複写システム、画像形成装置、サーバ、画像形成方法、及びプログラム
【課題】 印刷物上のコード情報を、対応する電子文書の更新等を考慮して容易に変更できるようにする。
【解決手段】 媒体の複写指示に応じて、媒体上の不可視画像(コード画像)を取得する不可視画像取得部451と、コード画像から識別情報を取得する識別情報取得部452と、媒体上の可視画像を取得する可視画像取得部453と、コード画像に対応する電子文書のバージョン情報を表示し、印刷したいバージョン等を指定させる指定情報取得部454と、新しいバージョンによる画像生成の必要がない場合にローカルに取得した画像を合成する画像合成部455と、新しいバージョンによる画像生成の必要がある場合に画像生成要求をネットワークへ送出する送信部450bと、生成された画像の出力指示をネットワークから受信する受信部450aと、ローカルで合成された画像又はネットワークから受信した画像を画像形成装置本体に出力する画像出力部456とを備える。
【解決手段】 媒体の複写指示に応じて、媒体上の不可視画像(コード画像)を取得する不可視画像取得部451と、コード画像から識別情報を取得する識別情報取得部452と、媒体上の可視画像を取得する可視画像取得部453と、コード画像に対応する電子文書のバージョン情報を表示し、印刷したいバージョン等を指定させる指定情報取得部454と、新しいバージョンによる画像生成の必要がない場合にローカルに取得した画像を合成する画像合成部455と、新しいバージョンによる画像生成の必要がある場合に画像生成要求をネットワークへ送出する送信部450bと、生成された画像の出力指示をネットワークから受信する受信部450aと、ローカルで合成された画像又はネットワークから受信した画像を画像形成装置本体に出力する画像出力部456とを備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機等の画像形成装置、この画像形成装置に出力する画像を生成するサーバ、この画像形成装置及びサーバを含む複写システム等に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、細かなドットが印刷された特殊な用紙に文字や絵を描き、ユーザがこの用紙上に書いた文字等のデータをパソコンや携帯電話等に転送し、この内容の保存や、メール送信を可能とする技術が注目されている。この技術では、この特殊な用紙に例えば0.3mm程度の間隔にて小さなドットが印刷され、これが例えば所定の大きさのグリッドごとに、全て異なるパターンを描くように構成されている。これを、例えばデジタルカメラを内蔵した専用のペンを用いて読み込むことで、この特殊な用紙上に書かれた文字等の位置を特定することができ、このような文字等を電子情報として利用することが可能となる。
【0003】
ここで、公報記載の従来技術として、電子文書とその電子文書が印刷された用紙とを紐付けておき、用紙上に書かれた文字等と電子文書とを融合する技術もある(例えば、特許文献1参照)。具体的には、電子文書のページの識別情報と、用紙上での位置情報とを、機械読取り可能な2次元コード等に代表されるコード画像へ埋め込み、電子文書と重畳してプリンタ等により印刷する。次に、ペン型のスキャナを用いて、印刷文書への筆記動作と、筆記箇所の部分画像とを印刷文書から連続的に取得する。そして、取得した画像を解析することにより、電子文書のページの識別情報と部分画像の印刷文書上での複数の位置情報を検出する。その後、検出した識別情報によりオリジナルの電子文書のページを識別すると共に、複数の位置情報により印刷文書上に筆記された内容を再現することで、オリジナルの電子文書のページに対してその筆記された内容を付加することを可能としている。
【0004】
また、別の従来技術として、リンク先の情報を用紙に埋め込むものもある(例えば、特許文献2参照)。この特許文献2では、不可視の透かしが埋め込まれた印刷物を携帯端末で撮影してサーバへ送信することにより、サーバが対応するURLをその携帯端末に返信している。
更に、媒体どうしの複写関係を管理する技術も公知である(例えば、特許文献3参照)。この特許文献3では、媒体にIDを埋め込んでおき、複写時にIDを新しいIDに付け替え、複写元の媒体のIDと複写先の媒体のIDとを関連付けて管理している。
【0005】
【特許文献1】特開2004−094907号公報(第7−9頁、第14−15頁、第3−7図、第25−27図)
【特許文献2】特開2004−133698号公報(第4、5頁、第2図)
【特許文献3】特許第3584540号公報(第7、8頁、第14、15図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1、2の技術では、そもそも、一旦用紙に埋め込まれた情報が更新されることは考えられていない。また、特許文献3の技術では、用紙に埋め込まれた情報が更新されることは考えられているものの、用紙に関連付けられた電子文書等のデータの更新状況等を考慮して更新されているわけではない。
従って、例えば、用紙に印刷された画像の元となる電子データ(以下、「原稿データ」という)や、用紙に埋め込まれた情報に基づいてアクセス可能な電子データ(以下、「参照データ」という)が更新、即ち、バージョンアップされていても、用紙に埋め込まれた情報をその更新に合わせて更新することはできない。このため、更新後の最新の電子データに合致した用紙を得ようとすれば、PC(Personal Computer)から最新の電子データを探し出し、その最新の電子データに基づきプリントを行なう等の面倒で時間の掛かる作業が必要になるという問題点があった。
【0007】
本発明は、以上のような技術的課題を解決するためになされたものであって、その目的は、印刷物やその複写物に埋め込まれた情報を、その元となる原稿データやそこで参照される参照データの更新等に応じて容易に変更できるようにすることにある。
また、本発明の他の目的は、原稿データやそこで参照される参照データの最新バージョンに対応する情報が埋め込まれた用紙を入手できるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
かかる目的のもと、本発明では、コード画像が形成された媒体を複写する際に、そのコード画像に対応する電子文書の更新状況等に応じて、コード画像も書き換えるようにした。即ち、本発明の複写システムは、第1の電子文書に関連する第2の電子文書を特定するサーバと、第1の電子文書に対応する第1のコード画像が形成された媒体の複写指示に応じて、第1のコード画像の代わりに、サーバにより特定された第2の電子文書に対応する第2のコード画像を媒体に形成する画像形成装置とを備えている。
【0009】
また、本発明は、この複写システムにおける画像形成装置として捉えることもできる。その場合、本発明の画像形成装置は、第1のデータに対応する第1のコード画像が形成された媒体の複写指示を受け付ける受付部と、複写指示に応じて、第1のコード画像の代わりに、第1のデータに関連する第2のデータに対応する第2のコード画像を含む画像を取得する画像取得部と、この画像取得部により取得された画像を媒体に印刷する印刷部とを備えている。
【0010】
更に、本発明は、この複写システムにおけるサーバとして捉えることもできる。その場合、本発明のサーバは、第1の識別情報を含む画像が形成された媒体をスキャンして得られた第1の識別情報を取得する第1の識別情報取得部と、この第1の識別情報取得部により取得された第1の識別情報に対応する第1のデータを特定する第1のデータ特定部と、この第1のデータ特定部により特定された第1のデータに関連する第2のデータを特定する第2のデータ特定部と、この第2のデータ特定部により特定された第2のデータに対応する第2の識別情報を取得する第2の識別情報取得部と、第1の識別情報を含まず、かつ、第2の識別情報を含む画像を生成する画像生成部とを備えている。
【0011】
更にまた、本発明は、上記画像形成装置による画像形成の方法として捉えることもできる。その場合、本発明の画像形成方法は、第1の電子文書に対応する第1のコード画像が形成された媒体の複写指示を受け付けるステップと、複写指示に応じて、第1のコード画像の代わりに、第1の電子文書に関連する第2の電子文書に対応する第2のコード画像を含む画像を取得するステップと、取得された画像を媒体に印刷するステップとを含んでいる。
【0012】
一方、本発明は、所定の機能をコンピュータに実現させるためのプログラムとして捉えることもできる。その場合、本発明のプログラムは、コンピュータに、第1の識別情報を含む画像が形成された媒体をスキャンして得られた第1の識別情報を取得する機能と、第1の識別情報に対応する第1の電子文書を特定する機能と、第1の電子文書に関連する第2の電子文書を特定する機能と、第2の電子文書に対応する第2の識別情報を取得する機能と、第1の識別情報を含まず、かつ、第2の識別情報を含む画像を生成する機能とを実現させるためのものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、印刷物やその複写物に埋め込まれた情報を、その元となる原稿データやそこで参照される参照データの更新等に応じて容易に変更できるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、添付図面を参照して、本発明を実施するための最良の形態(以下、「実施の形態」という)について詳細に説明する。
図1は、本実施の形態が適用されるシステムの構成の一例を示したものである。このシステムは、少なくとも、電子文書の印刷を指示する端末装置100と、電子文書を印刷する際に媒体に付与する識別情報を管理し電子文書の画像にこの識別情報等を含むコード画像を重畳した画像を生成する識別情報管理サーバ200と、電子文書を管理する文書管理サーバ300と、電子文書の画像にコード画像を重畳した画像を印刷する画像形成装置400とがネットワーク900に接続されることにより構成されている。
【0015】
また、識別情報管理サーバ200には、識別情報を記憶する記憶装置としての識別情報リポジトリ250が接続され、文書管理サーバ300には、電子文書を記憶する記憶装置としての文書リポジトリ350が接続されている。
更に、このシステムは、端末装置100からの指示により画像形成装置400にて出力される印刷物500と、印刷物500を画像形成装置400にスキャン入力して得られる複写物600とを含んでいる。
【0016】
以下、本システムの動作の概略を説明する。
まず、端末装置100は、識別情報管理サーバ200に対し、文書リポジトリ350にて管理されている電子文書の画像にコード画像を重畳して印刷するよう指示する(A)。このとき、端末装置100からは、用紙サイズ、向き、縮小/拡大、N−up(用紙の1ページ内に電子文書のNページを割り付ける印刷)、両面印刷等の印刷属性も入力される。
これにより、識別情報管理サーバ200は、印刷を指示された電子文書を文書管理サーバ300から取得する(B)。そして、取得した電子文書の画像に対し、識別情報リポジトリ250にて管理されている識別情報と、印刷属性に応じて決定された位置情報とを含むコード画像を付与し、画像形成装置400にその印刷を指示する(C)。尚、ここで、識別情報とは、電子文書の画像が印刷された個々の媒体(用紙)を一意に識別する情報であり、位置情報とは、個々の媒体上の座標位置(X座標、Y座標)を特定するための情報である。
【0017】
その後、画像形成装置400は、識別情報管理サーバ200からの指示に従い、印刷物500を出力する(D)。
尚、画像形成装置400は、後で詳しく述べるが、識別情報管理サーバ200で付与されたコード画像を不可視トナーにより不可視画像として形成し、その他の画像(オリジナルの電子文書に含まれていた部分の画像)を可視トナーにより可視画像として形成するものとする。
【0018】
一方、このようにして出力された印刷物500が画像形成装置400に対しスキャン入力されたとする(E)。その場合、画像形成装置400は、識別情報管理サーバ200に対し、印刷物500に対応する電子文書の最新バージョンの問い合わせ等を行った後、例えば、最新バージョンの電子文書の画像にコード画像を付与する画像生成要求を送信する(F)。
これにより、識別情報管理サーバ200は、最新バージョンの電子文書を文書管理サーバ300から取得する(G)。そして、取得した電子文書の画像に対し、識別情報リポジトリ250にて管理されている識別情報と、印刷属性に応じて決定された位置情報とを含むコード画像を付与し、画像形成装置400にその印刷を指示する(H)。
その後、画像形成装置400は、識別情報管理サーバ200からの指示に従い、複写物600を出力する(I)。
【0019】
但し、このような構成はあくまで一例であり、識別情報管理サーバ200の機能と文書管理サーバ300の機能とを1台のサーバに持たせてもよいし、識別情報管理サーバ200の機能を画像形成装置400の画像処理部にて実現してもよい。また、本実施の形態では、電子文書を印刷対象として説明するが、例えば写真画像等の電子文書の範疇に属さない電子データを印刷対象としてもよい。その場合は、以下の説明において、「電子文書」を「データ」と読み替えればよい。
【0020】
次に、本システムの構成及び動作について、より詳細に説明する。
図2は、識別情報管理サーバ200の構成の一例を示す図である。
識別情報管理サーバ200は、受信部20aと、対応情報管理部21と、対応情報データベース(DB)22と、情報分離部23と、文書画像生成部24と、文書画像バッファ25と、コード画像生成部26と、コード画像バッファ27と、画像合成部28と、送信部20bとを備えている。
また、コード画像生成部26は、位置情報符号化部26aと、位置コード生成部26bと、識別情報符号化部26cと、識別コード生成部26dと、コード配置部26gと、パターン格納部26hと、パターン画像生成部26iとを備えている。
【0021】
受信部20aは、印刷指示、印刷対象の電子文書等の各種情報をネットワーク900から受信する。
対応情報管理部21は、対応情報DB22への情報の登録、及び、対応情報DB22からの情報の読み出しを行う。
尚、後述する印刷物500の複写時には、受信部20aが、印刷物500から得られた識別情報(第1の識別情報)を受信(取得)し、対応情報管理部21が、対応情報DB22を参照することにより、第1の識別情報に対応する電子文書(第1の電子文書)を特定する。また、第1の電子文書に関するバージョン情報を文書管理サーバ300に問い合わせた後、受信部20aが、第1の電子文書に関連する電子文書(第2の電子文書)を特定し、対応情報管理部21が、第2の電子文書に対応付けて対応情報DB22に登録すべき識別情報(第2の識別情報)を発行(取得)する。従って、受信部20aは、第1の識別情報取得部として把握できると共に、第2の電子文書特定部としても把握できる。また、対応情報管理部21は、第1の電子文書特定部として把握できると共に、第2の識別情報取得部としても把握できる。
【0022】
対応情報DB22は、媒体を識別する識別情報や、その媒体に印刷された画像の元となる電子文書の格納場所等の対応を記憶するデータベースである。
情報分離部23は、対応情報管理部21から受け渡された情報を、文書画像の生成に必要な情報と、コード画像の生成に必要な情報とに分離する。
文書画像生成部24は、情報分離部23によって分離された文書画像の生成に必要な情報に基づいて、電子文書を画像化し、文書画像バッファ25へ格納する。
コード画像生成部26は、情報分離部23によって分離されたコード画像の生成に必要な情報に基づいて、コード画像を生成し、コード画像バッファ27へ格納する。
画像合成部28は、文書画像バッファ25に格納されている文書画像と、コード画像バッファ27に格納されているコード画像とを合成する。
送信部20bは、画像合成部28による合成後の画像を出力する指示を、PostScript等に代表されるPDL(Page Description Language)として画像形成装置400へ送信する。
【0023】
位置情報符号化部26aは、位置情報を所定の符号化方式により符号化する。この符号化には、例えば、既知の誤り訂正符号であるRS(リードソロモン)符号やBCH符号を用いることができる。また、誤り検出符号として、位置情報のCRC(Cyclic Redundancy Check)やチェックサム値を計算し、それを冗長ビットとして位置情報に付加することもできる。また、疑似雑音系列の一種であるM系列符号を位置情報として利用することもできる。M系列符号は、P次のM系列(系列長2P−1)の場合、M系列から長さPの部分系列を取り出したときに、その部分系列に現われるビットパターンがM系列中に一度しか現われない性質を利用して符号化を行うものである。
【0024】
位置コード生成部26bは、符号化された位置情報を、コード情報として埋め込む形式に変換する。例えば、第三者による解読が困難になるように、符号化された位置情報における各ビットの配置を、疑似乱数等により入れ替えたり暗号化したりすることができる。また、位置コードが2次元配置される場合は、ビット値をコードの配置と同様に2次元配置しておく。
【0025】
尚、本実施の形態において、位置情報符号化部26aは、印刷属性ごとに予め生成され格納された符号化位置情報の中から、情報分離部23から渡された印刷属性に応じた符号化位置情報を選択するものとする。用紙サイズ、向き、縮小/拡大、N−up等の印刷が決まれば、用紙上に印刷する位置コードは1つに特定できるからである。
一方、印刷属性が常に同じ場合は、用紙上に印刷する位置コードも常に同じになる。従って、同じ印刷属性での印刷のみを行う場合は、位置情報符号化部26aと位置コード生成部26bとをまとめて、1セットの位置コードを格納する位置コード格納部とし、常にその位置コードを用いるようにしてもよい。
【0026】
識別情報符号化部26cは、識別情報が入力されると、識別情報を所定の符号化方式により符号化する。この符号化には、位置情報の符号化に使用したのと同様の方式を使用することができる。
識別コード生成部26dは、符号化された識別情報を、コード情報として埋め込む形式に変換する。例えば、第三者による解読が困難になるように、符号化された識別情報における各ビットの配置を、疑似乱数等により入れ替えたり暗号化したりすることができる。また、識別コードが2次元配置される場合は、ビット値をコードの配置と同様に2次元配置しておく。
【0027】
コード配置部26gは、コードと同じ形式に配置された符号化位置情報と符号化識別情報とを合成し、出力画像サイズに相当する2次元コード配列を生成する。このとき、符号化位置情報としては、配置位置により異なる位置情報を符号化した符号を使用し、符号化識別情報としては、位置によらず同じ情報を符号化した符号を使用する。
パターン画像生成部26iは、2次元コード配列における配列要素のビット値を確認し、各ビット値に対応するビットパターン画像をパターン格納部26hより取得して、2次元コード配列を画像化したコード画像として出力する。
【0028】
尚、これらの機能部分は、ソフトウェアとハードウェア資源とが協働することにより実現される。具体的には、識別情報管理サーバ200の図示しないCPUが、受信部20a、対応情報管理部21、情報分離部23、文書画像生成部24、コード画像生成部26、画像合成部28、送信部20bの各機能を実現するプログラムを外部記憶装置から主記憶装置に読み込んで処理を行う。
【0029】
次に、この識別情報管理サーバ200が端末装置100からの指示に応じて画像形成装置400に対し画像出力指示を送信する際の動作について説明する。
識別情報管理サーバ200では、まず、受信部20aが、端末装置100から印刷対象の電子文書の格納場所の指定と印刷属性とを含む印刷指示を受信する。そして、受信した情報のうち、印刷属性は対応情報管理部21に受け渡され、対応情報管理部21がこの印刷属性を保持する。また、電子文書の格納場所は送信部20bに受け渡され、送信部20bがこの格納場所から印刷対象の電子文書を取得する要求を文書管理サーバ300に送出する。
これにより、文書管理サーバ300が印刷対象の電子文書を識別情報管理サーバ200へ送信し、識別情報管理サーバ200では、受信部20aがこの電子文書を受信し、対応情報管理部21に受け渡す。そして、対応情報管理部21は、識別情報リポジトリ250から識別情報を取り出し、識別情報と電子文書の格納場所との対応を対応情報DB22に登録する。また、印刷対象の電子文書の特定の位置を指定することにより参照対象の電子文書にリンクするようになっている場合は、その位置情報と参照対象の電子文書の格納場所との対応も対応情報DB22に登録する。
【0030】
ここで、図3を参照して対応情報DB22の内容について説明する。
図示するように、対応情報DB22は、識別情報と、印刷対象の電子文書(原稿データ)の格納場所と、原稿データにおけるページ番号と、原稿データにおける位置情報と、その位置情報の指定に応じて参照される電子文書(参照データ)とを少なくとも含む。
例えば、フォルダ「server.fujixerox.co.jp/f1」の配下にある原稿データ「doc00.doc」の1ページ目には識別情報「00000001」が割り振られ、同じ原稿データの2ページ目には識別情報「00000002」が割り振られている。
また、フォルダ「server.fujixerox.co.jp/f2」の配下にある原稿データ「doc00.doc」は1ページのみからなっているが、その特定の位置を指定すると、フォルダ「server.fujixerox.co.jp/f9」の配下にある参照データ「pre00.ppt」にアクセスできることを示している。尚、このような文書が想定される場面としては、「doc00.doc」が会議開催通知であり、「pre00.ppt」がその会議で使うプレゼンテーション資料であるケース等が考えられる。
尚、ここでは、識別情報として、一連番号を採用した。しかしながら、画像形成装置の識別情報と画像形成日時とを組み合わせることにより識別情報を生成することとすれば、後述する処理で識別情報が更新されることにより、出力履歴が媒体上に記録されるという副次的な効果も得られる。
【0031】
このように対応情報DB22に情報の登録を行うと、対応情報管理部21は、電子文書と、識別情報と、先に保持しておいた印刷属性とを、情報分離部23に受け渡す。
情報分離部23は、受け渡された情報を、コード生成に必要な情報と、文書画像の生成に必要な情報とに分離し、前者をコード画像生成部26に、後者を文書画像生成部24に出力する。
これにより、位置情報符号化部26aで、印刷属性に対応する位置情報が符号化され、位置コード生成部26bで、符号化された位置情報を示す位置コードが生成される。また、識別情報符号化部26cで、識別情報が符号化され、識別コード生成部26dで、符号化された識別情報を示す識別コードが生成される。
そして、コード配置部26gにより出力画像サイズに相当する2次元コード配列が生成され、パターン画像生成部26iにより2次元コード配列に対応するパターン画像が生成される。
【0032】
一方で、文書画像生成部24が、電子文書の文書画像を生成する。
そして、最後に、この文書画像生成部24が生成した文書画像と、先にコード画像生成部26が生成したコード画像とが、画像合成部28にて合成され、送信部20bに受け渡される。これにより、送信部20bが、合成後の画像の出力指示を画像形成装置400に対して送信する。
この画像出力指示に応じて、画像形成装置400が、印刷対象の電子文書の文書画像とコード画像との合成画像を媒体に印刷し、ユーザは印刷物500を得ることになる。
【0033】
図4(a)〜(c)は、識別情報管理サーバ200のコード画像生成部26によって生成され、画像形成装置400にて印刷される2次元コード画像を説明するための図である。図4(a)は不可視画像によって形成され、配置される2次元コード画像の単位を模式的に示すために格子状に表現した図である。また、図4(b)は不可視画像が赤外光照射により認識された2次元コード画像の1単位を示した図である。更に、図4(c)は、バックスラッシュ「\」とスラッシュ「/」の斜線パターンを説明するための図である。
【0034】
画像形成装置400にて形成される2次元コード画像は、例えば、可視光領域(400nm〜700nm)における最大吸収率が例えば7%以下であり、近赤外領域(800nm〜1000nm)における吸収率が例えば30%以上の不可視トナーによって形成される。また、この不可視トナーは、画像の機械読み取りのために必要な近赤外光吸収能力を高めるために、平均分散径は100nm〜600nmの範囲のものが採用される。ここで、「可視」及び「不可視」は、目視により認識できるかどうかとは関係しない。印刷された媒体に形成された画像が可視光領域における特定の波長の吸収に起因する発色性の有無により認識できるかどうかで「可視」と「不可視」とを区別している。
【0035】
この図4(a)〜(c)に示す2次元コード画像は、赤外光照射による機械読取りと復号化処理とが長期に亘って安定して可能で、かつ、情報が高密度に記録できる不可視画像で形成される。また、画像を出力する媒体表面の可視画像が設けられた領域とは関係なく、任意の領域に設けることが可能な不可視画像であることが好ましい。本実施の形態では、印刷される媒体の大きさに合わせて媒体一面(紙面)の全面に不可視画像が形成される。また、例えば、目視した際に光沢差によって認識できる不可視画像であることが更に好ましい。但し、「全面」とは、用紙の四隅を全て含む意味ではない。電子写真方式等の装置では、通常、紙面の周囲は印刷できない範囲である場合が多いことから、かかる範囲には不可視画像を印刷する必要はない。
【0036】
図4(b)に示す2次元コードパターンは、媒体上の座標位置を示す位置コードが格納される領域と、電子文書又は印刷媒体を一意に特定するための識別コードが格納される領域とを含んでいる。また、同期コードが格納される領域も含んでいる。そして、図4(a)に示すように、この2次元コードパターンが複数、配置され、印刷される媒体の大きさに合わせて媒体一面(紙面)の全面に異なる位置情報が格納された2次元コードが格子状に配置される。即ち、媒体一面に、図4(b)に示すような2次元コードパターンが複数個、配置され、その各々が、位置コード、識別コード、及び同期コードを備えている。そして、複数の位置コードの領域には、それぞれ配置される場所により異なる位置情報が格納されている。一方、複数の識別コードの領域には、配置される場所によらず同じ識別情報が格納されている。
【0037】
図4(b)において、位置コードは、6ビット×6ビットの矩形領域内に配置されている。各ビット値は、回転角度が異なる複数の微小ラインビットマップで形成され、図4(c)に示される斜線パターン(パターン0とパターン1)で、ビット値0とビット値1を表現している。より具体的には、相互に異なる傾きを有するバックスラッシュ「\」及びスラッシュ「/」を用いてビット0とビット1とを表現している。斜線パターンは600dpiで8×8画素の大きさで構成されており、左上がりの斜線パターン(パターン0)がビット値0を、右上がりの斜線パターン(パターン1)がビット値1を表現する。従って、1つの斜線パターンで1ビットの情報(0又は1)を表現できる。このような2種類の傾きからなる微小ラインビットマップを用いることで、可視画像に与えるノイズが極めて小さく、かつ大量の情報を高密度にデジタル化して埋め込むことが可能な2次元コードパターンを提供することが可能となる。
【0038】
即ち、図4(b)に示した位置コード領域には合計36ビットの位置情報が格納されている。この36ビットのうち、18ビットをX座標の符号化に、18ビットをY座標の符号化に使用することができる。各18ビットを全て位置の符号化に使用すると、218通り(約26万通り)の位置を符号化できる。各斜線パターンが図4(c)に示したように8画素×8画素(600dpi)で構成されている場合には、600dpiの1ドットは0.0423mmであることから、図4(b)の2次元コード(同期コードを含む)の大きさは、縦横共に3mm程度(8画素×9ビット×0.0423mm)となる。3mm間隔で26万通りの位置を符号化した場合、約786mの長さを符号化できる。このように18ビット全てを位置の符号化に使用してもよいし、或いは、斜線パターンの検出誤りが発生するような場合には、誤り検出や誤り訂正のための冗長ビットを含めてもよい。
【0039】
また、識別コードは、2ビット×8ビット及び6ビット×2ビットの矩形領域に配置されており、合計28ビットの識別情報を格納できる。識別情報として28ビットを使用した場合は、228通り(約2億7千万通り)の識別情報を表現できる。識別コードも位置コードと同様に、28ビットの中に誤り検出や誤り訂正のための冗長ビットを含めることができる。
【0040】
尚、図4(c)に示す例では、2つの斜線パターンは互いに角度が90度異なるが、角度差を45度とすれば4種類の斜線パターンを構成できる。このように構成した場合は、1つの斜線パターンで2ビットの情報(0〜3)を表現できる。即ち、斜線パターンの角度種類を増やすことで、表現できるビット数を増加することができる。
また、図4(c)に示す例では、斜線パターンを使用してビット値の符号化を説明しているが、選択できるパターンは斜線パターンに限らない。ドットのON/OFFや、ドットの位置を基準位置からずらす方向により符号化する方法も採用することが可能である。
【0041】
次に、このようにして得られた印刷物500を画像形成装置400にスキャン入力し、複写物600を得る際の動作について説明する。尚、本実施の形態において、このようにして得られる複写物600は、印刷物500のそのままのコピーであるとは限らない。即ち、印刷物500に対応する電子文書がバージョンアップされている場合に、複写物600をそのようなバージョンアップに対応したものとすることを可能にしている。
例えば、図3に示した対応情報DB22で管理される電子文書について、画像形成装置400にて印刷物500を出力した後、図5に示すような更新が行われたものとする。図5において、「Rev.」欄はバージョンを表し、バージョンごとに電子文書の格納場所が対応付けられている。尚、これらの情報は、電子文書の管理情報であるので、本実施の形態では、文書管理サーバ300にて管理されるものとする。
【0042】
図5(a)は、フォルダ「server.fujixerox.co.jp/f1」の配下にある原稿データ「doc00.doc」の更新の履歴について示す。バージョン0(オリジナル)の電子文書は「doc00.doc」であり、バージョン1は「doc01.doc」、バージョン2は「doc02.doc」、バージョン3は「doc03.doc」というように、バージョンごとにファイル名を変えて管理している。
図5(b)は、図5(a)のような原稿データの更新の履歴ではなく、参照データの更新の履歴を示している。即ち、フォルダ「server.fujixerox.co.jp/f9」の配下にある参照データ「pre00.ppt」の更新の履歴について示す。図5(a)と同様、バージョン0(オリジナル)、バージョン1、バージョン2とファイル名を変えて管理している。
図5(c)は、図5(a)と同様、原稿データの更新の履歴を示しており、バージョン0(オリジナル)、バージョン1、バージョン2、バージョン3、バージョン4とファイル名を変えて管理している。
尚、ここでは、バージョンごとにファイル名を変えて管理するようにしたが、同じファイル名でバージョンの違いを管理可能なファイルシステムであれば、ファイル名は必ずしも変える必要はない。
【0043】
次に、図6を参照して、画像形成装置400の構成のうち、印刷部500のスキャンから複写物600に印刷する画像の出力までの動作に係る構成について説明する。
画像形成装置400のこの動作に係る部分は、受信部450aと、不可視画像取得部451と、識別情報取得部452と、可視画像取得部453と、指定情報取得部454と、画像合成部455と、画像出力部456と、送信部450bとからなる。
【0044】
受信部450aは、スキャンされた媒体に対応する電子文書に関してどのようなバージョンがあるかの情報(以下、「バージョン情報」という)や、文書画像とコード画像が重畳された画像の出力指示を記述したPDLを受信する。
不可視画像取得部451は、赤外光を照射することにより、不可視画像を認識する。識別情報取得部452は、その不可視画像から識別情報を取り出す。可視画像取得部453は、公知のスキャナの機構により可視画像を取得する。
指定情報取得部454は、電子文書のバージョンやコード画像の付加方法の指定をユーザに促し、ユーザにより指定された情報を取得する。
画像合成部455は、指定情報取得部454により取得された情報に従い、不可視画像と可視画像とを合成する。
画像出力部456は、その合成された画像又は識別情報管理サーバ200で生成された画像を受け取り、画像形成装置400の本体(後述する図12の機構)に出力する。尚、この画像出力部456は、このように出力すべき画像を取得する機能を含んでいるので、画像取得部として把握することもできる。
送信部450bは、バージョン情報の送信要求や、出力する画像の生成要求を送信する。
【0045】
次に、このような構成を有する画像形成装置400と、先に述べた構成の識別情報管理サーバ200とが情報を交換することにより、電子文書の所望のバージョンの画像が印刷された複写物600を得る動作について説明する。
まず、図7を参照して、画像形成装置400がスキャン画像からコード画像を認識し、識別情報を取得する動作について説明する。尚、コード画像以外の可視画像は、可視画像取得部453が、公知技術を用いて取得する。
プラテン上に媒体が載せられると、不可視画像取得部451は、赤外光を媒体に照射する(ステップ401)。媒体に照射される赤外光は不可視画像にて吸収され、それ以外の部分では反射される。不可視画像取得部451ではこの反射された赤外光を受光し、赤外光が検出できなかった部分をコード画像として認識し、入力する(ステップ402)。
【0046】
その後、不可視画像取得部451では、ステップ403〜ステップ409に示すコード画像検出処理が実行される。まず、不可視画像取得部451は、入力されたスキャン画像を整形する(ステップ403)。このスキャン画像の整形は、傾き補正やノイズ除去等である。そして、整形されたスキャン画像からスラッシュ「/」やバックスラッシュ「\」等のビットパターン(斜線パターン)を検出する(ステップ404)。また一方で、整形されたスキャン画像から、2次元コード位置決め用のコードである同期コードを検出する(ステップ405)。不可視画像取得部451は、この同期コード位置を参照して2次元コードを検出する(ステップ406)。また、2次元コードからECC(Error Correcting Code:誤り訂正符号)等の情報を取り出し復号する(ステップ407)。そして、復号した情報を元の情報に復元する(ステップ408)。
次に、識別情報取得部452では、以上のようにして復元したコード情報から識別情報を取り出す(ステップ409)。そして、この識別情報は、識別情報管理サーバ200に有線又は無線で送信される(ステップ410)。
【0047】
これにより、識別情報管理サーバ200は、図8に示したような動作を行う。
まず、識別情報管理サーバ200では、受信部20aが識別情報を受信し、対応情報管理部21に受け渡す(ステップ201)。識別情報を受け渡された対応情報管理部21は、対応情報DB22を参照し、その識別情報に対応する電子文書の格納場所を特定し、その格納場所を送信部20bに通知する(ステップ202)。そして、送信部20bは、文書管理サーバ300に対し、その格納場所にある電子文書に関するバージョン情報の送信を要求する(ステップ203)。
この要求に応じて、文書管理サーバ300は、図5に示したような情報に基づいてバージョン情報を取得し、識別情報管理サーバ200に送信する。一方、識別情報管理サーバ200では、受信部20aが、このバージョン情報を受信する(ステップ204)。そして、バージョン情報はそのまま送信部20bに受け渡され、送信部20bから画像形成装置400へと送信される(ステップ205)。
【0048】
その後、画像形成装置400は、図9に示したような動作を行う。即ち、受信部450aで受信されたバージョン情報は指定情報取得部454へ渡され、指定情報取得部454は、そのバージョン情報を画像形成装置400の図示しない表示装置に表示する(ステップ411)。例えば、スキャンした媒体に印刷された画像の元となる電子文書に対し、いつどのような更新がなされたか等の情報が表示される。また、電子文書が更新されている場合は、スキャンした媒体に対応するバージョンのままにしておくか、その後のいずれかのバージョン(望ましくは最新バージョン)に合致するものとするかの問い合わせメッセージも表示する。そして、更に、複写物600に付加するコード画像について、「コード画像は付加しない」、「スキャンした媒体に既に埋め込まれていたコード画像と同じコード画像を付加する」、「スキャンした媒体に既に埋め込まれていたコード画像とは異なるコード画像を付加するが、全てのコピーに付加するコード画像は同じものとする」、「スキャンした媒体に既に埋め込まれていたコード画像とは異なるコード画像を付加し、コピー一枚ごとに違うコード画像とする」といった選択肢も表示する。
【0049】
ユーザが、これらの表示の中から、所望の条件を指定し、用紙サイズ、向き、縮小/拡大、N−up、両面印刷等の印刷属性を指定すると、指定情報取得部454は、その指定された情報を取得する(ステップ412)。そして、その情報に応じた処理を行う。
即ち、まず、指定情報取得部454は、スキャン画像をそのまま印刷することが指示されたかどうかを判定する(ステップ413)。
【0050】
その結果、スキャン画像をそのまま印刷することが指定されている場合は、次に、コード画像を付加するかどうかを判定する(ステップ414)。
ここで、コード画像を付加しないと判定された場合は、その旨を画像合成部455に伝え、画像合成部455は、可視画像取得部453が取得した可視画像のみを画像出力部456に受け渡す。そして、画像出力部456は、可視画像のみを画像形成装置400の本体に出力する(ステップ417)。
また、コード画像を付加すると判定された場合は、スキャン画像に埋め込まれたコード画像と同じコード画像を付加するかどうかを判定する(ステップ415)。そして、同じコード画像を付加するのであれば、その旨を画像合成部455に伝え、画像合成部455は、不可視画像取得部451が取得した不可視画像と、可視画像取得部453が取得した可視画像とを重畳し(ステップ416)、その重畳後の画像を画像出力部456に受け渡す。そして、画像出力部456は、この重畳後の画像を画像形成装置400の本体に出力する(ステップ417)。
【0051】
一方、スキャン画像をそのまま印刷しないことが指定された場合や、スキャン画像をそのまま印刷するが異なるコード画像を印刷することが指定された場合は、送信部450bに制御が移り、送信部450bが識別情報管理サーバ200に対し画像生成を要求する(ステップ418)。尚、前者は、例えば、電子文書の新しいバージョンの画像を印刷する場合に相当し、後者は、例えば、画像に埋め込まれたリンク先のみを新しいバージョンに変更する場合に相当する。
これにより、識別情報管理サーバ200にて画像が生成され、画像出力指示が画像形成装置400に対し送信される。画像形成装置400では、受信部450aが画像出力指示を受信して画像出力部456に渡す(ステップ419)。そして、画像出力部456が、画像データを画像形成装置400の本体に出力する(ステップ417)。
【0052】
ここで、ステップ418にて送信された画像生成要求を受信した識別情報管理サーバ200の動作を、図10を参照して説明する。尚、ステップ418にて送信された画像生成要求には、印刷したいバージョンと、コード情報の付加方法と、印刷属性とが含まれる。
まず、識別情報管理サーバ200では、受信部20aが、これらの情報を受信する(ステップ211)。この受信した情報は、そのまま送信部20bへと送信され、送信部20bが対象となる電子文書の指定されたバージョンの送信を文書管理サーバ300に対し要求する(ステップ212)。これにより、文書管理サーバ300は要求されたバージョンの電子文書を識別情報管理サーバ200に送信し、受信部20aがその電子文書を受信し、対応情報管理部21に受け渡す(ステップ213)。
【0053】
次に、対応情報管理部21は、部ごとに異なる識別情報を付与することが指定されているかどうかを判定する(ステップ214)。
その結果、部ごとに異なる識別情報を付与する必要がなければ、対応情報管理部21は、識別情報リポジトリ250から1つの識別情報を取り出し、識別情報とそのバージョンの電子文書の格納場所との対応を対応情報DB22に登録する。また、印刷対象の電子文書の特定の位置を指定することにより参照対象の電子文書にリンクするようになっている場合は、その位置情報と参照対象の電子文書の格納場所の対応も対応情報DB22に登録する(ステップ215)。そして、部数分の同じ識別情報と電子文書との組み合わせを情報分離部23に受け渡す(ステップ216)。
【0054】
一方、部ごとに異なる識別情報を付与する必要があれば、対応情報管理部21は、識別情報リポジトリ250から部数分の識別情報を取り出し、識別情報とそのバージョンの電子文書の格納場所との部数分の対応を対応情報DB22に登録する。また、印刷対象の電子文書の特定の位置を指定することにより参照対象の電子文書にリンクするようになっている場合は、その位置情報と参照対象の電子文書の格納場所の対応も対応情報DB22に登録する(ステップ217)。そして、部数分の異なる識別情報と電子文書との組み合わせを情報分離部23に受け渡す(ステップ218)。
【0055】
ここで、図11を参照して対応情報DB22の内容について説明する。
図には、図3の状態から追加された情報として、識別情報「00000101」〜「00000104」、識別情報「00000201」、識別情報「00000301」、「00000302」が示されている。
識別情報「00000101」〜「00000104」は、識別情報「00000001」、「00000002」に対応する電子文書の最新バージョンを用いて印刷したときに登録された情報である。尚、ここでは、同じ原稿データの同じページに対し、異なる識別情報が割り振られている。即ち、これは、ステップ217、218のように部ごとに異なる識別情報を付与した場合の例である。
また、識別情報「00000201」は、識別情報「00000003」に対応する参照データを最新バージョンにしたときに登録された情報である。
更に、識別情報「00000301」、「00000302」は、識別情報「00000004」、「00000005」に対応する電子文書の最新バージョンを用いて印刷したときに登録された情報である。
【0056】
このように対応情報DB22に情報の登録を行うと、対応情報管理部21は、電子文書と、識別情報と、先に取得しておいた印刷属性とを、情報分離部23に受け渡す。
情報分離部23は、受け渡された情報を、コード生成に必要な情報と、文書画像の生成に必要な情報とに分離し、前者をコード画像生成部26に、後者を文書画像生成部24に出力する。
これにより、位置情報符号化部26aで、印刷属性に対応する位置情報が符号化され、位置コード生成部26bで、符号化された位置情報を示す位置コードが生成される。また、識別情報符号化部26cで、識別情報が符号化され、識別コード生成部26dで、符号化された識別情報を示す識別コードが生成される。
そして、コード配置部26gにより出力画像サイズに相当する2次元コード配列が生成され、パターン画像生成部26iにより2次元コード配列に対応するパターン画像が生成される。
【0057】
一方で、文書画像生成部24が、電子文書の文書画像を生成する。
そして、最後に、この文書画像生成部24が生成した文書画像と、先にコード画像生成部26が生成したコード画像とが、画像合成部28にて合成され、送信部20bに受け渡される。これにより、送信部20bが、合成後の画像を画像形成装置400に対して送信する。
【0058】
次に、画像形成装置400について詳細に説明する。
図12は、画像形成装置400の構成例を示した図である。図12に示す画像形成装置400は、所謂タンデム型の装置であって、例えば、電子写真方式にて各色成分のトナー像が形成される複数の画像形成ユニット41(41Y、41M、41C、41K、41I)、各画像形成ユニット41にて形成された各色成分トナー像を順次転写(一次転写)して保持させる中間転写ベルト46、中間転写ベルト46上に転写された重ね画像を用紙(媒体)Pに一括転写(二次転写)させる二次転写装置410、二次転写された画像を用紙P上に定着させる定着装置440を備えている。
【0059】
この画像形成装置400では、常用色(通常色)であるイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)のトナー像を形成する画像形成ユニット41Y、41M、41Cの他に、赤外に吸収を持たない黒(K)のトナー像を形成する画像形成ユニット41K、不可視のトナー像を形成する画像形成ユニット41Iがタンデムを構成する画像形成ユニットの一つとして設けられている。
また、画像形成ユニット41Iでは、画像形成ユニット41Y、41M、41C、41Kで使用されるYトナー、Mトナー、Cトナー、Kトナーよりも赤外光の吸収が多い色材が使用される。このような色材としては、例えば、バナジルナフタロシアニンを含む色材が挙げられる。尚、画像形成ユニット41Kで使用されるKトナーは、コード画像の検出をより容易にするために、画像形成ユニット41Iで使用する色材より赤外光の吸収が少ない色材を使用するのが望ましいが、カーボンを含む色材のように、一般的に使用されている赤外光を吸収する色材を使用することもできる。
【0060】
本実施の形態において、各画像形成ユニット41(41Y、41M、41C、41K、41I)は、矢印A方向に回転する感光体ドラム42の周囲に、これらの感光体ドラム42を帯電させる帯電器43、感光体ドラム42上に静電潜像を書き込むレーザ露光器44(図中露光ビームを符号Bmで示す)、各色成分トナーが収容されて感光体ドラム42上の静電潜像をトナーにより可視像化する現像器45、感光体ドラム42上に形成された各色成分トナー像を中間転写ベルト46に転写する一次転写ロール47、感光体ドラム42上の残留トナーを除去するドラムクリーナ48等の電子写真用デバイスが順次配設されている。これらの画像形成ユニット41は、中間転写ベルト46の上流側から、黄(Y色)、マゼンタ(M色)、シアン(C色)、黒(K色)、不可視(I色)の順に配置されている。
【0061】
また、中間転写ベルト46は、各種ロールによって図に示すB方向に回動可能に構成されている。この各種ロールとして、図示しないモータにより駆動されて中間転写ベルト46を回動させる駆動ロール415、中間転写ベルト46に対して一定の張力を与えると共に中間転写ベルト46の蛇行を防止する機能を備えたテンションロール416、中間転写ベルト46を支持するアイドルロール417、及び、バックアップロール412(後述)を有している。
【0062】
また、一次転写ロール47には、トナーの帯電極性と逆極性の電圧が印加されるようになっており、これにより各々の感光体ドラム42上のトナー像が中間転写ベルト46に順次、静電吸引され、中間転写ベルト46上に重ねトナー像が形成されるようになっている。更に、二次転写装置410は、中間転写ベルト46のトナー像担持面側に圧接配置される二次転写ロール411と、中間転写ベルト46の裏面側に配置されて二次転写ロール411の対向電極をなすバックアップロール412とを備えており、このバックアップロール412には二次転写バイアスが安定的に印加される金属製の給電ロール413が当接配置されている。そして、二次転写ロール411には、二次転写ロール411に付着した汚れを除去するブラシロール414が接触配置されている。
また、二次転写ロール411の下流側には二次転写後の中間転写ベルト46の表面をクリーニングするベルトクリーナ421が設けられている。
【0063】
更に、本実施の形態では、用紙搬送系として、用紙Pを収容する用紙トレイ430、この用紙トレイ430に集積された用紙Pを所定のタイミングで取り出して搬送するピックアップロール431、ピックアップロール431にて繰り出された用紙Pを搬送する搬送ロール432、搬送ロール432により搬送された用紙Pを二次転写装置410による二次転写位置へと送り込む搬送シュート433、二次転写後の用紙Pを定着装置440へと搬送する搬送ベルト434を備えている。
【0064】
次に、この画像形成装置400の作像プロセスについて説明する。ユーザによりスタートスイッチ(図示せず)がオン操作されると、所定の作像プロセスが実行される。具体的に述べると、例えばこの画像形成装置400をカラープリンタとして構成する場合には、ネットワーク900から送信されたデジタル画像信号をメモリに一時的に蓄積し、その蓄積されている5色(Y、M、C、K、I)のデジタル画像信号に基づいて各色のトナー像形成を行わせるようにする。
【0065】
即ち、画像処理によって得られた各色の画像記録信号に基づいて画像形成ユニット41(41Y、41M、41C、41K、41I)をそれぞれ駆動する。そして、各画像形成ユニット41Y、41M、41C、41K、41Iでは、帯電器43により一様に帯電された感光体ドラム42に対し、画像記録信号に応じた静電潜像が、レーザ露光器44によりそれぞれ書き込まれる。また、書き込まれた各静電潜像を各色のトナーが収容される現像器45により現像して各色のトナー像が形成される。
【0066】
そして、各感光体ドラム42に形成されたトナー像は、各感光体ドラム42と中間転写ベルト46とが接する一次転写位置で、一次転写ロール47により印加される一次転写バイアスにより感光体ドラム42から中間転写ベルト46の表面に一次転写される。このようにして中間転写ベルト46に一次転写されたトナー像は中間転写ベルト46上で重ね合わされ、中間転写ベルト46の回動に伴って二次転写位置へと搬送される。
【0067】
一方、用紙Pは、所定のタイミングで二次転写装置410の二次転写位置へと搬送され、中間転写ベルト46(バックアップロール412)に対して二次転写ロール411が用紙Pをニップする。そして、二次転写ロール411とバックアップロール412との間に形成される二次転写電界の作用で、中間転写ベルト46に担持された重ねトナー像が用紙Pに二次転写される。
その後、トナー像が転写された用紙Pは、搬送ベルト434によって定着装置440へと搬送され、トナー像の定着が行われる。一方、二次転写後の中間転写ベルト46は、ベルトクリーナ421によって残留トナーが除去される。
【0068】
尚、本実施の形態では、電子文書がバージョンアップされた場合に、媒体のコード画像を例えば最新バージョンに合致するように更新した。しかしながら、電子文書どうしが旧バージョン/新バージョンという関係にある場合だけでなく、他のいかなる関係にある場合にも本発明は適用可能である。
【0069】
以上述べたように、本実施の形態では、ある電子文書に対応するコード情報が埋め込まれた媒体をコピーする際に、そのコード画像に代えて、その電子文書に関連する他の電子文書に対応するコード画像を埋め込むようにした。このような構成により、印刷物やその複写物に埋め込まれた情報を、その元となる原稿データやそこで参照される参照データの更新等に応じて容易に変更できるようになった。
【0070】
また、本実施の形態では、コピーの際に、「コード画像は付加しない」、「スキャンした媒体に既に埋め込まれていたコード画像と同じコード画像を付加する」、「スキャンした媒体に既に埋め込まれていたコード画像とは異なるコード画像を付加するが、全てのコピーに付加するコード画像は同じものとする」、「スキャンした媒体に既に埋め込まれていたコード画像とは異なるコード画像を付加し、コピー一枚ごとに違うコード画像とする」といった選択を可能とした。これにより、複写目的に合ったコピーを簡単に提供できるようになる。
例えば、1つの印刷物から複数部の複写物を得る場合に、個々の複写物に異なるコード画像を埋め込めば、配布した複数の複写物の中から特定の1枚を探すことが可能となる。即ち、コピーのセキュリティの確保を図ることができる。一方で、このようなセキュリティ確保の必要がなく、簡単な処理で良い場合には、同じコード画像を全ての複写物に一律に付加することもできる。
【0071】
更に、本実施の形態では、コード画像を最新バージョンに合致するものに更新するだけではなく、媒体上に可視画像として印刷された画像についてもサーバに格納された電子文書に基づいて印刷することを可能としている。これにより、複写を繰り返すことによる画像の劣化を回避することが可能となっている。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】本発明の実施の形態が適用されるシステムの全体構成を示した図である。
【図2】本発明の実施の形態における識別情報管理サーバの機能構成を示したブロック図である。
【図3】本発明の実施の形態における対応情報DBの記憶内容の例を示した図である。
【図4】本発明の実施の形態において媒体上に印刷される2次元コード画像を説明するための図である。
【図5】本発明の実施の形態における電子文書のバージョンの管理について示した図である。
【図6】本発明の実施の形態における画像形成装置の複写指示から画像出力までの動作に係る機能構成を示したブロック図である。
【図7】本発明の実施の形態の画像形成装置における識別情報の取得に係る動作を示したフローチャートである。
【図8】本発明の実施の形態の識別情報管理サーバにおけるバージョン情報の取得に係る動作を示したフローチャートである。
【図9】本発明の実施の形態の画像形成装置における電子文書のバージョン及びコード情報の付加方法の指定に係る動作を示したフローチャートである。
【図10】本発明の実施の形態の識別情報管理サーバにおける複写指示に応じた画像生成に係る動作を示したフローチャートであるある。
【図11】本発明の実施の形態における対応情報DBの記憶内容の更新後の例を示した図である。
【図12】本発明の実施の形態における画像形成装置の構成例を示した図である。
【符号の説明】
【0073】
20a,450a…受信部、20b,450b…送信部、21…対応情報管理部、22…対応情報DB、23…情報分離部、24…文書画像生成部、25…文書画像バッファ、26…コード画像生成部、27…コード画像バッファ、28,455…画像合成部、100…端末装置、200…識別情報管理サーバ、300…文書管理サーバ、400…画像形成装置、451…不可視画像取得部、452…識別情報取得部、453…可視画像取得部、454…指定情報取得部、456…画像出力部、500…印刷物、600…複写物
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機等の画像形成装置、この画像形成装置に出力する画像を生成するサーバ、この画像形成装置及びサーバを含む複写システム等に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、細かなドットが印刷された特殊な用紙に文字や絵を描き、ユーザがこの用紙上に書いた文字等のデータをパソコンや携帯電話等に転送し、この内容の保存や、メール送信を可能とする技術が注目されている。この技術では、この特殊な用紙に例えば0.3mm程度の間隔にて小さなドットが印刷され、これが例えば所定の大きさのグリッドごとに、全て異なるパターンを描くように構成されている。これを、例えばデジタルカメラを内蔵した専用のペンを用いて読み込むことで、この特殊な用紙上に書かれた文字等の位置を特定することができ、このような文字等を電子情報として利用することが可能となる。
【0003】
ここで、公報記載の従来技術として、電子文書とその電子文書が印刷された用紙とを紐付けておき、用紙上に書かれた文字等と電子文書とを融合する技術もある(例えば、特許文献1参照)。具体的には、電子文書のページの識別情報と、用紙上での位置情報とを、機械読取り可能な2次元コード等に代表されるコード画像へ埋め込み、電子文書と重畳してプリンタ等により印刷する。次に、ペン型のスキャナを用いて、印刷文書への筆記動作と、筆記箇所の部分画像とを印刷文書から連続的に取得する。そして、取得した画像を解析することにより、電子文書のページの識別情報と部分画像の印刷文書上での複数の位置情報を検出する。その後、検出した識別情報によりオリジナルの電子文書のページを識別すると共に、複数の位置情報により印刷文書上に筆記された内容を再現することで、オリジナルの電子文書のページに対してその筆記された内容を付加することを可能としている。
【0004】
また、別の従来技術として、リンク先の情報を用紙に埋め込むものもある(例えば、特許文献2参照)。この特許文献2では、不可視の透かしが埋め込まれた印刷物を携帯端末で撮影してサーバへ送信することにより、サーバが対応するURLをその携帯端末に返信している。
更に、媒体どうしの複写関係を管理する技術も公知である(例えば、特許文献3参照)。この特許文献3では、媒体にIDを埋め込んでおき、複写時にIDを新しいIDに付け替え、複写元の媒体のIDと複写先の媒体のIDとを関連付けて管理している。
【0005】
【特許文献1】特開2004−094907号公報(第7−9頁、第14−15頁、第3−7図、第25−27図)
【特許文献2】特開2004−133698号公報(第4、5頁、第2図)
【特許文献3】特許第3584540号公報(第7、8頁、第14、15図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1、2の技術では、そもそも、一旦用紙に埋め込まれた情報が更新されることは考えられていない。また、特許文献3の技術では、用紙に埋め込まれた情報が更新されることは考えられているものの、用紙に関連付けられた電子文書等のデータの更新状況等を考慮して更新されているわけではない。
従って、例えば、用紙に印刷された画像の元となる電子データ(以下、「原稿データ」という)や、用紙に埋め込まれた情報に基づいてアクセス可能な電子データ(以下、「参照データ」という)が更新、即ち、バージョンアップされていても、用紙に埋め込まれた情報をその更新に合わせて更新することはできない。このため、更新後の最新の電子データに合致した用紙を得ようとすれば、PC(Personal Computer)から最新の電子データを探し出し、その最新の電子データに基づきプリントを行なう等の面倒で時間の掛かる作業が必要になるという問題点があった。
【0007】
本発明は、以上のような技術的課題を解決するためになされたものであって、その目的は、印刷物やその複写物に埋め込まれた情報を、その元となる原稿データやそこで参照される参照データの更新等に応じて容易に変更できるようにすることにある。
また、本発明の他の目的は、原稿データやそこで参照される参照データの最新バージョンに対応する情報が埋め込まれた用紙を入手できるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
かかる目的のもと、本発明では、コード画像が形成された媒体を複写する際に、そのコード画像に対応する電子文書の更新状況等に応じて、コード画像も書き換えるようにした。即ち、本発明の複写システムは、第1の電子文書に関連する第2の電子文書を特定するサーバと、第1の電子文書に対応する第1のコード画像が形成された媒体の複写指示に応じて、第1のコード画像の代わりに、サーバにより特定された第2の電子文書に対応する第2のコード画像を媒体に形成する画像形成装置とを備えている。
【0009】
また、本発明は、この複写システムにおける画像形成装置として捉えることもできる。その場合、本発明の画像形成装置は、第1のデータに対応する第1のコード画像が形成された媒体の複写指示を受け付ける受付部と、複写指示に応じて、第1のコード画像の代わりに、第1のデータに関連する第2のデータに対応する第2のコード画像を含む画像を取得する画像取得部と、この画像取得部により取得された画像を媒体に印刷する印刷部とを備えている。
【0010】
更に、本発明は、この複写システムにおけるサーバとして捉えることもできる。その場合、本発明のサーバは、第1の識別情報を含む画像が形成された媒体をスキャンして得られた第1の識別情報を取得する第1の識別情報取得部と、この第1の識別情報取得部により取得された第1の識別情報に対応する第1のデータを特定する第1のデータ特定部と、この第1のデータ特定部により特定された第1のデータに関連する第2のデータを特定する第2のデータ特定部と、この第2のデータ特定部により特定された第2のデータに対応する第2の識別情報を取得する第2の識別情報取得部と、第1の識別情報を含まず、かつ、第2の識別情報を含む画像を生成する画像生成部とを備えている。
【0011】
更にまた、本発明は、上記画像形成装置による画像形成の方法として捉えることもできる。その場合、本発明の画像形成方法は、第1の電子文書に対応する第1のコード画像が形成された媒体の複写指示を受け付けるステップと、複写指示に応じて、第1のコード画像の代わりに、第1の電子文書に関連する第2の電子文書に対応する第2のコード画像を含む画像を取得するステップと、取得された画像を媒体に印刷するステップとを含んでいる。
【0012】
一方、本発明は、所定の機能をコンピュータに実現させるためのプログラムとして捉えることもできる。その場合、本発明のプログラムは、コンピュータに、第1の識別情報を含む画像が形成された媒体をスキャンして得られた第1の識別情報を取得する機能と、第1の識別情報に対応する第1の電子文書を特定する機能と、第1の電子文書に関連する第2の電子文書を特定する機能と、第2の電子文書に対応する第2の識別情報を取得する機能と、第1の識別情報を含まず、かつ、第2の識別情報を含む画像を生成する機能とを実現させるためのものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、印刷物やその複写物に埋め込まれた情報を、その元となる原稿データやそこで参照される参照データの更新等に応じて容易に変更できるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、添付図面を参照して、本発明を実施するための最良の形態(以下、「実施の形態」という)について詳細に説明する。
図1は、本実施の形態が適用されるシステムの構成の一例を示したものである。このシステムは、少なくとも、電子文書の印刷を指示する端末装置100と、電子文書を印刷する際に媒体に付与する識別情報を管理し電子文書の画像にこの識別情報等を含むコード画像を重畳した画像を生成する識別情報管理サーバ200と、電子文書を管理する文書管理サーバ300と、電子文書の画像にコード画像を重畳した画像を印刷する画像形成装置400とがネットワーク900に接続されることにより構成されている。
【0015】
また、識別情報管理サーバ200には、識別情報を記憶する記憶装置としての識別情報リポジトリ250が接続され、文書管理サーバ300には、電子文書を記憶する記憶装置としての文書リポジトリ350が接続されている。
更に、このシステムは、端末装置100からの指示により画像形成装置400にて出力される印刷物500と、印刷物500を画像形成装置400にスキャン入力して得られる複写物600とを含んでいる。
【0016】
以下、本システムの動作の概略を説明する。
まず、端末装置100は、識別情報管理サーバ200に対し、文書リポジトリ350にて管理されている電子文書の画像にコード画像を重畳して印刷するよう指示する(A)。このとき、端末装置100からは、用紙サイズ、向き、縮小/拡大、N−up(用紙の1ページ内に電子文書のNページを割り付ける印刷)、両面印刷等の印刷属性も入力される。
これにより、識別情報管理サーバ200は、印刷を指示された電子文書を文書管理サーバ300から取得する(B)。そして、取得した電子文書の画像に対し、識別情報リポジトリ250にて管理されている識別情報と、印刷属性に応じて決定された位置情報とを含むコード画像を付与し、画像形成装置400にその印刷を指示する(C)。尚、ここで、識別情報とは、電子文書の画像が印刷された個々の媒体(用紙)を一意に識別する情報であり、位置情報とは、個々の媒体上の座標位置(X座標、Y座標)を特定するための情報である。
【0017】
その後、画像形成装置400は、識別情報管理サーバ200からの指示に従い、印刷物500を出力する(D)。
尚、画像形成装置400は、後で詳しく述べるが、識別情報管理サーバ200で付与されたコード画像を不可視トナーにより不可視画像として形成し、その他の画像(オリジナルの電子文書に含まれていた部分の画像)を可視トナーにより可視画像として形成するものとする。
【0018】
一方、このようにして出力された印刷物500が画像形成装置400に対しスキャン入力されたとする(E)。その場合、画像形成装置400は、識別情報管理サーバ200に対し、印刷物500に対応する電子文書の最新バージョンの問い合わせ等を行った後、例えば、最新バージョンの電子文書の画像にコード画像を付与する画像生成要求を送信する(F)。
これにより、識別情報管理サーバ200は、最新バージョンの電子文書を文書管理サーバ300から取得する(G)。そして、取得した電子文書の画像に対し、識別情報リポジトリ250にて管理されている識別情報と、印刷属性に応じて決定された位置情報とを含むコード画像を付与し、画像形成装置400にその印刷を指示する(H)。
その後、画像形成装置400は、識別情報管理サーバ200からの指示に従い、複写物600を出力する(I)。
【0019】
但し、このような構成はあくまで一例であり、識別情報管理サーバ200の機能と文書管理サーバ300の機能とを1台のサーバに持たせてもよいし、識別情報管理サーバ200の機能を画像形成装置400の画像処理部にて実現してもよい。また、本実施の形態では、電子文書を印刷対象として説明するが、例えば写真画像等の電子文書の範疇に属さない電子データを印刷対象としてもよい。その場合は、以下の説明において、「電子文書」を「データ」と読み替えればよい。
【0020】
次に、本システムの構成及び動作について、より詳細に説明する。
図2は、識別情報管理サーバ200の構成の一例を示す図である。
識別情報管理サーバ200は、受信部20aと、対応情報管理部21と、対応情報データベース(DB)22と、情報分離部23と、文書画像生成部24と、文書画像バッファ25と、コード画像生成部26と、コード画像バッファ27と、画像合成部28と、送信部20bとを備えている。
また、コード画像生成部26は、位置情報符号化部26aと、位置コード生成部26bと、識別情報符号化部26cと、識別コード生成部26dと、コード配置部26gと、パターン格納部26hと、パターン画像生成部26iとを備えている。
【0021】
受信部20aは、印刷指示、印刷対象の電子文書等の各種情報をネットワーク900から受信する。
対応情報管理部21は、対応情報DB22への情報の登録、及び、対応情報DB22からの情報の読み出しを行う。
尚、後述する印刷物500の複写時には、受信部20aが、印刷物500から得られた識別情報(第1の識別情報)を受信(取得)し、対応情報管理部21が、対応情報DB22を参照することにより、第1の識別情報に対応する電子文書(第1の電子文書)を特定する。また、第1の電子文書に関するバージョン情報を文書管理サーバ300に問い合わせた後、受信部20aが、第1の電子文書に関連する電子文書(第2の電子文書)を特定し、対応情報管理部21が、第2の電子文書に対応付けて対応情報DB22に登録すべき識別情報(第2の識別情報)を発行(取得)する。従って、受信部20aは、第1の識別情報取得部として把握できると共に、第2の電子文書特定部としても把握できる。また、対応情報管理部21は、第1の電子文書特定部として把握できると共に、第2の識別情報取得部としても把握できる。
【0022】
対応情報DB22は、媒体を識別する識別情報や、その媒体に印刷された画像の元となる電子文書の格納場所等の対応を記憶するデータベースである。
情報分離部23は、対応情報管理部21から受け渡された情報を、文書画像の生成に必要な情報と、コード画像の生成に必要な情報とに分離する。
文書画像生成部24は、情報分離部23によって分離された文書画像の生成に必要な情報に基づいて、電子文書を画像化し、文書画像バッファ25へ格納する。
コード画像生成部26は、情報分離部23によって分離されたコード画像の生成に必要な情報に基づいて、コード画像を生成し、コード画像バッファ27へ格納する。
画像合成部28は、文書画像バッファ25に格納されている文書画像と、コード画像バッファ27に格納されているコード画像とを合成する。
送信部20bは、画像合成部28による合成後の画像を出力する指示を、PostScript等に代表されるPDL(Page Description Language)として画像形成装置400へ送信する。
【0023】
位置情報符号化部26aは、位置情報を所定の符号化方式により符号化する。この符号化には、例えば、既知の誤り訂正符号であるRS(リードソロモン)符号やBCH符号を用いることができる。また、誤り検出符号として、位置情報のCRC(Cyclic Redundancy Check)やチェックサム値を計算し、それを冗長ビットとして位置情報に付加することもできる。また、疑似雑音系列の一種であるM系列符号を位置情報として利用することもできる。M系列符号は、P次のM系列(系列長2P−1)の場合、M系列から長さPの部分系列を取り出したときに、その部分系列に現われるビットパターンがM系列中に一度しか現われない性質を利用して符号化を行うものである。
【0024】
位置コード生成部26bは、符号化された位置情報を、コード情報として埋め込む形式に変換する。例えば、第三者による解読が困難になるように、符号化された位置情報における各ビットの配置を、疑似乱数等により入れ替えたり暗号化したりすることができる。また、位置コードが2次元配置される場合は、ビット値をコードの配置と同様に2次元配置しておく。
【0025】
尚、本実施の形態において、位置情報符号化部26aは、印刷属性ごとに予め生成され格納された符号化位置情報の中から、情報分離部23から渡された印刷属性に応じた符号化位置情報を選択するものとする。用紙サイズ、向き、縮小/拡大、N−up等の印刷が決まれば、用紙上に印刷する位置コードは1つに特定できるからである。
一方、印刷属性が常に同じ場合は、用紙上に印刷する位置コードも常に同じになる。従って、同じ印刷属性での印刷のみを行う場合は、位置情報符号化部26aと位置コード生成部26bとをまとめて、1セットの位置コードを格納する位置コード格納部とし、常にその位置コードを用いるようにしてもよい。
【0026】
識別情報符号化部26cは、識別情報が入力されると、識別情報を所定の符号化方式により符号化する。この符号化には、位置情報の符号化に使用したのと同様の方式を使用することができる。
識別コード生成部26dは、符号化された識別情報を、コード情報として埋め込む形式に変換する。例えば、第三者による解読が困難になるように、符号化された識別情報における各ビットの配置を、疑似乱数等により入れ替えたり暗号化したりすることができる。また、識別コードが2次元配置される場合は、ビット値をコードの配置と同様に2次元配置しておく。
【0027】
コード配置部26gは、コードと同じ形式に配置された符号化位置情報と符号化識別情報とを合成し、出力画像サイズに相当する2次元コード配列を生成する。このとき、符号化位置情報としては、配置位置により異なる位置情報を符号化した符号を使用し、符号化識別情報としては、位置によらず同じ情報を符号化した符号を使用する。
パターン画像生成部26iは、2次元コード配列における配列要素のビット値を確認し、各ビット値に対応するビットパターン画像をパターン格納部26hより取得して、2次元コード配列を画像化したコード画像として出力する。
【0028】
尚、これらの機能部分は、ソフトウェアとハードウェア資源とが協働することにより実現される。具体的には、識別情報管理サーバ200の図示しないCPUが、受信部20a、対応情報管理部21、情報分離部23、文書画像生成部24、コード画像生成部26、画像合成部28、送信部20bの各機能を実現するプログラムを外部記憶装置から主記憶装置に読み込んで処理を行う。
【0029】
次に、この識別情報管理サーバ200が端末装置100からの指示に応じて画像形成装置400に対し画像出力指示を送信する際の動作について説明する。
識別情報管理サーバ200では、まず、受信部20aが、端末装置100から印刷対象の電子文書の格納場所の指定と印刷属性とを含む印刷指示を受信する。そして、受信した情報のうち、印刷属性は対応情報管理部21に受け渡され、対応情報管理部21がこの印刷属性を保持する。また、電子文書の格納場所は送信部20bに受け渡され、送信部20bがこの格納場所から印刷対象の電子文書を取得する要求を文書管理サーバ300に送出する。
これにより、文書管理サーバ300が印刷対象の電子文書を識別情報管理サーバ200へ送信し、識別情報管理サーバ200では、受信部20aがこの電子文書を受信し、対応情報管理部21に受け渡す。そして、対応情報管理部21は、識別情報リポジトリ250から識別情報を取り出し、識別情報と電子文書の格納場所との対応を対応情報DB22に登録する。また、印刷対象の電子文書の特定の位置を指定することにより参照対象の電子文書にリンクするようになっている場合は、その位置情報と参照対象の電子文書の格納場所との対応も対応情報DB22に登録する。
【0030】
ここで、図3を参照して対応情報DB22の内容について説明する。
図示するように、対応情報DB22は、識別情報と、印刷対象の電子文書(原稿データ)の格納場所と、原稿データにおけるページ番号と、原稿データにおける位置情報と、その位置情報の指定に応じて参照される電子文書(参照データ)とを少なくとも含む。
例えば、フォルダ「server.fujixerox.co.jp/f1」の配下にある原稿データ「doc00.doc」の1ページ目には識別情報「00000001」が割り振られ、同じ原稿データの2ページ目には識別情報「00000002」が割り振られている。
また、フォルダ「server.fujixerox.co.jp/f2」の配下にある原稿データ「doc00.doc」は1ページのみからなっているが、その特定の位置を指定すると、フォルダ「server.fujixerox.co.jp/f9」の配下にある参照データ「pre00.ppt」にアクセスできることを示している。尚、このような文書が想定される場面としては、「doc00.doc」が会議開催通知であり、「pre00.ppt」がその会議で使うプレゼンテーション資料であるケース等が考えられる。
尚、ここでは、識別情報として、一連番号を採用した。しかしながら、画像形成装置の識別情報と画像形成日時とを組み合わせることにより識別情報を生成することとすれば、後述する処理で識別情報が更新されることにより、出力履歴が媒体上に記録されるという副次的な効果も得られる。
【0031】
このように対応情報DB22に情報の登録を行うと、対応情報管理部21は、電子文書と、識別情報と、先に保持しておいた印刷属性とを、情報分離部23に受け渡す。
情報分離部23は、受け渡された情報を、コード生成に必要な情報と、文書画像の生成に必要な情報とに分離し、前者をコード画像生成部26に、後者を文書画像生成部24に出力する。
これにより、位置情報符号化部26aで、印刷属性に対応する位置情報が符号化され、位置コード生成部26bで、符号化された位置情報を示す位置コードが生成される。また、識別情報符号化部26cで、識別情報が符号化され、識別コード生成部26dで、符号化された識別情報を示す識別コードが生成される。
そして、コード配置部26gにより出力画像サイズに相当する2次元コード配列が生成され、パターン画像生成部26iにより2次元コード配列に対応するパターン画像が生成される。
【0032】
一方で、文書画像生成部24が、電子文書の文書画像を生成する。
そして、最後に、この文書画像生成部24が生成した文書画像と、先にコード画像生成部26が生成したコード画像とが、画像合成部28にて合成され、送信部20bに受け渡される。これにより、送信部20bが、合成後の画像の出力指示を画像形成装置400に対して送信する。
この画像出力指示に応じて、画像形成装置400が、印刷対象の電子文書の文書画像とコード画像との合成画像を媒体に印刷し、ユーザは印刷物500を得ることになる。
【0033】
図4(a)〜(c)は、識別情報管理サーバ200のコード画像生成部26によって生成され、画像形成装置400にて印刷される2次元コード画像を説明するための図である。図4(a)は不可視画像によって形成され、配置される2次元コード画像の単位を模式的に示すために格子状に表現した図である。また、図4(b)は不可視画像が赤外光照射により認識された2次元コード画像の1単位を示した図である。更に、図4(c)は、バックスラッシュ「\」とスラッシュ「/」の斜線パターンを説明するための図である。
【0034】
画像形成装置400にて形成される2次元コード画像は、例えば、可視光領域(400nm〜700nm)における最大吸収率が例えば7%以下であり、近赤外領域(800nm〜1000nm)における吸収率が例えば30%以上の不可視トナーによって形成される。また、この不可視トナーは、画像の機械読み取りのために必要な近赤外光吸収能力を高めるために、平均分散径は100nm〜600nmの範囲のものが採用される。ここで、「可視」及び「不可視」は、目視により認識できるかどうかとは関係しない。印刷された媒体に形成された画像が可視光領域における特定の波長の吸収に起因する発色性の有無により認識できるかどうかで「可視」と「不可視」とを区別している。
【0035】
この図4(a)〜(c)に示す2次元コード画像は、赤外光照射による機械読取りと復号化処理とが長期に亘って安定して可能で、かつ、情報が高密度に記録できる不可視画像で形成される。また、画像を出力する媒体表面の可視画像が設けられた領域とは関係なく、任意の領域に設けることが可能な不可視画像であることが好ましい。本実施の形態では、印刷される媒体の大きさに合わせて媒体一面(紙面)の全面に不可視画像が形成される。また、例えば、目視した際に光沢差によって認識できる不可視画像であることが更に好ましい。但し、「全面」とは、用紙の四隅を全て含む意味ではない。電子写真方式等の装置では、通常、紙面の周囲は印刷できない範囲である場合が多いことから、かかる範囲には不可視画像を印刷する必要はない。
【0036】
図4(b)に示す2次元コードパターンは、媒体上の座標位置を示す位置コードが格納される領域と、電子文書又は印刷媒体を一意に特定するための識別コードが格納される領域とを含んでいる。また、同期コードが格納される領域も含んでいる。そして、図4(a)に示すように、この2次元コードパターンが複数、配置され、印刷される媒体の大きさに合わせて媒体一面(紙面)の全面に異なる位置情報が格納された2次元コードが格子状に配置される。即ち、媒体一面に、図4(b)に示すような2次元コードパターンが複数個、配置され、その各々が、位置コード、識別コード、及び同期コードを備えている。そして、複数の位置コードの領域には、それぞれ配置される場所により異なる位置情報が格納されている。一方、複数の識別コードの領域には、配置される場所によらず同じ識別情報が格納されている。
【0037】
図4(b)において、位置コードは、6ビット×6ビットの矩形領域内に配置されている。各ビット値は、回転角度が異なる複数の微小ラインビットマップで形成され、図4(c)に示される斜線パターン(パターン0とパターン1)で、ビット値0とビット値1を表現している。より具体的には、相互に異なる傾きを有するバックスラッシュ「\」及びスラッシュ「/」を用いてビット0とビット1とを表現している。斜線パターンは600dpiで8×8画素の大きさで構成されており、左上がりの斜線パターン(パターン0)がビット値0を、右上がりの斜線パターン(パターン1)がビット値1を表現する。従って、1つの斜線パターンで1ビットの情報(0又は1)を表現できる。このような2種類の傾きからなる微小ラインビットマップを用いることで、可視画像に与えるノイズが極めて小さく、かつ大量の情報を高密度にデジタル化して埋め込むことが可能な2次元コードパターンを提供することが可能となる。
【0038】
即ち、図4(b)に示した位置コード領域には合計36ビットの位置情報が格納されている。この36ビットのうち、18ビットをX座標の符号化に、18ビットをY座標の符号化に使用することができる。各18ビットを全て位置の符号化に使用すると、218通り(約26万通り)の位置を符号化できる。各斜線パターンが図4(c)に示したように8画素×8画素(600dpi)で構成されている場合には、600dpiの1ドットは0.0423mmであることから、図4(b)の2次元コード(同期コードを含む)の大きさは、縦横共に3mm程度(8画素×9ビット×0.0423mm)となる。3mm間隔で26万通りの位置を符号化した場合、約786mの長さを符号化できる。このように18ビット全てを位置の符号化に使用してもよいし、或いは、斜線パターンの検出誤りが発生するような場合には、誤り検出や誤り訂正のための冗長ビットを含めてもよい。
【0039】
また、識別コードは、2ビット×8ビット及び6ビット×2ビットの矩形領域に配置されており、合計28ビットの識別情報を格納できる。識別情報として28ビットを使用した場合は、228通り(約2億7千万通り)の識別情報を表現できる。識別コードも位置コードと同様に、28ビットの中に誤り検出や誤り訂正のための冗長ビットを含めることができる。
【0040】
尚、図4(c)に示す例では、2つの斜線パターンは互いに角度が90度異なるが、角度差を45度とすれば4種類の斜線パターンを構成できる。このように構成した場合は、1つの斜線パターンで2ビットの情報(0〜3)を表現できる。即ち、斜線パターンの角度種類を増やすことで、表現できるビット数を増加することができる。
また、図4(c)に示す例では、斜線パターンを使用してビット値の符号化を説明しているが、選択できるパターンは斜線パターンに限らない。ドットのON/OFFや、ドットの位置を基準位置からずらす方向により符号化する方法も採用することが可能である。
【0041】
次に、このようにして得られた印刷物500を画像形成装置400にスキャン入力し、複写物600を得る際の動作について説明する。尚、本実施の形態において、このようにして得られる複写物600は、印刷物500のそのままのコピーであるとは限らない。即ち、印刷物500に対応する電子文書がバージョンアップされている場合に、複写物600をそのようなバージョンアップに対応したものとすることを可能にしている。
例えば、図3に示した対応情報DB22で管理される電子文書について、画像形成装置400にて印刷物500を出力した後、図5に示すような更新が行われたものとする。図5において、「Rev.」欄はバージョンを表し、バージョンごとに電子文書の格納場所が対応付けられている。尚、これらの情報は、電子文書の管理情報であるので、本実施の形態では、文書管理サーバ300にて管理されるものとする。
【0042】
図5(a)は、フォルダ「server.fujixerox.co.jp/f1」の配下にある原稿データ「doc00.doc」の更新の履歴について示す。バージョン0(オリジナル)の電子文書は「doc00.doc」であり、バージョン1は「doc01.doc」、バージョン2は「doc02.doc」、バージョン3は「doc03.doc」というように、バージョンごとにファイル名を変えて管理している。
図5(b)は、図5(a)のような原稿データの更新の履歴ではなく、参照データの更新の履歴を示している。即ち、フォルダ「server.fujixerox.co.jp/f9」の配下にある参照データ「pre00.ppt」の更新の履歴について示す。図5(a)と同様、バージョン0(オリジナル)、バージョン1、バージョン2とファイル名を変えて管理している。
図5(c)は、図5(a)と同様、原稿データの更新の履歴を示しており、バージョン0(オリジナル)、バージョン1、バージョン2、バージョン3、バージョン4とファイル名を変えて管理している。
尚、ここでは、バージョンごとにファイル名を変えて管理するようにしたが、同じファイル名でバージョンの違いを管理可能なファイルシステムであれば、ファイル名は必ずしも変える必要はない。
【0043】
次に、図6を参照して、画像形成装置400の構成のうち、印刷部500のスキャンから複写物600に印刷する画像の出力までの動作に係る構成について説明する。
画像形成装置400のこの動作に係る部分は、受信部450aと、不可視画像取得部451と、識別情報取得部452と、可視画像取得部453と、指定情報取得部454と、画像合成部455と、画像出力部456と、送信部450bとからなる。
【0044】
受信部450aは、スキャンされた媒体に対応する電子文書に関してどのようなバージョンがあるかの情報(以下、「バージョン情報」という)や、文書画像とコード画像が重畳された画像の出力指示を記述したPDLを受信する。
不可視画像取得部451は、赤外光を照射することにより、不可視画像を認識する。識別情報取得部452は、その不可視画像から識別情報を取り出す。可視画像取得部453は、公知のスキャナの機構により可視画像を取得する。
指定情報取得部454は、電子文書のバージョンやコード画像の付加方法の指定をユーザに促し、ユーザにより指定された情報を取得する。
画像合成部455は、指定情報取得部454により取得された情報に従い、不可視画像と可視画像とを合成する。
画像出力部456は、その合成された画像又は識別情報管理サーバ200で生成された画像を受け取り、画像形成装置400の本体(後述する図12の機構)に出力する。尚、この画像出力部456は、このように出力すべき画像を取得する機能を含んでいるので、画像取得部として把握することもできる。
送信部450bは、バージョン情報の送信要求や、出力する画像の生成要求を送信する。
【0045】
次に、このような構成を有する画像形成装置400と、先に述べた構成の識別情報管理サーバ200とが情報を交換することにより、電子文書の所望のバージョンの画像が印刷された複写物600を得る動作について説明する。
まず、図7を参照して、画像形成装置400がスキャン画像からコード画像を認識し、識別情報を取得する動作について説明する。尚、コード画像以外の可視画像は、可視画像取得部453が、公知技術を用いて取得する。
プラテン上に媒体が載せられると、不可視画像取得部451は、赤外光を媒体に照射する(ステップ401)。媒体に照射される赤外光は不可視画像にて吸収され、それ以外の部分では反射される。不可視画像取得部451ではこの反射された赤外光を受光し、赤外光が検出できなかった部分をコード画像として認識し、入力する(ステップ402)。
【0046】
その後、不可視画像取得部451では、ステップ403〜ステップ409に示すコード画像検出処理が実行される。まず、不可視画像取得部451は、入力されたスキャン画像を整形する(ステップ403)。このスキャン画像の整形は、傾き補正やノイズ除去等である。そして、整形されたスキャン画像からスラッシュ「/」やバックスラッシュ「\」等のビットパターン(斜線パターン)を検出する(ステップ404)。また一方で、整形されたスキャン画像から、2次元コード位置決め用のコードである同期コードを検出する(ステップ405)。不可視画像取得部451は、この同期コード位置を参照して2次元コードを検出する(ステップ406)。また、2次元コードからECC(Error Correcting Code:誤り訂正符号)等の情報を取り出し復号する(ステップ407)。そして、復号した情報を元の情報に復元する(ステップ408)。
次に、識別情報取得部452では、以上のようにして復元したコード情報から識別情報を取り出す(ステップ409)。そして、この識別情報は、識別情報管理サーバ200に有線又は無線で送信される(ステップ410)。
【0047】
これにより、識別情報管理サーバ200は、図8に示したような動作を行う。
まず、識別情報管理サーバ200では、受信部20aが識別情報を受信し、対応情報管理部21に受け渡す(ステップ201)。識別情報を受け渡された対応情報管理部21は、対応情報DB22を参照し、その識別情報に対応する電子文書の格納場所を特定し、その格納場所を送信部20bに通知する(ステップ202)。そして、送信部20bは、文書管理サーバ300に対し、その格納場所にある電子文書に関するバージョン情報の送信を要求する(ステップ203)。
この要求に応じて、文書管理サーバ300は、図5に示したような情報に基づいてバージョン情報を取得し、識別情報管理サーバ200に送信する。一方、識別情報管理サーバ200では、受信部20aが、このバージョン情報を受信する(ステップ204)。そして、バージョン情報はそのまま送信部20bに受け渡され、送信部20bから画像形成装置400へと送信される(ステップ205)。
【0048】
その後、画像形成装置400は、図9に示したような動作を行う。即ち、受信部450aで受信されたバージョン情報は指定情報取得部454へ渡され、指定情報取得部454は、そのバージョン情報を画像形成装置400の図示しない表示装置に表示する(ステップ411)。例えば、スキャンした媒体に印刷された画像の元となる電子文書に対し、いつどのような更新がなされたか等の情報が表示される。また、電子文書が更新されている場合は、スキャンした媒体に対応するバージョンのままにしておくか、その後のいずれかのバージョン(望ましくは最新バージョン)に合致するものとするかの問い合わせメッセージも表示する。そして、更に、複写物600に付加するコード画像について、「コード画像は付加しない」、「スキャンした媒体に既に埋め込まれていたコード画像と同じコード画像を付加する」、「スキャンした媒体に既に埋め込まれていたコード画像とは異なるコード画像を付加するが、全てのコピーに付加するコード画像は同じものとする」、「スキャンした媒体に既に埋め込まれていたコード画像とは異なるコード画像を付加し、コピー一枚ごとに違うコード画像とする」といった選択肢も表示する。
【0049】
ユーザが、これらの表示の中から、所望の条件を指定し、用紙サイズ、向き、縮小/拡大、N−up、両面印刷等の印刷属性を指定すると、指定情報取得部454は、その指定された情報を取得する(ステップ412)。そして、その情報に応じた処理を行う。
即ち、まず、指定情報取得部454は、スキャン画像をそのまま印刷することが指示されたかどうかを判定する(ステップ413)。
【0050】
その結果、スキャン画像をそのまま印刷することが指定されている場合は、次に、コード画像を付加するかどうかを判定する(ステップ414)。
ここで、コード画像を付加しないと判定された場合は、その旨を画像合成部455に伝え、画像合成部455は、可視画像取得部453が取得した可視画像のみを画像出力部456に受け渡す。そして、画像出力部456は、可視画像のみを画像形成装置400の本体に出力する(ステップ417)。
また、コード画像を付加すると判定された場合は、スキャン画像に埋め込まれたコード画像と同じコード画像を付加するかどうかを判定する(ステップ415)。そして、同じコード画像を付加するのであれば、その旨を画像合成部455に伝え、画像合成部455は、不可視画像取得部451が取得した不可視画像と、可視画像取得部453が取得した可視画像とを重畳し(ステップ416)、その重畳後の画像を画像出力部456に受け渡す。そして、画像出力部456は、この重畳後の画像を画像形成装置400の本体に出力する(ステップ417)。
【0051】
一方、スキャン画像をそのまま印刷しないことが指定された場合や、スキャン画像をそのまま印刷するが異なるコード画像を印刷することが指定された場合は、送信部450bに制御が移り、送信部450bが識別情報管理サーバ200に対し画像生成を要求する(ステップ418)。尚、前者は、例えば、電子文書の新しいバージョンの画像を印刷する場合に相当し、後者は、例えば、画像に埋め込まれたリンク先のみを新しいバージョンに変更する場合に相当する。
これにより、識別情報管理サーバ200にて画像が生成され、画像出力指示が画像形成装置400に対し送信される。画像形成装置400では、受信部450aが画像出力指示を受信して画像出力部456に渡す(ステップ419)。そして、画像出力部456が、画像データを画像形成装置400の本体に出力する(ステップ417)。
【0052】
ここで、ステップ418にて送信された画像生成要求を受信した識別情報管理サーバ200の動作を、図10を参照して説明する。尚、ステップ418にて送信された画像生成要求には、印刷したいバージョンと、コード情報の付加方法と、印刷属性とが含まれる。
まず、識別情報管理サーバ200では、受信部20aが、これらの情報を受信する(ステップ211)。この受信した情報は、そのまま送信部20bへと送信され、送信部20bが対象となる電子文書の指定されたバージョンの送信を文書管理サーバ300に対し要求する(ステップ212)。これにより、文書管理サーバ300は要求されたバージョンの電子文書を識別情報管理サーバ200に送信し、受信部20aがその電子文書を受信し、対応情報管理部21に受け渡す(ステップ213)。
【0053】
次に、対応情報管理部21は、部ごとに異なる識別情報を付与することが指定されているかどうかを判定する(ステップ214)。
その結果、部ごとに異なる識別情報を付与する必要がなければ、対応情報管理部21は、識別情報リポジトリ250から1つの識別情報を取り出し、識別情報とそのバージョンの電子文書の格納場所との対応を対応情報DB22に登録する。また、印刷対象の電子文書の特定の位置を指定することにより参照対象の電子文書にリンクするようになっている場合は、その位置情報と参照対象の電子文書の格納場所の対応も対応情報DB22に登録する(ステップ215)。そして、部数分の同じ識別情報と電子文書との組み合わせを情報分離部23に受け渡す(ステップ216)。
【0054】
一方、部ごとに異なる識別情報を付与する必要があれば、対応情報管理部21は、識別情報リポジトリ250から部数分の識別情報を取り出し、識別情報とそのバージョンの電子文書の格納場所との部数分の対応を対応情報DB22に登録する。また、印刷対象の電子文書の特定の位置を指定することにより参照対象の電子文書にリンクするようになっている場合は、その位置情報と参照対象の電子文書の格納場所の対応も対応情報DB22に登録する(ステップ217)。そして、部数分の異なる識別情報と電子文書との組み合わせを情報分離部23に受け渡す(ステップ218)。
【0055】
ここで、図11を参照して対応情報DB22の内容について説明する。
図には、図3の状態から追加された情報として、識別情報「00000101」〜「00000104」、識別情報「00000201」、識別情報「00000301」、「00000302」が示されている。
識別情報「00000101」〜「00000104」は、識別情報「00000001」、「00000002」に対応する電子文書の最新バージョンを用いて印刷したときに登録された情報である。尚、ここでは、同じ原稿データの同じページに対し、異なる識別情報が割り振られている。即ち、これは、ステップ217、218のように部ごとに異なる識別情報を付与した場合の例である。
また、識別情報「00000201」は、識別情報「00000003」に対応する参照データを最新バージョンにしたときに登録された情報である。
更に、識別情報「00000301」、「00000302」は、識別情報「00000004」、「00000005」に対応する電子文書の最新バージョンを用いて印刷したときに登録された情報である。
【0056】
このように対応情報DB22に情報の登録を行うと、対応情報管理部21は、電子文書と、識別情報と、先に取得しておいた印刷属性とを、情報分離部23に受け渡す。
情報分離部23は、受け渡された情報を、コード生成に必要な情報と、文書画像の生成に必要な情報とに分離し、前者をコード画像生成部26に、後者を文書画像生成部24に出力する。
これにより、位置情報符号化部26aで、印刷属性に対応する位置情報が符号化され、位置コード生成部26bで、符号化された位置情報を示す位置コードが生成される。また、識別情報符号化部26cで、識別情報が符号化され、識別コード生成部26dで、符号化された識別情報を示す識別コードが生成される。
そして、コード配置部26gにより出力画像サイズに相当する2次元コード配列が生成され、パターン画像生成部26iにより2次元コード配列に対応するパターン画像が生成される。
【0057】
一方で、文書画像生成部24が、電子文書の文書画像を生成する。
そして、最後に、この文書画像生成部24が生成した文書画像と、先にコード画像生成部26が生成したコード画像とが、画像合成部28にて合成され、送信部20bに受け渡される。これにより、送信部20bが、合成後の画像を画像形成装置400に対して送信する。
【0058】
次に、画像形成装置400について詳細に説明する。
図12は、画像形成装置400の構成例を示した図である。図12に示す画像形成装置400は、所謂タンデム型の装置であって、例えば、電子写真方式にて各色成分のトナー像が形成される複数の画像形成ユニット41(41Y、41M、41C、41K、41I)、各画像形成ユニット41にて形成された各色成分トナー像を順次転写(一次転写)して保持させる中間転写ベルト46、中間転写ベルト46上に転写された重ね画像を用紙(媒体)Pに一括転写(二次転写)させる二次転写装置410、二次転写された画像を用紙P上に定着させる定着装置440を備えている。
【0059】
この画像形成装置400では、常用色(通常色)であるイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)のトナー像を形成する画像形成ユニット41Y、41M、41Cの他に、赤外に吸収を持たない黒(K)のトナー像を形成する画像形成ユニット41K、不可視のトナー像を形成する画像形成ユニット41Iがタンデムを構成する画像形成ユニットの一つとして設けられている。
また、画像形成ユニット41Iでは、画像形成ユニット41Y、41M、41C、41Kで使用されるYトナー、Mトナー、Cトナー、Kトナーよりも赤外光の吸収が多い色材が使用される。このような色材としては、例えば、バナジルナフタロシアニンを含む色材が挙げられる。尚、画像形成ユニット41Kで使用されるKトナーは、コード画像の検出をより容易にするために、画像形成ユニット41Iで使用する色材より赤外光の吸収が少ない色材を使用するのが望ましいが、カーボンを含む色材のように、一般的に使用されている赤外光を吸収する色材を使用することもできる。
【0060】
本実施の形態において、各画像形成ユニット41(41Y、41M、41C、41K、41I)は、矢印A方向に回転する感光体ドラム42の周囲に、これらの感光体ドラム42を帯電させる帯電器43、感光体ドラム42上に静電潜像を書き込むレーザ露光器44(図中露光ビームを符号Bmで示す)、各色成分トナーが収容されて感光体ドラム42上の静電潜像をトナーにより可視像化する現像器45、感光体ドラム42上に形成された各色成分トナー像を中間転写ベルト46に転写する一次転写ロール47、感光体ドラム42上の残留トナーを除去するドラムクリーナ48等の電子写真用デバイスが順次配設されている。これらの画像形成ユニット41は、中間転写ベルト46の上流側から、黄(Y色)、マゼンタ(M色)、シアン(C色)、黒(K色)、不可視(I色)の順に配置されている。
【0061】
また、中間転写ベルト46は、各種ロールによって図に示すB方向に回動可能に構成されている。この各種ロールとして、図示しないモータにより駆動されて中間転写ベルト46を回動させる駆動ロール415、中間転写ベルト46に対して一定の張力を与えると共に中間転写ベルト46の蛇行を防止する機能を備えたテンションロール416、中間転写ベルト46を支持するアイドルロール417、及び、バックアップロール412(後述)を有している。
【0062】
また、一次転写ロール47には、トナーの帯電極性と逆極性の電圧が印加されるようになっており、これにより各々の感光体ドラム42上のトナー像が中間転写ベルト46に順次、静電吸引され、中間転写ベルト46上に重ねトナー像が形成されるようになっている。更に、二次転写装置410は、中間転写ベルト46のトナー像担持面側に圧接配置される二次転写ロール411と、中間転写ベルト46の裏面側に配置されて二次転写ロール411の対向電極をなすバックアップロール412とを備えており、このバックアップロール412には二次転写バイアスが安定的に印加される金属製の給電ロール413が当接配置されている。そして、二次転写ロール411には、二次転写ロール411に付着した汚れを除去するブラシロール414が接触配置されている。
また、二次転写ロール411の下流側には二次転写後の中間転写ベルト46の表面をクリーニングするベルトクリーナ421が設けられている。
【0063】
更に、本実施の形態では、用紙搬送系として、用紙Pを収容する用紙トレイ430、この用紙トレイ430に集積された用紙Pを所定のタイミングで取り出して搬送するピックアップロール431、ピックアップロール431にて繰り出された用紙Pを搬送する搬送ロール432、搬送ロール432により搬送された用紙Pを二次転写装置410による二次転写位置へと送り込む搬送シュート433、二次転写後の用紙Pを定着装置440へと搬送する搬送ベルト434を備えている。
【0064】
次に、この画像形成装置400の作像プロセスについて説明する。ユーザによりスタートスイッチ(図示せず)がオン操作されると、所定の作像プロセスが実行される。具体的に述べると、例えばこの画像形成装置400をカラープリンタとして構成する場合には、ネットワーク900から送信されたデジタル画像信号をメモリに一時的に蓄積し、その蓄積されている5色(Y、M、C、K、I)のデジタル画像信号に基づいて各色のトナー像形成を行わせるようにする。
【0065】
即ち、画像処理によって得られた各色の画像記録信号に基づいて画像形成ユニット41(41Y、41M、41C、41K、41I)をそれぞれ駆動する。そして、各画像形成ユニット41Y、41M、41C、41K、41Iでは、帯電器43により一様に帯電された感光体ドラム42に対し、画像記録信号に応じた静電潜像が、レーザ露光器44によりそれぞれ書き込まれる。また、書き込まれた各静電潜像を各色のトナーが収容される現像器45により現像して各色のトナー像が形成される。
【0066】
そして、各感光体ドラム42に形成されたトナー像は、各感光体ドラム42と中間転写ベルト46とが接する一次転写位置で、一次転写ロール47により印加される一次転写バイアスにより感光体ドラム42から中間転写ベルト46の表面に一次転写される。このようにして中間転写ベルト46に一次転写されたトナー像は中間転写ベルト46上で重ね合わされ、中間転写ベルト46の回動に伴って二次転写位置へと搬送される。
【0067】
一方、用紙Pは、所定のタイミングで二次転写装置410の二次転写位置へと搬送され、中間転写ベルト46(バックアップロール412)に対して二次転写ロール411が用紙Pをニップする。そして、二次転写ロール411とバックアップロール412との間に形成される二次転写電界の作用で、中間転写ベルト46に担持された重ねトナー像が用紙Pに二次転写される。
その後、トナー像が転写された用紙Pは、搬送ベルト434によって定着装置440へと搬送され、トナー像の定着が行われる。一方、二次転写後の中間転写ベルト46は、ベルトクリーナ421によって残留トナーが除去される。
【0068】
尚、本実施の形態では、電子文書がバージョンアップされた場合に、媒体のコード画像を例えば最新バージョンに合致するように更新した。しかしながら、電子文書どうしが旧バージョン/新バージョンという関係にある場合だけでなく、他のいかなる関係にある場合にも本発明は適用可能である。
【0069】
以上述べたように、本実施の形態では、ある電子文書に対応するコード情報が埋め込まれた媒体をコピーする際に、そのコード画像に代えて、その電子文書に関連する他の電子文書に対応するコード画像を埋め込むようにした。このような構成により、印刷物やその複写物に埋め込まれた情報を、その元となる原稿データやそこで参照される参照データの更新等に応じて容易に変更できるようになった。
【0070】
また、本実施の形態では、コピーの際に、「コード画像は付加しない」、「スキャンした媒体に既に埋め込まれていたコード画像と同じコード画像を付加する」、「スキャンした媒体に既に埋め込まれていたコード画像とは異なるコード画像を付加するが、全てのコピーに付加するコード画像は同じものとする」、「スキャンした媒体に既に埋め込まれていたコード画像とは異なるコード画像を付加し、コピー一枚ごとに違うコード画像とする」といった選択を可能とした。これにより、複写目的に合ったコピーを簡単に提供できるようになる。
例えば、1つの印刷物から複数部の複写物を得る場合に、個々の複写物に異なるコード画像を埋め込めば、配布した複数の複写物の中から特定の1枚を探すことが可能となる。即ち、コピーのセキュリティの確保を図ることができる。一方で、このようなセキュリティ確保の必要がなく、簡単な処理で良い場合には、同じコード画像を全ての複写物に一律に付加することもできる。
【0071】
更に、本実施の形態では、コード画像を最新バージョンに合致するものに更新するだけではなく、媒体上に可視画像として印刷された画像についてもサーバに格納された電子文書に基づいて印刷することを可能としている。これにより、複写を繰り返すことによる画像の劣化を回避することが可能となっている。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】本発明の実施の形態が適用されるシステムの全体構成を示した図である。
【図2】本発明の実施の形態における識別情報管理サーバの機能構成を示したブロック図である。
【図3】本発明の実施の形態における対応情報DBの記憶内容の例を示した図である。
【図4】本発明の実施の形態において媒体上に印刷される2次元コード画像を説明するための図である。
【図5】本発明の実施の形態における電子文書のバージョンの管理について示した図である。
【図6】本発明の実施の形態における画像形成装置の複写指示から画像出力までの動作に係る機能構成を示したブロック図である。
【図7】本発明の実施の形態の画像形成装置における識別情報の取得に係る動作を示したフローチャートである。
【図8】本発明の実施の形態の識別情報管理サーバにおけるバージョン情報の取得に係る動作を示したフローチャートである。
【図9】本発明の実施の形態の画像形成装置における電子文書のバージョン及びコード情報の付加方法の指定に係る動作を示したフローチャートである。
【図10】本発明の実施の形態の識別情報管理サーバにおける複写指示に応じた画像生成に係る動作を示したフローチャートであるある。
【図11】本発明の実施の形態における対応情報DBの記憶内容の更新後の例を示した図である。
【図12】本発明の実施の形態における画像形成装置の構成例を示した図である。
【符号の説明】
【0073】
20a,450a…受信部、20b,450b…送信部、21…対応情報管理部、22…対応情報DB、23…情報分離部、24…文書画像生成部、25…文書画像バッファ、26…コード画像生成部、27…コード画像バッファ、28,455…画像合成部、100…端末装置、200…識別情報管理サーバ、300…文書管理サーバ、400…画像形成装置、451…不可視画像取得部、452…識別情報取得部、453…可視画像取得部、454…指定情報取得部、456…画像出力部、500…印刷物、600…複写物
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の電子文書に関連する第2の電子文書を特定するサーバと、
前記第1の電子文書に対応する第1のコード画像が形成された媒体の複写指示に応じて、当該第1のコード画像の代わりに、前記サーバにより特定された前記第2の電子文書に対応する第2のコード画像を媒体に形成する画像形成装置と
を備えたことを特徴とする複写システム。
【請求項2】
前記第1の電子文書は、前記第1のコード画像が形成された媒体上の当該第1のコード画像以外の画像の元となる電子文書であることを特徴とする請求項1記載の複写システム。
【請求項3】
前記画像形成装置は、前記第2のコード画像を媒体に形成する際に、前記第2の電子文書の画像も当該媒体に形成することを特徴とする請求項2記載の複写システム。
【請求項4】
前記第1の電子文書は、前記第1のコード画像が形成された媒体を用いて参照される電子文書であることを特徴とする請求項1記載の複写システム。
【請求項5】
前記画像形成装置は、前記第1のコード画像が形成された1つの媒体から複数の媒体への複写指示に応じて、当該複数の媒体の各々に異なる前記第2のコード画像を形成するかどうかを指定させることを特徴とする請求項1記載の複写システム。
【請求項6】
前記第1のコード画像は、前記画像形成装置の識別情報と、当該第1のコード画像が形成された日時の情報とを含み、
前記第2のコード画像は、前記画像形成装置の識別情報と、当該第2のコード画像が形成された日時の情報とを含むことを特徴とする請求項1記載の複写システム。
【請求項7】
前記画像形成装置は、前記第1のコード画像が形成された媒体の複写指示に応じて、前記第2の電子文書に関する情報を出力することを特徴とする請求項1記載の複写システム。
【請求項8】
第1のデータに対応する第1のコード画像が形成された媒体の複写指示を受け付ける受付部と、
前記複写指示に応じて、前記第1のコード画像の代わりに、前記第1のデータに関連する第2のデータに対応する第2のコード画像を含む画像を取得する画像取得部と、
前記画像取得部により取得された画像を媒体に印刷する印刷部と
を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項9】
前記第1のデータは、前記第1のコード画像が形成された媒体上の当該第1のコード画像以外の画像の元となるデータであることを特徴とする請求項8記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記第1のデータは、前記第1のコード画像が形成された媒体を用いて参照されるデータであることを特徴とする請求項8記載の画像形成装置。
【請求項11】
前記印刷部は、前記第2のコード画像を略不可視の画像として印刷し、前記第2のコード画像以外の画像を可視画像として印刷することを特徴とする請求項8記載の画像形成装置。
【請求項12】
前記印刷部は、前記第2のコード画像を、赤外に吸収を持つ色材で印刷し、前記第2のコード画像以外の画像を、イエロー、マゼンタ、シアンの色材で印刷することを特徴とする請求項8記載の画像形成装置。
【請求項13】
第1の識別情報を含む画像が形成された媒体をスキャンして得られた当該第1の識別情報を取得する第1の識別情報取得部と、
前記第1の識別情報取得部により取得された前記第1の識別情報に対応する第1のデータを特定する第1のデータ特定部と、
前記第1のデータ特定部により特定された前記第1のデータに関連する第2のデータを特定する第2のデータ特定部と、
前記第2のデータ特定部により特定された前記第2のデータに対応する第2の識別情報を取得する第2の識別情報取得部と、
前記第1の識別情報を含まず、かつ、前記第2の識別情報を含む画像を生成する画像生成部と
を備えたことを特徴とするサーバ。
【請求項14】
前記第1のデータは、スキャンされた媒体に形成された画像の元となるデータであることを特徴とする請求項13記載のサーバ。
【請求項15】
前記第1のデータは、スキャンされた媒体に形成された画像に基づいて参照されるデータであることを特徴とする請求項13記載のサーバ。
【請求項16】
第1の電子文書に対応する第1のコード画像が形成された媒体の複写指示を受け付けるステップと、
前記複写指示に応じて、前記第1のコード画像の代わりに、前記第1の電子文書に関連する第2の電子文書に対応する第2のコード画像を含む画像を取得するステップと、
取得された画像を媒体に印刷するステップと
を含むことを特徴とする画像形成方法。
【請求項17】
前記第1のコード画像が形成された1つの媒体から複数の媒体への複写指示に応じて、当該複数の媒体の各々に異なる前記第2のコード画像を形成するかどうかを指定させるステップを更に含むことを特徴とする請求項16記載の画像形成方法。
【請求項18】
前記複写指示に応じて前記第2の電子文書に関する情報を出力するステップを更に含むことを特徴とする請求項16記載の画像形成方法。
【請求項19】
コンピュータに、
第1の識別情報を含む画像が形成された媒体をスキャンして得られた当該第1の識別情報を取得する機能と、
前記第1の識別情報に対応する第1の電子文書を特定する機能と、
前記第1の電子文書に関連する第2の電子文書を特定する機能と、
前記第2の電子文書に対応する第2の識別情報を取得する機能と、
前記第1の識別情報を含まず、かつ、前記第2の識別情報を含む画像を生成する機能と
を実現させるためのプログラム。
【請求項1】
第1の電子文書に関連する第2の電子文書を特定するサーバと、
前記第1の電子文書に対応する第1のコード画像が形成された媒体の複写指示に応じて、当該第1のコード画像の代わりに、前記サーバにより特定された前記第2の電子文書に対応する第2のコード画像を媒体に形成する画像形成装置と
を備えたことを特徴とする複写システム。
【請求項2】
前記第1の電子文書は、前記第1のコード画像が形成された媒体上の当該第1のコード画像以外の画像の元となる電子文書であることを特徴とする請求項1記載の複写システム。
【請求項3】
前記画像形成装置は、前記第2のコード画像を媒体に形成する際に、前記第2の電子文書の画像も当該媒体に形成することを特徴とする請求項2記載の複写システム。
【請求項4】
前記第1の電子文書は、前記第1のコード画像が形成された媒体を用いて参照される電子文書であることを特徴とする請求項1記載の複写システム。
【請求項5】
前記画像形成装置は、前記第1のコード画像が形成された1つの媒体から複数の媒体への複写指示に応じて、当該複数の媒体の各々に異なる前記第2のコード画像を形成するかどうかを指定させることを特徴とする請求項1記載の複写システム。
【請求項6】
前記第1のコード画像は、前記画像形成装置の識別情報と、当該第1のコード画像が形成された日時の情報とを含み、
前記第2のコード画像は、前記画像形成装置の識別情報と、当該第2のコード画像が形成された日時の情報とを含むことを特徴とする請求項1記載の複写システム。
【請求項7】
前記画像形成装置は、前記第1のコード画像が形成された媒体の複写指示に応じて、前記第2の電子文書に関する情報を出力することを特徴とする請求項1記載の複写システム。
【請求項8】
第1のデータに対応する第1のコード画像が形成された媒体の複写指示を受け付ける受付部と、
前記複写指示に応じて、前記第1のコード画像の代わりに、前記第1のデータに関連する第2のデータに対応する第2のコード画像を含む画像を取得する画像取得部と、
前記画像取得部により取得された画像を媒体に印刷する印刷部と
を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項9】
前記第1のデータは、前記第1のコード画像が形成された媒体上の当該第1のコード画像以外の画像の元となるデータであることを特徴とする請求項8記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記第1のデータは、前記第1のコード画像が形成された媒体を用いて参照されるデータであることを特徴とする請求項8記載の画像形成装置。
【請求項11】
前記印刷部は、前記第2のコード画像を略不可視の画像として印刷し、前記第2のコード画像以外の画像を可視画像として印刷することを特徴とする請求項8記載の画像形成装置。
【請求項12】
前記印刷部は、前記第2のコード画像を、赤外に吸収を持つ色材で印刷し、前記第2のコード画像以外の画像を、イエロー、マゼンタ、シアンの色材で印刷することを特徴とする請求項8記載の画像形成装置。
【請求項13】
第1の識別情報を含む画像が形成された媒体をスキャンして得られた当該第1の識別情報を取得する第1の識別情報取得部と、
前記第1の識別情報取得部により取得された前記第1の識別情報に対応する第1のデータを特定する第1のデータ特定部と、
前記第1のデータ特定部により特定された前記第1のデータに関連する第2のデータを特定する第2のデータ特定部と、
前記第2のデータ特定部により特定された前記第2のデータに対応する第2の識別情報を取得する第2の識別情報取得部と、
前記第1の識別情報を含まず、かつ、前記第2の識別情報を含む画像を生成する画像生成部と
を備えたことを特徴とするサーバ。
【請求項14】
前記第1のデータは、スキャンされた媒体に形成された画像の元となるデータであることを特徴とする請求項13記載のサーバ。
【請求項15】
前記第1のデータは、スキャンされた媒体に形成された画像に基づいて参照されるデータであることを特徴とする請求項13記載のサーバ。
【請求項16】
第1の電子文書に対応する第1のコード画像が形成された媒体の複写指示を受け付けるステップと、
前記複写指示に応じて、前記第1のコード画像の代わりに、前記第1の電子文書に関連する第2の電子文書に対応する第2のコード画像を含む画像を取得するステップと、
取得された画像を媒体に印刷するステップと
を含むことを特徴とする画像形成方法。
【請求項17】
前記第1のコード画像が形成された1つの媒体から複数の媒体への複写指示に応じて、当該複数の媒体の各々に異なる前記第2のコード画像を形成するかどうかを指定させるステップを更に含むことを特徴とする請求項16記載の画像形成方法。
【請求項18】
前記複写指示に応じて前記第2の電子文書に関する情報を出力するステップを更に含むことを特徴とする請求項16記載の画像形成方法。
【請求項19】
コンピュータに、
第1の識別情報を含む画像が形成された媒体をスキャンして得られた当該第1の識別情報を取得する機能と、
前記第1の識別情報に対応する第1の電子文書を特定する機能と、
前記第1の電子文書に関連する第2の電子文書を特定する機能と、
前記第2の電子文書に対応する第2の識別情報を取得する機能と、
前記第1の識別情報を含まず、かつ、前記第2の識別情報を含む画像を生成する機能と
を実現させるためのプログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2007−5941(P2007−5941A)
【公開日】平成19年1月11日(2007.1.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−181257(P2005−181257)
【出願日】平成17年6月21日(2005.6.21)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年1月11日(2007.1.11)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年6月21日(2005.6.21)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】
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