説明

複合操作型入力装置

【課題】 無理な操作をしても故障し難いように改良する。
【構成】 操作部材100を傾倒動作、回転動作及び押下動作可能に支持する操作部材支持部300と、傾倒動作検出用プッシュスイッチ400a〜d及び押下動作検出用プッシュスイッチ400eと、環状回転体800と、回転動作検出用センサー900等を有している。傾倒動作検出用プッシュスイッチ400a〜d及び押下動作検出用プッシュスイッチ400eについては、固定接点410a〜eに対応する可動接点が一体になったスナッププレート420a〜eと、先端がスナッププレート420a〜eの頂部に当接した軸方向に弾性伸縮可能なキートップ430a〜eとを有し、キートップ430a〜eの弾性力がスナッププレート420a〜eに比べて大きく設定されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、各種ゲーム機、自動車用カーナビ、自動車用オーディオ、自動車用エアコン及び自動車用ミラー調整等の入力機器として利用可能であって、操作レバーの倒れ動作、回転動作及びプッシュ動作に応じた信号を出力する複合操作型入力装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の装置は多機能スイッチと称されており、従来例として、プッシュスイッチを用いて倒れ動作及びプッシュ動作を検出するようにしたもの(特許文献1等)や、プッシュスイッチ及びロータリースイッチを用いて倒れ動作及び回転動作を検出するようにしたもの(特許文献2等)がある。
【0003】
【特許文献1】特開2001−351478号公報
【特許文献2】特開平11−67016号公報
【0004】
このように多機能スイッチにおいてプッシュスイッチを使用されることが多いのは操作時にクリック感が簡単に得られるからである。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来例による場合、無理な操作によりプッシュスイッチのスナッププレートに高荷重が加わると、接点部分が不良となり、故障し易いという欠点がある。また、回転つまみの頭部に文字等を入れるという要請があるものの、回転動作をさせると、回転つまみの頭部も一緒に回ることから、文字等を入れられないという欠点もある。
【0006】
本発明は上記した背景の下で創作されたものであって、その主たる目的とするところは、無理な操作をしても故障し難いように改良した複合操作型入力装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の複合操作型入力装置は、ケースと、押下動作、傾倒動作及び回転動作させる部材であって押下動作用の押ボタン及び回転動作用の回転つまみを有した操作部材と、操作部材を上記動作可能に支持する操作支持部と、操作支持部及び/又は操作部材の後端側に当接可能に配置された傾倒動作検出用及び/又は押下動作検出用プッシュスイッチとを備え、傾倒動作検出用/押下動作検出用プッシュスイッチは、固定接点に対応する可動接点と一体又は別体になったスナッププレートと、先端がスナッププレートの頂部に当接した軸方向に弾性伸縮可能なキートップとを有し、キートップの弾性力がスナッププレートに比べて大きく設定されている。
【0008】
好ましくは、操作支持部を中心としたその周りに位置して軸支されており且つ操作部材の回転つまみに操作支持部の外軸を介して回転可能に連結された環状回転体と、環状回転体の回転を検出する回転動作検出用センサーとを備えると良い。また、ケースの操作面側の操作部材挿通穴の周りに等ピッチ間隔で複数個配設され且つ操作部材の軸状部の外面に直接的又は間接的に当接して付勢力を与える操作部材復帰用弾性体を備えると良い。
【0009】
操作部材については、前記押ボタン及び回転つまみの他、内軸を備え、内軸は、ケースの操作部材挿通穴に通される軸状部と、軸状部の後端側に軸心合わせして配設され且つ下端面が押下動作検出用プッシュスイッチのキートップの先端面に当接する半球状支持部とを有したものを用いると良い。
【0010】
この場合の操作支持部については、ケース内の操作部材挿通穴の対向位置に設けられた固定部と、固定部に乗せて支持された外軸とを備えており、固定部は、内径側で内軸を傾倒動作可能に軸支し、外径側で外軸を回転可能且つ内軸と軸心を合わせて傾倒動作可能に軸支する半球殻状の軸受部と、その頂部には内軸の軸状部を通すための開口部とを有する一方、外軸は、固定部の軸受部の先端側が入り込んだ状態で回転可能且つ傾倒動作可能に軸支される半球殻状の外側軸受部と、内軸の軸状部を挿通させるための中空軸であり外側軸受部に連通して設けられた円筒部と、外側軸受部の基端側の開口周りに傾倒動作検出用プッシュスイッチを押圧可能に設けられた押圧部とを有しており、外軸の円筒部から出た内軸の軸状部の先端に押ボタンが接続され、外軸の円筒部の先端部に回転つまみが接続されたものを用いると良い。
【発明の効果】
【0011】
本発明の請求項1に係る複合操作型入力装置による場合、傾倒動作検出用/押下動作検出用プッシュスイッチに弾性伸縮可能なキートップを備え、キートップの弾性力はスナッププレートに比べて大きく設定された構成となっているので、操作部材を通じてキートップに荷重が作用する分、スナッププレートには一定以上の荷重がかからない。また、キートップの弾性力をスナッププレートに比べて大きくスナッププレートが故障する荷重より小さく設定したときには、無理な操作をしても接点不良による故障がなくなる。更に、押ボタンと回転つまみとが別体になった構成となっているため、回転つまみを操作する限りは押ボタンをONする等の誤操作が起こらない。
【0012】
本発明の請求項2に係る複合操作型入力装置による場合、傾倒動作検出用/押下動作検出用プッシュスイッチのキートップが先端側本体部と基端側本体部との間にスプリングが介在された構成となっていることから、請求項1の効果に加えて、操作部材を傾倒させる際のストロークを長くすることができ、ユーザーにしてみれば、クリック感だけでなく動かしたという実感が得られ、この面で操作感が良好になるというメリットがある。
【0013】
本発明の請求項3に係る複合操作型入力装置による場合、傾倒した操作部材を復帰させるための傾倒動作復帰用弾性体の付勢力がキートップの弾性力に対して略直角である構成となっており、請求項1の効果に加えて、押下動作の荷重とは別に傾倒動作の荷重を設定することができ、バランスの取れた荷重設定をすることができるというメリットがある。
【0014】
本発明の請求項5に係る複合操作型入力装置による場合、請求項4の構成を前提とし、操作部材の半球状支持部の底面に当接して軸方向に付勢するガタ止め用スプリングを備えていることから、請求項1の効果に加えて、内軸のガタ付きが防止され、この面で操作感が良好になるメリットがある。
【0015】
本発明の請求項6に係る複合操作型入力装置による場合、請求項4の構成を前提とし、内軸と外軸の軸心を合わせることにより傾倒動作しても内軸と外軸の位置関係を損なわず互いに緩衝無く傾倒することが出来るが、操作支持部の固定部の半球殻状部の内径側で内軸の軸心出し、半球殻状部の外径側で外軸の軸心出しをしているため、組立による軸心ずれが少なく精度良く組立が行える他、金型加工も容易となる。
【0016】
本発明の請求項7に係る複合操作型入力装置による場合、請求項6の構成を前提とし、回転つまみを回転させてもこれに伴って押ボタンが回らない構成となっていることから、請求項6の効果に加えて、押ボタンの頭部に文字等を入れることが可能になり、この面で使い勝手が良好になる。
【0017】
本発明の請求項8に係る複合操作型入力装置による場合、請求項6の構成を前提とし、回転動作検出用センサーを用いて回転動作を検出する構成となっていることから、請求項6の効果に加えて、接点磨耗等がなく、故障が少なくなり、寿命を長くすることができるというメリットがある。
【0018】
しかも外軸の押圧部の外面に形成した一対のボスと、環状回転体の内側に形成した一対の溝部とにより、外軸と環状回転体とが連結される構成となっているので、外軸と環状回転体との間に特別な連結機構が不要であり、この面で低コスト化を図ることが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。図1は複合操作型入力装置の縦断面図、図2は同装置のケースの分解斜視図、図3は同装置の各種縦断面図、図4は同装置の下ケースを内面側から見た斜視図、図5は同装置の下ケース、ガタ止めスプリング、操作部材の内軸及び操作支持部の固定部等を示す分解斜視図、図6は同装置の操作支持部の固定部、操作部材の内軸及びプリント基板等を示す分解斜視図、図7は同装置の操作支持部の固定部、その外軸、操作部材の内軸及び環状回転体を示す分解斜視図、図8は同装置の傾倒動作検出用プッシュスイッチのキートップを示す図、図9は同キートップの部品斜視図、図10は同装置の押下動作検出用プッシュスイッチのキートップを示す図、図11は同キートップの部品斜視図、図12は同装置の操作部材の内軸を示す斜視図、図13は同装置の操作支持部の固定部の斜視図、図14は同装置の操作支持部の外軸の斜視図、図15は同装置の環状回転体を裏側から見た分解斜視図、図16は同装置の上ケースを表側から見た斜視図、図17は同装置の分解斜視図である。
【0020】
ここに掲げる複合操作型入力装置は、図1等に示すように操作部材100の傾倒動作、回転動作及び押下動作に応じた信号を出力する装置であって、ケース200と、操作部材100を上記動作可能に支持する操作支持部300と、操作支持部300及び操作部材100の後端側に当接可能に配置された傾倒動作検出用プッシュスイッチ400a,b,c,d及び押下動作検出用プッシュスイッチ400eと、操作支持部300の外側周りに回転可能に設けられた環状回転体800と、環状回転体800の回転を検出する回転動作検出用センサー900と、ガタ止め用スプリング500と、操作部材復帰用弾性体600a,b,c,d等を有している。
【0021】
特に、傾倒動作検出用プッシュスイッチ400a,b,c,d及び押下動作検出用プッシュスイッチ400eについては、固定接点410a,b,c,d,eに対応する可動接点が一体になったスナッププレート420a,b,c,d,eと、先端がスナッププレート420a,b,c,d,eの頂部に当接した軸方向に弾性伸縮可能なキートップ430a,b,c,d,eとを有し、キートップ430a,b,c,d,eの弾性力がスナッププレート420a,b,c,d,eに比べて大きく同プレートが故障する荷重よりは小さく設定されている。
【0022】
以下、同装置の各部を詳細に説明する。
【0023】
操作部材100は、軸状体である内軸110と、内軸110の先端側に設けられた円盤状の操作つまみ120とを有した樹脂成型品である。
【0024】
内軸110は、図2及び図12に示すようにケース200の操作部材挿通穴221に通される軸状部111と、軸状部111の後端側に軸心合わせして配設され且つ下端面が押下動作検出用プッシュスイッチ400eのキートップ430eの先端面に当接する半球状支持部112とを有している。
【0025】
半球状支持部112の外面には一対の溝1122が軸心を基準とした対称位置に軸方向に沿って各々形成されている。
【0026】
操作つまみ120は、図1に示すように表面の中央部分に配置された押ボタン122と、押ボタン122を囲む形状に形成された回転つまみ121とを有している。回転つまみ121の表面中央部には、押ボタン122を入れるための凹部1211が形成されており、回転つまみ121の裏側中央部には、後述する外軸320の円筒部322及び内軸110の軸状部111を通すための貫通孔1212が形成されている。
【0027】
押ボタン122については、内軸110の軸状部111の先端に接続されている一方、回転つまみ121については、外軸320の円筒部322の先端に接続されている。
【0028】
押ボタン122は押し下げ可能であって、単独で押下動作用の操作部材として使用される。回転つまみ121は回動可能であって、単独で回転動作用の操作部材として使用される。押ボタン122及び回転つまみ121を有した操作つまみ120の全体については傾倒可能であって、押ボタン122と回転つまみ121との双方で傾倒動作用の操作部材として使用される。
【0029】
ケース200は、図2に示すように下ケース210と上ケース220とを有しており、いずれも略凹状をなした樹脂成型品である。上ケース220の中央部には操作部材挿通穴221が形成されており、下側の内面には溝224が周方向に沿って形成されている。図2及び図3(a)に示すように溝224の底面上にはスプリング/スチールボール挿入穴222が合計2箇所形成されている。
【0030】
下ケース210の内面の下方位置には、図4に示すように円筒状体211a〜211eが形成されている。
【0031】
円筒状体211eについては、上ケース220の操作部材挿通穴221の中心と対応した位置に設けられ、その内底面には固定接点410eがインサート成形されており、スナッププレート420e、キートップ430eがこの順番で挿入されている。
【0032】
円筒状体211a〜211dについては、円筒状体211eを中心としてその周りに90°ピッチ間隔で配置されている。円筒状体211eと全く同様に、これらの内底面には固定接点410a〜410dがインサート成形されており、スナッププレート420a〜420d、キートップ430a〜430dがこの順番で挿入されている。
【0033】
なお、下ケース210の側面部には固定接点410a〜410e、スナッププレート420a〜eに電気接続された接点出力用の端子212等がインサート成形されている。
【0034】
傾倒動作検出用プッシュスイッチ400aは、上記固定接点410aと、固定接点410aに対応する可動接点と一体になった円形の湾曲薄板金属板であるスナッププレート420aと、後端がスナッププレート420aに当接した軸方向に弾性伸縮可能なキートップ430aとを有している。
【0035】
キートップ430aは、図8及び図9に示すように先端側本体部431aと基端側本体部432aとの間にスプリング433aが介在された構成となっている。先端側本体部431a及び基端側本体部432aはいずれも一方が開放した円筒状の樹脂成型品であって、先端側本体部431aの内部に基端側本体部432aが入り込み、軸方向に伸縮可能になっている。
【0036】
スプリング433aは、先端側本体部431a及び基端側本体部432aの内部に収容されている。スプリング433aの弾性力は上記したようにスナッププレート420aに比べて大きく同プレートが故障する荷重よりは小さく設定されている。
【0037】
傾倒動作検出用プッシュスイッチ400b〜400dについては傾倒動作検出用プッシュスイッチ400aと同一構造である。押下動作検出用プッシュスイッチ400eについても同様であるが、図10及び図11に示すように先端側本体部431eの外周面に段差4331eが形成されている。段差4331eは押下操作時に下ケース210の円筒状体211eに当たって押し込み防止ストッパーとしての役目を果たすようになっている。
【0038】
押下動作検出用プッシュスイッチ400eの外側には図5に示すようにガタ止め用スプリング500が挿入されている。ガタ止め用スプリング500は、先端側が操作部材100の内軸110の半球状支持部112の底面1121(図12(b)参照)に当接して軸方向に付勢するようになっている。
【0039】
操作支持部300は、図1に示すようにケース200の操作部材挿通穴221の対向位置に設けられた固定部310と、固定部310に乗せて支持された外軸320とを備えている。
【0040】
固定部310は、図5に示すように下ケース210の内側面に取り付けられる略円盤状の樹脂成型品であって、環状の軸受け台311と、軸受け台311の中央部に設けられており、内径側で内軸110を傾倒動作可能に軸支し、外径側で外軸320を回転可能且つ傾倒動作可能に軸支する半球殻状の軸受部312と、軸受部312の頂部には内軸110を通すための開口部313とを有している。また半球殻状の軸受部312は、内軸110の傾倒動作中心と外軸320の傾倒動作中心がともにP点(図1及び図3(b)参照)で一致するように軸支している。
【0041】
軸受け台311にはキートップ430a〜430dに対応した位置に穴3111が各々形成されている。即ち、軸受け台311は円筒状体211a〜211dの上を覆い隠す形で下ケース210に取り付けられるが、図6に示すように穴3111を通じてキートップ430a〜430dの頭部が露出される。軸受け台311の表面上の合計4つの穴3111の周りには、略リング状をなしたプリント基板700を置くための支持台3112が環状に形成されており、環状台3112と合計4つの穴3111との間には突起3113が環状に形成されている。
【0042】
軸受部312の内面には、図13に示すように内軸110の半球状支持部112に形成した一対の溝1122が入り込む一対のボス3121が形成されている。一対のボス3121は内軸110の傾倒動作中心P(図1及び図3(b)参照)に一致した高さ位置に形成されており、内軸110の傾倒動作をさまたげず、且つ回転動作しないようになっている。
【0043】
外軸320は、図7に示されているように固定部310の軸受部312の外径側が入り込んだ状態で回転可能且つ傾倒動作可能に軸支される半球殻状の外側軸受部321と、内軸110の軸状部111を挿通させるための中空軸であり外側軸受部321に連通して設けられた円筒部322と、外側軸受部321の基端側の開口周りに傾倒動作検出用プッシュスイッチ420a〜420dのキートップ430a〜430dの頭部を押圧可能に設けられた押圧部323とを有している。
【0044】
押圧部323の外面には、図14に示すように一対のボス3231が軸心を基準とした対称位置に各々形成されている。
【0045】
環状回転体800は、外軸320の大径部分に比べて大きい内径を有した環状体であって、図15に示されるように樹脂成型品である本体810と、本体810の裏側に取り付けられる磁石820とを有している。磁石820は複数の磁極が周方向に一定ピッチ間隔で配列された構造となっている。本体810の表側には、図7に示すように回転デテント用凹凸813が周方向に一定ピッチ間隔で形成されている。
【0046】
環状回転体800の本体810の下方の内側にはリブ812が周方向に沿って形成されている。本体810の上方の内側には外軸320の一対のボス3231が入り込む一対の溝811が軸方向に沿って形成されている。一対のボス3231は外軸320の傾倒動作中心Pに一致した高さ位置に形成されている。
【0047】
要するに、軸受部312に形成された一対のボス3121と、外軸320に形成された一対のボス3231は、外軸320の傾倒動作中心であり且つ内軸110の傾倒動作中心でもあるPと一致する高さ位置に有る。また外軸320に形成された一対のボス3231は軸心Pを基準とした対称位置にあるため、両側のボス3231を結ぶボス軸線もまた軸心Pを通る。つまり傾倒動作した場合でもボス軸線は軸心Pを外れることは無い。このことがどの方向へもつっかかり無く傾倒動作を可能にする。
【0048】
環状回転体800のリブ812が図5に示された固定部310の突起3113の内側に挿入され、軸受け台311上に置かれたプリント基板700の面上に接触している。また、本体810が図1に示すように上ケース220の溝224に挿入される。このように環状回転体800が軸受け台311と上ケース220に挟まれた状態で軸支され、操作部材100の回転つまみ121に外軸320を介して回転可能に連結されている。
【0049】
図2及び図3(a)に示すスプリング/スチールボール挿入穴222には回転デテント用のスプリング830及びスチールボール840が挿入され、スチールボール840が環状回転体800の回転デテント用凹凸813に付勢して当接可能になっている。なお、回転デテント用のスプリング830及びスチールボール840の個数や位置関係等については、適用対象に応じて適宜設計変更すれば良い。
【0050】
回転動作検出用センサー900は、図6に示すようにプリント基板700の上面に実装された合計2個のホール素子であって、環状回転体800の磁石820の磁界を検出して環状回転体800の相対的な回転角度や回転方向を2相のデジタル信号として出力するようになっている。このように環状回転体800の回転を非接触式角度センサーにより検出しているが、接触式角度センサーを用いてもかまわない。
【0051】
プリント基板700には、回転動作検出用センサー900以外に中継端子710及び出力端子720等が設けられている。中継端子710及び出力端子720はケース200外に位置しており、中継端子710には下ケース210から取り出された接点出力用の端子212の先端部が半田付けされる一方、出力端子720にはリード線やコネクタ等が電気接続されるようになっている。
【0052】
操作部材復帰用弾性体600a,b,c,dは、図16に示すように上ケース220の操作面側の操作部材挿通穴221の周りに90°ピッチ間隔で形成された復帰用弾性体取付穴223に各々収容されており、スプリング610a,b,c,dと、スプリング610a,b,c,dの先端部に取り付けられたスライダ620a,b,c,dとを有している。スライダ620a,b,c,dの先端部は操作部材100の円筒部322の外面に当接して付勢力を与えている。
【0053】
なお、下ケース210に形成した円筒状体211a〜211dと上ケース220に形成した復帰用弾性体取付穴223とはいずれも90度ピッチ間隔で配置されている。また、上ケース220の操作面には金属製の環状の天板230が取り付けられており、これにより操作部材復帰用弾性体600a〜600dを含めて、復帰用弾性体取付穴223が覆われるようになっている。
【0054】
以下、このように構成された複合操作型入力装置の動作等ついて説明する。
【0055】
操作部材100の操作つまみ120(回転つまみ121及び押ボタン122)をセンターから全方向に倒すことが可能である。例えば、操作部材100をセンターから傾倒動作検出用プッシュスイッチ400aの方向(方向角度0°)に倒したとすると、操作支持部300の外軸320がその方向に傾斜する。
【0056】
これに伴って、操作支持部300の押圧部323がキートップ430aの頭部を押圧すると、スナッププレート420aが撓んで、傾倒動作検出用プッシュスイッチ400aがオンとなり、その接点出力が出力端子720を通じて出力される。
【0057】
更に、操作部材100を倒すと、外軸320の外面が上ケース220の操作部材挿通穴221の縁に接触する。このように操作部材挿通穴221の縁がストッパーの役割を果たすことから、スナッププレート420aにバネ荷重以上の力がかからないようになっている。
【0058】
操作部材100をセンターから傾倒動作検出用プッシュスイッチ400b,400c、400dの方向(方向角度90°,180°,270°)に各々倒したときも上記と全く同様である。即ち、傾倒動作検出用プッシュスイッチ400b、400c、400dが各々オンとなり、これらの接点出力が出力端子720を通じて出力される。更に、操作部材100を倒したときは、操作部材挿通穴221の縁がストッパーの役割を果たし、スナッププレート420b、420c、420dにバネ荷重以上の力が各々かからないようになっている。
【0059】
本実施形態においては、(a)傾倒動作検出用プッシュスイッチ400a〜400dのキートップ430a〜430dが伸縮可能である点、(b)スナッププレート420a〜420dがオンしてからでも更に押し込み可能であるようにした点で、操作部材100を傾倒させる際のストロークが長くなっている(最大傾倒角度約8°)。よって、ユーザーにしてみれば、傾倒操作時に単にクリック感だけでなく動かしたという実感が得られる。なお、スナッププレート420a〜420dの弾性力を弱く設定すると、クリック感無しにすることも可能である。
【0060】
しかも上記(b)によって、例えば、操作部材100をセンターから傾倒動作検出用プッシュスイッチ400aと400bとの間の方向(方向角度45°)に倒すと、傾倒動作検出用プッシュスイッチ400a、400bが共にオンとなる。これは操作部材100を他の方向(方向角度135°,225°,315°)に倒したときも全く同様である。即ち、8方向検出が可能になっている。なお、固定部310に突起又は凸部を設けることにより4方向検出に限定することも可能である。
【0061】
このように操作部材100をセンター(初期復帰位置)から倒すと、その後は、操作部材復帰用弾性体600a〜600d等の弾性力によりセンターに自動的に復帰される。操作部材100のうち最も径が小さい軸状部111の直ぐ近い位置(実際には円筒部322の外面)に操作部材復帰用弾性体600a〜600dの付勢力が作用していることから、回転つまみ121を回転動作したときの回転トルクへの影響は小さい。よって、ユーザーにしてみれば、回転操作時に重いという感覚がなくなる。
【0062】
操作つまみ120のうち回転つまみ121を押し下げることは不可である。押下可能なのは押ボタン122だけである。
【0063】
押ボタン122が押下操作されると、操作部材100の内軸110のみが下方に移動する。内軸110の半球状支持部112の底面1121がキートップ430eの頭部を押圧すると、スナッププレート420eが撓むとともに傾倒動作検出用プッシュスイッチ400eがオンとなり、その接点出力が出力端子720を通じて出力される。
【0064】
また、押下動作検出用プッシュスイッチ400eがオンとなり、押ボタン122が更に押下されると、キートップ430eが縮み、押ボタン122が更に押下されると、キートップ430eの段差4331eが下ケース210の円筒状体211eの上面に接触する。即ち、段差4331eがストッパーの役割を果たし、スナッププレート420eにバネ荷重以上の力がかからないようになっている。よって、無理な操作をしても接点不良による故障が少なくなる。
【0065】
回転つまみ121を回転させると、これに応じて操作支持部300の外軸320がその方向に回転し、これに伴って環状回転体800が回転し、回転動作検出用センサー900の信号出力が出力端子720を通じて出力される。傾倒操作なしに回転操作のみされたときは、外軸320の押圧部323はキートップ430a〜dには接触せず回転するため操作感が劣ることなく回転操作が出来る。
【0066】
傾倒操作と回転操作を同時にされたときは、外軸320が平面的に傾斜するとともに回転し、その結果、傾倒動作検出用プッシュスイッチ400a〜400dの接点出力及び回転動作検出用センサー900の信号出力が出力端子720を通じて出力される。
【0067】
回転つまみ121を回転させてもこれに伴って押ボタン122が回らないことから、押ボタン122の頭部に文字等を入れることが可能になり、この面で非常に使い勝手が良好になる。また、押ボタン122は回転つまみ121と別体であるため回転つまみ121を操作する限りは押ボタン122をONする等の誤操作は起こらない。
【0068】
なお、操作つまみ120を後付けすることも可能である。即ち、ユーザーにおいて、同装置をセット品(各種ゲーム機等)のケースやメイン基板の裏側から組み込み、操作つまみをその表側から取り付けるようにする。この場合、塗装、色、文字等が異なった様々な種類の操作つまみの取り付けが容易になる。
【0069】
外軸320の一対のボス3231と、環状回転体800の一対の溝部811とにより、外軸320と環状回転体800とが連結される構成となっているので、特別な連結機構が不要である。よって、同装置の低コスト化を図ることが可能になる。
【0070】
なお、本発明に係る複合操作型入力装置は、全体形状や信号出力等の形態が上記実施形態に限定されないのは当然である。操作支持部に関しては、操作部材を傾倒動作、回転動作及び押下動作可能に支持する構成である限り、特に問われず、操作部材に応じて適宜設計変更すれば良い。傾倒動作検出用/押下動作検出用プッシュスイッチに関しては、スナッププレートを可動接点とは別体にして良いし、キートップについても、スナッププレートの頂部に当接した軸方向に弾性伸縮可能である限り、特に問われない。回転動作検出用センサーについても種類は問われず光学的式センサーを利用しても良い。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】本発明の実施形態を説明するための図であって、複合操作型入力装置の縦断面図である。
【図2】同装置のケースの分解斜視図である。
【図3】同装置の操作つまみを外した状態を示す縦断面図であって、(a)は操作部材がセンター位置にある状態、(b)は操作部材を倒した状態を示す図である。
【図4】同装置の下ケースを内面側から見た斜視図であり、キートップ等を併せて示す図である。
【図5】同装置の下ケース、ガタ止めスプリング、操作部材の内軸及び操作支持部の固定部等を示す分解斜視図である。
【図6】同装置の操作支持部の固定部、操作部材の内軸及びプリント基板等を示す分解斜視図である。
【図7】同装置の操作支持部の固定部、その外軸、操作部材の内軸及び環状回転体を示す分解斜視図である。
【図8】同装置の傾倒動作検出用プッシュスイッチのキートップを示す図であって、(a)は斜視図、(b)は縦断面図である。
【図9】同装置の同キートップの部品斜視図であって、(a)は先端側本体部を表面側から見た図、(b)は同じく裏面側から見た図、(c)は基端側本体部を表面側から見た図、(d)は同じく裏面側から見た図である。
【図10】同装置の押下動作検出用プッシュスイッチのキートップを示す図であって、(a)は斜視図、(b)は縦断面図である。
【図11】同装置の同キートップの部品斜視図であって、(a)は先端側本体部を表側から見た図、(b)は同じく裏側から見た図、(c)は基端側本体部を表側から見た図、(d)は同じく裏側から見た図である。
【図12】同装置の操作部材の内軸を示す斜視図であって、(a)は表側から見た図、(b)は同じく裏側から見た図である。
【図13】同装置の操作支持部の固定部の斜視図であって、(a)は裏側から見た図、(b)は同じく裏側から見た部分拡大図である。
【図14】同装置の操作支持部の外軸の斜視図であって、(a)は表裏側から見た図、(b)は同じく裏側から見た図である。
【図15】同装置の環状回転体を裏側から見た分解斜視図である。
【図16】同装置の上ケースを表側から見た斜視図であって、操作部材復帰用弾性体を併せて示す図である。
【図17】同装置の分解斜視図である。
【符号の説明】
【0072】
100 操作部材
110 内軸
111 軸状部
112 半球状支持部
1122 溝
121 回転つまみ
122 押ボタン
200 ケース
300 操作支持部
310 固定部
311 軸受け台
312 軸受部
3121 ボス
313 開口部
320 外軸
321 外側軸受部
322 円筒部
323 押圧部
3231 ボス
400a〜400d 傾倒動作検出用プッシュスイッチ
400e 押下動作検出用プッシュスイッチ
500 ガタ止め用スプリング
600a〜600d 操作部材復帰用弾性体
700 プリント基板
800 環状回転体
811 溝
900 回転動作検出用センサー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケースと、押下動作、傾倒動作及び回転動作させる部材であって押下動作用の押ボタン及び回転動作用の回転つまみを有した操作部材と、操作部材を上記動作可能に支持する操作支持部と、操作支持部及び/又は操作部材の後端側に当接可能に配置された傾倒動作検出用及び/又は押下動作検出用プッシュスイッチとを備え、傾倒動作検出用/押下動作検出用プッシュスイッチは、固定接点に対応する可動接点と一体又は別体になったスナッププレートと、先端がスナッププレートの頂部に当接した軸方向に弾性伸縮可能なキートップとを有し、キートップの弾性力がスナッププレートに比べて大きく設定されていることを特徴とする複合操作型入力装置。
【請求項2】
請求項1記載の複合操作型入力装置において、傾倒動作検出用/押下動作検出用プッシュスイッチのキートップは、先端側本体部と基端側本体部との間にスプリングが介在された構成となっていることを特徴とする複合操作型入力装置。
【請求項3】
請求項1記載の複合操作型入力装置において、ケースの操作面側の操作部材挿通穴の周りに等ピッチ間隔で複数個配設され且つ操作部材の軸状部の外面に直接的又は間接的に当接して付勢力を与える操作部材復帰用弾性体を備えていることを特徴とする複合操作型入力装置。
【請求項4】
請求項1記載の複合操作型入力装置において、操作部材は、前記押ボタン及び回転つまみの他、内軸とを備えており、内軸は、ケースの操作部材挿通穴に通された軸状部と、軸状部の後端側に軸心合わせして配設され且つ下端面が押下動作検出用プッシュスイッチのキートップの先端面に当接する半球状支持部とを有していることを特徴とする複合操作型入力装置。
【請求項5】
請求項4記載の複合操作型入力装置において、押下動作検出用プッシュスイッチの外側に挿入されており且つ先端側が操作部材の半球状支持部の底面に当接して軸方向に付勢するガタ止め用スプリングを有することを特徴とする複合操作型入力装置。
【請求項6】
請求項4記載の複合操作型入力装置において、操作支持部は、ケース内の操作部材挿通穴の対向位置に設けられた固定部と、固定部に乗せて支持された外軸とを備えており、固定部は、内径側で内軸を傾倒動作可能に軸支し、外径側で外軸を回転可能且つ内軸と軸心を合わせて傾倒動作可能に軸支する半球殻状の軸受部と、その頂部には内軸の軸状部を通すための開口部とを有する一方、外軸は、固定部の軸受部の先端側が入り込んだ状態で回転可能且つ傾倒動作可能に軸支される半球殻状の外側軸受部と、内軸の軸状部を挿通させるための中空軸であり外側軸受部に連通して設けられた円筒部と、外側軸受部の基端側の開口周りに傾倒動作検出用プッシュスイッチを押圧可能に設けられた押圧部とを有しており、外軸の円筒部から出た内軸の軸状部の先端に押ボタンが接続され、外軸の円筒部の先端部に回転つまみが接続されていることを特徴とする複合操作型入力装置。
【請求項7】
請求項6記載の複合操作型入力装置において、内軸の半球状支持部の外面には一対の溝が軸心を基準とした対称位置に軸方向に沿って各々形成され、操作支持部の固定部の内側軸受部の内面には操作部材の半球状支持部の一対の溝が入り込む一対のボスが操作部材の半球状支持部の傾倒動作中心に一致した高さ位置にあり、内軸の傾倒動作を可能にするとともに回転動作しないように形成されていることを特徴とする複合操作型入力装置。
【請求項8】
請求項6記載の複合操作型入力装置において、外軸の外側周りに回転可能に設けられた環状回転体と、環状回転体の回転を検出する回転動作検出用センサーとを備え、外軸の押圧部の外面には一対のボスが軸心を基準とした対称位置に各々形成され、環状回転体の内側には外軸の押圧部の外面の一対のボスが入り込む軸方向に沿って一対の溝が形成されていることを特徴とする複合操作型入力装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2009−16114(P2009−16114A)
【公開日】平成21年1月22日(2009.1.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−175058(P2007−175058)
【出願日】平成19年7月3日(2007.7.3)
【出願人】(000194918)ホシデン株式会社 (527)
【Fターム(参考)】