複合物品の製造方法
【課題】低密度の複合物品を製造する方法を提供する。
【解決手段】硬化可能なプレプレグを所定の形状に形成する工程と、所定の形状に形成されたプレプレグを硬化する硬化工程とを備える。硬化可能なプレプレグを所定の形状に形成する工程では、硬化工程においてプレプレグ内に空所が形成されるように十分に低い圧密圧力の下で、硬化可能なプレプレグが所定の形状に形成される。硬化工程では、硬化可能なプレプレグを硬化することにより発生する硬化可能なプレプレグの樹脂の成分の蒸発物質が前記空所を形成するように、約8.61×104パスカル絶対圧(12.5psia)から103.4×104パスカルゲージ圧(150psig)までの範囲の硬化圧力の下で、前記所定の形状に形成されたプレプレグを硬化する。
【解決手段】硬化可能なプレプレグを所定の形状に形成する工程と、所定の形状に形成されたプレプレグを硬化する硬化工程とを備える。硬化可能なプレプレグを所定の形状に形成する工程では、硬化工程においてプレプレグ内に空所が形成されるように十分に低い圧密圧力の下で、硬化可能なプレプレグが所定の形状に形成される。硬化工程では、硬化可能なプレプレグを硬化することにより発生する硬化可能なプレプレグの樹脂の成分の蒸発物質が前記空所を形成するように、約8.61×104パスカル絶対圧(12.5psia)から103.4×104パスカルゲージ圧(150psig)までの範囲の硬化圧力の下で、前記所定の形状に形成されたプレプレグを硬化する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、低密度の複合物品、特に、低密度のロケットノズル構成要素に関する。更に、本発明は、低密度の複合ロケットノズル構成要素の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
固体のロケットモータノズル構成要素は、プレプレグ(pre−preg)と称される従来の複合開始材料を使用して製造されている。プレプレグ材料は、一般に、典型的にフェノール系樹脂である樹脂を予め含浸させた織地及び/又は繊維を含んでいる。該織地又は繊維は、複合体の強化材と称される一方、樹脂は、複合マトリックス又はマトリックスフォーミュレーションと称されている。
【0003】
ノズル内での構成要素の位置及び機能、並びにノズルの所期の用途に対応して、標準的な密度又は低密度の材料(プレプレグ)を使用することができる。
歴史的にみて、標準的な密度の複合ロケットノズル構成要素を製造するためのプレプレグは、強化材と、マトリックスフォーミュレーションと、適当なフィラーとを含んでいる。標準的な密度の炭素又はグラファイト布強化材及びフェノール系樹脂の場合、炭素繊維と実質的に同一の密度を有する炭素がフィラーとして選択される。炭素又はグラファイト繊維は、レーヨン、ポリアクリロニトリル(「PAN」)又はピッチ系材料とすることができる。フィラーが使用されるとき、ガラス及び二酸化ケイ素複合プレプレグは、二酸化ケイ素フィラーを利用する。
【0004】
形成されたロケットモータの重量を軽減する上で好ましい、低密度の複合体(LDC)プレプレグを実現するためには、米国特許第4,268,320号、米国特許第4,294,750号又は米国特許第4,621,024号に記載されたような中空の球状体をフィラーとしてプレプレグフォーミュレーション内に導入する。これらの中空の球状体の有効密度は、典型的に、0.2g/ml乃至0.5g/mlの範囲にある。中空の球状体がプレプレグ内にて塊状となるのを防止するため、繊維/繊維の強化材を予め含浸させる間に、中空の球状体をより一層均一に分散した状態に保つべく、エラストマーを樹脂マトリックス中に添加する。しかしながら、中空の球状体及び樹脂マトリックスに添加されるエラストマーに関係する費用のため、また、低密度のプレプレグを製造することの他の公知の困難性のため、従来の低密度複合材料のコストは、標準的密度の材料のコストよりも50乃至100%高くなる可能性がある。
【0005】
また、中空の球状体及びエラストマーをプレプレグフォーミュレーションに含める結果、プライにおける引張り強度が標準的な密度の材料の1/10程に小さい複合体となる。LDCのプライにおける引張り強度が小さいことは、LDCロケットノズル構成要素にてプライの持上がり、ウェッジの外れ及びその他の不良な現象が生ずる可能性が増すことになる。出口の円錐体の環境中で使用されるLDCは、プライの持上がりを示す可能性がある。これらの材料がこうした不良なモードを呈する傾向は、ノズルの設計により対処し且つ対応しなければならない。かかる対応は、典型的に、安全率の向上のため、構成要素の厚さをより厚くすることを含むことになる。しかしながら、構成要素の厚さが増すことは、LDC材料が標準的な密度の材料に優る重量上の利点、すなわち低密度であることを部分的に相殺することになる。
【0006】
従来のいわゆる標準的な密度のノズル構成要素の製造に使用される1つの主要な方法は、テープ巻き等によって材料をマンドレルに付与することと、樹脂を軟化させる極めて高圧力及び高温度にてプレプレグをプライ毎に付与し且つ圧密化する(debulk)ことと、その直後に、冷却することと、約137.78×104ないし688.9×104パスカルゲージ圧(200乃至1000psig)の加圧硬化等によってオートクレーブ又はハイドロクレーブ硬化させることとを含む。最終的な構成要素に必要とされる材料の圧密化(圧縮)の80乃至95%を達成し得るような方法にて材料をマンドレルに付与する。現在、行われている方法は、所望の圧密化を実現するため、約551×104ないし1653×104パスカルゲージ圧(800乃至2400psig)以上の圧力を必要とする。最終的な圧密化は、加圧硬化中に達成される。この方法は、炭素/グラファイトフェノール系構成要素にて1.40乃至1.60、ガラスフェノール系構成要素にて1.95乃至2.05、二酸化ケイ素フェノール系構成要素にて1.70乃至1.80(g/ml)の比重を提供する。
【0007】
従来のプレプレグは、完全に高密度化した複合体を製造するため、高圧力及び高温度にて使用する設計とされている。
上述した方法の各々は、その幾つかを上述した異なる欠点を有している。特に、当該技術が求めているものは、単位コスト当たりの低い平均値にて製造されるが、標準的密度の複合体について従来の方法で製造した比較可能なロケットノズル構成要素と同等の耐食性、焼付け抵抗性及びプライにおける引張り強度を呈することのできる、低密度の複合ロケットノズル構成要素である。
【特許文献1】米国特許第4,268,320号明細書
【特許文献2】米国特許第4,294,750号明細書
【特許文献3】米国特許第4,621,024号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の1つの目的は、複合ロケットノズル構成要素の従来の製造方法に関係する上記及びその他の欠点を解決し且つ製造コストを削減する一方にて、上述した必要性に対応する、方法を提供することである。
【0009】
本発明の別の目的は、構成要素が低密度繊維(マイクロバルーン等)を実質的に、又は完全に欠如する場合であっても、標準的密度のノズル構成要素の優れた物理的性質及び低い製造コストをLDCノズル構成要素の軽重量と相互依存的に組み合わせる物品を提供することである。
【0010】
この方法は、ロケットノズル構成要素を含む、低密度の複合物品を製造するため製造者が特殊な設計のプレプレグを使用することを避けることを可能にしつつ、上述の目的を達成するものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上述の目的を達成するために、本願の発明は、所定の形状を有する複合物品を製造する方法において、硬化可能なプレプレグを所定の形状に形成する工程であって、下記の硬化工程にて前記硬化可能なプレプレグ内に空所が形成されるように十分に低い圧密圧力の下で、所定の形状に形成する前記工程と、前記硬化可能なプレプレグが複合物品に硬化する時に、前記硬化可能なプレプレグを硬化するときに発生する前記硬化可能なプレプレグの樹脂の成分の蒸発物質が前記空所を形成するように、約8.61×104パスカル絶対圧(12.5psia)から103.4×104パスカルゲージ圧(150psig)までの範囲の硬化圧力の下で前記硬化可能なプレプレグを硬化する硬化工程と、を備えている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下図面を参照しながら、本発明を説明する。図面において、色々な符号を使用することができる。UFは、非充填状態を意味する。VCは、本発明により真空硬化されたことを意味する。NARC HRPFは、フルベライト(Flberite)からのプレプレグMX−4926を使用して形成された標準的密度の複合体を意味する。図7に図示したような、LDR符号は、マイクロバルーンフィラーを有する従来の低密度複合体の製造に使用する設計とされる特殊なフォーミュレーションのプレプレグを意味する。符号PCは、後硬化ステップを意味する。
【0013】
本発明は、複合強化製品、特に、ロケットノズル型構成要素の製造に関するものである。我々の新規なロケットノズル構成要素は、業界の対応する標準的密度の複合強化ロケットノズル構成要素と比較して低密度である。しかしながら、我々のロケットノズル構成要素は、業界の標準的な方法を使用して製造された高密度の製品と同様の耐食性及び焼付け抵抗性を顕著に呈する。このように、コストの削減に加えて、我々の方法は、重量を軽減し、また、完成したロケットノズル構成要素の望ましい耐食性及び焼付け抵抗性の特性を保持するものである。
【0014】
全体として、我々の方法は、(a)従来の方法にて付与される圧縮(圧力)以下である、所定の圧縮レベル下にて、圧縮したプレプレグを所望の形態に形成することと、(b)圧力が真空又は約大気圧力以下(例えば、海面レベルにて約9.6×104パスカル(14 lbs/平方インチ))の圧力及び選択された温度にて、形成したプレプレグを硬化することと、(c)低密度のロケットノズル構成要素のような硬化した製品を得ることとを備えている。我々の方法において、プレプレグは、部分的に圧密化され、全体として、80%以下に圧密化され、より具体的には、これらのプレプレグは、約50%以下まで圧密化される。このため、本発明の説明において、圧密化(debulk又はdebulking)という語を使用することができるが、我々は、例えば80%以下、好ましくは50%以下に圧密化されたような部分的に圧密化された状態を意味するものと理解すべきである。
【0015】
我々の方法によれば、形成及び硬化は、形成された構成要素に空隙ないしは空所を形成することを許容し得るように十分に低圧にて行われ、該空所は、硬化中に生じる蒸発物質により形成される。従って、中空の球状体(「マイクロバルーン」)及びエラストマーのような低密度フィラーが実質的に又は完全に存在しない複合体から本発明の硬化した製品を形成するときでさえ、得られた硬化後の製品は、標準的密度の製品よりも低密度となる。
【0016】
全体として、本発明に従って製造された硬化後の物品は、標準的密度の複合ロケットノズルよりも小さい比重を有している。例えば、適当な炭素フェノール系樹脂系プレプレグの場合、約1.00(例えば、1.03)乃至約1.15g/mlの範囲の低密度(SpG)を形成することができ、また、二酸化ケイ素布プレプレグのような他のプレプレグの場合、約1.35乃至1.49の密度(SpG)を有する複合ロケットノズル構成要素を製造することができる。更に、本発明の硬化後の物品は、また、標準的密度のプレプレグから良好に製造した複合体にて観察されるよりも大きく又はそれに少なくとも近い、プライにおける引張り強度も呈する。例えば、本発明の複合ロケットノズルは、プライにおける引張り強度は約1240×104ないし2066.7×104パスカル(1800乃至約3000psig)であり、より具体的には、プライにおける引張り強度が1240×104ないし1515.6×104パスカル(1800乃至2200psig)となるように容易に製造することが可能である。
【0017】
本発明の1つの実施の形態によれば、上述した(a)は、図2に図示したテープ巻き方法を使用して、適当なプレプレグ材料をマンドレルの周りで巻くことにより行うことができる。図示したテープ巻きの実施の形態において、巻くべきプレプレグ材料又はテープは、リール又はスプール10の周りにロール巻きした形態にある。テープをスプール10から巻き戻し、ローラ11とマンドレル12との間に進める。図示した実施の形態において、マンドレル12の周りに巻くべきテープがその間に供給される間に、マンドレル12は、時計回り方向に回転し、ローラ11は半時計回り方向に回転する。ローラ11及びマンドレル12の各々は、長手方向軸線を有している。ローラ11及びマンドレル12の長手方向軸線は、互いに対し平行な関係に配置されている。プレプレグテープは、該テープを柔軟にするためローラ11の上を交差するとき、温風供給源により加熱される。この温風は、約176.7℃(350°F)乃至約482.2℃(900°F)の範囲の温度にてテープに供給することができるが、本発明の実施において、約176.7℃(350°F)乃至287.8℃(550°F)の温度が適当であることが判明した。圧力はローラ11とマンドレル12との境界部にてテープに付与され、テープがマンドレル12に巻かれるとき、テープを圧密化する。ローラ11及びマンドレル12により付与された圧力は、全体として、プレプレグの販売業者が推奨する最低圧力(テープの幅2.54cm(1インチ)当たり45.4kg(100ポンド)乃至136.2kg(300ポンド))の約1/2(50%)以下で、テープ幅2.54cm(1インチ)当たり約22.7kg(50ポンド)がかかる低圧力の一例である。テープは冷却され、また、テープがマンドレル12の周りに巻かれるとき、硬化されることが好ましい。図2に図示するように、液体保持タンクからの二酸化炭素(又はその他の冷却剤)が、テープがマンドレル12の周りに巻き付くときにその巻いたテープに付与される。このことは、巻き付けたテープを冷却し且つマンドレルの周りで硬化させ、これにより、巻いたビレットが形成されるようにする。
【0018】
上述したように、ステップ(b)は、形成したプレプレグを選択した温度及び圧力にて硬化することを含む。この圧力は、真空とし又は約大気圧以下とすることができる。本発明の1つの実施の形態によれば、巻いたビレットは、真空パティにより密封されたナイロン真空バッグのような蒸気不透過性の真空バッグを使用して、真空包装することができる。この真空包装方法において、硬化材料から放出される如何なる樹脂も真空供給管を閉塞し、又は真空バッグ自体に悪影響を与えることを回避する(最小にしないならば)ために、適当な厚さ又は適宜に層状にしたブリーダ材料が使用される。この点に関して、ブリーダ材料は、例えば、少なくとも1つの有孔膜の層と、少なくとも2つの綿モップ層と、又はポリエステルブリーダ材料(約3.33ないし5.33パスカル(10oz又は約16oz/平方ヤード)のポリエステルブリーダ材料)のような少なくとも2つのブリーダ材料層とを含むことができる。次に、真空包装した材料を選択した最大の真空圧を使用して硬化させる。所望に応じて、真空は、硬化中に付与される唯一の圧力を提供し、選択される圧力はそのときの大気圧に依存するが、約8.61×104ないし10.2×104パスカル絶対圧(12.5psia乃至約14.7psia)以下の真空といった大気圧に略等しく、好ましくは、大気圧以下の、大気圧よりも低い程度の低圧を使用することができる。しかしながら、全体として、低圧真空は、例えば、約8.61×104ないし9.64×104パスカル絶対圧(12.5psia乃至約14psia)の範囲とし、特に、約8.61×104ないし8.7×104パスカル絶対圧(12.5psia乃至約12.7psia)の範囲とすることができる。
【0019】
硬化した構成要素の所望の密度を保ち又は提供し得るように硬化圧力が調節される。この硬化圧力は、例えば、約8.61×104パスカル絶対圧ないし103.4×104パスカルゲージ圧(12.5psia乃至約150psig)の範囲とすることができるが、全体として、約34.4×104パスカルゲージ圧(50psig)のようなより低圧の上側圧力とすることが好ましい。標準的な硬化方法を適応させることにより、真空包装により付与される低い硬化圧力を適宜に設定することができるが、この場合、真空は硬化サイクルの全体に亙って提供される。
【0020】
硬化ステップ中、プレプレグを硬化させるため熱サイクルを使用することが可能である。この温度サイクル中、本発明の方法に従って製造された複合物品を満足し得る程度に硬化することを保証し得るように、色々な温度又は温度と滞在時間とが選択される。一例として、本発明の1つの実施の形態に従って実施可能である非限定的な温度サイクルは、プレプレグが分当たり約−17.2℃(1°F)の程度にて変化するサイクルにて加熱及び冷却が為される熱サイクルを含む。別の実施の形態において、本発明の範囲内でその他の段の温度サイクルも使用可能ではあるが、3段の温度サイクルを使用することができる。例えば、この熱サイクルは、約1.25乃至1.5時間の滞在時間に対し、約82.2℃(180°F)の第一の保持時間と、約104.4℃(220°F)にて、第一の保持時間と同等の滞在時間となる第二の保持時間と、構成要素の肉厚2.54cm(1インチ)に対し、約154.4℃(310°F)乃至約160.0℃(320°F)の範囲の温度にて、約60分以上の第三の保持時間とを有するようにプログラム化することができる。ある保持温度における滞在時間は、硬化すべき材料の厚さといった、工程の変数の関数である。滞在時間及び硬化温度の双方を含む、適当な硬化サイクルを決定することは、当業者の能力の範囲であり、この開示内容に関して行われるならば、不当な実験を必要とせずに決定することができる。
【0021】
所望であるならば、更なる後硬化ステップを行うことができる。
次に、特に図3を参照すると、1つの鋳型内のプレス圧密化は、ステップ(a)を行うためのテープ巻きの1つの代替法として採用することができる。図示した実施の形態において、プライ又はプライのスタック31が、圧密化用のプラテンプレス内に配置される。通常、このプラテン金型は、プライ又はプライのスタック31が該金型内に配置される前に、約54.4℃(130°F)乃至約65.6℃(150°F)の温度まで予熱された第一のプラテン30と、第二のプラテン32とを備えている。部分的な圧密化の間、第二のプラテン32における硬化可能なプレプレグ31のプライ又はプライのスタックを圧縮すべく閉じるようにプラテン30を付勢させる圧力Fが付与される。プラテン30の移動を制限し且つ選択された圧密化後の厚さを実現し得るようにストッパ33が調節される。プラテン30、32は、ストッパに対して閉じた状態を保ち、プライ層が圧力にて安定し、平衡状態となり且つ比較的均一な温度に達するのを許容するのに十分な時間、約54.4乃至65.6℃(130乃至150°F)に保持される。部分的に圧密化したプライにより実現される部分的な組みは硬化した組みではなく、例えば、好ましくは、圧密化したプライは熱硬化性ではないようにする。例えば、一般に、閉じたプラテン金型内の1つ又は複数のプライ31の滞在時間は、殆どのロケットノズルの構成要素が製造されるとき、特に、約30乃至40のプレプレグプライが使用されるとき、約20乃至30分である。我々は、幾つかのロケットノズル構成要素が閉じたプラテン内にて、約20分の滞在時間といった比較的短い時間で済むことを確認した。このようにして、部分的に圧密化されたプライ(又は、圧密化されたプライのスタック)は、室温まで冷却し、次に、プラテン金型は、プラテン30をプラテン32から分離させることにより開放する。圧密化したプライ(複数のプライ)が得られ、次に、積み重ねて所望のビレットが形成されるようにする。圧力は、プライをストッパに対し加圧し、圧密化するのに十分であるように選択される。
【0022】
平坦なパネルは、プレプレグを圧密化するためプラテン成形法のステップを使用して製造することができる。例えば、プライ角度が0°の平坦なパネルの場合、プライスタックは、予め選択したプライの厚さとなるようにストッパに対して圧密化することができる(図3参照)。プライの厚さは変更可能であるが、20乃至22ミルのプライが容易に製造することができる。一般に、圧密化したプライスタックの厚さは、例えば、プライに対して垂直に2.032cm(0.80インチ)の厚さといった約2.54cmの厚さ以下(1インチ以下)である。平坦なパネルレイアップ以外のビレットの場合、異なるプライ角度を使用することが望ましいことがある。例えば、プレス内にて角度付きの端部プラグを使用して、閉じた筒型金型内にて45°のプライ角度を使用することができる。上述したように、圧密化したプライの厚さは、プライに対して垂直に約2.54cm(1.0インチ)以下である。圧密化は、プレスをストッパに対して閉じ得るように圧力を加えつつ、プライ及び金型を全体として約37.8℃(100°F)以上、例えば、約54.4℃乃至約65.6℃(130°F乃至150°F)といった適当な温度まで加温することにより実現することができる。圧密化したプライは、プレスがストッパに対して閉じられている間に、冷却させることができる。圧密化後、プライスタックは共に積み重ねる。平坦なパネルは独立的に立つことができ、金型内にて角度レイアップを保持することができる。プライスタックは真空包装し且つ上述したようにある温度サイクルまで硬化させる。
【0023】
所要形態(形状)のプレ複合体(未硬化の密圧化した所要形状の未硬化物品)を有するプラテン金型は、所望であるならば、オートクレーブし、又は硬化のため加熱炉内に入れることができる。
【0024】
所望の密度の複合体となるプライの間隔を生じる圧力を使用して、金型内のマンドレルに材料を付与し、又は密圧化する。このように、所望の複合体の密度を提供するため、密圧化の付与圧力は、僅か数千パスカルから約551×104パスカルゲージ圧(数psigから約800psig)以下まで変化させることができる。この圧力は、全体として、約165.3×104ないし27.6×104パスカルゲージ圧(240psig乃至約40psig)の範囲とすることができる。重要なことは、従来の密圧化技術と異なり、本発明の方法が使用する圧力は低圧である。
【0025】
本発明の方法は、典型的でなく、また、標準的な密度のプレプレグを使用するため販売業者が推奨する方法と相違している。この方法において、テープ巻き又は圧縮圧力は、樹脂の成分の蒸気圧力に基づいて空所が形成されることを許容する硬化圧力と組み合わせて選択される。例えば、テープ巻きの実施の形態において、プレプレグをマンドレルに付与する圧力は、選択されたプライ間隔が達成されるまで十分に吸引する。密圧化したビレットは、真空包装し且つ硬化させ、これにより、付与された真空の結果、大気圧がビレットに付与され、低密度複合体構成要素となるように販売業者が特に設計したプレプレグにて実現されるプライ引張り強度よりも大きいプライ引張り強度を有する硬化した構成要素が得られるプライ圧力を提供する。真空包装技術の使用は、硬化中に生ずる蒸発成分が硬化材料中の空所へと成長することができるという更なる関連する利点をもたらし、このことは、構成要素の密度を更に低下させる。その結果、低密度の複合構成要素を製造するため、従来の標準的密度の材料を使用することができる。
【0026】
標準的な密度等級のフェノール系炭素を使用して本発明の方法により製造したパネルは、硬化後の嵩密度が1.0乃至1.15g/cm3のものを製造することができることを示す。これに反して、業界の標準である典型的な納入業者推奨による工程パラメータに従って加工した同一の材料は、1.45乃至1.49g/cm3の嵩密度を有する複合構成要素となる。
【0027】
例えば、本発明の方法は、業界の標準に従って製造された対応する製品よりも低密度である、充填したプレプレグから硬化した製品を製造することができる。二酸化ケイ素で充填したフェノール系プレプレグは、本発明の方法を使用して1.53g/mlの密度を有する硬化した物品となるように加工する一方、業界の標準的な方法を使用して加工した材料と同様の材料の密度は1.75g/mlであった。ガラスで充填したプレプレグを同様に、従来の方法で製造した物品の2.0g/mlよりも低密度(1.81g/ml)を有する硬化した製品となるように加工した。
【0028】
適当なプレプレグ材料は、一般に、熱硬化性樹脂を含浸させた強化材(繊維、布、テープ)を特徴としている。適当な強化材は、当該技術分野にて公知の多岐に亙る繊維又はフィラメントを含むことができる。これらの繊維及びフィラメントは、非限定的に、ガラス繊維、ホウ素フィラメント、窒化ホウ素、二酸化ケイ素炭化物、グラファイト(炭素)フィラメント、及び高分子有機系フィラメント、特に、ナイロン、ポリエチレン、及びアラミド型の有機系フィラメントを含む。高分子有機系フィラメントの例は、非限定的に、一般に、単に「アラミド」と称されるポリ(ベンゾチアゾール)及びポリ(芳香族系アミド)を含む。アラミドは、ポリ(ベンゾアミド)と、イー・アイ・デュポン(E.I.Dupont)がケブラー(KEVLAR)という商標名で販売する材料群を含む。本発明にて有用な炭素フィラメントの一例として、例えば、アムコ(Amoco)高性能製品T−300及び東レ(Toray)のT−800H、T−1000G炭素繊維を挙げることができる。適当な熱硬化性樹脂は、例えば、フェノール系樹脂及びエポキシ樹脂(特に、ビスフェノールAのジグリシジル(diglycidyl)エーテル系のものが採用される)を含む。原理上、ビスマレイミド樹脂、ポリウレタン、ポリエステル等及びその任意の組合せ体を基本樹脂又はその1つの成分として採用することもできる。
【0029】
好ましくは、ロケットノズル構成要素について必要とされる耐食性、良好な断熱性能、及び良好なプライ引張り強度を必要とする複合材料の場合、プレプレグに対してフェノール系樹脂のマトリックス樹脂が使用される。適当な市販の硬化可能なフェノール系樹脂は、SC−1008(ボーデン)及び91−LDフェノール系樹脂(スチュアート−アイロンサイド)である。
【0030】
エポキシ系プレプレグは、ロケットモータノズル構成要素用としては、望ましくない。
適当なプレプレグは、全体として、包み込み得るように可撓性である。可撓性は、全体として、密圧化及び硬化の前に観察される。
【0031】
プレプレグ材料は、所望であるならば、フィラー材料を含むことができる。適当なフィラー材料は、二酸化ケイ素、炭素粉末及び当業者に公知のその他のものを含む。フィラー材料は、1つ以上の機能を果たす。例えば、粉末状のアルミナ三水和物又は酸化アンチモニを含む幾つかのフィラーは、また、最終的な硬化製品に対し幾らかの耐火性又はその他の特徴を提供することができるが、それにも拘らず、フィラーである。本発明の方法は、低密度の複合製品を製造するため中空の微小球状体(及びエラストマー)を必要とせず、またその使用を不要にする点にて好ましい。
【0032】
色々なプレプレグ材料が本発明に使用するのに適している。硬化可能なフェノール系樹脂を含浸させた炭素布を使用することができる。炭素布は、レーヨン系、ポリアクリロニトリル(PAN)系、又はピッチ系とすることができる。これらのプレプレグ型式は、ファイバライトからのレーヨン系炭素フェノールプレプレグである、MX−4926(樹脂28乃至38%、フィラー8乃至16%、残りが布強化材を含む)のような業界の標準的密度のプレプレグを含む。ファイバライトからのその他の適当な材料は、MX−4946又はMX−4920の名称で販売されているような、PAN系のプレプレグを含み、これら双方は、ある弾性率の3億の糸に対する販売業者の名称であるT300繊維/糸を使用する。その他の「T」型繊維/糸製品を使用することができる。これらの材料は、フィラーを含むことができ、全体として、炭素粉体フィラーを含んでいる。フェノール酸グラファイト布を使用することができる。グラファイト繊維は、レーヨン、PAN又はピッチ系とすることができる。市販の適当なグラファイトプレプレグは、MXG−175(レーヨン系のグラファイト)及びMX−4961(PAN系のグラファイト)という名称で販売されているファイバライトの製品を含む。ガラス布プレプレグは、ファイバライトからのMXB−6001のようなガラス繊維強化フェノール形樹脂を含む。MX−2600として公知のファイバライトからの製品のような、二酸化ケイ素繊維強化フェノール系樹脂を使用することができる。
【0033】
次の表1には、プレプレグ材料の幾つかを掲げてあり、この材料の更なる特徴が記載されている。織地系織物は、適当なプレプレグ間で相違するものとすることができる。この表において、HSは、ハーネスサテン織りを表わし、例えば、8HSは、8ハーネスサテン織り等を意味する一方、簡単な織りパターンは、一方が上方に一方が下方に、更に一方が上方の形態を含む。3K、6K、12Kとして指定したPAN材料は、プレプレグ内で使用される単一の糸中の3000、6000、12000のフィラメントをそれぞれ表わす。
【0034】
【表1−1】
【0035】
【表1−2】
【0036】
注:LD=低密度、LDR=ゴム改質低密度、C=カーボンブラック、MB=マイクロバルーン、HS=ハーネスサテン織り、NBR=ノーブチルジエンゴム、T−300=アムコT−300PAN系カーボン繊維
上記の表において、MBで示した材料、すなわちマイクロバルーンを使用することができるが、この材料で製造された複合体は、本発明に従って標準的密度のプレプレグを使用して製造された複合体により得られる有利な特性の全体的な釣合い状態を示さないため、この材料は好ましくない。このように、本発明は、低密度を得るために従来の特殊なフォーミュレーションのプレプレグを使用することを必要としない。本明細書の他の箇所に記載したように、これらの低密度プレプレグは、樹脂にマイクロバルーン/微小球を充填したようなフェノール系低密度炭素布、炭素フィラー及びファイバライトからのMX−4926LDC(レーヨン系炭素繊維)のようなオプション的なエラストマー添加剤を含む。マイクロバルーン/微小球で装填(充填)された低密度のガラス繊維強化フェノール系樹脂がファイバライトからのMXS−385LDとして公知である、マイクロバルーン/微小球で充填された低密度のフェノール系二酸化ケイ素布が公知であり、また、ファイバライトからのMX−2600LDのような公知の特殊なフォーミュレーションの低密度プレプレグのようなエラストマー改質樹脂を含むこともできる。
【0037】
本発明により製造可能な最終的な硬化し且つ所要形状とした製品は、ロケットノズル構成要素を含む。本発明の方法は、複合パネルを製造するために使用することもできる。例えば、硬化可能なフェノール系樹脂を含浸させた標準的密度の炭素繊維布は、硬化したとき、1.0g/ml乃至1.15g/mlの嵩密度を有するパネルの製造に使用することができる。この型式のパネルは、パネル又は例えば、C4ミサイル用の後方出口円錐体のような他の部品よりも経済的である。
【0038】
本発明の方法は、ロケットノズル構成要素のような、特注密度の複合製造物品の製造に使用することができる。ロケットモータ構成要素は、特に、ブラスト管(後方、中間及び/又は前方)と、ノズルスロートと、出口円錐体と、図17に図示するような構成要素とを含んでいる。例えば、複合材料のプライ特性は、最初の圧縮ステップ中に使用される圧力及び硬化ステップ中に使用される圧力を調節することにより、特別に設定することができる。かかる調節は、この明細書に関して考えたとき、不必要な実験を行わずに当業者が案出可能な範囲に属するであろう。
【0039】
複合構成要素は、本発明のテープ巻き及びプラテンプレスの実施の形態に従って製造した。プラテンプレスの実施の形態を使用して製造された製品を評価し、これらの低密度製品は、製造したとき、1.05乃至1.13g/mlの範囲の嵩密度であった。これらの製品を宇宙シャトル固体ロケットモータ用の推進剤を使用してFPCモータ内で試験した。試験中の着火時間は約30乃至35秒とし、平均圧力は、約447.8×104ないし516.7×104パスカルゲージ圧(約650psig乃至約750psig)の範囲とした。これらの製品を、従来の方法で製造した標準的密度の製品と比較した。この比較の結果が表2に掲げてある。
【0040】
【表2】
【0041】
このデータは、本発明に従って製造された複合ロケットノズル構成要素にて引張り強度の程度の改良及び耐食性の顕著な改良が、実現可能であることを示す。予想しない有利な特性の1つは、従来の低密度の複合製品と比較して、本発明の低密度の複合製品にて、プライの引張り強度が400%以上、向上する点である。
【0042】
18.16kg(40ポンド)の爆薬ロケットノズルを使用して我々の低密度ロケットノズル構成要素を試験した結果、従来の方法を使用して製造した標準的密度の複合構成要素に伴う耐食性、焼付け抵抗性及びプライの引張り強度の望ましい組み合わせを有することが実証された。しかしながら、我々の複合体は、比較可能な耐食性を備える従来の複合体と比較して、軽量であるという更なる利点をもたらすものである。
【0043】
【表3−1】
【0044】
【表3−2】
【0045】
本発明の目的及び原理は、完全に且つ効果的に達成されたことが理解されよう。しかしながら、上記の好適な特別な実施の形態は、本発明の目的のため示し且つ記載したものであり、かかる原理から逸脱せずに変更が可能であることが理解されよう。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】従来の「標準的密度」の複合物品を製造する方法、低密度の複合物品を製造する本発明の方法、及び低密度の複合物品を製造する業界の標準的な方法を比較するフローチャートである。
【図2】本発明の1つの実施の形態を実施するのに適したテープ巻き方法の概略図である。
【図3】本発明の別の実施の形態に従って実施されるプレス圧密化のステップを示す概略図である。
【図4A】推進剤が内部に装填された18.16kg(40ポンド)の装荷モータの断面図である。
【図4B】ノズル材料の試験に有用な18.16kg(40ポンド)の装荷ロケットモータ(「FPC」)の断面側面図である。
【図4C】時間と圧力との関係を示すグラフである。
【図5】真空パッグ及びブリーダ材料を示すプラテンプレスの側面図である。
【図6A】複合体により得られた結果をまとめる表である。
【図6B】複合体により得られた結果をまとめる表である。
【図7】18.16kg(40ポンド)の装荷(FPC)モータの45°のブラスト管部分が全体的に熱の影響を受ける深さを示す棒グラフである。
【図8】18.16kg(40ポンド)の装荷(FPC)モータの30°のブラスト管部分が全体的に熱の影響を受ける深さを示す棒グラフである。
【図9】後方出口円錐体部分の試験片の幾つかの正規化した腐食速度を示す棒グラフである。
【図10A】FPCビレットと比較したタグ端部の性能を示す表である。
【図10B】FPCビレットと比較したタグ端部の性能を示す表である。
【図11】複合材料の試験結果の表である。
【図12】プライにおける平均的な熱膨張を温度の関数(−12.2℃/秒(10°F/秒))として比較して示すグラフである。
【図13】改変した材料の極限的な捩れせん断強度を比較する棒グラフである。
【図14】改変した複合材料の充填透過性を比較する棒グラフである。
【図15】改変した複合材料の開放多孔度を比較する棒グラフである。
【図16】改変した材料の充填熱膨張の最大高さを示す棒グラフである。
【図17】ロケットモータ構成要素を示す図である。
【符号の説明】
【0047】
10: スプール 11: ローラ
12: マンドレル 30: 第一のプラテン
31: スタック 32: 第2のプラテン
33: ストッパ
【技術分野】
【0001】
本発明は、低密度の複合物品、特に、低密度のロケットノズル構成要素に関する。更に、本発明は、低密度の複合ロケットノズル構成要素の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
固体のロケットモータノズル構成要素は、プレプレグ(pre−preg)と称される従来の複合開始材料を使用して製造されている。プレプレグ材料は、一般に、典型的にフェノール系樹脂である樹脂を予め含浸させた織地及び/又は繊維を含んでいる。該織地又は繊維は、複合体の強化材と称される一方、樹脂は、複合マトリックス又はマトリックスフォーミュレーションと称されている。
【0003】
ノズル内での構成要素の位置及び機能、並びにノズルの所期の用途に対応して、標準的な密度又は低密度の材料(プレプレグ)を使用することができる。
歴史的にみて、標準的な密度の複合ロケットノズル構成要素を製造するためのプレプレグは、強化材と、マトリックスフォーミュレーションと、適当なフィラーとを含んでいる。標準的な密度の炭素又はグラファイト布強化材及びフェノール系樹脂の場合、炭素繊維と実質的に同一の密度を有する炭素がフィラーとして選択される。炭素又はグラファイト繊維は、レーヨン、ポリアクリロニトリル(「PAN」)又はピッチ系材料とすることができる。フィラーが使用されるとき、ガラス及び二酸化ケイ素複合プレプレグは、二酸化ケイ素フィラーを利用する。
【0004】
形成されたロケットモータの重量を軽減する上で好ましい、低密度の複合体(LDC)プレプレグを実現するためには、米国特許第4,268,320号、米国特許第4,294,750号又は米国特許第4,621,024号に記載されたような中空の球状体をフィラーとしてプレプレグフォーミュレーション内に導入する。これらの中空の球状体の有効密度は、典型的に、0.2g/ml乃至0.5g/mlの範囲にある。中空の球状体がプレプレグ内にて塊状となるのを防止するため、繊維/繊維の強化材を予め含浸させる間に、中空の球状体をより一層均一に分散した状態に保つべく、エラストマーを樹脂マトリックス中に添加する。しかしながら、中空の球状体及び樹脂マトリックスに添加されるエラストマーに関係する費用のため、また、低密度のプレプレグを製造することの他の公知の困難性のため、従来の低密度複合材料のコストは、標準的密度の材料のコストよりも50乃至100%高くなる可能性がある。
【0005】
また、中空の球状体及びエラストマーをプレプレグフォーミュレーションに含める結果、プライにおける引張り強度が標準的な密度の材料の1/10程に小さい複合体となる。LDCのプライにおける引張り強度が小さいことは、LDCロケットノズル構成要素にてプライの持上がり、ウェッジの外れ及びその他の不良な現象が生ずる可能性が増すことになる。出口の円錐体の環境中で使用されるLDCは、プライの持上がりを示す可能性がある。これらの材料がこうした不良なモードを呈する傾向は、ノズルの設計により対処し且つ対応しなければならない。かかる対応は、典型的に、安全率の向上のため、構成要素の厚さをより厚くすることを含むことになる。しかしながら、構成要素の厚さが増すことは、LDC材料が標準的な密度の材料に優る重量上の利点、すなわち低密度であることを部分的に相殺することになる。
【0006】
従来のいわゆる標準的な密度のノズル構成要素の製造に使用される1つの主要な方法は、テープ巻き等によって材料をマンドレルに付与することと、樹脂を軟化させる極めて高圧力及び高温度にてプレプレグをプライ毎に付与し且つ圧密化する(debulk)ことと、その直後に、冷却することと、約137.78×104ないし688.9×104パスカルゲージ圧(200乃至1000psig)の加圧硬化等によってオートクレーブ又はハイドロクレーブ硬化させることとを含む。最終的な構成要素に必要とされる材料の圧密化(圧縮)の80乃至95%を達成し得るような方法にて材料をマンドレルに付与する。現在、行われている方法は、所望の圧密化を実現するため、約551×104ないし1653×104パスカルゲージ圧(800乃至2400psig)以上の圧力を必要とする。最終的な圧密化は、加圧硬化中に達成される。この方法は、炭素/グラファイトフェノール系構成要素にて1.40乃至1.60、ガラスフェノール系構成要素にて1.95乃至2.05、二酸化ケイ素フェノール系構成要素にて1.70乃至1.80(g/ml)の比重を提供する。
【0007】
従来のプレプレグは、完全に高密度化した複合体を製造するため、高圧力及び高温度にて使用する設計とされている。
上述した方法の各々は、その幾つかを上述した異なる欠点を有している。特に、当該技術が求めているものは、単位コスト当たりの低い平均値にて製造されるが、標準的密度の複合体について従来の方法で製造した比較可能なロケットノズル構成要素と同等の耐食性、焼付け抵抗性及びプライにおける引張り強度を呈することのできる、低密度の複合ロケットノズル構成要素である。
【特許文献1】米国特許第4,268,320号明細書
【特許文献2】米国特許第4,294,750号明細書
【特許文献3】米国特許第4,621,024号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の1つの目的は、複合ロケットノズル構成要素の従来の製造方法に関係する上記及びその他の欠点を解決し且つ製造コストを削減する一方にて、上述した必要性に対応する、方法を提供することである。
【0009】
本発明の別の目的は、構成要素が低密度繊維(マイクロバルーン等)を実質的に、又は完全に欠如する場合であっても、標準的密度のノズル構成要素の優れた物理的性質及び低い製造コストをLDCノズル構成要素の軽重量と相互依存的に組み合わせる物品を提供することである。
【0010】
この方法は、ロケットノズル構成要素を含む、低密度の複合物品を製造するため製造者が特殊な設計のプレプレグを使用することを避けることを可能にしつつ、上述の目的を達成するものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上述の目的を達成するために、本願の発明は、所定の形状を有する複合物品を製造する方法において、硬化可能なプレプレグを所定の形状に形成する工程であって、下記の硬化工程にて前記硬化可能なプレプレグ内に空所が形成されるように十分に低い圧密圧力の下で、所定の形状に形成する前記工程と、前記硬化可能なプレプレグが複合物品に硬化する時に、前記硬化可能なプレプレグを硬化するときに発生する前記硬化可能なプレプレグの樹脂の成分の蒸発物質が前記空所を形成するように、約8.61×104パスカル絶対圧(12.5psia)から103.4×104パスカルゲージ圧(150psig)までの範囲の硬化圧力の下で前記硬化可能なプレプレグを硬化する硬化工程と、を備えている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下図面を参照しながら、本発明を説明する。図面において、色々な符号を使用することができる。UFは、非充填状態を意味する。VCは、本発明により真空硬化されたことを意味する。NARC HRPFは、フルベライト(Flberite)からのプレプレグMX−4926を使用して形成された標準的密度の複合体を意味する。図7に図示したような、LDR符号は、マイクロバルーンフィラーを有する従来の低密度複合体の製造に使用する設計とされる特殊なフォーミュレーションのプレプレグを意味する。符号PCは、後硬化ステップを意味する。
【0013】
本発明は、複合強化製品、特に、ロケットノズル型構成要素の製造に関するものである。我々の新規なロケットノズル構成要素は、業界の対応する標準的密度の複合強化ロケットノズル構成要素と比較して低密度である。しかしながら、我々のロケットノズル構成要素は、業界の標準的な方法を使用して製造された高密度の製品と同様の耐食性及び焼付け抵抗性を顕著に呈する。このように、コストの削減に加えて、我々の方法は、重量を軽減し、また、完成したロケットノズル構成要素の望ましい耐食性及び焼付け抵抗性の特性を保持するものである。
【0014】
全体として、我々の方法は、(a)従来の方法にて付与される圧縮(圧力)以下である、所定の圧縮レベル下にて、圧縮したプレプレグを所望の形態に形成することと、(b)圧力が真空又は約大気圧力以下(例えば、海面レベルにて約9.6×104パスカル(14 lbs/平方インチ))の圧力及び選択された温度にて、形成したプレプレグを硬化することと、(c)低密度のロケットノズル構成要素のような硬化した製品を得ることとを備えている。我々の方法において、プレプレグは、部分的に圧密化され、全体として、80%以下に圧密化され、より具体的には、これらのプレプレグは、約50%以下まで圧密化される。このため、本発明の説明において、圧密化(debulk又はdebulking)という語を使用することができるが、我々は、例えば80%以下、好ましくは50%以下に圧密化されたような部分的に圧密化された状態を意味するものと理解すべきである。
【0015】
我々の方法によれば、形成及び硬化は、形成された構成要素に空隙ないしは空所を形成することを許容し得るように十分に低圧にて行われ、該空所は、硬化中に生じる蒸発物質により形成される。従って、中空の球状体(「マイクロバルーン」)及びエラストマーのような低密度フィラーが実質的に又は完全に存在しない複合体から本発明の硬化した製品を形成するときでさえ、得られた硬化後の製品は、標準的密度の製品よりも低密度となる。
【0016】
全体として、本発明に従って製造された硬化後の物品は、標準的密度の複合ロケットノズルよりも小さい比重を有している。例えば、適当な炭素フェノール系樹脂系プレプレグの場合、約1.00(例えば、1.03)乃至約1.15g/mlの範囲の低密度(SpG)を形成することができ、また、二酸化ケイ素布プレプレグのような他のプレプレグの場合、約1.35乃至1.49の密度(SpG)を有する複合ロケットノズル構成要素を製造することができる。更に、本発明の硬化後の物品は、また、標準的密度のプレプレグから良好に製造した複合体にて観察されるよりも大きく又はそれに少なくとも近い、プライにおける引張り強度も呈する。例えば、本発明の複合ロケットノズルは、プライにおける引張り強度は約1240×104ないし2066.7×104パスカル(1800乃至約3000psig)であり、より具体的には、プライにおける引張り強度が1240×104ないし1515.6×104パスカル(1800乃至2200psig)となるように容易に製造することが可能である。
【0017】
本発明の1つの実施の形態によれば、上述した(a)は、図2に図示したテープ巻き方法を使用して、適当なプレプレグ材料をマンドレルの周りで巻くことにより行うことができる。図示したテープ巻きの実施の形態において、巻くべきプレプレグ材料又はテープは、リール又はスプール10の周りにロール巻きした形態にある。テープをスプール10から巻き戻し、ローラ11とマンドレル12との間に進める。図示した実施の形態において、マンドレル12の周りに巻くべきテープがその間に供給される間に、マンドレル12は、時計回り方向に回転し、ローラ11は半時計回り方向に回転する。ローラ11及びマンドレル12の各々は、長手方向軸線を有している。ローラ11及びマンドレル12の長手方向軸線は、互いに対し平行な関係に配置されている。プレプレグテープは、該テープを柔軟にするためローラ11の上を交差するとき、温風供給源により加熱される。この温風は、約176.7℃(350°F)乃至約482.2℃(900°F)の範囲の温度にてテープに供給することができるが、本発明の実施において、約176.7℃(350°F)乃至287.8℃(550°F)の温度が適当であることが判明した。圧力はローラ11とマンドレル12との境界部にてテープに付与され、テープがマンドレル12に巻かれるとき、テープを圧密化する。ローラ11及びマンドレル12により付与された圧力は、全体として、プレプレグの販売業者が推奨する最低圧力(テープの幅2.54cm(1インチ)当たり45.4kg(100ポンド)乃至136.2kg(300ポンド))の約1/2(50%)以下で、テープ幅2.54cm(1インチ)当たり約22.7kg(50ポンド)がかかる低圧力の一例である。テープは冷却され、また、テープがマンドレル12の周りに巻かれるとき、硬化されることが好ましい。図2に図示するように、液体保持タンクからの二酸化炭素(又はその他の冷却剤)が、テープがマンドレル12の周りに巻き付くときにその巻いたテープに付与される。このことは、巻き付けたテープを冷却し且つマンドレルの周りで硬化させ、これにより、巻いたビレットが形成されるようにする。
【0018】
上述したように、ステップ(b)は、形成したプレプレグを選択した温度及び圧力にて硬化することを含む。この圧力は、真空とし又は約大気圧以下とすることができる。本発明の1つの実施の形態によれば、巻いたビレットは、真空パティにより密封されたナイロン真空バッグのような蒸気不透過性の真空バッグを使用して、真空包装することができる。この真空包装方法において、硬化材料から放出される如何なる樹脂も真空供給管を閉塞し、又は真空バッグ自体に悪影響を与えることを回避する(最小にしないならば)ために、適当な厚さ又は適宜に層状にしたブリーダ材料が使用される。この点に関して、ブリーダ材料は、例えば、少なくとも1つの有孔膜の層と、少なくとも2つの綿モップ層と、又はポリエステルブリーダ材料(約3.33ないし5.33パスカル(10oz又は約16oz/平方ヤード)のポリエステルブリーダ材料)のような少なくとも2つのブリーダ材料層とを含むことができる。次に、真空包装した材料を選択した最大の真空圧を使用して硬化させる。所望に応じて、真空は、硬化中に付与される唯一の圧力を提供し、選択される圧力はそのときの大気圧に依存するが、約8.61×104ないし10.2×104パスカル絶対圧(12.5psia乃至約14.7psia)以下の真空といった大気圧に略等しく、好ましくは、大気圧以下の、大気圧よりも低い程度の低圧を使用することができる。しかしながら、全体として、低圧真空は、例えば、約8.61×104ないし9.64×104パスカル絶対圧(12.5psia乃至約14psia)の範囲とし、特に、約8.61×104ないし8.7×104パスカル絶対圧(12.5psia乃至約12.7psia)の範囲とすることができる。
【0019】
硬化した構成要素の所望の密度を保ち又は提供し得るように硬化圧力が調節される。この硬化圧力は、例えば、約8.61×104パスカル絶対圧ないし103.4×104パスカルゲージ圧(12.5psia乃至約150psig)の範囲とすることができるが、全体として、約34.4×104パスカルゲージ圧(50psig)のようなより低圧の上側圧力とすることが好ましい。標準的な硬化方法を適応させることにより、真空包装により付与される低い硬化圧力を適宜に設定することができるが、この場合、真空は硬化サイクルの全体に亙って提供される。
【0020】
硬化ステップ中、プレプレグを硬化させるため熱サイクルを使用することが可能である。この温度サイクル中、本発明の方法に従って製造された複合物品を満足し得る程度に硬化することを保証し得るように、色々な温度又は温度と滞在時間とが選択される。一例として、本発明の1つの実施の形態に従って実施可能である非限定的な温度サイクルは、プレプレグが分当たり約−17.2℃(1°F)の程度にて変化するサイクルにて加熱及び冷却が為される熱サイクルを含む。別の実施の形態において、本発明の範囲内でその他の段の温度サイクルも使用可能ではあるが、3段の温度サイクルを使用することができる。例えば、この熱サイクルは、約1.25乃至1.5時間の滞在時間に対し、約82.2℃(180°F)の第一の保持時間と、約104.4℃(220°F)にて、第一の保持時間と同等の滞在時間となる第二の保持時間と、構成要素の肉厚2.54cm(1インチ)に対し、約154.4℃(310°F)乃至約160.0℃(320°F)の範囲の温度にて、約60分以上の第三の保持時間とを有するようにプログラム化することができる。ある保持温度における滞在時間は、硬化すべき材料の厚さといった、工程の変数の関数である。滞在時間及び硬化温度の双方を含む、適当な硬化サイクルを決定することは、当業者の能力の範囲であり、この開示内容に関して行われるならば、不当な実験を必要とせずに決定することができる。
【0021】
所望であるならば、更なる後硬化ステップを行うことができる。
次に、特に図3を参照すると、1つの鋳型内のプレス圧密化は、ステップ(a)を行うためのテープ巻きの1つの代替法として採用することができる。図示した実施の形態において、プライ又はプライのスタック31が、圧密化用のプラテンプレス内に配置される。通常、このプラテン金型は、プライ又はプライのスタック31が該金型内に配置される前に、約54.4℃(130°F)乃至約65.6℃(150°F)の温度まで予熱された第一のプラテン30と、第二のプラテン32とを備えている。部分的な圧密化の間、第二のプラテン32における硬化可能なプレプレグ31のプライ又はプライのスタックを圧縮すべく閉じるようにプラテン30を付勢させる圧力Fが付与される。プラテン30の移動を制限し且つ選択された圧密化後の厚さを実現し得るようにストッパ33が調節される。プラテン30、32は、ストッパに対して閉じた状態を保ち、プライ層が圧力にて安定し、平衡状態となり且つ比較的均一な温度に達するのを許容するのに十分な時間、約54.4乃至65.6℃(130乃至150°F)に保持される。部分的に圧密化したプライにより実現される部分的な組みは硬化した組みではなく、例えば、好ましくは、圧密化したプライは熱硬化性ではないようにする。例えば、一般に、閉じたプラテン金型内の1つ又は複数のプライ31の滞在時間は、殆どのロケットノズルの構成要素が製造されるとき、特に、約30乃至40のプレプレグプライが使用されるとき、約20乃至30分である。我々は、幾つかのロケットノズル構成要素が閉じたプラテン内にて、約20分の滞在時間といった比較的短い時間で済むことを確認した。このようにして、部分的に圧密化されたプライ(又は、圧密化されたプライのスタック)は、室温まで冷却し、次に、プラテン金型は、プラテン30をプラテン32から分離させることにより開放する。圧密化したプライ(複数のプライ)が得られ、次に、積み重ねて所望のビレットが形成されるようにする。圧力は、プライをストッパに対し加圧し、圧密化するのに十分であるように選択される。
【0022】
平坦なパネルは、プレプレグを圧密化するためプラテン成形法のステップを使用して製造することができる。例えば、プライ角度が0°の平坦なパネルの場合、プライスタックは、予め選択したプライの厚さとなるようにストッパに対して圧密化することができる(図3参照)。プライの厚さは変更可能であるが、20乃至22ミルのプライが容易に製造することができる。一般に、圧密化したプライスタックの厚さは、例えば、プライに対して垂直に2.032cm(0.80インチ)の厚さといった約2.54cmの厚さ以下(1インチ以下)である。平坦なパネルレイアップ以外のビレットの場合、異なるプライ角度を使用することが望ましいことがある。例えば、プレス内にて角度付きの端部プラグを使用して、閉じた筒型金型内にて45°のプライ角度を使用することができる。上述したように、圧密化したプライの厚さは、プライに対して垂直に約2.54cm(1.0インチ)以下である。圧密化は、プレスをストッパに対して閉じ得るように圧力を加えつつ、プライ及び金型を全体として約37.8℃(100°F)以上、例えば、約54.4℃乃至約65.6℃(130°F乃至150°F)といった適当な温度まで加温することにより実現することができる。圧密化したプライは、プレスがストッパに対して閉じられている間に、冷却させることができる。圧密化後、プライスタックは共に積み重ねる。平坦なパネルは独立的に立つことができ、金型内にて角度レイアップを保持することができる。プライスタックは真空包装し且つ上述したようにある温度サイクルまで硬化させる。
【0023】
所要形態(形状)のプレ複合体(未硬化の密圧化した所要形状の未硬化物品)を有するプラテン金型は、所望であるならば、オートクレーブし、又は硬化のため加熱炉内に入れることができる。
【0024】
所望の密度の複合体となるプライの間隔を生じる圧力を使用して、金型内のマンドレルに材料を付与し、又は密圧化する。このように、所望の複合体の密度を提供するため、密圧化の付与圧力は、僅か数千パスカルから約551×104パスカルゲージ圧(数psigから約800psig)以下まで変化させることができる。この圧力は、全体として、約165.3×104ないし27.6×104パスカルゲージ圧(240psig乃至約40psig)の範囲とすることができる。重要なことは、従来の密圧化技術と異なり、本発明の方法が使用する圧力は低圧である。
【0025】
本発明の方法は、典型的でなく、また、標準的な密度のプレプレグを使用するため販売業者が推奨する方法と相違している。この方法において、テープ巻き又は圧縮圧力は、樹脂の成分の蒸気圧力に基づいて空所が形成されることを許容する硬化圧力と組み合わせて選択される。例えば、テープ巻きの実施の形態において、プレプレグをマンドレルに付与する圧力は、選択されたプライ間隔が達成されるまで十分に吸引する。密圧化したビレットは、真空包装し且つ硬化させ、これにより、付与された真空の結果、大気圧がビレットに付与され、低密度複合体構成要素となるように販売業者が特に設計したプレプレグにて実現されるプライ引張り強度よりも大きいプライ引張り強度を有する硬化した構成要素が得られるプライ圧力を提供する。真空包装技術の使用は、硬化中に生ずる蒸発成分が硬化材料中の空所へと成長することができるという更なる関連する利点をもたらし、このことは、構成要素の密度を更に低下させる。その結果、低密度の複合構成要素を製造するため、従来の標準的密度の材料を使用することができる。
【0026】
標準的な密度等級のフェノール系炭素を使用して本発明の方法により製造したパネルは、硬化後の嵩密度が1.0乃至1.15g/cm3のものを製造することができることを示す。これに反して、業界の標準である典型的な納入業者推奨による工程パラメータに従って加工した同一の材料は、1.45乃至1.49g/cm3の嵩密度を有する複合構成要素となる。
【0027】
例えば、本発明の方法は、業界の標準に従って製造された対応する製品よりも低密度である、充填したプレプレグから硬化した製品を製造することができる。二酸化ケイ素で充填したフェノール系プレプレグは、本発明の方法を使用して1.53g/mlの密度を有する硬化した物品となるように加工する一方、業界の標準的な方法を使用して加工した材料と同様の材料の密度は1.75g/mlであった。ガラスで充填したプレプレグを同様に、従来の方法で製造した物品の2.0g/mlよりも低密度(1.81g/ml)を有する硬化した製品となるように加工した。
【0028】
適当なプレプレグ材料は、一般に、熱硬化性樹脂を含浸させた強化材(繊維、布、テープ)を特徴としている。適当な強化材は、当該技術分野にて公知の多岐に亙る繊維又はフィラメントを含むことができる。これらの繊維及びフィラメントは、非限定的に、ガラス繊維、ホウ素フィラメント、窒化ホウ素、二酸化ケイ素炭化物、グラファイト(炭素)フィラメント、及び高分子有機系フィラメント、特に、ナイロン、ポリエチレン、及びアラミド型の有機系フィラメントを含む。高分子有機系フィラメントの例は、非限定的に、一般に、単に「アラミド」と称されるポリ(ベンゾチアゾール)及びポリ(芳香族系アミド)を含む。アラミドは、ポリ(ベンゾアミド)と、イー・アイ・デュポン(E.I.Dupont)がケブラー(KEVLAR)という商標名で販売する材料群を含む。本発明にて有用な炭素フィラメントの一例として、例えば、アムコ(Amoco)高性能製品T−300及び東レ(Toray)のT−800H、T−1000G炭素繊維を挙げることができる。適当な熱硬化性樹脂は、例えば、フェノール系樹脂及びエポキシ樹脂(特に、ビスフェノールAのジグリシジル(diglycidyl)エーテル系のものが採用される)を含む。原理上、ビスマレイミド樹脂、ポリウレタン、ポリエステル等及びその任意の組合せ体を基本樹脂又はその1つの成分として採用することもできる。
【0029】
好ましくは、ロケットノズル構成要素について必要とされる耐食性、良好な断熱性能、及び良好なプライ引張り強度を必要とする複合材料の場合、プレプレグに対してフェノール系樹脂のマトリックス樹脂が使用される。適当な市販の硬化可能なフェノール系樹脂は、SC−1008(ボーデン)及び91−LDフェノール系樹脂(スチュアート−アイロンサイド)である。
【0030】
エポキシ系プレプレグは、ロケットモータノズル構成要素用としては、望ましくない。
適当なプレプレグは、全体として、包み込み得るように可撓性である。可撓性は、全体として、密圧化及び硬化の前に観察される。
【0031】
プレプレグ材料は、所望であるならば、フィラー材料を含むことができる。適当なフィラー材料は、二酸化ケイ素、炭素粉末及び当業者に公知のその他のものを含む。フィラー材料は、1つ以上の機能を果たす。例えば、粉末状のアルミナ三水和物又は酸化アンチモニを含む幾つかのフィラーは、また、最終的な硬化製品に対し幾らかの耐火性又はその他の特徴を提供することができるが、それにも拘らず、フィラーである。本発明の方法は、低密度の複合製品を製造するため中空の微小球状体(及びエラストマー)を必要とせず、またその使用を不要にする点にて好ましい。
【0032】
色々なプレプレグ材料が本発明に使用するのに適している。硬化可能なフェノール系樹脂を含浸させた炭素布を使用することができる。炭素布は、レーヨン系、ポリアクリロニトリル(PAN)系、又はピッチ系とすることができる。これらのプレプレグ型式は、ファイバライトからのレーヨン系炭素フェノールプレプレグである、MX−4926(樹脂28乃至38%、フィラー8乃至16%、残りが布強化材を含む)のような業界の標準的密度のプレプレグを含む。ファイバライトからのその他の適当な材料は、MX−4946又はMX−4920の名称で販売されているような、PAN系のプレプレグを含み、これら双方は、ある弾性率の3億の糸に対する販売業者の名称であるT300繊維/糸を使用する。その他の「T」型繊維/糸製品を使用することができる。これらの材料は、フィラーを含むことができ、全体として、炭素粉体フィラーを含んでいる。フェノール酸グラファイト布を使用することができる。グラファイト繊維は、レーヨン、PAN又はピッチ系とすることができる。市販の適当なグラファイトプレプレグは、MXG−175(レーヨン系のグラファイト)及びMX−4961(PAN系のグラファイト)という名称で販売されているファイバライトの製品を含む。ガラス布プレプレグは、ファイバライトからのMXB−6001のようなガラス繊維強化フェノール形樹脂を含む。MX−2600として公知のファイバライトからの製品のような、二酸化ケイ素繊維強化フェノール系樹脂を使用することができる。
【0033】
次の表1には、プレプレグ材料の幾つかを掲げてあり、この材料の更なる特徴が記載されている。織地系織物は、適当なプレプレグ間で相違するものとすることができる。この表において、HSは、ハーネスサテン織りを表わし、例えば、8HSは、8ハーネスサテン織り等を意味する一方、簡単な織りパターンは、一方が上方に一方が下方に、更に一方が上方の形態を含む。3K、6K、12Kとして指定したPAN材料は、プレプレグ内で使用される単一の糸中の3000、6000、12000のフィラメントをそれぞれ表わす。
【0034】
【表1−1】
【0035】
【表1−2】
【0036】
注:LD=低密度、LDR=ゴム改質低密度、C=カーボンブラック、MB=マイクロバルーン、HS=ハーネスサテン織り、NBR=ノーブチルジエンゴム、T−300=アムコT−300PAN系カーボン繊維
上記の表において、MBで示した材料、すなわちマイクロバルーンを使用することができるが、この材料で製造された複合体は、本発明に従って標準的密度のプレプレグを使用して製造された複合体により得られる有利な特性の全体的な釣合い状態を示さないため、この材料は好ましくない。このように、本発明は、低密度を得るために従来の特殊なフォーミュレーションのプレプレグを使用することを必要としない。本明細書の他の箇所に記載したように、これらの低密度プレプレグは、樹脂にマイクロバルーン/微小球を充填したようなフェノール系低密度炭素布、炭素フィラー及びファイバライトからのMX−4926LDC(レーヨン系炭素繊維)のようなオプション的なエラストマー添加剤を含む。マイクロバルーン/微小球で装填(充填)された低密度のガラス繊維強化フェノール系樹脂がファイバライトからのMXS−385LDとして公知である、マイクロバルーン/微小球で充填された低密度のフェノール系二酸化ケイ素布が公知であり、また、ファイバライトからのMX−2600LDのような公知の特殊なフォーミュレーションの低密度プレプレグのようなエラストマー改質樹脂を含むこともできる。
【0037】
本発明により製造可能な最終的な硬化し且つ所要形状とした製品は、ロケットノズル構成要素を含む。本発明の方法は、複合パネルを製造するために使用することもできる。例えば、硬化可能なフェノール系樹脂を含浸させた標準的密度の炭素繊維布は、硬化したとき、1.0g/ml乃至1.15g/mlの嵩密度を有するパネルの製造に使用することができる。この型式のパネルは、パネル又は例えば、C4ミサイル用の後方出口円錐体のような他の部品よりも経済的である。
【0038】
本発明の方法は、ロケットノズル構成要素のような、特注密度の複合製造物品の製造に使用することができる。ロケットモータ構成要素は、特に、ブラスト管(後方、中間及び/又は前方)と、ノズルスロートと、出口円錐体と、図17に図示するような構成要素とを含んでいる。例えば、複合材料のプライ特性は、最初の圧縮ステップ中に使用される圧力及び硬化ステップ中に使用される圧力を調節することにより、特別に設定することができる。かかる調節は、この明細書に関して考えたとき、不必要な実験を行わずに当業者が案出可能な範囲に属するであろう。
【0039】
複合構成要素は、本発明のテープ巻き及びプラテンプレスの実施の形態に従って製造した。プラテンプレスの実施の形態を使用して製造された製品を評価し、これらの低密度製品は、製造したとき、1.05乃至1.13g/mlの範囲の嵩密度であった。これらの製品を宇宙シャトル固体ロケットモータ用の推進剤を使用してFPCモータ内で試験した。試験中の着火時間は約30乃至35秒とし、平均圧力は、約447.8×104ないし516.7×104パスカルゲージ圧(約650psig乃至約750psig)の範囲とした。これらの製品を、従来の方法で製造した標準的密度の製品と比較した。この比較の結果が表2に掲げてある。
【0040】
【表2】
【0041】
このデータは、本発明に従って製造された複合ロケットノズル構成要素にて引張り強度の程度の改良及び耐食性の顕著な改良が、実現可能であることを示す。予想しない有利な特性の1つは、従来の低密度の複合製品と比較して、本発明の低密度の複合製品にて、プライの引張り強度が400%以上、向上する点である。
【0042】
18.16kg(40ポンド)の爆薬ロケットノズルを使用して我々の低密度ロケットノズル構成要素を試験した結果、従来の方法を使用して製造した標準的密度の複合構成要素に伴う耐食性、焼付け抵抗性及びプライの引張り強度の望ましい組み合わせを有することが実証された。しかしながら、我々の複合体は、比較可能な耐食性を備える従来の複合体と比較して、軽量であるという更なる利点をもたらすものである。
【0043】
【表3−1】
【0044】
【表3−2】
【0045】
本発明の目的及び原理は、完全に且つ効果的に達成されたことが理解されよう。しかしながら、上記の好適な特別な実施の形態は、本発明の目的のため示し且つ記載したものであり、かかる原理から逸脱せずに変更が可能であることが理解されよう。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】従来の「標準的密度」の複合物品を製造する方法、低密度の複合物品を製造する本発明の方法、及び低密度の複合物品を製造する業界の標準的な方法を比較するフローチャートである。
【図2】本発明の1つの実施の形態を実施するのに適したテープ巻き方法の概略図である。
【図3】本発明の別の実施の形態に従って実施されるプレス圧密化のステップを示す概略図である。
【図4A】推進剤が内部に装填された18.16kg(40ポンド)の装荷モータの断面図である。
【図4B】ノズル材料の試験に有用な18.16kg(40ポンド)の装荷ロケットモータ(「FPC」)の断面側面図である。
【図4C】時間と圧力との関係を示すグラフである。
【図5】真空パッグ及びブリーダ材料を示すプラテンプレスの側面図である。
【図6A】複合体により得られた結果をまとめる表である。
【図6B】複合体により得られた結果をまとめる表である。
【図7】18.16kg(40ポンド)の装荷(FPC)モータの45°のブラスト管部分が全体的に熱の影響を受ける深さを示す棒グラフである。
【図8】18.16kg(40ポンド)の装荷(FPC)モータの30°のブラスト管部分が全体的に熱の影響を受ける深さを示す棒グラフである。
【図9】後方出口円錐体部分の試験片の幾つかの正規化した腐食速度を示す棒グラフである。
【図10A】FPCビレットと比較したタグ端部の性能を示す表である。
【図10B】FPCビレットと比較したタグ端部の性能を示す表である。
【図11】複合材料の試験結果の表である。
【図12】プライにおける平均的な熱膨張を温度の関数(−12.2℃/秒(10°F/秒))として比較して示すグラフである。
【図13】改変した材料の極限的な捩れせん断強度を比較する棒グラフである。
【図14】改変した複合材料の充填透過性を比較する棒グラフである。
【図15】改変した複合材料の開放多孔度を比較する棒グラフである。
【図16】改変した材料の充填熱膨張の最大高さを示す棒グラフである。
【図17】ロケットモータ構成要素を示す図である。
【符号の説明】
【0047】
10: スプール 11: ローラ
12: マンドレル 30: 第一のプラテン
31: スタック 32: 第2のプラテン
33: ストッパ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の形状を有する複合物品を製造する方法において、
硬化可能なプレプレグを所定の形状に形成する工程であって、下記の硬化工程にて前記硬化可能なプレプレグ内に空所が形成されるように十分に低い圧密圧力の下で、所定の形状に形成する前記工程と、
前記硬化可能なプレプレグが複合物品に硬化する時に、前記硬化可能なプレプレグを硬化することにより発生する前記硬化可能なプレプレグの樹脂の成分の蒸発物質が前記空所を形成するように、約8.61×104パスカル絶対圧(12.5psia)から103.4×104パスカルゲージ圧(150psig)までの範囲の硬化圧力の下で前記硬化可能なプレプレグを硬化する硬化工程と、を備えている方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法において、前記硬化可能なプレプレグを所定の形状に形成する工程が、約551×104パスカルゲージ圧(800psig)以下の圧密圧力の下で、マンドレル又は金型に前記硬化可能なプレプレグを配置する工程を備えている、方法。
【請求項3】
請求項1に記載の方法において、ロケットノズル構成要素から成る複合物品を形成する工程を更に備える、方法。
【請求項4】
請求項1に記載の方法において、前記硬化工程にて硬化可能なプレプレグ内に空所が形成されるように十分に低い圧密圧力の下で、硬化可能なプレプレグを所定の形状に形成する前記工程が、約551×104パスカルゲージ圧(800psig)以下の圧密圧力の下で、マンドレル又は金型に前記硬化可能なプレプレグを配置することにより、前記硬化可能なプレプレグをロケットノズル構成要素の形状に形成する工程を含む、方法。
【請求項5】
請求項1ないし4の何れか一項に記載の方法において、前記約8.61×104パスカル絶対圧(12.5psia)から103.4×104パスカルゲージ圧(150psig)までの範囲の硬化圧力の下で前記硬化可能なプレプレグを硬化する前記硬化工程が、真空バッグ内で前記硬化可能なプレプレグを硬化する工程を含む、方法。
【請求項6】
請求項1に記載の方法において、前記硬化工程にて硬化可能なプレプレグ内に空所が形成されるように十分に低い圧密圧力の下で、硬化可能なプレプレグを所定の形状に形成する前記工程が、実質的に中空の球状体を有しない硬化可能なプレプレグを供給することを含む、方法。
【請求項7】
請求項1に記載の方法において、前記硬化工程にて硬化可能なプレプレグ内に空所が形成されるように十分に低い圧密圧力の下で、硬化可能なプレプレグを所定の形状に形成する前記工程が、フノール系樹脂からなる硬化可能なプレプレグを供給する工程を含む、方法。
【請求項8】
請求項1に記載の方法において、1.0g/mlないし1.15g/mlの範囲の密度を有する複合物品を形成することを更に含む、方法。
【請求項9】
請求項1ないし7の何れか一項に記載の方法において、二酸化ケイ素布材料からなる複合物品を形成することを更に含む、方法。
【請求項10】
請求項1に記載の方法において、1.35ないし1.49g/mlの範囲の密度を有する複合物品を形成することを更に含む、方法。
【請求項11】
請求項1に記載の方法において、前記硬化工程にて硬化可能なプレプレグ内に空所が形成されるように十分に低い圧密圧力の下で、硬化可能なプレプレグを所定の形状に形成する前記工程が、前記硬化可能なプレプレグをテープとして供給する工程と、177℃ないし482.2℃(350°Fないし900°F)の軟化温度まで温風で加熱する工程と、テープ幅2.54cm(1インチ)当り約22.7kg(50 lbs)の最大圧力で前記硬化可能なプレプレグを心金に巻き付ける工程と、前記硬化可能なプレプレグを冷却する工程と、を含む、方法。
【請求項12】
請求項1に記載の方法において、前記約8.61×104パスカル絶対圧(12.5psia)から103.4×104パスカルゲージ圧(150psig)までの範囲の硬化圧力の下で前記硬化可能なプレプレグを硬化する前記硬化工程が、真空の下で硬化可能なプレプレグを硬化することを含む、方法。
【請求項13】
請求項1に記載の方法において、前記硬化可能なプレプレグを所定の形状に形成する前記工程が、27.6×104ないし165.3×104パスカルゲージ圧(40psigないし240psig)の範囲の圧密圧力を付与することを含む、方法。
【請求項1】
所定の形状を有する複合物品を製造する方法において、
硬化可能なプレプレグを所定の形状に形成する工程であって、下記の硬化工程にて前記硬化可能なプレプレグ内に空所が形成されるように十分に低い圧密圧力の下で、所定の形状に形成する前記工程と、
前記硬化可能なプレプレグが複合物品に硬化する時に、前記硬化可能なプレプレグを硬化することにより発生する前記硬化可能なプレプレグの樹脂の成分の蒸発物質が前記空所を形成するように、約8.61×104パスカル絶対圧(12.5psia)から103.4×104パスカルゲージ圧(150psig)までの範囲の硬化圧力の下で前記硬化可能なプレプレグを硬化する硬化工程と、を備えている方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法において、前記硬化可能なプレプレグを所定の形状に形成する工程が、約551×104パスカルゲージ圧(800psig)以下の圧密圧力の下で、マンドレル又は金型に前記硬化可能なプレプレグを配置する工程を備えている、方法。
【請求項3】
請求項1に記載の方法において、ロケットノズル構成要素から成る複合物品を形成する工程を更に備える、方法。
【請求項4】
請求項1に記載の方法において、前記硬化工程にて硬化可能なプレプレグ内に空所が形成されるように十分に低い圧密圧力の下で、硬化可能なプレプレグを所定の形状に形成する前記工程が、約551×104パスカルゲージ圧(800psig)以下の圧密圧力の下で、マンドレル又は金型に前記硬化可能なプレプレグを配置することにより、前記硬化可能なプレプレグをロケットノズル構成要素の形状に形成する工程を含む、方法。
【請求項5】
請求項1ないし4の何れか一項に記載の方法において、前記約8.61×104パスカル絶対圧(12.5psia)から103.4×104パスカルゲージ圧(150psig)までの範囲の硬化圧力の下で前記硬化可能なプレプレグを硬化する前記硬化工程が、真空バッグ内で前記硬化可能なプレプレグを硬化する工程を含む、方法。
【請求項6】
請求項1に記載の方法において、前記硬化工程にて硬化可能なプレプレグ内に空所が形成されるように十分に低い圧密圧力の下で、硬化可能なプレプレグを所定の形状に形成する前記工程が、実質的に中空の球状体を有しない硬化可能なプレプレグを供給することを含む、方法。
【請求項7】
請求項1に記載の方法において、前記硬化工程にて硬化可能なプレプレグ内に空所が形成されるように十分に低い圧密圧力の下で、硬化可能なプレプレグを所定の形状に形成する前記工程が、フノール系樹脂からなる硬化可能なプレプレグを供給する工程を含む、方法。
【請求項8】
請求項1に記載の方法において、1.0g/mlないし1.15g/mlの範囲の密度を有する複合物品を形成することを更に含む、方法。
【請求項9】
請求項1ないし7の何れか一項に記載の方法において、二酸化ケイ素布材料からなる複合物品を形成することを更に含む、方法。
【請求項10】
請求項1に記載の方法において、1.35ないし1.49g/mlの範囲の密度を有する複合物品を形成することを更に含む、方法。
【請求項11】
請求項1に記載の方法において、前記硬化工程にて硬化可能なプレプレグ内に空所が形成されるように十分に低い圧密圧力の下で、硬化可能なプレプレグを所定の形状に形成する前記工程が、前記硬化可能なプレプレグをテープとして供給する工程と、177℃ないし482.2℃(350°Fないし900°F)の軟化温度まで温風で加熱する工程と、テープ幅2.54cm(1インチ)当り約22.7kg(50 lbs)の最大圧力で前記硬化可能なプレプレグを心金に巻き付ける工程と、前記硬化可能なプレプレグを冷却する工程と、を含む、方法。
【請求項12】
請求項1に記載の方法において、前記約8.61×104パスカル絶対圧(12.5psia)から103.4×104パスカルゲージ圧(150psig)までの範囲の硬化圧力の下で前記硬化可能なプレプレグを硬化する前記硬化工程が、真空の下で硬化可能なプレプレグを硬化することを含む、方法。
【請求項13】
請求項1に記載の方法において、前記硬化可能なプレプレグを所定の形状に形成する前記工程が、27.6×104ないし165.3×104パスカルゲージ圧(40psigないし240psig)の範囲の圧密圧力を付与することを含む、方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4A】
【図4B】
【図4C】
【図5】
【図6A】
【図6B】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10A】
【図10B】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4A】
【図4B】
【図4C】
【図5】
【図6A】
【図6B】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10A】
【図10B】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2007−50705(P2007−50705A)
【公開日】平成19年3月1日(2007.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−241199(P2006−241199)
【出願日】平成18年9月6日(2006.9.6)
【分割の表示】特願平11−502809の分割
【原出願日】平成10年6月4日(1998.6.4)
【出願人】(598174370)アライアント・テクシステムズ・インコーポレーテッド (19)
【氏名又は名称原語表記】Alliant Techsystems Inc.
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年3月1日(2007.3.1)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年9月6日(2006.9.6)
【分割の表示】特願平11−502809の分割
【原出願日】平成10年6月4日(1998.6.4)
【出願人】(598174370)アライアント・テクシステムズ・インコーポレーテッド (19)
【氏名又は名称原語表記】Alliant Techsystems Inc.
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]