補助陰極を使用したウエハーのめっき装置及び方法
【課題】
ウエハーに部分めっきをおこなう際に、陽極と陰極の間に、被めっき物と同極でかつ電流比率をコントロールできる本補助陰極を被めっき物の陽極側全面に格子状あるいは網目状に配置し、めっきエリアの偏在を軽減し、その結果、厚みばらつきの少ないめっきを行なう方法。
めっきエリアの偏在した品物をめっきする場合、めっき厚ばらつきが大きくなる。
ばらつきの大きいことは生産性、コスト、品質に悪影響を及ぼす。
【解決手段】
被めっき物の前に格子状の本補助陰極を配置し、被めっき物と本補助陰極トータルでのめっきエリアの偏在をおさえる。また、被めっき物と本補助陰極に流れる電流を個別に管理することにより、本補助陰極に流す電流を必要最小限に抑える。また、前面に配置した本補助陰極が被めっき物の特定の部分に影響を与えないよう、相対位置をめっき作業中に変化させる。
ウエハーに部分めっきをおこなう際に、陽極と陰極の間に、被めっき物と同極でかつ電流比率をコントロールできる本補助陰極を被めっき物の陽極側全面に格子状あるいは網目状に配置し、めっきエリアの偏在を軽減し、その結果、厚みばらつきの少ないめっきを行なう方法。
めっきエリアの偏在した品物をめっきする場合、めっき厚ばらつきが大きくなる。
ばらつきの大きいことは生産性、コスト、品質に悪影響を及ぼす。
【解決手段】
被めっき物の前に格子状の本補助陰極を配置し、被めっき物と本補助陰極トータルでのめっきエリアの偏在をおさえる。また、被めっき物と本補助陰極に流れる電流を個別に管理することにより、本補助陰極に流す電流を必要最小限に抑える。また、前面に配置した本補助陰極が被めっき物の特定の部分に影響を与えないよう、相対位置をめっき作業中に変化させる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウエハーに部分めっきを行う際、厚みばらつきを抑える方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、一般的なめっきにおいて、めっき厚ばらつきを抑えるため、遮蔽板及び補助電極が使用されている。その他、めっき厚ばらつきを抑える方法として、電流密度を変更する手段がある。また、一般的に使用される硫酸銅めっきはその主成分が硫酸銅と硫酸であるが、硫酸銅濃度が高いほど銅イオンの供給が有利となり単位時間あたりの電流が多く流せる。その結果、めっき速度は上昇する方向になるが、硫酸銅濃度を上昇させるとめっき厚ばらつきは大きくなるので、めっき厚ばらつきを少なくするには銅濃度を下げ低電流でめっきすることが一般的に行なわれており、生産性に問題がある。
【0003】
遮蔽板とは、陽極と陰極の被めっき物の間に電気を制御する邪魔板を入れ、めっき厚さの均一化を図る方法である。例えば、正方形の陽極に対し、同じ大きさの正方形の被めっき物を平行に配置してめっきを行った場合、周辺、特にコーナー部の厚みが高くなる。その対応として、被めっき物に対し、周辺、特にコーナー部をマスクする遮蔽板を使用する。
【特許文献1】特願平6−236458
【特許文献2】特願平8−285682
【0004】
補助電極には電極を陰極として、ウエハーのめっき厚が高くなる周辺に、厚みばらつきを少なくするために配置したダミーがある。例えば、正方形の被めっき部分の周辺に補助陰極を配置すると、補助陰極部分のめっき厚ばらつきは大きくても、正方形の被めっき部分のめっき厚ばらつきは抑えられる。通称、逃がしと言い、被めっき物と電気的に同極で接続されている。
【特許文献3】特願平7−335647
【0005】
遮蔽板およびダミーとしての補助陰極ともに、被めっき物の形状が限定されている場合は、その形状に応じた治具を使用して対応できるが、ウエハーの部分めっきのように、ウエハー自身の形状は限定されているが、めっきする部分のパターンがすべて異なり、かつ内部に不均一に配置されている場合には、事実上、遮蔽板およびダミーとしての補助陰極では対応が困難である。
従って、現実的には周辺部に遮蔽板を配置し、ばらつきが許される範囲の低い電流密度で時間をかけてめっきをしている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、被めっき物におけるめっきエリアの偏りが原因となって発生するめっき厚ばらつきを少なくすることを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
以下に課題を解決すための手段について記述する。
【0008】
陽極と被めっき物の間に、格子状あるいは網目状等の金属板からなるめっき液を通過させる構造の補助陰極(以下、本補助陰極という)を全面に配置する。被めっき物のめっきエリアが偏っていても、本補助陰極との合算のめっきエリアのばらつきは少なくなり、結果的に被めっき物のめっきエリアの偏りに起因するばらつきが少なくなる。
【0009】
また、被めっき物のめっきエリアのばらつき程度により、効果的に使用できるように、被めっき物と本補助陰極に流す電流値をコントロールできるようにした。本補助陰極の配置影響が特定箇所に出ないよう被めっき物と本補助陰極の相対位置を変化させた。相対位置を変化させる方法としては、被めっき物または及び本補助陰極を回転させたり、左右あるいは及び上下に往復運動させた。
【0010】
めっき厚みを制御する方法に関する先願特許として、特願平11−99460は陰極と陽極の間に電流制御された孔の開いた導電性の補助電極を配置する方法がある。しかし、一見、本出願と構造は似ているが、特願平11−99460では補助電極は陽極であり、本特許は補助電極が陰極である相違がある。この相違はめっき特性から考えるとまったく異なる構成である。すなわち、本出願のポイントは、めっき厚ばらつきを抑えるという目的から、陰極、すなわち被めっき物のめっきエリアの偏りを少なくしてめっき厚ばらつきを少なくするというものであり、特願平11−99460に記載されているものと基本的に構成要素が異なる。
【特許文献4】特願平11−99460
【発明の効果】
【0011】
本補助陰極を使用しないでめっきエリアが偏在する被めっき物をめっきする場合、めっき厚のばらつきを少なくする方法として、めっき液組成を変更する、または、及び、電流密度を低くする等により多少のばらつき改善は行えるが、所詮、めっきエリア密度の低い部分の電流密度は、めっきエリア密度の高いエリアに比べ高くなりめっき厚ばらつきを抑えることは困難であり、品質も低下する。
しかしながら、本発明の補助陰極を使用すると、めっきエリア密度が実質的にほぼ均一になり、その結果、めっき厚ばらつきが抑えられる。
【0012】
これにより、均一性が良くなるだけでなく、比較的高電流密度でめっきできるため、生産性も向上する。
【0013】
また、めっきエリア分布が均一であり、本補助陰極が必要でない場合、また、必要であるがその効果がそれほど必要でない場合は、被めっき物に流す電流と本補助陰極に流す電流を調整することにより、設置した治具を交換することなく作業が可能。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
図1は、下地の導電層2を経由して、開口部にめっきをするためにウエハー上にめっきマスク3を形成したものである。実際のウエハー1では50〜300μmφもしくは□のランド部、もしくはそのランド部を10〜100μm幅のパターンで接続した形状のものが多いが、極端な説明用の例として図1以降に記載する。
【0015】
図1では、ウエハーの右半分にめっきエリアが偏っており、そのままめっきを行うと左側のめっきエリア部分に電流が集中するため、その部分のめっき厚が異常に高くなってしまう。
【0016】
図2は、本補助陰極の例である。ほぼ均一に格子状もしくは網目状5もしくはその組み合わせの形状に導電性の材料5で形成する。被めっき物を8インチウエハーとした場合の格子としては5mm角から20mm角付近が好ましい。線径としては 格子間隔の10%前後の丸線が最も良い。角棒だとコーナー部の成長が早く、寿命が短くなる。
【0017】
図3のように、本補助陰極5は、陽極4と被めっき物6の間に配置する。また、本補助陰極に流れる電流と被めっき物に流れる電流は、整流器10と被めっき物6の回路間に可変抵抗7を入れることによりコントロール可能となる。むろん、整流器の電流計8以外に被めっき物または及び本補助陰極に電流計9を設置し、陰極と本補助陰極に流れる電流の比、被めっき物に流れる電流値を制御する。
【0018】
本補助陰極に流す電流値と被めっき物に流す電流値の比はめっきエリア分布の偏り具合とめっき厚の均一性の要求度から決める。偏在がほぼ無い場合は、出願内容による補助陰極は不要であり、本補助陰極が設置してある場合は本補助陰極側に電流を流す必要は無い。周辺部に設置する遮蔽板、もしくは一般的な補助陰極で対応可能である。図1のように極端に偏りがある場合は10倍程度の電流を本補助陰極側に流す。さらに多くしても効果が低下する訳ではないがコストの上昇の割には、ばらつきの改善量が少なくなる。
被めっき物に流す電流は、一般的に行なわれているめっき液と被めっき物の形状、装置等から決定する。
(比較例1)
【0019】
図4は従来の周辺部に遮蔽板もしくは補助陰極を配置した装置によりめっきを行なった場合のめっき厚分布である。均一に配置されている部分内でのめっき厚みばらつきは比較的少ないが、偏在した部分は極端に厚くなってしまう。
【0020】
図5は遮蔽板の設置例である。周辺からの電流の流れを遮断するため、遮蔽板12を一般的には被めっき物6にかぶりぎみに配置する。全面めっきを行なう場合は均一性が確保できるが、めっきエリアが偏在する部分めっきでは、前項のように対応できない。
【0021】
図6は補助陰極の設置例である。被めっき物の周辺にダミーの被めっき物13を配置し、電流が集中しめっき厚が高くなる周辺部が、製品内に入らないようにしたものである。前項と同様、めっきエリアが偏在する部分めっきでは、対応できない。
【実施例1】
【0022】
図7は、ウエハーを水平に配置し、回転させながらめっきを行なう場合の装置図である。周辺は一般的なφ140mmのサイズに開口した遮蔽板12を使用し、本補助陰極5は固定して、被めっき物6を回転させ、両者の相対位置を変化させている。
【0023】
8インチウエハーの被めっき物に対し、10mm格子の1mm径銅線で編まれた円形のネットからなる本補助陰極5を配置。被めっき物6のめっき面積10平方センチ(0.1デシ)に対し0.5Aの電流を被めっき物に流し、整流器にはトータルほぼ5.5Aの電流が流れるよう調整する。被めっき物6は20rpmで回転させ60分間めっきを行なった。
【実施例2】
【0024】
図8は、ウエハーを垂直に配置し、めっきを行なう場合の装置図である。周辺は一般的なφ140mmのサイズに開口した遮蔽板12を使用し、本補助陰極5は固定して、被めっき物6を揺動させ、両者の相対位置を変化させている。
【0025】
8インチウエハーの被めっき物に対し、15mmピッチ6角形の網目格子の0.8mm径銅線で編まれた円形のネットからなる本補助陰極を配置。被めっき物のめっき面積0.1デシに対し0.5Aの電流を被めっき物に流し、整流器にはトータルほぼ5.5Aの電流が流れるよう調整する。被めっき物は50mm幅で3m/minの速度で搖動させ60分間めっきを行なった。
【実施例3】
【0026】
図9は外周、中間および中心と3分割された本補助陰極を示す。各補助陰極は各々の電流値を調整できるようになっており、被めっき物のめっき厚さを調整できる構造になっている。分割数は被めっき物で適宜調整できる。
【実施例4】
【0027】
図10は9分割された本補助陰極を示す。各補助陰極は各々の電流値を調整できるようになっており、被めっき物のめっき厚さを調整できる構造になっている。分割数は被めっき物で適宜調整できる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】めっき前の被めっき物の構造例
【図2】本補助陰極の構造例
【図3】本補助陰極の接続例
【図4】めっきエリア偏在例とめっき厚み
【図5】一般的な遮蔽板配置例
【図6】一般的な補助陰極配置例
【図7】水平タイプの遮蔽板と本補助陰極実施例
【図8】垂直タイプの遮蔽板と本補助陰極実施例
【図9】分割タイプの補助陰極の構造例
【図10】分割タイプの補助陰極の構造例
【符号の説明】
【0029】
1 ウエハー
2 導電層
3 めっきレジスト
4 陽極
5 本補助陰極
6 被めっき物
7 可変抵抗
8 被めっき物電流計
9 本補助陰極電流計
10 整流器
11 めっきエリア
12 遮蔽板
13 補助陰極
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウエハーに部分めっきを行う際、厚みばらつきを抑える方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、一般的なめっきにおいて、めっき厚ばらつきを抑えるため、遮蔽板及び補助電極が使用されている。その他、めっき厚ばらつきを抑える方法として、電流密度を変更する手段がある。また、一般的に使用される硫酸銅めっきはその主成分が硫酸銅と硫酸であるが、硫酸銅濃度が高いほど銅イオンの供給が有利となり単位時間あたりの電流が多く流せる。その結果、めっき速度は上昇する方向になるが、硫酸銅濃度を上昇させるとめっき厚ばらつきは大きくなるので、めっき厚ばらつきを少なくするには銅濃度を下げ低電流でめっきすることが一般的に行なわれており、生産性に問題がある。
【0003】
遮蔽板とは、陽極と陰極の被めっき物の間に電気を制御する邪魔板を入れ、めっき厚さの均一化を図る方法である。例えば、正方形の陽極に対し、同じ大きさの正方形の被めっき物を平行に配置してめっきを行った場合、周辺、特にコーナー部の厚みが高くなる。その対応として、被めっき物に対し、周辺、特にコーナー部をマスクする遮蔽板を使用する。
【特許文献1】特願平6−236458
【特許文献2】特願平8−285682
【0004】
補助電極には電極を陰極として、ウエハーのめっき厚が高くなる周辺に、厚みばらつきを少なくするために配置したダミーがある。例えば、正方形の被めっき部分の周辺に補助陰極を配置すると、補助陰極部分のめっき厚ばらつきは大きくても、正方形の被めっき部分のめっき厚ばらつきは抑えられる。通称、逃がしと言い、被めっき物と電気的に同極で接続されている。
【特許文献3】特願平7−335647
【0005】
遮蔽板およびダミーとしての補助陰極ともに、被めっき物の形状が限定されている場合は、その形状に応じた治具を使用して対応できるが、ウエハーの部分めっきのように、ウエハー自身の形状は限定されているが、めっきする部分のパターンがすべて異なり、かつ内部に不均一に配置されている場合には、事実上、遮蔽板およびダミーとしての補助陰極では対応が困難である。
従って、現実的には周辺部に遮蔽板を配置し、ばらつきが許される範囲の低い電流密度で時間をかけてめっきをしている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、被めっき物におけるめっきエリアの偏りが原因となって発生するめっき厚ばらつきを少なくすることを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
以下に課題を解決すための手段について記述する。
【0008】
陽極と被めっき物の間に、格子状あるいは網目状等の金属板からなるめっき液を通過させる構造の補助陰極(以下、本補助陰極という)を全面に配置する。被めっき物のめっきエリアが偏っていても、本補助陰極との合算のめっきエリアのばらつきは少なくなり、結果的に被めっき物のめっきエリアの偏りに起因するばらつきが少なくなる。
【0009】
また、被めっき物のめっきエリアのばらつき程度により、効果的に使用できるように、被めっき物と本補助陰極に流す電流値をコントロールできるようにした。本補助陰極の配置影響が特定箇所に出ないよう被めっき物と本補助陰極の相対位置を変化させた。相対位置を変化させる方法としては、被めっき物または及び本補助陰極を回転させたり、左右あるいは及び上下に往復運動させた。
【0010】
めっき厚みを制御する方法に関する先願特許として、特願平11−99460は陰極と陽極の間に電流制御された孔の開いた導電性の補助電極を配置する方法がある。しかし、一見、本出願と構造は似ているが、特願平11−99460では補助電極は陽極であり、本特許は補助電極が陰極である相違がある。この相違はめっき特性から考えるとまったく異なる構成である。すなわち、本出願のポイントは、めっき厚ばらつきを抑えるという目的から、陰極、すなわち被めっき物のめっきエリアの偏りを少なくしてめっき厚ばらつきを少なくするというものであり、特願平11−99460に記載されているものと基本的に構成要素が異なる。
【特許文献4】特願平11−99460
【発明の効果】
【0011】
本補助陰極を使用しないでめっきエリアが偏在する被めっき物をめっきする場合、めっき厚のばらつきを少なくする方法として、めっき液組成を変更する、または、及び、電流密度を低くする等により多少のばらつき改善は行えるが、所詮、めっきエリア密度の低い部分の電流密度は、めっきエリア密度の高いエリアに比べ高くなりめっき厚ばらつきを抑えることは困難であり、品質も低下する。
しかしながら、本発明の補助陰極を使用すると、めっきエリア密度が実質的にほぼ均一になり、その結果、めっき厚ばらつきが抑えられる。
【0012】
これにより、均一性が良くなるだけでなく、比較的高電流密度でめっきできるため、生産性も向上する。
【0013】
また、めっきエリア分布が均一であり、本補助陰極が必要でない場合、また、必要であるがその効果がそれほど必要でない場合は、被めっき物に流す電流と本補助陰極に流す電流を調整することにより、設置した治具を交換することなく作業が可能。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
図1は、下地の導電層2を経由して、開口部にめっきをするためにウエハー上にめっきマスク3を形成したものである。実際のウエハー1では50〜300μmφもしくは□のランド部、もしくはそのランド部を10〜100μm幅のパターンで接続した形状のものが多いが、極端な説明用の例として図1以降に記載する。
【0015】
図1では、ウエハーの右半分にめっきエリアが偏っており、そのままめっきを行うと左側のめっきエリア部分に電流が集中するため、その部分のめっき厚が異常に高くなってしまう。
【0016】
図2は、本補助陰極の例である。ほぼ均一に格子状もしくは網目状5もしくはその組み合わせの形状に導電性の材料5で形成する。被めっき物を8インチウエハーとした場合の格子としては5mm角から20mm角付近が好ましい。線径としては 格子間隔の10%前後の丸線が最も良い。角棒だとコーナー部の成長が早く、寿命が短くなる。
【0017】
図3のように、本補助陰極5は、陽極4と被めっき物6の間に配置する。また、本補助陰極に流れる電流と被めっき物に流れる電流は、整流器10と被めっき物6の回路間に可変抵抗7を入れることによりコントロール可能となる。むろん、整流器の電流計8以外に被めっき物または及び本補助陰極に電流計9を設置し、陰極と本補助陰極に流れる電流の比、被めっき物に流れる電流値を制御する。
【0018】
本補助陰極に流す電流値と被めっき物に流す電流値の比はめっきエリア分布の偏り具合とめっき厚の均一性の要求度から決める。偏在がほぼ無い場合は、出願内容による補助陰極は不要であり、本補助陰極が設置してある場合は本補助陰極側に電流を流す必要は無い。周辺部に設置する遮蔽板、もしくは一般的な補助陰極で対応可能である。図1のように極端に偏りがある場合は10倍程度の電流を本補助陰極側に流す。さらに多くしても効果が低下する訳ではないがコストの上昇の割には、ばらつきの改善量が少なくなる。
被めっき物に流す電流は、一般的に行なわれているめっき液と被めっき物の形状、装置等から決定する。
(比較例1)
【0019】
図4は従来の周辺部に遮蔽板もしくは補助陰極を配置した装置によりめっきを行なった場合のめっき厚分布である。均一に配置されている部分内でのめっき厚みばらつきは比較的少ないが、偏在した部分は極端に厚くなってしまう。
【0020】
図5は遮蔽板の設置例である。周辺からの電流の流れを遮断するため、遮蔽板12を一般的には被めっき物6にかぶりぎみに配置する。全面めっきを行なう場合は均一性が確保できるが、めっきエリアが偏在する部分めっきでは、前項のように対応できない。
【0021】
図6は補助陰極の設置例である。被めっき物の周辺にダミーの被めっき物13を配置し、電流が集中しめっき厚が高くなる周辺部が、製品内に入らないようにしたものである。前項と同様、めっきエリアが偏在する部分めっきでは、対応できない。
【実施例1】
【0022】
図7は、ウエハーを水平に配置し、回転させながらめっきを行なう場合の装置図である。周辺は一般的なφ140mmのサイズに開口した遮蔽板12を使用し、本補助陰極5は固定して、被めっき物6を回転させ、両者の相対位置を変化させている。
【0023】
8インチウエハーの被めっき物に対し、10mm格子の1mm径銅線で編まれた円形のネットからなる本補助陰極5を配置。被めっき物6のめっき面積10平方センチ(0.1デシ)に対し0.5Aの電流を被めっき物に流し、整流器にはトータルほぼ5.5Aの電流が流れるよう調整する。被めっき物6は20rpmで回転させ60分間めっきを行なった。
【実施例2】
【0024】
図8は、ウエハーを垂直に配置し、めっきを行なう場合の装置図である。周辺は一般的なφ140mmのサイズに開口した遮蔽板12を使用し、本補助陰極5は固定して、被めっき物6を揺動させ、両者の相対位置を変化させている。
【0025】
8インチウエハーの被めっき物に対し、15mmピッチ6角形の網目格子の0.8mm径銅線で編まれた円形のネットからなる本補助陰極を配置。被めっき物のめっき面積0.1デシに対し0.5Aの電流を被めっき物に流し、整流器にはトータルほぼ5.5Aの電流が流れるよう調整する。被めっき物は50mm幅で3m/minの速度で搖動させ60分間めっきを行なった。
【実施例3】
【0026】
図9は外周、中間および中心と3分割された本補助陰極を示す。各補助陰極は各々の電流値を調整できるようになっており、被めっき物のめっき厚さを調整できる構造になっている。分割数は被めっき物で適宜調整できる。
【実施例4】
【0027】
図10は9分割された本補助陰極を示す。各補助陰極は各々の電流値を調整できるようになっており、被めっき物のめっき厚さを調整できる構造になっている。分割数は被めっき物で適宜調整できる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】めっき前の被めっき物の構造例
【図2】本補助陰極の構造例
【図3】本補助陰極の接続例
【図4】めっきエリア偏在例とめっき厚み
【図5】一般的な遮蔽板配置例
【図6】一般的な補助陰極配置例
【図7】水平タイプの遮蔽板と本補助陰極実施例
【図8】垂直タイプの遮蔽板と本補助陰極実施例
【図9】分割タイプの補助陰極の構造例
【図10】分割タイプの補助陰極の構造例
【符号の説明】
【0029】
1 ウエハー
2 導電層
3 めっきレジスト
4 陽極
5 本補助陰極
6 被めっき物
7 可変抵抗
8 被めっき物電流計
9 本補助陰極電流計
10 整流器
11 めっきエリア
12 遮蔽板
13 補助陰極
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウエハー上にめっきマスクを形成して、めっきを行う際に、陽極と被めっき物の間に、めっき液を通過できる構造の補助陰極を設置してめっきを行う方法、装置、及び、その方法で製造した製品。
【請求項2】
ウエハー上にめっきマスクを形成して、めっきを行う際に、陽極と被めっき物の間に、格子状あるいは網目状等の金属からなり、めっき液が通過できる構造の補助陰極を設置しためっき方法、装置、及び、その方法で製造した製品。
【請求項3】
請求項1または2において該補助陰極に流す電流量は、被めっき物に流す電流量と別々にコントロールするめっき方法、装置、及び、その方法で製造した製品。
【請求項4】
請求項1または2において該補助陰極と被めっき物の相対位置を、少なくても一方を揺動もしくは回転させることにより、変化させるめっき方法、装置、及び、その方法で製造した製品。
【請求項5】
請求項1または2において該補助陰極は、被めっき物周辺近傍に同一間隔で配置して行うめっき方法、装置、及び、その方法で製造した製品。
【請求項6】
素材は銅材あるいはステンレス材とした該補助陰極
【請求項7】
分割された該補助陰極は各分割部分を個別に調整できるようにした装置
【請求項1】
ウエハー上にめっきマスクを形成して、めっきを行う際に、陽極と被めっき物の間に、めっき液を通過できる構造の補助陰極を設置してめっきを行う方法、装置、及び、その方法で製造した製品。
【請求項2】
ウエハー上にめっきマスクを形成して、めっきを行う際に、陽極と被めっき物の間に、格子状あるいは網目状等の金属からなり、めっき液が通過できる構造の補助陰極を設置しためっき方法、装置、及び、その方法で製造した製品。
【請求項3】
請求項1または2において該補助陰極に流す電流量は、被めっき物に流す電流量と別々にコントロールするめっき方法、装置、及び、その方法で製造した製品。
【請求項4】
請求項1または2において該補助陰極と被めっき物の相対位置を、少なくても一方を揺動もしくは回転させることにより、変化させるめっき方法、装置、及び、その方法で製造した製品。
【請求項5】
請求項1または2において該補助陰極は、被めっき物周辺近傍に同一間隔で配置して行うめっき方法、装置、及び、その方法で製造した製品。
【請求項6】
素材は銅材あるいはステンレス材とした該補助陰極
【請求項7】
分割された該補助陰極は各分割部分を個別に調整できるようにした装置
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【公開番号】特開2006−89810(P2006−89810A)
【公開日】平成18年4月6日(2006.4.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−277242(P2004−277242)
【出願日】平成16年9月24日(2004.9.24)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成14年度科学技術振興機構委託開発事業、産業再生法第30条の適用を受ける特許出願
【出願人】(391003015)株式会社野毛電気工業 (20)
【出願人】(502273096)株式会社関東学院大学表面工学研究所 (52)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年4月6日(2006.4.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年9月24日(2004.9.24)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成14年度科学技術振興機構委託開発事業、産業再生法第30条の適用を受ける特許出願
【出願人】(391003015)株式会社野毛電気工業 (20)
【出願人】(502273096)株式会社関東学院大学表面工学研究所 (52)
【Fターム(参考)】
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