説明

複数ゾーン移植物

【課題】整形外科用の固定デバイスの分野における改善を行うこと。
【解決手段】少なくとも2つの均質分解ゾーンを備える固定デバイス2であって、該少なくとも2つの均質分解ゾーンは、第一の分解速度を有する第一の分解ゾーン4、および第二の分解速度を有する第二の分解ゾーン6を備える、固定デバイス。ある実施形態において、上記固定デバイスは、脊椎固定デバイス、骨折プレート、ワイヤ、ピン、ねじ、アンカー、骨髄内デバイス、人工半月板、人工靭帯および人工腱からなる群より選択される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の引用)
本願は、2009年3月31日に出願された米国仮出願番号61/165,057の利益を主張する。この米国仮出願の全内容は、本明細書中に参考として援用される。
【0002】
(技術分野)
本開示は、分解性移植物に関し、そしてより特定すると、1つより多くの分解ゾーンを有する医療デバイスに関する。
【背景技術】
【0003】
整形外科用の固定デバイス(例えば、軟部組織を骨に接近させるために使用されるアンカー)は、当該分野において周知である。縫合糸アンカーは、種々の構成を有し得、そして種々の材料(生分解性材料および非生分解性材料が挙げられる)から構築され得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
現在の整形外科用の固定デバイスは、満足に働くが、この分野における改善が望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本発明は、例えば、以下を提供する:
(項目1)
少なくとも2つの均質分解ゾーンを備える固定デバイスであって、該少なくとも2つの均質分解ゾーンは、第一の分解速度を有する第一の分解ゾーン、および第二の分解速度を有する第二の分解ゾーンを備える、固定デバイス。
(項目2)
上記固定デバイスが、脊椎固定デバイス、骨折プレート、ワイヤ、ピン、ねじ、アンカー、骨髄内デバイス、人工半月板、人工靭帯および人工腱からなる群より選択される、上記項目に記載の固定デバイス。
(項目3)
上記少なくとも2つの均質分解ゾーンが異なる速度で分解する、上記項目のうちのいずれかに記載の固定デバイス。
(項目4)
少なくとも1つの均質分解ゾーンが多孔質構造を含む、上記項目のうちのいずれかに記載の固定デバイス。
(項目5)
上記第一の分解ゾーンが、上記第二の分解ゾーンより非晶質性が高い領域を含む、上記項目のうちのいずれかに記載の固定デバイス。
(項目6)
上記第二の分解ゾーンが、上記第一の分解ゾーンより結晶性が高い領域を含む、上記項目のうちのいずれかに記載の固定デバイス。
(項目7)
少なくとも1つの均質分解ゾーンが表面腐食により分解する、上記項目のうちのいずれかに記載の固定デバイス。
(項目8)
少なくとも1つの均質分解ゾーンが内部腐食により分解する、上記項目のうちのいずれかに記載の固定デバイス。
(項目9)
上記第一の分解ゾーンと上記第二の分解ゾーンとの間に中間相をさらに備える、上記項目のうちのいずれかに記載の固定デバイス。
(項目10)
上記第一の分解ゾーンと上記第二の分解ゾーンとの間に界面をさらに備える、上記項目のうちのいずれかに記載の固定デバイス。
(項目11)
生物活性薬剤をさらに含む、上記項目のうちのいずれかに記載の固定デバイス。
(項目12)
少なくとも1つの均質分解ゾーンが、ポリマー薬物を含む、上記項目のうちのいずれかに記載の固定デバイス。
(項目13)
少なくとも1つの均質分解ゾーンの分解速度が、少なくとも1つの生物活性薬剤の溶出に対応する、上記項目のうちのいずれかに記載の固定デバイス。
(項目14)
少なくとも1つの均質分解ゾーンが、ポリエステル、ポリエステルポリアルキレンオキシドコポリマー、ポリオルトエステル、ポリヒドロキシブチレート、ポリヒドロキシアルカノエート、ポリ酸無水物、ポリアミン、ポリカーボネート、これらのコポリマーおよび組み合わせからなる群より選択される材料を含む、上記項目のうちのいずれかに記載の固定デバイス。
(項目15)
上記第一の分解ゾーンの組成が、上記第二の分解ゾーンの組成とは異なる、上記項目のうちのいずれかに記載の固定デバイス。
(項目16)
上記第一の分解ゾーンの組成が、上記第二の分解ゾーンの組成と同じである、上記項目のうちのいずれかに記載の固定デバイス。
(項目17)
第三の分解速度を有する第三の分解ゾーンをさらに備える、上記項目のうちのいずれかに記載の固定デバイス。
【0006】
1つより多くの分解ゾーンまたは分解機構を有する医療デバイスが、整形外科用修復デバイスおよび軟部組織固定デバイスのために使用される。
【0007】
(要旨)
固定デバイスが本明細書中に記載され、この固定デバイスは、少なくとも2つの均質分解ゾーンを備える。いくつかの実施形態において、これらの2つの均質ゾーンは、異なる速度で分解する。他の実施形態において、これらの2つの均質ゾーンは、異なる機構により分解し、これらの均質ゾーンのうちの少なくとも1つは、内部腐食により分解し得、そしてこれらの均質ゾーンのうちの少なくとも1つは、表面腐食により分解し得る。第一の分解ゾーンの組成は、第二の分解ゾーンと異なる組成であっても、同じ組成であってもよい。
【0008】
本開示の移植物は、均質分解ゾーンの間のうちの少なくとも1つに界面を備え得る。例えば、この移植物は、第一の均質分解ゾーンと第二の均質分解ゾーンとの間に界面を備え得る。他の実施形態において、この移植物は、少なくとも1つの中間相を備え得る。この中間相は、第一の均質分解ゾーンと第二の均質分解ゾーンとの間であり得る。
【0009】
この固定デバイスは、ポリエステル、ポリエステルポリアルキレンオキシドコポリマー、ポリオルトエステル、ポリヒドロキシブチレート、ポリヒドロキシアルカノエート、ポリ酸無水物、ポリアミン、ポリカーボネート、これらのコポリマーおよび組み合わせからなる群より選択される材料を含み得る。
【0010】
特定の実施形態において、第一の均質分解ゾーンは、第二の均質分解ゾーンより非晶質性が高い領域を含む。同様に、第二の均質分解ゾーンは、第一の均質分解ゾーンより結晶性が高い領域を含み得る。別の実施形態において、少なくとも1つの均質分解ゾーンは、多孔質構造を含む。
【0011】
本開示の固定デバイスは、脊椎固定デバイス、骨折プレート、ワイヤ、ピン、ねじ、アンカー、骨髄内デバイス、人工靭帯、人工腱、および人工半月板からなる群より選択され得る。
【0012】
これらの固定デバイスは、生物活性薬剤またはポリマー薬物をさらに含有し得る。より具体的には、均質分解ゾーンのうちの少なくとも1つの分解は、生物活性薬剤の溶出に対応し得る。
【0013】
本明細書中に記載される例示的な実施形態は、添付の図面を参照しながら、以下の説明からより容易に明らかになる。
【発明の効果】
【0014】
本発明により、整形外科用の固定デバイスの分野における改善が達成される。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1A】図1Aは、本開示による分解ゾーンを有する移植物の実施形態の側面図を示す。
【図1B】図1Bは、本開示による分解ゾーンを有する移植物の実施形態の側面図を示す。
【図2A】図2Aは、本開示による移植物の別の実施形態の側面斜視図を示す。
【図2B】図2Bは、本開示による移植物の別の実施形態の平面図を示す。
【図3A】図3Aは、本開示による移植物のなお別の実施形態の側面斜視図を示す。
【図3B】図3Bは、本開示による移植物のなお別の実施形態の平面図を示す。
【図4】図4は、本開示により外部のねじ回しにより骨塊に挿入されている、本開示の骨ねじの断面図を示す。
【図5】図5は、骨ねじから延びる縫合糸の自由端をさらに示す、図4の骨ねじおよび骨塊の断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本開示は、整形外科用固定デバイス(例えば、干渉ねじまたは骨アンカー)および軟部組織修復デバイスが挙げられるが、これらに限定されない、医療デバイス(移植物)に関する。この医療デバイスは、少なくとも2つの分解ゾーンを備える。いくつかの実施形態において、少なくとも2つの分解ゾーンが、この移植物の外側同心部分および内側同心部分にそれぞれ位置し、そして少なくとも1つの分解ゾーンは、生物活性薬剤を含む。別の実施形態において、これらの分解ゾーンは、この移植物の遠位部分および近位部分に位置する。代替の実施形態において、この固定デバイスは、少なくとも2つの均質分解ゾーンを備える。他の代替の実施形態において、この移植物は、少なくとも2つの分解ゾーンを備え、各ゾーンが異なる分解機構を有する。本開示の移植物は、種々の材料(生分解性ポリマー、セラミックおよび金属合金、ならびにこれらの組み合わせが挙げられる)から作製され得る。
【0017】
用語「生分解性」は、本明細書中で使用される場合、生体吸収性材料と生体再吸収性材料との両方を包含するように定義される。生分解性とは、その材料が身体条件下で分解するかもしくは構造的一体性を失うこと(例えば、酵素分解もしくは加水分解)、または身体内の生理学的条件下で、その分解産物が身体により排出可能もしくは吸収可能であるように、(物理的もしくは化学的に)分解することを意味する。
【0018】
以下の明細書において、用語「近位」とは、そのデバイスの使用者に近い方の部分を意味し、一方で、用語「遠位」とは、そのデバイスの使用者から遠い方の部分をいう。
【0019】
本開示の1つの実施形態による移植物が、図1Aおよび図1Bに図示されている。骨アンカー2は、遠位部分4および近位部分6を備える、円錐形の細長本体を備える。骨アンカー2はまた、デバイス2の近位部分6に位置する外側アイレット8を備える。骨アンカー2は、円錐の形状であり、遠位部分4が頂点(鋭利な先端)を形成している。遠位部分4が丸みを帯びて、鈍い先端を提供し得ることもまた想定される。他の実施形態において、遠位部分4は、このデバイスと、周囲の組織または骨との機械的連結を提供する、任意の幾何学的形状または構成のものであり得る。外側アイレット8は、縫合糸(図示せず、例えば、超高分子量ポリエチレン縫合糸(UHMWPE))と連絡するように設計される。
【0020】
図示される実施形態において、遠位部分4および近位部分6は、異なる分解速度を有する材料を含む。より具体的には、デバイス2の遠位部分4は、このデバイスの近位部分6と比較して、より速い分解速度を有する材料および/または組成物を含み得る。デバイス2の近位部分6は、より遅い分解速度を有し得、デバイス2をより長い期間にわたって安定化し、より多くの組織の内方成長を可能にする。アイレット8は、より長い期間にわたる強度を提供し得る(最も遅く分解する)こともまた想定される。換言すれば、移植物2は、遠位部分4において最も速く分解し、そして近位部分6において最も遅く分解する。代替の実施形態において、遠位部分4および近位部分6は、異なる分解機構(例えば、表面腐食または内部腐食)を有し得る。このことは、後に議論される。示されるように、移植物2は、外側をねじ切りされているが、他の実施形態は、デバイス2と周囲の組織または骨との機械的安定性を改善し得る、異なる表面幾何学的形状(溝付き、こぶ付き、または平坦が挙げられる)を有し得ることが想定される。
【0021】
図1Bは、図1Aと類似の実施形態であることが理解されるので、同じである全ての番号および説明は、プライム記号を付けて表され、そして違いが以下に記載される。図1Bは、骨アンカー2’を図示し、この骨アンカーは、移植物2’の遠位部分4’と近位部分6’との間に位置する中間部分5をさらに備える。中間部分5は、遠位部分4’より遅い分解速度を有する材料および/または組成物を含み得るが、近位部分6’およびアイレット8’と比較して、より速い分解速度を示す。一般に、図1Bによるデバイスは、移植物2’の遠位部分4’において最も速く分解し、そして近位部分6’において最も遅く分解する(図1Aと類似)。
【0022】
本開示による移植物の別の実施形態が、図2Aおよび図2Bに図示されている。移植物20は、円筒形の細長本体21およびアンカーピン40を備える、骨ねじである。細長本体21は、この細長本体を通って軸方向に延びる通路23を有する。細長本体21は、空洞を有する近位部分22を備え、この空洞は、細長本体21を回転させ、そして細長本体21を骨内に打ち込むための、対応する形状の外部駆動道具(例えば、HerculonTM Soft Tissue Fixation System,United States Surgical,North Haven,CT)と協働するためのものである。
【0023】
骨ねじ20はまた、同心部分32および34(それぞれ、内側分解ゾーンおよび外側分解ゾーン)を備え、これらの同心部分は、細長本体21の周囲全体の長さに延び得るが、同心部分(32、34)のうちの少なくとも1つは、周囲の一部または弧に沿って延び得ることが想定される。図示されるように、同心部分32、34は、断面積がほぼ円筒形またはリング形状であり、そして細長本体21の長さ「L」に沿って延びるが、同心部分32、34は、細長本体21の全長「L」より短い長さに延び得ることが想定される。内側同心部分32および外側同心部分34は、断面積がほぼリング形状であるが、内側同心部分32は、形状が円筒であり得る(このデバイスがほぼコア/シースの構築物を構成する)ことが想定される。一般に、内側同心部分32は、少なくとも部分的にか、または実質的に、外側同心部分34の内側にある。特定の実施形態において、外側同心部分34は、最も速い分解速度を有し、一方で、内側同心部分32は、最も遅い分解速度を有する。示されるように、移植物20は、細長本体21の外側をねじ切りされるが、他の実施形態は、このデバイスと周囲の組織または骨との機械的固定を改善し得る、他の幾何学的形状(溝付き、こぶ付き、または平坦が挙げられる)を有し得ることが想定される。本開示と組み合わせられ得る骨ねじの1つの実施形態は、米国特許第5,156,616号(これは、本明細書中に参考として援用される)である。
【0024】
骨ねじが分解するにつれて、組織の内方成長が可能になり、この移植物の安定性および一体化が増強される。より具体的には、外側同心部分34が分解するにつれて、組織の内方成長が可能になり、内側同心部分32が、デバイス20を安定化する。一旦、(外側部分34内への)組織の内方成長がこのデバイスを機械的に支持すると、内側同心部分32が分解し得、さらなる組織の内方成長を可能にする。代替の実施形態において、同心部分32および34は、異なる分解機構(例えば、表面腐食または内部腐食)を有し得る。このことは、後に記載される。異なる分解速度および/または機構は、このデバイスの材料および/または組成を変更すること、あるいは種々の加工パラメータを変更することによって、調整され得ることが想定される。
【0025】
アンカーピン40は、図2Aにおいて矢印により示されるように、細長本体21の遠位部分24と連絡する。アンカーピン40は、近位端にアイレット42を備え、そして遠位単に丸みを帯びた先端44を備える。ある実施形態において、アイレット42は、縫合糸46(例えば、UHMWPE縫合糸46)と連絡する。使用のために組み立てられるとき、アンカーピン40は細長本体21を通して供給され、そして縫合糸46が、移植物20の通路23を通過し、そして細長本体21の近位部分22を越えて延びる。
【0026】
図3A〜図3Bは、図2A〜図2Bと類似の実施形態であることが理解されるので、図3A〜図3Bにおいて同じである全ての番号および説明は、プライム印を付けて表され、そして違いが以下に記載される。図3Aは、中間同心部分33をさらに備える骨アンカー20’を図示する。中間同心部分33は、断面がほぼリング形状であり、そして外側同心部分34’と内側同心部分32’との間に位置する。中間同心部分33は、外側同心部分34’より遅い分解速度を有する材料および/または組成物を含み得、一方で、内側同心部分32’と比較してより速い分解速度を示す。デバイス20’は、移植物20’の外側同心部分34’において最も速く分解し、そして内側同心部分32’において最も遅く分解する。
【0027】
別の実施形態において、このデバイスは、少なくとも2つの分解ゾーンを備え、少なくとも1つの分解ゾーンは、特定の時点での創傷治癒サイクルを補完する特定の治療剤を放出する。例えば、医療デバイスの最初の移植の際に、好中球およびマクロファージを刺激する治療剤(例えば、コロニー刺激因子(CSF))を放出することが有用であり得る。より後の時点で、第二の分解ゾーンが分解し得、抗炎症剤/再生誘発剤(例えば、インターロイキン10(IL−10))を放出して、慢性炎症を最小にすることを補助する。第三の時点で、第三の分解ゾーンが分解し得、生物活性薬剤(例えば、この移植物が整形外科用修復デバイスである場合、例えば骨芽細胞にシグナル伝達し得る骨形成タンパク質(BMP))を放出する。さらに、本開示による移植物は、2つまたは3つの分解ゾーンに限定されず、3つより多くの分解ゾーン/機構もまた想定されることが、理解されるべきである。本開示のデバイスに組み込まれ得る適切な生物活性薬剤は、以下に列挙される。
【0028】
本開示による分解ゾーンは、移植物の種々の体積を構成または占有し得ることが留意されるべきである。例えば、第一の分解ゾーンは、全移植物体積の約1/10〜全移植物体積の約9/10を占有し得る。逆に、残りの分解ゾーンは、この移植物の残りの部分を占有し得る。別の例において、図1Aおよび図1Bに図示される実施形態において、遠位部分4は、全移植物体積の約1/10〜全移植物体積の約9/10を占有し得る。残りの近位部分6は、この移植物体積の残りの部分を構成し得る。
【0029】
本開示の特定の実施形態の分解速度は、異なる材料または異なる組成物、コポリマーなどを提供することにより、変更され得る。例えば、図1Aの骨アンカーは、遠位部分4が70:30の比のラクチド/グリコリドコポリマーを含有し、一方で近位部分6が85:15の比のラクチド/グリコリドコポリマーを含有し得るように、製造され得る。3つの分解ゾーンを有する他の実施形態(例えば、図1B)において、遠位部分4’は、70:30の比のラクチド/グリコリドコポリマーを含有し得、中間部分5は、85:15の比のラクチド/グリコリドコポリマーを含有し得、そして近位部分6’は、100:0の比のラクチド/グリコリドコポリマーを含有する。種々のポリマーが、互いに組み合わせて使用され得ることが理解されるべきである。例えば、ジオキサノンポリマーが第一の分解性部分を構成し得、一方で、コラーゲンが第二の部分を構成し得る。分解速度を変更するために、異なる材料が組み合わせられ得ることもまた留意されるべきである。例えば、分解性ポリマーが第一の分解性部分を構成し得、一方で、分解性金属合金が第二の分解性部分を構成し得る。少なくとも2つの分解ゾーンを有する移植物を作製するために、上に記載された種々の材料および組成物が組み合わせられ得る。あるいは、異なる材料および組成物は、類似の分解速度および分解機構を与え得る。
【0030】
当業者は、パラメータ(ポリマーの組成および化学、密度、形態、結晶構造、溶解度、熱特性、分子量、サイズ、間隙率および細孔サイズ、湿潤性および加工パラメータが挙げられるが、これらに限定されない)を変更することにより、移植物(全体としてか、あるいは種々の分解ゾーン)の分解機構を変更し得る。移植物を加工して、上に列挙された種々のパラメータ(ポリマーの結晶性および形態、密度、分子量、間隙率および細孔サイズが挙げられるが、これらに限定されない)を制御することは、当業者の知識の範囲内である。一般に、移植物は、細胞が増殖することを可能にし、そして引き続く組織の内方成長を可能にし、一方で、異なる分解ゾーンが経時的に分解するように調整され得る。
【0031】
分解速度またはプロフィールはまた、異なる分解機構を使用して変更され得る。例えば、内部腐食を起こすポリマー組成物は、分解機構が表面腐食である(同じかまたは異なる)ポリマー組成物とは異なる分解プロフィールを有し得る。内部腐食は、移植物内への水の侵入速度が、ポリマーが水溶性材料に変換される速度を超える場合に起こる。水の取り込みの結果として、内部腐食プロセスが、その移植物の全体積にわたって起こる(Biomaterials Science,123−125頁、第2版、Elsevier Academic Press 2004)。代表的に、親水性ポリマーは内部腐食しやすいが、特定の実施形態において、(疎水性である)ラクトンは内部腐食しやすい。あるいは、表面腐食が起こり得、この場合、生体腐食プロセスは、このデバイスの表面に制限され、従って、このデバイスは、経時的に次第に薄くなり、一方で、その構造的一体性を長期間にわたって維持する。
【0032】
いくつかの実施形態において、分解ゾーンのうちの少なくとも1つは、表面腐食性ポリマーを含有し得、一方で、別の分解ゾーンは、内部腐食ポリマーを含有し得る。特定の実施形態において、その強度損失を、創傷治癒サイクルに対応するように調整することが有利であり得る。強度損失を制御するための1つの方法は、表面腐食性ポリマーを利用するか、内部腐食性ポリマーを利用するかを選択することであり得る。例えば、図2Aに図示される骨アンカーにおいて、最外同心ゾーンが表面腐食性ポリマー(例えば、ポリオルトエステル)を含有することが有利であり得る。このことは、(外側部分の表面が腐食する間に)このデバイスの外側部分への組織の組み込みを可能にし得、創傷治癒サイクル全体にわたって、より安定な移植物を提供する。あるいは、内側同心部分(図2A)は、内部腐食性ポリマー(例えば、ラクチド/グリコリドコポリマー)を含有し得、このことは、この移植物がより高い強度を維持することを可能にし、移植物およびアイレットの全体を安定化する。本明細書中に記載される種々の実施形態が、表面腐食性ポリマーと内部腐食性ポリマーとの組み合わせを含有し得ることが理解されるべきである。
【0033】
別の実施形態において、この移植物は、少なくとも2つの均質分解ゾーンを備える固定デバイスを備え得る。用語「均質」とは、本明細書中で使用される場合、(充填材/粒子で)強化されておらず、塊状材料全体にわたって類似または一貫した組成を有する組成物を意味する。逆に、不均質な移植物は、セラミック充填材(例えば、ヒドロキシアパタイトまたはリン酸三カルシウム)を有するポリマーを含有し得る。本開示のいくつかの実施形態は、必ずしもセラミック充填材を必要としない。なぜなら、本明細書中に開示される複合移植物は、固定デバイスを組織内に打ち込むことに伴う力に耐えるために十分な強度および剛性を有するからである。例えば、移植物は、以下に列挙される適切な材料を含有し得、この場合、分解ゾーンのうちの少なくとも2つは、全体がポリマーである。
【0034】
あるいは、ポリマーの結晶性が、特定の分解性ポリマーの分解速度を制御するために使用され得る。いくつかのポリマーにおいて、ポリマー形態の変化が、水和および加水分解の変化をもたらす。結晶性が高く、高度に配向された構造を有し、密に充填されたポリマー鎖を有するポリマーは、非晶質性が高いポリマーよりも加水分解に対してより抵抗性であり得る。例えば、ポリ(乳酸)(PLA)は、4つの形態学的に異なるポリマー(ポリ(D−ラクチド)(D−PLA)、ポリ(L−ラクチド)(L−PLA)、ポリ(D,L−ラクチド)(D,L−PLA)およびメソポリ(L−ラクチド)(meso−PLA))として存在する。非晶質ポリマーとして、D,L−PLAは、より親水性が高く、従って、薬物送達型の用途に役立ち得る。あるいは、半結晶性L−PLAは、高い強度および増加した靭性を必要とする用途において使用するために好ましく、従って、L−PLAは、特定の用途において好ましくあり得る。ポリマーの形態は、異なる加工方法およびパラメータを制御して、所望の分解速度を有する所望の形態を得ることにより、制御され得る。適切なポリマーとしては、以下に列挙されるものが挙げられる。
【0035】
本開示の特定の実施形態において、分解ゾーンは、界面により分離され得、一方で、本開示の他の実施形態では、分解ゾーンは、漸進的な移行または中間相により輪郭を描かれ得る。用語「界面」とは、本明細書中で使用される場合、2つの領域の間(この場合、2つの分解ゾーンの間)の共通の界面を形成する表面を意味する。この界面は、1つの分解ゾーンから別の分解ゾーンへの急激な移行部である。用語「中間相」とは、本明細書中で使用される場合、一般に、分解ゾーンのバルク特徴の間の領域を意味する。中間相は、1つの分解ゾーンから別の分解ゾーンへの、漸進的な移行または勾配移行である。例えば、図1において、遠位分解ゾーン(塊状領域)は、約82:18の比のラクチド/グリコリドを含有し得、一方で、近位部分(塊状領域)は、約90:10の比を含有し得る。中間相において、遠位分解ゾーンからの近位分解ゾーンの分離は、ラクチド/グリコリドの比が約82:18〜約90:10の間のいずれかである勾配移行を包含し得る。換言すれば、遠位部分に近い方の中間相は、より少ない(82%に近い)ラクチドを含有し、一方で、遠位部分に近い方の中間相領域は、より多くの(90%に近い)ラクチドを含有し得る。別の実施形態において、この移植物は、バルク間隙率またはバルク結晶化度が(例えば、この移植物の内側同心部分から外側同心部分への)漸進的な移行を起こす中間相を含み得る。本開示による他の実施形態は、中間相または界面を含み得ること、および上記説明は、示される図および記載されるものに限定されないことが理解されるべきである。
【0036】
本開示の特定の実施形態において有用であり得る異なる分解ゾーンまたは部分のためのさらなる組成を、以下の表1に要約する。
【0037】
【表1】

移植物の間隙率を変更することは、移植物の種々の部分への組織の内方成長および分解を制御するための別の方法であり得る。多硬質移植物は、連続気泡構造を有し得、この構造において、細孔が互いに連結して、相互に接続されたネットワークを形成している。逆に、本開示の移植物は、不連続気泡発泡体であり得、この場合、細孔は、相互に接続していない。不連続気泡デバイスは、一般に密度がより高く、そしてより高い圧縮強度を有する。これらはまた、発泡体またはスポンジ様材料の形態であり得る。
【0038】
特定の実施形態において、本開示の多孔質移植物は、当業者の知識の範囲内である種々のプロセスを使用して、製造され得る。例えば、発泡体は、標準的な凍結乾燥(フリーズドライ)技術、溶媒キャスティングおよび粒子浸出、圧縮成型、相分離、気体発泡(例えば、COなどの内部発泡剤)またはポロゲン(porogen)(例えば、塩粒子)の使用によって、製造され得る。特定の実施形態において、組織足場として使用される発泡体はまた、コンピュータ支援設計技術(立体造形(solid freeform fabrication;SFF)、立体リソグラフィなどが挙げられる)により作成され得る。
【0039】
本開示の移植物は、ポリマー(例えば、ポリエステルから作製されるもの(例えば、ラクチド、グリコリド、カプロラクトン、およびバレロラクトン);ポリカーボネート(例えば、トリメチレンカーボネート、テトラメチレンカーボネート、チロシンカーボネート、ポリイミドカーボネート、ポリイミノカーボネート(例えば、ポリ(ビスフェノールA−イミノカーボネート)およびポリ(ヒドロキノン−イミノカーボネート)など);ジオキサノン(例えば、1,4−ジオキサノン);ジオキセパノン(例えば、1,4−ジオキセパン−2−オンおよび1,5−ジオキセパン−2−オン)、エチレングリコール、エチレンオキシド、エステルアミド、γ−ヒドロキシバレレート、β−ヒドロキシプロピオネート、α−ヒドロキシ酸、ポリヒドロキシブチレート、ポリ(オルトエステル);ポリヒドロキシアルカノエート;ポリウレタン;ポリホスファゼン;ポリ(フマル酸プロピレン);ポリ酸無水物;ポリアミン;ポリエステル無水物;ポリマー薬物(例えば、ポリジフルニソール、ポリアスピリン、およびタンパク質治療剤);生物学的に修飾された(例えば、タンパク質、ペプチド)分解性ポリマー)、ならびにこれらのコポリマーおよび組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない、生分解性ポリマーを含有し得る。
【0040】
適切な天然生分解性ポリマーとしては、コラーゲン;ポリ(アミノ酸);多糖類(例えば、セルロース(カルボキシメチルセルロースを含む)、デキストラン、キチン、キトサン、アルギネート、ヒアルロン酸、およびグリコサミノグリカン);フィブリンおよびフィブリノゲン;ヒアルロン酸;ガット;これらのコポリマーおよび組み合わせが挙げられる。コラーゲンとは、本明細書中で使用される場合、天然コラーゲン(例えば、動物由来のコラーゲン)、ゼラチン化コラーゲン、または合成コラーゲン(例えば、ヒト組換えコラーゲンもしくは細菌組換えコラーゲン)を包含する。
【0041】
特定の実施形態は、適切な生分解性セラミック(例えば、α−リン酸三カルシウム(α−TCP)、β−リン酸三カルシウム(β−TCP)、ヒドロキシアパタイト、およびこれらの組み合わせ)を含有し得る。
【0042】
適切な生分解性金属合金としては、マグネシウム合金およびマンガン合金が挙げられる。
【0043】
いくつかの実施形態において、ヒドロゲルが、分解ゾーンのうちの少なくとも1つを構成し得る。膨潤性材料は、組織欠損内へのより良好な繋留、およびより満足なフィットを提供し得る。適切な膨潤性材料としては、分解性または修飾ポリマー/コポリマー(HEMA、ビニルピロリドン、アクリル酸、ホスホリルコリン官能性アクリレートおよびメタクリレート、ヒドロキサメート、ビニルアルコール、および/または他の生体適合性ビニルモノマーもしくはポリマー、ならびにこれらの組み合わせが挙げられる)が挙げられるが、これらに限定されない。上記材料は、当業者に公知である方法(分解性架橋剤の使用が挙げられる)により調製され得る。
【0044】
本開示の移植物を作製する方法は、複数の注入点を用いる射出成型を包含し、各注入点に、異なる樹脂組成物が供給される。他の実施形態において、樹脂の連続的な成型が行われ得、この場合、より速い分解速度を有する部分が、より遅い分解速度を有する部分の上にオーバーモールディングされ得る。本開示の移植物を作製する別の代替の方法は、組成物のうちの少なくとも1つの選択的アニーリングを包含する。この選択的アニーリングは、異なる結晶形態(例えば、結晶性領域対非晶質領域、および結晶サイズ)を生じ、これは、分解速度および分解機構(内部腐食対表面腐食)を変更し得る。
【0045】
あるいは、本開示の特定の実施形態は、種々の材料(例えば、フィルム、織布構造、不織布構造、編布構造または編組布構造(例えば、メッシュ))を用いて補強され得る。これらの補強物質は、分解プロフィールを改変するため、移植物を機械的に補強するため、または生物活性薬剤の制御された放出のためのキャリアとして、利用され得る。
【0046】
さらに、移植物の任意の部分が、生物学的に受容可能な添加剤(例えば、可塑剤、酸化防止剤、色素、画像増強剤、希釈剤、生物活性薬剤(例えば、薬学的薬剤および医学的薬剤)、ならびにこれらの組み合わせ)を含有し得、これらの添加剤は、デバイス上にコーティングされ得るか、またはポリマー、セラミックもしくは金属合金に含浸され得る。
【0047】
移植物に組み込まれ得る医学的薬剤としては、抗菌剤、抗ウイルス剤、抗真菌剤などが挙げられる。抗菌剤とは、本明細書中で使用される場合、単独でかまたは身体(免疫系)の補助によって、病原性であり得る(疾患を引き起こす)微生物を身体が破壊するかまたはこれらの微生物に抵抗することを補助する薬剤により定義される。用語「抗菌剤」は、抗生物質、集団感知遮断薬、界面活性剤、金属イオン、抗菌タンパク質および抗菌ペプチド、抗菌多糖類、防腐剤、消毒薬、抗ウイルス剤、抗真菌剤、集団感知遮断薬、ならびにこれらの組み合わせを包含する。本開示と組み合わせられ得る適切な防腐剤および消毒薬の例としては、ヘキサクロロフェン、陽イオン性ビグアニド(クロロヘキサジンおよびシクロヘキシジンなど)、ヨウ素およびヨウ素担体(ポビドン−ヨウ素など)、ハロ置換フェノール化合物(PCMX(例えば、p−クロロ−m−キシレノン)およびトリクロサン(例えば、2,4,4’−トリクロロ−2’−ヒドロキシ−ジフェニルエーテル)など)、フラン医薬調製物(ニトロフラントインおよびニトロフラゾンなど)、メタナミン、アルデヒド(グルタルアルデヒドおよびホルムアルデヒドなど)、アルコール、これらの組み合わせなどが挙げられる。いくつかの実施形態において、抗菌剤のうちの少なくとも1つは、防腐剤であり得る(例えば、トリクロサン)。
【0048】
本開示と組み合わせられ得る抗生物質のクラスは、テトラサイクリン(モノサイクリンなど)、リファマイシン(リファンピンなど)、マクロライド(エリスロマイシンなど)、ペニシリン(ナフシリンなど)、セファロスポリン(セファゾリンなど)、β−ラクタム抗生物質(イミペネムおよびアズトレオナムなど)、アミノグリコシド(ゲンタマイシンおよびTOBRAMYCIN(登録商標)など)、クロラムフェニコール、スルホンアミド(スルファメトキサゾールなど)、糖ペプチド(バンコマイシンなど)、キノロン(シプロフロキサシンなど)、フシジン酸、トリメトプリム、メトロニダゾール、クリンダマイシン、ムピロシン、ポリエン(アンホテリシンBなど)、アゾール(フルコナゾールなど)、ならびにβ−ラクタムインヒビター(スルバクタムなど)を含む。添加され得る他の抗菌剤としては、例えば、抗菌ペプチドおよび/または抗菌タンパク質、抗菌多糖類、集団感知遮断薬(例えば、臭素化フラノン)、抗ウイルス剤、金属イオン(例えば、イオン性銀およびイオン性銀ガラス)、界面活性剤、化学療法薬物、テロメラーゼインヒビター、他の環状モノマー(5環式モノマーが挙げられる)、ミトザントロンなどが挙げられる。
【0049】
いくつかの実施形態において、使用され得る適切な生物活性薬剤としては、着色剤、色素、防腐剤、タンパク質調製物およびペプチド調製物、タンパク質治療剤、多糖類(例えば、ヒアルロン酸)、レクチン、脂質、プロバイオティクス、脈管形成剤、抗血栓剤、抗凝固剤、凝固剤、鎮痛薬、麻酔薬、創傷修復剤、化学療法剤、生物学的物質、抗炎症剤、抗増殖剤、診断剤、解熱剤、消炎剤および鎮痛薬、血管拡張薬、抗高血圧症薬および抗不整脈剤、低血圧剤、鎮咳剤、抗腫瘍剤、局所麻酔薬、ホルモン製剤、喘息治療剤および抗アレルギー剤、抗ヒスタミン薬、抗血液凝固剤、鎮痙薬、大脳循環および代謝改善剤、抗うつ薬および抗不安薬、ビタミンD製剤、低血糖症剤、抗潰瘍剤、催眠薬、抗生物質、抗真菌剤、鎮静剤、気管支拡張剤、抗ウイルス剤、排尿障害剤、臭素化フラノンまたはハロゲン化フラノンなどが挙げられる。ある実施形態において、ポリマー薬物(例えば、このような化合物のポリマー形態であり、例えば、ポリマー抗生物質、ポリマー防腐薬、ポリマー化学療法剤、ポリマー抗増殖剤、ポリマー防腐薬、ポリマー非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)など)およびこれらの組み合わせが、利用され得る。
【0050】
特定の実施形態において、本開示の移植物は、適切な医療薬剤(例えば、ウイルスおよび細胞、ペプチド、ポリペプチドおよびタンパク質、アナログ、ムテイン、ならびにその活性フラグメント(例えば、免疫グロブリン、抗体(モノクローナルおよびポリクローナル)、サイトカイン(例えば、リンホカイン、モノカイン、ケモカイン))、血液凝固因子、造血因子、インターロイキン(IL−2、IL−3、IL−4、IL−6)、インターフェロン(β−IFN、α−IFNおよびγ−IFN)、エリスロポイエチン、ヌクレアーゼ、腫瘍壊死因子、コロニー刺激因子(例えば、GCSF、GM−CSF、MCSF)、インスリン、抗腫瘍剤および癌抑制因子、血液タンパク質、性腺刺激ホルモン(例えば、FSH、LH、CGなど)、ホルモンおよびホルモンアナログ(例えば、成長ホルモン)、ワクチン(例えば、腫瘍抗原、細菌抗原およびウイルス抗原);ソマトスタチン;抗原;血液凝固因子;増殖因子または成長因子;タンパク質インヒビター、タンパク質アンタゴニスト、およびタンパク質アゴニスト;核酸(例えば、アンチセンス分子、DNA、RNA、オリゴヌクレオチド、ポリヌクレオチドおよびリボザイム、ならびにこれらの組み合わせ)を含有し得る。本開示による移植物の分解機構は、特定の放出速度を提供するように調整され得ることが理解されるべきであり、ここで、特定の材料の分解は、生物活性薬剤の溶出または放出に対応し得る。
【0051】
上記生物活性薬剤と本開示の材料とを組み合わせるための方法は、当業者の知識の範囲内であり、そして混合、ブレンド、合成、スプレー、吸上(wicking)、溶媒エバポレーション、浸漬(dipping)、ブラッシング、蒸着、共押し出し、毛管吸上(capillary wicking)、フィルムキャスティング、成型などが挙げられるが、これらに限定されない。さらに、種々の薬剤をデバイスに組み込むために、溶媒が使用され得る。適切な溶媒としては、極性溶媒および非極性溶媒(例えば、アルコール(例えば、メタノール、エタノール、プロパノール)、塩素化炭化水素(例えば、塩化メチレン、クロロホルム、1,2−ジクロロ−エタン)、ならびに脂肪族炭化水素(例えば、ヘキサン、ヘプテン、および酢酸エチル))が挙げられるが、これらに限定されない。
【0052】
本開示のデバイスに組み込まれる生物活性薬剤は、種々の放出プロフィール(0次、一次、二次、およびこれらの組み合わせの放出プロフィールが挙げられるが、これらに限定されない)を有し得る。所望の生物活性薬剤放出結果を達成するために、材料をより疎水性またはより親水性に改変することもまた、当業者の知識の範囲内である。先に記載したように、生物活性薬剤と材料との両方が、組織内への移植物の一体化に対応するように特定の放出機構を達成するために、変更され得る。
【0053】
一旦、移植物が構築されると、この移植物は、当業者の知識の範囲内である任意の手段により滅菌され得る。これらの手段としては、エチレンオキシド、電子線(e線)、γ線照射、オートクレーブ処理、プラズマ滅菌などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0054】
本明細書中で使用される場合、用語「組織」としては、皮膚、脂肪、筋膜、骨、筋肉、県、靭帯、器官、神経、および血管などの組織が挙げられるが、これらに限定されない。また、整形外科用デバイスとしては、本明細書中で使用される場合、模範的な骨(例えば、腕の骨、脚の骨、手/足の骨、距骨、寛骨、頭蓋骨、脊椎および椎骨、肋骨、鎖骨など)において使用され得るデバイスが挙げられる。
【0055】
ここで図4および図5を参照すると、図2A〜図2Bからの骨ねじ20が、骨60内に繋留されて示されている。骨ねじ20の近位端は、嵌合するねじ回し51に対応する六角形の断面52を有し、このねじ回しは、骨ねじ20を回転させる。ねじ回し51が骨ねじ20の近位端に挿入されると、骨60にねじ込まれる。縫合糸46もまた、骨ねじの軸方向通路23から近位に延びるように示されている。外部のねじ回し51は、縫合糸46がこのねじ回し内に保持されることを可能にし、一方で、骨ねじ20が骨にねじ込まれるように、構成され得る。本開示の種々の実施形態が、類似の様式で組織に挿入され得ることが理解されるべきであり、この実施例は、本明細書中に説明される実施形態に限定されない。
【0056】
本開示は、整形外科修復デバイス(核修復デバイス、人工半月板、半月板修復デバイスおよび固定デバイス(脊椎固定デバイス、骨折プレート、ワイヤ、ピン、ねじ(干渉ねじおよび骨ねじ)、アンカー、骨髄内デバイス、人工靭帯、人工腱、軟骨移植物/足場、回旋筋腱板パッチ/移植物、ならびに骨腱移植片が挙げられるが、これらに限定されない)が挙げられるが、これらに限定されない);ならびに軟部組織修復デバイス(縫合糸、バットレス、鋲、メッシュ、外科用綿撒糸、栓、吻合閉鎖具、吻合接続デバイス(例えば、シース)、組織パッチおよび足場が挙げられるが、これらに限定されない)に限定されないことが留意されるべきである。
【0057】
上記説明は、多くの具体例を含むが、これらの具体例は、本開示の範囲の限定であると解釈されるべきではなく、単に、本開示の実施形態の例示であると解釈されるべきである。当業者は、添付の特許請求の範囲に規定されるような、本開示の範囲および趣旨内で、他の多くの可能性を予測する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも2つの均質分解ゾーンを備える固定デバイスであって、該少なくとも2つの均質分解ゾーンは、第一の分解速度を有する第一の分解ゾーン、および第二の分解速度を有する第二の分解ゾーンを備える、固定デバイス。
【請求項2】
前記固定デバイスが、脊椎固定デバイス、骨折プレート、ワイヤ、ピン、ねじ、アンカー、骨髄内デバイス、人工半月板、人工靭帯および人工腱からなる群より選択される、請求項1に記載の固定デバイス。
【請求項3】
前記少なくとも2つの均質分解ゾーンが異なる速度で分解する、請求項1に記載の固定デバイス。
【請求項4】
少なくとも1つの均質分解ゾーンが多孔質構造を含む、請求項1に記載の固定デバイス。
【請求項5】
前記第一の分解ゾーンが、前記第二の分解ゾーンより非晶質性が高い領域を含む、請求項1に記載の固定デバイス。
【請求項6】
前記第二の分解ゾーンが、前記第一の分解ゾーンより結晶性が高い領域を含む、請求項1に記載の固定デバイス。
【請求項7】
少なくとも1つの均質分解ゾーンが表面腐食により分解する、請求項1に記載の固定デバイス。
【請求項8】
少なくとも1つの均質分解ゾーンが内部腐食により分解する、請求項1に記載の固定デバイス。
【請求項9】
前記第一の分解ゾーンと前記第二の分解ゾーンとの間に中間相をさらに備える、請求項1に記載の固定デバイス。
【請求項10】
前記第一の分解ゾーンと前記第二の分解ゾーンとの間に界面をさらに備える、請求項1に記載の固定デバイス。
【請求項11】
生物活性薬剤をさらに含む、請求項1に記載の固定デバイス。
【請求項12】
少なくとも1つの均質分解ゾーンが、ポリマー薬物を含む、請求項1に記載の固定デバイス。
【請求項13】
少なくとも1つの均質分解ゾーンの分解速度が、少なくとも1つの生物活性薬剤の溶出に対応する、請求項1に記載の固定デバイス。
【請求項14】
少なくとも1つの均質分解ゾーンが、ポリエステル、ポリエステルポリアルキレンオキシドコポリマー、ポリオルトエステル、ポリヒドロキシブチレート、ポリヒドロキシアルカノエート、ポリ酸無水物、ポリアミン、ポリカーボネート、これらのコポリマーおよび組み合わせからなる群より選択される材料を含む、請求項1に記載の固定デバイス。
【請求項15】
前記第一の分解ゾーンの組成が、前記第二の分解ゾーンの組成とは異なる、請求項1に記載の固定デバイス。
【請求項16】
前記第一の分解ゾーンの組成が、前記第二の分解ゾーンの組成と同じである、請求項1に記載の固定デバイス。
【請求項17】
第三の分解速度を有する第三の分解ゾーンをさらに備える、請求項1に記載の固定デバイス。

【図1A】
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【図1B】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−240416(P2010−240416A)
【公開日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−79772(P2010−79772)
【出願日】平成22年3月30日(2010.3.30)
【出願人】(507362281)タイコ ヘルスケア グループ リミテッド パートナーシップ (666)
【Fターム(参考)】