説明

装置監視ネットワークシステム及びSNMPのトラップ管理方法

【課題】装置監視ネットワークシステム及びSNMPのトラップ管理方法に関し、大量に発生するTRAPに対して、TRAPの抜け落ちチェック及びTRAP再送処理を効率よく行い、処理負荷の軽減及びネットワークトラフィックの削減を図る。
【解決手段】 NE(監視対象装置)のTRAP生成部(A)でトラップ数を単位時間毎にカウントし、該トラップ数が該閾値を越えた場合に、トラップを監視機能項目別に振り分けてトラップ群とし、該トラップ群に付与したトラップ群番号をトラップシーケンス番号と共に付与してトラップをTRAP送信部(C)からNMS(ネットワーク管理装置)へ送信し、NMSでは、受信をトラップ群毎に連続性のチェックを行い、トラップの抜け落ちチェック及び再送要求をトラップ群単位で行う。また、NEでは再送要求のあったTRAPをトラップ群毎に再編集して1つのトラップとしてNMSへ送信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、SNMP(Simple Network Management Protocol)を用いた装置監視ネットワークシステム及びSNMPのトラップ管理方法に関し、特に、監視対象装置の状態変化が頻発した場合に発生する大量のトラップのコマンドを効率良く処理し、また、ネットワーク障害等で喪失したトラップの再送処理を、ネットワークに負担を懸けることなく、確実かつ容易に行うことを可能にした装置監視ネットワークシステム及びSNMPのトラップ管理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
SNMPネットワークを用いた装置監視ネットワークシステムは、SNMPマネージャ機能を有するネットワーク管理装置(Network Management System:以下NMSと記す)とSNMPエージェント機能を有する監視対象装置(Network Element:以下NEと記す)とから構成され、NEにて検出された障害発生やその復旧等の状態変化やイベント発生の情報を、NEはSNMPのトラップのコマンド(非同期の割込み通知:以下TRAPと記す)を用いてNMSへ通知する。
【0003】
しかし、TRAP等のSNMPコマンドは、負荷の軽いコネクションレス型のプロトコルであるUDP(User Datagram Protocol)を使って送受され、UDPは信頼性の保証が無い。そこで、TRAP送信の信頼性を確保するために、NEから発出されたTRAPに連続的なシーケンス番号を付与してNMSに送信し、NMSではそのTRAPシーケンス番号を基に、受信TRAPの抜け落ちを検出し、該TRAPの再送を指示する技術が、下記の特許文献1(「IPネットワークにおけるトラップ抜け検出方式及び検出方法」)等により提案されている。
【0004】
また、NEにおいて、NMSへ送信したTRAPを一旦ロギングしておき、NMSからの再送要求時に、該ロギングした領域より当該TRAPデータを取り出し、NMSへ再送信する技術について、下記の特許文献2(「損失トラップの検出及び補填を行うネットワーク管理システム」)により提案されている。
【特許文献1】特開2003−244142号公報
【特許文献2】特開2004−221849号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
SNMPを用いたネットワーク管理システムでは、NEにて状態変化が発生した場合、NMSへ1つの状態変化につき1つのTRAPを送信し、NMSは該TRAPを受信した場合、該TRAPを送信したNEへ、ゲットリクエストのコマンド(以下、Getリクエストと記す)により情報送信要求を発行し、該Getリクエストに対する当該NEからのゲットレスポンスのコマンド(以下、Getレスポンスと記す)の受信により、当該状態変化についての詳細情報を認識する。
【0006】
また、NEで状態変化が多発し、NEから大量のTRAPがNMSへ送信された場合、ネットワークの状況にもよるが、複数の不連続なTRAPの送達漏れが発生することがあり、TRAP抜け落ちのチェック処理の負担が増大し、かつ、検出された抜け落ちTRAPに対する一連の再送処理のために、NEとNMSとの間で多数のコマンドのやり取りを行わなければならず、そのためNMSに多くの負荷が懸かり、TRAPの消失やネットワークトラフィック増大などをもたらす要因となっていた。
【0007】
また、NEから状態変化通知のTRAPパケットが大量に発せられる場合、同一機能群又は同一ユニット等から発せられる特定の監視項目のTRAPパケットが大半を占め、時折発生する他の監視項目の状態変化についてのNMSでの検出が、上記大量のパケット送出による処理タイムラグにより、遅延が生じ、パケット破棄などにより該状態変化に対して適正な処理がなされず、最悪の場合、監視対象装置をリセットしなければならなくなってしまうこともあった。
【0008】
本発明は、上記問題を解決し、NEにて状態変化やイベント通知のTRAPが大量に発生した場合、NEから発出される大量のTRAPをNMSで効率よく処理し、かつ、TRAPの抜け落ちが複数かつ不連続的に発生しても、少ないパケットの遣り取りでTRAPの再送処理を完結し、それにより、NMSにおいてTRAPの処理負荷を軽減することができ、かつネットワークトラフィックを削減することができる装置監視ネットワークシステム及びSNMPのトラップ管理方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本願発明は、監視対象装置にて生成するトラップ数を単位時間毎にカウントし、該単位時間毎のトラップ数を予め設定された閾値と比較し、該トラップ数が該閾値を越えた場合に、生成されたトラップを監視機能項目別に振り分け、監視機能項目毎に纏めたトラップ群とし、該トラップ群に付与したトラップ群番号を、前記トラップシーケンス番号に加えて付与し、前記ネットワーク管理装置へ送信するとともに、送信したトラップ群を監視対象装置内部で保持する第一の構成と、ネットワーク管理装置で、受信トラップに対して、トラップ群毎にトラップの連続性をチェックし、トラップの抜け落ちが有る場合に、該抜け落ちたトラップを識別することが可能なトラップシーケンス番号及び該トラップ群番号を付与したセットリクエストコマンドを前記監視対象装置へ送信する第二の構成と、前記監視対象装置で、前記ネットワーク管理装置からの前記セットリクエストコマンドを解析し、内部で保持している送信済みトラップのトラップ群番号及びTRPシーケンス番号と、前記セットリクエストコマンドに付与されたトラップ群番号及びトラップシーケンス番号とを比較し、前記ネットワーク管理装置で受信されなかった抜け落ちトラップを判別し、該抜け落ちトラップの全てを1つのトラップに再編集し、新規のトラップシーケンス番号を付与して前記ネットワーク管理装置へ送信するとともに、保持していた送信済トラップをクリアする第三の構成を備えたことを第1の特徴とする。
【0010】
また、前記第二の構成において、トラップ群の受信状況を連続トラップ群受信タイマによって監視し、トラップ群の最終トラップを受信することなく該連続トラップ群受信タイマがタイムアウトした場合に、当該トラップ群の全トラップの再送を要求するゲットリクエストコマンドを前記監視対象装置へ送信する構成を備え、前記第三の構成において、前記ネットワーク管理装置からの前記ゲットリクエストコマンドを解析し、再送要求されたトラップ群番号のトラップの全てを1つのトラップに再編集し、新規のトラップシーケンス番号を付与して前記ネットワーク管理装置へ送信する手段を備えたことを第2の特徴とする。
【0011】
また、前記第二の構成において、監視対象装置へのセットリクエストコマンドの送信時毎に始動され、該セットリクエストコマンド送信以降の最初のトラップの受信時に停止されるセットリクエスト送信タイマを備え、セットリクエスト送信タイマのタイムアウト時に、前記ネットワーク管理装置内で保持している最新トラップシーケンス番号及び最新トラップ群番号を付与したセットリクエストを前記監視対象装置へ送信するとともに、該セットリクエスト送信タイマを再始動させる構成を備えたことを第3の特徴とする。
【0012】
また、前記第三の構成において、ネットワーク管理装置からのセットリクエストコマンドによるトラップ再編集時は、再送トラップ編集中に新たに生成されたトラップに対して再送トラップとは別の最新トラップシーケンス番号を付与して前記ネットワーク管理装置へ送信し、ネットワーク管理装置からのゲットリクエストコマンドによるトラップ再編集時は、トラップ再編集時に新たに生成された同一監視項目に属するトラップを、編集中の再編集トラップに取り込んで再編集し、前記ネットワーク管理装置に送信する構成を備えたことを第4の特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、監視対象装置で状態変化が頻発した場合に発生する大量のTRAPを監視項目別に分類し、それぞれをTRAP群とし、TRAP群単位で纏めにTRAP連続性のチェック及び再送制御を行うことにより、ネットワーク管理装置内処理の負荷が軽減され処理の高効率化が可能となる。
【0014】
また、そのTRAP群の最終トラップの送達の有無の判定によるTRAP群全体の有効又は無効を判断し、TRAP群全体を無効と扱うことにより、TRAP抜け落ちチェック処理の負担を軽減することができ、また再送要求のSetリクエストを小刻みに送信することなく、TRAP群として纏めて1つのコマンドとして再送要求を送信することができ、ネットワークトラフィックの増大を抑止することが可能となる。
【0015】
また、NEからNMSへ通知するTRAPが発生していない状態でも、定期的にNMSにおけるTRAP情報を付与したSetリクエストをNEへ送信することにより、NEはNMSにおけるTRAP受信の正常性を確認することができ、かつNEとNMSとの間のTRAP送受状態の差分を認識することが可能となる。
【0016】
また、NEにおいて、NMSからのTRAP再送を要求するSetリクエスト又はGetリクエストを受信したときに、再送が必要なTRAPをTRAP群単位で生成が可能なため、例えば、同一障害の発生イベントと復旧イベントとが繰返して発生した場合など、それらのイベントを纏めて再編集することができ、TRAP再編集を効率よく行うことが可能となる。
【0017】
また、再編集TRAPを1つの新規TRAPとしてNMSへ通知するため、ネットワークへ負担を懸けることなく、NMSにおいては、再送要求したTRAPシーケンス番号の再チェックを行う必要がないため、NMSでの処理負担が軽減され、効率の良い処理を行うことが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
図1は本発明のNEの構成例を示し、図2は本発明のNMSの構成例を示している。本発明は、NE(1)とNMS(2)とから構成され、NE(1)及びNMS(2)は、IPネットワーク網(3)を介して接続されている。NE(1)は、状態変化/イベント集数部によりNE(1)内の各監視項目の状態を常時監視して状態情報を収集し、状態変化を検出すると、該状態変化の情報をTRAP生成部(A)に通知し、TRAP生成部(A)にて新規TRAP生成を行う。
【0019】
TRAP生成部(A)の処理を、図1、図3及び図4を参照して説明する。TRAP生成部(A)は、状態変化の情報を受け取ると新規TRAPを生成する処理を実行し(3−1)、新規TRAPを生成し終えると、その生成TRAP数をTRAPカウンタによりカウントする(3−2)。
【0020】
このカウント値T_cntは、単位時間通知用タイマハンドラ(G)からの「単位時間タイムアウト通知」(e)を受信したタイミングでリセットされ、その都度ゼロからカウントを繰り返す。TRAP生成部(A)では、NE(1)の通常動作として処理し得る最大のTRAP数を閾値THとして保持し、常にカウント値T_cntが閾値THを超過していないか監視する(3−3)。
【0021】
カウント値T_cnt(即ち、生成TRAP数)が閾値THの範囲内であれば、生成TRAPをTRAP送信部(C)へ「TRAP送信要求」(a)として通知する(3−4)。閾値THを超過した場合は、状態変化が多発してTRAP生成が頻発していると判断し、処理効率化のために、当該TRAPをTRAP解析部(B)へ「TRAP解析要求」(b)として送出する(3−5)。
【0022】
単位時間とTRAPカウンタについて、図4を使って説明する。例として、TRAPカウンタ数の閾値THを30とする。図4において、単位時間(1)ではTRAPカウンタ=5であり、閾値範囲内であるためTRAPは単発処理となる。次の単位時間(2)では、TRAPカウンタが30を超えて最終的に35となり、この場合、単位時間(2)の途中であっても、TRAPカウンタが閾値30を越えた時点で、生成TRAPは解析対象となる。
【0023】
単位時間(3)では、単位時間(2)からのTRAP解析対象状態が継続しており、また単位時間(3)タイムアウト時のTRAPカウンタが41で閾値超過であったため、次の単位時間(4)で生成されたTRAPも引き続きTRAP解析対象となる。単位時間(4)では、TRAP解析対象状態が継続中であり、この期間ではTRAPカウンタは閾値範囲内であるが、単位時間(4)のタイムアウト時まではTRAP解析対象状態となる。単位時間(4)タイムアウト時点において、TRAPカウンタが閾値範囲内であるため、次の単位時間(5)からは生成TRAPは単発処理状態となる。
【0024】
次に、TRAP生成部(A)よりコールされるTRAP解析部(B)について、図1、図5及び図6を参照して説明する。TRAP生成部(A)よりTRAP解析要求(b)が行われたTRAPは、TRAP解析部(B)で、そのTRAPがどの監視項目のものであるかを、図6に示す監視項目一覧表を基に検索する(5−1)。該検索により監視項目を判別し、TRAP振り分け保持テーブルの監視項目別の所定の領域にTRAPを格納する(5−2)。
【0025】
この時点で、TRAP群番号及びTRAPシーケンス番号は付与されていない。次に同一の監視項目のTRAPが通知された場合、先に格納したTRAP格納場所の次の場所に格納する。TRAPを格納する毎にそのTRAPに群内の通し番号(TRAP群詳細番号)を付与する。
【0026】
そして、単位時間通知用タイマハンドラ(G)からの「単位時間タイムアウト通知」(e)を受信したタイミングで、監視項目毎の振り分け処理を一旦締め切り、各監視項目について複数のTRAPが登録されている場合は、監視項目毎のTRAP群番号及び連続フラグを各TRAPに付与する(5−3)。このTRAP群番号は監視項目毎の固有のものではなく、その時点の最新の番号を付与する。
【0027】
各種番号の付与の後、各TRAP群をTRAP送信部(C)へ「TRAP送信要求」(c)として通知する(5−4)。なお、各監視項目について1個のみTRAPが登録されていた場合は、TRAP群番号を付与せず、単発TRAPとしてTRAP送信部(C)へ通知する。各TRAPをTRAP送信部(C)へ通知した後は、TRAP振り分け保持テーブルを全てクリアする(5−5)。
【0028】
監視項目としては図6の一覧表に示すように、例えば、システム故障→監視項目1、インタフェースALMは監視項目2、ルート内監視不能→監視項目3、AIS受信→監視項目4、AIS送信→監視項目5、光出力警報→監視項目6、無線回線切替不能→監視項目7、強制切替中→監視項目8、SV盤故障→監視項目9、150M−IF盤故障→監視項目10、50M−IF盤故障→監視項目11、・・・ネットワーク異常→監視項目Nなどのように振り分ける。
【0029】
TRAP解析部(B)のTRAP振り分け保持テーブルにおける監視項目別領域を図6に示す。同図に示す監視項目別領域について詳述する。
(※1)各監視項目保持領域について
・各監視項目領域は、1監視項目名毎に固定である。
・単位時間通知用タイマハンドラからの「単位時間タイムアウト通知」(e)を受け付けた時点で、各監視項目領域にTRAP群番号及び群詳細番号を付与する。なお、シーケンス番号については、TRAP送信部(C)にて付与する。
・各監視項目領域長については、ユーザによるチューニングにより装置固有値が決定される。
【0030】
(※2)最新連続TRAP群番号について
・0x00000001〜0xFFFFFFFF(4294967295)の値で、TRAP群番号として現時点で付与した最新のTRAP群番号を保持する。この番号はサイクリックに使用する。但し、0は単発TRAPを表すこととし、0はTRAP群番号には使用しないものとする。
【0031】
(※3)連続フラグについて
・TRAP群の先頭TRAPから最終TRAPの1つ前のTRAPまで、継続TRAP有りを示す0x01を付与する。
・TRAP群の最終TRAPにのみ、継続TRAP無しを示す0x00を付与する。
・単発TRAPについては、0x00(継続TRAP無し)を付与する。
【0032】
(※4)TRAP群番号について
・上記※2で説明した最新連続TRAP群番号を読出し、読み出した値に1を加算した値を監視項目単位に各TRAPにTRAP群番号として付与する。
・監視項目の上位番号を若番のTRAP群番号とし、且つ、1つの監視項目内にTRAPが2個以上格納されている監視項目のTRAPに対して付与する。
・TRAPが1つしかない単発TRAPについては、単発で有ることを示す0x00を付与する。
【0033】
(※5)TRAP群詳細番号について
・1つの監視項目のTRAP群の各TRAPに対して、先着順に1を開始番号として通番を付与する。これはNMSにてTRAP抜け落ちチェック時に使用する。
・単発TRAPに対しても1を付与する。
【0034】
(※6)シーケンス番号について
・シーケンス番号は、システム全体でのTRAPに付与する通番であるため、TRAP解析部(B)では付与しない。TRAP送信部(C)にて、NMS(2)への送信直前に付与される。
【0035】
次に、TRAP送信部(C)の処理について、図1、図7及び図8を参照して説明する。まず、TRAP送信要求が、新規のTRAP送信要求か再送TRAP送信要求かをチェックする(7−1)。新規TRAP送信要求の場合、TRAP再生状態(I)を読出す(7−2)。
【0036】
TRAP再生状態(I)が「通常状態」か「TRAP再生中」かを調べ(7−3)、「通常状態」の場合、通知されたTRAP又はTRAP群の各TRAPに対して、連続的なTRAPシーケンス番号を付与し(7−4)、NMSへのTRAP送信(d)を実行する(7−5)。該送信後、送信済TRAP保持テーブル(H)に、今送信したTRAP又はTRAP群の各TRAPを格納する(7−6)。
【0037】
TRAP再生状態が「TRAP再生中」である場合、送信要求されたTRAPを再送TRAP生成部(F)へ「TRAP盛込要求」(m)として通知する(7−7)。再送TRAP生成部(F)では該TRAPに対して監視項目チェックを行い、合致しない場合はそのまま「再送TRAP送信要求」(l)としてTRAP送信部(C)に返却するが、その際に返却フラグを付与し、TRAP送信部(C)では、返却フラグ付きのTRAPを通常のTRAPとしてNMSへ送信する。
【0038】
前述のステップ7−1の判定に戻って、TRAP送信要求が再送TRAP送信要求である場合、新規TRAPの場合と同様に最新TRAPシーケンス番号を付与し(7−8)、NMSへ送信する(7−9)。但し、その後、送信済TRAP保持テーブル(H)に格納されている当該TRAPに関する全TRAP情報をクリアする(7−10)。
【0039】
ここで図8に示す送信済TRAP保持テーブル(H)の構成例について説明する。
(※1)TRAP格納領域について
・[0]の領域から順に格納する。
・単発TRAPは、1領域に1TRAP情報のみを格納する。
・TRAP群は、1領域に1TRAP群の全TRAP情報を格納する。
・TRAP格納領域をクリアした場合は、当該領域の後ろの領域を繰り上げて格納する。
・TRAP格納領域の各領域長及び個数については、ユーザによるチューニングにより装置固有値が決定される。
【0040】
(※2)最新TRAPシーケンス番号について
・0x00000001〜0xFFFFFFFF(4294967295)の値として、現時点で付与されている最新のTRAPシーケンス番号を格納する。この値は、サイクリックに使用する。
・TRAP送信部(C)が送信済TRAP保持テーブル(H)にTRAPを格納する際に、当該領域に格納されたTRAPの最新シーケンス番号に1を加算した値を格納する。また、TRAP送信(d)時にTRAPに付与するシーケンス番号もこのシーケンス番号を付与する。
【0041】
(※3)最新連続TRAP群番号について
・0x00000001〜0xFFFFFFFF(4294967295)の値として、現時点で付与されている最新のTRAP群番号が格納されている。サイクリックに使用される。ただし、0は単発TRAPを示すものとして、TRAP群番号には使用しない。
【0042】
次に、NEから送信したTRAPを受信するNMS側の処理について説明する。NEからのTRAPを受信する窓口であるTRAP受信部(J)について、図2、図9及び図10を参照して説明する。NMSのTRAP受信部(J)でTRAP送信(d)を受信すると、最初にSetリクエスト送信タイマ(T1タイマ)を停止させる(9−1)。
【0043】
次に、受信したTRAPが単発であるか連続TRAP群のTRAPであるかをチェックする(9−2)。単発TRAPの場合、図10に示す受信TRAP管理テーブル(P)にTRAPデータを格納し(9−3)、コマンド解析部(K)へ「TRAP解析要求」(n)を送信する(9−4)。
【0044】
受信TRAPが連続TRAP群のTRAPの場合、最初に連続TRAP群受信タイマ(T2タイマ(O))を停止させる(9−5)。このT2タイマは、連続TRAP群の受信状態を監視する。次に、受信TRAP管理テーブル(P)に、受信したTRAPデータを書き込む(9−6)。連続TRAP群であっても、1TRAPを受信する毎に書き込んでいく。
【0045】
次に、当該TRAPの連続フラグがONかOFFかを調べ(9−7)、連続フラグがON(継続TRAP有り)の場合は、T2タイマ(O)を起動し(9−8)、継続TRAPの受信を待つ。当該TRAPの連続フラグがOFF(1つのTRAP群内の最終TRAP)である場合、連続フラグの前状態がONか否かを調べ(9−9)、前状態がONの場合、コマンド解析部(K)に「TRAP解析要求」(n)を送信する(9−10)。このときタイマT1及びT2の起動は無い。
【0046】
ここで図10に示した受信TRAP管理テーブル(P)の構成例について説明する。
(※1)TRAP番号格納領域について
・[0]の領域から順に格納する。
・単発TRAPは、1領域に1TRAP情報分のみ格納する。
・連続TRAP群は、1領域に1TRAP群の全TRAPの情報分を格納する。
・TRAP格納領域をクリアした場合は、当該領域の後ろの領域を繰り上げて格納する。
・TRAP格納領域の各領域長及び個数については、チューニングにより装置固有値が決定される。
【0047】
(※2)最新TRAPシーケンス番号について
・0x00000001〜0xFFFFFFFF(4294967295)の値がサイクリックに使用される。
・連続的に受信が確定している最新のシーケンス番号が格納される。
【0048】
(※3)最新連続TRAP群番号について
・0x00000001〜0xFFFFFFFF(4294967295の値がサイクリックに使用される。ただし、0は単発TRAPを示すものとして使用される。
・連続的に受信が確定している最新のTRAP群番号が格納される。
【0049】
(※4)連続フラグについて
・00は連続フラグOFFであること、即ち、単発又は連続TRAP群の最終TRAPであることを示す。
・01は連続フラグONであること、即ち、連続TRAPの受信開始又は受信中で継続のTRAPが有ることを示す。
【0050】
同図の例では、TRAP群番号02のシーケンス番号22のTRAPの連続フラグがOFF(00)であるため、TRAP群番号02は受信完結したことを示す。TRAP群番号02の全TRAPの受信完了後に、TRAP番号をチェックし、シーケンス番号20が抜けていることを認識する。この場合、後述するSetリクエストに付与するTRAP番号は「19」である。
【0051】
また、TRAP群番号03のシーケンス番号25のTRAPの連続フラグがONであるので、TRAP群番号03は受信完結していない。このため、TRAP抜け落ちチェックは行わない。この状態で連続TRAP群受信タイマ(T2タイマ(O))がタイムアウトした場合、TRAP群番号03を付与したGetリクエストをNEに送信し、該TRAP群全体の再送要求を行う。なお、これらの再送要求動作の詳細は後述する。
【0052】
TRAP受信部(J)からコールされるコマンド解析部(K)について、図1及び図11を参照して説明する。コマンド解析部(K)は4つの処理体系から構成される。初めに、「TRAP解析要求」(n)を受信した場合の処理について説明する。「TRAP解析要求」(n)を受信すると、該TRAPの種別が単発TRAPであるか、連続TRAP群であるかを判定し(11−14)、単発TRAPで有る場合は、図11に示すフロー11−14からフロー11−18の処理を実行する。なお、単発TRAPの処理については、通常のTRAP処理であるので説明は省略する。
【0053】
解析対象のTRAPが連続TRAP群である場合、受信TRAP管理テーブル(P)より当該TRAP群番号の全TRAPシーケンス番号を読み出す(11−1)。次に、読み出したTRAPシーケンス番号について、TRAP抜け落ちチェック(番号の連続性チェック)を行う(11−2)。
【0054】
TRAP抜け落ちの有無を判定し(11−3)、TRAP抜け落ちが無かった場合、コマンド送受信処理部(M)へ「コマンド送信要求」(r)を通知する。その際、当該コマンドがSetリクエスト送信要求であることを示す識別子、並びに当該TRAP群内の最新(最も老番)のTRAPシーケンス番号及び当該TRAP群番号を付与する。
【0055】
上記「Setリクエスト送信要求」(r)通知後、HMIインタフェース処理部(L)へ当該TRAPを転送(s)し(11−5)、モニタ(Q)上へ当該TRAP情報を画像表示する。最後に受信TRAP管理テーブル(P)の当該TRAPデータ(TRAPシーケンス番号及びTRAP群番号)をクリアする(11−6)。ただし、受信確定した再審TRAPシーケンス番号はクリアしない。
【0056】
TRAP抜け落ちが検出された場合、同様にコマンド送受信処理部(M)へ「Setリクエスト送信要求」(r)を通知するが、その際、当該TRAP群番号と、最初に抜け落ちを確認したTRAPシーケンス番号の1つ前(最後に受信確定した)TRAPシーケンス番号を付与する(11−7)。
【0057】
上記フロー11−7による通知の後は、TRAP抜け落ち無しの場合と同様に、HMIインタフェース処理部(L)へ当該TRAPを転送(s)するが、転送するTRAPは、最初に抜け落ちを確認したTRAPシーケンス番号の1つ前(最後に受信確定した)のTRAPまでを転送する。その後、受信TRAP管理テーブル(P)の当該TRAP群の全TRAPデータをクリアする。
【0058】
次に、連続TRAP群受信タイマ(T2タイマ(O))がタイムアウトした場合のコマンド解析部(K)の処理について説明する。T2タイマがタイムアウトしたということは、連続TRAP群の最終TRAPが規定時間(T2)経過後も受信されないことを表示し、NMS内では当該連続TRAP群の既受信TRAP含めて該TRAP群全体を無効とし、該TRAP群全体を再送させるため、コマンド送受信処理部(M)へ「コマンド送信要求」(r)を通知する。
【0059】
上記の処理を実行するため、受信TRAP番号管理テーブル(P)から現時点の受信継続中のTRAP群番号を読出し(11−8)、読み出したTRAP群番号(無効となったTRAP群番号)をコマンド送受信処理部(M)へ格納し、「コマンド送信要求」(r)のコマンドがGetリクエストの送信要求であることを示す識別子を付与して、「Getリクエスト送信要求」を通知する(11−9)。その後、受信TRAP番号管理テーブル(P)の当該TRAP群番号の全TRAPデータをクリアする(11−10)。
【0060】
次に、T1タイマ(N)がタイムアウトした場合のコマンド解析部(K)の処理について説明する。T1タイマ(N)は、NMSからSetリクエストを送信する度に、Setリクエストを送信した時点で始動され、NEからTRAPが受信されたときに停止される。従って、T1タイマがタイムアウトしたということは、前回のTRAP受信に対するSetリクエストをNEへ送信した時点から所定の時間(T1)が経過した後も、NEからTRAPが1つも受信されていないことを示す。
【0061】
T1タイマのタイムアウト時にも、現時点のNMSのTRAP受信状況をNEに通知するためのSetリエスト送信の「コマンド送信要求」(r)をコマンド送受信処理部(M)へ送出する。これによって、NEは現時点のNMSのTRAP受信状況を把握し、TRAPの送達漏れ及びNMSとの間の接続状態を確認することが可能となる。
【0062】
上記の処理を実行するため、受信TRAP管理テーブル(P)から最新TRAPシーケンス番号及び最新TRAP群番号を読出し(11−11)、読み出した最新TRAPシーケンス番号及び最新TRAP群番号をコマンド送受信処理部(M)へ格納し、「Setリクエスト送信要求」を通知する(11−12)。それとともにT1タイマをゼロからスタートさせる(11−13)。
【0063】
なお、この処理は、次にNEからTRAPが受信されるまで、T1タイマがタイムアウトする度に繰り返す。NEからTRAPが受信された時点でT1タイマは停止され、そのTRAPに対するSetリクエストを送信したタイミングで再度始動される。
【0064】
ここで、T1タイマ及びT2タイマについて詳述する。T1タイマは、NMSがNEに対して送信するSetリクエストの送信タイミングからTRAP受信タイミングまでの時間を監視するとともに、NMSがNEに対して送信する自律Setリクエストの送信タイミングを規定する。T1タイマはNEへのSetリクエスト送信時に始動し、NEからのTRAP受信時に停止する。T1タイマがタイムアウトした場合、NMS内において現時点で受信確定しているTRAPシーケンス番号の最新値を付与したSetリクエストをNEへ送信する。そのとき、再度T1タイマを始動し、TRAP受信監視を行う。
【0065】
図12はT1タイマ監視によるNE−NMS間通信の正常確認動作のシーケンスを示す。同図に示すように、TRAP(1)に対するSetリクエスト(1)の送信タイミングからT1以内にNEから次のTRAP(2)が受信されると、T1タイマはリセットされ、該TRAP(2)に対するSetリクエスト(2)を送信する。
【0066】
Setリクエスト(2)には、TRAP(2)のシーケンス番号が付与され、NEは該Setリクエスト(2)を受信し、それに付与されているシーケンス番号とNEで管理している最新のTRAPシーケンス番号と比較し、TRAP抜け落ちが無いことを確認する。
【0067】
TRAP(2)以降、NEから通知するTRAPが無いため、NMSではSetリクエスト(2)を送信した後、T1タイマがタイムアウトする。T1タイマのタイムアウト時に、NMSはNEに対して、現時点で認識している最新のTRAPシーケンス番号を付与したSetリクエスト(2)を送信する。NEは、該Setリクエスト(2)を受信し、それに付与されているTRAPシーケンス番号と、NEが送信したTRAPシーケンス番号とを比較して矛盾がないことを確認する。これは現状のTRAPシーケンス番号を確認するのみである。T1タイマがタイムアウトする度にこの動作を繰り返す。
【0068】
図13はT1タイマ監視によるNE−NMS間通信の異常検出動作のシーケンスを示す。同図に示すように、TRAP(1)に対するSetリクエスト(1)の送信タイミングからT1以内にNEから次のTRAP(2)が受信され、T1タイマをリセットし、該TRAP(2)に対するSetリクエスト(2)を送信する。
【0069】
Setリクエスト(2)には、TRAP(2)のシーケンス番号が付与され、NEは該Setリクエスト(2)を受信し、それに付与されているシーケンス番号とNEで管理している最新のTRAPシーケンス番号と比較し、TRAP抜け落ちが無いことを確認する。
【0070】
Setリクエスト(2)の送信後、T1タイマがタイムアウトすると、NEに対して、NMSが現時点で認識している最新のTRAPシーケンス番号を付与したSetリクエスト(2)を送信する。NEは該Setリクエスト(2)を受信し、それに付与されているTRAPシーケンス番号と、NEが送信したTRAPシーケンス番号とを比較して矛盾がないことを確認し、現状のTRAPシーケンス番号を確認する。
【0071】
次に、NEはTRAP(3)を送信したが、該TRAP(3)はNMSに到達したかったとする。すると、NMSはSetリクエスト(2)の送信後、T1タイマのタイムアウト時に、TRAP(2)のシーケンス番号を付与したSetリクエスト(2)を送信し、NEは、該Setリクエスト(2)を受信し、それに付与されているシーケンス番号2とNEで管理している最新のTRAPシーケンス番号3と比較し、最新シーケンス番号3>受信したシーケンス番号2であることを認識し、TRAP(3)が抜け落ちたことを検出する。
【0072】
NEは、抜け落ちたTRAP(3)を再送する。NMSは該TRAP(3)のシーケンス番号を付与したにSetリクエスト(3)を送信し、NEは、該Setリクエスト(3)を受信し、それに付与されているTRAPシーケンス番号3と、NEが送信したTRAPシーケンス番号3とを比較して、再送TRAP(3)が正常に受信されたことを確認する。
【0073】
次に連続TRAP群受信タイマ(T2タイマ(O))について説明する。T2タイマは、連続TRAP群の受信状態の監視を行うタイマで、連続TRAP群の先頭パケット(連続受信フラグが最初にONとなったパケット)を受信したタイミングで始動される。連続TRAP群の連続受信フラグがONのTRAPを受信し続けている間は、TRAP受信時にT2タイマを停止させ、T2タイマをセロから始動させる。
【0074】
連続TRAP群の連続受信フラグがONからOFFに変化した(即ち、連続TRAP群の最終TRAPを受信した)時点でT2タイマを停止し、その後の再起動は行わない。NMSが最終TRAPを受信し、T2タイマ停止を行った時のNMSの処理は以下のとおりである。
【0075】
(1)連続TRAP群のシーケンス番号に抜けが無かった場合、連続TRAP群の最終TRAPのシーケンス番号を付与した「Setリクエスト」をNEへ送信する。
(2)連続TRAP群のシーケンス番号に抜け落ちを発見した場合、抜け落ちたシーケンス番号のうちの最も若番のシーケンス番号より一つ小さいシーケンス番号(正常に連続して受信された最後のシーケンス番号)を付与した「Setリクエスト」をNEへ送信する。
【0076】
T2タイマがタイムアウトしたときのNMSの処理は、連続TRAP群番号を付与した「Getリクエスト」を送信する。即ち、T2タイマタイムアウトしなかった場合は、連続TRAP群が最終TRAPまで受信された場合であり、途中のTRAPの抜け落ちがあったとしても、連続TRAP群自体は有効であるものとして扱い、抜け落ちのあったTRAPの再送要求のみを行うために、「Setリクエスト」をNEへ送信する。
【0077】
一方、T2タイマがタイムアウトした場合は、連続TRAP群の最終TRAPが受信されなかった場合であり、この場合は、該連続TRAP群全体を無効として扱い、該連続TRAP群全体を再送要求するために、「Getリクエスト」をNEに送信する。
【0078】
図14はT2タイマ監視による連続TRAP群受信の正常確認動作のシーケンスを示す。同図に示すように、NEは、シーケンス番号10〜14のTRAP(10)〜(14)をTRAP群番号01として認識し、該TRAP群の各TRAPに、群番号内の通番01〜05を付与する。そして、連続TRAP群の開始TRAPから最終TRAPの1つ前のTRAPまでの連続フラグをONとし、最終TRAPの連続フラグをOFFとすることで、最終TRAPを識別可能にする。
【0079】
NMSでは、TRAP(10)〜(13)を受信する度にT2を始動させ、TRAP(10)〜(14)の全てがT2タイマのタイムアウト以内に受信され、かつ最終TRAP(14)が受信されたことを確認する。最終TRAP(14)が受信されたときは、T2タイマの再始動は行わない。
【0080】
NMSでは、最終TRAP(14)受信後、TRAP抜け落ちのチェックを行い、抜け落ちが無いと判断された場合、最新TRAPシーケンス番号14、最新TRAP群番号01−05を付与したSetリクエストをNEに送信する。NEでは、該Setリクエストに付与されたTRAPシーケンス番号14及びTRAP群番号01−05と、NEで管理している最新のTRAPシーケンス番号及びTRAP群番号と比較し、抜け落ちが無いことを認識する。
【0081】
図15はT2タイマ監視による連続TRAP群受信のTRAP抜け検出動作のシーケンスを示す。同図に示すように、NEは、シーケンス番号21〜25のTRAP(21)〜(25)をTRAP群番号02として認識し、該TRAP群の各TRAPに、群番号内の通番01〜05を付与し、連続TRAP群の開始TRAP(21)から最終TRAPの1つ前のTRAP(24)までの連続フラグをONとし、最終TRAP(25)の連続フラグをOFFにして送信する。
【0082】
ここで、TRAP(24)がNMSに到達しなかったとする。NMSでは、TRAP(24)を除いて、TRAP群番号02のTRAPを最終TRAP(25)まで、それぞれT2タイマのタイムアウト以内に受信したため、TRAPを最終TRAP(25)の受信時にT2タイマの再起動を行うことなく、TRAP抜け落ちチェックを行い、TRAP(24)が抜け落ちていることを検出する。
【0083】
NMSは、連続的に正常に受信した最も老番のシーケンス番号のTRAP(23)、そのTRAP群番号02−03を付与したSetリクエストをNEへ送信する。NEでは、該Setリクエストを受信し、NEで管理している最新のTRAPシーケンス番号及びTRAP群番号と比較し、TRAP(24)以降がNMSで受信未確定であることを認識し、再送TRAPを後に送信する旨のGetレスポンスをNMSへ送信する。
【0084】
NEでは、再送TRAP生成処理を開始し、TRAP(24)〜TRAP(25)を編集して1TRAPとして再生する。その間に、新たにイベントが発生しても、該イベントのTRAPは該再生TRAPには盛り込まない。これは、NMS側にて連続TRAP群の最終TRAPが受信済であり、NMS側では有効な連続TRAP群として扱っているためである。そして、該1つの再送TRAPのシーケンス番号として、最新の番号(この場合26)を付与して送信する。再送TRAPは1つであるので連続フラグ及びTRAP群番号は付与しない。
【0085】
図16はT2タイマ監視による連続TRAP群受信の最終TRAP抜けの場合のシーケンスを示す。同図に示すように、NEは、シーケンス番号31〜36のTRAP(31)〜(36)をTRAP群番号03として認識し、該TRAP群の各TRAPに、群番号内の通番01〜06を付与し、連続TRAP群の開始TRAP(31)から最終TRAPの1つ前のTRAP(35)までの連続フラグをONとし、最終TRAP(36)の連続フラグをOFFにして送信する。
【0086】
ここで、TRAP(33)以降のTRAPがNMSに到達しなかったものとする。NMSでは、最終TRAP(36)を受信しないままT2タイマがタイムアウトしたことにより、連続TRAP群の受信が完結していないと判断し、当該連続TRAP群を無効として扱い、NEへ該TRAP群の一括再送を要求する「Getリクエスト」を送信する。該「Getリクエスト」にはTRAP群番号03を付与して送信する。
【0087】
NEは、上記「Getリクエスト」の受信により、TRAP群番号03の全TRAPが受信未確定であることを認識し、このあと再送TRAPを送信する旨のGetレスポンスをNMSへ送信する。そして、NEでは、再送TRAP生成処理を実行し、TRAP群番号03の全TRAPを編集して1つのTRAPとして再生する。
【0088】
この間に、新たにイベントが発生した場合、イベントのTRAPを該再生TRAPに盛り込み、一緒に送信する。即ち、新TRAPとして送信しない。これは、NMS側でTRAP群番号03の最終TRAPを受信せず、TRAP群として完結していない無効なTRAP群として、先に受信したTRAP群番号03のTRAPを破棄し、新たにTRAP群番号03の全TRAPを受信しなおすため、新規のイベントのTRAPを追加しても何ら影響がないためである。
【0089】
NEは、上記再送TRAPのシーケンス番号として、最新の番号(この場合37)を付与して送信する。この場合も、再送TRAPは1つであるので連続フラグ及びTRAP群番号は付与しない。なお、NMSでは再送TRAPの再受信確認は行わず、再送TRAPは全て新規TRAPとしてNMS内で処理する。
【0090】
次に、NEがNMSから「Setリクエスト」又は「Getリクエスト」のコマンドを受信したときの処理について説明する。NE側のコマンド解析処理部(E)の処理について、図1及び図17を参照して説明する。まず、受信コマンドが「Setリクエスト」の場合について説明する。
【0091】
初めに、受信コマンドが「Setリクエスト」か否かを判定する(17−1)。受信コマンドが「Setリクエスト」である場合、該Setリクエストに付与されている連続TRAP群番号をチェックする(17−2)。該TRAP群番号が0の場合、単発TRAPに対する要求コマンドと判断し、送信済TRAP保持テーブル(H)から、NEが管理する最新のTRAPシーケンス番号を読出し、受信した「Setリクエスト」に付与されているTRAPシーケンス番号と比較し、差分を抽出する(17−3)。
【0092】
差分の有無を判定し(17−4)、差分無しの場合、送信済TRAP保持テーブル(H)の当該TRAPシーケンス番号のTRAP情報をクリアし(17−5)、コマンド送受信処理部(D)へ「コマンド解析結果(OK)」(j)を通知し、NMSへGetレスポンスコマンドを送信する(17−7)。
【0093】
一方、差分有りの場合、差分=抜け落ちTRAP数と判断し、再送対象のTRAPシーケンス番号とコマンド種別(=Setリクエスト)を付与し、再送TRAP生成部(F)へ「再送TRAP生成要求」(k)を通知し、コマンド送受信処理部(D)へ「コマンド解析結果(NG)」(j)を通知し、NMSへGetレスポンスコマンドを送信する(17−6)が、NMS側ではGetレスポンス受信に対する処理は特に行わない。
【0094】
戻って、Setリクエストコマンドに付与されている連続TRAP群番号が0以外の場合、連続TRAP群に対する要求コマンドと判断し、送信済TRAP保持テーブル(H)より、NEが管理する最新の当該TRAP群番号の最新のTRAPシーケンス番号を読出し、「Setリクエスト」に付与されている連続TRAP群番号及びTRAPシーケンス番号と比較し、差分を抽出する(17−7)。
【0095】
上記差分の有無を判定し(17−8)、差分無しの場合、送信済TRAP保持テーブル(H)の当該TRAP群番号の全TRAP情報をクリアし(17−9)、コマンド送受信処理部(D)へ「コマンド解析結果(OK)」(j)を通知し、NMSへGetレスポンスコマンドを送信する(17−6)。
【0096】
一方、差分有りの場合、当該TRAP群番号及び再送対象のTRAPシーケンス番号及びコマンド種別(=Setリクエスト)を付与し、再送TRAP生成部(F)へ「再送TRAP生成要求」(k)を通知する。また、NE側コマンド送受信処理部(D)へは「コマンド解析結果(NG)」(j)を通知し、NMSへGetレスポンスコマンドを送信する(17−10)が、NMS側ではGetレスポンス受信に対する処理は特に行わない。
【0097】
次に、受信コマンドが「Getリクエスト」の場合について説明する。この場合、連続TRAP群の全TRAP一括の再送要求と判断し、無条件に再送TRAP生成部(F)へ当該連続TRAP群番号及びコマンド種別(=Getリクエスト)を付与した「再送TRAP生成要求」(k)を通知する(17−11)。
【0098】
最後に、NEにおける再送TRAP生成部(F)の処理について、図1及び図18を参照して説明する。最初に、「再送TRAP生成要求」(k)に付与されているコマンド種別がSetリクエストか否かをチェックする(18−1)。コマンド種別が「Getリクエスト」の場合、TRAP再生状態(I)を「TRAP再生中」に遷移させる(18−2)。この後、TRAP送信部(C)への「再送TRAP送信要求」(l)を通知するまでは、コマンド種別がGetリクエストの場合とSetリクエストの場合とで共通の処理となる。
【0099】
戻って、コマンド種別チェックの後、送信済TRAP保持テーブル(H)から、「再送TRAP生成要求」(k)に付与されている再送対象のシーケンス番号又はTRAP群番号のTRAP情報を読み出す(18−3)。読み出したTRAP情報について、単発TRAPの場合はそのままTRAP送信部(C)へ「再送TRAP送信要求」(l)として通知する(18−5)。このとき、旧TRAPシーケンス番号は付与しない。
【0100】
上記フロー18−3で読み出したTRAP情報が複数の場合、1つのTRAP情報として編集し直す(18−4)。再送TRAPの編集中に、NE内で新たなイベント発生によるTRAPが生成された場合、TRAP再生状態(I)が「TRAP再生中」状態の場合は、TRAP送信部(C)から当該新たな生成TRAP情報を付与した「TRAP盛込要求」(m)を通知する。
【0101】
このとき、再送TRAP生成部(F)内で編集中のTRAPが属する監視項目と「TRAP盛込要求」(m)により通知されたTRAPが属する監視項目とが同一であるかをチェックし(18−7)、同一監視項目である場合は、現在編集中のTRAP情報に当該新たな生成TRAPを盛り込み、再編集する(18−8)。
【0102】
監視項目が相違する場合は、再びTRAP送信部(C)へ「再送TRAP送信要求」(l)として通知するが、真の再送TRAP送信要求と区別するために、「再送TRAP送信要求」(l)通知に返却フラグを付与する(18−9)。再送TRAP情報の再編集が完了後、再生したTRAPを付与した「再送TRAP送信要求」(l)をTRAP送信部(C)へ通知し(18−5)、コマンド種別が「Getリクエスト」である場合、TRAP再生状態(I)を「通常状態」へ遷移させる(18−6)。「通常状態」である間は、TRAP送信部(C)から「TRAP盛込要求」(m)は通知しない。
【0103】
図19〜図21にNE内の機能ブロック間の動作シーケンスを示す。図19の(a)は生成TRAP数がTRAPカウンタ閾値以内の場合のTRAP送信処理のシーケンスを示す。図19の(b)は生成TRAP数がTRAPカウンタ閾値を超過した場合のTRAP送信処理のシーケンスを示す。図20はNMSからのSetリクエストによりTRAP再送要求を受けたときのTRAP送信のシーケンスを示す。図21はNMSからのGetリクエストによりTRAP再送要求を受けたときのTRAP送信のシーケンスを示す。
【0104】
図22及び図23はNMS内の機能ブロック間の動作シーケンスを示す。図22はT2タイマのタイムアウト前にNEからTRAP群の最終TRAPを受信したときの再送要求処理のシーケンスを示す。図23はNEからTRAP群の最終TRAPを受信することなく、T2タイマがタイムアウトしたときの再送要求処理のシーケンスを示す。
【産業上の利用可能性】
【0105】
図24は本発明が好適に適用されるネットワーク構成の例を示す。同図の構成例では、電話局A(HUB局)にNMSを設置し、該電話局A(HUB局)内の通信装置NE及び該NMSとIPネットワークを介して接続された電話局B及び電話局C内の通信装置NEから成る装置監視ネットワークシステム等に対して好適にてきようすることができる。なお、同図においてODUはアンテナ等の局外装置(Out Door Unit)である。
【図面の簡単な説明】
【0106】
【図1】本発明のNEの構成例を示す図である。
【図2】本発明のNMSの構成例を示す図である。
【図3】NE側のTRAP生成処理フローを示す図である。
【図4】TRAP生成における単位時毎のTRAPカウンタ値の例を示す図である。
【図5】NE側のTRAP解析処理及び単位時間タイムアウト時の処理フローを示す図である。
【図6】TRAP振り分け保持テーブルの構成例を示す図である。
【図7】NE側のTRAP送信処理フローを示す図である。
【図8】送信済みTRAP保持テーブルの構成例を示す図である。
【図9】NMS側のTRAP受信処理フローを示す図である。
【図10】受信TRAP管理テーブルの構成例を示す図である。
【図11】NMS側のコマンド解析処理フローを示す図である。
【図12】T1タイマ監視によるNE−NMS間通信の正常確認動作のシーケンスを示す図である。
【図13】T1タイマ監視によるNE−NMS間通信の異常検出動作のシーケンスを示す図である。
【図14】T2タイマ監視による連続TRAP群受信の正常確認動作のシーケンスを示す図である。
【図15】T2タイマ監視による連続TRAP群受信のTRAP抜け検出動作のシーケンスを示す図である。
【図16】T2タイマ監視による連続TRAP群受信の最終TRAP抜けの場合のシーケンスを示す図である。
【図17】NE側のコマンド解析処理フローを示す図である。
【図18】NE側の再送TRAP生成処理フローを示す図である。
【図19】(a)TRAP数が閾値以内の場合のTRAP送信処理シーケンス及び(b)TRAP数が閾値超過の場合のTRAP送信処理シーケンスを示す図である。
【図20】SetリクエストによるTRAP再送要求の場合のTRAP送信シーケンスを示す図である。
【図21】GetリクエストによるTRAP再送要求の場合のTRAP送信シーケンスを示す図である。
【図22】TRAP群の最終TRAPを受信したときの再送要求処理シーケンスを示す図である。
【図23】TRAP群の最終TRAPが不到達のときの再送要求処理のシーケンスを示す図である。
【図24】本発明が好適に適用されるネットワーク構成の例を示す図である。
【符号の説明】
【0107】
(1) 監視対象装置(NE)
(2) ネットワーク管理装置(NMS)
(3) IPネットワーク網
(A) TRAP生成部
(B) TRAP解析部
(C) TRAP送信部
(D) コマンド送受信処理部
(E) コマンド解析部
(F) 再送TRAP生成部
(G) 単位時間通知用タイマハンドラ
(H) 送信済TRAP保持テーブル
(I) TRAP再生状態
(J) TRAP受信部
(K) コマンド解析部
(L) HMIインタフェース処理部
(M) コマンド送受信処理部
(N) T1タイマ
(O) T2タイマ
(P) 受信TRAP管理テーブル
(Q) モニタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
SNMPマネージャ機能を有するネットワーク管理装置とSNMPエージェント機能を有する監視対象装置とから構成され、該監視対象装置はトラップのコマンドにトラップシーケンス番号を付与して該ネットワーク管理装置へ送信し、該ネットワーク管理装置は該トラップを受信し、該受信トラップに付与されたトラップシーケンス番号を該監視対象装置に通知する装置監視ネットワークシステムにおいて、
前記監視対象装置にて生成するトラップ数を単位時間毎にカウントし、該単位時間毎のトラップ数を予め設定された閾値と比較し、該トラップ数が該閾値を越えた場合に、生成されたトラップを監視機能項目別に振り分け、監視機能項目毎に纏めたトラップ群とし、該トラップ群に付与したトラップ群番号を、前記トラップシーケンス番号に加えて付与し、前記ネットワーク管理装置へ送信するとともに、送信したトラップ群を監視対象装置内部で保持する第一の手段と、
前記ネットワーク管理装置で、受信トラップに対して、トラップ群毎にトラップの連続性をチェックし、トラップの抜け落ちが有る場合に、該抜け落ちたトラップを識別することが可能なトラップシーケンス番号及び該トラップ群番号を付与したセットリクエストコマンドを前記監視対象装置へ送信する第二の手段と、
前記監視対象装置で、前記ネットワーク管理装置からの前記セットリクエストコマンドを解析し、内部で保持している送信済みトラップのトラップ群番号及びTRPシーケンス番号と、前記セットリクエストコマンドに付与されたトラップ群番号及びトラップシーケンス番号とを比較し、前記ネットワーク管理装置で受信されなかった抜け落ちトラップを判別し、該抜け落ちトラップの全てを1つのトラップに再編集し、新規のトラップシーケンス番号を付与して前記ネットワーク管理装置へ送信するとともに、保持していた送信済トラップをクリアする第三の手段と
を備えたことを特徴とする装置監視ネットワークシステム。
【請求項2】
前記第二の手段において、トラップ群の受信状況を連続トラップ群受信タイマによって監視し、トラップ群の最終トラップを受信することなく該連続トラップ群受信タイマがタイムアウトした場合に、当該トラップ群の全トラップの再送を要求するゲットリクエストコマンドを前記監視対象装置へ送信する手段を備え、
前記第三の手段において、前記ネットワーク管理装置からの前記ゲットリクエストコマンドを解析し、再送要求されたトラップ群番号のトラップの全てを1つのトラップに再編集し、新規のトラップシーケンス番号を付与して前記ネットワーク管理装置へ送信する手段を備えたことを特徴とする請求項1に記載の装置監視ネットワークシステム。
【請求項3】
前記第二の手段において、監視対象装置へのセットリクエストコマンドの送信時毎に始動され、該セットリクエストコマンド送信以降の最初のトラップの受信時に停止されるセットリクエスト送信タイマを備え、
セットリクエスト送信タイマのタイムアウト時に、前記ネットワーク管理装置内で保持している最新トラップシーケンス番号及び最新トラップ群番号を付与したセットリクエストを前記監視対象装置へ送信するとともに、該セットリクエスト送信タイマを再始動させる手段を備えたことを特徴とする請求項1に記載の装置監視ネットワークシステム。
【請求項4】
前記第三の手段において、ネットワーク管理装置からのセットリクエストコマンドによるトラップ再編集時は、再送トラップ編集中に新たに生成されたトラップに対して再送トラップとは別の最新トラップシーケンス番号を付与して前記ネットワーク管理装置へ送信し、ネットワーク管理装置からのゲットリクエストコマンドによるトラップ再編集時は、トラップ再編集時に新たに生成された同一監視項目に属するトラップを、編集中の再編集トラップに取り込んで再編集し、前記ネットワーク管理装置に送信する手段を備えたことを特徴とする請求項2に記載の装置監視ネットワークシステム。
【請求項5】
SNMPマネージャ機能を有するネットワーク管理装置とSNMPエージェント機能を有する監視対象装置との間で、監視対象装置からトラップのコマンドにトラップシーケンス番号を付与してネットワーク管理装置へ送信し、ネットワーク管理装置は該トラップを受信し、該受信トラップに付与されたトラップシーケンス番号を該監視対象装置に通知するSNMPのトラップ管理方法において、
前記監視対象装置にて生成するトラップ数を単位時間毎にカウントし、該単位時間毎のトラップ数を予め設定された閾値と比較し、該トラップ数が該閾値を越えた場合に、生成されたトラップを監視機能項目別に振り分け、監視機能項目毎に纏めたトラップ群とし、該トラップ群に付与したトラップ群番号を、前記トラップシーケンス番号に加えて付与し、前記ネットワーク管理装置へ送信するとともに、送信したトラップ群を監視対象装置内部で保持する第一の過程と、
前記ネットワーク管理装置で、受信トラップに対して、トラップ群毎にトラップの連続性をチェックし、トラップの抜け落ちが有る場合に、該抜け落ちたトラップを識別することが可能なトラップ群番号を含むトラップ情報を付与したコマンドを前記監視対象装置へ送信する第二の過程と、
前記監視対象装置で、前記ネットワーク管理装置からの前記コマンドを解析し、内部で保持している送信済みトラップのトラップ群番号を含むトラップ情報と、前記コマンドに付与されたトラップ群番号を含むトラップ情報とを比較し、前記ネットワーク管理装置で受信されなかった抜け落ちトラップを判別し、該抜け落ちトラップの全てを1つのトラップに再編集し、新規のトラップシーケンス番号を付与して前記ネットワーク管理装置へ送信するとともに、保持していた送信済トラップをクリアする第三の過程と
を含むことを特徴とするSNMPのトラップ管理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【公開番号】特開2008−198041(P2008−198041A)
【公開日】平成20年8月28日(2008.8.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−34281(P2007−34281)
【出願日】平成19年2月15日(2007.2.15)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】