説明

装飾用途のための改質ポリアセタール

塗装されたポリアセタール物品が、ポリアセタールを90〜99.5重量%と、分子量が1,000〜50,000である半結晶質または非晶質熱可塑性非ポリアセタール樹脂を0.5〜10重量%とを含むポリアセタール基材と、適用される塗料に前記ポリアセタール基材の前記半結晶質または非晶質熱可塑性非ポリアセタール樹脂の曝露を増加させるために予備処理された前記ポリアセタール基材の表面の上に、溶剤性、水性または粉末1K塗料系から前記ポリアセタール基材に適用される塗料と、を含む。前記塗料が、熱可塑性または部分的な熱可塑性非熱硬化性塗料である。熱硬化性塗料またはワニスの層を前記熱可塑性塗料の上に適用することができる。前記塗装されたポリアセタール物品が、改良された塗料の付着性および良好に保持された物理的−機械的性質を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ポリアセタール物品のバルク改質の後に、その性質が溶剤系、水性および/または粉末の形状であってもよい、塗料系を適用する前に化学エッチングおよび/または機械的または物理的処理を実施することに関する。本発明は、改良された塗料の付着性および良好に保持された物理的−機械的性質を有する塗装されたポリアセタール物品、およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリアセタール(アセタール樹脂と称されることもある)は、例えば米国特許公報(特許文献1)、米国特許公報(特許文献2)および米国特許公報(特許文献3)に記載されたポリオキシメチレン組成物のクラスである。ポリアセタール樹脂は、とりわけ米国、デラウェア州、ウィルミントンの本願特許出願人によって商標デルリン(DELRIN)(登録商標)として市販されている。
【0003】
ポリオキシメチレン組成物(ポリアセタール)としては一般に、ホルムアルデヒドのホモポリマーまたはホルムアルデヒドの環状オリゴマー、例えばトリオキサン、のホモポリマー(その末端基がエステル化またはエーテル化によってエンドキャップされる)、ならびに少なくとも2個の隣接した炭素原子を主鎖に有するオキシアルキレン基との、ホルムアルデヒドのコポリマーまたはホルムアルデヒドの環状オリゴマーのコポリマー(そのコポリマーの末端基がヒドロキシル末端基である場合があり、またはエステル化またはエーテル化によってエンドキャップされる場合がある)をベースとする組成物が挙げられると考えられる。
【0004】
比較的高い分子量、すなわち10,000〜100,000のポリオキシメチレンベースの組成物が、熱可塑性材料と共に一般に用いられる技術、例えば圧縮モールディング、射出モールディング、押出し、ブローモールディング、回転モールディング、メルトスピニング、スタンピングおよび熱成形のどれかによって半−完成および完成物品を作製するのに有用である。かかる組成物から製造された完成製品は、高い剛性、強度、化学安定性および耐溶剤性などの非常に望ましい物理的性質を有する。
【0005】
ポリアセタールから製造された成形物品は、高度に化学的に安定性および結晶性であり、他の成形プラスチック材料よりも装飾またはオーバーモールドするのが難しく、特に、(真空蒸着によって)金属化するか、またはめっき(無電解めっきまたは電気めっき(galvanoplating))または塗装するのがより難しいことは公知である。
【0006】
プラスチック、特に、高度に結晶性であるかまたは低い表面極性を有するポリアセタールは通常、塗料の低付着力のために塗料がその上に適用される前に物理的または化学表面処理を行なわれる。かかる処理方法には、表面を機械的に粗くする物理的方法、溶剤処理の化学方法、火炎処理、紫外線処理、コロナ放電処理、およびプラズマ処理などがある。これらの方法の全ては、プラスチック表面を変性させることによって塗料の付着力を改良することを目的とする。
【0007】
一般的に言って、プラスチックは化学的に非常に安定しており、射出モールディング等によって製造されたそれらの成形製品は平滑な表面を有し、このため、印刷、コーティング、堆積等によってそれらの表面を装飾するのが難しく、又、表面に接着剤によって接着などの加工を行なうことが難しい。ポリアセタール樹脂は、表面活性が特に低く、ポリアセタールに対する親和性を有する適切な溶剤が知られていないので、ポリアセタールの表面装飾およびそれに対する付着は、実施が困難であり、このため、ポリアセタール樹脂はこのような処理を必要とする用途にはめったに利用されない。
【0008】
しかしながら、プラスチックの適用は最近多様化しており、機能と外観または機能と付着性質などの多数の基準を同時に満たすためにしばしばより価値が大きい使用法が必要とされる。従って、良好な表面加工性が、ポリアセタールについてはより重要になってきている。
【0009】
ポリアセタールの表面加工性は、酸性溶液または酸化体溶液で処理することによってある程度改良することができる。p−トルエンスルホン酸、ショウノウスルホン酸、リン酸、酸硫酸アンモニウム等の酸性溶液が提案されているが、他方、クロム酸−硫酸混合物の酸化体溶液が提案されている。電気めっきの改良された方法もまた、酸薬剤の溶液による上記の表面処理の前にキノリン、ピリジンまたはg−ブチロラクトンへの造形物品の浸漬技術によって提供される。
【0010】
これらの処理の目的は、粗面を形成し、同時に溶液の酸化作用によってポリアセタール分子の一部に反応性基を形成することである。しかしながら、このような手順によって表面処理の効果の増強が行なわれる場合、全体にわたるポリアセタール樹脂の劣化などの問題が生じ、強度の低下、亀裂の形成、または好ましくない表面仕上につながる。他方、ポリアセタールの劣化を起こさない条件を使用する処理が行われる場合、表面処理の効果が不十分である傾向があり、十分な表面加工を実施できない。
【0011】
それらの表面加工性を改良するためにポリアセタール物品を処理する場合、化学改質によって表面の活性化を制御するとき、およびその初期のバルク性質を保持するようにポリアセタール組成物を選択するときに大きな問題に直面する。ポリアセタール樹脂の表面を処理することの難しさはさらに、複合造形成形品が酸性溶液に浸漬される時の高い不良率、塗料系の不十分な付着および/または、とりわけ、長期間試験におけるコーティングの性能の不十分な保持率などの様々な観察によって明らかにされる。
【0012】
ポリアセタール物品の金属化の難しさは例えば、(特許文献4)に記載されており、それは、例えば30〜60重量%の硫酸、5〜30重量%の塩酸および65〜10重量%の水、または20〜50重量%の硫酸、30〜50重量%のリン酸および50〜0重量%の水の混合物を用いて、酸エッチングによる予備表面処理を提案した。有機酸および無機酸の混合物もまた予想された。酸エッチングの後、物品を中和溶液中に浸し、ウレタン塗料で下塗りし、カソードスパッタリングによって金属化し、アクリルウレタン塗料またはアクリル酸エステル塗料系のトップコートで塗装した。
【0013】
(特許文献5)には、30容積%の硫酸(96/98%の純度)、20容積%のリン酸(85%の純度)、5容積%の塩酸(35/37%の純度)および45容積%の水の量の硫酸、リン酸および塩酸の混合酸槽でエッチングすることによって、めっきのために準備するポリアセタール物品の予備表面処理について記載されている。この方法は、ポリアセタールコポリマーから製造された物品のめっきのために小規模ではだいたい成功しているが、産業規模でのその実施は著しい制約があるために好ましくない。さらに、装飾用塗料をポリアセタール物品に直接適用するためにこの方法を使用することは問題が多い。
【0014】
今までに遭遇した困難にもかかわらず、ポリアセタールの良好な物理的−機械的性質および長期の塗料の付着性を保持したまま、特に表面の外観が重要である用途のためにポリアセタール物品を表面処理することが非常に望ましい。上述のように、溶融加工されたポリアセタール樹脂製品の塗装において克服されなければならない多くの問題が現在は存在する。既存の方法は、広範囲のポリアセタール物品、特に複雑な形状を塗装するために不十分であることがわかった。
【0015】
【特許文献1】米国特許第5,318,813号明細書
【特許文献2】米国特許第5,344,882号明細書
【特許文献3】米国特許第5,286,807号明細書
【特許文献4】GB−A 2 091 274号明細書
【特許文献5】FR−A−2,703,074号明細書
【特許文献6】米国特許第5,011,890号明細書
【特許文献7】米国特許第4,410,661号明細書
【特許文献8】米国特許第4,246,374号明細書
【特許文献9】英国特許第2,101,139B号明細書
【特許文献10】米国特許第.4,874,817号明細書
【特許文献11】米国特許第3,960,984号明細書
【特許文献12】米国特許第4,098,843号明細書
【特許文献13】米国特許第4,766,168号明細書
【非特許文献1】「プラスチックおよびエラストマーのハンドブック(“Handbook of Plastics and Elastomes”)」マグロー・ヒル(McGraw−Hill)出版
【非特許文献2】「エンジニアリング・プラスチック(“Engineering Plastics”)」pp.103−108
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明は、ポリアセタールを90〜99.5重量%と、分子量が1,000〜50,000、通常5,000〜50,000の半結晶質または非晶質熱可塑性非ポリアセタール樹脂を0.5〜10重量%とを含むポリアセタール基材と、適用される塗料に前記ポリアセタール基材の前記半結晶質または非晶質熱可塑性非ポリアセタール樹脂の曝露を増加させるために予備処理された前記ポリアセタール基材の表面の上に、溶剤性、水性または粉末1K塗料系から前記ポリアセタール基材に適用される塗料と、を含む塗装されたポリアセタール物品を提供する。適用された塗料は、熱可塑性または部分的な熱可塑性塗料である。
【0017】
本発明による表面処理されたポリアセタール物品は、造形成形品が表面処理される時に、特にそれらが酸性溶液に浸漬される時に破断するか、または表面に亀裂の形成などの人為構造が観察される造形成形品のパーセンテージとして本明細書中で定義される低い不良率を特徴とする。この低い不良率は、スキービンディングなどの「大きい」複合造形成形品について特に著しい。
【0018】
本発明による塗装されたポリアセタール物品は、酸溶液に可溶性の無機充填剤を含有する改質ポリアセタール樹脂および/または表面が強力表面処理によって部分的にまたは広範囲に活性化されたポリアセタール成形品と比較して、改良された塗装適性(塗料の付着性)および良好に保持された物理的−機械的性質、すなわち剛性および靭性を特徴とする。本発明によって、塗装されたポリアセタール物品はまた、過酷な老化(80℃、100%RH、100〜150時間)後の改良された長期間付着性能を特徴とし、後者はISO2409によって測定される。塗装されたポリアセタール物品は、例えば、次の条件下、すなわち、0.5W/m、ブラックパネル温度=65℃で150時間の加速された屋外暴露の後に測定された物理的衝撃性能を維持する。
【0019】
本発明による塗装されたポリアセタール物品および方法の利点は多様である。すなわち、
i)表面エネルギーの実質的な増加による改良された表面湿潤性、
ii)表面の活性化の後、特に酸性溶液への浸漬により活性化した後、不良率の低減による高い加工収率、
iii)老化(80℃、100%RH、100〜150時間)後の改良された塗装適性および塗料の付着性性能、および
iv)屋外暴露の後でも塗装されたポリアセタール物品の物理的性質を保持する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
本発明は、良好に保持された物理的−機械的性質および改良された塗料の付着性および高収率を有する塗装されたポリアセタール物品を提供する。
【0021】
この発明は、溶融製造(射出モールディングなどによる)後に適切な後処理(火焔吹付、サンドブラスティング、コロナ放電、プラズマ、紫外線…)を実施される特定のポリアセタール組成物に関する。好ましくは後処理は、硫酸、リン酸、塩酸および有機酸の群からの少なくとも3つの酸を含有する混合酸槽、より好ましくは4つの酸、硫酸、リン酸、塩酸および酢酸を含有する混合酸槽からのエッチングによる。ポリアセタール組成物は、ポリアセタールの良好な性質を保持すると共に塗料の付着性を増強するのに役立つ(以下に記載された)機能性改質剤を含有する。
【0022】
機械的性質、低不良率(高収率)ならびに良好な塗装適性を十分に保持していることを示すポリアセタール樹脂の異なった調合物のうち、好ましい樹脂は、異なった分子量(以下に記載されたような)を有する第1および第2のポリアミドコポリマーのブレンドを含有する。例えば、第1のポリアミドが第2のポリアミドの分子量より少なくとも5000大きい分子量を有し、第1のポリアミドが20,000〜50,000の範囲の分子量を有し、0.5〜5重量%の範囲の量で存在し、第2のポリアミドが1,000〜25,000の範囲の分子量を有し、第1のポリアミドと同等またはより小さい量で、0.1〜2.5重量%の範囲の量で存在する。好ましくは、第1のポリアミドが1〜2重量%の量で存在し、第2のポリアミドが0.25〜1.5重量%の量で存在する。より好ましくは、前記樹脂が、約1.5%のレベルで存在する約40,000の分子量を有する1つのポリアミドと約0.5%のレベルで存在する約18,000の分子量を有する第2のポリアミドとを含有する。
【0023】
以下に記載したように、塗料を溶剤性、水性または粉末塗料系から前記ポリアセタール基材に適用する。
【0024】
必要とされる高性能(良好な付着、剛性、靭性…)は、以下により詳細に示すように、本発明によって、樹脂組成物、表面処理、および適用された熱可塑性または部分的な熱可塑性塗料によって得られた塗装された成形ポリアセタール樹脂製品によって提供される。
【0025】
(ポリアセタール)
用語「ポリアセタール」は本明細書中で用いるとき、ホルムアルデヒドのホモポリマーまたはホルムアルデヒドの環状オリゴマーのホモポリマー(その末端基がエステル化またはエーテル化によってエンドキャップされる)、およびホルムアルデヒドまたはホルムアルデヒドの環状オリゴマーと少なくとも2個の隣接した炭素原子を主鎖に有するオキシアルキレン基を与える他のモノマーとのコポリマー(そのコポリマーの末端基がヒドロキシル末端基である場合があり、またはエステル化またはエーテル化によってエンドキャップされる場合がある)などを含める。
【0026】
本発明の組成物中で用いられたポリアセタールは、分枝状または直鎖状であってもよく、概して、数平均分子量が10,000〜100,000、好ましくは20,000〜75,000の範囲である。前記分子量は、60Åおよび100Åの公称細孔寸法を有する二方式カラムキットを用いて160℃のm−クレゾール中でゲル浸透クロマトグラフィーすることによって都合よく測定できる。所望の物理的性質および加工性質に応じて、より高いまたはより低い分子量の平均値を有するポリアセタールを用いることができるが、上述のポリアセタールの分子量の平均値が、組成物中に溶融ブレンドされる様々な成分の十分な混合の最適なバランスをもたらすために好ましく、かかる組成物から製造された成形物品には最も望ましい組合せの物理的性質がある。
【0027】
上記のように、ポリアセタールは、ホモポリマー、コポリマー、またはそれらの混合物のどちらであってもよい。コポリマーは、ポリアセタール組成物の調製において一般に用いられるコモノマーなど、1つまたは複数のコモノマーを含有することができる。より一般的に用いられるコモノマーには、2〜12個の炭素原子のアルキレンオキシドおよびホルムアルデヒドとのそれらの環状付加生成物がある。コモノマーの量は、20重量パーセントを超えず、好ましくは15重量パーセント以下であり、最も好ましくは約2重量パーセントである。最も好ましいコモノマーはエチレンオキシドである。概してポリアセタールホモポリマーは、その比較的大きな剛性および強度のために、コポリマーより好ましい。好ましいポリアセタールホモポリマーには、化学反応によってエンドキャップされてエステルまたはエーテル基、好ましくはそれぞれアセテートまたはメトキシ基を形成するホモポリマーがある。
【0028】
ポリアセタールは通常、約170℃〜260℃、好ましくは185℃〜240℃、最も好ましくは200℃〜230℃の溶融温度において溶融加工される。
【0029】
(機能性改質剤)
改良された塗装適性および良好に保持された物理的−機械的性質を有する組成物にポリアセタールを調合できることがわかった。保持された性質によって、例えば0−40Jの衝撃振子を用いて試験された時に、改質されないおよび/または処理されない成形されたポリアセタール成形品に比べて物理的−機械的性質の劣化はごくわずかである(または顕著な量ではない最大偏差10〜15%)と理解する。より具体的には、ポリアセタールが加工温度において特定の溶融性ポリマー(本明細書中で「機能性改質剤」または「安定剤」または「塗料被着剤(paint adherents)」と称される)を用いて溶融加工されるとき、得られた組成物は、改良された酸化溶液または非酸溶液に対する耐性、より良い塗料の付着性および良好な物理的−機械的性質を特徴とする。これらの機能性改質剤はヒドロキシル、カルボニルおよび/またはアミノ基を含有し、かなり低い分子量を有する。これらの機能性改質剤は、米国特許公報(特許文献6)に記載された非溶融性改質剤に似ていない。
【0030】
ヒドロキシル、カルボニル、メタクリレート、アミド、および/またはアミン基および/またはそれらの組合せを含有する機能性改質剤は、ポリアセタールが加工されている温度において溶融性である。「溶融性」という用語によって、機能性改質剤または異なった機能性改質剤の組合せが、ポリアセタールが溶融加工される温度より低い主融点を有し、それ故、液体であり好ましくは低粘度であり、加工温度において著しい溶融流動をすることが意味される。いわゆる「低融点−低粘度」機能性改質剤の表面富化を定量的に示すことはほとんど不可能であるが、後者は、プロセスの間に表面に向かって移動し、それ故、(ESCA測定によって裏づけられるように)加工されたポリアセタール成形品のいわゆる表皮ミクロ構造においてかまたはすぐ下に存在する官能価をもたらすと推測される。さらに、これらの「低融点−低粘度」機能性改質剤を添加することによって、酸化溶液を用いてまたは用いずに酸エッチングする間、亀裂を防止することが証拠づけられた。上述の機能性改質剤を調合物に添加するとき、内部応力または残留応力が部分的に緩和され、増強された機械的性能を有する加工ポリアセタール成形品を提供すると思われる。
【0031】
ポリアミド(PA)は、環状モノマー(e−カプロラクタム例えば)および/またはジアミン/二酸、例えばヘキサメチレンジアミンおよびアジピン酸から重合されると定義され、ナイロン6、10、11、12、46、66、69、610、612、1212、および6Tなどが挙げられるがそれらに限定されない。ポリアミドには、1つまたは複数のジカルボン酸を1つまたは複数のジアミンで縮合することによって製造された様々なコポリマー、ターポリマー、テトラポリマーおよびインターポリマー、モノアミノカルボン酸の縮合ポリマー、およびラクタムのポリマーがある。
【0032】
OH基を有する機能性改質剤(塗料被着剤)は、ビニルアルコールおよび/またはフェノール基を有するポリマーおよび/または他のヒドロキシル含有コ−インターポリマー(2,3,4以上のモノマー単位を意味するインターポリマー)によって定義される。
【0033】
機能性改質剤/塗料被着剤は、ヒドロキシル基、アミド、イミド、カルボン酸およびまたはそれらの塩を含有してもよいアクリレートまたはメチルアクリレート(MA)およびスチレン(sytrene)、メチルメタクリレート、メチルアクリレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレート、グリシジルメタクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレートなどの反応性がより小さいまたは官能価がより小さいモノマーの組合せであってもよい。組成物に用いられたポリマー安定剤は、ホルムアルデヒド反応性窒素基、ホルムアルデヒド反応性ヒドロキシル基、またはホルムアルデヒド反応性窒素基とホルムアルデヒド反応性ヒドロキシル基との両方を含有するホモポリマーまたはコポリマーであってもよい。「ホルムアルデヒド反応性」によって意味されるのは、ヒドロキシル基が酸素とそれに結合した水素原子を含有し、窒素基が窒素とそれに結合した1個または2個の水素原子を含有することである。ホルムアルデヒドが、安定剤ポリマーのOHまたはNH結合と反応する。これらの反応性部位は、本明細書中でホルムアルデヒド反応性部位と称される。ポリマー安定剤が、最大数のホルムアルデヒド反応性部位を有するホルムアルデヒド反応性窒素またはヒドロキシル基を含有することが好ましい。例えば、2個の水素原子が窒素原子に直接に結合しているホルムアルデヒド反応性窒素基を含有するポリマー安定剤が、1個だけの水素原子が窒素原子に直接に結合しているホルムアルデヒド反応性窒素基を含有するポリマー安定剤よりも好ましい。
【0034】
(熱可塑性ポリマー成分)
押出および射出モールディング方法において、少なくとも1つの半結晶質または非晶質非アセタール熱可塑性ポリマーは、一般にそれらだけで、または他のポリマーと共に用いられるそれらの熱可塑性ポリマーから選択されてもよい。これらのポリマーは、ポリマー組成物中で少量成分(すなわち、加工助剤、耐衝撃性改良剤、安定剤)として使用することで知られているそれらの樹脂とは対照的に、押出および射出モールディング銘柄の樹脂として当業者に公知である。
【0035】
概して本発明による基材は、少なくとも1つの非アセタール熱可塑性ポリマーを約0.5〜10重量パーセントで含むが、しかしながら、少なくとも1つの非アセタール熱可塑性ポリマー1.5〜5重量パーセントが好ましい。本発明のポリオキシメチレン/熱可塑性ポリマーブレンド基材は、基材の表面の上または付近に、非アセタールポリマーが一般に存在して付着を促進する領域を含有する。非混和性流体の流動混合物において、最も低粘度の液体が最高剪断の領域に移動する傾向があるので、熱可塑性ポリマーは、特にこの領域に存在する。例えば、射出モールディングの場合、型のキャビティの壁は高剪断の領域であり、従って、低粘度ポリマー溶融体の濃度が高くなると、成形品の表面の上または付近で幾分濃縮される。
【0036】
半結晶質ポリアミド、ポリエステルおよびポリオレフィンもまた、単独でまたは互いに組合わせてのどちらかで本発明において利用可能であり、このため、各々をポリオキシメチレンとブレンドして付着を促進してもよい。
【0037】
例えば、比較的低い融点を有するポリアミドは或るレベルの結晶度を保持するが、それらの低い粘度、高い極性および水素結合はそれらを本発明の目的のために有用にする。ポリオレフィン、好ましくはエチレン−ビニルアセテートコポリマー(EVA)およびエチレンブチルアクリレート一酸化炭素ターポリマー(EBACO)などの極性コポリマーおよびターポリマーは、ポリオキシメチレン基材と様々な表面処理との間の表面付着を生じさせるために有用であることがわかった。又、半結晶質ポリエステルは一般に、ポリカプロラクトンなどのポリアセタールの融点付近かまたはそれよりも低い融点を有するポリエステルを含んでもよい。非アセタール熱可塑性ポリマーを、1つの熱可塑性ポリマーとしてかまたは1つより多い熱可塑性ポリマーのブレンドとして組成物中に混入することができる。熱可塑性ポリマーのブレンドを使用して、例えば、靭性または主な樹脂とポリオキシメチレンとの相溶性などの性質を調節してもよい。しかしながら、好ましくは、基材は、1つの付加的なまたは代替のポリマー、例えば非晶質熱可塑性ポリマーまたは半結晶質ポリマーを含む。
【0038】
1つの熱可塑性ポリマーとして混入されるかまたは1つより多い熱可塑性ポリマーとして混入されるかにかかわらず、組成物中の全ての非アセタール熱可塑性ポリマーの重量パーセントは、上に記載された重量パーセントの範囲を超えないものとする。
【0039】
用語「熱可塑性」は、ポリマーが加熱された時に流動性の状態に軟化し、加圧下でそれを圧入するかまたは加熱されたキャビティから冷たい型に移すことができ、型内で冷却した時に、それが固化して型の形状をとることを意味する。熱可塑性ポリマーは、(非特許文献1)においてこのように定義されている。
【0040】
用語「非晶質」は、ポリマーがはっきりした結晶融点を持たず、測定可能な融解熱も持たない(しかし、溶融体から非常に緩慢に冷却することによって、または十分なアニールによって、若干の結晶度が生じる場合がある)ことを意味するものとする。融解熱は、示差走査熱量計(DSC)で確認されるのが便利である。適した熱量計は、本願特許出願人の990熱分析器、製品番号990000およびセルベースII、製品番号990315およびDSCセル、製品番号900600である。この計測器によって、融解熱を毎分20℃の加熱速度において測定することができる。試料を期待融点を超える温度まで加熱し、液体窒素で試料ジャケットを冷却することによって急速に冷却することを交互に繰り返す。融解熱は、第1の加熱サイクルの後の任意の加熱サイクルで確認され、実験誤差内の一定値であるのがよい。非晶質ポリマーは、この方法によって、融解熱が1cal/g未満であると本明細書において定義される。参考のために言うと、分子量が約17,000の半結晶質66ナイロンポリアミドは、融解熱が約16cal/gである。
【0041】
当該組成物において有用である熱可塑性ポリマーは、ポリオキシメチレンが溶融加工される温度において溶融加工性でなければならない。ポリオキシメチレンは通常、約170℃〜260℃、好ましくは185℃〜240℃、および最も好ましくは200℃〜230℃の溶融温度において溶融加工される。
【0042】
用語「溶融加工性」は、熱可塑性ポリマーが軟化し、ポリオキシメチレンの特定の溶融加工温度においてそれを溶融配合できるように、十分な流動性を有しなければならないことを意味するものとする。
【0043】
相溶性、熱安定性を確保して鎖の交絡によって機械的性能を保持するために熱可塑性ポリマーの最低分子量(1000)が必要とされるが、ただし、前記ポリマーは少なくとも10の重合度を有し、又、前記ポリマーは、ポリオキシメチレンが溶融加工される温度において溶融加工性である(すなわち、それは加圧下で流動する)。熱可塑性ポリマーの最大分子量は、熱可塑性ポリマーがそれだけで、当該標準技術によって射出成形可能でないほど高くないのがよい。射出モールディング方法のために用いられるポリマーの最大分子量(50,000)は、個々の特定の熱可塑性ポリマーによって変化する。しかしながら、射出モールディング方法に用いるための最大分子量は、当業者には容易に認識できる。
【0044】
本発明において有用である非晶質または半結晶質熱可塑性ポリアミドは、本技術分野において公知である。それらは、米国特許公報(特許文献7)に記載されている。具体的には、これらの非晶質または半結晶質熱可塑性ポリアミドは、8〜18個の炭素原子を含有する少なくとも1つの芳香族ジカルボン酸と、(i)2〜12個の炭素のノルマル脂肪族直鎖ジアミン、(ii)4〜18個の炭素の分枝状脂肪族ジアミン、および(iii)少なくとも1つの脂環式部分、好ましくはシクロヘキシル部分を含有する8〜20の炭素の脂環式ジアミンからなるクラスから選択された少なくとも1つのジアミンとから得られ、場合により、ポリアミドの50重量パーセントまでが、4〜12個の炭素原子を含有するラクタムまたはオメガ−アミノ酸から得られた単位、または4〜12個の炭素原子を含有する脂肪族ジカルボン酸と2〜12個の炭素原子を含有する脂肪族ジアミンとの重合塩から得られた単位からなってもよい。
【0045】
用語「芳香族ジカルボン酸」は、カルボキシ基がフェニレンナフタレンなどの芳香環に直接に結合していることを意味するものとする。
【0046】
用語「脂肪族ジアミン」は、アミン基がアルキレンなどの非芳香族含有鎖に結合していることを意味するものとする。
【0047】
用語「脂環式ジアミン」は、アミン基が3〜15個の炭素原子からなる脂環式環に結合していることを意味するものとする。6個または12個の炭素の脂環式環が好ましい。
【0048】
熱可塑性ポリアミドの好ましい例には、ナイロン6、610、612等のコポリマーおよびターポリマーなど、約180℃未満の融点を有する熱可塑性ポリアミドが挙げられる。
【0049】
好ましくは、半結晶質または非晶質熱可塑性非ポリアセタール樹脂が、異なった分子量の第1および第2のポリアミドのブレンドを含む。好ましい実施態様において、第1のポリアミドが第2のポリアミドの分子量より少なくとも5000大きい分子量を有し、第1のポリアミドが20,000〜50,000の範囲の分子量を有し、0.5〜5重量%の範囲の量で存在し、第2のポリアミドが1,000または2,000〜25,000の範囲の分子量を有し、第1のポリアミドと同等またはより小さい量で、0.1〜2.5重量%の範囲の量で存在する。
【0050】
非晶質または半結晶質熱可塑性ポリアミドは、105ダイン/cmの剪断応力において測定された200℃においての溶融粘度が、50,000ポアズ未満、好ましくは20,000ポアズ未満である。非晶質または半結晶質ポリアミドは商業的に入手可能であり、または上述の組成物の比において公知のポリマー縮合方法によって調製されてもよい。高分子量のポリマーを形成するために、使用された二酸の全モルは、使用されたジアミンの全モルにほぼ等しいのがよい。
【0051】
さらに、遊離ジカルボン酸、および塩化物などのそれらの誘導体を用いて熱可塑性ポリアミドを調製してもよい。
【0052】
非晶質または半結晶質熱可塑性ポリアミドを調製するための重合は、溶融重合、溶液重合および界面技術などの公知の重合技術によって行なわれてもよいが、溶融重合の手順によって重合を行なうのが好ましい。この手順により、高分子量のポリアミドを製造する。重合において、ジアミンおよび酸または環状アミドは、ジアミン成分とジカルボン酸成分の比がほとんど等モルであるような量において混合される。溶融重合において、成分は、得られたポリアミドの融点より高いがその分解温度より低い温度において加熱される。加熱温度は約170℃〜300℃の範囲である。圧力は、真空〜300psi(約2MPa)の範囲であってもよい。出発モノマーの添加方法は重要ではない。例えば、ジアミンと酸との組合せの塩を製造し、混合することができる。ジアミンの混合物を水に分散させ、高温において酸の混合物の規定された量を分散系に添加してナイロン塩の混合物の溶液を形成し、溶液に重合を起こすことも可能である。
【0053】
必要ならば、一価アミンまたは、好ましくは、有機酸を粘度調節剤として出発塩の混合物またはその水溶液に添加してもよい。
【0054】
押出および射出モールディング銘柄であり、本発明において有用であるアクリルの非晶質熱可塑性ポリマーは、本技術分野において公知である。非晶質熱可塑性アクリルポリマーは、主なモノマー成分がエステル−アクリレートおよびメタクリレートの2つの群に属する多量のポリマーアレイを含む。非晶質熱可塑性アクリルポリマーは、上に参照された(非特許文献2)に記載されている。アクリルの非晶質熱可塑性ポリマーの分子量は、当該標準技術によって射出成形可能であるために、200,000を超えないのがよい。非晶質熱可塑性アクリルポリマーは商業的に入手可能であり、または当業者によって公知の技術により容易に調製可能である。スチレンモノマーによってメチルメタクリレートの一部を置換することにより、ポリメチルメタクリレートの溶融粘度を増強することができ、商業的な例は、20〜60重量%のSを含有することができることも本技術分野において公知である。
【0055】
本発明において有用である非晶質熱可塑性イミド化アクリル樹脂は、本技術分野において公知である。非晶質熱可塑性イミド化アクリル樹脂は、アンモニア、または第一アミンを、ポリメチルメタクリレートなどのアクリルポリマーと反応させ、イミド化アクリル樹脂(ポリグルタルイミドとしても公知である)を形成することによって調製される。
【0056】
イミド化アクリル樹脂は、少なくとも約10%のイミド基、好ましくは少なくとも約40%のイミド基を含有し、例えば、米国特許公報(特許文献8)および(特許文献9)に記載されているように調製することができる。代表的なイミドポリマーには、イミド化ポリ(メチルメタクリレート)またはポリ(メチルアクリレート)、メチルメタクリレートまたはメチルアクリレートのどちらかとブタジエン、スチレン、エチレン、メタクリル酸等のコモノマーとのイミド化コポリマーなどがある。
【0057】
非晶質熱可塑性イミド化アクリル樹脂はまた、米国特許公報(特許文献10)に記載されている。非晶質熱可塑性イミド化アクリルは、商業的に入手可能であり、または当業者によって公知の技術により容易に調製可能である。
【0058】
(ポリアセタールのさらに別の成分)
ポリアセタール樹脂は通常、無機充填剤を含有しないが、代わりに周期表のII族に属する金属の塩を含有してもよく、これによって表面加工に適した粗面の形成を容易にするが、組成物の物理的−機械的性質を低下させる。
【0059】
本発明の組成物は、ポリアセタールおよび安定剤ポリマーのほかに、ポリアセタールモールディング用樹脂中で一般に用いられるような他の成分、改質剤および添加剤、例えば補助安定剤(米国特許公報(特許文献11)、米国特許公報(特許文献12)、米国特許公報(特許文献13)および米国特許公報(特許文献6)に開示されているような補助安定剤)、酸化防止剤、顔料、着色剤、紫外線安定剤、強化剤、核剤、および充填剤を含有することができる。
【0060】
(表面処理)
塗装されるポリアセタールの表面は、表面洗浄、エッチング、火焔吹付、イオン化、サンディング、および紫外線露光、またはこれらの処理の有用な組合せから選択された表面改良技術によって処理される。この処理の目的は、選択された処理の酸化作用によって粗面を生じさせ、おそらく、ポリアセタール分子のペア上に反応性基を形成するかまたは示すようにすることである。
【0061】
特に複合造形成形品のための好ましい処理は、硫酸、リン酸、塩酸および有機酸の群からの少なくとも3つの酸を含有する混合酸槽中で、特に硫酸、リン酸、塩酸および酢酸を含有する混合酸槽中でエッチングすることである。
【0062】
火焔吹付もまた、より複雑でない形状、例えば二次元成形物品のための公知の適した表面処理である。酸性溶液に浸漬することに対して、欠点は、造形成形品は火焔吹付されると、良好な付着を最適に促進して活性化反応性基の再結合を避けるために表面の活性化のすぐ後に塗装されなければならないということである。
【0063】
サンドブラストもまた、より複雑でない形状に適している。しかしながら、それは表面を粗くした後にさらに別の洗浄工程を必要とし、概してあまり好ましくない表面の美観をもたらす。この技術によって、付着の大部分は、装飾または機能性層の機械的定着によって制御される。装飾または機能性層は、塗料コート、金属コートまたは付加的なコートを意味し、その機能は、軟らかな感触、耐磨耗性層または低摩擦コートなどの付加的な機能性を提供することである。
【0064】
最外表面層のイオン化は、高温、電気放電または放射後の化学反応の結果としてのイオンの形成を意味する。紫外線もまた、表面を活性化して若干の反応性基を形成し、塗料系の湿潤性および付着を促進するために用いられてもよい。紫外線によって、250〜400nmの範囲の波長を有する放射線を意味する。
【0065】
表面洗浄によって、アルコール例えばイソプロパノール(IPA)を用いて表面を拭うことを意味する。これを行なうことによって、微量のグリースまたは離型剤を表面から最終的に除去する。表面洗浄を他の処理と組合わせることができる。
【0066】
このような表面処理が必要な機能性改質剤を含有しないポリアセタール物品に適用される場合、全体にわたるポリアセタール樹脂の劣化などの問題が生じ、強度の低下および亀裂の形成につながる。
【0067】
他方、適した機能性改質剤を有するポリアセタールを利用して処理が行なわれる場合、良好な物理的−機械的性質を維持するポリアセタール物品の劣化を防止または低下させつつ、表面改質を達成することができ、長期の老化後でも、塗料の改良された付着性をもたらす。
【0068】
(塗料系)
塗料は、溶剤性、水性、固形分100%または粉末コート1K塗料系からポリアセタール基材の予備処理された表面の上へ、処理されたポリアセタール基材に適用される。乾燥は熱的にまたは光源で行なわれる。適用された塗料は、熱可塑性または部分的な熱可塑性塗料である。(熱硬化性樹脂と異なり)熱可塑性ポリマーは、三次元に分枝しない。それらは、それらの特定の融解温度において溶融性であり、それらの機械的性能は主に、それらの分子量によって制御される。反対に、熱硬化性ポリマーは、融解温度を有さず、それ故、溶融しないが高温において分解する。それらの物理的性能は、架橋の間に形成された三次元網目によっておよび熱硬化性ポリマーの架橋密度によって制御される。
【0069】
1Kおよび2K塗料系は、当業者に公知である。1K塗料系についていえば、この塗料系は「複数の成分の一混合物」だけによって構成され、熱活性化された作用の速い架橋剤または促進剤と混合せずに単独で適用され、このため、低温において非硬化性またはほとんど非硬化性である。他方、2K塗料系において、混合可能な第2の成分は、架橋剤などの官能性反応性成分であり、低温において、通常100℃未満において迅速な硬化をもたらすために添加される。2K塗料系は、それらの使用を望ましくする本質的に良好な耐化学薬品/溶剤性を特徴とする。しかしながら、それらは、特に過酷な老化条件下で、ポリアセタール基材上にベースコートとして適用される時に十分に機能しない。
【0070】
1K塗料が熱硬化性バインダーをベースとする場合、部分架橋または完全架橋はまた、耐化学薬品性および耐溶剤性のコーティング層をもたらす。しかしながら、2K塗料系と異なり、架橋はこの場合、140〜180℃の範囲の比較的高い温度において行なわれる。架橋はまた、バインダーが紫外光、赤外光および近赤外光の影響下で反応する塗料組成物によって行なわれる。しかしながら、熱硬化性バインダーをベースとする1K塗料はもっぱら、塗料が低い硬化速度を有する時に本発明の実施において用いられるのがよい。
【0071】
1K塗料が熱可塑性バインダーをベースとする場合、乾燥は物理的であるにすぎず、耐溶剤性および耐化学薬品性の低下の原因となる場合がある。しかしながら、熱可塑性バインダーはまた、それら自体、粒子の分散された形で架橋されてもよく、そこにおいて、分散系を形成する粒子は、本明細書中で「部分的な熱可塑性」と称される、非水性分散系(NAD)およびミクロゲル下の、公開文献に記載されているような架橋ポリマーからなる。このような粒子分散系からのフィルム形成方法は主に、ミクロゲルコアー上に非ゲル化ポリマーをグラフトまたは吸着することによって達成される。塗料系においてこのような分散系は、熱可塑性バインダーをベースとする塗料において一般に用いられる高分子量バインダーに比べて、より良い耐溶剤性を提供する。
【0072】
架橋粒子もまた、水分散系またはエマルションの形で存在する。ここで上に記載された同じ原理が用いられ、粒子に架橋された内部部分があり、粒子の外面の外側領域が水相中の粒子を安定化させ、フィルム形成部分としても作用する場合がある。架橋はまた、官能基の反応によって境界にわたって粒子の内部部分にフィルムを形成した後に行なわれてもよい。部分的な熱可塑性バインダーの非限定的な例として、自己架橋分散系は、エポキシ、酸、アルコキシメチルアミド、メチロールアミド、ヒドロキシ、アミンアセトアセトキシ、イソシアナト、ケチミン、アルジミン、アジリジン、オキサゾリン官能基を含有し、メチロール(メタ)アクリルアミドをベースとした自己架橋エマルションは公知である。
【0073】
初期コーティングは、非水性分散系(NAD)およびミクロゲルの上記の定義に従って熱可塑性または部分的な熱可塑性(架橋されないかまたは部分架橋されるが完全熱硬化性ではない)であるのがよい。バインダーが熱可塑性ポリマーである場合、それは、低いガラス転移温度、好ましくは25℃未満、最も好ましくは0℃未満のガラス転移温度を特徴とし、および/またはそれは、可塑剤で改質されるのがよい。可塑剤は、非晶質(ガラス状)熱可塑性樹脂の剛性を低減する化学薬品を意味する。その主な効果は、ポリマー鎖の分子移動度を増加させ、従って非晶質樹脂のガラス転移温度を低減させることである。部分的な熱可塑性ミクロゲル分散系の場合、高分子量ミクロゲル、すなわち100,000を超えるのが好ましい。
【0074】
塗料中で用いられるバインダーの例は、アルキド、ポリエステル、アクリル、ビニル、酢酸酪酸セルロース、ニトロセルロース、エポキシド、ポリアミド、ポリアミンおよびポリウレタンである。
【0075】
部分熱可塑性塗料中で用いられる塗料架橋剤の例は、メラミンホルムアルデヒド、ウレアホルムアルデヒド、ベンゾグアナミンホルムアルデヒドベースであるか、またはポリイソシアネートである。塗料系が溶剤性である場合、代表的な溶剤には、アルコール、ケトン、エーテル、アセテート、芳香族化合物、アミドなどがあるがこれらに限定されない。
【0076】
改良された塗装適性をもたらす、試験された最良の1K塗料系の例としては、
i)本願特許出願人から入手可能なセンタリ(Centari)(登録商標)ベースコート。この1Kベースコートは、熱可塑性バインダー系を含み、前記バインダーは、酢酸酪酸セルロース、オイルフリーポリエステル、ブチルカルバメート可塑剤およびワックス分散系をベースとする。ワックス分散系は、ビニルアセテート/エチレンコポリマーである。センタリ(登録商標)ベースコートの色は、顔料および改質された第三アミン含有特殊アクリル分散系樹脂に基づいている。センタリ(登録商標)系と同等だがオイルフリーポリエステルの代わりにアクリルを有するベースコートもまた、良好な塗装適性(塗料の付着性)を示した。
【0077】
ii)クロマックス(Cromax)(登録商標)ベースコートは、本願特許出願人から入手可能な部分的な熱可塑性1K塗料系である。このベースコートは、顔料を分散させるための酸官能性アクリルおよび主なバインダーとしてメチロールメタクリルアミドベースのアクリルエマルションおよび鎖延長ポリエステルウレタンエマルションを含む。不活性化剤(passivator)としてのオリゴマーホスフェート、ポリウレタン/アクリルハイブリッド分散系および鎖延長されていないポリエステルウレタンエマルションをベースとする同様なベースコートもまた、改良された塗装適性を示した。
【0078】
本発明において、熱可塑性または部分的な熱可塑性ベースコートが、最良の付着性能を提供するために改質ポリアセタール物品に適用される。次に、適用された熱可塑性または部分的な熱可塑性塗料は有利には、熱硬化性塗料またはワニスの層で覆われる。最高の耐溶剤性または耐化学薬品性を提供しながら付着性能を維持するために本明細書において発展させられたコンセプトは、「サンドイッチのコンセプト」または、第1の層である1Kベースコートが熱可塑性または部分的な熱可塑性樹脂であり、第2の層である2Kトップコートが熱硬化性樹脂である2層に基づいている。ベースコートが所望の色を与え、その本質的な高分子の性質によって層の可撓性および「靭性」を確実にする。熱硬化性2Kクリアコートの架橋から生じる場合がある界面における応力の発生のバランスをとるためにこの可撓性が必要とされる。熱硬化性2Kベースコートの場合、通常、不十分な付着性能が飽和湿度、高温(80〜90℃)および長期間(150時間)で老化した後に観察される。
【0079】
熱可塑性または部分的な熱可塑性1K塗料、および2Kトップコートもまた、浸漬、噴霧、ブラッシングまたは粉末適用によって適用することができる。
【0080】
上述のように、適用された塗料は、装飾または機能性層であってもよい。塗料は、例えば軟らかな感触、耐磨耗性層または低摩擦コート、または補強を与えるために機能性添加剤を含有することができる。
【0081】
(混合酸エッチング槽の調製)
例として与えられた以下の組成物の混合酸エッチング槽を以下に記載した比較用試験のために調製した。すなわち、硫酸34.5重量%、リン酸29.0重量%、塩酸4.5重量%、酢酸8.5重量%および水23.5重量%。この実施例において、硫酸の、リン酸に対する重量比が1.18であり、および塩酸の、酢酸に対する重量比が0.52である。
【0082】
(塗装用のポリアセタール物品のエッチング)
塗装される成形改質ポリアセタール物品を洗浄するために、それらを2〜3分間、50℃までの温度において弱アルカリ性のpHの界面活性剤(フランス、パリのシプリー(Shipley)SASから入手可能なPM900など)を有する洗浄剤槽に浸し、次いで、エッチングする前にそれらを水ですすぐ。あるいは、物品をアニールし、冷却し、洗浄およびすすぐ。
【0083】
上述の混合酸槽中でのエッチングは、10〜30分間、25〜35℃において行なわれるのが便利である。より低温の条件は、より長い処理を必要とする。溶液を撹拌して改質ポリアセタール表面のエッチングを均一化することができる。エッチングの間、安全および空気の制御のために煙霧が排出される。
【0084】
エッチングの後に、水ですすぎ洗いし、中和、低温すすぎ洗いおよび高温すすぐ。次に、塗装されるエッチングされた成形品を乾燥させ、塗料ラインの支持体上に載せ、有機塗料および必要ならばトップコートを塗装し、硬化させ、次いで降ろし、制御する。
【0085】
(比較試験)
成形品、すなわちスキービンディングを、以下に記載したように商用の非改質または改質アセタール樹脂を用いて射出成形した。全ての成形品に混合酸エッチング槽内で上述の表面処理を実施した。詳述したようにIKおよび/または2K塗料系を適用した。改質樹脂は、2つのポリアミドを含有し、一方が40’000の分子量を有し、1.5%のレベルで存在するが、他方が約18’000の分子量を有し、0.5%のレベルで存在する。塗料の付着性性能をISO2409標準(クロスカット試験)によって測定した。
【0086】
図1aおよび1bは、2つの異なった非改質商用デルリン(Delrin)(登録商標)100および100Tアセタール銘柄を用いて射出によって成形された、塗装された成形品、すなわちスキービンディングの表面の写真を示す。用いられたベースコート塗料系は、水性クロマックス(登録商標)1K塗料系であり、トップコートは2Kアクリルクリアコートである。図1aにおいて、表面の美的見地から許容できないドットが観察される。これらのドットはおそらく、局所高分子構造によって制御された表面エネルギー論の不整合によって生じさせられた。図1bの写真は、ISO2409によって測定した時に汚点がないが不十分な付着を特徴とする。根本的に、これらの写真は、非改質アセタール樹脂を塗装する時に遭遇した好ましくない表面の美観または不十分な付着性能の観点から主な人為構造を要約する。
【0087】
図2aおよび2bは、改質デルリン(登録商標)100アセタール銘柄を用いて射出によって成形された、塗装された成形品、すなわちスキービンディングの写真を示す。図2aにおいて、ベースコートとトップコート系との両方が、2K熱硬化性樹脂である。図2aの左部分に示すように、付着性能は、塗装したすぐ後には良好であるが、図2aの右に示すように、湿度飽和大気(100%RH)中で80℃において120時間老化した後に付着の低下が観察される。
【0088】
図2bは、本発明の好ましい実施態様による試料、すなわち、熱可塑性1Kベースコートおよび2K熱硬化性トップコートを適用する新しいコンセプトを示す。図2aとの比較によって、この写真は明らかに、図2bの左および右にそれぞれ示されるように、老化する前と後の、本発明によって得られた付着性能の改良を示す。
【0089】
図3は、塗装される商用非改質デルリン(登録商標)107NCおよび改質デルリン(登録商標)の、衝撃工程において測定された、ジュール単位で表された衝撃性能をグラフで比較する。試験を0−40Jの衝撃振子を用いて行い、記録された値は、i)物品が成形されたすぐ後、ii)30分間、150℃においてアニールした後、およびiii)アニールおよびエッチングした後に測定された。結果から、改質されないアセタール(商用デルリン(登録商標)107NC)がエッチングにより損なわれる、すなわち成形物品がエッチング後にその衝撃性能を劇的に失ったことを見ることができる。他方、本発明の改質成形物品は、エッチングした後でもアセタール樹脂に特徴的な高い衝撃性能を維持し、良好な機械的性質および高収率をもたらす。この収率は、表面の活性化後に25〜30%を超える衝撃強度の低下のないことを特徴とする成形品のパーセンテージとして本明細書中で定義される。
【0090】
これらの結果は明らかに、表面処理を実施された改質ポリアセタールについておよび処理された表面に直接に適用された選択された1K熱可塑性塗料系によってだけ、本発明の有益な効果が得られることを示す。1K熱可塑性塗料系をコートされたとしても非改質ポリアセタールは十分に機能しない(図1aおよび1b)。同様に、2K熱硬化性塗料を直接にコートされた改質ポリアセタールは十分に機能しない(図2a)。図2bは、過酷な老化後でもみられる本発明の塗装されたアセタールの良好な性能を示す。図3は、表面の処理後に物理的特徴を維持するためにポリアセタールの改質が必要であることを立証する。
【図面の簡単な説明】
【0091】
【図1a】非改質ポリアセタールの2つの基材を塗装した後に観察された代表的な表面人為構造および不十分な付着を示す写真である。
【図1b】非改質ポリアセタールの2つの基材を塗装した後に観察された代表的な表面人為構造および不十分な付着を示す写真である。
【図2a】不良な塗料系の写真である。
【図2b】改良された塗装適性および長期間老化を有する本発明による塗料系の写真である。
【図3】予備塗装プロセスの異なった段階において、改質されていないポリアセタール樹脂よりも改質ポリアセタール樹脂の機械的性能が改良されたことを示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリアセタールを90〜99.5重量%と、分子量が1,000〜50,000である半結晶質または非晶質熱可塑性非ポリアセタール樹脂を0.5〜10重量%とを含むポリアセタール基材と、
適用される塗料に前記ポリアセタール基材の前記半結晶質または非晶質熱可塑性非ポリアセタール樹脂の曝露を増加させるために予備処理された前記ポリアセタール基材の表面の上に、溶剤性、水性または粉末1K塗料系から前記ポリアセタール基材に適用される塗料と、を含み、
前記塗料が熱可塑性または部分的な熱可塑性塗料であることを特徴とする塗装されたポリアセタール物品。
【請求項2】
前記基材が95〜98.5重量%のポリアセタールと、1.5〜5重量%の前記半結晶質または非晶質熱可塑性非ポリアセタール樹脂とを含むことを特徴とする請求項1に記載の塗装されたポリアセタール物品。
【請求項3】
前記半結晶質または非晶質熱可塑性非ポリアセタール樹脂が窒素基、OH基、またはアクリレート、もしくはメタクリレート官能価を有することを特徴とする請求項1に記載の塗装されたポリアセタール物品。
【請求項4】
前記半結晶質または非晶質熱可塑性非ポリアセタール樹脂が少なくとも1つのアミドを含むことを特徴とする請求項3に記載の塗装されたポリアセタール物品。
【請求項5】
前記半結晶質または非晶質熱可塑性非ポリアセタール樹脂がポリアミドであることを特徴とする請求項1、2または3のいずれか一項に記載の塗装されたポリアセタール物品。
【請求項6】
前記半結晶質または非晶質熱可塑性非ポリアセタール樹脂が異なった分子量の第1および第2のポリアミドのブレンドを含むことを特徴とする請求項4に記載の塗装されたポリアセタール物品。
【請求項7】
前記第1のポリアミドが前記第2のポリアミドの分子量より少なくとも5000大きい分子量を有し、前記第1のポリアミドが20,000〜50,000の範囲の分子量を有し、0.5〜5重量%の範囲の量で存在し、前記第2のポリアミドが1,000〜25,000の範囲の分子量を有し、前記第1のポリアミドと同等またはより小さい量で、0.1〜2.5重量%の範囲の量で存在することを特徴とする請求項6に記載の塗装されたポリアセタール物品。
【請求項8】
前記第1のポリアミドが1〜2重量%の量で存在し、前記第2のポリアミドが0.25〜1.5重量%の量で存在することを特徴とする請求項7に記載の塗装されたポリアセタール物品。
【請求項9】
前記塗料系が25℃未満のガラス転移温度を有する熱可塑性ポリマーを含有することを特徴とする請求項1に記載の塗装されたポリアセタール物品。
【請求項10】
適用された熱可塑性または部分的に熱可塑性塗料が熱硬化性塗料またはワニスの層で覆われていることを特徴とする請求項1に記載の塗装されたポリアセタール物品。
【請求項11】
無機充填剤を含有しないことを特徴とする請求項1〜10のいずれか一項に記載の塗装されたポリアセタール物品。
【請求項12】
ポリアセタールを90〜99.5重量%と、分子量が1,000〜50,000である半結晶質または非晶質熱可塑性非ポリアセタール樹脂を0.5〜10重量%とを含む溶融ブレンドを固化することによって製造されたポリアセタール基材を提供する工程と、
処理される表面に塗料を適用するために、前記ポリアセタール基材の表面を処理して、適用される塗料に前記半結晶質または非晶質熱可塑性非ポリアセタール樹脂の曝露を増加させる工程と、
溶剤性、水性または粉末1K塗料系から熱可塑性または部分的に熱可塑性塗料を前記ポリアセタール基材の前記処理された表面の上に適用する工程と、
を含むことを特徴とする塗装されたポリアセタール物品の製造方法。
【請求項13】
前記ポリアセタール基材の前記表面が、エッチング、火焔吹付、イオン化、サンディング、表面洗浄および紫外線露光から選択される表面改良技術によって処理されることを特徴とする請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記ポリアセタール基材の前記表面が、硫酸、リン酸、塩酸および有機酸の群からの少なくとも3つの酸を含有する混合酸槽からエッチングすることによって処理されることを特徴とする請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記混合酸槽が硫酸、リン酸、塩酸および酢酸を含有することを特徴とする請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記ポリアセタール基材がモールディング、押出または熱成形によって提供されることを特徴とする請求項12に記載の方法。
【請求項17】
前記熱可塑性または部分的に熱可塑性塗料が、浸漬、噴霧、ブラッシングまたは粉末適用によって適用されることを特徴とする請求項12に記載の方法。
【請求項18】
適用された熱可塑性または部分的に熱可塑性塗料を熱硬化性塗料またはワニスの層で覆う工程を含むこと特徴とする請求項12に記載の方法。
【請求項19】
前記半結晶質または非晶質熱可塑性非ポリアセタール樹脂がポリアミドであることを特徴とする請求項12〜18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
前記半結晶質または非晶質熱可塑性非ポリアセタール樹脂が、異なった分子量の第1および第2のポリアミドのブレンドを含み、前記第1のポリアミドが前記第2のポリアミドの分子量より少なくとも5000大きい分子量を有し、前記第1のポリアミドが20,000〜50,000の範囲の分子量を有し、0.5〜5重量%の範囲の量で存在し、前記第2のポリアミドが1,000〜25,000の範囲の分子量を有し、前記第1のポリアミドと同等またはより少ない量で、0.1〜2.5重量%の範囲の量で存在することを特徴とする請求項12に記載の方法。
【請求項21】
前記塗装されたポリアセタール物品が無機充填剤を含有しないことを特徴とする請求項12〜20のいずれか一項に記載の方法。


【図1a】
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【図1b】
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【図2a】
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【図2b】
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【図3】
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【公表番号】特表2007−516312(P2007−516312A)
【公表日】平成19年6月21日(2007.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−533043(P2006−533043)
【出願日】平成16年5月12日(2004.5.12)
【国際出願番号】PCT/US2004/015062
【国際公開番号】WO2004/104096
【国際公開日】平成16年12月2日(2004.12.2)
【出願人】(390023674)イー・アイ・デュポン・ドウ・ヌムール・アンド・カンパニー (2,692)
【氏名又は名称原語表記】E.I.DU PONT DE NEMOURS AND COMPANY
【Fターム(参考)】