説明

複合積層構造物に熱可塑性樹脂および/または架橋性樹脂を送達する方法

本発明は、a)強化繊維束層を提供するステップであって、こうした束が繊維束内に熱可塑性樹脂および/または架橋性樹脂を含有するステップと、b)ステップa)の高弾性率繊維層の少なくとも片側に熱可塑性および/または架橋性材料層からなる層を設けるステップと、c)適切な量の熱および圧力下でステップb)からの層を圧縮することにより高弾性率強化繊維のプリプレグを製造するステップとを含む高弾性率強化繊維のプリプレグ製造方法を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2008年6月12日に出願した米国仮出願第61/131,773号(特許文献1)および2009年3月9日に出願した米国仮出願第61/209,594号(特許文献2)の両方の優先権を主張するものである。これらの出願は、その教示のすべてについてその全体が参照により本明細書に組み込まれている。
【背景技術】
【0002】
船舶、自動車、トラック輸送、鉄道、航空宇宙、防衛、レクリエーション、薬品、インフラストラクチャーなどの産業は、そのユニークな特性、特に非腐食性または耐腐食性および高い重量比強度を有していることを利用するために複合材料に関心を向けている。複合材料は疲労および化学的侵食にも耐性である。複合材料は、軽量構成部品に高い強度および剛性の可能性を提供する。しかし、複合材料製造プロセス、特に、その高い強度および剛性を保持しながら、複合材料のコスト、特に、大きな構造物のコストを劇的に低下させる、サイクルタイムの短いプロセスを開発する必要がある。
【0003】
連続強化繊維束に樹脂を含浸(注入)させた繊維強化複合材料は、一般にプリプレグと呼ばれ、自動車や飛行機の部材、一般産業資材、さらにスポーツ・レジャー用途、例えばゴルフ用クラブなどへ成形するための基材として広く使用されている。
【0004】
原動力として真空(大気圧)を使用して、高弾性率繊維のドライ・プリフォームに湿潤樹脂を注入することは従来技術において公知である。より早い例があり得るが、マーコ法(Marco method)(米国特許第2,495,640号(特許文献3))は1940年代の初期に初めて使用された。Palmer(米国特許第4,942,013号(特許文献4))およびSeemann(米国特許第4,902,215号(特許文献5))はより最近の例である。複合材料の技術文献で取り上げられている、RIRM、RIFT、およびUV−VaRTMなどその他多くの手法もある。米国特許出願第09/731,945号(特許文献6)に記載されているボーイングのダブルバッグ真空注入(Boeing’s Double Bag Vacuum Infusion)(DBVI)法は、樹脂分配媒体(resin distribution media)、多数のポーティング(porting)またはチャネルによる真空支援注入(vacuum−assisted infusion)の制御に関して非常に多くの特許請求をしている。Seemannには、米国特許第5,052,906号(特許文献7)、同第5,316,462号(特許文献8);同第5,439,635号(特許文献9);および同第5,958,325号(特許文献10)など、樹脂分配マトリックス(resin distribution matrix)を再使用可能なバッグへ組み込むことに主として関する他の特許が付与されている。
【0005】
注入プロセスの物理学では、樹脂をプリフォームに注入するためにプリフォームの両端に圧力差が必要である。従来の手法では、完全大気圧で樹脂を注入する、すなわち、樹脂が取り出されるタンクは大気に開放されている。注入中、プリフォームが樹脂で満たされるに連れて、一杯になった真空バッグ(すなわち、注入中、樹脂の流れを閉じ込めている不浸透性の外層シート)内部の圧力は、バッグの外側の圧力、すなわち大気圧に近づく。真空だけでの樹脂注入は、バッグの下のプリフォームを成形面に対して束縛するために大気の過剰圧力だけに依存しているので、このバッグ内部の圧力上昇は上方の大気圧に反発する。バッグ内部の圧力と大気圧との間に残る圧力差(すなわち、正味の圧縮圧力)は、成形面に繊維プリフォームを束縛するために残った圧力のすべてである。この圧力差は、圧力勾配のプロフィール、したがって注入される材料の浸透性、ならびに入口および出口のラインを締めるタイミング・シーケンスを含むいくつかの要因に応じて変化する。プリフォームには仕上がり厚さがある。プリフォームを、その仕上がり繊維体積率(finished fiber volume fraction)が得られるように押しつけることによって圧縮が達成される。高い繊維体積率を得るには、成形面に対して圧縮することが必要である。注入中および注入後樹脂が硬化するまで、成形面に対してプリフォームを適切に束縛することは、それが高い繊維体積を有していることに由来する高い性能の構造物を得るために不可欠である。正味の圧縮圧力が不十分な場合(従来のVaRTMでは、それはゼロに近づく可能性がある)、プリフォームは、樹脂中を自由に浮遊する、またはその圧縮された状態から自由に跳ね返るので、繊維体積率が低下することになる。
【0006】
Seemann Composites,Inc.は、航空宇宙部品を作るためにゼーマン複合材料樹脂注入成形法(Seemann Composite Resin Infusion Molding Process)(SCRIMP)を使用する目的で、SCRIMPを使用して平面パネルから複雑な実証用翼構造(demonstration wing structures)(ボーイング−LB 1998〜2000)まで様々な複合構造物を製造している。これらの構造物およびパネルの共通の問題は、繊維体積が所望のものより小さいのと同時に、航空宇宙で用いられる1プライ当たりの仕上がり厚さが所望のものより大きいことである。航空宇宙用複合材料における炭素繊維体積率の好ましい範囲は、注入されるプリフォームに応じて、名目上到達可能な体積率の上限、すなわち名目上52〜60%である。所望の繊維体積は、例えば、織りの種類または他の繊維構造ならびに炭素トウのサイズおよび数に大きく依存する。Seemann CompositesがBoeing用に作った積層物および構造物は、通常、繊維体積率が所望の範囲より低かった。得られる複合材料の重量を制御するには、1プライ当たりのインチを測定基準として複合材料の厚さを制御することが重要である。従来の樹脂注入において、厚さの最適化に失敗するということは、各プライが必要以上に厚いことを意味することが多い。繊維強化材が足りない樹脂には十分な強度がなく、したがって、積層物中の制御されていないプライは、高強度領域がより低い強度領域の間にはさまれたパターンを形成する可能性がある。この積層物全体の強度は、最適な1プライ当たりの厚さを有する適切に圧密した積層物より低く、この積層物は、一般に、所望の強度を達成するにはより多くのプライを必要とする。プライが多くなれば、より多くの材料とより多くの労力とが必要になり、既に高価な部品をさらに高価にする。これはまた重量を増加させることになり、複合材料が使用される航空宇宙システムの総合的性能を低下させる。
【0007】
米国特許第4,902,215号(特許文献5)に記載されているように、Seemannは、注入する樹脂をプリフォーム全体に網目に分配するために、真空バッグ内部の繊維プリフォーム上のフロー媒体に選択的な流れおよび圧力を誘導した。推進力は、主として、真空ポンプを使用してバッグ内部の圧力を引き下げることにより作り出した圧力差または圧力水頭である。樹脂上の大気圧が、入口のチューブを通してバッグ内に樹脂を押し込む。バッグに入った樹脂は、下にある繊維プリフォームへ樹脂を導くために使用されるフロー媒体に遭遇する。樹脂は、フロー媒体を通ってプリフォーム全体に横に流れ、次に下方へ流れてプリフォームに入る。通常、プリフォームは流れに対する浸透性が最も低い(すなわち、注入する樹脂の流れに対する抵抗が最も大きい)。高性能複合材料は、現在、プリプレグから作られている。プリプレグの織物テープまたは一方向性テープを、手または機械によって成形マンドレル上に置く(「レイアップする」)。積層物のプライ間のかさを小さくすること(圧縮すること)がしばしば必要であり、この目的は、この積層物を真空バッグに入れ(すなわち、樹脂の硬化中に放出される揮発物を抜取るために真空下の不活性雰囲気に封入し)、オートクレーブまたはプレス中で圧密(すなわち、硬化サイクルにおいて高温・高圧に曝露)した後、空気を除去して、繊維体積の大きい構成部品を得ることである。通常、プリプレグ材(特に高弾性率炭素繊維を使用するもの)は高価である。生のプリプレグ材の貯蔵期間は限られている。何故ならば、繊維に含浸させる樹脂は周囲温度で反応(「進行」)し続ける可能性があるからである。樹脂の進行は、得られる複合材料の特性に悪影響を及ぼす。
【0008】
プリプレグの成形により得られる成形品は優れた表面外観、機械的特性などを有することが求められるので、強化繊維束に樹脂を十分に含浸させるか注入してできるだけ空隙を減少させることが必要である。この場合、含浸とは、熱可塑性樹脂が強化繊維束の単繊維へ浸透して繊維間の間隙が実質的にない状態をいう。
【0009】
近年、混繊形(comingled form)および不連続混繊形(discontinuous comingled form)のプリプレグが開発されている。混繊形とは、連続強化繊維束中に連続熱可塑性樹脂を繊維として存在させた複合材料の形態をいう。不連続混繊形とは、連続強化繊維束中に不連続の熱可塑性樹脂または熱硬化性樹脂の繊維を有する複合材料の形態をいう。
【0010】
例えば、特開昭60−209033号(特許文献11)は、連続強化繊維束と連続熱可塑性樹脂繊維束とを含む、混繊形のプリプレグの製造方法を開示している。この形態はドレープ適性に優れている。何故ならば、プリプレグそれ自体が既に樹脂で含浸させられており、さらに、強化繊維束と樹脂とが隣接して配置されているからである。しかし、プリプレグが型に従って運ばれるまたは成型されるとき、強化繊維束と樹脂とが分離する恐れがあり、その結果、マルチフィラメント中へ熱可塑性樹脂を撚る予備ステップが必要となる。
【0011】
特開平03−47713号(特許文献12)は、不連続混繊形のプリプレグの製造方法を開示している。この方法は、連続強化繊維束上に、ランダムに配向させた長さ20mm〜200mmに切断した短い不連続熱可塑性樹脂繊維を含むシートを置くステップと、ウォーター・ジェットを使用して強制的に混ぜ合わすステップとを含む。強化繊維束と熱可塑性樹脂繊維とが分離する問題は生じない。しかし、熱可塑性樹脂繊維は短繊維として配置されているので、プリプレグはかさばっており、型の形状によっては容易に成型できないというドレープ適性の問題を有している。さらに、ウォーター・ジェットを使用するので、強化繊維を壊すまたは曲げる恐れがあり、また、成形品の表面外観、機械的特性などが低下する恐れがあるという問題が生じる。したがって、マルチフィラメント中に熱可塑性樹脂を撚ることと、カッターなどを使用してこれを短繊維へ切断することとが必要である。
【0012】
上述のように、プリプレグの貯蔵期間には限界がある。いくつかの配合物では、樹脂は、複合材料中に所望のポリマーを生成するモノマー反応物を含有するラッカーまたはワニスとして繊維上に運ばれる(すなわち、PMR型のプリプレグ)。他の配合物では、樹脂は、硬化中に架橋して所望のポリマーを形成する比較的低分子量の熱硬化性ポリマーである。樹脂は、液体のままであって、繊維または織物に含浸させることができるように、その不完全な状態で保持されて使用される。所期の硬化サイクル前にポリマーのモノマー反応物が反応すること(すなわち、これが進行すること)は、最終複合材料の品質に悪影響を与える。何故ならば、これはその後の加工に適していないからである。
【0013】
トランスファー成形、樹脂フィルム注入、樹脂トランスファー成形、および構造材用反応射出成形(structural reaction injection molding)(SRIM)などの液状成形技術は、通常、高価なマッチド・メタル・ダイ(matched metal dies)および高いトン数のプレスまたはオートクレーブを必要とする。これらの方法で製造された部品は、一般にサイズおよび形状が限定されている。従来の液状成形用樹脂では、複合材料の多くの用途に必要な特性が得られない。
【0014】
熱可塑性樹脂または架橋性樹脂を含浸させた複合積層構造物を製造する場合、樹脂系の送達は、こうした熱可塑性樹脂またはいくつかの架橋性樹脂でさえも高粘度のために時に困難である。炭素繊維またはケブラー(登録商標)ポリフェニレンテレフタルアミド繊維などの高弾性率繊維の束の外側から樹脂を注入する場合、糸束内のすべての高弾性率繊維上にほぼ完全に樹脂をコーティングする(「濡らす」)のは難しい可能性がある。
【0015】
強化熱可塑性または架橋性材料は、例えば、航空宇宙、自動車、工業/化学、およびスポーツ用品の産業に広い用途を有している。架橋性樹脂は、こうした樹脂状物質の粘度が低い間硬化前に強化材へ含浸させることができる。熱可塑性組成物は、その比較的高い粘度のために強化材へ含浸させるのはより難しい。一方、熱可塑性組成物は、架橋性組成物と比べて多くの利点を提供する。例えば、熱可塑性プレプレグは、物品への製作がより容易である。別の利点は、熱可塑性樹脂品は再利用できることである。さらに、熱可塑性マトリックスの適切な選択によって多種多様な特性を得ることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0016】
【特許文献1】米国仮出願第61/131,773号
【特許文献2】米国仮出願第61/209,594号
【特許文献3】米国特許第2,495,640号
【特許文献4】米国特許第4,942,013号
【特許文献5】米国特許第4,902,215号
【特許文献6】米国特許出願第09/731,945号
【特許文献7】米国特許第5,052,906号
【特許文献8】米国特許第5,316,462号
【特許文献9】米国特許第5,439,635号
【特許文献10】米国特許第5,958,325号
【特許文献11】特開昭60−209033号
【特許文献12】特開平03−47713号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
繊維強化プラスチック材料は、通常、初めに繊維強化材に樹脂を含浸させてプリプレグを形成し、次いで、2つ以上のプリプレグを圧密して積層物とすることにより製造され、任意選択で追加の形成ステップを有する。先に説明したように、繊維束の圧密は、通常、繊維間の空隙を除去するために必要であり、このことは、繊維に樹脂を含浸させる(注入する)ために使用されてきたプロセス中に、繊維束、トウ、またはロービングからの空気を樹脂で完全に置換することができないことに由来するものである。個々に含浸させたロービング糸、トウ、プライ、またはプリプレグの層は、通常、真空バッグ成形やオートクレーブ中での圧縮によるように、熱および圧力によって、または熱および真空を用いて圧密する。圧密ステップでは、一般に、高温で比較的長い時間、非常に高い圧力または真空を加えることが必要であった。従来、熱可塑性組成物は、通常、組成物の粘度を低下させるために加熱し、スラリー化し、混繊し、または溶媒で希釈し、その後これを使用して強化材を含浸させた。これらの方法には重大な欠点があった。
【0018】
粘度を低下させるために溶媒を使用する場合は、含浸ステップ後に溶媒を飛ばさなければならず、その結果、プロセスに追加のステップがもたらされると同時に不要な揮発性排出物が生じる。さらに、所望のマトリックスが普通の溶媒に溶解しないことがある。その粘度を低下させるために熱可塑性マトリックスを加熱する場合は、加熱域での樹脂の滞在時間が、結果的に樹脂の分解をもたらし、付随して所望の機械的特性が低下する恐れがある。さらに、含浸ステップを容易にするために、樹脂の分子量を、最終製品の最適の機械的特性にとって望ましいものより低くしておく必要があり得る。最後に、上述のように、強化材中へ熱可塑性樹脂を含浸させる既知のプロセスでは、最良の物理強度および他の特性をもたらすために、かつ、圧密中またはその後のステップ、例えば仕上げ工程でのガス抜きを最小限にするまたは省くために、高温高圧でプリプレグ材をかなり長い時間圧密することが必要であった。圧密中のガス抜きは、機械的特性に悪影響を及ぼす可能性がある微小亀裂または早期離層を引き起こす恐れがある空隙を複合材料内にもたらすことが多い。コーティング・ステップ中のガス抜きは、基質またはコーティングにピンホールまたは破裂を引き起こしやすく、望ましくない粗さとキズのある表面または仕上げをもたらす。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明は、a)強化繊維束層を提供するステップであって、その束が繊維束内に熱可塑性樹脂および/または架橋性樹脂を含有するステップと、b)ステップa)の高弾性率繊維層の少なくとも片側に熱可塑性および/または架橋性材料層からなる層を設けるステップと、c)適切な量の熱および圧力下でステップb)からの層を圧縮することにより強化繊維のプリプレグを製造するステップとを含む強化繊維のプリプレグ製造方法を提供する。
【0020】
1つの好ましい実施形態では、本発明は、a)少なくとも2つの強化繊維束層を提供するステップであって、これらの束層の各々が繊維束内に熱可塑性樹脂および/または架橋性樹脂を含有するステップと、b)ステップa)の高弾性率繊維層の間に熱可塑性および/または架橋性材料層からなる層を設けるステップと、c)適切な量の熱および圧力下でステップb)からの層を圧縮することにより強化繊維のプリプレグを製造するステップとを含む強化繊維のプリプレグ製造方法を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】以下の例に記載される方法によって製造された複合積層物を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
強化繊維束層は、短繊維または連続フィラメントなどの繊維の束の形態とすることができる。プリプレグでは、強化繊維束層は、繊維束内に熱可塑性樹脂および/または架橋性樹脂を含有する。熱可塑性樹脂および/または架橋性樹脂は、これを強化繊維と重ね合わせる場合、あるいは強化繊維束を熱可塑性樹脂および/または架橋性樹脂の周りに巻きつける場合、繊維束、糸、テープ、不織布ウェブまたはフィルムの形態とすることができる。この実施形態では、熱可塑性樹脂および/または架橋性樹脂は、不織布ウェブ、非連続繊維または連続フィラメントの糸束、フィルムまたはテープの形態であってもよい。別の実施形態では、適切な量の熱および圧力を利用して、熱可塑性樹脂および/または架橋性樹脂を、高弾性率強化繊維束の中央またはコアを通して絞り出すことができる。この実施形態では、熱可塑性樹脂および/または架橋性樹脂は、不織布ウェブ、非連続繊維または連続フィラメントの糸束、フィルム、テープ、粉体または溶融物の形態であってもよい。さらに、別の実施形態では、熱可塑性樹脂および/または架橋性樹脂の粉体を、強化繊維束の内部に分散するか、またはこれと混合することができる。強化繊維束が、繊維束の実質的に中央に熱可塑性樹脂および/または架橋性樹脂を含有することが好ましく、あるいは、繊維強化繊維束層を、熱可塑性樹脂および/または架橋性樹脂と適切な物理的形態に重ね合わせることが好ましい。好ましい実施形態では、プリプレグの外側層は熱可塑性樹脂を含み、これにより型からの最終プリプレグの剥離を改善することができる。
【0023】
特許請求された方法のステップa)において、各強化繊維束内に供給される塑性樹脂および/または熱硬化性樹脂の含有量は、繊維束の重量に対して、好ましくは約1重量%〜50%重量%、より好ましくは約3重量%〜30重量%である。特許請求された方法では、ステップb)で利用される樹脂の融点または化学組成とは異なる融点または異なる化学組成の熱可塑性樹脂および/または架橋性樹脂をステップa)で利用することもできる。
【0024】
本発明のプリプレグは、強化繊維またはフィラメントと熱可塑性樹脂および/または架橋性樹脂とを含む。この場合、本発明で使用される強化繊維束は、一般に一方向に整列した強化繊維またはフィラメント(以下、「繊維」と呼ぶ)の束である。1種または複数種の強化繊維を一緒に使用することもできる。強化繊維の表面を金属などで覆うこともできるし、その上に金属などを蒸着させることもできる。強化繊維の表面を処理することもできる。低比重、高強度および高弾性率を有する炭素繊維を使用することもできる。何故ならば、これらが最終的な複合積層成形品の強化効率を非常に高めることができるからである。
【0025】
さらに、強化繊維束には、取扱いをより容易にする目的でサイズ剤を供給することもできる。サイズ剤の種類、適用方法、付着量または、付着形態などは、特に限定されていない。さらに、強化繊維束は、任意の好適な添加剤を含有することもできる。
【0026】
本発明で使用することができる熱可塑性樹脂の例としては以下のものが挙げられる:ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリシクロヘキサンジメチルテレフタレートおよび液晶ポリエステルなどのポリエステル樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレンおよびポリブチレンなどのポリオレフィン、ポリオキシメチレン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリメチルメタクリレート樹脂、ポリ塩化ビニル、ABS樹脂、AES樹脂、AAS樹脂、ポリスチレン(PS)樹脂およびHIPS樹脂などのスチレン系樹脂、ポリフェニレンスルフィド(PPS)樹脂、変性ポリフェニレンエーテル(PPE)樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリスルフォン樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリエーテルケトン樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、フェノール樹脂、フェノキシ樹脂、これらのコポリマーおよび変性生成物など。これらのうちの1種を使用することができ、または、これらの2種以上を一緒に使用することもできる。とりわけ、得られる成形品の機械的特性および成形性を考慮して、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリフェニレンスルフィド(PPS)樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリカーボネート樹脂およびスチレン系樹脂からなる群から選択される少なくとも1種の熱可塑性樹脂を使用することが特に好ましい。
【0027】
さらに、本発明は、所望の加工温度における樹脂組成物の粘度のために、他の方法では加工が困難であるか、または結果的に樹脂が分解するような場合に、架橋性樹脂系を利用するプロセスに特に有利である。例えば、特許請求された方法は、プレプレグ成形中に真の熱可塑性材料のものに似た挙動を示すいわゆる「擬熱可塑性」材料に特に好適である。特許請求された方法では、最終物品を形成する前に部分硬化させることが望まれる場合に、架橋性材料のこうした部分硬化を引き起こす温度まで強化材を加熱することも可能である。最後に、本発明は、好適な樹脂粘度を得るために必要な温度において、「可使時間」が短い架橋性組成物を熱硬化プレプレグ成形する方法を提供する。「可使時間」とは、架橋性組成物を使用することができる間の混合後から組成物が硬化する前まで(すなわち、粘度が架橋により上昇する前まで)の時間間隔を説明する技術用語である。
【0028】
これらの用途に一般に使用されるすべての種類の繊維強化材または他の強化材を、本発明の方法で使用することができる。さらに、ロービング束またはトウを含浸させる前に成型すること、例えば平らにしてテープにすること、あるいは強化繊維を織布として使用することもできる。有用な繊維としては、限定するものではないが、ガラス繊維、炭素および黒鉛繊維、アラミド繊維を含む高分子繊維、硼素繊維、セラミック繊維、金属繊維、アスベスト繊維、ベリリウム繊維、シリカファイバー、炭化珪素繊維が挙げられる。繊維は導電性とすることができ、こうした導電性繊維、例えば導電性炭素繊維または金属繊維を使用して、導電性または静電荷を逃がす用途あるいはEMIシールド用の物品を製造することができる。
【0029】
繊維フィラメントは、通常、所与の均一な断面寸法の、ロービングまたはトウと呼ばれる束に形成される。束の繊維は、通常すべて同じ種類からなるが、これは特許請求された本発明に必須ではない。特定の含浸樹脂マトリックス組成物については、所望のプリプレグを製造するのに適切な温度および剪断に耐えることができる強化媒体を選択すべきである。特に、繊維にサイジング材または仕上げ材をコーティングする場合、この材料は、選択された加工温度で安定しており繊維に残るものであるべきである。サイジング材または仕上げ材は、使用される場合、当技術分野でよく知られている方法に従って選択し塗布することができる。機械的特性を最適化するために、いくつかの用途では炭素繊維などのサイジングしていない繊維を使用する。
【0030】
一実施形態では、ガラス繊維フィラメントを熱可塑性樹脂と組み合わせることができる。ガラス繊維フィラメントは、通常、サイジング材および/または仕上げ材でコーティングする。使用されるサイジング材または仕上げ材は、ガラス繊維がプロセス中に加熱される温度に耐えることができるように選択される。こうした好ましいサイジング材の1つはOwens Corning 193/933である。
【0031】
繊維束、マット、布または他の強化材は、含浸樹脂マトリックス組成物の融点、軟化点またはガラス転移温度(Tg)より高い選択された温度に加熱される。繊維強化材が加熱される温度は、実質的に空隙がないプリプレグを製造するのに十分であることが望ましい。したがって、本発明において繊維強化材が加熱される温度は、繊維強化材の繊維を含浸樹脂で完全にまたは実質的に完全に濡らすのに十分である。本発明の好ましい実施形態では、強化材は、樹脂マトリックス組成物の融点、軟化点、またはTgを、少なくとも華氏約25度、好ましくは少なくとも華氏約50度、より好ましくは少なくとも華氏約75度、さらにより好ましくは少なくとも華氏約100度超える温度まで加熱される;かつ、樹脂マトリックス組成物の融点、軟化点、またはTgを、最高華氏約500度、好ましくは最高華氏約400度、より好ましくは最高華氏約350度、さらにより好ましくは最高華氏約300度超える温度まで加熱される。1つの好ましい実施形態では、強化材は、華氏約350度を超え、華氏約800度未満の温度に加熱される。マトリックス樹脂組成物がこうした温度に曝露される時間は比較的短いので、ロービング束またはトウは、他の方法では樹脂マトリックス樹脂組成物の熱劣化を引き起こす恐れがある温度まで加熱することができる。
【0032】
繊維を加熱するための手段は一般に重要でなく、材料の加熱に一般に利用可能ないくつもの手段から選択することができる。こうした手段の特定の例としては、限定するものではないが、放射熱、誘導加熱、赤外線トンネル、あるいはオーブンまたは炉、例えば電気またはガス強制空気オーブンでの加熱が挙げられる。
【0033】
不十分な加熱は、ロービング束、トウまたは他の強化材の表面に望ましくない樹脂の塊をもたらす恐れがある。したがって、繊維束が加熱される温度は、樹脂が繊維の間を流れて、これを繊維束にほぼ均一に含浸させることを可能にするのに十分であるべきである。特許請求された本発明の方法は、熱可塑性樹脂および/または架橋性樹脂マトリックス組成物が表面で塊にならずに、これを強化繊維束の繊維にほぼ完全に含浸させることを可能にする。選択される特定の温度は、使用する樹脂の特定の種類、繊維のデニール、および束のプロフィールまたはサイズなど、当業者には自明な要因によって決まり、簡単な試験をすることによって最適化することができる。
【0034】
本発明の方法で使用されるマトリックス樹脂組成物は、架橋性樹脂組成物であってもよいが、好ましくは、熱可塑性樹脂組成物とすることができる。熱プロセス、成形、押出成形、または他のこうしたプロセスによって物品に形成するのに適した、事実上任意の熱可塑性樹脂を本発明の方法で使用することができる。好ましい熱可塑性樹脂は既に説明した。熱可塑性樹脂は、最高華氏約750度の範囲の融点、軟化点またはTgを有することができる。2種以上のこうした樹脂の混合物も使用することができる。好ましい架橋性樹脂組成物としては、アミン、酸、または酸無水物で硬化するエポキシおよび不飽和を介して硬化するポリエステル、ビスマレイミド、ポリイミドまたはフェノール樹脂などの熱硬化性樹脂が挙げられる。
【0035】
マトリックス樹脂組成物は、耐衝撃性改良剤、離型剤、潤滑剤、チキソトロープ剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、熱安定剤、難燃剤、顔料、着色剤、非繊維の強化材および充填材、可塑剤、アイオノマーまたはマレイン化エラストマーなどの耐衝撃性改良剤、ならびにその他のこうした通常成分および添加剤、などの1種または複数種の添加剤を含むことができる。熱硬化性樹脂組成物の場合には、硬化反応用の触媒または開始剤を有利に含むことができる。
【0036】
プリプレグでは、より良好な物理的特性を得るために、繊維束内に熱可塑性樹脂および/または架橋性樹脂を含有する強化繊維束層には、より高い粘度の樹脂が望ましいことが多い。しかしながら、熱可塑性樹脂および/または架橋性樹脂の粘度が高いほど、高弾性率強化繊維束を適切に濡らすのが困難になる。
【0037】
本発明では、本方法は、束が繊維束内に熱可塑性樹脂および/または架橋性樹脂を含有する強化繊維束層を提供し、次いで、高弾性率繊維層の少なくとも片側に熱可塑性および/または架橋性材料層の層を設ける。製造される複合積層物の2つ以上の高弾性率繊維層間に熱可塑性および/または架橋性材料層からなる中間層を導入することもできる。本方法では、次いで、得られた層を、熱可塑性樹脂および/または架橋性樹脂層と共に、適切な量の熱および圧力の下で圧縮する。高弾性率繊維束内に設けられた熱可塑性樹脂および/または架橋性樹脂は、適温に加熱することで溶融し、繊維束の繊維を内側から外側に濡らす。高弾性率繊維層の少なくとも片面に導入された熱可塑性および/または架橋性材料も、構造物の外側から強化繊維束の繊維を濡らす。この組合せ方法は、強化繊維束の繊維間の空隙または空間を実質的に埋める役割を果たす。
【0038】
このように、2つの異なる融点または化学組成を有する熱可塑性樹脂および/または架橋性樹脂を、複合積層物に利用することができる。より高い弾性率の樹脂は粘度が高いことが非常に多いが、これを糸束の内部および/または層状の糸束の外側に使用することもでき、強化繊維束の中へ樹脂をより有効に注入することができる。これにより、繊維束内の個々の繊維のより完全な濡れが可能になると同時に、より高い弾性率、より高い粘度の熱可塑性樹脂および/または架橋性樹脂の使用が可能になる。
【0039】
高弾性率繊維束の一層または複数層の上またはこれらの間の熱可塑性樹脂および/または架橋性樹脂の形態としては、織布、フィルム、粉体、織または不織布ネットまたはメッシュ、噴霧された繊維状構造物、スクリム織物または一軸スクリム(uniaxial scrim)、短繊維、あるいは粉体または細かいペレット・ドット(fine pellet dots)が挙げられる。繊維束内の熱可塑性樹脂および/または架橋性樹脂は、連続または不連続フィラメントまたは繊維から形成された繊維または糸、不織布テープまたはウェブ、粉体、噴霧された繊維状構造物またはフィルムの形態とすることができる。熱可塑性樹脂および/または架橋性樹脂は、熱可塑性樹脂と架橋性樹脂との混合物を含むこともできる。熱可塑性樹脂を架橋性樹脂(これは熱硬化性樹脂系であってもよい)と組み合わせることにより、あるいは、異なる化学組成、融点または粘度を有する樹脂を組み合わせることにより、樹脂の送達および注入を最適化することができる。
【0040】
一般に、本発明のプリプレグは、繊維の重量に対して、少なくとも約1重量%の樹脂から、最高約150重量%の樹脂を含むことができる。プリプレグに含まれる樹脂の重量の好ましい範囲は、使用される特定の樹脂および強化材に左右され、さらに、本方法によって形成される物品の所望の特性および使用法にも左右される。樹脂対繊維の最適な比率は公知の方法に従って求めることができる。好ましい実施形態では、樹脂は、強化繊維の重量に対して、少なくとも約25重量%、かつ最高約75重量%である。
【0041】
特許請求された本発明に従って製造された好ましい含浸強化繊維束は、「完全含浸」と説明することができる;すなわち、繊維と樹脂との界面には実質的に空隙がない。含浸繊維束は、例えば、所与の量の熱可塑性樹脂マトリックスを有する、定められた均一の寸法を有している。この含浸繊維束は、長たらしいまたは厳密な圧密ステップを必要とすることなく、実質的に空隙がなく優れた特性を有する完成部品に速やかに成形することができる。靭性特性、部品の再利用および/または再形成および/または後形成の能力、耐UV劣化性、あるいはその他の特別な特性、特に熱可塑性媒体中で使用可能であることが必要とされる場合は、熱可塑性複合マトリックスは熱硬化性マトリックスより好まれる。
【0042】
最終複合積層物にもたらされる特性が含浸方法および含浸後の他の製作ステップに依存することは当技術分野で公知である。これは、ニート(すなわち、溶媒を含むことなしに)含浸させた、より高い粘度の熱可塑性材料には特に当てはまる。本発明の方法に従って製造されたプリプレグは、実質的に均一な寸法、含浸させた樹脂の実質的に均質な分布を有しており、かつ、繊維間にはすべての空隙が本質的にない。
【0043】
本発明のプリプレグは、所望の形状に切断またはトリミングすることができる。プライは、当技術分野で公知の任意の切断装置によって、プリプレグ・ロールから所望の形状、サイズおよび配向にトリミングすることができる。プライは、レイアップ作業として当技術分野で公知の作業で、手または機械によって積み重ねることができる。連続方向性繊維状構造物は、圧縮成形、フィラメントワインディング、引抜成形、またはこれらのプロセスの組合せによって形成することができる。圧縮成形は、通常、複雑な形状を形成するのに使用される。プリプレグは、当技術分野で公知の方法のいずれかに従って物品に形成することができる。圧縮成形に加えて、真空成形プロセスも使用することができる。射出成形、熱成形、ブロー成形、カレンダー加工、注型、押出成形、フィラメントワインディング、積層、射出成形、回転またはスラッシュ成形、トランスファー成形、レイアップまたは接触成形、またはスタンピングなどの他のプロセスを、本発明の方法によって形成された含浸プリプレグ材に使用することができる。
【0044】
本発明の方法を使用して、様々な種類の有用な物品を形成するのに使用することができるプリプレグを提供することができる。こうしたな物品の例としては、限定するものではないが、エアバッグ・キャニスター(air bag canisters)、バンパー・ビーム(bumper beams)、フレーム・クロス・メンバー(frame cross members)、高強度ブラケット、重ね板ばね、シート・フレーム、スキッド板、ねじり棒、ワイパー・アーム、フェンシング、ギヤー、ハイウェー補強ロッド、パイプ・ハンガー、送電線腕木、船舶用トレーラー、飛行機部品、外側発動機カバー(outboard engine cowlings)、船首突起部(bow limbs)、カートップキャリア、蹄鉄、および防弾チョッキまたはヘルメットなどの弾道用途が挙げられる。本発明の方法および新規なプリプレグは、従来既知のプリプレグおよび方法を使用して形成することができる任意の物品を形成するために有利に使用することができる。
【0045】
本発明のプリプレグは、部分的に、加熱されて溶融した熱可塑性樹脂および/または架橋性樹脂をエア・ブローして熱可塑性樹脂および/または架橋性樹脂層を含む層を形成することと、次いで、この熱可塑性樹脂および/または架橋性樹脂を含む層と強化繊維束層を積層することとを含む製造方法によって製造することができる。第1のステップでは、樹脂を加熱して溶融した後にエア・ブローすると、本方法で使用するのに好適な形態に樹脂を加工することができる。この場合、熱可塑性樹脂を加熱して溶融する方法として、プロセスは、単軸押出機、二軸スクリュー押出機などを使用することができる。
【0046】
第2のステップでは、第1ステップで得られた熱可塑性樹脂および/または架橋性樹脂を含む層を、連続強化繊維束層の上に積層する。この場合、熱可塑性樹脂および/または架橋する樹脂を含む層を別々に形成することができ、次いで、強化繊維束層の上に積層することができる。しかし、本発明では、加熱されて溶融した熱可塑性樹脂を連続強化繊維束層の上にブローして、連続強化繊維束層と熱可塑性樹脂および/または架橋性樹脂を含む層とを積層することを含む方法を利用することもできる。
【0047】
本発明の樹脂注入方法は、プリプレグ中の繊維強化プライは圧縮されたままであること、注入を停止したときプリプレグは完全に濡れていること、および最適の繊維体積率を達成することを確実にすることにより従来の注入方法が改善される。この熱可塑性樹脂層および/または架橋性樹脂層を、強化繊維束層の両側に積層することができる。

【0048】
200texのToho TENAX炭素糸HTA−5131タイプ(Toho Tenax,America,Inc.から市販)1巻を巻出して、1巻当たり50デニールのSpunfab D 0226A熱可塑性糸(Spunfab Ltd.から市販)3巻と撚り合わせる。得られた糸は以下「複合紡績糸」と呼ぶ。次いで、複合紡績糸を最終スプールに巻きつける。
【0049】
次いで、得られた複合紡績糸の第1層を、Spunfab 20gsm PA 1001不織布ウェブ(Spunfab Ltd.から市販)の第1層の上に一軸に平行に置く。次いで、20gsm Spunfab PA 1001不織布ウェブの第2層を、複合紡績糸の第1層の上に置く。次いで、一軸に置かれた平行な複合紡績糸の第2層を、複合紡績糸の第1層に対して90°に置く。次いで、20gsm Spunfab PA 1001不織布ウェブの第3層を、複合紡績糸の第2層の上に置く。
【0050】
上記のサンドイッチされた複合層の上と下に離型紙を置き、次いで、サンドイッチされた複合層を280°Fに設定されたプラテンプレスに置く。プレスは、およそ5psiの圧力で40秒間閉じる。プレスが開いた後、次いで、溶融した複合材料を2つのアルミニウム・プラテン間に置き、約30秒間維持して冷却する。検査すると、得られた複合積層物の繊維はすべてほぼ完全に濡れていた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)強化繊維束層を提供するステップであって、各繊維束が前記繊維束内に熱可塑性樹脂および/または架橋性樹脂を含有するステップと、b)ステップa)の前記高弾性率繊維層の少なくとも片側に熱可塑性および/または架橋性材料層からなる層を設けるステップと、c)適切な量の熱および圧力下でステップb)からの前記層を圧縮することによりプリプレグを製造するステップとを含む強化繊維のプリプレグ製造方法。
【請求項2】
a)少なくとも2つの強化繊維束層を提供するステップであって、各繊維束層が前記繊維束内に熱可塑性樹脂および/または架橋性樹脂を含有するステップと、b)ステップa)の前記高弾性率繊維層の間に熱可塑性および/または架橋性材料層からなる中間層を設けるステップと、c)適切な量の熱および圧力下でステップb)からの前記層を圧縮することによりプリプレグを製造するステップとを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
ステップa)の前記強化繊維束層の各繊維束の実質的に中央に、熱可塑性樹脂および/または架橋性樹脂を供給することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
ステップa)の前記強化繊維束層の各繊維束と、糸、テープ、不織布ウェブまたはフィルムの形態の熱可塑性樹脂および/または架橋性樹脂とを重ね合わせることを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
ステップa)において、各強化繊維束内に供給される前記熱可塑性樹脂および/または架橋性樹脂の含有量が、前記繊維束の重量に対して約1重量%〜50重量%である、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
ステップa)において、各強化繊維束内に供給される前記熱可塑性樹脂および/または架橋性樹脂の含有量が、繊維束の重量に対して約3重量%〜30重量%である、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
ステップa)において、ステップb)で利用される前記樹脂とは異なる融点の熱可塑性樹脂および/または架橋性樹脂を利用することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
ステップa)において、ステップb)で利用される前記樹脂とは異なる化学組成の熱可塑性樹脂および/または架橋性樹脂を利用することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
ステップa)において、適切な量の熱および圧力を利用して、前記強化繊維束層の各束の真中を通って前記熱可塑性樹脂および/または架橋性樹脂を絞り出すことをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
ステップa)の前記繊維束が熱可塑性樹脂を含有する、請求項1に記載の方法。

【図1】
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【公表番号】特表2012−529394(P2012−529394A)
【公表日】平成24年11月22日(2012.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−514943(P2012−514943)
【出願日】平成22年6月9日(2010.6.9)
【国際出願番号】PCT/US2010/001658
【国際公開番号】WO2010/144134
【国際公開日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【出願人】(511010266)スパンファブ・リミテッド (1)
【Fターム(参考)】