補助電力供給システム
【課題】簡単な構成で省電力効果を高めるとともに補助電源装置を有効に利用する。
【解決手段】補助電力供給装置81の判別手段85は画像形成装置1a,1bから送られたステータス情報の内容から補助電力の供給先及び供給開始や停止などの制御情報を判別して制御手段86に送る。制御手段86は送られた制御情報により、画像形成装置1a,1bのいずれに補助電源装置24から電力を供給するかとその供給するタイミングを制御する。
【解決手段】補助電力供給装置81の判別手段85は画像形成装置1a,1bから送られたステータス情報の内容から補助電力の供給先及び供給開始や停止などの制御情報を判別して制御手段86に送る。制御手段86は送られた制御情報により、画像形成装置1a,1bのいずれに補助電源装置24から電力を供給するかとその供給するタイミングを制御する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば記録媒体に転写されたトナー像を定着する定着装置等の電気機器に電力を供給する補助電力供給システム、特に省電力の効率化に関するものである。
【背景技術】
【0002】
複写機やプリンタ装置等の画像形成装置は普通紙やOHP等の記録媒体上に画像を形成する。この画像形成装置は、画像形成の高速性や画像品質,コストなどから電子写真方式が採用されている。電子写真方式は記録媒体上にトナー像を形成し、形成したトナー像を熱と圧力で記録媒体に定着する方法であり、定着方式としては安全性等の面からヒートローラ方式が現在最も多く採用されている。ヒートローラ方式は、ハロゲンヒータなどの発熱部材により加熱される加熱ローラと、加熱ローラに対向配置される加圧ローラを圧接してニップ部と呼ばれる相互圧接部を形成し、このニップ部にトナー像が転写された記録媒体を通して加熱する方法である。
【0003】
近年、環境問題が重要となり、複写機やプリンタ装置等の画像形成装置も省エネルギ化が進んでいる。この画像形成装置の省エネルギを考えるに当たって無視できないのは、トナーを記録媒体に定着する定着装置の省電力である。画像形成装置の待機時における定着装置の消費電力の低減としては、待機時には加熱ローラの温度を定着温度よりやや低い一定の温度に保つことにより、使用時に直ちに使用可能温度まで立ち上げ、使用者が定着ローラの昇温を待つことがないようにしている。この場合、定着装置を使用していないときにもある程度の電力を供給して余分なエネルギを消費していた。この待機時の消費エネルギは機器の消費エネルギの約7割から8割に上がるといわれている。
【0004】
この待機時の消費エネルギを削減してより省電力化を図ることが望まれ、日本国内では省エネルギ法が改正されて強化され、米国でもエナジースターやZESM(Zero Energy Star Mode)などの省エネプログラムが制定されて、未使用時には電力供給をゼロにすることが求められてきている。しかしながら待機時にエネルギ消費をゼロにすると、加熱ローラは鉄やアルミなどの金属ローラを主に使用しており熱容量が大きいため、約180℃前後の使用可能温度にまで昇温するには数分から十数分など長い加熱時間が必要であり、使用者の使い勝手が悪化してしまう。このため速やかに加熱ローラ温度を上昇させる構成が、省エネルギの複写機を実現する上で必要とされ、例えば、前記ZESMでは再立上には10秒以下が要求されている。
【0005】
この加熱ローラの昇温時間を短くするためには、単位時間の投入エネルギすなわち定格電力を大きくすると良い。実際に、プリント速度の速い高速機には電源電圧を200Vにして対応している装置も多い。しかし、日本国内の一般的なオフィスでは、商用電源は100V15Aであり、200Vに対応させるには設置場所の電源関連に特別な工事を施す必要があり一般的な解決法とはいえない。また、100V15Aを2系統用いて全投入電力を上げる製品も実用化されているが、2系統のコンセントが近くにあるところでないと設置することができない。このため加熱ローラを短時間で昇温させようとしても、投入エネルギの上限は上げられないのが実状であった。
【0006】
また、短時間の昇温を実現する定着装置として、例えば熱容量が小さい板状のセラミックヒータの周囲に耐熱樹脂製のフィルムを巻き回して加熱ローラを構成し、立上時間を短くしたものも、30枚/分以下の低速機で実用化されている。しかし、今後、さらに高速機へ対応するためには耐熱樹脂製フィルムを破損防止のために厚くする必要がある。このように耐熱樹脂製フィルムを厚くした場合、樹脂は金属よりも熱伝導率が悪いため、記録媒体が加熱ローラと加圧ローラのニップ中に入る以前からセラミックヒータで耐熱樹脂製フィルムを加熱する必要がある。このため、セラミックヒータの板状部の面積を大きくするとともに高い電力電源が必要であり、高速機には実現できないのが実情である。
【0007】
これを改善するために例えば特許文献1に示すように、加圧ローラの下部に加熱ローラの発熱体とは別系統の発熱体を設け、待機時に加熱ローラの発熱体とは別系統の発熱体に電力を供給している。また、特許文献2に示されているように、定着装置が待機状態になったときに一定レベルだけ低い電圧を加熱ローラに供給して定着装置の温度が下がることを遅らせたり、特許文献3に示すように、定着装置の待機時に補助電源である二次電池を充電し、定着装置を立ち上げたときに主電源装置と二次電池や一次電池から電力を供給して立上時間を短縮するようにしたりしている。さらに、特許文献4に示すように、主電源の他に大容量のコンデンサを使用した補助電源を使用し、待機時に主電源と加熱部の接続を遮断し、主電源と補助電源を接続して補助電源を充電し、待機状態から加熱部を立ち上げるときに主電源と補助電源から加熱部に電力を供給して加熱部の温度を短時間で所定の温度に立ち上げるようにしている。
【特許文献1】特開平5−232839号公報
【特許文献2】特開平10−10913号公報
【特許文献3】特開平10−282821号公報
【特許文献4】特開2000−315567号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら特許文献1に示すように、待機時に加熱ローラの発熱体とは別系統の発熱体に電力を供給したり、特許文献2に示すように、待機状態になったときに一定レベルだけ低い電圧を加熱ローラに供給していると十分な省電力とはいえない。また、立ち上がりには商用電源の最大供給電力の制限が解決できず、立ち上がり時間を短くすることはできない。
【0009】
また、特許文献3に示された定着装置は、立ち上げ時に主電源装置と二次電池や一次電池から電力を供給しているが、二次電源としては一般にカドニカ電池や鉛蓄電池が使用され、この二次電池は充放電を何回も繰り返すと容量が劣化し低下していき、大電流で放電するほど寿命は短いという性質を持つ。一般的に大電流で長寿命とされているカドニカ電池でも充放電の繰り返し回数は約500〜1000回程度であり、一日に20回の充放電を繰り返すと一ヶ月程度で電池の寿命が来てしまうことになり、長期間の使用ができないとともに交換の手間がかかり、交換する電池代などのランニングコストも非常に高くつくという短所がある。また、充電時間も大容量をフルに充電するには数時間を要するため一日に何度も充放電を繰り返す用途には使用できず、実用上は実現が困難であった。さらに、鉛蓄電池は液体の硫酸を使用するなどのオフィス用機器としては好ましくない。
【0010】
定着ローラの加熱に通常用いられるハロゲンヒータは、大電流にすると寿命が短くなるため、最大電流が10〜12A程度が上限であり、最大電流を大きくすることが困難である。したがってハロゲンヒータを発熱体として用いた加熱装置で大電力を得るためには、大電圧の電源を電力供給源として用いる必要がある。特許文献4に示すように、主電源の他に大容量のコンデンサを使用した補助電源を使用し、待機時に補助電源を充電し、待機状態から加熱部を立ち上げるときに主電源と補助電源から加熱部に電力を供給する場合、補助電源として使用する大容量のコンデンサは、セル内部の溶液が電気分解するのを防ぐため、1セル当たりの電圧が数ボルト程度と低い特性があり、水系で1ボルト強、有機系でも数ボルト程度である。このため、ハロゲンヒータを発熱体として加熱するには、セルを十数個〜数十個直列に接続して高電圧の電源ユニットとして利用する必要がある。この多くのセルを直列につないで高電圧・大電力を得る構成では、例えば数個のセルだけで発熱体の温度を上昇させるのに十分なエネルギを有していても、電圧を上げるためにはセルの数を増やす必要があり、現在コストが高い余分なセルを多量に使用する必要があるため、電源の体積が大きくコストも高くなってしまうという問題があった。
【0011】
この発明はかかる短所を改善し、簡単な構成で補助電源を有効に利用して省電力効果を高めるとともに補助電源の体積を減らして設置スペースが小さく低価格の補助電力供給システムを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
この発明の補助電力供給システムは、主電源装置から電力が供給される少なくとも1つの電気機器と、補助電源装置から少なくとも1つの電気機器に電力を供給する電力供給装置とを有する電力供給システムであって、前記電気機器は、当該電気機器のステータス情報を出力する出力手段を有し、前記電力供給装置は、前記電気機器から出力される前記ステータス情報に基づき、前記補助電源装置の制御情報を判別する判別手段と、前記判別手段で判別した前記制御情報に基づき、前記補助電源装置からの電力供給を制御する制御手段とを有することを特徴とする。
【0013】
前記ステータス情報は、前記補助電源装置から前記電気機器に対する電力供給の状態を示す給電情報を含むことを特徴とする。
【0014】
また、前記ステータス情報は、前記電気機器の電力要求度を示す優先度情報を含むことを特徴とする。
【0015】
前記電気機器は、さらに、前記主電源装置から電力を供給する主発熱体と、前記補助電源装置から電力を供給する補助発熱体とからなる加熱装置を有することを特徴とする。そして前記ステータス情報は、前記加熱装置の温度情報を含むことを特徴とする。
【0016】
また、前記加熱装置は、記録媒体に転写した画像を記録媒体に固着する定着装置に設けられたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
この発明は、主電源装置から電気機器に電力を供給するとともに補助電源装置からも電力を供給することにより、補助電源装置を有効に利用することができる。
【0018】
また、各電気機器の個別の状態や動作状態の情報を示すステータス情報に基づき補助電力を供給する供給先や供給タイミングを制御することにより、補助電力を必要とする電気機器に補助電力を供給することができ、電気機器の状況に合わせた適切な電力供給を行うことができ、補助電源装置を有効に利用することができる。また、ステータス情報に優先度を含み、優先度に応じて補助電力を供給することにより、電気機器の使用者の便宜を図ることができる。
【0019】
また、電気機器は主電源装置から電力を供給する主発熱体と、補助電源装置から電力を供給する補助発熱体とからなる加熱装置を有し、ステータス情報に加熱装置の温度情報を含むことにより、補助電源装置からの電力供給タイミングを制御することにより、補助電源装置を有効に利用することができる。
【0020】
さらに、この加熱装置を記録媒体に転写した画像を記録媒体に固着する定着装置に設けることにより、定着装置の温度を急激に立ち上げることができ、昇温時間を大幅に短縮することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
図1はこの発明の画像形成装置の構成図である。図に示すように、電子写真方式の画像形成装置1は、感光体2と、感光体2に沿って設けられた帯電装置3と、感光体2の回転方向の帯電装置3より下流側に設けられ、書込装置の一部であり、レーザ光4を感光体2の表面に入射するミラー5と、レーザ光4の入射する光書込部の下流側に設けられ、現像ローラ6aを有する現像装置6と、現像装置6の下流側に設けられた転写装置7と、転写装置7の下流側に設けられ、クリーニングブレード8aを有するクリーニング装置8と、給紙装置9及び定着装置10を有する。給紙装置9は給紙トレイ11と給紙コロ12と記録紙搬送路13及びレジストローラ対14を有し、給紙トレイ11に収納された記録紙を転写装置7に搬送する。
【0022】
この画像形成装置1で画像を形成するとき、回転している感光体2の表面を帯電装置3により均一に帯電し、書込装置から画像情報に応じて出射されるレーザ光4をミラー5で反射して帯電した感光体2の表面に入射し、形成する画像に応じた静電潜像を形成する。この感光体2の表面に形成した静電潜像を現像装置6で現像してトナー像を形成する。一方、給紙トレイ11から給紙コロ12により給紙された記録紙は記録紙搬送路13を通りレジストローラ14の位置で一旦停止している。そして感光体2に形成されたトナー像が転写装置7に達するのと同じタイミングでレジストローラ対14から記録紙を送り出し、感光体2に形成されたトナー像を転写装置7で記録紙に転写する。転写装置7でトナー像が転写された記録紙は定着装置10に送られ、記録紙に転写したトナー像のトナーを加熱溶融して記録紙にトナー像を定着する。また、記録紙に転写されずに感光体2に残留したトナーはクリーニング装置8で除去される。
【0023】
この記録紙に転写されたトナー像を定着する定着装置10の加熱装置21は、図2の回路図に示すように、加熱部22と主電源装置23と補助電源装置24とメインスイッチ25と充電器26及び切替部27を有する。加熱部22は、図3の断面図に示すように、加圧ローラ15と対向して設けられ、加圧ローラ15とのニップ部に送られた記録紙16に転写されたトナー像17を加熱溶融するものであり、主電源装置23から供給される電力により発熱する主発熱体22aと、補助電源装置24から供給される電力により発熱する補助発熱体22bを有する。このように加熱部22を主発熱体22aと補助発熱体22bの2系統とし、主発熱体22aと補助発熱体22bに異なる系統の主電源装置23と補助電源装置24から電力を供給することにより、加熱装置21の回路の構成を簡略化してコストを低減することができる。例えば図4に示すように加熱部22を1系統にして、主電源装置23とコンデンサを有する補助電源装置24から電力を供給する場合、主電源装置23から加熱部22に供給する電力をA/D変換部28でA/D変換する必要があり、回路の構成が複雑化すると共にコストが上昇する。さらに、A/D変換部28の変換効率によって供給電力が低下してしまうが、このような短所が生じることを防ぐことができる。
【0024】
加熱部22の主発熱体22aと補助発熱体22bは、例えば図5の上面図に示すように、Al2O3などからなるセラミック基板29と、例えば銀−パラジウムなどの抵抗材料をセラミック基板29上に印刷によってパターン形成して焼成し、通電によって発熱する抵抗体30とからなるセラミックヒータからなり、主発熱体22aの抵抗値R1より補助発熱体22bの抵抗値R2が小さくなるように形成されている。このように主発熱体2aと補助発熱体2bをセラミックヒータで形成することにより、抵抗値を小さくすることができると共に、低電圧でも数10Aの大電流を流すことができる。また、主発熱体2aと補助発熱体2bを同じセラミック基板29に設けることにより、製造費用を低減することができるとともに小型化を図ることができる。なお、図5においては主発熱体22aと補助発熱体22bを同じ長さに揃えた場合を示すが、所望の発熱分布を得るために主発熱体22aと補助発熱体22bの長さ又は幅を適宜変えても良い。また、主発熱体22aと補助発熱体22bを、図6の断面図に示すように、異なるセラミック基板29a,29bに設けても良い。
【0025】
この加熱部22に、記録紙16に転写されたトナー像17が付着することを防ぐために、加熱部22の周囲を摺動して回転する円筒状フィルム31を有する。円筒状フイルム31は、例えばポリイミドなどの耐熱性樹脂を基体としており、表面には記録紙16との離型性を向上するための離型層を形成すると良い。また、加熱部22のセラミック基板29の円筒状フィルム31と摺動する面には、表面の平滑性を保ち円筒状フィルム31との滑りを良くするため、熱伝導性の良い材料、例えばアルミ等で形成された摺動部材32を設けると良い。この加熱部22と対向して設けられた加圧ローラ15は、図3の断面図に示すように、金属製の芯金15aの上に加熱部22との接触巾を確保するための弾性層15bを有し、付勢手段によって加熱部22と所定の接触巾を確保するようにしている。
【0026】
主電源装置23は商用電源であるAC100Vに接続され、加熱部22に応じた電圧の調整及び交流を直流に整流などの機能を有する。補助電源装置24は充放電可能な大容量のコンデンサを有する。この補助電源装置24のコンデンサとしては、例えば日本ケミコン(株)で開発した電気二重層コンデンサ等の2000F程度の静電容量を有し、数秒から数10秒の電力供給により十分な容量に充電されるものや、日本電気(株)の商品名「ハイパーキャパシタ」という80F程度のコンデンサを使用する。この電気二重層コンデンサ等を使用した補助電源装置24は低電圧で高電流の電力を供給するように構成し、補助発熱体22bに供給する電気エネルギに応じてコンデンサの容量と個数が定められている。例えばセラミックヒータからなる補助発熱体22aを最大40A程度の大電流を流すことができる構成にし、補助電源装置24に1300F,2.5Vのコンデンサを使用して600Wの電力を補助発熱体22aに供給するとすると、補助電源装置24に使用するコンデンサは6個となる。
【0027】
メインスイッチ25は主電源装置23から主発熱体22aに供給する電力をオン/オフする。充電器26は主電源装置23から供給される電力で補助電源装置24のコンデンサを充電する。切替部27は補助電源装置24の充電と補助電源装置24からの補助発熱体22bに対する電力供給を切替える。このメインスイッチ25と切替部27は画像形成装置1全体の動作を管理する制御部32により制御される。
【0028】
上記のように構成した画像形成装置1において、画像形成装置1で画像を形成するときと待機状態のときの定着装置10の加熱装置21の動作を図7のタイムチャートを参照して説明する。
【0029】
加熱装置21の電気二重層コンデンサ等からなる補助電源装置24が十分に充電されていない例えば朝一番に画像形成装置1の電源を投入して定着装置10の加熱部22を昇温するとき、制御部32は加熱装置21のメインスイッチ25をオンにして主電源装置23から主発熱体22aにのみ電力を供給して加熱部22を加熱する。加熱部22が所定の温度まで温度上昇すると、制御部32は画像形成動作を開始する。この画像形成動作が終了して画像形成装置1が待機状態になると、制御部32はメインスイッチ25をオフにして切替部27を動作させ補助電源装置24を充電器26に接続し、主電源装置23から充電器26を介して補助電源装置24に電力を供給して充電する。この補助電源装置24を充電するときに、補助電源装置として一般的なニッケル−カドミウム電池を二次電池として使用した場合は、急速充電を行っても数時間の時間を有するが、補助電源装置24に有するコンデンサは二次電池と異なり、化学反応を伴わないため数分程度の急速な充電を行うことができる。したがって画像形成装置1が待機状態のときに、消費電力をほとんどゼロにすることができる。
【0030】
次に待機状態から立ち上げて画像形成動作を開始するために加熱部22の加熱を開始するとき、制御部32は加熱装置21のメインスイッチ25をオンにして、主電源装置23から主発熱体22aに電力を供給するとともに、切替部27を動作させ補助電源装置24を補助発熱体22bに接続し、補助電源装置24から補助発熱体22bに電力を供給し、主発熱体22aと補助発熱体22bで加熱部22を加熱して昇温する。このように画像形成装置1が待機状態から立ち上がったときに、主電源装置23から主発熱体22aに電力を供給するとともに補助電源装置24から補助発熱体22bに電力を供給するから、主電源装置23だけで電力を供給する場合よりも大量の電力を加熱部22に供給することができる。また、主発熱体22aと補助発熱体22bに大電流を流せるセラミックヒータ30を使用することにより、より多くの電力を供給することができ、加熱部を短時間で所定の温度まで昇温することができる。
【0031】
例えば、図8の断面図に示すように、直径30mmで肉厚1mmのアルミ製の定着ローラ33の内部にハロゲンヒータ34を有する従来の定着装置10aを使用して約180℃の所定の温度まで温度を上げるのに必要な熱量は約12000ジュール(J)である。この定着ローラ33に使用するハロゲンヒータ34は、100Vの電圧で約1200Wの電力を供給することが可能であるため、図9の昇温特性図(A)に示すように、約10秒で定着ローラ33を180℃まで温させることができる。この定着ローラ33にハロゲンヒータ34とは別に補助のハロゲンヒータを設け、1300F,2.5Vのコンデンサを使用した補助電源装置から補助のハロゲンヒータに電流を流した場合、補助のハロゲンヒータは最大電流が制限されるため、補助電源装置の電圧を50Vにした場合は12A、すなわち600Wの電力をとりだすことができる。このためハロゲンヒータ34に供給する電力1200Wと同時に補助電源装置から補助のハロゲンヒータに600Wの電力を供給することができ、定着ローラ33に対して合計1800Wの電力を供給でき、約10秒であった定着ローラ33の昇温時間を、図9(B)に示すように約6秒に短縮することが可能である。
【0032】
しかし補助電源装置で2.5Vのコンデンサを電圧50Vにして使用するには、約20個のコンデンサを直列に接続する必要がある。このとき補助電源装置の保持するエネルギは80000J程度となる。しかし、定着ローラ33の温度を上昇させるのに必要な熱量はその1/6にすぎず、コンデンサを3個を直列に接続するだけのエネルギで十分である。また、2.5Vのコンデンサを電圧50Vにして600W/10秒の割合で電力を取り出した場合の残電力量は、図10の時間に対する残電力量割合の変化特性図の(A)に示すように30秒で約90%になり、定着ローラ33を昇温するために補助電源装置から10秒間電力を供給する場合は、補助電源装置から6000J程度の電力しか取り出していない。これは、補助電源装置の保有するエネルギの約8%弱である。このように大電圧を補助電源装置に用いた構成では、単に電圧を上げるだけで余分なコンデンサが必要となるとともに、その保有する電気エネルギを昇温時の短時間に取り出すことが困難である。
【0033】
これに対して補助発熱体22bに40A程度の最大電流を流せるセラミックヒータを使用し、1300F,2.5Vのコンデンサを使用した補助電源装置24から初期電力として上記と同様に600Wを取り出すとすると、補助電源装置24の電圧は15Vで10秒間に約6000J程度の電気エネルギを供給することができる。このとき、1300F,2.5Vのコンデンサは6個となる。このときの補助電源装置24のコンデンサの残電力量は、図10(B)に示すように、2.5Vのコンデンサを電圧50Vにした場合と比べて低減して有効に利用される。この1300F,2.5Vのコンデンサを6個使用した補助電源装置24の保有する電気エネルギは24000J程度であるため、昇温時に使用できる電気エネルギの約6000Jは補助電源装置24が保有する電気エネルギの約25%となり、利用効率を約3倍程度に高めることができる。そして補助電源装置24から例えば600Wや800Wの電力を供給することにより、従来の電力供給の上限であった1200Wの制限を1800W〜2000Wにすることができ、待機状態から所定温度まで昇温する時間を短縮させることができる。また、補助電源装置24に使用するコンデンサの個数を大幅に減らすことができ、補助電源装置24の体積を減らすとともに補助電源装置24のコストを低減することができる。
【0034】
そこで待機状態から立ち上げるときに、主電源装置23から主発熱体22aに例えば100Vで1200Wの電力を供給するとともに補助電源装置24から補助発熱体22bに例えば20Vで800Wの電力を供給して加熱部22を昇温させる。すなわち主電源装置23のように例えば100Vと高い電圧を供給できる場合は、電流を比較的小さくして主電源装置23から主発熱体22aを接続する導線を比較的細くし、補助電源装置24の電圧を高くすると、補助電源装置24に使用するコンデンサの個数が多くなって補助電源装置24が大型化するため、補助電源装置24の電圧を低くして大電流を供給するようにする。
【0035】
このようにして加熱部22に電力を供給して所定温度に達したら、制御部32は切替部27を動作させて補助電源装置24から補助発熱体22bに供給している電力を遮断する。そして主電源装置23から主発熱体22aに供給している電力で加熱部22を所定の温度に保つ。この所定の温度に保った加熱部22と加圧ローラ15の間に、図3に示すように、トナー像17を転写した記録紙16を搬送して、加熱部22でトナー像17を加熱溶融して記録紙16に定着する。この加熱部22で記録紙16に転写したトナー像17を定着するときに、加熱部22のトナー像17と接触する部分に円筒状フィルム31を設けてあるから、トナーが付着することを防ぐことができる。この記録紙16に対するトナー像17の定着を所定部数繰り返して画像形成動作が終了して画像形成装置1が待機状態になると、制御部32はメインスイッチ25をオフにして切替部27を動作させ補助電源装置24を充電器26に接続し、主電源装置23から充電器26を介して補助電源装置24に電力を供給して充電する。以後、画像形成動作が行われるたびに上記動作を繰り返す。
【0036】
このように画像形成装置1が待機状態になるたびに補助電源装置24を充電することにより、画像形成動作を開始するときに、補助電源装置24は常に所定の充電量を保つことができ、加熱立ち上げ時に確実に補助電源装置24から電力を供給して加熱部22を短時間で所定の温度に立ち上げることができる。また、補助電源装置24に使用するコンデンサは、充放電の許容繰り返し回数が1万回以上であるとともに、充放電の繰り返しによる劣化も少なく、充放電の許容繰り返し回数が500回ら1000回程度であるニッケル−カドミウム電池と比べて長期間安定して使用することができる。また、鉛蓄電池のように液交換や補充なども必要ないため、メンテナンスをほとんど必要とせずに使用することができる。
【0037】
上記説明では例えば朝一番に画像形成装置1の電源を投入して定着装置10の加熱部22を昇温するとき、主電源装置23から主発熱体22aにのみ電力を供給して加熱部22を加熱する場合について説明したが、補助電源装置24のコンデンサの充電量は朝一番に画像形成装置1の電源を投入したときにそれほど減少していない場合もある。そこで図11の回路図に示すように、補助電源装置24の充電量を検出する充電量検出部35を設け、画像形成装置1の電源を投入したときに、主電源装置23から主発熱体22aに電力を供給するとともに補助電源装置24の充電量に応じて補助電源装置24から補助発熱体22bに電力を供給するようにしても良い。
【0038】
この場合の動作を図12のフローチャートを参照して説明する。例えば朝一番に画像形成装置1の電源を投入すると(ステップS1)、充填量検出部35は補助電源装置24のコンデンサの充填量を検出して制御部32に送る。制御部32は検出した充填量があらかじめ設定されている規定値に達しているかかどうかを判断し(ステップS2)、補助電源装置24の充填量が規定値に達しているときは、主電源装置23から主発熱体22aに電力を供給するとともに補助電源装置24から補助発熱体22bにも電力を供給して加熱部22を昇温させる(ステップS3)。この加熱部22を加熱しているときに、加熱部22の温度を検出する例えばサーミスタや熱電対や放射温度計等の温度検出部36で検出している温度が所定温度に達すると(ステップS4)、制御部32は補助電源装置24から補助発熱体22bに供給している電力を遮断する。そして主電源装置23から主発熱体22aに供給している電力で加熱部22を所定の温度に保つ(ステップS5)。このように画像形成装置1の電源を投入したときに、補助電源装置24の充電量が規定値に達している場合は、主電源装置23と補助電源装置24から加熱部22に電力を供給することにより、図13の温度上昇特性図に示すように、主電源装置23のみで電力を供給する場合と比べて、加熱部22の加熱を開始してから所定温度Tに達するまでの時間を短縮することができ、加熱部22を例えば10秒以下の短時間で所定の温度Tに昇温することができる。
【0039】
この状態で制御部32は画像形成動作を開始する(ステップS6)。この画像形成動作が終了して画像形成装置1が待機状態になると(ステップS7,S8)、制御部32はメインスイッチ25をオフにして切替部27を動作させ補助電源装置24を充電器26に接続し、主電源装置23から充電器26を介して補助電源装置24に電力を供給して充電する(ステップS9)。以後、画像形成動作が行われるたびに上記動作を繰り返す(ステップS10,S3〜S9)。また、画像形成装置1の電源を投入したときに補助電源装置24の充填量が規定値に達していない場合は、主電源装置23から主発熱体22aにのみ電力を供給して加熱部22を加熱する(ステップS2,S11,S12)。
【0040】
このように主電源装置3から例えば電圧100V、電流12Aで主発熱体22aに供給する1200Wの電力を確保し、補助電源装置24から補助発熱体22bに800Wの電力を供給するために、補助電源装置24に1300F,2.5Vのコンデンサを8個直列に接続して設けた場合、主発熱体22aの抵抗値R1は8.3Ωとなり、補助発熱体22bの抵抗値は0.5Ωとなる。そこで図14の上面図に示すように、セラミック基板29に形成する主発熱体22aの抵抗体パターン30aと補助発熱体22bの抵抗パターン30bを変えて、補助発熱体22bの抵抗パターン30bの断面積を大きくすることにより、主発熱体22aと補助発熱体22bを主電源装置23と補助電源装置24の特性に応じた構成に容易にすることができる。
【0041】
前記説明では主発熱体22aと補助発熱体22bをセラミックヒータで形成した場合について説明したが、主発熱体22aと補助発熱体22bを金属薄膜抵抗体で構成しても良い。
【0042】
また、補助発熱体22bとして、セラミックヒータや金属被膜抵抗体の代わりに、図15の回路図及び図16の断面図に示すように、定着ローラ33の内部にハロゲンヒータ34からなる主発熱体22aとともに補助発熱体22bとしてハロゲンヒータ34を並列に複数設けても良い。このように補助発熱体22bに並列に接続された複数のハロゲンヒータ34を使用することにより、補助発熱体22bに大電流を流すことができる。
【0043】
さらに、補助発熱体22bを、図17の加熱部22の構成図に示すように、ガラス管40の内部に複数、例えば2本の電熱線41を有するハロゲンヒータ34aで構成し、定着ローラ33の内部に設けても良い。このように複数の電熱線41を使用した場合でも、ガラス管40は1本しかないため、熱容量を小さくすることができ、加熱部22を加熱する立ち上がり時のガラス管40を昇温させるのに必要な熱量を小さくすることができ、立ち上がり時間を短くすることができる。また、複数の電熱線41でガラス管40を共用するため、補助発熱体22bを設置するスペースを小さくすることができる。したがって熱容量の小さい小径の定着ローラ33に対しても適用することができる。
【0044】
また、このガラス管40の内部に設けた複数の電熱線41の抵抗値を異ならせ、図17(b)に示すように、各電熱線41のガラス管40の長手方向の発光分布が異なるようにすると良い。ハロゲンヒータの発熱分布は電熱線41の巻き方で調節し、抵抗が高く発光量の多い領域では電熱線41をコイル状にして巻き数が多くなり、発光量の大きい領域ではガラス管40の内部における電熱線41の容積が大きくなる。この電熱線41をガラス管40に複数本設けると、同じ領域でガラス管40の径を大きくしなければならない。これを防止するために、複数の電熱線41の抵抗値すなわち発光分布をガラス管40の長手方向で異ならせ、各電熱線41の発光量の大小を互い違いになるように形成して、ガラス管40の径を小さくする。さらに、図17(c)に示すように、複数の電熱線41の両端を接続してガラス管40の内部に設けることにより、複数の電熱線41を有するハロゲンヒータ34aの外部接続端子を1つにまとめることができ、端子構成を簡略化して補助電源装置24等との接続を容易にすることができる。
【0045】
また、図18に示すように、ハロゲンヒータ34からなる主抵抗体22aを定着ローラ33の内部に設けるとともに、補助発熱体22bを、例えばステンレスのような通電すると発熱する金属薄膜42をローラ基体43の内面に形成しても良い。この場合、ローラ基体43はアルミや鉄などの金属でもセラミックなどでも良く、ローラ基体43として金属を使用した場合には、ローラ基体43と金属薄膜42の間に耐熱性の樹脂やセラミック等の絶縁層を設ける。このように補助発熱体22bをローラ基体43に設けることにより、補助発熱体22bの熱をローラ基体43に直接伝えることができ、定着ローラ33を短時間で所定の温度まで昇温することができる。
【0046】
前記説明では加熱装置21で画像形成装置1の定着装置10を加熱する場合について説明したが、各種伝熱装置や恒温装置等に同様に適用することができる。
【0047】
また、前記説明では定着ローラ33に主発熱体22aと補助発熱体22bを設けた場合について説明したが、図19の構成図に示すように、加圧ローラ15にも主発熱体44aと補助発熱体44bを設け、図20の回路図に示すように、主発熱体44aには主電源装置23から電力を供給して加熱し、補助発熱体44bには補助電源装置24から電力を供給するようにしても良い。このように加圧ローラ15にも主発熱体44aと補助発熱体44bを設けて加熱することにより、定着装置10をより効率良く加熱して所定の温度に保つことができる。
【0048】
また、定着ローラ33に設けた主発熱体22aに供給する電力と、加圧ローラ15に設けた主発熱体44aに供給する電力を異なるメインスイッチ25a,25bで独立して制御することにより、カラー画像等を形成する場合に、記録紙16に転写されたトナー像17を最適な条件で定着することができ、形成する画像の画質を向上することができる。また、補助電源装置24から加圧ローラ15の補助発熱体44bに印加する電圧は、定着ローラ33の補助発熱体22bに印加する電圧と同電圧になるので、加圧ローラ15の補助発熱体44bと定着ローラ33の補助発熱体22aを異なる抵抗値に設定することにより、加圧ローラ15と定着ローラ33をそれぞれに適した温度特性で制御することができる。
【0049】
このように補助電源装置24から定着ローラ33の補助発熱体22bと加圧ローラ15の補助発熱体44bに電力を供給するとき、切替部27から補助発熱体22bと補助発熱体44bまで共通のケーブルで接続すると、このケーブルに大電流が流れるため、その電流に応じたケーブルを使用する必要がある。そこで、図21の回路図に示すように、切替部27と補助発熱体22bの間及び切替部27と補助発熱体44bの間を異なるケーブルで接続して、各ケーブルに流れる電流を少なくすることにより、その電流値に適したケーブルで補助発熱体22bと補助発熱体44bを切替器27に接続することができる。また、図22の回路図に示すように、補助電源装置24に複数の出力端子を設け、各出力端子から補助発熱体22bと補助発熱体44bに切替器27を介して電力を供給するようにしても良い。この場合、切替器27で補助発熱体22bと補助発熱体44bに供給する電力を独立して制御することにより、加圧ローラ15と定着ローラ33をそれぞれに適した温度特性で制御することができる。
【0050】
前記説明では定着装置10に定着ローラ33を設けた場合について説明したが、図23の構成図に示すように、主発熱体22aと補助発熱体22bを有する加熱ローラ46と補助ローラ47に巻き回された定着ベルト48を使用し、定着ベルト48を加熱ローラ46で加熱するとともに加圧ローラ15を加熱するようにしても良い。
【0051】
また、加熱装置21に、図24の回路図に示すように、補助電源装置24を冷却する冷却手段50と、補助電源装置24の温度を検出する温度検出部51を設け、温度検出部51で検出した補助電源装置24の温度に応じて冷却手段50で補助電源装置24を冷却すると良い。このように補助電電装置24を冷却手段50で冷却することにより、補助電源装置24が高温になり耐久性が劣化することを防いで、補助電源装置24の耐久性を向上することができる。また、補助電源装置24の温度を温度検出部51で直接検出して冷却手段50の駆動を制御部32で制御することにより、補助電源装置24が過度に昇温したり冷却することを防ぐことができ、補助電源装置24の電気二重層コンデンサ等の耐久性を向上するとともに放電効果を高めることができる。
【0052】
この冷却手段50は、図25(a)の構成図に示すように、電気二重層コンデンサ等の蓄電セル52を複数まとめた補助電源装置24にファン50aを直接取り付け、外部の空気により冷却したり、ペルチェ素子や冷却液体をポンプで循環して冷却すれば良い。このように補助電源装置24を直接冷却することにより、大電流を補助発熱体22bに供給する補助電源装置24を加熱部22の近い位置に配置し、短い配線で接続して配線自身の熱損失を減らすようにしても、加熱部22の熱により補助電源装置24が過度に昇温することを防ぐことができ、補助電源装置24から補助発熱体22bに安定して大電流を供給することができる。
【0053】
また、制御部32で例えばファン50aを駆動して補助電源装置24を冷却するとき、補助電源装置24が充電中か補助発熱体22bに電力を供給しているかの動作状態に応じてファン50aの回転数を可変して風量を変更を可変することにより、補助電源装置24の温度上昇をより効率良く抑制することができる。すなわち補助電源装置24を充電しているときは放電しているときよりも補助電源装置24自体の発熱が大きくなりやすい。そこで補助電源装置24の充電時には風量を大きくし冷却効率を高める。また、加熱部22を加熱しているときは加熱部22からの熱により補助電源装置24が昇温することを防ぐために、風量を大きくする。このように加熱装置21の動作状態に応じて制御部32でファン50a等の冷却効果を制御することにより、補助電源装置24の過度な昇温を効率良く防ぐとともにエネルギ効率を向上させることができる。
【0054】
また、冷却手段50として図25(b)に示すように、補助電源装置24にフィンやヒートパイプ50bなど駆動制御を必要としないものを取り付けても良い。このように駆動制御を必要としないフィンやヒートパイプ50bを取り付けることにより、待機時や稼働時でも消費電力を低減することができるとともに作動音が発生せず、画像形成装置1の静粛性を高めることできる。
【0055】
さらに、補助電源装置24を冷却するファン50aを、図26の構成図に示すように、画像形成装置1の補助電源装置24を配置した位置に近い位置に配置し、画像形成装置1内の温度を検出し、検出した温度に応じてファン50aを駆動制御して、画像形成装置1内の温度を所定の範囲に保ち、補助電源装置24の過度な昇温を防ぐようにしても良い。すなわち、画像形成装置1は定着装置10で発生する熱やその他の電気素子などからの発熱により機内温度が条件によっては70〜80℃以上に上昇する。この温度上昇は補助電源装置24の電気二重層コンデンサ等の蓄電セル52の温度に対して大きな影響を与え、画像形成装置1の稼働が終了しても補助電源装置24の温度を上昇させる原因となってしまう。そこで画像形成装置1の内部温度を検知して、画像形成動作終了後でも所定の温度以上にならないように冷却することにより、補助電源装置24の過度な昇温を防止して耐久性を向上させることができる。
【0056】
前記各説明では主発熱体22aに主電源装置23から電力を供給し、補助発熱体22bに、主電源装置23とは別系統の補助電源装置24から電力を供給する場合について説明したが、定着装置10の円筒状フィルム31や定着ローラ33の加熱部22に、図27の回路図に示すように、複数例えば2組の補助発熱体22b,22cを設け、補助発熱体22b,22cに補助電源装置24と主電源装置23のいずれかから電力を供給するようにしても良い。この場合、補助電源装置24と主電源装置23に対する補助発熱体22b,22cの接続を動作モード切換スイッチ53で切り替え、補助発熱体22b,22cに補助電源装置24から電力を供給するとき、補助発熱体22b,22cを並列接続し、補助発熱体22b,22cに主電源装置23から電力を供給するとき、補助発熱体22b,22cを直列接続する。このように補助発熱体22b,22cに補助電源装置24から電力を供給するとき、補助発熱体22b,22cを並列接続することにより、低電圧の補助電源装置24から補助発熱体22b,22cに大電流を供給することができる。また、主電源装置23から補助発熱体22b,22cに電力を供給するとき、補助発熱体22b,22cを直列接続することにより、補助発熱体22b,22cの抵抗値を大きくして補助発熱体22b,22cに流れる電流を小さくすることができる。
【0057】
また、図27に示すように、定着装置10の円筒状フィルム31や定着ローラ33の中心の一定範囲、例えば画像形成装置1で最も多く使用するA4サイズに対応する範囲に主発熱体22aを配置し、その両端に補助発熱体22b,22cをそれぞれ配置する。この定着装置10を立ち上げて低温から所定の温度まで昇温させたり、待機時から立ち上げるときは、図27(a)に示すように、補助発熱体22b,22cを並列接続して、加熱部22の主発熱体22aに主電源装置23から電力を供給し、補助発熱体22b,22cに補助電源装置24から電力を供給する。このように定着装置10の立ち上げ時に加熱部22に大きな電力を供給することができ、定着装置10を短時間で所定の温度まで昇温することができる。加熱部22が所定の温度まで昇温したら、図27(b)に示すように、補助発熱体22b,22cを直列接続に切り換え、主電源装置23から電力を供給する。
【0058】
例えば定着装置10を立ち上げるとき、補助電源装置24から補助発熱体22b,22cに電圧60Vで1200Wの電力を供給し、主電源装置23から主発熱体22aに電圧100Vで600Wの電力を供給すると定着装置10には1800Vの電力を供給することができる。この電力の供給により定着装置10が所定の温度まで昇温したとき、補助発熱体22b,22cを直列接続に切り換え、主電源装置23から電力を供給すると、補助発熱体22b,22cに約800Wの電力を供給することができ、かつ商用電源の供給電力の上限である15Aを越えない範囲で定着装置10に1400Wの電力を供給することができる。
【0059】
また、例えば円筒状フィルム31や薄肉の定着ローラ33は熱容量が非常小さいために短時間で昇温できが、その反面、表面温度にムラが生じやすい。そして、サイズの小さい記録紙16を連続的に通過する際に、記録紙16が通過する範囲からは熱量が取られるが、記録紙16が通過しない周辺部には熱が蓄積されるために異常な高温となり、定着装置10の寿命を短くしてしまうという不具合が有る。これに対して、円筒状フィルム31や定着ローラ33の周辺部に補助発熱体22b,22cを設け、定着装置10が所定の温度に達したとき、補助発熱体22b,22cを直列接続して主電源装置23から小さな電流を流すことにより、記録紙16が通過しない周辺部に加える熱量を低減して周辺部が異常に昇温することを抑え、定着装置10の温度分布を最適な状態に分布させることができる。また、円筒状フィルム31や定着ローラ33の周辺部の温度を検出し、検出した温度により補助発熱体22b,22cに流す電流を制御することにより、定着装置10の温度分布を最適な温度分布に設定することができる。
【0060】
前記説明では補助発熱体22b,22cに主電源装置23から電力を供給するとき、主発熱体22aと補助発熱体22b,22cに同時に電流を流した場合について説明したが、図28に示すように、主電源装置23から主発熱体22aに電力を供給する回路と主電源装置23から補助発熱体22b,22cに電力を供給する回路を切換スイッチ54で切り換え、切換スイッチ54を時間的に切り換えることにより、主電源装置23から主発熱体22aと補助発熱体22b,22cに交互に電力を供給することにより、主電源装置23からの電流を小さくすることができる。
【0061】
例えば定着装置10を立ち上げるとき、補助電源装置24から補助発熱体22b,22cに電圧50Vで600Wの電力を供給し、主電源装置23から主発熱体22aに電圧100Vで1200Wの電力を供給すると定着装置10には1800Vの電力を供給することができる。この電力の供給により定着装置10が所定の温度まで昇温したとき、補助発熱体22b,22cを直列接続に切り換え、主電源装置23から電力を供給すると、補助発熱体22b,22cに約600Wの電力を供給することになり、主発熱体22aと補助発熱体22b,22cに主電源装置23から電力を供給すると、主電源装置23からは商用電源の供給電力の上限である15Aを越えた電流を流すことになる。このとき切換スイッチ54を時間的に切り換えて、主電源装置23から主発熱体22aと補助発熱体22b,22cに交互に電力を供給することにより、主電源装置23から流す電流を12Aと6Aに切り換えることができ、主電源装置23から流す電流を15A以下に抑えることができる。
【0062】
このように主電源装置23から主発熱体22aに電力を供給するとき、主発熱体22aに印加する電圧を位相制御して主発熱体22に印加される最大電圧を任意に設定したり、主電源装置23から変圧器を介して電力を供給して、主発熱体22aや補助発熱体22b,22cに印加する電圧を制御することにより、必要以上に電力を消費することを抑制するとともに、商用電源の上限電流を超えることを防ぐことができる。
【0063】
また、補助電源装置24として電気二重層コンデンサ等の代わりに燃料電池を使用しても良い。このように燃料電池を使用すると、発電効率が高く、環境に非常にやさしいとともに充電する必要がなく、加熱装置21の構成を簡略化することができる。
【0064】
また、補助電源装置24として使用する電気二重層コンデンサ等は充放電の繰り返し回数が数万回以上でほぼ無制限で、実質的には半永久的に使用可能でメンテナンスが不要である。この電気二重層コンデンサ等の長寿命を活かし、複写機等の画像形成装置1本体の寿命が終わった際に電気二重層コンデンサ等を回収し再利用することにより資源の有効利用や加熱装置21のコストの低減を図ることができる。さらに、電気二重層コンデンサ等には充電された電荷が放電されるまで蓄積している。したがって電気二重層コンデンサ等を再利用するために加熱装置21から回収するとき感電する危険性があり、重大な事故になる可能性があり、加熱装置21から電気二重層コンデンサ等を回収する際には作業者の安全を充分に確保する必要がある。
【0065】
そこで電気二重層コンデンサ等を使用した補助電源装置24を、図29の構成図に示すように、電気二重層コンデンサ等の蓄電セル52を複数まとめた蓄電モジュール60を有する補助電源装置24をカートリッジ61に収納し、加熱装置21に対して着脱自在になっている。カートリッジ61は絶縁材料で形成され、図29(a)の断面図に示すように、加熱装置21に挿入側に補助電源装置24の蓄電モジュール60の正極と負極に接続された外部端子62を有し、外部端子62とはの反対側に保持部63を有する。また、図29(b)の側面図に示すように、複数の折り取ることが可能な折り爪64を有する。
【0066】
カートリッジ61の外部端子62は、カートリッジ61に収容される蓄電モジュール60の電圧と静電容量等の仕様により異なった形状をしており、加熱装置21には、図30の回路図に示すように、必要とする仕様の蓄電モジュール60が収容されているカートリッジ61の外部端子62とだけ接続できる形状をした接続端子65を有する。このようにカートリッジ61の外部端子62と加熱装置21の接続端子65をカートリッジ61に収容される蓄電モジュール60の電圧と静電容量等の仕様により異なった形状にすることにより、加熱装置21の仕様に合った蓄電モジュール60を収容したカートリッジ61だけを加熱装置21に装着することができ、仕様の異なる蓄電モジュール60を加熱装置21に接続する誤操作を防ぎ、誤操作による故障や事故を確実に防止することができる。ここでカートリッジ61と加熱装置21に、蓄電モジュール60の仕様を記載したシール等を貼り付けておくと、カートリッジ61を加熱装置21に装着するときの作業者の便宜を図ることができる。
【0067】
また、カートリッジ61を加熱装置21に着脱自在にしたから、蓄電モジュール60を有する補助電源装置24を再利用するための回収と取付け作業を容易に行うことができ、補助電源装置24のリサイクルを推進することができる。さらに、補助電源装置24を初期装備していない画像形成装置に、補助電源装置24をあとから取り付けることもでき、画像形成装置の立上時間を短くすることができる。
【0068】
また、折り爪64は、蓄電モジュール60を有する補助電源装置24を再利用するときの限度回数を表すものであり、作業者が補助電源装置24を再利用するたびに折り爪64を1つずつ折り取り、折り爪64が全て無くなると、カートリッジ61と内部の蓄電モジュール60の寿命として廃棄もしくは処理するように管理している。この折り爪64で補助電源装置24の再利用の限度を示すことにより、蓄電モジュール60の老朽化に伴う事故や故障を未然に防ぐことができる。
【0069】
さらに、カートリッジ61を絶縁材料で形成し、蓄電モジュール60を完全に覆っているから、カートリッジ61を着脱するとき、作業者が蓄電モジュール60に充電された電荷に感電する危険性を回避することができる。また、図31(a)の断面図に示すように、カートリッジ61に設けた外部端子62を、加熱装置21の接続端子65の外周部と嵌合する絶縁材料で形成したカバー66で覆ったり、図31(b)の断面図に示すように、カートリッジ61を加熱装置21に取り付けるときに開となり、加熱装置21から取り外すときに閉となるシャッタ機構67を有するカバー68でカートリッジ61の外部端子62を覆うことにより、カートリッジ61の外部端子62が作業者や導電性の部材に触れて感電する事故を防止することができるとともに蓄電モジュール60を有する補助電源装置24が破損することを防ぐことができる。
【0070】
また、図32の構成図に示すように、カートリッジ61の外部端子62を有する面に、操作部69を有するスイッチ70を設け、図33の回路図に示すように、蓄電モジュール60と外部端子62をスイッチ70を介して接続し、カートリッジ61を加熱装置21に取り付けない状態では、図33(a)に示すように、スイッチ70をオフ状態にし、カートリッジ61を加熱装置21に取り付けたとき、加熱装置21の接続端子65で操作部69を駆動してスイッチ70をオン状態にしても良い。このようにカートリッジ61を加熱装置21に取り付けたときだけ、蓄電モジュール60と外部端子62の間を導通させることにより、カートリッジ61を加熱装置21に着脱するときに、作業者が蓄電モジュール60に充電された電荷に感電する危険性を回避することができ、安全に着脱作業を行うことができる。さらに、カートリッジ61を加熱装置21に取り付けたときだけ、蓄電モジュール60と外部端子62の間を導通するから、この導通の有無を加熱装置21の制御部32で検出することにより、蓄電モジュール60を有する補助電源装置24を加熱装置21に正常に取り付けたか否を確実に検出することができる。
【0071】
前記説明では補助電源装置24の再利用回数をカートリッジ61に設けた折り爪64で検出し、カートリッジ61内の蓄電モジュール60の電圧や静電容量等の仕様をカートリッジ61に貼り付けたシール等で表示する場合について説明したが、図34の断面図に示すように、カートリッジ61に例えばICチップ等の情報保持手段71を設け、情報保持手段71に蓄電モジュール60の製造時期や再利用回数及び電圧や静電容量等の仕様などの情報を記録し、カートリッジ61と非接触の情報記録再生装置72で情報保持手段71に記録した情報を読み取ったり、再利用回数を更新するようにしても良い。このようにカートリッジ61に情報保持手段71を設けることにより、カートリッジ61に収容された蓄電モジュール60の各種情報を正確に得ることができ、補助電源装置24を適正に管理することができる。また、補助電源装置24をリサイクルして再利用するとき、情報保持手段71に記録した情報を読み取ることにより、異なる仕様や再利用回数ごとに分類して管理することができ、補助電源装置24の選別作業等に要する時間を大幅に短縮することができる。さらに、情報記録再生装置72を加熱装置21にも設けることにより、加熱装置21に取り付ける補助電源装置24が適正なものであるか否を確認することもできる。
【0072】
例えば情報保持手段71としてSRAMを使用した場合、図35の構成図に示すように、カートリッジ61に情報保持手段71の出力端子73を設け、加熱装置21のカートリッジ61の取付部に、制御部32に接続され、情報保持手段71の出力端子73と接触して導通する入力端子74を設ける。そしてカートリッジ61を加熱装置21に取り付けたとき、制御部32に有するCPUで情報保持手段71に記録した再利用回数や電圧等の仕様を読み取り、読み取った仕様等が不適切の場合には補助電源装置24からの電力供給を禁止する。例えば図36の回路図に示すように、加熱装置21の接続端子65の出力側に接続切換手段75を設け、制御部32で情報保持手段71に記録した仕様等を読み取ったとき、読み取った仕様等が不適切の場合に制御部32で接続切換手段75の電気的接続を遮断すれば良い。このようにして不適切な補助電源装置24が加熱装置21に取り付けられて故障や事故が発生することを防止することができる。また、情報保持手段71の出力端子73と制御部32に接続された入力端子74の接触の有無により、補助電源装置24を有するカートリッジ61を加熱装置21に正常に取り付けたか否を検出することもできる。
【0073】
前記各説明では画像形成装置1の定着装置10の加熱装置21に補助電源装置24を設けた場合について説明したが、補助電源装置24に使用する電気二重層コンデンサ等は、現状では非常に高価であり、複数の画像形成装置1、例えば電子写真方式を使用した複写機を2台使用したり、それぞれ独立した複写機とプリンタを使用する場合、各画像形成装置1に電気二重層コンデンサ等を有する補助電源装置24を取り付けると資源を有効に利用することができないとともにコスト高になってしまう。また、電気二重層コンデンサは充放電の寿命が半永久的であるため、同一期間内での利用回数が増えると、充放電の1回あたりのコストを安くすることができるため、同一期間内での利用回数を増やして効率良く利用することが望ましい。しかし1台の画像形成装置1で補助電源装置24の電気二重層コンデンサの利用回数を増やすために、画像形成装置1の使用回数を増やすと、画像形成装置1自体の寿命が短くなってしまう。そこで複数の画像形成装置1を使用し、電気二重層コンデンサ等を有する補助電源装置24を複数の画像形成装置1で共用することが望ましい。この複数の画像形成装置1で電気二重層コンデンサ等を有する補助電源装置24を共用するための補助電力供給システムについて説明する。
【0074】
図37は補助電力供給システムの構成図である。図に示すように、補助電力供給システム80は、例えば2台の画像形成装置1a,1bに補助電力を供給する補助電力供給装置81を有する。画像形成装置1a,1bはそれぞれ定着装置10に、交流電源に接続された主電源装置23a,23bから電力を供給する主発熱体22aと、補助電力供給装置81から電力を供給する補助発熱体22bを有する。補助電力供給装置81は、電気二重層コンデンサ等を有する補助電源装置24と充電器26と切換部27と供給電力切換部82及び制御装置83を有する。充電器26は交流電源に接続された主電源装置23cから供給された電力により補助電源装置24を充電する。切換部27は補助電源装置24に対する充電器26と供給電力切換部82の接続を切り換える。供給電力切換部82は、補助電源装置24から出力する補助電力を画像形成装置1aに供給するか、画像形成装置1bに供給するかを切り換える。制御装置83は画像形成装置1a,1bからの情報により切換部27と供給電力切換部82の接続を切り換える。
【0075】
この補助電源装置24から画像形成装置1a,1bに補助電力を供給するときの動作を図38のタイムチャートを参照して説明する。
【0076】
画像形成装置1aが待機状態から立ち上げて画像形成動作を開始するために主電源装置23aから主発熱体22aに電力の供給を開始すると、補助電力供給装置81の制御装置83は切換部27を供給電力切換部82側に接続し、供給電力切換部82を画像形成装置1a側に接続して、補助電源装置24から補助電力を画像形成装置1aの補助発熱体22bに供給する。この電力の供給により主発熱体22aと補助発熱体22bを有する定着装置10が所定の温度に達すると、制御装置83は供給電力切換部82を駆動して補助電源装置24から画像形成装置1aに供給している補助電力を遮断する。画像形成装置1aの画像形成動作が終了して待機状態になると、制御装置83は切換部27を充電器26側に接続し、充電器26で補助電源装置24を充電する。この状態で画像形成装置1bが待機状態から立ち上げて画像形成動作を開始するために主電源装置23aから主発熱体22aに電力の供給を開始すると、補助電源装置24を画像形成装置1b側に接続し、画像形成装置1bの補助発熱体22bに補助電源装置24から補助電力を供給する。
【0077】
このように補助電力供給装置81から2台の画像形成装置1a,1bに補助電力を供給することにより、各画像形成装置1a,1bに補助電源装置24を設ける必要がなく、補助電力供給装置81の補助電源装置24を有効に利用して、利用効率を高めることができるとともに画像形成装置1a,1bのコストを低減することができる。また、画像形成装置1a,1bが待機状態のときに補助電源装置24を充電するから、画像形成装置1a,1bを立ち上げたとき補助電源装置24を所定の充電量にすることができる。
【0078】
次に画像形成装置1a,1bからの情報に基づき補助電力供給装置81の制御装置83で補助電力供給動作の制御を図39のブロック図を参照して説明する。
【0079】
補助電力供給装置81の制御装置83は、画像形成装置1a,1bからの情報を専用の信号線又は汎用のネットワークを利用し受信する入力手段84と、受信した情報の内容を判定する判定手段85と、補助電源装置24を充電したり、補助電源装置24から出力する補助電力を制御する制御手段86を有する。画像形成装置1a,1bは、それぞれ図1に示すように、感光体2と帯電装置3と書込装置や現像装置6と転写装置7等の画像形成部90と、主発熱体22aと補助発熱体22b等を有する定着装置10と、各種動作状態を検出する動作状態検知部91及び検出した動作状態を補助電力供給装置81に送信する出力手段92を有する。
【0080】
画像形成装置1aの電源が投入されているとき、動作状態検知部91aは定着装置10aの温度や記録紙16の残量や印刷の可否などの各種機器状態と補助電源装置24の残電力量や画像形成装置1aの優先度などをステータス情報として検知し、ステータス情報として出力手段92aに送る。出力手段92aは送られたステータス情報を補助電力供給装置81の入力手段84に送信する。画像形成装置1bの動作状態検知部91bもステータス情報を検知し、出力手段92bを介して補助電力供給装置81の入力手段84に送信する。補助電力供給装置81の入力手段84は受信した画像形成装置1a,1bのステータス情報を判別手段85に送る。判別手段85は送られたステータス情報の内容から補助電力の供給先及び供給開始や停止などの制御情報を判別して制御手段86に送る。制御手段86は送られた制御情報により、画像形成装置1a,1bのいずれに補助電力を供給するかと、供給するタイミングを制御する。
【0081】
このように各画像形成装置1a,1bの個別の状態や動作状態の情報に基づき補助電力を供給する供給先や供給タイミングを制御することにより、温度が充分高くて補助電力を必要としない画像形成装置1や、記録紙16の残量が無く、画像形成が不可能な画像形成装置1へ補助電力を供給しなく、補助電力を必要とする画像形成装置1に補助電力を供給することにより、各画像形成装置1a,1bの状況に合わせた適切な電力供給を行うことができ、補助電源装置24を有効に利用することができる。また、ステータス情報に優先度を含むことにより、例えば画像形成装置1bに補助電力を供給しているときに、優先度の高い画像形成装置1aから補助電力の供給が要求されたとき、画像形成装置1bに対する補助電力の供給を停止して画像形成装置1aに補助電力を供給することもできる。
【0082】
また、補助電力供給装置81を画像形成装置1a,1bとは別に独立してもうけたから、他の画像形成装置を追加したときに簡単に接続することができる。また補助電源装置24の蓄電量や放電時の時間変化等を安全に動作させる際に多い管理項目を一括して管理することができる。
【0083】
前記説明では補助電力供給装置81を画像形成装置1a,1bとは別個に設けた場合について説明したが、図40のブロック図に示すように、補助電力供給装置81を例えば画像形成装置1aに設け、画像形成装置1aから他の画像形成装置1bにも補助電力を供給するようにしても良い。このように画像形成装置1aに補助電力供給装置81を設けることにより、補助電力供給装置81を設置するスペースを設ける必要がないとともに、補助電源装置24を画像形成装置1aの定着装置10aの近くに配置することができ、補助発熱体22bに供給する補助電力の配線抵抗による損失を減らすことができる。
【0084】
また、前記説明では主電源装置23から充電器26を介して補助電源装置24を充電する場合について説明したが、図41のブロック図に示すように、燃料電池93から供給される電力で補助電源装置24を充電するようにしても良い。
【0085】
さらに、前記説明では画像形成装置1a,1bに補助電力供給装置81から補助電力を供給する場合について説明したが、図42のブロック図に示すように、一時的に大電力を必要とする例えば恒温装置やエアコン等の各種電気機器100a,100bにも同様にして補助電力供給装置81から補助電力を供給することができる。
【図面の簡単な説明】
【0086】
【図1】この発明の画像形成装置の構成図である。
【図2】加熱装置の構成を示す回路図である。
【図3】定着装置の構成を示す断面図である。
【図4】従来の定着ローラの加熱装置の構成を示す回路図である。
【図5】加熱部の構成を示す上面図である。
【図6】他の定着装置の構成を示す断面図である。
【図7】定着装置の加熱装置の動作を示すタイムチャートである。
【図8】第3の定着装置の構成を示す断面図である。
【図9】定着ローラの温度上昇特性図である。
【図10】補助電源装置のコンデンサの残電力量の変化特性図である。
【図11】第2の加熱装置の構成を示す回路図である。
【図12】定着装置の動作を示すフローチャートである。
【図13】定着装置の温度上昇特性の比較図である。
【図14】加熱装置の他の構成を示す上面図である。
【図15】第3の加熱装置の構成を示す回路図である。
【図16】ハロゲンヒータの補助発熱体を有する定着ローラの構成を示す断面図である。
【図17】定着ローラに設けたハロゲンヒータの補助発熱体の構成図である。
【図18】金属薄膜の補助発熱体を有する定着ローラの構成を示す断面図である。
【図19】第4の定着装置の構成を示す断面図である。
【図20】第4の定着装置の加熱装置を示す回路図である。
【図21】第4の定着装置の第2の加熱装置を示す回路図である。
【図22】第4の定着装置の第3の加熱装置を示す回路図である。
【図23】第5の定着装置の構成を示す断面図である。
【図24】冷却手段を有する加熱装置の構成を示す回路図である。
【図25】冷却手段を有する補助電源装置の構成図である。
【図26】冷却手段を有する画像形成装置の構成図である。
【図27】補助発熱体に補助電源装置と主発熱体から電力を供給する加熱装置の構成を示す回路図である。
【図28】補助発熱体に補助電源装置と主発熱体から電力を供給する加熱装置の他の構成を示す回路図である。
【図29】補助電源装置を収容したカートリッジの構成を示す断面図である。
【図30】カートリッジに収容した補助電源装置を有する加熱装置の構成を示す回路図である。
【図31】カートリッジの外部端子の保護を示す断面図である。
【図32】補助電源装置と外部端子の接続を断続するスイッチを有するカートリッジの断面図である。
【図33】スイッチの動作状態を示す回路図である。
【図34】情報保持手段を有するカートリッジの断面図である。
【図35】情報保持手段と加熱装置の制御部の接続を示す構成図である。
【図36】接続切換手段を有する加熱装置の構成を示す回路図である。
【図37】補助電力供給システムの構成図である。
【図38】補助電源装置から2台の画像形成装置に補助電力を供給するときの動作を示すタイムチャートである。
【図39】補助電力供給動作の制御機能を示すブロック図である。
【図40】一方の画像形成装置に補助電力供給装置を設けた補助電力供給システムの構成を示すブロック図である。
【図41】他の補助電力供給システムの構成を示す回路図である。
【図42】電気機器に補助電力を供給する補助電力供給システムの構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0087】
1;画像形成装置、2;感光体、3;帯電装置、5;ミラー、6;現像装置、
7;転写装置、8;クリーニング装置、9;給紙装置、10;定着装置、
15;加圧ローラ、16;記録紙、21;加熱装置、22;加熱部、
22a;主発熱体、22b;補助発熱体、23;主電源装置、
24;補助電源装置、25;メインスイッチ、26;充電器、27;切替部、
31;円筒状フィルム、44a;主発熱体、44b;補助発熱体、
50;冷却手段、51;温度検出部、61;カートリッジ、
80;補助電力供給システム、91;補助電力供給装置、
82;供給電力切換部、83;制御装置。
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば記録媒体に転写されたトナー像を定着する定着装置等の電気機器に電力を供給する補助電力供給システム、特に省電力の効率化に関するものである。
【背景技術】
【0002】
複写機やプリンタ装置等の画像形成装置は普通紙やOHP等の記録媒体上に画像を形成する。この画像形成装置は、画像形成の高速性や画像品質,コストなどから電子写真方式が採用されている。電子写真方式は記録媒体上にトナー像を形成し、形成したトナー像を熱と圧力で記録媒体に定着する方法であり、定着方式としては安全性等の面からヒートローラ方式が現在最も多く採用されている。ヒートローラ方式は、ハロゲンヒータなどの発熱部材により加熱される加熱ローラと、加熱ローラに対向配置される加圧ローラを圧接してニップ部と呼ばれる相互圧接部を形成し、このニップ部にトナー像が転写された記録媒体を通して加熱する方法である。
【0003】
近年、環境問題が重要となり、複写機やプリンタ装置等の画像形成装置も省エネルギ化が進んでいる。この画像形成装置の省エネルギを考えるに当たって無視できないのは、トナーを記録媒体に定着する定着装置の省電力である。画像形成装置の待機時における定着装置の消費電力の低減としては、待機時には加熱ローラの温度を定着温度よりやや低い一定の温度に保つことにより、使用時に直ちに使用可能温度まで立ち上げ、使用者が定着ローラの昇温を待つことがないようにしている。この場合、定着装置を使用していないときにもある程度の電力を供給して余分なエネルギを消費していた。この待機時の消費エネルギは機器の消費エネルギの約7割から8割に上がるといわれている。
【0004】
この待機時の消費エネルギを削減してより省電力化を図ることが望まれ、日本国内では省エネルギ法が改正されて強化され、米国でもエナジースターやZESM(Zero Energy Star Mode)などの省エネプログラムが制定されて、未使用時には電力供給をゼロにすることが求められてきている。しかしながら待機時にエネルギ消費をゼロにすると、加熱ローラは鉄やアルミなどの金属ローラを主に使用しており熱容量が大きいため、約180℃前後の使用可能温度にまで昇温するには数分から十数分など長い加熱時間が必要であり、使用者の使い勝手が悪化してしまう。このため速やかに加熱ローラ温度を上昇させる構成が、省エネルギの複写機を実現する上で必要とされ、例えば、前記ZESMでは再立上には10秒以下が要求されている。
【0005】
この加熱ローラの昇温時間を短くするためには、単位時間の投入エネルギすなわち定格電力を大きくすると良い。実際に、プリント速度の速い高速機には電源電圧を200Vにして対応している装置も多い。しかし、日本国内の一般的なオフィスでは、商用電源は100V15Aであり、200Vに対応させるには設置場所の電源関連に特別な工事を施す必要があり一般的な解決法とはいえない。また、100V15Aを2系統用いて全投入電力を上げる製品も実用化されているが、2系統のコンセントが近くにあるところでないと設置することができない。このため加熱ローラを短時間で昇温させようとしても、投入エネルギの上限は上げられないのが実状であった。
【0006】
また、短時間の昇温を実現する定着装置として、例えば熱容量が小さい板状のセラミックヒータの周囲に耐熱樹脂製のフィルムを巻き回して加熱ローラを構成し、立上時間を短くしたものも、30枚/分以下の低速機で実用化されている。しかし、今後、さらに高速機へ対応するためには耐熱樹脂製フィルムを破損防止のために厚くする必要がある。このように耐熱樹脂製フィルムを厚くした場合、樹脂は金属よりも熱伝導率が悪いため、記録媒体が加熱ローラと加圧ローラのニップ中に入る以前からセラミックヒータで耐熱樹脂製フィルムを加熱する必要がある。このため、セラミックヒータの板状部の面積を大きくするとともに高い電力電源が必要であり、高速機には実現できないのが実情である。
【0007】
これを改善するために例えば特許文献1に示すように、加圧ローラの下部に加熱ローラの発熱体とは別系統の発熱体を設け、待機時に加熱ローラの発熱体とは別系統の発熱体に電力を供給している。また、特許文献2に示されているように、定着装置が待機状態になったときに一定レベルだけ低い電圧を加熱ローラに供給して定着装置の温度が下がることを遅らせたり、特許文献3に示すように、定着装置の待機時に補助電源である二次電池を充電し、定着装置を立ち上げたときに主電源装置と二次電池や一次電池から電力を供給して立上時間を短縮するようにしたりしている。さらに、特許文献4に示すように、主電源の他に大容量のコンデンサを使用した補助電源を使用し、待機時に主電源と加熱部の接続を遮断し、主電源と補助電源を接続して補助電源を充電し、待機状態から加熱部を立ち上げるときに主電源と補助電源から加熱部に電力を供給して加熱部の温度を短時間で所定の温度に立ち上げるようにしている。
【特許文献1】特開平5−232839号公報
【特許文献2】特開平10−10913号公報
【特許文献3】特開平10−282821号公報
【特許文献4】特開2000−315567号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら特許文献1に示すように、待機時に加熱ローラの発熱体とは別系統の発熱体に電力を供給したり、特許文献2に示すように、待機状態になったときに一定レベルだけ低い電圧を加熱ローラに供給していると十分な省電力とはいえない。また、立ち上がりには商用電源の最大供給電力の制限が解決できず、立ち上がり時間を短くすることはできない。
【0009】
また、特許文献3に示された定着装置は、立ち上げ時に主電源装置と二次電池や一次電池から電力を供給しているが、二次電源としては一般にカドニカ電池や鉛蓄電池が使用され、この二次電池は充放電を何回も繰り返すと容量が劣化し低下していき、大電流で放電するほど寿命は短いという性質を持つ。一般的に大電流で長寿命とされているカドニカ電池でも充放電の繰り返し回数は約500〜1000回程度であり、一日に20回の充放電を繰り返すと一ヶ月程度で電池の寿命が来てしまうことになり、長期間の使用ができないとともに交換の手間がかかり、交換する電池代などのランニングコストも非常に高くつくという短所がある。また、充電時間も大容量をフルに充電するには数時間を要するため一日に何度も充放電を繰り返す用途には使用できず、実用上は実現が困難であった。さらに、鉛蓄電池は液体の硫酸を使用するなどのオフィス用機器としては好ましくない。
【0010】
定着ローラの加熱に通常用いられるハロゲンヒータは、大電流にすると寿命が短くなるため、最大電流が10〜12A程度が上限であり、最大電流を大きくすることが困難である。したがってハロゲンヒータを発熱体として用いた加熱装置で大電力を得るためには、大電圧の電源を電力供給源として用いる必要がある。特許文献4に示すように、主電源の他に大容量のコンデンサを使用した補助電源を使用し、待機時に補助電源を充電し、待機状態から加熱部を立ち上げるときに主電源と補助電源から加熱部に電力を供給する場合、補助電源として使用する大容量のコンデンサは、セル内部の溶液が電気分解するのを防ぐため、1セル当たりの電圧が数ボルト程度と低い特性があり、水系で1ボルト強、有機系でも数ボルト程度である。このため、ハロゲンヒータを発熱体として加熱するには、セルを十数個〜数十個直列に接続して高電圧の電源ユニットとして利用する必要がある。この多くのセルを直列につないで高電圧・大電力を得る構成では、例えば数個のセルだけで発熱体の温度を上昇させるのに十分なエネルギを有していても、電圧を上げるためにはセルの数を増やす必要があり、現在コストが高い余分なセルを多量に使用する必要があるため、電源の体積が大きくコストも高くなってしまうという問題があった。
【0011】
この発明はかかる短所を改善し、簡単な構成で補助電源を有効に利用して省電力効果を高めるとともに補助電源の体積を減らして設置スペースが小さく低価格の補助電力供給システムを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
この発明の補助電力供給システムは、主電源装置から電力が供給される少なくとも1つの電気機器と、補助電源装置から少なくとも1つの電気機器に電力を供給する電力供給装置とを有する電力供給システムであって、前記電気機器は、当該電気機器のステータス情報を出力する出力手段を有し、前記電力供給装置は、前記電気機器から出力される前記ステータス情報に基づき、前記補助電源装置の制御情報を判別する判別手段と、前記判別手段で判別した前記制御情報に基づき、前記補助電源装置からの電力供給を制御する制御手段とを有することを特徴とする。
【0013】
前記ステータス情報は、前記補助電源装置から前記電気機器に対する電力供給の状態を示す給電情報を含むことを特徴とする。
【0014】
また、前記ステータス情報は、前記電気機器の電力要求度を示す優先度情報を含むことを特徴とする。
【0015】
前記電気機器は、さらに、前記主電源装置から電力を供給する主発熱体と、前記補助電源装置から電力を供給する補助発熱体とからなる加熱装置を有することを特徴とする。そして前記ステータス情報は、前記加熱装置の温度情報を含むことを特徴とする。
【0016】
また、前記加熱装置は、記録媒体に転写した画像を記録媒体に固着する定着装置に設けられたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
この発明は、主電源装置から電気機器に電力を供給するとともに補助電源装置からも電力を供給することにより、補助電源装置を有効に利用することができる。
【0018】
また、各電気機器の個別の状態や動作状態の情報を示すステータス情報に基づき補助電力を供給する供給先や供給タイミングを制御することにより、補助電力を必要とする電気機器に補助電力を供給することができ、電気機器の状況に合わせた適切な電力供給を行うことができ、補助電源装置を有効に利用することができる。また、ステータス情報に優先度を含み、優先度に応じて補助電力を供給することにより、電気機器の使用者の便宜を図ることができる。
【0019】
また、電気機器は主電源装置から電力を供給する主発熱体と、補助電源装置から電力を供給する補助発熱体とからなる加熱装置を有し、ステータス情報に加熱装置の温度情報を含むことにより、補助電源装置からの電力供給タイミングを制御することにより、補助電源装置を有効に利用することができる。
【0020】
さらに、この加熱装置を記録媒体に転写した画像を記録媒体に固着する定着装置に設けることにより、定着装置の温度を急激に立ち上げることができ、昇温時間を大幅に短縮することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
図1はこの発明の画像形成装置の構成図である。図に示すように、電子写真方式の画像形成装置1は、感光体2と、感光体2に沿って設けられた帯電装置3と、感光体2の回転方向の帯電装置3より下流側に設けられ、書込装置の一部であり、レーザ光4を感光体2の表面に入射するミラー5と、レーザ光4の入射する光書込部の下流側に設けられ、現像ローラ6aを有する現像装置6と、現像装置6の下流側に設けられた転写装置7と、転写装置7の下流側に設けられ、クリーニングブレード8aを有するクリーニング装置8と、給紙装置9及び定着装置10を有する。給紙装置9は給紙トレイ11と給紙コロ12と記録紙搬送路13及びレジストローラ対14を有し、給紙トレイ11に収納された記録紙を転写装置7に搬送する。
【0022】
この画像形成装置1で画像を形成するとき、回転している感光体2の表面を帯電装置3により均一に帯電し、書込装置から画像情報に応じて出射されるレーザ光4をミラー5で反射して帯電した感光体2の表面に入射し、形成する画像に応じた静電潜像を形成する。この感光体2の表面に形成した静電潜像を現像装置6で現像してトナー像を形成する。一方、給紙トレイ11から給紙コロ12により給紙された記録紙は記録紙搬送路13を通りレジストローラ14の位置で一旦停止している。そして感光体2に形成されたトナー像が転写装置7に達するのと同じタイミングでレジストローラ対14から記録紙を送り出し、感光体2に形成されたトナー像を転写装置7で記録紙に転写する。転写装置7でトナー像が転写された記録紙は定着装置10に送られ、記録紙に転写したトナー像のトナーを加熱溶融して記録紙にトナー像を定着する。また、記録紙に転写されずに感光体2に残留したトナーはクリーニング装置8で除去される。
【0023】
この記録紙に転写されたトナー像を定着する定着装置10の加熱装置21は、図2の回路図に示すように、加熱部22と主電源装置23と補助電源装置24とメインスイッチ25と充電器26及び切替部27を有する。加熱部22は、図3の断面図に示すように、加圧ローラ15と対向して設けられ、加圧ローラ15とのニップ部に送られた記録紙16に転写されたトナー像17を加熱溶融するものであり、主電源装置23から供給される電力により発熱する主発熱体22aと、補助電源装置24から供給される電力により発熱する補助発熱体22bを有する。このように加熱部22を主発熱体22aと補助発熱体22bの2系統とし、主発熱体22aと補助発熱体22bに異なる系統の主電源装置23と補助電源装置24から電力を供給することにより、加熱装置21の回路の構成を簡略化してコストを低減することができる。例えば図4に示すように加熱部22を1系統にして、主電源装置23とコンデンサを有する補助電源装置24から電力を供給する場合、主電源装置23から加熱部22に供給する電力をA/D変換部28でA/D変換する必要があり、回路の構成が複雑化すると共にコストが上昇する。さらに、A/D変換部28の変換効率によって供給電力が低下してしまうが、このような短所が生じることを防ぐことができる。
【0024】
加熱部22の主発熱体22aと補助発熱体22bは、例えば図5の上面図に示すように、Al2O3などからなるセラミック基板29と、例えば銀−パラジウムなどの抵抗材料をセラミック基板29上に印刷によってパターン形成して焼成し、通電によって発熱する抵抗体30とからなるセラミックヒータからなり、主発熱体22aの抵抗値R1より補助発熱体22bの抵抗値R2が小さくなるように形成されている。このように主発熱体2aと補助発熱体2bをセラミックヒータで形成することにより、抵抗値を小さくすることができると共に、低電圧でも数10Aの大電流を流すことができる。また、主発熱体2aと補助発熱体2bを同じセラミック基板29に設けることにより、製造費用を低減することができるとともに小型化を図ることができる。なお、図5においては主発熱体22aと補助発熱体22bを同じ長さに揃えた場合を示すが、所望の発熱分布を得るために主発熱体22aと補助発熱体22bの長さ又は幅を適宜変えても良い。また、主発熱体22aと補助発熱体22bを、図6の断面図に示すように、異なるセラミック基板29a,29bに設けても良い。
【0025】
この加熱部22に、記録紙16に転写されたトナー像17が付着することを防ぐために、加熱部22の周囲を摺動して回転する円筒状フィルム31を有する。円筒状フイルム31は、例えばポリイミドなどの耐熱性樹脂を基体としており、表面には記録紙16との離型性を向上するための離型層を形成すると良い。また、加熱部22のセラミック基板29の円筒状フィルム31と摺動する面には、表面の平滑性を保ち円筒状フィルム31との滑りを良くするため、熱伝導性の良い材料、例えばアルミ等で形成された摺動部材32を設けると良い。この加熱部22と対向して設けられた加圧ローラ15は、図3の断面図に示すように、金属製の芯金15aの上に加熱部22との接触巾を確保するための弾性層15bを有し、付勢手段によって加熱部22と所定の接触巾を確保するようにしている。
【0026】
主電源装置23は商用電源であるAC100Vに接続され、加熱部22に応じた電圧の調整及び交流を直流に整流などの機能を有する。補助電源装置24は充放電可能な大容量のコンデンサを有する。この補助電源装置24のコンデンサとしては、例えば日本ケミコン(株)で開発した電気二重層コンデンサ等の2000F程度の静電容量を有し、数秒から数10秒の電力供給により十分な容量に充電されるものや、日本電気(株)の商品名「ハイパーキャパシタ」という80F程度のコンデンサを使用する。この電気二重層コンデンサ等を使用した補助電源装置24は低電圧で高電流の電力を供給するように構成し、補助発熱体22bに供給する電気エネルギに応じてコンデンサの容量と個数が定められている。例えばセラミックヒータからなる補助発熱体22aを最大40A程度の大電流を流すことができる構成にし、補助電源装置24に1300F,2.5Vのコンデンサを使用して600Wの電力を補助発熱体22aに供給するとすると、補助電源装置24に使用するコンデンサは6個となる。
【0027】
メインスイッチ25は主電源装置23から主発熱体22aに供給する電力をオン/オフする。充電器26は主電源装置23から供給される電力で補助電源装置24のコンデンサを充電する。切替部27は補助電源装置24の充電と補助電源装置24からの補助発熱体22bに対する電力供給を切替える。このメインスイッチ25と切替部27は画像形成装置1全体の動作を管理する制御部32により制御される。
【0028】
上記のように構成した画像形成装置1において、画像形成装置1で画像を形成するときと待機状態のときの定着装置10の加熱装置21の動作を図7のタイムチャートを参照して説明する。
【0029】
加熱装置21の電気二重層コンデンサ等からなる補助電源装置24が十分に充電されていない例えば朝一番に画像形成装置1の電源を投入して定着装置10の加熱部22を昇温するとき、制御部32は加熱装置21のメインスイッチ25をオンにして主電源装置23から主発熱体22aにのみ電力を供給して加熱部22を加熱する。加熱部22が所定の温度まで温度上昇すると、制御部32は画像形成動作を開始する。この画像形成動作が終了して画像形成装置1が待機状態になると、制御部32はメインスイッチ25をオフにして切替部27を動作させ補助電源装置24を充電器26に接続し、主電源装置23から充電器26を介して補助電源装置24に電力を供給して充電する。この補助電源装置24を充電するときに、補助電源装置として一般的なニッケル−カドミウム電池を二次電池として使用した場合は、急速充電を行っても数時間の時間を有するが、補助電源装置24に有するコンデンサは二次電池と異なり、化学反応を伴わないため数分程度の急速な充電を行うことができる。したがって画像形成装置1が待機状態のときに、消費電力をほとんどゼロにすることができる。
【0030】
次に待機状態から立ち上げて画像形成動作を開始するために加熱部22の加熱を開始するとき、制御部32は加熱装置21のメインスイッチ25をオンにして、主電源装置23から主発熱体22aに電力を供給するとともに、切替部27を動作させ補助電源装置24を補助発熱体22bに接続し、補助電源装置24から補助発熱体22bに電力を供給し、主発熱体22aと補助発熱体22bで加熱部22を加熱して昇温する。このように画像形成装置1が待機状態から立ち上がったときに、主電源装置23から主発熱体22aに電力を供給するとともに補助電源装置24から補助発熱体22bに電力を供給するから、主電源装置23だけで電力を供給する場合よりも大量の電力を加熱部22に供給することができる。また、主発熱体22aと補助発熱体22bに大電流を流せるセラミックヒータ30を使用することにより、より多くの電力を供給することができ、加熱部を短時間で所定の温度まで昇温することができる。
【0031】
例えば、図8の断面図に示すように、直径30mmで肉厚1mmのアルミ製の定着ローラ33の内部にハロゲンヒータ34を有する従来の定着装置10aを使用して約180℃の所定の温度まで温度を上げるのに必要な熱量は約12000ジュール(J)である。この定着ローラ33に使用するハロゲンヒータ34は、100Vの電圧で約1200Wの電力を供給することが可能であるため、図9の昇温特性図(A)に示すように、約10秒で定着ローラ33を180℃まで温させることができる。この定着ローラ33にハロゲンヒータ34とは別に補助のハロゲンヒータを設け、1300F,2.5Vのコンデンサを使用した補助電源装置から補助のハロゲンヒータに電流を流した場合、補助のハロゲンヒータは最大電流が制限されるため、補助電源装置の電圧を50Vにした場合は12A、すなわち600Wの電力をとりだすことができる。このためハロゲンヒータ34に供給する電力1200Wと同時に補助電源装置から補助のハロゲンヒータに600Wの電力を供給することができ、定着ローラ33に対して合計1800Wの電力を供給でき、約10秒であった定着ローラ33の昇温時間を、図9(B)に示すように約6秒に短縮することが可能である。
【0032】
しかし補助電源装置で2.5Vのコンデンサを電圧50Vにして使用するには、約20個のコンデンサを直列に接続する必要がある。このとき補助電源装置の保持するエネルギは80000J程度となる。しかし、定着ローラ33の温度を上昇させるのに必要な熱量はその1/6にすぎず、コンデンサを3個を直列に接続するだけのエネルギで十分である。また、2.5Vのコンデンサを電圧50Vにして600W/10秒の割合で電力を取り出した場合の残電力量は、図10の時間に対する残電力量割合の変化特性図の(A)に示すように30秒で約90%になり、定着ローラ33を昇温するために補助電源装置から10秒間電力を供給する場合は、補助電源装置から6000J程度の電力しか取り出していない。これは、補助電源装置の保有するエネルギの約8%弱である。このように大電圧を補助電源装置に用いた構成では、単に電圧を上げるだけで余分なコンデンサが必要となるとともに、その保有する電気エネルギを昇温時の短時間に取り出すことが困難である。
【0033】
これに対して補助発熱体22bに40A程度の最大電流を流せるセラミックヒータを使用し、1300F,2.5Vのコンデンサを使用した補助電源装置24から初期電力として上記と同様に600Wを取り出すとすると、補助電源装置24の電圧は15Vで10秒間に約6000J程度の電気エネルギを供給することができる。このとき、1300F,2.5Vのコンデンサは6個となる。このときの補助電源装置24のコンデンサの残電力量は、図10(B)に示すように、2.5Vのコンデンサを電圧50Vにした場合と比べて低減して有効に利用される。この1300F,2.5Vのコンデンサを6個使用した補助電源装置24の保有する電気エネルギは24000J程度であるため、昇温時に使用できる電気エネルギの約6000Jは補助電源装置24が保有する電気エネルギの約25%となり、利用効率を約3倍程度に高めることができる。そして補助電源装置24から例えば600Wや800Wの電力を供給することにより、従来の電力供給の上限であった1200Wの制限を1800W〜2000Wにすることができ、待機状態から所定温度まで昇温する時間を短縮させることができる。また、補助電源装置24に使用するコンデンサの個数を大幅に減らすことができ、補助電源装置24の体積を減らすとともに補助電源装置24のコストを低減することができる。
【0034】
そこで待機状態から立ち上げるときに、主電源装置23から主発熱体22aに例えば100Vで1200Wの電力を供給するとともに補助電源装置24から補助発熱体22bに例えば20Vで800Wの電力を供給して加熱部22を昇温させる。すなわち主電源装置23のように例えば100Vと高い電圧を供給できる場合は、電流を比較的小さくして主電源装置23から主発熱体22aを接続する導線を比較的細くし、補助電源装置24の電圧を高くすると、補助電源装置24に使用するコンデンサの個数が多くなって補助電源装置24が大型化するため、補助電源装置24の電圧を低くして大電流を供給するようにする。
【0035】
このようにして加熱部22に電力を供給して所定温度に達したら、制御部32は切替部27を動作させて補助電源装置24から補助発熱体22bに供給している電力を遮断する。そして主電源装置23から主発熱体22aに供給している電力で加熱部22を所定の温度に保つ。この所定の温度に保った加熱部22と加圧ローラ15の間に、図3に示すように、トナー像17を転写した記録紙16を搬送して、加熱部22でトナー像17を加熱溶融して記録紙16に定着する。この加熱部22で記録紙16に転写したトナー像17を定着するときに、加熱部22のトナー像17と接触する部分に円筒状フィルム31を設けてあるから、トナーが付着することを防ぐことができる。この記録紙16に対するトナー像17の定着を所定部数繰り返して画像形成動作が終了して画像形成装置1が待機状態になると、制御部32はメインスイッチ25をオフにして切替部27を動作させ補助電源装置24を充電器26に接続し、主電源装置23から充電器26を介して補助電源装置24に電力を供給して充電する。以後、画像形成動作が行われるたびに上記動作を繰り返す。
【0036】
このように画像形成装置1が待機状態になるたびに補助電源装置24を充電することにより、画像形成動作を開始するときに、補助電源装置24は常に所定の充電量を保つことができ、加熱立ち上げ時に確実に補助電源装置24から電力を供給して加熱部22を短時間で所定の温度に立ち上げることができる。また、補助電源装置24に使用するコンデンサは、充放電の許容繰り返し回数が1万回以上であるとともに、充放電の繰り返しによる劣化も少なく、充放電の許容繰り返し回数が500回ら1000回程度であるニッケル−カドミウム電池と比べて長期間安定して使用することができる。また、鉛蓄電池のように液交換や補充なども必要ないため、メンテナンスをほとんど必要とせずに使用することができる。
【0037】
上記説明では例えば朝一番に画像形成装置1の電源を投入して定着装置10の加熱部22を昇温するとき、主電源装置23から主発熱体22aにのみ電力を供給して加熱部22を加熱する場合について説明したが、補助電源装置24のコンデンサの充電量は朝一番に画像形成装置1の電源を投入したときにそれほど減少していない場合もある。そこで図11の回路図に示すように、補助電源装置24の充電量を検出する充電量検出部35を設け、画像形成装置1の電源を投入したときに、主電源装置23から主発熱体22aに電力を供給するとともに補助電源装置24の充電量に応じて補助電源装置24から補助発熱体22bに電力を供給するようにしても良い。
【0038】
この場合の動作を図12のフローチャートを参照して説明する。例えば朝一番に画像形成装置1の電源を投入すると(ステップS1)、充填量検出部35は補助電源装置24のコンデンサの充填量を検出して制御部32に送る。制御部32は検出した充填量があらかじめ設定されている規定値に達しているかかどうかを判断し(ステップS2)、補助電源装置24の充填量が規定値に達しているときは、主電源装置23から主発熱体22aに電力を供給するとともに補助電源装置24から補助発熱体22bにも電力を供給して加熱部22を昇温させる(ステップS3)。この加熱部22を加熱しているときに、加熱部22の温度を検出する例えばサーミスタや熱電対や放射温度計等の温度検出部36で検出している温度が所定温度に達すると(ステップS4)、制御部32は補助電源装置24から補助発熱体22bに供給している電力を遮断する。そして主電源装置23から主発熱体22aに供給している電力で加熱部22を所定の温度に保つ(ステップS5)。このように画像形成装置1の電源を投入したときに、補助電源装置24の充電量が規定値に達している場合は、主電源装置23と補助電源装置24から加熱部22に電力を供給することにより、図13の温度上昇特性図に示すように、主電源装置23のみで電力を供給する場合と比べて、加熱部22の加熱を開始してから所定温度Tに達するまでの時間を短縮することができ、加熱部22を例えば10秒以下の短時間で所定の温度Tに昇温することができる。
【0039】
この状態で制御部32は画像形成動作を開始する(ステップS6)。この画像形成動作が終了して画像形成装置1が待機状態になると(ステップS7,S8)、制御部32はメインスイッチ25をオフにして切替部27を動作させ補助電源装置24を充電器26に接続し、主電源装置23から充電器26を介して補助電源装置24に電力を供給して充電する(ステップS9)。以後、画像形成動作が行われるたびに上記動作を繰り返す(ステップS10,S3〜S9)。また、画像形成装置1の電源を投入したときに補助電源装置24の充填量が規定値に達していない場合は、主電源装置23から主発熱体22aにのみ電力を供給して加熱部22を加熱する(ステップS2,S11,S12)。
【0040】
このように主電源装置3から例えば電圧100V、電流12Aで主発熱体22aに供給する1200Wの電力を確保し、補助電源装置24から補助発熱体22bに800Wの電力を供給するために、補助電源装置24に1300F,2.5Vのコンデンサを8個直列に接続して設けた場合、主発熱体22aの抵抗値R1は8.3Ωとなり、補助発熱体22bの抵抗値は0.5Ωとなる。そこで図14の上面図に示すように、セラミック基板29に形成する主発熱体22aの抵抗体パターン30aと補助発熱体22bの抵抗パターン30bを変えて、補助発熱体22bの抵抗パターン30bの断面積を大きくすることにより、主発熱体22aと補助発熱体22bを主電源装置23と補助電源装置24の特性に応じた構成に容易にすることができる。
【0041】
前記説明では主発熱体22aと補助発熱体22bをセラミックヒータで形成した場合について説明したが、主発熱体22aと補助発熱体22bを金属薄膜抵抗体で構成しても良い。
【0042】
また、補助発熱体22bとして、セラミックヒータや金属被膜抵抗体の代わりに、図15の回路図及び図16の断面図に示すように、定着ローラ33の内部にハロゲンヒータ34からなる主発熱体22aとともに補助発熱体22bとしてハロゲンヒータ34を並列に複数設けても良い。このように補助発熱体22bに並列に接続された複数のハロゲンヒータ34を使用することにより、補助発熱体22bに大電流を流すことができる。
【0043】
さらに、補助発熱体22bを、図17の加熱部22の構成図に示すように、ガラス管40の内部に複数、例えば2本の電熱線41を有するハロゲンヒータ34aで構成し、定着ローラ33の内部に設けても良い。このように複数の電熱線41を使用した場合でも、ガラス管40は1本しかないため、熱容量を小さくすることができ、加熱部22を加熱する立ち上がり時のガラス管40を昇温させるのに必要な熱量を小さくすることができ、立ち上がり時間を短くすることができる。また、複数の電熱線41でガラス管40を共用するため、補助発熱体22bを設置するスペースを小さくすることができる。したがって熱容量の小さい小径の定着ローラ33に対しても適用することができる。
【0044】
また、このガラス管40の内部に設けた複数の電熱線41の抵抗値を異ならせ、図17(b)に示すように、各電熱線41のガラス管40の長手方向の発光分布が異なるようにすると良い。ハロゲンヒータの発熱分布は電熱線41の巻き方で調節し、抵抗が高く発光量の多い領域では電熱線41をコイル状にして巻き数が多くなり、発光量の大きい領域ではガラス管40の内部における電熱線41の容積が大きくなる。この電熱線41をガラス管40に複数本設けると、同じ領域でガラス管40の径を大きくしなければならない。これを防止するために、複数の電熱線41の抵抗値すなわち発光分布をガラス管40の長手方向で異ならせ、各電熱線41の発光量の大小を互い違いになるように形成して、ガラス管40の径を小さくする。さらに、図17(c)に示すように、複数の電熱線41の両端を接続してガラス管40の内部に設けることにより、複数の電熱線41を有するハロゲンヒータ34aの外部接続端子を1つにまとめることができ、端子構成を簡略化して補助電源装置24等との接続を容易にすることができる。
【0045】
また、図18に示すように、ハロゲンヒータ34からなる主抵抗体22aを定着ローラ33の内部に設けるとともに、補助発熱体22bを、例えばステンレスのような通電すると発熱する金属薄膜42をローラ基体43の内面に形成しても良い。この場合、ローラ基体43はアルミや鉄などの金属でもセラミックなどでも良く、ローラ基体43として金属を使用した場合には、ローラ基体43と金属薄膜42の間に耐熱性の樹脂やセラミック等の絶縁層を設ける。このように補助発熱体22bをローラ基体43に設けることにより、補助発熱体22bの熱をローラ基体43に直接伝えることができ、定着ローラ33を短時間で所定の温度まで昇温することができる。
【0046】
前記説明では加熱装置21で画像形成装置1の定着装置10を加熱する場合について説明したが、各種伝熱装置や恒温装置等に同様に適用することができる。
【0047】
また、前記説明では定着ローラ33に主発熱体22aと補助発熱体22bを設けた場合について説明したが、図19の構成図に示すように、加圧ローラ15にも主発熱体44aと補助発熱体44bを設け、図20の回路図に示すように、主発熱体44aには主電源装置23から電力を供給して加熱し、補助発熱体44bには補助電源装置24から電力を供給するようにしても良い。このように加圧ローラ15にも主発熱体44aと補助発熱体44bを設けて加熱することにより、定着装置10をより効率良く加熱して所定の温度に保つことができる。
【0048】
また、定着ローラ33に設けた主発熱体22aに供給する電力と、加圧ローラ15に設けた主発熱体44aに供給する電力を異なるメインスイッチ25a,25bで独立して制御することにより、カラー画像等を形成する場合に、記録紙16に転写されたトナー像17を最適な条件で定着することができ、形成する画像の画質を向上することができる。また、補助電源装置24から加圧ローラ15の補助発熱体44bに印加する電圧は、定着ローラ33の補助発熱体22bに印加する電圧と同電圧になるので、加圧ローラ15の補助発熱体44bと定着ローラ33の補助発熱体22aを異なる抵抗値に設定することにより、加圧ローラ15と定着ローラ33をそれぞれに適した温度特性で制御することができる。
【0049】
このように補助電源装置24から定着ローラ33の補助発熱体22bと加圧ローラ15の補助発熱体44bに電力を供給するとき、切替部27から補助発熱体22bと補助発熱体44bまで共通のケーブルで接続すると、このケーブルに大電流が流れるため、その電流に応じたケーブルを使用する必要がある。そこで、図21の回路図に示すように、切替部27と補助発熱体22bの間及び切替部27と補助発熱体44bの間を異なるケーブルで接続して、各ケーブルに流れる電流を少なくすることにより、その電流値に適したケーブルで補助発熱体22bと補助発熱体44bを切替器27に接続することができる。また、図22の回路図に示すように、補助電源装置24に複数の出力端子を設け、各出力端子から補助発熱体22bと補助発熱体44bに切替器27を介して電力を供給するようにしても良い。この場合、切替器27で補助発熱体22bと補助発熱体44bに供給する電力を独立して制御することにより、加圧ローラ15と定着ローラ33をそれぞれに適した温度特性で制御することができる。
【0050】
前記説明では定着装置10に定着ローラ33を設けた場合について説明したが、図23の構成図に示すように、主発熱体22aと補助発熱体22bを有する加熱ローラ46と補助ローラ47に巻き回された定着ベルト48を使用し、定着ベルト48を加熱ローラ46で加熱するとともに加圧ローラ15を加熱するようにしても良い。
【0051】
また、加熱装置21に、図24の回路図に示すように、補助電源装置24を冷却する冷却手段50と、補助電源装置24の温度を検出する温度検出部51を設け、温度検出部51で検出した補助電源装置24の温度に応じて冷却手段50で補助電源装置24を冷却すると良い。このように補助電電装置24を冷却手段50で冷却することにより、補助電源装置24が高温になり耐久性が劣化することを防いで、補助電源装置24の耐久性を向上することができる。また、補助電源装置24の温度を温度検出部51で直接検出して冷却手段50の駆動を制御部32で制御することにより、補助電源装置24が過度に昇温したり冷却することを防ぐことができ、補助電源装置24の電気二重層コンデンサ等の耐久性を向上するとともに放電効果を高めることができる。
【0052】
この冷却手段50は、図25(a)の構成図に示すように、電気二重層コンデンサ等の蓄電セル52を複数まとめた補助電源装置24にファン50aを直接取り付け、外部の空気により冷却したり、ペルチェ素子や冷却液体をポンプで循環して冷却すれば良い。このように補助電源装置24を直接冷却することにより、大電流を補助発熱体22bに供給する補助電源装置24を加熱部22の近い位置に配置し、短い配線で接続して配線自身の熱損失を減らすようにしても、加熱部22の熱により補助電源装置24が過度に昇温することを防ぐことができ、補助電源装置24から補助発熱体22bに安定して大電流を供給することができる。
【0053】
また、制御部32で例えばファン50aを駆動して補助電源装置24を冷却するとき、補助電源装置24が充電中か補助発熱体22bに電力を供給しているかの動作状態に応じてファン50aの回転数を可変して風量を変更を可変することにより、補助電源装置24の温度上昇をより効率良く抑制することができる。すなわち補助電源装置24を充電しているときは放電しているときよりも補助電源装置24自体の発熱が大きくなりやすい。そこで補助電源装置24の充電時には風量を大きくし冷却効率を高める。また、加熱部22を加熱しているときは加熱部22からの熱により補助電源装置24が昇温することを防ぐために、風量を大きくする。このように加熱装置21の動作状態に応じて制御部32でファン50a等の冷却効果を制御することにより、補助電源装置24の過度な昇温を効率良く防ぐとともにエネルギ効率を向上させることができる。
【0054】
また、冷却手段50として図25(b)に示すように、補助電源装置24にフィンやヒートパイプ50bなど駆動制御を必要としないものを取り付けても良い。このように駆動制御を必要としないフィンやヒートパイプ50bを取り付けることにより、待機時や稼働時でも消費電力を低減することができるとともに作動音が発生せず、画像形成装置1の静粛性を高めることできる。
【0055】
さらに、補助電源装置24を冷却するファン50aを、図26の構成図に示すように、画像形成装置1の補助電源装置24を配置した位置に近い位置に配置し、画像形成装置1内の温度を検出し、検出した温度に応じてファン50aを駆動制御して、画像形成装置1内の温度を所定の範囲に保ち、補助電源装置24の過度な昇温を防ぐようにしても良い。すなわち、画像形成装置1は定着装置10で発生する熱やその他の電気素子などからの発熱により機内温度が条件によっては70〜80℃以上に上昇する。この温度上昇は補助電源装置24の電気二重層コンデンサ等の蓄電セル52の温度に対して大きな影響を与え、画像形成装置1の稼働が終了しても補助電源装置24の温度を上昇させる原因となってしまう。そこで画像形成装置1の内部温度を検知して、画像形成動作終了後でも所定の温度以上にならないように冷却することにより、補助電源装置24の過度な昇温を防止して耐久性を向上させることができる。
【0056】
前記各説明では主発熱体22aに主電源装置23から電力を供給し、補助発熱体22bに、主電源装置23とは別系統の補助電源装置24から電力を供給する場合について説明したが、定着装置10の円筒状フィルム31や定着ローラ33の加熱部22に、図27の回路図に示すように、複数例えば2組の補助発熱体22b,22cを設け、補助発熱体22b,22cに補助電源装置24と主電源装置23のいずれかから電力を供給するようにしても良い。この場合、補助電源装置24と主電源装置23に対する補助発熱体22b,22cの接続を動作モード切換スイッチ53で切り替え、補助発熱体22b,22cに補助電源装置24から電力を供給するとき、補助発熱体22b,22cを並列接続し、補助発熱体22b,22cに主電源装置23から電力を供給するとき、補助発熱体22b,22cを直列接続する。このように補助発熱体22b,22cに補助電源装置24から電力を供給するとき、補助発熱体22b,22cを並列接続することにより、低電圧の補助電源装置24から補助発熱体22b,22cに大電流を供給することができる。また、主電源装置23から補助発熱体22b,22cに電力を供給するとき、補助発熱体22b,22cを直列接続することにより、補助発熱体22b,22cの抵抗値を大きくして補助発熱体22b,22cに流れる電流を小さくすることができる。
【0057】
また、図27に示すように、定着装置10の円筒状フィルム31や定着ローラ33の中心の一定範囲、例えば画像形成装置1で最も多く使用するA4サイズに対応する範囲に主発熱体22aを配置し、その両端に補助発熱体22b,22cをそれぞれ配置する。この定着装置10を立ち上げて低温から所定の温度まで昇温させたり、待機時から立ち上げるときは、図27(a)に示すように、補助発熱体22b,22cを並列接続して、加熱部22の主発熱体22aに主電源装置23から電力を供給し、補助発熱体22b,22cに補助電源装置24から電力を供給する。このように定着装置10の立ち上げ時に加熱部22に大きな電力を供給することができ、定着装置10を短時間で所定の温度まで昇温することができる。加熱部22が所定の温度まで昇温したら、図27(b)に示すように、補助発熱体22b,22cを直列接続に切り換え、主電源装置23から電力を供給する。
【0058】
例えば定着装置10を立ち上げるとき、補助電源装置24から補助発熱体22b,22cに電圧60Vで1200Wの電力を供給し、主電源装置23から主発熱体22aに電圧100Vで600Wの電力を供給すると定着装置10には1800Vの電力を供給することができる。この電力の供給により定着装置10が所定の温度まで昇温したとき、補助発熱体22b,22cを直列接続に切り換え、主電源装置23から電力を供給すると、補助発熱体22b,22cに約800Wの電力を供給することができ、かつ商用電源の供給電力の上限である15Aを越えない範囲で定着装置10に1400Wの電力を供給することができる。
【0059】
また、例えば円筒状フィルム31や薄肉の定着ローラ33は熱容量が非常小さいために短時間で昇温できが、その反面、表面温度にムラが生じやすい。そして、サイズの小さい記録紙16を連続的に通過する際に、記録紙16が通過する範囲からは熱量が取られるが、記録紙16が通過しない周辺部には熱が蓄積されるために異常な高温となり、定着装置10の寿命を短くしてしまうという不具合が有る。これに対して、円筒状フィルム31や定着ローラ33の周辺部に補助発熱体22b,22cを設け、定着装置10が所定の温度に達したとき、補助発熱体22b,22cを直列接続して主電源装置23から小さな電流を流すことにより、記録紙16が通過しない周辺部に加える熱量を低減して周辺部が異常に昇温することを抑え、定着装置10の温度分布を最適な状態に分布させることができる。また、円筒状フィルム31や定着ローラ33の周辺部の温度を検出し、検出した温度により補助発熱体22b,22cに流す電流を制御することにより、定着装置10の温度分布を最適な温度分布に設定することができる。
【0060】
前記説明では補助発熱体22b,22cに主電源装置23から電力を供給するとき、主発熱体22aと補助発熱体22b,22cに同時に電流を流した場合について説明したが、図28に示すように、主電源装置23から主発熱体22aに電力を供給する回路と主電源装置23から補助発熱体22b,22cに電力を供給する回路を切換スイッチ54で切り換え、切換スイッチ54を時間的に切り換えることにより、主電源装置23から主発熱体22aと補助発熱体22b,22cに交互に電力を供給することにより、主電源装置23からの電流を小さくすることができる。
【0061】
例えば定着装置10を立ち上げるとき、補助電源装置24から補助発熱体22b,22cに電圧50Vで600Wの電力を供給し、主電源装置23から主発熱体22aに電圧100Vで1200Wの電力を供給すると定着装置10には1800Vの電力を供給することができる。この電力の供給により定着装置10が所定の温度まで昇温したとき、補助発熱体22b,22cを直列接続に切り換え、主電源装置23から電力を供給すると、補助発熱体22b,22cに約600Wの電力を供給することになり、主発熱体22aと補助発熱体22b,22cに主電源装置23から電力を供給すると、主電源装置23からは商用電源の供給電力の上限である15Aを越えた電流を流すことになる。このとき切換スイッチ54を時間的に切り換えて、主電源装置23から主発熱体22aと補助発熱体22b,22cに交互に電力を供給することにより、主電源装置23から流す電流を12Aと6Aに切り換えることができ、主電源装置23から流す電流を15A以下に抑えることができる。
【0062】
このように主電源装置23から主発熱体22aに電力を供給するとき、主発熱体22aに印加する電圧を位相制御して主発熱体22に印加される最大電圧を任意に設定したり、主電源装置23から変圧器を介して電力を供給して、主発熱体22aや補助発熱体22b,22cに印加する電圧を制御することにより、必要以上に電力を消費することを抑制するとともに、商用電源の上限電流を超えることを防ぐことができる。
【0063】
また、補助電源装置24として電気二重層コンデンサ等の代わりに燃料電池を使用しても良い。このように燃料電池を使用すると、発電効率が高く、環境に非常にやさしいとともに充電する必要がなく、加熱装置21の構成を簡略化することができる。
【0064】
また、補助電源装置24として使用する電気二重層コンデンサ等は充放電の繰り返し回数が数万回以上でほぼ無制限で、実質的には半永久的に使用可能でメンテナンスが不要である。この電気二重層コンデンサ等の長寿命を活かし、複写機等の画像形成装置1本体の寿命が終わった際に電気二重層コンデンサ等を回収し再利用することにより資源の有効利用や加熱装置21のコストの低減を図ることができる。さらに、電気二重層コンデンサ等には充電された電荷が放電されるまで蓄積している。したがって電気二重層コンデンサ等を再利用するために加熱装置21から回収するとき感電する危険性があり、重大な事故になる可能性があり、加熱装置21から電気二重層コンデンサ等を回収する際には作業者の安全を充分に確保する必要がある。
【0065】
そこで電気二重層コンデンサ等を使用した補助電源装置24を、図29の構成図に示すように、電気二重層コンデンサ等の蓄電セル52を複数まとめた蓄電モジュール60を有する補助電源装置24をカートリッジ61に収納し、加熱装置21に対して着脱自在になっている。カートリッジ61は絶縁材料で形成され、図29(a)の断面図に示すように、加熱装置21に挿入側に補助電源装置24の蓄電モジュール60の正極と負極に接続された外部端子62を有し、外部端子62とはの反対側に保持部63を有する。また、図29(b)の側面図に示すように、複数の折り取ることが可能な折り爪64を有する。
【0066】
カートリッジ61の外部端子62は、カートリッジ61に収容される蓄電モジュール60の電圧と静電容量等の仕様により異なった形状をしており、加熱装置21には、図30の回路図に示すように、必要とする仕様の蓄電モジュール60が収容されているカートリッジ61の外部端子62とだけ接続できる形状をした接続端子65を有する。このようにカートリッジ61の外部端子62と加熱装置21の接続端子65をカートリッジ61に収容される蓄電モジュール60の電圧と静電容量等の仕様により異なった形状にすることにより、加熱装置21の仕様に合った蓄電モジュール60を収容したカートリッジ61だけを加熱装置21に装着することができ、仕様の異なる蓄電モジュール60を加熱装置21に接続する誤操作を防ぎ、誤操作による故障や事故を確実に防止することができる。ここでカートリッジ61と加熱装置21に、蓄電モジュール60の仕様を記載したシール等を貼り付けておくと、カートリッジ61を加熱装置21に装着するときの作業者の便宜を図ることができる。
【0067】
また、カートリッジ61を加熱装置21に着脱自在にしたから、蓄電モジュール60を有する補助電源装置24を再利用するための回収と取付け作業を容易に行うことができ、補助電源装置24のリサイクルを推進することができる。さらに、補助電源装置24を初期装備していない画像形成装置に、補助電源装置24をあとから取り付けることもでき、画像形成装置の立上時間を短くすることができる。
【0068】
また、折り爪64は、蓄電モジュール60を有する補助電源装置24を再利用するときの限度回数を表すものであり、作業者が補助電源装置24を再利用するたびに折り爪64を1つずつ折り取り、折り爪64が全て無くなると、カートリッジ61と内部の蓄電モジュール60の寿命として廃棄もしくは処理するように管理している。この折り爪64で補助電源装置24の再利用の限度を示すことにより、蓄電モジュール60の老朽化に伴う事故や故障を未然に防ぐことができる。
【0069】
さらに、カートリッジ61を絶縁材料で形成し、蓄電モジュール60を完全に覆っているから、カートリッジ61を着脱するとき、作業者が蓄電モジュール60に充電された電荷に感電する危険性を回避することができる。また、図31(a)の断面図に示すように、カートリッジ61に設けた外部端子62を、加熱装置21の接続端子65の外周部と嵌合する絶縁材料で形成したカバー66で覆ったり、図31(b)の断面図に示すように、カートリッジ61を加熱装置21に取り付けるときに開となり、加熱装置21から取り外すときに閉となるシャッタ機構67を有するカバー68でカートリッジ61の外部端子62を覆うことにより、カートリッジ61の外部端子62が作業者や導電性の部材に触れて感電する事故を防止することができるとともに蓄電モジュール60を有する補助電源装置24が破損することを防ぐことができる。
【0070】
また、図32の構成図に示すように、カートリッジ61の外部端子62を有する面に、操作部69を有するスイッチ70を設け、図33の回路図に示すように、蓄電モジュール60と外部端子62をスイッチ70を介して接続し、カートリッジ61を加熱装置21に取り付けない状態では、図33(a)に示すように、スイッチ70をオフ状態にし、カートリッジ61を加熱装置21に取り付けたとき、加熱装置21の接続端子65で操作部69を駆動してスイッチ70をオン状態にしても良い。このようにカートリッジ61を加熱装置21に取り付けたときだけ、蓄電モジュール60と外部端子62の間を導通させることにより、カートリッジ61を加熱装置21に着脱するときに、作業者が蓄電モジュール60に充電された電荷に感電する危険性を回避することができ、安全に着脱作業を行うことができる。さらに、カートリッジ61を加熱装置21に取り付けたときだけ、蓄電モジュール60と外部端子62の間を導通するから、この導通の有無を加熱装置21の制御部32で検出することにより、蓄電モジュール60を有する補助電源装置24を加熱装置21に正常に取り付けたか否を確実に検出することができる。
【0071】
前記説明では補助電源装置24の再利用回数をカートリッジ61に設けた折り爪64で検出し、カートリッジ61内の蓄電モジュール60の電圧や静電容量等の仕様をカートリッジ61に貼り付けたシール等で表示する場合について説明したが、図34の断面図に示すように、カートリッジ61に例えばICチップ等の情報保持手段71を設け、情報保持手段71に蓄電モジュール60の製造時期や再利用回数及び電圧や静電容量等の仕様などの情報を記録し、カートリッジ61と非接触の情報記録再生装置72で情報保持手段71に記録した情報を読み取ったり、再利用回数を更新するようにしても良い。このようにカートリッジ61に情報保持手段71を設けることにより、カートリッジ61に収容された蓄電モジュール60の各種情報を正確に得ることができ、補助電源装置24を適正に管理することができる。また、補助電源装置24をリサイクルして再利用するとき、情報保持手段71に記録した情報を読み取ることにより、異なる仕様や再利用回数ごとに分類して管理することができ、補助電源装置24の選別作業等に要する時間を大幅に短縮することができる。さらに、情報記録再生装置72を加熱装置21にも設けることにより、加熱装置21に取り付ける補助電源装置24が適正なものであるか否を確認することもできる。
【0072】
例えば情報保持手段71としてSRAMを使用した場合、図35の構成図に示すように、カートリッジ61に情報保持手段71の出力端子73を設け、加熱装置21のカートリッジ61の取付部に、制御部32に接続され、情報保持手段71の出力端子73と接触して導通する入力端子74を設ける。そしてカートリッジ61を加熱装置21に取り付けたとき、制御部32に有するCPUで情報保持手段71に記録した再利用回数や電圧等の仕様を読み取り、読み取った仕様等が不適切の場合には補助電源装置24からの電力供給を禁止する。例えば図36の回路図に示すように、加熱装置21の接続端子65の出力側に接続切換手段75を設け、制御部32で情報保持手段71に記録した仕様等を読み取ったとき、読み取った仕様等が不適切の場合に制御部32で接続切換手段75の電気的接続を遮断すれば良い。このようにして不適切な補助電源装置24が加熱装置21に取り付けられて故障や事故が発生することを防止することができる。また、情報保持手段71の出力端子73と制御部32に接続された入力端子74の接触の有無により、補助電源装置24を有するカートリッジ61を加熱装置21に正常に取り付けたか否を検出することもできる。
【0073】
前記各説明では画像形成装置1の定着装置10の加熱装置21に補助電源装置24を設けた場合について説明したが、補助電源装置24に使用する電気二重層コンデンサ等は、現状では非常に高価であり、複数の画像形成装置1、例えば電子写真方式を使用した複写機を2台使用したり、それぞれ独立した複写機とプリンタを使用する場合、各画像形成装置1に電気二重層コンデンサ等を有する補助電源装置24を取り付けると資源を有効に利用することができないとともにコスト高になってしまう。また、電気二重層コンデンサは充放電の寿命が半永久的であるため、同一期間内での利用回数が増えると、充放電の1回あたりのコストを安くすることができるため、同一期間内での利用回数を増やして効率良く利用することが望ましい。しかし1台の画像形成装置1で補助電源装置24の電気二重層コンデンサの利用回数を増やすために、画像形成装置1の使用回数を増やすと、画像形成装置1自体の寿命が短くなってしまう。そこで複数の画像形成装置1を使用し、電気二重層コンデンサ等を有する補助電源装置24を複数の画像形成装置1で共用することが望ましい。この複数の画像形成装置1で電気二重層コンデンサ等を有する補助電源装置24を共用するための補助電力供給システムについて説明する。
【0074】
図37は補助電力供給システムの構成図である。図に示すように、補助電力供給システム80は、例えば2台の画像形成装置1a,1bに補助電力を供給する補助電力供給装置81を有する。画像形成装置1a,1bはそれぞれ定着装置10に、交流電源に接続された主電源装置23a,23bから電力を供給する主発熱体22aと、補助電力供給装置81から電力を供給する補助発熱体22bを有する。補助電力供給装置81は、電気二重層コンデンサ等を有する補助電源装置24と充電器26と切換部27と供給電力切換部82及び制御装置83を有する。充電器26は交流電源に接続された主電源装置23cから供給された電力により補助電源装置24を充電する。切換部27は補助電源装置24に対する充電器26と供給電力切換部82の接続を切り換える。供給電力切換部82は、補助電源装置24から出力する補助電力を画像形成装置1aに供給するか、画像形成装置1bに供給するかを切り換える。制御装置83は画像形成装置1a,1bからの情報により切換部27と供給電力切換部82の接続を切り換える。
【0075】
この補助電源装置24から画像形成装置1a,1bに補助電力を供給するときの動作を図38のタイムチャートを参照して説明する。
【0076】
画像形成装置1aが待機状態から立ち上げて画像形成動作を開始するために主電源装置23aから主発熱体22aに電力の供給を開始すると、補助電力供給装置81の制御装置83は切換部27を供給電力切換部82側に接続し、供給電力切換部82を画像形成装置1a側に接続して、補助電源装置24から補助電力を画像形成装置1aの補助発熱体22bに供給する。この電力の供給により主発熱体22aと補助発熱体22bを有する定着装置10が所定の温度に達すると、制御装置83は供給電力切換部82を駆動して補助電源装置24から画像形成装置1aに供給している補助電力を遮断する。画像形成装置1aの画像形成動作が終了して待機状態になると、制御装置83は切換部27を充電器26側に接続し、充電器26で補助電源装置24を充電する。この状態で画像形成装置1bが待機状態から立ち上げて画像形成動作を開始するために主電源装置23aから主発熱体22aに電力の供給を開始すると、補助電源装置24を画像形成装置1b側に接続し、画像形成装置1bの補助発熱体22bに補助電源装置24から補助電力を供給する。
【0077】
このように補助電力供給装置81から2台の画像形成装置1a,1bに補助電力を供給することにより、各画像形成装置1a,1bに補助電源装置24を設ける必要がなく、補助電力供給装置81の補助電源装置24を有効に利用して、利用効率を高めることができるとともに画像形成装置1a,1bのコストを低減することができる。また、画像形成装置1a,1bが待機状態のときに補助電源装置24を充電するから、画像形成装置1a,1bを立ち上げたとき補助電源装置24を所定の充電量にすることができる。
【0078】
次に画像形成装置1a,1bからの情報に基づき補助電力供給装置81の制御装置83で補助電力供給動作の制御を図39のブロック図を参照して説明する。
【0079】
補助電力供給装置81の制御装置83は、画像形成装置1a,1bからの情報を専用の信号線又は汎用のネットワークを利用し受信する入力手段84と、受信した情報の内容を判定する判定手段85と、補助電源装置24を充電したり、補助電源装置24から出力する補助電力を制御する制御手段86を有する。画像形成装置1a,1bは、それぞれ図1に示すように、感光体2と帯電装置3と書込装置や現像装置6と転写装置7等の画像形成部90と、主発熱体22aと補助発熱体22b等を有する定着装置10と、各種動作状態を検出する動作状態検知部91及び検出した動作状態を補助電力供給装置81に送信する出力手段92を有する。
【0080】
画像形成装置1aの電源が投入されているとき、動作状態検知部91aは定着装置10aの温度や記録紙16の残量や印刷の可否などの各種機器状態と補助電源装置24の残電力量や画像形成装置1aの優先度などをステータス情報として検知し、ステータス情報として出力手段92aに送る。出力手段92aは送られたステータス情報を補助電力供給装置81の入力手段84に送信する。画像形成装置1bの動作状態検知部91bもステータス情報を検知し、出力手段92bを介して補助電力供給装置81の入力手段84に送信する。補助電力供給装置81の入力手段84は受信した画像形成装置1a,1bのステータス情報を判別手段85に送る。判別手段85は送られたステータス情報の内容から補助電力の供給先及び供給開始や停止などの制御情報を判別して制御手段86に送る。制御手段86は送られた制御情報により、画像形成装置1a,1bのいずれに補助電力を供給するかと、供給するタイミングを制御する。
【0081】
このように各画像形成装置1a,1bの個別の状態や動作状態の情報に基づき補助電力を供給する供給先や供給タイミングを制御することにより、温度が充分高くて補助電力を必要としない画像形成装置1や、記録紙16の残量が無く、画像形成が不可能な画像形成装置1へ補助電力を供給しなく、補助電力を必要とする画像形成装置1に補助電力を供給することにより、各画像形成装置1a,1bの状況に合わせた適切な電力供給を行うことができ、補助電源装置24を有効に利用することができる。また、ステータス情報に優先度を含むことにより、例えば画像形成装置1bに補助電力を供給しているときに、優先度の高い画像形成装置1aから補助電力の供給が要求されたとき、画像形成装置1bに対する補助電力の供給を停止して画像形成装置1aに補助電力を供給することもできる。
【0082】
また、補助電力供給装置81を画像形成装置1a,1bとは別に独立してもうけたから、他の画像形成装置を追加したときに簡単に接続することができる。また補助電源装置24の蓄電量や放電時の時間変化等を安全に動作させる際に多い管理項目を一括して管理することができる。
【0083】
前記説明では補助電力供給装置81を画像形成装置1a,1bとは別個に設けた場合について説明したが、図40のブロック図に示すように、補助電力供給装置81を例えば画像形成装置1aに設け、画像形成装置1aから他の画像形成装置1bにも補助電力を供給するようにしても良い。このように画像形成装置1aに補助電力供給装置81を設けることにより、補助電力供給装置81を設置するスペースを設ける必要がないとともに、補助電源装置24を画像形成装置1aの定着装置10aの近くに配置することができ、補助発熱体22bに供給する補助電力の配線抵抗による損失を減らすことができる。
【0084】
また、前記説明では主電源装置23から充電器26を介して補助電源装置24を充電する場合について説明したが、図41のブロック図に示すように、燃料電池93から供給される電力で補助電源装置24を充電するようにしても良い。
【0085】
さらに、前記説明では画像形成装置1a,1bに補助電力供給装置81から補助電力を供給する場合について説明したが、図42のブロック図に示すように、一時的に大電力を必要とする例えば恒温装置やエアコン等の各種電気機器100a,100bにも同様にして補助電力供給装置81から補助電力を供給することができる。
【図面の簡単な説明】
【0086】
【図1】この発明の画像形成装置の構成図である。
【図2】加熱装置の構成を示す回路図である。
【図3】定着装置の構成を示す断面図である。
【図4】従来の定着ローラの加熱装置の構成を示す回路図である。
【図5】加熱部の構成を示す上面図である。
【図6】他の定着装置の構成を示す断面図である。
【図7】定着装置の加熱装置の動作を示すタイムチャートである。
【図8】第3の定着装置の構成を示す断面図である。
【図9】定着ローラの温度上昇特性図である。
【図10】補助電源装置のコンデンサの残電力量の変化特性図である。
【図11】第2の加熱装置の構成を示す回路図である。
【図12】定着装置の動作を示すフローチャートである。
【図13】定着装置の温度上昇特性の比較図である。
【図14】加熱装置の他の構成を示す上面図である。
【図15】第3の加熱装置の構成を示す回路図である。
【図16】ハロゲンヒータの補助発熱体を有する定着ローラの構成を示す断面図である。
【図17】定着ローラに設けたハロゲンヒータの補助発熱体の構成図である。
【図18】金属薄膜の補助発熱体を有する定着ローラの構成を示す断面図である。
【図19】第4の定着装置の構成を示す断面図である。
【図20】第4の定着装置の加熱装置を示す回路図である。
【図21】第4の定着装置の第2の加熱装置を示す回路図である。
【図22】第4の定着装置の第3の加熱装置を示す回路図である。
【図23】第5の定着装置の構成を示す断面図である。
【図24】冷却手段を有する加熱装置の構成を示す回路図である。
【図25】冷却手段を有する補助電源装置の構成図である。
【図26】冷却手段を有する画像形成装置の構成図である。
【図27】補助発熱体に補助電源装置と主発熱体から電力を供給する加熱装置の構成を示す回路図である。
【図28】補助発熱体に補助電源装置と主発熱体から電力を供給する加熱装置の他の構成を示す回路図である。
【図29】補助電源装置を収容したカートリッジの構成を示す断面図である。
【図30】カートリッジに収容した補助電源装置を有する加熱装置の構成を示す回路図である。
【図31】カートリッジの外部端子の保護を示す断面図である。
【図32】補助電源装置と外部端子の接続を断続するスイッチを有するカートリッジの断面図である。
【図33】スイッチの動作状態を示す回路図である。
【図34】情報保持手段を有するカートリッジの断面図である。
【図35】情報保持手段と加熱装置の制御部の接続を示す構成図である。
【図36】接続切換手段を有する加熱装置の構成を示す回路図である。
【図37】補助電力供給システムの構成図である。
【図38】補助電源装置から2台の画像形成装置に補助電力を供給するときの動作を示すタイムチャートである。
【図39】補助電力供給動作の制御機能を示すブロック図である。
【図40】一方の画像形成装置に補助電力供給装置を設けた補助電力供給システムの構成を示すブロック図である。
【図41】他の補助電力供給システムの構成を示す回路図である。
【図42】電気機器に補助電力を供給する補助電力供給システムの構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0087】
1;画像形成装置、2;感光体、3;帯電装置、5;ミラー、6;現像装置、
7;転写装置、8;クリーニング装置、9;給紙装置、10;定着装置、
15;加圧ローラ、16;記録紙、21;加熱装置、22;加熱部、
22a;主発熱体、22b;補助発熱体、23;主電源装置、
24;補助電源装置、25;メインスイッチ、26;充電器、27;切替部、
31;円筒状フィルム、44a;主発熱体、44b;補助発熱体、
50;冷却手段、51;温度検出部、61;カートリッジ、
80;補助電力供給システム、91;補助電力供給装置、
82;供給電力切換部、83;制御装置。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
主電源装置から電力が供給される少なくとも1つの電気機器と、
補助電源装置から少なくとも1つの電気機器に電力を供給する電力供給装置と、
を有する電力供給システムであって、
前記電気機器は、当該電気機器のステータス情報を出力する出力手段を有し、
前記電力供給装置は、前記電気機器から出力される前記ステータス情報に基づき、前記補助電源装置の制御情報を判別する判別手段と、
前記判別手段で判別した前記制御情報に基づき、前記補助電源装置からの電力供給を制御する制御手段と、
を有することを特徴とする補助電力供給システム。
【請求項2】
前記ステータス情報は、前記補助電源装置から前記電気機器に対する電力供給の状態を示す給電情報を含むことを特徴とする請求項1記載の補助電力供給システム。
【請求項3】
前記ステータス情報は、前記電気機器の電力要求度を示す優先度情報を含むことを特徴とする請求項1記載の補助電力供給システム。
【請求項4】
前記電気機器は、さらに、前記主電源装置から電力を供給する主発熱体と、前記補助電源装置から電力を供給する補助発熱体とからなる加熱装置を有することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の補助電力供給システム。
【請求項5】
前記ステータス情報は、前記加熱装置の温度情報を含むことを特徴とする請求項4記載の補助電力供給システム。
【請求項6】
前記加熱装置は、記録媒体に転写した画像を記録媒体に固着する定着装置に設けられたことを特徴とする請求項4又は5記載の補助電力供給システム。
【請求項1】
主電源装置から電力が供給される少なくとも1つの電気機器と、
補助電源装置から少なくとも1つの電気機器に電力を供給する電力供給装置と、
を有する電力供給システムであって、
前記電気機器は、当該電気機器のステータス情報を出力する出力手段を有し、
前記電力供給装置は、前記電気機器から出力される前記ステータス情報に基づき、前記補助電源装置の制御情報を判別する判別手段と、
前記判別手段で判別した前記制御情報に基づき、前記補助電源装置からの電力供給を制御する制御手段と、
を有することを特徴とする補助電力供給システム。
【請求項2】
前記ステータス情報は、前記補助電源装置から前記電気機器に対する電力供給の状態を示す給電情報を含むことを特徴とする請求項1記載の補助電力供給システム。
【請求項3】
前記ステータス情報は、前記電気機器の電力要求度を示す優先度情報を含むことを特徴とする請求項1記載の補助電力供給システム。
【請求項4】
前記電気機器は、さらに、前記主電源装置から電力を供給する主発熱体と、前記補助電源装置から電力を供給する補助発熱体とからなる加熱装置を有することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の補助電力供給システム。
【請求項5】
前記ステータス情報は、前記加熱装置の温度情報を含むことを特徴とする請求項4記載の補助電力供給システム。
【請求項6】
前記加熱装置は、記録媒体に転写した画像を記録媒体に固着する定着装置に設けられたことを特徴とする請求項4又は5記載の補助電力供給システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【図37】
【図38】
【図39】
【図40】
【図41】
【図42】
【図2】
【図3】
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【図20】
【図21】
【図22】
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【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【図37】
【図38】
【図39】
【図40】
【図41】
【図42】
【公開番号】特開2007−221996(P2007−221996A)
【公開日】平成19年8月30日(2007.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−44865(P2007−44865)
【出願日】平成19年2月26日(2007.2.26)
【分割の表示】特願2002−323863(P2002−323863)の分割
【原出願日】平成14年11月7日(2002.11.7)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年8月30日(2007.8.30)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年2月26日(2007.2.26)
【分割の表示】特願2002−323863(P2002−323863)の分割
【原出願日】平成14年11月7日(2002.11.7)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】
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