説明

複数の繊維複合体構成部品を形成する方法

本発明は、繊維複合体構成部品(10)を形成する方法を提案し、その方法は特に、たとえば飛行機建造のための構造構成部品として使用されるような、変化するプロフィール横断面および/または少なくとも部分的に湾曲した推移を有する、複雑な形状のプロフィールを形成するのに適しており、かつ次のステップを有する:a)複数のコア部分(12)を準備するステップ、b)コア部分(12)の各々の上に第1の繊維材料(16)を別に塗布するステップ、c)コア部分列(18)を形成するために、第1の繊維材料(16)によって被覆されたコア部分(12)を互いに継ぎ合せるステップ、d)コア部分列(18)にとって共通の第2の繊維材料(20)を、コア部分列(18)の少なくとも、コア部分(12)が第1の繊維材料(16)によって被覆されている側に沿って塗布するステップと、e)繊維強化された構成部品ボディを形成するために、第1と第2の繊維材料(16、20)を、含浸させて硬化するステップ、f)構成部品ボディを、繊維複合体構成部品(10)となる、複数の部分に分断するステップ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、繊維複合体構成部品を形成する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
繊維複合体構成部品の使用は、特にその比剛性(重量に対する剛性の比)が高いために、多くの適用領域内で関心をもたれている。繊維複合体構成部品は、一般に2つのメインコンポーネント、すなわちマトリクスとその中に埋め込まれた繊維からなる、混合材料である。これらコンポーネントの互いに対する相互作用によって、この材料は、関与する2つの個別のコンポーネントの各々よりも高価値の特性を有している。
【0003】
特に、本発明は、ある程度複雑な形状付与を有する、要求の高いプロフィールを形成する方法に関する。本出願人の企業内認識に基づく従来技術によれば、たとえば、CFK(炭素繊維強化プラスチック)プロフィールは、現在大体においてプリプレグテクノロジー(prepreg-technologie)において、あるいは炭素繊維からなるテキスタイル半製品(織物、不織布、繊維マットなど)にドレープをつけることによって、形成される。しかしそれには、比較的高い割合の手作業が結びついている。湾曲したプロフィールを形成する場合には、切り屑は、典型的に50%までになる。
【0004】
廃棄の割合の少ない、より合理的な製造方法として、CFKプロフィールを形成するために、これまでは、いわゆる連続式引抜成形しか知られていない。しかしこの方法によっては、一定の横断面を有する、まっすぐなプロフィールしか形成できない。局所的肥厚、部分的に最適化された繊維角度あるいは特に形状の変化は、不可能である。従ってこの種の構成部品は、実際においては、しばしば面倒な後加工において肥厚(たとえば強化および/または後の力導入のため)を設けなければならない。
【発明の概要】
【0005】
従って本発明の課題は、特に、たとえば変化するプロフィール断面を有する、および/または少なくとも部分的に湾曲した推移を有するプロフィールのような、複雑な形状の繊維複合体構成部品を形成するのにも適した、繊維複合体構成部品を形成するための簡単な方法を提供することである。
【0006】
この課題は、本発明によれば、
a)複数のコア部分を準備するステップと、
b)コア部分の各々の上に、第1の繊維材料を別に塗布するステップと、
c)コア部分列を形成するために、第1の繊維材料によって被覆されたコア部分を互いに継ぎ合せ、
d)コア部分列にとって共通の第2の繊維材料をコア部分列の少なくとも、コア部分の第1の繊維材料によって被覆されている側に沿って塗布するステップと、
e)繊維強化された構成部品ボディを形成するために、第1と第2の繊維材料を、含浸させて硬化するステップと、
f)構成部品ボディを、繊維複合体構成部品となる、複数の部分に分断するステップ、 を含む、繊維複合体構成部品を形成する方法によって解決される。
【0007】
この方法によって、複雑な形状の繊維複合体構成部品、特にたとえば、不規則な曲率半径を有する細長い、湾曲したプロフィール構成部品も、簡単なやり方で形成することができる。本発明の特別な利点は、この方法によって複数の繊維複合体構成部品、特に複数の同一の繊維複合体構成部品を、同時に、従って安価に形成することができる(「パケット形成」)ことにある。これに関して、少なくとも3つ、特に少なくとも5つ、あるいは特に少なくとも10の構成部品を同時に形成することが、効果的である。
【0008】
原理的に、本発明に基づく方法は、使用される繊維材料の種類に関して(たとえば個々の繊維、ロービング、平面的な繊維半製品など)、かつ使用されるマトリクス材料に関して、特別な制限を受けない。実施形態において、炭素繊維の使用が行われる。しかしその代わりに、あるいはそれに加えて、たとえばガラス繊維、合成のプラスチック繊維、鋼繊維または天然繊維のような、他の繊維も、容易に使用することができる。マトリクス材料としては、特に、たとえばデュロ可塑性(duroplastische)プラスチック(合成樹脂)のような、特別なプラスチックが、興味をひく。しかし、このリストアップは、単なる例でしかない。さらに、場合によっては、それ自体既知のやり方で、充填物質または添加物を添加することもできる。
【0009】
ここで使用される「第1の繊維材料」と「第2の繊維材料」という概念は、本発明に基づく方法において2つの段階において、すなわちまずステップb)においてコア部分の各々の上に繊維材料を別に塗布する場合と、後にステップd)において、その前に形成されているコア部分列上に繊維材料を塗布する場合に、繊維材料が使用されることを表現しようとするものである。この概念によって、第1の繊維材料が、第2の繊維材料とは異なるものでなければならない、ということを表現しようとするものではない。これは、異なるようにすることはできるが、必ずしもそうする必要はない。この主旨において、ステップb)において、複数の異なる第1の繊維材料を、および/または、ステップd)において複数の異なる繊維材料を、使用することもできる。(該当する繊維材料を)「塗布する」という概念は、本発明の枠内において、極めて広く解釈されるべきである。個々の繊維は、たとえば編物を巻き付けるプロセスないし巻いてくるむプロセスによって、塗布することができる。その代わりに、あるいはそれに加えて、塗布は、(特に平面的なテキスタイル半製品において)載置として、場合によっては付着層により固定して、設けることもできる。
【0010】
好ましい実施形態において、コア部分は、プロフィール部分として形成されており、そのプロフィール横断面は、プロフィール長手方向の延びにわたって変化し、および/または、そのプロフィール長手方向の延びが、少なくとも部分的に湾曲した推移を有している。使用されるコア部分は、形成される構成部品のために形を付与するものであるので、この措置によって、それに応じて、そのプロフィール横断面がプロフィール長手方向の延びにわたって変化し、および/または、そのプロフィール長手方向の延びが、少なくとも1つの部分的に湾曲した(「屈曲した」を含む)推移を有する、プロフィール構成部品を形成することができる。その場合に、好ましい実施形態において、形成されたプロフィール構成部品は、特に最大のプロフィール横断面の延びよりも、少なくともファクター5だけ、特に少なくともファクター10だけ大きい、プロフィール長手方向の延びをもって、細長く延びている。
【0011】
多数の細長く延びたプロフィール構成部品を形成するために、たとえばステップa)において、多数の同一の細長く延びたプロフィールコア部分を準備することができ、それがステップb)において繊維材料を塗布された後に、ステップd)でコア部分列にとって共通の繊維材料が塗布され、たとえば載置される前に、コア部分列を形成するために、その長手側において互いに継ぎ合わされる。その場合に、コア部分列は、個々のプロフィールコア部分の長さに相当する長さと、継ぎ合せ方向ないし列方向における繊維材料の厚みを加えた、個々のプロフィールコア部分の幅の合計に相当する幅を有している。
【0012】
方法において使用されるコア部分は、再使用可能または再使用不可能に、設けることができる。たとえば金属(たとえばアルミニウム)から形成することができる、再使用可能なコア部分の場合には、単に、ステップf)で構成部品ボディを分断する際に、この時点でコア部分がまだ構成部品ボディの内部にある場合に、それが損傷されないように、注意される。再使用できないコア部分は、簡単なやり方で、たとえばプラスチック、特に発泡プラスチックから、形成することができ、構成部品ボディを分断する際に、場合によっては互いに切り離されて、従って破壊されることがある。
【0013】
実施形態において、コア部分は、少なくとも1つの局所的な切欠きを有しており、それがステップb)において繊維材料で充填される。それによって簡単な方法で、出来上った構成部品のための肥厚を形成することができる。その代りに、あるいはそれに加えて、この種の局所的な肥厚は、第1の繊維材料がステップb)で、および/または、第2の繊維材料がステップd)で、1つまたは複数の箇所において高くなる厚みで、載置されることにより、実現される。
【0014】
局所的な肥厚は、場合によっては特別な材料、たとえば繊維材料によって形成することができ、その繊維材料は、たとえば、第1の繊維材料および/または第2の繊維材料と異なることができる。そのためにコア部分が、上述した1つまたは複数の切欠きを有する場合に、この切欠き内へ、たとえばテキスタイル半製品のそれぞれ1つまたは複数の裁断片を挿入することができる(補強層の統合)。特殊な実施形態において、該当するコア部分の上側の局所的な切欠きが、平坦に充填されて、次に第1の繊維材料を塗布する際に、完全に覆われる。
【0015】
好ましい実施形態において、ステップb)において、第1の繊維材料の塗布は、個々のコア部分の編物巻きおよび/または巻きくるみを有する。第1の繊維材料を塗布するこの方法は、極めて良好に自動化され、その場合にたとえば、ドイツ特許公開公報DE102004017311A1(繊維複合体−半製品を形成するため)に記載されているような方法ないし装置を使用することができる。それによれば、ステップb)における第1の繊維材料の塗布は、円形編み技術を用いて行うことができ、その場合に該当するコア部分が編み糸で編みくるまれ、その編み糸は、コア部分を中心に様々な方向に同心に回転するボビンを介して引き出され、その場合に特に、一方の回転方向のボビンに補強糸がかけられ、逆の回転方向のボビンには、少なくとも部分的に支持糸がかけられ、その支持糸は補強糸の位置を保持することができ、かつ少なくとも部分的に熱可塑性糸(Thermoplastfaeden)からなることができる。好ましい展開において、コア部分は何回も編みくるまれ、その場合に第1の繊維材料のそれぞれ単方向の個別層が、コア部分上に載置される。円形編み技術により第1の繊維材料を自動的に設けることにより、好ましくは高い再現性と良好に定義された繊維配向(単方向またはマルチ方向)を得ることができる。さらに、円形編みプロセスの間に、付加的な繊維材料バンドを簡単な方法で編み込むことができる。編物巻きの好ましい実施形態において、平坦な、すなわち波打ちのない編物が形成される。
【0016】
上述した局所的な肥厚は、ステップb)において編物で巻き、および/または、編みくるむ際にすでに直接、あるいは局所的に多重に編物で巻き、ないしは編みくるむことによって、あるいは付加的に付け加えられた平面的な繊維材料半製品(裁断片、バンドなど)によっても、形成することができる。
【0017】
ステップb)において編物で巻き、ないしは編みくるむ代わりとして、原理的に特に繊維材料層にひだをつけることも考えられるが、それは実際には、ずっと高い手動の作業の手間と結びつく。従って実施形態においては、第1の繊維材料の大部分は、該当するコア部分上に編物を巻き、ないしは編みくるむことによって載置され、場合によっては、平面的な繊維複合半製品としての、比較的小さい割合の第1の繊維材料が、場合によっては裁断されて、載置される。このように繊維材料層を設けることは、特に編物で巻き、ないしは編みくるむことと共に(前もっておよび/または後から)行うことができる。
【0018】
実施形態において、ステップc)において、被覆されて互いに継ぎ合わされたコア部分が、保持装置によって固定され、その保持装置は、ステップe)のために使用される含浸装置の一部である。含浸装置は、ここでも、工具の一部とすることができ、その中で該当するマトリクス材料による繊維材料の含浸も、繊維−マトリクス−複合物の少なくとも部分的な硬化ももたらされる。繊維複合体構成部品のそれぞれ形成すべき個数に従って、被覆されたコア部分を互いに継ぎ合せる場合(スタック)および/または第2の繊維材料(たとえばマルチアキシャル不織布、織物などからなる片側または両側のカバー層)を塗布する場合および/または含浸ないし硬化する場合に、片側の工具または閉成された工具を使用することができる。
【0019】
好ましい実施形態において、ステップd)で第2の繊維材料を塗布することは、少なくとも1つの平面的に伸張された繊維材料層(たとえばテキスタイル半製品)の塗布を含む。それは特に、マルチアキシャル不織布、織物などの裁断片ないしバンドとすることができる。
【0020】
第2の繊維材料は、場合によってはコア部分列の両側に、同一または異なる材料種類および同一または異なる材料厚みで、載置することができる(多層も)。
【0021】
ステップe)において行われる含浸と硬化のために、好ましくは、繊維複合体形成の領域からそれ自体知られているすべての方法を利用することができる(たとえばVAP、RTMなど)。エポキシ樹脂を含浸する場合には、それぞれ樹脂特性に従って、硬化は、室温からたとえば180℃までの温度領域内で行うことができる。
【0022】
実施形態において、ステップf)において、構成部品ボディの分断は、それぞれ1つのコア部分の領域内に延びる複数の分離切込みによって行われ、その場合に各分離切込みによって、該当するコア部分に隣接する繊維材料(および場合によってはコア部分)が2分されて、従って形成される繊維複合体構成部品の異なるものに対応づけられる。
【0023】
再使用のために設けられていないコア部分(たとえば泡コア)は、離型の際に、場合によっては破壊することができる。
【0024】
ステップf)において構成部品ボディの分断によって形成された繊維複合体構成部品は、場合によってはその使用前に、後加工することができる。
【0025】
以下、添付の図面を参照して、実施例を用いて、本発明をさらに説明する。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】そのプロフィール断面がプロフィール長手方向の延びにわたって変化する、繊維強化された多数のプロフィールの形成を説明するための表示である。
【図2】そのプロフィール長手方向の延びが湾曲した推移を有する、多数の繊維強化されたプロフィールの形成を説明するための表示である。
【図3】図2の一部を詳細に示している。
【図4】他の実施形態に基づくコア部分を示す斜視図である。
【図5】種々のコア部分形状ないし繊維複合体構成部品形状の例を説明する図である。
【図6】コア部分上に繊維材料を自動的に塗布することを、図式的に示している。
【図7】一方でまっすぐに延びるコア部分のため、他方では湾曲して延びるコア部分のための、個々のコア部分上にマルチアキシャル繊維材料を塗布することを、図式的に示している。
【発明を実施するための形態】
【0027】
図1は、ダブルT字状プロフィールの形式の6つの繊維複合体構成部品10(図1の一番右を参照)を同時に形成する場合の種々の段階を、左から右に示している。
【0028】
後に、たとえば床横支持体として飛行機胴体内で使用可能なプロフィール10の、この「パケット形成」は、以下のステップを有している:
【0029】
a)まず、図1の一番左に示す種類のコア部分12が、準備される(図7には、この種の7つのコア部分が示されており、それらは図示の実施例において一方向に長く延びるコア部分プロフィールとして形成されており、そのプロフィール断面はプロフィール長手方向の延びにわたって変化している)。プロフィール横断面は、図示の例においては矩形であって、その場合にプロフィールの延びの推移において2カ所に湾入部14が見られ、そこでは横断面がそれに応じて減少されている。コア部分12は、たとえば、市場で一般的な硬質泡材料の、または金属材料の繊維によって形成することができる。その特性は、第2ランクの意味しか持たない。というのは、これは単に、本来の構成部品10を形成する場合に形状を与える補助手段として用いられるだけだからである。
【0030】
b)次のステップにおいて、第1の繊維材料16が、コア部分12上に別に塗布される。図示の実施例において、コア部分12にはそのために、繊維材料によって編み巻かれている。その場合に、それ自体知られている方法で、構成部品10の後の使用に関して好ましい繊維配向(あるいは複数の繊維配向)を設けることができる。その場合にコア部分12は、「編物コア」として用いられる。
【0031】
c)第1の繊維材料16によって被覆されたコア部分12は、次に、コア部分列18を形成するために、互いに継ぎ合わされる。図示の実施例において、それぞれ2つの互いに直接隣接する、繊維材料16によって(前側を除いて完全に)包囲されたコア部分12が、平坦な境界面に沿って接触するので、個々の被覆されたコア部分12は、積み重ね方向に見て互いに全面で添接する。
【0032】
d)その後、第2の繊維材料20が、コア部分列18の少なくとも1つの側に沿って塗布される。図示の実施例において、この繊維材料20は、図示のコア部分列18の下側にも、上側にも塗布される。
【0033】
e)このようにして形成された、互いに列をなす、形状を与えるコア部分12と繊維材料16、20とからなる構造に、適切なマトリクス材料(たとえばエポキシ樹脂)が含浸されて、熱的に硬化される。硬化可能なマトリクス材料の添加は、好ましい実施形態においては、真空インフュージョン方法(Vakuuminfusionsverfahrens)の使用によって、たとえばVAP、VARIなどのような標準インフュージョン方法を用いて行われ、その場合にたとえば、メンブレン構造を有する浸透配置が使用され、その場合にカバー箔および/または工具内に、樹脂マトリクスのための然るべき入口と出口が設けられている。この種の真空構造は、場合によっては、繊維材料によって被覆されたコア部分列16をコンパクト化するためにも、使用することができる。被覆されたコア部分列が、空気密の箔によって覆われて、次に箔の下方の空間がある程度排気される場合には、構造に雰囲気の周囲圧が供給される。箔によって画成される空間を排気する代わりに、あるいはそれに加えて、たとえば被覆されたコア部分列18が箔と共に高圧釜内へ挿入されることにより、増大された周囲圧を適用することもできる。このステップにおける硬化は、完全に、あるいは部分硬化としてのみ、設けることもできる。
【0034】
f)最後に、先行するステップにおいて含浸と硬化によって形成された構成部品ボディが、(場合によっては最後の後加工後に)繊維複合体構成部品10となる、複数の部分に分離される。一般に、コア部分12の成形形状とコア部分12の表面における繊維材料の結合の強さに従って、構成部品ボディを分断する前にそれを離型させることが不可能になる。従って、実施形態においては、分離切込みによって繊維材料16、20もコア部分12も分断される(コア部分12は、再使用できない)。他の実施形態においては、分離切込みは、それによって繊維材料16,20のみが分断されるように、形成され、その後解放されたコア部分12は、再使用することができる。
【0035】
上述した形成方法によって、図1に示すように、7つのコア部分12を使用して、同時に6つの繊維強化されたダブルT字状支持体10が形成される。その場合に、構成部品ボディの分断は、それぞれコア部分12の1つのものの領域内に延びる(図1において垂直の)7つの分離切込みによって行われ、その場合に各分離切込みによって、該当するコア部分12に隣接する繊維材料16、20が2分されて、従って形成される繊維複合体構成部品10の異なるものに対応づけられる。
【0036】
図示の実施例とは異なり、垂直の分離切込み平面が図示の実施例に対して少し(たとえばコア部分12の半幅だけ)変位して選択されることによって、個々の支持体10に簡単な方法でほぼC字形状のプロフィールを与えることができる。
【0037】
図1に示す構成部品ボディに基づいて、さらに、たとえば垂直の分離切込みの他に水平の分離切込みも設けられることにより、たとえば構成部品ボディの個別化によってまず得られたダブル−T−支持体ないしC−支持体がそれぞれ再度水平に2分されることにより、分断ステップによって(2倍の数の)T−支持体またはL−支持体を形成することができる。
【0038】
図1に示す実施例において、コア部分12は、それぞれ細長く、かつ同一の形状であって、その場合にそのプロフィール長手方向の延びは、まっすぐな推移(後の積み重ね方向に対して直交)を有している。しかし、プロフィール横断面は、プロフィール長手方向の延びにわたって変化している(湾入部14を参照)。プロフィール形状のコア部分12は、コア部分スタック18内に同一の配向で配置されている。
【0039】
他の実施例についての以下の説明において、同じ作用をするコンポーネントには同一の参照符号が、実施形態を区別するために小文字を追加して、使用される。その場合に、実質的に、すでに説明した1つまたは複数の実施例に対する差のみが詳細に説明され、その他においてはこれをもって、先行する実施例の説明が明確に指示される。
【0040】
図2と3は、複数の繊維複合体構成部品を同時に形成するための方法の実施例を示しており、その繊維複合体構成部品は、図1を参照して説明した例におけるのと同様に、ここでもダブルT−プロフィールとして形成されている。しかし、上の例とは異なり、ここに示すプロフィール構成部品は、湾曲した推移を有している。
【0041】
図2は、図1と同様な表示において、一番左にコア部分12aを示しており、それが以下で説明する方法のために、ここでも同一の形状で多重に準備される。図2のさらに右に、ここでも形成の他の中間段階が示されている、すなわち
−第1の繊維材料16aで被覆された(たとえば巻き付けられた)コア部分12a、
−第1の繊維材料で被覆されたコア部分12aを互いに継ぎ合せることによって形成されたコア部分列18a、
−付加的にその下側と上側を、第2の繊維材料20aで被覆されたコア部分列18a、および
−構成部品ボディの含浸、硬化および分断後に得られた、繊維複合体構成部品10a。
【0042】
図3は、コア部分列18aの長手側に沿った繊維材料16a、20aの配置を、拡大した表示で再度示している。その場合に、コア部分列18aの2つの互いに逆になる面側(上側と下側)に繊維材料層20aを異なる材料厚みで設けることができることが、例示されている。第2の繊維材料20aのこのように異なる層厚と第1の繊維材料16aの層厚に対するこの層厚の比も、好ましくは、出来上った構成部品10aにおいて予測される機械的な負荷に適合させることができる。これに関して、場合によっては、図3の切断平面で見て、および/または、コア部分列の長手方向に見て、図示の実施例とは異なり、繊維材料16a、20aの少なくとも1つのために、統一的でない厚み、および/または、統一的でない材料を設けることも、効果的である。
【0043】
形成プロセスの最後に行われる、構成部品10aを(多数のダブルT−プロフィールに)個別化するための分離切込みが、図3に破線で記入されている。
【0044】
図4は、上述した種類の形成方法において、出来上った繊維複合体構成部品に、どのようにして局所的な肥厚を形成することができるか、を詳細に説明している。
【0045】
図4の上には、形成方法において使用されるコア部分12cの一部が示されており、そのコア部分は、湾曲して延びる部分内に段付きの切欠き22cを有している。その他において、コア部分12cは、たとえば矩形の横断面輪郭を有している。
【0046】
この実施例においては、コア部分12cの各々の上に第1の繊維材料をかぶせる枠内で、コア部分12cが、切欠き22cに隣接する領域においても第2の繊維材料によって被覆される(たとえば巻き付けられ、および/または、包まれる)前に、まず、切欠き22cが「付加的な第1の繊維材料」によって完全に充填される。従って、切欠き22cの領域内において、出来上った構成部品(図示せず)に、ある程度「内側へ向かって」、局所的な肥厚が生じる。もちろんその代わりに、あるいはそれに加えて、第1の繊維材料を塗布する場合にそれに応じた肥厚が形成されることにより、「外へ向いた」肥厚を設けることもできる。
【0047】
図示の切欠き22c内へ挿入すべき繊維材料は、たとえば、(図示の2つの切欠き領域内へ)次々と挿入される、繊維マットの2つの裁断片からなることができる。
【0048】
出来上った構成部品に補強を形成するために、コア部分12cの湾曲した部分に切欠き22cを形成することは、ここで関心をもたれる種類の構成部品は、大体において湾曲した部分内により強い負荷を受けるので、実際的な視点から、大体において効果的である。
【0049】
図4に示す特殊性、すなわち付加的な繊維材料を統合するために、1つまたは複数の局所的な切欠きを形成することは、図1ないし図2と3に示す上述した実施例の各々のため(あるいはその組合せのため)に、容易に設けられる。
【0050】
使用されるコア部分の切欠きによって形成される肥厚の特別な利点は、付加的にコア部分に局所的に塗布された第1の繊維材料は、切欠きが「積み重ね方向」に配向されている場合、すなわちコア部分列内で隣接するコア部分へ向いている場合でも、全面で互いに添接するコア部分を有するコア部分列の形成を、阻止しないことである。それに対して局所的な肥厚を、「コア部分において外側へ張り出す繊維材料」によって形成する場合には、大体において、付加的な繊維材料をコア部分の、コア部分列内で隣接するコア部分に直接向かない側に設けることが、効果的である。図1と2に示すコア部分列18ないし18aにおいて、これは、該当するコア部分列の上側と下側である。
【0051】
飛行機建造における構造構成部品としての、繊維複合体構成部品の好ましい使用に関して、特にプロフィール構成部品の湾曲した部分および/またはその輪郭面において減少されている部分内の局所的な肥厚が、特に効果的である。
【0052】
上述した形成方法は、すでに説明したように、特に多数の同一の繊維複合体構成部品を「パケット形成する」のに適しており、その繊維複合体構成部品は、全体としてプロフィール形状であるが、プロフィール横断面がプロフィール長手方向の延びにわたって変化し、および/または、プロフィール長手方向の延びが1つまたは複数の領域内で湾曲されている。
【0053】
図5は、上述した方法によって形成することができる、種々の繊維複合体構成部品10d、10e、10fおよび10gの縦断面を示している。図示の縦断面形状は、もちろん単なる例であって、形成可能な繊維複合体構成部品の形状付与に関して、方法の大きな柔軟性を示そうとしている。
【0054】
説明した方法において多くの作業ステップは、好ましくは、少なくとも部分的に自動化して実施することができる。これを、以下で図6と7を参照して、複数のコア部分の各々の上に第1の繊維材料を別に載置するステップの例で説明する。
【0055】
図6は、装置40hを示しており、その装置を用いて、ステップb)でコア部分12h上に重ね合わせるべき第1の繊維材料の一部が、自動的に塗布される。
【0056】
各コア部分12hは、まず、互いに逆となる2つの長手側に部分的に、テキスタイル半製品の裁断片42hを設けられる(たとえばラベル状に接着される裁断片)。
【0057】
その後、部分的にすでに第1の繊維材料(裁断片42h)を設けられているコア部分12hが、装置40hを通して長さに従って矢印44hの方向に移送される。その場合に、コア部分12hの、図6において互いに逆となる上側と下側に、それぞれ繊維材料からなるつながったバンド(たとえばテキスタイル半製品)が設けられ、そのバンドはそれぞれのストックローラから引き出される。そして、同様に自動化されたやり方で、装置40hによってさらに、包み込む繊維材料層48hが、図示の例においては編物で包むことにより、形成される。
【0058】
第1の繊維材料42h、46hおよび48hによって被覆されたこれらコア部分12hの複数のものが、次にコア部分列を形成するために互いに継ぎ合わされて、すべてのコア部分に共通の第2の繊維材料によって被覆され、これはすでに図1ないし図2と2に示す上の例において説明されている。第2の繊維材料の(図示されない)重ね合わせ載置も、場合によっては自動化された方法で行うことができる。
【0059】
装置40hを使用して形成される繊維複合体構成部品の機械的特性にとって、特に個々の繊維材料、ここでは繊維材料42h、46hおよび48h、の層厚と繊維配向が重要である。図6に示す包み込み方法の展開において、コア部分の通過方向に互いに相前後して配置された複数の編物巻きステーションを有する装置が、設けられている。この種の展開を、以下で図7を参照して説明する。
【0060】
図7の上には、コア供給装置50i、複数の(ここでは4つの)コーティングステーション(たとえば円形編み装置、場合によっては付加的な繊維材料を統合するための装置も有する)52iおよび繊維材料を分断するための切断装置54iを備えた装置40iが示されている。
【0061】
装置40iを通して次々と給送すべきコア部分12iのストックが、符号56iで示されている。装置40iを用いてコア部分12iをコーティングした後に、繊維材料で被覆されたコア部分のストック58iが得られる。円形編みステーションは、コア部分12iを、この例においては様々な繊維配向(たとえば+45°、−45°、−45°、+45°)で、編みくるむ。
【0062】
図7の下には、わずかに修正された装置40jが示されており、この装置において個々の加工ステーション50j、52jおよび54jは、湾曲したレーン44jに沿って配置されている。この加工レーンは、コーティングすべきコア部分12jの湾曲した形状に適合して選択されている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の繊維複合体構成部品(10)を形成する方法であって、
a)複数のコア部分(12)を準備するステップと、
b)コア部分(12)の各々の上に、第1の繊維材料(16)を別に塗布するステップと、
c)コア部分列(18)を形成するために、第1の繊維材料(16)によって被覆されたコア部分(12)を互いに継ぎ合せるステップと、
d)コア部分列(18)に共通の第2の繊維材料(20)を、コア部分列の少なくとも、コア部分(12)が第1の繊維材料(16)によって被覆されている側に沿って塗布するステップと、
e)繊維強化された構成部品ボディを形成するために、第1と第2の繊維材料(16、20)を、含浸させて硬化するステップと、
f)構成部品ボディを、複数の繊維複合体構成部品(10)となる、複数の部分に分断するステップであって、分断がそれぞれコア部分の1つのものの領域内に延びる複数の分離切込みによって行われ、各分離切込みによって、該当するコア部分(12)に隣接する繊維材料(16、20)が2分されて、形成される繊維複合体構成部品(10)の異なるものに対応づけられる、ステップと、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項2】
コア部分(12)がプロフィール部分として形成されており、前記プロフィール部分のプロフィール横断面が、プロフィール長さ方向の延びにわたって変化し、および/または、そのプロフィール長さ方向の延びが、少なくとも部分的に湾曲した推移を有している、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
コア部分(12)が、それぞれ少なくとも1つの局所的な切欠き(22)を有しており、前記切欠きが、ステップb)において繊維材料によって充填される、請求項1または2のいずれか1項に記載の方法。
【請求項4】
ステップa)において、同一のコア部分(12)が準備される、請求項1から3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
ステップb)において、第1の繊維材料(16)の塗布が、個々のコア部分(12)の編物巻き、および/または巻き包みを有している、請求項1から4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
ステップc)において、被覆され、互いに継ぎ合わされたコア部分(12)が、保持装置を用いて固定され、前記保持装置が、ステップe)のために使用される含浸装置の一部である、請求項1から5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
ステップd)において、第2の繊維材料(20)の塗布が、少なくとも1つの平面的に伸張された繊維材料層の塗布を有している、請求項1から6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか1項に記載の方法を用いて形成された、繊維複合体構成部品(10)、特に航空機用の構造構成部品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2009−545466(P2009−545466A)
【公表日】平成21年12月24日(2009.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−522121(P2009−522121)
【出願日】平成19年7月3日(2007.7.3)
【国際出願番号】PCT/EP2007/005856
【国際公開番号】WO2008/014858
【国際公開日】平成20年2月7日(2008.2.7)
【出願人】(508178711)エアバス ソシエテ パ アクシオンス シンプリフィエ (3)
【Fターム(参考)】