説明

複合サイクル発電プラント始動方法及び装置

【課題】複合サイクル発電プラントの始動システムを改善する。
【解決手段】本システムは、蒸気タービン12とHRSG14と復水器16とバイパスシステム20とを含む。蒸気タービン12はタービンセクション18を含む。排熱回収ボイラ14は、蒸気タービン12に蒸気を供給するため蒸気タービン12に接続できる。HRSG14は再熱器15を含む。バイパスシステム20は、再熱器15の下流の蒸気を復水器16に送って再熱器15の下流の蒸気圧力を調整するよう構成できる。バイパスシステム20は、1以上のバイパスライン21と、該バイパスライン21に接続した1以上の制御バルブ22と、再熱器15の下流の蒸気圧力を監視する圧力ゲージ24と、圧力ゲージ24と通信して1以上の制御バルブ22を作動させるコントローラ23とを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書で開示される主題は、全体的に、複合サイクル発電プラントに関し、より詳細には、複合サイクル発電プラントの始動方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の複合サイクル発電プラントは、一般に、1以上のガスタービン、排熱回収ボイラ(「HRSG」)、及び蒸気タービンを含む。ガスタービンが高負荷又は全負荷で運転しているときに発生する過剰な蒸気圧力は、蒸気タービン始動時に蒸気タービン構成要素に応力を加える可能性があるので、従来の複合サイクル発電プラントの始動手法では、ガスタービンを低負荷状態に保持してガスタービン負荷速度を制限し、蒸気タービン始動中の蒸気圧力を制御することが必要とされる。
【0003】
このような保持及び制限は、始動時のガスタービンの高排出エミッション、始動及び負荷運転時間の増大、及び燃料消費量の増加の一因となる。従って、ガスタービンを低負荷及び低い負荷速度に保持することにより、ガスタービンは、蒸気タービン始動及び負荷運転中に高排出エミッションを伴う低効率な運転を余儀なくされる。更に、ガスタービンの負荷及び負荷速度が低いことにより、蒸気タービン始動及び負荷運転中に複合サイクル発電プラントが得る収益が少なくなる。
【0004】
当該技術分野において、蒸気タービン始動及び負荷運転中にガスタービン及びHRSGを正常な動作条件で作動可能にする複合サイクル発電プラント始動方法を提供する種々の方式が知られている。例えば、1つの方式は、複合サイクル発電プラントに追加の配管及びバルブを含めて、復水器のような蒸気を収容するよう設計された機器に過剰蒸気を送ることにより蒸気タービンに流入する前の蒸気圧力を下げることである。しかしながら、複合サイクル発電プラントに配管を追加するには費用がかかる。加えて、複合サイクル発電プラントにおいて追加の配管に利用可能なスペースは制限される場合があり、追加の配管の設置が困難である可能性が高い。更に、複合サイクル発電プラントにおける追加の配管の構成は、制御できない大きな圧力低下を引き起こす恐れがあり、発電プラントに損傷を与える場合もある。
【0005】
従って、当該技術分野において、複合サイクル発電プラントの始動システム及び方法を改善することが望ましい。例えば、ガスタービン及びHRSGを正常な動作条件で作動可能にしながら、蒸気タービン始動及び負荷運転中に蒸気流を送って蒸気タービンに流入する前の蒸気圧力を下げるシステム及び方法が有利となる。加えて、既存の発電プラントの配管を利用する複合サイクル発電プラント始動システムが望ましいとすることができる。更に、安価で、設置が容易であり、全発電プラント作動条件下で制御可能な複合サイクル発電プラント始動システムが当該技術分野で受け入れられることになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許第4201924号明細書
【発明の概要】
【0007】
本発明の態様及び利点は、その一部を以下の説明に記載しており、又はその説明から自明なものとすることができ、或いは本発明を実施することにより知ることができる。
【0008】
1つの実施形態において、蒸気タービン、HRSG、復水器、及びバイパスシステムを含む複合サイクル発電プラント始動システムが提供される。蒸気タービンは、タービンセクションを含むことができる。HRSGは、蒸気タービンに動作可能に接続され、蒸気を蒸気タービンに提供することができる。HRSGは再熱器を含むことができる。バイパスシステムは、再熱器の下流側の蒸気を復水器に送ることにより再熱器の下流の蒸気圧力を調整するよう構成することができる。バイパスシステムは、少なくとも1つのバイパスラインと、少なくとも1つのバイパスラインに動作可能に接続された少なくとも1つの制御バルブと、再熱器の下流側の蒸気圧力を監視するよう構成された圧力ゲージと、圧力ゲージと通信し、少なくとも1つの制御バルブを作動させるよう構成されたコントローラと、を含むことができる。従って、蒸気圧力は、タービンセクションに流入するのに好適な圧力範囲に調整することができる。
【0009】
本発明のこれら及び他の特徴、態様、並びに利点は、以下の説明及び添付の請求項を参照するとより理解できるであろう。本明細書に組み込まれ且つその一部を構成する添付図面は、本発明の実施形態を例証しており、本明細書と共に本発明の原理を説明する役割を果たす。
【0010】
添付図を参照した本明細書において、当業者に対してなしたその最良の形態を含む本発明の完全かつ有効な開示を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の複合サイクル発電プラント始動システムの1つの実施形態の概略図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
次に、その実施例を図面に示した本発明の実施形態について詳細に説明する。各実施例は、本発明の限定ではなく例証として提供される。実際に、当業者であれば、本発明の範囲又は技術的思想から逸脱することなく、種々の修正及び変形を本発明において実施できる点は理解されるであろう。例えば、1つの実施形態の一部として例示され又は説明される特徴は、別の実施形態と共に使用して更に別の実施形態を得ることができる。従って、本発明は、そのような修正及び変形を特許請求の範囲及びその均等物の技術的範囲内に属するものとして保護することを意図している。
【0013】
図1は、複合サイクル発電プラント始動システム10の1つの実施形態の概略図である。システム10は、ガスタービン(図示せず)、蒸気タービン12、排熱回収ボイラ(「HRSG」)14、及び復水器16を含むことができる。例えば、HRSG14及び復水器16は、蒸気タービン12に作動可能に接続することができる。更に、本システム10は、1つよりも多いガスタービン、蒸気タービン12、HRSG14、及び復水器16を含むことができる。
【0014】
蒸気タービン12は、タービンセクション18を含むことができる。例えば、1つの実施形態において、タービンセクション18は、中圧タービンとすることができる。蒸気タービン12は更に、例えば、タービンセクション17及び19など、他のタービンセクションを含むことができる。例えば、1つの実施形態において、タービンセクション17は低圧タービンとすることができる。1つの実施形態において、タービンセクション19は高圧タービンとすることができる。蒸気タービン12は更に、他のタービンセクションを含むことができる。本開示のタービンセクション17、18、及び19は、限定ではないが、低圧、中圧、及び高圧タービンであるが、蒸気タービンにおいて作動可能な何らかのタービン、タービンセクション、又はタービン構成要素とすることができる点は理解されたい。
【0015】
HRSG14は、第1のドラムセクション41、第2のドラムセクション42、及び再熱器15を含むことができる。第1のドラムセクション41及び第2のドラムセクション42は、システム10の種々の構成要素に蒸気を提供するよう構成することができる。例えば、1つの実施形態において、第1のドラムセクション41は、下流側過熱器セクション(図示せず)と結合することができる高圧ドラムセクションとすることができる。高圧ドラムセクション及び過熱器セクションは、高圧の過熱蒸気を供給することができる。第1のドラムセクション41により供給される蒸気は、タービンセクション19など、タービンセクションに送ることができる。制御バルブ46は、タービンセクション19への蒸気の供給を制御するよう構成することができる。更に、蒸気は、例えば、タービンセクション19がオフラインであるときにはバイパスシステム45に送ることができる。タービンセクション19及びバイパスシステム45を通過した後、蒸気は再熱器15に送ることができる。
【0016】
1つの実施形態の例示的な態様において、第2のドラムセクション42は中圧ドラムセクションとすることができ、中圧ドラムセクションは、中圧の蒸気を供給することができる。第2のドラムセクション42により供給される蒸気は、再熱器15に送ることができる。更に、1つの実施形態において、第2のドラムセクション42により供給される蒸気は、再熱器15に流入する前にタービンセクション19及びバイパスシステム45の下流側の蒸気と組み合わせることができる。
【0017】
再熱器15は、蒸気がタービンセクション18に流入する前にシステム10の種々の構成要素によって供給される蒸気を加熱するよう構成することができる。例えば、第1のドラムセクション41、タービンセクション19、バイパスシステム45、及び第2のドラムセクション42の下流側の蒸気は、再熱器入口15.1を通って再熱器15に流入することができる。この蒸気は、タービンセクション18に流入する前に高温の再熱蒸気温度までなど、再熱器15において加熱することができる。制御バルブ47は、タービンセクション18への蒸気の供給を制御するよう構成することができる。
【0018】
従って、ある実施形態の例示的な態様において、正常作動条件下でのHRSG14の第1のドラムセクション41は、蒸気を蒸気タービン12のタービンセクション19に供給することができる。蒸気は比較的高圧になることができ、第1のドラムセクション41及びタービンセクション19は、それぞれ、高圧ドラムセクション及び高圧タービンとすることができる。例えば、1つの実施形態において、蒸気は、およそ1800からおよそ2500ポンド毎平方インチ絶対圧(psia)までの範囲又はこれらの間の何れかの部分範囲で第1のドラムセクションから供給することができる。
【0019】
タービンセクション19によりエネルギーが蒸気から抽出された後、蒸気は、再熱器15に供給されて再熱することができる。1つの実施形態において、蒸気が再熱器入口15.1を通って再熱器15に入る前に、蒸気は、HRSG14の第2のドラムセクション42により供給される蒸気と組み合わせることができる。第2のドラムセクション42により供給される蒸気は比較的中圧とすることができ、第2のドラムセクション42は、中圧ドラムセクションとすることができる。例えば、1つの実施形態において、蒸気は、およそ100からおよそ380psiaの範囲、又はこれらの間の何れかの部分範囲で第2のドラムセクションから供給することができる。
【0020】
次に、第1のドラムセクション41、タービンセクション19、バイパスシステム45、及び第2のドラムセクション42の下流側の蒸気は、再熱器入口15.1を通って再熱器15に入ることができる。再熱器15は、蒸気がタービンセクション18に流入する前に蒸気を高温の再熱蒸気温度までなど加熱することができる。正常作動条件下では、再熱器15により蒸気が加熱された後、タービンセクション18に供給することができる。再熱器15の下流側の蒸気は、比較的中圧にすることができ、タービンセクション18は、中圧タービンとすることができる。1つの実施形態において、再熱器15の下流側の蒸気は、120psiaを超える圧力で再熱器15から供給することができる。例えば、正常作動条件下では、再熱器15の下流側の蒸気は、およそ250からおよそ380psiaの範囲、又はこれらの間の何れかの部分範囲で再熱器15から供給することができる。
【0021】
タービンセクション18においてエネルギーが蒸気から抽出された後、蒸気は、タービンセクション17に供給することができる。タービンセクション18により供給される蒸気は、比較的低圧とすることができ、タービンセクション17は低圧タービンとすることができる。例えば、1つの実施形態において、蒸気は、およそ15からおよそ60psiaの範囲、又はこれらの間の何れかの部分範囲でタービンセクション18からタービンセクション17に供給することができる。
【0022】
タービンセクション17においてエネルギーが蒸気から抽出された後、蒸気は、復水器16に供給することができる。復水器16は、蒸気を凝縮するよう作動することができ、該蒸気はシステム10に供給し戻すことができる。
【0023】
タービンセクション17、18、19、第1及び第2のドラムセクション41、42、及び再熱器15の正常作動条件において開示された圧力範囲は、複合サイクル発電プラントの正常作動条件の例示に過ぎない点は理解されたい。タービンセクション17、18、19、第1及び第2のドラムセクション41、42、及び再熱器15の作動は、開示されるこれらの圧力範囲に限定されるものではない。むしろ、タービンセクション17、18、19、第1及び第2のドラムセクション41、42、及び再熱器15は、蒸気タービンの技術分野で公知の何れかの圧力範囲で作動することができる。
【0024】
システム10は更に、過熱低減器48、49を含むことができる。1つの実施形態において、過熱低減器48は、蒸気がバイパスシステム45から出るときに該蒸気を冷却するよう構成することができる。1つの実施形態において、過熱低減器49は、蒸気が復水器16に流入するときに該蒸気を冷却するよう構成することができる。
【0025】
システム10は更に、第1のバイパスシステム20を含むことができる。第1のバイパスシステム20は、再熱器15の下流側の蒸気を復水器16に送ることにより再熱器15の下流側の蒸気の圧力を調整するよう構成することができる。例えば、1つの実施形態において、第1のバイパスシステム20は、中圧バイパスシステムとすることができる。再熱器15の下流側の蒸気を復水器16に送ることにより、再熱器15の下流側の蒸気の圧力をタービンセクション18に流入させるのに好適な圧力範囲まで調整することができる。
【0026】
ある実施形態の例示的な態様において、第1のバイパスシステム20は、再熱器15の下流側の蒸気の圧力をタービンセクション18の始動に好適な圧力範囲まで調整するよう構成することができる。ある実施形態の別の例示的な態様において、第1のバイパスシステム20は、再熱器15の下流側の蒸気の圧力をタービンセクション18の運転停止に好適な圧力範囲まで調整するよう構成することができる。例えば、1つの実施形態において、タービンセクション18の始動及び運転停止に好適な圧力範囲は同じである。別の実施形態において、タービンセクション18の始動に好適な圧力範囲は、タービンセクション18の運転停止に好適な圧力範囲とは異なる。1つの実施形態において、タービンセクション18の始動又は運転停止は、ガスタービン及びHRSG14が正常作動条件で作動している間に行うことができる。
【0027】
例えば、ある実施形態の例示的な態様において、タービンセクション18は中圧タービンとすることができる。例えば、中圧タービンの始動及び運転停止など、中圧タービンへの流入に好適とすることができる蒸気の圧力範囲は、およそ90からおよそ120psia、又はこれらの間の何れかの部分範囲とすることができる。再熱器15の下流側の蒸気の圧力は、例えば、120psiaを超えることができる。例えば、正常作動条件下では、再熱器15の下流側の蒸気は、およそ250からおよそ380psia、又はこれらの間の何れかの部分範囲で再熱器15から供給することができる。従って、第1のバイパスシステム20では、再熱器15の下流側の蒸気の圧力を、120psiaを上回る圧力から、中圧タービンの始動及び運転停止に好適な圧力範囲とすることができるおよそ90からおよそ120psiaの範囲に調整するよう構成することができる。しかしながら、タービンセクション18に流入するのに好適な蒸気圧力範囲は、90から120psiaの範囲に限定されず、タービンセクション18、蒸気タービン12、又はシステム10において所望される何れかの蒸気圧力範囲とすることができる点は理解されたい。
【0028】
第1のバイパスシステム20は、少なくとも1つのバイパスライン21及び少なくとも1つの制御バルブ22を含むことができる。更に、1つの実施形態において、少なくとも1つのバイパスライン21は、複数のバイパスライン21であってもよく、少なくとも1つの制御バルブ22は、複数の制御バルブ22であってもよい。制御バルブ22は、バイパスライン21に動作可能に接続することができる。
【0029】
第1のバイパスシステム20は更に、コントローラ23及び圧力ゲージ24を含むことができる。圧力ゲージ24は、コントローラ23に動作可能に接続することができる。圧力ゲージ24は、再熱器15の下流側の蒸気の圧力を監視するよう構成することができる。コントローラ23は、圧力ゲージ24と通信して制御バルブ22を作動させ、第1のバイパスシステム20が、再熱器15の下流側の蒸気の圧力をタービンセクション18に流入するのに好適な圧力範囲に調整する働きをするように構成することができる。
【0030】
例えば、ある実施形態の例示的な態様において、コントローラ23は、制御バルブ22を順次作動させるよう構成することができる。ある実施形態の別の例示的な態様において、コントローラ23は、制御バルブ22を縦一列の形態で作動させるよう構成することができる。しかしながら、制御バルブ22を作動させるコントローラ23の構成は、順次的又は縦一列の形態の制御バルブ22の作動に限定されるものではなく、再熱器15の下流側の蒸気の圧力を調整するよう設計された何れかの構成とすることができる点は理解されたい。
【0031】
ある実施形態の例示的な態様において、コントローラ23は、制御バルブ22を順次的に作動させるよう構成することができる。例えば、制御バルブ22の順次的作動は、再熱器15の下流側の蒸気が固定圧力限界に達したときに制御バルブ22を開放し、第1の制御バルブ22.1を自動制御に設定し、第1の制御バルブ22.1が固定バルブストローク限度に達したときに第2の制御バルブ22.2を自動制御に設定することを含む。1つの実施形態において、制御バルブ22を開放するステップは、最小ストローク設定で制御バルブ22を設定することを含むことができる。1つの実施形態において、制御バルブ22を自動制御に設定するステップは、制御バルブ22を調整可能なストローク設定に設定することを含むことができ、制御バルブ22のストロークを自動的に調整して、再熱器15の下流側の蒸気の圧力をタービンセクション18への流入に好適な圧力範囲に調整又は維持するようにする。更に、第1の制御バルブが固定バルブストローク限度に達したときに第2の制御バルブを自動制御に設定するステップは、複数の制御バルブ22について順次的に繰り返すことができる。制御バルブ22は、第1の制御バルブ22.1及び第2の制御バルブ22.2に限定されず、再熱器15の下流側の蒸気の圧力を調整するのに必要なあらゆる数の制御バルブ22を含むことができる点は理解されたい。
【0032】
例えば、ある実施形態の例示的な態様において、第1のバイパスシステム20の圧力ゲージ24は、再熱器15の下流側の蒸気の圧力が固定圧力限界を超える圧力であることを検知することができる。圧力ゲージ24は、この状態をコントローラ23に伝達することができる。コントローラ23は、制御バルブ22を最小ストローク設定まで開放し、第1の制御バルブ22.1を自動制御に設定することにより制御バルブ22を作動させることができる。従って、第1の制御バルブ22.1のストロークを自動的に調整し、第1の制御バルブ22.1のストロークが固定バルブストローク限度に達するまで、再熱器15の下流側の蒸気の圧力をタービンセクション18に流入するのに好適な圧力範囲内に調整又は維持することができるようにする。第1の制御バルブ22.1が固定バルブストローク限度に達すると、コントローラ23は、第2の制御バルブ22.2を自動制御に設定するよう作動することができる。第2の制御バルブ22.2が固定バルブストローク限度に達すると、コントローラ23は、別の制御バルブ22を自動制御に設定するよう作動することができ、このシーケンスは、複数の制御バルブ22について繰り返すことができる。この手法に続いて、タービンセクション18の始動又は運転停止に好適な圧力範囲までなど、タービンセクション18に流入するのに好適な圧力範囲に再熱器15の下流側の蒸気の圧力を調整することができる。
【0033】
1つの実施形態において、固定圧力限界は120psiaとすることができる。1つの実施形態において、固定バルブストローク限度は90%とすることができる。別の実施形態において、固定バルブストローク限度は100%であってもよい。更に別の実施形態において、固定バルブストローク限度は、90%から100%の範囲、又はこれらの間の何れかの部分範囲とすることができる。
【0034】
ある実施形態の例示的な態様において、第1のバイパスシステム20は、既存の複合サイクル発電プラント機器から少なくとも部分的に構成することができる。例えば、既存の複合サイクル発電プラント構成要素は、第1のバイパスシステム20を構成するよう経路変更、転換、又は修正することができる。1つの実施形態において、第1のバイパスシステム20の種々のバイパスライン21及び制御バルブ22は、既存の複合サイクル発電プラント機器から構成することができる。1つの実施形態において、制御バルブ22.1、関連のバイパスライン21、及びコントローラ23は、既存の複合サイクル発電プラント機器から構成することができる。例えば、制御バルブ22.1、関連のバイパスライン21、及びコントローラ23は、第1のバイパスシステム20で使用するために経路変更、転換、又は修正することができる。既存の機器を使用することで第1のバイパスシステム20の設置が安価になり、限られたスペース要件内に第1のバイパスシステム20を設置できるので、既存の機器を用いて第1のバイパスシステム20を構成することは有利とすることができる。更に、追加の配管の使用を制限することにより、例えば、発電プラントに損傷を与える可能性がある大きな制御できない圧力低下を阻止することができる。本発明の既存の複合サイクル発電プラント機器は、バイパスバルブ21又は制御バルブ22に限定されず、バイパスシステム20を構成するのに用いることができる何れかの複合サイクル発電プラント機器であってもよい点は理解されたい。
【0035】
1つの実施形態において、複合サイクル発電プラント始動システム10は、第2のバイパスシステム30を含むことができる。第2のバイパスシステム30は、再熱器15の上流側の蒸気を第1のバイパスシステム20に送ることによって再熱器15の上流側の蒸気の圧力を調整するよう構成することができる。1つの実施形態において、第2のバイパスシステム30は、第1のドラムセクション41から第1のバイパスシステム20に蒸気を送るよう構成することができる。1つの実施形態において、第2のバイパスシステム30は、第1のバイパスシステム20を通して復水器16に蒸気を送るよう構成することができる。ある実施形態の例示的な態様において、第2のバイパスシステム30は高圧バイパスシステムとすることができる。
【0036】
例えば、再熱器15の上流側の蒸気を第1のバイパスシステム20に送ることにより、再熱器入口15.1において蒸気圧力を調整することができる。再熱器入口15.1での蒸気圧力を調整することにより、タービンセクション19から出る蒸気の温度を調整することができる。例えば、再熱器入口15.1での蒸気圧力が下がると、タービンセクション19から出る蒸気の温度を低下させることができる。タービンセクション19から出る蒸気の温度を調整することにより、システム10にかかる歪みを低減することができる。
【0037】
更に、再熱器15の上流側の蒸気を第1のバイパスシステム20に送ることにより、タービンセクション19及び制御バルブ46の上流側の蒸気圧力を調整することができる。タービンセクション19及び制御バルブ46の上流側の蒸気圧力を調整することにより、制御バルブ46前後の圧力低下を調整することができる。例えば、タービンセクション19及び制御バルブ46の上流側の蒸気圧力が下がると、制御バルブ46前後の圧力低下を減少させることができる。制御バルブ46前後の圧力低下を調整することで、制御バルブ46の信頼性が向上し、寿命を延ばすことができる。
【0038】
第2のバイパスシステム30は、少なくとも1つのバイパスライン31及び少なくとも1つの制御バルブ32を含むことができる。更に、1つの実施形態において、少なくとも1つのバイパスライン31は、複数のバイパスライン31とすることができ、少なくとも1つの制御バルブ32は、複数の制御バルブ32とすることができる。制御バルブ32は、バイパスライン31に動作可能に接続することができる。
【0039】
第2のバイパスシステム30は更に、コントローラ33及び圧力ゲージ34を含むことができる。圧力ゲージ34は、コントローラ33に動作可能に接続することができる。圧力ゲージ34は、再熱器15の上流側の蒸気圧力を監視するよう構成することができる。コントローラ33は、圧力ゲージ34と通信して制御バルブ32を作動させ、第2のバイパスシステム30が、再熱器15の上流側の蒸気の圧力を調整する働きをするように構成することができる。例えば、1つの実施形態において、コントローラ33は、再熱器15の上流側の蒸気が固定圧力限界に達したときに、例えば、第1のバイパスシステム20に関して上記で検討したように制御バルブ32を縦一列又は順次的に作動させるなど、制御バルブ32を作動させるよう構成することができる。例えば、1つの実施形態において、コントローラ33は、第1のバイパスシステム20に関して上記で検討したように、制御バルブ32を最小ストローク設定まで開放し、次いで、制御バルブ32が固定バルブストローク限度に達したときに制御バルブ32を自動制御に設定することによって制御バルブ32を作動させることができる。1つの実施形態において、コントローラ33は、再熱器入口15.1の直ぐ上流側の蒸気が固定圧力限界に達したときに制御バルブ32を作動させるよう構成することができる。
【0040】
例えば、ある実施形態の例示的な態様において、圧力ゲージ34は、再熱器15の上流側(再熱器入口15.1の直ぐ上流側など)の蒸気の圧力が固定圧力限界を超える圧力であることを検知することができる。圧力ゲージ34は、この状態をコントローラ33に伝達することができる。次いで、コントローラ33は、第1のバイパスシステム20に関して上記で検討したように、制御バルブ32を開放し、次いで、制御バルブ32を自動制御に設定するよう機能することができる。
【0041】
1つの実施形態において、とすることができる。1つの実施形態において、固定バルブストローク限度は90%とすることができる。別の実施形態において、固定バルブストローク限度は100%であってもよい。更に別の実施形態において、固定バルブストローク限度は、90%から100%の範囲、又はこれらの間の何れかの部分範囲とすることができる。
【0042】
本明細書は、最良の形態を含む実施例を用いて本発明を開示し、更に、あらゆる当業者があらゆるデバイス又はシステムを実施及び利用すること並びにあらゆる包含の方法を実施することを含む本発明を実施することを可能にする。本発明の特許保護される範囲は、請求項によって定義され、当業者であれば想起される他の実施例を含むことができる。このような他の実施例は、請求項の文言と差違のない構造要素を有する場合、或いは、請求項の文言と僅かな差違を有する均等な構造要素を含む場合には、本発明の範囲内にあるものとする。
【符号の説明】
【0043】
10 複合サイクル発電プラント始動システム
12 蒸気タービン
14 排熱回収ボイラ
15 再熱器
15.1 再熱器入口
16 復水器
17 タービンセクション
18 タービンセクション
19 タービンセクション
20 第1のバイパスシステム
21 バイパスライン
22 制御バルブ
22.1 第1の制御バルブ
22.2 第2の制御バルブ
23 コントローラ
24 圧力ゲージ
30 第2のバイパスシステム
31 バイパスライン
32 制御バルブ
33 コントローラ
34 圧力ゲージ
41 第1のドラムセクション
42 第2のドラムセクション
45 バイパスシステム
46 制御バルブ
47 制御バルブ
48 過熱低減器
49 過熱低減器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複合サイクル発電プラント始動システム(10)であって、
タービンセクション(18)を含む蒸気タービン(12)と、
前記蒸気タービン(12)に蒸気を提供するために該蒸気タービン(12)に動作可能に接続された、再熱器(15)を含む排熱回収ボイラ(14)と、
復水器(16)と、
前記再熱器(15)の下流側の蒸気を前記復水器(16)に送ることにより前記再熱器(15)の下流側の蒸気圧力を調整するよう構成されたバイパスシステム(20)と、
を備え、
前記バイパスシステム(20)が、
少なくとも1つのバイパスライン(21)と、
前記少なくとも1つのバイパスライン(21)に動作可能に接続された少なくとも1つの制御バルブ(22)と、
前記再熱器(15)の下流側の蒸気圧力を監視するよう構成された圧力ゲージ(24)と、
前記圧力ゲージ(24)と通信し、前記少なくとも1つの制御バルブ(22)を作動させるよう構成されたコントローラ(23)と、
を含み、前記蒸気圧力が前記タービンセクション(18)に流入するのに好適な圧力範囲に調整されるようにする、
複合サイクル発電プラント始動システム(10)。
【請求項2】
前記少なくとも1つのバイパスライン(21)が複数のバイパスライン(21)であり、前記少なくとも1つの制御バルブ(22)が、複数の制御バルブ(22)であり、前記コントローラ(23)が、前記圧力ゲージ(24)と通信し、前記複数の制御バルブ(22)を順次的に作動させるよう構成されている、請求項1記載の複合サイクル発電プラント始動システム(10)。
【請求項3】
前記複数の制御バルブ(22)を順次的に作動させることが、前記再熱器(15)の下流側の蒸気が固定圧力限界に達したときに複数の制御バルブ(22)を開放し、第1の制御バルブ(22.1)を自動制御に設定し、前記第1の制御バルブ(22.1)が固定バルブストローク限度に達したときに第2の制御バルブ(22.2)を自動制御に設定することを含む、請求項2記載の複合サイクル発電プラント始動システム(10)。
【請求項4】
前記固定圧力限界が約120ポンド毎平方インチ絶対圧(psia)であり、前記固定バルブストローク限度が約90%である、請求項3記載の複合サイクル発電プラント始動システム(10)。
【請求項5】
前記蒸気圧力が、前記タービンセクション(18)の始動に好適な圧力範囲に調整される、請求項1乃至請求項4のいずれか1項記載の複合サイクル発電プラント始動システム(10)。
【請求項6】
前記圧力範囲が、約90から約120ポンド毎平方インチ絶対圧である、請求項5記載の複合サイクル発電プラント始動システム(10)。
【請求項7】
前記バイパスシステム(20)が第1のバイパスシステム(20)であり、前記複合サイクル発電プラント始動システム(10)が、前記再熱器(15)の上流側の蒸気を前記第1のバイパスシステム(20)に送ることによって前記再熱器(15)の上流側の蒸気圧力を調整するよう構成された第2のバイパスシステム(30)を更に備え、
前記第2のバイパスシステム(30)が、
少なくとも1つのバイパスライン(31)と、
前記少なくとも1つのバイパスライン(31)に動作可能に接続された少なくとも1つの制御バルブ(32)と、
前記再熱器(15)の上流側の蒸気圧力を監視するよう構成された圧力ゲージ(34)と、
前記圧力ゲージ(34)と通信し、前記少なくとも1つの制御バルブ(32)を調節するよう構成されたコントローラ(33)と
を含む、請求項1乃至請求項6のいずれか1項記載の複合サイクル発電プラント始動システム(10)。
【請求項8】
前記少なくとも1つのバイパスライン(31)が複数のバイパスライン(31)であり、前記少なくとも1つの制御バルブ(32)が、複数の制御バルブ(32)であり、前記コントローラ(33)が、前記圧力ゲージ(34)と通信し、前記複数の制御バルブ(32)を順次的に作動させるよう構成されている、請求項7記載の複合サイクル発電プラント始動システム(10)。
【請求項9】
前記複数の制御バルブ(32)を順次的に作動させることは、前記再熱器(15)の上流側の蒸気が固定圧力限界に達したときに複数の制御バルブ(32)を開放し、第1の制御バルブ(32)を自動制御に設定し、更に前記制御バルブ(32)が固定バルブストローク限度に達したときに第2の制御バルブ(32)を自動制御に設定することを含む、請求項8記載の複合サイクル発電プラント始動システム(10)。
【請求項10】
前記固定圧力限界が約130ポンド毎平方インチ絶対圧(psia)であり、前記固定バルブストローク限度が約90%である、請求項9記載の複合サイクル発電プラント始動システム(10)。

【図1】
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【公開番号】特開2011−157966(P2011−157966A)
【公開日】平成23年8月18日(2011.8.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−13516(P2011−13516)
【出願日】平成23年1月26日(2011.1.26)
【出願人】(390041542)ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ (6,332)
【Fターム(参考)】