説明

補強パッド

本発明は、厚さが少なくとも3mmでありかつ相対する主要面を有する不織繊維層を含み、前記主要面のうち一方が接着層を含み、前記不織繊維層が架橋性組成物を含む、補強パッドを提供する。架橋性組成物を硬化すると、不織繊維層を剛性化することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、金属製またはプラスチック製のパネルなどの基材を補強するための補強パッドに関する。
【背景技術】
【0002】
自動車産業では、補強シート類が、局所的な軽量の補強のために、プラスチック製もしくは金属製のパネルまたはその他の基材にしばしば適用される。典型的には、このような補強は、パネルの特定の所望の形状を保持するかまたはパネルが凹むのを防止するために適用され得る。補強シート類の例は、米国特許第4,444,818号、米国特許第4,766,183号、米国特許第4,842,938号、米国特許第4,803,105号、米国特許第4,803,108号、米国特許第4,900,601号、米国特許第4,9298,483号、米国特許第5,092,947号、PCT国際公開特許WO 01/947493に開示されている。
【0003】
一般に、これら補強シート類は、剛性の材料の層と、補強すべき基材に補強シートを接着するための接着剤(典型的にはエポキシ接着剤)の層とを含む。補強シートの剛性材料層について様々な構成および構造が記載されており、補強シートを適用している間に、補強シートは、それを適用する基材の外形形態に追従できるような補強シートの可撓性と、高いレベルの剛性および補強性を提供できることとの、適切なバランスが求められている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
そこで、基材の補強に適した、特に、自動車産業においてパネルの補強に適した、更なる補強パッドを探し出すことが望ましい。特に、補強パッドが基材の形状に容易に追従できるように、適用中に最大限の可撓性を提供できる補強パッドを探し出すことが望ましい。更には、良好なまたは優れたパネル補強性を提供する補強シートを探し出すことも望ましい。更に望ましい特徴は、前記パッドが、経済的に実現可能な、費用効率の高い方法で容易に製造できることである。望ましくは、前記パッドは、基材へ容易に適用できて、操作者が硬化組成物または接着剤の化学組成物に触れるのを防止できる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様によれば、厚さが少なくとも3mmでありかつ相対する主要面を有する不織繊維層を含み、前記主要面のうち一方が接着層を含み、前記不織繊維層が架橋性組成物を含む、補強パッドが提供される。架橋性組成物を硬化すると、不織繊維層を剛性化することができる。
【0006】
補強パッドは、基材を補強するために使用することができ、そしてそれ故に、本発明は、更なる態様において、前記基材に前述のような補強パッドを接着することと、前記架橋性組成物を架橋することとを含む、基材の補強方法を提供する。
【0007】
本発明の補強パッドは、一般に、可撓性が高く、また補強すべき複雑な形状の基材にも容易に追従できることが分かった。この有利な特徴は、一般に、不織繊維層内の架橋性組成物の架橋時に達成され得る良好ないし優れた補強特性に結び付けられる。更には、補強パッドは、経済的に実現可能な方法で容易に製造できる。パッドはまた、パッドを適用する操作者が架橋性組成物に触れるのを防止するように設計されてもよい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明は、以下の図面を参照して説明し、そして更に例示するが、それらは本発明を制限することを意図するものではない。
【0009】
補強パッドは、厚さが少なくとも3mm、典型的には3mmを超える不織繊維層を含む。パッドは、補強パッドの主要面のうちの一方に接着層を含む。パッドは、更に、不織繊維層内に架橋性組成物を有する。一実施形態によれば、不織繊維層の相対する面には、接着層が含有されておらず、好ましくはその側のパッド表面は、不織繊維層で形成されている。このような実施形態の一例を図1に示す。図1に示すような補強パッド10は、不織繊維層12の一方の主要面上に接着層11を有する。不織繊維層は、更に、架橋性組成物13を含む。図1から分かるように、接着層11を含有する面と相対する補強パッドの面は接着剤を有しない。
【0010】
不織繊維層の厚さは少なくとも3mmであるべきである。繊維ウェブの厚さは、その第1主表面と第2主表面との間の、非圧縮状態での最短寸法と定義される。理論に束縛されるものではないが、不織繊維ウェブは、架橋性組成物を架橋する前の補強パッドの取り扱い中およびその適用中に、当該不織繊維ウェブ内に架橋性組成物を3次元配置で保持すると考えられる。したがって、不織繊維ウェブは、このような3次元配置を支持するのに十分な厚さでなければならない。本発明の典型的な実施形態では、不織繊維層の厚さは少なくとも4mm、例えば少なくとも5mmである。実用的な範囲は6〜30mmであってよい。
【0011】
一般に、繊維ウェブの坪量は、10g/m〜1kg/mである。例えば、前記ウェブの坪量は、50g/m以上、例えば、100g/m以上、または150g/m以上であってよい。用途に応じて、坪量が200g/m以上、例えば、250g/m以上、300g/m以上、350g/m以上、または400g/m以上の繊維ウェブを使用してもよい。
【0012】
繊維ウェブに使用される繊維の種類は、多種多様であってよく、また短繊維を包含する。典型的な例は、ポリエチレンもしくはポリプロピレンなどのポリオレフィン繊維類、ポリスチレン繊維類、ポリエーテル繊維類、ポリエチレンテレフタレート(PET)またはポリブチレンテレフタレート(PBT)繊維類などのポリエステル繊維類、ポリ塩化ビニルおよびポリフッ化ビニリデンなどのビニルポリマー繊維類、ポリカプロラクタムなどのポリアミド類、ポリウレタン類、ナイロン繊維類、ポリアラミド繊維類(例えば、ケプラー(Kevlar)(登録商標)繊維類)である。あるいはまたは加えて、繊維ウェブは、金属繊維類、金属被覆繊維類、他の導電性材料類でコーティングされた繊維類、または炭素繊維類を含有してよい。好ましい例は、PET繊維類およびポリアラミド繊維類である。前記種類の繊維類のうち2つ以上のブレンドを用いて、本発明の接着物品内の繊維ウェブ類を提供してもよい。前述の繊維類は、繊維ウェブ内の繊維類の総量に対して10重量%以上、例えば、15重量%の熱接着繊維類の量を用いて、熱接着繊維類と混合してもよい。熱接着繊維類は、当該技術分野では既知であり、そして2成分繊維類(バイコ繊維類(Bico fibers)としても知られている)が挙げられる
。熱接着繊維類を用いて、繊維ウェブに更なる強度を与えてもよい。一般に、30重量%以下、または20重量%以下の熱接着繊維類は、繊維ウェブに付加的な一体性を与えるのに十分である。
【0013】
一般に、繊維ウェブの繊維類の直径は、少なくとも1デニール(den)である。5den以上の値、例えば、10den以上、または15den以上が好ましい。好ましくは、繊維類の直径は、100den以下、例えば、50den以下でなければならない。
【0014】
不織繊維ウェブを提供する特定の実施形態によれば、縦ブリーツ加工(vertical lapping)、または縦交差ブリーツ加工(vertical cross lapping)(VCL)を使用してよい。縦交差ブリーツ加工は、カード繊維ウェブを縦方向に折り畳むことによって波形の不織繊維ウェブをもたらす。一実施形態におけるカード繊維ウェブは、交差ブリーツ加工されてから縦方向に折り畳まれてもよい。図2に、縦交差ブリーツ加工されたウェブの概略図を提供する。この図はまた、VCLプロセスで出発製品として用いられるカードウェブにおいて最初にx、y−方向に配向された繊維類を、このプロセスの結果として得られる繊維ウェブのz−方向(または厚さ方向)に配向させることも示している。熱接着繊維類は、縦交差ブリーツ加工されたウェブの波形構造を安定化するのに役立つ場合がある。これらの熱接着繊維類は、ブリーツ加工プロセスの後で、例えばウェブを熱接着オーブンに通すことによって、活性化されてよい。縦交差ブリーツ加工の好適な技術は、当該技術分野では確立されており、そしてVCLウェブを得るために必要な装置は、商標名「ストルート(Struto)」または「ウェーブメーカー(Wavemaker)」として入手可能である。このような技術はまた、米国特許第6,602,581号や本明細書で引用した文献にも開示されている。
【0015】
不織繊維層に含有される架橋性組成物は、不織繊維層の厚さ全体にわたって存在してもよく、または不織繊維層の厚さの一部だけに沿って存在してもよい。一実施形態では、架橋性組成物は、不織繊維ウェブの厚さの一部または全厚にわたって均一に分布している。別の実施形態によれば、架橋性組成物は、不織繊維ウェブに規則的なまたは不規則な3次元模様で含まれていてよい。例えば、クロスハッチ模様の架橋性組成物は、クロスハッチ模様の架橋性組成物を不織繊維層の一表面上に供給して、クロスハッチ模様の組成物を不織繊維層に部分的にまたは完全に侵入させることによって得られてよい。不規則で不均一な模様は、VCL繊維ウェブを延伸して、架橋性組成物の粘着性の層または軟化した層の上にウェブを供給することにより作製されてよい。その後、不織繊維ウェブを折り畳むことで、架橋性組成物を不織繊維ウェブの折り目の中に侵入させることができ、それにより、不規則な3次元配置の架橋性組成物を不織繊維層内に形成することができる。用いられる架橋性組成物の層の厚さに依存して、架橋性組成物の一部または全てが不織繊維層内に侵入してもよい。前記組成物の全てが侵入しない場合、前記層の残りは、補強パッドの接着層を形成してよい。
【0016】
繊維層中の架橋性組成物の量は、変化に富んでいてよく、そして用いられる架橋性組成物の性質、所望の剛性化度、および前記繊維層内での架橋性組成物の分布様式または不織繊維層内での架橋性組成物の配置などの因子に左右される。本発明の特定の実施形態によれば、架橋性組成物の量は、前記繊維の重量に対して5〜200重量%、例えば、10〜150重量%、または30〜100重量%であってよい。
【0017】
架橋性組成物は、一般的には、周囲温度(25℃)で固体であり、また一般に、早期架橋を引き起こさずに、加熱時に軟化もしくは融解することができる熱可塑性組成物である。架橋性組成物は、熱、化学線もしくは電子線照射によって活性化されると架橋できるものであってよい。架橋性組成物は、エポキシ系組成物であってよいが、他の架橋性組成物も排除されない。本発明に関する特定の実施形態では、架橋性組成物は、例えば、後述するような熱硬化性組成物などの架橋性接着剤組成物を含む。
【0018】
補強パッドの接着層は、一般に、不織繊維ウェブの繊維が関与するが、特定の実施形態では、例えば、架橋性組成物の中間層が存在してもよい。一般に、接着層は、基材との良好な接着を提供する能力に悪影響を与えるかもしれないので、その厚さに沿って、不織繊維組成物の繊維に完全に侵入または埋没すべきではない。特定の実施形態によれば、不織繊維ウェブの繊維に侵入していない部分の接着層の厚さは、0〜95%、例えば20〜60%である。
【0019】
補強パッドの接着層は、感圧接着剤、並びに架橋性接着剤および熱活性化可能接着剤もしくはホットメルト接着剤を包含する活性化可能接着剤を含んでよい。更に、接着層は、感圧接着剤と活性化可能接着剤との混合物を含んでよく、または感圧接着剤特性を有する活性化可能接着剤も同様に使用することができる。本発明に関する特定の実施形態では、接着層は、感圧接着剤と活性化可能接着剤組成物との別個の領域を含んでよい。これらの領域は、一般に、それらを合わせて接着剤表面を画定するように配置されるべきである。
【0020】
「活性化可能接着剤組成物」という用語は、本発明との関連で使用される場合、接着、特に恒久的な接着を形成するために活性化を必要とする接着剤を指す。「活性化」とは、接着剤組成物を熱に曝すかまたは、例えばUV、可視光線、または電子線を照射して結合を形成させることを表す。一実施形態では、ASTM D−1002−94に準拠して測定される少なくとも0.2MPa、例えば、少なくとも2MPa、典型的には、少なくとも6.9MPaの剪断強度を有する構造接着が形成され得る。構造接着は、好ましくは、ASTM D1876に定められている方法に従って試験した場合、少なくとも50N/25mm、より好ましくは少なくとも100N/25mmのT−剥離強度を有する。活性化可能接着剤組成物は、感圧接着特性を有していても、または有していなくてもよく、そして感圧接着特性は、存在する場合、恒久的な接着または構造接着を形成する際に用いられる典型的な活性化サイクルの間中、保持されなくてもよい。本発明の接着物品にも利用できる感圧接着特性を有する代表的な活性化可能接着剤組成物は、米国特許第5,086,088号およびPCT国際公開特許WO92/20754に開示されている。
【0021】
活性化すると、活性化可能接着剤組成物は、架橋または硬化してよい、すなわち、いわゆる熱硬化性接着剤、あるいはこの接着剤組成物は、融解されてもよく、それによって表面を濡れた状態にし、そして冷却すると接着が形成される。なお更に、活性化可能接着剤組成物は、以下に定義されるような、いわゆるハイブリッド材料から構成されてよい。
【0022】
「熱硬化性」という用語は、本明細書で使用するとき、硬化反応を受けると、接着時に化学変化をもたらして、材料の硬度が高まる材料を指す。「熱硬化性樹脂」という用語は、本明細書で使用するとき、硬化された熱硬化性材料を指す。熱硬化性材料は、一般に、熱、またはUV、可視光線、もしくは赤外線などの化学線、またはマイクロ波もしくはX線エネルギーを適用することによって接着され得る。
【0023】
「熱可塑性」という用語は、本明細書で使用するとき、熱を加えると物理変化を受ける材料を指し、すなわち、前記材料は、接着時には流動し、そして冷却すると、その最初の非流動状態に戻る。熱可塑性材料は、一般的に、熱を加えて接着される。
【0024】
「ハイブリッド材料」という用語は、少なくとも2つの構成成分の組合せである材料であって、その少なくとも2つの構成成分は溶融物相(溶融物相とは、その少なくとも2つの構成成分の組合せが1つの液体となっているものである)の中では相溶性があり、その少なくとも2つの構成成分が相互貫入ポリマーネットワークまたは半相互貫入ポリマーネットワークを形成しており、そして、熱を加えた後、あるいは光の適用などのその他の硬化手段を用いて、少なくとも1つの構成成分が不溶融性となる(すなわち、その構成成分が溶解または融解できない)材料を指す。ハイブリッド材料については、以下により詳細に説明する。ハイブリッド材料は、一般に、熱、またはUV、可視光線、もしくは赤外線などの化学線、またはマイクロ波もしくはX線エネルギーを適用することによって接着され得る。
【0025】
ハイブリッド材料は、本発明の目的では、本明細書で定義された熱硬化性材料および熱可塑性材料の分類と相容れない。換言すると、熱硬化性材料といずれかの任意の添加物類、または熱可塑性材料といずれかの任意の添加物類は、それらが本明細書で定義されるようなハイブリッド材料の定義を満たさなければ、非ハイブリッド材料であるとみなされる。
【0026】
本発明で使用するための代表的な活性化可能組成物は、米国公開特許US2002/0182955A1において接着剤組成物と呼ばれるもの、米国特許第6,057,382号の硬化性組成物類、または次に列挙するものである。
【0027】
好適な熱硬化性材料としては、エポキシド類、ウレタン類、シアナートエステル類、ビスマレイミド類、ニトリルフェノール樹脂類を包含するフェノール樹脂類、およびこれらの組合せが挙げられる。
【0028】
好適なエポキシド類には、少なくとも2つの1,2−環状エーテル類を含有するものが包含される。このような化合物類は、飽和でも不飽和でもよく、脂肪族でも芳香族でも複素環式でもよく、あるいはこれらの組合せであってもよい。好適なエポキシド類は、室温で固体または液体であってよい。
【0029】
少なくとも2つのエポキシド基を含有する化合物類(すなわち、ポリエポキシド)が好ましい。エポキシド化合物類の組合せを用いてもよく、また官能基数が2未満のエポキシドを組合せて使用してもよいが、ただし、その混合物の総エポキシド官能基数は少なくとも2である。ポリマー性のエポキシド類としては、末端エポキシ基を有する直鎖状のポリマー類(例えば、ポリオキシアルキレングリコールのジグリシジルエーテル)、骨格にオキシラン単位を有するポリマー類(例えば、ポリブタジエンポリエポキシド)、およびペンダントになったエポキシ基を有するポリマー類(例えば、グリシジルメタクリレートポリマーまたはコポリマー)などが挙げられる。エポキシド官能基に加えて、エポキシド官能基とは本質的に非反応性の官能基を有する材料、例えば、エポキシド官能性とアクリル官能性の両方を含有する材料を使用することも、本発明の範疇にある。
【0030】
多種多様のエポキシド類が市販されており、そしてリー(Lee)およびネビル(Neville)著の「エポキシ樹脂類ハンドブック」(Handbook of Epoxy Resins)、マグローヒル・ブック・カンパニー(McGraw Hill Book Company)、ニューヨーク(1967年)、およびP.F.ブリンズ(P. F. Bruins)著の「エポキシ樹脂技術」(Epoxy Resin Technology)、ジョン・ワイリー・アンド・サンズ(John Wiley & Sons)、ニューヨーク(1968年)、並びにC.A.メイ(C. A. May)編「エポキシ樹脂:化学および技術(Epoxy Resins: Chemistry and Technology)、第2版」、マーセル・デッカー社(Marcel Dekker, Inc.)、ニューヨーク(1988年)に列挙されている。本発明で使用できる芳香族ポリエポキシド類(すなわち、少なくとも1つの芳香環構造(例えば、ベンゼン環)と少なくとも2つのエポキシド基を含有する化合物)としては、多価フェノール類のポリグリシジルエーテル類、例えば、ビスフェノールA型またはビスフェノールF型の樹脂類およびこれらの誘導体類、芳香族ポリグリシジルアミン類、例えば、ベンゼンアミン類、ベンゼンジアミン類、ナフチレンアミン類またはナフチレンジアミン類のポリグリシジルアミン類、フェノールホルムアルデヒドレゾールのポリグリシジルエーテル類またはノボラック樹脂類;レゾルシノールグリシジルエーテル;フルオレン系樹脂類のポリグリシジル誘導体類;および芳香族カルボン酸類のグリシジルエステル類、例えば、フタル酸ジグリシジルエステル、イソフタル酸ジグリシジルエステル、トリメリット酸トリグリシジルエステル、およびピロメリット酸テトラグリシジルエステル、並びにこれらの混合物が挙げられる。好ましい芳香族ポリエポキシド類は、多価フェノール類のポリグリシジルエーテル類であって、例えば、テキサス州ヒューストン(Houston)のシェル・ケミカル社(Shell Chemical Inc.)から、例えば、商品名「イーポン828(EPON 828)」および「イーポン1001F(EPON 1001 F)」として市販されている一連のビスフェノールAのジグリシジルエーテル類、並びにシェル・ケミカル社から市販されている一連のビスフェノールAおよびビスフェノールFのジグリシジルエーテル類およびこれらのブレンド、例えば、オランダ国パーニス(Pernis)のシェル・ケミカル社から商品名「エピコート232(Epikote 232)」および「エピコート1001(Epikote 1001)」として市販されているものである。他の有用な市販されている芳香族エポキシド類としては、ミシガン州ミッドランド(Midland)のダウ・ケミカル(Dow Chemical)から入手可能なビスフェノールエポキシド類の「DER」シリーズ、およびエポキシノボラック樹脂類の「DEN」シリーズ、テキサス州ヒューストン(Houston)のシェル・ケミカル社(Shell Chemical Inc.)から商品名「イーポンHPT樹脂1079(EPON HPT Resin 1079)」として入手可能なフルオレンビスフェノールのジグリシジルエーテル、ニューヨーク州ブリュースター(Brewster)のチバ・パフォーマンス・ポリマーズ(Ciba Performance Polymers)から商品名「MY0500」として市販されているp−アミノフェノールのトリグリシジル誘導体、ニューヨーク州ブリュースターのチバ・パフォーマンス・ポリマーズから商品名「MY720」として市販されているメチレンジアニリンのテトラグリシジル誘導体が挙げられる。難燃性エポキシド類、例えば、ミシガン州ミッドランド(Midland)のダウ・ケミカル(Dow Chemical)から商品名「DER580」として市販されている難燃性臭素化ビスフェノールAジグリシジルエーテルを使用してもよい。用語「誘導体」とは、熱硬化性材料に関して本明細書で使用するとき、基本分子の熱硬化結合形成を妨げない、付加的な置換基を有する基本分子を指す。
【0031】
本発明において有用な、代表的な脂環式ポリエポキシド類(すなわち、脂環式化合物類としても既知の、1つ以上の飽和炭素環と、少なくとも2つのエポキシド基とを含有する環状化合物類)としては、コネチカット州ダンベリー(Danbury)のユニオン・カーバイド社(Union Carbide Corp.)から商品名「ERL」として市販されている一連の脂環式エポキシド類、例えば、ビニルシクロヘキセンジオキシド(「ERL−4206」)、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート(「ERL−4221」)、3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキサンカルボキシレート(「ERL−4201」)、ビス(3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル)アジペート(「ERL−4289」)、およびジペンテンジオキシド(「ERL−4269」)が挙げられる。
【0032】
代表的な脂肪族ポリエポキシド類(すなわち、炭素環を含有せず、そして少なくとも2つのエポキシド基を含有する化合物類)としては、1,4−ビス(2,3−エポキシプロポキシ)ブタン、例えば、グリセロール、ポリプロピレングリコール、1,4−ブタンジオールなどの脂肪族ポリオール類のポリグリシジルエーテル類、リノール酸二量体のジグリシジルエステル、エポキシド化ポリブタジエン(例えば、ペンシルバニア州フィラデルフィア(Philadelphia)のFMC社(FMC Corp.)から商品名「オキシロン2001(OXIRON 2001)」)として入手可能なもの、またはペンシルバニア州フィラデルフィアのElfアトケム(Elf Atochem)から「ポリbd(Poly bd)」として入手可能なもの)、エポキシド化脂肪族ポリウレタン類、およびエポキシシリコーン類(例えば、脂環式エポキシドまたはグリシジルエーテル基を有するジメチルシロキサン類)が挙げられる。
【0033】
フィルムの形態で市販されている好適なエポキシド系接着層の例としては、次の「AF」表記を有するもの:「AF42」、「AF111」、「AF126−2」、「AF163−2」、「AF3109−2」、「AF191」、「AF2635」、「AF3002」、「AF3024」および「AF3030FST」を包含する、ミネソタ州セント・ポール(St. Paul)のミネソタ・マイニング・アンド・マニュファクチャリング・カンパニー(Minnesota Mining and Manufacturing Company(「3M」))から商品名「3Mスコッチ−ウェルド構造接着フィルム(3M Scotch-Weld Structural Adhesive Film)」として入手可能なものが挙げられる。
【0034】
一実施形態では、熱硬化性の活性化可能接着剤は、室温では固体の、融解可能なエポキシドプレポリマー(Bステージ樹脂とは異なって、融解できおよび流動可能なもの)を含み、そしてより好ましくは、室温で固体または液体であり得る第2のエポキシド構成成分を更に含む。固体で融解可能な好適なエポキシドプレポリマー類には、室温で固体である上述のものが包含される。
【0035】
代表的な活性化可能接着剤組成物は、ビスフェノールAのジグリシジルエーテルを単独で、またはそれとビスフェノールAもしくはビスフェノールFのジグリシジルエーテルまたはこれらのブレンドとを組合せて含む、固体で融解可能なエポキシドプレポリマーを含んでよい。活性化可能接着剤組成物は、いずれかの任意の構成成分、より好ましくは、(単一または複数のエポキシドを含む)エポキシド材料は室温で固体である構成成分の添加後に、室温で固体である。
【0036】
本明細書において使用するとき、「ウレタン材料」という用語は、少なくとも2つのイソシアナート基(−N=C=O)を含有する化合物(本明細書では「イソシアナート類」と呼ぶ)と、少なくとも2つの活性水素含有基を含有する化合物との反応生成物から製造されるポリマー類に用いる。活性水素含有基の例としては、第一級アルコール類、第二級アルコール類、フェノール類および水、並びに第一級および第二級アミン類(イソシアナートと反応して尿素結合を形成するもの)が挙げられる。広範なイソシアナートを末端に有する材料類および適当な共反応剤(co-reactants)類が周知であり、そして多くのものが市販されている(例えば、ギュンター・アーテル(Gunter Oertel)「ポリウレタン・ハンドブック(Polyurethane Handbook)」、ハンザー・パブリッシャーズ(Hanser Publishers)、ミュンヘン(Munich)(1985年)を参照のこと)。
【0037】
ウレタン材料をベースとする貯蔵安定性のある組成物を調製するために、ブロック化したイソシアナートかまたはブロック化した活性水素含有化合物のどちらかを使用することが好ましい。本明細書において使用するとき、「ブロック化した」という用語は、例えば、加熱することによってまたは水などと更に反応させることによってブロック化基がはずされるときまでその反応性官能基が利用できないように、第2の化合物(すなわち「ブロック化基」)と反応させた化合物を指す。ブロック化したイソシアナートの例としては、フェノール、メチルエチルケトキシム、およびε−カプロラクタムと共反応させたものが挙げられる。ブロック化した活性水素含有化合物類の例としては、アルデヒドまたはケトンでブロック化したアミン類(ケチミン類として既知である)、アルデヒドでブロック化したアミノアルコール(オキサゾリジン類として既知である)、および塩化ナトリウムのような塩で錯体化されたアミン類が挙げられる。
【0038】
ブロック化したイソシアナートを使用する場合、好適な共反応剤類の例としては、ポリ(オキシプロピレン)グリコール類、エチレンオキシドでキャップ(capped)したポリ(オキシプロピレン)グリコール類、およびポリ(オキシテトラメチレン)グリコール類などのポリエーテルポリオール類;ジアミノポリ(オキシプロピレン)グリコール類;芳香族アミン末端ポリ(プロピレンエーテル)グリコール類;スチレン−アクリロニトリルグラフトポリオール類;ポリ(オキシエチレン)ポリオール類;ポリグリコールアジペート類、ポリエチレンテレフタレートポリオール類、およびポリカプロラクトンポリオール類などのポリエステルポリオール類;ポリブタジエンポリオール類、水素化ポリブタジエンポリオール類、ポリチオエーテルポリオール類、シリコーンカルビノールポリオール類、ポリブチレンオキシドポリオール類、アクリル性ポリオール類、カルボキシ官能性ポリプロピレンオキシドポリオール類、カルボキシ官能性ポリエステルポリオール類;並びに芳香族アミン末端ポリ(テトラヒドロフラン)が挙げられる。好適なウレタン樹脂としては、日本国東京(Tokyo)の旭電化工業株式会社(Asahi Denka Kogyo K. K.)から商品名「アデカ樹脂QR−9276(Adeka Resin QR-9276)」として入手可能なものなどの、ブロック化したウレタン類、およびドイツ国ドゥイスブルグ(Duisburg)のラトガーズ・ベークライト社(Rutgers Bakelite GmbH)から商品名「ルタポックスVE2306(Rutapox VE 2306)」として入手可能なものなどのウレタン変性エポキシド類が挙げられる。
【0039】
好適なシアナートエステル材料(モノマー類およびオリゴマー類)は、2つ以上の−OCN官能基を有するものであって、米国特許第5,143,785号に記載されているものを包含し、この特許を参照として本明細書に組み込む。好適なシアナートエステル化合物類の例には、次のものが挙げられる:1,3−および1,4−ジシアナトベンゼン;2−tert−ブチル−1,4−ジシアナトベンゼン;2,4−ジメチル−1,3−ジシアナトベンゼン;2,5−ジ−tert−ブチル−1,4−ジシアナトベンゼン;テトラメチル−1,4−ジシアナトベンゼン、4−クロロ−1,3−ジシアナトベンゼン;1,3,5−トリシアナトベンゼン;2,2−または4,4−ジシアナトビフェニル;3,3’,5,5’−テトラメチル−4,4’−ジシアナトビフェニル;1,3−、1,4−、1,5−、1,6−、1,8−、2,6−、または2,7−ジシアナトナフタレン;1,3,6−トリシアナトナフタレン;ビス(4−シアナトフェニル)メタン;ビス(3−クロロ−4−シアナトフェニル)メタン;ビス(3,5−ジメチル−4−シアナトフェニル)メタン;1,1−ビス(4−シアナトフェニル)エタン;2,2−ビス(4−シアナトフェニル)プロパン;2,2−ビス(3,5−ジブロモ−4−シアナトフェニル)プロパン;2,2−ビス(4−シアナトフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン;ビス(4−シアナトフェニル)エーテル;ビス(4−シアナトフェノキシフェノキシ)ベンゼン;ビス(4−シアナトフェニル)ケトン;ビス(4−シアナトフェニル)チオエーテル;ビス(4−シアナトフェニル)スルホン;トリス(4−シアナトフェニル)ホスファイト;およびトリス(4−シアナトフェニル)ホスフェート。フェノール−ホルムアルデヒド予備縮合物をハロゲン化シアニドと反応させて得られる、ポリシアナート化合物類もまた適している。
【0040】
その他の好適な材料としては、米国特許第3,962,184号に記載されているようなフェノール樹脂類由来のシアン酸エステル類、米国特許第4,022,755号に記載されているようなノボラック樹脂由来のシアナート化ノボラック樹脂類、米国特許第4,026,913号に記載されているようなビスフェノール系ポリカーボネートオリゴマー類由来のシアナート化ビスフェノール系ポリカーボネートオリゴマー類、米国特許第3,595,900号に記載されているようなシアナト末端ポリアリーレンエーテル類、米国特許第4,740,584号に記載されているようなオルト水素原子を持たないジシアナートエステル類、米国特許第4,709,008号に記載されているようなジ−およびトリ−シアナートの混合物、米国特許第4,528,366号に記載されているような多環式脂肪族類を含有するポリ芳香族シアナート類、米国特許第3,733,349号に記載されているようなフルオロカーボンシアナート類、および米国特許第4,195,132号および同第4,116,946号に記載されているようなその他のシアナート組成物が挙げられ、これら特許の全てを参照として本明細書に組み込む。代表的な市販材料は、ニューヨーク州ブリュースター(Brewster)のチバ・パフォーマンス・ポリマーズ(Ciba Performance Polymers)から商品名「クォトレックス7187(Quatrex 7187)」として入手可能なシアナートエステルである。
【0041】
好適なフェノール樹脂類は、一般に、高分子科学技術百科事典(Encyclopedia of Polymer Science and Engineering)、第11巻、ジョン・ワイリー・アンド・サンズ社(John Wiley & Sons, Inc.)(ニューヨーク、1988年)、45〜92頁に記載されている。フェノールベースの樹脂類は、一般に、アルポンサス V.ポーシャス(Alphonsus V. Pocius)の接着および接着剤技術:序論(Adhesion and Adhesives Technology: An Introduction)、ハンサー・パブリッシャーズ(Hanser Publishers)(ニューヨーク、1997年)、185〜188頁に記載されている。ベニヤ合板からのホットプレス積層製品類の調製に適したシートに含浸させるために使用できる好ましいフェノール樹脂類は、米国特許第1,960,176号に記載されており、この特許を参照として本明細書に組み込む。好適なフェノール材料は、フェノール類とホルムアルデヒド類との反応生成物として製造されるものであって、レゾールフェノール樹脂類およびノボラックフェノール樹脂類が挙げられる。フェノール類の例としては、フェノール、レゾルシノール、パラ−置換フェノール、クレゾール、およびビスフェノールAとビスフェノールAのモノグリシジルエーテルとの反応生成物が挙げられる。代表的なフェノール樹脂ベースの接着層としては、ノースカロライナ州ハイ・ポイント(High Point)のダイノ・オーバーレイズ社(Dyno Overlays Inc.)から商品名「フェノール接着剤フィルム(Phenolic Glue Film)」として市販されている、熱硬化性フェノール樹脂をティッシュペーパー1部に対して樹脂約2部の比率で含浸させたティッシュペーパーが挙げられる。
【0042】
レゾールフェノール樹脂類は、アルカリ触媒作用されることと、ホルムアルデヒドとフェノールとのモル比が1:1以上であることを特徴とする。一般的に、ホルムアルデヒドとフェノールとの比率は、約1:1〜約3:1の範囲内である。レゾールフェノール樹脂の調製に好適なアルカリ触媒の例としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、有機アミン類、または炭酸ナトリウムが挙げられる。
【0043】
ノボラックフェノール樹脂類は、酸触媒作用されることと、ホルムアルデヒドとフェノールとのモル比が1:1未満であることを特徴とする。一般的に、ホルムアルデヒドとフェノールとの比率は、約0.4:1〜約0.9:1の範囲内である。ノボラックフェノール樹脂類を調製するために用いられる酸触媒の例としては、硫酸、塩酸、リン酸、シュウ酸、またはp−トルエンスルホン酸が挙げられる。ノボラックフェノール樹脂類は、一般的に、熱硬化性樹脂類よりもむしろ熱可塑性樹脂類と考えられているが、それらは、他の化学材料(例えば、ヘキサメチレンテトラアミン)と反応して熱硬化性樹脂を形成することができる。有用な市販のレゾールフェノール樹脂またはノボラックフェノール樹脂の例としては、イリノイ州ブルー・アイランド(Blue Island)のBTLスペシャルティ・レジンズ社(BTL Specialty Resins Corporation)製の「バーカム(Varcum)」;オハイオ州コロンバス(Columbus)のアッシュランド・ケミカル・カンパニー(Ashland Chemical Company)製の「アロフェン(Arofene)」;コネチカット州ダンベリー(Danbury)のユニオン・カーバイド(Union Carbide)製の「ベークライト(Bakelite)」;およびミズーリ州セント・ルイス(St. Louis)のモンサント・ケミカル・カンパニー(Monsanto Chemical Company)製の「レジノックス(Resinox)」が挙げられる。好適なニトリルフェノリック材料としては、ブタジエン−ニトリルエラストマー類をノボラックフェノール樹脂ベースの材料中に包含させることによって製造されるものが挙げられる。フィルムの形態で市販されている好適なニトリルフェノリックベース接着層の例としては、ミネソタ州セント・ポール(St. Paul)のミネソタ・マイニング・アンド・マニュファクチャリング・カンパニー(Minnesota Mining and Manufacturing Company、「3M」)から、商品名「3Mスコッチ・ウェルド構造接着剤フィルム(3M Scotch-Weld Structural Adhesive Film)」として市販されており、および次の「AF」表記:「AF10」、「AF30」、「AF31」および「AF32」を有するものが挙げられる。
【0044】
N,N'ビスマレイミドモノマー類およびプレポリマー類としても既知の、好適なビスマレイミド材料の例としては、1,2−エタンジアミン、1,6−ヘキサンジアミン、トリメチル−1,6−ヘキサンジアミン、1,4−ベンゼンジアミン、4,4’−メチレン−ビス(ベンゼンアミン)、2−メチル−1,4−ベンゼンジアミン、3,3’−メチレン−ビス(ベンゼンアミン)、3,3’−スルホニル−ビス(ベンゼンアミン)、4,4’−スルホニル−ビス(ベンゼンアミン)、3,3’−オキシ−ビス(ベンゼンアミン)、4,4’−オキシ−ビス(ベンゼンアミン)、4,4’−メチレン−ビス(シクロヘキサンアミン)、1,3−ベンゼンジメタンアミン、1,4−ベンゼンジメタンアミン、および4,4’−シクロヘキサン−ビス(ベンゼンアミン)のN,N’−ビスマレイミド類、並びにそれらの混合物が挙げられ;その他のN,N’−ビス−マレイミド類およびそれらの調製方法は、米国特許第3,562,223号、米国特許第3,627,780号、米国特許第3,839,358号、および米国特許第4,468,497号に記載されており、これら特許のすべてを本明細書に参照として組み込む。市販されているビスマレイミド材料の代表例としては、4,4’−ビスマレイミドジフェニルメタン(「コンプイミド樹脂MDAB(COMPIMIDE Resin MDAB)」)、および2,4−ビスマレイミドトルエン(「コンプイミド樹脂TDAB(COMPIMIDE Resin TDAB)」)などの、テキサス州ヒューストン(Houston)のシェル・ケミカル(Shell Chemical)から商品名「コンプイミド(COMPIMIDE)」として入手可能な一連の材料、並びにカリフォルニア州サンディエゴ(San Diego)のデクスター/クオンタム(Dexter/Quantum)から商品名「Q−ボンド(Q-Bond)」として入手可能な一連の材料が挙げられる。
【0045】
熱硬化性組成物は、一般的に、熱硬化性材料と1種もしくはそれ以上の硬化剤を含む。「硬化剤」という用語は、従来から硬化剤とみなされている材料だけではなく、硬化性材料の反応に触媒作用や促進作用を持つ材料、さらには硬化剤と触媒または促進剤の両方の働きをし得る材料を包含するように、広い意味で使用される。2つ以上の硬化剤を組合せて使用することも可能である。
【0046】
本発明で使用するのに好ましい熱活性化硬化剤は、潜在的な熱反応性を示す。すなわち、それらは、主としてより高い温度で(好ましくは、少なくとも80℃の温度で)反応するか、あるいは化学線への暴露などの活性化工程の後でのみ、より低い温度で反応する。これにより、室温(約23±3℃)で、または硬化剤を活性化させずに穏やかな加温により(すなわち、硬化剤の反応温度未満の温度で)、接着剤組成物を容易に混合および塗布することが可能である。どの硬化剤が各分類の熱硬化性材料に適しているかは、当業者が容易に理解するところであろう。
【0047】
エポキシドの重合に適した硬化剤としては、多塩基酸類とそれらの酸無水物類;窒素含有硬化剤類;アルミニウム、ホウ素、アンチモンおよびチタンのクロロ−、ブロモ−およびフルオロ−含有ルイス酸類;光化学的に活性化したプロトン酸またはルイス酸発生剤;並びに上述のようなフェノール樹脂材料が挙げられる。代表的な多塩基酸類およびそれらの酸無水物類としては、ジ−、トリ−、および更に高次のカルボン酸類、例えば、シュウ酸、フタル酸、テレフタル酸、コハク酸、アルキル置換コハク酸類、酒石酸、無水フタル酸、無水コハク酸、無水リンゴ酸、無水ナド酸、無水ピロメリット酸;並びに重合した酸類、例えば、ドデセン二酸、10,12−エイコサジエン二酸などのように少なくとも10個の炭素原子を含有するものが挙げられる。
【0048】
窒素含有硬化剤類としては、例えば、ジシアンジアミド、イミダゾール類(例えば、ヘキサキス(イミダゾール)ニッケルフタレート)、イミダゾレート類、ジヒドラジド類(例えば、アジピン酸ジヒドラジドおよびイソフタル酸ジヒドラジド)、尿素類、およびメラミン類、並びにカプセル化脂肪族アミン類(例えば、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラアミン、シクロヘキシルアミン、トリエタノールアミン、ピペリジン、テトラメチルピペラミン、N,N−ジブチル−1,3−プロパンジアミン、N,N−ジエチル−1,3−プロパンジアミン、1,2−ジアミノ−2−メチル−プロパン、2,3−ジアミノ−2−メチル−ブタン、2,3−ジアミノ−2−メチル−ペンタン、2,4−ジアミノ−2,6−ジメチル−オクタン、ジブチルアミン、およびジオクチルアミン)が挙げられる。本明細書において使用するとき、「カプセル化」という用語は、そのアミンが、熱を加えるまでアミンが硬化剤として作用するのを防止する材料で囲まれていることを意味する。重合体に結合したアミン類またはイミダゾール類を使用してもよい。ピリジン、ベンジルアミン、ベンジルジメチルアミンおよびジエチルアニリンもまた、熱活性化される硬化剤として有用である。
【0049】
窒素含有硬化剤類の例としては、ペンシルバニア州アレンタウン(Allentown)のエアー・プロダクツ(Air Products)から商品名「アミキュアCG−1200(Amicure CG-1200)」、「アミキュアCG−1400(AMICURE CG-1400)」、「アンカミン2337(Ancamine 2337)」、「アンカミン2441(Ancamine 2441)」、「アンカミン2014(Ancamine 2014)」として市販されているもの;および日本国東京の旭電化工業株式会社(Asahi Denka Kogyo K. K.)から商品名「アンカミン4338S(Ancamine 4338S)」および「アンカミン4339S(Ancamine 4339S)」として市販されているもの;ニュージャージー州メープルシェード(Mapleshade)の「CVCスペシャルティ・ケミカルズ(CVC Specialty Chemicals)」から商品名「オミキュアU−52(Omicure U-52)」および「オミキュアU−410(Omicure U-410)」として市販されているもの、並びに「オミキュア(Omicure)」シリーズの他の材料;カリフォルニア州メンロ・パーク(Menlo Park)のランデック(Landec)から商品名「インテリマー7001(Intellimer 7001)」、「インテリマー7002(Intellimer 7002)」、「インテリマー7004(Intellimer 7004)」、および「インテリマー7024(Intellimer 7024)」として市販されているもの;日本国の四国ファイン・ケミカルズ(Shikoku Fine Chemicals)製のもの、およびエアー・プロダクツから商品名「キュアゾル(Curezol)」という一連の材料として市販されているもの;ニュージャージー州ティーネック(Teaneck)のアジノモト・カンパニー(Ajinomoto Company Inc)から商品名「アジキュア(Ajicure)」という一連の材料として市販されているものが挙げられる。
【0050】
代表的なアルミニウム、ホウ素、アンチモンおよびチタンのクロロ−、ブロモ−およびフルオロ−含有ルイス酸類としては、三塩化アルミニウム、三臭化アルミニウム、三フッ化ホウ素、五フッ化アンチモン、四フッ化チタンなどが挙げられる。好ましくは、これらルイス酸類は、熱硬化性材料の潜在性を高めるためにブロック化されてもよい。代表的なブロック化ルイス酸類としては、BF−モノエチルアミン、および米国特許第4,503,211号に記載されているようなHSbFXの付加物(前記式中、Xは、ハロゲン、−OH、または−ORであり、ここで、Rは、脂肪族アルコール残基もしくは芳香族アルコール残基、アニリン、またはこれらの誘導体である)が挙げられ、前記特許を本明細書に参照として組み込む。
【0051】
エポキシドの重合のために光化学的に活性化される好適な硬化剤としては、重合を触媒作用する酸を発生するカチオン性光触媒が挙げられる。用語「酸」は、プロトン酸またはルイス酸のいずれかを包含することができると解されるべきである。これらのカチオン性光触媒類には、オニウムカチオンを有するメタロセン塩や、金属または半金属のハロゲン含有錯体アニオンが包含される。その他の有用なカチオン性光触媒類としては、有機金属錯体カチオンを有するメタロセン塩、及び金属または半金属のハロゲン含有錯体アニオンが挙げられ、これらは、米国特許第4,751,138号(例えば、第6列65行〜第9列45行)に更に記載されている。有用な光触媒類の他の例としては、有機金属塩類およびオニウム塩類、例えば、米国特許第4,985,340号(例えば、第4列65行〜第14列50行)、並びに欧州特許出願番号306,161および欧州特許出願番号306,162に記載されているものが挙げられる。更に他のカチオン性光触媒類としては、欧州特許出願番号109,581に記載されている有機金属錯体のイオン性塩が挙げられ、ここで、前記金属は、周期律表第IVB族、V13族、VIB族、V1113族、およびVIIIB族から選択される。好適な光化学的に活性化される硬化剤は、ニューヨーク州ホーソン(Hawthorne)のチバ・ガイギー(Ciba-Geigy)から商品名「イルガキュア261(Irgacure 261)」として市販されている硬化剤である。
【0052】
ウレタン材料に好適な硬化剤類としては、エポキシド類と併せて使用することについて記載されているような窒素含有硬化剤類(脱ブロック化反応後にブロック化イソシアナート基と反応して尿素を与えることができるもの)、並びに、例えば、ヒドロキシル基含有材料(例えば、フェノール類)または脱ブロック化イソシアナートと反応することができるチオール官能基含有材料が挙げられる。光化学的に活性化されるプロトン酸またはルイス酸発生剤を使用して、これらの反応を増強することもできる。
【0053】
シアナートエステル材料類に好適な硬化剤類としては、エポキシドと併せて使用することについて記載されているような窒素含有硬化剤類、並びに熱活性化または光化学的に活性化し得る硬化剤類が挙げられる。そのような硬化剤類の例としては、シクロペンタジエニル基(C)およびシクロペンタジエニル基の誘導体類を含有する有機金属化合物類が挙げられる。好適な硬化剤類としては、シクロペンタジエニル鉄ジカルボニルダイマー([CFe(CO))、ペンタメチルシクロペンタジエニル鉄ジカルボニルダイマー([C(CHFe(CO))、メチルシクロペンタジエニルマンガントリカルボニル(C(CH)Mn(CO))、シクロペンタジエニルマンガントリカルボニル(CMn(CO))が挙げられるが、これらはすべて、マサチューセッツ州ニューベリーポート(Newburyport)のストリーム・ケミカル・カンパニー(Strem Chemical Company)から入手可能である。その他の好適な硬化剤類としては、シクロペンタジエニル鉄メシチレンカチオンのヘキサフルオロリン酸塩(C(メシチレン)FePF)、およびシクロペンタジエニル鉄メシチレンカチオンのトリフルオロメタンスルホン酸塩(C(メシチレン)Fe(CFSO))が挙げられ、これらは共に米国特許第4,868,288号に記載されている方法で調製することができ、前記特許を本明細書に参照として組み込む。
【0054】
フェノール材料類およびニトリルフェノール材料類に好適な硬化剤類としては、ヘキサメチレンテトラミン(ホルムアルデヒドの潜在的な供給源)、並びに有機酸類(例えば、リン酸、パラトルエンスルホン酸、およびサリチル酸)と金属酸化物類(例えば、酸化亜鉛および酸化マグネシウム)との組合せが挙げられる。
【0055】
ビスマレイミド材料に好適な硬化剤類としては、エポキシドと併せて使用することについて記載したような窒素含有硬化剤類、並びにアリルフェノールの潜在的な供給源が挙げられる。
【0056】
代替の実施形態では、活性化可能接着剤組成物は、熱可塑性材料をベースとしてもよい。好適な熱可塑性材料類としては、例えば、ポリエステル類、エチレン酢酸ビニル(EVA)、ポリウレタン類、ポリアミド類、ポリオレフィン類、およびこれらの誘導体類が挙げられる。熱可塑性材料類に関して本明細書において使用するとき、「誘導体」という用語は、架橋または重合反応に対して反応性を有しない付加的な置換基を有する基本分子を指す。熱可塑性材料類は、本来、一般的には硬化剤類を必要としない。
【0057】
ハイブリッド材料とは、活性化可能接着剤組成物の更なる実施形態として、少なくとも2つの構成成分の組合せであって、この場合、その少なくとも2つの構成成分は溶融物相(溶融物相とは、その少なくとも2つの構成成分の組合せが1つの液体となっているものである)の中では相溶性を有し、その少なくとも2つの構成成分が相互貫入ポリマーネットワークまたは半相互貫入ポリマーネットワークを形成しており、そして熱を加えた後、または光を当てるなどのその他の硬化手段によって、少なくとも1つの構成成分が不溶融性となる(すなわち、その構成成分が溶解または融解できない)ものである。第1構成成分は、架橋性材料であり、第2構成成分は、(a)熱可塑性材料、(b)熱可塑性材料を形成することができるモノマー類、オリゴマー類、またはポリマー類(および任意の必須硬化剤)(c)熱硬化性材料、すなわち熱硬化性材料を形成することができるモノマー類、オリゴマー類、またはプレポリマー類(および任意の必須硬化剤)である。第2構成成分は、第1構成成分と反応しないように選択される。ただし、例えば、接着したハイブリッド材料の凝集力を上げる目的で、架橋性材料と第2構成成分のうちいずれかまたは両方と反応し得る第3構成成分を添加することが望ましい場合もある。
【0058】
好適な第1構成成分類としては、熱硬化性材料類、例えば、前述の熱硬化性材料類、並びに前述のようなアクリル樹脂およびウレタン類などの架橋性エラストマー類が挙げられる。
【0059】
好適な熱可塑性第2構成成分類には、前述の熱可塑性材料類が包含される。その場で、すなわち、あらゆる有効な架橋反応を行わずに熱可塑性材料を形成することができる、モノマー類、オリゴマー類、またはポリマー類(および任意の必須硬化剤)から形成することが可能な好適な熱可塑性樹脂類は、当業者に容易に理解されよう。第2構成成分(a)を含む代表的なハイブリッド材料は、例えば、PCT国際特許出願EP98/06323;米国特許第5,709,948号、および米国特許出願第09/070,971に記載されており、これら特許および特許出願の全てを参照として本明細書に組み込む。第2構成成分(b)を組み込んだ代表的なハイブリッド材料は、米国特許第5,086,088号に記載されており、この特許を参照として本明細書に組み込む。米国特許第5,086,088号の実施例1には、その場で形成された熱可塑性材料の一例が例示されている。
【0060】
好適な熱硬化性第2構成成分には、前述の熱硬化性材料が包含される。第2構成成分(c)を組み込んだ代表的なハイブリッド材料は、例えば、米国特許第5,494,981号に記載されており、この特許を参照として本明細書に組み込む。
【0061】
特に好ましい活性化可能接着剤組成物は、米国特許第6,506,494号に開示されているようなエポキシ系組成物である。従って、この実施形態では、活性化可能接着剤組成物は、次のものを含む:
【0062】
A)活性化した潜在的な硬化剤系に触れさせると硬化して硬化エポキシ樹脂となり得る、エポキシ樹脂;
【0063】
B)前記エポキシ樹脂を硬化するのに十分な量の潜在的な硬化剤システムであって、(a)ジシアンジアミドおよびその誘導体類から選択され、熱可塑性高分子材料から構成されたカプセル壁を有する周囲温度で安定な複数の不浸透性マイクロカプセル内に実質的にコアとして含有される潜在的な硬化剤(hardener)を含む、少なくとも1つのエポキシ樹脂混和性第1硬化剤と、(b)金属イミダゾール化合物である潜在的な促進剤を含む、少なくとも1つのエポキシ樹脂潜在的第2硬化剤とを含むもの。金属イミダゾールは、次の式の化合物であってよい:
【0064】
ML
【0065】
上式中、Mは、Ag(I)、Cu(I)、Cu(II)、Cd(II)、Zn(II)、Hg(II)、Ni(II)、およびCo(II)の群から選択される金属であり、Lは、次式のイミダゾレートである:
【0066】
【化1】

【0067】
上式中、R、RおよびRは、水素原子、炭素原子を典型的には1〜10個、好ましくは1〜6個有するアルキルラジカル、または炭素原子を典型的には6〜18個、好ましくは6〜12個有するアリールラジカルから選択される、そしてmはMの原子価である。金属イミダゾールは、活性化したときに硬化性エポキシ樹脂内に均一に混合された前記エポキシ樹脂を硬化するために十分な量であり、この場合、前記マイクロカプセル壁が第1硬化剤を第2硬化剤から隔離する。
【0068】
前述の代表的な活性化可能接着剤組成物は、補強パッドの接着層内で、単体で、または相溶性を有するそれらの代表的なもの2つ以上と組合せて使用してもよい。
【0069】
補強パッドは、接着層内に、代替物としてまたは付加的に感圧接着剤を有してよい。特定の実施形態では、感圧接着剤は、アクリル系感圧接着剤であるが、その他の感圧接着剤類も同様に考えられ、また使用されてもよい。このようなその他の感圧接着剤類としては、例えば、D.セイタス(D. Satas)の感圧接着剤技術ハンドブック(Handbook of Pressure Sensitive Adhesive Technology)(第3版)、米国ロードアイランド州ワーウィック(Warwick)のセイタス・アンド・アソシエーツ(Satas and Associates)編(1989年)の550〜556頁および423〜442頁にそれぞれ開示されているようなシリコーン系またはポリオレフィン系のものが挙げられる。
【0070】
好適な感圧接着剤の特別な例としては、ポリ(メタ)アクリレート;ポリビニルエーテル;天然ゴム、ポリイソプレン、およびポリブタジエンなどのジエンゴム;ポリイソブチレン;ポリクロロプレン;ブチルゴム;ブタジエン−アクリロニトリルポリマー;熱可塑性エラストマー;スチレン−イソプレンブロックコポリマー、およびスチレン−イソプレン−スチレン(SIS)ブロックコポリマー、エチレン−プロピレン−ジエンポリマー類、並びにスチレン−ブタジエンポリマー類などのブロックコポリマー類;ポリ−α−オレフィン;非結晶性ポリオレフィン;シリコーン;エチレン酢酸ビニル、エチレンアクリレート、およびエチルメタクリレートなどのエチレン含有コポリマー;ポリウレタン;ポリアミド;エポキシ;ポリビニルピロリドン、およびビニルピロリドンのコポリマー類;ポリエステル類;並びに前記の混合物またはブレンドの一般組成に基づく接着剤類が挙げられるが、これらに限定されない。感圧接着剤組成物は、これらに限定されないが、粘着付与剤類、可塑剤類、充填剤類、酸化防止剤類、安定剤類、顔料類、拡散材料類、硬化剤類、繊維類、長繊維類、および溶剤類を包含する、添加物類を含有してよい。
【0071】
表面エネルギーの低い基材類または油を塗ったような表面に予め接着するために使用され得る感圧接着剤類としては、例えば、欧州特許第1318181号に開示されているような、アクリル酸もしくはメタクリル酸のアルキルエステル類1つ以上とビニルエステルとのアクリルコポリマーをベースとする感圧接着剤類、あるいは(i)アクリル酸もしくはメタクリル酸のアルキルエステル類1つ以上と、ルイス塩基官能性を有する1つ以上の共重合可能なモノマー類と、任意に、1つ以上の架橋剤とを含む前駆体組成物から得られる反応生成物、および(ii)1つ以上の粘着付与樹脂類を含有する感圧接着剤組成物を開示している欧州特許第1245656号に開示されているような感圧接着剤が挙げられる。油を塗ったような表面への接着に特に有用な場合がある、更なる感圧接着剤は、PCT国際公開特許WO95/13331に開示されている。
【0072】
好適な市販の感圧接着剤類には、3M社(3M Company)から名称VHBとして市販されているものが挙げられる。
【0073】
補強パッドは、基材を補強するために使用されてよい。補強方法によれば、前記パッドは、補強が望まれる基材に適用して接着され、そしてこの接着と同時にまたは接着の後で、架橋性組成物が架橋を引き起こす。架橋性組成物の性質に依存して、このような架橋は、組成物が熱硬化性組成物であれば、加熱によって引き起こされてよく、あるいは組成物が光架橋性組成物または電子線硬化性組成物であれば、架橋性組成物に光または電子線を照射することによって引き起こされてもよい。一般には、熱硬化性組成物を使用する。典型的には、熱硬化性組成物の硬化または架橋は、補強パッドを50〜300℃の温度まで加熱することによって引き起こされる。前記補強の接着層が高温で適度な感圧接着特性を有しない場合、あるいは接着層が高温で適度な保持力を有する感圧接着剤を包含していない場合、架橋性組成物の硬化中に補強パッドを所定の位置に保持するためにクランプまたは同様の保持手段を供給する必要がある場合がある。
【0074】
本発明による一実施形態では、補強方法における補強用の基材は、例えば、金属製またはプラスチック製のパネル、特に乗り物(とりわけ、乗用車、トラック、もしくはバスなどの自動車)の車体外装パネルであってよい。しばしば、自動車の補強パネルに使用される補強パッドは、パネルを塗装する前にこのようなパネルに適用される、すなわちいわゆるホワイトボディに適用される。このようなパネルは、多くの場合、油を塗ったような表面を有し、そしてそのため、補強パッドの接着層において油を塗ったような表面に上手く接着する接着剤を利用するのが有利である場合がある。このような接着剤類の例については上述している。
【0075】
以下の実施例を用いて本発明を更に例示するが、本発明をそれら実施例に制限することを意図するものではない。
【実施例】
【0076】
略語
エポキシフィルム接着剤A
エポキシフィルム接着剤Aは、3M社(3M Company)(米国ミネソタ州セント・ポール(St. Paul))からSAF6045として市販されている構造接着剤であった。
【0077】
エポキシフィルム接着剤B
エポキシフィルム接着剤Bは、3M社(3M Company)(米国ミネソタ州セント・ポール(St. Paul))からSAF6068として市販されている構造接着剤であった。
【0078】
アクリル接着剤A
アクリル接着剤Aは、3M社(3M Company)(米国ミネソタ州セント・ポール(St. Paul))から9471FLとして市販されているアクリル転写テープである。
【0079】
繊維ウェブ
繊維ウェブはいずれも、15denポリエチレンテレフタレート(PET)短繊維と、ポリエチレンテレフタレート/ポリエチレンイソフタレートコポリマー(外側部分)とポリエチレンテレフタレートホモポリマー(内側部分)とから構成された、平均短繊維長が50mmの、ドイツ国タンゲルディング(Tangerding)から市販されている4.4den2成分繊維(BICO)とを用いて、縦交差ブリーツ加工技術(VCL)によって製造した。
【0080】
繊維ウェブを製造するために、短繊維80%と熱接着BICO繊維20%とから構成される繊維ブレンドの小さなバッチ類(100g)を手で混ぜた。次に、これらのバッチを、手で、単気筒カード(single cylinder card)に一定速度で供給した。続いて、カードウェブを横ブリーツ加工し、そして軽度にニードルパンチ加工してから、その長さに沿って半分に折り畳んだ。この供給ウェブを、第2の単気筒カードを供給するために用い、それによって、縦交差ブリーツ加工(VCL)に使用されるウェブが提供された。縦交差ブリーツ加工は、ウェブ厚15mmに設定したストルート(Struto)装置(チェコ共和国のリベレツ大学(University of Liberec)で開発されたもの)で実施され、そして二重ベルト供給システムを有する熱接着オーブンを140℃で運転させた。ストルート(Struto)プロセスでは、繊維を縦配向させるために横棒を用いる。このようなプロセスでは、ループ部分からその方向を変えて、z−方向に極端に配向させた製品が得られたときに、繊維の端を押さえる。
【0081】
試験方法
3点曲げ試験
寸法152.4×101.6mmの試験パッドを、試験パッドと同じ寸法の0.254mm厚の鋼製パネルの第1面に接着させた。この結果、鋼製パネルと試験パッドの間の接触面積は、正確には152.4mm×101.6mmとなった。試験アセンブリを、その後、以下に記載する条件に従って硬化し、そしてその後、鋼製パネル/試験パッドアセンブリを、高さ30mmおよび幅30mmの4つのアルミニウム製架台の上に配置した。これによって、試験パッドの面は、鋼製の面を上に向けて架台の上面に配置された。この結果、鋼製パネルの長軸に対して直角に4つの架台上で支持されたテーブルトップ様の試験構成が得られた。これら支持体は140mm離して配置し、要するに、架台間距離を140mmとした。パネルの中央部分を押し下げることによって、試験を開始すると同時に、鋼製プレートを曲げるのに必要な力を測定した。
【0082】
パネルの中央に配置された末端部寸法37mm×8mmで長さ37mmの平坦なMDFプローブをパネルの長軸に対して直角に用いて、鋼板を押し下げて曲げた。プローブを、一定速度(10mm/分)で押し下げて、圧縮で測定される必要な力を標準的なテンソメトリーを利用して測定した。
【0083】
実施例1
前述と同様にして得られた152.4mm×101.6mm、厚さ15mmの繊維ウェブを延伸することによって、ウェブの縦ひだを小さくした。次いで、延伸したウェブに、厚さ0.4mmのエポキシフィルム接着剤Bを適用した。エポキシ接着剤フィルム層は、延伸された不織繊維ウェブよりも僅かに長くしておいた。次に、不織繊維ウェブパッドをその縦方向に折り畳んだ。こうして、接着剤フィルムを不織繊維ウェブの折り目に押し付けながら、不織繊維ウェブに侵入したエポキシフィルムの多数の隆起部を作製した。エポキシフィルムはまた、不織繊維ウェブの主表面のうちの一つ(ただし、その相対する主表面には接着剤を有しない)に連続接着性の表面を画定する。
【0084】
3点曲げ試験の試験アセンブリの調製では、片面を研磨した鋼製パネル(英国ボルトン(Bolton)BL49TPファーンワース(Farnworth)の特殊商業地区(Express Trading Estate)のQ−パネル・カンパニー(Q-Panel Company)からRS/14として入手可能)を用いた。パネルは、0.254mm厚で、また寸法が152.4mm×101.6mmであった。これらパネルには、一般的に、腐食防止のために油が供給されているけれども、エポキシフィルムBと繊維ウェブから成る予め組み立てた適合するパッドをパネルに取り付ける前に洗浄を行わなかった。
【0085】
適合するパッドを適用するために、エポキシフィルム接着剤Bの剥離ライナーを取り外して、適合するパッドを手で前述の鋼製パネルに適用した。
【0086】
硬化するために、試験アセンブリを強制空気オーブンに入れて、次のプログラムプロファイルに従って温度を180℃まで上昇させた:
【0087】
・オーブン温度を23℃から10分で180℃まで昇温した。
【0088】
・次に、オーブン温度を180℃で30分間保持した。
【0089】
・30分後、オーブンの電源を切り、オーブンのドアを開けて、冷却するまで試料をオーブン内に放置した。試験アセンブリをオーブンから取り出した後、実施例1の硬化サイクルが完了したと判断した。
【0090】
実施例2
直径3mmのエポキシフィルムAのビーズの細かなクロスハッチ模様を、アクリル接着剤Aの接着面に塗布した。ビーズは、3Mジェット・ウェルド(3M Jet Weld)(登録商標)塗布ガンを用いて120℃で塗布された。前記と同様にして得られた152mm×101.6mmの繊維ウェブを、エポキシ接着フィルムAの少なくとも一部が不織繊維ウェブに侵入するように、当該繊維ウェブに適用した。
【0091】
試験アセンブリの調製のために、片面を研磨した鋼製パネル(英国ボルトン(Bolton)BL49TPファーンワース(Farnworth)の特殊商業地区(Express Trading Estate)のQ−パネル・カンパニー(Q-Panel Company)からRS/14として入手可能)を選択した。
【0092】
パネルは、0.254mm厚で、また寸法が152.4mm×101.6mmであった。これらパネルには、一般的に、腐食防止のために油が供給されているけれども、エポキシフィルムAと、アクリル接着剤Aと、繊維ウェブとから成る予め組み立てた適合するパッドをパネルに取り付ける前に洗浄を行わなかった。
【0093】
適合するパッドを適用するために、アクリル接着剤Aの剥離ライナーを取り外して、適合するパッドを手で前述の鋼製パネルに適用した。
【0094】
硬化するために、試験アセンブリを強制空気オーブンに入れて、次のプログラムプロファイルに従って温度を180℃まで上昇させた:
【0095】
・オーブン温度を23℃から10分で180℃まで昇温した。
【0096】
・次に、オーブン温度を180℃で30分間保持した。
【0097】
・30分後、オーブンの電源を切り、オーブンのドアを開けて、冷却するまで試料をオーブン内に放置した。試験アセンブリをオーブンから取り出した後、実施例2の硬化サイクルが完了したと判断した。
【0098】
試験結果
実施例1および2で調製した試験アセンブリを3点曲げ試験にかけた。それらの結果を次の表1に示す。
【0099】
【表1】

【図面の簡単な説明】
【0100】
【図1】本発明の一実施形態による補強パッドの模式断面図である。
【図2】本発明で使用するための縦交差ブリーツ加工された不織繊維層を模式的に表す斜視図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
厚さが少なくとも3mmでありかつ相対する主表面を有する不織繊維層を含み、前記主要面のうち一方が接着層を含み、前記不織繊維層が架橋性組成物を含む、補強パッド。
【請求項2】
前記接着層の全てではなく一部に前記不織繊維層が侵入している、請求項1に記載の補強パッド。
【請求項3】
前記硬化性組成物が、前記不織繊維層の厚さの一部だけに沿って含有されている、請求項1に記載の補強パッド。
【請求項4】
前記硬化性組成物が、前記不織繊維層の厚さ全体に沿って含有されている、請求項1に記載の補強パッド。
【請求項5】
前記不織繊維層が、波型の不織繊維ウェブを含む、請求項1に記載の補強パッド。
【請求項6】
前記接着層が、感圧接着剤または活性化可能接着剤、あるいはこれらの組合せを含む、請求項1〜5のいずれか1項に記載の補強パッド。
【請求項7】
前記接着層が、感圧接着剤領域と活性化可能接着剤組成物領域とを含む、請求項1〜6のいずれか1項に記載の補強パッド。
【請求項8】
前記架橋性組成物がエポキシ樹脂を含む、請求項1〜7のいずれか1項に記載の補強パッド。
【請求項9】
前記架橋性組成物が、前記不織繊維層内に、該不織繊維層の繊維の総重量に対して少なくとも5重量%の量で含有される、請求項1〜8のいずれか1項に記載の補強パッド。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれか1項に記載の補強パッドを基材に接着することと、前記架橋性組成物を架橋することとを含む、基材の補強方法。
【請求項11】
前記基材が自動車の一部品を構成する、請求項9に記載の方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate


【公表番号】特表2008−534335(P2008−534335A)
【公表日】平成20年8月28日(2008.8.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−505405(P2008−505405)
【出願日】平成18年3月31日(2006.3.31)
【国際出願番号】PCT/US2006/012197
【国際公開番号】WO2006/107812
【国際公開日】平成18年10月12日(2006.10.12)
【出願人】(599056437)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (1,802)
【Fターム(参考)】