説明

複数のハンドセットを有する無線装置および複数のハンドセットを有する無線装置のハンドセットの制御方法

【課題】
複数のハンドセットから同時に入力されると、1台の無線装置に対して複数のハンドセットを制御をすることになり、ハンドセットの操作が困難となる。また、あるハンドセットでプレストークスイッチが押され続けた状態になってしまっていると、他のハンドセットから通話ができなくなってしまうため、取扱の優れた、信頼性の高い複数のハンドセットを有する無線装置の実現が望まれている。
【解決手段】
送信手段と、受信手段と、複数のハンドセットと、上記送信手段と上記受信手段および上記複数のハンドセットを制御する制御装置を具え、上記制御装置は、キーセレクタと音声セレクタを有し、上記キーセレクタは、上記ハンドセットからのキーデータを識別するハンドセット識別部を有し、上記音声セレクタは、上記ハンドセット識別部からの情報に基づいて上記複数のハンドセットの内の1つを選択するように構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線装置に関し、特に、複数のハンドセットを有する無線装置および複数のハンドセットを有する無線装置のハンドセットの制御方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
現在、実用化されているデジタル無線システムの一つとして、標準規格ARIB STD-T79(Association of Radio Industries and Businesses-T79)(例えば、非特許文献1参照)で定められている移動通信システム、あるいは、標準規格ARIB STD-T61(Association of Radio Industries and Businesses-T61)(例えば、非特許文献2参照)で定められている狭帯域デジタル通信システム等がある。これらデジタル通信システムは、複数の基地局および多数の無線端末装置からなるシステムが普通である。ここで無線端末装置とは、車両等に搭載された車載無線機や携帯無線機あるいは固定無線機等が含まれる。このデジタル通信システムは、基地局の通信エリア内にある複数の無線端末装置と基地局間、あるいは基地局を経由した無線端末装置間、あるいは無線端末装置間の直接通信等の通信接続サービス、あるいは、通信エリアの外の無線端末装置と通信エリア内の無線端末装置との通信接続サービスが行なわれるように構成されたシステムが知られている。
【0003】
図5は、従来の無線システムの一例を示す概略図である。図5において、501は、基地局(統制局を含む場合もある。)、502−1、502−2、・・502−Nは、例えば車載無線装置を搭載された車両等の移動局である。なお、移動局を代表する場合は、移動局502と称する。503は、基地局501と各移動局502とが通信できる通信エリアを示している。そして、ここに示す通信方式は、例えば、上り方向と下り方向にそれぞれ2波(複信方式)を使用するプレストーク方式の通信方式である。例えば、移動局502−1と移動局502−2とは、基地局501を介して通信が行われ、上り回線は、周波数Fが、また、下り回線は、周波数fが使用される。そして、移動局502−1と移動局502−2が相互に通信している場合は、他の移動局502は、電波を発射することはできない。しかし、基地局からの例えば、音声(下り回線f)は、モニタすることができる。なお、これについては、上述した標準規格(ARIB-STD)で定められているので、詳細については省略する。
【0004】
上述のようなデジタル通信システムで使用される無線端末装置、例えば、車載無線装置では、無線装置1台に対してハンドセットと呼ばれるマイク操作機(以下、これをハンドセットと称する。)は、1台接続されている。そして、車載無線装置は、このハンドセットにより呼び出す相手の局番号の入力、発呼操作、各種設定、あるいは、単信通信時には、プレストーク通信を行う等の機能を有している。また、このハンドセットには、マイクやスピーカが内蔵されており、送受信装置として使用するように構成されている。
【0005】
而して、防災や救急などの緊急時に使用する無線装置においては、取扱によってハンドセットを破損したり、あるいは故障したりする可能性が多多存在する。更に非常事態の場合とか、緊急事態の場合などでは、このハンドセットが使用できなかったり、操作ができなくなるようなことがあってはならない。このため予備のハンドセットを含め、複数のハンドセットを無線装置に接続して使用したいというニーズがある。しかしながら、複数のハンドセットから同時に入力されたりすると、1台の無線装置に対して複数のハンドセットを制御をすることなり、ハンドセットの操作が困難となる。また、何らかの要因により、あるハンドセットでプレストークスイッチが押され続けた状態になってしまっていると、他のハンドセットから通話ができなくなってしまうと言うことにもなり、取扱の優れた、信頼性の高い複数のハンドセットを有する無線装置の実現が望まれている。
【0006】
【特許文献1】特開平9−247041号公報
【非特許文献1】標準規格ARIB STD-T79:市町村デジタル移動通信システム 社団法人 電波産業会
【非特許文献2】標準規格ARIB STD-T61:狭帯域デジタル通信方法 社団法人 電波産業会
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述したように複数のハンドセットから同時に入力されたりすると、1台の無線装置に対して複数のハンドセットを制御をすることなり、ハンドセットの操作が困難となる。また、何らかの要因により、あるハンドセットでプレストークスイッチが押され続けた状態になってしまっていると、他のハンドセットから通話ができなくなってしまうということにもなり、取扱の優れた、信頼性の高い複数のハンドセットを有する無線装置の実現が望まれている。
【0008】
本発明の目的は、取扱の優れた、信頼性の高い複数のハンドセットを有する無線装置および複数のハンドセットを有する無線装置のハンドセットの制御方法を提供することである。
【0009】
本発明の他の目的は、複数のハンドセットに優先順位を設けた複数のハンドセットを有する無線装置および複数のハンドセットを有する無線装置のハンドセットの制御方法を提供することである。
【0010】
本発明の他の目的は、一定時間以上キーが押されている場合に警報を鳴らす、あるいは、解除できる複数のハンドセットを有する無線装置および複数のハンドセットを有する無線装置のハンドセットの制御方法を提供することである。
【0011】
本発明の更に他の目的は、マイク入力の混信やノイズを回避できる複数のハンドセットを有する無線装置および複数のハンドセットを有する無線装置のハンドセットの制御方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、送信手段と、受信手段と、複数のハンドセットと、上記送信手段と上記受信手段および上記複数のハンドセットを制御する制御装置を具え、上記制御装置は、キーセレクタと音声セレクタを有し、上記キーセレクタは、上記ハンドセットからのキーデータを識別するハンドセット識別部を有し、上記音声セレクタは、上記ハンドセット識別部からの情報に基づいて上記複数のハンドセットの内の1つを選択するように構成される。
【0013】
また、本発明の複数のハンドセットを有する無線装置において、更に、符号化部および圧縮部を有し、上記複数のハンドセットの各々は、少なくともキーボタンと、マイクを有し、上記キーボタンからのキーデータは、上記キーセレクタの上記ハンドセット識別部で識別され、上記識別されたハンドセットのマイクからの入力信号は、上記符号化部でデジタル信号に変換され、上記音声セレクタを介して上記圧縮部で圧縮され、上記送信手段に供給されるように構成される。
【0014】
また、本発明の複数のハンドセットを有する無線装置において、上記セレクタは、更に、記憶部を有し、上記キーセレクタの記憶部は、上記ハンドセットからのキー入力をキーデータとして記憶するレジスタテーブルを具え、上記レジスタテーブルに上記複数のハンドセットのキーデータを記憶するように構成される。
【0015】
また、本発明の複数のハンドセットを有する無線装置において、上記制御装置は、更に、制御部およびタイマー装置を有し、上記制御部は、上記ハンドセットのキー入力の有無をモニタすると共に、上記タイマー装置が上記キー入力の無い時間を計測し、上記キー入力の無い時間が所定値以上になる時は、上記制御部は、上記ハンドセットをオフするように構成される。
【0016】
また、本発明は、送信手段と、受信手段と、複数のハンドセットと、上記送信手段と上記受信手段および上記複数のハンドセットを制御する制御装置を具えた複数のハンドセットを有する無線装置において、上記制御装置は、上記複数のハンドセットからのキー入力によるキーデータから上記キー入力が上記複数のハンドセットのいずれのハンドセットのキー入力かを識別し、上記識別されたハンドセットからの音声信号を上記送信手段に供給するように制御するように構成される。
【0017】
また、本発明は、複数のハンドセットを有する無線装置の複数のハンドセットの制御方法において、上記制御部は、上記ハンドセットのキー入力の有無をモニタすると共に、上記識別されたハンドセットの上記キー入力の無い時間を計測し、上記キー入力の無い時間が所定値以上になる時、上記ハンドセットをオフするように制御する。
【発明の効果】
【0018】
以上説明したように、本発明によれば、1台の無線装置に対して複数のハンドセットが接続されても、それぞれのハンドセットの制御が容易に行うことができる。また、有効なハンドセットのみのマイク入力を有効にでき、マイク入力の混信やノイズを回避できる。更に、特定のハンドセットにおいてキーが押され続けた状態になることを回避することができる等の効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
図2は、本発明の一実施例の概略構成を示すブロック図である。図2に示される装置は、例えば、車載無線装置を示しているが、車載無線装置に限定されるものではなく、一般の無線装置にも適用できることは言うまでもない。図2において、201(502と同じ。)は、車載無線装置、202は、送信用無線機であり、例えば、車載無線装置201からの信号を基地局501に無線キャリアFで送信する。203は、受信用無線機であり、基地局501から送られてくる無線キャリアfの信号を受信する。204は、制御装置であり、送信用無線機202、受信用無線機203および複数のハンドセット205−1、205−2、・・205−Pを制御するためのものである。
【0020】
図1は、図2に示す本発明の一実施例の制御装置204およびハンドセット205−1、205−2、205−3の具体的な構成を示す図である。ここで、ハンドセット205−1、205−2、205−3を代表する場合は、ハンドセット205と称する。なお、図1においては、説明の都合上、3台のハンドセットが接続された場合が示されているが、これに限定されるものではない。図1において、ハンドセット205−1は、スピーカ101−1、表示部102−1、キーボタン103−1、マイク104−1を具えている。ハンドセット205−2および205−3についても同様である。
【0021】
そして各ハンドセット205は、データ伝送路D1、D2、D3で制御装置204の、例えば、FPGA(Field Programmable Gate Array)110と接続されている。なお、データ伝送路D1、D2、D3は、双方向にデータあるいは制御データが伝送される伝送路である。105−1、105−2、105−3は、音声符号化部、例えば、マイク104からのアナログ音声データを音声デジタルPCM(Pulse Code Modulation)信号に変換するPCM−CODECであり、音声信号をデジタル変換し、音声セレクタ114に供給する。FPGA110は、KEYセレクタ111と音声セレクタ114で構成され、また、KEYセレクタ111は、記憶部112およびハンドセット識別部113を有している。106は、マイクロ・プロセッサ・ユニットのような制御部(MPU)であり、制御装置204内部のFPGA110、音声符号化部105およびハンドセット205等を適宜制御するものである。107は、音声デジタルPCM信号を、例えば、圧縮する圧縮部であり、例えば、音声CODECで構成されている。108は、タイマー装置である。
【0022】
ここで、ハンドセット205の内の1台、例えば、ハンドセット205−1の動作について図3を用いて説明する。まず、ハンドセット205−1のキーボタン103−1のONボタンを押し、マイク104−1から音声を入力すると、ハンドセット205−1からキーデータD1および音声データが出力され(ステップ301)、キーデータD1は、FPGA110に入力される(ステップ303)。
【0023】
一方、音声データは、符号化部105−1によりデジタル信号変換され(ステップ302)、FPGA110に入力される(ステップ303)。FPGA110に入力されたキーデータおよび音声データは、それぞれキーセレクタ111および音声セレクタ114に入力される(ステップ304、305)。
【0024】
キーセレクタ111に入力されたキーデータは、キーデータと割り込み信号を制御部(MPU)106に出力する(ステップ306)。また、音声セレクタ114に入力されたデジタル音声データは、圧縮部107に出力され(ステップ307)、更に、圧縮部107で、圧縮され、制御部(MPU)106に出力される(ステップ308)。
【0025】
以上の動作により、ハンドセット205−1が選択され、マイク104−1からの音声信号がFPGA110で選択され、制御部106を介して送信用無線機202に供給される。送信用無線機202では、この音声信号を所定の送信用の信号に変換し、かつ、所定の無線キャリアに載せて基地局501に送信することができる。
【0026】
また、基地局501からの信号の受信については、受信用無線機203で受信された信号は、制御部704を経由してハンドセット205−1に送られ、スピーカ101−1あるいは表示部102−1から出力されるが、これについては従来周知の技術であり、また、本発明の直接関係がないので、詳細な説明は省略する。
【0027】
次に、複数のハンドセット205が接続されている場合のハンドセット205の制御方法について図1および図4を用いて説明する。まず、KEYセレクタ111の記憶部112には、ハンドセット205−1(No.1と称する。)、205−2(No.2と称する。)および205−3(No.3と称する。)からのキーデータが記録されるレジスタ、例えば、表1に示すレジスタテーブルが設けられている。
【0028】
【表1】

【0029】
この表1のレジスタテーブルは、最初にキーボタン103、例えば、送信ボタンONの操作をしたハンドセット205が登録、例えば、フラグ“1”が書込まれ、2番目以降のキーボタンを操作しても、登録されない(最先の操作優先)、即ち、フラグ“0”が登録されるように構成されている。表1においては、ハンドセットNo.1が、まず登録され、他のハンドセット205からのキー入力は、登録されていないことを示している。
【0030】
さて、図4において、車載無線装置がステップ401で、電源を投入する。電源が投入されると、制御部106は、KEYセレクタ111の記憶部112に記憶されているレジスタテーブルの内容を初期化する。即ち、全てのハンドセットの動作をOFFし、同時に、キーデータのフラグを“0”にする(ステップ402)。次に、操作者がハンドセット205のキーボタン103を操作する、例えば、ハンドセットNo.1のキーボタン103の送信ボタンONの操作をすると、ハンドセットNo.1のキーデータが伝送路D1から記憶部112のレジスタテーブルにフラグ“1”を登録する(表1の状態となる。)。
【0031】
この状態で、制御部106は、レジスタテーブルの内容をチェック(判定)する。即ち、まず、表1のレジスタテーブルのハンドセットNo.1にキーデータ1が有るかどうかをチックする(ステップ403)。キーデータ1のフラグが“0”の場合には、ハンドセットNo.2にキーデータ2が有るかどうかをチックする(ステップ404)。キーデータ2のフラグが“0”の場合には、ハンドセットNo.3にキーデータ3が有るかどうかをチックする(ステップ405)。この操作が繰返されて、常にどのハンドセットからキー入力があるかをチェックする。
【0032】
本実施例の場合(表1の場合)では、ハンドセットNo.1にキーデータ1が存在するので、ステップ406に進む。ステップ406では、ハンドセットNo.1をONにする。即ち、このハンドセットが選択されたことをハンドセットNo.1の操作者に知らせる。知らせる方法としては、種々の方法があるが、例えば、制御部106が表示部102−1に「接続」と表示したり、あるいは、スピーカ101−1からブザーあるいは音声で知らせることもできる。同時に、KEYセレクタ111は、キーデータ1をキーデータとして制御部(MPU)のレジスタに出力する(ステップ407)。そして、制御部(MPU)106に割り込みを送出する(ステップ408)。この割り込みは、制御部(MPU)106が他のタスクを実行している時に、ハンドセットNo.1からのキー入力を優先させるためである。
【0033】
これによってキー入力処理を実行する(ステップ409)。このキー入力処理とは、操作者がハンドセット205を操作して、プレストークスイッチを操作したり、キーボタンを操作した状態を言う。例えば、プレストークスイッチを操作して、マイクから音声を入力した場合では、制御部106がFPGA110を制御して音声信号を送出する動作である。即ち、制御部106の指令信号でハンドセット識別部113が動作し、記憶部112に記憶されている表1記載のレジスタテーブルからキー入力されているハンドセットのNo.を読み出す。表1の場合、ハンドセットNo.1にキーデータ1が認識されるので、ハンドセット識別部113は、このハンドセットNo.1を読み出し、音声セレクタ114を駆動し、ハンドセットNo.1(205−1)からの音声信号が入力される符号化部105−1の出力を圧縮部107に出力する。なお、音声セレクタ114は、例えば、交換回路またはスイッチ回路で構成され、ハンドセット識別部113からの選択信号でハンドセットNo.1、No.2、No.3の内の1つを選択し、圧縮部107に出力する動作をする。従って、今回の場合、ハンドセット205−1のマイク104−1から入力された音声信号は、符号化部105−1でデジタル信号に変換され、音声セレクタ114、データ圧縮部107を介して制御部106に入力される。制御部106に入力され音声データは、所定の信号処理および所定の無線キャリアで、送信用無線機202から基地局501に送信される。
【0034】
次に、ステップ410では、ハンドセットNo.1の使用の終了のキーボタンがオフされたかどうかを判断する。即ち、ハンドセット205−1の操作者が通話終了時に、キーボタン103−1をOFFする(YESと判断)ことによって、例えば、表2のようにハンドセットNo.1のキーデータのフラグが“0”に書き換えられる。
【0035】
【表2】

【0036】
従って、制御部106は、表2に示すレジスタテーブルを定期的に、例えば、数秒から数分単位でチェック(判定)することによってハンドセットNo.1が使用中かどうかが分かる。使用中、即ち、キーデータ1にキーデータがある場合には、ステップ407に戻り、処理を継続する。キーデータ1にキーデータがない、即ち、表2のハンドセットNo.1のキーデータ1にキーデータ“0”が書込まれると、ステップ432に進み、ハンドセット205−1は、制御部106でオフされ、ステップ403に戻る。ハンドセット502−1がオフでない(NO)と判断されると、ステップ430に進む。ステップ430以降については、後述する。
【0037】
以上の動作は、ハンドセット205−2、205−3が使用された場合にも同様である。即ち、ステップ403でキーデータ1にキーデータがない場合、ステップ404に進み、キーデータ2(ハンドセット205−2)にキーデータが有る場合、ステップ415からステップ419に進む。ステップ415からステップ419は、ステップ406から410と同様な動作であるため、説明は省略する。
【0038】
また、ステップ404でキーデータ2にキーデータがない場合、ステップ405に進み、キーデータ3(ハンドセット205−3)にキーデータが有る場合、ステップ420からステップ424に進む。ステップ420からステップ424は、ステップ406から410と同様な動作であるため、説明は省略する。
【0039】
以上のようにして制御部106は、KEYセレクタ111の記憶部112に記憶されている表1に示すレジスタテーブルのチェック(判定)を周期的に繰返す。これによってハンドセット205−1、205−2および205−3のいずれが使用されても相互に混乱あるいは混信することはなく、安定にハンドセット205−1、205−2および205−3の使用が可能となる。なお、上記実施例では、3台のハンドセット205について説明したが、無線装置に複数のハンドセット205を接続した場合も同様に使用できることは言うまでもない。
【0040】
次に、図4に示すステップ430からステップ432について説明する。ステップ430では、制御部106は、常に、ハンドセット205からのキー入力をモニタしている。そして、キー入力がありの場合には、ステップ407からステップ410およびステップ430の動作を繰返す。しかしながらキー入力がない場合、ステップ431に進む。
【0041】
ステップ431では、キー入力なし時間をモニタし、キー入力なし時間が所定値、即ち、閾値T以下(NO)であれば、ステップ430に戻り、キー入力なし時間が所定値、即ち、閾値T以上(YES)であれば、ステップ432に進む。即ち、何らかの原因で、例えば、ハンドセット205−1のキー入力、例えば、プレストークスイッチが押されたままで、キー入力がない場合、制御部106は、ハンドセット205−1は、使用中と判断し、他のハンドセット205−2、205−3からのキー入力を受けつけない。従って、ハンドセット205−2、205−3は、何時まで待っても使用できないという事態が発生する。そのため、制御部106は、タイマ装置108を具え、ハンドセット205−1のキー入力をモニタし、キー入力が無い時点から時間のカウントを開始するように構成されている。なお、タイマ装置108は、制御部106がMPUで構成されていることから、MPUが有するタイマ装置と共用することができる。そして、キー入力なし時間が所定値、即ち、閾値T以上(YES)、例えば、T=10分を設定すると、キー入力なし時間が10分経過すると、制御部106は、強制的にハンドセットNo.1(205−1)をオフする(ステップ432)。例えば、表1に示すレジスタテーブルのハンドセットNo.1のキーデータ“1”を強制的に“0”に書き換える。これによって、他のハンドセット205−2、205−3からの入力が受けつけられる。なお、閾値Tは、システムの構成、使用目的等で種々変更が可能であり、実験的に定めるのが良い。また、この場合、ハンドセット205−1のスピーカから警報を鳴らし、操作者に知らせることもできる。
【0042】
ハンドセット205−2および205−3のそれぞれのステップ440から442およびステップ450から452についてもハンドセット205−1のステップ430からステップ432と同様であるので、説明は省略する。
【0043】
次に本発明の他の一実施例について説明する。上記実施例では、ハンドセット205からのキー入力をキーデータとして、例えば、表1に示すレジスタテーブルに記憶し、ハンドセット識別部で、例えば、図4に示すステップ403からステップ405のように周期的にレジスタテーブルの内容を判定し、どのハンドセットがキー入力したかを識別する方法について説明したが、本実施例では、複数のハンドセット205のそれぞれに、例えば、表3に示すようなハンドセットIDを付与することによっても容易にキー入力されたハンドセットを識別することが可能である。
【0044】
【表3】

【0045】
表3において、ハンドセットIDとは、例えば、ハンドセット205−1は、001、ハンドセット205−2は、002、ハンドセット205−3は、003と言うようにハンドセットのIDを定めておき、操作者が例えば、ハンドセット205−1(ID:001)からキー入力すると、ハンドセット205−1のID001が制御装置204の、例えば、ハンドセット識別部113に送られる。この場合、ハンドセット識別部113をハンドセット205のIDを認識する機能を持たせておけば、容易にハンドセット205−1(ID:001)からのキー入力と識別できるので、記憶部112にレジスタテーブルを設けなくとも、容易にどのハンドセットからのキー入力かを知ることができる。
【0046】
以上、本発明について詳細に説明したが、本発明は、ここに記載された複数のハンドセットを有する無線装置および無線装置の複数のハンドセットの制御方法の実施例に限定されるものではなく、上記以外の無線装置に広く適応することが出来ることは、言うまでも無い。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明の一実施例で使用される制御部の概略構成のブロック図を示す。
【図2】本発明の一実施例を示す概略構成のブロック図を示す。
【図3】本発明の原理を説明するための図である。
【図4】本発明の動作を説明するためのフローチャートを示す。
【図5】従来の無線システムの一例を示す概略図である。
【符号の説明】
【0048】
101:スピーカ、102:表示部、103:キーボタン、104:マイク、105:符号化部、106:制御部、107:圧縮部、108:タイマ、110:FPGA、111:KEYセレクタ、112:記憶部、113:ハンドセット識別部、114:音声セレクタ、201:車載無線装置、202:送信用無線装置、203:受信用無線機、204:制御装置、205:ハンドセット、501:基地局、502:移動局、503:通信エリア。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
送信手段と、受信手段と、複数のハンドセットと、上記送信手段と上記受信手段および上記複数のハンドセットを制御する制御装置を具え、上記制御装置は、キーセレクタと音声セレクタを有し、上記キーセレクタは、上記ハンドセットからのキーデータを識別するハンドセット識別部を有し、上記音声セレクタは、上記ハンドセット識別部からの情報に基づいて上記複数のハンドセットの内の1つを選択することを特徴とする複数のハンドセットを有する無線装置。
【請求項2】
請求項1記載の複数のハンドセットを有する無線装置において、更に、符号化部および圧縮部を有し、上記複数のハンドセットの各々は、少なくともキーボタンと、マイクを有し、上記キーボタンからのキーデータは、上記キーセレクタの上記ハンドセット識別部で識別され、上記識別されたハンドセットのマイクからの入力信号は、上記符号化部でデジタル信号に変換され、上記音声セレクタを介して上記圧縮部で圧縮され、上記送信手段に供給されることを特徴とする複数のハンドセットを有する無線装置。
【請求項3】
請求項1記載の複数のハンドセットを有する無線装置において、上記制御装置は、更に、制御部およびタイマー装置を有し、上記制御部は、上記ハンドセットのキー入力の有無をモニタすると共に、上記タイマー装置が上記キー入力の無い時間を計測し、上記キー入力の無い時間が所定値以上になる時は、上記制御部は、上記ハンドセットをオフすることを特徴とする複数のハンドセットを有する無線装置。
【請求項4】
送信手段と、受信手段と、複数のハンドセットと、上記送信手段と上記受信手段および上記複数のハンドセットを制御する制御装置を具えた複数のハンドセットを有する無線装置において、上記制御装置は、上記複数のハンドセットからのキー入力によるキーデータから上記キー入力が上記複数のハンドセットのいずれのハンドセットのキー入力かを識別し、上記識別されたハンドセットからの音声信号を上記送信手段に供給するように制御することを特徴とする複数のハンドセットを有する無線装置のハンドセットの制御方法。
【請求項5】
請求項4記載の複数のハンドセットを有する無線装置の複数のハンドセットの制御方法において、上記制御部は、上記ハンドセットからキー入力の有無をモニタすると共に、上記識別されたハンドセットの上記キー入力の無い時間を計測し、上記キー入力の無い時間が所定値以上になる時、上記ハンドセットをオフするように制御することを特徴とする複数のハンドセットを有する無線装置のハンドセットの制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−135116(P2007−135116A)
【公開日】平成19年5月31日(2007.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−328268(P2005−328268)
【出願日】平成17年11月14日(2005.11.14)
【出願人】(000001122)株式会社日立国際電気 (5,007)
【Fターム(参考)】