量式制御が制御装置45により選択される。袋Bが充填ステーションIVに移動して停止するとS2で掴み替え指令が制御装置45から発せられ、第1掴み替え計量装置27が駆動され、チャック29により袋Bを保持するとグリッパ15が開いて袋Bを離す。次いでS3でテーブル駆動停止指令が出される。この指令は、テーブル13を回転させているモータそのものを停止させるものであり、この停止指令により、重量式制御を行う場合には、テーブル13の停止時間はインデックスユニットで決められた停止時間より長くなる。すなわち、通常の停止時間としては後述のパルス式制御を行う場合に充填工程で掴み替えを行わず、グリッパ15で袋を把持した状態のままで充填する際に必要な時間になるようインデックスユニットが選定されている。重量式制御を行う場合には第1掴み替え計量装置27で袋の掴み替えを行うためにそれより長く停止させる必要があり、その為に本実施の形態ではモータを停止するようにしている。勿論、重量式制御を行う場合の停止時間がパルス式制御を行う場合より長くなるようにモータの速度を制御しても良い。
【0025】
S4で充填開始指令が出され、サーボモータが回転を開始してオーガ式充填装置17のオーガスクリュー21を回転させ、ホッパ19内の被包装物を吐出口から吐出し、下の袋B内へ充填する。S5で計量開始指令が出され、計量器31により袋Bの計量がされる。一方S6では、サーボモータが回転を開始してからサーボモータから発せられる実パルス数をカウントする。S7で計量値が基準重量値に達したことが検知されるとS8で充填停止指令が出され、サーボモータが停止される。次いでS9でテーブル駆動再起動指令が出され、モータが回転を再開し、テーブル13はインデックスユニットで決められた停止時間の残りの分だけ停止し続けることとなる。そしてS10でカウントした実パルス数が範囲D内に入っているかどうかが判断される。
【0026】
範囲Dに入っていない場合にはS11で掴み戻し指令が出され、チャック29からグリッパ15へ袋Bの掴み戻しが行われる。次いで袋Bは計量ステーションVへ移動し、停止する。停止するとS12で掴み替え指令が出され、第2掴み替え計量装置のチャック39が袋Bを保持し、グリッパ15は袋Bを離す。次いでS13で計量開始指令が出され、計量装置41により袋Bの重量の計量が行われ、S14で範囲Aに入っているかどうか判断される。入っていないと判断されるとS15で充填量不良袋排出指令が出され、オーガ式充填装置17にトラブルが発生したものと判断してS16で機械停止指令が出され、包装機1は停止する。
【0027】
S14で範囲A内と判断されるとS17へ進み、制御方法維持指令が出され、次いでS18で掴み戻し指令が出され、袋Bは再度グリッパ15により把持され、チャック39は袋Bを離す。そして袋Bは次のステーションVIへ移送される。先の制御方法維持指令により、次に充填ステーションIVへ移送される袋Bに対しては、S2以下の流れに従って被包装物が充填されることとなる。
【0028】
S10で実パルス数が範囲D内に入っていると判断された場合にはS19へ進み、そこで掴み戻し指令が出され、袋Bはグリッパ15により把持され、チャック29は袋Bを離す。次いで袋は計量ステーションVへ移動し、停止する。停止するとS20で掴み替え指令が出され、第2掴み替え計量装置のチャック39が袋Bを保持し、グリッパ15は袋Bを離す。次いでS21で計量開始指令が出され、計量装置41により袋Bの重量の計量が行われ、S22で範囲Aに入っているかどうか判断される。入っていないと判断されるとS23へ進み、そこで充填量不良袋排出指令が出され、S24で機械停止指令が出され、包装機1は停止する。
【0029】
S22で範囲A内と判断されるとS25に進み、さらに計量値が範囲B内に入っているかどうかの判断がなされる。範囲B内に入っていないと判断されるとS26へ進み、そこで制御方法維持指令が出され、次いでS27で基準重量値の補正が行われる。すなわち、前述した飛び込み量の見込量が実際の飛び込み量に比して多すぎるか或いは少なすぎるので、それを補正する。次いでS28で掴み戻し指令が出され、袋Bは再度グリッパ15により把持され、チャック39は袋Bを離す。そして袋Bは次のステーションVIへ移送される。先の制御方法維持指令により、次に充填ステーションIVへ移送される袋Bに対しては、S2以下の流れに従って被包装物が充填されることとなる。以上は、ホッパ19内の被包装物の性状等が安定状態に至っていないので、充填ステーションIVで第1掴み替え装置27を起動し、S7で実際の袋B内の被包装物を計量して基準重量値に達したときに充填を停止し、充填量が製品としての許容範囲である範囲A内に入るようにして所定の充填精度を達成しようとするもので、本明細書及び請求の範囲においてはこれを重量式制御と称することとする。
【0030】
S25で範囲B内に入っていると判断されるとS29へ進み、そこで制御方法変更指令が出される。次いで掴み戻し指令がS30で出され、袋Bは再度グリッパ15により把持され、テーブル13が回転して次のステーションVIへ移送され、停止する。先のS29で出された制御方法変更指令により、制御の流れは図5BのS31以下のステップに従って行われることとなり、次に充填ステーションIVへ移送される袋Bへの充填は上述の重量式制御ではなく、以下に述べるパルス式制御に変更される。
【0031】
S31で充填開始指令が出され、充填ステーションに既に移送されて停止している袋Bへの充填がオーガ式充填装置17により開始される。S32でサーボモータから発せられる実パルス数をカウントし、それをS33で基準パルス数と比較する。そしてカウントされた実パルス数が基準パルス数に達するとS34で充填停止指令が出され、サーボモータが停止する。このように、重量式制御とは異なってこのパルス式制御においては第1掴み替え計量装置27は駆動されず、チャック29による掴み替えは行われない。そして計量器31で実際の充填量を計量してサーボモータを停止するのではなく、サーボモータの発する実パルス数が基準パルス数に達するとサーボモータが停止される。また、第1掴み替え計量装置27のチャック29による掴み替えを行わないので、テーブル13を回転させるモータを一時的に停止することも行わないので、充填ステーションIVでの停止時間が重量式制御を行う場合より短くなり(他のステーションでも同じ)、作業効率が高くなる。そしてテーブル13が所定の停止時間だけ停止後、回転して袋Bを次の計量ステーションVへ移送し、停止する。
【0032】
停止するとS35で掴み替え指令が出され、第2掴み替え計量装置37のチャック39が袋Bを保持し、グリッパ15は袋Bを離す。次いでS36で計量開始指令が出され、計量器41により袋Bの重量の計量が行われ、S37で範囲Aに入っているかどうか判断される。入っていないと判断されるとS38へ進み、そこで充填量不良袋排出指令が出され、S39で機械停止指令が出され、包装機1は停止する。
【0033】
S37で範囲Aに入っていると判断されるとS40へ進み、さらに計量値が範囲B内に入っているかどうかの判断がされる。入っているとS41へ進み、そこで制御方法維持指令が出され、S42へ進む。ここではさらに袋Bの計量値が範囲C内に入っているかどうかが判断され、入っているとS43へ進んでそこで掴み戻し指令が出され、制御の流れはS31へ戻る。次いで袋Bは次のステーションVIへ移送され、停止される。次に充填ステーションIVへ移送される袋には、前述したS31以下の手順に従って充填、計量が行われることとなる。
【0034】
S42で範囲C内に入っていないと判断された場合には、S44においてその範囲外となった充填の連続回数をカウントし、S45でそのカウント数を予め設定された回数M,例えば3と比較し、Mに達しなければS43へ進み、Mに達した場合にはS46に進み、そこで基準パルス数補正指令が出される。計量値が範囲Cより重量が多いほうへ外れている場合には基準パル数を少なくなるように補正し、重量が少ないほうへ外れている場合には多くなるように補正する。そして、S43へ進む。
【0035】
S40で範囲B内に入っていないと判断された場合にはS47へ進み、範囲B外となる連続回数がカウントされ、そのカウント数が予め定められた回数N,例えば3回に達したかどうかがS48で判断され、達しない場合にはS49へ進んで制御方法維持指令が出され、次いでS43へ進む。一方3回に達するとS50へ進み、そこで制御方法変更指令が出される。これは、何らかの原因、例えばホッパ19内へ被包装物が追加され、追加前にホッパ19内に残っていた被包装物と追加された被包装物との見掛け比重、粘性などの性状が異なっている場合に、追加前の被包装物がホッパ19から無くなり、追加後のものが吐出されるようになったときに、それまでの基準パルス数では適量の充填ができなくなったので、再度安定するまで重量式制御に切り替えるのである。次いでS51で掴み戻し指令が出され、袋Bはグリッパ15により把持され、チャック39は袋Bを離す。そして袋Bは次のステーションVIに移送される。次に充填ステーションIVに移送される袋にはS2以降の手順に従って充填が行われる。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
間欠移送縦型袋詰め包装機における被包装物充填装置において、
間欠移動する搬送装置と、
該搬送装置に所定の間隔で設けられた、包装袋を把持する複数の把持装置と、
前記搬送装置の移動軌跡に沿って設定された充填ステーションに設けられ、サーボモータにより駆動されるオーガスクリューを備えたオーガ式充填装置と、
前記充填ステーションに設けられ、前記包装袋を保持可能な第1保持部材と、該第1保持部材が連結され、前記第1保持部材により保持された包装袋の重量を計量する第1計量器とを備えた第1掴み替え計量装置と、
前記充填ステーションの下流側に設定された計量ステーションに設けられ、前記包装袋を保持可能な第2保持部材と、該第2保持部材が連結され、前記第2保持部材により保持された包装袋の重量を計量する第2計量器とを備えた第2掴み替え計量装置と、
制御装置とを備え、
前記制御装置は、次に充填ステーションへ移送される包装袋への充填を制御する方式として、前記第2計量器により計量された計量値が予め定めた第1設定計量値範囲内に入っている場合には、前記第1掴み替え計量装置を停止させ、前記把持装置で包装袋を把持したまま被包装物を充填し、該充填を行っている間に前記サーボモータが発するパルス数をカウントし、該パルス数が基準パルス数に達したときに前記サーボモータへ停止信号を送るパルス式制御を選択し、前記第2計量器により計量された計量値が第1設定計量値範囲内に入っていない場合には、前記搬送装置が間欠停止しているときの停止時間を前記パスル式制御を選択している場合に比して長くし、前記包装袋を前記把持装置から前記第1保持部材へ掴み替えて被包装物を充填し、前記第1計量器で計量し、該第1計量器による計量値が基準重量値に達したときに前記サーボモータへ停止信号を送る重量式制御を選択することを特徴とする、被包装物の充填装置。
【請求項2】
請求項1記載の被包装物充填装置において、前記制御装置が前記パルス式制御を選択している場合に、前記第2計量器での計量値が前記第1設定計量値範囲内に入らない範囲外充填をカウントし、該範囲外充填が所定の回数連続して発生した場合に前記重量式制御を選択することを特徴とする、被包装物の充填装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の被包装物充填装置において、前記制御装置が前記重量式制御を選択している場合に、前記第2計量器による計量値が前記第1設定計量値範囲内に入らない場合、該第2計量器による計量値に基づき前記基準重量値を補正することを特徴とする、被包装物の充填装置。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか1に記載の被包装物充填装置において、前記制御装置が前記第2制御を選択している場合に、前記制御装置はさらに、前記第2計量器による計量値が前記第1設定計量値範囲内に予め設定される第2設定計量値範囲内に入っているかどうかを判定し、入っていない場合に前記第2計量器による計量値に基づいて前記基準パルス数を補正することを特徴とする、被包装物充填装置。
【請求項5】
搬送体に取付けられた把持手段で包装袋を吊下げ状態に把持して間欠移送しながら包装処理を行う間欠移送式縦型袋詰め包装における被包装物充填方法において、
(1)包装袋を充填ステーションに停止させ、
(2)該充填ステーションに停止している間に
前記包装袋を第1の袋保持手段で掴み替え、
サーボモータでオーガ式充填装置を駆動して被包装物を前記包装袋内へ充填し、
前記被包装物を内包した包装袋の重量を計量し、
基準重量に達したときに前記サーボモータへ停止信号を送り、
(3)前記包装袋を計量ステーションへ移送して停止させ、
(4)該計量ステーションに停止している間に
前記被包装物を内包した包装袋を第2の保持手段で掴み替え、
前記被包装物を内包した包装袋を計量し、その計量値が予め定めた範囲内に入っているかどうかを判定し、
(5)前記工程(4)において計量値が前記予め定めた範囲内に入っていないと判定された場合には、次に充填ステーションへ移送される包装袋への充填を前記工程(1)に戻って行うように指示信号を出し、
(6)前記工程(4)において計量値が前記予め定めた範囲内に入っていると判定された場合には、次に充填ステーションへ移送される包装袋への充填方法を変更する指示信号を出し、
(7)前記次の包装袋を充填ステーションに停止させ、
(8)該充填ステーションに停止している間に
サーボモータでオーガ式充填装置を駆動して被包装物を前記把持手段に把持された包装袋内へ充填し、
前記充填をしながら前記サーボモータから発せられる実パルス数をカウントし、
該カウントした実パルス数が基準パルス数に達したときに前記サーボモータへ停止信号を送り、
(9)前記次の包装袋を計量ステーションへ移送して停止させ、
(10)該計量ステーションに停止している間に
前記被充填物を内包した包装袋を計量し、その計量値が前記予め定めた範囲内に入っているかどうかを判定し、
(11)前記工程(10)で計量値が前記予め定めた範囲内に入っていないと判定された場合に、次に充填ステーションへ移送される包装袋への充填を前記工程(1)に戻って行うよう変更する指示信号を出し、
(12)前記工程(10)で計量値が前記予め定めた範囲内に入っていると判定された場合には、次に充填ステーションへ移送される包装袋への充填を前記工程(7)に戻って行うように指示信号を出し、
(13)前記工程(2)での停止時間を前記工程(10)での停止時間より長くする
ことを特徴とする充填方法。





【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【公開番号】特開2011−213405(P2011−213405A)
【公開日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−85029(P2010−85029)
【出願日】平成22年4月1日(2010.4.1)
【出願人】(000222727)東洋自動機株式会社 (91)
【Fターム(参考)】