複合体
基体と、基体に接触する流体とを含む複合構造体であって、基体は、不織布、発泡体、またはそれらの組合せを含み、15から500グラム毎平方メートルの基本重量を有することを特徴とする複合構造体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に開示されている実施形態は、全般的には、ポリマー複合構造体に関する。いくつかの実施形態において、複合構造体は、高度な軟質性および高度な嵩高性を含む性能特性の所望の組合せを有する基体を含むことができる。より具体的には、本明細書に開示されている実施形態は、連続気泡発泡体層、基体層、および場合により少なくとも1つの洗浄界面活性剤、活性剤または促進充填剤を有することができるポリマー複合構造体に関する。
【背景技術】
【0002】
乾燥および湿性、または予め湿らせたワイプ(wipe)は、多くの形で利用可能なよく知られた消費者製品である。乾燥ワイプは、皮膚、油または水と接触すると放出され得る抗菌物質または洗浄剤などの添加剤を有する、または有さない基体を含むことができる。湿式ワイプは、弱い界面活性剤系溶液で予め湿らされていてもよく、ローション、洗浄剤または他の添加剤を含んでいてよい不織布ウェブなどの基体を含む。当該湿式および乾燥ワイプは、ベビーワイプ、ハンドワイプ、家庭掃除用ワイプ、工業用ワイプ、ボディワイプおよびフェースワイプ等に使用されてきた。典型的には、ワイプは、折り畳みシート、積層シートまたは有孔ロールとして提供され、この場合、シートは1回につき1つ使用されることを意図する。
【0003】
当初、湿性ワイプ製品は、製紙技術に基づく伝統的な不織布材料(パルプベースの製品)で製造されていた。これらの製品は、十分に受け入れられたが、布地材料の柔らかさが欠如していた。スパンレース不織布技術の導入によって、伝統的な紙ベースの製品と比較して、柔らかさの点で優れた製品がもたらされた。これは、主に、(i)スパンレースプロセスにおける長い軟質繊維(最も頻繁には、レーヨンおよびポリエチレンテレフタレート/ポリプロピレンまたはこれらの繊維の混合物)の使用ならびに(ii)スパンレースプロセスを通じてバインダが布地に添加されないことによる。
【0004】
他の従来の湿性ワイプは、実質的に均質な材料の単層を含んでいた。例えば、従来の湿性ワイプは、ウェブ全体を通じて均一に混合または分布されている繊維のエアレイドウェブを含んでいた。ワイプは、ポリエステル、ポリエチレンおよびポリプロピレンなどのポリマー繊維、ならびにセルロース繊維などの天然または合成繊維を含んでいた。他の従来の湿性ワイプは、ウェブ全体を通じて均一に混合されたポリプロピレンおよびセルロース繊維の共成形ウェブを含んでいた。
【0005】
しかし、湿性ワイプまたはワイプ型製品の他の形態は、不織布層状ベースシートを有するワイプ製品を含む。層状ベースシートは、互いに対向して配置された少なくとも2つの層を含み、1つの層がポリエチレン繊維を含み、1つの層がポリプロピレン繊維を含むように、それらの層の一方は、他方の層に含まれない繊維を含む。代替的な形態において、それらの層は、同様の材料を異なる量で含むことができる。1つの層は、軟質性などの異なる物理特性をワイプ製品に付与するように構成されてよく、別の層は、強度などの他の特性をワイプ製品に付与するように構成されてよい。米国特許第6,028,018号明細書に対応する国際公開第1998/003713号パンフレットには、多層ベースシートを有する湿性ワイプの一例が開示されている。
【0006】
ワイプの嵩高性を向上させるための最近の技術革新は、スパンレース不織布内の縦方向空隙の形成の制御を含む。カード繊維の2つの連続層の間に固定平行管を配置することによって、空隙形性をスパンレース不織布に導入することができる。管は、スパンレーサ内に伸びることができ、そこで上部および底部繊維層が管の周囲で互いにスパンレースされ、管がスパンレース不織布から除去されて、空隙空間を形成する。空隙は、不織布の嵩高性および感触を向上させることができ、管を介して液体または粉末添加剤を充填することができる。
【0007】
最近の技術革新によっても、湿性ワイプの軟質性、嵩高性、容量、ドレープ適性、毛羽立ち抵抗性、柔軟性、強度、結合性、布様感触および弾力性などの物理特性のバランスが完全に最適化されなかった。例えば、洗顔ワイプでは、洗浄効果および耐久性を保持しながら、より高度な布様感触とともに、軟質性、高度な嵩高性、柔軟性および毛羽立ち抵抗性を有する製品を有することが望ましい。例えば、より高強度の製品は、典型的には、製品の柔軟性を低下させるなど、所望の特性は対立することがあるため、特性の所望のバランスを得ることは、特に困難である。物理特性のバランスは、軟質性の向上を望む使用者にとって特に困難であった。例えば、湿性ワイプに使用することができる特定の繊維は、より硬く、強度および弾力性を付与することができるが、他の繊維より軟質性または柔軟性が劣る。湿性ワイプに使用できる他の繊維は、より軟質であるが、使用者によって加えられる力に耐えるのに十分な湿潤強度を有することができない。さらに、強度のための繊維および軟質性のための繊維などの、所望の特性を付与できる異なる種類の繊維は、互いに和合性でないため、均質な層において組み合わせることが困難である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
したがって、強度、結合性、弾力性、毛羽立ち抵抗性およびワイプの他の特性を維持しながら軟質性および柔軟性が向上した湿性ワイプの必要性が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
一態様において、本明細書に開示されている実施形態は、基体、および基体に接触する流体を含む複合構造体であって、基体は、不織布、発泡体またはそれらの組合せを含み、15から500グラム毎平方メートルの基本重量を有することを特徴とする複合構造体に関する。他の態様において、本明細書に開示されている実施形態は、少なくとも1つの基体層、および基体層上に配置された連続気泡発泡体を含む少なくとも1つの層を含む複合構造体であって、基体は、不織布、発泡体またはそれらの組合せを含み、15から500グラム毎平方メートルの基本重量を有することを特徴とする複合構造体に関する。
【0010】
他の態様において、本明細書に開示されている実施形態は、少なくとも1つの基体層、および連続気泡発泡体を含む少なくとも1つの層を含む複合構造体を形成する方法に関する。該方法は、水および熱可塑性ポリマーを含む泡を基体に散布し、水の少なくとも一部を泡から除去して発泡体を形成することを含むことができる。基体は、25から150グラム毎平方メートルの基本重量を有する不織布を含む。
【0011】
本発明の他の態様および利点は、以下の説明および添付の請求項から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】図1は、本明細書に開示されている実施形態による泡から発泡体の形成を示す。
【図2】図2は、本明細書に開示されている実施形態に使用できる押出装置を概略的に示す。
【図3】図3は、本明細書に開示されている複合構造体の一実施形態の断面の顕微鏡写真である。
【図4】図4は、市販の比較サンプルと比較した、本明細書に開示されている複合構造体の実施形態についての曲げ剛性試験結果のグラフ図である。
【図5】図5は、市販の比較サンプルと比較した、本明細書に開示されている複合構造体の実施形態についての毛羽立ち抵抗性試験結果のグラフ図である。
【図6】図6は、市販の比較サンプルと比較した、本明細書に開示されている複合構造体の実施形態に対するサンプル基本重量によって正規化された手ざわり(hand)測定についての結果のグラフ図である。
【図7】図7は、市販の比較サンプルと比較した、本明細書に開示されている複合構造体の実施形態に対するサンプル容量によって正規化された手ざわり測定についての結果のグラフ図である。
【図8】図8は、市販の比較サンプルと比較した、本明細書に開示されている複合構造体の実施形態に対する圧縮弾力性のカワバタ評価システム測定についての結果のグラフ図である。
【図9】図9は、市販の比較サンプルと比較した、本明細書に開示されている複合構造体の実施形態についてのPPT引裂強度試験結果のグラフ図である。
【図10】図10は、市販の比較サンプルと比較した、本明細書に開示されている複合構造体の実施形態についてのPPT引裂強度試験結果のグラフ図である。
【図11】図11は、市販の比較サンプルと比較した、本明細書に開示されている複合構造体の実施形態についてのPPT引裂強度試験結果のグラフ図である。
【図12】図12は、市販の比較サンプルと比較した、本明細書に開示されている複合構造体の実施形態に対する幾何学的粗さのカワバタ評価システム測定についての結果のグラフ図である。
【図13】図13は、市販の比較サンプルと比較した、本明細書に開示されている複合構造体の実施形態に対する摩擦係数のカワバタ評価システム測定についての結果のグラフ図である。
【符号の説明】
【0013】
5 泡
7 蒸気のポケット
8 分散体
9 液体媒体
10 ポリマー粒子
11 乾燥または除去プロセス
12 ストラット
13 蒸気泡
14 構造体
20 押出機
30 ギアポンプ
40 塩基貯蔵部
50 初期水貯蔵部
【発明を実施するための形態】
【0014】
一態様において、本明細書に開示されている実施形態は、軟質性、重量、ならびに曲げ剛性、摩擦係数、毛羽立ち抵抗性、嵩高性および容量等を含むことができる他の特性のバランスを有する複合構造体に関する。複合構造体は、不織布基体、発泡体基体またはそれらの組合せを含むことができる。いくつかの実施形態において、基体に弱い界面活性剤溶液などの流体または充填剤などの固体をコーティング、含浸または混合することができる。
【0015】
他の態様において、本明細書に開示されている実施形態は、特性のバランスを有する複合構造体であって、少なくとも1つの基体層および少なくとも1つの連続気泡発泡体層を含むことができる複合構造体に関する。基体は、不織布および布地等を含むことができる。基体(例えば、不織布、布地等)内の連続気泡発泡体をワイプまたは他の物品に組み込むと、さらなる軟質性、嵩高性および容量を物品に付与することができる。基体単独の所望の既存の表面感触を向上および/または維持しながら、さらなる嵩高性および容量を達成することができる。連続気泡発泡体を組み込むと、布地または不織布層単独と比較した場合に、活性剤の封入および送達に利用可能な空隙容量および/または表面積を増大することもできる。
【0016】
他の態様において、本明細書に開示されている実施形態は、連続気泡発泡体層、基体層、および場合により少なくとも1つの洗浄界面活性剤、活性剤または促進充填剤を含む複合構造体に関する。複合構造体の実施形態は、高度な軟質性および高度な嵩高性、および/または表面摩耗に対する優れた抵抗性を含む性能特性の所望の組合せを発揮することができる。軟質で高度な嵩高性を有する複合構造体は、パーソナルケア、医療、運送および家庭用品市場に関連する使い捨ておよび半使い捨て用途に有用であり得る。複合構造体は、洗浄、研磨または医療用途に対して湿潤を必要とする湿性活性剤または乾燥活性剤を送達することも可能であり得る。
【0017】
本明細書に開示されている複合構造体は、皮膚接触のための洗浄ワイプに使用されてよく、湿性および/または乾燥活性剤を含むことができる。本明細書に開示されている複合構造体は、ベビーワイプ、ハンドワイプ、家庭用硬質表面クリーナーおよび工業用洗浄ワイプを含む他の用途に使用されてもよい。
【0018】
向上した軟質性およびより高度な布様感触は、皮膚洗浄ワイプ以外の用途にも望ましい。これらの用途としては、塗布パッド、研磨布、医療用洗浄、敏感な部品の運送/包装材料または局部的医薬品の塗布パッドを挙げることができるが、それらに限定されない。また、これらの物品を、量が測定された液体材料の一時的な保管の手段として使用することができる。
【0019】
本明細書に開示されている複合構造体の実施形態に有用な発泡体を泡または発泡分散体から形成することができる。本明細書に用いられているように、「発泡する」または「発泡した」という用語は、実質的な容量の空気または他の気体が液体に組み込まれ、いくつかの実施形態において、得られた組成物(発泡材料)の少なくとも80容量パーセントが気体成分からなるプロセスを指す。他の実施形態において、発泡材料の少なくとも85容量パーセントが、さらに他の実施形態において少なくとも90容量パーセントが気体成分からなる。液体は、分子溶液、ミセル溶液、または水性もしくは有機媒体の分散体であってよい。概して、発泡液は、雰囲気条件下での高剪断混合、または場合により混合しながら気体を系に注入することなどの機械的方法によって生成される。「泡」という用語は、本明細書に用いられているように、液体媒体を乾燥または除去する前に上記のように発泡した液体を指す。
【0020】
「発泡体」という用語は、本明細書に用いられているように、泡から液体媒体の一部を除去することによって(すなわち、液体媒体の少なくとも一部、実質的な部分またはすべてを除去することができる)形成される弾力性構造体を指す。本明細書に用いられているように、乾燥および除去は、区別なく用いられてよく、液体媒体の熱的および/または機械的除去を含むことができる。本明細書に開示されている実施形態による泡からの発泡体の形成を図1に示す。泡5は、分散体8内に蒸気のポケット7を含むことができ、分散体8は、液体媒体9中にポリマー粒子10を含む。液体媒体9が乾燥または除去プロセス11中に泡5から除去されると、ポリマー粒子10は、合着および溶着して、閉じ込められた蒸気泡13のまわりに相互接続膜またはストラット12を生成させて、得られた構造体14に安定性を付与する。膜形成はとりわけ、泡内のポリマーの融点、液体媒体の除去速度(すなわち蒸発速度)および全体的な泡の組成等を含む変動要素に左右され得る。例えば、水が水性分散体から形成された泡から除去されると、分散体に含まれるポリマーは、合着して泡を形成し、得られた発泡体に構造および弾力性を付与することができる。いくつかの実施形態において、残留液の量が0から20重量パーセント;他の実施形態において0から10重量パーセント;さらに他の実施形態において0から8パーセントである場合に発泡体を形成することができる。
【0021】
上述のように、本開示の実施形態は、不織布、布地および発泡体を含む様々な基体を含むことができる。また、本明細書に開示されている実施形態は、湿性または乾燥活性剤を含む様々な添加剤を含むことができる。本明細書に開示されている複合構造体を形成するためのこれらの構成要素および方法の各々を以下により詳細に説明する。
【0022】
発泡体および発泡体基体
実施形態に有用な発泡体は、ポリオレフィン樹脂、ポリウレタン樹脂またはそれらの組合せから形成された発泡体を含むことができる。他の実施形態に有用な発泡体は、セルロース、ラテックスまたは天然スポンジに基づくことができる。
【0023】
いくつかの実施形態において、ポリオレフィン発泡体およびポリウレタン発泡体を水性分散体から製造することができる。水性分散体を発泡させ、少なくとも部分的に乾燥させて、所望の発泡体を得ることができる。本開示の実施形態に使用される分散体は、水、少なくとも1つの熱可塑性樹脂および分散安定剤を含むことができる。本開示の発泡体の実施形態に含まれる熱可塑性樹脂は、それ自体水に容易に分散可能でない樹脂を含むことができる。「樹脂」という用語は、本明細書に用いられているように、合成ポリマーまたは化学的に改変された天然樹脂を含むものと見なされるべきである。他の実施形態において、熱可塑性樹脂は、ポリオレフィンおよびポリウレタンを含むことができる。他の分散体は、ポリウレタンを形成することができる前駆体構成要素を含むことができる。分散体は、発泡界面活性剤を含む様々な添加剤を含むこともできる。これらの各々を以下により詳細に説明する。
【0024】
ポリオレフィン樹脂
本明細書に用いられるポリオレフィン樹脂は、オレフィンポリマーおよびエラストマー、ならびに様々なオレフィンポリマーおよび/またはオレフィンエラストマーのブレンドを含むことができる。いくつかの実施形態において、オレフィン樹脂は、半結晶性樹脂である。「半結晶性」という用語は、標準的な示差走査熱分析(DSC)評価が施された場合に少なくとも1つの吸熱を有する樹脂を特定することを意図する。いくつかの半結晶性ポリマーは、走査温度が上昇して最終的な吸熱最大値を過ぎると、比較的緩やかな勾配を示すDSC吸熱量を示す。これは、一般には鋭い融点であると見なされるものを有するポリマーでなく、溶融範囲が広いポリマーを反映する。本開示の分散体に有用ないくつかのポリマーは、単一の融点を有するのに対して、他のポリマーは、2つ以上の融点を有する。
【0025】
いくつかのポリマーにおいて、ポリマーのすべてまたは一部が摂氏数度などの非常に狭い温度範囲にわたって溶融するように、融点の2つ以上が鋭くてもよい。他の実施形態において、ポリマーは、約20℃の範囲にわたって広い溶融特性を示すことができる。さらに他の実施形態において、ポリマーは、50℃を超える範囲にわたって広い溶融特性を示すことができる。
【0026】
本開示に使用できるオレフィン樹脂の例としては、典型的にはポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ−1−ブテン、ポリ−3−メチル−1−ブテン、ポリ−3−メチル−1−ペンテン、ポリ−4−メチル−1−ペンテン、エチレン−プロピレンコポリマー、エチレン−1−ブテンコポリマーおよびプロピレン−1−ブテンコポリマーに代表されるエチレン、プロピレン、1−ブテン、3−メチル−1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ペンテン、1−ヘプテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセンおよび1−ドデセンなどのアルファ−オレフィンのホモポリマーおよびコポリマー(エラストマーを含む);典型的にはエチレン−ブタジエンコポリマーおよびエチレン−エチリデンノルボルネンコポリマーに代表されるアルファ−オレフィンと共役または非共役ジエンとのコポリマー(エラストマーを含む);および典型的にはエチレン−プロピレン−ブタジエンコポリマー、エチレン−プロピレン−ジシクロペンタジエンコポリマー、エチレン−プロピレン−1,5−ヘキサジエンコポリマーおよびエチレン−プロピレン−エチリデンノルボルネンコポリマーに代表される2つ以上のアルファ−オレフィンと共役または非共役ジエンとのコポリマーなどのポリオレフィン(エラストマーを含む);エチレン−酢酸ビニルコポリマー、エチレン−ビニルアルコールコポリマー、エチレン−塩化ビニルコポリマー、エチレンアクリル酸またはエチレン−(メタ)アクリル酸コポリマーおよびエチレン−(メタ)アクリレートコポリマーなどのエチレン−ビニル化合物コポリマー;ポリスチレン、ABS、アクリロニトリル−スチレンコポリマー、α−メチルスチレン−スチレンコポリマー、スチレンビニルアルコール、スチレンメチルアクリレートなどのスチレンアクリレート、スチレンブチルアクリレート、スチレンブチルメタクリレート、およびスチレンブタジエンおよび架橋スチレンポリマーなどのスチレンコポリマー(エラストマーを含む);およびスチレン−ブタジエンコポリマーおよびその水和物、およびスチレン−イソプレン−スチレントリブロックコポリマーなどのスチレンブロックコポリマー(エラストマーを含む);ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、塩化ビニル−塩化ビニリデンコポリマー、ポリアクリル酸メチルおよびポリメタクリル酸メチルなどのポリビニル化合物;ナイロン6、ナイロン6,6およびナイロン12などのポリアミド;ポリエチレンテレフタレートおよびポリブチレンテレフタレートなどの熱可塑性ポリエステル;ポリカーボネートおよびポリ酸化フェニレン等;およびポリジシクロペンタジエンポリマーおよび関連ポリマー(コポリマー、ターポリマー)を含むガラス状炭化水素系樹脂;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルおよび酪酸ビニル等の飽和モノオレフィン;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、n−ブチルアクリレート、アクリル酸イソブチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸フェニル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチルおよびメタクリル酸ブチル等を含むモノカルボン酸のエステルなどのビニルエステル;アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミド、それらの混合物;開環メタセシスおよび交差メタセシス重合等によって製造される樹脂が挙げられる。これらの樹脂を単独または2つ以上の組合せで使用することができる。
【0027】
1つの特定の実施形態において、熱可塑性樹脂は、エチレンと1−オクテンなどのアルケンを含むコモノマーとのアルファ−オレフィンインターポリマーを含むことができる。エチレンおよびオクテンコポリマーは、単独、またはエチレンアクリル酸コポリマーなどの別の熱可塑性樹脂との組合せで存在することができる。一緒に存在する場合は、エチレンおよびオクテンコポリマーとエチレン−アクリル酸コポリマーとの重量比は、約3:2から約2:3などの約1:10から約10:1の範囲であってよい。エチレン−オクテンコポリマーなどのポリマー樹脂は、約25%未満などの約50%未満の結晶化度を有することができる。いくつかの実施形態において、ポリマーの結晶化度は、5から35パーセントの範囲であってよい。他の実施形態において、結晶化度は、7から20パーセントの範囲であってよい。
【0028】
本明細書に開示されている実施形態は、少なくとも1つのマルチブロックオレフィンインターポリマーを含むことができるポリマー構成要素を含むこともできる。好適なマルチブロックオレフィンインターポリマーは、例えば、参照により本明細書に組み込まれている米国仮特許出願第60/818,911号明細書に記載されているものを含むことができる。「マルチブロックコポリマー」または「マルチブロックインターポリマー」という用語は、好ましくは直線状に接合された2つ以上の化学的に異なる領域またはセグメント(「ブロックと称する」)を含むポリマー、すなわちペンダントまたはグラフト状でなく、重合エチレン官能基に対して端端接合した、化学的に差別化された単位を含むポリマーを指す。一部の実施形態において、ブロックは、そこに組み込まれたコモノマーの量または種類、密度、結晶化度の量、当該組成のポリマーに帰することが可能な結晶サイズ、タクチシティの種類または程度(イソタクチックまたはシンジオタクチック)、レジオ規則性またはレジオ不規則性、長鎖分枝または過剰分枝を含む分枝の量、均質性、あるいは任意の他の化学または物理特性が異なる。マルチブロックコポリマーは、多分散指数(PDIまたはMw/Mn)の固有分布、ブロック長分布、および/またはコポリマーの独特の製造方法によるブロック数分布によって特徴づけられる。より具体的には、連続法で製造される場合は、該ポリマーの実施形態は、約1.7から約8;他の実施形態において約1.7から約3.5;他の実施形態において約1.7から約2.5;およびさらに他の実施形態において約1.8から約2.5または約1.8から約2.1の範囲のPDIを有することができる。バッチまたはセミバッチ法で製造される場合は、該ポリマーの実施形態は、約1.0から約2.9;他の実施形態において約1.3から約2.5;他の実施形態において約1.4から約2.0;およびさらに他の実施形態において約1.4から約1.8の範囲のPDIを有することができる。
【0029】
マルチブロックオレフィンインターポリマーの一例は、エチレン/α−オレフィンブロックインターポリマーである。マルチブロックオレフィンインターポリマーの別の例は、プロピレン/α−オレフィンインターポリマーである。以下の説明は、主要モノマーとしてエチレンを有するものとしてのインターポリマーに焦点をおくが、一般的なポリマー特性に関してプロピレン系マルチブロックインターポリマーにも同様に適用される。
【0030】
エチレン/α−オレフィンマルチブロックコポリマーは、化学または物理特性が異なる2つ以上の重合モノマー単位の複数(すなわち2つ以上)のブロックまたはセグメント(ブロックインターポリマー)によって特徴づけられる重合形態でエチレンおよび1つまたは複数の共重合性α−オレフィンコモノマーを含むことができる。いくつかの実施形態において、コポリマーは、マルチブロックインターポリマーである。いくつかの実施形態において、マルチブロックインターポリマーを以下の式で表すことができる。
(AB)n
式中、nは、少なくとも1であり、様々な実施形態において、nは、2、3、4、5、10、15、20、30、40、50、60、70、80、90または100以上などの1より大きい整数であり;「A」は、硬質ブロックまたはセグメントを表し;「B」は、軟質ブロックまたはセグメントを表す。好ましくは、AとBは、分枝状または星状でなく、直線状に結合されている。「硬質」セグメントは、いくつかの実施形態においてエチレンが95重量パーセントを超える量で存在し、他の実施形態において98重量パーセントを超える量で存在する重合単位のブロックを指す。換言すれば、硬質セグメントにおけるコモノマー含有量は、いくつかの実施形態において、硬質セグメントの全重量の5重量パーセント未満であり、他の実施形態において2重量パーセント未満である。いくつかの実施形態において、硬質セグメントは、すべて、または実質的にすべてエチレンで構成される。一方、「軟質」セグメントは、コモノマー含有量がいくつかの実施形態において軟質セグメントの全重量の5重量パーセントを超え、様々な他の実施形態において8重量パーセントを超え、10重量パーセントを超え、または15重量パーセントを超える重合単位のブロックを指す。いくつかの実施形態において、軟質セグメントにおけるコモノマー含有量は、様々な他の実施形態において、20重量パーセントを超え、25重量パーセントを超え、30重量パーセントを超え、35重量パーセントを超え、40重量パーセントを超え、45重量パーセントを超え、50重量パーセントを超え、または60重量パーセントを超えてよい。
【0031】
いくつかの実施形態において、AブロックおよびBブロックは、ポリマー鎖に沿ってランダムに分布されている。換言すれば、ブロックコポリマーは、
AAA−AA−BBB−BB
のような構造を有さない。
【0032】
他の実施形態において、ブロックコポリマーは、第3のブロックを有さない。さらに他の実施形態において、ブロックAもブロックBもチップセグメント(tip segment)などの2つ以上のセグメント(またはサブブロック)を含まない。
【0033】
マルチブロックインターポリマーを、0を超える値から約1.0の範囲の平均ブロック指数ABI、および約1.3を超える分子量分布Mw/Mnによって特徴づけることができる。平均ブロック指数ABIは、20℃から110℃まで5℃ずつ昇温させた分取TREFで得られたポリマーフラクションの各々についてのブロック指数(「BI」)の平均重量である。
ABI=Σ(wiBIi)
式中、BIiは、分取りTREFで得られたマルチブロックインターポリマーのi番目のフラクションについてのブロック指数であり、wiは、i番目のフラクションの重量百分率である。
【0034】
同様に、以降二次モーメント重量平均ブロック指数と称する平均に関する二次モーメントの平方根を以下のように定義することができる。
【0035】
【数1】
【0036】
各ポリマーフラクションについて、BIは、以下の2つの式(いずれも同じBI値を与える)の1つによって定義される。
【0037】
【数2】
式中、Txは、(好ましくはケルビンで表される)i番目のフラクションについての分析昇温溶離分別(ATREF)溶離温度であり、Pxは、以下に記載するNMRまたはIRによって測定できるi番目のフラクションについてのエチレンモル分離である。PABは、やはりNMRまたはIRによって測定できる(分別前の)全エチレン/α−オレフィンインターポリマーのエチレンモル分率である。TAおよびPAは、純粋の「硬質セグメント」(インターポリマーの結晶性セグメントを指す)についてのATREF溶離温度およびエチレンモル分率である。概算として、または「硬質セグメント」組成が未知であるポリマーについては、TAおよびPA値は、高密度ポリエチレンホモポリマーの当該値に設定される。
【0038】
TABは、マルチブロックインターポリマーと同じ組成(PABのエチレンモル分率を有する)および分子量のランダムコポリマーについてのATREF溶離温度である。以下の式を用いて(NMRによって測定された)エチレンのモル分率からTABを計算することができる。
LnPAB=α/TAB+β
式中、αおよびβは、いくつかの広い組成のランダムコポリマーの十分に特徴づけられる分取TREFフラクションおよび/または狭い組成の十分に特徴づけられるランダムエチレンコポリマーを使用した検量線によって求めることができる2つの定数である。αおよびβは、計測器毎に異なり得ることに留意されたい。さらに、検量線を作成するのに使用された分取りTREFフラクションおよび/またはランダムコポリマーに対する適切な分子量範囲およびコモノマーの種類を用いて、対象のポリマー組成物に対する適切な検量線を作成する必要がある。わずかな分子量の影響がある。検量線が類似の分子量範囲から得られる場合は、当該効果は、基本的に無視し得る。いくつかの実施形態において、ランダムエチレンコポリマーおよび/またはランダムコポリマーの分取りTREFフラクションは、以下の関係を満たす。
LnP=−237.83/TATREF+0.639
【0039】
上記検量線方程式は、狭い組成のランダムコポリマーおよび/または広い組成のランダムコポリマーの分取りTREFフラクションについて、エチレンのモル分率Pを分析TREF溶融温度に関連づける。TXOは、組成が同じで、PXのエチレンモル分率を有するランダムコポリマーについてのATREF温度である。TXOをLnPX=α/TXO+βから計算することができる。逆に、PXOは、組成が同じで、TXのATREF温度を有するランダムコポリマーについてのエチレンモル分率であり、LnPXO=α/TX+βから計算することができる。
【0040】
各分取りTREFフラクションについてのブロック指数(BI)が得られると、全ポリマーについての重量平均ブロック指数ABIを計算することができる。いくつかの実施形態において、ABIは、0より大きく約0.4未満、または約0.1から約0.3である。他の実施形態において、ABIは、約0.4より大きく約1.0以下である。さらに他の実施形態において、ABIは、約0.4から約0.7、約0.5から約0.7または約0.6から約0.9の範囲であるべきである。いくつかの実施形態において、ABIは、約0.3から約0.9、約0.3から約0.8、または約0.3から約0.7、約0.3から約0.6、約0.3から約0.5または約0.3から約0.4の範囲である。他の実施形態において、ABIは、約0.4から約1.0、約0.5から約1.0、または約0.6から約1.0、約0.7から約1.0、約0.8から約1.0または約0.9から約1.0の範囲である。
【0041】
マルチブロックインターポリマーの別の特徴は、インターポリマーが、分取りTREFによって得ることができる少なくとも1つのポリマーフラクションを含むことができ、フラクションが約0.1より大きく約1.0以下のブロック指数を有し、ポリマーが約1.3を超える分子量分布Mw/Mnを有することである。いくつかの実施形態において、ポリマーフラクションは、約0.6より大きく約1.0以下、約0.7より大きく約1.0以下、約0.8より大きく約1.0以下、または約0.9より大きく約1.0以下のブロック指数を有する。他の実施形態において、ポリマーフラクションは、約0.1より大きく約1.0以下、約0.2より大きく約1.0以下、約0.3より大きく約1.0以下、約0.4より大きく約1.0以下、または約0.4より大きく約1.0以下のブロック指数を有する。さらに他の実施形態において、ポリマーフラクションは、約0.1より大きく約0.5以下、約0.2より大きく約0.5以下、約0.3より大きく約0.5以下、または約0.4より大きく約0.5以下のブロック指数を有する。さらに他の実施形態において、ポリマーフラクションは、約0.2より大きく約0.9以下、約0.3より大きく約0.8以下、約0.4より大きく約0.7以下、または約0.5より大きく約0.6以下のブロック指数を有する。
【0042】
本明細書に開示されている実施形態に使用されるエチレン/α−オレフィンマルチブロックインターポリマーは、エチレンと少なくとも1つのC3〜C20α−オレフィンとのインターポリマーであってよい。インターポリマーは、C4〜C18ジオレフィンおよび/またはアルケニルベンゼンをさらに含むことができる。エチレンとの重合に有用な好適な不飽和コモノマーとしては、例えば、エチレン不飽和モノマー、共役または非共役ジエン、ポリエン、アルケニルベンゼン等が挙げられる。当該コモノマーの例としては、プロピレン、イソブチレン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネンおよび1−デセンなどのC3〜C20α−オレフィンが挙げられる。一部の実施形態において、α−オレフィンは、1−ブテンまたは1−オクテンであってよい。他の好適なモノマーとしては、スチレン、ハロまたはアルキル置換スチレン、ビニルベンゾシクロブタン、1,4−ヘキサジエン、1,7−オクタジエンおよびナフテン系化合物(例えば、シクロペンテン、シクロヘキセンおよびシクロオクテンなど)が挙げられる。
【0043】
本明細書に開示されているマルチブロックインターポリマーは、逐次モノマー付加、可動性触媒およびアニオン性またはカチオン性リビング重合法を介して製造される従来のランダムコポリマー、ポリマーの物理的ブレンドおよびブロックコポリマーと区別され得る。特に、同等の結晶化度または弾性率での同じモノマーおよびモノマー含有量のランダムコポリマーと比較して、該インターポリマーは、融点によって測定されるより良好な(より高度な)耐熱性、より高いTMA侵入温度、より大きな高温引張強度、および/または動的機械分析によって測定されるより大きな高温捩れ貯蔵弾性率を有する。充填材の特性は、同じモノマーおよびモノマー含有量を含むランダムコポリマーと比較して、マルチブロックインターポリマーの実施形態の使用の恩恵を受けることができ、マルチブロックインターポリマーは、特に高温におけるより低い圧縮歪み、より低い応力緩和、より高いクリープ抵抗性、より大きな引裂強度、より高い耐ブロッキング性、より高い結晶化(固化)温度によるより速い硬化、(特に高温における)より高い回復率、より良好な耐摩耗性、より大きな収縮力、ならびにより良好な油および充填材許容性を有する。
【0044】
他のオレフィンインターポリマーとしては、スチレン、o−メチルスチレン、p−メチルスチレンおよびt−ブチルスチレン等を含むモノビニリデン芳香族モノマーを含むポリマーが挙げられる。特に、エチレンおよびスチレンを含むインターポリマーを使用することができる。他の実施形態において、エチレン、スチレンおよびC3〜C20α−オレフィンを含み、場合によりC4〜C20ジエンを含むコポリマーを使用することができる。
【0045】
好適な非共役ジエンモノマーとしては、6から15個の炭素原子を有する直鎖、分枝鎖または環式炭化水素ジエンを挙げることができる。好適な非共役ジエンの例としては、1,4−ヘキサジエン、1,6−オクタジエン、1,7−オクタジエン、1,9−デカジエンなどの直鎖アクリルジエン、5−メチル−1,4−ヘキサジエンなどの分枝鎖アクリルジエン;3,7−ジメチル−1,6−オクタジエン;3,7−ジメチル−1,7−オクタジエンおよびジヒドロミリセンとジヒドロオシネンの混合異性体、1,3−シクロペンタジエンなどの単環脂環式ジエン;1,4−シクロヘキサジエン;1,5−シクロオクタジエンおよび1,5−シクロドデカジエン、ならびにテトラヒドロインデン、メチルテトラヒドロインデン、ジシクロペンタジエン、ビシクロ−(2,2,1)−ヘプタ−2,5−ジエンなどの多環脂環式縮合および架橋環ジエン;アルケニル、アルキリデン、シクロアルケニル、および5−メチレン−2−ノルボルネン(MNB)などのシクロアルキリデンノルボルネン;5−プロペニル−2−ノルボルネン、5−イソプロピリデン−2−ノルボルネン、5−(4−シクロペンテニル)−2−ノルボルネン、5−シクロヘキシリデン−2−ノルボルネン、5−ビニル−2−ノルボルネンおよびノルボルナジエンが挙げられるが、それらに限定されない。EPDMを製造するのに典型的に使用されるジエンのうち特に好適なジエンは、1,4−ヘキサジエン(HD)、5−エチリデン−2−ノルボルネン(ENB)、5−ビニリデン−2−ノルボルネン(VNB)、5−メチレン−2−ノルボルネン(MNB)およびジシクロペンタジエン(DCPD)である。
【0046】
本明細書に開示されている実施形態に従って使用できる一群の望ましいポリマーは、エチレン、C3〜C20α−オレフィン、特にプロピレン、および場合により1つまたは複数のジエンモノマーのエラストマーインターポリマーを含む。本実施形態に使用される好適なα−オレフィンは、R*が1から12個の炭素原子の直鎖状または分枝状アルキル基である式CH2=CHR*で表される。好適なα−オレフィンの例としては、プロピレン、イソブチレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテンおよび1−オクテンが挙げられるが、それらに限定されない。特に好適なα−オレフィンは、プロピレンである。プロピレン系ポリマーは、一般的に、当技術分野でEPまたはEPDMポリマーと称する。当該ポリマー、特にマルチブロックEPDM型ポリマーを製造するのに使用される好適なジエンとしては、4から20個の炭素を含む共役または非共役、直鎖または分枝鎖、環式または多環式ジエンが挙げられる。好適なジエンとしては、1,4−ペンタジエン、1,4−ヘキサジエン、5−エチリデン−2−ノルボルネン、ジシクロペンタジエン、シクロヘキサジエンおよび5−ブチリデン−2−ノルボルネンが挙げられる。特に好適なジエンは、5−エチリデン−2−ノルボルネンである。
【0047】
1つの好適な種類の樹脂として、ジまたはポリカルボン酸と、ジフェノールを含むジオールとのエステル化製造物を使用することができる。これらの樹脂は、参照により本明細書に組み込まれている米国特許第3,590,000号明細書に示されている。樹脂の他の具体例としては、スチレン/メタクリレートコポリマーおよびスチレン/ブタジエンコポリマー;懸濁重合スチレンブタジエン;ビスフェノールAと酸化プロピレンの反応、そしてその後の得られた製造物とフマル酸との反応から得られるポリエステル樹脂;ならびにジメチルテレフタレート、1,3−ブタンジオール、1,2−プロパンジオールおよびペンタエリスリトール、アクリル酸スチレンおよびそれらの混合物の反応から得られる分枝状ポリエステル樹脂が挙げられる。
【0048】
さらに、本開示の具体的な実施形態は、エチレン系ポリマー、プロピレン系ポリマー、プロピレン−エチレンコポリマーおよびスチレンコポリマーを組成物の1つの構成要素として採用することができる。本開示の他の実施形態は、The Dow Chemical Company社(ミシガン州Midland)から入手可能なUNOXOL3,4ジオールなどの脂肪族ジオールを含むものを含むポリエステル樹脂を使用することができる。
【0049】
選り抜きの実施形態において、熱可塑性樹脂は、エチレン−アルファオレフィンコポリマーまたはプロピレン−アルファオレフィンコポリマーから形成される。特に、選り抜きの実施形態において、熱可塑性樹脂は、1つまたは複数の非極性ポリオレフィンを含む。
【0050】
具体的な実施形態において、ポリプロピレン、ポリエチレン、それらのコポリマーおよびそれらのブレンド、ならびにエチレン−プロピレン−ジエンターポリマーなどのポリオレフィンを使用することができる。いくつかの実施形態において、好適なオレフィンポリマーとしては、Elstonに発布された米国特許第3,645,992号明細書に記載されている均一ポリマー;Andersonに発布された米国特許第4,076,698号明細書に記載されている高密度ポリエチレン(HDPE);均一に分枝した直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE);不均一に分枝した超低密度直鎖状ポリエチレン(ULDPE);均一に分枝した直鎖状エチレン/アルファ−オレフィンコポリマー;例えば、その開示内容が参照により本明細書に組み込まれている米国特許第5,272,236号明細書および同第5,278,272号明細書に開示されている方法によって製造され得る均一に分枝した実質的に直鎖状のエチレン/アルファ−オレフィンポリマー;ならびに低密度ポリエチレン(LDPE)またはエチレン酢酸ビニルポリマー(EVA)などの高圧遊離ラジカル重合エチレンポリマーおよびコポリマーが挙げられる。
【0051】
いくつかの実施形態において、それぞれ全体が参照により本明細書に組み込まれている米国特許第6,566,446号明細書、同第6,538,070号明細書、同第6,448,341号明細書、同第6,316,549号明細書、同第6,111,023号明細書、同第5,869,575号明細書、同第5,844,045号明細書または同第5,677,383号明細書に記載されているポリマー組成物およびそれらのブレンドも好適であり得る。いくつかの実施形態において、該ブレンドは、2つの異なるチーグラーナッタポリマーを含むことができる。他の実施形態において、該ブレンドは、チーグラーナッタポリマーおよびメタロセンポリマーのブレンドを含むことができる。さらに他の実施形態において、本明細書に用いられているポリマーは、2つの異なるメタロセンポリマーのブレンドであってよい。他の実施形態において、シングルサイト触媒ポリマーを使用することができる。
【0052】
いくつかの実施形態において、ポリマーは、ポリプレン系コポリマーまたは重合体である。いくつかの特定の実施形態において、プロピレン/エチレンコポリマーまたはインターポリマーは、実質的にアイソタクチックプロピレン配列を有するものとして特徴づけられる。「実質的にアイソタクチックプロピレン配列」という用語および同様の用語は、該配列は13C NMRで測定されたアイソタクチックトライアッド(mm)が一実施形態において約0.85を超え;別の実施形態において約0.90を超え;別の実施形態において約0.92を超え;さらに別の実施形態において約0.93を超えることを意味する。アイソタクチックトライアッドは、当技術分野でよく知られており、例えば、米国特許第5,504,172号明細書および国際公開第00/01745号パンフレットに記載されており、13C NMRスペクトルで測定されたコポリマー分子鎖におけるトライアッド単位の観点でのアイソタクチック配列を指す。
【0053】
オレフィンポリマー、コポリマー、インターポリマーおよびマルチブロックインターポリマーを、少なくとも1つの官能基をそのポリマー構造に組み込むことによって官能化することができる。例示的な官能基としては、例えば、エチレン不飽和一および二官能価カルボン酸、エチレン不飽和一および二官能価無水カルボン酸、それらの塩、ならびにそれらのエステルを挙げることができる。当該官能基をオレフィンポリマーにグラフトすることができ、またはそれをエチレンおよび任意のさらなるコモノマーと共重合させて、エチレン、官能性コモノマー、および場合によって他のコモノマーのインターポリマーを形成することができる。官能基をポリエチレン上にグラフトする手段は、例えば、その開示内容全体が参照により本明細書に組み込まれている米国特許第4,762,890号明細書、同第4,927,888号明細書および同第4,950,541号明細書に記載されている。1つの特に有用な官能基は、無水マレイン酸である。
【0054】
官能性ポリマーに存在する官能基の量は、異なり得る。官能基は、いくつかの実施形態において少なくとも約1.0重量パーセント;他の実施形態において少なくとも約5重量パーセント;およびさらに他の実施形態において少なくとも約7重量パーセントの量で存在してよい。官能基は、いくつかの実施形態において約40重量パーセント未満;他の実施形態において約30重量パーセント未満;およびさらに他の実施形態において約25重量パーセント未満の量で存在してよい。
【0055】
他の特定の実施形態において、熱可塑性樹脂は、エチレン酢酸ビニル(EVA)系ポリマーであってよい。他の実施形態において、熱可塑性樹脂は、エチレン−アクリル酸メチル(EMA)系ポリマーであってよい。他の特定の実施形態において、エチレン−アルファオレフィンコポリマーは、エチレン−ブテン、エチレン−ヘキセンまたはエチレン−オクテンコポリマーまたはインターポリマーであってよい。他の特定の実施形態において、プロピレン−アルファオレフィンコポリマーは、プロピレン−エチレンまたはプロピレン−エチレン−ブテンコポリマーまたはインターポリマーであってよい。
【0056】
熱可塑性ポリマーは、標準的な示差走査熱分析(DSC)評価を行った場合における少なくとも1つの吸熱の観察によって測定される結晶化度を有することができる。エチレン系ポリマーでは、ASTM D1238に従って重量2.16kg(4.75lb.)で190℃(375°F)にて測定されたメルトインデックス(「MI」)が、いくつかの実施形態において約30g/10分以下;他の実施形態において約25g/10分以下;他の実施形態において約22g/10分以下;さらに他の実施形態において約18g/10分以下の重量である。他の実施形態において、エチレン系ポリマーは、約0.1g/10分以上;他の実施形態において約0.25g/10分以上;他の実施形態において約0.5g/10分以上;およびさらに他の実施形態において約0.75g/10分以上のメルトインデックス(MI)を有することができる。
【0057】
プロピレン系ポリマーは、ASTM D1238に従って重量2.16kg(4.75lb.)で230℃(446°F)にて測定されたメルトフローレート(「MFR」)が、いくつかの実施形態において約85g/10分以下;他の実施形態において約70g/10分以下;他の実施形態において約60g/10分以下;およびさらに他の実施形態において約50g/10分以下の重量を有することができる。他の実施形態において、プロピレン系ポリマーは、約0.25g/10分以上;他の実施形態において約0.7g/10分以上;他の実施形態において約1.4g/10分以上;およびさらに他の実施形態において約2g/10分以上のメルトフローレート(MFR)を有することができる。
【0058】
エチレン系ポリマーは、いくつかの実施形態において約0.845g/cc以上;他の実施形態において約0.85g/cc以上;他の実施形態において約0.855g/cc以上;およびさらに他の実施形態において約0.86g/cc以上の密度を有することができる。他の実施形態において、エチレン系ポリマーは、約0.97g/cc以下;他の実施形態において約0.96g/cc以下;他の実施形態において約0.955g/cc以下;およびさらに他の実施形態において約0.95g/cc以下の密度を有することができる。
【0059】
プロピレン系ポリマーは、いくつかの実施形態において、約5重量パーセント以上のコモノマーを含むことができる。他の実施形態において、プロピレン系ポリマーは、約7重量パーセント以上のコモノマーを含むことができる。他の実施形態において、プロピレン系ポリマーは、約35重量パーセント以下のコモノマーを含むことができ;さらに他の実施形態において約25重量パーセント以下のコモノマーを含むことができる。
【0060】
様々な実施形態において有用な1群の熱可塑性ポリマー類は、エチレンと1−オクテンまたは1−ブテンとのコポリマーであり、エチレンコポリマーは、約90重量パーセント以下のエチレンを含み;他の実施形態において約85重量パーセント以下のエチレンを含み;他の実施形態において約50重量パーセント以上のエチレンを含み;さらに他の実施形態において約55重量パーセント以上のエチレンを含む。エチレンコポリマーは、いくつかの実施形態において約10重量パーセント以上;他の実施形態において約15重量パーセント以上;他の実施形態において約50重量パーセント以下;およびさらに他の実施形態において約45重量パーセント以下の1−オクテンまたは1−ブテンを含むことができる。上記重量百分率の各々は、コポリマーの重量に対するものである。様々な実施形態において、エチレンコポリマーは、約0.25g/10分以上;他の実施形態において約0.5g/10分以上;他の実施形態において約30g/10分以下;およびさらに他の実施形態において約20g/10分以下のメルトインデックスを有することができる。
【0061】
実施形態において有用な他のポリマーとしては、プロピレンとエチレン、1−オクテン、1−ヘキセンまたは1−ブテンとのコポリマーを挙げることができ、プロピレンコポリマーは、約95重量パーセント以下;他の実施形態において約93重量パーセント以下;他の実施形態において約65重量パーセント以上;およびさらに他の実施形態において約75重量パーセント以上のプロピレンを含む。プロピレンコポリマーは、いくつかの実施形態において約5重量パーセント以上;他の実施形態において約7重量パーセント以上;他の実施形態において約35重量パーセント以下;およびさらに他の実施形態において約25重量パーセント以下のエチレン、1−オクテン、1−ヘキセンまたは1−ブテンなどの1つまたは複数のコモノマーを含むことができる。様々な実施形態において、プロピレンコポリマーは、約0.7g/10分以上;他の実施形態において約1.4g/10分以上;他の実施形態において約85g/10分以下;およびさらに他の実施形態において約55g/10分以下のメルトフローレートを有することができる。
【0062】
あるいは、単一のポリマーの代わりに、本明細書に記載の物理特性を有するポリマーのブレンドを採用することができる。例えば、記載の範囲外の比較的高いMIまたはMFRを有する第1のポリマーと、比較的低いMIまたはMFRの別のポリマーとを、合わせたMIまたはMFRおよびブレンドの平均密度が所望の範囲内になるように、ブレンドするのが望ましい場合がある。より結晶性の高いアルファ−オレフィンポリマーと、有意な量の長鎖分枝を有するポリマーなどの比較的低結晶性のポリマーとを組み合わせて、本明細書に記載の泡および発泡体を調製する上で実質的に同等の処理能力を有するブレンドを得ることができる。本明細書において「ポリマー」を参照すると、同等の物理特性を有するオレフィンポリマーのブレンドを同様の効果で採用することができ、それらは、様々な実施形態の我々の記載の範囲内に含まれると見なされることが理解される。
【0063】
一部の実施形態において、熱可塑性樹脂は、0.857から0.911g/ccの密度および0.1から100g/10分のメルトインデックス(2.16kg重量で190℃)を有するエチレン−オクテンコポリマーまたはインターポリマーであってよい。他の実施形態において、エチレン−オクテンコポリマーは、0.863から0.902g/ccの密度および0.8から35g/10分のメルトインデックス(2.16kg重量で190℃)を有することができる。エチレン−オクテンコポリマーまたはインターポリマーは、エチレンとオクテンに対して20〜45重量パーセントのオクテンを含むことができる。
【0064】
一部の実施形態において、熱可塑性樹脂は、5から20重量%のエチレン含有量、および0.5から300g/10分のメルトフローレート(2.16kg重量で230℃)を有するプロピレン−エチレンコポリマーまたはインターポリマーであってよい。他の実施形態において、プロピレン−エチレンコポリマーまたはインターポリマーは、9から12重量パーセントのエチレン含有量、および1から100g/10分のメルトフローレート(2.16kg重量で230℃)を有することができる。
【0065】
一部の他の実施形態において、熱可塑性樹脂は、0.911から0.925g/ccの密度、および0.1から100g/10分のメルトインデックス(2.16kg重量で190℃)を有する低密度ポリエチレンであってよい。
【0066】
いくつかの実施形態において、熱可塑性樹脂は、50パーセント未満の結晶化度を有することができる。他の実施形態において、該樹脂の結晶化度は、5から35パーセントであってよい。さらに他の実施形態において、結晶化度は、7から20パーセントの範囲であってよい。
【0067】
いくつかの実施形態において、熱可塑性樹脂は、半結晶性ポリマーであり、110℃未満の融点を有することができる。他の実施形態において、融点は、25から100℃であってよい。さらに他の実施形態において、融点は、40から85℃であってよい。
【0068】
いくつかの実施形態において、熱可塑性樹脂は、ガラス状ポリマーであり、110℃未満のガラス転移温度を有することができる。他の実施形態において、ガラス転移温度は、20から100℃であってよい。さらに他の実施形態において、ガラス転移温度は、50から75℃であってよい。
【0069】
一部の実施形態において、熱可塑性樹脂は、10000g/モルを超える重量平均分子量を有することができる。他の実施形態において、重量平均分子量は、20000から150000g/モルであってよく;さらに他の実施形態において50000から100000g/モルであってよい。
【0070】
1つまたは複数の熱可塑性樹脂が、約1重量パーセントから約96重量パーセントのポリマー固形分の量で本明細書に記載の水性分散体中に含まれ得る。例えば、熱可塑性樹脂は、一実施形態において約10重量パーセントから約60重量パーセント、および別の実施形態において約20から約50重量パーセントの量で水性分散体中に存在し得る。
【0071】
ポリウレタン
発泡体材料を製造するのに有用なポリウレタン分散体の一実施形態は、水およびポリウレタン、および/または例えばポリウレタンプレポリマーなどのポリウレタンを形成することが可能な混合物を含むことができる。ポリウレタン分散体は、発泡補助剤として作用できる界面活性剤、湿潤剤、および/または泡安定剤および粘度調整剤を含むこともできる。ポリウレタン形成材料は、例えば、分散後のある時間にわたってある軽度のイソシアネート反応性を保持するポリウレタンプレポリマーを含むことができる。また、ポリウレタンプレポリマーおよびポリウレタンという用語は、例えば尿素基などの他のタイプの構造を包含することができる。
【0072】
本明細書に開示されている実施形態に有用なポリウレタンとしては、任意の有機ポリイソシアネート、改質ポリイソシアネート、イソシアネート系プレポリマーおよびそれらの混合物をベースとしたプレポリマーから製造されたポリウレタンおよびポリウレタン発泡体を挙げることができる。これらは、2,4−および2,6−トルエンジイソシアネートおよび対応する異性体混合物などの多官能性芳香族イソシアネート;4,4’−、2,4’−および2,2’−ジフェニル−メタンジイソシアネート(MDI)および対応する異性体混合物;4,4’、2,4’−および2,2’−ジフェニルメタンジイソシアネートおよびポリフェニルポリメチレンポリイソシアネート(PMDI)の混合物;ならびにPMDIとトルエンジイソシアネートの混合物を含む、脂肪族および脂環式イソシアネートを含むことができる。
【0073】
いくつかの実施形態において、複合構造体の実施形態に有用なポリウレタンポリマーを、水相とイソシアネート末端プレポリマーを一緒にして反応させることによって調製することができる。得られたポリマーは、泡またはゲル構造を有することができる。好適なプレポリマーは、例えば、それぞれ参照により本明細書に組み込まれている国際公開第2004074343(A1)号パンフレットおよび国際公開第2005097862(A1)号パンフレットに記載されている。
【0074】
いくつかの実施形態において、プレポリマーは、ポリエーテルポリオールと化学量論的過剰量のイソシアネート混合物との反応生成物であってよい。イソシアネート混合物は、メチレンジフェニルイソシアネート、トルエンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ポリメチレンポリフェニルイソシアネート、メチレンジフェニルイソシアネートのカルボジイミドまたはアロホネートまたはウレトンイミン付加物およびそれらの混合物を含むことができる。組成物の残りを構成するのに使用されるイソシアネートは、ポリメチレンポリフェニルイソシアネート、メチレンジフェニルイソシアネートのカルボジイミドまたはアロホネートまたはウレトンイミン付加物を含むことができる。いくつかの実施形態において、プレポリマーにおける構成要素の上記組合せは、水と反応すると、高度な親水性、ならびに発泡体密度および柔軟性の観点で良好な特性を有する発泡体をもたらすことができる。
【0075】
ポリウレタンポリマーを製造する上で、イソシアネート末端プレポリマーと水性混合物との量の比は、得られたポリマーの目標密度と物理的パラメータ、ならびに親水性発泡体、膜またはゲルをもたらす組成物のイソシアネート含有量に応じて、広範囲に異なり得る。
【0076】
得られたポリウレタン発泡体の密度は、いくつかの実施形態において約0.025〜0.5g/cc以上;および他の実施形態において0.05〜0.3g/ccの範囲であってよい。例えば、それぞれThe Dow Chemical Company社(ミシガン州Midland)から入手可能なHYPOL*2002、HYPOL*2060G、HYPOL*JT6005およびHYPOL*JM5002等のHYPOL*プレポリマーを使用して、ポリウレタン発泡体を形成することができる。
【0077】
いくつかの実施形態におけるプレポリマー配合物は、ポリオール構成要素を含むことができる。ポリウレタン製造に使用される活性水素含有化合物は、少なくとも2つのヒドロキシル基またはアミン基を有する化合物を含むことができる。それらの化合物は、本明細書においてポリオールと称する。好適なポリオールの典型は、広く知られており、High Polymers、第XVI巻、「Polyurethanes,Chemistry and Technology」、Saunders and Frisch、Interscience Publishers、New York、第I巻、32〜42頁、44〜54頁(1962)および第II巻、5〜6頁、198〜199頁(1964);Organic Polymer Chemistry、K.J.Saunders,Chapman and Hall、London、323〜325頁(1973);およびDevelopments in Polyurethanes、第I巻、J.M.Burst編、Applied Science Publishers、1〜76頁(1978)などの文献に記載されている。しかし、任意の活性水素含有化合物を使用することができる。当該材料の例としては、単独または混合物の形の以下の種類の組成物から選択されるものが挙げられる。(a)ポリヒドロキシアルカンのアルキレンオキシド付加物;(b)非還元糖および糖誘導体のアルキレンオキシド付加物;(c)リンおよびポリリン酸のアルキレンオキシド付加物;ならびに(d)ポリフェノールのアルキレンオキシド付加物。これらの種類のポリオールは、本明細書において「ベースのポリオール」と称する。本明細書において有用なポリヒドロキシアルカンのアルキレンオキシド付加物の例としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ジヒドロキシプロパン、1,4−ジヒドロキシブタン、および1,6−ジヒドロキシヘキサン、グリセロール、1,2,4−トリヒドロキシブタン、1,2,6−ジヒドロキシヘキサン、1,1,1−トリメチロールエタン、1,1,1−トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ポリカプロラクトン、キシリトール、アラビトール、ソルビトール、マンニトールの付加物である。他の有用なアルキレンオキシド付加物としては、エチレンジアミン、グリセリン、ピペラジン、水、アンモニア、1,2,3,4−テトラヒドロキシブタン、フルクトース、スクロースの付加物が挙げられる。ポリ(オキシプロピレン)グリコール、トリオール、テトロールおよびヘキソール、ならびにエチレンオキシドでキャップされるこれらのいずれかも有用である。これらのポリオールにはポリ(オキシプロピレンオキシエチレン)ポリオールも含まれる。オキシエチレン含有量は、いくつかの実施形態において全ポリオール重量の約80重量パーセント未満、および他の実施形態において約40重量パーセント未満を構成することができる。エチレンオキシドは、使用される場合は、例えば、内部ブロック、末端ブロック、ランダムに分布したブロック、またはその任意の組合せとしてポリマー鎖に沿って任意の方法で組み込まれ得る。
【0078】
ポリエステルポリオールを使用して、ポリウレタン分散体を調製することもできる。ポリエステルポリオールは、一般には、芳香族または脂肪族であってよい繰返しエステル単位によって、かつ末端一級または二級ヒドロキシル基の存在によって特徴づけられるが、少なくとも2つの活性水素基で終端する任意のポリエステルを使用することができる。例えば、グリコールとポリ(エチレンテレフタレート)とのエステル交換の反応生成物を使用して、本明細書に開示されているポリウレタンを調製することができる。
【0079】
任意の有機ポリイソシアネート、改質ポリイソシアネート、イソシアネート系プレポリマーおよびそれらの混合物を使用して、本明細書に開示されている配合物のポリイソシアネート化合物を調製することができる。これらは、2,4−および2,6−トルエンジイソシアネートならびに対応する異性体混合物;4,4’−、2,4’−および2,2’−ジフェニル−メタンジイソシアネート(MDI)ならびに対応する異性体混合物;4,4’−、2,4’−および2,2’−ジフェニルメタンジイソシアネートとポリフェニルポリメチレンポリイソシアネート(PMDI)との混合物;ならびにPMDIとトルエンジイソシアネートとの混合物などの多官能性芳香族イソシアネートを含む脂肪族および脂環式イソシアネートを含むことができる。
【0080】
水性の非イオン性親水性ポリウレタン分散体は、非イオン性親水性プレポリマーと、水と、場合により外部界面活性剤と、場合により連鎖延長剤との反応生成物を含むことができる。親水性プレポリマーは、第1の構成要素と第2の構成要素との反応生成物を含むことができる。第1の構成要素は、芳香族ポリイソシアネート、脂肪族ポリイソシアネートおよびそれらの組合せを含むことができる。第2の構成要素は、親水性アルキレンオキシドポリオール、非イオン性親水性アルキレンオキシドモノオール、または親水性および疎水性アルキレンオキシドポリオールもしくはモノオールの混合物、またはそれらの組合せを含むことができる。水性の非イオン性親水性ポリウレタン分散体は、1つまたは複数の界面活性剤を場合により含むことができる。
【0081】
他の有用なポリウレタンとしては、それぞれ参照により本明細書に組み込まれているPCT出願公開第WO2005097862A1号、第WO2004074343A1号および第WO2004053223A1号ならびに米国特許出願公開第20040109992号明細書および20050192365号明細書に記載されているものを挙げることができる。
【0082】
他の基体構成要素
いくつかの実施形態において、基体を、天然または合成材料を含む他のポリマーおよび非ポリマー構成要素から形成することができ、または基体は、該構成要素を含むことができる。他の構成要素としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレンおよびポリブチレン等のポリオレフィン;ポリエチレンテレフタレート、ポリ(グリコール酸)(PGA)、ポリ(乳酸)(PLA)、ポリ(β−リンゴ酸)(PMLA)、ポリ(ε−カプロラクトン)(PCL)、ポリ(p−ジオキサノン)(PDS)およびポリ(3−ヒドロキシブチレート)(PHB)等のポリエステル;ナイロン(ナイロン−6、ナイロン−6,6およびナイロン−6,12等)等のポリアミド;KEVLAR(登録商標)およびNOMEX(登録商標)等のポリアラミド、TEFLON(登録商標)およびポリエステルナイロン(EP);セルロースエステル;セルロースエーテル;セルロースニトレート;セルロースアセテート;セルロースアセテートブチレート;エチルセルロース;ビスコースおよびレーヨン等の再生セルロース;木綿;亜麻;絹;麻;およびそれらの混合物を挙げることができる。他の実施形態において、基体としては、エチレン−酢酸ビニル(EVA)、エチレン/ビニルアルコールコポリマー、ポリスチレン、耐衝撃性改良ポリスチレン、ABS、スチレン/ブタジエンブロックコポリマーおよびそれらの水素化誘導体(SBSおよびSEBS)ならびに熱可塑性ポリウレタンなどのポリマーを挙げることができる。好適なポリオレフィンとしては、直鎖状または低密度ポリエチレン、ポリプロピレン(アタクチック、アイソタクチック、シンジオタクチックおよびそれらの耐衝撃性改良型を含む)およびポリ(4−メチル−1−ペンテン)を挙げることができる。好適なスチレン系ポリマーとしては、ポリスチレン、ゴム改質ポリスチレン(HIPS)、スチレン/アクリロニトリルコポリマー(SAN)、ゴム改質SAN(ABSまたはAES)およびスチレン無水マレイン酸コポリマーを挙げることができる。
【0083】
他の実施形態において、木綿、アバカ、ケナフ、サバイグラス、亜麻、エスパルトグラス、藁、黄麻、バガス、トウワタフロス繊維およびパイナップル葉繊維などの非木材繊維;ならびに北方および南方軟木クラフト繊維などの軟木繊維;ユーカリ、カエデ、カバノキおよびポプラなどの硬木繊維を含む落葉樹および針葉樹から得られたものなどの木材繊維を含むが、それらに限定されない任意の天然または合成パルプまたはセルロース繊維から形成することができ、または基体は、該繊維を含むことができる。木材繊維を高収率または低収率の形で調製することができ、クラフト、亜硫酸、高収率パルプ化法および他の既知のパルプ化法を含む任意の既知の方法でパルプ化することができる。Laamanenらに対して1988年12月27日に発布された米国特許第4,793,898号明細書;Changらに対して1986年6月10日に発布された米国特許第4,594,130号明細書;および米国特許第3,585,104号明細書に開示されている繊維および方法を含む有機ゾルパルプ化法から調製されたパルプおよび繊維を使用することもできる。Gordonらに対して1997年1月21日に発布された米国特許第5,595,628号明細書に例示されているアントラキノンパルプ化によって有用なパルプおよび繊維を製造することもできる。本発明に有用なセルロース系組成物の他の例としては、それぞれ参照により本明細書に組み込まれている米国特許第6,837,970号明細書、同第6,824,650号明細書および同第6,863,940号明細書ならびに米国特許出願第US20050192402号明細書および同第20040149412号明細書に開示されているものが挙げられる。
【0084】
メチルセルロース(すなわちMETHOCEL)、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)(すなわちCELLOSIZE)、エチルセルロース(すなわちETHOCEL)、カチオン性HECおよび他のセルロース誘導体を含むセルロース系組成物およびポリマーを使用することもできる。いくつかの実施形態においてポリオキシエチレン(POLYOXなど)を使用することもできる。上記商標の製品の各々は、The Dow Chemical Company社(ミシガン州Midland)から入手可能である。他のセルロース系組成物およびポリマーとしては、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートスクシネート、カルボキシメチルエチルセルロース、セルロースアセテートフタレート、ポリビニルアセタールジエチルアミノアセテート、アミノアルキルメタクリレートコポリマー、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートスクシネート、メタクリル酸−メタクリル酸メチルコポリマーを含むメタクリル酸コポリマー、セルロースアセテートトリメリテート(CAT)、ポリビニルアセテートフタレート、セラック、カルボキシメチルセルロース、カルシウムカルボキシメチルセルロース、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、クロスカルメロースナトリウムA型(Ac−ジ−ゾル)、デンプン、結晶性セルロース、ヒドロキシプロピルデンプン、部分アルファ化デンプン、ポリビニルピロリドン、ゼラチン、アラビアゴム、エチルセルロース、ポリビニルアルコール、プルラン、アルファ化デンプン、寒天、トラガカント、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸プロピレングリコール、セルロース誘導体、デンプン誘導体、ペクチン、ポリアクリレート、ポリビニルアセテートフタレート、酸化再生セルロース、ポリアクリレート、改質デンプン(アセチル化、ハロゲン化、加水分解(例えば、酸などによる)または酵素作用などによってデンプン(例えば、トウモロコシデンプン、ジャガイモデンプン、タピオカデンプン)から誘導された水溶性ポリマーを含む、あるいは酸化デンプン、エトキシ化デンプン、カチオン性デンプン、親油性デンプンおよびパールデンプンを含むが、それらに限定されない任意の種類の水溶性改質デンプンを使用できる)、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール、ガーゴムのような天然および合成ゴム、キサンタンゴム、セルロースゴム、アカシアゴム、ポリカルボフィル、ポリエチレンオキシドなどのポリオレフィンオキシド、ローカストビーンゴム、ベントナイト、シェログルカン、カルボポール、ポリカルボフィル、ポリ(メチルビニルエーテル−コ−メタクリル酸)、ポリ(2−ヒドロキシエチルメタクリレート)、ポリ(メチルメタクリレート)、ポリ(イソブチルシアノアクリレート)、ポリ(イソヘキシシアノアクリレート)およびポリジメチルアミノエチルメタクリレートなどのポリアクリル酸、誘導性基を含む加水分解不安定ポリエステル、アルギネート、カラギーナン、ガーゴム誘導体、カラヤゴム、デキストラン、ヒアルロン酸、ブルラン、アミロース、高アミロースデンプン、ヒドロキシプロピル化高アミロースデンプン、デキストリン、ペクチン、キチン、キトサン、レバン、エルシナン、コラーゲン、ゼラチン、ゼイン、グルテン、大豆タンパク質単離体、多糖類、乳漿タンパク質単離体ならびにカゼインを挙げることもできる。他の実施形態において、上記組成物の組合せを使用することができる。
【0085】
上記リストは、好適なポリマーの非包括的なリストであることを当業者は認識するであろう。本開示の範囲は、請求項によってのみ制限されることが理解されるであろう。
【0086】
分散安定剤
本開示の実施形態は、安定な分散体またはエマルジョンの形成を促すために安定剤を使用する。選択された実施形態において、安定剤は、界面活性剤、ポリマー(以上に詳述した熱可塑性ポリマーと異なる)またはそれらの混合物であってよい。他の実施形態において、熱可塑性樹脂は、自己安定剤であり得るため、さらなる外来の安定剤は必要ない。例えば、自己安定系は、部分加水分解ポリエステルを含むことができ、ポリエステルと水性塩基を組み合わせることによって、ポリエステル樹脂および界面活性剤用安定剤分子を製造できる。特に、分散安定剤を分散剤、分散体を発泡させるための界面活性剤として使用することができ、または分散安定剤は、その両方の目的を果たすことができる。加えて、1つまたは複数の安定剤を併用することができる。
【0087】
一部の実施形態において、本明細書におけるポリオレフィンおよびポリウレタン分散体に使用される分散安定剤は、コモノマーまたはグラフトモノマーとして極性基を有する極性ポリマーであってよい。好適な実施形態において、分散安定剤は、コモノマーまたはグラフトモノマーとして極性基を有する1つまたは複数の極性ポリオレフィンを含むことができる。典型的なポリマーとしては、商標PRIMACOM(商標)(The Dow Chemical Company社の商標)、NUCREL(商標)(E.I.DuPont de Nemours社の商標)およびESCOR(商標)(ExxonMobil社の商標)で入手可能であり、それぞれ全体が参照により本明細書に組み込まれている米国特許第4,599,392号明細書、同第4,988,781号明細書および同第5,938,437号明細書に記載されているものなどのエチレン−アクリル酸(EAA)およびエチレン−メタクリル酸コポリマーが挙げられる。他の好適なポリマーとしては、エチレンエチルアセテート(EEA)、エチレンメチルメタクリレート(EMMA)およびエチレンブチルアクリレート(EBA)コポリマーが挙げられる。他のエチレン−カルボン酸コポリマーを使用することもできる。多くの他の有用なポリマーを使用することもできることを当業者は認識するであろう。
【0088】
ポリマーの極性基が本質的に酸性または塩基性である場合は、分散安定ポリマーを中和剤で部分的または完全に中和して、対応する塩を形成することができる。塩は、酸を対応する塩基、例えばNaOH、KOHおよびNH4OHで中和することによって調製された脂肪酸のアルカリ金属またはアンモニウム塩であってよい。以下により詳細に記載するように、これらの塩を分散工程においてインサイツで形成することができる。一部の実施形態において、長鎖脂肪酸またはEAAなどの分散安定剤の中和は、モルベースで25から200%であってよく;他の実施形態においてモルベースで50から110%であってよい。例えば、EAAについては、中和剤は、例えば、水酸化アンモニウムまたは水酸化カリウムなどの塩基である。他の中和剤としては、例えば、水酸化リチウムまたは水酸化ナトリウムを挙げることができる。適切な中和剤の選択は、配合される具体的な組成物に依存すること、および当該選択は当業者の知識の範囲内にあることを当業者は理解するであろう。
【0089】
ポリオレフィンおよびポリウレタン分散体に使用できる他の分散安定剤は、12から60個の炭素原子を有する長鎖脂肪酸または脂肪酸塩を含むことができる。他の実施形態において、長鎖脂肪酸または脂肪酸塩は、12から40個の炭素原子を有することができる。
【0090】
反応条件下で、イソシアネート末端プレポリマーと水相を接触させることによって、親水性ポリウレタン発泡体を調製することができる。水相は、実質的に水を含み、必要に応じて、少量の界面活性剤、触媒または増粘剤を含む。界面活性剤がなくても親水性発泡体を調製することは可能であるが、存在する界面活性剤を有することが有利であり得る。
【0091】
ポリウレタン発泡体のための界面活性剤を、良好な外観、気泡構造およびサイズが得られるように、かつ崩壊、および/または例えば割裂などの発泡体変形を最小限に抑えるように選択することができる。界面活性剤の例としては、BASF社製PLURONIC(登録商標)ポリオール界面活性剤などのオキシエチレンおよびオキシプロピレンのブロックコポリマーが挙げられる。PLURONIC(登録商標)の商品名で入手可能な非イオン性界面活性剤としては、指定製品L−62、L−72、l−92、P−75またはP−85が挙げられる。列挙した物質の代わりに、性質または性能が同等の他の界面活性剤を使用することができる。界面活性剤を水相に、いくつかの実施形態において、界面活性剤を含む全水相の100重量部当たり0.5から4重量部の量で使用することができ;他の実施形態において、界面活性剤を含む全水相の100重量部当たり0.75から3.0重量部の量で使用することができる。
【0092】
さらなる分散安定剤としては、カチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤または非イオン性界面活性剤が挙げられる。アニオン性界面活性剤の例としては、スルホン酸塩、カルボン酸塩およびリン酸塩が挙げられる。カチオン性界面活性剤の例としては、四級アミンが挙げられる。非イオン性界面活性剤の例としては、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシドおよびシリコーン界面活性剤を含むブロックコポリマーが挙げられる。分散安定剤として有用な界面活性剤は、外部界面活性剤または内部界面活性剤であってよい。外部界面活性剤は、分散体調製時に化学反応してポリマーにならない界面活性剤である。本明細書において有用な外部界面活性剤の例としては、ドデシルベンゼンスルホン酸の塩およびラウリルスルホン酸塩が挙げられる。内部界面活性剤は、分散体調製時に化学反応してポリマーになる界面活性剤である。本明細書において有用な内部界面活性剤の例としては、2,2−ジメチルオールプロピオン酸およびその塩、または塩化アンモニウムで中和されたスルホン化ポリオールが挙げられる。界面活性剤は、ポリウレタン構成要素100重量部当たり0.01から8重量部の範囲の量で、本明細書に開示されている配合物に含まれていてよい。
【0093】
特定の実施形態において、分散剤または安定剤を、使用される熱可塑性樹脂(または熱可塑性樹脂混合物)の量に対して0を超える量から約60重量%の範囲の量で使用することができる。熱可塑性樹脂および分散安定剤に関して、いくつかの実施形態において、熱可塑性樹脂は、組成物におけるポリマーおよび分散安定剤の全量の約30重量%から99重量%を含むことができる。他の実施形態において、熱可塑性樹脂は、組成物におけるポリマーおよび分散安定剤の全量の約50重量%から約80重量%を含むことができる。さらに他の実施形態において、熱可塑性樹脂は、組成物におけるポリマーおよび分散安定剤の全量の約70重量%を含むことができる。例えば、長鎖脂肪酸またはその塩を熱可塑性樹脂の量に対して0.5から10重量%で使用することができる。他の実施形態において、エチレン−アクリル酸またはエチレン−メタクリル酸コポリマーを熱可塑性樹脂の量に対して0.5から60重量%の量で使用できる。さらに他の実施形態において、スルホン酸塩を熱可塑性樹脂の量に対して0.5から10重量%の量で使用することができる。
【0094】
現在最も多く市販されているポリウレタン分散体は、DMPA(デポメドロキシプロゲステロンアセテート)を内部界面活性剤として含み、本発明に使用され得る。対照的に、DMPAを含まず、内部界面活性剤としてエチレンオキシドをベースとした非イオン性改質剤を含むポリウレタン分散体の系統も同等に好適であり、他の技術的および商業的利点をもたらすことができる。例えば、米国特許第6,271,276号明細書を参照されたい。
【0095】
以上に述べたように、2つ以上の分散安定剤を使用することができ、分散安定剤および発泡界面活性剤として組合せを使用することができる。比較的安定な水性分散体を生成するのに使用される分散剤は、採用される熱可塑性樹脂の性質に応じて異なり得ることを当業者は認識するであろう。
【0096】
分散体配合物
本明細書に開示されている実施形態による分散体配合物は、水などの液体媒体、熱可塑性樹脂、分散安定剤、ならびに場合により発泡界面活性剤、添加剤および充填剤を含むことができる。いくつかの実施形態において、水性分散体は、約0.02から10ミクロン;別の実施形態において約0.05から5ミクロン;およびさらに他の実施形態において約0.1から2ミクロンの粒径範囲のポリオレフィンおよび/またはポリウレタン樹脂粒子を含むことができる。
【0097】
熱可塑性樹脂および分散安定剤を、いくつかの実施形態において水である液体媒体に分散させることができる。いくつかの実施形態において、得られた分散体を中和して、約6から約14の範囲のpHを有する溶液とするために十分な塩基が添加される。特定の実施形態において、pHを約9から約12に維持するために十分な塩基が添加される。分散体の含水量を、熱可塑性樹脂と分散安定剤(固体含有量)の合計含有量が約1容量%から約74容量%になり得るように制御することができる。別の実施形態において、固体含有量は、約25容量%から約74容量%の範囲であってよい。さらに別の実施形態において、固体含有量は、約30%から約50%(充填剤を含まない、重量%)の範囲であってよい。さらに別の実施形態において、固体含有量は、約40%から約55%(充填剤を含まない、重量%)の範囲であってよい。
【0098】
いくつかの実施形態により形成された分散体は、約0.02から約5.0ミクロンの平均粒径を有することを特徴とすることができる。他の実施形態において、分散体は、約0.04から約2.0ミクロンの平均粒径を有することができる。本明細書に用いられている「平均粒径」は、容量平均粒径を指す。粒径を測定するために、例えばレーザ回折技術を採用することができる。本明細書における粒径は、分散体中のポリマーの直径を指す。球形でないポリマー粒子では、粒子の直径は、粒子の長軸および短軸の平均である。粒径をBeckman−Coulter LS230レーザ回折粒径分析装置または他の好適な装置で測定することができる。
【0099】
具体的な実施形態において、熱可塑性樹脂および安定剤を水、およびアンモニア、水酸化カリウムまたはそれらの組合せなどの中和剤とともに押出機内で溶融混練して、分散体を形成することができる。当業者は、多くの他の中和剤を使用できることを認識するであろう。いくつかの実施形態において、熱可塑性樹脂と安定剤をブレンドする前、最中または後に充填剤を添加することができる。
【0100】
当技術分野で知られている任意の溶融混練手段を使用することができる。いくつかの実施形態において、混練機、BANBURY(登録商標)ミキサー、一軸スクリュー押出機または多軸スクリュー押出機が使用される。本開示による分散体を製造するための方法は、特に限定されない。上記構成要素を溶融混練するための方法は、例えば、米国特許第5,756,659号明細書および米国特許公開第20010011118号明細書に開示されている。
【0101】
図2は、本開示の実施形態に使用できる押出装置を概略的に示す。押出機20、一部の実施形態において、二軸スクリュー押出機は、背圧調節器、溶融ポンプまたはギアポンプ30に連結される。実施形態は、それぞれがポンプ(不図示)を含む塩基貯蔵器40および初期水貯蔵器50をも提供する。所望量の塩基および初期水が、それぞれ塩基貯蔵器40および初期水貯蔵器50から供給される。塩基および初期水を押出機20に供給するために、任意の好適なポンプを使用することができるが、いくつかの実施形態において、240バールの圧力で約150cc/分の流量を供給するポンプが使用される。他の実施形態において、液体注入ポンプは、200バールで300cc/分または133バールで600cc/分の流量を供給する。いくつかの実施形態において、塩基および初期水がプレヒータで予備加熱される。
【0102】
一般には、熱可塑性ポリマー(ポリオレフィンおよびポリウレタン)分散体を調製する、当業者に知られている任意の方法を用いることができる。本明細書に規定されている好適な貯蔵安定ポリウレタン分散体は、約5ミクロン未満の平均粒径を有する任意のポリウレタン分散体である。貯蔵安定でないポリウレタン分散体は、5ミクロンを超える平均粒径を有することができる。例えば、ミキサーを使用して、ポリウレタンプレポリマーと水を混合し、プレポリマーを水に分散させることによって、好適な分散体を調製することができる。あるいは、プレポリマーを水とともに固定混合装置に供給し、水およびプレポリマーを固定ミキサーで分散させることによって好適な分散体を調製することができる。ポリウレタンの水性分散体を調製するための連続的方法が知られており、本明細書に開示されている実施形態に使用され得る。例えば、米国特許第4,857,565号明細書、同第4,742,095号明細書、同第4,879,322号明細書、同第3,437,624号明細書、同第5,037,864号明細書、同第5,221,710号明細書、同第4,237,264号明細書および同第4,092,286号明細書には、いずれもポリウレタン分散体を調製するのに有用な連続的方法が記載されている。加えて、高い内部相比を有するポリウレタン分散体を米国特許第5,539,021号明細書に記載されているような連続的方法によって調製することができる。
【0103】
他の種類の水性ポリマー分散体を本明細書に開示されている実施形態に有用なポリオレフィンおよびポリウレタン分散体と併用することができる。ポリウレタン分散体とのブレンドに有用な好適な分散体としては、スチレン−ブタジエン分散体;スチレン−ブタジエン−塩化ビニリデン分散体;スチレン−アクリル酸アルキル分散体;エチレン酢酸ビニル分散体;ポリクロロプロピレンラテックス;ポリエチレンコポリマーラテックス;エチレンスチレンコポリマーラテックス;ポリ塩化ビニルラテックス;またはアクリル分散体、同様の化合物およびそれらの混合物が挙げられる。
【0104】
ポリウレタン分散体の実施形態を製造する上で、粘度が低く、良好な混合を得ることができる場合に、界面活性剤を酸化防止剤、殺菌剤等とともにポリウレタン分散体に添加することができる。次いで、分散安定剤を添加した後、良好な分散を確保し、充填剤の凝集/凝固を回避するのに十分にゆっくりと任意の無機充填剤を添加することができる。最後に、増粘剤を添加して、所望の粘度を得ることができる。充填剤および増粘剤の添加後に、ステアリン酸アンモニウムを添加すると、ポリウレタン分散粒子の膨潤が回避されて、混合時の粘度がより低くなると考えられる。
【0105】
発泡界面活性剤
泡を調製するのに有用な界面活性剤は、本明細書において発泡界面活性剤と称する。発泡界面活性剤は、発泡に使用される気体、通常は空気が均一かつ効率的に分散して配合発泡分散体になることを可能にする。好ましくは、発泡界面活性剤は、乾燥後に非発泡複合発泡体製造物をもたらす。
【0106】
本開示の実施形態は、安定な分散体の形成を促進させ、発泡を支援するために発泡界面活性剤を使用することができる。最初に泡を生成するときに、泡安定化界面活性剤をポリオレフィン樹脂の水性分散体に添加することによって、発泡および乾燥工程中の泡の生成および安定化を達成することができる。加えて、望まれる場合は、これらの界面活性剤を使用して、乾燥発泡体の水加湿性を向上させることもできる。好適な発泡界面活性剤をカチオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤およびアニオン性界面活性剤から選択することができる。いくつかの実施形態において、発泡界面活性剤は、上記の安定剤を含むことができる。
【0107】
いくつかの実施形態において、発泡界面活性剤は、アルキルセルロースエーテル、ヒドロキシアルキルセルロースエーテル、ヒドロキシアルキルアルキルセルロースエーテル、ガーゴム、キサンタンゴム、および分子量が少なくとも20000のポリオキシエチレン樹脂、またはそれらの混合物であってよい。他の好適な発泡界面活性剤をカチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤または非イオン性界面活性剤から選択することができる。カチオン性界面活性剤の例としては、四級アミン、一級アミン塩、ジアミン塩およびエトキシ化アミンが挙げられる。非イオン性界面活性剤の例としては、エチレンオキシドを含むブロックコポリマー、シリコーン界面活性剤、アルキルフェノールエトキシレート、ならびに8個を超える炭素原子を含むアルキル基の直鎖状および二級アルコールエトキシレートが挙げられる。
【0108】
カチオン性界面活性剤の例としては、四級アミン、一級アミン塩、ジアミン塩およびエトキシ化アミンが挙げられる。非イオン性界面活性剤の例としては、エチレンオキシドを含むブロックコポリマー、シリコーン界面活性剤、アルキルフェノールエトキシレート、ならびに8個を超える炭素原子を含むアルキル基の直鎖状および二級アルコールエトキシレートが挙げられる。
【0109】
アニオン性界面活性剤の例としては、スルホン酸塩、カルボン酸塩およびリン酸塩が挙げられる。一実施形態において、水性分散体から泡を調製するのに有用なアニオン性界面活性剤をカルボン酸塩およびカルボン酸脂肪酸のエステルアミド、好ましくは12〜36個の炭素原子を含む脂肪酸、例えば、ステアリン酸またはラウリン酸、パルミチン酸、ミリスチン酸、オレイン酸、リノール酸、リシノール酸およびエルカ酸等から選択することができる。
【0110】
いくつかの実施形態において、界面活性剤は、アミノプロピオネート、両性スルホネート、ベタイン、イミダゾリン系両性化合物およびスルタイン等の両性界面活性剤を含むことができる。例えば、界面活性剤は、イミダゾリンから誘導されてもよく、(塩を含む)アセテートの形または(塩を含まない)プロピオネートの形であり得る。好適な両性界面活性剤の例としては、ラウラミドプロピルベタイン、ラウラミノジプロピオン酸ナトリウム、ココアミドプロピルヒドロキシルスルタイン、アルキルエーテルヒドロキシプロピルスルタイン、カプリロアンホヒドロキシプロピルスルホン酸ナトリウム、カプリロアンホジプロピオン酸二ナトリウム、ココアンホ酢酸ナトリウム、ココアンホ二酢酸二ナトリウム、ココアンホプロピオン酸ナトリウム、オクチルイミノジプロピオン酸二ナトリウム、ココアンホヒドロキシプロピルスルホン酸ナトリウム、ラウリルイミノジプロピオン酸二ナトリウム、ステアロアンホ酢酸ナトリウム、およびタロウイミノジプロピオン酸二ナトリウム等が挙げられる。当技術分野で知られている他の両性界面活性剤を使用することもできる。
【0111】
一実施形態において、完成した発泡体において良好な「手触り(hand)」または布地様感触が望まれる場合は、飽和脂肪酸誘導体(例えば、ステアリン酸またはパルミチン酸の塩)を使用することができる。他の好適なアニオン性界面活性剤としては、アルキルベンゼンスルホン酸塩、二級n−アルカンスルホン酸塩、アルファ−オレフィンスルホン酸塩、ジアルキルジフェニレンオキシドスルホン酸塩、スルホコハク酸エステル、イソチオネート、直鎖状アルキル(アルコール)硫酸塩および直鎖状アルコールエーテル硫酸塩が挙げられる。泡安定化界面活性剤は、分散体を調製するのに使用されるものと異なっていても異なっていなくてもよいことは理解される。これらの界面活性剤は、ともに泡形成を支援し、泡を安定化することを助ける役割を果たす。特定の実施形態において、界面活性剤をアルカリ金属、モノ、ジおよびトリアルカノールアミン(例えば、モノ、ジまたはトリエタノールアミン)、ならびにラウリル硫酸アンモニウム塩、ドデシルベンゼンスルホン酸塩、アルコールエトキシ硫酸塩およびイソチオネート、N−オクチルデシルスルホサクシナメートの二塩基塩の少なくとも1つ、ならびにそれらの混合物から選択することができる。他の実施形態において、泡安定剤は、セルロースを含むことができる。
【0112】
いくつかの実施形態において、以下に記載の得られた泡が、熱可塑性ポリマーの乾燥重量に対して0.01から10.0重量パーセントの発泡界面活性剤を含むことができるような量で発泡界面活性剤を使用することができる。他の実施形態において、泡は、熱可塑性ポリマーの乾燥重量に対して0.02から3.0重量パーセントの発泡界面活性剤を含むことができ;他の実施形態において熱可塑性ポリマーの乾燥重量に対して0.03から2.5重量パーセントの発泡界面活性剤を含むことができ;さらに他の実施形態において熱可塑性ポリマーの乾燥重量に対して0.05から10.0重量パーセントの発泡界面活性剤を含むことができる。様々な他の実施形態において、発泡界面活性剤は、熱可塑性ポリマーの乾燥重量に対して下限の0.01、0.02、0.03、0.04または0.05重量パーセントから熱可塑性ポリマーの乾燥重量に対して上限の2.0、2.5、3.0、4.0、5.0または10.0重量パーセントの所定の上限と下限の任意の組合せの量で泡に存在してよい。
【0113】
実施形態に使用される泡を調製するのに好適なポリウレタン配合物をポリウレタン分散体ならびに発泡および安定化界面活性剤から調製することができる。ある種類の発泡および安定化界面活性剤またはそれらの組合せを使用することによって、耐摩耗性、引張性、引裂性および伸度(TTE)、圧縮歪み、発泡体回復率、湿潤強度、靱性および基体接着性のような所望の発泡体特性を維持しながらより低密度の発泡体を得ることができることが認められた。いくつかの実施形態において、発泡分散体から調製された発泡体は、35kg/m3から160kg/m3の密度を有することができ;他の実施形態において40〜150kg/m3の密度を有することができ;他の実施形態において50〜120kg/m3の密度を有することができ;さらに他の実施形態において60〜80kg/m3の密度を有することができる。
【0114】
選択された実施形態において、ポリウレタン発泡体を調製するための発泡界面活性剤をアニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤または両性イオン性界面活性剤から選択することができる。一般に使用されるアニオン性界面活性剤の例は、ラウリル硫酸ナトリウムであるが、この界面活性剤は、最終発泡体製造物における後発泡の欠点を有する。発泡界面活性剤の他の例としては、カルボン酸塩が挙げられる。当該界面活性剤を以下の一般式で表すことができる。
RCO2−X+ (式1)
[式中、Rは、芳香族基、脂環式基または複素環を含むことができるC8〜C20直鎖状または分枝状アルキルを表し;Xは対イオンである]。一般に、Xは、Na、K、またはNH4+、モルホリン、エタノールアミンおよびトリエタノールアミン等のアミンである。Rは、いくつかの実施形態において10から18個の炭素原子を含むことができ、他の実施形態において12から18個の炭素原子を含むことができる。界面活性剤は、脂肪酸のC8〜C20アルキル塩の混合物などの複数の異なるR種を含むことができる。いくつかの実施形態において、界面活性剤は、ステアリン酸アンモニウムなどのアンモニウム塩である。
【0115】
ポリウレタン分散体固形分に対する界面活性剤中の乾燥固形分に対する、使用される発泡界面活性剤の100部中の量は、いくつかの実施形態においてポリウレタン分散体100部当たり使用される乾燥界面活性剤が1から15部であってよく;他の実施形態において1から10部であってよく;さらに他の実施形態において1から5部であってよい。より高量の発泡界面活性剤を使用しながら安定化界面活性剤の量を減少させることが可能であるが、同時に水の添加量が増加するため望ましくない。加えて、高量の界面活性剤は、曇りの増加および汚れの増加などの発泡複合体に対して他の有害な影響を及ぼす。
【0116】
ポリウレタン発泡体を製造するのに有用な他の発泡界面活性剤は、アルキルベンゼンスルホネート、サクシナメートおよびスルホサクシナメートなどの硫酸塩などのスルホン酸塩をベースとすることができる。他の硫酸塩は、以下の一般式で表すことができるスルホコハク酸エステルの類であってよい。
R2OOCCH2CH(SO3−M+)COOR2 (式2)
[式中、各存在におけるR2は、独立に、芳香族基または脂環式基を含むことができるC6〜C20直鎖状または分枝状アルキルであり、Mは対イオンである]。一般に、Mは、アンモニア、またはリチウム、カリウムもしくはナトリウムなどの周期表の1A族の構成要素である。R2は、いくつかの実施形態において8から20個の炭素原子を含むことができ、他の実施形態において10から18個の炭素原子を含むことができる。界面活性剤は、各存在において、異なるR2種を含むことができる。いくつかの実施形態において、R2は、アミンである。他の実施形態において、界面活性剤は、アンモニア塩またはオクタデシルスルホコハク酸の塩である。いくつかの実施形態において、ポリウレタン分散体100部当たり0.01から20部;他の実施形態において0.05から10部;およびさらに他の実施形態において0.1から6部の乾燥界面活性剤が使用される。
【0117】
以上に示したアニオン性界面活性剤に加えて、両性イオン性界面活性剤を使用して、ポリウレタン泡の発泡および/または安定性を向上させることもできる。両性イオン性界面活性剤としては、ベータ−アルキルプロピオン酸誘導体などのN−アルキルベタインが挙げられる。当該界面活性剤を以下の一般式で表すことができる。
R3N+(CH3)2CH2COO−M+ (式3)
R3N+Cl−M+ (式4)
R3N+Br−M− (式5)
[式中、R3は、芳香族基または脂環式基を含むことができるC6からC20直鎖状または分枝状アルキルであり、R3およびMは、以上に記載した通りである]。使用する場合は、いくつかの実施形態においてポリウレタン分散体100部当たり0.01から5部;および他の実施形態において0.05から4部の乾燥両性イオン性界面活性剤を使用することができる。
【0118】
以上に列記した界面活性剤に加えて、泡の発泡または安定性に悪影響を与えない他の界面活性剤を使用することができる。特に、さらなるアニオン性、両性イオン性または非イオン性界面活性剤を以上に列記した界面活性剤と併用することができる。
【0119】
添加剤
本明細書に開示されているポリマー、分散体、泡および発泡体は、それらが設計される用途に応じて、熱可塑性樹脂の重量の約2〜100パーセント(乾燥ベース)の範囲の量で充填剤を場合により含むことができる。これらの任意の成分としては、例えば、炭酸カルシウム、二酸化チタン粉末、ポリマー粒子、中空ガラス球、フィブリル化繊維、およびポリオレフィン系短繊維モノフィラメントなどのポリマー繊維等が挙げられる。吸収性製品における使用に向けて設計された発泡体は、短木綿繊維、またはポリマー発泡体全体を通じて均一に分布された他のセルロース繊維などのバルク液体吸収材料を含むことができる。
【0120】
本開示の範囲から逸脱することなく、添加剤を熱可塑性ポリマー、分散安定剤、発泡界面活性剤または充填剤とともに使用することができる。例えば、添加剤としては、湿潤剤、界面活性剤、帯電防止剤、消泡剤、粘着防止剤、蝋分散顔料、中和剤、増粘剤、混和剤、光沢剤、流動性改質剤、殺生剤、殺真菌剤、および当業者に知られている他の添加剤を挙げることができる。
【0121】
添加剤およびアジュバントを、熱可塑性ポリマーを含む任意の配合物に含めることができる。好適な添加剤としては、クレー、タルク、二酸化チタン、ゼオライト、粉末化金属を含む有機または無機粒子、炭素繊維、窒化珪素繊維、鋼ワイヤまたはメッシュ、ナイロンまたはポリエステルコーディング、ナノサイズ粒子およびクレー等を含む有機または無機繊維;粘着剤、パラフィン油またはナフテン油を含むエキステンダー油;ならびに本発明の実施形態による他のポリマーを含む他の天然および合成ポリマーが挙げられる。
【0122】
本明細書に開示されている組成物は、プロセス油、可塑剤および加工助剤(総称的にプロセス油と呼ぶ)を含むことができる。特定のASTM名を有するプロセス油およびパラフィン、ナフテンまたはアロマプロセス油は、すべて使用に好適である。いくつかの実施形態において、全ポリマー100部当たり0から150部のプロセス油が採用され;他の実施形態において0から100部のプロセス油が採用され;さらに他の実施形態において全ポリマーの100部当たり0から50部のプロセス油が採用され得る。より高量のプロセス油は、いくつかの物理特性を犠牲にして、得られた製造物の処理を向上させる傾向を有し得る。さらなる加工助剤としては、従来の蝋、ステアリン酸カルシウムまたはステアリン酸亜鉛などの脂肪酸塩、グリコールを含む(ポリ)アルコール、グリコールエーテルを含む(ポリ)アルコールエーテル、(ポリ)グリコールエステルを含む(ポリ)エステル、および金属塩、特に第1族または第2族金属塩またはそれらの亜鉛塩誘導体が挙げられる。
【0123】
熱可塑性ブレンドを含む組成物は、オゾン分解防止剤または酸化防止剤を含むこともできる。オゾン分解防止剤は、表面に現れ、酸素またはオゾンから熱可塑材を保護する蝋質材料などの物理的保護剤であってよく、またはそれらは、酸素またはオゾンと反応する化学的保護剤であってよい。好適な化学保護剤としては、スチレン化フェノール、ブチル化オクチル化フェノール、ブチル化ジ(ジメチルベンジル)フェノール、p−フェニレンジアミン、p−クレソールとジシクロペンタジエン(DCPD)とのブチル化反応生成物、ポリフェノール酸化防止剤、ヒドロキノン誘導体、キノリン、ジフェニレン酸化防止剤、チオエステル酸化防止剤、およびそれらのブレンドが挙げられる。当該製品のいくつかの代表的な商品名は、WINGSTAY(商標)S酸化防止剤、POLYSTAY(商標)100酸化防止剤、POLYSTAY(商標)100AZ酸化防止剤、POLYSTAY(商標)200酸化防止剤、WINGSTAY(商標)L酸化防止剤、WINGSTAY(商標)LHLS酸化防止剤、WINGSTAY(商標)K酸化防止剤、WINGSTAY(商標)29酸化防止剤、WINGSTAY(商標)SN−1酸化防止剤およびIRGANOX(商標)酸化防止剤である。いくつかの用途において、使用される酸化防止剤およびオゾン分解防止剤は、好ましくは、非汚染性非移動性であってよい。
【0124】
UV放射線に対するさらなる安定性を確保するために、ヒンダードアミン光安定剤(HALS)およびUV吸収剤を使用することもできる。好適な例としては、Ciba Specialty Chemicals社から入手可能なTINUVIN(商標)123、TINUVIN(商標)144、TINUVIN(商標)622、TINUVIN(商標)765、TINUVIN(商標)770およびTINUVIN(商標)780、ならびにCytex Plastics社(米国テキサス州Houston)から入手可能なCHEMISORB(商標)T944が挙げられる。米国特許第6,051,681号に開示されているように、優れた表面品質を達成するために、ルイス酸をHALS化合物に追加的に含めることができる。
【0125】
いくつかの組成物では、さらなる混合方法を採用して、酸化防止剤、オゾン分解防止剤、カーボンブラック、UV吸収剤および/または光安定剤を再分散させてマスターバッチを形成し、続いてそれよりポリマーブレンドを形成することができる。
【0126】
本明細書における使用に好適な架橋剤(硬化剤または加硫剤とも称する)としては、硫黄系化合物、過酸化物系化合物またはフェノール系化合物が挙げられる。先述の材料の例は、米国特許第3,758,643号明細書、同第3,806,558号明細書、同第5,051,478号明細書、同第4,104,210号明細書、同第4,130,535号明細書、同第4,202,801号明細書、同第4,271,049号明細書、同第4,340,684号明細書、同第4,250,273号明細書、同第4,927,882号明細書、同第4,311,628号明細書および同第5,248,729号明細書を含めて当技術分野に見いだされる。
【0127】
イソシアネート末端プレポリマーが親水性ポリウレタン発泡体の製造に使用される場合は、イソシアネート/プレポリマー組成物と反応するヒドロキシル組成物に架橋剤を存在させるのと異なり、プレポリマー内部に架橋剤を含めるのが有利であり得る。このようにして架橋剤を導入すると、魅力的な機械特性を有する発泡体の調製を促進することができる。プレポリマーへの組み込みに好適な架橋剤の典型は、典型的には3から4の平均ヒドロキシル官能基を有する低分子量ポリオール、または典型的には3から4個のアミノ成分を有する低分子量アミンである。架橋剤としては、グリセリン、トリメチロールプロパン、およびその低分子量アルコキシ化誘導体を挙げることができる。エチレンジアミンを使用することもできる。当該架橋剤は、ポリエーテルポリオール、架橋剤、および場合によりイソシアネートと反応させられる粘度調整剤の全量に対して、いくつかの実施形態において0.1から5重量パーセント;他の実施形態において0.5から3重量パーセント;さらに他の実施形態において1から3重量パーセントの量で存在することができる。
【0128】
他のプレポリマーは、連鎖延長剤または架橋剤を含むこともできる。連鎖延長剤と、ポリウレタンプレポリマーにおけるイソシアネート官能基との反応によって、ポリウレタンプレポリマーの分子量を増加させる、すなわちポリウレタンプレポリマーを連鎖延長するために連鎖延長剤を使用することができる。好適な連鎖延長剤または架橋剤は、典型的には、分子あたり約2つ以上の活性水素基を有する低当量活性水素含有化合物である。連鎖延長剤は、典型的には、2つ以上の活性水素基を有し、架橋剤は、3つ以上の活性水素基を有する。活性水素基は、ヒドロキシル、メルカプチルまたはアミノ基であってよい。アミン連鎖延長剤を遮断、カプセル化、あるいはその反応性を低くすることができる。他の材料、特に水は、鎖長を延長するように機能できるため、連鎖延長剤であり得る。
【0129】
ポリアミン連鎖延長剤を、例えば、Huntsman Chemical Company社のJEFFAMINE(登録商標)D−400、アミノエチルピペラジン、2−メチルピペラジン、1,5−ジアミノ−3−メチル−ペンタン、イソホロンジアミン、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、アミノエチルエタノールアミン、トリエチレンテトラアミン、トリエチレンペンタアミン、エタノールアミン、その立体異性体のいずれかのリシンおよびその塩、ヘキサンジアミン、ヒドラジンならびにピペラジンなどのアミン末端ポリエーテルから選択することができる。いくつかの実施形態において、連鎖延長剤は水溶液として使用できる。
【0130】
ポリウレタン分散体の形成において、1当量の連鎖延長剤と反応する1当量のイソシアネートに対して、プレポリマーに存在する0から100パーセントのイソシアネート官能基と反応するのに十分な量の連鎖延長剤を採用することができる。水が連鎖延長剤として作用し、存在するイソシアネート官能基の一部またはすべてと反応することを可能にすることが望ましい場合がある。場合により触媒を使用して、連鎖延長剤とイソシアネートの反応を促進することができる。連鎖延長剤が3つ以上の活性水素基を有するときは、それらは、同時に架橋剤として機能することもできる。
【0131】
本発明の実施形態による熱可塑性組成物は、有機もしくは無機充填剤、あるいはデンプン、タルク、炭酸カルシウム、ガラス繊維、ポリマー繊維(ナイロン、レーヨン、木綿、ポリエステルおよびポリアラミドを含む)、金属繊維、フレークもしくは粒子、クレー、マイカ、シリカ、アルミナ、アルミノ珪酸塩もしくはアルミノリン酸塩などの発泡性層状珪酸塩、リン酸塩または炭酸塩、炭素ウィスカ、炭素繊維、ナノチューブを含むナノ粒子、ウォラストナイト、グラファイト、ゼオライト、および炭化珪素、窒化珪素もしくはチタニアなどのセラミックなどの他の添加剤を含むこともできる。シラン系または他のカップリング剤をより良好な充填剤結合のために採用することもできる。
【0132】
従来の充填剤の例としては、ミルドグラス、炭酸カルシウム、アルミニウム三水和物、タルク、ベントナイト、三酸化アンチモン、カオリン、フライアッシュまたは他の既知の充填剤が挙げられる。例えばポリウレタン分散体における好適な充填剤量は、分散体固形分100部当たり充填剤0から200部(pphds)であってよい。充填剤をいくつかの実施形態において約100pphds未満の量で充填することができ、他の実施形態において約80pphds未満の量で充填することができる。無機充填剤を添加すると、乾燥により除去される水の割合がより低くなるため、製造ライン上のより速い乾燥速度によって発泡体複合体の製造を強化することができる。
【0133】
場合により充填剤湿潤剤を使用することができる。充填剤湿潤剤は、充填剤とポリオレフィンまたはポリウレタン分散体の相溶性を向上させることができる。有用な湿潤剤としては、ヘキサメタリン酸ナトリウムなどのリン酸塩が挙げられる。充填剤湿潤剤を少なくとも約0.5pphdsの濃度で含めることができる。
【0134】
増粘剤は、ポリウレタンおよびポリオレフィン分散体の粘度を増加させるのに有用であり得る。例えば、好適な増粘剤としては、ALCOGUM(商標)VEP−II(Alco Chemical Corporation社の商品名)およびPARAGUM(商標)241(Para−Chem Southern,Inc社の商品名)が挙げられる。他の好適な増粘剤としては、METHOCEL(商標)製品(The Dow Chemical Company社の商品名)などのセルロース誘導体を挙げることができる。所望の粘度の分散体を調製するのに必要な任意の量で増粘剤を使用することができる。
【0135】
水相の粘度を調節し、例えば充填剤または繊維の輸送および分配を容易にすることが望まれる場合に増粘剤を使用することができる。充填剤としては、クレー、珪藻土、炭酸カルシウム、およびウォラストナイトなどの鉱物繊維;例えばスチレン−ブタジエンなどの含水ラテックスを挙げることができる。増粘剤としては、キサンタンゴムなどの天然製品、またはポリアクリルアミドポリマーおよびゲルなどの化学的薬剤を挙げることができる。他の添加剤としては、混合助剤および乳化剤が挙げられる。
【0136】
触媒を使用せずに親水性ポリウレタン発泡体を調製することができる。しかし、必要な場合は、水性混合物、あるいはイソシアネート末端プレポリマーとの予備混合によって触媒をイソシアネート末端プレポリマー/水性混合物に組み込むことができるが、この場合は、水性混合物との反応に使用する直前である。必要な場合は、触媒は、反応生成物の硬化時間を修正し、発泡体の所望の物理特性の達成を容易にする量で添加される。好適な触媒としては、重炭酸ナトリウム、三級アミンおよび有機金属化合物を挙げることができる。他の好適な触媒としては、n−メチルモルホリン、n−エチルモルホリン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、テトラメチルブタンジアミン、トリエチレンジアミン、ジメチルアミノエタノールアミン、ベンジリジメチルアミン、ジブチル錫ジラウレートおよびオクタン酸第一錫を挙げることができる。
【0137】
得られたポリマーの物理特性を改変することを望む場合に、繊維および充填剤に加えて、油脂および機能性添加剤などの他の物質を導入するために水相を使用することもできる。最終用途に必要であれば、芳香剤もしくは香料、または香気によって検出できる他の当該物質が存在してもよい。最終用途が何らかの生理活性特性を有するポリマーを必要とする場合は、水相を使用して、例えば、農薬、殺虫剤、除草剤、誘引剤、フェロモン、成長促進もしくは調節物質または植物もしくは動物栄養素などの活性分子を導入することもできる。得られたポリマーが、電気特性または発光特性を必要とする最終用途に使用される場合は、水性混合物を使用して、ポリマーを導電性にするように電解質を導入し、またはポリマーを発光性にするように蛍光もしくはリン光添加剤を導入することができる。一般には、水相を介して当該追加的な物質が導入されるが、有害な反応または処理条件が支配的でないときはイソシアネート末端プレポリマーも同様に利用することができる。
【0138】
本発明の目的に対して任意であるが、いくつかの構成要素は、製造プロセスの最中および後の製品安定性および耐久性にとって大いに有利であり得る。例えば、酸化防止剤、殺生剤および防腐剤を含めることは、いくつかの実施形態において大いに有利であり得る。
【0139】
泡の調製
上記分散体から泡を調製するために、一般には気体発泡剤が使用される。好適な発泡剤の例としては、例えば、空気、二酸化炭素、窒素、アルゴン、ヘリウムなどの気体および/または気体の混合物が挙げられる。典型的には、所定の対流時間中に機械的剪断力によって大気圧を超える気体の導入により、発泡剤を分散体に導入して均一な泡を形成する。泡を調製する際に、分散体のすべての構成要素を混合することができ、次いでOAKES(商標)、COWIE&RIDING(商標)またはFIRESTONE(登録商標)発泡装置などの装置を使用して、気体を混合物に混入させることができる。
【0140】
大気圧条件下で高剪断機械混合法などの機械的方法を使用して、空気または他の気体を分散体の水相に混入させ、または場合により混合しながら気体を系に注入することによって分散体/界面活性剤/任意の添加剤の混合物から泡を調製することができる。泡に組み込むことができる空気または他の気体(空気に加えて、または空気以外の気体が望まれる場合)の量は、一実施形態において少なくとも80容量%、別の実施形態において少なくとも85容量%、およびさらに別の実施形態において少なくとも90容量%の得られた泡を含むことができる。最初に、泡を作るのに使用されるすべての構成要素を緩やかな撹拌により混合して、空気の混入を回避することができる。
【0141】
成分のすべてが十分に混合されると、混合物に高剪断機械混合を施すことができる。この工程中、混合物のバルク粘度は、非流動性の硬質の泡が形成されるまで、さらなる空気が連続的な水相内に混入されるに従って増加し得る。所望の密度の泡を得るのに必要な混合時間は、泡安定化界面活性剤の量および種類ならびに機械的剪断力の量に応じて異なっていてもよい。キッチンブレンダー/ハンドミキサー、ワイヤホイップが装着されたホバルトミキサー、またはより大きな規模では、COWIERIDING(商標)ツインフォーマー(Cowie Riding Ltd社)などの、濃化水性分散体に空気を混入させることが可能な任意の機械的混合装置を使用することができる。市販の発泡装置は、空気をそれらの高剪断混合ヘッドに注入して、非常に低密度(50g/L未満)の泡を得ることを可能にすることができる。
【0142】
例えば、所定の容量および重量のカップに泡のサンプルを導入し、泡で満たされたカップの重量を測定し、次いでサンプルの密度を計算することによって泡密度を測定することができる。市販の発泡装置において、空気を混合ヘッド内に直接加えて、低密度の泡の発生を助けることができる。発泡装置の速度を上昇または低下させて、所望の泡密度を達成することができる。一実施形態において、泡密度は、約0.04から約0.15g/cc、別の実施形態において約0.07から0.10g/ccの範囲であってよい。他の実施形態において、泡密度は、0.05g/ccから0.09g/ccであってよい。所望の泡密度が得られると、泡を発泡体に変換する前に、場合により泡を基体上に散布することができる。
【0143】
ポリマーを含む発泡体を、2004年8月25日に出願され、国際公開第2005/021622号パンフレットとして公開されたPCT出願第PCT/US2004/027593号明細書に開示されているように形成することができる。他の実施形態において、過酸化物、電子ビーム、シラン、アジド、ガンマ線、紫外線または他の架橋技術の使用などの任意の既知の手段によって、好ましくは泡を形成した後にポリマーを架橋することもできる。グラフティング(例えば、無水マレイン酸(MAH)、シランまたは他のグラフティング剤の使用による)、ハロゲン化、アミン化、スルホン化または他の化学的改質などによってポリマーを化学的に改質することができる。
【0144】
乾燥および回収工程
一実施形態において、本明細書に開示されているように調製された泡の液体/水性要素の少なくとも一部を除去することによって、発泡体を泡から調製することができる。他の実施形態において、泡の液体/水性要素の少なくとも大部分を除去することによって発泡体を泡から調製することができる。さらに他の実施形態において、液体/水性要素の実質的にすべてを除去することによって発泡体を調製することができる。様々な実施形態において、液体/水性要素の30重量パーセントを超える量、50重量パーセントを超える量、80重量パーセントを超える量、90重量パーセントを超える量、95重量パーセントを超える量、98重量パーセントを超える量、または99重量パーセントを超える量を除去することができる。液体部分を除去する手段を、泡体積崩壊量を最小限にするように選択することができる。一実施形態において、最適な乾燥のために選択された温度において、強制空気乾燥炉で加熱することによって泡を乾燥させて発泡体に変換することができる。一実施形態において、泡を約60℃から120℃の温度に加熱することができる。
【0145】
熱可塑性樹脂の性質が許せば、泡の気泡の表面のポリオレフィン樹脂粒子の粘性を破壊することなく、または部分的に乾燥された泡の有意な(例えば75〜80容量パーセント超の)崩壊を引き起こすことなく、水を可能な限り迅速に泡から除去するために実現可能な最も高い温度で処理を実施することができる。別の実施形態において、熱可塑性繊維の融点温度を超えないように乾燥温度を選択することができる。一実施形態において、熱可塑性樹脂の溶融範囲に近いが、それを超えない温度で泡を乾燥させることが望ましい場合がある。別の実施形態において、泡がその最終的な形および寸法で完全に「乾燥」され、泡における水の少なくとも95重量パーセントが排出される前に、熱可塑性樹脂における非晶質領域が、繊維と擬似的に架橋しながら合着を開始し、泡の崩壊を回避するまたは最小限に抑える温度を達成することが望ましい場合がある。得られた「乾燥」発泡体は、いくつかの実施形態において約0.025から0.5g/cc;他の実施形態において0.05から0.3g/cc;他の実施形態において0.02から0.07g/cc;およびさらに他の実施形態において約0.03から0.05g/ccの密度を有することができる。他の実施形態において、発泡体は、0.03g/ccから0.06g/ccの範囲内の密度を有することができる。
【0146】
乾燥発泡体のいくつかの実施形態は、約0.5mmから300mm以上;他の実施形態において約1mmから6mm;およびさらに他の実施形態において0.01cmから2.5cmの範囲の平均厚さを有することができる。乾燥発泡体の他の実施形態は、0.05cmから2.0cm;およびさらに他の実施形態において1から1.5cmの範囲の平均厚さを有することができる。乾燥発泡体の実施形態を含む製品は、0.1cmから2.5cm;他の実施形態において0.5cmから2.0cm;およびさらに他の実施形態において1.0cmから1.5cmの範囲の平均厚さを有する少なくとも1つの層の発泡体を含むことができる。いくつかの実施形態において、2つ以上の発泡体を互いに貼り合わせることができる。様々な実施形態において、2つ以上の発泡体は、同じまたは異なる密度、同じまたは異なる気泡サイズ、あるいは同じまたは異なる構造(フィブリル構造、連続気泡構造、独立気泡構造等)を有することができる。連続気泡発泡体は、相互接続孔または気泡を有するのに対して、独立気泡発泡体は、相互接続孔または気泡を有さない。いくつかの実施形態において、1つまたは複数の発泡体をフィルムなどの基体に貼り合わせることができる。
【0147】
本開示の所望の発泡体を形成するための泡の乾燥をバッチまたは連続方式で実施することができる。例えば、従来の強制空気乾燥炉または赤外線加熱ランプ列、あるいは誘電加熱装置、例えば、泡を連続的に配置または搬送できるトンネルまたはチャンバを裏打ちするラジオ(典型的には、1〜100MHzの範囲の許容周波数帯で動作される)およびマイクロ波(典型的には、400から2500MHzの範囲の許容周波数帯で動作される)周波数エネルギー生成源を含む装置を乾燥に採用することができる。当該乾燥エネルギー源の組合せを使用し、同時にまたは順次適用して、泡を乾燥させて発泡体を形成することができる。一実施形態において、乾燥は、誘電装置および強制空気乾燥炉を同時に使用することを含む。約0.25から0.6cmの厚さを有する泡については、強制空気炉が約75℃で動作され、ラジオ周波数発生装置が泡を約45から50℃の内部温度に加熱する場合に、45から90秒の短い時間で乾燥を達成することができる。乾燥動作の温度を、発泡体を調製するのに採用されるポリオレフィン樹脂の性質および(DSCで測定される)溶融範囲に応じて選択することができる。様々な国において工業的使用に対して許可された誘電加熱周波数帯は、参考文献「Foundations of Industrial Applications of Microware and Radio Frequency Fields」、Rousy,GおよびPierce,J.A.(1995)により詳細に示されている。
【0148】
一実施形態において、吸収性構造体(発泡体)は、非気泡状のフィブリル化形態を有することができる。本明細書に用いられているように、「非気泡状フィブリル化構造」は、フィブリルまたは糸状フィラメントから構成された、またはそれらを有する連続ランダム非気泡状形態を有する発泡体を指す。非気泡状フィブリル化構造は、例えば、フィブリルが不織布繊維状ウェブを形成し、ストラットの多くが相互接続されていない場合のように不均一かつ非反復的であってよい。
【0149】
他の実施形態において、本明細書に開示されている発泡体は、発泡体の多くの気泡の気泡サイズが約5から約1000マイクロメートルの範囲である連続気泡発泡体であってよい。他の実施形態において、発泡体は、その気泡の多くが実質的に楕円形の形をしていることを特徴とすることができる。
【0150】
本明細書に記載されている発泡体は、基体に接着することができる。いくつかの実施形態において、発泡体と基体の接着力は、0.1Ibf/in以上であってよい。他の実施形態において、発泡体と基体の接着力は、0.15Ibf/in以上であってよく;さらに他の実施形態において0.2Ibf/in以上であってよい。
【0151】
他の発泡体
本明細書に開示されている実施形態に使用することができる他の発泡体としては、木綿、木材および他の天然繊維を含む天然植物材料から製造された材料を含む天然および合成セルロース系発泡体を挙げることができる。他の実施形態において、アクリル、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、ウレタン、塩化ビニル、塩化ビニリデンまたはアクリロニトリルポリマーから形成される水性系分散体から形成される発泡体を使用することができる。さらに他の実施形態において、発泡体としては、ラテックス発泡体または天然スポンジを挙げることができる。
【0152】
繊維基体
本明細書に開示されている複合構造体の実施形態に使用できる基体は、不織布、弾性不織布および軟質不織布を含むことができる。不織布繊維は、織物でも編物でもない布である。不織布は、典型的には、小繊維をシートまたはウェブの形で束ね、次いでそれらを接着剤または熱で機械的に結着させることによって製造される。他の実施形態において、基体は、コーティングされた基体を含めて、布地または他の繊維、多孔質フィルムおよび他の不織布を含むことができる。一部の実施形態において、基体は、例えばエラストマーポリオレフィンまたはポリウレタンなどの軟質または弾性不織布などの軟質布地であってよい。マイクロデニール繊維から製造された織物および/または編物も所望の基体性能を提供することができる。
【0153】
いくつかの実施形態において、不織布は、ポリエチレンなどのポリオレフィン一成分繊維をベースとすることができる。他の実施形態において、例えば、コアがポリプロピレンをベースとし、シースがポリエチレンをベースとすることができる二成分繊維を使用することができる。複合構造体の実施形態に使用される繊維は、連続的であってもよいし、短繊維のように非連続的であってよいことを理解すべきである。
【0154】
0.5mg/cm2未満の羽毛/摩耗抵抗、および0.043*基本重量−0.657mN−cm以下の曲げ剛性を有する不織布材料を開示している国際公開第2005111282(A1)号パンフレットには、好適な軟質不織布の一例が記載されている。不織布材料は、15グラム/m2を超える基本重量、(20グラム/m2の基本重量において)縦方向で25N/5cmを超える縦方向(MD)引張強度、および25%未満の圧密面積を有することができる。他の実施形態において、0.1から50デニールの範囲の直径を有する繊維を使用して、スパンボンド不織布を製造することができる。
【0155】
0.7mg/cm2未満の羽毛/摩耗抵抗および0.15mN・cm未満の曲げ剛性を有する不織布材料を開示している国際公開第2005111291(A1)号パンフレットには、好適な軟質不織布のさらなる具体例が記載されている。不織布材料は、15グラム/m2を超える基本重量、(20GSMの基本重量において)MDで10N/5cmを超え、横方向(CD)で7N/5cmを超える引張強度、および25%未満の圧密面積を有することができる。他の実施形態において、0.1から50デニールの繊維をポリマーブレンドから形成することができ、該ポリマーブレンドは、a)1)1から1000グラム/10分のメルトインデックスおよび2)0.87から0.95グラム/ccの密度を有する均質エチレン/α−オレフィンインターポリマーである第1のポリマーをポリマーブレンドの40重量パーセントから80重量パーセント含み、b)1)1から1000グラム/10分のメルトインデックスおよび2)第1のポリマーより少なくとも0.01グラム/cc大きい密度を有するエチレンホモポリマーまたはエチレン/α−オレフィンインターポリマーであってよい第2のポリマーを20から60重量パーセント含む。均質エチレン/α−オレフィンポリマーは、いくつかの実施形態において少なくとも約70%、他の実施形態において少なくとも約80%、およびさらに他の実施形態において100%程の組成分布幅指数(CDBI)を有するポリマーである。CDBIは、本明細書において、米国特許第5,008,204号明細書に記載されている装置を使用して、米国特許第5,246,783号明細書および国際公開第93/04486号パンフレットに記載されているように規定される。
【0156】
また、上記の物理特性と類似の物理特性を有するウェブを利用することもできる。識別できないように撚り合わせた個々の繊維、フィラメントまたは糸からウェブ構造体を形成することができる。不織布またはウェブは、メルトブロー積層、スパンボンディング、エレクトロスパンおよびボンドカードウェブ法(bonded carded web process)などの多くの方法から形成されてきた。不織布の基本重量は、いくつかの実施形態において15から500g/m2;他の実施形態において20から250g/m2;およびさらに他の実施形態において25g/m2から150g/m2以上の範囲であってよい。
【0157】
いくつかの実施形態において、米国特許第6,994,763号明細書に記載されているような弾性不織布を使用することができる。弾性不織布は、コア成分がエラストマーポリマーであってよく、シース成分がポリオレフィンであってよい二成分繊維をベースとすることができる。不織布は、15g/m2から500g/m2の範囲の基本重量を有することができ、二成分機能を有するスパンボンド技術で製造され得る。二成分繊維のコア成分のための市販のエラストマーの代表例としては、以下のポリマーを挙げることができる。KRATON(登録商標)ポリマー、ENGAGE(商標)ポリマー、VERSIFY(商標)エラストマー、INFUSE(商標)オレフィンブロックコポリマー、VISTAMAXX(商標)ポリオレフィンエラストマー、VECTOR(商標)ポリマー、ポリウレタンエラストマー材料(「TPU」)ポリエステルエラストマーおよび異相ブロックコポリマー。シース成分のための代表的な材料としては、ポリオレフィン系ホモおよびコポリマーを挙げることができる。ポリオレフィンポリマーとしては、ポリプロピレンホモポリマー、ポリプロピレンランダムコポリマー、ポリプロピレン耐衝撃性コポリマーおよびポリエチレンを挙げることができる。いくつかの実施形態において、ポリエチレンは、0.925g/cm3から0.965g/cm3の範囲の密度を有することができる。
【0158】
他の実施形態において、好適な弾性不織布を1つまたは複数の「エラストマー」ポリマーから形成することができる。「エラストマー」という用語は、一般には、伸長させると、それらの弾性限界内で変形または伸縮するポリマーを指す。例えば、エラストマーフィラメントから形成されたスパンボンド布地は、典型的には、布の30%伸長および1回の引張後の布地の縦方向および横方向の回復可能な伸長値に対して少なくとも約75%の平均二乗根平均回復可能伸長度を有する。有利には、エラストマーフィラメントから形成されたスパンボンド布地は、典型的には、布地の50%伸長および1回の引張後の布地の縦方向および横方向の回復可能な伸長値に対して少なくとも約65%の平均二乗根平均回復可能伸長度を有する。
【0159】
いくつかの実施形態において、基体は、織物、編物および不織布繊維ウェブを含むことができる。他の実施形態において、上記基体に上記ポリオレフィンおよびポリウレタン分散体をコーティングして、本明細書に開示されている複合構造体の実施形態に有用なポリオレフィンまたはポリウレタンコーティング基体を形成することができる。
【0160】
他の実施形態において、有孔フィルムを本明細書に記載されている複合構造体または積層体の層として利用することができる。有孔フィルムを使用すると、構造体の強度を高めることができる。また、有孔フィルムは、顔または他の敏感な皮膚との接触を必要としない用途に対して好適な感触を提供することができる。
【0161】
有孔フィルムの説明を国際公開第200080341(A1)号パンフレットおよび米国特許第3,929,135号明細書および同第4,324,246号明細書に見いだすことができる。有孔フィルムは、フィルムの幅全体にわたって均一に空いた小さな空間を有する薄いポリマーフィルムを含むことができる。有孔フィルムは、ベビー用おむつ、成人用おむつ製品、生理用ナプキンまたはパンティーライナー、フェースワイプ、ボディワイプ、衣料品および病院用ベッドシート等の身体に接触する吸収性および非吸収性製品に広く使用されている。
【0162】
他の実施形態において、本明細書に記載されている複合構造体は、以上に記載されているようなポリウレタン分散体および/またはポリオレフィン分散体でコーティングされた基体、あるいは基体の耐久性の向上および軟質性の向上のための類似のコーティングを含むことができる。
【0163】
複合構造体に使用される不織布基体は、いくつかの実施形態において15から500g/m2;他の実施形態において20から250g/m2;いくつかの実施形態において25g/m2から150g/m2以上の範囲の基本重量;および他の実施形態において25から60g/m2の範囲の基本重量を有する一および二成分繊維を含むことができる。既知の面積の布地の重量を測定することによって基本重量を求めることができる。例えば、基本重量をASTM D3776に従って測定することができる。
【0164】
他の実施形態において、本明細書に記載されている複合構造体を、0.7mg/cm2未満;他の実施形態において0.6mg/cm2未満;およびさらに他の実施形態において0.5mg/cm2未満の摩耗損失を有する基体から形成することができる。摩耗損失、または摩耗時の毛羽生成量を摩耗試験によって測定することができる。摩耗試験は、制御された力で、規定粒度のサンドペーパーをサンプルの表面に擦りつけることによって実施される。試験の前後にサンプルの重量を測定し、損失重量を測定して、サンドペーパーによって表面から形成され、除去された毛羽の量を求める。
【0165】
製品
発泡体および布地基体を含む上記基体の1種または複数種から形成された複合構造体は、軟度、重量、ならびに曲げ剛性、摩擦係数、毛羽抵抗性、嵩高性および容量等を含むことができる他の特性のバランスを有することができる。一実施形態において、複合構造体は、不織布基体、発泡体基体またはそれらの組合せを含むことができる。いくつかの実施形態において、軽度の界面活性剤をベースとした溶液などの流体、または充填剤などの固体を基体にコーティング、含浸またはブレンドすることができる。
【0166】
他の実施形態において、複合構造体は、少なくとも1つの基体層および少なくとも1つの連続気泡発泡体層を含むことができる。基体は、不織布および布地等を含むことができる。基体(例えば、不織布、布地等)を有する連続気泡発泡体をワイプまたは他の製品に組み込むと、さらなる軟度、嵩高性および容量を製品に付与することができる。基体単独の予め存在する所望の表面感触を向上および/または維持しながらさらなる嵩高性および容量を達成することができる。連続気泡発泡体を組み込むと、布地または不織布層単独と比較した場合に、活性剤の包含および送達のために利用可能な空隙容量および/または表面積を増加させることもできる。
【0167】
他の実施形態において、複合構造体は、連続気泡発泡体層、基体層、および場合により少なくとも1つの洗浄界面活性剤、活性剤または促進充填剤を含むことができる。複合構造体の実施形態は、高度な軟度および高度な嵩高性および/または優れた耐表面摩耗性を含む所望の性能特性の組合せを発揮することができる。軟質の高嵩高性複合構造体は、個人手入れ用品、医薬品、出荷および家庭用品の市場に関連する使い捨ておよび半使い捨て製品用途に有用であり得る。複合構造体は、洗浄、研磨もしくは医薬品用途のために湿潤を必要とする、湿性活性剤または乾燥活性剤を送達することが可能であり得る。
【0168】
他の実施形態において、複合構造体は、不浸透性の基体層を含むことができる。例えば、熱可塑性フィルムまたは熱可塑性含浸紙層は、複合構造体の層の間にバリヤを提供することができる。有利には、基体の1つの面が湿性または乾燥活性剤を送達するのに使用され、第2の面が湿性または乾燥活性剤を含まない状態を維持する不浸透性基体層を使用することができる。例えば、欧州特許第0951228号明細書には、磨き剤除去剤との皮膚接触を制限しながら爪磨き剤除去剤(アセトン)の用途に使用できるハンドルを有するパッドにおける不浸透性層の使用が開示されている。湿性/乾燥ワイプの形成が所望される場合に、有利には不浸透性層を使用することもできる。
【0169】
本明細書に開示されている複合構造体を皮膚接触する洗浄ワイプに使用することができ、該構造体は、湿性および/または乾燥活性剤を含むことができる。本明細書に開示されている複合構造体を、ベビーワイプ、ハンドワイプ、家庭用硬質表面クリーナーおよび工業用洗浄ワイプを含む他の用途に使用することもできる。
【0170】
軟度の向上および布様感触の向上は、皮膚洗浄ワイプ以外の用途にも望ましい。これらの用途としては、塗布パッド、研磨布、医療用洗浄、繊細な部品のための出荷/包装材料、および局部医薬品用塗布パッドが挙げられるが、それらに限定されない。また、これらの製品を、実測量の液体材料の一時的な保管のための手段として使用することができる。
【0171】
上記発泡体および/またはコーティング(分散体および/または泡)を以上に規定した基体(発泡体および/または布地)と併用することができる。以下の方法/技術をこれらの様々な組合せの製造に用いることができる。以下に記載する方法は、代表的なものであり、該技術の詳細な説明を標準的なテキストに見いだすことができる。
【0172】
一実施形態において、基体(発泡体および/または布地)を以下に記載する活性化合物などの流体と接触させて、複合構造体を形成することができる。得られた複合構造体は、基本重量、剛性、摩擦係数および毛羽抵抗性などの所望の特性を有することができる。
【0173】
いくつかの実施形態において、複合構造体を押出コーティングによって形成することができる。ポリオレフィン泡などの泡、またはポリウレタン発泡体などの湿性発泡体を所望の基体上に直接押し出すことができる。第2の基体は、泡または発泡体の頂部に塗布することができる。必要に応じて層を繰り返すことができる。次いで、サンドウィッチ状複合体を加熱して、発泡体を乾燥させるとともに、層を互いに接着することができる。
【0174】
他の実施形態において、複合構造体をロールコーティング(ドクターブレード)によって形成することができる。基体から一定の高さにあるドクターブレードを使用して、基体の連続する一帯に湿式発泡体または泡を塗布することができる。ブレードの1つの面に連続的に供給される湿式発泡体は、材料の一定のプールを生成する。ブレードの下の移動基体がこの材料のプールから引き出されて、得られたコーティングの厚さがブレード高さによって固定されることになる。必要に応じて、基体または発泡体のさらなる層を追加することができる。次いで、得られた構造体を乾燥させて、水分を除去するとともに、接着を支援することができる。
【0175】
他の実施形態において、複合構造体を接着剤貼り合せによって形成することができる。乾燥した発泡体を接着剤で所望の基体上に貼りつけることができる。
【0176】
他の実施形態において、複合構造体をスプレーコーティングによって形成することができる。泡および湿性発泡体を所望の基体上にスプレーし、続いて乾燥させることができる。
【0177】
他の実施形態において、複合構造体をカーテンコーティングによって形成することができる。湿性発泡体または泡を、直接堆積を介して移動する一帯または基体上に塗布することができる。コーティング厚さは、泡または湿性発泡体の供給速度、およびコーティングカーテンの下の基体の速度によって制御される。
【0178】
他の実施形態において、複合構造体をバッチ塗布によって形成することができる。泡または湿性発泡体を基体表面に手動で塗布することができる。次いで、ナイフブレードおよび所望の厚さの調量棒を使用して表面を平らにすることができる。ナイフは、調量棒を移動して、湿性発泡体を表面から除去して、高さを均一にする。
【0179】
他の実施形態において、2つ以上の発泡体層を有する製品を形成することが望ましい。いくつかの実施形態において、発泡体層は、密度が同一であっても異なっていてもよい。他の実施形態において、2つ以上の発泡体層を貼り合わせることができる。
【0180】
さらなる処理技術としては、熱成形、エンボス加工、水力絡み合い、エアレーシング、赤外線加熱への曝露、およびフロック加工技術などの表面繊維の付加を挙げることができる。
【0181】
得られた複合構造体は、1つまたは複数の所望の物理特性を有することができる。いくつかの実施形態において、得られた複合構造体は、所望の物理特性の有利な組合せを有することができる。
【0182】
いくつかの実施形態において、15から500g/m2の基本重量を有する基体から、複合構造体を形成することができる。他の実施形態において、20から250g/m2;20から80g/m2;およびさらに他の実施形態において25から50g/m2の基本重量を有する基体から複合構造体を形成することができる。50mm2以上の既知の面積の布地の重量を測定することによって基本重量を求めることができる。例えば、基本重量をASTM D3776に従って測定することができる。
【0183】
いくつかの実施形態において、発泡体基体とともに活性剤などの液体を含めることによって複合構造体を形成することができる。他の実施形態において、複合構造体は、1つまたは複数の発泡体層を含むことができる。発泡体および発泡体基体は、いくつかの実施形態において0.5から300mm、およびさらに他の実施形態において1から6mmの厚さを有することができる。ポリオレフィン発泡体および発泡体基体は、いくつかの実施形態において0.025から0.1g/cc、および他の実施形態において0.03から0.06g/ccの密度を有することができる。ポリウレタン発泡体および発泡体基体は、いくつかの実施形態において0.025g/ccから約0.5g/cc、および他の実施形態において0.05から0.1g/ccの密度を有することができる。既知の寸法(容量)の乾燥発泡体サンプルの重量を測定することによって、発泡体密度を測定することができる。
【0184】
いくつかの実施形態において、複合構造体は、0.1から1.0MIUの範囲のカワバタ評価システム(KES)摩擦係数を有することができる。他の実施形態において、複合構造体は、0.3から1.0MIU;他の実施形態において0.4から0.9MIU;およびさらに他の実施形態において0.5から0.8MIUの範囲のKES摩擦係数を有することができる。複合構造体は、いくつかの実施形態において、縦方向または横方向のKES表面粗さが4.0ミクロン未満であってよい。他の実施形態において、複合構造体は、3.5ミクロン未満;他の実施形態において3.25ミクロン未満;およびさらに他の実施形態において3.0ミクロン未満のKES表面粗さを有することができる。表面特性(抵抗/ドラッグ/摩擦)および表面形状(粗さ)値は、KES−FB4表面試験機を使用して測定され、20gf/cmの引張荷重がサンプルに加えられる。MIUは、0から1のスケールの摩擦係数の尺度であり、より大きなMIU値は、より大きな摩擦または抵抗およびドラッグに対応する。ミクロン単位で測定されるKES表面粗さに関しては、より大きな値は、幾何学的により粗い表面に対応する。
【0185】
いくつかの実施形態において、複合構造体は、30%から50%のカワバタ評価システム(KES)圧縮弾力を有することができる。他の実施形態において、複合構造体は、35%から45%;およびさらに他の実施形態において37%から43%の範囲のKES圧縮弾力を有することができる。KES圧縮弾力は、KES−FB3圧縮試験機を使用して測定され、0〜10gf/cm2の異なる荷重を2cm2の面積のサンプルに加えることによって測定される。圧縮弾力は、加えた荷重が除去された後の材料厚さの回復率である。圧縮弾力値が高いほど好ましく、それは、圧縮された後の回復率がより大きいことを示す。
【0186】
複合構造体は、横方向および縦方向双方について、いくつかの実施形態において1000mN・cm未満の曲げ(屈曲)剛性を有することができる。他の実施形態において、複合構造体は、900mN・cm未満;他の実施形態において800mN・cm未満;およびさらに他の実施形態において700mN・cm未満の曲げ剛性を有することができる。曲げ剛性は、布地を41.5°の傾きに曲げるのに必要なエネルギーの尺度であり、該エネルギーは、単位布地幅当たりの値で示される。曲げ剛性を測定するために、基体サンプルを25.4mm×152.4mmの片に切断し、隆起したプラットホーム上にセットして、プラットホームの水平線の下に41.5°の角度を形成させる。次いで、サンプルの支持されていない端部が屈曲して41.5°の角度に接するまでサンプルをプラットホームから一定の速度で進める。曲げ長さは、測定されたサンプル張出し長さの半分である。また、サンプル基本重量は、以上に略述されたように測定される。曲げ剛性は、G=m×C310−3(mN−cm)(式中、mはサンプルの基本重量(g/m2)であり、Cはcm単位のサンプルの曲げ長さである)によって計算される。この式を解く上で、重力による加速度(9.81m/s2)を10m/s2に丸めた。また、不織布の曲げ剛性を縦方向および横方向の双方で測定した。
【0187】
いくつかの実施形態において、複合構造体は、10N/5cmを超える縦方向引張強度を有することができ;他の実施形態において12N/5cmを超える縦方向引張強度を有することができ;さらに他の実施形態において15N/5cmを超える縦方向引張強度を有することができる。布地の引張強度を、例えば、試験法DIN53354を用いて測定することができる。引張強度は、布地を、長辺が縦方向になる5cm×10cmの片に切断し、布地を引張試験機のチャックに保持し、100mm/分の引張速度で引張強度を測定することによって測定される。
【0188】
いくつかの実施形態において、複合構造体は、10N/5cmを超える横方向引張強度を有することができ;他の実施形態において12N/5cmを超える横方向引張強度を有することができ;さらに他の実施形態において15N/5cmを超える横方向引張強度を有することができる。布地の引張強度を、例えば、試験法DIN53354を用いて測定することができる。引張強度は、布地を、長辺が横方向になる5cm×10cmの片に切断し、布地を引張試験機のチャックに保持し、100mm/分の引張速度で引張強度を測定することによって測定される。
【0189】
いくつかの実施形態において、複合構造体は、良好な毛羽抵抗性を有することができる。複合体は、いくつかの実施形態において0.7mg/cm2以下;他の実施形態において0.6mg/cm2;およびさらに他の実施形態において0.5mg/cm2の摩耗試験毛羽生成量を有することができる。摩耗試験毛羽生成量は、粗面による摩耗後のサンプルから除去された単位面積当たりの繊維の重量の尺度である。毛羽生成量を測定するために、11cm×4cmのサンプルを重量測定し、サザーランドインク摩耗試験機に入れる。好適なサイズの320粒度の1枚のサンドペーパーを試験機内の加重2ポンドのホルダに接着する。次いで、加重ホルダを試験片上に配置し、次いで摩耗試験機を毎分42サイクルの速度で始動させる。次いで、全部で20サイクルにわたって試験機を動作させる。次いで、加重ホルダをサンプルから取り除く。粘着テープを軽く貼りつけ、剥がすことによって、試験片表面に残留するあらゆる遊離繊維を除去する。次いで、摩耗後のサンプルの重量を記録する。毛羽生成量値をサンプルの単位面積当たりのサンプルの損失重量として計算する。毛羽生成量値が小さいほど望ましいと考えられる。
【0190】
いくつかの実施形態において、複合構造体は、良好な「手触り」クオリティを有することができる。複合構造体は、サンプル容量に対して正規化された「手触り」値がいくつかの実施形態において25gf/cm3以下;他の実施形態において14gf/cm3以下;他の実施形態において13gf/cm3以下;およびさらに他の実施形態において11gf/cm3以下であってよい。また、複合構造体は、サンプル重量に対して正規化された「手触り」クオリティがいくつかの実施形態において220gf/g以下;他の実施形態において160gf/g以下;他の実施形態において158gf/g以下;およびさらに他の実施形態において118gf/g以下であってよい。「手触り手触り」クオリティは、表面摩擦による抵抗、柔軟性および布地材料の圧縮性の組合せであると考えられる。INDA 1st 90.3(95)に記載されているように、Handle−O−Meter試験機(Thwing−Albert Instrument Co.,(ニュージャージ州West Berlin)製)は、材料の試験片を平行な縁の溝に押し込むときにブレードが受ける抵抗を検出する線形可変差動変成器(LVDT)を使用して上記ファクタを測定する。3/2デジタル電圧計(DVM)は、直接グラムで抵抗を表示する。複合体のサンプルを50cm2の円形の試験片に切断し、試験前に相対湿度50%および70°Fで調整した。Handle−O−Meterの溝幅を20mmに設定した。測定器製造元の試験マニュアルに要求されているように、試験片毎に4つの位置の各々において測定を行い、4つの測定値を合計して、単一試験片についての合計の手触り値をグラム−力で求め、3つの試験片についての合計の手触り値を平均した。次いで、この平均の手触り値を試験片重量および容量に対して正規化した。
【0191】
いくつかの実施形態において、複合構造体は、軟度および強度のバランスを有することができる。例えば、活性剤などの流体と、発泡体または布地基体とを接触させることによって形成された複合構造体は、25から150g/m2の乾燥基本重量、1000mN・cm未満の曲げ剛性、および0.4から0.9MIUの範囲内の摩擦係数を有することができる。他の実施形態において、複合構造体は、0.7mg/cm2以下の摩耗試験毛羽量を有することもできる。そして、他の実施形態において、複合構造体は、3.5SMD未満の表面粗さを有することもできる。さらに他の実施形態において、複合構造体は、25gf/cm3未満の手触り値を有することもできる。
【0192】
複合構造体が2つ以上の層を有する場合には、それらの層を、接着剤を用いて、または用いずに、互いに接着させることができる。いくつかの実施形態において、第1の層の隣接する第2の層に対する接着力は、0.1lbf/in以上であってよい。他の実施形態において、接着強度は、0.15lbf/in以上であってよく;さらに他の実施形態において0.2lbf/in以上であってよい。接着強度または剥離強度は、単位面積当たりの層の分離に必要なエネルギーの尺度である。接着強度は、接着された材料を引き離すのに必要な、接着ラインの単位幅当たりの平均荷重であり、分離角度は180度であり、分離速度は6in/分である(ASTM D−903)。
【0193】
活性剤
上記発泡技術、基体および塗布技術を用いて記載された複合構造体は、具体的な最終使用用途内での性能の向上のための湿性または乾燥活性剤を含むこともできる。直接導入または後導入用活性剤としては、界面活性剤、促進充填剤(研磨用剥離剤または皮膚剥離添加剤など)、アルコールまたは油などの洗浄用添加剤;油加湿剤などの健全状態の添加剤;化粧除去油のような皮膚洗浄用添加剤;亜鉛塩、カモミール、マリゴールド、アロエベラ、ビタミンおよびミネラルのような、ストレス皮膚を回復させるのに役立つ添加剤;タンパク質(例えば、加水分解コラーゲン、エラスチン、ケラチン、大豆、トウモロコシ、小麦、オート麦、絹および合成ペプチドなど)、植物(緑茶およびブドウ種子等)、多糖類(ヒアルロン酸、フィコ多糖類、b−1,3−グルカン、キトサンなど)および酵素(ブロメライン、パパイン、スーパーオキシドジスムターゼ、サブチリシン)などのスキンケア活性剤を挙げることができる。さらなる活性剤としては、シリカゲル、活性炭素、ゼオライト等の水分/臭気吸収化合物を挙げることができる。
【0194】
界面活性剤、軟化薬、石鹸、無機物、加湿剤、芳香剤、洗浄剤、抗菌剤、ビタミンおよび充填剤などのこれらの活性剤を、複数の機構を介して構造体に導入することができる。以下に記載される技術の一部またはすべてを用いて、活性剤の導入を達成することができる。
【0195】
いくつかの実施形態において、HYPOL*などのポリウレタン分散体を形成する前に、活性剤を水相に添加することができる。他の実施形態において、発泡の前に、活性剤をポリオレフィン分散体またはポリウレタン分散体に添加することができる。他の実施形態において、不織布上に塗布する前に活性剤をポリウレタン分散体に添加することができる。他の実施形態において、活性剤をポリウレタンプレポリマーに添加することができる。他の実施形態において、活性剤を、後処理技術または標準的なコーティング技術を介して、複合構造体に対して、発泡体の表面または発泡体の細孔に添加することができる。他の実施形態において、標準的なコーティング技術を用いて、活性剤を不織布基体に添加することができる。さらに他の実施形態において、活性剤をさらなる層または複合構造体内のポケットとして添加することができる。
【実施例1】
【0196】
DREAMEX(登録商標)の第1の基体層(Corovin GmbH Corporation社(ドイツ)から入手可能な50g/m2の基本重量を有するポリエチレンコポリマーベースの弾性不織布)をシリコーン離型紙上に配置する。次いで、200mm×400mm×3.0mmの寸法の鋳型を基体上に配置する。
【0197】
AFFINITY(商標)をベースとした分散体から形成された泡を以下の手順によって調製する。ポリオレフィンプラストマーの水性分散体を国際公開第2005021638号パンフレットに記載されている手順に従って形成する。該分散体は、AFFINITY(商標)EG8200(約5dg/分のMI2および約0.87g/ccの密度を有するエチレン−アルファオレフィンコポリマー)を使用して形成される。分散界面活性剤系は、UNICID(登録商標)350(Baker Petrolite社から入手可能な直鎖状カルボン酸)、HYSTRENE(登録商標)4516(Crompton Corp社(コネチカット州Greenwich)から入手可能な脂肪酸)およびMETHOCEL(登録商標)(The Dow Chemical Company社から入手可能な水溶性メチルセルロースおよびヒドロキシプロピルメチルセルロースポリマー)を、エチレンコポリマーと界面活性剤系の合計重量に対してそれぞれ2重量パーセント、1重量パーセントおよび0.35重量パーセントの充填量で含む。製造された水性分散体は、約53重量パーセントの固形分を有する。次いで、発泡体を製造するために、上記分散体と、ポリマー固形分に対して1重量パーセントのラウリル硫酸ナトリウム(Stepan Co社から入手可能なSTEPANOL(登録商標)WAT−K)とを混合する。
【0198】
約160グラムの水性分散体を混合ボウルに添加する。0.06g/ccの泡密度を目標として、3分間にわたって、高設定にてホバートベンチトップミキサーを使用して分散体を混合する。次いで、スパチュラを使用して泡を鋳型および基体に均一に散布し、鋳型を除去する。次いで、DREAMEX(商標)の第2の基体層を、散布したばかりの泡の上層に配置する。次いで、複合構造体を、25〜30分間にわたって、または表面温度が70〜75℃に達するまで75℃のオーブンに入れる。次いで、サンプルを室温まで冷却し、円形ダイを使用して50cm2のサンプルディスクに切断する。
【実施例2】
【0199】
200mm×400mm×4.4mmの鋳型を用いて実施例1の手順を繰り返す。
【実施例3】
【0200】
200mm×400mm×5.5mmの鋳型を用いて実施例1の手順を繰り返す。
【実施例4】
【0201】
200mm×400mm×4.4mmの鋳型を用いて実施例1の手順を繰り返し、0.091g/ccの泡密度を目標として、1.5分間にわたって、高設定にてホバートベンチトップミキサーを使用して混合を実施する。
【実施例5】
【0202】
200mm×400mm×5.5mmの鋳型を用いて実施例1の手順を繰り返し、第1の基体は、50g/m2の基本重量を有するポリエチレンコポリマーベースの弾性不織布であり、第2の基体は、25g/m2の基本重量を有するポリエチレンコポリマーベースの弾性不織布である。
【実施例6】
【0203】
200mm×400mm×4.4mmの鋳型を用いて実施例1の手順を繰り返し;0.091g/ccの泡密度を目標として、1.5分間にわたって、高設定にてホバートベンチトップミキサーを使用して混合を実施し;第1の基体は、50g/m2の基本重量を有するポリエチレンコポリマーベースの弾性不織布であり、第2の基体は、25g/m2の基本重量を有するポリエチレンコポリマーベースの弾性不織布である。
【実施例7】
【0204】
200mm×400mm×4.4mmの鋳型を用いて実施例1の手順を繰り返し、第1の基体は、19.3g/m2の基本重量を有するポリエチレンコポリマーベースの軟質不織布であり、第2の基体は、19.3g/m2の基本重量を有するポリエチレンコポリマーベースの軟質不織布である。
【実施例8】
【0205】
HYPOL*プレポリマー(The Dow Chemical Company社(ミシガン州Midland)から入手可能)を使用してポリウレタン発泡体を調製する。HYPOL*プレポリマーは、活性水素を含む化合物(水、アルコールまたはアミンなど)と反応する。親水性製造物を製造するために、プレポリマーと水相の比を、得られるポリマーの目標密度、所望の物理特性および組成物のイソシアネート含有量に応じて広範囲に変化させることができる。発泡体サンプルを以下に記載の方法に従って調製し、評価する。
【0206】
HYPOL*プレポリマーと、界面活性剤を含む水溶液とを1:1の重量比で混合する。HYPOL*側を20から40℃で処理し、水溶液側を5から25℃で処理する二成分低圧鋳造機を使用して、HYPOL*プレポリマーと水溶液を混合することによって、発泡体を製造する。混合した成分をPP金型に分散させる。
【0207】
軟質の湿性発泡体バンを切断するために(HYPOL*から新たに製造された発泡体は、ポリマー骨格の親水性により残留水を含有する)、発泡体を約−25℃まで凍結させる。次いで、凍結した発泡体を帯鋸で厚さ1cm(0.4”)のシートに切断する。次いで、発泡体シートを60から70℃の温度で数時間乾燥させる。発泡体シートから試験片を小さなディスクに打ち抜く。物理特性の評価前に1日間にわたってサンプルを室温(約23℃)で調整させる。
【0208】
洗浄剤を含むワイプサンプル
以下のように成分を混合することによって洗浄剤を調製する。第1の成分は、225グラムの脱イオン水および6グラムのStepanquat ML(クオタニウム82)を含む。第2の成分は、6グラムのCiba Salicare SC−95(ポリクオタニウム−37、ミネラルオイル、PPG−1トリデセス−6)、60グラムのステパンオクチルイソナノエート(エチルヘキシルイソノナノエート)および3グラムのGoldschmidt Abil EM−9(セチルジメチコンコポリオール)を含む。第3の成分は、0.03グラムのハーブラベンダーQ−12672、芳香剤、および1.2グラムの防腐剤ロンザグリダントを含む。成分1を成分2に添加し、約20分間混合した後、成分3を添加し、溶液を均質化させる。
【実施例9】
【0209】
洗浄剤を実施例3に添加して、洗浄剤対基体容量を基体1cm3当たり洗浄剤0.15gに合わせる。
【実施例10】
【0210】
洗浄剤を実施例5に添加して、洗浄剤対基体容量を基体1cm3当たり洗浄剤0.15gに合わせる。
【実施例11】
【0211】
洗浄剤を実施例7に添加して、洗浄剤対基体容量を基体1cm3当たり洗浄剤0.15gに合わせる。
【実施例12】
【0212】
洗浄剤を実施例8に添加して、洗浄剤対基体容量を基体1cm3当たり洗浄剤0.15gに合わせる。
【実施例13】
【0213】
固形分を約5%にするために脱イオン水で希釈された上記AFFINITY(商標)ベースの2−1−1分散体(10グラムのPOD分散体に対して約90グラムの水)を使用して軟質不織布基体を形成する。ポリエチレン系コポリマーを利用し、20g/m2の基本重量を有する軟質不織布(ハベラー/386 ELITE5600)を希釈分散体に浸し、取り出し、24時間風乾させて、不織布1グラム当たり固形分約0.22グラムの乾燥コート重量を有するポリオレフィンコーティング基体を得る。
【0214】
ポリオレフィンがコーティングされた軟質不織布基体の第1の基体層をシリコーン離型紙上に配置する。次いで、厚さ4.7mmの棒を、離型紙上に配置された基体上に300mm離して配置する。
【0215】
AFFINITY(商標)ベースの分散体から形成された泡を以下の手順によって調製する。約100グラムの分散体を混合ボウルに添加する。0.095g/ccの泡密度を目標として、3分間にわたって高設定にてホバートベンチトップミキサーを使用して分散体を混合する。次いで、スパチュラを使用して泡を基体に均一に分散させ、棒を除去する。次いで、ポリオレフィンコーティング不織布の第2の基体層を、散布したばかりの泡の上層に配置する。次いで、複合構造体を、25〜30分間にわたって、または表面温度が70〜75℃に達するまで75℃のオーブンに入れる。次いで、サンプルを室温まで冷却し、円形ダイを使用して50cm2のサンプルディスクに切断する。
【実施例14】
【0216】
米国特許第5,339,021号明細書、同第5,688,842号明細書、同第5,959,027号明細書および同第6,087,440号明細書に記載されているような連続機械分散法を使用して調製された親水性の水性ポリ(尿素/ウレタン)分散体(HYPOL)(The Dow Chemical Company社、ミシガン州Midlandから入手可能)を脱イオン水で希釈して、固形分を約5%にする(ポリ(尿素/ウレタン)分散体25グラムに対して水約75グラム)。ポリエチレン系コポリマーを利用し、20g/m2の基本重量を有する軟質不織布(ハベラー/386 ELITE5600)を希釈分散体に浸し、除去し、24時間空気乾燥させて、不織布1グラム当たり固形分約0.27グラムの乾燥コート重量を有するポリウレタンコーティング基体を得る。
【0217】
ポリウレタンがコーティングされた軟質不織布基体の第1の基体層をシリコーン離型紙上に配置する。次いで、厚さ4.7mmの棒を、離型紙上に配置された基体上に300mm離して配置する。
【0218】
AFFINITY(商標)ベースの分散体から形成された泡を以下の手順によって調製する。約100グラムの分散体を混合ボウルに添加する。0.095g/ccの泡密度を目標として、3分間にわたって高設定にてホバートベンチトップミキサーを使用して分散体を混合する。次いで、スパチュラを使用して泡を基体に均一に分散させ、棒を除去する。次いで、ポリウレタンコーティング不織布の第2の基体層を、散布したばかりの泡の上層に配置する。次いで、複合構造体を、25〜30分間にわたって、または表面温度が70〜75℃に達するまで75℃のオーブンに入れる。次いで、サンプルを室温まで冷却し、円形ダイを使用して50cm2のサンプルディスクに切断する。
【実施例15】
【0219】
150グラムの上記AFFINITY(商標)ベースの2−1−1分散体を発泡させることによって、ポリオレフィン発泡体サンプルを製造する。ホバートブランドのワイヤウィスカを利用したキッチンエイドミキサーを使用して、分散体を高速にて3分間混合して、0.10g/ccの密度を有する泡を得る。20.2cm×20.2cm×0.5cmの鋳型を使用して、得られた泡をシリコン離型紙に塗布する。次いで、成形された泡層を75℃で30分間乾燥させる。
【0220】
次いで、得られた泡を4”×4”のサンプルに切断し、スパンボンドされた親水性のPGI不織布基体上に配置する。不織布のさらなる層を発泡体の上層に配置する。次いで、ヒートシーラーを使用してサンプルの縁をカールさせて、発泡体を内部に含む正方形のポーチを形成する。
【0221】
1つのサンプルにおいて、不織布を内部の発泡体層に直接熱接着し、別の例において、不織布を内部の発泡体の周囲に熱接着する。この後者のサンプルにおいて、発泡体を不織布に接着せずに、不織布で包む。前者のサンプルにおいて、発泡体の周囲を不織布に接着し、発泡体の中心を不織布に接着しない。
【実施例16】
【0222】
200mm×400mm×4.4mmの鋳型を用いて実施例1の手順を繰り返し、第1の基体は、50g/m2の基本重量を有するポリエチレンコポリマーベースの弾性不織布であり、第2の基体は、25g/m2の基本重量を有するポリエチレンコポリマーベースの弾性不織布である。
【0223】
比較製造物
市場に存在する製造物を特定し、実施例1〜16で生成したサンプルと比較した。5つの特定製造物を比較サンプル1〜5とする。具体的には、該製造物は、比較サンプル1)NEUTROGENA(登録商標)Pure Glow Daily Cleansing Cushion;比較サンプル2)OLAY(登録商標)Daily Facials Deep Cleansing Cloths;比較サンプル3)PONDS(登録商標)Clean Sweep Cleansing&Makeup Removing Towlettes;比較サンプル4)DOVE(登録商標)Gentle Exfoliating Daily Facial Cleansing Pillows;および比較サンプル5)BIROE(商標)Pore Perfect Daily Deep Pore Cleansing Clothsである。
【0224】
比較サンプル、および上記実施例から生成されたサンプルを物理特性について試験した。結果データを以下の3つのセクション、すなわち感覚パネル試験、物理特性試験およびカワバタ評価システム(KES)試験に記載する。それぞれの試験法は、本明細書に開示されている複合構造体が既存の製造物と比較して有利な点を示すメカニズムを提供する。
【0225】
感覚パネル試験
感覚パネル試験は、人間の感覚によって実施例を比較サンプルと比較するための強制的格付けのシステムを提供する。これらのデータの中で、以下の特性を比較した。手触り摩擦、窪み深さ、膨み/容量、剛性および温熱性。これらの特性は、軟度の知覚にとって重要である。手触り摩擦が低く、窪み深さが大きく、膨み/容量が大きく、剛性が小さく、温熱性(または「暖かい感触」)が高い製造物を提供するのが望ましい。
【0226】
これらの結果により、乾燥実施例は、比較サンプルより窪み深さが大きく、膨み/容量が大きく、温熱性が低く、手触り摩擦が同等または高いことが示されている。それらの結果により、実施例は、より嵩高くより高容量の比較サンプルと比較して剛性が小さいことも示されている。
【0227】
これらの傾向は、温熱性および手触り摩擦を除いて、洗浄液が含まれた実施例、すなわち湿性サンプルについて当てはまる。これらの特性は、両特性が湿性比較サンプルと同等になるようにシフトする。湿性および乾燥サンプルのデータは、全体的に、実施例が比較サンプルより望ましい軟度特性、特に嵩高性と柔軟性のバランスを有することを示している。
【0228】
人間感覚パネルを使用して、軟度の知覚に関連すると考えられる製品特性を評価した。この特性を以下のように定義する。訓練された24人のパネリストが、無作為の順序の提示およびサンプルに対する無作為の3桁標示によりサンプルを評価した。サンプルを手触り摩擦または滑り性、窪み深さ、膨みおよび容量、剛性、温熱特性について評価した。
【0229】
人の手を複合構造体の表面全体にわたって移動させることによって手触り摩擦を評価する。評価側を上にして、サンプルをテーブル上に平らに配置する。手および前腕の重量を利用して、手を表面全体にわたって縁に平行なすべての4つの方向に水平に移動させる。滑り性をドラッグ無しから、1が最小ドラッグ(最大滑り)量に等しく、6が最大ドラッグに等しい1から6のドラッグスケールに基づいて評価する。
【0230】
下方の力が加えられたときのサンプル窪み量を評価することによって、窪み深さを特徴づける。サンプルをテーブル上に平らに配置する。指の先端を利用して、サンプルの中心を軽く押す。次いで、下方の力を抜く。窪み深さを、1が最小窪み量に等しく、6が最大窪みに等しい1から6のスケールに基づいて評価する。
【0231】
操作時に手に感じされる材料サンプルの量に基づいて膨みおよび容量を評価する。サンプルをテーブル上に平らに配置する。次いで、人の利き手をサンプルの上部に置き、サンプルの上部に指が指示するように位置づける。次いで、指を閉じ、指を手のひらの方に向けて複合サンプルを集める。次いで、反対側の手を利用して、サンプルをカップ状の利き手に押し込む。次いで、利き手をわずかに閉じ、手のひらの中でサンプルを回転させることによってサンプルを操作する。膨みおよび容量も、1が最小の膨み(低容量)であり、6が最大膨み(高容量)である1から6のスケールで測定する。
【0232】
剛性は、サンプルが尖っている、隆起している、またはひび割れていると感じられる程度を評価する。サンプルを平らに配置し、人の利き手をサンプルの上部に置き、サンプルの上部に指が指示するように位置づける。次いで、指を閉じ、指を手のひらの方に向けて複合サンプルを集める。次いで、反対側の手を利用して、サンプルをカップ状の利き手に押し込む。次いで、利き手をわずかに閉じ、手のひらの中でサンプルを回転させることによってサンプルを操作する。剛性も、1が最小の剛性(最も曲げやすい)であり、6が最大の剛性(最も曲げにくい)である1から6のスケールで測定する。
【0233】
温熱特性は、サンプルを皮膚に圧接させたときに感じられる加熱または冷却効果の差を評価する。サンプルを人の手のひらに平らに保持する。その手の上に他方の手を載せ、温度効果を評価する。温熱特性を、1が最も冷たい感触であり、6が最も暖かい感触である1から6のスケールで評価する。
【0234】
評価したサンプルを(平均した)パネル結果とともに表2に示す。窪み深さ、膨み/容量および剛性を上記スケールで評価した。リニアゲージを使用して、直径1”の領域に0.05psiの力を加えてサンプル厚さを定量的に測定した。これらの厚さ測定値を参考のために含める。
【0235】
【表1】
【0236】
弾性不織布(実施例1、2、3および4)は、軟質不織布(1.2)より大きな手触り摩擦(大きなドラッグ)(>2.8)の感触を示した。より厚い発泡体層は、窪み深さがより大きく、より高度な「クッション様」感触を示した。例えば、5.5mmのサンプル(実施例3)は4.83と評価されたのに対して、3.0mmのサンプル(実施例1)は1.29と評価された。
【0237】
高密度の発泡体(実施例4)は、より堅い感触を示した。例えば、低密度の発泡体は2.75と評価されたのに対して、高密度の発泡体は4.54と評価された。膨み/容量は、発泡体の厚さおよび密度と相関していたが、不織布もわずかな影響を及ぼした。
【0238】
上記サンプルを市販の製品と比較した。市販のワイプを洗濯して、界面活性剤および他の薬剤を除去し、次いで風乾させた。次いで、可能である場合はサンプルを直径8cmの円に切断した。切断するほど大きくないサンプルは、そのままの大きさで評価した。複合サンプルも直径8cmの円に切断した。市販のサンプルも評価し、それらの結果を表3に示す。
【0239】
【表2】
【0240】
市販のサンプルは、結果の大幅な変動を示した。比較サンプル1および4は、窪み深さ、膨み/容量および剛性が大きかったため、それらを上記に評価したサンプル(表2)と直接比較した。比較サンプル3は、商業的に入手可能なより典型的な構造物を代表するので、それも含めた。この比較の結果を表4に示す。
【0241】
【表3】
【0242】
ポリウレタンHYPOL*発泡体の非積層サンプル(実施例8)ならびにポリオレフィン発泡体のより低基本重量の弾性不織布(実施例5)の評価を含むさらなる試験を実施した。この試験において、「温熱性」特性の特徴付けをサンプルの評価に含めた。それらの結果を表5に示す。
【0243】
【表4】
【0244】
積層複合構造体(実施例3、4、5および7)およびHYPOL*発泡体(実施例8)は、市販のサンプルと比べて、窪み深さおよび膨み/容量について高い格付けを示した。そして、これらのサンプルは、容量および嵩高性が大きいにもかかわらず、市販の競合サンプルより剛性の格付けが良好であった。剛性の増加は、軟度にとってマイナスの特性であると考えられる。したがって、それらのデータは、剛性の増加を伴わない容量/嵩高性の向上が、複合構造体に対して全体的に柔軟な感触をもたらしていることを実証している。
【0245】
液体界面活性剤系を含むサンプルの手触り感触特性を評価するための試験も実施した。それらの結果を表6に示す。これらのサンプルはどれも、標準的な表面洗浄配合物がワイプに含まれていた。競合サンプルを洗濯し、空気乾燥させて、既存の洗浄剤を除去した。洗浄配合物を、容量ベースで基体1cm3当たり洗浄剤0.15グラムの同一充填量でそれらのサンプルのすべてに含めた。洗浄剤充填量による手触り感触の変化を最小限に抑えるために、これを実施した。
【0246】
【表5】
【0247】
洗浄配合物を含めると、手触り摩擦特性などの、評価した特性のいくつかにおいて知覚される差の程度が小さくなった。しかし、同じ傾向が、乾燥サンプルと湿性サンプルの間で顕著であった。具体的には、これらのサンプルはある程度の柔軟性を維持しつつも、競合サンプルよりも嵩高性が高く測定された。
【0248】
物理特性試験
本発明のサンプルと比較サンプルの物理特性の比較を示すための物理特性試験を含める。曲げ剛性;毛羽量、手触り、圧縮回復率および引張引裂強度が含まれる。具体的には、曲げ剛性は、製造物柔軟性の尺度であり、毛羽量は、摩耗に抵抗する、またはリントを生成させない製造物の能力の尺度であり、手触りは、製造物の表面摩擦、圧縮性および柔軟性の累積的な尺度であり、圧縮回復率は、製造物が圧縮後に嵩高性/厚さを保持する能力の尺度であり、引張引裂強度は、製造物が使用および包装体からの取出しに耐える強さの尺度である。用途の範囲内で、曲げ剛性が小さいこと、毛羽生成が小さいこと、サンプルの容量および重量ベースの手触りが小さいこと、圧縮回復率が大きいこと、および引張引裂強度が良好であることが望ましい。
【0249】
実施例と比較サンプルのさらなる比較データを示すために、いくつかの物理/機械特性試験を実施した。軟度の知覚と相関する引張強度、摩擦係数、ドレープ性および押し潰しの測定などの物理特性の間の相関性が文献調査によって示された。加えて、サンプル表面が擦られるとピリングするかどうかを判断するために摩耗試験を実施した。この特性は、柔軟感触に関連しないが、マイナスの特性である。
【0250】
曲げ剛性試験は、サンプル細片が曲がる前に縁にどのくらいの時間ぶら下がっていられるかを測定する、剛性の尺度である。残念なことに、市販の競合サンプルのいくつかは、曲げ剛性試験に対応する十分なサイズを有していなかった。比較サンプル3(PONDS(登録商標))は、非常に柔軟であるが、低容量/膨みを有するより単純な不織布設計である。曲げ剛性試験の結果を図4に示す。実施例2および4の複合体から製造されたサンプルのデータは、低密度発泡体のコンセプトが高密度発泡体のコンセプトより堅くないことを示しており、それは、上記に示した感覚パネルの結果と一致する。また、縦方向(MD)と横方向(CD)の剛性に差がある。
【0251】
摩耗試験は、製品表面が擦られるとピリングするかどうかの指標を与える。ここでも、最も関連する市販のサンプルの多くでは十分なサンプルサイズが不可能であった。規定の粒度のサンドペーパーを制御された力でサンプルの表面全体を擦ることによって摩耗試験を実施する。試験前後にサンプルを重量測定し、損失重量を測定して、サンドペーパーによって表面から形成され除去された毛羽の量を求める。
【0252】
毛羽抵抗試験の結果は、図5に示されており、高密度発泡体上に弾性不織布基体を使用すると表面のピリングに対する抵抗性が向上することを示している(実施例4)。評価した競合サンプルは、スパンレースPETである。スパンレーシング法は、繊維を機械的に撚り合わせて、不織布シートを形成することによりものであり、繊維を束ねるのに化学的または溶融バインダを利用しない。そのように、これらの繊維は、より摩耗しやすくマトリックスから除去され易いため、高い毛羽量測定値をもたらす。米国特許第6,994,763号明細書の中に記載されているように利用される弾性不織布は、不織布の繊維を結着するのに溶融連絡点を採用する。これらの結着点は、摩耗試験中の繊維の放出を抑えて、この種の不織布について、典型的には0.35から0.4mg/cm2であるより低い毛羽量を生成する。示されているように、この不織布の毛羽量は、高密度発泡体サンプル中に積層体として含まれている場合は0.44mg/cm2までわずかに増加する(実施例4)。毛羽量は、弾性不織布が低密度発泡体と併用される場合は、より有意に増加して、0.91mg/cm2の毛羽量を有する。これは、下部の材料の剛性および/または密度が表面基体の毛羽量に影響を及ぼすこと、および発泡体の密度が高いほど毛羽性能が良好であり、ベースの不織布の性能により近くなることを示している。
【0253】
このデータは、上記手触りパネルで測定された構造物全体の嵩高性または厚さを向上させながら、スパンレース不織布と比較した弾性不織布の耐摩耗性能の向上を維持できることを示している。この向上の維持は、下部材料の密度に左右される。
【0254】
「手触り」の測定は、表面摩擦による抵抗と、柔軟性と、布地材料の圧縮性との組合せであると考えられる。この手触りの測定は、不織布製品の軟度を表現するのにも利用された(米国特許第6,241,780号明細書および同第6,779,718号明細書ならびに国際公開第2006065563(A1)号パンフレットなど)。試験片の手触りは、測定器製造元によって記載されているように、一定幅の溝を通じた試験片を4つの方向の各々に動かすのに必要な力の合計である。サンプルの全体的な手触りは、サンプルの3つの試験片の平均値に基づく。グラム−力の単位のこの得られた全体的な手触りは、典型的に報告されているものであるが、これは、比較において、単位面積および単位容量当たりのサンプル重量間の均一性のレベルとみなす。一定の溝幅と比較した全サンプル容量の増加は、サンプルについて報告された全体的な手触りに影響を与えることになる。また、単位面積当たりのサンプル重量間のばらつきは、サンプルについて報告された全体的な手触りに影響を与えることになる。単位面積当たりのサンプル容量および/またはサンプル重量間のばらつきに対応するために、比較のためのより良好な尺度は、これらの要因、すなわち単位面積当たりの容量および重量に対して正規化された、サンプルについて報告された全体的な手触りである。単位面積当たりの単位容量および単位重量当たりの手触りが低いほど望ましい。
【0255】
図6および7は、それぞれサンプルの1立方センチメートル当たりの実測手触りおよび基本重量(グラム毎平方メートル、gsm)毎の実測手触りを示す。これらのデータは、実施例が、比較サンプルよりもサンプル基本重量およびサンプル容量当たりの低い手触り値をもたらすことを示している。この容量/膨み毎の軟度/柔軟性も手触りパネルデータに見られる。
【0256】
KES圧縮回復率は、材料が圧縮後にその元の嵩高性に戻る能力の尺度を与える。圧縮回復率が大きいほど、材料は、使用時に嵩高性および軟度の知覚を良好に維持することができる。KES圧縮回復率の結果を図8に示す。そのデータは、実施例が、比較サンプルと比較して、同様または向上した性能をもたらすことを示している。圧縮回復率の向上は、手触りパネル結果に見られるように、より大きい嵩高性によって達成される。
【0257】
PPT引裂試験は、全荷重、平均最大荷重および平均荷重として測定される不織布系の引裂強度の尺度を提供する。PPT引裂試験の結果を図9〜11に示す。そのデータは、実施例が、評価された比較サンプルより大きな全体的PPT引裂強度をもたらすことを示している。より大きな全体的PPT引裂強度は、比較サンプルと比較して、使用中の耐久性の有利性を示す。この耐久性の有利性は、手触りパネル結果に見られるように、より大きい嵩高性によって達成される。
【0258】
いくつかの実施例および比較サンプルの表面特性(摩擦係数)および表面形状(粗さ)値は、KES−FB4表面試験機を使用して測定され、20gf/cmの引張荷重がサンプルに加えられる。摩擦係数は、0から1のスケールの摩擦係数の尺度であるMIUで示され、より高いMIUは、より大きい摩擦または抵抗、およびドラッグに対応する。ミクロン単位で測定されるKES表面粗さに関しては、より高い値は、幾何学的により粗い表面に対応する。
【0259】
表面特性試験の結果を図12および13に示す。図12は、市販の比較サンプルと比較した、本明細書に開示されている複合構造体の実施形態の幾何学的粗さについてのカワバタ評価システム測定の結果のグラフ図である。図13は、市販の比較サンプルと比較した、本明細書に開示されている複合構造体の実施形態の摩擦係数についてのカワバタ評価システム測定の結果のグラフ図である。それらのデータは、実施例が、同等またはより小さい表面粗さを有しながら、より大きい摩擦係数を有することを示している。
【0260】
有利には、本明細書に開示されている実施形態は、発泡体および/または不織布を含む1つまたは複数の基体層を有する複合構造体を提供することができる。複合構造体は、有利には、各成分の軟度、嵩高性および機能性を単一構造体または複合構造体で実現させることができる。
【0261】
本明細書に開示されている実施形態の利点としては、軟度の向上、嵩高性の向上、粗さの向上、およびこれらの矛盾する要件のバランスを挙げることができる。また、洗浄剤などの活性成分を含有および送達するより高度な能力とともに、これらの利点を満たすことができる。さらなる有益性としては、コンテナ内での出荷および保管時における洗浄剤の保持および分離の低減、湿性系における界面活性剤の発泡の向上、ならびに活性剤の制御送達を挙げることができる。
【0262】
「乾燥」サンプルを含む、本明細書に開示されている複合構造体の実施形態は、有利には、より大きい容量の比較サンプルと比較して、高度な窪み深さおよび高度な膨み/容量および低い剛性を発揮することができる。湿性および乾燥サンプルのデータは、本明細書に開示されている複合構造体の実施形態が、比較サンプルより望ましい軟度特性を有することができることを示している。また、本明細書に開示されている実施形態は、有利には、高い引張引裂強度と低い毛羽生成量とを兼ね備えることができる。
【0263】
本発明を限定された数の実施形態に関して説明したが、本開示の恩恵を受ける当業者は、本明細書に開示されている発明の範囲から逸脱しない他の実施形態を導くことができることを理解するであろう。よって、本発明の範囲は、添付の請求項によってのみ限定されるべきである。
【技術分野】
【0001】
本明細書に開示されている実施形態は、全般的には、ポリマー複合構造体に関する。いくつかの実施形態において、複合構造体は、高度な軟質性および高度な嵩高性を含む性能特性の所望の組合せを有する基体を含むことができる。より具体的には、本明細書に開示されている実施形態は、連続気泡発泡体層、基体層、および場合により少なくとも1つの洗浄界面活性剤、活性剤または促進充填剤を有することができるポリマー複合構造体に関する。
【背景技術】
【0002】
乾燥および湿性、または予め湿らせたワイプ(wipe)は、多くの形で利用可能なよく知られた消費者製品である。乾燥ワイプは、皮膚、油または水と接触すると放出され得る抗菌物質または洗浄剤などの添加剤を有する、または有さない基体を含むことができる。湿式ワイプは、弱い界面活性剤系溶液で予め湿らされていてもよく、ローション、洗浄剤または他の添加剤を含んでいてよい不織布ウェブなどの基体を含む。当該湿式および乾燥ワイプは、ベビーワイプ、ハンドワイプ、家庭掃除用ワイプ、工業用ワイプ、ボディワイプおよびフェースワイプ等に使用されてきた。典型的には、ワイプは、折り畳みシート、積層シートまたは有孔ロールとして提供され、この場合、シートは1回につき1つ使用されることを意図する。
【0003】
当初、湿性ワイプ製品は、製紙技術に基づく伝統的な不織布材料(パルプベースの製品)で製造されていた。これらの製品は、十分に受け入れられたが、布地材料の柔らかさが欠如していた。スパンレース不織布技術の導入によって、伝統的な紙ベースの製品と比較して、柔らかさの点で優れた製品がもたらされた。これは、主に、(i)スパンレースプロセスにおける長い軟質繊維(最も頻繁には、レーヨンおよびポリエチレンテレフタレート/ポリプロピレンまたはこれらの繊維の混合物)の使用ならびに(ii)スパンレースプロセスを通じてバインダが布地に添加されないことによる。
【0004】
他の従来の湿性ワイプは、実質的に均質な材料の単層を含んでいた。例えば、従来の湿性ワイプは、ウェブ全体を通じて均一に混合または分布されている繊維のエアレイドウェブを含んでいた。ワイプは、ポリエステル、ポリエチレンおよびポリプロピレンなどのポリマー繊維、ならびにセルロース繊維などの天然または合成繊維を含んでいた。他の従来の湿性ワイプは、ウェブ全体を通じて均一に混合されたポリプロピレンおよびセルロース繊維の共成形ウェブを含んでいた。
【0005】
しかし、湿性ワイプまたはワイプ型製品の他の形態は、不織布層状ベースシートを有するワイプ製品を含む。層状ベースシートは、互いに対向して配置された少なくとも2つの層を含み、1つの層がポリエチレン繊維を含み、1つの層がポリプロピレン繊維を含むように、それらの層の一方は、他方の層に含まれない繊維を含む。代替的な形態において、それらの層は、同様の材料を異なる量で含むことができる。1つの層は、軟質性などの異なる物理特性をワイプ製品に付与するように構成されてよく、別の層は、強度などの他の特性をワイプ製品に付与するように構成されてよい。米国特許第6,028,018号明細書に対応する国際公開第1998/003713号パンフレットには、多層ベースシートを有する湿性ワイプの一例が開示されている。
【0006】
ワイプの嵩高性を向上させるための最近の技術革新は、スパンレース不織布内の縦方向空隙の形成の制御を含む。カード繊維の2つの連続層の間に固定平行管を配置することによって、空隙形性をスパンレース不織布に導入することができる。管は、スパンレーサ内に伸びることができ、そこで上部および底部繊維層が管の周囲で互いにスパンレースされ、管がスパンレース不織布から除去されて、空隙空間を形成する。空隙は、不織布の嵩高性および感触を向上させることができ、管を介して液体または粉末添加剤を充填することができる。
【0007】
最近の技術革新によっても、湿性ワイプの軟質性、嵩高性、容量、ドレープ適性、毛羽立ち抵抗性、柔軟性、強度、結合性、布様感触および弾力性などの物理特性のバランスが完全に最適化されなかった。例えば、洗顔ワイプでは、洗浄効果および耐久性を保持しながら、より高度な布様感触とともに、軟質性、高度な嵩高性、柔軟性および毛羽立ち抵抗性を有する製品を有することが望ましい。例えば、より高強度の製品は、典型的には、製品の柔軟性を低下させるなど、所望の特性は対立することがあるため、特性の所望のバランスを得ることは、特に困難である。物理特性のバランスは、軟質性の向上を望む使用者にとって特に困難であった。例えば、湿性ワイプに使用することができる特定の繊維は、より硬く、強度および弾力性を付与することができるが、他の繊維より軟質性または柔軟性が劣る。湿性ワイプに使用できる他の繊維は、より軟質であるが、使用者によって加えられる力に耐えるのに十分な湿潤強度を有することができない。さらに、強度のための繊維および軟質性のための繊維などの、所望の特性を付与できる異なる種類の繊維は、互いに和合性でないため、均質な層において組み合わせることが困難である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
したがって、強度、結合性、弾力性、毛羽立ち抵抗性およびワイプの他の特性を維持しながら軟質性および柔軟性が向上した湿性ワイプの必要性が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
一態様において、本明細書に開示されている実施形態は、基体、および基体に接触する流体を含む複合構造体であって、基体は、不織布、発泡体またはそれらの組合せを含み、15から500グラム毎平方メートルの基本重量を有することを特徴とする複合構造体に関する。他の態様において、本明細書に開示されている実施形態は、少なくとも1つの基体層、および基体層上に配置された連続気泡発泡体を含む少なくとも1つの層を含む複合構造体であって、基体は、不織布、発泡体またはそれらの組合せを含み、15から500グラム毎平方メートルの基本重量を有することを特徴とする複合構造体に関する。
【0010】
他の態様において、本明細書に開示されている実施形態は、少なくとも1つの基体層、および連続気泡発泡体を含む少なくとも1つの層を含む複合構造体を形成する方法に関する。該方法は、水および熱可塑性ポリマーを含む泡を基体に散布し、水の少なくとも一部を泡から除去して発泡体を形成することを含むことができる。基体は、25から150グラム毎平方メートルの基本重量を有する不織布を含む。
【0011】
本発明の他の態様および利点は、以下の説明および添付の請求項から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】図1は、本明細書に開示されている実施形態による泡から発泡体の形成を示す。
【図2】図2は、本明細書に開示されている実施形態に使用できる押出装置を概略的に示す。
【図3】図3は、本明細書に開示されている複合構造体の一実施形態の断面の顕微鏡写真である。
【図4】図4は、市販の比較サンプルと比較した、本明細書に開示されている複合構造体の実施形態についての曲げ剛性試験結果のグラフ図である。
【図5】図5は、市販の比較サンプルと比較した、本明細書に開示されている複合構造体の実施形態についての毛羽立ち抵抗性試験結果のグラフ図である。
【図6】図6は、市販の比較サンプルと比較した、本明細書に開示されている複合構造体の実施形態に対するサンプル基本重量によって正規化された手ざわり(hand)測定についての結果のグラフ図である。
【図7】図7は、市販の比較サンプルと比較した、本明細書に開示されている複合構造体の実施形態に対するサンプル容量によって正規化された手ざわり測定についての結果のグラフ図である。
【図8】図8は、市販の比較サンプルと比較した、本明細書に開示されている複合構造体の実施形態に対する圧縮弾力性のカワバタ評価システム測定についての結果のグラフ図である。
【図9】図9は、市販の比較サンプルと比較した、本明細書に開示されている複合構造体の実施形態についてのPPT引裂強度試験結果のグラフ図である。
【図10】図10は、市販の比較サンプルと比較した、本明細書に開示されている複合構造体の実施形態についてのPPT引裂強度試験結果のグラフ図である。
【図11】図11は、市販の比較サンプルと比較した、本明細書に開示されている複合構造体の実施形態についてのPPT引裂強度試験結果のグラフ図である。
【図12】図12は、市販の比較サンプルと比較した、本明細書に開示されている複合構造体の実施形態に対する幾何学的粗さのカワバタ評価システム測定についての結果のグラフ図である。
【図13】図13は、市販の比較サンプルと比較した、本明細書に開示されている複合構造体の実施形態に対する摩擦係数のカワバタ評価システム測定についての結果のグラフ図である。
【符号の説明】
【0013】
5 泡
7 蒸気のポケット
8 分散体
9 液体媒体
10 ポリマー粒子
11 乾燥または除去プロセス
12 ストラット
13 蒸気泡
14 構造体
20 押出機
30 ギアポンプ
40 塩基貯蔵部
50 初期水貯蔵部
【発明を実施するための形態】
【0014】
一態様において、本明細書に開示されている実施形態は、軟質性、重量、ならびに曲げ剛性、摩擦係数、毛羽立ち抵抗性、嵩高性および容量等を含むことができる他の特性のバランスを有する複合構造体に関する。複合構造体は、不織布基体、発泡体基体またはそれらの組合せを含むことができる。いくつかの実施形態において、基体に弱い界面活性剤溶液などの流体または充填剤などの固体をコーティング、含浸または混合することができる。
【0015】
他の態様において、本明細書に開示されている実施形態は、特性のバランスを有する複合構造体であって、少なくとも1つの基体層および少なくとも1つの連続気泡発泡体層を含むことができる複合構造体に関する。基体は、不織布および布地等を含むことができる。基体(例えば、不織布、布地等)内の連続気泡発泡体をワイプまたは他の物品に組み込むと、さらなる軟質性、嵩高性および容量を物品に付与することができる。基体単独の所望の既存の表面感触を向上および/または維持しながら、さらなる嵩高性および容量を達成することができる。連続気泡発泡体を組み込むと、布地または不織布層単独と比較した場合に、活性剤の封入および送達に利用可能な空隙容量および/または表面積を増大することもできる。
【0016】
他の態様において、本明細書に開示されている実施形態は、連続気泡発泡体層、基体層、および場合により少なくとも1つの洗浄界面活性剤、活性剤または促進充填剤を含む複合構造体に関する。複合構造体の実施形態は、高度な軟質性および高度な嵩高性、および/または表面摩耗に対する優れた抵抗性を含む性能特性の所望の組合せを発揮することができる。軟質で高度な嵩高性を有する複合構造体は、パーソナルケア、医療、運送および家庭用品市場に関連する使い捨ておよび半使い捨て用途に有用であり得る。複合構造体は、洗浄、研磨または医療用途に対して湿潤を必要とする湿性活性剤または乾燥活性剤を送達することも可能であり得る。
【0017】
本明細書に開示されている複合構造体は、皮膚接触のための洗浄ワイプに使用されてよく、湿性および/または乾燥活性剤を含むことができる。本明細書に開示されている複合構造体は、ベビーワイプ、ハンドワイプ、家庭用硬質表面クリーナーおよび工業用洗浄ワイプを含む他の用途に使用されてもよい。
【0018】
向上した軟質性およびより高度な布様感触は、皮膚洗浄ワイプ以外の用途にも望ましい。これらの用途としては、塗布パッド、研磨布、医療用洗浄、敏感な部品の運送/包装材料または局部的医薬品の塗布パッドを挙げることができるが、それらに限定されない。また、これらの物品を、量が測定された液体材料の一時的な保管の手段として使用することができる。
【0019】
本明細書に開示されている複合構造体の実施形態に有用な発泡体を泡または発泡分散体から形成することができる。本明細書に用いられているように、「発泡する」または「発泡した」という用語は、実質的な容量の空気または他の気体が液体に組み込まれ、いくつかの実施形態において、得られた組成物(発泡材料)の少なくとも80容量パーセントが気体成分からなるプロセスを指す。他の実施形態において、発泡材料の少なくとも85容量パーセントが、さらに他の実施形態において少なくとも90容量パーセントが気体成分からなる。液体は、分子溶液、ミセル溶液、または水性もしくは有機媒体の分散体であってよい。概して、発泡液は、雰囲気条件下での高剪断混合、または場合により混合しながら気体を系に注入することなどの機械的方法によって生成される。「泡」という用語は、本明細書に用いられているように、液体媒体を乾燥または除去する前に上記のように発泡した液体を指す。
【0020】
「発泡体」という用語は、本明細書に用いられているように、泡から液体媒体の一部を除去することによって(すなわち、液体媒体の少なくとも一部、実質的な部分またはすべてを除去することができる)形成される弾力性構造体を指す。本明細書に用いられているように、乾燥および除去は、区別なく用いられてよく、液体媒体の熱的および/または機械的除去を含むことができる。本明細書に開示されている実施形態による泡からの発泡体の形成を図1に示す。泡5は、分散体8内に蒸気のポケット7を含むことができ、分散体8は、液体媒体9中にポリマー粒子10を含む。液体媒体9が乾燥または除去プロセス11中に泡5から除去されると、ポリマー粒子10は、合着および溶着して、閉じ込められた蒸気泡13のまわりに相互接続膜またはストラット12を生成させて、得られた構造体14に安定性を付与する。膜形成はとりわけ、泡内のポリマーの融点、液体媒体の除去速度(すなわち蒸発速度)および全体的な泡の組成等を含む変動要素に左右され得る。例えば、水が水性分散体から形成された泡から除去されると、分散体に含まれるポリマーは、合着して泡を形成し、得られた発泡体に構造および弾力性を付与することができる。いくつかの実施形態において、残留液の量が0から20重量パーセント;他の実施形態において0から10重量パーセント;さらに他の実施形態において0から8パーセントである場合に発泡体を形成することができる。
【0021】
上述のように、本開示の実施形態は、不織布、布地および発泡体を含む様々な基体を含むことができる。また、本明細書に開示されている実施形態は、湿性または乾燥活性剤を含む様々な添加剤を含むことができる。本明細書に開示されている複合構造体を形成するためのこれらの構成要素および方法の各々を以下により詳細に説明する。
【0022】
発泡体および発泡体基体
実施形態に有用な発泡体は、ポリオレフィン樹脂、ポリウレタン樹脂またはそれらの組合せから形成された発泡体を含むことができる。他の実施形態に有用な発泡体は、セルロース、ラテックスまたは天然スポンジに基づくことができる。
【0023】
いくつかの実施形態において、ポリオレフィン発泡体およびポリウレタン発泡体を水性分散体から製造することができる。水性分散体を発泡させ、少なくとも部分的に乾燥させて、所望の発泡体を得ることができる。本開示の実施形態に使用される分散体は、水、少なくとも1つの熱可塑性樹脂および分散安定剤を含むことができる。本開示の発泡体の実施形態に含まれる熱可塑性樹脂は、それ自体水に容易に分散可能でない樹脂を含むことができる。「樹脂」という用語は、本明細書に用いられているように、合成ポリマーまたは化学的に改変された天然樹脂を含むものと見なされるべきである。他の実施形態において、熱可塑性樹脂は、ポリオレフィンおよびポリウレタンを含むことができる。他の分散体は、ポリウレタンを形成することができる前駆体構成要素を含むことができる。分散体は、発泡界面活性剤を含む様々な添加剤を含むこともできる。これらの各々を以下により詳細に説明する。
【0024】
ポリオレフィン樹脂
本明細書に用いられるポリオレフィン樹脂は、オレフィンポリマーおよびエラストマー、ならびに様々なオレフィンポリマーおよび/またはオレフィンエラストマーのブレンドを含むことができる。いくつかの実施形態において、オレフィン樹脂は、半結晶性樹脂である。「半結晶性」という用語は、標準的な示差走査熱分析(DSC)評価が施された場合に少なくとも1つの吸熱を有する樹脂を特定することを意図する。いくつかの半結晶性ポリマーは、走査温度が上昇して最終的な吸熱最大値を過ぎると、比較的緩やかな勾配を示すDSC吸熱量を示す。これは、一般には鋭い融点であると見なされるものを有するポリマーでなく、溶融範囲が広いポリマーを反映する。本開示の分散体に有用ないくつかのポリマーは、単一の融点を有するのに対して、他のポリマーは、2つ以上の融点を有する。
【0025】
いくつかのポリマーにおいて、ポリマーのすべてまたは一部が摂氏数度などの非常に狭い温度範囲にわたって溶融するように、融点の2つ以上が鋭くてもよい。他の実施形態において、ポリマーは、約20℃の範囲にわたって広い溶融特性を示すことができる。さらに他の実施形態において、ポリマーは、50℃を超える範囲にわたって広い溶融特性を示すことができる。
【0026】
本開示に使用できるオレフィン樹脂の例としては、典型的にはポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ−1−ブテン、ポリ−3−メチル−1−ブテン、ポリ−3−メチル−1−ペンテン、ポリ−4−メチル−1−ペンテン、エチレン−プロピレンコポリマー、エチレン−1−ブテンコポリマーおよびプロピレン−1−ブテンコポリマーに代表されるエチレン、プロピレン、1−ブテン、3−メチル−1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ペンテン、1−ヘプテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセンおよび1−ドデセンなどのアルファ−オレフィンのホモポリマーおよびコポリマー(エラストマーを含む);典型的にはエチレン−ブタジエンコポリマーおよびエチレン−エチリデンノルボルネンコポリマーに代表されるアルファ−オレフィンと共役または非共役ジエンとのコポリマー(エラストマーを含む);および典型的にはエチレン−プロピレン−ブタジエンコポリマー、エチレン−プロピレン−ジシクロペンタジエンコポリマー、エチレン−プロピレン−1,5−ヘキサジエンコポリマーおよびエチレン−プロピレン−エチリデンノルボルネンコポリマーに代表される2つ以上のアルファ−オレフィンと共役または非共役ジエンとのコポリマーなどのポリオレフィン(エラストマーを含む);エチレン−酢酸ビニルコポリマー、エチレン−ビニルアルコールコポリマー、エチレン−塩化ビニルコポリマー、エチレンアクリル酸またはエチレン−(メタ)アクリル酸コポリマーおよびエチレン−(メタ)アクリレートコポリマーなどのエチレン−ビニル化合物コポリマー;ポリスチレン、ABS、アクリロニトリル−スチレンコポリマー、α−メチルスチレン−スチレンコポリマー、スチレンビニルアルコール、スチレンメチルアクリレートなどのスチレンアクリレート、スチレンブチルアクリレート、スチレンブチルメタクリレート、およびスチレンブタジエンおよび架橋スチレンポリマーなどのスチレンコポリマー(エラストマーを含む);およびスチレン−ブタジエンコポリマーおよびその水和物、およびスチレン−イソプレン−スチレントリブロックコポリマーなどのスチレンブロックコポリマー(エラストマーを含む);ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、塩化ビニル−塩化ビニリデンコポリマー、ポリアクリル酸メチルおよびポリメタクリル酸メチルなどのポリビニル化合物;ナイロン6、ナイロン6,6およびナイロン12などのポリアミド;ポリエチレンテレフタレートおよびポリブチレンテレフタレートなどの熱可塑性ポリエステル;ポリカーボネートおよびポリ酸化フェニレン等;およびポリジシクロペンタジエンポリマーおよび関連ポリマー(コポリマー、ターポリマー)を含むガラス状炭化水素系樹脂;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルおよび酪酸ビニル等の飽和モノオレフィン;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、n−ブチルアクリレート、アクリル酸イソブチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸フェニル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチルおよびメタクリル酸ブチル等を含むモノカルボン酸のエステルなどのビニルエステル;アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミド、それらの混合物;開環メタセシスおよび交差メタセシス重合等によって製造される樹脂が挙げられる。これらの樹脂を単独または2つ以上の組合せで使用することができる。
【0027】
1つの特定の実施形態において、熱可塑性樹脂は、エチレンと1−オクテンなどのアルケンを含むコモノマーとのアルファ−オレフィンインターポリマーを含むことができる。エチレンおよびオクテンコポリマーは、単独、またはエチレンアクリル酸コポリマーなどの別の熱可塑性樹脂との組合せで存在することができる。一緒に存在する場合は、エチレンおよびオクテンコポリマーとエチレン−アクリル酸コポリマーとの重量比は、約3:2から約2:3などの約1:10から約10:1の範囲であってよい。エチレン−オクテンコポリマーなどのポリマー樹脂は、約25%未満などの約50%未満の結晶化度を有することができる。いくつかの実施形態において、ポリマーの結晶化度は、5から35パーセントの範囲であってよい。他の実施形態において、結晶化度は、7から20パーセントの範囲であってよい。
【0028】
本明細書に開示されている実施形態は、少なくとも1つのマルチブロックオレフィンインターポリマーを含むことができるポリマー構成要素を含むこともできる。好適なマルチブロックオレフィンインターポリマーは、例えば、参照により本明細書に組み込まれている米国仮特許出願第60/818,911号明細書に記載されているものを含むことができる。「マルチブロックコポリマー」または「マルチブロックインターポリマー」という用語は、好ましくは直線状に接合された2つ以上の化学的に異なる領域またはセグメント(「ブロックと称する」)を含むポリマー、すなわちペンダントまたはグラフト状でなく、重合エチレン官能基に対して端端接合した、化学的に差別化された単位を含むポリマーを指す。一部の実施形態において、ブロックは、そこに組み込まれたコモノマーの量または種類、密度、結晶化度の量、当該組成のポリマーに帰することが可能な結晶サイズ、タクチシティの種類または程度(イソタクチックまたはシンジオタクチック)、レジオ規則性またはレジオ不規則性、長鎖分枝または過剰分枝を含む分枝の量、均質性、あるいは任意の他の化学または物理特性が異なる。マルチブロックコポリマーは、多分散指数(PDIまたはMw/Mn)の固有分布、ブロック長分布、および/またはコポリマーの独特の製造方法によるブロック数分布によって特徴づけられる。より具体的には、連続法で製造される場合は、該ポリマーの実施形態は、約1.7から約8;他の実施形態において約1.7から約3.5;他の実施形態において約1.7から約2.5;およびさらに他の実施形態において約1.8から約2.5または約1.8から約2.1の範囲のPDIを有することができる。バッチまたはセミバッチ法で製造される場合は、該ポリマーの実施形態は、約1.0から約2.9;他の実施形態において約1.3から約2.5;他の実施形態において約1.4から約2.0;およびさらに他の実施形態において約1.4から約1.8の範囲のPDIを有することができる。
【0029】
マルチブロックオレフィンインターポリマーの一例は、エチレン/α−オレフィンブロックインターポリマーである。マルチブロックオレフィンインターポリマーの別の例は、プロピレン/α−オレフィンインターポリマーである。以下の説明は、主要モノマーとしてエチレンを有するものとしてのインターポリマーに焦点をおくが、一般的なポリマー特性に関してプロピレン系マルチブロックインターポリマーにも同様に適用される。
【0030】
エチレン/α−オレフィンマルチブロックコポリマーは、化学または物理特性が異なる2つ以上の重合モノマー単位の複数(すなわち2つ以上)のブロックまたはセグメント(ブロックインターポリマー)によって特徴づけられる重合形態でエチレンおよび1つまたは複数の共重合性α−オレフィンコモノマーを含むことができる。いくつかの実施形態において、コポリマーは、マルチブロックインターポリマーである。いくつかの実施形態において、マルチブロックインターポリマーを以下の式で表すことができる。
(AB)n
式中、nは、少なくとも1であり、様々な実施形態において、nは、2、3、4、5、10、15、20、30、40、50、60、70、80、90または100以上などの1より大きい整数であり;「A」は、硬質ブロックまたはセグメントを表し;「B」は、軟質ブロックまたはセグメントを表す。好ましくは、AとBは、分枝状または星状でなく、直線状に結合されている。「硬質」セグメントは、いくつかの実施形態においてエチレンが95重量パーセントを超える量で存在し、他の実施形態において98重量パーセントを超える量で存在する重合単位のブロックを指す。換言すれば、硬質セグメントにおけるコモノマー含有量は、いくつかの実施形態において、硬質セグメントの全重量の5重量パーセント未満であり、他の実施形態において2重量パーセント未満である。いくつかの実施形態において、硬質セグメントは、すべて、または実質的にすべてエチレンで構成される。一方、「軟質」セグメントは、コモノマー含有量がいくつかの実施形態において軟質セグメントの全重量の5重量パーセントを超え、様々な他の実施形態において8重量パーセントを超え、10重量パーセントを超え、または15重量パーセントを超える重合単位のブロックを指す。いくつかの実施形態において、軟質セグメントにおけるコモノマー含有量は、様々な他の実施形態において、20重量パーセントを超え、25重量パーセントを超え、30重量パーセントを超え、35重量パーセントを超え、40重量パーセントを超え、45重量パーセントを超え、50重量パーセントを超え、または60重量パーセントを超えてよい。
【0031】
いくつかの実施形態において、AブロックおよびBブロックは、ポリマー鎖に沿ってランダムに分布されている。換言すれば、ブロックコポリマーは、
AAA−AA−BBB−BB
のような構造を有さない。
【0032】
他の実施形態において、ブロックコポリマーは、第3のブロックを有さない。さらに他の実施形態において、ブロックAもブロックBもチップセグメント(tip segment)などの2つ以上のセグメント(またはサブブロック)を含まない。
【0033】
マルチブロックインターポリマーを、0を超える値から約1.0の範囲の平均ブロック指数ABI、および約1.3を超える分子量分布Mw/Mnによって特徴づけることができる。平均ブロック指数ABIは、20℃から110℃まで5℃ずつ昇温させた分取TREFで得られたポリマーフラクションの各々についてのブロック指数(「BI」)の平均重量である。
ABI=Σ(wiBIi)
式中、BIiは、分取りTREFで得られたマルチブロックインターポリマーのi番目のフラクションについてのブロック指数であり、wiは、i番目のフラクションの重量百分率である。
【0034】
同様に、以降二次モーメント重量平均ブロック指数と称する平均に関する二次モーメントの平方根を以下のように定義することができる。
【0035】
【数1】
【0036】
各ポリマーフラクションについて、BIは、以下の2つの式(いずれも同じBI値を与える)の1つによって定義される。
【0037】
【数2】
式中、Txは、(好ましくはケルビンで表される)i番目のフラクションについての分析昇温溶離分別(ATREF)溶離温度であり、Pxは、以下に記載するNMRまたはIRによって測定できるi番目のフラクションについてのエチレンモル分離である。PABは、やはりNMRまたはIRによって測定できる(分別前の)全エチレン/α−オレフィンインターポリマーのエチレンモル分率である。TAおよびPAは、純粋の「硬質セグメント」(インターポリマーの結晶性セグメントを指す)についてのATREF溶離温度およびエチレンモル分率である。概算として、または「硬質セグメント」組成が未知であるポリマーについては、TAおよびPA値は、高密度ポリエチレンホモポリマーの当該値に設定される。
【0038】
TABは、マルチブロックインターポリマーと同じ組成(PABのエチレンモル分率を有する)および分子量のランダムコポリマーについてのATREF溶離温度である。以下の式を用いて(NMRによって測定された)エチレンのモル分率からTABを計算することができる。
LnPAB=α/TAB+β
式中、αおよびβは、いくつかの広い組成のランダムコポリマーの十分に特徴づけられる分取TREFフラクションおよび/または狭い組成の十分に特徴づけられるランダムエチレンコポリマーを使用した検量線によって求めることができる2つの定数である。αおよびβは、計測器毎に異なり得ることに留意されたい。さらに、検量線を作成するのに使用された分取りTREFフラクションおよび/またはランダムコポリマーに対する適切な分子量範囲およびコモノマーの種類を用いて、対象のポリマー組成物に対する適切な検量線を作成する必要がある。わずかな分子量の影響がある。検量線が類似の分子量範囲から得られる場合は、当該効果は、基本的に無視し得る。いくつかの実施形態において、ランダムエチレンコポリマーおよび/またはランダムコポリマーの分取りTREFフラクションは、以下の関係を満たす。
LnP=−237.83/TATREF+0.639
【0039】
上記検量線方程式は、狭い組成のランダムコポリマーおよび/または広い組成のランダムコポリマーの分取りTREFフラクションについて、エチレンのモル分率Pを分析TREF溶融温度に関連づける。TXOは、組成が同じで、PXのエチレンモル分率を有するランダムコポリマーについてのATREF温度である。TXOをLnPX=α/TXO+βから計算することができる。逆に、PXOは、組成が同じで、TXのATREF温度を有するランダムコポリマーについてのエチレンモル分率であり、LnPXO=α/TX+βから計算することができる。
【0040】
各分取りTREFフラクションについてのブロック指数(BI)が得られると、全ポリマーについての重量平均ブロック指数ABIを計算することができる。いくつかの実施形態において、ABIは、0より大きく約0.4未満、または約0.1から約0.3である。他の実施形態において、ABIは、約0.4より大きく約1.0以下である。さらに他の実施形態において、ABIは、約0.4から約0.7、約0.5から約0.7または約0.6から約0.9の範囲であるべきである。いくつかの実施形態において、ABIは、約0.3から約0.9、約0.3から約0.8、または約0.3から約0.7、約0.3から約0.6、約0.3から約0.5または約0.3から約0.4の範囲である。他の実施形態において、ABIは、約0.4から約1.0、約0.5から約1.0、または約0.6から約1.0、約0.7から約1.0、約0.8から約1.0または約0.9から約1.0の範囲である。
【0041】
マルチブロックインターポリマーの別の特徴は、インターポリマーが、分取りTREFによって得ることができる少なくとも1つのポリマーフラクションを含むことができ、フラクションが約0.1より大きく約1.0以下のブロック指数を有し、ポリマーが約1.3を超える分子量分布Mw/Mnを有することである。いくつかの実施形態において、ポリマーフラクションは、約0.6より大きく約1.0以下、約0.7より大きく約1.0以下、約0.8より大きく約1.0以下、または約0.9より大きく約1.0以下のブロック指数を有する。他の実施形態において、ポリマーフラクションは、約0.1より大きく約1.0以下、約0.2より大きく約1.0以下、約0.3より大きく約1.0以下、約0.4より大きく約1.0以下、または約0.4より大きく約1.0以下のブロック指数を有する。さらに他の実施形態において、ポリマーフラクションは、約0.1より大きく約0.5以下、約0.2より大きく約0.5以下、約0.3より大きく約0.5以下、または約0.4より大きく約0.5以下のブロック指数を有する。さらに他の実施形態において、ポリマーフラクションは、約0.2より大きく約0.9以下、約0.3より大きく約0.8以下、約0.4より大きく約0.7以下、または約0.5より大きく約0.6以下のブロック指数を有する。
【0042】
本明細書に開示されている実施形態に使用されるエチレン/α−オレフィンマルチブロックインターポリマーは、エチレンと少なくとも1つのC3〜C20α−オレフィンとのインターポリマーであってよい。インターポリマーは、C4〜C18ジオレフィンおよび/またはアルケニルベンゼンをさらに含むことができる。エチレンとの重合に有用な好適な不飽和コモノマーとしては、例えば、エチレン不飽和モノマー、共役または非共役ジエン、ポリエン、アルケニルベンゼン等が挙げられる。当該コモノマーの例としては、プロピレン、イソブチレン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネンおよび1−デセンなどのC3〜C20α−オレフィンが挙げられる。一部の実施形態において、α−オレフィンは、1−ブテンまたは1−オクテンであってよい。他の好適なモノマーとしては、スチレン、ハロまたはアルキル置換スチレン、ビニルベンゾシクロブタン、1,4−ヘキサジエン、1,7−オクタジエンおよびナフテン系化合物(例えば、シクロペンテン、シクロヘキセンおよびシクロオクテンなど)が挙げられる。
【0043】
本明細書に開示されているマルチブロックインターポリマーは、逐次モノマー付加、可動性触媒およびアニオン性またはカチオン性リビング重合法を介して製造される従来のランダムコポリマー、ポリマーの物理的ブレンドおよびブロックコポリマーと区別され得る。特に、同等の結晶化度または弾性率での同じモノマーおよびモノマー含有量のランダムコポリマーと比較して、該インターポリマーは、融点によって測定されるより良好な(より高度な)耐熱性、より高いTMA侵入温度、より大きな高温引張強度、および/または動的機械分析によって測定されるより大きな高温捩れ貯蔵弾性率を有する。充填材の特性は、同じモノマーおよびモノマー含有量を含むランダムコポリマーと比較して、マルチブロックインターポリマーの実施形態の使用の恩恵を受けることができ、マルチブロックインターポリマーは、特に高温におけるより低い圧縮歪み、より低い応力緩和、より高いクリープ抵抗性、より大きな引裂強度、より高い耐ブロッキング性、より高い結晶化(固化)温度によるより速い硬化、(特に高温における)より高い回復率、より良好な耐摩耗性、より大きな収縮力、ならびにより良好な油および充填材許容性を有する。
【0044】
他のオレフィンインターポリマーとしては、スチレン、o−メチルスチレン、p−メチルスチレンおよびt−ブチルスチレン等を含むモノビニリデン芳香族モノマーを含むポリマーが挙げられる。特に、エチレンおよびスチレンを含むインターポリマーを使用することができる。他の実施形態において、エチレン、スチレンおよびC3〜C20α−オレフィンを含み、場合によりC4〜C20ジエンを含むコポリマーを使用することができる。
【0045】
好適な非共役ジエンモノマーとしては、6から15個の炭素原子を有する直鎖、分枝鎖または環式炭化水素ジエンを挙げることができる。好適な非共役ジエンの例としては、1,4−ヘキサジエン、1,6−オクタジエン、1,7−オクタジエン、1,9−デカジエンなどの直鎖アクリルジエン、5−メチル−1,4−ヘキサジエンなどの分枝鎖アクリルジエン;3,7−ジメチル−1,6−オクタジエン;3,7−ジメチル−1,7−オクタジエンおよびジヒドロミリセンとジヒドロオシネンの混合異性体、1,3−シクロペンタジエンなどの単環脂環式ジエン;1,4−シクロヘキサジエン;1,5−シクロオクタジエンおよび1,5−シクロドデカジエン、ならびにテトラヒドロインデン、メチルテトラヒドロインデン、ジシクロペンタジエン、ビシクロ−(2,2,1)−ヘプタ−2,5−ジエンなどの多環脂環式縮合および架橋環ジエン;アルケニル、アルキリデン、シクロアルケニル、および5−メチレン−2−ノルボルネン(MNB)などのシクロアルキリデンノルボルネン;5−プロペニル−2−ノルボルネン、5−イソプロピリデン−2−ノルボルネン、5−(4−シクロペンテニル)−2−ノルボルネン、5−シクロヘキシリデン−2−ノルボルネン、5−ビニル−2−ノルボルネンおよびノルボルナジエンが挙げられるが、それらに限定されない。EPDMを製造するのに典型的に使用されるジエンのうち特に好適なジエンは、1,4−ヘキサジエン(HD)、5−エチリデン−2−ノルボルネン(ENB)、5−ビニリデン−2−ノルボルネン(VNB)、5−メチレン−2−ノルボルネン(MNB)およびジシクロペンタジエン(DCPD)である。
【0046】
本明細書に開示されている実施形態に従って使用できる一群の望ましいポリマーは、エチレン、C3〜C20α−オレフィン、特にプロピレン、および場合により1つまたは複数のジエンモノマーのエラストマーインターポリマーを含む。本実施形態に使用される好適なα−オレフィンは、R*が1から12個の炭素原子の直鎖状または分枝状アルキル基である式CH2=CHR*で表される。好適なα−オレフィンの例としては、プロピレン、イソブチレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテンおよび1−オクテンが挙げられるが、それらに限定されない。特に好適なα−オレフィンは、プロピレンである。プロピレン系ポリマーは、一般的に、当技術分野でEPまたはEPDMポリマーと称する。当該ポリマー、特にマルチブロックEPDM型ポリマーを製造するのに使用される好適なジエンとしては、4から20個の炭素を含む共役または非共役、直鎖または分枝鎖、環式または多環式ジエンが挙げられる。好適なジエンとしては、1,4−ペンタジエン、1,4−ヘキサジエン、5−エチリデン−2−ノルボルネン、ジシクロペンタジエン、シクロヘキサジエンおよび5−ブチリデン−2−ノルボルネンが挙げられる。特に好適なジエンは、5−エチリデン−2−ノルボルネンである。
【0047】
1つの好適な種類の樹脂として、ジまたはポリカルボン酸と、ジフェノールを含むジオールとのエステル化製造物を使用することができる。これらの樹脂は、参照により本明細書に組み込まれている米国特許第3,590,000号明細書に示されている。樹脂の他の具体例としては、スチレン/メタクリレートコポリマーおよびスチレン/ブタジエンコポリマー;懸濁重合スチレンブタジエン;ビスフェノールAと酸化プロピレンの反応、そしてその後の得られた製造物とフマル酸との反応から得られるポリエステル樹脂;ならびにジメチルテレフタレート、1,3−ブタンジオール、1,2−プロパンジオールおよびペンタエリスリトール、アクリル酸スチレンおよびそれらの混合物の反応から得られる分枝状ポリエステル樹脂が挙げられる。
【0048】
さらに、本開示の具体的な実施形態は、エチレン系ポリマー、プロピレン系ポリマー、プロピレン−エチレンコポリマーおよびスチレンコポリマーを組成物の1つの構成要素として採用することができる。本開示の他の実施形態は、The Dow Chemical Company社(ミシガン州Midland)から入手可能なUNOXOL3,4ジオールなどの脂肪族ジオールを含むものを含むポリエステル樹脂を使用することができる。
【0049】
選り抜きの実施形態において、熱可塑性樹脂は、エチレン−アルファオレフィンコポリマーまたはプロピレン−アルファオレフィンコポリマーから形成される。特に、選り抜きの実施形態において、熱可塑性樹脂は、1つまたは複数の非極性ポリオレフィンを含む。
【0050】
具体的な実施形態において、ポリプロピレン、ポリエチレン、それらのコポリマーおよびそれらのブレンド、ならびにエチレン−プロピレン−ジエンターポリマーなどのポリオレフィンを使用することができる。いくつかの実施形態において、好適なオレフィンポリマーとしては、Elstonに発布された米国特許第3,645,992号明細書に記載されている均一ポリマー;Andersonに発布された米国特許第4,076,698号明細書に記載されている高密度ポリエチレン(HDPE);均一に分枝した直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE);不均一に分枝した超低密度直鎖状ポリエチレン(ULDPE);均一に分枝した直鎖状エチレン/アルファ−オレフィンコポリマー;例えば、その開示内容が参照により本明細書に組み込まれている米国特許第5,272,236号明細書および同第5,278,272号明細書に開示されている方法によって製造され得る均一に分枝した実質的に直鎖状のエチレン/アルファ−オレフィンポリマー;ならびに低密度ポリエチレン(LDPE)またはエチレン酢酸ビニルポリマー(EVA)などの高圧遊離ラジカル重合エチレンポリマーおよびコポリマーが挙げられる。
【0051】
いくつかの実施形態において、それぞれ全体が参照により本明細書に組み込まれている米国特許第6,566,446号明細書、同第6,538,070号明細書、同第6,448,341号明細書、同第6,316,549号明細書、同第6,111,023号明細書、同第5,869,575号明細書、同第5,844,045号明細書または同第5,677,383号明細書に記載されているポリマー組成物およびそれらのブレンドも好適であり得る。いくつかの実施形態において、該ブレンドは、2つの異なるチーグラーナッタポリマーを含むことができる。他の実施形態において、該ブレンドは、チーグラーナッタポリマーおよびメタロセンポリマーのブレンドを含むことができる。さらに他の実施形態において、本明細書に用いられているポリマーは、2つの異なるメタロセンポリマーのブレンドであってよい。他の実施形態において、シングルサイト触媒ポリマーを使用することができる。
【0052】
いくつかの実施形態において、ポリマーは、ポリプレン系コポリマーまたは重合体である。いくつかの特定の実施形態において、プロピレン/エチレンコポリマーまたはインターポリマーは、実質的にアイソタクチックプロピレン配列を有するものとして特徴づけられる。「実質的にアイソタクチックプロピレン配列」という用語および同様の用語は、該配列は13C NMRで測定されたアイソタクチックトライアッド(mm)が一実施形態において約0.85を超え;別の実施形態において約0.90を超え;別の実施形態において約0.92を超え;さらに別の実施形態において約0.93を超えることを意味する。アイソタクチックトライアッドは、当技術分野でよく知られており、例えば、米国特許第5,504,172号明細書および国際公開第00/01745号パンフレットに記載されており、13C NMRスペクトルで測定されたコポリマー分子鎖におけるトライアッド単位の観点でのアイソタクチック配列を指す。
【0053】
オレフィンポリマー、コポリマー、インターポリマーおよびマルチブロックインターポリマーを、少なくとも1つの官能基をそのポリマー構造に組み込むことによって官能化することができる。例示的な官能基としては、例えば、エチレン不飽和一および二官能価カルボン酸、エチレン不飽和一および二官能価無水カルボン酸、それらの塩、ならびにそれらのエステルを挙げることができる。当該官能基をオレフィンポリマーにグラフトすることができ、またはそれをエチレンおよび任意のさらなるコモノマーと共重合させて、エチレン、官能性コモノマー、および場合によって他のコモノマーのインターポリマーを形成することができる。官能基をポリエチレン上にグラフトする手段は、例えば、その開示内容全体が参照により本明細書に組み込まれている米国特許第4,762,890号明細書、同第4,927,888号明細書および同第4,950,541号明細書に記載されている。1つの特に有用な官能基は、無水マレイン酸である。
【0054】
官能性ポリマーに存在する官能基の量は、異なり得る。官能基は、いくつかの実施形態において少なくとも約1.0重量パーセント;他の実施形態において少なくとも約5重量パーセント;およびさらに他の実施形態において少なくとも約7重量パーセントの量で存在してよい。官能基は、いくつかの実施形態において約40重量パーセント未満;他の実施形態において約30重量パーセント未満;およびさらに他の実施形態において約25重量パーセント未満の量で存在してよい。
【0055】
他の特定の実施形態において、熱可塑性樹脂は、エチレン酢酸ビニル(EVA)系ポリマーであってよい。他の実施形態において、熱可塑性樹脂は、エチレン−アクリル酸メチル(EMA)系ポリマーであってよい。他の特定の実施形態において、エチレン−アルファオレフィンコポリマーは、エチレン−ブテン、エチレン−ヘキセンまたはエチレン−オクテンコポリマーまたはインターポリマーであってよい。他の特定の実施形態において、プロピレン−アルファオレフィンコポリマーは、プロピレン−エチレンまたはプロピレン−エチレン−ブテンコポリマーまたはインターポリマーであってよい。
【0056】
熱可塑性ポリマーは、標準的な示差走査熱分析(DSC)評価を行った場合における少なくとも1つの吸熱の観察によって測定される結晶化度を有することができる。エチレン系ポリマーでは、ASTM D1238に従って重量2.16kg(4.75lb.)で190℃(375°F)にて測定されたメルトインデックス(「MI」)が、いくつかの実施形態において約30g/10分以下;他の実施形態において約25g/10分以下;他の実施形態において約22g/10分以下;さらに他の実施形態において約18g/10分以下の重量である。他の実施形態において、エチレン系ポリマーは、約0.1g/10分以上;他の実施形態において約0.25g/10分以上;他の実施形態において約0.5g/10分以上;およびさらに他の実施形態において約0.75g/10分以上のメルトインデックス(MI)を有することができる。
【0057】
プロピレン系ポリマーは、ASTM D1238に従って重量2.16kg(4.75lb.)で230℃(446°F)にて測定されたメルトフローレート(「MFR」)が、いくつかの実施形態において約85g/10分以下;他の実施形態において約70g/10分以下;他の実施形態において約60g/10分以下;およびさらに他の実施形態において約50g/10分以下の重量を有することができる。他の実施形態において、プロピレン系ポリマーは、約0.25g/10分以上;他の実施形態において約0.7g/10分以上;他の実施形態において約1.4g/10分以上;およびさらに他の実施形態において約2g/10分以上のメルトフローレート(MFR)を有することができる。
【0058】
エチレン系ポリマーは、いくつかの実施形態において約0.845g/cc以上;他の実施形態において約0.85g/cc以上;他の実施形態において約0.855g/cc以上;およびさらに他の実施形態において約0.86g/cc以上の密度を有することができる。他の実施形態において、エチレン系ポリマーは、約0.97g/cc以下;他の実施形態において約0.96g/cc以下;他の実施形態において約0.955g/cc以下;およびさらに他の実施形態において約0.95g/cc以下の密度を有することができる。
【0059】
プロピレン系ポリマーは、いくつかの実施形態において、約5重量パーセント以上のコモノマーを含むことができる。他の実施形態において、プロピレン系ポリマーは、約7重量パーセント以上のコモノマーを含むことができる。他の実施形態において、プロピレン系ポリマーは、約35重量パーセント以下のコモノマーを含むことができ;さらに他の実施形態において約25重量パーセント以下のコモノマーを含むことができる。
【0060】
様々な実施形態において有用な1群の熱可塑性ポリマー類は、エチレンと1−オクテンまたは1−ブテンとのコポリマーであり、エチレンコポリマーは、約90重量パーセント以下のエチレンを含み;他の実施形態において約85重量パーセント以下のエチレンを含み;他の実施形態において約50重量パーセント以上のエチレンを含み;さらに他の実施形態において約55重量パーセント以上のエチレンを含む。エチレンコポリマーは、いくつかの実施形態において約10重量パーセント以上;他の実施形態において約15重量パーセント以上;他の実施形態において約50重量パーセント以下;およびさらに他の実施形態において約45重量パーセント以下の1−オクテンまたは1−ブテンを含むことができる。上記重量百分率の各々は、コポリマーの重量に対するものである。様々な実施形態において、エチレンコポリマーは、約0.25g/10分以上;他の実施形態において約0.5g/10分以上;他の実施形態において約30g/10分以下;およびさらに他の実施形態において約20g/10分以下のメルトインデックスを有することができる。
【0061】
実施形態において有用な他のポリマーとしては、プロピレンとエチレン、1−オクテン、1−ヘキセンまたは1−ブテンとのコポリマーを挙げることができ、プロピレンコポリマーは、約95重量パーセント以下;他の実施形態において約93重量パーセント以下;他の実施形態において約65重量パーセント以上;およびさらに他の実施形態において約75重量パーセント以上のプロピレンを含む。プロピレンコポリマーは、いくつかの実施形態において約5重量パーセント以上;他の実施形態において約7重量パーセント以上;他の実施形態において約35重量パーセント以下;およびさらに他の実施形態において約25重量パーセント以下のエチレン、1−オクテン、1−ヘキセンまたは1−ブテンなどの1つまたは複数のコモノマーを含むことができる。様々な実施形態において、プロピレンコポリマーは、約0.7g/10分以上;他の実施形態において約1.4g/10分以上;他の実施形態において約85g/10分以下;およびさらに他の実施形態において約55g/10分以下のメルトフローレートを有することができる。
【0062】
あるいは、単一のポリマーの代わりに、本明細書に記載の物理特性を有するポリマーのブレンドを採用することができる。例えば、記載の範囲外の比較的高いMIまたはMFRを有する第1のポリマーと、比較的低いMIまたはMFRの別のポリマーとを、合わせたMIまたはMFRおよびブレンドの平均密度が所望の範囲内になるように、ブレンドするのが望ましい場合がある。より結晶性の高いアルファ−オレフィンポリマーと、有意な量の長鎖分枝を有するポリマーなどの比較的低結晶性のポリマーとを組み合わせて、本明細書に記載の泡および発泡体を調製する上で実質的に同等の処理能力を有するブレンドを得ることができる。本明細書において「ポリマー」を参照すると、同等の物理特性を有するオレフィンポリマーのブレンドを同様の効果で採用することができ、それらは、様々な実施形態の我々の記載の範囲内に含まれると見なされることが理解される。
【0063】
一部の実施形態において、熱可塑性樹脂は、0.857から0.911g/ccの密度および0.1から100g/10分のメルトインデックス(2.16kg重量で190℃)を有するエチレン−オクテンコポリマーまたはインターポリマーであってよい。他の実施形態において、エチレン−オクテンコポリマーは、0.863から0.902g/ccの密度および0.8から35g/10分のメルトインデックス(2.16kg重量で190℃)を有することができる。エチレン−オクテンコポリマーまたはインターポリマーは、エチレンとオクテンに対して20〜45重量パーセントのオクテンを含むことができる。
【0064】
一部の実施形態において、熱可塑性樹脂は、5から20重量%のエチレン含有量、および0.5から300g/10分のメルトフローレート(2.16kg重量で230℃)を有するプロピレン−エチレンコポリマーまたはインターポリマーであってよい。他の実施形態において、プロピレン−エチレンコポリマーまたはインターポリマーは、9から12重量パーセントのエチレン含有量、および1から100g/10分のメルトフローレート(2.16kg重量で230℃)を有することができる。
【0065】
一部の他の実施形態において、熱可塑性樹脂は、0.911から0.925g/ccの密度、および0.1から100g/10分のメルトインデックス(2.16kg重量で190℃)を有する低密度ポリエチレンであってよい。
【0066】
いくつかの実施形態において、熱可塑性樹脂は、50パーセント未満の結晶化度を有することができる。他の実施形態において、該樹脂の結晶化度は、5から35パーセントであってよい。さらに他の実施形態において、結晶化度は、7から20パーセントの範囲であってよい。
【0067】
いくつかの実施形態において、熱可塑性樹脂は、半結晶性ポリマーであり、110℃未満の融点を有することができる。他の実施形態において、融点は、25から100℃であってよい。さらに他の実施形態において、融点は、40から85℃であってよい。
【0068】
いくつかの実施形態において、熱可塑性樹脂は、ガラス状ポリマーであり、110℃未満のガラス転移温度を有することができる。他の実施形態において、ガラス転移温度は、20から100℃であってよい。さらに他の実施形態において、ガラス転移温度は、50から75℃であってよい。
【0069】
一部の実施形態において、熱可塑性樹脂は、10000g/モルを超える重量平均分子量を有することができる。他の実施形態において、重量平均分子量は、20000から150000g/モルであってよく;さらに他の実施形態において50000から100000g/モルであってよい。
【0070】
1つまたは複数の熱可塑性樹脂が、約1重量パーセントから約96重量パーセントのポリマー固形分の量で本明細書に記載の水性分散体中に含まれ得る。例えば、熱可塑性樹脂は、一実施形態において約10重量パーセントから約60重量パーセント、および別の実施形態において約20から約50重量パーセントの量で水性分散体中に存在し得る。
【0071】
ポリウレタン
発泡体材料を製造するのに有用なポリウレタン分散体の一実施形態は、水およびポリウレタン、および/または例えばポリウレタンプレポリマーなどのポリウレタンを形成することが可能な混合物を含むことができる。ポリウレタン分散体は、発泡補助剤として作用できる界面活性剤、湿潤剤、および/または泡安定剤および粘度調整剤を含むこともできる。ポリウレタン形成材料は、例えば、分散後のある時間にわたってある軽度のイソシアネート反応性を保持するポリウレタンプレポリマーを含むことができる。また、ポリウレタンプレポリマーおよびポリウレタンという用語は、例えば尿素基などの他のタイプの構造を包含することができる。
【0072】
本明細書に開示されている実施形態に有用なポリウレタンとしては、任意の有機ポリイソシアネート、改質ポリイソシアネート、イソシアネート系プレポリマーおよびそれらの混合物をベースとしたプレポリマーから製造されたポリウレタンおよびポリウレタン発泡体を挙げることができる。これらは、2,4−および2,6−トルエンジイソシアネートおよび対応する異性体混合物などの多官能性芳香族イソシアネート;4,4’−、2,4’−および2,2’−ジフェニル−メタンジイソシアネート(MDI)および対応する異性体混合物;4,4’、2,4’−および2,2’−ジフェニルメタンジイソシアネートおよびポリフェニルポリメチレンポリイソシアネート(PMDI)の混合物;ならびにPMDIとトルエンジイソシアネートの混合物を含む、脂肪族および脂環式イソシアネートを含むことができる。
【0073】
いくつかの実施形態において、複合構造体の実施形態に有用なポリウレタンポリマーを、水相とイソシアネート末端プレポリマーを一緒にして反応させることによって調製することができる。得られたポリマーは、泡またはゲル構造を有することができる。好適なプレポリマーは、例えば、それぞれ参照により本明細書に組み込まれている国際公開第2004074343(A1)号パンフレットおよび国際公開第2005097862(A1)号パンフレットに記載されている。
【0074】
いくつかの実施形態において、プレポリマーは、ポリエーテルポリオールと化学量論的過剰量のイソシアネート混合物との反応生成物であってよい。イソシアネート混合物は、メチレンジフェニルイソシアネート、トルエンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ポリメチレンポリフェニルイソシアネート、メチレンジフェニルイソシアネートのカルボジイミドまたはアロホネートまたはウレトンイミン付加物およびそれらの混合物を含むことができる。組成物の残りを構成するのに使用されるイソシアネートは、ポリメチレンポリフェニルイソシアネート、メチレンジフェニルイソシアネートのカルボジイミドまたはアロホネートまたはウレトンイミン付加物を含むことができる。いくつかの実施形態において、プレポリマーにおける構成要素の上記組合せは、水と反応すると、高度な親水性、ならびに発泡体密度および柔軟性の観点で良好な特性を有する発泡体をもたらすことができる。
【0075】
ポリウレタンポリマーを製造する上で、イソシアネート末端プレポリマーと水性混合物との量の比は、得られたポリマーの目標密度と物理的パラメータ、ならびに親水性発泡体、膜またはゲルをもたらす組成物のイソシアネート含有量に応じて、広範囲に異なり得る。
【0076】
得られたポリウレタン発泡体の密度は、いくつかの実施形態において約0.025〜0.5g/cc以上;および他の実施形態において0.05〜0.3g/ccの範囲であってよい。例えば、それぞれThe Dow Chemical Company社(ミシガン州Midland)から入手可能なHYPOL*2002、HYPOL*2060G、HYPOL*JT6005およびHYPOL*JM5002等のHYPOL*プレポリマーを使用して、ポリウレタン発泡体を形成することができる。
【0077】
いくつかの実施形態におけるプレポリマー配合物は、ポリオール構成要素を含むことができる。ポリウレタン製造に使用される活性水素含有化合物は、少なくとも2つのヒドロキシル基またはアミン基を有する化合物を含むことができる。それらの化合物は、本明細書においてポリオールと称する。好適なポリオールの典型は、広く知られており、High Polymers、第XVI巻、「Polyurethanes,Chemistry and Technology」、Saunders and Frisch、Interscience Publishers、New York、第I巻、32〜42頁、44〜54頁(1962)および第II巻、5〜6頁、198〜199頁(1964);Organic Polymer Chemistry、K.J.Saunders,Chapman and Hall、London、323〜325頁(1973);およびDevelopments in Polyurethanes、第I巻、J.M.Burst編、Applied Science Publishers、1〜76頁(1978)などの文献に記載されている。しかし、任意の活性水素含有化合物を使用することができる。当該材料の例としては、単独または混合物の形の以下の種類の組成物から選択されるものが挙げられる。(a)ポリヒドロキシアルカンのアルキレンオキシド付加物;(b)非還元糖および糖誘導体のアルキレンオキシド付加物;(c)リンおよびポリリン酸のアルキレンオキシド付加物;ならびに(d)ポリフェノールのアルキレンオキシド付加物。これらの種類のポリオールは、本明細書において「ベースのポリオール」と称する。本明細書において有用なポリヒドロキシアルカンのアルキレンオキシド付加物の例としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ジヒドロキシプロパン、1,4−ジヒドロキシブタン、および1,6−ジヒドロキシヘキサン、グリセロール、1,2,4−トリヒドロキシブタン、1,2,6−ジヒドロキシヘキサン、1,1,1−トリメチロールエタン、1,1,1−トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ポリカプロラクトン、キシリトール、アラビトール、ソルビトール、マンニトールの付加物である。他の有用なアルキレンオキシド付加物としては、エチレンジアミン、グリセリン、ピペラジン、水、アンモニア、1,2,3,4−テトラヒドロキシブタン、フルクトース、スクロースの付加物が挙げられる。ポリ(オキシプロピレン)グリコール、トリオール、テトロールおよびヘキソール、ならびにエチレンオキシドでキャップされるこれらのいずれかも有用である。これらのポリオールにはポリ(オキシプロピレンオキシエチレン)ポリオールも含まれる。オキシエチレン含有量は、いくつかの実施形態において全ポリオール重量の約80重量パーセント未満、および他の実施形態において約40重量パーセント未満を構成することができる。エチレンオキシドは、使用される場合は、例えば、内部ブロック、末端ブロック、ランダムに分布したブロック、またはその任意の組合せとしてポリマー鎖に沿って任意の方法で組み込まれ得る。
【0078】
ポリエステルポリオールを使用して、ポリウレタン分散体を調製することもできる。ポリエステルポリオールは、一般には、芳香族または脂肪族であってよい繰返しエステル単位によって、かつ末端一級または二級ヒドロキシル基の存在によって特徴づけられるが、少なくとも2つの活性水素基で終端する任意のポリエステルを使用することができる。例えば、グリコールとポリ(エチレンテレフタレート)とのエステル交換の反応生成物を使用して、本明細書に開示されているポリウレタンを調製することができる。
【0079】
任意の有機ポリイソシアネート、改質ポリイソシアネート、イソシアネート系プレポリマーおよびそれらの混合物を使用して、本明細書に開示されている配合物のポリイソシアネート化合物を調製することができる。これらは、2,4−および2,6−トルエンジイソシアネートならびに対応する異性体混合物;4,4’−、2,4’−および2,2’−ジフェニル−メタンジイソシアネート(MDI)ならびに対応する異性体混合物;4,4’−、2,4’−および2,2’−ジフェニルメタンジイソシアネートとポリフェニルポリメチレンポリイソシアネート(PMDI)との混合物;ならびにPMDIとトルエンジイソシアネートとの混合物などの多官能性芳香族イソシアネートを含む脂肪族および脂環式イソシアネートを含むことができる。
【0080】
水性の非イオン性親水性ポリウレタン分散体は、非イオン性親水性プレポリマーと、水と、場合により外部界面活性剤と、場合により連鎖延長剤との反応生成物を含むことができる。親水性プレポリマーは、第1の構成要素と第2の構成要素との反応生成物を含むことができる。第1の構成要素は、芳香族ポリイソシアネート、脂肪族ポリイソシアネートおよびそれらの組合せを含むことができる。第2の構成要素は、親水性アルキレンオキシドポリオール、非イオン性親水性アルキレンオキシドモノオール、または親水性および疎水性アルキレンオキシドポリオールもしくはモノオールの混合物、またはそれらの組合せを含むことができる。水性の非イオン性親水性ポリウレタン分散体は、1つまたは複数の界面活性剤を場合により含むことができる。
【0081】
他の有用なポリウレタンとしては、それぞれ参照により本明細書に組み込まれているPCT出願公開第WO2005097862A1号、第WO2004074343A1号および第WO2004053223A1号ならびに米国特許出願公開第20040109992号明細書および20050192365号明細書に記載されているものを挙げることができる。
【0082】
他の基体構成要素
いくつかの実施形態において、基体を、天然または合成材料を含む他のポリマーおよび非ポリマー構成要素から形成することができ、または基体は、該構成要素を含むことができる。他の構成要素としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレンおよびポリブチレン等のポリオレフィン;ポリエチレンテレフタレート、ポリ(グリコール酸)(PGA)、ポリ(乳酸)(PLA)、ポリ(β−リンゴ酸)(PMLA)、ポリ(ε−カプロラクトン)(PCL)、ポリ(p−ジオキサノン)(PDS)およびポリ(3−ヒドロキシブチレート)(PHB)等のポリエステル;ナイロン(ナイロン−6、ナイロン−6,6およびナイロン−6,12等)等のポリアミド;KEVLAR(登録商標)およびNOMEX(登録商標)等のポリアラミド、TEFLON(登録商標)およびポリエステルナイロン(EP);セルロースエステル;セルロースエーテル;セルロースニトレート;セルロースアセテート;セルロースアセテートブチレート;エチルセルロース;ビスコースおよびレーヨン等の再生セルロース;木綿;亜麻;絹;麻;およびそれらの混合物を挙げることができる。他の実施形態において、基体としては、エチレン−酢酸ビニル(EVA)、エチレン/ビニルアルコールコポリマー、ポリスチレン、耐衝撃性改良ポリスチレン、ABS、スチレン/ブタジエンブロックコポリマーおよびそれらの水素化誘導体(SBSおよびSEBS)ならびに熱可塑性ポリウレタンなどのポリマーを挙げることができる。好適なポリオレフィンとしては、直鎖状または低密度ポリエチレン、ポリプロピレン(アタクチック、アイソタクチック、シンジオタクチックおよびそれらの耐衝撃性改良型を含む)およびポリ(4−メチル−1−ペンテン)を挙げることができる。好適なスチレン系ポリマーとしては、ポリスチレン、ゴム改質ポリスチレン(HIPS)、スチレン/アクリロニトリルコポリマー(SAN)、ゴム改質SAN(ABSまたはAES)およびスチレン無水マレイン酸コポリマーを挙げることができる。
【0083】
他の実施形態において、木綿、アバカ、ケナフ、サバイグラス、亜麻、エスパルトグラス、藁、黄麻、バガス、トウワタフロス繊維およびパイナップル葉繊維などの非木材繊維;ならびに北方および南方軟木クラフト繊維などの軟木繊維;ユーカリ、カエデ、カバノキおよびポプラなどの硬木繊維を含む落葉樹および針葉樹から得られたものなどの木材繊維を含むが、それらに限定されない任意の天然または合成パルプまたはセルロース繊維から形成することができ、または基体は、該繊維を含むことができる。木材繊維を高収率または低収率の形で調製することができ、クラフト、亜硫酸、高収率パルプ化法および他の既知のパルプ化法を含む任意の既知の方法でパルプ化することができる。Laamanenらに対して1988年12月27日に発布された米国特許第4,793,898号明細書;Changらに対して1986年6月10日に発布された米国特許第4,594,130号明細書;および米国特許第3,585,104号明細書に開示されている繊維および方法を含む有機ゾルパルプ化法から調製されたパルプおよび繊維を使用することもできる。Gordonらに対して1997年1月21日に発布された米国特許第5,595,628号明細書に例示されているアントラキノンパルプ化によって有用なパルプおよび繊維を製造することもできる。本発明に有用なセルロース系組成物の他の例としては、それぞれ参照により本明細書に組み込まれている米国特許第6,837,970号明細書、同第6,824,650号明細書および同第6,863,940号明細書ならびに米国特許出願第US20050192402号明細書および同第20040149412号明細書に開示されているものが挙げられる。
【0084】
メチルセルロース(すなわちMETHOCEL)、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)(すなわちCELLOSIZE)、エチルセルロース(すなわちETHOCEL)、カチオン性HECおよび他のセルロース誘導体を含むセルロース系組成物およびポリマーを使用することもできる。いくつかの実施形態においてポリオキシエチレン(POLYOXなど)を使用することもできる。上記商標の製品の各々は、The Dow Chemical Company社(ミシガン州Midland)から入手可能である。他のセルロース系組成物およびポリマーとしては、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートスクシネート、カルボキシメチルエチルセルロース、セルロースアセテートフタレート、ポリビニルアセタールジエチルアミノアセテート、アミノアルキルメタクリレートコポリマー、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートスクシネート、メタクリル酸−メタクリル酸メチルコポリマーを含むメタクリル酸コポリマー、セルロースアセテートトリメリテート(CAT)、ポリビニルアセテートフタレート、セラック、カルボキシメチルセルロース、カルシウムカルボキシメチルセルロース、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、クロスカルメロースナトリウムA型(Ac−ジ−ゾル)、デンプン、結晶性セルロース、ヒドロキシプロピルデンプン、部分アルファ化デンプン、ポリビニルピロリドン、ゼラチン、アラビアゴム、エチルセルロース、ポリビニルアルコール、プルラン、アルファ化デンプン、寒天、トラガカント、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸プロピレングリコール、セルロース誘導体、デンプン誘導体、ペクチン、ポリアクリレート、ポリビニルアセテートフタレート、酸化再生セルロース、ポリアクリレート、改質デンプン(アセチル化、ハロゲン化、加水分解(例えば、酸などによる)または酵素作用などによってデンプン(例えば、トウモロコシデンプン、ジャガイモデンプン、タピオカデンプン)から誘導された水溶性ポリマーを含む、あるいは酸化デンプン、エトキシ化デンプン、カチオン性デンプン、親油性デンプンおよびパールデンプンを含むが、それらに限定されない任意の種類の水溶性改質デンプンを使用できる)、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール、ガーゴムのような天然および合成ゴム、キサンタンゴム、セルロースゴム、アカシアゴム、ポリカルボフィル、ポリエチレンオキシドなどのポリオレフィンオキシド、ローカストビーンゴム、ベントナイト、シェログルカン、カルボポール、ポリカルボフィル、ポリ(メチルビニルエーテル−コ−メタクリル酸)、ポリ(2−ヒドロキシエチルメタクリレート)、ポリ(メチルメタクリレート)、ポリ(イソブチルシアノアクリレート)、ポリ(イソヘキシシアノアクリレート)およびポリジメチルアミノエチルメタクリレートなどのポリアクリル酸、誘導性基を含む加水分解不安定ポリエステル、アルギネート、カラギーナン、ガーゴム誘導体、カラヤゴム、デキストラン、ヒアルロン酸、ブルラン、アミロース、高アミロースデンプン、ヒドロキシプロピル化高アミロースデンプン、デキストリン、ペクチン、キチン、キトサン、レバン、エルシナン、コラーゲン、ゼラチン、ゼイン、グルテン、大豆タンパク質単離体、多糖類、乳漿タンパク質単離体ならびにカゼインを挙げることもできる。他の実施形態において、上記組成物の組合せを使用することができる。
【0085】
上記リストは、好適なポリマーの非包括的なリストであることを当業者は認識するであろう。本開示の範囲は、請求項によってのみ制限されることが理解されるであろう。
【0086】
分散安定剤
本開示の実施形態は、安定な分散体またはエマルジョンの形成を促すために安定剤を使用する。選択された実施形態において、安定剤は、界面活性剤、ポリマー(以上に詳述した熱可塑性ポリマーと異なる)またはそれらの混合物であってよい。他の実施形態において、熱可塑性樹脂は、自己安定剤であり得るため、さらなる外来の安定剤は必要ない。例えば、自己安定系は、部分加水分解ポリエステルを含むことができ、ポリエステルと水性塩基を組み合わせることによって、ポリエステル樹脂および界面活性剤用安定剤分子を製造できる。特に、分散安定剤を分散剤、分散体を発泡させるための界面活性剤として使用することができ、または分散安定剤は、その両方の目的を果たすことができる。加えて、1つまたは複数の安定剤を併用することができる。
【0087】
一部の実施形態において、本明細書におけるポリオレフィンおよびポリウレタン分散体に使用される分散安定剤は、コモノマーまたはグラフトモノマーとして極性基を有する極性ポリマーであってよい。好適な実施形態において、分散安定剤は、コモノマーまたはグラフトモノマーとして極性基を有する1つまたは複数の極性ポリオレフィンを含むことができる。典型的なポリマーとしては、商標PRIMACOM(商標)(The Dow Chemical Company社の商標)、NUCREL(商標)(E.I.DuPont de Nemours社の商標)およびESCOR(商標)(ExxonMobil社の商標)で入手可能であり、それぞれ全体が参照により本明細書に組み込まれている米国特許第4,599,392号明細書、同第4,988,781号明細書および同第5,938,437号明細書に記載されているものなどのエチレン−アクリル酸(EAA)およびエチレン−メタクリル酸コポリマーが挙げられる。他の好適なポリマーとしては、エチレンエチルアセテート(EEA)、エチレンメチルメタクリレート(EMMA)およびエチレンブチルアクリレート(EBA)コポリマーが挙げられる。他のエチレン−カルボン酸コポリマーを使用することもできる。多くの他の有用なポリマーを使用することもできることを当業者は認識するであろう。
【0088】
ポリマーの極性基が本質的に酸性または塩基性である場合は、分散安定ポリマーを中和剤で部分的または完全に中和して、対応する塩を形成することができる。塩は、酸を対応する塩基、例えばNaOH、KOHおよびNH4OHで中和することによって調製された脂肪酸のアルカリ金属またはアンモニウム塩であってよい。以下により詳細に記載するように、これらの塩を分散工程においてインサイツで形成することができる。一部の実施形態において、長鎖脂肪酸またはEAAなどの分散安定剤の中和は、モルベースで25から200%であってよく;他の実施形態においてモルベースで50から110%であってよい。例えば、EAAについては、中和剤は、例えば、水酸化アンモニウムまたは水酸化カリウムなどの塩基である。他の中和剤としては、例えば、水酸化リチウムまたは水酸化ナトリウムを挙げることができる。適切な中和剤の選択は、配合される具体的な組成物に依存すること、および当該選択は当業者の知識の範囲内にあることを当業者は理解するであろう。
【0089】
ポリオレフィンおよびポリウレタン分散体に使用できる他の分散安定剤は、12から60個の炭素原子を有する長鎖脂肪酸または脂肪酸塩を含むことができる。他の実施形態において、長鎖脂肪酸または脂肪酸塩は、12から40個の炭素原子を有することができる。
【0090】
反応条件下で、イソシアネート末端プレポリマーと水相を接触させることによって、親水性ポリウレタン発泡体を調製することができる。水相は、実質的に水を含み、必要に応じて、少量の界面活性剤、触媒または増粘剤を含む。界面活性剤がなくても親水性発泡体を調製することは可能であるが、存在する界面活性剤を有することが有利であり得る。
【0091】
ポリウレタン発泡体のための界面活性剤を、良好な外観、気泡構造およびサイズが得られるように、かつ崩壊、および/または例えば割裂などの発泡体変形を最小限に抑えるように選択することができる。界面活性剤の例としては、BASF社製PLURONIC(登録商標)ポリオール界面活性剤などのオキシエチレンおよびオキシプロピレンのブロックコポリマーが挙げられる。PLURONIC(登録商標)の商品名で入手可能な非イオン性界面活性剤としては、指定製品L−62、L−72、l−92、P−75またはP−85が挙げられる。列挙した物質の代わりに、性質または性能が同等の他の界面活性剤を使用することができる。界面活性剤を水相に、いくつかの実施形態において、界面活性剤を含む全水相の100重量部当たり0.5から4重量部の量で使用することができ;他の実施形態において、界面活性剤を含む全水相の100重量部当たり0.75から3.0重量部の量で使用することができる。
【0092】
さらなる分散安定剤としては、カチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤または非イオン性界面活性剤が挙げられる。アニオン性界面活性剤の例としては、スルホン酸塩、カルボン酸塩およびリン酸塩が挙げられる。カチオン性界面活性剤の例としては、四級アミンが挙げられる。非イオン性界面活性剤の例としては、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシドおよびシリコーン界面活性剤を含むブロックコポリマーが挙げられる。分散安定剤として有用な界面活性剤は、外部界面活性剤または内部界面活性剤であってよい。外部界面活性剤は、分散体調製時に化学反応してポリマーにならない界面活性剤である。本明細書において有用な外部界面活性剤の例としては、ドデシルベンゼンスルホン酸の塩およびラウリルスルホン酸塩が挙げられる。内部界面活性剤は、分散体調製時に化学反応してポリマーになる界面活性剤である。本明細書において有用な内部界面活性剤の例としては、2,2−ジメチルオールプロピオン酸およびその塩、または塩化アンモニウムで中和されたスルホン化ポリオールが挙げられる。界面活性剤は、ポリウレタン構成要素100重量部当たり0.01から8重量部の範囲の量で、本明細書に開示されている配合物に含まれていてよい。
【0093】
特定の実施形態において、分散剤または安定剤を、使用される熱可塑性樹脂(または熱可塑性樹脂混合物)の量に対して0を超える量から約60重量%の範囲の量で使用することができる。熱可塑性樹脂および分散安定剤に関して、いくつかの実施形態において、熱可塑性樹脂は、組成物におけるポリマーおよび分散安定剤の全量の約30重量%から99重量%を含むことができる。他の実施形態において、熱可塑性樹脂は、組成物におけるポリマーおよび分散安定剤の全量の約50重量%から約80重量%を含むことができる。さらに他の実施形態において、熱可塑性樹脂は、組成物におけるポリマーおよび分散安定剤の全量の約70重量%を含むことができる。例えば、長鎖脂肪酸またはその塩を熱可塑性樹脂の量に対して0.5から10重量%で使用することができる。他の実施形態において、エチレン−アクリル酸またはエチレン−メタクリル酸コポリマーを熱可塑性樹脂の量に対して0.5から60重量%の量で使用できる。さらに他の実施形態において、スルホン酸塩を熱可塑性樹脂の量に対して0.5から10重量%の量で使用することができる。
【0094】
現在最も多く市販されているポリウレタン分散体は、DMPA(デポメドロキシプロゲステロンアセテート)を内部界面活性剤として含み、本発明に使用され得る。対照的に、DMPAを含まず、内部界面活性剤としてエチレンオキシドをベースとした非イオン性改質剤を含むポリウレタン分散体の系統も同等に好適であり、他の技術的および商業的利点をもたらすことができる。例えば、米国特許第6,271,276号明細書を参照されたい。
【0095】
以上に述べたように、2つ以上の分散安定剤を使用することができ、分散安定剤および発泡界面活性剤として組合せを使用することができる。比較的安定な水性分散体を生成するのに使用される分散剤は、採用される熱可塑性樹脂の性質に応じて異なり得ることを当業者は認識するであろう。
【0096】
分散体配合物
本明細書に開示されている実施形態による分散体配合物は、水などの液体媒体、熱可塑性樹脂、分散安定剤、ならびに場合により発泡界面活性剤、添加剤および充填剤を含むことができる。いくつかの実施形態において、水性分散体は、約0.02から10ミクロン;別の実施形態において約0.05から5ミクロン;およびさらに他の実施形態において約0.1から2ミクロンの粒径範囲のポリオレフィンおよび/またはポリウレタン樹脂粒子を含むことができる。
【0097】
熱可塑性樹脂および分散安定剤を、いくつかの実施形態において水である液体媒体に分散させることができる。いくつかの実施形態において、得られた分散体を中和して、約6から約14の範囲のpHを有する溶液とするために十分な塩基が添加される。特定の実施形態において、pHを約9から約12に維持するために十分な塩基が添加される。分散体の含水量を、熱可塑性樹脂と分散安定剤(固体含有量)の合計含有量が約1容量%から約74容量%になり得るように制御することができる。別の実施形態において、固体含有量は、約25容量%から約74容量%の範囲であってよい。さらに別の実施形態において、固体含有量は、約30%から約50%(充填剤を含まない、重量%)の範囲であってよい。さらに別の実施形態において、固体含有量は、約40%から約55%(充填剤を含まない、重量%)の範囲であってよい。
【0098】
いくつかの実施形態により形成された分散体は、約0.02から約5.0ミクロンの平均粒径を有することを特徴とすることができる。他の実施形態において、分散体は、約0.04から約2.0ミクロンの平均粒径を有することができる。本明細書に用いられている「平均粒径」は、容量平均粒径を指す。粒径を測定するために、例えばレーザ回折技術を採用することができる。本明細書における粒径は、分散体中のポリマーの直径を指す。球形でないポリマー粒子では、粒子の直径は、粒子の長軸および短軸の平均である。粒径をBeckman−Coulter LS230レーザ回折粒径分析装置または他の好適な装置で測定することができる。
【0099】
具体的な実施形態において、熱可塑性樹脂および安定剤を水、およびアンモニア、水酸化カリウムまたはそれらの組合せなどの中和剤とともに押出機内で溶融混練して、分散体を形成することができる。当業者は、多くの他の中和剤を使用できることを認識するであろう。いくつかの実施形態において、熱可塑性樹脂と安定剤をブレンドする前、最中または後に充填剤を添加することができる。
【0100】
当技術分野で知られている任意の溶融混練手段を使用することができる。いくつかの実施形態において、混練機、BANBURY(登録商標)ミキサー、一軸スクリュー押出機または多軸スクリュー押出機が使用される。本開示による分散体を製造するための方法は、特に限定されない。上記構成要素を溶融混練するための方法は、例えば、米国特許第5,756,659号明細書および米国特許公開第20010011118号明細書に開示されている。
【0101】
図2は、本開示の実施形態に使用できる押出装置を概略的に示す。押出機20、一部の実施形態において、二軸スクリュー押出機は、背圧調節器、溶融ポンプまたはギアポンプ30に連結される。実施形態は、それぞれがポンプ(不図示)を含む塩基貯蔵器40および初期水貯蔵器50をも提供する。所望量の塩基および初期水が、それぞれ塩基貯蔵器40および初期水貯蔵器50から供給される。塩基および初期水を押出機20に供給するために、任意の好適なポンプを使用することができるが、いくつかの実施形態において、240バールの圧力で約150cc/分の流量を供給するポンプが使用される。他の実施形態において、液体注入ポンプは、200バールで300cc/分または133バールで600cc/分の流量を供給する。いくつかの実施形態において、塩基および初期水がプレヒータで予備加熱される。
【0102】
一般には、熱可塑性ポリマー(ポリオレフィンおよびポリウレタン)分散体を調製する、当業者に知られている任意の方法を用いることができる。本明細書に規定されている好適な貯蔵安定ポリウレタン分散体は、約5ミクロン未満の平均粒径を有する任意のポリウレタン分散体である。貯蔵安定でないポリウレタン分散体は、5ミクロンを超える平均粒径を有することができる。例えば、ミキサーを使用して、ポリウレタンプレポリマーと水を混合し、プレポリマーを水に分散させることによって、好適な分散体を調製することができる。あるいは、プレポリマーを水とともに固定混合装置に供給し、水およびプレポリマーを固定ミキサーで分散させることによって好適な分散体を調製することができる。ポリウレタンの水性分散体を調製するための連続的方法が知られており、本明細書に開示されている実施形態に使用され得る。例えば、米国特許第4,857,565号明細書、同第4,742,095号明細書、同第4,879,322号明細書、同第3,437,624号明細書、同第5,037,864号明細書、同第5,221,710号明細書、同第4,237,264号明細書および同第4,092,286号明細書には、いずれもポリウレタン分散体を調製するのに有用な連続的方法が記載されている。加えて、高い内部相比を有するポリウレタン分散体を米国特許第5,539,021号明細書に記載されているような連続的方法によって調製することができる。
【0103】
他の種類の水性ポリマー分散体を本明細書に開示されている実施形態に有用なポリオレフィンおよびポリウレタン分散体と併用することができる。ポリウレタン分散体とのブレンドに有用な好適な分散体としては、スチレン−ブタジエン分散体;スチレン−ブタジエン−塩化ビニリデン分散体;スチレン−アクリル酸アルキル分散体;エチレン酢酸ビニル分散体;ポリクロロプロピレンラテックス;ポリエチレンコポリマーラテックス;エチレンスチレンコポリマーラテックス;ポリ塩化ビニルラテックス;またはアクリル分散体、同様の化合物およびそれらの混合物が挙げられる。
【0104】
ポリウレタン分散体の実施形態を製造する上で、粘度が低く、良好な混合を得ることができる場合に、界面活性剤を酸化防止剤、殺菌剤等とともにポリウレタン分散体に添加することができる。次いで、分散安定剤を添加した後、良好な分散を確保し、充填剤の凝集/凝固を回避するのに十分にゆっくりと任意の無機充填剤を添加することができる。最後に、増粘剤を添加して、所望の粘度を得ることができる。充填剤および増粘剤の添加後に、ステアリン酸アンモニウムを添加すると、ポリウレタン分散粒子の膨潤が回避されて、混合時の粘度がより低くなると考えられる。
【0105】
発泡界面活性剤
泡を調製するのに有用な界面活性剤は、本明細書において発泡界面活性剤と称する。発泡界面活性剤は、発泡に使用される気体、通常は空気が均一かつ効率的に分散して配合発泡分散体になることを可能にする。好ましくは、発泡界面活性剤は、乾燥後に非発泡複合発泡体製造物をもたらす。
【0106】
本開示の実施形態は、安定な分散体の形成を促進させ、発泡を支援するために発泡界面活性剤を使用することができる。最初に泡を生成するときに、泡安定化界面活性剤をポリオレフィン樹脂の水性分散体に添加することによって、発泡および乾燥工程中の泡の生成および安定化を達成することができる。加えて、望まれる場合は、これらの界面活性剤を使用して、乾燥発泡体の水加湿性を向上させることもできる。好適な発泡界面活性剤をカチオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤およびアニオン性界面活性剤から選択することができる。いくつかの実施形態において、発泡界面活性剤は、上記の安定剤を含むことができる。
【0107】
いくつかの実施形態において、発泡界面活性剤は、アルキルセルロースエーテル、ヒドロキシアルキルセルロースエーテル、ヒドロキシアルキルアルキルセルロースエーテル、ガーゴム、キサンタンゴム、および分子量が少なくとも20000のポリオキシエチレン樹脂、またはそれらの混合物であってよい。他の好適な発泡界面活性剤をカチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤または非イオン性界面活性剤から選択することができる。カチオン性界面活性剤の例としては、四級アミン、一級アミン塩、ジアミン塩およびエトキシ化アミンが挙げられる。非イオン性界面活性剤の例としては、エチレンオキシドを含むブロックコポリマー、シリコーン界面活性剤、アルキルフェノールエトキシレート、ならびに8個を超える炭素原子を含むアルキル基の直鎖状および二級アルコールエトキシレートが挙げられる。
【0108】
カチオン性界面活性剤の例としては、四級アミン、一級アミン塩、ジアミン塩およびエトキシ化アミンが挙げられる。非イオン性界面活性剤の例としては、エチレンオキシドを含むブロックコポリマー、シリコーン界面活性剤、アルキルフェノールエトキシレート、ならびに8個を超える炭素原子を含むアルキル基の直鎖状および二級アルコールエトキシレートが挙げられる。
【0109】
アニオン性界面活性剤の例としては、スルホン酸塩、カルボン酸塩およびリン酸塩が挙げられる。一実施形態において、水性分散体から泡を調製するのに有用なアニオン性界面活性剤をカルボン酸塩およびカルボン酸脂肪酸のエステルアミド、好ましくは12〜36個の炭素原子を含む脂肪酸、例えば、ステアリン酸またはラウリン酸、パルミチン酸、ミリスチン酸、オレイン酸、リノール酸、リシノール酸およびエルカ酸等から選択することができる。
【0110】
いくつかの実施形態において、界面活性剤は、アミノプロピオネート、両性スルホネート、ベタイン、イミダゾリン系両性化合物およびスルタイン等の両性界面活性剤を含むことができる。例えば、界面活性剤は、イミダゾリンから誘導されてもよく、(塩を含む)アセテートの形または(塩を含まない)プロピオネートの形であり得る。好適な両性界面活性剤の例としては、ラウラミドプロピルベタイン、ラウラミノジプロピオン酸ナトリウム、ココアミドプロピルヒドロキシルスルタイン、アルキルエーテルヒドロキシプロピルスルタイン、カプリロアンホヒドロキシプロピルスルホン酸ナトリウム、カプリロアンホジプロピオン酸二ナトリウム、ココアンホ酢酸ナトリウム、ココアンホ二酢酸二ナトリウム、ココアンホプロピオン酸ナトリウム、オクチルイミノジプロピオン酸二ナトリウム、ココアンホヒドロキシプロピルスルホン酸ナトリウム、ラウリルイミノジプロピオン酸二ナトリウム、ステアロアンホ酢酸ナトリウム、およびタロウイミノジプロピオン酸二ナトリウム等が挙げられる。当技術分野で知られている他の両性界面活性剤を使用することもできる。
【0111】
一実施形態において、完成した発泡体において良好な「手触り(hand)」または布地様感触が望まれる場合は、飽和脂肪酸誘導体(例えば、ステアリン酸またはパルミチン酸の塩)を使用することができる。他の好適なアニオン性界面活性剤としては、アルキルベンゼンスルホン酸塩、二級n−アルカンスルホン酸塩、アルファ−オレフィンスルホン酸塩、ジアルキルジフェニレンオキシドスルホン酸塩、スルホコハク酸エステル、イソチオネート、直鎖状アルキル(アルコール)硫酸塩および直鎖状アルコールエーテル硫酸塩が挙げられる。泡安定化界面活性剤は、分散体を調製するのに使用されるものと異なっていても異なっていなくてもよいことは理解される。これらの界面活性剤は、ともに泡形成を支援し、泡を安定化することを助ける役割を果たす。特定の実施形態において、界面活性剤をアルカリ金属、モノ、ジおよびトリアルカノールアミン(例えば、モノ、ジまたはトリエタノールアミン)、ならびにラウリル硫酸アンモニウム塩、ドデシルベンゼンスルホン酸塩、アルコールエトキシ硫酸塩およびイソチオネート、N−オクチルデシルスルホサクシナメートの二塩基塩の少なくとも1つ、ならびにそれらの混合物から選択することができる。他の実施形態において、泡安定剤は、セルロースを含むことができる。
【0112】
いくつかの実施形態において、以下に記載の得られた泡が、熱可塑性ポリマーの乾燥重量に対して0.01から10.0重量パーセントの発泡界面活性剤を含むことができるような量で発泡界面活性剤を使用することができる。他の実施形態において、泡は、熱可塑性ポリマーの乾燥重量に対して0.02から3.0重量パーセントの発泡界面活性剤を含むことができ;他の実施形態において熱可塑性ポリマーの乾燥重量に対して0.03から2.5重量パーセントの発泡界面活性剤を含むことができ;さらに他の実施形態において熱可塑性ポリマーの乾燥重量に対して0.05から10.0重量パーセントの発泡界面活性剤を含むことができる。様々な他の実施形態において、発泡界面活性剤は、熱可塑性ポリマーの乾燥重量に対して下限の0.01、0.02、0.03、0.04または0.05重量パーセントから熱可塑性ポリマーの乾燥重量に対して上限の2.0、2.5、3.0、4.0、5.0または10.0重量パーセントの所定の上限と下限の任意の組合せの量で泡に存在してよい。
【0113】
実施形態に使用される泡を調製するのに好適なポリウレタン配合物をポリウレタン分散体ならびに発泡および安定化界面活性剤から調製することができる。ある種類の発泡および安定化界面活性剤またはそれらの組合せを使用することによって、耐摩耗性、引張性、引裂性および伸度(TTE)、圧縮歪み、発泡体回復率、湿潤強度、靱性および基体接着性のような所望の発泡体特性を維持しながらより低密度の発泡体を得ることができることが認められた。いくつかの実施形態において、発泡分散体から調製された発泡体は、35kg/m3から160kg/m3の密度を有することができ;他の実施形態において40〜150kg/m3の密度を有することができ;他の実施形態において50〜120kg/m3の密度を有することができ;さらに他の実施形態において60〜80kg/m3の密度を有することができる。
【0114】
選択された実施形態において、ポリウレタン発泡体を調製するための発泡界面活性剤をアニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤または両性イオン性界面活性剤から選択することができる。一般に使用されるアニオン性界面活性剤の例は、ラウリル硫酸ナトリウムであるが、この界面活性剤は、最終発泡体製造物における後発泡の欠点を有する。発泡界面活性剤の他の例としては、カルボン酸塩が挙げられる。当該界面活性剤を以下の一般式で表すことができる。
RCO2−X+ (式1)
[式中、Rは、芳香族基、脂環式基または複素環を含むことができるC8〜C20直鎖状または分枝状アルキルを表し;Xは対イオンである]。一般に、Xは、Na、K、またはNH4+、モルホリン、エタノールアミンおよびトリエタノールアミン等のアミンである。Rは、いくつかの実施形態において10から18個の炭素原子を含むことができ、他の実施形態において12から18個の炭素原子を含むことができる。界面活性剤は、脂肪酸のC8〜C20アルキル塩の混合物などの複数の異なるR種を含むことができる。いくつかの実施形態において、界面活性剤は、ステアリン酸アンモニウムなどのアンモニウム塩である。
【0115】
ポリウレタン分散体固形分に対する界面活性剤中の乾燥固形分に対する、使用される発泡界面活性剤の100部中の量は、いくつかの実施形態においてポリウレタン分散体100部当たり使用される乾燥界面活性剤が1から15部であってよく;他の実施形態において1から10部であってよく;さらに他の実施形態において1から5部であってよい。より高量の発泡界面活性剤を使用しながら安定化界面活性剤の量を減少させることが可能であるが、同時に水の添加量が増加するため望ましくない。加えて、高量の界面活性剤は、曇りの増加および汚れの増加などの発泡複合体に対して他の有害な影響を及ぼす。
【0116】
ポリウレタン発泡体を製造するのに有用な他の発泡界面活性剤は、アルキルベンゼンスルホネート、サクシナメートおよびスルホサクシナメートなどの硫酸塩などのスルホン酸塩をベースとすることができる。他の硫酸塩は、以下の一般式で表すことができるスルホコハク酸エステルの類であってよい。
R2OOCCH2CH(SO3−M+)COOR2 (式2)
[式中、各存在におけるR2は、独立に、芳香族基または脂環式基を含むことができるC6〜C20直鎖状または分枝状アルキルであり、Mは対イオンである]。一般に、Mは、アンモニア、またはリチウム、カリウムもしくはナトリウムなどの周期表の1A族の構成要素である。R2は、いくつかの実施形態において8から20個の炭素原子を含むことができ、他の実施形態において10から18個の炭素原子を含むことができる。界面活性剤は、各存在において、異なるR2種を含むことができる。いくつかの実施形態において、R2は、アミンである。他の実施形態において、界面活性剤は、アンモニア塩またはオクタデシルスルホコハク酸の塩である。いくつかの実施形態において、ポリウレタン分散体100部当たり0.01から20部;他の実施形態において0.05から10部;およびさらに他の実施形態において0.1から6部の乾燥界面活性剤が使用される。
【0117】
以上に示したアニオン性界面活性剤に加えて、両性イオン性界面活性剤を使用して、ポリウレタン泡の発泡および/または安定性を向上させることもできる。両性イオン性界面活性剤としては、ベータ−アルキルプロピオン酸誘導体などのN−アルキルベタインが挙げられる。当該界面活性剤を以下の一般式で表すことができる。
R3N+(CH3)2CH2COO−M+ (式3)
R3N+Cl−M+ (式4)
R3N+Br−M− (式5)
[式中、R3は、芳香族基または脂環式基を含むことができるC6からC20直鎖状または分枝状アルキルであり、R3およびMは、以上に記載した通りである]。使用する場合は、いくつかの実施形態においてポリウレタン分散体100部当たり0.01から5部;および他の実施形態において0.05から4部の乾燥両性イオン性界面活性剤を使用することができる。
【0118】
以上に列記した界面活性剤に加えて、泡の発泡または安定性に悪影響を与えない他の界面活性剤を使用することができる。特に、さらなるアニオン性、両性イオン性または非イオン性界面活性剤を以上に列記した界面活性剤と併用することができる。
【0119】
添加剤
本明細書に開示されているポリマー、分散体、泡および発泡体は、それらが設計される用途に応じて、熱可塑性樹脂の重量の約2〜100パーセント(乾燥ベース)の範囲の量で充填剤を場合により含むことができる。これらの任意の成分としては、例えば、炭酸カルシウム、二酸化チタン粉末、ポリマー粒子、中空ガラス球、フィブリル化繊維、およびポリオレフィン系短繊維モノフィラメントなどのポリマー繊維等が挙げられる。吸収性製品における使用に向けて設計された発泡体は、短木綿繊維、またはポリマー発泡体全体を通じて均一に分布された他のセルロース繊維などのバルク液体吸収材料を含むことができる。
【0120】
本開示の範囲から逸脱することなく、添加剤を熱可塑性ポリマー、分散安定剤、発泡界面活性剤または充填剤とともに使用することができる。例えば、添加剤としては、湿潤剤、界面活性剤、帯電防止剤、消泡剤、粘着防止剤、蝋分散顔料、中和剤、増粘剤、混和剤、光沢剤、流動性改質剤、殺生剤、殺真菌剤、および当業者に知られている他の添加剤を挙げることができる。
【0121】
添加剤およびアジュバントを、熱可塑性ポリマーを含む任意の配合物に含めることができる。好適な添加剤としては、クレー、タルク、二酸化チタン、ゼオライト、粉末化金属を含む有機または無機粒子、炭素繊維、窒化珪素繊維、鋼ワイヤまたはメッシュ、ナイロンまたはポリエステルコーディング、ナノサイズ粒子およびクレー等を含む有機または無機繊維;粘着剤、パラフィン油またはナフテン油を含むエキステンダー油;ならびに本発明の実施形態による他のポリマーを含む他の天然および合成ポリマーが挙げられる。
【0122】
本明細書に開示されている組成物は、プロセス油、可塑剤および加工助剤(総称的にプロセス油と呼ぶ)を含むことができる。特定のASTM名を有するプロセス油およびパラフィン、ナフテンまたはアロマプロセス油は、すべて使用に好適である。いくつかの実施形態において、全ポリマー100部当たり0から150部のプロセス油が採用され;他の実施形態において0から100部のプロセス油が採用され;さらに他の実施形態において全ポリマーの100部当たり0から50部のプロセス油が採用され得る。より高量のプロセス油は、いくつかの物理特性を犠牲にして、得られた製造物の処理を向上させる傾向を有し得る。さらなる加工助剤としては、従来の蝋、ステアリン酸カルシウムまたはステアリン酸亜鉛などの脂肪酸塩、グリコールを含む(ポリ)アルコール、グリコールエーテルを含む(ポリ)アルコールエーテル、(ポリ)グリコールエステルを含む(ポリ)エステル、および金属塩、特に第1族または第2族金属塩またはそれらの亜鉛塩誘導体が挙げられる。
【0123】
熱可塑性ブレンドを含む組成物は、オゾン分解防止剤または酸化防止剤を含むこともできる。オゾン分解防止剤は、表面に現れ、酸素またはオゾンから熱可塑材を保護する蝋質材料などの物理的保護剤であってよく、またはそれらは、酸素またはオゾンと反応する化学的保護剤であってよい。好適な化学保護剤としては、スチレン化フェノール、ブチル化オクチル化フェノール、ブチル化ジ(ジメチルベンジル)フェノール、p−フェニレンジアミン、p−クレソールとジシクロペンタジエン(DCPD)とのブチル化反応生成物、ポリフェノール酸化防止剤、ヒドロキノン誘導体、キノリン、ジフェニレン酸化防止剤、チオエステル酸化防止剤、およびそれらのブレンドが挙げられる。当該製品のいくつかの代表的な商品名は、WINGSTAY(商標)S酸化防止剤、POLYSTAY(商標)100酸化防止剤、POLYSTAY(商標)100AZ酸化防止剤、POLYSTAY(商標)200酸化防止剤、WINGSTAY(商標)L酸化防止剤、WINGSTAY(商標)LHLS酸化防止剤、WINGSTAY(商標)K酸化防止剤、WINGSTAY(商標)29酸化防止剤、WINGSTAY(商標)SN−1酸化防止剤およびIRGANOX(商標)酸化防止剤である。いくつかの用途において、使用される酸化防止剤およびオゾン分解防止剤は、好ましくは、非汚染性非移動性であってよい。
【0124】
UV放射線に対するさらなる安定性を確保するために、ヒンダードアミン光安定剤(HALS)およびUV吸収剤を使用することもできる。好適な例としては、Ciba Specialty Chemicals社から入手可能なTINUVIN(商標)123、TINUVIN(商標)144、TINUVIN(商標)622、TINUVIN(商標)765、TINUVIN(商標)770およびTINUVIN(商標)780、ならびにCytex Plastics社(米国テキサス州Houston)から入手可能なCHEMISORB(商標)T944が挙げられる。米国特許第6,051,681号に開示されているように、優れた表面品質を達成するために、ルイス酸をHALS化合物に追加的に含めることができる。
【0125】
いくつかの組成物では、さらなる混合方法を採用して、酸化防止剤、オゾン分解防止剤、カーボンブラック、UV吸収剤および/または光安定剤を再分散させてマスターバッチを形成し、続いてそれよりポリマーブレンドを形成することができる。
【0126】
本明細書における使用に好適な架橋剤(硬化剤または加硫剤とも称する)としては、硫黄系化合物、過酸化物系化合物またはフェノール系化合物が挙げられる。先述の材料の例は、米国特許第3,758,643号明細書、同第3,806,558号明細書、同第5,051,478号明細書、同第4,104,210号明細書、同第4,130,535号明細書、同第4,202,801号明細書、同第4,271,049号明細書、同第4,340,684号明細書、同第4,250,273号明細書、同第4,927,882号明細書、同第4,311,628号明細書および同第5,248,729号明細書を含めて当技術分野に見いだされる。
【0127】
イソシアネート末端プレポリマーが親水性ポリウレタン発泡体の製造に使用される場合は、イソシアネート/プレポリマー組成物と反応するヒドロキシル組成物に架橋剤を存在させるのと異なり、プレポリマー内部に架橋剤を含めるのが有利であり得る。このようにして架橋剤を導入すると、魅力的な機械特性を有する発泡体の調製を促進することができる。プレポリマーへの組み込みに好適な架橋剤の典型は、典型的には3から4の平均ヒドロキシル官能基を有する低分子量ポリオール、または典型的には3から4個のアミノ成分を有する低分子量アミンである。架橋剤としては、グリセリン、トリメチロールプロパン、およびその低分子量アルコキシ化誘導体を挙げることができる。エチレンジアミンを使用することもできる。当該架橋剤は、ポリエーテルポリオール、架橋剤、および場合によりイソシアネートと反応させられる粘度調整剤の全量に対して、いくつかの実施形態において0.1から5重量パーセント;他の実施形態において0.5から3重量パーセント;さらに他の実施形態において1から3重量パーセントの量で存在することができる。
【0128】
他のプレポリマーは、連鎖延長剤または架橋剤を含むこともできる。連鎖延長剤と、ポリウレタンプレポリマーにおけるイソシアネート官能基との反応によって、ポリウレタンプレポリマーの分子量を増加させる、すなわちポリウレタンプレポリマーを連鎖延長するために連鎖延長剤を使用することができる。好適な連鎖延長剤または架橋剤は、典型的には、分子あたり約2つ以上の活性水素基を有する低当量活性水素含有化合物である。連鎖延長剤は、典型的には、2つ以上の活性水素基を有し、架橋剤は、3つ以上の活性水素基を有する。活性水素基は、ヒドロキシル、メルカプチルまたはアミノ基であってよい。アミン連鎖延長剤を遮断、カプセル化、あるいはその反応性を低くすることができる。他の材料、特に水は、鎖長を延長するように機能できるため、連鎖延長剤であり得る。
【0129】
ポリアミン連鎖延長剤を、例えば、Huntsman Chemical Company社のJEFFAMINE(登録商標)D−400、アミノエチルピペラジン、2−メチルピペラジン、1,5−ジアミノ−3−メチル−ペンタン、イソホロンジアミン、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、アミノエチルエタノールアミン、トリエチレンテトラアミン、トリエチレンペンタアミン、エタノールアミン、その立体異性体のいずれかのリシンおよびその塩、ヘキサンジアミン、ヒドラジンならびにピペラジンなどのアミン末端ポリエーテルから選択することができる。いくつかの実施形態において、連鎖延長剤は水溶液として使用できる。
【0130】
ポリウレタン分散体の形成において、1当量の連鎖延長剤と反応する1当量のイソシアネートに対して、プレポリマーに存在する0から100パーセントのイソシアネート官能基と反応するのに十分な量の連鎖延長剤を採用することができる。水が連鎖延長剤として作用し、存在するイソシアネート官能基の一部またはすべてと反応することを可能にすることが望ましい場合がある。場合により触媒を使用して、連鎖延長剤とイソシアネートの反応を促進することができる。連鎖延長剤が3つ以上の活性水素基を有するときは、それらは、同時に架橋剤として機能することもできる。
【0131】
本発明の実施形態による熱可塑性組成物は、有機もしくは無機充填剤、あるいはデンプン、タルク、炭酸カルシウム、ガラス繊維、ポリマー繊維(ナイロン、レーヨン、木綿、ポリエステルおよびポリアラミドを含む)、金属繊維、フレークもしくは粒子、クレー、マイカ、シリカ、アルミナ、アルミノ珪酸塩もしくはアルミノリン酸塩などの発泡性層状珪酸塩、リン酸塩または炭酸塩、炭素ウィスカ、炭素繊維、ナノチューブを含むナノ粒子、ウォラストナイト、グラファイト、ゼオライト、および炭化珪素、窒化珪素もしくはチタニアなどのセラミックなどの他の添加剤を含むこともできる。シラン系または他のカップリング剤をより良好な充填剤結合のために採用することもできる。
【0132】
従来の充填剤の例としては、ミルドグラス、炭酸カルシウム、アルミニウム三水和物、タルク、ベントナイト、三酸化アンチモン、カオリン、フライアッシュまたは他の既知の充填剤が挙げられる。例えばポリウレタン分散体における好適な充填剤量は、分散体固形分100部当たり充填剤0から200部(pphds)であってよい。充填剤をいくつかの実施形態において約100pphds未満の量で充填することができ、他の実施形態において約80pphds未満の量で充填することができる。無機充填剤を添加すると、乾燥により除去される水の割合がより低くなるため、製造ライン上のより速い乾燥速度によって発泡体複合体の製造を強化することができる。
【0133】
場合により充填剤湿潤剤を使用することができる。充填剤湿潤剤は、充填剤とポリオレフィンまたはポリウレタン分散体の相溶性を向上させることができる。有用な湿潤剤としては、ヘキサメタリン酸ナトリウムなどのリン酸塩が挙げられる。充填剤湿潤剤を少なくとも約0.5pphdsの濃度で含めることができる。
【0134】
増粘剤は、ポリウレタンおよびポリオレフィン分散体の粘度を増加させるのに有用であり得る。例えば、好適な増粘剤としては、ALCOGUM(商標)VEP−II(Alco Chemical Corporation社の商品名)およびPARAGUM(商標)241(Para−Chem Southern,Inc社の商品名)が挙げられる。他の好適な増粘剤としては、METHOCEL(商標)製品(The Dow Chemical Company社の商品名)などのセルロース誘導体を挙げることができる。所望の粘度の分散体を調製するのに必要な任意の量で増粘剤を使用することができる。
【0135】
水相の粘度を調節し、例えば充填剤または繊維の輸送および分配を容易にすることが望まれる場合に増粘剤を使用することができる。充填剤としては、クレー、珪藻土、炭酸カルシウム、およびウォラストナイトなどの鉱物繊維;例えばスチレン−ブタジエンなどの含水ラテックスを挙げることができる。増粘剤としては、キサンタンゴムなどの天然製品、またはポリアクリルアミドポリマーおよびゲルなどの化学的薬剤を挙げることができる。他の添加剤としては、混合助剤および乳化剤が挙げられる。
【0136】
触媒を使用せずに親水性ポリウレタン発泡体を調製することができる。しかし、必要な場合は、水性混合物、あるいはイソシアネート末端プレポリマーとの予備混合によって触媒をイソシアネート末端プレポリマー/水性混合物に組み込むことができるが、この場合は、水性混合物との反応に使用する直前である。必要な場合は、触媒は、反応生成物の硬化時間を修正し、発泡体の所望の物理特性の達成を容易にする量で添加される。好適な触媒としては、重炭酸ナトリウム、三級アミンおよび有機金属化合物を挙げることができる。他の好適な触媒としては、n−メチルモルホリン、n−エチルモルホリン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、テトラメチルブタンジアミン、トリエチレンジアミン、ジメチルアミノエタノールアミン、ベンジリジメチルアミン、ジブチル錫ジラウレートおよびオクタン酸第一錫を挙げることができる。
【0137】
得られたポリマーの物理特性を改変することを望む場合に、繊維および充填剤に加えて、油脂および機能性添加剤などの他の物質を導入するために水相を使用することもできる。最終用途に必要であれば、芳香剤もしくは香料、または香気によって検出できる他の当該物質が存在してもよい。最終用途が何らかの生理活性特性を有するポリマーを必要とする場合は、水相を使用して、例えば、農薬、殺虫剤、除草剤、誘引剤、フェロモン、成長促進もしくは調節物質または植物もしくは動物栄養素などの活性分子を導入することもできる。得られたポリマーが、電気特性または発光特性を必要とする最終用途に使用される場合は、水性混合物を使用して、ポリマーを導電性にするように電解質を導入し、またはポリマーを発光性にするように蛍光もしくはリン光添加剤を導入することができる。一般には、水相を介して当該追加的な物質が導入されるが、有害な反応または処理条件が支配的でないときはイソシアネート末端プレポリマーも同様に利用することができる。
【0138】
本発明の目的に対して任意であるが、いくつかの構成要素は、製造プロセスの最中および後の製品安定性および耐久性にとって大いに有利であり得る。例えば、酸化防止剤、殺生剤および防腐剤を含めることは、いくつかの実施形態において大いに有利であり得る。
【0139】
泡の調製
上記分散体から泡を調製するために、一般には気体発泡剤が使用される。好適な発泡剤の例としては、例えば、空気、二酸化炭素、窒素、アルゴン、ヘリウムなどの気体および/または気体の混合物が挙げられる。典型的には、所定の対流時間中に機械的剪断力によって大気圧を超える気体の導入により、発泡剤を分散体に導入して均一な泡を形成する。泡を調製する際に、分散体のすべての構成要素を混合することができ、次いでOAKES(商標)、COWIE&RIDING(商標)またはFIRESTONE(登録商標)発泡装置などの装置を使用して、気体を混合物に混入させることができる。
【0140】
大気圧条件下で高剪断機械混合法などの機械的方法を使用して、空気または他の気体を分散体の水相に混入させ、または場合により混合しながら気体を系に注入することによって分散体/界面活性剤/任意の添加剤の混合物から泡を調製することができる。泡に組み込むことができる空気または他の気体(空気に加えて、または空気以外の気体が望まれる場合)の量は、一実施形態において少なくとも80容量%、別の実施形態において少なくとも85容量%、およびさらに別の実施形態において少なくとも90容量%の得られた泡を含むことができる。最初に、泡を作るのに使用されるすべての構成要素を緩やかな撹拌により混合して、空気の混入を回避することができる。
【0141】
成分のすべてが十分に混合されると、混合物に高剪断機械混合を施すことができる。この工程中、混合物のバルク粘度は、非流動性の硬質の泡が形成されるまで、さらなる空気が連続的な水相内に混入されるに従って増加し得る。所望の密度の泡を得るのに必要な混合時間は、泡安定化界面活性剤の量および種類ならびに機械的剪断力の量に応じて異なっていてもよい。キッチンブレンダー/ハンドミキサー、ワイヤホイップが装着されたホバルトミキサー、またはより大きな規模では、COWIERIDING(商標)ツインフォーマー(Cowie Riding Ltd社)などの、濃化水性分散体に空気を混入させることが可能な任意の機械的混合装置を使用することができる。市販の発泡装置は、空気をそれらの高剪断混合ヘッドに注入して、非常に低密度(50g/L未満)の泡を得ることを可能にすることができる。
【0142】
例えば、所定の容量および重量のカップに泡のサンプルを導入し、泡で満たされたカップの重量を測定し、次いでサンプルの密度を計算することによって泡密度を測定することができる。市販の発泡装置において、空気を混合ヘッド内に直接加えて、低密度の泡の発生を助けることができる。発泡装置の速度を上昇または低下させて、所望の泡密度を達成することができる。一実施形態において、泡密度は、約0.04から約0.15g/cc、別の実施形態において約0.07から0.10g/ccの範囲であってよい。他の実施形態において、泡密度は、0.05g/ccから0.09g/ccであってよい。所望の泡密度が得られると、泡を発泡体に変換する前に、場合により泡を基体上に散布することができる。
【0143】
ポリマーを含む発泡体を、2004年8月25日に出願され、国際公開第2005/021622号パンフレットとして公開されたPCT出願第PCT/US2004/027593号明細書に開示されているように形成することができる。他の実施形態において、過酸化物、電子ビーム、シラン、アジド、ガンマ線、紫外線または他の架橋技術の使用などの任意の既知の手段によって、好ましくは泡を形成した後にポリマーを架橋することもできる。グラフティング(例えば、無水マレイン酸(MAH)、シランまたは他のグラフティング剤の使用による)、ハロゲン化、アミン化、スルホン化または他の化学的改質などによってポリマーを化学的に改質することができる。
【0144】
乾燥および回収工程
一実施形態において、本明細書に開示されているように調製された泡の液体/水性要素の少なくとも一部を除去することによって、発泡体を泡から調製することができる。他の実施形態において、泡の液体/水性要素の少なくとも大部分を除去することによって発泡体を泡から調製することができる。さらに他の実施形態において、液体/水性要素の実質的にすべてを除去することによって発泡体を調製することができる。様々な実施形態において、液体/水性要素の30重量パーセントを超える量、50重量パーセントを超える量、80重量パーセントを超える量、90重量パーセントを超える量、95重量パーセントを超える量、98重量パーセントを超える量、または99重量パーセントを超える量を除去することができる。液体部分を除去する手段を、泡体積崩壊量を最小限にするように選択することができる。一実施形態において、最適な乾燥のために選択された温度において、強制空気乾燥炉で加熱することによって泡を乾燥させて発泡体に変換することができる。一実施形態において、泡を約60℃から120℃の温度に加熱することができる。
【0145】
熱可塑性樹脂の性質が許せば、泡の気泡の表面のポリオレフィン樹脂粒子の粘性を破壊することなく、または部分的に乾燥された泡の有意な(例えば75〜80容量パーセント超の)崩壊を引き起こすことなく、水を可能な限り迅速に泡から除去するために実現可能な最も高い温度で処理を実施することができる。別の実施形態において、熱可塑性繊維の融点温度を超えないように乾燥温度を選択することができる。一実施形態において、熱可塑性樹脂の溶融範囲に近いが、それを超えない温度で泡を乾燥させることが望ましい場合がある。別の実施形態において、泡がその最終的な形および寸法で完全に「乾燥」され、泡における水の少なくとも95重量パーセントが排出される前に、熱可塑性樹脂における非晶質領域が、繊維と擬似的に架橋しながら合着を開始し、泡の崩壊を回避するまたは最小限に抑える温度を達成することが望ましい場合がある。得られた「乾燥」発泡体は、いくつかの実施形態において約0.025から0.5g/cc;他の実施形態において0.05から0.3g/cc;他の実施形態において0.02から0.07g/cc;およびさらに他の実施形態において約0.03から0.05g/ccの密度を有することができる。他の実施形態において、発泡体は、0.03g/ccから0.06g/ccの範囲内の密度を有することができる。
【0146】
乾燥発泡体のいくつかの実施形態は、約0.5mmから300mm以上;他の実施形態において約1mmから6mm;およびさらに他の実施形態において0.01cmから2.5cmの範囲の平均厚さを有することができる。乾燥発泡体の他の実施形態は、0.05cmから2.0cm;およびさらに他の実施形態において1から1.5cmの範囲の平均厚さを有することができる。乾燥発泡体の実施形態を含む製品は、0.1cmから2.5cm;他の実施形態において0.5cmから2.0cm;およびさらに他の実施形態において1.0cmから1.5cmの範囲の平均厚さを有する少なくとも1つの層の発泡体を含むことができる。いくつかの実施形態において、2つ以上の発泡体を互いに貼り合わせることができる。様々な実施形態において、2つ以上の発泡体は、同じまたは異なる密度、同じまたは異なる気泡サイズ、あるいは同じまたは異なる構造(フィブリル構造、連続気泡構造、独立気泡構造等)を有することができる。連続気泡発泡体は、相互接続孔または気泡を有するのに対して、独立気泡発泡体は、相互接続孔または気泡を有さない。いくつかの実施形態において、1つまたは複数の発泡体をフィルムなどの基体に貼り合わせることができる。
【0147】
本開示の所望の発泡体を形成するための泡の乾燥をバッチまたは連続方式で実施することができる。例えば、従来の強制空気乾燥炉または赤外線加熱ランプ列、あるいは誘電加熱装置、例えば、泡を連続的に配置または搬送できるトンネルまたはチャンバを裏打ちするラジオ(典型的には、1〜100MHzの範囲の許容周波数帯で動作される)およびマイクロ波(典型的には、400から2500MHzの範囲の許容周波数帯で動作される)周波数エネルギー生成源を含む装置を乾燥に採用することができる。当該乾燥エネルギー源の組合せを使用し、同時にまたは順次適用して、泡を乾燥させて発泡体を形成することができる。一実施形態において、乾燥は、誘電装置および強制空気乾燥炉を同時に使用することを含む。約0.25から0.6cmの厚さを有する泡については、強制空気炉が約75℃で動作され、ラジオ周波数発生装置が泡を約45から50℃の内部温度に加熱する場合に、45から90秒の短い時間で乾燥を達成することができる。乾燥動作の温度を、発泡体を調製するのに採用されるポリオレフィン樹脂の性質および(DSCで測定される)溶融範囲に応じて選択することができる。様々な国において工業的使用に対して許可された誘電加熱周波数帯は、参考文献「Foundations of Industrial Applications of Microware and Radio Frequency Fields」、Rousy,GおよびPierce,J.A.(1995)により詳細に示されている。
【0148】
一実施形態において、吸収性構造体(発泡体)は、非気泡状のフィブリル化形態を有することができる。本明細書に用いられているように、「非気泡状フィブリル化構造」は、フィブリルまたは糸状フィラメントから構成された、またはそれらを有する連続ランダム非気泡状形態を有する発泡体を指す。非気泡状フィブリル化構造は、例えば、フィブリルが不織布繊維状ウェブを形成し、ストラットの多くが相互接続されていない場合のように不均一かつ非反復的であってよい。
【0149】
他の実施形態において、本明細書に開示されている発泡体は、発泡体の多くの気泡の気泡サイズが約5から約1000マイクロメートルの範囲である連続気泡発泡体であってよい。他の実施形態において、発泡体は、その気泡の多くが実質的に楕円形の形をしていることを特徴とすることができる。
【0150】
本明細書に記載されている発泡体は、基体に接着することができる。いくつかの実施形態において、発泡体と基体の接着力は、0.1Ibf/in以上であってよい。他の実施形態において、発泡体と基体の接着力は、0.15Ibf/in以上であってよく;さらに他の実施形態において0.2Ibf/in以上であってよい。
【0151】
他の発泡体
本明細書に開示されている実施形態に使用することができる他の発泡体としては、木綿、木材および他の天然繊維を含む天然植物材料から製造された材料を含む天然および合成セルロース系発泡体を挙げることができる。他の実施形態において、アクリル、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、ウレタン、塩化ビニル、塩化ビニリデンまたはアクリロニトリルポリマーから形成される水性系分散体から形成される発泡体を使用することができる。さらに他の実施形態において、発泡体としては、ラテックス発泡体または天然スポンジを挙げることができる。
【0152】
繊維基体
本明細書に開示されている複合構造体の実施形態に使用できる基体は、不織布、弾性不織布および軟質不織布を含むことができる。不織布繊維は、織物でも編物でもない布である。不織布は、典型的には、小繊維をシートまたはウェブの形で束ね、次いでそれらを接着剤または熱で機械的に結着させることによって製造される。他の実施形態において、基体は、コーティングされた基体を含めて、布地または他の繊維、多孔質フィルムおよび他の不織布を含むことができる。一部の実施形態において、基体は、例えばエラストマーポリオレフィンまたはポリウレタンなどの軟質または弾性不織布などの軟質布地であってよい。マイクロデニール繊維から製造された織物および/または編物も所望の基体性能を提供することができる。
【0153】
いくつかの実施形態において、不織布は、ポリエチレンなどのポリオレフィン一成分繊維をベースとすることができる。他の実施形態において、例えば、コアがポリプロピレンをベースとし、シースがポリエチレンをベースとすることができる二成分繊維を使用することができる。複合構造体の実施形態に使用される繊維は、連続的であってもよいし、短繊維のように非連続的であってよいことを理解すべきである。
【0154】
0.5mg/cm2未満の羽毛/摩耗抵抗、および0.043*基本重量−0.657mN−cm以下の曲げ剛性を有する不織布材料を開示している国際公開第2005111282(A1)号パンフレットには、好適な軟質不織布の一例が記載されている。不織布材料は、15グラム/m2を超える基本重量、(20グラム/m2の基本重量において)縦方向で25N/5cmを超える縦方向(MD)引張強度、および25%未満の圧密面積を有することができる。他の実施形態において、0.1から50デニールの範囲の直径を有する繊維を使用して、スパンボンド不織布を製造することができる。
【0155】
0.7mg/cm2未満の羽毛/摩耗抵抗および0.15mN・cm未満の曲げ剛性を有する不織布材料を開示している国際公開第2005111291(A1)号パンフレットには、好適な軟質不織布のさらなる具体例が記載されている。不織布材料は、15グラム/m2を超える基本重量、(20GSMの基本重量において)MDで10N/5cmを超え、横方向(CD)で7N/5cmを超える引張強度、および25%未満の圧密面積を有することができる。他の実施形態において、0.1から50デニールの繊維をポリマーブレンドから形成することができ、該ポリマーブレンドは、a)1)1から1000グラム/10分のメルトインデックスおよび2)0.87から0.95グラム/ccの密度を有する均質エチレン/α−オレフィンインターポリマーである第1のポリマーをポリマーブレンドの40重量パーセントから80重量パーセント含み、b)1)1から1000グラム/10分のメルトインデックスおよび2)第1のポリマーより少なくとも0.01グラム/cc大きい密度を有するエチレンホモポリマーまたはエチレン/α−オレフィンインターポリマーであってよい第2のポリマーを20から60重量パーセント含む。均質エチレン/α−オレフィンポリマーは、いくつかの実施形態において少なくとも約70%、他の実施形態において少なくとも約80%、およびさらに他の実施形態において100%程の組成分布幅指数(CDBI)を有するポリマーである。CDBIは、本明細書において、米国特許第5,008,204号明細書に記載されている装置を使用して、米国特許第5,246,783号明細書および国際公開第93/04486号パンフレットに記載されているように規定される。
【0156】
また、上記の物理特性と類似の物理特性を有するウェブを利用することもできる。識別できないように撚り合わせた個々の繊維、フィラメントまたは糸からウェブ構造体を形成することができる。不織布またはウェブは、メルトブロー積層、スパンボンディング、エレクトロスパンおよびボンドカードウェブ法(bonded carded web process)などの多くの方法から形成されてきた。不織布の基本重量は、いくつかの実施形態において15から500g/m2;他の実施形態において20から250g/m2;およびさらに他の実施形態において25g/m2から150g/m2以上の範囲であってよい。
【0157】
いくつかの実施形態において、米国特許第6,994,763号明細書に記載されているような弾性不織布を使用することができる。弾性不織布は、コア成分がエラストマーポリマーであってよく、シース成分がポリオレフィンであってよい二成分繊維をベースとすることができる。不織布は、15g/m2から500g/m2の範囲の基本重量を有することができ、二成分機能を有するスパンボンド技術で製造され得る。二成分繊維のコア成分のための市販のエラストマーの代表例としては、以下のポリマーを挙げることができる。KRATON(登録商標)ポリマー、ENGAGE(商標)ポリマー、VERSIFY(商標)エラストマー、INFUSE(商標)オレフィンブロックコポリマー、VISTAMAXX(商標)ポリオレフィンエラストマー、VECTOR(商標)ポリマー、ポリウレタンエラストマー材料(「TPU」)ポリエステルエラストマーおよび異相ブロックコポリマー。シース成分のための代表的な材料としては、ポリオレフィン系ホモおよびコポリマーを挙げることができる。ポリオレフィンポリマーとしては、ポリプロピレンホモポリマー、ポリプロピレンランダムコポリマー、ポリプロピレン耐衝撃性コポリマーおよびポリエチレンを挙げることができる。いくつかの実施形態において、ポリエチレンは、0.925g/cm3から0.965g/cm3の範囲の密度を有することができる。
【0158】
他の実施形態において、好適な弾性不織布を1つまたは複数の「エラストマー」ポリマーから形成することができる。「エラストマー」という用語は、一般には、伸長させると、それらの弾性限界内で変形または伸縮するポリマーを指す。例えば、エラストマーフィラメントから形成されたスパンボンド布地は、典型的には、布の30%伸長および1回の引張後の布地の縦方向および横方向の回復可能な伸長値に対して少なくとも約75%の平均二乗根平均回復可能伸長度を有する。有利には、エラストマーフィラメントから形成されたスパンボンド布地は、典型的には、布地の50%伸長および1回の引張後の布地の縦方向および横方向の回復可能な伸長値に対して少なくとも約65%の平均二乗根平均回復可能伸長度を有する。
【0159】
いくつかの実施形態において、基体は、織物、編物および不織布繊維ウェブを含むことができる。他の実施形態において、上記基体に上記ポリオレフィンおよびポリウレタン分散体をコーティングして、本明細書に開示されている複合構造体の実施形態に有用なポリオレフィンまたはポリウレタンコーティング基体を形成することができる。
【0160】
他の実施形態において、有孔フィルムを本明細書に記載されている複合構造体または積層体の層として利用することができる。有孔フィルムを使用すると、構造体の強度を高めることができる。また、有孔フィルムは、顔または他の敏感な皮膚との接触を必要としない用途に対して好適な感触を提供することができる。
【0161】
有孔フィルムの説明を国際公開第200080341(A1)号パンフレットおよび米国特許第3,929,135号明細書および同第4,324,246号明細書に見いだすことができる。有孔フィルムは、フィルムの幅全体にわたって均一に空いた小さな空間を有する薄いポリマーフィルムを含むことができる。有孔フィルムは、ベビー用おむつ、成人用おむつ製品、生理用ナプキンまたはパンティーライナー、フェースワイプ、ボディワイプ、衣料品および病院用ベッドシート等の身体に接触する吸収性および非吸収性製品に広く使用されている。
【0162】
他の実施形態において、本明細書に記載されている複合構造体は、以上に記載されているようなポリウレタン分散体および/またはポリオレフィン分散体でコーティングされた基体、あるいは基体の耐久性の向上および軟質性の向上のための類似のコーティングを含むことができる。
【0163】
複合構造体に使用される不織布基体は、いくつかの実施形態において15から500g/m2;他の実施形態において20から250g/m2;いくつかの実施形態において25g/m2から150g/m2以上の範囲の基本重量;および他の実施形態において25から60g/m2の範囲の基本重量を有する一および二成分繊維を含むことができる。既知の面積の布地の重量を測定することによって基本重量を求めることができる。例えば、基本重量をASTM D3776に従って測定することができる。
【0164】
他の実施形態において、本明細書に記載されている複合構造体を、0.7mg/cm2未満;他の実施形態において0.6mg/cm2未満;およびさらに他の実施形態において0.5mg/cm2未満の摩耗損失を有する基体から形成することができる。摩耗損失、または摩耗時の毛羽生成量を摩耗試験によって測定することができる。摩耗試験は、制御された力で、規定粒度のサンドペーパーをサンプルの表面に擦りつけることによって実施される。試験の前後にサンプルの重量を測定し、損失重量を測定して、サンドペーパーによって表面から形成され、除去された毛羽の量を求める。
【0165】
製品
発泡体および布地基体を含む上記基体の1種または複数種から形成された複合構造体は、軟度、重量、ならびに曲げ剛性、摩擦係数、毛羽抵抗性、嵩高性および容量等を含むことができる他の特性のバランスを有することができる。一実施形態において、複合構造体は、不織布基体、発泡体基体またはそれらの組合せを含むことができる。いくつかの実施形態において、軽度の界面活性剤をベースとした溶液などの流体、または充填剤などの固体を基体にコーティング、含浸またはブレンドすることができる。
【0166】
他の実施形態において、複合構造体は、少なくとも1つの基体層および少なくとも1つの連続気泡発泡体層を含むことができる。基体は、不織布および布地等を含むことができる。基体(例えば、不織布、布地等)を有する連続気泡発泡体をワイプまたは他の製品に組み込むと、さらなる軟度、嵩高性および容量を製品に付与することができる。基体単独の予め存在する所望の表面感触を向上および/または維持しながらさらなる嵩高性および容量を達成することができる。連続気泡発泡体を組み込むと、布地または不織布層単独と比較した場合に、活性剤の包含および送達のために利用可能な空隙容量および/または表面積を増加させることもできる。
【0167】
他の実施形態において、複合構造体は、連続気泡発泡体層、基体層、および場合により少なくとも1つの洗浄界面活性剤、活性剤または促進充填剤を含むことができる。複合構造体の実施形態は、高度な軟度および高度な嵩高性および/または優れた耐表面摩耗性を含む所望の性能特性の組合せを発揮することができる。軟質の高嵩高性複合構造体は、個人手入れ用品、医薬品、出荷および家庭用品の市場に関連する使い捨ておよび半使い捨て製品用途に有用であり得る。複合構造体は、洗浄、研磨もしくは医薬品用途のために湿潤を必要とする、湿性活性剤または乾燥活性剤を送達することが可能であり得る。
【0168】
他の実施形態において、複合構造体は、不浸透性の基体層を含むことができる。例えば、熱可塑性フィルムまたは熱可塑性含浸紙層は、複合構造体の層の間にバリヤを提供することができる。有利には、基体の1つの面が湿性または乾燥活性剤を送達するのに使用され、第2の面が湿性または乾燥活性剤を含まない状態を維持する不浸透性基体層を使用することができる。例えば、欧州特許第0951228号明細書には、磨き剤除去剤との皮膚接触を制限しながら爪磨き剤除去剤(アセトン)の用途に使用できるハンドルを有するパッドにおける不浸透性層の使用が開示されている。湿性/乾燥ワイプの形成が所望される場合に、有利には不浸透性層を使用することもできる。
【0169】
本明細書に開示されている複合構造体を皮膚接触する洗浄ワイプに使用することができ、該構造体は、湿性および/または乾燥活性剤を含むことができる。本明細書に開示されている複合構造体を、ベビーワイプ、ハンドワイプ、家庭用硬質表面クリーナーおよび工業用洗浄ワイプを含む他の用途に使用することもできる。
【0170】
軟度の向上および布様感触の向上は、皮膚洗浄ワイプ以外の用途にも望ましい。これらの用途としては、塗布パッド、研磨布、医療用洗浄、繊細な部品のための出荷/包装材料、および局部医薬品用塗布パッドが挙げられるが、それらに限定されない。また、これらの製品を、実測量の液体材料の一時的な保管のための手段として使用することができる。
【0171】
上記発泡体および/またはコーティング(分散体および/または泡)を以上に規定した基体(発泡体および/または布地)と併用することができる。以下の方法/技術をこれらの様々な組合せの製造に用いることができる。以下に記載する方法は、代表的なものであり、該技術の詳細な説明を標準的なテキストに見いだすことができる。
【0172】
一実施形態において、基体(発泡体および/または布地)を以下に記載する活性化合物などの流体と接触させて、複合構造体を形成することができる。得られた複合構造体は、基本重量、剛性、摩擦係数および毛羽抵抗性などの所望の特性を有することができる。
【0173】
いくつかの実施形態において、複合構造体を押出コーティングによって形成することができる。ポリオレフィン泡などの泡、またはポリウレタン発泡体などの湿性発泡体を所望の基体上に直接押し出すことができる。第2の基体は、泡または発泡体の頂部に塗布することができる。必要に応じて層を繰り返すことができる。次いで、サンドウィッチ状複合体を加熱して、発泡体を乾燥させるとともに、層を互いに接着することができる。
【0174】
他の実施形態において、複合構造体をロールコーティング(ドクターブレード)によって形成することができる。基体から一定の高さにあるドクターブレードを使用して、基体の連続する一帯に湿式発泡体または泡を塗布することができる。ブレードの1つの面に連続的に供給される湿式発泡体は、材料の一定のプールを生成する。ブレードの下の移動基体がこの材料のプールから引き出されて、得られたコーティングの厚さがブレード高さによって固定されることになる。必要に応じて、基体または発泡体のさらなる層を追加することができる。次いで、得られた構造体を乾燥させて、水分を除去するとともに、接着を支援することができる。
【0175】
他の実施形態において、複合構造体を接着剤貼り合せによって形成することができる。乾燥した発泡体を接着剤で所望の基体上に貼りつけることができる。
【0176】
他の実施形態において、複合構造体をスプレーコーティングによって形成することができる。泡および湿性発泡体を所望の基体上にスプレーし、続いて乾燥させることができる。
【0177】
他の実施形態において、複合構造体をカーテンコーティングによって形成することができる。湿性発泡体または泡を、直接堆積を介して移動する一帯または基体上に塗布することができる。コーティング厚さは、泡または湿性発泡体の供給速度、およびコーティングカーテンの下の基体の速度によって制御される。
【0178】
他の実施形態において、複合構造体をバッチ塗布によって形成することができる。泡または湿性発泡体を基体表面に手動で塗布することができる。次いで、ナイフブレードおよび所望の厚さの調量棒を使用して表面を平らにすることができる。ナイフは、調量棒を移動して、湿性発泡体を表面から除去して、高さを均一にする。
【0179】
他の実施形態において、2つ以上の発泡体層を有する製品を形成することが望ましい。いくつかの実施形態において、発泡体層は、密度が同一であっても異なっていてもよい。他の実施形態において、2つ以上の発泡体層を貼り合わせることができる。
【0180】
さらなる処理技術としては、熱成形、エンボス加工、水力絡み合い、エアレーシング、赤外線加熱への曝露、およびフロック加工技術などの表面繊維の付加を挙げることができる。
【0181】
得られた複合構造体は、1つまたは複数の所望の物理特性を有することができる。いくつかの実施形態において、得られた複合構造体は、所望の物理特性の有利な組合せを有することができる。
【0182】
いくつかの実施形態において、15から500g/m2の基本重量を有する基体から、複合構造体を形成することができる。他の実施形態において、20から250g/m2;20から80g/m2;およびさらに他の実施形態において25から50g/m2の基本重量を有する基体から複合構造体を形成することができる。50mm2以上の既知の面積の布地の重量を測定することによって基本重量を求めることができる。例えば、基本重量をASTM D3776に従って測定することができる。
【0183】
いくつかの実施形態において、発泡体基体とともに活性剤などの液体を含めることによって複合構造体を形成することができる。他の実施形態において、複合構造体は、1つまたは複数の発泡体層を含むことができる。発泡体および発泡体基体は、いくつかの実施形態において0.5から300mm、およびさらに他の実施形態において1から6mmの厚さを有することができる。ポリオレフィン発泡体および発泡体基体は、いくつかの実施形態において0.025から0.1g/cc、および他の実施形態において0.03から0.06g/ccの密度を有することができる。ポリウレタン発泡体および発泡体基体は、いくつかの実施形態において0.025g/ccから約0.5g/cc、および他の実施形態において0.05から0.1g/ccの密度を有することができる。既知の寸法(容量)の乾燥発泡体サンプルの重量を測定することによって、発泡体密度を測定することができる。
【0184】
いくつかの実施形態において、複合構造体は、0.1から1.0MIUの範囲のカワバタ評価システム(KES)摩擦係数を有することができる。他の実施形態において、複合構造体は、0.3から1.0MIU;他の実施形態において0.4から0.9MIU;およびさらに他の実施形態において0.5から0.8MIUの範囲のKES摩擦係数を有することができる。複合構造体は、いくつかの実施形態において、縦方向または横方向のKES表面粗さが4.0ミクロン未満であってよい。他の実施形態において、複合構造体は、3.5ミクロン未満;他の実施形態において3.25ミクロン未満;およびさらに他の実施形態において3.0ミクロン未満のKES表面粗さを有することができる。表面特性(抵抗/ドラッグ/摩擦)および表面形状(粗さ)値は、KES−FB4表面試験機を使用して測定され、20gf/cmの引張荷重がサンプルに加えられる。MIUは、0から1のスケールの摩擦係数の尺度であり、より大きなMIU値は、より大きな摩擦または抵抗およびドラッグに対応する。ミクロン単位で測定されるKES表面粗さに関しては、より大きな値は、幾何学的により粗い表面に対応する。
【0185】
いくつかの実施形態において、複合構造体は、30%から50%のカワバタ評価システム(KES)圧縮弾力を有することができる。他の実施形態において、複合構造体は、35%から45%;およびさらに他の実施形態において37%から43%の範囲のKES圧縮弾力を有することができる。KES圧縮弾力は、KES−FB3圧縮試験機を使用して測定され、0〜10gf/cm2の異なる荷重を2cm2の面積のサンプルに加えることによって測定される。圧縮弾力は、加えた荷重が除去された後の材料厚さの回復率である。圧縮弾力値が高いほど好ましく、それは、圧縮された後の回復率がより大きいことを示す。
【0186】
複合構造体は、横方向および縦方向双方について、いくつかの実施形態において1000mN・cm未満の曲げ(屈曲)剛性を有することができる。他の実施形態において、複合構造体は、900mN・cm未満;他の実施形態において800mN・cm未満;およびさらに他の実施形態において700mN・cm未満の曲げ剛性を有することができる。曲げ剛性は、布地を41.5°の傾きに曲げるのに必要なエネルギーの尺度であり、該エネルギーは、単位布地幅当たりの値で示される。曲げ剛性を測定するために、基体サンプルを25.4mm×152.4mmの片に切断し、隆起したプラットホーム上にセットして、プラットホームの水平線の下に41.5°の角度を形成させる。次いで、サンプルの支持されていない端部が屈曲して41.5°の角度に接するまでサンプルをプラットホームから一定の速度で進める。曲げ長さは、測定されたサンプル張出し長さの半分である。また、サンプル基本重量は、以上に略述されたように測定される。曲げ剛性は、G=m×C310−3(mN−cm)(式中、mはサンプルの基本重量(g/m2)であり、Cはcm単位のサンプルの曲げ長さである)によって計算される。この式を解く上で、重力による加速度(9.81m/s2)を10m/s2に丸めた。また、不織布の曲げ剛性を縦方向および横方向の双方で測定した。
【0187】
いくつかの実施形態において、複合構造体は、10N/5cmを超える縦方向引張強度を有することができ;他の実施形態において12N/5cmを超える縦方向引張強度を有することができ;さらに他の実施形態において15N/5cmを超える縦方向引張強度を有することができる。布地の引張強度を、例えば、試験法DIN53354を用いて測定することができる。引張強度は、布地を、長辺が縦方向になる5cm×10cmの片に切断し、布地を引張試験機のチャックに保持し、100mm/分の引張速度で引張強度を測定することによって測定される。
【0188】
いくつかの実施形態において、複合構造体は、10N/5cmを超える横方向引張強度を有することができ;他の実施形態において12N/5cmを超える横方向引張強度を有することができ;さらに他の実施形態において15N/5cmを超える横方向引張強度を有することができる。布地の引張強度を、例えば、試験法DIN53354を用いて測定することができる。引張強度は、布地を、長辺が横方向になる5cm×10cmの片に切断し、布地を引張試験機のチャックに保持し、100mm/分の引張速度で引張強度を測定することによって測定される。
【0189】
いくつかの実施形態において、複合構造体は、良好な毛羽抵抗性を有することができる。複合体は、いくつかの実施形態において0.7mg/cm2以下;他の実施形態において0.6mg/cm2;およびさらに他の実施形態において0.5mg/cm2の摩耗試験毛羽生成量を有することができる。摩耗試験毛羽生成量は、粗面による摩耗後のサンプルから除去された単位面積当たりの繊維の重量の尺度である。毛羽生成量を測定するために、11cm×4cmのサンプルを重量測定し、サザーランドインク摩耗試験機に入れる。好適なサイズの320粒度の1枚のサンドペーパーを試験機内の加重2ポンドのホルダに接着する。次いで、加重ホルダを試験片上に配置し、次いで摩耗試験機を毎分42サイクルの速度で始動させる。次いで、全部で20サイクルにわたって試験機を動作させる。次いで、加重ホルダをサンプルから取り除く。粘着テープを軽く貼りつけ、剥がすことによって、試験片表面に残留するあらゆる遊離繊維を除去する。次いで、摩耗後のサンプルの重量を記録する。毛羽生成量値をサンプルの単位面積当たりのサンプルの損失重量として計算する。毛羽生成量値が小さいほど望ましいと考えられる。
【0190】
いくつかの実施形態において、複合構造体は、良好な「手触り」クオリティを有することができる。複合構造体は、サンプル容量に対して正規化された「手触り」値がいくつかの実施形態において25gf/cm3以下;他の実施形態において14gf/cm3以下;他の実施形態において13gf/cm3以下;およびさらに他の実施形態において11gf/cm3以下であってよい。また、複合構造体は、サンプル重量に対して正規化された「手触り」クオリティがいくつかの実施形態において220gf/g以下;他の実施形態において160gf/g以下;他の実施形態において158gf/g以下;およびさらに他の実施形態において118gf/g以下であってよい。「手触り手触り」クオリティは、表面摩擦による抵抗、柔軟性および布地材料の圧縮性の組合せであると考えられる。INDA 1st 90.3(95)に記載されているように、Handle−O−Meter試験機(Thwing−Albert Instrument Co.,(ニュージャージ州West Berlin)製)は、材料の試験片を平行な縁の溝に押し込むときにブレードが受ける抵抗を検出する線形可変差動変成器(LVDT)を使用して上記ファクタを測定する。3/2デジタル電圧計(DVM)は、直接グラムで抵抗を表示する。複合体のサンプルを50cm2の円形の試験片に切断し、試験前に相対湿度50%および70°Fで調整した。Handle−O−Meterの溝幅を20mmに設定した。測定器製造元の試験マニュアルに要求されているように、試験片毎に4つの位置の各々において測定を行い、4つの測定値を合計して、単一試験片についての合計の手触り値をグラム−力で求め、3つの試験片についての合計の手触り値を平均した。次いで、この平均の手触り値を試験片重量および容量に対して正規化した。
【0191】
いくつかの実施形態において、複合構造体は、軟度および強度のバランスを有することができる。例えば、活性剤などの流体と、発泡体または布地基体とを接触させることによって形成された複合構造体は、25から150g/m2の乾燥基本重量、1000mN・cm未満の曲げ剛性、および0.4から0.9MIUの範囲内の摩擦係数を有することができる。他の実施形態において、複合構造体は、0.7mg/cm2以下の摩耗試験毛羽量を有することもできる。そして、他の実施形態において、複合構造体は、3.5SMD未満の表面粗さを有することもできる。さらに他の実施形態において、複合構造体は、25gf/cm3未満の手触り値を有することもできる。
【0192】
複合構造体が2つ以上の層を有する場合には、それらの層を、接着剤を用いて、または用いずに、互いに接着させることができる。いくつかの実施形態において、第1の層の隣接する第2の層に対する接着力は、0.1lbf/in以上であってよい。他の実施形態において、接着強度は、0.15lbf/in以上であってよく;さらに他の実施形態において0.2lbf/in以上であってよい。接着強度または剥離強度は、単位面積当たりの層の分離に必要なエネルギーの尺度である。接着強度は、接着された材料を引き離すのに必要な、接着ラインの単位幅当たりの平均荷重であり、分離角度は180度であり、分離速度は6in/分である(ASTM D−903)。
【0193】
活性剤
上記発泡技術、基体および塗布技術を用いて記載された複合構造体は、具体的な最終使用用途内での性能の向上のための湿性または乾燥活性剤を含むこともできる。直接導入または後導入用活性剤としては、界面活性剤、促進充填剤(研磨用剥離剤または皮膚剥離添加剤など)、アルコールまたは油などの洗浄用添加剤;油加湿剤などの健全状態の添加剤;化粧除去油のような皮膚洗浄用添加剤;亜鉛塩、カモミール、マリゴールド、アロエベラ、ビタミンおよびミネラルのような、ストレス皮膚を回復させるのに役立つ添加剤;タンパク質(例えば、加水分解コラーゲン、エラスチン、ケラチン、大豆、トウモロコシ、小麦、オート麦、絹および合成ペプチドなど)、植物(緑茶およびブドウ種子等)、多糖類(ヒアルロン酸、フィコ多糖類、b−1,3−グルカン、キトサンなど)および酵素(ブロメライン、パパイン、スーパーオキシドジスムターゼ、サブチリシン)などのスキンケア活性剤を挙げることができる。さらなる活性剤としては、シリカゲル、活性炭素、ゼオライト等の水分/臭気吸収化合物を挙げることができる。
【0194】
界面活性剤、軟化薬、石鹸、無機物、加湿剤、芳香剤、洗浄剤、抗菌剤、ビタミンおよび充填剤などのこれらの活性剤を、複数の機構を介して構造体に導入することができる。以下に記載される技術の一部またはすべてを用いて、活性剤の導入を達成することができる。
【0195】
いくつかの実施形態において、HYPOL*などのポリウレタン分散体を形成する前に、活性剤を水相に添加することができる。他の実施形態において、発泡の前に、活性剤をポリオレフィン分散体またはポリウレタン分散体に添加することができる。他の実施形態において、不織布上に塗布する前に活性剤をポリウレタン分散体に添加することができる。他の実施形態において、活性剤をポリウレタンプレポリマーに添加することができる。他の実施形態において、活性剤を、後処理技術または標準的なコーティング技術を介して、複合構造体に対して、発泡体の表面または発泡体の細孔に添加することができる。他の実施形態において、標準的なコーティング技術を用いて、活性剤を不織布基体に添加することができる。さらに他の実施形態において、活性剤をさらなる層または複合構造体内のポケットとして添加することができる。
【実施例1】
【0196】
DREAMEX(登録商標)の第1の基体層(Corovin GmbH Corporation社(ドイツ)から入手可能な50g/m2の基本重量を有するポリエチレンコポリマーベースの弾性不織布)をシリコーン離型紙上に配置する。次いで、200mm×400mm×3.0mmの寸法の鋳型を基体上に配置する。
【0197】
AFFINITY(商標)をベースとした分散体から形成された泡を以下の手順によって調製する。ポリオレフィンプラストマーの水性分散体を国際公開第2005021638号パンフレットに記載されている手順に従って形成する。該分散体は、AFFINITY(商標)EG8200(約5dg/分のMI2および約0.87g/ccの密度を有するエチレン−アルファオレフィンコポリマー)を使用して形成される。分散界面活性剤系は、UNICID(登録商標)350(Baker Petrolite社から入手可能な直鎖状カルボン酸)、HYSTRENE(登録商標)4516(Crompton Corp社(コネチカット州Greenwich)から入手可能な脂肪酸)およびMETHOCEL(登録商標)(The Dow Chemical Company社から入手可能な水溶性メチルセルロースおよびヒドロキシプロピルメチルセルロースポリマー)を、エチレンコポリマーと界面活性剤系の合計重量に対してそれぞれ2重量パーセント、1重量パーセントおよび0.35重量パーセントの充填量で含む。製造された水性分散体は、約53重量パーセントの固形分を有する。次いで、発泡体を製造するために、上記分散体と、ポリマー固形分に対して1重量パーセントのラウリル硫酸ナトリウム(Stepan Co社から入手可能なSTEPANOL(登録商標)WAT−K)とを混合する。
【0198】
約160グラムの水性分散体を混合ボウルに添加する。0.06g/ccの泡密度を目標として、3分間にわたって、高設定にてホバートベンチトップミキサーを使用して分散体を混合する。次いで、スパチュラを使用して泡を鋳型および基体に均一に散布し、鋳型を除去する。次いで、DREAMEX(商標)の第2の基体層を、散布したばかりの泡の上層に配置する。次いで、複合構造体を、25〜30分間にわたって、または表面温度が70〜75℃に達するまで75℃のオーブンに入れる。次いで、サンプルを室温まで冷却し、円形ダイを使用して50cm2のサンプルディスクに切断する。
【実施例2】
【0199】
200mm×400mm×4.4mmの鋳型を用いて実施例1の手順を繰り返す。
【実施例3】
【0200】
200mm×400mm×5.5mmの鋳型を用いて実施例1の手順を繰り返す。
【実施例4】
【0201】
200mm×400mm×4.4mmの鋳型を用いて実施例1の手順を繰り返し、0.091g/ccの泡密度を目標として、1.5分間にわたって、高設定にてホバートベンチトップミキサーを使用して混合を実施する。
【実施例5】
【0202】
200mm×400mm×5.5mmの鋳型を用いて実施例1の手順を繰り返し、第1の基体は、50g/m2の基本重量を有するポリエチレンコポリマーベースの弾性不織布であり、第2の基体は、25g/m2の基本重量を有するポリエチレンコポリマーベースの弾性不織布である。
【実施例6】
【0203】
200mm×400mm×4.4mmの鋳型を用いて実施例1の手順を繰り返し;0.091g/ccの泡密度を目標として、1.5分間にわたって、高設定にてホバートベンチトップミキサーを使用して混合を実施し;第1の基体は、50g/m2の基本重量を有するポリエチレンコポリマーベースの弾性不織布であり、第2の基体は、25g/m2の基本重量を有するポリエチレンコポリマーベースの弾性不織布である。
【実施例7】
【0204】
200mm×400mm×4.4mmの鋳型を用いて実施例1の手順を繰り返し、第1の基体は、19.3g/m2の基本重量を有するポリエチレンコポリマーベースの軟質不織布であり、第2の基体は、19.3g/m2の基本重量を有するポリエチレンコポリマーベースの軟質不織布である。
【実施例8】
【0205】
HYPOL*プレポリマー(The Dow Chemical Company社(ミシガン州Midland)から入手可能)を使用してポリウレタン発泡体を調製する。HYPOL*プレポリマーは、活性水素を含む化合物(水、アルコールまたはアミンなど)と反応する。親水性製造物を製造するために、プレポリマーと水相の比を、得られるポリマーの目標密度、所望の物理特性および組成物のイソシアネート含有量に応じて広範囲に変化させることができる。発泡体サンプルを以下に記載の方法に従って調製し、評価する。
【0206】
HYPOL*プレポリマーと、界面活性剤を含む水溶液とを1:1の重量比で混合する。HYPOL*側を20から40℃で処理し、水溶液側を5から25℃で処理する二成分低圧鋳造機を使用して、HYPOL*プレポリマーと水溶液を混合することによって、発泡体を製造する。混合した成分をPP金型に分散させる。
【0207】
軟質の湿性発泡体バンを切断するために(HYPOL*から新たに製造された発泡体は、ポリマー骨格の親水性により残留水を含有する)、発泡体を約−25℃まで凍結させる。次いで、凍結した発泡体を帯鋸で厚さ1cm(0.4”)のシートに切断する。次いで、発泡体シートを60から70℃の温度で数時間乾燥させる。発泡体シートから試験片を小さなディスクに打ち抜く。物理特性の評価前に1日間にわたってサンプルを室温(約23℃)で調整させる。
【0208】
洗浄剤を含むワイプサンプル
以下のように成分を混合することによって洗浄剤を調製する。第1の成分は、225グラムの脱イオン水および6グラムのStepanquat ML(クオタニウム82)を含む。第2の成分は、6グラムのCiba Salicare SC−95(ポリクオタニウム−37、ミネラルオイル、PPG−1トリデセス−6)、60グラムのステパンオクチルイソナノエート(エチルヘキシルイソノナノエート)および3グラムのGoldschmidt Abil EM−9(セチルジメチコンコポリオール)を含む。第3の成分は、0.03グラムのハーブラベンダーQ−12672、芳香剤、および1.2グラムの防腐剤ロンザグリダントを含む。成分1を成分2に添加し、約20分間混合した後、成分3を添加し、溶液を均質化させる。
【実施例9】
【0209】
洗浄剤を実施例3に添加して、洗浄剤対基体容量を基体1cm3当たり洗浄剤0.15gに合わせる。
【実施例10】
【0210】
洗浄剤を実施例5に添加して、洗浄剤対基体容量を基体1cm3当たり洗浄剤0.15gに合わせる。
【実施例11】
【0211】
洗浄剤を実施例7に添加して、洗浄剤対基体容量を基体1cm3当たり洗浄剤0.15gに合わせる。
【実施例12】
【0212】
洗浄剤を実施例8に添加して、洗浄剤対基体容量を基体1cm3当たり洗浄剤0.15gに合わせる。
【実施例13】
【0213】
固形分を約5%にするために脱イオン水で希釈された上記AFFINITY(商標)ベースの2−1−1分散体(10グラムのPOD分散体に対して約90グラムの水)を使用して軟質不織布基体を形成する。ポリエチレン系コポリマーを利用し、20g/m2の基本重量を有する軟質不織布(ハベラー/386 ELITE5600)を希釈分散体に浸し、取り出し、24時間風乾させて、不織布1グラム当たり固形分約0.22グラムの乾燥コート重量を有するポリオレフィンコーティング基体を得る。
【0214】
ポリオレフィンがコーティングされた軟質不織布基体の第1の基体層をシリコーン離型紙上に配置する。次いで、厚さ4.7mmの棒を、離型紙上に配置された基体上に300mm離して配置する。
【0215】
AFFINITY(商標)ベースの分散体から形成された泡を以下の手順によって調製する。約100グラムの分散体を混合ボウルに添加する。0.095g/ccの泡密度を目標として、3分間にわたって高設定にてホバートベンチトップミキサーを使用して分散体を混合する。次いで、スパチュラを使用して泡を基体に均一に分散させ、棒を除去する。次いで、ポリオレフィンコーティング不織布の第2の基体層を、散布したばかりの泡の上層に配置する。次いで、複合構造体を、25〜30分間にわたって、または表面温度が70〜75℃に達するまで75℃のオーブンに入れる。次いで、サンプルを室温まで冷却し、円形ダイを使用して50cm2のサンプルディスクに切断する。
【実施例14】
【0216】
米国特許第5,339,021号明細書、同第5,688,842号明細書、同第5,959,027号明細書および同第6,087,440号明細書に記載されているような連続機械分散法を使用して調製された親水性の水性ポリ(尿素/ウレタン)分散体(HYPOL)(The Dow Chemical Company社、ミシガン州Midlandから入手可能)を脱イオン水で希釈して、固形分を約5%にする(ポリ(尿素/ウレタン)分散体25グラムに対して水約75グラム)。ポリエチレン系コポリマーを利用し、20g/m2の基本重量を有する軟質不織布(ハベラー/386 ELITE5600)を希釈分散体に浸し、除去し、24時間空気乾燥させて、不織布1グラム当たり固形分約0.27グラムの乾燥コート重量を有するポリウレタンコーティング基体を得る。
【0217】
ポリウレタンがコーティングされた軟質不織布基体の第1の基体層をシリコーン離型紙上に配置する。次いで、厚さ4.7mmの棒を、離型紙上に配置された基体上に300mm離して配置する。
【0218】
AFFINITY(商標)ベースの分散体から形成された泡を以下の手順によって調製する。約100グラムの分散体を混合ボウルに添加する。0.095g/ccの泡密度を目標として、3分間にわたって高設定にてホバートベンチトップミキサーを使用して分散体を混合する。次いで、スパチュラを使用して泡を基体に均一に分散させ、棒を除去する。次いで、ポリウレタンコーティング不織布の第2の基体層を、散布したばかりの泡の上層に配置する。次いで、複合構造体を、25〜30分間にわたって、または表面温度が70〜75℃に達するまで75℃のオーブンに入れる。次いで、サンプルを室温まで冷却し、円形ダイを使用して50cm2のサンプルディスクに切断する。
【実施例15】
【0219】
150グラムの上記AFFINITY(商標)ベースの2−1−1分散体を発泡させることによって、ポリオレフィン発泡体サンプルを製造する。ホバートブランドのワイヤウィスカを利用したキッチンエイドミキサーを使用して、分散体を高速にて3分間混合して、0.10g/ccの密度を有する泡を得る。20.2cm×20.2cm×0.5cmの鋳型を使用して、得られた泡をシリコン離型紙に塗布する。次いで、成形された泡層を75℃で30分間乾燥させる。
【0220】
次いで、得られた泡を4”×4”のサンプルに切断し、スパンボンドされた親水性のPGI不織布基体上に配置する。不織布のさらなる層を発泡体の上層に配置する。次いで、ヒートシーラーを使用してサンプルの縁をカールさせて、発泡体を内部に含む正方形のポーチを形成する。
【0221】
1つのサンプルにおいて、不織布を内部の発泡体層に直接熱接着し、別の例において、不織布を内部の発泡体の周囲に熱接着する。この後者のサンプルにおいて、発泡体を不織布に接着せずに、不織布で包む。前者のサンプルにおいて、発泡体の周囲を不織布に接着し、発泡体の中心を不織布に接着しない。
【実施例16】
【0222】
200mm×400mm×4.4mmの鋳型を用いて実施例1の手順を繰り返し、第1の基体は、50g/m2の基本重量を有するポリエチレンコポリマーベースの弾性不織布であり、第2の基体は、25g/m2の基本重量を有するポリエチレンコポリマーベースの弾性不織布である。
【0223】
比較製造物
市場に存在する製造物を特定し、実施例1〜16で生成したサンプルと比較した。5つの特定製造物を比較サンプル1〜5とする。具体的には、該製造物は、比較サンプル1)NEUTROGENA(登録商標)Pure Glow Daily Cleansing Cushion;比較サンプル2)OLAY(登録商標)Daily Facials Deep Cleansing Cloths;比較サンプル3)PONDS(登録商標)Clean Sweep Cleansing&Makeup Removing Towlettes;比較サンプル4)DOVE(登録商標)Gentle Exfoliating Daily Facial Cleansing Pillows;および比較サンプル5)BIROE(商標)Pore Perfect Daily Deep Pore Cleansing Clothsである。
【0224】
比較サンプル、および上記実施例から生成されたサンプルを物理特性について試験した。結果データを以下の3つのセクション、すなわち感覚パネル試験、物理特性試験およびカワバタ評価システム(KES)試験に記載する。それぞれの試験法は、本明細書に開示されている複合構造体が既存の製造物と比較して有利な点を示すメカニズムを提供する。
【0225】
感覚パネル試験
感覚パネル試験は、人間の感覚によって実施例を比較サンプルと比較するための強制的格付けのシステムを提供する。これらのデータの中で、以下の特性を比較した。手触り摩擦、窪み深さ、膨み/容量、剛性および温熱性。これらの特性は、軟度の知覚にとって重要である。手触り摩擦が低く、窪み深さが大きく、膨み/容量が大きく、剛性が小さく、温熱性(または「暖かい感触」)が高い製造物を提供するのが望ましい。
【0226】
これらの結果により、乾燥実施例は、比較サンプルより窪み深さが大きく、膨み/容量が大きく、温熱性が低く、手触り摩擦が同等または高いことが示されている。それらの結果により、実施例は、より嵩高くより高容量の比較サンプルと比較して剛性が小さいことも示されている。
【0227】
これらの傾向は、温熱性および手触り摩擦を除いて、洗浄液が含まれた実施例、すなわち湿性サンプルについて当てはまる。これらの特性は、両特性が湿性比較サンプルと同等になるようにシフトする。湿性および乾燥サンプルのデータは、全体的に、実施例が比較サンプルより望ましい軟度特性、特に嵩高性と柔軟性のバランスを有することを示している。
【0228】
人間感覚パネルを使用して、軟度の知覚に関連すると考えられる製品特性を評価した。この特性を以下のように定義する。訓練された24人のパネリストが、無作為の順序の提示およびサンプルに対する無作為の3桁標示によりサンプルを評価した。サンプルを手触り摩擦または滑り性、窪み深さ、膨みおよび容量、剛性、温熱特性について評価した。
【0229】
人の手を複合構造体の表面全体にわたって移動させることによって手触り摩擦を評価する。評価側を上にして、サンプルをテーブル上に平らに配置する。手および前腕の重量を利用して、手を表面全体にわたって縁に平行なすべての4つの方向に水平に移動させる。滑り性をドラッグ無しから、1が最小ドラッグ(最大滑り)量に等しく、6が最大ドラッグに等しい1から6のドラッグスケールに基づいて評価する。
【0230】
下方の力が加えられたときのサンプル窪み量を評価することによって、窪み深さを特徴づける。サンプルをテーブル上に平らに配置する。指の先端を利用して、サンプルの中心を軽く押す。次いで、下方の力を抜く。窪み深さを、1が最小窪み量に等しく、6が最大窪みに等しい1から6のスケールに基づいて評価する。
【0231】
操作時に手に感じされる材料サンプルの量に基づいて膨みおよび容量を評価する。サンプルをテーブル上に平らに配置する。次いで、人の利き手をサンプルの上部に置き、サンプルの上部に指が指示するように位置づける。次いで、指を閉じ、指を手のひらの方に向けて複合サンプルを集める。次いで、反対側の手を利用して、サンプルをカップ状の利き手に押し込む。次いで、利き手をわずかに閉じ、手のひらの中でサンプルを回転させることによってサンプルを操作する。膨みおよび容量も、1が最小の膨み(低容量)であり、6が最大膨み(高容量)である1から6のスケールで測定する。
【0232】
剛性は、サンプルが尖っている、隆起している、またはひび割れていると感じられる程度を評価する。サンプルを平らに配置し、人の利き手をサンプルの上部に置き、サンプルの上部に指が指示するように位置づける。次いで、指を閉じ、指を手のひらの方に向けて複合サンプルを集める。次いで、反対側の手を利用して、サンプルをカップ状の利き手に押し込む。次いで、利き手をわずかに閉じ、手のひらの中でサンプルを回転させることによってサンプルを操作する。剛性も、1が最小の剛性(最も曲げやすい)であり、6が最大の剛性(最も曲げにくい)である1から6のスケールで測定する。
【0233】
温熱特性は、サンプルを皮膚に圧接させたときに感じられる加熱または冷却効果の差を評価する。サンプルを人の手のひらに平らに保持する。その手の上に他方の手を載せ、温度効果を評価する。温熱特性を、1が最も冷たい感触であり、6が最も暖かい感触である1から6のスケールで評価する。
【0234】
評価したサンプルを(平均した)パネル結果とともに表2に示す。窪み深さ、膨み/容量および剛性を上記スケールで評価した。リニアゲージを使用して、直径1”の領域に0.05psiの力を加えてサンプル厚さを定量的に測定した。これらの厚さ測定値を参考のために含める。
【0235】
【表1】
【0236】
弾性不織布(実施例1、2、3および4)は、軟質不織布(1.2)より大きな手触り摩擦(大きなドラッグ)(>2.8)の感触を示した。より厚い発泡体層は、窪み深さがより大きく、より高度な「クッション様」感触を示した。例えば、5.5mmのサンプル(実施例3)は4.83と評価されたのに対して、3.0mmのサンプル(実施例1)は1.29と評価された。
【0237】
高密度の発泡体(実施例4)は、より堅い感触を示した。例えば、低密度の発泡体は2.75と評価されたのに対して、高密度の発泡体は4.54と評価された。膨み/容量は、発泡体の厚さおよび密度と相関していたが、不織布もわずかな影響を及ぼした。
【0238】
上記サンプルを市販の製品と比較した。市販のワイプを洗濯して、界面活性剤および他の薬剤を除去し、次いで風乾させた。次いで、可能である場合はサンプルを直径8cmの円に切断した。切断するほど大きくないサンプルは、そのままの大きさで評価した。複合サンプルも直径8cmの円に切断した。市販のサンプルも評価し、それらの結果を表3に示す。
【0239】
【表2】
【0240】
市販のサンプルは、結果の大幅な変動を示した。比較サンプル1および4は、窪み深さ、膨み/容量および剛性が大きかったため、それらを上記に評価したサンプル(表2)と直接比較した。比較サンプル3は、商業的に入手可能なより典型的な構造物を代表するので、それも含めた。この比較の結果を表4に示す。
【0241】
【表3】
【0242】
ポリウレタンHYPOL*発泡体の非積層サンプル(実施例8)ならびにポリオレフィン発泡体のより低基本重量の弾性不織布(実施例5)の評価を含むさらなる試験を実施した。この試験において、「温熱性」特性の特徴付けをサンプルの評価に含めた。それらの結果を表5に示す。
【0243】
【表4】
【0244】
積層複合構造体(実施例3、4、5および7)およびHYPOL*発泡体(実施例8)は、市販のサンプルと比べて、窪み深さおよび膨み/容量について高い格付けを示した。そして、これらのサンプルは、容量および嵩高性が大きいにもかかわらず、市販の競合サンプルより剛性の格付けが良好であった。剛性の増加は、軟度にとってマイナスの特性であると考えられる。したがって、それらのデータは、剛性の増加を伴わない容量/嵩高性の向上が、複合構造体に対して全体的に柔軟な感触をもたらしていることを実証している。
【0245】
液体界面活性剤系を含むサンプルの手触り感触特性を評価するための試験も実施した。それらの結果を表6に示す。これらのサンプルはどれも、標準的な表面洗浄配合物がワイプに含まれていた。競合サンプルを洗濯し、空気乾燥させて、既存の洗浄剤を除去した。洗浄配合物を、容量ベースで基体1cm3当たり洗浄剤0.15グラムの同一充填量でそれらのサンプルのすべてに含めた。洗浄剤充填量による手触り感触の変化を最小限に抑えるために、これを実施した。
【0246】
【表5】
【0247】
洗浄配合物を含めると、手触り摩擦特性などの、評価した特性のいくつかにおいて知覚される差の程度が小さくなった。しかし、同じ傾向が、乾燥サンプルと湿性サンプルの間で顕著であった。具体的には、これらのサンプルはある程度の柔軟性を維持しつつも、競合サンプルよりも嵩高性が高く測定された。
【0248】
物理特性試験
本発明のサンプルと比較サンプルの物理特性の比較を示すための物理特性試験を含める。曲げ剛性;毛羽量、手触り、圧縮回復率および引張引裂強度が含まれる。具体的には、曲げ剛性は、製造物柔軟性の尺度であり、毛羽量は、摩耗に抵抗する、またはリントを生成させない製造物の能力の尺度であり、手触りは、製造物の表面摩擦、圧縮性および柔軟性の累積的な尺度であり、圧縮回復率は、製造物が圧縮後に嵩高性/厚さを保持する能力の尺度であり、引張引裂強度は、製造物が使用および包装体からの取出しに耐える強さの尺度である。用途の範囲内で、曲げ剛性が小さいこと、毛羽生成が小さいこと、サンプルの容量および重量ベースの手触りが小さいこと、圧縮回復率が大きいこと、および引張引裂強度が良好であることが望ましい。
【0249】
実施例と比較サンプルのさらなる比較データを示すために、いくつかの物理/機械特性試験を実施した。軟度の知覚と相関する引張強度、摩擦係数、ドレープ性および押し潰しの測定などの物理特性の間の相関性が文献調査によって示された。加えて、サンプル表面が擦られるとピリングするかどうかを判断するために摩耗試験を実施した。この特性は、柔軟感触に関連しないが、マイナスの特性である。
【0250】
曲げ剛性試験は、サンプル細片が曲がる前に縁にどのくらいの時間ぶら下がっていられるかを測定する、剛性の尺度である。残念なことに、市販の競合サンプルのいくつかは、曲げ剛性試験に対応する十分なサイズを有していなかった。比較サンプル3(PONDS(登録商標))は、非常に柔軟であるが、低容量/膨みを有するより単純な不織布設計である。曲げ剛性試験の結果を図4に示す。実施例2および4の複合体から製造されたサンプルのデータは、低密度発泡体のコンセプトが高密度発泡体のコンセプトより堅くないことを示しており、それは、上記に示した感覚パネルの結果と一致する。また、縦方向(MD)と横方向(CD)の剛性に差がある。
【0251】
摩耗試験は、製品表面が擦られるとピリングするかどうかの指標を与える。ここでも、最も関連する市販のサンプルの多くでは十分なサンプルサイズが不可能であった。規定の粒度のサンドペーパーを制御された力でサンプルの表面全体を擦ることによって摩耗試験を実施する。試験前後にサンプルを重量測定し、損失重量を測定して、サンドペーパーによって表面から形成され除去された毛羽の量を求める。
【0252】
毛羽抵抗試験の結果は、図5に示されており、高密度発泡体上に弾性不織布基体を使用すると表面のピリングに対する抵抗性が向上することを示している(実施例4)。評価した競合サンプルは、スパンレースPETである。スパンレーシング法は、繊維を機械的に撚り合わせて、不織布シートを形成することによりものであり、繊維を束ねるのに化学的または溶融バインダを利用しない。そのように、これらの繊維は、より摩耗しやすくマトリックスから除去され易いため、高い毛羽量測定値をもたらす。米国特許第6,994,763号明細書の中に記載されているように利用される弾性不織布は、不織布の繊維を結着するのに溶融連絡点を採用する。これらの結着点は、摩耗試験中の繊維の放出を抑えて、この種の不織布について、典型的には0.35から0.4mg/cm2であるより低い毛羽量を生成する。示されているように、この不織布の毛羽量は、高密度発泡体サンプル中に積層体として含まれている場合は0.44mg/cm2までわずかに増加する(実施例4)。毛羽量は、弾性不織布が低密度発泡体と併用される場合は、より有意に増加して、0.91mg/cm2の毛羽量を有する。これは、下部の材料の剛性および/または密度が表面基体の毛羽量に影響を及ぼすこと、および発泡体の密度が高いほど毛羽性能が良好であり、ベースの不織布の性能により近くなることを示している。
【0253】
このデータは、上記手触りパネルで測定された構造物全体の嵩高性または厚さを向上させながら、スパンレース不織布と比較した弾性不織布の耐摩耗性能の向上を維持できることを示している。この向上の維持は、下部材料の密度に左右される。
【0254】
「手触り」の測定は、表面摩擦による抵抗と、柔軟性と、布地材料の圧縮性との組合せであると考えられる。この手触りの測定は、不織布製品の軟度を表現するのにも利用された(米国特許第6,241,780号明細書および同第6,779,718号明細書ならびに国際公開第2006065563(A1)号パンフレットなど)。試験片の手触りは、測定器製造元によって記載されているように、一定幅の溝を通じた試験片を4つの方向の各々に動かすのに必要な力の合計である。サンプルの全体的な手触りは、サンプルの3つの試験片の平均値に基づく。グラム−力の単位のこの得られた全体的な手触りは、典型的に報告されているものであるが、これは、比較において、単位面積および単位容量当たりのサンプル重量間の均一性のレベルとみなす。一定の溝幅と比較した全サンプル容量の増加は、サンプルについて報告された全体的な手触りに影響を与えることになる。また、単位面積当たりのサンプル重量間のばらつきは、サンプルについて報告された全体的な手触りに影響を与えることになる。単位面積当たりのサンプル容量および/またはサンプル重量間のばらつきに対応するために、比較のためのより良好な尺度は、これらの要因、すなわち単位面積当たりの容量および重量に対して正規化された、サンプルについて報告された全体的な手触りである。単位面積当たりの単位容量および単位重量当たりの手触りが低いほど望ましい。
【0255】
図6および7は、それぞれサンプルの1立方センチメートル当たりの実測手触りおよび基本重量(グラム毎平方メートル、gsm)毎の実測手触りを示す。これらのデータは、実施例が、比較サンプルよりもサンプル基本重量およびサンプル容量当たりの低い手触り値をもたらすことを示している。この容量/膨み毎の軟度/柔軟性も手触りパネルデータに見られる。
【0256】
KES圧縮回復率は、材料が圧縮後にその元の嵩高性に戻る能力の尺度を与える。圧縮回復率が大きいほど、材料は、使用時に嵩高性および軟度の知覚を良好に維持することができる。KES圧縮回復率の結果を図8に示す。そのデータは、実施例が、比較サンプルと比較して、同様または向上した性能をもたらすことを示している。圧縮回復率の向上は、手触りパネル結果に見られるように、より大きい嵩高性によって達成される。
【0257】
PPT引裂試験は、全荷重、平均最大荷重および平均荷重として測定される不織布系の引裂強度の尺度を提供する。PPT引裂試験の結果を図9〜11に示す。そのデータは、実施例が、評価された比較サンプルより大きな全体的PPT引裂強度をもたらすことを示している。より大きな全体的PPT引裂強度は、比較サンプルと比較して、使用中の耐久性の有利性を示す。この耐久性の有利性は、手触りパネル結果に見られるように、より大きい嵩高性によって達成される。
【0258】
いくつかの実施例および比較サンプルの表面特性(摩擦係数)および表面形状(粗さ)値は、KES−FB4表面試験機を使用して測定され、20gf/cmの引張荷重がサンプルに加えられる。摩擦係数は、0から1のスケールの摩擦係数の尺度であるMIUで示され、より高いMIUは、より大きい摩擦または抵抗、およびドラッグに対応する。ミクロン単位で測定されるKES表面粗さに関しては、より高い値は、幾何学的により粗い表面に対応する。
【0259】
表面特性試験の結果を図12および13に示す。図12は、市販の比較サンプルと比較した、本明細書に開示されている複合構造体の実施形態の幾何学的粗さについてのカワバタ評価システム測定の結果のグラフ図である。図13は、市販の比較サンプルと比較した、本明細書に開示されている複合構造体の実施形態の摩擦係数についてのカワバタ評価システム測定の結果のグラフ図である。それらのデータは、実施例が、同等またはより小さい表面粗さを有しながら、より大きい摩擦係数を有することを示している。
【0260】
有利には、本明細書に開示されている実施形態は、発泡体および/または不織布を含む1つまたは複数の基体層を有する複合構造体を提供することができる。複合構造体は、有利には、各成分の軟度、嵩高性および機能性を単一構造体または複合構造体で実現させることができる。
【0261】
本明細書に開示されている実施形態の利点としては、軟度の向上、嵩高性の向上、粗さの向上、およびこれらの矛盾する要件のバランスを挙げることができる。また、洗浄剤などの活性成分を含有および送達するより高度な能力とともに、これらの利点を満たすことができる。さらなる有益性としては、コンテナ内での出荷および保管時における洗浄剤の保持および分離の低減、湿性系における界面活性剤の発泡の向上、ならびに活性剤の制御送達を挙げることができる。
【0262】
「乾燥」サンプルを含む、本明細書に開示されている複合構造体の実施形態は、有利には、より大きい容量の比較サンプルと比較して、高度な窪み深さおよび高度な膨み/容量および低い剛性を発揮することができる。湿性および乾燥サンプルのデータは、本明細書に開示されている複合構造体の実施形態が、比較サンプルより望ましい軟度特性を有することができることを示している。また、本明細書に開示されている実施形態は、有利には、高い引張引裂強度と低い毛羽生成量とを兼ね備えることができる。
【0263】
本発明を限定された数の実施形態に関して説明したが、本開示の恩恵を受ける当業者は、本明細書に開示されている発明の範囲から逸脱しない他の実施形態を導くことができることを理解するであろう。よって、本発明の範囲は、添付の請求項によってのみ限定されるべきである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基体、および
基体に接触する流体
を含む複合構造体であって、基体は、不織布、発泡体またはそれらの組合せを含み、15から500グラム毎平方メートルの基本重量を有することを特徴とする複合構造体。
【請求項2】
基体がパルプをさらに含む、請求項1に記載の複合構造体。
【請求項3】
1000mN・cm未満の曲げ剛性を有する、請求項1に記載の複合構造体。
【請求項4】
0.1から0.9MIUの範囲内のカワバタ評価システム摩擦係数を有する、請求項1に記載の複合構造体。
【請求項5】
0.7mg/cm2以下の摩耗試験毛羽量を有する、請求項1に記載の複合構造体。
【請求項6】
単位容量当たりの全体的な手触りが25gf/cm3未満である、請求項1に記載の複合構造体。
【請求項7】
単位面積当たりの単位重量当たりの全体的な手触りが1gf/g/m2未満である、請求項1に記載の複合構造体。
【請求項8】
35%を超えるカワバタ評価システム圧縮回復率を有する、請求項1に記載の複合構造体。
【請求項9】
縦方向および横方向のカワバタ評価システム表面粗さが3.5ミクロン未満である、請求項1に記載の複合構造体。
【請求項10】
発泡体がポリウレタンまたはポリオレフィンを含む、請求項1に記載の複合構造体。
【請求項11】
発泡体が0.025から0.1g/ccの密度を有する、請求項10に記載の複合構造体。
【請求項12】
ポリウレタンが、水、連鎖延長剤、界面活性剤およびポリウレタンプレポリマーを混合することによって調製される、請求項10に記載の複合構造体。
【請求項13】
ポリオレフィン含有発泡体が、エチレン系ホモポリマー、コポリマー、インターポリマーおよびマルチブロックコポリマー、ならびにプロピレン系ホモポリマー、コポリマー、インターポリマーおよびマルチブロックコポリマーの少なくとも1つを含む、請求項10に記載の複合構造体。
【請求項14】
不織布がポリオレフィンを含む、請求項1に記載の複合構造体。
【請求項15】
ポリオレフィン含有不織布が、エチレン系ホモポリマー、コポリマー、インターポリマーおよびマルチブロックコポリマー、ならびにプロピレン系ホモポリマー、コポリマー、インターポリマーおよびマルチブロックコポリマーの少なくとも1つを含む、請求項14に記載の複合構造体。
【請求項16】
流体が、洗浄界面活性剤、活性剤および促進充填剤の少なくとも1つを含む、請求項1に記載の複合構造体。
【請求項17】
少なくとも1つの基体層、および
基体層上に配置された連続気泡発泡体を含む少なくとも1つの層
を含む複合構造体であって、基体は、不織布、発泡体、またはそれらの組合せを含み、15から500グラム毎平方メートルの基本重量を有することを特徴とする複合構造体。
【請求項18】
1000mN・cm未満の曲げ剛性を有する、請求項17に記載の複合構造体。
【請求項19】
基体がパルプをさらに含む、請求項17に記載の複合体。
【請求項20】
0.1から0.9MIUの範囲内のカワバタ評価システム摩擦係数を有する、請求項17に記載の複合構造体。
【請求項21】
単位容量当たりの全体的な手触りが25gf/cm3未満である、請求項17に記載の複合構造体。
【請求項22】
単位面積当たりの単位重量当たりの全体的な手触りが1gf/g/m2未満である、請求項17に記載の複合構造体。
【請求項23】
35%を超えるカワバタ評価システム圧縮回復率を有する、請求項17に記載の複合構造体。
【請求項24】
少なくとも1つの基体層および少なくとも1つの連続気泡発泡体層の少なくとも1つが、洗浄界面活性剤、活性剤および促進充填剤の少なくとも1つをさらに含む、請求項17に記載の複合構造体。
【請求項25】
基体層が、軟質不織布、弾性不織布、布地、多孔質フィルムおよびコーティング不織布の少なくとも1つを含む、請求項17に記載の複合構造体。
【請求項26】
基体層が、一成分繊維、二成分繊維、スパンボンド繊維の少なくとも1つを含む、請求項17に記載の複合構造体。
【請求項27】
二成分繊維が、エラストマーポリマーコアおよびポリオレフィンシースを含む、請求項26に記載の複合構造体。
【請求項28】
基体層がポリオレフィンを含む、請求項17に記載の複合構造体。
【請求項29】
ポリオレフィン含有基体が、エチレン系ホモポリマー、コポリマー、インターポリマーおよびマルチブロックコポリマー、ならびにプロピレン系ホモポリマー、コポリマー、インターポリマーおよびマルチブロックコポリマーの少なくとも1つを含む、請求項28に記載の複合体。
【請求項30】
ポリオレフィンが、0.870g/ccから0.965g/ccの範囲の密度を有する、請求項28に記載の複合構造体。
【請求項31】
基体層が、25から150グラム毎平方メートルの範囲の基本重量を有する、請求項17に記載の複合構造体。
【請求項32】
基体層が、25から60グラム毎平方メートルの範囲の基本重量を有する、請求項17に記載の複合構造体。
【請求項33】
0.7mg/cm2以下の摩耗試験毛羽量を有する、請求項17に記載の複合構造体。
【請求項34】
基体層が、20グラム毎平方メートルの基本重量において10N/5cmの縦方向引張強度を有する、請求項17に記載の複合構造体。
【請求項35】
基体層が、0.1から50デニールの直径を有する繊維を含む、請求項17に記載の複合構造体。
【請求項36】
少なくとも1つの連続気泡発泡体層が、ポリウレタン、ポリオレフィン、セルロース系発泡体、ラテックス系発泡体および天然スポンジの少なくとも1つを含む、請求項17に記載の複合構造体。
【請求項37】
ポリウレタンが、水、連鎖延長剤、界面活性剤およびポリウレタンプレポリマーを混合することによって調製される、請求項36に記載の複合構造体。
【請求項38】
ポリオレフィン含有発泡体が、エチレン系ホモポリマー、コポリマー、インターポリマーおよびマルチブロックコポリマー、ならびにプロピレン系ホモポリマー、コポリマー、インターポリマーおよびマルチブロックコポリマーの少なくとも1つを含む、請求項36に記載の複合構造体。
【請求項39】
少なくとも1つの連続気泡発泡体層が、0.025から0.5g/ccの範囲の密度を有する、請求項17に記載の複合構造体。
【請求項40】
少なくとも1つの連続気泡発泡体層が、ポリウレタンを含み、0.05から0.3g/ccの範囲の密度を有する、請求項17に記載の複合構造体。
【請求項41】
少なくとも1つの連続気泡発泡体層が、ポリオレフィンを含み、0.03から0.07g/ccの範囲の密度を有する、請求項17に記載の複合構造体。
【請求項42】
少なくとも1つの連続気泡発泡体層の気泡の大多数のサイズが、約5から約1000ミクロンの範囲である、請求項17に記載の複合構造体。
【請求項43】
少なくとも1つの連続気泡発泡体層の気泡の大多数が楕円形である、請求項17に記載の複合構造体。
【請求項44】
少なくとも1つの発泡体層が、約0.5mmから約300mmの厚さを有する、請求項17に記載の複合構造体。
【請求項45】
少なくとも1つの発泡体層が、約1mmから約6mmの厚さを有する、請求項17に記載の複合構造体。
【請求項46】
少なくとも1つの発泡体層の第1および第2の基体層に対する接着性が、0.1lbf/in以上である、請求項17に記載の複合構造体。
【請求項47】
請求項17に記載の複合構造体を含む乾燥ワイプ。
【請求項48】
請求項17に記載の複合構造体を含む湿性ワイプ。
【請求項49】
少なくとも1つの基体層と連続気泡発泡体を含む少なくとも1つの層とを含む複合構造体を形成する方法であって、
水および熱可塑性ポリマーを含む泡を基体に塗布すること、および
水の少なくとも一部を泡から除去して発泡体を形成すること
を含み、基体は、25から150グラム毎平方メートルの基本重量を有する不織布を含む方法。
【請求項50】
複合構造体が、1000mN・cm未満の曲げ剛性を有する、請求項49に記載の方法。
【請求項51】
複合構造体が、0.4から0.9MIUの範囲内のカワバタ評価システム摩擦係数を有する、請求項49に記載の方法。
【請求項52】
第2の基体を泡に塗布することをさらに含む、請求項49に記載の方法。
【請求項53】
基体が、パルプをさらに含む、請求項49に記載の方法。
【請求項54】
第2の基体を発泡体に塗布することをさらに含む、請求項49に記載の方法。
【請求項55】
第2の基体が、前記基体の基本重量未満の基本重量を有する、請求項49に記載の方法。
【請求項56】
水、分散安定剤および熱可塑性ポリマーを含む分散体を基体にコーティングすること、
水の少なくとも一部を除去して熱可塑性ポリマーコーティング基体を形成すること
をさらに含む、請求項49に記載の方法。
【請求項57】
分散体熱可塑性ポリマーが、エチレン系ホモポリマー、コポリマー、インターポリマーおよびマルチブロックコポリマー、ならびにプロピレン系ホモポリマー、コポリマー、インターポリマーおよびマルチブロックコポリマーの少なくとも1つを含む、請求項56に記載の方法。
【請求項1】
基体、および
基体に接触する流体
を含む複合構造体であって、基体は、不織布、発泡体またはそれらの組合せを含み、15から500グラム毎平方メートルの基本重量を有することを特徴とする複合構造体。
【請求項2】
基体がパルプをさらに含む、請求項1に記載の複合構造体。
【請求項3】
1000mN・cm未満の曲げ剛性を有する、請求項1に記載の複合構造体。
【請求項4】
0.1から0.9MIUの範囲内のカワバタ評価システム摩擦係数を有する、請求項1に記載の複合構造体。
【請求項5】
0.7mg/cm2以下の摩耗試験毛羽量を有する、請求項1に記載の複合構造体。
【請求項6】
単位容量当たりの全体的な手触りが25gf/cm3未満である、請求項1に記載の複合構造体。
【請求項7】
単位面積当たりの単位重量当たりの全体的な手触りが1gf/g/m2未満である、請求項1に記載の複合構造体。
【請求項8】
35%を超えるカワバタ評価システム圧縮回復率を有する、請求項1に記載の複合構造体。
【請求項9】
縦方向および横方向のカワバタ評価システム表面粗さが3.5ミクロン未満である、請求項1に記載の複合構造体。
【請求項10】
発泡体がポリウレタンまたはポリオレフィンを含む、請求項1に記載の複合構造体。
【請求項11】
発泡体が0.025から0.1g/ccの密度を有する、請求項10に記載の複合構造体。
【請求項12】
ポリウレタンが、水、連鎖延長剤、界面活性剤およびポリウレタンプレポリマーを混合することによって調製される、請求項10に記載の複合構造体。
【請求項13】
ポリオレフィン含有発泡体が、エチレン系ホモポリマー、コポリマー、インターポリマーおよびマルチブロックコポリマー、ならびにプロピレン系ホモポリマー、コポリマー、インターポリマーおよびマルチブロックコポリマーの少なくとも1つを含む、請求項10に記載の複合構造体。
【請求項14】
不織布がポリオレフィンを含む、請求項1に記載の複合構造体。
【請求項15】
ポリオレフィン含有不織布が、エチレン系ホモポリマー、コポリマー、インターポリマーおよびマルチブロックコポリマー、ならびにプロピレン系ホモポリマー、コポリマー、インターポリマーおよびマルチブロックコポリマーの少なくとも1つを含む、請求項14に記載の複合構造体。
【請求項16】
流体が、洗浄界面活性剤、活性剤および促進充填剤の少なくとも1つを含む、請求項1に記載の複合構造体。
【請求項17】
少なくとも1つの基体層、および
基体層上に配置された連続気泡発泡体を含む少なくとも1つの層
を含む複合構造体であって、基体は、不織布、発泡体、またはそれらの組合せを含み、15から500グラム毎平方メートルの基本重量を有することを特徴とする複合構造体。
【請求項18】
1000mN・cm未満の曲げ剛性を有する、請求項17に記載の複合構造体。
【請求項19】
基体がパルプをさらに含む、請求項17に記載の複合体。
【請求項20】
0.1から0.9MIUの範囲内のカワバタ評価システム摩擦係数を有する、請求項17に記載の複合構造体。
【請求項21】
単位容量当たりの全体的な手触りが25gf/cm3未満である、請求項17に記載の複合構造体。
【請求項22】
単位面積当たりの単位重量当たりの全体的な手触りが1gf/g/m2未満である、請求項17に記載の複合構造体。
【請求項23】
35%を超えるカワバタ評価システム圧縮回復率を有する、請求項17に記載の複合構造体。
【請求項24】
少なくとも1つの基体層および少なくとも1つの連続気泡発泡体層の少なくとも1つが、洗浄界面活性剤、活性剤および促進充填剤の少なくとも1つをさらに含む、請求項17に記載の複合構造体。
【請求項25】
基体層が、軟質不織布、弾性不織布、布地、多孔質フィルムおよびコーティング不織布の少なくとも1つを含む、請求項17に記載の複合構造体。
【請求項26】
基体層が、一成分繊維、二成分繊維、スパンボンド繊維の少なくとも1つを含む、請求項17に記載の複合構造体。
【請求項27】
二成分繊維が、エラストマーポリマーコアおよびポリオレフィンシースを含む、請求項26に記載の複合構造体。
【請求項28】
基体層がポリオレフィンを含む、請求項17に記載の複合構造体。
【請求項29】
ポリオレフィン含有基体が、エチレン系ホモポリマー、コポリマー、インターポリマーおよびマルチブロックコポリマー、ならびにプロピレン系ホモポリマー、コポリマー、インターポリマーおよびマルチブロックコポリマーの少なくとも1つを含む、請求項28に記載の複合体。
【請求項30】
ポリオレフィンが、0.870g/ccから0.965g/ccの範囲の密度を有する、請求項28に記載の複合構造体。
【請求項31】
基体層が、25から150グラム毎平方メートルの範囲の基本重量を有する、請求項17に記載の複合構造体。
【請求項32】
基体層が、25から60グラム毎平方メートルの範囲の基本重量を有する、請求項17に記載の複合構造体。
【請求項33】
0.7mg/cm2以下の摩耗試験毛羽量を有する、請求項17に記載の複合構造体。
【請求項34】
基体層が、20グラム毎平方メートルの基本重量において10N/5cmの縦方向引張強度を有する、請求項17に記載の複合構造体。
【請求項35】
基体層が、0.1から50デニールの直径を有する繊維を含む、請求項17に記載の複合構造体。
【請求項36】
少なくとも1つの連続気泡発泡体層が、ポリウレタン、ポリオレフィン、セルロース系発泡体、ラテックス系発泡体および天然スポンジの少なくとも1つを含む、請求項17に記載の複合構造体。
【請求項37】
ポリウレタンが、水、連鎖延長剤、界面活性剤およびポリウレタンプレポリマーを混合することによって調製される、請求項36に記載の複合構造体。
【請求項38】
ポリオレフィン含有発泡体が、エチレン系ホモポリマー、コポリマー、インターポリマーおよびマルチブロックコポリマー、ならびにプロピレン系ホモポリマー、コポリマー、インターポリマーおよびマルチブロックコポリマーの少なくとも1つを含む、請求項36に記載の複合構造体。
【請求項39】
少なくとも1つの連続気泡発泡体層が、0.025から0.5g/ccの範囲の密度を有する、請求項17に記載の複合構造体。
【請求項40】
少なくとも1つの連続気泡発泡体層が、ポリウレタンを含み、0.05から0.3g/ccの範囲の密度を有する、請求項17に記載の複合構造体。
【請求項41】
少なくとも1つの連続気泡発泡体層が、ポリオレフィンを含み、0.03から0.07g/ccの範囲の密度を有する、請求項17に記載の複合構造体。
【請求項42】
少なくとも1つの連続気泡発泡体層の気泡の大多数のサイズが、約5から約1000ミクロンの範囲である、請求項17に記載の複合構造体。
【請求項43】
少なくとも1つの連続気泡発泡体層の気泡の大多数が楕円形である、請求項17に記載の複合構造体。
【請求項44】
少なくとも1つの発泡体層が、約0.5mmから約300mmの厚さを有する、請求項17に記載の複合構造体。
【請求項45】
少なくとも1つの発泡体層が、約1mmから約6mmの厚さを有する、請求項17に記載の複合構造体。
【請求項46】
少なくとも1つの発泡体層の第1および第2の基体層に対する接着性が、0.1lbf/in以上である、請求項17に記載の複合構造体。
【請求項47】
請求項17に記載の複合構造体を含む乾燥ワイプ。
【請求項48】
請求項17に記載の複合構造体を含む湿性ワイプ。
【請求項49】
少なくとも1つの基体層と連続気泡発泡体を含む少なくとも1つの層とを含む複合構造体を形成する方法であって、
水および熱可塑性ポリマーを含む泡を基体に塗布すること、および
水の少なくとも一部を泡から除去して発泡体を形成すること
を含み、基体は、25から150グラム毎平方メートルの基本重量を有する不織布を含む方法。
【請求項50】
複合構造体が、1000mN・cm未満の曲げ剛性を有する、請求項49に記載の方法。
【請求項51】
複合構造体が、0.4から0.9MIUの範囲内のカワバタ評価システム摩擦係数を有する、請求項49に記載の方法。
【請求項52】
第2の基体を泡に塗布することをさらに含む、請求項49に記載の方法。
【請求項53】
基体が、パルプをさらに含む、請求項49に記載の方法。
【請求項54】
第2の基体を発泡体に塗布することをさらに含む、請求項49に記載の方法。
【請求項55】
第2の基体が、前記基体の基本重量未満の基本重量を有する、請求項49に記載の方法。
【請求項56】
水、分散安定剤および熱可塑性ポリマーを含む分散体を基体にコーティングすること、
水の少なくとも一部を除去して熱可塑性ポリマーコーティング基体を形成すること
をさらに含む、請求項49に記載の方法。
【請求項57】
分散体熱可塑性ポリマーが、エチレン系ホモポリマー、コポリマー、インターポリマーおよびマルチブロックコポリマー、ならびにプロピレン系ホモポリマー、コポリマー、インターポリマーおよびマルチブロックコポリマーの少なくとも1つを含む、請求項56に記載の方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公表番号】特表2010−517836(P2010−517836A)
【公表日】平成22年5月27日(2010.5.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−550103(P2009−550103)
【出願日】平成20年2月11日(2008.2.11)
【国際出願番号】PCT/US2008/053547
【国際公開番号】WO2008/100842
【国際公開日】平成20年8月21日(2008.8.21)
【出願人】(502141050)ダウ グローバル テクノロジーズ インコーポレイティド (1,383)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成22年5月27日(2010.5.27)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年2月11日(2008.2.11)
【国際出願番号】PCT/US2008/053547
【国際公開番号】WO2008/100842
【国際公開日】平成20年8月21日(2008.8.21)
【出願人】(502141050)ダウ グローバル テクノロジーズ インコーポレイティド (1,383)
【Fターム(参考)】
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