説明

補強板貼り付け装置

【課題】小型化された補強板貼り付け装置を提供する。
【解決手段】補強板貼り付け装置10は、基板12a,12b,12c…の所定位置に補強板14a,14b,14c…を貼り付ける。補強板貼り付け装置10は、複数の補強板12a,12b,12c…を配置する補強板配置台16と、1又は複数の基板14a,14b,14c…を配置する基板配置台18と、補強板配置台16と基板配置台18との間に設置され、補強配置台16に配置された補強板12a,12b,12c…を、基板配置台18に配置された基板14a,14b,14c…の上面に移動して載置する多関節アーム20とを有する。多関節アーム20の先端付近に、補強板12a,12b,12c…を吸着する吸着ヘッドとカメラを有していても良い。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、小型化された補強板貼り付け装置に関する。
【背景技術】
【0002】
フレキシブル配線基板等(以下「基板」ということがある。)の強度を高めるため、樹脂又は金属等からなる補強板を基板に貼り付ける補強板貼り付け工程が行われている。補強板貼り付け工程を実施する補強板貼り付け装置としては、特許文献1に記載されたものが挙げられる。
【0003】
特許文献1に記載された補強板貼り付け装置は、補強板をベースフィルムに貼り付ける補強板貼り付けアームを備えている。この補強板貼り付けアームが、補強板を吸着保持しながら、二次元直交座標上におけるx軸方向及びy軸方向に沿って移動して、ベースフィルム保持テーブルに保持されたベースフィルムの所定位置に補強板を設置し、補強板をベースフィルムに貼り付けている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第WO2007/099654号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載された補強板貼り付けアームはx軸方向及びy軸方向に沿って移動するように構成されている。したがって、補強板貼り付け装置に補強板貼り付けアームが移動する空間を確保しなければならない。このため、補強板貼り付け装置のサイズが、補強板貼り付けアームが移動する空間分だけ大きくなってしまう。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、小型化された補強板貼り付け装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
[1]本発明の補強板貼り付け装置は、基板の所定位置に補強板を貼り付ける補強板貼り付け装置であって、複数の補強板を配置する補強板配置台と、1又は複数の基板を配置する基板配置台と、前記補強板配置台と前記基板配置台との間に設置され、前記補強板配置台に配置された補強板を、前記基板配置台に配置された基板の上面に移動して載置する多関節アームとを有することを特徴とする。
【0008】
[2]本発明の補強板貼り付け装置においては、前記基板配置台を加熱する加熱手段を有することが好ましい。
【0009】
[3]本発明の補強板貼り付け装置においては、前記補強板配置台を加熱する加熱手段を有することが好ましい。
【0010】
[4]本発明の補強板貼り付け装置においては、前記多関節アームの先端付近に、前記補強板を吸着する吸着ヘッドを有することが好ましい。
【0011】
[5]本発明の補強板貼り付け装置においては、前記吸着ヘッドは、吸着した前記補強板が回転できるように構成されていることが好ましい。
【0012】
[6]本発明の補強板貼り付け装置においては、前記多関節アームの先端付近に、カメラを有することが好ましい。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、小型化された補強板貼り付け装置が提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】補強板貼り付け装置10を模式的に示す平面図である。
【図2】補強板貼り付け装置10を模式的に示す側面図である。
【図3】多関節アーム20を模式的に示す側面図である。
【図4】多関節アーム20の第3アーム30付近を模式的に示す底面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の補強板貼り付け装置について、図に示す実施形態に基づいて説明する。
【0016】
図1は、実施形態に係る補強板貼り付け装置10を模式的に示す平面図である。図2は、補強板貼り付け装置10を模式的に示す側面図である。補強板貼り付け装置10は、基板14a,14b,14c…の所定位置に補強板12a,12b,12c…をそれぞれ貼り付ける。補強板貼り付け装置10は、複数の補強板12a,12b,12c…を配置する補強板配置台16と、複数の基板14a,14b,14c…を配置する基板配置台18と、多関節アーム20とを備える。多関節アーム20を用いることによって、補強板貼り付け装置10が小型化できる。
【0017】
基板14a,14b,14c…としては、例えば、フレキシブル配線基板等が挙げられる。また、補強板12a,12b,12c…としては、例えば、25mm角以内のプラスチックフィルム又はステンレスなどからなる金属板などが挙げられる。基板14a,14b,14c…は、人手又は基板供給装置等によって、基板配置台18に重ならないように並べられる。また、補強板12a,12b,12c…は、人手又は補強板供給装置等によって、補強板配置台16に重ならないように並べられる。
【0018】
多関節アーム20は、補強板配置台16に配置された補強板12a,12b,12c…を、基板配置台18に配置された基板14a,14b,14c…の上面に移動して載置する。補強板12a,12b,12c…は、基板14a,14b,14c…に貼り付けられる。より具体的には、基板14aの所定位置に補強板12aが貼り付けられ、その後基板14bの所定位置に補強板12bが貼り付けられる。以下同様にして、ある基板の所定位置に、ある補強板が1枚ずつ順番に貼り付けられていく。
【0019】
補強板12a,12b,12c…が基板14a,14b,14c…に貼り付けられる仕組みは以下のとおりである。補強板12a,12b,12c…の底面には接着層が形成されている(不図示)。この接着層は、熱可塑性樹脂成分を含有する固形接着剤から構成され、室温では固まっているが所定の温度、例えば80℃に加熱されると溶融する。この接着層が溶融した状態で、基板14a,14b,14c…に補強板12a,12b,12c…を接触させ室温まで冷却すると、接着層が硬化して基板12a,12b,12c…の所定位置に補強板14a,14b,14c…が貼り付けられる。接着層を加熱する方法については後述する。
【0020】
本実施形態では、加熱溶融する固形接着剤から接着層が構成されているが、これに代えて、接着層が接着テープから構成されていても良い。接着層が接着テープから構成される場合、補強板12a,12b,12c…を基板14a,14b,14c…に押し当てることによって、基板14a,14b,14c…の所定位置に補強板12a,12b,12c…が貼り付けられる。
【0021】
補強板配置台16及び基板配置台18は、テーブル22上に設置されている。また、補強板配置台16及び基板配置台18の上部は、金属板に多数の穴を設けた網状部材から構成されている。補強板配置台16及び基板配置台18の上部を網状部材で構成することによって、補強板配置台16及び基板配置台18から微細なチリ等を網状部材から落とすことができる。また、補強板配置台16及び基板配置台18の上部を網状部材で構成することによって、補強板12a,12b,12c…及び基板14a,14b,14c…が補強板配置台16及び基板配置台18に密着しないため、補強板12a,12b,12c…及び基板14a,14b,14c…の搬入及び搬出がしやすくなる。
【0022】
基板配置台18付近には、基板配置台18を加熱する加熱手段、例えば電気ヒータが設けられている(不図示)。加熱手段によって、基板配置台18を通じて基板14a,14b,14c・・・及び補強板12a,12b,12c…が加熱される。このため、加熱溶融する固形接着剤から構成された接着層が底面に設けられた補強板12a,12b,12c…を基板配置台18に配置された基板14a,14b,14c…上に載置すると、接着層が溶融し、補強板12a,12b,12c…が基板14a,14b,14c…に融着する。
【0023】
なお、加熱手段は、基板配置台18を加熱するものでなくても良い。すなわち、補強板12a,12b,12c…が基板配置台18に配置された基板14a,14b,14c…上に載置されたときに、補強板12a,12b,12c…の接着層を加熱できる加熱手段であれば良い。このような加熱手段としては、温風等が挙げられる。
【0024】
基板14a,14b,14c…の所定位置に補強板12a,12b,12c…が融着した積層体を、基板配置台18から補強板貼り付け装置10の外部に搬出すると、この積層体は室温下で冷却される。こうして、補強板12a,12b,12c…は基板14a,14b,14c…に完全に貼り付けられる。なお、この積層体の補強板貼り付け装置10からの搬出は、人手又は積層体搬出装置等によって行われる。
【0025】
多関節アーム20は、補強板配置台16と基板配置台18との間に設置され、上述したように、補強板配置台16に配置された補強板12a,12b,12c…を、基板配置台18に配置された基板14a,14b,14c…の上面に移動して載置する。
【0026】
図3は、多関節アーム20を模式的に示す側面図である。多関節アーム20は、テーブル22に固定された支持軸24と、支持軸24に沿って上下方向に移動できる第1アーム26と、第1アーム26に一端が回転可能に結合された第2アーム28と、第2アーム28の他端に一端が回転可能に結合された第3アーム30とを備える。したがって、多関節アーム20は、三次元空間を自在に動くことができる。第1アーム26と第2アーム28との結合部及び第2アーム28と第3アーム30の結合部には、モータ等の回転機構が設けられている(不図示)。
【0027】
図4は、多関節アーム20の第3アーム30付近を模式的に示す底面図である。第3アーム30の第2アーム28と結合された端部と反対側の端部、すなわち多関節アーム20の先端付近に吸着ヘッド42を備える。吸着ヘッド42は弾性体、例えばシリコーン樹脂等から構成されている。吸着ヘッド42の中心には吸引口42aが設けられている。
【0028】
吸着ヘッド42を補強板12a,12b,12c…の上面に接触させ、吸引口42aから空気を吸引することによって、補強板12a,12b,12c…は吸着ヘッド42、すなわち多関節アーム20に吸着保持される。本実施形態では吸着ヘッド42を用いたが、吸着ヘッド42以外の部材、例えば爪状部材によって補強板12a,12b,12c…の周囲を保持しても良い。
【0029】
吸着ヘッド42は、回転軸46に接続されていて、吸着した補強板12a,12b,12c…がこれらの補強板面内で回転できるように構成されている(図4矢印参照)。回転軸46には、モータ等の回転機構が設けられている(不図示)。このため、第2アーム28又は第3アーム30を回転させながら、多関節アーム20で補強板配置台16から基板配置台18に補強板12a,12b,12c…を移動させる際、吸着ヘッド42を回転させることにより、補強板12a,12b,12c…を、基板配置台16に配置されていた状態と同じ回転位置にすることができる。なお、回転軸46は一方向にのみ回転するものであっても、両方向に回転するものであっても良い。
【0030】
吸着ヘッド42を回転させて補強12a,12b,12c…の回転位置を調整する作業は、補強板配置台16から基板配置台18に補強板12a,12b,12c…を移動させながら行っても良いし、基板配置台18の基板14a,14b,14c…の上方に、補強板配置台16から補強板12a,12b,12c…を移動させた後で、基板14a,14b,14c…の上面に載置する前に行っても良い。
【0031】
多関節アーム20は、その先端付近にCCDカメラ等のカメラ44を備える。カメラ44を用いて吸着ヘッド42の現在位置を把握し、補強板貼り付け装置10に設けられた制御手段(不図示)によって多関節アーム20を動かして、吸着ヘッド42を所定の補強板12a,12b,12c…の位置まで移動する。
【0032】
また、カメラ44を用いて、多関節アーム20の移動に伴う補強板12a,12b,12c…の回転位置のずれと、吸着ヘッド42の現在位置を把握し、制御手段によって多関節アーム20及び回転軸46を動かして、吸着ヘッド42に吸着保持された補強板12a,12b,12c…を、補強板配置台16に配置されていたときと同じ回転位置に戻して、所定の基板14a,14b,14c…の上方に移動することができる。
【0033】
次に、補強板貼り付け装置10を用いた補強板貼り付け方法について説明する。まず、補強板12a,12b,12c…を補強板配置台16に重ならないように並べ、基板14a,14b,14c…を基板配置台18に重ならないように並べ、基板配置台18を加熱する。そして、多関節アーム20を動かし、カメラ44を用いて吸着ヘッド42の位置を把握しながら、補強板12aの上方に吸着ヘッド42を配置させる。次に、第1アーム26を下降させて、吸着ヘッド42を補強板12aに接触させる。
【0034】
その後、吸引口42aから空気を吸引することによって、吸着ヘッド42に補強板12aを吸着させる。そして、第1アーム26を上昇させて、補強板12aを補強板配置台16から持ち上げる。次に、補強板12aが基板配置台18の方向に移動するように、吸着ヘッド42に補強板12aが吸着保持された状態で、第2アーム28と第3アーム30を回転させる。その後、カメラ44を用いて吸着ヘッド42の位置を把握しながら、補強板12aを所定位置で載置する基板14aの上方に、吸着ヘッド42を配置させる。
【0035】
そして、補強板12aの底面に設けられた接着層が基板14aに接近、または接触するまで第1アーム26を下降させる。次に、補強板12aの底面に設けられ接着層が基板14aに接近または接触した状態で、吸引口42aからの空気の吸引を停止し、基板14aに補強板12aを載置する。基板14aに補強板12aが載置されると、補強板12aの底面に設けられた接着層は溶融し、補強板14aが基板12aに融着した積層体が得られる。なお、このとき、第1アーム26を下降させて補強板12a,12b,12cを基板14a,14b,14cに押し付けながら、補強板14aが基板12aに融着した積層体を作製することとしてもよい。
【0036】
以下同様にして、補強板12bは基板14bの所定位置に融着され、補強板12cは基板14cの所定位置に融着される。そして、補強板配置台16上の全ての補強板12a,12b,12c…が、基板配置台18上の全ての基板14a,14b,14c…の所定位置に融着されたら、補強板12a,12b,12c…が基板14a,14b,14c…に融着された積層体の全てを、補強板貼り付け装置10から搬出し、これらの積層体を室温下で冷却する。この積層体が室温まで冷却されると接着層は硬化し、補強板12a,12b,12c…が基板14a,14b,14c…の所定位置に貼り付けられた積層体が得られる。
【0037】
なお、本実施形態では、補強板12a,12b,12c…を基板14a,14b,14c…の上面に移動して載置し、補強板12a,12b,12c…を基板14a,14b,14c…に貼り付けることとしたが、本発明はこれに限定されるものではない。基板14a,14b,14c…を補強板12a,12b,12c…の上面に移動して載置し、基板14a,14b,14c…を補強板12a,12b,12c…に貼り付けても良い。
【0038】
また、本実施形態では、補強板12a,12b,12cと基板14a,14b,14c…とがほぼ同じ大きさを有するものとして本発明を説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。補強板は基板よりも小さくてもよい。
【0039】
また、本実施形態では、1つの基板上に1つの補強板を貼り付けているが、本発明はこれに限定されるものではない。1つの基板上に複数の補強板を貼り付けてもよい。
【0040】
また、本実施形態では、補強板配置部18を加熱することにより、補強板12a,12b,12cの接着層を溶融させることとしているが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、補強板配置部16を加熱することにより、補強板12a,12b,12cの接着層を溶融させることとしてもよい。
【0041】
本発明の補強板貼り付け装置における多関節アームは、チップ配置台に配置されたICチップ等のチップを、前記基板配置台に配置された基板の上面に移動して載置するチップマウンターに用いることもできる。
【符号の説明】
【0042】
10…補強板貼り付け装置、12a,12b,12c…補強板、14a,14b,14c…基板、16…補強板配置台、18…基板配置台、20…多関節アーム、22…テーブル、24…支持軸、26…第1アーム、28…第2アーム、30…第3アーム、42…吸着ヘッド、42a…吸引口、44…カメラ、46…回転軸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板の所定位置に補強板を貼り付ける補強板貼り付け装置であって、
複数の補強板を配置する補強板配置台と、
1又は複数の基板を配置する基板配置台と、
前記補強板配置台と前記基板配置台との間に設置され、前記補強板配置台に配置された補強板を、前記基板配置台に配置された基板の上面に移動して載置する多関節アームとを有することを特徴とする補強板貼り付け装置。
【請求項2】
請求項1に記載の補強板貼り付け装置において、
前記基板配置台を加熱する加熱手段を有することを特徴とする補強板貼り付け装置。
【請求項3】
請求項2に記載の補強板貼り付け装置において、
前記補強板配置台を加熱する加熱手段を有することを特徴とする補強板貼り付け装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかに記載の補強板貼り付け装置において、
前記多関節アームの先端付近に、前記補強板を吸着する吸着ヘッドを有することを特徴とする補強板貼り付け装置。
【請求項5】
請求項4に記載の補強板貼り付け装置において、
前記吸着ヘッドは、吸着した前記補強板が回転できるように構成されたことを特徴とする補強板貼り付け装置。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれかに記載の補強板貼り付け装置において、
前記多関節アームの先端付近に、カメラを有することを特徴とする補強板貼り付け装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−251453(P2011−251453A)
【公開日】平成23年12月15日(2011.12.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−126362(P2010−126362)
【出願日】平成22年6月1日(2010.6.1)
【出願人】(503210810)株式会社 ベアック (11)
【Fターム(参考)】