説明

装飾品の製造方法、装飾品および時計

【課題】耐久性に優れ、立体感のある美的外観に優れた装飾品を提供すること、前記装飾品を製造することができる製造方法を提供すること、また、前記装飾品を備えた時計を提供すること。特に、被膜形成用のマスクを、多数個の時計用文字板の製造に、繰り返し用いることにより、環境負荷の小さい方法で、耐久性に優れ、立体感のある美的外観に優れた装飾品を製造すること。
【解決手段】本発明の装飾品1の製造方法は、少なくとも一方の面に凸部121を有する基板12を準備する工程と、基板12の凸部121が設けられた面側に、酸化物膜13を形成する工程と、基板12の凸部121が設けられた面側(酸化物膜13が形成された面側)に、凸部121に対応する部位に開口部21が設けられたマスク2を配した状態で、気相成膜を行うことにより、金属膜14を形成する工程と、マスク2を除去する工程とを有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、装飾品の製造方法、装飾品および時計に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、時計用の文字板には、時刻を示す等の機能を有する文字・数字(いわゆる時字等)、目盛、記号や、各種マーク等の指標が用いられている。
このような指標の形成方法としては、広く、印刷が用いられている。
ところで、時計用文字板は、実用品としての機能(例えば、使用者等に、時刻を容易かつ正確に認識させる機能等)が求められるとともに、装飾品としての美的外観も求められる。
【0003】
このため、植字と称される植設材を取り付け固定することにより、印刷に比べて、より立体感のある指標を形成する方法が、特に、高級時計等で採用されている(例えば、特許文献1参照)。
しかしながら、植設材を取り付け固定する方法で製造された時計用文字板では、比較的大きな外力(衝撃力)等が加わると、植設材が文字板本体(基板)から脱離してしまうことがあった。また、また、このような方法で用いる植設材は、一般に、文字板本体に植設するための足部を有しているが、この足部は、他の部位に比べて細くなっている。このため、比較的大きな外力等が加わると、足部が折れてしまう等の問題点があった。上記のような問題は、植設材の高さが高いほど発生し易くなる傾向がある。
【0004】
【特許文献1】特開2003−247096号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、耐久性に優れ、立体感のある美的外観に優れた装飾品を提供すること、前記装飾品を製造することができる製造方法を提供すること、また、前記装飾品を備えた時計を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
このような目的は、下記の本発明により達成される。
本発明の装飾品の製造方法は、少なくとも一方の面に凸部を有する基板を準備する基板準備工程と、
前記基板の前記凸部が設けられた面側に、前記凸部に対応する部位に開口部が設けられたマスクを配した状態で、気相成膜を行うことにより、前記凸部上に被膜を形成する被膜形成工程と、
前記マスクを除去するマスク除去工程とを有することを特徴とする。
これにより、耐久性に優れ、立体感のある美的外観に優れた装飾品を製造することができる製造方法を提供することができる。
【0007】
本発明の装飾品の製造方法では、前記凸部の高さは、100〜500μmであることが好ましい。
これにより、装飾品の耐久性を十分に優れたものとしつつ、装飾品の美的外観を特に優れたものとすることができる。
本発明の装飾品の製造方法では、前記被膜の平均厚さは、0.005〜2.5μmであることが好ましい。
これにより、装飾品の耐久性を十分に優れたものとしつつ、装飾品の美的外観を特に優れたものとすることができる。
【0008】
本発明の装飾品の製造方法では、前記開口部は、前記マスクの前記基板に対向する面からその反対側の面に向かって、断面積が増大する断面積増大部を有するものであることが好ましい。
これにより、装飾品の耐久性および美的外観を特に優れたものとすることができる。
本発明の装飾品の製造方法では、前記被膜形成工程は、前記マスクとして磁性材料を含む材料で構成されたものを用い、前記基板の前記マスクに対向する面とは反対の面側に配された磁石により、前記マスクと、前記被膜が形成されるべきワークとを密着させた状態で行うものであることが好ましい。
これにより、基板上において、目的以外の部位に成膜されるのをより確実に防止することができ、最終的に得られる装飾品の美的外観をより確実に優れたものとすることができる。
【0009】
本発明の装飾品の製造方法では、前記被膜形成工程において、前記基板の主面の法線方向に対して所定の角度θだけ傾斜した方向から、前記被膜の構成材料で構成された気相成膜粒子を前記基板上に入射させることが好ましい。
これにより、より好適な形状の被膜を容易かつ確実に形成することができ、得られる装飾品の美的外観を特に優れたものとすることができる。
【0010】
本発明の装飾品の製造方法では、前記気相成膜粒子を複数の方向から入射させることが好ましい。
これにより、より好適な形状の被膜を容易かつ確実に形成することができ、得られる装飾品の美的外観を特に優れたものとすることができる。また、装飾品を様々な方向から見た際における質感のばらつき等を抑制することができる。
【0011】
本発明の装飾品の製造方法では、前記気相成膜粒子の入射方向を、経時的に変化させることが好ましい。
これにより、より好適な形状の被膜を確実に形成することができ、得られる装飾品の美的外観を特に優れたものとすることができる。また、装飾品を様々な方向から見た際における質感のばらつき等を抑制することができる。
【0012】
本発明の装飾品の製造方法では、前記気相成膜粒子の入射方向が、前記基板の主面の法線を中心に回転するように、前記気相成膜粒子の入射方向を変化させることが好ましい。
これにより、得られる装飾品の美的外観をさらに優れたものとすることができる。また、装飾品を様々な方向から見た際における質感のばらつき等をより効果的に抑制することができる。
【0013】
本発明の装飾品の製造方法では、前記角度θが、1〜50°であることが好ましい。
これにより、装飾品の生産性を十分に優れたものとしつつ、得られる装飾品の美的外観を特に優れたものとすることができる。
本発明の装飾品の製造方法では、前記被膜は、少なくともその外表面付近が、主として金属材料で構成されたものであることが好ましい。
これにより、装飾品としての美的外観を特に優れたものとすることができる。
【0014】
本発明の装飾品の製造方法では、前記基板上に、主として金属酸化物で構成された酸化物膜を形成する酸化物膜形成工程と、
前記酸化物膜上に、主として金属材料で構成された金属膜を形成する金属膜形成工程とを有することが好ましい。
これにより、基板と被膜との密着性をより優れたものとすることができ、結果として、装飾品の耐久性、信頼性を特に優れたものとすることができる。
【0015】
本発明の装飾品の製造方法では、前記装飾品は、時計用文字板であることが好ましい。
時計用文字板は、指標を有する各種装飾品の中でも、特に、優れた美的外観が求められるとともに、使用者等に時刻を容易かつ正確に認識させる等の実用性も求められるが、本発明によれば、立体感のある指標を好適に形成することができるため、美的外観の向上の観点からだけでなく、実用性の向上の観点からも好ましい。したがって、本発明による効果は、時計用文字板に適用した場合により顕著に発揮される。
【0016】
本発明の装飾品は、本発明の方法を用いて製造したことを特徴とする。
これにより、耐久性に優れ、立体感のある美的外観に優れた装飾品を提供することができる。
本発明の時計は、本発明の装飾品を備えたことを特徴とする。
これにより、耐久性に優れ、立体感のある美的外観に優れた装飾品を備えた時計を提供することができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、耐久性に優れ、立体感のある美的外観に優れた装飾品を提供すること、前記装飾品を製造することができる製造方法を提供すること、また、前記装飾品を備えた時計を提供することができる。特に、被膜形成用のマスクを、多数個の時計用文字板の製造に、繰り返し用いることにより、環境負荷の小さい方法で、耐久性に優れ、立体感のある美的外観に優れた装飾品を製造することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明の好適な実施形態について、添付図面を参照しつつ説明する。
本発明において、装飾品は、装飾性を求められる物品(部材)であれば、いかなるものであってもよいが、以下の説明では、装飾品が時計用文字板である場合について、代表的に説明する。
<第1実施形態>
まず、本発明の装飾品、装飾品の製造方法の第1実施形態について説明する。
【0019】
図1は、本発明の第1実施形態の装飾品を示す模式的な断面図、図2は、本発明の第1実施形態の装飾品の製造方法を示す模式的な断面図、図3は、金属膜(被膜)を形成する際の気相成膜粒子の進行方向を説明するための図である。なお、本明細書で参照する図面は、構成の一部を強調して示したものであり、実際の寸法等を正確に反映したものではない。
図1に示すように、本実施形態の装飾品(時計用文字板)1は、基板12と、酸化物膜13と、光を反射する機能を有する金属膜(被膜)14とを有している。
【0020】
[基板]
基板12は、いかなる材料で構成されたものであってもよいが、各種熱可塑性樹脂、各種熱硬化性樹脂等のプラスチック材料で構成されたものであるのが好ましい。プラスチック材料は、一般に、成形性(成形の自由度)に優れており、種々の形状の装飾品1の製造に好適に適用することができる。また、基板12がプラスチック材料で構成されたものであると、装飾品1の製造コスト低減に有利である。また、プラスチック材料は、一般に、電磁波の透過性に優れているため、基板12がプラスチック材料で構成されたものであると、装飾品1をソーラー時計(太陽電池を備えた時計)、電波時計、ソーラー電波時計等に好適に適用することができる。以下の説明では、基板12がプラスチック材料で構成された例を、中心に説明する。
【0021】
基板12を構成するプラスチック材料としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)等のポリオレフィン、環状ポリオレフィン、変性ポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリスチレン、ポリアミド(例:ナイロン6、ナイロン46、ナイロン66、ナイロン610、ナイロン612、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン6−12、ナイロン6−66)、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリカーボネート(PC)、ポリ−(4−メチルペンテン−1)、アイオノマー、アクリル系樹脂、ポリメチルメタクリレート、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS樹脂)、アクリロニトリル−スチレン共重合体(AS樹脂)、ブタジエン−スチレン共重合体、ポリオキシメチレン、ポリビニルアルコール(PVA)、エチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリシクロヘキサンテレフタレート(PCT)等のポリエステル、ポリエーテル、ポリエーテルケトン(PEK)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエーテルイミド、ポリアセタール(POM)、ポリフェニレンオキシド、変性ポリフェニレンオキシド、ポリサルフォン、ポリエーテルサルフォン、ポリフェニレンサルファイド、ポリアリレート、芳香族ポリエステル(液晶ポリマー)、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、その他フッ素系樹脂、スチレン系、ポリオレフィン系、ポリ塩化ビニル系、ポリウレタン系、ポリエステル系、ポリアミド系、ポリブタジエン系、トランスポリイソプレン系、フッ素ゴム系、塩素化ポリエチレン系等の各種熱可塑性エラストマー、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル、シリコーン系樹脂、ウレタン系樹脂、ポリパラキシリレン(poly-para-xylylene)、ポリモノクロロパラキシリレン(poly-monochloro-para-xylylene)、ポリジクロロパラキシリレン(poly-dichloro-para-xylylene)、ポリモノフルオロパラキシリレン(poly-monofluoro-para-xylylene)、ポリモノエチルパラキシリレン(poly-monoethyl-para-xylylene)等のポリパラキシリレン樹脂等、またはこれらを主とする共重合体、ブレンド体、ポリマーアロイ等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて(例えば、ブレンド樹脂、ポリマーアロイ、積層体等として)用いることができる。基板12は、上記のような材料の中でも特に、ポリカーボネート(PC)、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS樹脂)から選択される少なくとも1種を含む材料で構成されたものであるのが好ましい。これにより、装飾品1全体としての強度を特に優れたものとすることができる。また、装飾品1の製造時においては、基板12の成形の自由度が増す(成形のし易さが向上する)ため、より複雑な形状の装飾品1であっても、容易かつ確実に製造することができる。また、基板12がポリカーボネート(PC)、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS樹脂)から選択される少なくとも1種を含む材料で構成されたものであると、基板12と被膜との密着性(特に、酸化物膜13を介しての金属膜(被膜)14との密着性)を特に優れたものとすることができる。また、ポリカーボネートは、各種プラスチック材料の中でも比較的安価で、装飾品1の生産コストのさらなる低減に寄与することができる。また、ABS樹脂は、特に優れた耐薬品性も有しており、装飾品1全体としての耐久性をさらに向上されることができる。
【0022】
なお、基板12は、プラスチック材料以外の成分を含むものであってもよい。このような成分としては、例えば、可塑剤、酸化防止剤、着色剤(各種発色剤、蛍光物質、りん光物質等を含む)、光沢剤、フィラー等が挙げられる。
また、基板12は、少なくとも表面付近の一部(後述する酸化物膜13が形成される部位)が主としてプラスチック材料で構成されたものであればよく、例えば、プラスチック材料を含まない材料で構成された部位を有するものであってもよい。
【0023】
また、基板12は、各部位でその組成が実質的に均一な組成を有するものであってもよいし、部位によって組成の異なるものであってもよい。例えば、基板12は、基部と、該基部上に設けられた表面層を有するものであってもよい。基板12がこのような構成のものである場合、少なくともその表面付近の一部(後述する酸化物膜13が形成される部位)が上述したような、主としてプラスチック材料で構成されたものであればよい。
【0024】
また、基板12は、全体として、略板状をなすものであり、少なくともその一方の面(主面)に、凸部121を有している。凸部121は、時計用文字板(装飾品)1における、文字・数字(いわゆる時字等)、目盛、記号や、各種マーク等の指標15に対応する形状、大きさをなすものである。
凸部121の高さは、特に限定されないが、100〜500μmであるのが好ましく、200〜350μmであるのがより好ましく、220〜330μmであるのがさらに好ましい。凸部121の高さが前記範囲内の値であると、装飾品1の耐久性を十分に優れたものとしつつ、装飾品1の美的外観を特に優れたものとすることができる。
【0025】
また、基板12の形状、大きさは、特に限定されず、通常、装飾品1の形状、大きさに基づいて決定される。また、基板1は、平板状をなすものに限定されず、例えば、湾曲板状をなすものであってもよい。
また、基板12は、いかなる方法で成形されたものであってもよいが、基板12の成形方法としては、例えば、圧縮成形、押出成形、射出成形、光造形等が挙げられる。
【0026】
[酸化物膜]
基板12の表面には、酸化物膜13が設けられている。このように、本実施形態では、主としてプラスチック材料で構成された基板12の表面に、金属膜(被膜)14が直接設けられずに、基板12と金属膜14との間に酸化物膜13が介在している。これにより、基板12と金属膜14との密着性(酸化物膜13を介しての密着性)、特に、後述するような気相成膜により形成される金属膜14の密着性を向上させることができ、金属膜(被膜)14の浮きや剥がれ(剥離)等を効果的に防止することができる。その結果、装飾品1は耐久性に優れたものとなる。また、装飾品1は、金属膜14を有しているため、美的外観にも優れている。
【0027】
酸化物膜13は、主として金属酸化物で構成されたものである。
酸化物膜13を構成する金属酸化物としては、各種金属の酸化物を用いることができ、好ましくは、Fe、Cu、Zn、Ni、Mg、Cr、Mn、Mo、Nb、Al、V、Zr、Sn、Au、Pd、Pt、Ag、Co、In、W、Ti、Rhの酸化物(複合酸化物を含む)が挙げられる。酸化物膜13が、酸化チタン(複合酸化物を含む)、酸化クロム(複合酸化物を含む)から選択される少なくとも1種を含む材料で構成されたものであると、基板12と金属膜14との密着性をより優れたものとすることができる。
【0028】
また、酸化物膜13の平均厚さは、特に限定されないが、0.005〜1.0μmであるのが好ましく、0.007〜0.5μmであるのがより好ましく、0.01〜0.3μmであるのがさらに好ましい。酸化物膜13の平均厚さが前記範囲内の値であると、装飾品1全体としての美的外観を特に優れたものとすることができるとともに、酸化物膜13の内部応力が高くなるのを十分に防止しつつ、基板12と金属膜14との密着性を特に優れたものとすることができる。これに対し、酸化物膜13の平均厚さが前記下限値未満であると、酸化物膜13、基板12、金属膜14の構成材料等によっては、基板12と金属膜14との密着性を向上させる機能が十分に発揮されない可能性がある。また、酸化物膜13の平均厚さが前記下限値未満であると、酸化物膜13の形成方法等によっては、酸化物膜13にピンホールが生じ易くなり、酸化物膜13を備えることによる効果が十分に発揮されない可能性がある。また、酸化物膜13の平均厚さが前記上限値を超えると、酸化物膜13の各部位における膜厚のばらつきが大きくなる傾向を示す。また、酸化物膜13の平均厚さが特に大きい場合は、酸化物膜13の内部応力が高くなり、クラック等が発生し易くなる。
【0029】
また、酸化物膜13の平均厚さは、後述する金属膜14の平均厚さよりも小さいものであるの好ましい。これにより、基板12と金属膜(被膜)14との密着性を十分に優れたものとしつつ、装飾品1の美的外観を特に優れたものとすることができる。特に、酸化物膜13の平均厚さをT[μm]、金属膜14の平均厚さをT[μm]としたとき、0.005≦T−T≦1.5の関係を満足するのが好ましく、0.007≦T−T≦1.0の関係を満足するのがより好ましく、0.01≦T−T≦0.5の関係を満足するのがさらに好ましい。このような関係を満足することにより、上記のような効果はさらに顕著なものとして発揮される。
【0030】
また、酸化物膜13は、各部位で均一な組成を有するものであってもよいし、そうでなくてもよい。例えば、酸化物膜13は、含有成分(組成)が厚さ方向に順次変化するもの(傾斜材料)であってもよい。また、酸化物膜13は、複数の層を有する積層体であってもよい。これにより、例えば、基板12および金属膜14との密着性をさらに向上させることができる。より具体的には、前記積層体の基板12と接触する側の層を基板12との密着性に優れる材料で構成し、前記積層体の金属膜14と接触する側の層を金属膜14との密着性に優れる材料で構成することにより、基板12および金属膜14との密着性をさらに向上させることができる。また、酸化物膜13が積層体である場合、例えば、実質的に金属酸化物を含まない材料で構成された層を有していてもよい。より具体的には、酸化物膜13は、金属酸化物で構成された2つの層の間に、プラスチック材料等で構成された層が介挿された構成を有するものであってもよい。
【0031】
[金属膜(被膜)]
基板12の凸部121を被覆するように、金属膜(被膜)14が設けられている。特に、本実施形態では、酸化物膜13の表面(基板12と接触する面とは反対側の面)のうち、基板12の凸部121を被覆する部位に、金属膜(被膜)14が設けられている。
このように、装飾品(時計用文字板)1においては、凸部121上に、金属膜(被膜)14が設けられることにより、指標15をなしている。
【0032】
上記のように、金属膜14は、基板12の凸部121上に設けられているため、指標15は、優れた立体感を有している。また、金属膜14は、後に詳述するような方法により形成されたものであるため、目的とする部位に確実に設けられており、不本意な部分に金属膜14が設けられていない。
金属膜14は、主として金属材料で構成されたものである。金属膜14を構成する金属材料は、一般に、金属光沢を有しており、光(可視光)を反射する機能を有している。したがって、金属膜14は、光(可視光)を反射する反射膜として機能する。
【0033】
金属膜14を構成する金属材料としては、各種金属(合金を含む)を用いることができ、好ましくは、Fe、Cu、Zn、Ni、Mg、Cr、Mn、Mo、Nb、Al、V、Zr、Sn、Au、Pd、Pt、Ag、Co、In、W、Ti、Rhや、これらのうち少なくとも1種を含む合金が挙げられる。金属膜14は、上記のような材料の中でも特に、Ag、Cr、Au、Al、Ti、Sn、Inから選択される少なくとも1種を含む材料(合金を含む)で構成されたものであるのが好ましい。これにより、金属膜14と酸化物膜13との密着性を特に優れたものとするとともに、装飾品1の美的外観を特に優れたものとすることができる。なお、金属膜14は、金属材料以外の成分を含むものであってもよい。
【0034】
また、金属膜14の構成材料は、酸化物膜13を構成する元素のうち少なくとも1種を含むものであってもよい。言い換えると、酸化物膜13と金属膜14とは、少なくともこれらが接触する部位において、互いに共通の元素を含む材料で構成されたものであってもよい。例えば、酸化物膜13がMOn/2の組成式(ただし、Mは金属元素を表し、nはMの価数を示す)で表される金属酸化物を含む場合、金属膜14は、Mを含むものであってもよい。これにより、酸化物膜13と金属膜14との密着性がさらに向上する。
【0035】
金属膜14の表面(基板12と対向する面とは反対側の面の表面)は、実質的に平坦(平滑)なもの、すなわち、鏡面であるのが好ましい。これにより、装飾品1の美的外観は特に優れたものとなる。より具体的には、金属膜14の表面粗さRa(基板12と対向する面とは反対側の面の表面粗さRa)は、特に限定されないが、0.001〜0.5μmであるのが好ましく、0.001〜0.1μmであるのがより好ましい。これにより、上記のような効果はさらに顕著なものとして発揮される。
【0036】
金属膜(被膜)14の平均厚さは、特に限定されないが、0.005〜2.5μmであるのが好ましく、0.007〜0.9μmであるのがより好ましく、0.01〜0.5μmであるのがさらに好ましい。金属膜14の平均厚さが前記範囲内の値であると、金属膜14の内部応力が高くなるのを十分に防止しつつ、装飾品1の審美性を特に優れたものとすることができる。また、酸化物膜13と金属膜14との密着性を特に優れたものとすることができる。また、装飾品1全体としての電磁波(電波、光)の透過率を十分に大きいものとすることができる。これに対し、金属膜14の平均厚さが前記下限値未満であると、金属膜14の構成材料等によっては、金属膜14の光沢、色調等の特長を十分に発揮するのが困難となり、装飾品1全体としての審美性を十分に高めるのが困難になる可能性がある。また、金属膜14の平均厚さが前記下限値未満であると、金属膜14の形成方法等によっては、金属膜14にピンホールが生じ易くなる。また、金属膜14の平均厚さが前記下限値未満であると、指標15の立体感を十分に表現することが困難となり、装飾品(時計用文字板)1としての美的外観を十分に優れたものとするのが困難になる可能性がある。また、金属膜14、酸化物膜13の構成材料等によっては、酸化物膜13と金属膜14との密着性を十分に向上させるのが困難になる可能性がある。一方、金属膜14の平均厚さが前記上限値を超えると、金属膜14の各部位における膜厚のばらつきが大きくなる傾向を示す。また、金属膜14の平均厚さが特に大きい場合は、金属膜14の内部応力が高くなり、クラック等が発生し易くなる。また、金属膜14の平均厚さが前記上限値を超えると、装飾品1全体としての電磁波(電波、光)の透過率が減少する傾向を示す。
【0037】
また、金属膜14は、各部位で均一な組成を有するものであってもよいし、そうでなくてもよい。例えば、金属膜14は、含有成分(組成)が厚さ方向に順次変化するもの(傾斜材料)であってもよい。また、金属膜14は、複数の層を有する積層体であってもよい。これにより、例えば、酸化物膜13との密着性を特に優れたものとしつつ、装飾品1としての審美性をさらに高めることができる。すなわち、前記積層体の酸化物膜13と接触する側の層を酸化物膜13との密着性に優れる材料で構成し、前記積層体の最外層(酸化物膜13から最も離れた側の層)を審美性に優れる材料で構成することにより、酸化物膜13との密着性を特に優れたものとしつつ、装飾品1としての審美性をさらに高めることができる。また、金属膜14が積層体である場合、例えば、実質的に金属材料を含まない材料で構成された層を有していてもよい。より具体的には、金属膜14は、金属材料で構成された2つの層の間に、金属酸化物等で構成された層が介挿された構成を有するものであってもよい。
【0038】
また、前述した酸化物膜13の平均厚さと金属膜14の平均厚さとの和は、0.01〜2.5μmであるのが好ましく、0.014〜1.5μmであるのがより好ましく、0.02〜0.8μmであるのがさらに好ましい。酸化物膜13の平均厚さと金属膜14の平均厚さとの和が前記範囲内の値であると、酸化物膜13や金属膜14の内部応力が高くなるのを十分に防止しつつ、基板12、酸化物膜13、金属膜14の密着性を特に優れたものとすることができる。また、酸化物膜13の平均厚さと金属膜14の平均厚さとの和が前記範囲内の値であると、装飾品1全体としての電波の透過性が向上する。その結果、装飾品1を電波時計用部品により好適に適用することができる。
【0039】
[装飾品]
以上説明したような装飾品1は、装飾性を備えた物品であればいかなるものでもよいが、例えば、置物等のインテリア、エクステリア用品、宝飾品、時計ケース(胴、裏蓋、胴と裏蓋とが一体化されたワンピースケース等)、時計バンド(バンド中留、バンド・バングル着脱機構等を含む)、時計用文字板、時計用針、ベゼル(例えば、回転ベゼル等)、りゅうず(例えば、ネジロック式りゅうず等)、ボタン、カバーガラス、ガラス縁、ダイヤルリング、見切板、パッキン等の時計用部品、ムーブメントの地板、歯車、輪列受け、回転錘等の時計用内装部品、メガネ(例えば、メガネフレーム)、ネクタイピン、カフスボタン、指輪、ネックレス、ブレスレット、アンクレット、ブローチ、ペンダント、イヤリング、ピアス等の装身具、ライターまたはそのケース、自動車のホイール、ゴルフクラブ等のスポーツ用品、銘板、パネル、賞杯、その他ハウジング等を含む各種機器部品、各種容器等に適用することができる。この中でも特に、装飾品1は、時計用文字板に適用されるものであるのが好ましい。時計用文字板は、時計を構成する各種部品の中でも、特に優れた美的外観が要求される部品である。また、時計用文字板は、一般に、各種装飾品の中でも、時字等の凹凸部となる部位を多く有するものであり、これにより、美的外観の向上の効果を効率よく得ることができる。すなわち、時計用文字板に適用することにより、本発明の効果をより顕著に発揮させることができる。また、時計用文字板においては、立体的な時字を有することにより、針(指針)による時刻表示を容易かつ正確に認識することができる。このため、本発明を時計用文字板に適用することにより、装飾品としての優れた美的外観を得るとともに、実用品としての機能を向上させることができる。
【0040】
次に、上述した装飾品1の製造方法について説明する。
図2は、本発明の第1実施形態の装飾品の製造方法を示す模式的な断面図である。
図2に示すように、本実施形態の装飾品の製造方法は、基板12を準備する基板準備工程(1a)と、基板12の表面に酸化物膜13を形成する酸化物膜形成工程(1b)と、酸化物膜13の表面(基板12上)に、基板12が有する凸部121に対応する部位に開口部21が設けられたマスク(気相成膜用マスク)2を配した状態で、気相成膜を行うことにより、凸部121上に金属膜14を形成する金属膜形成工程(被膜形成工程)(1c、1d)と、マスク2を除去するマスク除去工程(1e)とを有する。
【0041】
[基板準備工程]
基板12としては、前述したようなものを用いることができる。
また、基板12の表面に対しては、例えば、鏡面加工、スジ目加工、梨地加工等の表面加工が施されてもよい。これにより、得られる装飾品1の表面の光沢具合にバリエーションを持たせることが可能となり、得られる装飾品1の装飾性をさらに向上させることができる。
【0042】
また、このような表面加工を施した基板12を用いて製造される装飾品1は、酸化物膜13、金属膜14に対して、前記表面加工を施すことにより得られるものに比べて、金属膜14のギラツキ等が抑制されたものとなり、特に美的外観に優れたものとなる。また、基板12が、主としてプラスチック材料で構成されたものであると、上記のような表面加工も容易に行うことができる。また、酸化物膜13、金属膜14は、通常、比較的薄いものであるため、酸化物膜13、金属膜14に対して表面加工を施すと、当該表面処理を施した部位の酸化物膜13、金属膜14が完全に除去されてしまったり、その周囲の酸化物膜13、金属膜14も剥離してしまう等の問題が発生する可能性があるが、基板12に対して表面処理を行うことにより、このような問題の発生も効果的に防止することができる。
【0043】
[酸化物膜形成工程]
基板12の表面に、主として金属酸化物で構成された酸化物膜13を形成する(1b)。
上述したように、酸化物膜13は、基板12および金属膜14との密着性に優れるものである。このような酸化物膜13を形成することにより、装飾品1全体としての耐久性を特に優れたものとすることができる。
【0044】
酸化物膜13の形成方法は、特に限定されず、例えば、スピンコート、ディッピング、刷毛塗り、噴霧塗装、静電塗装、電着塗装等の塗装、電解めっき、浸漬めっき、無電解めっき等の湿式めっき法や、熱CVD、プラズマCVD、レーザーCVD等の化学蒸着法(CVD)、真空蒸着、スパッタリング、イオンプレーティング等の気相成膜法、溶射等が挙げられるが、気相成膜法が好ましい。酸化物膜13の形成方法として気相成膜法を適用することにより、均一な膜厚を有し、均質で、かつ、基板12との密着性が特に優れた酸化物膜13を確実に形成することができる。その結果、最終的に得られる装飾品1の審美的外観、耐久性を特に優れたものとすることができる。また、酸化物膜13の形成方法として気相成膜法を適用することにより、形成すべき酸化物膜13が比較的薄いものであっても、膜厚のばらつきを十分に小さいものとすることができる。また、後に詳述するように、金属膜14が気相成膜により形成されるものであるため、酸化物膜13の形成方法として気相成膜法を適用することにより、装飾品1の製造において、製造過程における基板12を気相成膜装置から一旦取り出すことなく、本工程と金属膜形成工程とを、引き続いて行うことができる。このため、装飾品1の生産性を特に優れたものとすることができる。また、上記のような気相成膜法の中でも、スパッタリングが特に好ましい。酸化物膜13の形成方法としてスパッタリングを適用することにより、上記のような効果はより顕著なものとなる。すなわち、酸化物膜13の形成方法としてスパッタリングを適用することにより、均一な膜厚を有し、均質で、かつ、基板12との密着性が特に優れた酸化物膜13をより確実に形成することができる。その結果、最終的に得られる装飾品1の審美的外観、耐久性をさらに優れたものとすることができる。また、酸化物膜13の形成方法としてスパッタリングを適用することにより、形成すべき酸化物膜13が比較的薄いものであっても、膜厚のばらつきを特に小さいものとすることができる。なお、上記のような気相成膜法を適用する場合、例えば、酸化物膜13を構成する金属酸化物に対応する金属をターゲットとして用い、酸素ガスを含む雰囲気中で処理を行うことにより、酸化物膜13を容易かつ確実に形成することができる。また、酸化物膜13の形成は、異なる複数の方法、条件を組み合わせて行ってもよい。これにより、前述したような積層体で構成された酸化物膜13を好適に形成することができる。
【0045】
[金属膜形成工程(被膜形成工程)]
次に、酸化物膜13の表面(基板12上)に、基板12が有する凸部121に対応する部位に開口部21が設けられたマスク(気相成膜用マスク)2を配した状態で、気相成膜を行うことにより、凸部121上に金属膜14を形成する(1c、1d)。
このように、マスク2を配した状態で気相成膜を行うことにより、酸化物膜13で被覆された基板12の表面の、マスク2の開口部21に対応する部位に、選択的に金属膜14が被覆され、指標15が形成される。
【0046】
また、このように、マスク2を配した状態で気相成膜を行うことにより、以下のような効果も得られる。
すなわち、従来の印刷を用いた方法や、植設材を取り付け固定する方法に比べて、指標の立体感を優れたものとしつつ、指標の基板に対する密着性を高いものとすることができる。
【0047】
また、多数個の装飾品1の製造に、マスク2を繰り返し用いることができるため、装飾品1の生産性が向上するとともに、各装飾品1間での品質のばらつきを抑制することができる。すなわち、装飾品1の品質の信頼性が向上する。
また、形成すべき指標15に対応するパターン(反転したパターン)の開口部21を有するマスク2を用意することにより、金属膜14の形成条件を大きく変更することなく、多様なパターンの指標15を有する装飾品1の生産にも好適に対応することができる。また、気相成膜に用いる材料(気相成膜材料)や気相成膜の処理時間等を変更することで、まったく異なる外観を呈する多品種の装飾品1を、容易に製造することができる。すなわち、多品種生産にも効率良く対応することができる。
【0048】
上記のように、金属膜14は、気相成膜により形成されるものである。金属膜14の形成に適用することができる気相成膜法としては、例えば、熱CVD、プラズマCVD、レーザーCVD等の化学蒸着法(CVD)、真空蒸着、スパッタリング、イオンプレーティング等が挙げられる。金属膜14の形成方法として気相成膜法を適用することにより、均一な膜厚を有し(不本意な厚さのばらつきが抑制され)、均質で、かつ、酸化物膜13との密着性が特に優れた金属膜14を確実に形成することができる。その結果、最終的に得られる装飾品1の審美的外観、耐久性を特に優れたものとすることができる。また、金属膜14の形成方法として気相成膜法を適用することにより、形成すべき金属膜14が比較的薄いものであっても、膜厚のばらつきを十分に小さいものとすることができる。
【0049】
また、上記のような気相成膜法の中でも、スパッタリングが特に好ましい。金属膜14の形成方法としてスパッタリングを適用することにより、上記のような効果はより顕著なものとなる。すなわち、金属膜14の形成方法としてスパッタリングを適用することにより、均一な膜厚を有し、均質で、かつ、酸化物膜13との密着性が特に優れた金属膜14をより確実に形成することができる。その結果、最終的に得られる装飾品1の審美的外観、耐久性をさらに優れたものとすることができる。また、金属膜14の形成方法としてスパッタリングを適用することにより、形成すべき金属膜14が比較的薄いものであっても、膜厚のばらつきを特に小さいものとすることができる。
【0050】
なお、上記のような気相成膜では、例えば、金属膜14を構成する金属をターゲットとして用い、アルゴンガス等の不活性ガス雰囲気中で処理を行うことにより、金属膜14を容易かつ確実に形成することができる。また、上述した酸化物膜形成工程を気相成膜法により行う場合、例えば、気相成膜装置内(チャンバー内)の雰囲気ガスの組成を、酸素ガスを含むものから、不活性ガスに置換し、必要に応じて、ターゲットを変更することにより、同一装置内で、酸化物膜形成工程と金属膜形成工程とを、(基板12を装置内から取り出すことなく)引き続いて行うことができる。これにより、基板12、酸化物膜13、金属膜14の密着性が特に優れたものとなるとともに、装飾品1の生産性、信頼性も向上する。
【0051】
また、金属膜14の形成は、異なる複数の方法、条件を組み合わせて行ってもよい。これにより、前述したような積層体で構成された金属膜14を好適に形成することができる。
上述したように、金属膜形成工程(被膜形成工程)は、気相成膜により行うものであり、これにより、上記のような優れた効果が得られる。これに対し、気相成膜以外の方法で金属膜(被膜)14を形成した場合には、上記のような効果は得られない。例えば、開口部を備えたマスクを配した状態で、湿式めっきを行った場合、形成される金属膜(被膜)の厚さのばらつきを十分に小さくすることは困難である。特に、形成すべき被膜の厚さが比較的薄いものであると、各部位での厚さのばらつきや被膜表面の微小な凹凸は特に顕著なものとなり、装飾品の美的外観を十分に優れたものとすることができない。また、湿式めっきを行った場合、形成される被膜の内部や被膜が被覆される部材との界面付近にめっき液が残存する可能性がある。このように、めっき液が残存すると、装飾品の耐久性を著しく低下させる。また、湿式めっき後に洗浄を行った場合でも、完全にめっき液を除去するのは困難であり、特に、被膜が上記のように比較的薄いものであると、形成された被膜にダメージを与えることなく、めっき液を確実に除去するのは困難である。また、湿式めっきを行った場合、膜厚制御が困難で比較的被膜が厚くなる為、マスクの繰り返し使用が難しくなる(マスクの開口部寸法が小さくなる)という問題が生じる。
【0052】
また、本実施形態において、マスク2は、基板12(酸化物膜13)に対向する面(主面)である第1の面22側から、その反対の面(主面)である第2の面23側に向かって開口部21の断面積が増大する断面積増大部212を有するものである。言い換えると、開口部21は、マスク2の主面に垂直な方向に対して所定角度だけ傾斜した傾斜面211によって、マスク2の基板12に対向する第1の面22側から第2の面23側に向かって、その断面積が増大する断面積増大部212を有するものとして設けられている。このようなマスク2を用いることにより、凸部121全体を確実に被覆するように、金属膜(被膜)14を形成することができる。言い換えると、凸部121の側面等にも、確実に気相成膜材料を付着させることができる。その結果、より確実に、装飾品1の美的外観を特に優れたものとすることができる。
【0053】
マスク2の開口部21(断面積増大部212)において、開口部21の断面積が最小となる断面積最小部213での断面積(図示の構成では、第1の面22における開口部21の断面積)をS’[μm]、開口部21の断面積が最大となる断面積最大部214での断面積(図示の構成では、第2の面23における開口部21の断面積)をS’[μm]としたとき、0.10≦S’/S’≦0.95の関係を満足するのが好ましく、0.15≦S’/S’≦0.90の関係を満足するのがより好ましく、0.20≦S’/S’≦0.85の関係を満足するのがさらに好ましい。このような関係を満足することにより、凸部121全体を被覆するように、金属膜(被膜)14をより確実に形成することができる。これに対し、S’/S’の値が前記下限値未満であると、上記のような断面積増大部212を有することによる効果が十分に発揮されない可能性がある。また、S’/S’の値が前記下限値未満であると、形成する金属膜(被膜)14の厚さ等によっては、後述するマスク除去工程において、マスク2を除去する際に、マスク2とともに、形成された金属膜(被膜)14の少なくとも一部が、基板12上(酸化物膜13上)から除去されてしまい、最終的に得られる装飾品1の美的外観が低下してしまう可能性がある。また、マスク2の構成材料等によっては、マスク2の形状の安定性が低下し、金属膜14の形成時にマスク2が変形してしまう可能性がある。また、マスク2の耐久性が低下し、装飾品1の生産性が低下する傾向が顕著になる可能性がある。一方、S’/S’の値が前記上限値を超えると、マスク2の構成材料、金属膜14の構成材料等によっては、マスク2が断面積増大部212を有することによる効果が十分に発揮されず、装飾品1の美的外観を十分に優れたものとするのが困難になる可能性がある。
【0054】
開口部21は、指標15(形成すべき金属膜(被膜)14)に対応する形状、大きさ(平面視した際の形状、大きさ)を有するものであるが、開口部21の幅は、凸部121の幅(より正確には、酸化物膜13で被覆された凸部121の幅)よりも、やや大きいものであるのが好ましい。より具体的には、開口部21の幅W[μm]と凸部121の幅(より正確には、酸化物膜13で被覆された凸部121の幅)W[μm]との差(W−W)は、2〜50μmであるのが好ましく、5〜30μmであるのがより好ましい。これにより、凸部121全体を被覆するように、金属膜(被膜)14をより確実に形成することができる。なお、図示の構成のように、開口部21が断面積最小部213を有するものである場合、開口部21の幅Wとしては、断面積最小部213での幅を採用する。
【0055】
マスク2の具体的な厚さは、形成すべき金属膜14の厚さ等にもよるが、30〜200μmであるのが好ましく、50〜150μmであるのがより好ましい。
このようなマスク2は、例えば、板上の部材を用意し、これに、エッチング等の化学的処理を施したり、レーザー光等のエネルギー線の照射、旋盤処理等の機械的処理(物理的処理)を施したりする等して、開口部21を形成することにより得ることができる。
【0056】
マスク2はいかなる材料で構成されたものであってもよく、マスク2の構成材料としては、各種金属材料、各種セラミックス材料、各種プラスチック材料等が挙げられる。中でも、マスク2の構成材料としては、金属材料が好ましい。マスク2が金属材料で構成されたものであると、マスク2の耐久性を特に優れたものとすることができる。その結果、装飾品1の生産性を特に優れたものとすることができるとともに、多数個の装飾品1において品質のばらつきを抑制することができ、装飾品1の信頼性が向上する。また、金属材料は、一般に、適度な弾性を有しており、形状の追従性が高いものが多く、基板12(製造すべき装飾品1)が平板状のものに限らず、湾曲板状等のものであっても、好適に適用することができる。また、1種類のマスク2を異なる形状の基板12(例えば、平板状の基板12、湾曲板状の基板12)に対しても、共通して利用することができる。
【0057】
特に、本実施形態では、マスク2として、磁性材料(常磁性、強磁性を有する材料)を含む材料で構成されたものを用いている。そして、基板12のマスク2に対向する面とは反対の面側には図示しない磁石が配されており、これにより、マスク2と、被膜としての金属膜14が形成されるべきワークとしての基板12(酸化物膜13で被覆された基板12)とを、確実に密着させることができる。その結果、基板12上において、目的以外の部位に金属膜14が形成されるのをより確実に防止することができ、最終的に得られる装飾品1の美的外観を確実に優れたものとすることができる。すなわち、製造される装飾品1の信頼性を特に優れたものとすることができる。
【0058】
磁石は、例えば、永久磁石であってもよいし、電磁石であってもよい。
上記のように、本実施形態において、マスク2は、磁性材料を含む材料で構成されたものであるが、マスク2は、例えば、実質的に磁性材料のみで構成されるものであってもよいし、他の成分を含むものであってもよい。
また、マスク2は、図示しない表面層を有するものであってもよい。これにより、例えば、マスク2の耐久性を特に優れたものとすることができたり、気相成膜時に、マスク2上に金属膜14の構成材料が強固に付着するのを効果的に防止することができる。このような表面層を構成する材料としては、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等のフッ素系樹脂、シリコーン系樹脂、ダイヤモンド様炭素(DLC)等が挙げられる。
【0059】
また、マスク2は、基板12の凸部121に対応する部位に開口部21を有するものであればよく、例えば、基板12の凸部121に対応する部位以外の部位に開口部を有するものであってもよい。これにより、最終的に得られる装飾品1において、基板121の指標15が設けられた部位以外の部位において、所定のパターンの模様等を設けることができ、装飾品1の美的外観を更に優れたものとすることができる。
【0060】
また、本工程を気相成膜により行う場合、気相成膜は、例えば、基板12の主面(金属膜14で被覆すべき主面)の法線方向に対して所定の角度θだけ傾斜した方向から、金属膜14の構成材料で構成された気相成膜粒子(例えば、スパッタリングの場合はスパッタ粒子)を基板12上に入射させるように行ってもよい。これにより、凸部121全体を被覆するように、金属膜(被膜)14をより確実に形成することができる。
【0061】
このような場合、気相成膜粒子の入射方向と基板12の主面の法線方向とでなす角度θは、特に限定されないが、1〜50°であるのが好ましく、3〜40°であるのがより好ましく、5〜30°であるのがさらに好ましい。角度θが前記範囲内の値であると、凸部121全体を被覆するように、金属膜(被膜)14をより確実に形成することができる。
また、気相成膜粒子は一方向からだけではなく、基板12に対し複数の方向から入射させるのが好ましい。これにより、好適な形状の金属膜14を、容易かつ確実に形成することができ、得られる装飾品1についての美的外観を特に優れたものとすることができる。また、装飾品1を、様々な方向から見た際における質感のばらつき等がより効果的に抑制されたものとして得ることができる。
【0062】
複数の方向から気相成膜粒子を入射させる方法としては、例えば、複数の気相成膜用の材料である気相成膜源(ターゲット、蒸着源等)を用意し、これらを異なる部位に設置し、これら複数の気相成膜源から同時または順番に気相成膜粒子を発生させる方法も挙げられるが、例えば、基板12と気相成膜源とを相対的に移動(変位)させつつ、気相成膜源から気相成膜粒子を発生させる方法が挙げられる。基板12と気相成膜源とを相対的に移動(変位)させる方法としては、例えば、基板12を固定した状態で気相成膜源を移動(変位)させる方法、気相成膜源を固定した状態で基板12を移動(変位)させる方法、気相成膜源および基板12をともに移動(変位)させる方法が挙げられる。中でも、基板12を移動(変位)させる場合、気相成膜源を固定する従来の気相成膜装置をそのまま使用しやすいという効果が得られる。
【0063】
以下、基板12を移動(変位)させる方法について、図3を参照しつつ、より具体的に説明する。
図3に示す構成では、基板12の主面の法線と軸9の長手方向とのなす角が、所定の角度θを維持するように、基板12を、軸9上でこまのように回転させる構成になっている。言い換えると、図3に示す構成では、軸9の延長線が基板12の表面(入射面)に接触する部位における基板12の主面の法線が、軸9を中心とした円錐の周面を形成するように、基板12が回転する。このような構成であることにより、例えば、気相成膜粒子の入射方向に対して、基板12の主面の法線が角度θだけ傾斜した状態を維持しつつ、気相成膜粒子の入射方向を経時的に変化させることができる。これにより、好適な形状の金属膜14を、容易かつ確実に形成することができ、得られる装飾品1についての美的外観を特に優れたものとすることができる。また、装飾品1を、様々な方向から見た際における質感のばらつき等がより効果的に抑制されたものとして得ることができる。
【0064】
角度θの値は、経時的に変化するものであってもよい。このように、角度θの値が経時的に変化する場合、その最大値が前述した範囲に含まれるものであるのが好ましい。また、例えば、気相成膜時に、角度θがゼロとなる時点が存在してもよい。
なお、角度θとしては、気相成膜源と金属膜を形成すべき基板とを結ぶ直線と、基板の法線とのなす角を採用することができる。
【0065】
[マスク除去工程]
次に、マスク2を除去する(1e)。これにより、基板12の酸化物膜13、金属膜13が被覆された側の面において、マスク2の開口部21に対応する部位は金属膜14で被覆された状態となり、それ以外の部位は酸化物膜13が露出した状態となる。
マスク2の除去は、酸化物膜13、金属膜14が設けられた基板12上から、マスク2を剥離することにより行うことができる。
このようにして、装飾品1が得られる。
【0066】
<第2実施形態>
次に、本発明の装飾品、装飾品の製造方法の第2実施形態について説明する。
図4は、本発明の第2実施形態の装飾品を示す模式的な断面図、図5は、本発明の第2実施形態の装飾品の製造方法を示す模式的な断面図である。
以下、第2実施形態の装飾品および製造方法について、前述した実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項の説明については、その説明を省略する。
【0067】
図4に示すように、本実施形態の装飾品1では、酸化物膜13が、金属膜14に対応する部位のみに設けられている。言い換えると、本実施形態の装飾品1では、酸化物膜13全体が、金属膜14により完全に被覆されている。
本実施形態のように、酸化物膜13が、金属膜14に対応する部位のみに設けられていると、例えば、酸化物膜13が有色の材料(特に、濃色の材料)で構成されたものであっても、酸化物膜13が装飾品1の外観に悪影響を及ぼすのを防止することができる。
【0068】
次に、本実施形態の装飾品1の製造方法について説明する。
図5は、本発明の第2実施形態の装飾品の製造方法を示す模式的な断面図である。
図5に示すように、本実施形態の装飾品の製造方法は、基板12を準備する基板準備工程(2a)と、基板12の表面に、基板12が有する凸部121に対応する部位に開口部21が設けられたマスク(気相成膜用マスク)2を配した状態で、気相成膜を行うことにより、凸部121上に酸化物膜13を形成する酸化物膜形成工程(2b、2c)と、酸化物膜13の表面(基板12上)に、マスク(気相成膜用マスク)2を配した状態で、気相成膜を行うことにより、凸部121上(酸化物膜13の表面)に金属膜14を形成する金属膜形成工程(被膜形成工程)(2d)と、マスク2を除去するマスク除去工程(2e)とを有する。すなわち、酸化物膜形成工程を、基板12の表面にマスク2を配した状態で行い、その後、引き続いて、金属膜形成工程を行う以外は、前述した第1実施形態と同様である。
【0069】
このように、基板12の表面に配したマスク2を状態で、酸化物膜13および金属膜14を引き続いて形成することにより、酸化物膜13と金属膜14との位置ずれの発生を効果的に防止することができ、得られる装飾品1の美的外観を、より確実に優れたものとすることができる。また、酸化物膜13を被膜の一部として機能させることができる。すなわち、基板の凸部上に、酸化物膜と金属膜との積層体としての被膜を設けることができる。
【0070】
<時計>
次に、上述したような本発明の装飾品を備えた本発明の時計について説明する。
本発明の時計は、上述したような本発明の装飾品を有するものである。なお、本発明の時計を構成する前記装飾品(本発明の装飾品)以外の部品としては、公知のものを用いることができるが、以下に、本発明の時計の構成の一例について説明する。
【0071】
図6は、本発明の時計(携帯時計)の好適な実施形態を示す模式的な部分断面図である。
図6に示すように、本実施形態の腕時計(携帯時計)100は、胴(ケース)72と、裏蓋73と、ベゼル(縁)74と、ガラス板(カバーガラス)75とを備えている。また、ケース72内には、前述したような本発明の装飾品としての時計用文字板1と、太陽電池88と、ムーブメント71とが収納されており、さらに、図示しない針(指針)等が収納されている。
【0072】
ガラス板75は、通常、透明性の高い透明ガラスやサファイア等で構成されている。これにより、本発明の装飾品としての時計用文字板1の審美性を十分に発揮させることができるとともに、太陽電池88に十分な光量の光を入射させることができる。
ムーブメント71は、太陽電池88の起電力を利用して、指針を駆動する。
図6中では省略しているが、ムーブメント71内には、例えば、太陽電池88の起電力を貯蔵する電気二重層コンデンサー、リチウムイオン二次電池や、時間基準源として水晶振動子や、水晶振動子の発振周波数をもとに時計を駆動する駆動パルスを発生する半導体集積回路や、この駆動パルスを受けて輪列機構を1秒毎に指針を駆動するステップモーターや、ステップモーターの動きを指針に伝達する輪列機構等を備えている。
【0073】
また、ムーブメント71は、図示しない電波受信用のアンテナを備えている。そして、受信した電波を用いて時刻調整等を行う機能を有している。
太陽電池88は、光エネルギーを電気エネルギーに変換する機能を有する。そして、太陽電池88で変換された電気エネルギーは、ムーブメントの駆動等に利用される。
太陽電池88は、例えば、非単結晶シリコン薄膜にp型の不純物とn型の不純物とが選択的に導入され、さらにp型の非単結晶シリコン薄膜とn型の非単結晶シリコン薄膜との間に不純物濃度の低いi型の非単結晶シリコン薄膜を備えたpin構造を有している。
【0074】
胴72には巻真パイプ76が嵌入・固定され、この巻真パイプ76内にはりゅうず77の軸部771が回転可能に挿入されている。
胴72とベゼル74とは、プラスチックパッキン78により固定され、ベゼル74とガラス板75とはプラスチックパッキン79により固定されている。
また、胴72に対し裏蓋73が嵌合(または螺合)されており、これらの接合部(シール部)85には、リング状のゴムパッキン(裏蓋パッキン)84が圧縮状態で介挿されている。この構成によりシール部85が液密に封止され、防水機能が得られる。
【0075】
りゅうず77の軸部771の途中の外周には溝772が形成され、この溝772内にはリング状のゴムパッキン(りゅうずパッキン)83が嵌合されている。ゴムパッキン83は巻真パイプ76の内周面に密着し、該内周面と溝772の内面との間で圧縮される。この構成により、りゅうず77と巻真パイプ76との間が液密に封止され防水機能が得られる。なお、りゅうず77を回転操作したとき、ゴムパッキン83は軸部771と共に回転し、巻真パイプ76の内周面に密着しながら周方向に摺動する。
【0076】
なお、上記の説明では、時計の一例として、腕時計(携帯時計)を挙げて説明したが、本発明は、腕時計以外の携帯時計、置時計、掛け時計等の他の種類の時計にも同様に適用することができる。
なお、上記の説明では、文字板として本発明の装飾品が適用されたものを用いるものとして説明したが、文字板以外の部品(装飾品)に本発明の装飾品が適用されてもよい。例えば、時計を構成する胴(ケース)、針等が本発明の装飾品で構成されたものであってもよい。また、時計を構成する複数の部品(装飾品)が本発明の装飾品で構成されたものであってもよい。
【0077】
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は、これらに限定されるものではない。
例えば、本発明の装飾品の製造方法では、必要に応じて、任意の目的の工程を追加することもできる。
また、前述した実施形態では、被膜形成工程は、マスクとして磁性材料を含む材料で構成されたものを用い、基板のマスクに対向する面とは反対の面側に配された磁石により、マスクと、被膜が形成されるべきワークとを密着させた状態で行うものとして説明したが、被膜形成工程においては、磁石を用いなくてもよい。
【0078】
また、前述した実施形態では、マスクとして、断面積増大部を有するものとを用いるものとして説明したが、断面積増大部を有していないマスクを用いてもよい。
また、前述した実施形態では、基板と酸化物膜とが隣接し、酸化物膜と金属膜とが隣接するものとして説明したが、これらの間には、例えば、少なくとも1層の中間層があってもよい。
【0079】
また、前述した実施形態では、装飾品が、基板と、酸化物膜と、金属膜とを有するものとして説明したが、本発明の装飾品は、このような構成のものに限定されず、例えば、酸化物膜を有していないものであってもよい。
また、前述した実施形態では、被膜が主として金属材料で構成され、反射膜として機能するものとして説明したが、本発明において、被膜は、いかなる材料で構成されたものであってもよく、例えば、セラミックス材料、着色剤を含む樹脂材料等で構成されたものであってもよい。また、被膜は、反射膜として機能しないものであってもよい。
【0080】
また、例えば、装飾品の外表面(被膜の外表面等)には、コート層が設けられていてもよい。これにより、例えば、光沢性、色調等を調整し、装飾品の美的外観をさらに優れたものにしたり、装飾品全体としての、耐食性、耐候性、耐水性、耐油性、耐擦傷性、耐摩耗性、耐変色性等の各種特性を向上させたりすることができる。なお、このようなコート層は、例えば、装飾品の使用時等において除去されるものであってもよい。
【実施例】
【0081】
次に、本発明の具体的実施例について説明する。
1.装飾品の製造
以下に示すような方法で、各実施例および各比較例について、100個ずつの装飾品(腕時計用外装部品(時計用文字板))を製造した。
(実施例1)
まず、白色顔料で着色したポリカーボネートを用いて、圧縮成形により、腕時計用外装部品(時計用文字板)の形状を有する基板を作製し、その後、必要箇所を切削、研磨した。得られた基板は、略円盤状をなし、一方の面(主面)の指標が設けられるべき部位に、対応する形状の凸部を有するものであった。得られた基板は、その直径が27mmであり、凸部を除いた部位の厚さが0.5mmであった。また、凸部の高さは、いずれも、300μmであった。
【0082】
次に、この基板を洗浄した。基板の洗浄としては、まず、アルカリ浸漬脱脂を30秒間行い、その後、中和を10秒間、水洗を10秒間、純水洗浄を10秒間行った。
このようにして洗浄を行った基板の凸部が設けられた側の表面に、TiOで構成される酸化物膜を、以下に説明するようなスパッタリングにより形成した(酸化物膜形成工程)。
【0083】
まず、洗浄済みの基板をスパッタリング装置内に取付け、その後、装置内を予熱しながら、スパッタリング装置内を3×10−3Paまで排気(減圧)した。
次に、アルゴン流量:40ml/分でアルゴンガスを導入するとともに、酸素流量:10ml/分で酸素を導入した。このような状態で、ターゲットとしてTiを用い、投入電力:1400W、処理時間:3.0分間という条件で放電を行うことにより、TiOで構成される酸化物膜を形成した。このようにして形成された酸化物膜の平均厚さは、0.01μmであった。
【0084】
引き続き、上記のようにして形成された酸化物膜の表面に、Agで構成される金属膜をスパッタリングにより形成した(金属膜形成工程(被膜形成工程))。
金属膜は、基板が有する凸部に対応する部位に開口部が設けられたマスクを、酸化物膜の表面に配した状態で、スパッタリングを行うことにより形成した。
マスクは、ステンレス鋼(SUS444)で構成されたものであり、その厚さは150μmであった。また、このマスクは、図2に示すように、基板に対向する第1の面側から反対側の第2の面側に向かって、その断面積が増大する断面積増大部が設けられたものであった。また、断面積増大部において開口部の断面積が最小となる断面積最小部での断面積S’[μm]と、開口部の断面積が最大となる断面積最大部での断面積S’[μm]との比率(S’/S’)は、0.70であった。また、マスクの開口部の幅W[μm]と、酸化物膜で被覆された凸部の幅W[μm]との差(W−W)は、10μmであった。
【0085】
また、本工程は、基板のマスクに対向する面とは反対の面側に磁石を配し、この磁石により、酸化物膜が設けられた基板と、マスクとを密着させた状態で行った。
本工程でのスパッタリングは、以下のような条件で行った。
まず、装置内を3×10−3Paまで排気(減圧)し、その後、アルゴンガス流量:35ml/分でアルゴンガスを導入した。このような状態で、ターゲットとしてAgを用い、投入電力:1400W、処理時間:2.0分間という条件で放電を行うことにより、Agで構成される金属膜を形成した。このとき、図3に示すように、基板の主面の法線と軸の長手方向とのなす角が、15°を維持するように、基板を軸上でこまのように回転させることにより、基板の主面(金属膜で被覆すべき主面)の法線方向に対して15°(角度θ)だけ傾斜した方向から、金属膜の構成材料で構成された気相成膜粒子(スパッタ粒子)を基板上に入射させるようにした。このようにして形成された金属膜の平均厚さは、0.20μmであった。
次に、酸化物膜と金属膜とが設けられた基板を、スパッタリング装置内から取り出し、マスクを除去した(マスク除去工程)。これにより、図1に示すような装飾品を得た。
なお、凸部の高さ、酸化物膜、金属膜およびマスクの厚さは、JIS H 5821で規定される顕微鏡断面試験方法に従い測定した。
【0086】
(実施例2〜7)
装飾品の製造に用いる基板の構成、マスクの構成を表1に示すようにするとともに、酸化物膜および金属膜が表1に示したような構成となるように各工程の処理条件を調整した以外は、前記実施例1と同様にして装飾品を製造した。
(実施例8)
金属膜形成工程において、基板の主面の垂線方向と、スパッタ粒子の進行方向がほぼ平行となるように、基板を固定した以外は、前記実施例4と同様にして装飾品を製造した。
【0087】
(実施例9)
まず、前記実施例1と同様にして、洗浄した基板を用意した。
このようにして洗浄を行った基板の凸部が設けられた側の表面に、TiOで構成される酸化物膜を、スパッタリングにより形成した(酸化物膜形成工程)。
酸化物膜は、基板が有する凸部に対応する部位に開口部が設けられたマスクを、基板の表面(凸部が設けられた側の表面)に配した状態で、スパッタリングを行うことにより形成した。
【0088】
マスクは、ステンレス鋼(SUS444)で構成されたものであり、その厚さは150μmであった。また、このマスクは、図5に示すように、基板に対向する第1の面側から反対側の第2の面側に向かって、その断面積が増大する断面積増大部が設けられたものであった。また、マスクの開口部の幅W[μm]と、凸部の幅W[μm]との差(W−W)は、10μmであった。
【0089】
また、本工程は、基板のマスクに対向する面とは反対の面側に磁石を配し、この磁石により、基板と、マスクとを密着させた状態で行った。
スパッタリングは、以下に示すようにして行った。
まず、磁石によりマスクと密着させた状態で、洗浄済みの基板をスパッタリング装置内に取付け、その後、装置内を予熱しながら、スパッタリング装置内を3×10−3Paまで排気(減圧)した。
【0090】
次に、アルゴン流量:40ml/分でアルゴンガスを導入するとともに、酸素流量:10ml/分で酸素を導入した。このような状態で、ターゲットとしてTiを用い、投入電力:1400W、処理時間:3.0分間という条件で放電を行うことにより、TiOで構成される酸化物膜を形成した。このとき、図3に示すように、基板の主面の法線と軸の長手方向とのなす角が、15°を維持するように、基板を軸上でこまのように回転させることにより、基板の主面(酸化物膜で被覆すべき主面)の法線方向に対して15°(角度θ)だけ傾斜した方向から、酸化物膜の構成材料で構成された気相成膜粒子(スパッタ粒子)を基板上に入射させるようにした。このようにして形成された酸化物膜の平均厚さは、0.01μmであった。
【0091】
引き続き、磁石により前記マスクを基板に密着させた状態で、上記のようにして形成された酸化物膜の表面に、Agで構成される金属膜をスパッタリングにより形成した(金属膜形成工程(被膜形成工程))。
本工程でのスパッタリングは、以下のような条件で行った。
まず、装置内を3×10−3Paまで排気(減圧)し、その後、アルゴンガス流量:35ml/分でアルゴンガスを導入した。このような状態で、ターゲットとしてAgを用い、投入電力:1400W、処理時間:2.0分間という条件で放電を行うことにより、Agで構成される金属膜を形成した。このとき、図3に示すように、基板の主面の法線と軸の長手方向とのなす角が、15°を維持するように、基板を軸上でこまのように回転させることにより、基板の主面(金属膜で被覆すべき主面)の法線方向に対して15°(角度θ)だけ傾斜した方向から、金属膜の構成材料で構成された気相成膜粒子(スパッタ粒子)を基板上に入射させるようにした。このようにして形成された金属膜の平均厚さは、0.20μmであった。
次に、酸化物膜と金属膜とが設けられた基板を、スパッタリング装置内から取り出し、マスクを除去した(マスク除去工程)。これにより、図4に示すような装飾品を得た。
なお、凸部の高さ、酸化物膜、金属膜およびマスクの厚さは、JIS H 5821で規定される顕微鏡断面試験方法に従い測定した。
【0092】
(実施例10〜15)
装飾品の製造に用いる基板の構成、マスクの構成を表1に示すようにするとともに、酸化物膜および金属膜が表1に示したような構成となるように各工程の処理条件を調整した以外は、前記実施例9と同様にして装飾品を製造した。
(実施例16)
金属膜形成工程において、基板の主面の垂線方向と、スパッタ粒子の進行方向がほぼ平行となるように、基板を固定した以外は、前記実施例12と同様にして装飾品を製造した。
【0093】
(比較例1)
まず、前記実施例1で用いたのと同一の組成を有する材料(白色顔料で着色したポリカーボネート)を用いて、圧縮成形により、腕時計用外装部品(時計用文字板)の形状を有する基板を作製し、その後、必要箇所を切削、研磨した。得られた基板は、略円盤状をなすものであり、表面が平滑なものであった。すなわち、前記実施例1で用いた基板のような凹凸を有さないものであった。得られた基板は、その直径が27mmであり、厚さが0.5mmであった。
【0094】
次に、この基板を洗浄した。基板の洗浄としては、まず、アルカリ浸漬脱脂を30秒間行い、その後、中和を10秒間、水洗を10秒間、純水洗浄を10秒間行った。
このようにして洗浄を行った基板の表面に、印刷(タコ印刷)を施すことにより、前記実施例1で指標を設けた部位に対応する部位に指標を形成し、装飾品を得た。指標の形成には、Ag微粒子とアクリル系樹脂とメチルエチルケトンとを含むインク(分散液)を用いた。形成された指標の厚さは40μmであった。
【0095】
(比較例2)
印刷を繰り返し行うことにより、指標の厚さを250μmとした以外は、前記比較例1と同様にして装飾品を製造した。
(比較例3)
まず、前記実施例1で用いたのと同一の組成を有する材料(白色顔料で着色したポリカーボネート)を用いて、圧縮成形により、腕時計用外装部品(時計用文字板)の形状を有する基板を作製し、その後、必要箇所を切削、研磨した。また、この際、前記実施例1で指標を設けた部位に対応する複数の部位について、それらの中心付近に、各々、直径150μmの開口部を形成した。得られた基板は、略円盤状をなすものであり、表面が平滑なものであった。すなわち、前記実施例1で用いた基板のような凹凸を有さないものであった。得られた基板は、その直径が27mmであり、厚さが0.5mmであった。
【0096】
次に、この基板を洗浄した。基板の洗浄としては、まず、アルカリ浸漬脱脂を30秒間行い、その後、中和を10秒間、水洗を10秒間、純水洗浄を10秒間行った。
このようにして洗浄を行った基板の開口部に、足部を有する植設材を取り付け、接着剤で固定することにより、前記実施例1で指標を設けた部位に対応する部位に指標を形成し、装飾品を得た。植設材としては、基板と同一の組成を有する材料で構成された基部に、酸化物膜、金属膜を、この順で被覆したものを用いた。なお、酸化物膜、金属膜については、前記実施例1と同様の条件で形成した。植設材の足部は、その太さが直径150μm、その長さが1.0mmであった。また、植設材の足部を除いた部位の高さは、100μmであった。
【0097】
(比較例4)
植設材の足部を除いた部位の高さを、300μmとした以外は、前記比較例3と同様にして装飾品を製造した。
各実施例および各比較例の装飾品の製造に用いたマスクの構成、金属膜形成時における基板の主面の垂線方向と、スパッタリング粒子の進行方向とのなす角θ、装飾品の構成等を表1にまとめて示す。なお、表中、ポリカーボネートをPCで示し、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS樹脂)をABS、ポリエチレンテレフタレートをPETで示した。また、表中、金属膜の表面粗さRa(基板と対向する面とは反対側の面の表面粗さRa)等もあわせて示した。
【0098】
【表1】

【0099】
2.装飾品の外観評価
2−1.立体感評価
前記各実施例および各比較例で製造した各装飾品について、目視による観察を行い、これらの立体感を以下の5段階の基準に従い、評価した。
◎◎:極めて優良。
◎:優良。
○:良。
△:やや不良。
×:不良。
【0100】
2−2.外観総合評価
前記各実施例および各比較例で製造した各装飾品について、目視および顕微鏡による観察を行い、これらの外観を以下の5段階の基準に従い、評価した。
◎◎:極めて優良。
◎:優良。
○:良。
△:やや不良。
×:不良。
【0101】
3.耐久性評価
前記各実施例および各比較例で製造した各装飾品について、以下に示すような3種の試験を行い、装飾品の耐久性を評価した。
3−1.落下試験による評価
前記各実施例および各比較例で製造した各装飾品について、高さ3mから、ステンレス鋼製の厚さ10cmのブロック上に、50回繰り返し落下させた後の、時計用文字板の外観を目視により観察し、これらの外観を以下の4段階の基準に従い、評価した。
◎:指標の損傷(ゆがみ、浮き、割れ、剥離等)が全く認められない。
○:指標の損傷(ゆがみ、浮き、割れ、剥離等)がほとんど認められない。
△:指標の損傷(ゆがみ、浮き、割れ、剥離等)がわずかに認められる。
×:指標の損傷(ゆがみ、浮き、割れ、剥離等)が顕著に認められる。
【0102】
3−2.折り曲げ試験による評価
前記各実施例および各比較例で製造した各装飾品について、直径4mmの鉄製の棒材を支点とし、装飾品の中心を基準に30°の折り曲げを行った後、装飾品の外観を目視により観察し、これらの外観を以下の4段階の基準に従い、評価した。折り曲げは、圧縮/引っ張りの両方向について行った。
◎:指標(被膜、植設材、塗料)の浮き、剥がれ等が全く認められない。
○:指標(被膜、植設材、塗料)の浮きがほとんど認められない。
△:指標(被膜、植設材、塗料)の浮きがはっきりと認められる。
×:指標(被膜、植設材、塗料)のひび割れ、剥離がはっきりと認められる。
【0103】
3−3.熱サイクル試験による評価
前記各実施例および各比較例で製造した各装飾品を、以下のような熱サイクル試験に供した。
まず、装飾品を、20℃の環境下に1.5時間、次いで、60℃の環境下に2時間、次いで、20℃の環境下に1.5時間、次いで、−20℃の環境下に3時間静置した。その後、再び、環境温度を20℃に戻し、これを1サイクル(8時間)とし、このサイクルを合計3回繰り返した(合計24時間)。
【0104】
その後、装飾品の外観を目視により観察し、これらの外観を以下の4段階の基準に従い、評価した。
◎:指標(被膜、植設材、塗料)の浮き、剥がれ等が全く認められない。
○:指標(被膜、植設材、塗料)の浮きがほとんど認められない。
△:指標(被膜、植設材、塗料)の浮きがはっきりと認められる。
×:指標(被膜、植設材、塗料)のひび割れ、剥離がはっきりと認められる。
これらの結果を表2に示す。
【0105】
【表2】

【0106】
表2から明らかなように、本発明の装飾品は、いずれも、立体感のある優れた美的外観を有するとともに、耐久性にも優れていた。
これに対し、比較例では、満足な結果が得られなかった。すなわち、印刷により指標を形成した比較例1、2では立体感を十分にはっきさせることができなかった。また、立体感を向上させる目的で、印刷を繰り返し行った比較例2では、印刷層に重ねたインクの一部が基板の表面に流れ落ちてしまい、いわゆるダレを生じた状態となり、形成された指標は不鮮明なものとなっていた。また、植設材を用いて指標の形成を行った比較例3、4では、指標の密着性が劣っており、十分な耐久性を有していなかった。また、立体感を向上させる目的で、植設材の高さを高くした比較例4の装飾品は、耐久性が特に低いものであった。
また、各実施例および各比較例で得られた文字板(装飾品)を用いて、図6に示すような時計を組み立てた。このようにして得られた各時計について、上記と同様の試験、評価を行ったところ、上記と同様の結果が得られた。
【図面の簡単な説明】
【0107】
【図1】本発明の第1実施形態の装飾品を示す模式的な断面図である。
【図2】本発明の第1実施形態の装飾品の製造方法を示す模式的な断面図である。
【図3】金属膜(被膜)を形成する際の気相成膜粒子の進行方向を説明するための図である。
【図4】本発明の第2実施形態の装飾品を示す模式的な断面図である。
【図5】本発明の第2実施形態の装飾品の製造方法を示す模式的な断面図である。
【図6】本発明の時計(携帯時計)の好適な実施形態を示す模式的な部分断面図である。
【符号の説明】
【0108】
1…装飾品(時計用文字板) 12…基板 121…凸部 13…酸化物膜 14…金属膜(被膜) 15…指標 2…マスク(気相成膜用マスク) 21…開口部 211…傾斜面 212…断面積増大部 213…断面積最小部 214…断面積最大部 22…第1の面 23…第2の面 9…軸 71…ムーブメント 72…胴(ケース) 73…裏蓋 74…ベゼル(縁) 75…ガラス板(カバーガラス) 76…巻真パイプ 77…りゅうず 771…軸部 772…溝 78…プラスチックパッキン 79…プラスチックパッキン 83…ゴムパッキン(りゅうずパッキン) 84…ゴムパッキン(裏蓋パッキン) 85…接合部(シール部) 88…太陽電池 100…腕時計(携帯時計)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一方の面に凸部を有する基板を準備する基板準備工程と、
前記基板の前記凸部が設けられた面側に、前記凸部に対応する部位に開口部が設けられたマスクを配した状態で、気相成膜を行うことにより、前記凸部上に被膜を形成する被膜形成工程と、
前記マスクを除去するマスク除去工程とを有することを特徴とする装飾品の製造方法。
【請求項2】
前記凸部の高さは、100〜500μmである請求項1に記載の装飾品の製造方法。
【請求項3】
前記被膜の平均厚さは、0.005〜2.5μmである請求項1または2に記載の装飾品の製造方法。
【請求項4】
前記開口部は、前記マスクの前記基板に対向する面からその反対側の面に向かって、断面積が増大する断面積増大部を有するものである請求項1ないし3のいずれかに記載の装飾品の製造方法。
【請求項5】
前記被膜形成工程は、前記マスクとして磁性材料を含む材料で構成されたものを用い、前記基板の前記マスクに対向する面とは反対の面側に配された磁石により、前記マスクと、前記被膜が形成されるべきワークとを密着させた状態で行うものである請求項1ないし4のいずれかに記載の装飾品の製造方法。
【請求項6】
前記被膜形成工程において、前記基板の主面の法線方向に対して所定の角度θだけ傾斜した方向から、前記被膜の構成材料で構成された気相成膜粒子を前記基板上に入射させる請求項1ないし5のいずれかに記載の装飾品の製造方法。
【請求項7】
前記気相成膜粒子を複数の方向から入射させる請求項6に記載の装飾品の製造方法。
【請求項8】
前記気相成膜粒子の入射方向を、経時的に変化させる請求項6または7に記載の装飾品の製造方法。
【請求項9】
前記気相成膜粒子の入射方向が、前記基板の主面の法線を中心に回転するように、前記気相成膜粒子の入射方向を変化させる請求項6ないし8のいずれかに記載の装飾品の製造方法。
【請求項10】
前記角度θが、1〜50°である請求項6ないし9のいずれかに記載の装飾品の製造方法。
【請求項11】
前記被膜は、少なくともその外表面付近が、主として金属材料で構成されたものである請求項1ないし10のいずれかに記載の装飾品の製造方法。
【請求項12】
前記基板上に、主として金属酸化物で構成された酸化物膜を形成する酸化物膜形成工程と、
前記酸化物膜上に、主として金属材料で構成された金属膜を形成する金属膜形成工程とを有する請求項1ないし11のいずれかに記載の装飾品の製造方法。
【請求項13】
前記装飾品は、時計用文字板である請求項1ないし12のいずれかに記載の装飾品の製造方法。
【請求項14】
請求項1ないし13のいずれかに記載の方法を用いて製造したことを特徴とする装飾品。
【請求項15】
請求項14に記載の装飾品を備えたことを特徴とする時計。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2008−150660(P2008−150660A)
【公開日】平成20年7月3日(2008.7.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−339231(P2006−339231)
【出願日】平成18年12月15日(2006.12.15)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】