説明

複数の表面モデルを用いた対象構造の複雑な形状モデリングシステム及び方法

人体構造の複雑モデルを作成する方法とシステム(11)を提供する。本発明では、対象構造は複数の形状を用いてモデリングされる。一般的に、複数の視野モデルを組み合わせて複合モデルを構成することができる。表面モデルを作成するために、点(40)の複数の群(50)を用いることができ、作成された表面モデルは1つの共有ボリュームとして合併させることができる。この結果得られる複合モデルは、複合モデルの平均中心点の可視領域にない部分を有していてもよい。表面モデルは、例えば、三角形等を含むポリゴンによってモデリングされていてもよい。また、電気生理的データ及び/又はその他の情報を測定点から複合モデルの一点へとマッピングする方法をも開示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2006年5月17日に出願された米国特許仮出願第60/800,858号(以下では、‘858号出願という)の利益を主張するものである。また、本出願は、2006年12月29日に出願され、かつ現在審査中の米国特許出願第11/647,275号(以下では、‘275号出願という)の利益を主張するものである。‘858号出願及び‘275号出願の全部は、参照により本明細書に援用される。
【0002】
本願と同時審査中である米国特許出願第11/227,006号(2005年9月15日出願);第11/819,027号(2004年4月6日出願);第11/647,276号(2006年12月29日出願、2006年5月17日に出願された米国特許仮出願第60/800,848号の利益を主張する);ならびに第11/647,304号(2006年12月29日出願)の全部は、参照により本明細書に援用される。
【0003】
(技術分野)
本発明は、複雑な解剖学的形状のイメージングと対象構造の特定のポイントにおける測定情報を提示する技術に関する。より詳細には、本発明は人体構造の複雑なモデルを作成する技術に関する。
【0004】
本発明は、例えば人間の心臓を含む人体構造の幾何学モデルを作成する技術に関する。
【背景技術】
【0005】
正確な構造モデリングシステムの開発は、データポイントの密集帯を有する特定の対象構造の表面をいかに忠実に表現するかという課題を孕んでいる。この困難な課題を克服するべく、様々な手法が用いられてきた。その一例として、「ライン・オブ・サイト(視野線)モデル」と呼ばれる手法が存在する。このモデルは中心リファレンスポイントを用いており、対象構造の一領域をライン・オブ・サイト技術を用いてモデリングする。このモデルは、全てのポイントは、中心リファレンスポイント(例えば、平均中心リファレンスポイント)から「可視」であることを特徴とする。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、可視領域外の対象構造の部分がある場合、上記の手法によって得られるモデルは不正確なものとなることがある。これは、心臓をモデリングするために用いられてきた従来のその他のモデリングシステムについても共通する問題である。
【0007】
作成されるモデルが電気生理的測定ポイント及び/又は治療に関連して用いられる場合には、正確なモデリングは特に重要となる。
【0008】
このため、例えば、心臓の房室内構造等を含む対象構造の内部形状のモデリングに対する技術向上のニーズが存在する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、複数の形状を用いるとともに、それらの形状を組み合わせてより正確な心臓のモデリングを行うことにより、従来のライン・オブ・サイト表面モデリング手法とシステムに関連する短所を克服するものである。これにより、医師の患者に有効な治療を施す能力を向上させることができる。
【0010】
本発明の一つの態様によると、以下の工程を備える対象構造の表面モデルを作成する方法が提供される。この方法は、対象構造の第1部分を画定する第1群のロケーションポイントであって、第1群の全てのロケーションポイントへ視野線を引くことができる第1平均中心点を有する第1群のロケーションポイントを取得する工程と、第1群のロケーションポイントを用いて第1部分の第1三次元表面モデルを生成する工程と、第2群の全てのロケーションポイントへ視野線を引くことができる第2平均中心点を有する第2群のロケーションポイントを取得する工程を備える。対象構造の第1部分は、対象構造の第1部分に含まれない少なくとも一つの領域を含んでおり、第2群のロケーションポイントの少なくとも一つのロケーションポイントは、上述の第1平均中心点からの視野線上にないことを特徴とする。さらに、この方法は、第2群のロケーションポイントを用いて第2部分の第2三次元表面モデルを生成する工程と、前記第1三次元表面モデルと第2三次元表面モデルを組み合わせて、対象構造の第1部分及び第2部分の複合三次元表面モデルを作成する工程を備えている。対象構造の第1部分と第2部分をモデル化するために用いられるポリゴンは、複数のエッジによって画定される三角形であってもよい。さらに、第1三次元表面モデルと第2三次元表面モデルは、分離されていてもよい。
【0011】
また、第1三次元表面モデルを生成する工程は、第1群のロケーションポイントを用いて、複数のポリゴンを有する対象構造の第1部分の第1三次元表面モデルを生成する工程を備えていてもよい。第1三次元表面モデルが複数のポリゴンを有しており、第2三次元表面モデルを生成する工程は、第2群のロケーションポイントを用いて、複数のポリゴンを有する対象構造の第2部分の第2三次元表面モデルを生成する工程を備えていてもよい。第2三次元表面モデルは、複数のポリゴンを有している。
【0012】
また、上述の組み合わせ工程は、完全に対象構造の第2部分の体積の外側にある第1三次元表面モデルの複数のポリゴンを特定する工程と、完全に対象構造の第1部分の体積の外側にある第2三次元表面モデルの複数のポリゴンを特定する工程と、完全に対象構造の第2部分の体積の外側にある複数の特定されたポリゴンと完全に対象構造の第1部分の体積の外側にある複数の特定されたポリゴンとを備える複合三次元表面モデルを画定する工程を備えていてもよい。また、上述のポリゴンは複数のエッジによって画定されるものであってもよく、第2三次元表面モデルのポリゴンと交差する第1三次元表面モデルの各ポリゴンについて、本発明の方法は、次の工程を備えていてもよい:第1及び第2三次元表面モデルのいずれかよりも内側において交差する多面体の部分を排除するために交差線に沿ってトリミングして、複数のトリミング済みエッジを作成する工程と、交差する多面体の少なくとも1つの頂点を自身の頂点として用いるとともに、トリミング済みエッジが交差線に一致するポイント群を追加的な複数の頂点として用いる多面体であって交差面領域を画定する新たな多面体を画定する工程と、交差面領域を画定する新たな多面体を追加することで上述の複合三次元モデルを補足する工程。
【0013】
さらに追加的なオプションとして、本発明の方法は、上述の新たな多面体のトポロジー情報を生成する工程をさらに備えていてもよい。また、本方法は、測定ポイントPから第1平均中心点と第2平均中心点の1つへ線を投影し、その投影線と上述の複合三次元モデルとが交差する複合三次元モデルの表面上のポイントP1を特定する工程と、測定ポイントPからの測定情報と複合三次元モデルの表面上の前記ポイントP1とを対応付ける工程をさらに備えていてもよい。
【0014】
さらに追加的なオプションとして、本発明の方法は、測定ポイントPに最も近い複合三次元モデルの表面上のポイントP2を特定する工程と、測定ポイントPからの測定情報と複合三次元モデルの表面上のポイントP2とを対応付ける工程をさらに備えるか、あるいは上記の工程の代替として備えていてもよい。
【0015】
また、本発明の方法は、完全に対象構造の第2部分の体積の外側にある第1三次元表面モデルの複数の三角形を特定する工程と、完全に対象構造の第1部分の体積の外側にある第2三次元表面モデルの複数の三角形を特定する工程と、第2三次元表面モデルの三角形と交差する第1三次元表面モデルの各三角形について、第1及び第2三次元表面モデルのいずれかよりも内側において交差する三角形の部分を排除するために交差線に沿ってトリミングして、複数のトリミング済みエッジを作成する工程と、交差面領域を画定する新たな三角形群であって、それぞれの新たな三角形が交差する三角形の頂点を第1頂点として用いるとともに1又は複数の交差する三角形のトリミング済みエッジが交差線に一致するポイント群のポイントを第2及び第3頂点として用いる三角形群を画定する工程と、(a)完全に第2部分の体積の外側にある複数の特定された三角形と、(b)完全に第1部分の体積の外側にある複数の特定された三角形とを備える複合三次元表面モデルを画定する工程をさらに備えるか、あるいは上記の工程の代替として備えていてもよい。
【0016】
本発明の実施態様は、複数の測定ロケーションと複数の測定ロケーションのそれぞれにおいて行われた電気生理的測定の情報とを特定する位置情報を有する心臓の電気生理的マップを取得する工程と、特定された複数の測定ロケーションについて、それらの測定ロケーションに近接する複合三次元表面モデルのロケーションポイントを特定する工程と、複合三次元表面モデルにおいて特定されたロケーションポイントと測定ロケーションの近接の程度に応じて、上述の特定されたロケーションポイントに対する測定ロケーションに少なくとも1つの電気生理的レベルを付与する工程をオプションとして備えていてもよい。
【0017】
また、本発明の方法は、測定電極を心臓の一部分に挿入する工程と、測定電極を心臓の表面上の複数のロケーションに配置する工程と、心臓の表面上の複数のロケーションのぞれぞれから位置情報を受信する工程と、心臓の表面上の複数のロケーションのそれぞれにおける電気的活動を記録する工程と、測定ポイントから第1平均中心点と第2平均中心点の1つへ線を投影する工程と、投影線と複合三次元表面モデルとが交差する複合三次元表面モデルの表面上のポイントを特定する工程と、記録された電気的活動と、投影線と複合三次元表面モデルとが交差する複合三次元表面モデルの表面上のポイントとを対応付ける工程をさらに備えていてもよい。
【0018】
本発明のさらに別の実施態様によれば、対象構造の三次元モデルを作成する方法は、対象構造の第1部分の複数のロケーションポイントについて位置情報を有する対象構造の第1部分の第1三次元モデルを取得する工程と、対象構造の第2部分の複数のロケーションポイントについて位置情報を有する対象構造の第2部分の第2三次元モデルを取得する工程と、平均中心点と、その平均中心点からの視野線上にない少なくとも1つの部分を有する対象構造の第1部分と第2部分の複合形状モデルを作成するために、上述の第1三次元モデルと第2三次元モデルを組み合わせる工程を備えている。対象構造の第1部分と第2部分の少なくとも一方は、対象構造の第1部分と第2部分の他方に含まれない少なくとも一つの領域を含んでいる。また、第1三次元モデルと第2三次元モデルの少なくとも一方はライン・オブ・サイト形状であり、その三次元モデルの全ての部分がその三次元モデルの平均中心点から可視であるという条件を満たしている。
【0019】
また、オプションとして、上述の第1三次元モデルを取得する工程は、対象構造の第1部分に電極を挿入する工程と、対象構造の第1部分の表面上の複数のロケーションポイントに電極を配置する工程と、対象構造の第1部分の表面上の複数のロケーションポイントのぞれぞれから位置情報を受信する工程と、対象構造の第1部分の複数のロケーションポイントのそれぞれの位置情報を有する対象構造の第1部分の第1三次元モデルを生成する工程を備えていてもよい。
【0020】
また、オプションとして、上述の第2三次元モデルを取得する工程は、対象構造の第2部分の表面上の複数のロケーションポイントのそれぞれの位置情報を有するデータファイルを受信する工程と、データファイルからの対象構造の第2部分の複数のロケーションポイントのそれぞれの位置情報を有する対象構造の第2部分の第2三次元モデルを生成する工程を備えていてもよい。
【0021】
また、オプションとして、上述の第1三次元モデルと第2三次元モデルは複数の三角形状面を用いた三次元空間を特定可能にフォーマットされた情報をそれぞれ有していてもよく、上述の第1三次元モデルと第2三次元モデルを組み合わせる工程は、第1三次元モデルと第2三次元モデルをつなぎ合わせるために複数の三角形を描画する工程と、第1三次元モデルと第2三次元モデルとそれらをつなぎ合わせるために描画された複数の三角形の組み合わせのデータ表現を生成する工程を備えていてもよい。
【0022】
さらに、上述の第1三次元モデルと第2三次元モデルを組み合わせる工程は、完全に第2三次元モデルの体積の外側にある第1三次元表面モデルの複数の三角形を特定する工程と、完全に第1三次元モデルの体積の外側にある第2三次元表面モデルの複数の三角形を特定する工程と、第2三次元モデルの三角形と交差する第1三次元モデルの各三角形について、第1及び第2三次元表面モデルのいずれかよりも内側において交差する三角形の部分を排除するために交差線に沿って三角形のエッジをトリミングして、複数のトリミング済みエッジを作成する工程と、交差する三角形の少なくとも1つの頂点を自身の頂点として用いるとともに、トリミング済みエッジが交差線に一致するポイント群を追加的な複数の頂点として用いる三角形であって交差面領域を画定する新たな三角形を画定する工程と、(a)完全に第2三次元モデルの体積の外側にある第1群の特定された三角形と、(b)完全に第1三次元モデルの体積の外側にある第2群の特定された三角形と、(c)交差面領域を確定する複数の新たな三角形を備える対象構造の第1部分と第2部分の複合三次元モデルを画定する工程を上記の工程の代替として備えていてもよく、この場合、複合形状モデルは複合形状モデルの少なくとも一部分がその視野線上に位置しない平均中心点を有することを特徴とする。
【0023】
上記の手法に加えて、本発明は、複雑な心臓の形状を医師に表示提供するためのシステムを提供する。このシステムは、心臓の第1部分にある複数のロケーションポイントの位置情報を有する心臓の第1部分の第1三次元モデルを生成するとともに、心臓の第2部分にある複数のロケーションポイントの位置情報を有する心臓の第2部分の第2三次元モデルを生成するモデリングプロセッサと、上述の第1三次元モデルと第2三次元モデルを組み合わせて、心臓の第1部分と第2部分の複合形状モデルを作成するジオメトリープロセッサを備えている。ここで、上述の心臓の第2部分は上述の第1部分に含まれない少なくとも一つの領域を含み、複合形状モデルの表面上の少なくとも1つのポイントは、複合形状モデルの平均中心点からの視野線上にないことを特徴としている。
【0024】
オプションとして、上述のモデリングプロセッサは、心臓の第1部分と第2部分の複合形状モデルを表示するための表示装置をさらに備えていてもよい。また、上述のモデリングプロセッサは、その末端に電極を備えるカテーテルと、上述の電極の位置を特定する位置特定システムをさらに備えていてもよい。
【0025】
上述の第1三次元モデルと第2三次元モデルはそれぞれ複数の三角形を有しており、上述のジオメトリープロセッサは、複数の三角形を追加して第1三次元モデルと第2三次元モデルをつなぎ合わせるとともに、第1三次元モデルと第2三次元モデルとそれらをつなぎ合わせるために追加された複数の三角形の組み合わせのデータ表現を生成することを特徴としてもよい。
【0026】
オプションとして、上述の三次元は複数のエッジによって画定される複数の三角形をそれぞれ有しており、これとともに、第1三次元モデルの複数の三角形の少なくとも1つは第2三次元モデルの複数の三角形の少なくとも1つと交差線上で交差していてもよく、この場合、ジオメトリープロセッサは、(a)完全に第2三次元モデルの体積の外側にある第1三次元モデルの第1群の三角形と、(b)完全に第1三次元モデルの体積の外側にある第2三次元モデルの第2群の三角形と、(c)3個の頂点を有する少なくとも1つの転移三角形を備える複合形状モデルを作成してもよい。このとき、上述の少なくとも1つの転移三角形の第1頂点は第1三次元モデルと第2三次元モデルの他方の三角形と交差する第1三次元モデルと第2三次元モデルの一方のいずれか1つの三角形と共有されており、第2頂点は第1三次元モデルの三角形のエッジが第2三次元モデルと交差するポイントによって画定されており、第3頂点は第2三次元モデルの三角形のエッジが第1三次元モデルと交差するポイントによって画定されており、複合形状モデルは平均中心点を有しており、複合形状モデルの少なくとも一部は前記平均中心点からの視野線上にないことを特徴としてもよい。
【0027】
上述の、及びその他の本発明の目的、特徴、詳細、用途及び効果は、以下の記載と特許請求の範囲と図面を参照することによって明らかになるものである。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】1つ又は複数の電極のロケーションを特定して記録することが可能な心臓の電気生理的検査又は掻爬術を行うためのシステムの概要構成を表す図である。
【図2】ロケーションデータポイントの集団を概要的に表す図である。
【図3】ポイント集団をビン化するための例示的な手法の概要を表す図である。
【図4】視野線法を用いて対象構造の表面を形成するための例示的な手法の概要を表す図である。
【図5】平均中心点からの視野領域に入らない部分を有する複雑な表面を例示的に表わす図である。
【図6】図5に示すような複雑な表面をモデリングする場合の問題点を例示的に表す図である。
【図7】例示的な複雑な表面がどのようにして複数のライン・オブ・サイト形状に分割されるのかを概要的に表す図である。
【図8】図7の複数視野領域の形状がブール演算処理によってつなぎ合わされた後の複雑な表面を例示的に表す図である。
【図9】例示的な複雑な表面の複数の視野領域形状が交差する部分をハイライトして表す図である。
【図10】図9で特定された交差線の拡大分解図である。
【図11】図9で特定された複数の形状の間の交差線に沿った面を画定する新たなポリゴンがどのようにして作成されるのかについて詳細に示す拡大展分解図である。
【図12】測定ポイントに関する情報が複合形状にどのようにして投影されるのかを表す図である。
【発明を実施するための形態】
【実施例】
【0029】
本発明は、対象構造、より詳細には対象構造の内部表面の正確なモデルを作成するシステムの能力を向上させるものである。本発明は、複雑な心臓の形状を医師に提示するためのシステムと方法を提供する。このシステムと方法は、心臓の第1部分にある複数のロケーションポイントの位置情報を有する心臓の第1部分の第1三次元モデルを生成するとともに、心臓の第2部分にある複数のロケーションポイントの位置情報を有する心臓の第2部分の第2三次元モデルを生成するモデリングプロセッサによって具現化される。上述の心臓の第2部分は、心臓の第1部分に含まれない少なくとも一つの領域を含むものである。また、本発明のシステムと方法は、上述の第1三次元モデルと第2三次元モデルを組み合わせて、心臓の第1部分と第2部分の複合形状モデルを作成するジオメトリープロセッサをさらに備えていてもよい。このとき、複合形状モデルの表面上の少なくとも1つのポイントは、複合形状モデルの平均中心点からの視野線上にないことを特徴としている。
【0030】
本発明は、心臓の正確なモデルを作成することに限定されるものではないが、説明のために、心臓細胞の診断と治療に用いられるナビゲーション及び局地化システムについて言及する。以下に説明する手法は、人体構造のその他の部分のモデル化についても同様に適用することができる。本発明の詳細な説明のために、患者の心房室をモデル化する技術について言及する。
【0031】
図1は局地化システム8の概要を表わす図であり、このシステムは上述のモデリングプロセッサとジオメトリープロセッサをその一部として含むコンピュータシステム20を備える。このシステムは、心臓カテーテルをナビゲートし、患者11の心臓10で生じている電気的活動を測定し、その電気的活動及び/又はその電気的活動に関連するあるいはその電気的活動を表現する情報を三次元的にマップ化することにより心臓の電気生理的研究を行うための本発明に基づいている。システム8は、1つ又は複数の電極を用いて、構造モデルを作成することを補助するために用いられるものである。また、システム8は、心臓の表面上の複数のポイントにおいて電気生理的データを測定するために用いることができるとともに、電気生理的データが測定された測定ポイントのそれぞれについて、測定データをロケーション情報に対応付けて記憶することができる。
【0032】
患者11は、簡素化のために楕円形に概要描写されている。3セットの表面電極(例えば、パッチ電極等)が、それぞれX軸、Y軸、Z軸に沿って、患者11の体表面に配置されている。X軸表面電極12,14は、第1軸に沿って、患者の胸部両側面(例えば、それぞれの腕の下の患者の皮膚等)に取り付けられており、それぞれを左電極と右電極と呼ぶことがある。Y軸表面電極18,19は、X軸にほぼ垂直な第2軸に沿って、患者の大腿部内側と首の部分に取り付けられており、それぞれを左足電極と首電極と呼ぶことがある。Z軸表面電極16,22は、X軸とY軸にほぼ垂直な第3軸に沿って、患者の胸部の胸骨と背骨に沿ってそれぞれ取り付けられており、それぞれを胸電極と背電極と呼ぶことがある。心臓10は、上述のペア電極の間に位置している。追加的な表面リファレンス電極(例えば、「腹部パッチ」等)21は、システム8のリファレンス電極及び/又は接地電極として機能する。腹部パッチ電極21は、固定された心臓内電極31の代替である。患者11には従来の心電図(ECG)システムのほぼ全部、もしくは全部のリードが配置されていることが理解される。図1に図示されていないが、このECG情報は、システム8によって利用可能である。
【0033】
少なくとも1つの電極17(例えば、末端電極)を有する代表的なカテーテル13を示す。本明細書では、この代表的なカテーテル電極17を、「可動電極」又は「測定電極」と呼ぶことがある。具体的には、カテーテル13に設けられた複数の電極又は複数のそのようなカテーテルが用いられる。1つの実施形態では、例えば、システム8は、患者の心臓及び/又は脈管構造内に配置される最大12本のカテーテルと、それらに設けられる最大64個の電極を備えていてもよい。無論、上記の構成は単なる例示であり、本発明はその他の数の電極とカテーテルを用いることをも含んでいる。
【0034】
固定レファレンス電極31(これは、例えば、心臓10の心壁に固定されている)が、第2カテーテル29にオプションとして設けられている。キャリブレーションを行うために、この電極31は(例えば心臓の心壁近辺または心壁そのものに固定された)固定型であってもよいし、あるいは、可動電極17との空間位置関係が固定されて配置されていてもよい。固定レファレンス電極31は上述の表面レファレンス電極21に追加して用いられてもよいし、その代替として用いられてもよい。例えば、多くの場合、心臓10の冠状静脈洞電極又はその他の固定電極を電圧と変位の測定のレファレンスとして用いることができる。
【0035】
それぞれの表面電極は多重スイッチ24に接続されており、電極のペアはコンピュータ20で実行されるソフトウェアによって選択される。多重スイッチ24は、電極を信号生成手段25に接続する。コンピュータ20は、例えば、従来の汎用目的のコンピュータであってもよいし、ある目的に特化されたコンピュータであってもよいし、一般的に流通しているコンピュータであってもよいし、その他の如何なるタイプのコンピュータであってもよい。コンピュータ20は、例えば単一のCPUや複数のCPU等の、1つ又は複数のプロセッサを備えており、一般的に並列処理環境といわれる機能を有している。一般的に、生体コンダクタ内でカテーテルナビゲーションを実行するために、名目上は互いに垂直な3つの電界は、通電され、かつ感知された一連の電気的双極子によって生成される。この一方で、これらの垂直なフィールドは分解することができ、表面電極のいずれのペアを双極子として稼動させても、効率的に電極の三角化を行うことができる。さらに、そのような非垂直手法によると、システムは柔軟性を増すことができる。所望のいずれの軸においても、予め設定された(ソース−シンク間の)通電構成の結果として心臓内電極17上で測定される電位は代数処理的に組み合わせることができ、これにより、単純に単一の電流を垂直な軸に流すことで得られる電位と同様の電位を得ることができる。
【0036】
つまり、例えば腹部パッチ21等の接地リファレンスに対して、表面電極12,14,16,18,19,22のいずれか2つを双極子のソースとドレンとして選択する一方で、励磁されていない電極によって接地リファレンスを基準とする電圧を測定することができる。心臓10の内部に配置された測定電極17は電流パルスからの電界にさらされ、例えば腹部パッチ21等の接地を基準とした測定が行われる。上述したように、少なくとも1つの電極が心臓の内部表面に固定されており、固定リファレンス電極31を形成している。ここでも、接地を基準とした測定が行われる。それぞれの表面電極、内部電極、及び中間電極からのデータセットは、心臓10内の測定電極17もしくはその他の電極のロケーションを特定するために用いられる。当業者であれば、測定電極17が電気生理的データを測定するのに用いることができるとともに、システム8をそのデータを測定した測定ポイントのロケーション情報と関連付けられた電気生理的データの保管に用いることができることが理解されるであろう。
【0037】
モデリングプロセッサとジオメトリープロセッサは、当業者にとって自明ないかなるハードウェア及びソフトウェアの組み合わせによって実現されてもよい。例えば、より好ましい実施形態では、モデリングプロセッサは、例えば、セント・ジュード・メディカル・エイトリアル・フィブリレーション・ディヴィジョン社のEnSite NavX(登録商標)ナビゲーション&ビジュアライゼーションシステム等の、局地化/マッピングシステムを備えていてもよい。この一方で、例えば、バイオセンス・ウェブスター社のCARTOナビゲーション&ロケーションシステム等の、その他の局地化システムを本発明に関連して用いてもよい。米国特許番号第6990370号、第6978168号、第6947785号、第6939309号、第6728562号、第6640119号、第5983126号、第5697377号等の特許に記載の局地化とマッピングのシステム(それらの全ては参照により本明細書に援用される)を、本発明に関連して用いてもよい。ジオメトリープロセッサもまた、当業者にとって自明ないかなるハードウェア及びソフトウェアの組み合わせによって実現されてもよい。例えば、より好ましい実施形態では、ジオメトリープロセッサは、モデリングプロセッサによって生成される情報を処理可能であって、複合形状モデルを提供するように設計されたソフトウェア・ソリューションであってもよい。
【0038】
データポイントの集団を作成するために、1つ又は複数の心臓内電極17をランダムに、あるいは擬似的にランダムに、あるいは患者の心房室の1つ又はそれ以上のパターンに沿って動かし、これとともに、システム8が1つ又は複数の電極17のロケーションを測定して、データポイント40の集団50を作成することができる。このとき、システム8は、集団50のそれぞれのデータポイント40について、位置データを特定するロケーションデータを用いる。図2は、そのような手法により作成されるポイント40の集団50を例示する。一般的に、集団50において最も周辺部に位置するデータポイント群40は、心臓弛緩期又は心臓拡張期において最大体積(ボリューム)を有しているときの心房室の内壁に対応している。
【0039】
ポイント40の集団50に面をあてはめる技術の1つでは、例えば図3に示すように、その面全体が基準ポイントから「可視」であることを想定する。そのような面は、基準ポイントから見たときの「視野線」上にある、と称することがある。即ち、基準ポイントからその面上のいずれのポイントに対しても、ポイント40の集団50を確定する境界の外側を通らない直線42をひくことができる。このようなライン・オブ・サイト面形成において基準ポイントを選ぶ際の手法の1つとして、ポイント40の集団50の平均中心点45を特定する方法がある。平均中心点45は、ポイント40の集団50の質量中心を求める公知のアルゴリズムを用いて特定することができるし、その他の手法によって求めることもできる。この結果、図3〜4に示すように、表面モデルは平均中心点45から外側へと扇状のスライスを拡大していくことによって作成される。図3に示すように、扇状の「ビン」44の配列を位置データポイント40のグループ48のまわりにフィットさせていくことによって、このロケーションデータからシェルあるいは面を描写することができる。図4に示すように、ビン44は平均中心点45に基づいてデータポイント40の集団50内に構成されており、平均中心点45から外側に向けて、その境界線を拡大していく。ビン44は、そのビン44によって内包されるスライスの最も遠いデータポイント44まで伸びている。なお、ビン44は図3では2次元で概要的に表現されているが、ビン44は三次元的な体積を有している。このため、ビン44の放射状の端面46は、心房室壁の表面とほぼ同様の形状である。そして、一般的な形状スムージングアルゴリズムを適用して、ビン44の放射状端面46から作成されたシェルの表面を円滑化することができる。
【0040】
そして、最終的には上述の立体形の表面は離散化された表現で規定される。好ましくは、上述の離散化された表現はポリゴンを含むものであり、より好ましくは、上述の離散化された表現は、角(頂点)を共有するとともに、その他の面との隣接状態に関する「トポロジー」情報を具備する平面的な三角形状面のを含んでいる。例えば、ドロネー三角形分割手法等の、三角形状面を用いて表面をモデル化する技術が知られている。
【0041】
上述したように、この表面作成手法は、表面の全体が平均中心点45からの視野線上にあることを想定している。しかしながら、このような想定は、人体の解剖学的構造をモデル化する際に必ずしも正しいわけではない。このため、上記の手法は、例えば図5に示すような形状に対して正確な形状表現を生成することができない。複雑な表面100の全ての面が、平均中心点45から「可視」ではない。実際に、複雑な表面100は、平均中心点45から「見る」ことができない3つの隠れた領域110を備えている。当業者であれば、複雑な表面100では、表面をモデル化するための基準点がどこに置かれたとしても、隠れた領域が生じてしまうことが理解されるであろう。仮に、隠れた領域を補おうとする場合、その結果は、図6に示すように、ライン・オブ・サイトモデルの柔軟性がないがために贋のボリューム120を含んでしまい、不正確なモデリングとなってしまう。
【0042】
本発明は、上述の表面モデリング技術を複数回用いるとともに、各回ごとにモデル化される対象構造の異なる領域にあるポイント集団の一部分を用いることにより、真の表面形状のより正確な表現を取得するためのソリューションを提供する。例えば、複雑な表面100は少なくとも3つの異なる形状に分割化することができ、それらのそれぞれについて、上述のライン・オブ・サイト手法を用いて正確にモデル化することができる。それら個別の形状はその後組み合わせることができ、その結果として視野線による制限を克服する正確な表面モデルを得ることができる。
【0043】
図7に、複雑な表面100をS1,S2,S3,S4の4個のライン・オブ・サイト面(それぞれ平均中心点C1,C2,C3,C4を有する)に分割する上述の分割化技術を示す。図8に例示するように、それぞれの面の体積はつなぎ合わされ、あるいは組み合わされて複合立体形を構成しており、それら表面の内側部分130は上述の形状から良好に排除され、残りのデータポイント群によって複雑な表面140が画定されている。
【0044】
個別に作成された面を1つの複合体として融合される1つの手法に、それらの面によって囲まれる体積にブール式OR処理を行うとともに、この体積を画定するオリジナルの面の部分を維持する手法が挙げられる。例えば、ブール式形状オペレータは、テクニオンを通じて利用可能なIRITライブラリを含むさまざまなソフトウェアライブラリで入手可能であるし、その他のライブラリで入手してもよい。2以上の面が関係する場合、ブール式処理はペアを単位として実行され、各処理の結果は次のブール式処理の入力値の1つとして用いられる。
【0045】
複数の立体形を組み合わせる場合、1つの立体が交差するポイントを特定するという課題が存在する。図9〜12は、本発明が上述の課題を解決する1つの手法を表わす。具体的には、複数のライン・オブ・サイト面S1,S2,S3,S4が1つの複合面140としてつなぎ合わされている。
【0046】
角(頂点)を共有する平面的な三角形状の小面を有する離散化された表現と隣り合う面に関するトポロジー情報によって各立体の表面が定義されている場合、組み合わせ処理は、その他の表面によって囲まれる体積の外側にその全体がある各面から上述の小面を特定し、特定されたそれら小面を処理結果物である複合面上に維持するプロセスから始まる。さらに、上述のその他の表面と交差する1つ又は複数の小面もまた特定される。これらの小面は、三角形の小面が互いに交差する位置に形成される1つ又は複数の交差線に沿ってトリミング処理される。この結果、上述のその他の表面によって囲まれる体積の外側にある小面の小部分が三角形分割され、結果として得られる複合面上に残される。最終的な処理では、図11に示すように、トリミング処理によって得られた新たな小面のトポロジー情報が生成される。
【0047】
図10は、図9の複合化前の2つの表面S1とS4において150で示す離散化された表現の拡大分解図である。図10では、2つの異なる表現からなる三角形分割された小面がどのようにして交差するのかを示しており、さらに、その交差部分を画定する新しいデータポイントをどのように画定するのかを例示している。(平均中心点C1を有する)表面S1は、緑色の線によって画定される三角形分割された小面であり、(ライン・オブ・サイト平均中心点C4に関する)表面S4は、赤色の線によって画定される三角形分割された小面である。緑色の太線で示される交差線は、表面S1の固有の頂点152を画定しており、一方で赤色の太線で示される交差線は表面S4の固有の頂点154を画定している。図10では、破線は上述のその他の立体の体積の内部にあるか、あるいはそれと重合していることが推測される三角形状の小面の部分を表わしている。換言すれば、三角形小面と(緑と赤の)太線によって画定される三角形小面の部分は外側の、あるいは重合していない離散化面を画定している。
【0048】
図11では、複合立体の内部側にあるオリジナルの小面156の部分が、内部側のポリゴンがトリミングされたという前提のもとに除去された様子を示す。(赤又は緑の)太線がトリミング線と交差するポイントは、、新たな三角形小面158が形成される新たな頂点を定義するものである。図11に示す(赤又は緑の)点線は、図10の点線よりも重要な意義を有している。図11では、点線は新たに画定されたエッジ160を表わしており、これらが表面S1と表面S4の交差線162を画定することを補助する三角形小面を形成している。
【0049】
つなぎ合わせ処理と複合モデルの作成処理とを実現するために、コンピュータ処理をプログラミングしてもよい。コンピュータ処理は、多面体の交差部分に沿ってその一部をトリミングする処理に好適であり、同様に、交差線に沿って表面を画定する三角形小面の頂点を特定する処理にも好適である。
【0050】
交差線162の新たなデータポイントを定義する際に、元々は集団50の中のポイント40と対応付けられていた電気生理的データを複合表面にマッピングするという課題が存在する。正確な表面トポロジーを保持することは、表面上のポイント間の最短パスや最短距離を特定する処理や、形状自由な切り抜きを作成する処理や、適切なマップデータを当該表面に書き込む処理や、データマップの同一輪郭形状を作成する処理等の、複合表面に対してその後に実行される処理にとって重要なことである。つなぎ合わされた表面の交差部分近傍のデータポイントで測定された値は、交差部分の近くの表面を画定するために新たに意義された三角形小面の新たに定義された頂点に一致しないことが多いことが見出された。このため、元々の測定ポイントは適切な表面又は表面ポイントに投影されなければならず、実用上は、ラベルや構造的マーカー等のアイテムを複合表面上に投影しなければならない。
【0051】
本発明は、測定ポイントと、ラベル及び/又は構造的マーカーを複合面に投影するための少なくとも2つの手法を提示するものである。1つ目の方法では、どのオリジナルの(複合化されていない)表面にアイテムが投影されるべきであるのかが既知であれば、そのアイテムは、その表面の中心点に向けて投影し、その表面と交差するまで伸ばすことができる。図12に、このことを示す。例えば、仮に、オリジナルの表面S2(平均中央点C2を有する)上にポイントPが位置することが既知である場合、PからC2に向けて線164を投影することができ、さらに、この投影線が表面S2と交差する位置を、ポイントP1とすることができ、このポイントP1にポイントPに対応付けられる情報を投影することができる。この技術では、一表面が他の表面と融合される前の当該表面を画定するポイントに対応付けられるトポロジー情報を保管しておくことの重要性を示している。
【0052】
2つ目の手法では、さらに別の投影方法が用いられる。この手法は、上述の第1の手法と組合せて用いてもよいし、第1の手法の代替として用いてもよい。ここでは、ポイントPは単純に、複合面の最も近接する位置に投影される。これについても、図12に示す。この手法では、ポイントPは最も近いポイントP2に投影される。P2の方がP1よりも近いことから、第2の手法による投影は第1の手法のそれとは異なる結果を出力する。当業者であれば、特定の基準ポイントに最も近いデータポイントを特定するための手法が複数存在することが理解されるであろう。
【0053】
上記した例では、平面的な三角形状小面を用いた場合について本発明の説明をしたが、これは説明のために便宜上そうしたものであり、本発明を何ら限定するものではない。本明細書で開示される手法は、対象となる表面をモデル化するために用いることが可能なその他のポリゴンについても適用することができる。
【0054】
さらに、上記した例では重なり合う表面領域を処理する場合について本発明の説明をしたが、本発明は重なり合わない表面領域についても同様に適用することができる。例えば、図7を参照して、本発明は(重なり合わない)表面S3と表面S4を複合化する場合についても適用することができる。
【0055】
以上、本発明の複数の実施形態について、ある程度の詳細にわたって説明したが、当業者であれば、本発明に含まれる範囲から逸脱しない範囲において、本明細書に記載された実施形態に対して様々な変更を加えることができるであろうことが推察される。例えば、上記の記載では、三次元モデルにデータが対応付けられる場合について説明しているが、データは、上記の例に限定されることなく、二次元の、三次元の、静的な、あるいは経時的なイメージやモデルに対応付けることができる。全ての方向に関する記載(例えば、高低、上下、左右、左方面、右方面、頂部、底部、下、垂直、水平、時計回り、反時計回り等)は、本発明に対する読者の理解を補助する目的のために用いられているだけであり、本発明に関し、特にその位置、方向、使用状態について何ら限定するものではない。以上の全ての記載と本明細書に添付する図面の記載は例示的であり、限定を与えるものではない。本明細書に添付される請求項によって定義される本発明の原理から逸脱しない範囲において、細部や構成における変更やを行うことが可能である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象構造の第1部分を画定する第1群のロケーションポイントであって、第1群の全てのロケーションポイントへ視野線を引くことができる第1平均中心点を有する第1群のロケーションポイントを取得する工程と、
前記第1群のロケーションポイントを用いて前記第1部分の第1三次元表面モデルを生成する工程と、
前記対象構造の前記第1部分に含まれない少なくとも一つの領域を含む第2部分を画定する第2群のロケーションポイントであって、第2群の全てのロケーションポイントへ視野線を引くことができる第2平均中心点を有し、前記第2群のロケーションポイントの少なくとも一つのロケーションポイントは前記第1平均中心点からの視野線上にない第2群のロケーションポイントを取得する工程と、
前記第2群のロケーションポイントを用いて前記第2部分の第2三次元表面モデルを生成する工程と、
前記第1三次元表面モデルと前記第2三次元表面モデルを組み合わせて、前記対象構造の前記第1部分及び前記第2部分の複合三次元表面モデルを作成する工程
を備える対象構造の表面モデルを作成する方法。
【請求項2】
前記第1三次元表面モデルを生成する工程は、前記第1群のロケーションポイントを用いて、複数のポリゴンを有する前記対象構造の前記第1部分の第1三次元表面モデルを生成する工程を備え、
前記第2三次元表面モデルを生成する工程は、前記第2群のロケーションポイントを用いて、複数のポリゴンを有する前記対象構造の前記第2部分の第2三次元表面モデルを生成する工程を備える
ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記組み合わせ工程は、
完全に前記対象構造の前記第2部分の体積の外側にある前記第1三次元表面モデルの複数のポリゴンを特定する工程と、
完全に前記対象構造の前記第1部分の体積の外側にある前記第2三次元表面モデルの複数のポリゴンを特定する工程と、
完全に前記対象構造の前記第2部分の体積の外側にある複数の特定されたポリゴンと完全に前記対象構造の前記第1部分の体積の外側にある複数の特定されたポリゴンとを備える複合三次元表面モデルを画定する工程を備える
ことを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記ポリゴンは複数のエッジによって画定されるものであり、
前記第2三次元表面モデルのポリゴンと交差する前記第1三次元表面モデルの各ポリゴンについて前記第1及び第2三次元表面モデルのいずれかよりも内側において交差する多面体の部分を排除するために交差線に沿ってトリミングして、複数のトリミング済みエッジを作成する工程と、
交差する多面体の少なくとも1つの頂点を自身の頂点として用いるとともに、前記トリミング済みエッジが交差線に一致するポイント群を追加的な複数の頂点として用いる多面体であって交差面領域を画定する新たな多面体を画定する工程と、
前記交差面領域を画定する前記新たな多面体を追加することで前記複合三次元モデルを補足する工程
をさらに備えることを特徴とする請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記新たな多面体のトポロジー情報を生成する工程をさらに備えることを特徴とする請求項4に記載の方法。
【請求項6】
測定ポイントPから前記第1平均中心点と前記第2平均中心点の1つへ線を投影し、その投影線と前記複合三次元モデルとが交差する前記複合三次元モデルの表面上のポイントP1を特定する工程と、
前記測定ポイントPからの測定情報と前記複合三次元モデルの表面上の前記ポイントP1とを対応付ける工程
をさらに備えることを特徴とする請求項4に記載の方法。
【請求項7】
測定ポイントPに最も近い前記複合三次元モデルの表面上のポイントP2を特定する工程と、
前記測定ポイントPからの測定情報と前記複合三次元モデルの表面上の前記ポイントP2とを対応付ける工程
をさらに備えることを特徴とする請求項4に記載の方法。
【請求項8】
前記対象構造の前記第1部分と前記第2部分のモデリングに用いられるポリゴンは、複数のエッジによって画定される三角形であることを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項9】
前記組み合わせ工程は、
完全に前記対象構造の前記第2部分の体積の外側にある前記第1三次元表面モデルの複数の三角形を特定する工程と、
完全に前記対象構造の前記第1部分の体積の外側にある前記第2三次元表面モデルの複数の三角形を特定する工程と、
前記第2三次元表面モデルの三角形と交差する前記第1三次元表面モデルの各三角形について前記第1及び第2三次元表面モデルのいずれかよりも内側において交差する三角形の部分を排除するために交差線に沿ってトリミングして、複数のトリミング済みエッジを作成する工程と、
交差面領域を画定する新たな三角形群であって、それぞれの新たな三角形が交差する三角形の頂点を第1頂点として用いるとともに1又は複数の交差する三角形のトリミング済みエッジが交差線に一致するポイント群のポイントを第2及び第3頂点として用いる三角形群を画定する工程と、
(a)完全に前記第2部分の体積の外側にある複数の特定された三角形と、(b)完全に前記第1部分の体積の外側にある複数の特定された三角形とを備える複合三次元表面モデルを画定する工程を備える
ことを特徴とする請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記第1三次元表面モデルは、前記第2三次元表面モデルから分離されていることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項11】
複数の測定ロケーションと前記複数の測定ロケーションのそれぞれにおいて行われた電気生理的測定の情報とを特定する位置情報を有する心臓の電気生理的マップを取得する工程と、
特定された複数の測定ロケーションについて、それらの測定ロケーションに近接する前記複合三次元表面モデルのロケーションポイントを特定する工程と、
前記複合三次元表面モデルにおいて特定されたロケーションポイントと測定ロケーションの近接の程度に応じて、前記特定されたロケーションポイントに対する前記測定ロケーションに少なくとも1つの電気生理的レベルを付与する工程
をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項12】
測定電極を心臓の一部分に挿入する工程と、
前記測定電極を前記心臓の表面上の複数のロケーションに配置する工程と、
前記心臓の表面上の前記複数のロケーションのぞれぞれから位置情報を受信する工程と、
前記心臓の表面上の前記複数のロケーションのそれぞれにおける電気的活動を記録する工程と、
測定ポイントから前記第1平均中心点と前記第2平均中心点の1つへ線を投影する工程と、
前記投影線と前記複合三次元表面モデルとが交差する前記複合三次元表面モデルの表面上のポイントを特定する工程と、
記録された前記電気的活動と、前記投影線と前記複合三次元表面モデルとが交差する前記複合三次元表面モデルの表面上の前記ポイントとを対応付ける工程
をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項13】
心臓の第1部分にある複数のロケーションポイントの位置情報を有する前記心臓の前記第1部分の第1三次元モデルを生成するとともに、前記心臓の第2部分にある複数のロケーションポイントの位置情報を有する前記心臓の前記第2部分の第2三次元モデルを生成するモデリングプロセッサと、
前記第1三次元モデルと前記第2三次元モデルを組み合わせて、前記心臓の前記第1部分と前記第2部分の複合形状モデルを作成するジオメトリープロセッサを備え、
前記心臓の前記第2部分は、前記心臓の前記第1部分に含まれない少なくとも一つの領域を含み、
前記複合形状モデルの表面上の少なくとも1つのポイントは、前記複合形状モデルの平均中心点からの視野線上にない
ことを特徴とする複雑な心臓の形状を医師に表示提供するためのシステム。
【請求項14】
前記モデリングプロセッサは、前記心臓の前記第1部分と前記第2部分の前記複合形状モデルを表示するための表示装置をさらに備えることを特徴とする請求項13に記載のシステム。
【請求項15】
前記モデリングプロセッサは、前記心臓の前記第1部分と前記第2部分の前記複合形状モデルを表示するための表示装置をさらに備えることを特徴とする請求項13に記載のシステム。
【請求項16】
前記モデリングプロセッサは、
その末端に電極を備えるカテーテルと、
前記電極の位置を特定する位置特定システム
をさらに備えることを特徴とする請求項13に記載のシステム。
【請求項17】
前記第1三次元モデルと前記第2三次元モデルは、それぞれ複数の三角形を有しており、
前記ジオメトリープロセッサは、複数の三角形を追加して前記第1三次元モデルと前記第2三次元モデルをつなぎ合わせるとともに、前記第1三次元モデルと前記第2三次元モデルとそれらをつなぎ合わせるために追加された前記複数の三角形の組み合わせのデータ表現を生成する
ことを特徴とする請求項13に記載のシステム。
【請求項18】
前記第1三次元モデルと前記第2三次元モデルは、複数のエッジによって画定される複数の三角形をそれぞれ有しており、
前記第1三次元モデルの前記複数の三角形の少なくとも1つは前記第2三次元モデルの前記複数の三角形の少なくとも1つと交差線上で交差しており、
前記ジオメトリープロセッサは、
(a)完全に前記第2三次元モデルの体積の外側にある前記第1三次元モデルの第1群の三角形と、
(b)完全に前記第1三次元モデルの体積の外側にある前記第2三次元モデルの第2群の三角形と、
(c)3個の頂点を有する少なくとも1つの転移三角形
を備える複合形状モデルを作成し、
前記少なくとも1つの転移三角形の第1頂点は前記第1三次元モデルと前記第2三次元モデルの他方の三角形と交差する前記第1三次元モデルと前記第2三次元モデルの一方のいずれか1つの三角形と共有されており、第2頂点は前記第1三次元モデルの三角形のエッジが前記第2三次元モデルと交差するポイントによって画定されており、第3頂点は前記第2三次元モデルの三角形のエッジが前記第1三次元モデルと交差するポイントによって画定されており、
前記複合形状モデルは平均中心点を有しており、前記複合形状モデルの少なくとも一部は前記平均中心点からの視野線上にない
ことを特徴とする請求項13に記載のシステム。
【請求項19】
対象構造の第1部分の複数のロケーションポイントについて位置情報を有する前記対象構造の前記第1部分の第1三次元モデルを取得する工程と、
対象構造の第2部分の複数のロケーションポイントについて位置情報を有する前記対象構造の前記第2部分の第2三次元モデルを取得する工程と、
平均中心点と、前記平均中心点からの視野線上にない少なくとも1つの部分を有する前記対象構造の前記第1部分と前記第2部分の複合形状モデルを作成するために、前記第1三次元モデルと前記第2三次元モデルを組み合わせる工程を備え、
前記対象構造の前記第1部分と前記第2部分の少なくとも一方は、前記対象構造の前記第1部分と前記第2部分の他方に含まれない少なくとも一つの領域を含み、
前記第1三次元モデルと前記第2三次元モデルの少なくとも一方はライン・オブ・サイト形状であり、その三次元モデルの全ての部分がその三次元モデルの平均中心点から可視であるという条件を満たしている
ことを特徴とする対象構造の三次元モデルを作成する方法。
【請求項20】
前記第1三次元モデルを取得する工程は、
対象構造の第1部分に電極を挿入する工程と、
前記対象構造の前記第1部分の表面上の複数のロケーションポイントに前記電極を配置する工程と、
前記対象構造の前記第1部分の表面上の前記複数のロケーションポイントのぞれぞれから位置情報を受信する工程と、
前記対象構造の前記第1部分の前記複数のロケーションポイントのそれぞれの位置情報を有する前記対象構造の前記第1部分の第1三次元モデルを生成する工程を備える
ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項21】
前記第2三次元モデルを取得する工程は、
前記対象構造の前記第2部分の表面上の前記複数のロケーションポイントのそれぞれの位置情報を有するデータファイルを受信する工程と、
前記データファイルからの前記対象構造の前記第2部分の前記複数のロケーションポイントのそれぞれの位置情報を有する前記対象構造の前記第2部分の第2三次元モデルを生成する工程を備える
ことを特徴とする請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記第1三次元モデルと前記第2三次元モデルは複数の三角形状面を用いた三次元空間を特定可能にフォーマットされた情報をそれぞれ有しており、
前記第1三次元モデルと前記第2三次元モデルを組み合わせる工程は、
前記第1三次元モデルと前記第2三次元モデルをつなぎ合わせるために複数の三角形を描画する工程と、
前記第1三次元モデルと前記第2三次元モデルとそれらをつなぎ合わせるために描画された前記複数の三角形の組み合わせのデータ表現を生成する工程を備える
ことを特徴とする請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記第1三次元モデルと前記第2三次元モデルは複数の三角形を用いた三次元空間を特定可能にフォーマットされた情報をそれぞれ有しており、
前記第1三次元モデルと前記第2三次元モデルを組み合わせる工程は、
完全に前記第2三次元モデルの体積の外側にある前記第1三次元表面モデルの複数の三角形を特定する工程と、
完全に前記第1三次元モデルの体積の外側にある前記第2三次元表面モデルの複数の三角形を特定する工程と、
前記第2三次元モデルの三角形と交差する前記第1三次元モデルの各三角形について、前記第1及び第2三次元表面モデルのいずれかよりも内側において交差する三角形の部分を排除するために交差線に沿って前記三角形のエッジをトリミングして、複数のトリミング済みエッジを作成する工程と、
交差する三角形の少なくとも1つの頂点を自身の頂点として用いるとともに、トリミング済みエッジが交差線に一致するポイント群を追加的な複数の頂点として用いる三角形であって交差面領域を画定する新たな三角形を画定する工程と、
(a)完全に前記第2三次元モデルの体積の外側にある第1群の特定された三角形と、(b)完全に前記第1三次元モデルの体積の外側にある第2群の特定された三角形と、(c)前記交差面領域を確定する複数の前記新たな三角形を備える前記対象構造の前記第1部分と前記第2部分の複合三次元モデルを画定する工程を備え、
前記複合形状モデルは、前記複合形状モデルの少なくとも一部分がその視野線上に位置しない平均中心点を有する
ことを特徴とする請求項21に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公表番号】特表2009−537253(P2009−537253A)
【公表日】平成21年10月29日(2009.10.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−511227(P2009−511227)
【出願日】平成19年5月16日(2007.5.16)
【国際出願番号】PCT/US2007/069064
【国際公開番号】WO2007/137084
【国際公開日】平成19年11月29日(2007.11.29)
【出願人】(506257180)セント・ジュード・メディカル・エイトリアル・フィブリレーション・ディヴィジョン・インコーポレーテッド (57)
【Fターム(参考)】