説明

被着が増強されたセッケンベース液体洗浄配合物

本発明は、セッケンベース液体ボディおよびフェイシャル洗浄組成物に関する。組成物の構成を補助するための高溶媒、低水組成物および不完全中和脂肪酸をすべて修飾有益剤と組み合せて使用すると、各種薬剤の被着増強が達成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被着の増強をもたらすセッケンベースの液体ボディおよびフェイシャル洗浄組成物に関するものである。特に、本発明は(1)コンディショニング剤および/または皮膚外観増強(光学的増強を含む)剤(例えば二酸化チタンなどの光学的増強剤);(2)メイクアップ剤(例えば酸化鉄顔料);および/または(3)抗菌剤(例えば銀、亜鉛、銅粒子またはこれらの混合物)を含む組成物に関する。本発明はさらに、これらの薬剤の被着を増強する方法にも関する。特に、高溶媒/低水組成物を中和が不完全な脂肪酸(組成物を構成するのを共に補助する。)と共に、修飾有益剤(粒子および油)と組み合せて使用すると、薬剤の被着増強は予測し得ない安定な組成物によって達成される。
【背景技術】
【0002】
セッケンが界面活性剤系の50%以上、好ましくは75%以上、さらに好ましくは90%以上を構成する洗い流しクレンザー組成物は、従来の脂肪酸セッケン(C−C24脂肪酸のアルカリ金属塩またはアンモニウム塩)をベースとし、セッケンはこれらの組成物中で使用され得る有益剤油の被着に有益である。セッケンは、多くの消費者に好まれる「キュッと音がするほどきれいな」すすぎ落としも提供する。
【0003】
しかし高レベルの有益剤を含むセッケンベース洗浄剤は、貯蔵中に物理的に不安定であり得る。有益剤は通例、配合物中に分離相(例えば約100ミクロン未満の微粒子のエマルジョンまたは分散物として)として分散され、バルク層よりも(大半の粒子では)高いまたは(皮膚増強油では)低い密度を有し得る。セッケンベースボディウォッシュの高い粘度は通例、バルク中の液体/固体結晶ドメインの懸濁による。この相空間が系を充填して、クリーム状のテクスチャの提供ならびに相分離に対抗した構成を助ける。
【0004】
しかし高温での貯蔵時に、結晶相は溶融して粘度のより低いミセル相を提供することができ、有益剤は上部(大半は油)でクリーム状となるか、または底部(大半は粒子)で沈降する傾向がある。このことは見た目が不快であると共に、製品の性能にも影響を及ぼすことがある(不均一な投与)。本発明は、より高温でのセッケンベースのパーソナル洗浄配合物の物理的安定性を向上させるための、およびコンディショニング剤および/または皮膚外観増強剤の被着を改善するための複数の添加剤の同時存在を要求することによって、安定性の問題を回避する。
【0005】
特に本発明は、10重量%から50重量%の、C12−C18脂肪酸の脂肪酸ブレンドを必要とし、ブレンドの中和度は70%から90%の間である。本発明はさらに、10から40%の規定の共溶媒;18%以下の、好ましくは16%以下の、さらに好ましくは10%以下の水レベル;3から20%の皮膚軟化薬または密封油(例えば極性油または非極性油、例えば鉱油もしくはワセリン);薬剤、例えば上記の皮膚外観増強剤および/または光学的増強剤(例えば雲母、タルクまたは酸化チタン)、メイクアップ剤および/または抗菌剤の包含;を必要とし、ここで極性油もしくは非極性油および/または薬剤は、分散性および安定性を改善するために(例えば疎水性剤、例えば多価セッケンおよび/または他の疎水性剤、例えば疎水性修飾カチオン性もしくは疎水性修飾非イオン性ポリマーを用いた処理によって)修飾される。このような臨界の独自の組合せだけによって、出願人は驚くべきことに、安定である高い被着組成物を達成した。
【0006】
以下の参考文献を記載する:
US 2004/0234565 A1は、皮膚の色を改変するために使用される組成物を開示する。顔料が油相に分散され、この油相が次に合成界面活性剤を含有する水相中に分散されて、カルボン酸ポリマーによって安定化される。
【0007】
US 2004/0223929 A1は、合成界面活性剤を含有する水性クレンジング相中にこれ自体が乳化されている皮膚適合性油に分散された、疎水性修飾干渉(板状)粒子の組合せについて議論している。
【0008】
US 2005/0100570 A1は、水相および分散した油相から成るパーソナルクレンジング配合物を主張する。水相は、アニオン性合成界面活性剤をベースとして、剪断減粘レオロジーを示す。
【0009】
US 2006/0239953 A1は、分散された保湿油相を含有するすすぎ型パーソナルケア組成物について記載する。この相は、高弾性率油構造剤、例えばワセリン、微結晶性ロウ、ポリエチレン、またはポリデセンの同時添加によって構成される。
【0010】
US 2007/0207936 A1は、高レベルの皮膚軟化油を有するロッド様または蠕虫様ミセルをベースとするボディウォッシュが概して、高温での貯蔵に対して不安定であることを認識している。カチオン性グアーガム、トリデセス硫酸ナトリウム、ラウロアンホアセテート、および塩の特定の組合せを用いて界面活性剤系をラメラ層に配合できる場合、安定性を改善することができる。ラメラ相を球晶として分散させておくために配合物を混合しながら、非常に低い剪断率を維持する必要がある。
【0011】
US 6987085 B2は、20から50%の脂肪酸および脂肪酸塩を含み、脂肪酸の10から30%が鎖長C20−C24である皮膚クレンザーについて記載する。議論されている系は、これらの系が鎖長C15以下の酸が豊富である以上に、鎖長C16以上の脂肪酸が豊富である。脂肪酸の中和度は70から90%の範囲に維持され、グリコールまたはグリコールエーテルも5から25%のレベルで存在する。この発明の含水量は20から70%に及ぶことができる。
【0012】
US 2007/0213242 A1は、セッケンベースの発泡クリームの高温貯蔵安定性を改善するための、1%レベルのべへニルアルコールまたはべへン酸オキシエチレン化誘導体について明記している。
【0013】
US 2007/0213243 A1は、6から8%のアルカリ膨潤性架橋アクリル系エマルジョンポリマーの添加によって、セッケンベース液体クレンザーの低い高温貯蔵安定性を解決することを提案している。脂肪酸およびアクリル酸は最初に完全に中和され、次にクエン酸を用いて逆処理されて、pHは貯蔵安定性が達成される7.7から8.7の範囲に低下する。
【0014】
US 2003/0078172 A1は、発泡クリーム−脂肪酸(セッケン)または他の界面活性剤および他の添加剤の混合物で構成される不透明な粘性水性媒体のカテゴリに適合する、皮膚クレンザーを開示する。この発明は、ロウ、例えばカルナウバ(camauba)ロウまたはミツロウ(1から10%にて)および周囲温度が30℃を超えて上昇するときに直接6方晶系または立方晶系のテクスチャを形成する準結晶相を形成する界面活性剤系を組み合せる。準結晶相は、少なくとも45℃まで安定であるため、発泡クリームの貯蔵安定性を改善する。使用した界面活性剤は、水溶性剤および非水溶性剤、例えばラウリン酸およびミリスチン酸のカリウム塩(溶解性)ならびパルミチン酸およびステアリン酸のカリウム塩(不溶性)の混合物である。不溶性塩は、通常の6方晶系相の形成に寄与する。これらの界面活性剤のレベルは、不溶性材料が5から35%および溶解性材料が15から35%で、合計で40−60%となるべきである。溶媒、例えばグリセロールおよび/またはポリエチレングルコールPEG 8は、5から20%で存在することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】米国特許出願公開第2004/0234565号明細書
【特許文献2】米国特許出願公開第2004/0223929号明細書
【特許文献3】米国特許出願公開第2005/0100570号明細書
【特許文献4】米国特許出願公開第2006/0239953号明細書
【特許文献5】米国特許出願公開第2007/0207936号明細書
【特許文献6】米国特許第6987085号明細書
【特許文献7】米国特許出願公開第2007/0213242号明細書
【特許文献8】米国特許出願公開第2007/0213243号明細書
【特許文献9】米国特許出願公開第2003/0078172号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
本発明は、高温貯蔵でも安定であり、被着の増強を提供する、例えば(1)コンディショニング剤および/または外観増強剤;(2)メイクアップ剤、および/または抗菌剤から成る、セッケンベース液体組成物を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0017】
特に、態様において、本発明は:
(1)10から50重量%の、好ましくは25から40重量%の、さらに好ましくは30から40重量%の、C12−C18脂肪酸の脂肪酸ブレンド;
(2)ここで脂肪酸ブレンドの中和度が70%から90%の間であること;
(3)10から40重量%の共溶媒(例えばグリセロール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコールおよびこれらの混合物を含む群より選択される。);
(4)共溶媒対水の比が0.4から10、好ましくは0.8から7、さらに好ましくは1.0から5の範囲に存在するように、約18重量%未満の、好ましくは16重量%未満の、さらに好ましくは約10重量%の水;
(5)3から20重量%の皮膚柔軟剤または密封油(例えば極性油または非極性油、例えば鉱油、ワセリンなど);
(6)(a)0.01から15重量%のコンディショニング剤および/もしくは皮膚外観増強剤および/もしくは光学的増強剤(例えば光学粒子、例えば雲母、タルク、チタニアまたはこれらの混合物);(b)0.1から60重量%のメイクアップ剤(例えば金属酸化物、例えば酸化鉄、銅酸またはこれらの混合物);または(c)0.01から10重量%の抗菌剤(例えば銀粒子、亜鉛粒子、銅粒子またはこれらの混合物)を含み得る薬剤;ならびに
(7)ここで(5)および(6)は、分散性および安定性を改善するために、例えば疎水性剤、例えば多価セッケンおよび/または他の疎水性剤、例えば疎水性修飾カチオン性または疎水性修飾非イオン性ポリマーによる処理によって修飾されること;
を含む。
【0018】
低水高ポリオール環境にて不完全に中和された、高レベルの、より長鎖の脂肪酸を含む脂肪酸の最初の4つの要求事項によって、空間を充填して、配合物を構成する広範囲の液体/固体結晶相が得られる。要求事項(1)から(4)によって、結晶相の反転温度(結晶相から等方相への)が貯蔵時に通常遭遇する温度より上昇する。反転温度の35℃以上への上昇が好ましい。40℃以上への上昇はさらに好ましく、45℃以上への上昇が最も好ましい。
【0019】
第7の要求事項は、有益剤(例えば粒子)または油滴(第5および第6の要求事項)のための、これらの種がボディ/フェイシャルウォッシュベース中で凝集するのを防ぐ安定剤である。分散相の沈降またはクリーム状化速度は、分散粒子サイズの2乗として上昇することが公知である。(「Principles of Colloid and Surface Chemistry」,P.C.Hiemenz and R.Rajagopalan,Marcel Dekker,NY(1997)ISBN 0−8247−9397−8)。それゆえ粒子サイズの成長を防ぐことによって、これらの望ましくないプロセスを無期限に遅延させることができる。安定剤は疎水性剤、例えば多価セッケンおよび/または他の疎水性剤、例えば疎水性修飾カチオン性ポリマー、または疎水性修飾水溶性ポリマーから成り、このすべてが油滴および有益粒子の両方に対して親和性を有する。
【0020】
組成物は、優れた安定性および被着を備えた;またはフェイシャルクレンジングおよび/もしくは保湿を同時送達して、メイクアップをクレンジングする、ボディ/フェイシャルウォッシュ液もしくはフォームであることができる。
【0021】
第2の実施形態において、本発明は、本発明の組成物を使用して各種の記載された薬剤の被着を増強する方法に関する。特に皮膚は、組成物が通例利用される期間(例えば1秒から1時間、さらに通例は5秒から5から10分)にわたって、(例えば入浴、シャワーまたは液体セッケン組成物が通例利用される任意の手段で)洗浄される。
【0022】
これらのおよび他の態様、特色および利点は、以下の詳細な説明および添付請求項を読めば当業者に明らかに成るであろう。疑念を回避するために、本発明の1態様のいずれの特色も本発明のその他の態様で利用され得る。以下の説明に示す例は、本発明を明確にするためのものであり、本発明をこれらの例自体に限定するものではない。実験例以外で、または別途指摘する場合以外は、本明細書で使用する成分の量または反応条件を表すすべての数は、すべての例において「約」という用語によって修飾されるものとする。同様に、すべてのパーセンテージは、別途指摘しない限り、全組成物の重量/重量パーセンテージである。
【0023】
「xからyまで」という形式で表現される数値範囲は、xおよびyを含むものとして理解される。詳細な特色について複数の好ましい範囲が「xからyまで」という形式で記載されているときには、異なる終点を組み合せるすべての範囲も考慮されることが理解される。「含む」という用語が明細書または請求項で使用される場合、特に引用されないいずれの用語、ステップまたは特色を除外しないものとする。すべての温度は、別途規定しない限り、摂氏温度(℃)である。すべての測定値は、別途規定しない限り、SI単位である。関連部分を引用したすべての文書は、参照により本明細書に組み入れられている。
【0024】
本発明はここで、以下の添付図面を参照して、例示のためのみにさらに説明される:
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】粒子(チタニア)懸濁物に対する、疎水性修飾ポリマーの(特にポリ(1−ビニルピロリドン)−グラフト1−ヘキサデセン)のレベルの上昇の効果を示す。特に高レベルによって、(より低い透過率によって示されるように)懸濁/安定性の増強がもたらされる;および
【図2】浮遊試験プロトコルの説明で使用する、20℃におけるメタノール/水混合物の表面張力である。データは「Handbook of Chemistry and Physics,57th Edition」,R.C.West,Editor,CRC Press,1976,page F−44から得ている。
【図3】(皮膚への被着を模倣するために)フィルムに被着した銀粒子のX線マッピングである。図より、以下の実施例34で述べるように、抗菌組成物から銀粒子がかなり効果的に被着していることがわかる。
【発明を実施するための形態】
【0026】
多くのパーソナルケアまたは洗浄組成物はクレンジングプロセスの間に、コンディショニング剤、例えば炭化水素油およびシリコーン油、または皮膚外観増強剤、例えば顔料および粒子の皮膚への十分な被着を提供しない。有益剤の大部分は、このように被着せずにクレンジングプロセスの間にすすぎ流され、従って感知できる利益を提供しない。結果として、パーソナルケア組成物では、知覚できる性能を送達するために非常に高レベルの有益剤が必要であり得る。このことは原材料コストの上昇および泡立ちなどの他の分野での潜在的に有害な性能を意味する。
【0027】
このように不十分な被着の理由の1つは、パーソナルケア組成物で通常使用される洗浄性界面活性剤であり、洗浄性界面活性剤は油、脂、および埃を皮膚から除去するように作用するが、有益剤の被着も抑制して、すでに被着した薬剤も除去する。この問題に対する現在の(部分的な)処置は、内部相が結晶性ロウおよび油によって構成されている乳化油相と組合された合成アニオン性界面活性剤(洗剤)からほぼ成る、特定の界面活性剤系を使用することである。この手法は、幾つかの最近の米国特許公報、例えばUS 2006/0239953 A1、US 2005/0100570 A1、およびUS 2007/0207936 A1に記載されている。
【0028】
本発明は合成界面活性剤(洗剤)をほとんど含まない界面活性剤系を使用し、このことは合成界面活性剤が配合物の界面活性剤総含有量の25%未満、好ましくは10%未満を構成することを意味する。言い換えれば、脂肪酸セッケンは存在する界面活性剤全体の75重量%以上を構成する。さらに好ましくは、セッケンは配合物中の界面活性剤全体の90%以上を構成し得る。代表的なボディ/フェイシャルウォッシュの界面活性剤の総レベル(セッケンおよび他の界面活性剤)は通常、15から40%の範囲である。脂肪酸セッケンの鎖長は通例、C12−C18の範囲に含まれ、ボディウォッシュ配合物はこの範囲内のより短い鎖長がより豊富であり、フェイシャルウォッシュ配合物はより長い鎖がより豊富である。
【0029】
しかしセッケンが豊富なパーソナル洗浄製品は概して、高温での貯蔵時に物理的な不安定性を示し、それゆえ気候の温暖な市場での販売に不適切であり得る。この欠点は最近の米国特許公報で議論されており、1つの手法は長鎖脂肪酸セッケンまたは脂肪酸誘導体を1から30%のレベルで含めることである。主張されている詳細な添加剤は、C20−C24脂肪酸(US 6,987,085 B2)およびべへニル(C22)アルコールのオキシエチレン化誘導体(US 2007/0213242 A1)である。本発明は、複数の添加剤が同時に存在すること、および(複数の)有益剤が疎水性剤、例えば多価セッケンおよび/または他の疎水性剤によって処理されることを必要とする。これらは、セッケンベースパーソナルウォッシング配合物の高温における物理的安定性および/または分散性を向上させるために、ならびにコンディショニング剤または皮膚外観増強剤の被着を改善するために疎水性修飾され得る。
【0030】
さらに詳細には、本発明は:
(1)10から50重量%の、C12−C18脂肪酸の脂肪酸ブレンド;好ましく、脂肪酸ブレンドのレベルは20%から40%、さらに好ましくは30%から40%であろうこと;
(2)ここで脂肪酸ブレンドの中和度は70%から90%の間;好ましくは75%から85%の間、最も好ましくは77%から81%の間であること;
(3)10から40重量%の共溶媒(例えばグリセロール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコールおよびこれらの混合物を含む群より選択される。);
(4)共溶媒対水の比が0.4から10、好ましくは0.8から7、さらに好ましくは1.0から5の範囲に存在するように、約18重量%未満の、好ましくは16重量%未満の、さらに好ましくは約10重量%の水;
(5)3から20重量%の油または皮膚柔軟剤(例えば極性油または非極性油、例えば鉱油またはワセリン);
(6)(a)0.01から15重量%のコンディショニング剤もしくは/または皮膚外観増強剤および/もしくは光学的増強剤(例えば光学粒子、例えば雲母、タルク、チタニアまたはこれらの混合物);(b)0.1から60重量%のメイクアップ剤(例えば金属酸化物、例えば酸化鉄、銅酸またはこれらの混合物);または(c)0.01から10重量%の抗菌剤(例えば銀粒子、亜鉛粒子、銅粒子またはこれらの混合物)を含み得る薬剤;ならびに
(7)ここで(5)および(6)は、分散性および安定性を改善するために、例えば疎水性剤、例えば多価セッケンおよび/または他の疎水性剤、例えば疎水性修飾カチオン性または疎水性修飾非イオン性ポリマーによる処理によって修飾されること;
を含む。
【0031】
以下の実施例32で説明するように、本発明の疎水性修飾粒子は、40ミリニュートン/メートル(mN/m)以下の、好ましくは30mN/m以下の臨界表面張力(説明した浮遊試験プロトコルによって測定)を示す疎水性修飾粒子である。本発明の粒子はすべてこの基準を満たす。
【0032】
疎水性修飾剤に関する限りは、通例、セッケンおよび他の非ポリマー剤は、1から5の親水性−親油性バランス(HLB)値を有する。通例、このような薬剤は、水に完全分散性であるかまたは分散が不十分であるかのどちらかである。このことは、本主題出願に参照によりここに組み入れられている、例えば「Nonionic Surfactants」by Paul Becher,edited by M.J.Schick,Marcel Dekker,Inc.,NY(1966)に記載されている。疎水性修飾カチオン性または非イオン性ポリマーは、疎水性コモノマーを含有するポリマーである。疎水性は相対的特性(US 2006/0266488 A1を参照)であるが、好ましくは少なくとも6個以上の炭素、好ましくは8個以上の炭素を有するコモノマーによって具体化される。
【0033】
本発明は、10から50重量%の、好ましくは20から40重量%の、さらに好ましくは30から40重量%のC12−C18脂肪酸のブレンドを含む。代表的なブレンドは、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸およびステアリン酸の混合物を含み得る。
組成物は少量の合成アニオン性(例えばタウレート、サルフェート)および/または非イオン性界面活性剤を含み得るが、必要な場合には、これらは通例、組成物の5%以下、好ましくは0.5から4%を構成することとなる。
【0034】
上記の脂肪酸(脂肪酸ブレンド)の中和度は、70から90%の間、好ましくは75から85%の間、さらに好ましくは77から81%の間である。低水、高共溶媒系中での中和が不十分な脂肪酸の組合せは、空間充填および構成するために必要な液体/固体結晶相を生成するのに役立つと考えられる。
【0035】
指摘されるように、10から40%の共溶媒が使用される。(適切な環境を生成するために)好ましい共溶媒は、グリセロール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコールおよびこれらの混合物を含む。
【0036】
特に好ましい共溶媒はプロピレンおよびジプロピレングリコールならびにジエチレングリコールである。ジプロピレングリコール、プロピレングリコールまたはジエチレングリコールが使用される場合、これらは特に予測できない改善を提供するため、これらは単独でまたは組み合せて、共溶媒系の>30%、好ましくは>40%、さらに好ましくは>50%を構成することが好ましい。
【0037】
また指摘されるように、適切な液体/結晶相を得るのを補助するために、低水環境(18重量%以下、好ましくは16重量%以下、さらに好ましくは10重量%以下)も必要である。
【0038】
この点で本発明の別の予想できない態様は、共溶媒の水に対する比である。この比は大きくなるため(より高い共溶媒、より低い水)、被着は特に増強される。0.4から10の比、好ましくは0.8から7の比、さらに好ましくは1から5の比である。
【0039】
配合物には3から20%の油および/または皮膚軟化剤(例えば鉱油、ワセリン)も必要とする。油は密封油のクラスに属すことができ、密封油は、貯蔵および/または利用温度において液体または半固体である油として定義され、化粧品で使用するのに安全であり、皮膚に対して有益であるか、または不活性であるかのどちらかである。本発明に適合する油の例は、極性油および非極性油、例えば炭化水素油、シリコーン油またはこれらの混合物を含む。油の幾つかは、密封油および製品のレオロジー特性を増強するために濃密化される。2つの好ましい油は、鉱油およびワセリンを含む。概して、油は安定剤、即ち油滴および有益剤に対する親和性を備えた疎水性修飾水溶性ポリマーの添加によって修飾することができる。1つの好ましいポリマーは、ポリ(1−ビニルピロリドン)−グラフト1−ヘキサデセン(例えばSigma Aldrich Inc.より)である。
【0040】
一実施形態において、配合物には0.01から15重量%、好ましくは0.2から10重量%の皮膚外観増強剤および/または光学的増強剤も必要である。薬剤は好ましくは光学粒子、例えば雲母、タルクまたはチタニア(TiO)である。このような実施形態で使用される粒子または顔料の表面特性は、以下で述べる他の実施形態で使用される薬剤と同様に、天然疎水性であり得るか、または疎水性修飾され得る。表面修飾は、物理的特性を改変するために行われ、無水系における顔料の分散を簡単にするためのアミノシリコーンによる親油性処理、撥水性を最大限にするためのシランおよびメチコンによる疎水性処理、処理済み顔料を親油性であり親水性でもあるようにペルフルオロアルキルサルフェート処理ならびに多価セッケンまたはポリマー/コポリマーを用いた処理による疎水性修飾、例えばミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸などのアルミニウムセッケンを用いたまたはメチコン、シリカ、アクリレート、ケイ素コポリマー、カルナウバロウ、ポリエチレンなどを用いた修飾を含むことができる。
【0041】
要するに、これらの実施形態における薬剤は、Kobo products、US cosmetics、Roana EMD、Cardreなどによるものを含む、表面処理企業によって表面処理されたすべての疎水性修飾粒子を含むものである。疎水性は、本発明に記載するように試験することができる。
【0042】
指摘されるように、第2の実施形態において、組成物はメイクアップ剤(例えば金属酸化物顔料)の被着に使用することができる。
【0043】
記載されるように、コンディショニング剤および/または皮膚増強剤および/または光学的増強剤の範囲は、組成物の0.01から15重量%、好ましくは1から10重量%であり得る。メイクアップ剤の範囲は組成物の0.1から60重量%であり得る。第3の実施形態において、配合物には0.01から10重量%の抗菌剤が必要である。これらは0.01から10重量%の、好ましくは0.1から7重量%の範囲で使用され得る。
【0044】
この第3の実施形態において使用できる粒子は銀粒子を含む。他の粒子は亜鉛粒子、銅粒子および鉄粒子ならびにこれらの混合物を含む。さらに有機および他の無機抗菌粒子ならびに/または顔料を使用できる。粒子の表面は記載されるように修飾され得る。指摘されるように、これらは0.01から10重量%の、好ましくは0.1から7重量%の、さらに好ましくは0.5から5重量%のレベルで使用することができる。
【0045】
銀は抗菌作用が得られる方法の例として使用することができる。銀は例えば、10億分の5(ppb)の程度まで水中に溶解して、水をE.コリ(E.Coli)およびチフス菌(B−typhosus)などの生物を死滅させるのに十分な毒性にする。銀は、例えば表面結合および細胞内摂取の両方の結果として、E.コリ(E.Coli)の増殖を妨害する。銀は、細菌の表面で、および魚のえらにおいて、呼気に達する送酸を妨害する。銀は哺乳動物細胞とは反応しない。銀の被着は例えば実施例34および図3に記載されている。
【0046】
組成物は高温においてより安定であるため、要求事項(1)から(4)は、結晶相が等方に反転する温度を上昇させるのを助ける(結晶は等方よりも安定である。)。35℃以上の、好ましくは40℃以上の、さらに好ましくは45℃以上の温度での反転が好ましい。
【0047】
以下の実施例は、本発明をさらに例証するものであり、本発明を決して限定するものではない。
【0048】
プロトコル
被着試験プロトコル−以下の試験は、制御条件下での顔料被着で再現性のある結果を与えることが見出された。
【0049】
28.4g(1オンス)カップ内で未処理の配合物0.2gを高温の(50℃)水道水3mLで希釈して、出力20ワットにて超音波処理装置(Sonics Vibra Cell)を用いて20秒間処理することによって十分に分散させた。3×6cmのパラフィルム片を、平滑面を上にして平らな実験台の上に置き、表面の半分を粘着テープで覆って、3×3cm表面を露出させたままにした。得られた洗浄液0.3gをピペットによってパラフィルムの中心に運び、手袋をはめた人差し指を使用して液体を30秒間にわたって軽く塗った(0.2lb/in)。処置区域はテープを貼った領域の縁の中心に配置されたい。パラフィルムは温水の定常流(40℃、流速100cc/秒)で10秒間すすいで、たたいて水気を取った。粘着テープを慎重に除去したときに、処置済みパラフィルムと未処置のパラフィルムとの間に鋭利な界面が生成された。洗浄液を形成するために使用した熱水の量は、広範囲にわたって(例えば1から10mL)変化させることができるが、試験した配合物の識別を最大限にするために3mLを選択した。
【0050】
パラフィルムシートを次にNikon Eclipse E600光学顕微鏡に搭載して、処置区域の明視野像はNikonデジタルカメラDXM1200を使用して100×の倍率で取り込んだ。撮像区域は、処置済みパラフィルム表面と対照パラフィルム表面との間の界面を含むべきである。オープンソース画像解析ソフトウェアパッケージ(Image J)を使用して、顕微鏡写真をグレースケールに変換して、被着粒子を識別するために閾値化を行った。Image Jは、ウェブサイト:rsb.info.nih.gov/ijから自由に入手できる。画像の未処置の半分で平均画素グレースケールを決定して、これを使用して処置済みの半分の平均画素グレースケールを補正した。処置済みの各パラフィルム片の異なる部分から複数の画像を得て、各配合物について複数の処置片を作製した。各配合物の画素平均および誤差棒を平均8から10枚の画像から得た。次に画素平均を255(完全被覆に等しい。)で割って、次に100を掛けることによって、表面被覆のパーセンテージを計算した。
【0051】
浮遊試験プロトコル−増強粒子の疎水性修飾度を測定するために、M.C.Williams and D.W.Fuerstenau(「A simple flotation method for rapidly assessing the hydrophobicity of coal particles」,International Journal of Mineral Processing,volume 20,pages 153−157(1987))に記載されているように、浮遊のための臨界表面張力を測定することによって、単離粒子の表面エネルギーを推定した。この測定では、綿密に分級した粒子の単層をメタノール/水混合物の表面に慎重に被着させる。粒子は概して、表面に浮遊するか、またはただちに液体に吸収されて沈降するかのどちらかである。メタノールの水に対する比は様々であり、結果として、溶液の表面張力は図2に示すように変化する(「Handbook of Chemistry and Physics,57th Edition」,R.C.Weast,Editor,CRC Press,1976,page F−44によるデータ)。
【0052】
浮遊する粒子のおおよその割合(目視的に決定)を適切なメタノール/水混合物に対応する表面張力に対してプロットすることができる。所与の表面張力で浮遊する粒子は疎水性であるが、沈降する粒子は親水性である。粒子の50%が沈降/浮遊する表面張力を浮遊の臨界表面張力と見なした。
【0053】
よく知られた濡れの臨界表面張力(A.W.Adamson,「Physical Chemistry of Surfaces,3rd Edition」,Wiley,1976)から類推して、この浮遊の臨界表面張力を粒子表面エネルギーの推定値と見なした。推論は、液体の表面張力が粒子の表面エネルギーより小さくない限り、液体が粒子を濡らさない(沈降させない)ということである。それゆえ濡れの臨界表面張力が低ければ低いほど、粒子はより疎水性である。実際に、疎水性修飾粒子は40mN/m以下の、さらに好ましくは30mN/m以下の臨界表面張力を有することが見出された。本試験を使用して、本発明の処理粒子が疎水性修飾されないことを示した。
【実施例】
【0054】
(実施例1)
本実施例は、疎水性修飾水溶性ポリマーを使用して鉱油中でのTiOの安定化を証明する。ポリマーは、Sigma−Aldrich Inc.から購入したポリ(1−ビニルピロリドン)−グラフト1−ヘキサデセンの試料である。このポリマーは、鉱油(白灯油、180から190セイボルト粘度)に10%を超えるレベルで溶解性である。鉱油による1%ポリマー溶液を調製して、さらに鉱油中0.5%、0.2%、0.1%、0.05%、0.02%、および0.01%の希釈溶液を作製するために使用する。鉱油によるアルミニウムミリステートでコーティングしたTiOの2%分散物を、超音波プローブを使用して(Sonics Vibra−Cell製の超音波プロセッサ)同時に調製した。次にこの分散物0.2gを一方のポリマー含有鉱油溶液5gで希釈し、出力設定80%にて10秒間のパルスを3回使用して、完全に超音波処理を行った。各試料の3mL分量を円筒状キュベットに移し、Cary 330 Bio/UV分光光度計を使用して、450nmにて試料の初期透過率を測定した。この測定に続いて、各キュベットをEppendorf 5804遠心分離機で1000rpm(180rcf)にて30分間遠心分離した。次にキュベットの透過率を再測定して、試料に遠心分離機での2回目の30分間の処理を受けさせた。この連続プロセスは反復され、測定した透過率の傾向を遠心分離サイクルと共に図1に示す。
【0055】
図示したように、ポリマーが0.10%の低いレベルでは、遠心分離サイクル数が増加した後でも、透過率値は低いままであった。このことはTiOが懸濁したままであることを示す。別の実験は、このポリマーがこのような条件下で0.01%もの低いポリマーレベルまで多少の利点をもたらすことを示している。
【0056】
(配合物の実施例2から4)
ジプロピレングリコール(DPG)の水に対する比の、被着に対する効果、比較実施例AおよびB。
【0057】
以下の実施例では、フェイシャルフォーム配合物の共溶媒レベルが連続的に上昇して、水レベルは比例して低下する。
【0058】
【表1】

上の実施例は、粒子、例えばTiOの被着の改善における、高レベルの共溶媒および同時の水の低いレベルの有用性を証明する。実施例は、ジプロピレングリコール(DPG)が共溶媒系中の溶媒の1つであるとき、被着がさらに良好であることを示している。実際に、DPG/水の比が大きくなればなるほど、被着はより良好である。このことは以下の被着結果からわかる:
【0059】
【表2】

上の実施例は、チタニア粒子の被着の改善における、高レベルの共溶媒および同時の水の低いレベルの有用性を証明する。
【0060】
(配合物の実施例5から9)
セッケンの中和度
中和度75.0% 77.5% 80.0% 82.5% 85.0%
【0061】
【表3】

上の実施例は、配合物の物理的安定性および最適な被着の維持における、脂肪酸の中和度が70%から90%の間に、特に77から81%の間に存在するように制御することの有用性を証明している。
【0062】
さらに詳細には以下の表に見られるように、77から81%の間の範囲の最適な中和では、表面被覆パーセントの結果からわかる通り、最大の被着が達成される。
【0063】
【表4】

【0064】
(実施例10から14)
【0065】
【表5】

上の実施例は、実施例5から9に似ているが、DPGを13.8%の代わりに20%使用する。再度、上の実施例は、脂肪酸の中和度を70%から90%の間に制御することの有用性を証明している。
【0066】
特に以下の表に見られるように、77から81%の間の範囲の最適な中和では、表面被覆パーセントによって再度わかるように、最大の被着が達成される。
【0067】
【表6】

【0068】
(配合物の実施例15から27)
最良の共溶媒
共溶媒の種類を変化させて、グリセリンの11.8%のベースラインレベルに加えた、20%固定の共溶媒レベル、および77.5%のセッケン中和度を維持することによって、一般の配合物に以下の表に示す変更を行う。
【0069】
【表7】

【0070】
各配合物を用いて行った被着試験の結果は、以下の通りである:
【0071】
【表8】

「Polymer Handbook」,Eds.Brandrup,J.;Immergut,E.H.;Grulke,E.A.,4th Edition,John Wiley,New York,1999、およびRichardson,J.C;Dettmar,P.W.;Hampson,F.C;Melia,C.D.European J.Pharmaceutical Sci.23,49−56(2004)からの値。
【0072】
ボディ/フェイシャルウォッシュの最も好ましい共溶媒は、多価アルコール(US 2007/0293411A1、US 2008/0008672 A1を参照)、例えばグリセロール、ポリエチレングリコール(PEG)、プロピレングリコール、ポリプロピレングリコール(PPG)、ブチレングリコール、およびソルビトールである。これらの共溶媒は上でジプロピレングリコールと比較され、結果は他の代表的なグリコールおよびグリコールエーテルよりもジプロピレングリコールが、セッケンが豊富な配合物からの被着の改善に優れていることを証明している。
【0073】
調査した幾つかの共溶媒の化学構造を示す:
エチレングリコール:HOCHCHOH
ジエチレングリコール:HOCHCH−O−CHCHOH
PEG 200(3):H(OCHCHOH
PEG 400(8):H(OCHCHOH
プロピレングリコール:HOCH(CH)−CHOH
ジプロピレングリコール:HOCH(CH)−CH−O−CH−(CH)CHOH
PPG 9:H(OCH(CH)−CHOH
ブチレングリコール:HOCH(CH)CHCHOH
【0074】
類似した一連のエチレン、プロピレン、およびブチレンの中で、プロピレンで最大の被着が示されるという傾向が観察できる。さらに重合度の関数として、最大値は2つの反復単位にて見出される。ジプロピレングリコールは、これらの傾向の両方の最適条件に相当する。上の表において、被着とヒルデブランド溶解度パラメータには単純な相関がないことも観察できる。
【0075】
(比較実施例CからF)
他の対照
これらの実施例において、我々は、本発明のある態様が主張された機能にとって不可欠であることを証明する。77.5%のセッケン中和および20%のプロピレングリコールで同じ配合物を調製するが、1つ以上の不可欠な成分を使用しない。
【0076】
【表9】

【0077】
各配合物を用いて行った被着試験の結果は、以下の通りである:
【0078】
【表10】

【0079】
これらの結果は、有効レベルの被着を達成する際には、油成分および顔料の疎水性修飾が不可欠であることを明確に証明している。カチオン性ポリマーが存在しないことだけが本発明と異なる実施例(D)は、良好な被着を示したが、45℃で1週間貯蔵した後に、不十分な物理的貯蔵安定性、相分離を有した。実施例Fは油、カチオン性および粒子を有したが、粒子がコーティングされなかったため、被着は非常に低かった。
【0080】
(配合物の実施例28から31)
他の疎水性コーティング顔料
これらの実施例では、我々は、チタン以外の疎水性修飾顔料が本発明に含まれ得て、洗浄シミュレーション中の被着に示せることを証明する。これらの発見は、メイククレンジングの本発明を裏付ける。セッケンの中和度は77.5%に維持され、すべての配合物は20%ジプロピレングリコールを含有する。
【0081】
【表11】

【0082】
【表12】

【0083】
これらの配合物を使用して洗浄液を作製し、次にこの洗浄液を使用してパラフィルム基材のシートを被着試験プロトコルと同様に処理した。次にHunterLab LabScan XE装置を使用して、シートにL測定を行った。L色空間は、輝度の次元Lおよび補色次元のaならびにbを有する。この文脈では、L成分はヒトの明度知覚に厳密に一致して、L=0は黒に、L=100は白に相当する。次元aは緑色と赤色の間の色の位置を示し、負のa*は緑色を示し、正の値は赤色を示す。同様に次元bは、青色(bの負の値)と黄色(正の値)の間の位置を示す。
【0084】
基礎となるL値を確立するために、パラフィルム基材片を任意の処理前に測定した。上の実施例の配合物の1つから得た洗浄液を用いた洗浄シミュレーションの後、測定を反復して、各色空間次元ΔL、Δa、およびΔbの差を上に示すように決定した。表示したデータは、少なくとも6個の測定値の平均である。チタニア顔料に対する赤色酸化鉄の添加によって、赤色成分(Δa)および黄色成分(Δb)の明確な増加が得られる。黄色酸化鉄の添加によって黄色成分の著しい増加(Δb)が得られ、両方の酸化鉄の添加によって赤色および黄色成分の両方が強力に増加する。これらの結果は、酸化鉄顔料が基材に被着されて、この特徴的な色を呈することを示す。さらに他の種類の粒子、特に、香料、抗菌活性成分、サンスクリーン活性成分、または顔料を装入できる高空隙率および多孔質粒子を本発明に含めることができる。唯一の要求事項は、これらの粒子が疎水性修飾されていることである。
【0085】
(実施例32)
粒子の分散性および安定性を改善するための粒子を増強する疎水性修飾
浮遊試験を使用して、分子を増強する疎水性修飾の程度を測定する。浮遊の臨界表面張力はプロトコルに記載したように測定され、表面張力が40または30mN/mのメタノール/水混合物中に浮遊する所与の種類の粒子の割合が示される。40mM/m以下の表面張力でなお浮遊する粒子は疎水性と見なされ、30mN/m以下の表面張力で浮遊する粒子は非常に疎水性であると見なされる。
【0086】
【表13】

【0087】
本試験の結果は、検討中の処理済み粒子は非常に疎水性であることを証明している。
【0088】
(実施例33)
貯蔵安定性に対するセッケンレベルの効果
一連の配合物を、脂肪酸中和度を77.5%に固定して、しかし総セッケンレベルを:33、30、27.5、25、22.5、20、17.5、および15%と低下させて調製した。系をサーモスタットで45℃に調温した貯蔵室で12週間動かさずに放置した。総セッケンレベルが30%未満の試料はすべて、貯蔵中に水が豊富な相とセッケンが豊富な相に分かれ、実現可能な製品には最低限のセッケンレベルが必要な要求事項であることが示されている。
【0089】
(実施例34)
銀を含む抗菌配合物
抗菌配合物の例を以下に示す:
【0090】
【表14】

【0091】
本発明の組成物が抗菌剤の被着増強を示すことを明らかにために、出願人は上の配合物を使用して、プロトコルに記載したパラフィルムに対する銀被着の洗浄およびすすぎプロトコルに従って銀被着を測定した。
【0092】
図3に示すように、銀被着(抗菌活性と相関する。)が明らかに示されている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体セッケン組成物であって、
(a)10から50重量%のC12−C18脂肪酸の脂肪酸ブレンド;
(b)ここで脂肪酸ブレンドの中和度は70%から90%の間であること;
(c)10から40重量%の共溶媒;
(d)約18重量%未満の水;
(e)3から20重量%の皮膚軟化剤または密封油;
(f)(i)0.01から15重量%の皮膚外観増強剤および/または光学的増強剤;(ii)0.1から60重量%のメイクアップ剤;(iii)0.01から10重量%の抗菌剤、および(iv)これらの混合物から成る群より選択される薬剤;ならびに
(g)ここで(e)および(f)は、多価セッケンおよび/または疎水性修飾カチオン性、疎水性非イオン性ポリマーならびにこれらの混合物から選択される疎水性剤による処理によって修飾されることを含み、
ここで共溶媒(c)の水(d)に対する比が0.4から10である、
組成物。
【請求項2】
共溶媒がグリセロール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコールおよびこれらの混合物から選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
油が炭化水素油、シリカ油、エステル油およびこれらの混合物から選択される極性油または非極性油である、請求項1または請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
油が鉱油またはワセリンである、請求項1から3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
皮膚外観増強剤が光学的増強粒子である、請求項1から4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
粒子が雲母、タルク、チタニアおよびこれらの混合物から選択される、請求項5に記載の組成物。
【請求項7】
メイクアップ剤が酸化鉄顔料、酸化銅顔料およびこれらの混合物から選択される、請求項1から6のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
抗菌剤が無有機および有機抗菌粒子から選択される、請求項1から7のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項9】
粒子が銀、亜鉛、銅、鉄およびこれらの混合物から選択される金属粒子である、請求項8に記載の組成物。
【請求項10】
20から40重量%の脂肪酸を含む、請求項1から9のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項11】
中和度が75%から85%の間である、請求項1から10のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項12】
皮膚外観増強剤、メイクアップ剤または抗菌剤の被着を増強し、皮膚を液体セッケン組成物で洗浄する方法であって、該液体セッケン組成物が:
(a)10から50重量%のC12−C18脂肪酸の脂肪酸ブレンド;
(b)ここで脂肪酸ブレンドの中和度は70%から90%であること;
(c)10から40重量%の共溶媒;
(d)約18重量%未満の水;
(e)3から20重量%の非皮膚軟化剤または密封油;
(f)0.01から15重量%の(i)皮膚外観増強剤および/もしくは光学的増強剤;(ii)0.1から60重量%のメイクアップ剤;または(iii)0.1から10重量%の抗菌剤;ならびに
(g)ここで(e)および(f)は、多価セッケンおよび/または疎水性修飾カチオン性、疎水性非イオン性ポリマーならびにこれらの混合物から選択される疎水性剤による処理によって修飾されること;
ここで共溶媒(c)の水(d)に対する比は0.4から10であること
を含む方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2012−506401(P2012−506401A)
【公表日】平成24年3月15日(2012.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−532607(P2011−532607)
【出願日】平成21年10月20日(2009.10.20)
【国際出願番号】PCT/EP2009/063713
【国際公開番号】WO2010/046354
【国際公開日】平成22年4月29日(2010.4.29)
【出願人】(590003065)ユニリーバー・ナームローゼ・ベンノートシヤープ (494)
【Fターム(参考)】