説明

製造工程管理システム

【課題】 複数の部品からなる製品や多品種の製品を作業者が介在して組み立てる作業工程において、各部品を判別し、所定の製品として完成するまでの過程をトレースできるような工程管理システムを提供することを課題とする。
【解決手段】 製品30の製造過程をカメラ13で撮影した画像情報と、該製品に付与された識別コード24をリーダ14で読み取ったコード情報とを関連付けてデータベースに記録する。コード情報を手がかりに取り出した画像情報を閲覧端末に映し出すことにより、特定の製品の製造過程のトレースが可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、製品の製造工程において、動画または静止画のカメラにより製造工程の画像を記録し、個々の製品の製造過程をトレースする製造工程管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
複数の構成要素(部品)からなる製品や多品種の製品を作業者が介在して組み立てる製造工程では、作業の間違いが発生し易く、これによる不良品を発見することは工程管理上極めて重要である。特に、組み立て後の検査では不良が発見できないような製品では、製造の過程の過程を監視することが必須であり、作業の手順を画像として記録しながら作業の適否を判定する手法が種々用いられている。
特許文献1は、薬局業務の監視システムであり、監視カメラの画像とRFIDタグを組み合わせ、業務に用いる搬器に付したRFIDによる位置情報と監視カメラによる画像を紐付けして記録することを特徴とし、事故発生時等における円滑な作業検証を可能としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−151001号公報
【0004】
しかし、複数の部品を組み立てる作業や、多数の品種を組み立てる工程を管理するには、個々の部品までのトレースが必要となり、特許文献1のRFIDとリーダライタを用いる方法のように位置情報で正否を判断することでは不十分である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記の組み立て後の検査では不良が発見できないような製品の製造工程としては、例えば、個人宛の帳票の封緘工程がある。これは、個人毎に異なる帳票を組み合わせ(ピッキングという)、個々の宛先の封筒に封入する作業を伴う。したがって、これを監視するには、個々の帳票を判別し、組み合わせの適否を判定し、かつ、これらが適正な封筒に封入されることまでを追跡(トレース)する必要がある。
【0006】
そこで、本発明は、上記帳票の封緘工程のようなピッキング作業工程において、各部品を判別し、所定の製品として完成するまでの過程をトレースできるような工程管理システムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決する本発明の製造工程管理システムは、
多数の製品群を製造する製造工程を管理する製造工程管理システムにおいて、前記製品群中の個々の製品に当該製品を特定する識別コードを付与する識別コード付与手段と、前記製造工程中の所定工程で当該製品に係わる処理時の画像を撮影する撮像手段と、
撮像したときの工程を特定する工程特定情報、撮像したときの時刻を特定する時刻特定情報、ならびに、撮像したときの製品を特定する識別コード、からなる付加情報を取得する付加情報取得手段と、
前記撮像手段によって撮像した画像情報と前記付加情報を関連付けて記憶するデータベースと、
前記データベースに記憶された画像情報を前記付加情報と関連付けて閲覧する閲覧手段と、
からなることを特徴とする。
【0008】
また、前記所定工程で撮像される画像には、当該工程の作業員の動作が含まれることを特徴とする。
前記所定工程で撮像手段は、ビデオカメラであることを特徴とする。
さらに、前記識別コードは、製品毎に付与された二次元コードであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明による製造工程管理システムによれば、撮像手段により取り込んだが画像情報が、付加情報と関連付けられ、特定の製品の製造工程の情報として記録されるため、これを閲覧することにより、該製品の製造過程の適否が判別できる。例えば、画像情報の分析により、不良品発生の解析、作業性の改善、能率の向上などに資することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の製造工程管理システムの構成図
【図2】製造前のフローを示す図
【図3】製造のフローを示す図
【発明を実施するための形態】
【0011】
まず、図1を用いて、本発明の製造工程管理システムの概要を説明する。
図1は、本発明の製造工程管理システムを表わす図である。なお、ここでは、製造工程として帳票のピッキング作業を例としており、製造工程管理システム10はピッキング作業にかかわる記録および閲覧を担う。
【0012】
製造工程管理システム10は、製造に係わるデータ処理やデータの記憶を担うサーバ12、作業に係わる画像を撮影する撮像手段としてのカメラ13、製品に付与された識別コードを読み取るリーダ14、特定の製品の作業工程に係わる画像を閲覧する閲覧端末15などの機器で構成され、これら機器はネットワーク16を介して相互に接続されている。
サーバ12は、サーバ12に繋がれる管理端末120からの指示により、製造工程管理システム全体を制御する。
【0013】
作業者11は、生産機器20から出力されるn種類の製品群(帳票1〜n)の中から所定の帳票を取り出し製品30とする。さらに製品30を所定の封筒に封入し封書25を仕上げる。
この間、カメラ13は、作業者11が実行する作業を、作業者11を含めて撮影し、後述の付加情報と関連付けてサーバ12に付属するデータベース121に格納する。このようにして格納された画像情報は後述の付加情報と関連付けられており、後刻、特定の製品の作業状況を取り出し、閲覧手段である閲覧端末15に映し出すことが可能となる。
【0014】
以下、図2および3を用いて本発明の製造工程管理システム10の動作を、工程を分けて、詳説する。なお、図2は、作業者11がピッキング作業を始める前までの工程、すなわち、「識別コードの付与」から「生産」までのフローを表わし、図3は、ピッキング作業と、画像の記録に係わるフローを表わす。
【0015】
<識別コードの付与>
n種類の製品群21(帳票1〜n)には個々の製品を特定するための識別コード24が付与されている。識別コード24は、予め製品毎に割り振られた管理情報であり、図1の構成ではサーバ12で生成され、製品管理情報の一つとして、サーバ12が持つデータベース121に格納されている。製品管理情報とは、製造する製品に係わる情報の集合であり、品目ID、作業番号などの作業ID、製品IDである識別コードやこれらに係わる付帯情報からなり、これらが紐付けされてデータベース121としてサーバ12に格納される。
なお、識別コード24は、生産機器20が生産する製品群(帳票1〜n)に付与されるよう、予め生産機器20に送付される(S21)。こうして、生産機器20は、識別コード24を付加した製品群を生産する(S22)。
このように、生産に先立って、サーバ12は、識別コードの生成、保存、付与などを実行し、識別コード付与手段としての機能を果たす。
【0016】
なお、識別コードは各帳票の作成と同時に加工することが望ましく、識別コードとしてバーコード241や二次元コード242を用いれば、帳票の印刷と識別コードの印刷を同時に行うことができ好都合である。特に二次元コード242は、保持できる情報量が大きいため、上記のような多品種の製品の製造工程の管理に用いるのに好適である。
【0017】
<ピッキング>
生産機器20が出力した製品群21(帳票1〜n)に対し、作業者は製品群の中から所定の製品30を選び出す(S31)。続いて、リーダ14を用いて製品30の識別コード24を読み取らせる(S32)。
なお、製品30は、図1に示したような単品の帳票に限らず複数の帳票であってもよい。この場合、リーダ14による読み取りは製品となる帳票の数だけ行うことになる。
また、どの帳票を取り出すべきか等の作業指示を、前記作業IDに基づき、閲覧端末15から得ることも可能である。
【0018】
<付加情報取得>
リーダ14が識別コード24を読み取ったことをトリガとしてカメラ13が撮影を始める(S33)。撮影される画像情報は、識別コード24や時刻(時刻特定情報)などとともにデータベース121に格納されるが、さらに、読み取られた識別コード24をキーとして、データベース121に格納されている製品管理情報と紐付けすることにより、品目ID、作業IDなどの工程特定情報との紐付けが可能となる。すなわち、サーバ12は、工程特定情報、時刻特定情報、識別コードなどを付加情報として取得し、カメラ13から取り込んだ画像情報と関連付け、あらためてデータベース121に格納すればよい(S34)。
【0019】
<封入>
図1の例では、一つの作業単位は封緘を持って終了するが、封筒に前記作業IDに基づく作業識別コードを付与しておけば、同識別コードをリーダ14で読み取ることで(S35)、これをトリガとしてカメラ13の撮像の停止とすることができる(S36)。また、読み取った作業識別コードを製品管理情報と照合することにより、封書25と中身である製品30とが仕様の通り合致しているかの判定が可能となる。
【0020】
<閲覧>
データベース121に格納された画像情報は、同情報に関連付けられた付加情報とともに閲覧端末15に映し出す。例えば、特定の作業の場面を取り出す場合は、閲覧端末15を操作して作業IDを入力して関連する画像を探し出せばよいが、他に、リーダ14を利用して作業識別コードから探すなどの方法も可能となる。
なお、カメラ13が撮影した画像情報は動画、静止画の何れでも利用可能であり、カメラ13がビデオカメラであれば、動画、静止画のいずれも撮影可能であり好都合である。静止画の場合は、所定のサイクルでコマ撮りすることとなる。
【符号の説明】
【0021】
10 製造工程管理システム
11 作業者
12 サーバ
13 カメラ
14 リーダ
15 閲覧端末
16 ネットワーク
20 生産機器
24 識別コード
30 製品
120 管理端末
121 データベース



【特許請求の範囲】
【請求項1】
多数の製品群を製造する製造工程を管理する製造工程管理システムにおいて、
前記製品群中の個々の製品に当該製品を特定する識別コードを付与する識別コード付与手段と、
前記製造工程中の所定工程で当該製品に係わる処理時の画像を撮影する撮像手段と、
撮像したときの工程を特定する工程特定情報、撮像したときの時刻を特定する時刻特定情報、ならびに、撮像したときの製品を特定する識別コード、からなる付加情報を取得する付加情報取得手段と、
前記撮像手段によって撮像した画像情報と前記付加情報を関連付けて記憶するデータベースと、
前記データベースに記憶された画像情報を前記付加情報と関連付けて閲覧する閲覧手段と、
からなることを特徴とする製造工程管理システム。
【請求項2】
前記所定工程で撮像される画像には、当該工程の作業員の動作が含まれることを特徴とする請求項1記載の製造工程管理システム。
【請求項3】
前記所定工程で撮像手段は、ビデオカメラであることを特徴とする請求項1または2記載の製造工程管理システム。
【請求項4】
前記識別コードは、製品毎に付与された二次元コードであることを特徴とする請求項1〜3いずれか一項に記載の製造工程管理システム。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−3632(P2012−3632A)
【公開日】平成24年1月5日(2012.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−139867(P2010−139867)
【出願日】平成22年6月18日(2010.6.18)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】