説明

装飾構造体

【課題】被取付部材側に主LEDランプや副LEDランプの収容スペースを設けず、また被取付部材側に施す加工工数が僅かで済み、夜間に主LEDランプや副LEDランプを点灯したときに、シンボル部材のイルミネーションとしての機能を向上する。
【解決手段】不透明の板材によりシンボルマークを形成したシンボル部材12が被取付部材11に取付けられる。透明又は半透明のプラスチックにより両面が平滑な板状であってシンボル部材12に相応する形状に形成されたベース部材13が被取付部材11及びシンボル部材12間に介装される。主LEDランプ14がベース部材13の内部を通ってベース部材13の周縁部に達する光14aを発するように構成される。ベース部材13に主LEDランプ14を収容する主収容部13dが形成され、ベース部材13の周縁部に光14aを乱反射させる主乱反射面13fが形成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車の車体前面又は背面に取付けられるエンブレムなどのシンボル部材をLEDランプの発する光で浮き上がらせる装飾構造体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の装飾構造体として、一方の端面が車両側に取付けられた板状又は膜状の導光部を裏面側とし、その導光部の他方の端面側に位置する板状又は膜状のエンブレムを表面側として、厚み方向に重ね合せられた表示部を備えた車両用発光表示装置が開示されている(例えば、特許文献1参照。)。この車両用発光表示装置では、車両側の光源から表示部に入った光が、導光部の他方の端面を覆うように表示部に形成された遮光層によって厚み方向表面側への透過が妨げられ、導光部を通りその周縁部から厚み方向とは交差する方向へ向けて漏出し、エンブレムをその周辺側から照らし出すように構成される。また表示部を厚み方向表面側から見たとき、導光部の外周縁がエンブレムの外周縁に沿ってほぼ同一形状に形成されるか、或いは導光部の外周縁部に、外側へ向うにつれて車両側に近づくような面取り部が形成される。
【0003】
このように構成された車両用発光表示装置では、導光部の周縁部から漏れ出した光によってエンブレムを周辺側から照らし出すことによって、エンブレムは周辺部が淡く光り空中に浮んだように見えるので、これまでにない斬新なイメージを表示でき、メーカ、車種、型式等のイメージアップを図ることができるようになっている。また表示部を厚み方向表面側から見たとき、導光部の外周縁をエンブレムの外周縁に沿ってほぼ同一形状に形成すると、導光部の外周縁部から漏れ出した光りがエンブレムの外周縁をムラなくほぼ均等に照らすことができ、見る側に届きやすくなる。更に導光部の外周縁部に、外側へ向うにつれて車両側に近づくような面取り部を形成すれば、導光部を通過した光りが、厚み方向と直交する方向ばかりでなく面取り部から見る側へ向う斜め方向にも漏れ出し易くなり、エンブレムの視認性を向上できるようになっている。
【特許文献1】特開2005−215596号公報(請求項1、段落[0007]、段落[0017]、段落[0018])
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記従来の特許文献1に示された車両用発光表示装置では、光源が導光部から離れた車両内部に設けられるため、車両内部に光源を収容するためのスペースを設けなければならず、また車両側の加工工数が増大する問題点があった。また、上記従来の特許文献1に示された車両用発光表示装置では、光源の光軸と導光部の長手方向がほぼ直交しているため、光源の発した光が導光部の反射面でかなり多くの回数反射してから導光部の周縁に達するため、導光部の周縁から外部に漏れ出す光量がかなり減少してしまう問題点もあった。
【0005】
本発明の第1の目的は、被取付部材側に主LEDランプや副LEDランプの収容スペースを設けず、また被取付部材側に施す加工工数が僅かで済み、夜間に主LEDランプや副LEDランプを点灯したときに、シンボル部材のイルミネーションとしての機能を向上できる、装飾構造体を提供することにある。本発明の第2の目的は、主LEDランプや副LEDランプから発する光を直接主乱反射面や副乱反射面に向けるため、主LEDランプや副LEDランプの発した光が殆ど減衰することなく主乱反射面や副乱反射面に達することができ、これらの反射面を明るく光らせることができる、装飾構造体を提供することにある。本発明の第3の目的は、主乱反射面のカバー部を設けることにより、凹凸を有し清掃し難い主乱反射面を清掃しなくても、この主乱反射面の高い輝度を確保できる、装飾構造体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に係る発明は、図1〜図3に示すように、不透明の板材によりシンボルマークが形成され被取付部材11に取付けられるシンボル部材12と、透明又は半透明のプラスチックにより両面が平滑な板状であってシンボル部材12に相応する形状に形成され被取付部材11及びシンボル部材12間に介装されるベース部材13と、ベース部材13の内部を通ってベース部材13の周縁部に達する光14aを発する1又は2以上の主LEDランプ14とを備えた装飾構造体であって、ベース部材13に主LEDランプ14を収容する主収容部13dが形成され、上記周縁部に達した光14aを乱反射させる主乱反射面13fが上記周縁部に形成されたことを特徴とする。この請求項1に記載された装飾構造体では、夜間に主LEDランプ14を点灯すると、主LEDランプ14の発した光14aがベース部材13の内部を通って主乱反射面13fに直接達するので、従来のものと比べてこの主乱反射面13fをより明るく光らせることができる。これによりシンボル部材12のイルミネーションとしての機能を向上できる。
【0007】
請求項2に係る発明は、請求項1に係る発明であって、更に図1〜図3に示すように、ベース部材13の周縁部が、被取付部材11に立設された垂直線に対してベース部材13側に0度〜60度の範囲内の角度αで傾斜する主乱反射面13fを有し、この主乱反射面13fに光14aを乱反射させる凹凸が形成されたことを特徴とする。この請求項2に記載された装飾構造体では、夜間に主LEDランプ14を点灯すると、主LEDランプ14の発した光14aが主乱反射面13fに直接当り、この主乱反射面13fで乱反射した後にベース部材13のシンボル部材12側からベース部材外部に出るので、従来のものと比べて主乱反射面13fがより明るく光って、シンボル部材12をよりくっきりと浮き上がらせることができる。
【0008】
請求項3に係る発明は、請求項1に係る発明であって、更に図4〜図6に示すように、ベース部材53の周縁部が、被取付部材11に立設された垂直線に対してベース部材53側とは反対側に30度〜60度の範囲内の角度βで傾斜する主乱反射面53fを有し、この主乱反射面53fに光14aを乱反射させる凹凸が形成されたことを特徴とする。この請求項3に記載された装飾構造体では、夜間に主LEDランプ14を点灯すると、主LEDランプ14の発した光14aが主乱反射面53fに直接当り、この主乱反射面53fで乱反射した後にベース部材53のシンボル部材12側からベース部材外部に出るので、従来のものと比べて主乱反射面53fがより明るく光り、シンボル部材12をよりくっきりと浮き上がらせることができる。
【0009】
請求項4に係る発明は、請求項3に係る発明であって、更に図4〜図6に示すように、ベース部材53の周縁部が、主乱反射面53fに加えて、この主乱反射面53fの突端から被取付部材11に向って延び先端が被取付部材11に密着するカバー部53gを有することを特徴とする。この請求項4に記載された装飾構造体では、主乱反射面53fがカバー部53g及び被取付部材11により外気から遮断されるため、主乱反射面53fに塵埃が堆積し難く、凹凸を有し清掃し難い主乱反射面53fを清掃しなくても、主乱反射面53fの高い輝度を確保できる。
【0010】
請求項5に係る発明は、請求項1ないし4いずれか1項に係る発明であって、更に図7及び図8に示すように、シンボル部材82に文字、記号又は図形が打抜かれた打抜き部82dが形成され、シンボル部材82及びベース部材53間に透明又は半透明のプラスチックにより両面が平滑な板状であってシンボル部材82に相応する形状に形成された補助部材85が介装され、補助部材85に副LEDランプ84を収容する副収容部85dが形成され、発した光84aが補助部材85の内部を通って打抜き部82dに対向する補助部材の面に直接達するように副LEDランプ84が配置され、打抜き部82dに対向する面に光84aを乱反射させる副乱反射面85dが形成されたことを特徴とする。この請求項5に記載された装飾構造体では、夜間に主LEDランプ14及び副LEDランプ84を点灯すると、主LEDランプ14の発した光がベース部材53の内部を通って主乱反射面に直接達するので、この主乱反射面を明るく光らせることができるとともに、副LEDランプ84の発した光84aが補助部材85の内部を通って副乱反射面85dに直接達するので、この副乱反射面85dを明るく光らせることができる。これによりシンボル部材82のイルミネーションとしての機能を更に向上できる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、ベース部材を被取付部材及びシンボル部材間に介装し、ベース部材に主LEDランプを収容する主収容部を形成したので、夜間に主LEDランプを点灯すると、このランプの光がベース部材の内部を通ってベース部材の周縁部に形成された主乱反射部面に直接達する。この結果、従来のものと比べて主乱反射面をより明るく光らせることができるので、シンボル部材のイルミネーションとしての機能を向上できる。また車両内部に光源を収容するためのスペースを設けなければならず、また車両側の加工工数が増大する従来の車両用発光表示装置と比較して、本発明では、被取付部材側に主LEDランプや副LEDランプの収容スペースを設ける必要がなく、また被取付部材側に施す加工工数も極めて僅かで済む。この結果、本発明では、被取付部材の加工工数や装飾構造体の被取付部材への組付工数を短縮することができる。
【0012】
またベース部材の周縁部が、被取付部材に立設された垂直線に対してベース部材側に0度〜60度の範囲内の角度αで傾斜する主乱反射面を有し、この主乱反射面に光を乱反射させる凹凸を形成すれば、主LEDランプの発した光が主乱反射面に直接当たって乱反射した後にベース部材のシンボル部材側からベース部材外部に出るので、主乱反射面が明るく光り、シンボル部材をくっきりと浮き上がらせることができる。またベース部材の周縁部が、被取付部材に立設された垂直線に対してベース部材側とは反対側に30度〜60度の範囲内の角度βで傾斜する主乱反射面を有し、この主乱反射面に光を乱反射させる凹凸を形成すれば、主LEDランプの発した光が主乱反射面に直接当たって乱反射した後にベース部材のシンボル部材側からベース部材外部に出るので、主乱反射面がより明るく光り、シンボル部材をよりくっきりと浮き上がらせることができる。またベース部材の周縁部が、主乱反射面に加えて、この主乱反射面の突端から被取付部材に向って延び先端が被取付部材に密着するカバー部を有すれば、主乱反射面がカバー部及び被取付部材により外気から遮断されるため、主乱反射面に塵埃が堆積し難く、凹凸を有し清掃し難い主乱反射面を清掃しなくても、主乱反射面の高い輝度を確保できる。
【0013】
更に打抜き部が形成されたシンボル部材とベース部材との間に補助部材を介装し、副LEDランプが補助部材の内部を通る光を発し、この副LEDランプを収容する副収容部を補助部材に形成し、補助部材の打抜き部に対向する面に光を乱反射させる副乱反射面を形成することにより、夜間に主LEDランプ及び副LEDランプを点灯すると、主LEDランプの発した光が主乱反射面に直接達するとともに、副LEDランプの発した光も副乱反射面に直接達する。この結果、主乱反射面及び副乱反射面をそれぞれ明るく光らせることができるので、シンボル部材のイルミネーションとしての機能を更に向上できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
次に本発明を実施するための最良の形態を図面に基づいて説明する。
<第1の実施の形態>
図1〜図3に示すように、装飾構造体10は、被取付部材11に取付けられるシンボル部材12と、被取付部材11及びシンボル部材12間に介装されるベース部材13と、ベース部材13の内部を通ってベース部材13の周縁部に達する光14aを発する主LEDランプ14とを備える。この実施の形態では、上記被取付部材11は自動車のフロントパネルであり、シンボル部材12は自動車メーカのエンブレムである。このエンブレム12は不透明のABS樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリフェニレンオキサイド(PPO)樹脂等の板材により自動車メーカのシンボルマークが形成される。具体的には、エンブレム12は円板状に形成され、内側の上部及び下部に略半円状の一対の孔12a,12aを有する。換言すれば、エンブレム12は一定の幅を有するリング部12bの中央に、横方向に一定の幅で延びるバー部12cとを有する。ベース部材13は透明又は半透明のプラスチック、例えばアクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、PPO樹脂等により両面が平滑な板状であって、エンブレム12に相応する形状に形成され、一対の孔13aとリング部13bとバー部13cとを有する。アクリル樹脂は透明度が高いので、ベース部材13に好適である。またベース部材13の両面は鏡面状に形成される。具体的には、ベース部材13の両面の表面あらさ(Ra)は10μm以下、好ましくは1μm以下に設定される。ここで、ベース部材13の両面の表面あらさを10μm以下に限定したのは、ベース部材13の内部に発した主LEDランプ14の光14aをベース部材13の両面で反射させて、ベース部材13の両面から外部に殆ど出さなくするためである。なお、ベース部材の両面を鏡面状に形成するとともに、不透明のめっきを施したABS樹脂等の板をベース部材の両面にそれぞれ積層したり、或いはベース部材の両面に不透明のめっきを施してもよい。これにより主LEDランプの発した光14aがベース部材の両面から外部に全く出なくなる。
【0015】
主LEDランプ14としては、定格電流10mA〜500mA、好ましくは20mA程度の輝度が比較的小さく、発熱量が少ないものが用いられる。このため抵抗値が500Ω〜1.5kΩと小さい制限抵抗器(図示せず)を用いることができる。主LEDランプ14はリード線16を介して回路基板17にはんだ付けにより固定される。主LEDランプ14は後述するベース部材の周縁部に形成される主乱反射面に直接光が達するように配置される。なおここで「直接光が達する」とは、光がベース部材の周縁部に直射される現象のみならず、周縁部に向けられた光がベース部材の両面で反射して周縁部に達する現象も含む。言い換えれば主LEDランプ14の光軸がベース部材の周縁部に向くように配置される。この実施の形態では、主LEDランプ14は6個用いられ、回路基板17は2枚用いられる。1枚の回路基板17に対して3個の主LEDランプ14と1個の制限抵抗器がはんだ付けによりそれぞれ固定される。また各回路基板17には主LEDランプ14の電力を供給するための電気配線18が接続される。更にベース部材13には、リング部13bとバー部13cの交点近傍に平面視で略半円状の一対の主収容部13d,13dがそれぞれ形成される。これらの主収容部13d,13dには、3個の主LEDランプ14及び1個の制限抵抗器がはんだ付けにより固定された回路基板17が1枚ずつ収容されるとともに、キャップ19が接着される。3個の主LEDランプ14のうち2個はベース部材13のリング部13bの円周方向に向くように回路基板17にはんだ付けされ、残りの1個はベース部材13のバー部13cの長手方向外側に向くように回路基板17にはんだ付けされる。即ち、3個の主LEDランプ14はベース部材の異なる周縁部に向けてそれぞれ光を発するように設けられる。なお、主LEDランプの残りの1個をベース部材のバー部の長手方向外側に向くように回路基板にはんだ付けするのではなく、ベース部材のバー部の長手方向内側(長手方向中心側)に向くように回路基板にはんだ付けしてもよい。また1枚の回路基板に固定される主LEDランプ14の数は3個に限らず、1個、2個又は4個以上でもよい。キャップ19には、ワンウェイフィルタ21が装着される透孔19aと、電気配線18が通る通孔19bとが形成される。ワンウェイフィルタ21は、主収容部13d内の圧力変動を防止できるとともに、水、蒸気、塵埃等の侵入を防止できるようになっている。またキャップ19の通孔19bに電気配線18を挿通した後に、この通孔19bをホットメルト型接着剤22で塞ぐことにより、主収容部13d内が密閉されるとともに、電気配線18が固定される。また主収容部13d内の回路基板17はベース部材13から突設されたリブ13eとキャップ19から突設されたリブ19cにて挟持されることにより固定される。
【0016】
ベース部材13の周縁部には、即ちベース部材13のリング部13bの外周縁及び内周縁とベース部材13のバー部13cの両側縁には、フロントパネル11の前記両端縁に相当する点において立設された垂直線に対してベース部材13側に0度〜60度、好ましくは40度〜50度の範囲内の角度αで傾斜する主乱反射面13fが形成される。この主乱反射面13fには、主LEDランプ14の発した光14aを乱反射させる細かい凹凸が形成される。この主乱反射面13fへの凹凸は、この反射面に直接サンドブラストを施したり、ベース部材13を成型する金型にサンドブラストを施したり、粗目0番から中目2番の粗いヤスリ仕上げを施したり、或いは乱反射させる塗料(例えば、ガラス粒子を分散させた透明塗料)を塗布することにより形成される。主乱反射面13fの表面あらさ(Ra)は20〜100μm、好ましくは40〜60μmの範囲内に設定される。ここで、主乱反射面13fの角度を、フロントパネル11に立設された垂直線に対してベース部材13側に60度以下に限定したのは、60度を越えると、ベース部材がエンブレムより露出しすぎる不具合がある。また主乱反射面13fの表面あらさを上記範囲に限定したのは、主LEDランプ14の発した光14aを有効に乱反射させるためである。
【0017】
このように構成された装飾構造体10の動作を説明する。夜間に主LEDランプ14を点灯すると、主LEDランプ14の発した光14aがベース部材13の内部を通り、その大部分が主乱反射面13fに直接達する。一部分の光はベース部材13の平滑な両面で反射して、主乱反射面13fに達する。そして主乱反射面13fに達した光14aがこの主乱反射面13fで乱反射した後に、ベース部材13のエンブレム12側からベース部材外部に出るので、従来のものと比べて主乱反射面13fがより明るく光り、エンブレム12をよりくっきりと浮き上がらせることができる。この結果、エンブレム12のイルミネーションとしての機能を向上できる。
【0018】
<第2の実施の形態>
図4〜図6は本発明の第2の実施の形態を示す。図4〜図6において図1〜図3と同一符号は同一部品を示す。この実施の形態では、ベース部材53はフロントパネル11に形成された皿状の凹部にはめ込まれる。ベース部材53の周縁部には、フロントパネル11のベース部材端縁(後述するカバー部を除く。)に相当する点において立設された垂直線に対してベース部材53側とは反対側に30度〜60度、好ましくは40〜50度の範囲内の角度βで傾斜する主乱反射面53fが形成される。この主乱反射面53fには、第1の実施の形態と同様に、主LEDランプ14の発した光14aを乱反射させる細かい凹凸が形成される。主乱反射面53fの形成方法や面あらさは第1の実施の形態における主乱反射面13fの形成方法と面あらさと同じであるので、繰返しの説明を省略する。またベース部材53の周縁部には、上記主乱反射面53fに加えて、この主乱反射面53fの突端からフロントパネル11に向って延び先端がフロントパネル11に密着するカバー部53gがベース部材53と一体的に形成される。このカバー部53gの外面53hはその外周縁に立設された垂直線に対してベース部材53側に0度〜30度、好ましくは0度〜5度の範囲内の角度γで傾斜する。この外面53hはフロントパネル11の凹部を作り出す傾斜面11aに対面するようになっている。上記以外は第1の実施の形態と同一に構成される。
【0019】
このように構成された装飾構造体50では、夜間に主LEDランプ14を点灯すると、主LEDランプ14の発した光14aの大部分が主乱反射面53fに直接当り、この主乱反射面53fで乱反射した後に、ベース部材53のエンブレム12側のベース部材外部に出るので、主乱反射面53fがより明るく光り、エンブレム12をよりくっきりと浮き上がらせることができる。また主乱反射面53fがカバー部53g及びフロントパネル11により外気から遮断されるため、主乱反射面53fに塵埃が堆積し難い。この結果、細かい凹凸を有し清掃し難い主乱反射面53fを清掃しなくても、主乱反射面53fで光14aが乱反射したときに高い輝度を確保できる。また主LEDランプ14の発した光14aの一部分はカバー部53gを透過して外面53hから水平方向に発せられる。発せられた光14aはフロントパネル11の傾斜面11aで反射してフロントパネルから離れる方向に直進する。この光14aによりエンブレム周縁のフロントパネル11を浮き上がらせることができる。上記以外の動作は第1の実施の形態の動作と略同様であるので、繰返しの説明を省略する。
【0020】
<第3の実施の形態>
図7及び図8は本発明の第3の実施の形態を示す。図7及び図8において図4〜図6と同一符号は同一部品を示す。この実施の形態では、エンブレム82に文字が打抜かれた打抜き部82dが形成され、エンブレム82及びベース部材53間に補助部材85が介装される。打抜き部82dは、この実施の形態では、エンブレム82のバー部12cを打抜いて形成されたXYZという文字である。補助部材85はベース部材53と略同様に形成される。即ち、補助部材85は透明又は半透明のプラスチック、例えばアクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、PPO樹脂等により両面が平滑な板状であって、エンブレム82に相応する形状に形成され、一対の孔85aとリング部85bとバー部85cとを有する。アクリル樹脂は透明度が高いので、補助部材85に好適である。但し、補助部材85の周縁部はフロントパネル11に対して起立する鏡面又は乱反射面に形成することが好ましく、補助部材85の打抜き部82dに対向する面には光84aを乱反射させる副乱反射面85dが形成される。この副乱反射面85dには、後述する副LEDランプ84の発した光84aを乱反射させる細かい凹凸が形成される。この副乱反射面85dへの凹凸の形成方法と面あらさは、第1の実施の形態における主乱反射面13fの形成方法と面あらさと同じであるので、繰返しの説明を省略する。副乱反射面85dに凹凸を付けることにより、副LEDランプ84の発した光84aを有効に乱反射させることができる。
【0021】
また補助部材85には、副LEDランプ84を収容する副収容部85eが形成される。副収容部85eは、ベース部材53に形成された一対の主収容部13d,13dに相応する形状に形成されるとともに、一対の主収容部13d,13dとそれぞれ連通するように2つ形成される。互いに連通する主収容部13d及び副収容部85eには、2個の主LEDランプ14と1個の副LEDランプ84と1個の制限抵抗器とがはんだ付された1枚の回路基板17が収容されるとともに、副収容部85eにはキャップ19が接着される。回路基板17はベース部材53に突設されたリブ13eと補助部材85に突設されたリブ85fにて挟持されることにより固定される。1個の副LEDランプ84は副収容部85eに収容されかつ補助部材85のバー部85cの長手方向内側(長手方向中心側)に向くようにリード線16を介して回路基板17にはんだ付され、2個の主LEDランプ14は主収容部13dに収容されかつ補助部材85のリング部85bの円周方向に向くように、リード線16を介して回路基板17にはんだ付される(図4参照)。これにより主LEDランプ14により発せられた光14aがベース部材53の内部を通り、副LEDランプ84により発せられた光84aが補助部材85の内部を通るように構成される。上記以外は第2の実施の形態と同一に構成される。
【0022】
このように構成された装飾構造体80では、夜間に主LEDランプ14及び副LEDランプ84を点灯すると、主LEDランプ14の発した光14aがベース部材53の内部を通って主乱反射面53fに達し、ベース部材53のエンブレム82側からベース部材外部に出るので、この主乱反射面53fを明るく光らせることができる(図4参照)。一方、副LEDランプ84の発した光84aが補助部材85の内部を通って副乱反射面85dに直接達し、ベース部材53のエンブレム82側からベース部材外部に出るので、この副乱反射面85dを明るく光らせることができる。この結果、主乱反射面53fが明るく光ることにより(図4参照)、エンブレム82をくっきりと浮き上がらせることができるとともに、副乱反射面85dが明るく光ることにより、エンブレム82に形成された打抜き部82dの文字をくっきりと浮上がらせることができるので、エンブレム82のイルミネーションとしての機能をより向上できる。ここで、主LEDランプ14の発する光14aの色と副LEDランプ84の発する光84aの色を変えることにより、エンブレム82のイルミネーションとしての機能を更に向上できる。上記以外の動作は第2の実施の形態の動作と略同様であるので、繰返しの説明を省略する。
【0023】
なお、上記第2の実施の形態では、第1の実施の形態と同様にベース部材に主LEDランプを収容する例を示したが、図4に示す主乱反射面53f及びカバー部53gを備えたベース部材を用いて、従来のように主LEDランプを被取付部材側に設けることもできる。また上記第1〜第3の実施の形態では、シンボル部材として自動車メーカのエンブレムを挙げたが、トラック、バス、電車、飛行機、船舶等の乗物の運行会社のエンブレムや、産業機械メーカのエンブレムや、国や地方公共団体の紋章又は記章であってもよい。また、上記第1〜第3の実施の形態では、被取付部材として車両のフロントパネルを挙げたが、車両のリヤパネル、ハッチバック、トランクリッド、フロントグリル等であってもよい。 更に、上記第3の実施の形態では、エンブレムにXYZという文字を打抜いた打抜き部を形成したが、XYZ以外の文字、或いは記号や図形を打抜いた打抜き部を形成してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明第1実施形態のエンブレムを示す図2のA−A線断面図である。
【図2】そのエンブレムの正面図である。
【図3】図2のB−B線断面図である。
【図4】本発明第2実施形態のエンブレムを示す図5のC−C線断面図である。
【図5】そのエンブレムの正面図である。
【図6】図5のD−D線断面図である。
【図7】本発明第3実施形態のエンブレムを示す図8のE−E線断面図である。
【図8】そのエンブレムの正面図である。
【符号の説明】
【0025】
10,50,80 装飾構造体
11 フロントパネル(被取付部材)
12,82 エンブレム(シンボル部材)
13,53 ベース部材
13d 主収容部
13f,53f 主乱反射面
14 主LEDランプ
14a,84a 光
53g カバー部
82d 打抜き部
84 副LEDランプ
85 補助部材
85f 副乱反射面
85e 副収容部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
不透明の板材によりシンボルマークが形成され被取付部材(11)に取付けられるシンボル部材(12)と、
透明又は半透明のプラスチックにより両面が平滑な板状であって前記シンボル部材(12)に相応する形状に形成され前記被取付部材(11)及び前記シンボル部材(12)間に介装されるベース部材(13)と、
前記ベース部材(13)の内部を通って前記ベース部材(13)の周縁部に達する光(14a)を発する1又は2以上の主LEDランプ(14)と
を備えた装飾構造体であって、
前記ベース部材(13)に前記主LEDランプ(14)を収容する主収容部(13d)が形成され、
前記周縁部に達した光(14a)を乱反射させる主乱反射面(13f)が前記周縁部に形成された
ことを特徴とする装飾構造体。
【請求項2】
ベース部材(13)の周縁部が、被取付部材(11)に立設された垂直線に対してベース部材(13)側に0度〜60度の範囲内の角度(α)で傾斜する主乱反射面(13f)を有し、この主乱反射面(13f)に光(14a)を乱反射させる凹凸が形成された請求項1記載の装飾構造体。
【請求項3】
ベース部材(53)の周縁部が、被取付部材(11)に立設された垂直線に対してベース部材(53)側とは反対側に30度〜60度の範囲内の角度(β)で傾斜する主乱反射面(53f)を有し、この主乱反射面(53f)に光(14a)を乱反射させる凹凸が形成された請求項1記載の装飾構造体。
【請求項4】
ベース部材(53)の周縁部が、主乱反射面(53f)に加えて、この主乱反射面(53f)の突端から被取付部材(11)に向って延び先端が前記被取付部材(11)に密着するカバー部(53g)を有する請求項3記載の装飾構造体。
【請求項5】
シンボル部材(82)に文字、記号又は図形が打抜かれた打抜き部(82d)が形成され、
前記シンボル部材(82)及びベース部材(53)間に透明又は半透明のプラスチックにより両面が平滑な板状であって前記シンボル部材(82)に相応する形状に形成された補助部材(85)が介装され、
前記補助部材(85)に副LEDランプ(84)を収容する副収容部(85e)が形成され、
発した光(84a)が前記補助部材(85)の内部を通って前記打抜き部(82d)に対向する前記補助部材の面に直接達するように前記副LEDランプ(84)が配置され、
前記打抜き部(82d)に対向する面に前記光(84a)を乱反射させる副乱反射面(85d)が形成された請求項1ないし4いずれか1項に記載の装飾構造体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−12558(P2009−12558A)
【公開日】平成21年1月22日(2009.1.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−175051(P2007−175051)
【出願日】平成19年7月3日(2007.7.3)
【出願人】(502402331)株式会社 イーサム (4)
【Fターム(参考)】