説明

複数の周波数による誘導加熱または溶融

加工品を複数の周波数によって誘導的に加熱するための装置及び方法を提供する。回路の共振周波数を変更し、結果的に電源から負荷に伝達される誘導加熱または溶融電力の周波数を変更するため、回路内の容量性部材を選択的に追加、解除、再構成するためにスイッチ素子が使用される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は電気誘導によって加工品または素材を加熱または溶融するために複数の周波数を使用する誘導加熱または溶融に関する。
【背景技術】
【0002】
この分野において複数の周波数による誘導加熱及び溶融の方法が周知である。例えば、特許文献1(米国特許No.2,444,259「Method of High-Frequency Induction Heating」)を参照。異なった周波数は加工品、サセプター、またはるつぼ内に配置された電気伝導性の材料内に異なった深さの誘導渦電流加熱を生じ、周波数が高ければ高いほど、加工品、サセプター、または電気伝導性の材料内の電流の有効誘導渦電流の深さは浅くなる。複数の周波数の電流は(1)同時または逐次的に、(2)単一または複数の誘導コイルに適用されてもよい。誘導コイルは加工品、サセプター、または電気伝導性の材料を収容しているるつぼの周りに配置される。
【0003】
るつぼ内に配置された金属成分等の電気伝導性材料の場合、高周波数で金属を溶融し、低周波数で金属を攪拌するために低誘導周波数と高誘導周波数の組み合わせを使用することが望ましい。
【0004】
また、いくつかの加工品の特定の幾何構成に対しても、低誘導加熱周波数と高誘導加熱周波数の組み合わせが望まれる。例えば、ギアの歯を冶金学的に硬化させる場合、ギアを予熱するために誘導渦電流の比較的深い浸透を与える比較的低い周波数(例えば、3〜10キロヘルツ)が望まれ、最終的な誘導加熱のために誘導渦電流の比較的浅い浸透を与える比較的高い周波数(例えば、30〜100キロヘルツ)が望まれることが知られている。
【0005】
【特許文献1】米国特許第2444259号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の1つの目的は複数の周波数の間の効果的な転移手段によって加工品に複数の周波数で誘導電力を与えることである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
1つの側面において、本発明は誘導負荷コイルに異なった周波数で電力を与えるために同調容量性部材のインバーター回路への接続及び非接続を切り替えることによって、またはインバーター回路内で同調容量性部材を再配列することによって2つまたそれ以上の周波数で加工品を誘導的に加熱または溶融するための装置及び方法である。
【0008】
もう1つの側面において、本発明は第1及び第2の支線、及び該第1及び第2の支線の間に接続された対角線を有するインバーター回路を備える。インバーター回路には整流素子、少なくとも1つの共振容量性部材、及び少なくとも1つの同調容量性部材が配置される。インバーター回路の対角線には少なくとも1つの誘導負荷コイルとともに少なくとも1つのスイッチが配置される。少なくとも1つのスイッチはインバーター回路の少なくとも1つの同調容量性部材の1つまたは複数を選択的に挿入または解除するために、またはインバーター回路内で少なくとも1つの同調容量性部材及び少なくとも1つの共振容量性部材を再配列するために使用され、それによって、加工品が少なくとも1つの誘導負荷コイルを通る交流電力の流れによって生成される磁場に隣接して配置されたときに、インバーター回路の共振周波数は該加工品を誘導的に加熱または溶融するために変更される。
【0009】
本発明の他の特徴は以下の詳細な説明及び付随する請求の範囲に記載されている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
付随する図面は発明の詳細な説明及び請求の範囲とともに本発明を実施するための1つまたは複数の非制限的な様式を図示している。本発明は図面に示されている配置及び部材に制限されるものではない。
【0011】
図1は本発明の誘導加熱または溶融装置の1つの例を図示している。本発明のこの実施例において、共振ブリッジインバーター10は整流素子、共振コンデンサー、同調コンデンサー、及びスイッチ部材を備える。誘導負荷コイルLCは実質的にこのインバーターによって電力供給される。整流素子SD1及び逆平行ダイオードD1、並びに整流素子SD2及び逆平行ダイオードD2はインバーターの第1支線を構成する。インバーターの第2支線は共振コンデンサーRC1及びRC2を備える。同調コンデンサーTC1及びTC2はスイッチS1、S2及びS3、及び負荷コイルとともに第1及び第2の支線の中点の間に接続されるインバーターの対角線を形成する。誘導負荷コイルLCは図においてインダクターとして示されているが、回路抵抗としても作用する。
【0012】
本発明の他の実施例において、誘導負荷コイルは他の様式で構成されてもよい。例えば、コイルLCは加工品を囲むコイルとして作用するトランスの2次コイルに磁気的に結合したトランスの1次コイルによって置き換えられてもよい。
【0013】
図1において、負荷コイルLCの周りには出力周波数Fで動作しているインバーターによって供給されコイルを通過する交流電流によって磁場が生成される。スイッチ部材、すなわちスイッチS1、S2及びS3は有効回路に対して同調コンデンサーを選択的に挿入、解除、または再接続することによってインバーターのコンデンサーを再構成するための手段を与える。加工品またはサセプターはそれらを誘導的に加熱するために磁場の付近に配置されてもよい。または、溶融金属等の電気伝導性材料を誘導的に加熱、溶融、及び/または攪拌するために該材料を収容しているるつぼの周りに負荷コイルが配置されてもよい。
【0014】
説明を簡単にするために、本願において用語「加工品」は加熱される加工品、サセプター、またはるつぼ内に配置された電気伝導性材料を示すために使用される。また、本発明の1つまたは複数の誘導負荷コイルに関連した用語「加工品を囲む」は、1つまたは複数の誘導負荷コイルを通る交流電流の流れによって生成される磁場が加工品に浸透するように配置された該加工品に対する配置を含む。
【0015】
理想的には、インバーターの出力から負荷コイルへの電力の伝達を最大にするために、インバーターの出力周波数は共振周波数またはそれに近い周波数にされる。LC回路の場合、共振周波数Fは以下の式によって計算される。
【数1】

ここで、Lは回路の等価インダクタンスであり、Cは共振回路の等価容量(Ceq)である。
【0016】
図1を参照すると、同調コンデンサーTC1及びTC2は(制限ではないが)好まれるものとして実質的に同一の容量CTCを有し、共振コンデンサーRC1及びRC2は実質的に同一の容量CRCを有する。この構成により、両方の同調コンデンサーと両方の共振コンデンサーが全て直列に接続された場合(スイッチS1が開放、スイッチS2が位置1、及びスイッチS3が位置2の場合)、共振周波数Fにおける等価回路容量Ceqは以下の式によって計算することができる。
【数2】

【0017】
スイッチS1、S2及びS3の位置が変化したときの上述の計算値に対するCeqの変化及び共振周波数Fの変化は以下の表に示されている。
【表1】

【0018】
したがって、本発明の非制限的な実施例において、誘導加熱または溶融の周波数はF、0.7F、及び0.5Fの間で切り替えられ、その切り替えの速度は特定の用途に応じて電気機械式またはソリッドステート式等の多様な形式であってもよいスイッチS1、S2及びS3の切り替え速度に依存する。
【0019】
図2は本発明の誘導加熱または溶融装置のもう1つの実施例を図示しており、そこにおいて単一のスイッチS4は同調コンデンサーTC3及びTC4、及び共振コンデンサーRC3及びRC4の回路構成を切り替えるための手段を与える。図示されているようにスイッチS4が開放位置にある場合、同調コンデンサーTC3及びTC4の直列結合は共振コンデンサーRC3及びRC4の直列結合と並列であり、スイッチS4が閉鎖位置にある場合、同調コンデンサーTC3と共振コンデンサーRC3の並列結合は同調コンデンサーTC4と共振コンデンサーRC4の並列結合と並列である。この構成によって、スイッチS4が開放位置と閉鎖位置の間で変化したときに等価負荷回路容量は負荷回路の共振周波数とともに変化する。
【0020】
図3は本発明の誘導加熱または溶融装置のもう1つの実施例を図示している。この実施例において、整流素子SD1及び逆平行ダイオードD1、並びに整流素子SD2及び逆平行ダイオードD2はインバーターの第1支線を構成し、整流素子SD3及び逆平行ダイオードD3、並びに整流素子SD4及び逆平行ダイオードD4はインバーターの第2支線を構成する。同調コンデンサーTC5及び共振コンデンサーRC5はスイッチS5及びS6及び負荷コイルLCとともに第1及び第2の支線の中点の間に接続されるインバーターの対角線を形成する。
【0021】
同調コンデンサーTC5が共振コンデンサーRC5と実質的に同一の容量Cを有する非制限的な実施例において、スイッチS5及びS6の位置が変化したときの上述のCに対するCの変化及び共振周波数Fの変化は以下の表に示されている。
【表2】

【0022】
図4aは本発明の誘導加熱または溶融装置のもう1つの実施例を図示している。この構成において、整流素子SD1及び逆平行ダイオードD1、並びに整流素子SD2及び逆平行ダイオードD2はインバーターの第1支線を構成し、共振コンデンサーRC6及びRC7はインバーターの第2支線を構成する。同調コンデンサーTC6はスイッチS7及び負荷コイルLCとともに第1及び第2の支線の中点の間に接続されるインバーターの対角線を形成する。インバーターから供給された交流電流が誘導負荷コイルを通って流れると、磁場が発生する。後で説明されるように、該加工品を誘導的に加熱または溶融するために誘導負荷コイルを通って流れる交流電流によって生成される磁場が該加工品に浸透するように該加工品を配置することができる。
【0023】
動作中、スイッチS7は同調コンデンサーを回路内に含めるために、または回路中で同調コンデンサーをバイパスするために、それぞれ図示されているように開放されてもよいし、または閉鎖されてもよい。負荷コイル、同調コンデンサー(有効回路内に存在する場合)、及び共振コンデンサーの回路インピーダンスはインバーターの出力によって現れる結果的な負荷インピーダンスを決定する。したがって、スイッチS7の閉鎖による同調コンデンサーTC6の短絡は回路の等価容量を増大させ、結果的に回路の共振周波数を低下させるだろう。逆に、スイッチS7の開放は回路の容量を減少させ、結果的に回路の共振周波数を増大させるだろう。
【0024】
図4bは図4aのスイッチS7に対してスイッチ手段を与えるための1つの非制限的な実施例を図示している。図4bにおいて、同調コンデンサーTC6を短絡させるためのスイッチ手段はダイオードBD1、BD2、BD3及びBD4から形成され、同調コンデンサーの両端に接続されたダイオードブリッジによって達成されている。例えばトランジスターであってもよいスイッチS8は、スイッチが閉じられたときに同調コンデンサーを短絡させるためにブリッジの中央の間に接続されている。
【0025】
非制限的な実施例において、約3〜10キロヘルツの低周波数と約30〜100キロヘルツの高周波数とともに、加工品の複式周波数誘導加熱を達成するために図4aまたは図4bの装置が使用される場合、同調コンデンサーTC6の容量は共振コンデンサーRC6及びRC7の容量に対して約100倍以上小さい値から選択されるべきである。
【0026】
本発明の上述の実施例においては共振インバーターが使用されているが、本発明の請求の範囲から外れることなく他のインバーター構成または幾何構成が使用されてもよい。本発明の全ての実施例において、インバーターの出力は固定した周波数で動作してもよいし、可変の周波数で動作してもよい。絶縁ゲートバイポーラトランジスターのシンボルで図示されている整流素子等の、トランジスターまたは他のソリッドステート素子を含む本発明の上述の実施例で使用されているスイッチ素子は例としてのものであり、他の適当なスイッチ素子または部材によって置き換えられてもよい。
【0027】
本発明の例は特定の電気部材への参照を含む。当業者は必ずしも同種のものではないが、所望の条件を達成する、または本発明の所望の結果を達成する部材で図示された部材を置き換えることによって本発明を実施してもよい。例えば、複数の部材に対して単一の部材が使用されてもよいし、逆に単一の部材に対して複数の部材が使用されてもよい。
【0028】
上述の実施例は本発明の範囲を制限するためのものではない。本発明の範囲は付随する請求の範囲に記載される。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の複周波数誘導加熱または溶融装置の1つの例を図示している簡略化された回路図である。
【図2】本発明の複周波数誘導加熱または溶融装置のもう1つの例を図示している簡略化された回路図である。
【図3】本発明の複周波数誘導加熱または溶融装置のもう1つの例を図示している簡略化された回路図である。
【図4a】本発明の複周波数誘導加熱または溶融装置のもう1つの例を図示している簡略化された回路図である。
【図4b】同調容量性部材に関連したスイッチがダイオードブリッジ及びスイッチ部材を備えている、図4aに示されている本発明の複周波数誘導加熱または溶融装置のもう1つの例を図示している簡略化された回路図である。
【符号の説明】
【0030】
10 共振ブリッジインバーター
BD1−BD4 ダイオード
D1−D4 逆平行ダイオード
LC 誘導負荷コイル
RC1−RC7 共振コンデンサー
S1−S8 スイッチ
SD1−SD4 整流素子
TC1−TC6 同調コンデンサー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の周波数で加工品を誘導加熱または溶融するための装置であって:
少なくとも2つの整流素子、少なくとも1つの共振コンデンサー、及び少なくとも1つの同調コンデンサーを備えたインバーター回路;
インバーター回路から電力を受信する誘導負荷コイル;及び、
インバーター回路から少なくとも1つの同調コンデンサーの少なくとも1つを選択的に挿入または解除するため、またはインバーター回路内で少なくとも1つの共振コンデンサー及び少なくとも1つの同調コンデンサーを再配列するための少なくとも1つのスイッチ要素を備える装置。
【請求項2】
インバーター回路が少なくとも2つの整流素子の組を備える第1支線、少なくとも1つの共振コンデンサーの組を備える第2支線、及び少なくとも1つの同調コンデンサーの第1及び第2の同調コンデンサー、少なくとも1つのスイッチ要素の第1、第2及び第3スイッチ要素、及び誘導負荷コイルを備える対角線を備え、該対角線が第1と第2の支線の中点の間に接続されている、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
少なくとも2つの整流素子がインバーター回路の第1支線を形成する整流素子の組を備え、少なくとも1つの共振コンデンサーがインバーター回路の第2支線を形成する第1及び第2の共振コンデンサーを備え;少なくとも1つの同調コンデンサーが第1及び第2の同調コンデンサーを備え、少なくとも1つのスイッチ要素が第1、第2及び第3のスイッチ要素を備え、第1及び第2の同調コンデンサー、第1、第2及び第3のスイッチ要素、及び誘導負荷コイルがインバーター回路の第1及び第2の支線の中点の間に配置され、第1及び第2の同調コンデンサーの各々がインバーター回路の第2支線の中点に接続された第1端子を有し、第1スイッチ要素がインバーター回路の第2支線の中点に接続された第1端子を有し、第1スイッチ要素が誘導負荷コイルの第1端子に接続された第2端子を有し、誘導負荷コイルの第2端子がインバーター回路の第1支線の中点に接続され、第2スイッチ要素が第1同調コンデンサーの第2端子を選択的にインバーター回路の第1支線の両端の第1直流端子に接続する、第1スイッチ要素の第2端子に接続する、または開放状態にするための手段を有し、第3スイッチ要素が第2同調コンデンサーの第2端子を選択的にインバーター回路のスイッチ区分の第1支線の両端の第2直流端子に接続する、第1スイッチ要素の第2端子に接続する、または開放状態にするための手段を有する、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
インバーター回路が少なくとも2つの整流素子の組を備える第1支線、少なくとも1つの同調コンデンサーの組を備える第2支線、及び少なくとも1つの共振コンデンサー、少なくとも1つのスイッチ要素の第1スイッチ要素、及び誘導負荷コイルを備える対角線を備え、該対角線が第1と第2の支線の中点の間に接続されている、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
少なくとも2つの整流素子がインバーター回路の第1支線を形成する整流素子の組を備え、少なくとも1つの同調コンデンサーがインバーター回路の第2支線を形成する第1及び第2の同調コンデンサーを備え;少なくとも1つの共振コンデンサーが第1及び第2の共振コンデンサーを備え、少なくとも1つのスイッチ要素が第1スイッチ要素を備え、第1及び第2の同調コンデンサー、第1スイッチ要素、及び誘導負荷コイルがインバーター回路の第1及び第2の支線の中点の間に配置され、第1スイッチ要素の第1端子がインバーター回路の第2支線の中点に接続され、第1スイッチ要素の第2端子が第1及び第2共振コンデンサーの第1端子の間の共通接続に接続され、第1共振コンデンサーの第2端子がインバーター回路の第1支線の両端の第1直流端子に接続され、第2共振コンデンサーの第2端子がインバーター回路の第1支線の両端の第2直流端子に接続され、誘導負荷コイルの第1端子が第1スイッチ要素の第2端子に接続され、誘導負荷コイルの第2端子がインバーター回路の第1支線の中点に接続されている、請求項1に記載の装置。
【請求項6】
インバーター回路が少なくとも2つの整流素子の第1の組を備える第1支線、少なくとも2つの整流素子の第2の組を備える第2支線、及び少なくとも1つの共振コンデンサー、少なくとも1つの同調コンデンサーの第1同調コンデンサー、少なくとも1つのスイッチ要素の第1及び第2スイッチ要素、及び誘導負荷コイルを備える対角線を備え、該対角線が第1と第2の支線の中点の間に接続されている、請求項1に記載の装置。
【請求項7】
少なくとも2つの整流素子が整流素子の第1及び第2の組を備え、整流素子の第1の組がインバーター回路の第1支線を形成し;整流素子の第2の組がインバーター回路の第2の組を形成し;少なくとも1つの共振コンデンサーが第1共振コンデンサーを備え、少なくとも1つの同調コンデンサーが第1同調コンデンサーを備え、少なくとも1つのスイッチ要素が第1及び第2のスイッチ要素を備え、第1共振コンデンサー、第2同調コンデンサー、第1及び第2スイッチ要素、及び誘導負荷コイルがインバーター回路の第1と第2の支線の中点の間の対角線に配置され、第1共振コンデンサーがインバーター回路の第2支線の中点に接続された第1端子を有し、第1共振コンデンサーの第2端子が第1同調コンデンサーの第1端子に接続され、第1スイッチ要素の第1端子が第1同調コンデンサーの第1端子に接続され、第1スイッチ要素の第2端子が第1同調コンデンサーの第2端子に接続され、第2スイッチ要素が誘導負荷コイルの第1端子に接続され、第2スイッチ要素が誘導負荷コイルを第1同調コンデンサーの第2端子または第1共振コンデンサーの第2端子の間で選択的に切り替えるための手段を有し、そして、誘導負荷コイルの第2端子がインバーター回路の第1支線の中点に接続されている、請求項1に記載の装置。
【請求項8】
複数の周波数で加工品を誘導的に加熱または溶融するための装置であって:
誘導負荷コイル;
インバーター回路であって:
整流素子の組を備える第1支線;
共振コンデンサーの組を備える第2支線;
誘導負荷コイルと直列の少なくとも1つの同調コンデンサー、及び少なくとも1つの同調コンデンサーの少なくとも1つと並列のスイッチ要素を備える対角線であって、インバーター回路の第1と第2の支線の中点の間に接続されている対角線を備えるインバーター回路を備える装置。
【請求項9】
スイッチ手段が少なくとも1つの同調コンデンサーの少なくとも1つの両端に排他的に接続されたダイオードブリッジ、及び該ダイオードブリッジに排他的に接続された少なくとも1つの同調コンデンサーを選択的にバイパスするために該ダイオードブリッジの各々の中央の間に接続されたブリッジスイッチ要素を備える、請求項8に記載の装置。
【請求項10】
加工品を誘導的に加熱または溶融する方法であって:
第1及び第2の支線及び対角線を有するインバーター回路であって、少なくとも2つの整流素子、少なくとも1つの共振コンデンサー、及び少なくとも1つの同調コンデンサーを備えるインバーター回路を形成すること;
インバーター回路の対角線に誘導負荷コイルを挿入すること;
インバーター回路の対角線に少なくとも1つのスイッチ要素を挿入すること;
インバーター回路から誘導負荷コイルに交流電力を供給すること;及び、
少なくとも1つの同調コンデンサー及び少なくとも1つの共振コンデンサーの等価容量を変更するために少なくとも1つのスイッチ要素の各々を選択的に動作させることのステップを含む方法。
【請求項11】
加工品を誘導的に加熱または溶融する方法であって:
少なくとも1つのスイッチ要素を有するインバーター回路の対角線に配置された誘導コイル内に少なくとも部分的に加工品を配置することであって、インバーター回路の該対角線は第1及び第2の支線の間に配置されており、インバーター回路が少なくとも2つの整流素子、少なくとも1つの共振コンデンサー、少なくとも1つの同調コンデンサーを備え;
インバーター回路から誘導コイルに交流電力を供給すること;
加工品を誘導的に加熱または溶融させるため、少なくとも1つの同調コンデンサー及び少なくとも1つの共振コンデンサーの等価容量を変更するために少なくとも1つのスイッチ要素の各々を選択的に動作させることのステップを含む方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4(a)】
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【図4(b)】
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【公表番号】特表2008−547162(P2008−547162A)
【公表日】平成20年12月25日(2008.12.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−516885(P2008−516885)
【出願日】平成18年5月18日(2006.5.18)
【国際出願番号】PCT/US2006/019342
【国際公開番号】WO2006/138015
【国際公開日】平成18年12月28日(2006.12.28)
【出願人】(591029943)インダクトサーム・コーポレイション (22)
【氏名又は名称原語表記】INDUCTOTHERM CORPORATION
【Fターム(参考)】