複合基板、電子デバイス及び電子機器
【課題】信頼性を向上させることが可能な複合基板、この複合基板を備えた電子デバイス及び電子機器の提供。
【解決手段】複合基板1は、基板本体である絶縁部20と、絶縁部20を貫通する分離部15と、を備え、分離部15は、一方の端部につば部15aを有する柱状であって、つば部15aと柱状部15bとに跨り、つば部15aを貫通する凹部15cと、凹部15cによりつば部15aから柱状部15bにかけて形成された開口部15dとを、有し、絶縁部20における凹部15c内の部分と柱状部15bを取り巻く部分とが、開口部15dを介して一体化されていることを特徴とする。
【解決手段】複合基板1は、基板本体である絶縁部20と、絶縁部20を貫通する分離部15と、を備え、分離部15は、一方の端部につば部15aを有する柱状であって、つば部15aと柱状部15bとに跨り、つば部15aを貫通する凹部15cと、凹部15cによりつば部15aから柱状部15bにかけて形成された開口部15dとを、有し、絶縁部20における凹部15c内の部分と柱状部15bを取り巻く部分とが、開口部15dを介して一体化されていることを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複合基板、この複合基板を備えた電子デバイス及び電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複合基板としては、相互に対向する一対の主面を有するガラス基板本体と、一対の主面の両方で少なくとも一部が露出するようにガラス基板本体に埋設されたシリコン島状体と、を具備したガラス基板が知られている(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1によれば、このガラス基板は、ガラス基板本体とシリコン島状体との界面で高い密着性が得られるとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−47279号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1によれば、上記ガラス基板は、シリコン島状体が加熱されたガラス基板に押し込まれることによりガラス基板本体に固定されている構成となっている。
しかしながら、上記ガラス基板は、実施の形態において、シリコン島状体が例えば、略円錐状、略角錐状、円柱状、角柱状などの、ガラス基板本体に係合する部分がない形状に形成されている。
このことから、上記ガラス基板は、厚さ方向に加わる外力に対するシリコン島状体の固定強度が不十分となる虞がある。
これにより、上記ガラス基板は、厚さ方向に加わる外力によって、シリコン島状体がガラス基板本体に対して厚さ方向にずれてしまう、あるいはガラス基板本体から脱落してしまうなどの不具合が発生する虞がある。
この結果、上記ガラス基板は、例えば、ガラス基板本体とシリコン島状体との気密性(密着性)を十分に保持できなくなり、信頼性が低下するという問題がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態または適用例として実現することが可能である。
【0006】
[適用例1]本適用例にかかる複合基板は、絶縁部と、前記絶縁部を貫通して設けられ、両端が露出し、且つ、一方の端部に設けられているつば部及び該つば部上に設けられている柱状部を備えた導電部と、を備え、前記導電部は、前記つば部及び柱状部の内部に跨って設けられている凹部と、前記凹部に連通している開口部とを含み、前記開口部を介して前記つば部及び前記柱状部の内部に前記絶縁部が充填されていることを特徴とする。
【0007】
これによれば、複合基板は、導電部がつば部及び柱状部の内部に跨って設けられている凹部と、凹部に連通している開口部とを含み、開口部を介してつば部及び柱状部の内部に絶縁部が充填されている。
これにより、複合基板は、導電部が絶縁部に係合することとなり、厚さ方向に加わる外力に対する導電部(シリコン島状体に相当)の固定強度を、上記特許文献1の構成と比較して、格段に向上させることが可能となる。
この結果、複合基板は、上記特許文献1の構成よりも信頼性を向上させることができる。
【0008】
[適用例2]上記適用例にかかる複合基板において、導電性を有すると共に、平面視で前記絶縁部の外周を枠状に取り巻く外周枠部を備えたことが好ましい。
【0009】
これによれば、複合基板は、導電性を有すると共に、平面視で絶縁部の外周を枠状に取り巻く外周枠部を備えたことから、例えば、外周枠部を接地電位(GND)とすることにより、外部からのノイズ、静電気などに対するシールド効果を発揮することが可能となる。
【0010】
[適用例3]上記適用例にかかる複合基板において、前記外周枠部と前記導電部とを接続する梁部を備えたことが好ましい。
【0011】
これによれば、複合基板は、外周枠部と導電部とを接続する梁部を備えたことから、例えば、外部部材が搭載される導電部の電位を、梁部を介して外周枠部と同じ接地電位とすることで、外部部材に対する外部からのノイズ、静電気などに対するシールド効果を発揮することが可能となる。
【0012】
[適用例4]上記適用例にかかる複合基板において、前記絶縁部は、ホウケイ酸ガラスを含み、前記導電部は、シリコンを含むことが好ましい。
【0013】
これによれば、複合基板は、絶縁部がホウケイ酸ガラスを含み、導電部がシリコンを含むことから、絶縁部と導電部との絶縁分離を確実に行うことができる。
加えて、複合基板は、導電部がシリコンを含むことから、その物性により加工精度の高い複合基板を提供することができる。
また、複合基板は、絶縁部がホウケイ酸ガラスを含み、導電部がシリコンを含むことから、絶縁部と導電部との陽極接合が可能となる。
これにより、複合基板は、接合部材を別途用意する必要のない陽極接合を用いた効率的な製造方法を採用することが可能となる。
【0014】
[適用例5]上記適用例にかかる複合基板において、前記絶縁部は、可撓性を有する樹脂を含んでなることが好ましい。
【0015】
これによれば、複合基板は、絶縁部が可撓性を有する樹脂を含んでなることから、例えば、絶縁部にポリイミド系の樹脂を用いることで、折り曲げることが可能なフレキシブル複合基板を提供することができる。
【0016】
[適用例6]上記適用例にかかる複合基板において、前記導電部の前記柱状部は、角柱状であり、前記開口部が前記角柱の前記絶縁部と接する面のそれぞれに設けられていることが好ましい。
【0017】
これによれば、複合基板は、導電部の柱状部が角柱状であり、開口部が角柱の絶縁部と接する面のそれぞれに設けられていることから、厚さ方向に加わる外力に対する導電部の固定強度を、更に向上させることができる。
【0018】
[適用例7]上記適用例にかかる複合基板において、前記導電部の前記柱状部は、円柱状であることが好ましい。
【0019】
これによれば、複合基板は、導電部の柱状部が円柱状であることから、外力などが加わることにより生じる応力を、柱状部全体に略均等に分散させることができる。
【0020】
[適用例8]本適用例にかかる電子デバイスは、上記適用例のいずれか一例に記載の複合基板と、前記複合基板に搭載された機能素子と、を備えたことを特徴とする。
【0021】
これによれば、本構成の電子デバイスは、上記適用例のいずれか一例に記載の複合基板と、複合基板に搭載された機能素子と、を備えたことから、上記適用例のいずれか一例に記載の効果を奏する電子デバイスを提供することができる。
【0022】
[適用例9]本適用例にかかる電子機器は、上記適用例のいずれか一例に記載の複合基板を備えたことを特徴とする。
【0023】
これによれば、本構成の電子機器は、上記適用例のいずれか一例に記載の複合基板を備えたことから、上記適用例のいずれか一例に記載の効果を奏する電子機器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】複合基板の一例の概略構成を示す模式図であり、(a)は要部斜視図、(b)は、導電部の拡大斜視図、(c)は(a)のA−A線での断面図。
【図2】図1(b)の模式平面図であり、(a)は第1主面側から見た平面図、(b)は第2主面側から見た平面図。
【図3】複合基板の製造工程の一例を示すフローチャート。
【図4】(a)〜(d)は、各主要製造工程を説明する模式断面図。
【図5】(e)〜(g)は、各主要製造工程を説明する模式断面図。
【図6】ホウケイ酸ガラスの加熱温度と粘度との関係を表すグラフ。
【図7】分離部の柱状部形状のバリエーションを示す模式平面図であり、(a)は六角柱状の柱状部を示す平面図、(b)は円柱状の柱状部を示す平面図。
【図8】物理量センサーの概略構成を示す模式部分展開斜視図。
【図9】複合基板を備えた電子機器としてのモバイル型(またはノート型)のパーソナルコンピューターの構成を示す斜視図。
【図10】複合基板を備えた電子機器としての携帯電話機(PHSも含む)の構成を示す斜視図。
【図11】複合基板を備えた電子機器としてのデジタルスチルカメラの構成を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明を具体化した実施形態について図面を参照して説明する。
【0026】
(実施形態)
<複合基板>
最初に、複合基板の概略構成について説明する。
図1は、ウエハー状に複数個取りされた状態の複合基板の一例の概略構成を示す模式図である。図1(a)は、要部斜視図であり、図1(b)は、導電部の拡大斜視図であり、図1(c)は、図1(a)のA−A線での断面図である。
図2は、図1(b)の模式平面図であり、図2(a)は、第1主面側から見た平面図、図2(b)は、第2主面側から見た平面図である。
なお、以降の図を含め、説明の便宜上、各構成要素の寸法比率は実際と異なる。また、図1(a)の2点鎖線は、個片に分割する際の分割線を表す。
【0027】
図1、図2に示すように、複合基板1は、基板本体である平板状の絶縁部20と、絶縁部20を厚さ方向に貫通する導電部としての複数の分離部15と、を備えている。
分離部15は、絶縁部20に連接し露出する平面である第1主面11及び第2主面13を有している。そして、分離部15は、第2主面13側の一方の端部につば部15aが設けられ、つば部15a上に柱状部15bが設けられ、つば部15aと柱状部15bの内部とに跨り、つば部15aを厚さ方向(第1主面11と第2主面13とを結ぶ方向)に貫通する凹部15cと、凹部15cが設けられることにより、つば部15aから柱状部15bにかけて形成された(換言すれば、凹部15cに連通した)開口部15dと、を有している。
これにより、複合基板1は、絶縁部20における分離部15の凹部15c内の部分と、柱状部15bを取り巻く部分とが、開口部15dを介して一体化されている。換言すれば、複合基板1は、開口部15dを介してつば部15a及び柱状部15bの内部に絶縁部20が充填されている。
【0028】
分離部15は、柱状部15bが角柱状(ここでは、四角柱状)であり、開口部15dが四角柱(柱状部15b)の絶縁部20と接する面(ここでは、4つの側面)のそれぞれに設けられている(ここでは、4箇所に設けられている)。
図2に示すように、分離部15の凹部15cの平面形状は、菱形形状(換言すれば、上記柱状部15bを、柱状部15bの中心を回転軸にして45度回転させた四角形形状)であり、平面視で柱状部15bと交差し、柱状部15bの外側に出る部分が平面視における開口部15dとなる。なお、分かり易くするために図2(a)では第1主面11に、図2(b)では、第2主面13に網かけを施してある。
一方、厚さ方向においては、図1(c)に示すように、凹部15cの深さD1と、つば部15aの厚さT1との差の部分(D1−T1)が開口部15dとなる。
【0029】
複合基板1は、導電性を有すると共に、平面視で絶縁部20の外周を枠状(ここでは、四角い枠状)に取り巻く外周枠部10を備えている。また、複合基板1は、外周枠部10と分離部15とを接続する(機械的及び電気的に接続する)梁部12を備えている。なお、説明の便宜上、梁部12により外周枠部10と接続された分離部15を引き出し部16という。
なお、複合基板1は、外周枠部10にも、つば部10a、開口部10dが形成されていることが好ましい。
【0030】
分離部15、外周枠部10及び引き出し部16には、例えば、リン、ボロンなどの不純物がドープされた単結晶シリコン、ポリシリコンなどの低抵抗シリコンが用いられている。そして、絶縁部20には、例えば、ナトリウムなどのアルカリ金属イオン(可動イオン)を含んだホウケイ酸ガラスが用いられている。
【0031】
図1(c)に示すように、分離部15及び引き出し部16の少なくとも一部には、第1主面11及び第2主面13に電極パッド17が設けられている。電極パッド17の材料としては、例えば、Au、Pt、Ag、Cu、Alまたはこれらを含む合金などが挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
このように形成された分離部15及び引き出し部16は、例えば、第1主面11側の外部部材(外部素子、外部機器)と、第2主面13側の外部部材とを、第1主面11側及び第2主面13側間の気密性を有した状態で電気的に接続する貫通電極として機能する。
【0032】
ウエハー状に複数個取りされた状態の複合基板1は、図示しないダイシングソーなどの分割装置により図1(a)に示す分割線(2点鎖線)に沿って個片に分割される。
【0033】
次に、複合基板1の製造方法について説明する。
図3は、複合基板の製造工程の一例を示すフローチャートであり、図4(a)〜(d)、図5(e)〜(g)は、各主要製造工程を説明する模式断面図である。なお、これらの断面図は、図1(a)のB−B線での断面図に相当する。
図3に示すように、複合基板1の製造方法は、柱状部形成工程S1と、ガラス基板接合工程S2と、凹部形成工程S3と、加熱・吸引工程S4と、研磨工程S5と、電極パッド形成工程S6と、分割工程S7と、を有している。
【0034】
[柱状部形成工程S1]
まず、図4(a)に示すように、例えば、厚さ約300μmの、後に分離部15、外周枠部10及び引き出し部16となるシリコン基板115の第1主面11に、SiO2(二酸化ケイ素)を含んでなるマスクパターン101をフォトリソグラフィー法により形成する。
ついで、SF6(六フッ化硫黄)をエッチングガスとして第1主面11を、例えば、約200μmの深さまでドライエッチングし、分離部15の柱状部15b、引き出し部16の柱状部16b及び外周枠部10における柱状部に相当する部分の外形形状を形成する。
【0035】
[ガラス基板接合工程S2]
ついで、図4(b)に示すように、シリコン基板115の第1主面11に、例えば、厚さ約400μmの、後に絶縁部20となるガラス基板120を陽極接合法により接合する。
詳述すると、低抵抗シリコンであるシリコン基板115と、ナトリウムなどのアルカリ金属イオン(可動イオン)を含むホウケイ酸ガラスであるガラス基板120とを、約320℃の窒素雰囲気中で約800Vの電圧印加により陽極接合する。これにより、シリコン基板115とガラス基板120とは、静電引力により界面に共有結合が生じ強固に接合される。
【0036】
[凹部形成工程S3]
ついで、図4(c)に示すように、シリコン基板115の第2主面13に、SiO2からなるマスクパターン102をフォトリソグラフィー法により形成する。
ついで、SF6をエッチングガスとして第2主面13を、例えば、約200μmの深さまでドライエッチングし、複数の凹部15c,16cと、分離部15、外周枠部10及び引き出し部16をそれぞれ独立(分離)させる凹部18と、を形成する。
これにより、開口部15d,16d、つば部15a,16a,10aが形成される。このとき、図4(c)では図示しないが、外周枠部10にも、開口部10d(図1(c)参照)が形成される。そして、互いに繋がっていた分離部15、外周枠部10及び引き出し部16の第2主面13側が分離する。
【0037】
[加熱・吸引工程S4]
ついで、図4(d)に示すように、製造装置50を用いて、シリコン基板115の第1主面11側の分離部15、外周枠部10及び引き出し部16を取り巻く部分(以降、第1凹部116という)及び第2主面13側の凹部15c,16c,18、図示しない外周枠部10の凹部(以降、第2凹部118という)にガラス基板120を充填する。
複合基板1の製造装置50は、シリコン基板115の第2主面13を載置面51に載置し、シリコン基板115を介してガラス基板120を加熱して粘性流動状態にする加熱部52と、加熱部52の平滑な載置面51に設けられた複数の微細な貫通孔53を介してシリコン基板115の第2主面13側から吸引し、粘性流動状態のガラス基板120をシリコン基板115の第1凹部116及び第2凹部118に充填する吸引部54と、シリコン基板115、ガラス基板120、加熱部52、吸引部54の吸引口部分を収容する気密チャンバー55と、を備えた構成となっている。
【0038】
詳述すると、まず、気密チャンバー55内において、シリコン基板115の第2主面13を、ヒーターなどを備えた加熱部52の載置面51に載置し、加熱部52によりシリコン基板115を介してガラス基板120を加熱して粘性流動状態にする。
この際、加熱温度は、図6のホウケイ酸ガラスの加熱温度と粘度との関係を表すグラフに示すように、ガラス基板120の粘度η(dPa・s)の対数Logηが7.5〜14.0(dPa・s)の範囲内となるように設定されていることが好ましい。
加熱温度の一例としては、例えば、ホウケイ酸ガラスのガラス転移点以上で、且つ、ガラス軟化点以下の温度である約525℃〜約820℃の温度範囲が挙げられる。なお、後述するように、本製造方法は、真空状態で加熱することから、大気圧下で加熱する場合よりも加熱時間を短くすることが可能となる。
【0039】
上記加熱と共に、ガラス基板120を、吸引部54により加熱部52の載置面51に設けられた複数の微細な貫通孔53を介して、シリコン基板115の第2主面13側から真空状態(10-2Pa程度の減圧状態)で吸引(真空引き)する。これにより、粘性流動状態のガラス基板120を、シリコン基板115の第1凹部116及び、第1凹部116と第2凹部118との連通部分(開口部10d,15d,16d)から第2凹部118に充填する。
このとき、シリコン基板115の第2主面13は、吸引により加熱部52の載置面51に密着している(吸着されている)ことから、第2主面13側への粘性流動状態のガラス基板120の侵入や、分離部15の移動(位置ずれ)が回避される。
【0040】
[研磨工程S5]
ついで、図5(e)に示すように、ウエハー状態の複合基板1の第1主面11側及び第2主面13側を研磨し、吸引時にシリコン基板115の第1主面11に僅かに残ったガラス基板120の残渣や、吸引時に貫通孔53内に引き込まれ、シリコン基板115の第2主面13から外側(貫通孔53側)に僅かに突出したガラス基板120の突出部を平滑化する。
【0041】
[電極パッド形成工程S6]
ついで、図5(f)に示すように、分離部15及び引き出し部16の第1主面11側及び第2主面13側に、例えば、Au、Pt、Ag、Cu、Alまたはこれらを含む合金などの電極材料を用いて、蒸着またはスパッタリングにより電極パッド17を形成する。
これにより、分離部15及び引き出し部16は、貫通電極としての機能を有することとなる。
【0042】
[分割工程S7]
ついで、図5(g)に示すように、ウエハー状態の複合基板1を図示しないダイシングソーなどの分割装置により、分割線19に沿って個片に分割する。これにより、例えば、後述する図8に示す物理量センサー2に用いられるような複合基板1を得る。
なお、上記柱状部形成工程S1及び凹部形成工程S3におけるドライエッチングに代えて、ウエットエッチングとしてもよい。
【0043】
上述したように、本実施形態の複合基板1は、分離部15が、つば部15aを有する柱状であって、つば部15aと柱状部15bとに跨り、つば部15aを貫通する凹部15cと、つば部15aから柱状部15bにかけて形成された開口部15dとを、有している。そして、複合基板1は、絶縁部20における凹部15c内の部分と、柱状部15bを取り巻く部分とが、開口部15dを介して一体化されている。
これにより、複合基板1は、分離部15が絶縁部20に係合することとなり、厚さ方向に加わる外力に対する分離部15の固定強度を、従来の特許文献1の構成と比較して、格段に向上させることが可能となる。この結果、複合基板1は、特許文献1の構成よりも信頼性を向上させることができる。
【0044】
また、複合基板1は、導電性を有すると共に、平面視で絶縁部20の外周を枠状に取り巻く外周枠部10を備えたことから、例えば、外周枠部10を接地電位(GND)とすることにより、外部からのノイズ、静電気などに対するシールド効果を発揮することが可能となる。
【0045】
また、複合基板1は、外周枠部10と分離部15とを接続する梁部12を備えたことから、例えば、外部部材が搭載される引き出し部16の電位を、梁部12を介して外周枠部10と同じ接地電位とすることで、外部部材に対する外部からのノイズ、静電気などに対するシールド効果を発揮することが可能となる。
【0046】
また、複合基板1は、絶縁部20がホウケイ酸ガラスを含み、分離部15がシリコンを含むことから、絶縁部20と分離部15との絶縁分離を確実に行うことができる。
加えて、複合基板1は、分離部15がシリコンを含むから、その物性により加工精度の高い複合基板を提供することができる。
また、複合基板1は、絶縁部20がホウケイ酸ガラスを含み、分離部15がシリコンを含むことから、絶縁部20(ガラス基板120)と分離部15(シリコン基板115)との陽極接合が可能となる。
これにより、複合基板1は、製造工程においてガラス基板120とシリコン基板115とを陽極接合することによって、接合部材を別途用意することなく、効率的な製造が可能となる。
【0047】
また、複合基板1は、分離部15の柱状部15bが四角柱状であり、開口部15dが四角柱(柱状部15b)の絶縁部20と接する4面のそれぞれに設けられていることから、厚さ方向に加わる外力に対する分離部15の固定強度を、例えば、開口部15dが4面の内の一部の面に設けられている場合よりも、更に向上させることができる。
なお、分離部15(引き出し部16)の柱状部15b(16b)の形状は、四角柱状に限定されるものではなく、図7に示すような形状であってもよい。
【0048】
図7は、分離部の柱状部形状のバリエーションを示す模式平面図であり、図7(a)は、六角柱状の柱状部を示す平面図、図7(b)は、円柱状の柱状部を示す平面図である。
図7(a)に示すように、分離部15の柱状部15bの形状は、六角柱状であってもよい。これによれば、複合基板1は、凹部15cの平面形状を柱状部15bの形状に合わせて六角形とすることで、開口部15dを6箇所設けることができる。
この結果、複合基板1は、厚さ方向に加わる外力に対する分離部15の固定強度を、上記実施形態よりも更に向上させることが可能となる。
なお、分離部15の柱状部15bの形状は、三角柱状であってもよく、五角柱状や八角柱状などの多角柱状であってもよい。
【0049】
また、図7(b)に示すように、分離部15の柱状部15bの形状は、円柱状であってもよい。これによれば、複合基板1は、分離部15の柱状部15bが円柱状であることから、外力などが加わることにより生じる応力を、柱状部15b全体に略均等に分散させることができる。
なお、分離部15の柱状部15bの形状は、角柱状でもなく円柱状でもない、例えば、楕円柱状などの異形柱状であってもよい。
【0050】
なお、分離部15の凹部15cの平面形状は、菱形(四角形)や六角形などの多角形に限定されるものではなく、例えば、図7(b)に示すような、十字穴付きねじの十字穴形状のような形状であってもよい。これによれば、複合基板1は、隣り合う開口部15d間の柱状部15bの径方向(第1主面11に沿った方向)の肉厚を十分に確保することが可能となることから、分離部15の固定強度を更に向上させることができる。
なお、つば部15aの平面形状は、四角形状に限定されるものではなく、五角形や六角形、八角形などの多角形状としてもよく、円形状としてもよい。
【0051】
また、複合基板1は、ホウケイ酸ガラスに変えて可撓性を有する樹脂を絶縁部20に用いてもよい。これによれば、複合基板1は、絶縁部20が可撓性を有する樹脂を含んでなることから、例えば、絶縁部20にポリイミド系の樹脂を用いることで、折り曲げることが可能なフレキシブル複合基板を提供することができる。
なお、引き出し部16、外周枠部10は、複合基板1の用途によっては、なくてもよい。
【0052】
<電子デバイス>
次に、複合基板と、複合基板に搭載された機能素子と、を備えた電子デバイスについて説明する。
上述した複合基板1は、例えば、電子デバイスのパッケージ機能を兼ね備えた基板として用いることが可能である。ここでは、複合基板1を備えた電子デバイスの一例としての物理量センサーについて説明する。
図8は、物理量センサーの概略構成を示す模式部分展開斜視図である。
【0053】
図8に示すように、物理量センサー2は、パッケージベースを兼ねた複合基板1と、複合基板1に搭載された機能素子の一例としてのセンサー素子30と、センサー素子30を覆い複合基板1に気密に接合されたキャップ40(蓋体)と、を備えている。
これにより、物理量センサー2は、複合基板1とキャップ40とで、センサー素子30を収容するパッケージ60が構成されていることとなる。
【0054】
センサー素子30は、例えば、複合基板1の引き出し部16に取り付けられ、センサー素子30の図示しない複数の端子は、例えば、Au、Alなどの金属ワイヤー31を用いたワイヤーボンディングにより、複合基板1の分離部15(引き出し部16)にそれぞれ接続されている(電気的に接続されている)。
なお、センサー素子30は、表裏を反転し、複数の端子が直接またはAu、Al、ハンダなどのバンプを介して、分離部15(引き出し部16)にフリップチップ実装される構成とすることも可能である。
【0055】
キャップ40は、一面が開口した箱状に形成されており、内部空間41を介してセンサー素子30、金属ワイヤー31を覆い、開口側が複合基板1の外周枠部10に接合されている。なお、キャップ40は、ナトリウムなどのアルカリ金属イオン(可動イオン)を含むガラス(例えば、ホウケイ酸ガラス)を用いることにより、複合基板1のシリコンを含んでなる外周枠部10との陽極接合が可能となる。
また、物理量センサー2は、キャップ40に導電性材料を用いることにより、例えば、外周枠部10を接地電位(GND)とすることで、複合基板1とキャップ40とによって、外部からのノイズ、静電気などに対するシールド効果を発揮することが可能となる。
【0056】
物理量センサー2の内部空間41は、気密に封止されており、センサー素子30の種類(例えば、圧力センサー、加速度センサー、角速度センサーなど)や物理量の検出方法によって、真空状態(減圧状態)または窒素、ヘリウム、アルゴンなどの不活性ガスが充填された状態となっている。
このような構成により、物理量センサー2は、センサー素子30を、複合基板1の貫通電極として機能し固定強度の向上によって信頼性が向上した分離部15(引き出し部16)を介して、内部空間41の気密性を維持しつつ、外部部材と電気的に接続させることが可能となる。この結果、物理量センサー2は、例えば、特許文献1のガラス基板を用いた場合よりも、信頼性を向上させることができる。
なお、電子デバイスは、上述した物理量センサーなどのセンサーデバイスに限定されるものではなく、例えば、水晶振動子、水晶発振器などのタイミングデバイスや、周波数フィルター、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)デバイスなどにも適用可能である。
【0057】
<電子機器>
次に、複合基板を備えた電子機器について説明する。
図9は、複合基板を備えた電子機器としてのモバイル型(またはノート型)のパーソナルコンピューターの構成を示す斜視図である。
図9に示すように、パーソナルコンピューター1100は、キーボード1102を備えた本体部1104と、表示部1101を有する表示ユニット1106とにより構成され、表示ユニット1106は、本体部1104に対しヒンジ構造部を介して回動可能に支持されている。
このようなパーソナルコンピューター1100には、複合基板1が内蔵されている。
【0058】
図10は、複合基板を備えた電子機器としての携帯電話機(PHSも含む)の構成を示す斜視図である。
図10に示すように、携帯電話機1200は、複数の操作ボタン1202、受話口1204及び送話口1206を備え、操作ボタン1202と受話口1204との間には、表示部1201が配置されている。
このような携帯電話機1200には、複合基板1が内蔵されている。
【0059】
図11は、複合基板を備えた電子機器としてのデジタルスチルカメラの構成を示す斜視図である。なお、この図11には、外部機器との接続についても簡易的に示されている。
ここで、通常のカメラは、被写体の光像により銀塩写真フィルムを感光するのに対し、デジタルスチルカメラ1300は、被写体の光像をCCD(Charge Coupled Device)などの撮像素子により光電変換して撮像信号(画像信号)を生成する。
デジタルスチルカメラ1300におけるケース(ボディー)1302の背面(図中手前側)には、表示部1310が設けられ、CCDによる撮像信号に基づいて表示を行う構成になっており、表示部1310は、被写体を電子画像として表示するファインダーとして機能する。
また、ケース1302の正面側(図中奥側)には、光学レンズ(撮像光学系)やCCDなどを含む受光ユニット1304が設けられている。
【0060】
撮影者が表示部1310に表示された被写体像を確認し、シャッターボタン1306を押下すると、その時点におけるCCDの撮像信号が、メモリー1308に転送・格納される。
また、このデジタルスチルカメラ1300においては、ケース1302の側面に、ビデオ信号出力端子1312と、データ通信用の入出力端子1314とが設けられている。そして、ビデオ信号出力端子1312には、テレビモニター1430が、データ通信用の入出力端子1314には、パーソナルコンピューター1440が、それぞれ必要に応じて接続される。更に、所定の操作により、メモリー1308に格納された撮像信号が、テレビモニター1430や、パーソナルコンピューター1440に出力される構成になっている。
このようなデジタルスチルカメラ1300には、複合基板1が内蔵されている。
【0061】
このような電子機器は、信頼性に優れた複合基板1を備えたことから、優れた性能を発揮することができる。
なお、上記複合基板1を備えた電子機器は、図9のパーソナルコンピューター(モバイル型パーソナルコンピューター)、図10の携帯電話機、図11のデジタルスチルカメラの他にも、例えば、インクジェット式吐出装置(例えばインクジェットプリンター)、ラップトップ型パーソナルコンピューター、テレビ、ビデオカメラ、ビデオテープレコーダー、各種ナビゲーション装置、ページャー、電子手帳(通信機能付も含む)、電子辞書、電卓、電子ゲーム機器、ワードプロセッサー、ワークステーション、テレビ電話、防犯用テレビモニター、電子双眼鏡、POS端末、医療機器(例えば、電子体温計、血圧計、血糖計、心電図計測装置、超音波診断装置、電子内視鏡)、魚群探知機、各種測定機器、計器類(例えば、車両、航空機、船舶の計器類)、フライトシミュレーターなどに適用することができる。
【符号の説明】
【0062】
1…複合基板、2…電子デバイスとしての物理量センサー、10…外周枠部、10a…つば部、10d…開口部、11…第1主面、12…梁部、13…第2主面、15…導電部としての分離部、15a…つば部、15b…柱状部、15c…凹部、15d…開口部、16…引き出し部、16a…つば部、16b…柱状部、16c…凹部、16d…開口部、17…電極パッド、18…凹部、19…分割線、20…絶縁部、30…機能素子としてのセンサー素子、31…金属ワイヤー、40…キャップ、41…内部空間、50…製造装置、51…載置面、52…加熱部、53…貫通孔、54…吸引部、55…気密チャンバー、60…パッケージ、101,102…マスクパターン、115…シリコン基板、116…第1凹部、118…第2凹部、120…ガラス基板。
【技術分野】
【0001】
本発明は、複合基板、この複合基板を備えた電子デバイス及び電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複合基板としては、相互に対向する一対の主面を有するガラス基板本体と、一対の主面の両方で少なくとも一部が露出するようにガラス基板本体に埋設されたシリコン島状体と、を具備したガラス基板が知られている(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1によれば、このガラス基板は、ガラス基板本体とシリコン島状体との界面で高い密着性が得られるとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−47279号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1によれば、上記ガラス基板は、シリコン島状体が加熱されたガラス基板に押し込まれることによりガラス基板本体に固定されている構成となっている。
しかしながら、上記ガラス基板は、実施の形態において、シリコン島状体が例えば、略円錐状、略角錐状、円柱状、角柱状などの、ガラス基板本体に係合する部分がない形状に形成されている。
このことから、上記ガラス基板は、厚さ方向に加わる外力に対するシリコン島状体の固定強度が不十分となる虞がある。
これにより、上記ガラス基板は、厚さ方向に加わる外力によって、シリコン島状体がガラス基板本体に対して厚さ方向にずれてしまう、あるいはガラス基板本体から脱落してしまうなどの不具合が発生する虞がある。
この結果、上記ガラス基板は、例えば、ガラス基板本体とシリコン島状体との気密性(密着性)を十分に保持できなくなり、信頼性が低下するという問題がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態または適用例として実現することが可能である。
【0006】
[適用例1]本適用例にかかる複合基板は、絶縁部と、前記絶縁部を貫通して設けられ、両端が露出し、且つ、一方の端部に設けられているつば部及び該つば部上に設けられている柱状部を備えた導電部と、を備え、前記導電部は、前記つば部及び柱状部の内部に跨って設けられている凹部と、前記凹部に連通している開口部とを含み、前記開口部を介して前記つば部及び前記柱状部の内部に前記絶縁部が充填されていることを特徴とする。
【0007】
これによれば、複合基板は、導電部がつば部及び柱状部の内部に跨って設けられている凹部と、凹部に連通している開口部とを含み、開口部を介してつば部及び柱状部の内部に絶縁部が充填されている。
これにより、複合基板は、導電部が絶縁部に係合することとなり、厚さ方向に加わる外力に対する導電部(シリコン島状体に相当)の固定強度を、上記特許文献1の構成と比較して、格段に向上させることが可能となる。
この結果、複合基板は、上記特許文献1の構成よりも信頼性を向上させることができる。
【0008】
[適用例2]上記適用例にかかる複合基板において、導電性を有すると共に、平面視で前記絶縁部の外周を枠状に取り巻く外周枠部を備えたことが好ましい。
【0009】
これによれば、複合基板は、導電性を有すると共に、平面視で絶縁部の外周を枠状に取り巻く外周枠部を備えたことから、例えば、外周枠部を接地電位(GND)とすることにより、外部からのノイズ、静電気などに対するシールド効果を発揮することが可能となる。
【0010】
[適用例3]上記適用例にかかる複合基板において、前記外周枠部と前記導電部とを接続する梁部を備えたことが好ましい。
【0011】
これによれば、複合基板は、外周枠部と導電部とを接続する梁部を備えたことから、例えば、外部部材が搭載される導電部の電位を、梁部を介して外周枠部と同じ接地電位とすることで、外部部材に対する外部からのノイズ、静電気などに対するシールド効果を発揮することが可能となる。
【0012】
[適用例4]上記適用例にかかる複合基板において、前記絶縁部は、ホウケイ酸ガラスを含み、前記導電部は、シリコンを含むことが好ましい。
【0013】
これによれば、複合基板は、絶縁部がホウケイ酸ガラスを含み、導電部がシリコンを含むことから、絶縁部と導電部との絶縁分離を確実に行うことができる。
加えて、複合基板は、導電部がシリコンを含むことから、その物性により加工精度の高い複合基板を提供することができる。
また、複合基板は、絶縁部がホウケイ酸ガラスを含み、導電部がシリコンを含むことから、絶縁部と導電部との陽極接合が可能となる。
これにより、複合基板は、接合部材を別途用意する必要のない陽極接合を用いた効率的な製造方法を採用することが可能となる。
【0014】
[適用例5]上記適用例にかかる複合基板において、前記絶縁部は、可撓性を有する樹脂を含んでなることが好ましい。
【0015】
これによれば、複合基板は、絶縁部が可撓性を有する樹脂を含んでなることから、例えば、絶縁部にポリイミド系の樹脂を用いることで、折り曲げることが可能なフレキシブル複合基板を提供することができる。
【0016】
[適用例6]上記適用例にかかる複合基板において、前記導電部の前記柱状部は、角柱状であり、前記開口部が前記角柱の前記絶縁部と接する面のそれぞれに設けられていることが好ましい。
【0017】
これによれば、複合基板は、導電部の柱状部が角柱状であり、開口部が角柱の絶縁部と接する面のそれぞれに設けられていることから、厚さ方向に加わる外力に対する導電部の固定強度を、更に向上させることができる。
【0018】
[適用例7]上記適用例にかかる複合基板において、前記導電部の前記柱状部は、円柱状であることが好ましい。
【0019】
これによれば、複合基板は、導電部の柱状部が円柱状であることから、外力などが加わることにより生じる応力を、柱状部全体に略均等に分散させることができる。
【0020】
[適用例8]本適用例にかかる電子デバイスは、上記適用例のいずれか一例に記載の複合基板と、前記複合基板に搭載された機能素子と、を備えたことを特徴とする。
【0021】
これによれば、本構成の電子デバイスは、上記適用例のいずれか一例に記載の複合基板と、複合基板に搭載された機能素子と、を備えたことから、上記適用例のいずれか一例に記載の効果を奏する電子デバイスを提供することができる。
【0022】
[適用例9]本適用例にかかる電子機器は、上記適用例のいずれか一例に記載の複合基板を備えたことを特徴とする。
【0023】
これによれば、本構成の電子機器は、上記適用例のいずれか一例に記載の複合基板を備えたことから、上記適用例のいずれか一例に記載の効果を奏する電子機器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】複合基板の一例の概略構成を示す模式図であり、(a)は要部斜視図、(b)は、導電部の拡大斜視図、(c)は(a)のA−A線での断面図。
【図2】図1(b)の模式平面図であり、(a)は第1主面側から見た平面図、(b)は第2主面側から見た平面図。
【図3】複合基板の製造工程の一例を示すフローチャート。
【図4】(a)〜(d)は、各主要製造工程を説明する模式断面図。
【図5】(e)〜(g)は、各主要製造工程を説明する模式断面図。
【図6】ホウケイ酸ガラスの加熱温度と粘度との関係を表すグラフ。
【図7】分離部の柱状部形状のバリエーションを示す模式平面図であり、(a)は六角柱状の柱状部を示す平面図、(b)は円柱状の柱状部を示す平面図。
【図8】物理量センサーの概略構成を示す模式部分展開斜視図。
【図9】複合基板を備えた電子機器としてのモバイル型(またはノート型)のパーソナルコンピューターの構成を示す斜視図。
【図10】複合基板を備えた電子機器としての携帯電話機(PHSも含む)の構成を示す斜視図。
【図11】複合基板を備えた電子機器としてのデジタルスチルカメラの構成を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明を具体化した実施形態について図面を参照して説明する。
【0026】
(実施形態)
<複合基板>
最初に、複合基板の概略構成について説明する。
図1は、ウエハー状に複数個取りされた状態の複合基板の一例の概略構成を示す模式図である。図1(a)は、要部斜視図であり、図1(b)は、導電部の拡大斜視図であり、図1(c)は、図1(a)のA−A線での断面図である。
図2は、図1(b)の模式平面図であり、図2(a)は、第1主面側から見た平面図、図2(b)は、第2主面側から見た平面図である。
なお、以降の図を含め、説明の便宜上、各構成要素の寸法比率は実際と異なる。また、図1(a)の2点鎖線は、個片に分割する際の分割線を表す。
【0027】
図1、図2に示すように、複合基板1は、基板本体である平板状の絶縁部20と、絶縁部20を厚さ方向に貫通する導電部としての複数の分離部15と、を備えている。
分離部15は、絶縁部20に連接し露出する平面である第1主面11及び第2主面13を有している。そして、分離部15は、第2主面13側の一方の端部につば部15aが設けられ、つば部15a上に柱状部15bが設けられ、つば部15aと柱状部15bの内部とに跨り、つば部15aを厚さ方向(第1主面11と第2主面13とを結ぶ方向)に貫通する凹部15cと、凹部15cが設けられることにより、つば部15aから柱状部15bにかけて形成された(換言すれば、凹部15cに連通した)開口部15dと、を有している。
これにより、複合基板1は、絶縁部20における分離部15の凹部15c内の部分と、柱状部15bを取り巻く部分とが、開口部15dを介して一体化されている。換言すれば、複合基板1は、開口部15dを介してつば部15a及び柱状部15bの内部に絶縁部20が充填されている。
【0028】
分離部15は、柱状部15bが角柱状(ここでは、四角柱状)であり、開口部15dが四角柱(柱状部15b)の絶縁部20と接する面(ここでは、4つの側面)のそれぞれに設けられている(ここでは、4箇所に設けられている)。
図2に示すように、分離部15の凹部15cの平面形状は、菱形形状(換言すれば、上記柱状部15bを、柱状部15bの中心を回転軸にして45度回転させた四角形形状)であり、平面視で柱状部15bと交差し、柱状部15bの外側に出る部分が平面視における開口部15dとなる。なお、分かり易くするために図2(a)では第1主面11に、図2(b)では、第2主面13に網かけを施してある。
一方、厚さ方向においては、図1(c)に示すように、凹部15cの深さD1と、つば部15aの厚さT1との差の部分(D1−T1)が開口部15dとなる。
【0029】
複合基板1は、導電性を有すると共に、平面視で絶縁部20の外周を枠状(ここでは、四角い枠状)に取り巻く外周枠部10を備えている。また、複合基板1は、外周枠部10と分離部15とを接続する(機械的及び電気的に接続する)梁部12を備えている。なお、説明の便宜上、梁部12により外周枠部10と接続された分離部15を引き出し部16という。
なお、複合基板1は、外周枠部10にも、つば部10a、開口部10dが形成されていることが好ましい。
【0030】
分離部15、外周枠部10及び引き出し部16には、例えば、リン、ボロンなどの不純物がドープされた単結晶シリコン、ポリシリコンなどの低抵抗シリコンが用いられている。そして、絶縁部20には、例えば、ナトリウムなどのアルカリ金属イオン(可動イオン)を含んだホウケイ酸ガラスが用いられている。
【0031】
図1(c)に示すように、分離部15及び引き出し部16の少なくとも一部には、第1主面11及び第2主面13に電極パッド17が設けられている。電極パッド17の材料としては、例えば、Au、Pt、Ag、Cu、Alまたはこれらを含む合金などが挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
このように形成された分離部15及び引き出し部16は、例えば、第1主面11側の外部部材(外部素子、外部機器)と、第2主面13側の外部部材とを、第1主面11側及び第2主面13側間の気密性を有した状態で電気的に接続する貫通電極として機能する。
【0032】
ウエハー状に複数個取りされた状態の複合基板1は、図示しないダイシングソーなどの分割装置により図1(a)に示す分割線(2点鎖線)に沿って個片に分割される。
【0033】
次に、複合基板1の製造方法について説明する。
図3は、複合基板の製造工程の一例を示すフローチャートであり、図4(a)〜(d)、図5(e)〜(g)は、各主要製造工程を説明する模式断面図である。なお、これらの断面図は、図1(a)のB−B線での断面図に相当する。
図3に示すように、複合基板1の製造方法は、柱状部形成工程S1と、ガラス基板接合工程S2と、凹部形成工程S3と、加熱・吸引工程S4と、研磨工程S5と、電極パッド形成工程S6と、分割工程S7と、を有している。
【0034】
[柱状部形成工程S1]
まず、図4(a)に示すように、例えば、厚さ約300μmの、後に分離部15、外周枠部10及び引き出し部16となるシリコン基板115の第1主面11に、SiO2(二酸化ケイ素)を含んでなるマスクパターン101をフォトリソグラフィー法により形成する。
ついで、SF6(六フッ化硫黄)をエッチングガスとして第1主面11を、例えば、約200μmの深さまでドライエッチングし、分離部15の柱状部15b、引き出し部16の柱状部16b及び外周枠部10における柱状部に相当する部分の外形形状を形成する。
【0035】
[ガラス基板接合工程S2]
ついで、図4(b)に示すように、シリコン基板115の第1主面11に、例えば、厚さ約400μmの、後に絶縁部20となるガラス基板120を陽極接合法により接合する。
詳述すると、低抵抗シリコンであるシリコン基板115と、ナトリウムなどのアルカリ金属イオン(可動イオン)を含むホウケイ酸ガラスであるガラス基板120とを、約320℃の窒素雰囲気中で約800Vの電圧印加により陽極接合する。これにより、シリコン基板115とガラス基板120とは、静電引力により界面に共有結合が生じ強固に接合される。
【0036】
[凹部形成工程S3]
ついで、図4(c)に示すように、シリコン基板115の第2主面13に、SiO2からなるマスクパターン102をフォトリソグラフィー法により形成する。
ついで、SF6をエッチングガスとして第2主面13を、例えば、約200μmの深さまでドライエッチングし、複数の凹部15c,16cと、分離部15、外周枠部10及び引き出し部16をそれぞれ独立(分離)させる凹部18と、を形成する。
これにより、開口部15d,16d、つば部15a,16a,10aが形成される。このとき、図4(c)では図示しないが、外周枠部10にも、開口部10d(図1(c)参照)が形成される。そして、互いに繋がっていた分離部15、外周枠部10及び引き出し部16の第2主面13側が分離する。
【0037】
[加熱・吸引工程S4]
ついで、図4(d)に示すように、製造装置50を用いて、シリコン基板115の第1主面11側の分離部15、外周枠部10及び引き出し部16を取り巻く部分(以降、第1凹部116という)及び第2主面13側の凹部15c,16c,18、図示しない外周枠部10の凹部(以降、第2凹部118という)にガラス基板120を充填する。
複合基板1の製造装置50は、シリコン基板115の第2主面13を載置面51に載置し、シリコン基板115を介してガラス基板120を加熱して粘性流動状態にする加熱部52と、加熱部52の平滑な載置面51に設けられた複数の微細な貫通孔53を介してシリコン基板115の第2主面13側から吸引し、粘性流動状態のガラス基板120をシリコン基板115の第1凹部116及び第2凹部118に充填する吸引部54と、シリコン基板115、ガラス基板120、加熱部52、吸引部54の吸引口部分を収容する気密チャンバー55と、を備えた構成となっている。
【0038】
詳述すると、まず、気密チャンバー55内において、シリコン基板115の第2主面13を、ヒーターなどを備えた加熱部52の載置面51に載置し、加熱部52によりシリコン基板115を介してガラス基板120を加熱して粘性流動状態にする。
この際、加熱温度は、図6のホウケイ酸ガラスの加熱温度と粘度との関係を表すグラフに示すように、ガラス基板120の粘度η(dPa・s)の対数Logηが7.5〜14.0(dPa・s)の範囲内となるように設定されていることが好ましい。
加熱温度の一例としては、例えば、ホウケイ酸ガラスのガラス転移点以上で、且つ、ガラス軟化点以下の温度である約525℃〜約820℃の温度範囲が挙げられる。なお、後述するように、本製造方法は、真空状態で加熱することから、大気圧下で加熱する場合よりも加熱時間を短くすることが可能となる。
【0039】
上記加熱と共に、ガラス基板120を、吸引部54により加熱部52の載置面51に設けられた複数の微細な貫通孔53を介して、シリコン基板115の第2主面13側から真空状態(10-2Pa程度の減圧状態)で吸引(真空引き)する。これにより、粘性流動状態のガラス基板120を、シリコン基板115の第1凹部116及び、第1凹部116と第2凹部118との連通部分(開口部10d,15d,16d)から第2凹部118に充填する。
このとき、シリコン基板115の第2主面13は、吸引により加熱部52の載置面51に密着している(吸着されている)ことから、第2主面13側への粘性流動状態のガラス基板120の侵入や、分離部15の移動(位置ずれ)が回避される。
【0040】
[研磨工程S5]
ついで、図5(e)に示すように、ウエハー状態の複合基板1の第1主面11側及び第2主面13側を研磨し、吸引時にシリコン基板115の第1主面11に僅かに残ったガラス基板120の残渣や、吸引時に貫通孔53内に引き込まれ、シリコン基板115の第2主面13から外側(貫通孔53側)に僅かに突出したガラス基板120の突出部を平滑化する。
【0041】
[電極パッド形成工程S6]
ついで、図5(f)に示すように、分離部15及び引き出し部16の第1主面11側及び第2主面13側に、例えば、Au、Pt、Ag、Cu、Alまたはこれらを含む合金などの電極材料を用いて、蒸着またはスパッタリングにより電極パッド17を形成する。
これにより、分離部15及び引き出し部16は、貫通電極としての機能を有することとなる。
【0042】
[分割工程S7]
ついで、図5(g)に示すように、ウエハー状態の複合基板1を図示しないダイシングソーなどの分割装置により、分割線19に沿って個片に分割する。これにより、例えば、後述する図8に示す物理量センサー2に用いられるような複合基板1を得る。
なお、上記柱状部形成工程S1及び凹部形成工程S3におけるドライエッチングに代えて、ウエットエッチングとしてもよい。
【0043】
上述したように、本実施形態の複合基板1は、分離部15が、つば部15aを有する柱状であって、つば部15aと柱状部15bとに跨り、つば部15aを貫通する凹部15cと、つば部15aから柱状部15bにかけて形成された開口部15dとを、有している。そして、複合基板1は、絶縁部20における凹部15c内の部分と、柱状部15bを取り巻く部分とが、開口部15dを介して一体化されている。
これにより、複合基板1は、分離部15が絶縁部20に係合することとなり、厚さ方向に加わる外力に対する分離部15の固定強度を、従来の特許文献1の構成と比較して、格段に向上させることが可能となる。この結果、複合基板1は、特許文献1の構成よりも信頼性を向上させることができる。
【0044】
また、複合基板1は、導電性を有すると共に、平面視で絶縁部20の外周を枠状に取り巻く外周枠部10を備えたことから、例えば、外周枠部10を接地電位(GND)とすることにより、外部からのノイズ、静電気などに対するシールド効果を発揮することが可能となる。
【0045】
また、複合基板1は、外周枠部10と分離部15とを接続する梁部12を備えたことから、例えば、外部部材が搭載される引き出し部16の電位を、梁部12を介して外周枠部10と同じ接地電位とすることで、外部部材に対する外部からのノイズ、静電気などに対するシールド効果を発揮することが可能となる。
【0046】
また、複合基板1は、絶縁部20がホウケイ酸ガラスを含み、分離部15がシリコンを含むことから、絶縁部20と分離部15との絶縁分離を確実に行うことができる。
加えて、複合基板1は、分離部15がシリコンを含むから、その物性により加工精度の高い複合基板を提供することができる。
また、複合基板1は、絶縁部20がホウケイ酸ガラスを含み、分離部15がシリコンを含むことから、絶縁部20(ガラス基板120)と分離部15(シリコン基板115)との陽極接合が可能となる。
これにより、複合基板1は、製造工程においてガラス基板120とシリコン基板115とを陽極接合することによって、接合部材を別途用意することなく、効率的な製造が可能となる。
【0047】
また、複合基板1は、分離部15の柱状部15bが四角柱状であり、開口部15dが四角柱(柱状部15b)の絶縁部20と接する4面のそれぞれに設けられていることから、厚さ方向に加わる外力に対する分離部15の固定強度を、例えば、開口部15dが4面の内の一部の面に設けられている場合よりも、更に向上させることができる。
なお、分離部15(引き出し部16)の柱状部15b(16b)の形状は、四角柱状に限定されるものではなく、図7に示すような形状であってもよい。
【0048】
図7は、分離部の柱状部形状のバリエーションを示す模式平面図であり、図7(a)は、六角柱状の柱状部を示す平面図、図7(b)は、円柱状の柱状部を示す平面図である。
図7(a)に示すように、分離部15の柱状部15bの形状は、六角柱状であってもよい。これによれば、複合基板1は、凹部15cの平面形状を柱状部15bの形状に合わせて六角形とすることで、開口部15dを6箇所設けることができる。
この結果、複合基板1は、厚さ方向に加わる外力に対する分離部15の固定強度を、上記実施形態よりも更に向上させることが可能となる。
なお、分離部15の柱状部15bの形状は、三角柱状であってもよく、五角柱状や八角柱状などの多角柱状であってもよい。
【0049】
また、図7(b)に示すように、分離部15の柱状部15bの形状は、円柱状であってもよい。これによれば、複合基板1は、分離部15の柱状部15bが円柱状であることから、外力などが加わることにより生じる応力を、柱状部15b全体に略均等に分散させることができる。
なお、分離部15の柱状部15bの形状は、角柱状でもなく円柱状でもない、例えば、楕円柱状などの異形柱状であってもよい。
【0050】
なお、分離部15の凹部15cの平面形状は、菱形(四角形)や六角形などの多角形に限定されるものではなく、例えば、図7(b)に示すような、十字穴付きねじの十字穴形状のような形状であってもよい。これによれば、複合基板1は、隣り合う開口部15d間の柱状部15bの径方向(第1主面11に沿った方向)の肉厚を十分に確保することが可能となることから、分離部15の固定強度を更に向上させることができる。
なお、つば部15aの平面形状は、四角形状に限定されるものではなく、五角形や六角形、八角形などの多角形状としてもよく、円形状としてもよい。
【0051】
また、複合基板1は、ホウケイ酸ガラスに変えて可撓性を有する樹脂を絶縁部20に用いてもよい。これによれば、複合基板1は、絶縁部20が可撓性を有する樹脂を含んでなることから、例えば、絶縁部20にポリイミド系の樹脂を用いることで、折り曲げることが可能なフレキシブル複合基板を提供することができる。
なお、引き出し部16、外周枠部10は、複合基板1の用途によっては、なくてもよい。
【0052】
<電子デバイス>
次に、複合基板と、複合基板に搭載された機能素子と、を備えた電子デバイスについて説明する。
上述した複合基板1は、例えば、電子デバイスのパッケージ機能を兼ね備えた基板として用いることが可能である。ここでは、複合基板1を備えた電子デバイスの一例としての物理量センサーについて説明する。
図8は、物理量センサーの概略構成を示す模式部分展開斜視図である。
【0053】
図8に示すように、物理量センサー2は、パッケージベースを兼ねた複合基板1と、複合基板1に搭載された機能素子の一例としてのセンサー素子30と、センサー素子30を覆い複合基板1に気密に接合されたキャップ40(蓋体)と、を備えている。
これにより、物理量センサー2は、複合基板1とキャップ40とで、センサー素子30を収容するパッケージ60が構成されていることとなる。
【0054】
センサー素子30は、例えば、複合基板1の引き出し部16に取り付けられ、センサー素子30の図示しない複数の端子は、例えば、Au、Alなどの金属ワイヤー31を用いたワイヤーボンディングにより、複合基板1の分離部15(引き出し部16)にそれぞれ接続されている(電気的に接続されている)。
なお、センサー素子30は、表裏を反転し、複数の端子が直接またはAu、Al、ハンダなどのバンプを介して、分離部15(引き出し部16)にフリップチップ実装される構成とすることも可能である。
【0055】
キャップ40は、一面が開口した箱状に形成されており、内部空間41を介してセンサー素子30、金属ワイヤー31を覆い、開口側が複合基板1の外周枠部10に接合されている。なお、キャップ40は、ナトリウムなどのアルカリ金属イオン(可動イオン)を含むガラス(例えば、ホウケイ酸ガラス)を用いることにより、複合基板1のシリコンを含んでなる外周枠部10との陽極接合が可能となる。
また、物理量センサー2は、キャップ40に導電性材料を用いることにより、例えば、外周枠部10を接地電位(GND)とすることで、複合基板1とキャップ40とによって、外部からのノイズ、静電気などに対するシールド効果を発揮することが可能となる。
【0056】
物理量センサー2の内部空間41は、気密に封止されており、センサー素子30の種類(例えば、圧力センサー、加速度センサー、角速度センサーなど)や物理量の検出方法によって、真空状態(減圧状態)または窒素、ヘリウム、アルゴンなどの不活性ガスが充填された状態となっている。
このような構成により、物理量センサー2は、センサー素子30を、複合基板1の貫通電極として機能し固定強度の向上によって信頼性が向上した分離部15(引き出し部16)を介して、内部空間41の気密性を維持しつつ、外部部材と電気的に接続させることが可能となる。この結果、物理量センサー2は、例えば、特許文献1のガラス基板を用いた場合よりも、信頼性を向上させることができる。
なお、電子デバイスは、上述した物理量センサーなどのセンサーデバイスに限定されるものではなく、例えば、水晶振動子、水晶発振器などのタイミングデバイスや、周波数フィルター、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)デバイスなどにも適用可能である。
【0057】
<電子機器>
次に、複合基板を備えた電子機器について説明する。
図9は、複合基板を備えた電子機器としてのモバイル型(またはノート型)のパーソナルコンピューターの構成を示す斜視図である。
図9に示すように、パーソナルコンピューター1100は、キーボード1102を備えた本体部1104と、表示部1101を有する表示ユニット1106とにより構成され、表示ユニット1106は、本体部1104に対しヒンジ構造部を介して回動可能に支持されている。
このようなパーソナルコンピューター1100には、複合基板1が内蔵されている。
【0058】
図10は、複合基板を備えた電子機器としての携帯電話機(PHSも含む)の構成を示す斜視図である。
図10に示すように、携帯電話機1200は、複数の操作ボタン1202、受話口1204及び送話口1206を備え、操作ボタン1202と受話口1204との間には、表示部1201が配置されている。
このような携帯電話機1200には、複合基板1が内蔵されている。
【0059】
図11は、複合基板を備えた電子機器としてのデジタルスチルカメラの構成を示す斜視図である。なお、この図11には、外部機器との接続についても簡易的に示されている。
ここで、通常のカメラは、被写体の光像により銀塩写真フィルムを感光するのに対し、デジタルスチルカメラ1300は、被写体の光像をCCD(Charge Coupled Device)などの撮像素子により光電変換して撮像信号(画像信号)を生成する。
デジタルスチルカメラ1300におけるケース(ボディー)1302の背面(図中手前側)には、表示部1310が設けられ、CCDによる撮像信号に基づいて表示を行う構成になっており、表示部1310は、被写体を電子画像として表示するファインダーとして機能する。
また、ケース1302の正面側(図中奥側)には、光学レンズ(撮像光学系)やCCDなどを含む受光ユニット1304が設けられている。
【0060】
撮影者が表示部1310に表示された被写体像を確認し、シャッターボタン1306を押下すると、その時点におけるCCDの撮像信号が、メモリー1308に転送・格納される。
また、このデジタルスチルカメラ1300においては、ケース1302の側面に、ビデオ信号出力端子1312と、データ通信用の入出力端子1314とが設けられている。そして、ビデオ信号出力端子1312には、テレビモニター1430が、データ通信用の入出力端子1314には、パーソナルコンピューター1440が、それぞれ必要に応じて接続される。更に、所定の操作により、メモリー1308に格納された撮像信号が、テレビモニター1430や、パーソナルコンピューター1440に出力される構成になっている。
このようなデジタルスチルカメラ1300には、複合基板1が内蔵されている。
【0061】
このような電子機器は、信頼性に優れた複合基板1を備えたことから、優れた性能を発揮することができる。
なお、上記複合基板1を備えた電子機器は、図9のパーソナルコンピューター(モバイル型パーソナルコンピューター)、図10の携帯電話機、図11のデジタルスチルカメラの他にも、例えば、インクジェット式吐出装置(例えばインクジェットプリンター)、ラップトップ型パーソナルコンピューター、テレビ、ビデオカメラ、ビデオテープレコーダー、各種ナビゲーション装置、ページャー、電子手帳(通信機能付も含む)、電子辞書、電卓、電子ゲーム機器、ワードプロセッサー、ワークステーション、テレビ電話、防犯用テレビモニター、電子双眼鏡、POS端末、医療機器(例えば、電子体温計、血圧計、血糖計、心電図計測装置、超音波診断装置、電子内視鏡)、魚群探知機、各種測定機器、計器類(例えば、車両、航空機、船舶の計器類)、フライトシミュレーターなどに適用することができる。
【符号の説明】
【0062】
1…複合基板、2…電子デバイスとしての物理量センサー、10…外周枠部、10a…つば部、10d…開口部、11…第1主面、12…梁部、13…第2主面、15…導電部としての分離部、15a…つば部、15b…柱状部、15c…凹部、15d…開口部、16…引き出し部、16a…つば部、16b…柱状部、16c…凹部、16d…開口部、17…電極パッド、18…凹部、19…分割線、20…絶縁部、30…機能素子としてのセンサー素子、31…金属ワイヤー、40…キャップ、41…内部空間、50…製造装置、51…載置面、52…加熱部、53…貫通孔、54…吸引部、55…気密チャンバー、60…パッケージ、101,102…マスクパターン、115…シリコン基板、116…第1凹部、118…第2凹部、120…ガラス基板。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
絶縁部と、
前記絶縁部を貫通して設けられ、両端が露出し、且つ、一方の端部に設けられているつば部及び該つば部上に設けられている柱状部を備えた導電部と、を備え、
前記導電部は、前記つば部及び柱状部の内部に跨って設けられている凹部と、前記凹部に連通している開口部とを含み、前記開口部を介して前記つば部及び前記柱状部の内部に前記絶縁部が充填されていることを特徴とする複合基板。
【請求項2】
請求項1に記載の複合基板において、導電性を有すると共に、平面視で前記絶縁部の外周を枠状に取り巻く外周枠部を備えたことを特徴とする複合基板。
【請求項3】
請求項2に記載の複合基板において、前記外周枠部と前記導電部とを接続する梁部を備えたことを特徴とする複合基板。
【請求項4】
請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載の複合基板において、前記絶縁部は、ホウケイ酸ガラスを含み、前記導電部は、シリコンを含むことを特徴とする複合基板。
【請求項5】
請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載の複合基板において、前記絶縁部は、可撓性を有する樹脂を含んでなることを特徴とする複合基板。
【請求項6】
請求項1ないし請求項5のいずれか一項に記載の複合基板において、前記導電部の前記柱状部は、角柱状であり、前記開口部が前記角柱の前記絶縁部と接する面のそれぞれに設けられていることを特徴とする複合基板。
【請求項7】
請求項1ないし請求項5のいずれか一項に記載の複合基板において、前記導電部の前記柱状部は、円柱状であることを特徴とする複合基板。
【請求項8】
請求項1ないし請求項7のいずれか一項に記載の複合基板と、
前記複合基板に搭載された機能素子と、を備えたことを特徴とする電子デバイス。
【請求項9】
請求項1ないし請求項7のいずれか一項に記載の複合基板を備えたことを特徴とする電子機器。
【請求項1】
絶縁部と、
前記絶縁部を貫通して設けられ、両端が露出し、且つ、一方の端部に設けられているつば部及び該つば部上に設けられている柱状部を備えた導電部と、を備え、
前記導電部は、前記つば部及び柱状部の内部に跨って設けられている凹部と、前記凹部に連通している開口部とを含み、前記開口部を介して前記つば部及び前記柱状部の内部に前記絶縁部が充填されていることを特徴とする複合基板。
【請求項2】
請求項1に記載の複合基板において、導電性を有すると共に、平面視で前記絶縁部の外周を枠状に取り巻く外周枠部を備えたことを特徴とする複合基板。
【請求項3】
請求項2に記載の複合基板において、前記外周枠部と前記導電部とを接続する梁部を備えたことを特徴とする複合基板。
【請求項4】
請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載の複合基板において、前記絶縁部は、ホウケイ酸ガラスを含み、前記導電部は、シリコンを含むことを特徴とする複合基板。
【請求項5】
請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載の複合基板において、前記絶縁部は、可撓性を有する樹脂を含んでなることを特徴とする複合基板。
【請求項6】
請求項1ないし請求項5のいずれか一項に記載の複合基板において、前記導電部の前記柱状部は、角柱状であり、前記開口部が前記角柱の前記絶縁部と接する面のそれぞれに設けられていることを特徴とする複合基板。
【請求項7】
請求項1ないし請求項5のいずれか一項に記載の複合基板において、前記導電部の前記柱状部は、円柱状であることを特徴とする複合基板。
【請求項8】
請求項1ないし請求項7のいずれか一項に記載の複合基板と、
前記複合基板に搭載された機能素子と、を備えたことを特徴とする電子デバイス。
【請求項9】
請求項1ないし請求項7のいずれか一項に記載の複合基板を備えたことを特徴とする電子機器。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2013−62339(P2013−62339A)
【公開日】平成25年4月4日(2013.4.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−199113(P2011−199113)
【出願日】平成23年9月13日(2011.9.13)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年4月4日(2013.4.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年9月13日(2011.9.13)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
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