説明

複素芳香族化合物のプロドラッグ

本発明は、複素芳香族性NH基を含有する親薬物化合物のプロドラッグに関する。本発明は、複素芳香族性NH基を含有する親薬物化合物が患者への投与後に放出され、吸収される期間を延長し、1用量につき現在予想される期間よりも長い作用期間を提供する。本発明の方法での使用に適した化合物は、NHの窒素原子において、不安定なプロドラッグ部分で置換されている、複素芳香族性NH基を含有する親薬物の誘導体である。好ましい形態では、プロドラッグ部分は疎水性であり、親薬物と比較して、生理的pH(pH7.0)におけるプロドラッグの溶解性を低減する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願)
本願は、2010年1月7日に出願された米国仮特許出願第61/292,998号の利益を主張する。この米国仮特許出願第61/292,998号の教示全てが、本明細書中に参考として援用される。
【0002】
(発明の背景)
(i)発明の分野
本発明は、複素芳香族薬物のプロドラッグに関する。
【背景技術】
【0003】
(ii)発明の背景
薬物送達系は、生物活性剤の安全かつ有効な投与にとって非常に重要であることが多い。これらの系の重要性は、患者の服薬遵守および一貫した投与を考慮に入れる場合に最も実感されよう。例えば、薬物の投与要件を1日4回投与から1日1回投与に低減することは、患者の服薬遵守および療法の最適化の確保に関して著しく大きな価値があるはずである。
【0004】
薬物の生体利用能および作用期間の最適化は、多くの潜在的な利益を有する。患者の利便性および服薬遵守の強化のためには、投与頻度が少ない方が望ましいことが一般に認識されている。薬物が放出される期間を延長すると、1用量当たりの作用期間がより長くなると予想される。次にこれにより、既に1日4回の投与が必要であった場合に薬物を1日1回摂取することや、または既に1日1回の投与が必要であった場合に週1回もしくはさらに少ない頻度での投与などの、投与パラメータの全体的な改善が得られることになる。多くの薬物は、現在1日1回投与されているが、これらの薬物のすべてが、正確に24時間の投与間隔で適切な薬物動態特性を有するとは限らない。これらの薬物が放出される期間の延長も、有益になるはずである。
【0005】
薬物療法において基本的に考慮に入れることの1つには、血中濃度と治療活性との関係性が含まれる。ほとんどの薬物では、血清濃度が最小有効濃度と潜在的に毒性のある濃度との間に維持されることが最も重要である。薬物動態に関して、薬物の血中濃度のピークおよびトラフは、血清濃度の治療域に十分適合することが理想的である。いくつかの治療剤については、この治療域が非常に狭いので、投与製剤が非常に重要になる。
【0006】
改善された生体利用能の必要性に対処するために、いくつかの薬物放出調節技術が開発されている。腸溶コーティングは、胃内の医薬品のプロテクターとして使用されており、タンパク性ミクロスフェア、リポソームまたは多糖を使用するマイクロカプセル化活性剤は、活性剤の酵素分解の減少に有効となっている。酵素分解を防ぐために、酵素を阻害するアジュバントも使用されている。
【0007】
広範な医薬製剤によって、ジカルボン酸のアミド、修飾アミノ酸または熱的に縮合させたアミノ酸中での活性剤のマイクロカプセル化による持続放出が提供される。緩慢な放出をもたらす添加物を、錠剤製剤中で様々な活性剤と混ぜ合わせることもできる。
【0008】
マイクロカプセル化および腸溶コーティング技術は、活性剤物質の安定性および時間放出特性を強化するが、これらの技術には、いくつかの欠点がある。活性剤の組込みは、マイクロカプセル化マトリックスへの拡散に依存することが多く、したがって定量的でなくなるおそれがあり、投与量の再現性を複雑にすることもある。さらに、カプセル化された薬物は、マトリックスからの拡散もしくはマトリックスの分解またはその両方に頼り、これは活性剤の化学特性および水溶性に非常に依存する。それとは逆に、水溶性ミクロスフェアは、無限に膨潤し、残念なことには活性剤が一気に放出され(過量放出(dose dumping))、副作用が起こる可能性があり、持続放出に利用可能な活性剤が制限されることがある。さらに、いくつかの技術では、活性剤の放出に必要とされる分解過程の制御は信頼できない。例えば、腸溶コーティングされた活性剤がpHに応じて活性剤を放出し、pHおよび滞留時間が変化するので、放出速度およびタイミングの制御は困難である。
【0009】
いくつかの埋込み式の薬物送達系では、薬物へのポリペプチドの結合が利用されている。さらに、薬物の漸進的な放出のための移植片として、薬物をそれらのマトリックスに組み込む他の大型ポリマー性担体が使用される。さらに別の技術では、共有結合性薬物の結合の利点が、高度に秩序化された脂質フィルムに活性成分が結合しているリポソームの形成と組み合わせられている。
【0010】
しかし、今まで製剤化されてこなかったか、または持続期間にわたって放出するための持続放出製剤への製剤化が困難であった特定の活性剤を送達することができ、患者が投与するのに好都合な活性剤送達系が、未だ必要とされている。
【0011】
1日1回の投与要件を低減し、親薬物の制御された持続放出を可能にし、また典型的な溶解により制御される持続放出法で直面する放出の不規則さおよび厄介な製剤化を回避する、薬物の持続的送達の必要性は、一般に認識されている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0012】
(発明の概要)
本発明は、ヘテロアリールNHを含有する親薬物が患者への投与後に放出され、吸収される期間を延長し、1用量につき現在予想される期間よりも長い作用期間を提供することによってこれを達成する。一実施形態では、本発明の方法における使用に適した化合物は、NHの窒素原子において、不安定なプロドラッグ部分で置換されている、ヘテロアリールNHを含有する親薬物の誘導体である。好ましくは、プロドラッグ部分は疎水性であり、親薬物と比較してプロドラッグの生理的pH(pH7.0)における溶解性を低減し、極性および親油性パラメータをモジュレートする。好ましい実施形態では、プロドラッグ部分は、親薬物と比較して約1.2〜約7.5、約3〜約7.5、約4〜約7.5または約5〜約7.5のpH範囲におけるプロドラッグの溶解性を低減する。
【0013】
一実施形態では、本発明は、式Iのプロドラッグ化合物
【0014】
【化1】

または薬学的に許容されるその塩を提供する[式中、X〜Xのそれぞれは、独立にNまたはCRであるが、ただしX〜Xの少なくとも1つはCRである。R基は、組み合わさって、5員の複素芳香環に加えてプロドラッグ化合物の一部を形成する。例えば、R基は、独立に、水素、必要に応じて置換されている脂肪族、芳香族、複素芳香族またはその組合せであってよい。R基は、それらが結合している炭素原子と一緒になって、1つまたは複数の必要に応じて置換されている縮合環系を形成することもできる。Rは、−C(R)(R)−OR10、−C(R)(R)−OC(O)OR10、−C(R)(R)−OC(O)R10、−C(R)(R)−OC(O)NR1112、−C(R)(R)−OPOMY、−C(R)(R)−OP(O)(OR11)(OR12)、−C(R)(R)−OP(O)(OR11)M、−[C(R)(R)O]−R10、−[C(R)(R)O]−C(O)OR10、−[C(R)(R)O]−C(O)R10、−[C(R)(R)O]−C(O)NR1112、−[C(R)(R)O]−OPOMY、−[C(R)(R)O]−P(O)(OR11)Mおよび−[C(R)(R)O]−P(O)(OR11)(OR12)から選択される。RおよびRは、それぞれ独立に、水素、脂肪族または置換脂肪族である]。
【0015】
一実施形態では、R10、またはR11およびR12の少なくとも1つは、脂肪族、アリールまたは置換アリール基であり、好ましくはかかる基は、親薬物と比較して生理的条件下でのプロドラッグの溶解性を低減する。
【0016】
一実施形態では、R10は、C〜C24−アルキル、置換C〜C24−アルキル、C〜C24−アルケニル、置換C〜C24−アルケニル、C〜C24−アルキニル、置換C〜C24−アルキニル、C〜C12−シクロアルキル、置換C〜C12−シクロアルキル、アリールまたは置換アリールである。
【0017】
一実施形態では、R11およびR12は、それぞれ独立に、水素、脂肪族または置換脂肪族であるが、ただしR11およびR12の少なくとも1つは、C〜C24−アルキル、置換C〜C24−アルキル、C〜C24−アルケニル、置換C〜C24−アルケニル、C〜C24−アルキニル、置換C〜C24−アルキニル、C〜C24シクロアルキル、置換C〜C12−シクロアルキルであるか、またはR11およびR12は、一緒になって置換もしくは非置換アルキレンまたは置換もしくは非置換アルケニレン基を形成し、これらの基は、酸素、窒素および硫黄から独立に選択される最大3個のヘテロ原子によって必要に応じて分断されていてよい。
【0018】
YおよびMは、同じかもしくは異なっており、それぞれ一価のカチオンであるか、またはMおよびYは、一緒になって二価のカチオンになり、nは2または3である。
【0019】
別の実施形態では、本発明は、ヘテロアリールNHを含有する親薬物を持続的に送達する方法であって、複素芳香族性NHの窒素原子上の不安定な疎水性のアルデヒドで連結されたプロドラッグ部分を置換することによって生成されたプロドラッグ化合物の有効量を被験体に投与するステップを含む方法を提供する。好ましくは、プロドラッグ化合物は、親薬物化合物と比較して、生理的条件下で溶解性が低く、投与されたとき活性が持続する。一実施形態では、ヘテロアリールNHを含有する親薬物は、式IIによって表され、
【0020】
【化2】

式中、X〜Xは、上に定義した通りである。この実施形態では、プロドラッグは、上で定義した式Iによって表される。
【0021】
【化3】

本発明はまた、ヘテロアリールNHを含有する親薬物を投与する方法であって、複素芳香族性NHの窒素原子上の不安定な疎水性のアルデヒドで連結されたプロドラッグ部分を置換することによって生成されたプロドラッグ化合物の有効量を被験体に投与するステップを含む方法を提供する。この方法は、親薬物の最大血漿濃度を低減すると同時に、持続的な治療レベルを維持することによって、親薬物自体の投与時に見られる望ましくない副作用を実質的に排除する。特定の実施形態では、親薬物の副作用は鎮静である。好ましい一実施形態では、プロドラッグ化合物は式Iの化合物であり、親薬物は式IIの化合物である。
【0022】
別の実施形態では、本発明は、複素芳香族性NHを含有する親薬物化合物のプロドラッグを生成する方法であって、該プロドラッグは、親薬物化合物と比較して、生理的条件下で溶解性が低く、投与されたとき活性が持続する、方法を提供する。この方法は、複素芳香族性NHの窒素原子上の不安定な疎水性プロドラッグ部分を置換することによって、親薬物を修飾するステップを含む。好ましくは、親薬物化合物は、式IIによって表され、プロドラッグ部分は、前述の意味を有するRによって表され、プロドラッグは、式Iによって表される。
【0023】
本発明はまた、式Iの化合物を含む医薬組成物、および療法において式Iの化合物を使用する方法を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0024】
(発明の詳細な説明)
本発明のプロドラッグ化合物は、投与後の親化合物の治療レベルを持続させるか、または延長する。「持続放出」は一般に、吸収が、緩慢な一次動態に変化することを指す。「延長放出」は一般に、化合物の吸収にゼロ次動態をもたらすことを指す。時限放出の機構は、それに限定されるものではないが、親薬物に対するプロドラッグの溶解性の低さを含むいくつかの因子に起因して、血清酵素または化学的加水分解の作用による親薬物のより漸次的な溶解およびより緩慢な放出をもたらすことができる。用語「持続放出」は、本明細書で使用される場合、本発明のプロドラッグの投与が、親薬物自体の投与の結果得られる期間よりも長い期間にわたって、患者において親薬物の有効な全身、局所または血漿レベルをもたらすことを意味する。
【0025】
複素芳香族性NHを含有する薬物は、所望の局所または全身効果を誘発する複素芳香族性NHを含有する任意の薬物であってよい。かかる薬物は、5員の窒素含有複素芳香族基、または5員の窒素含有複素芳香族基を含む縮合型多環式基などの、NH基を含む複素芳香環を含む。好ましくは、複素芳香族基は、ジメチルスルホキシドで測定して約21以下のpKaを有する。
【0026】
複素芳香族性NHを含有する薬物には、広範なクラスの化合物が含まれる。一般にこれには、鎮痛剤;麻酔薬;抗関節炎薬;抗喘息薬を含む呼吸器のための薬物;抗新生物薬を含む抗癌剤;抗コリン作用薬;抗痙攣薬;抗うつ剤;抗糖尿病薬;止瀉薬;駆虫薬(antihelminthic);抗ヒスタミン剤;抗高脂血症薬;降圧薬;抗生物質および抗ウイルス剤などの抗感染症薬;抗炎症薬;抗片頭痛用調製物;制嘔吐剤;抗パーキンソン薬;鎮痒薬;抗精神病薬;解熱薬;鎮痙薬;抗結核薬;抗潰瘍薬;抗ウイルス剤;抗不安薬;食欲抑制薬;注意欠陥障害(ADD)および注意欠陥多動性障害(ADHD)のための薬物;カルシウムチャネル遮断薬、CNS薬を含む心血管用調製物;ベータ遮断薬および抗不整脈薬;中枢神経系刺激物質;向知性薬;鬱血除去薬を含む咳および感冒のための調製物;利尿剤;遺伝子材料;薬草療法;抗ホルモン薬(hormonolytic);催眠薬;血糖降下剤;免疫抑制剤;ロイコトリエン阻害剤;有糸分裂阻害剤;筋弛緩薬;麻薬拮抗薬;オピオイド作動薬;ニコチン;ビタミン、必須アミノ酸および脂肪酸などの栄養剤;抗緑内障薬などの眼用薬物;副交感神経遮断薬;ペプチド薬;精神刺激薬;鎮静剤;ステロイド;交感神経模倣薬;トランキライザー;ならびに一般的な冠動脈の、末梢の、および大脳のを含む血管の拡張剤が含まれる。
【0027】
複素芳香族性NHを含有する具体的な親薬物は、様々な薬物のクラスを代表する。かかる薬物には、メピプラゾールおよびデクスメデトミジンなどのトランキライザーおよび鎮静剤;アルベンダゾール、カルベンダゾール、シクロベンダゾール、メベンダゾールおよびチアベンダゾールなどの駆虫剤;アルモトリプタン、ドラセトロン、エレトリプタン、リスリド、ナラトリプタン、リザトリプタン、スマトリプタン、フロバトリプタン、ゾルミトリプタンおよびエルゴタミンなどの抗片頭痛剤;アロセトロンなどの過敏性腸症候群のための治療剤;デラビルジンおよびアテビルジンなどの抗ウイルス剤;ボピンドロール、ブシンドロール、カンデサルタン、デセルピジン、ミベフラジル、メシル酸エルゴロイド、インドラミン、イルベサルタン、メピンドロール、オルメサルタン、レセルピン、レシナミン、ロサルタン、タソサルタン、バルサルタン、ラウバシン、シロシンゴピン、カルモキシロールおよびレシメトールなどの降圧剤;カベルゴリン、ペルゴリド、ブロモクリプチンおよびテルグリドなどの抗パーキンソン病薬;アンブフィリンなどの気管支拡張剤;シメチジン、ランソプラゾール、オメプラゾール、パントプラゾール(pantaprozole)およびラベプラゾールなどの抗潰瘍薬;セファトリジンおよびダプトマイシンなどの抗菌剤;エルゴノビンおよびメチルエルゴノビンなどの分娩誘発剤;エトドラクなどの鎮痛剤;リアロゾール、ペメトレキセド、チアミプリン、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビンデシン、ビノレルビン、ボアカミンおよびビンフルニン(venflunine)などの抗新生物薬;オキシペルチン、インダルピンおよびロキシンドールなどの抗うつ剤;ペミロラスト、タザノラストおよびトラキサノクスなどの抗アレルギー薬;ピモベンダンおよびスルマゾールなどの強心剤;プランルカストなどの抗喘息薬;ラモセトロン、トロピセトロンおよびアリザプリドなどの制吐薬;ベンダゾールおよびタダラフィルなどの血管拡張剤;アロプリノールなどの抗痛風薬;アザチオプリンなどの抗リウマチ薬;ヨヒンビンなどの散瞳薬;コニバプタンなどのうっ血性心不全のための治療剤;ならびにアドレノグロメルロトロピン、オクトレオチド、ソマトスタチン、エキセナチド、テリパラチド、リュープロレリンおよびゴセレリンなどのホルモン剤が含まれる。
【0028】
一実施形態では、親薬物は、少なくとも1つの複素芳香族性NH基を含むペプチドである。かかるペプチドには、トリプトファンおよびヒスチジンから選択される少なくとも1つの残基を含む、2〜約50個、2〜約40個、2〜約20個または2〜約12個のアミノ酸残基を含むペプチドが含まれる。適切なペプチドには、それに限定されるものではないが、サイロトロピン放出ホルモン(TRH)、エキセナチド、ダプトマイシン、オクトレオチド、ソマトスタチン、テリパラチド、リュープロレリンおよびゴセレリンが含まれる。
【0029】
本発明のプロドラッグに誘導され得る複素芳香族性NHを含有する親薬物は数々あるが、本発明のプロドラッグの化学構造の多くは、特定の一般構造の種類によって特徴付けることができる。ある種類には、複素芳香族基がピロール基である化合物が含まれる。別の種類には、複素芳香族基がイミダゾール基である化合物が含まれる。別の種類には、複素芳香族基が1,2,3−トリアゾール基または1,2,4−トリアゾール基である化合物が含まれる。別の種類には、複素芳香族基がテトラゾール基である化合物が含まれる。別の種類には、複素芳香族基がベンゾイミダゾール基である化合物が含まれる。別の種類には、複素芳香族基がインドール基である化合物が含まれる。別の種類には、複素芳香族基がピラゾール基である化合物が含まれる。
【0030】
本発明のプロドラッグを生成するために修飾され得るベンゾイミダゾールを含有する親薬物には、アルベンダゾール(albenazole)、カルベンダゾール、シクロベンダゾール、ランソプラゾール、リアロゾール、メベンダゾール、ミゾラスチン、オメプラゾール、パントプラゾール(pantaprazole)、ピモベンダン、ラベプラゾール、チアベンダゾール、ベンダゾールおよびミベフラジル(mibepradil)が含まれる。ベンゾイミダゾールを含有する好ましい薬物には、ランソプラゾール、ミベフラジルおよびピモベンダンが含まれる。
【0031】
本発明のプロドラッグを生成するために修飾され得るイミダゾールを含有する親薬物には、アロセトロン、アンブフィリン、シメチジン、コニバプタン、デクスメデトミジン、ラモセトロン、チアミプリン、スルマゾール、アザチオプリン、エキセナチド、テリパラチド、サイロトロピン放出ホルモン(TRH)、ゴセレリンおよびリュープロレリンが含まれる。イミダゾールを含有する好ましい薬物には、コニバプタン、スルマゾールおよびアザチオプリンが含まれる。
【0032】
本発明のプロドラッグを生成するために修飾され得るインドールを含有する親薬物には、アルモトリプタン、アテビルジン、ボピンドロール、ブロモクリプチン、ブシンドロール、カベルゴリン、デラビルジン、デセルピジン、ドラセトロン、エレトリプタン、メシル酸エルゴロイド、エルゴノビン、エトドラク、フロバトリプタン、インドラミン、リスリド、メピンドロール(mepidolol)、メチルエルゴノビン、ナラトリプタン、オキシペルチン、ペメトレキセド、ペルゴリド、レシナミン、レセルピン、リザトリプタン、スマトリプタン、タダラフィル、トロピセトロン、アドレノグロメルロトロピン(adrenoglomerulotriptan)、ブロモクリプチン、エルゴタミン、インダルピン、ラウバシン、レセルピリン、ロキシンドール、シロシンゴピン、テルグリド、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビンデシン、ビノレルビン、ボアカミン、ビンフルニン アテビルジン、カルモキシロール、レシメトール、ヨヒンビン、ゾルミトリプタン、オクトレオチド、ソマトスタチン、エキセナチド、テリパラチド、ダプトマイシン、リュープロレリンおよびゴセレリンが含まれる。インドールを含有する好ましい薬物には、ボピンドロール、ブシンドロール、カベルゴリン、ドラセトロン、インドラミン、オキシペルチン、ペルゴリド、レシナミン、レセルピン、アテビルジン、カルモキシロールおよびレシメトールが含まれる。
【0033】
本発明のプロドラッグを生成するために修飾され得るピラゾールを含有する親薬物には、メピプラゾールおよびアロプリノールが含まれる。
【0034】
本発明のプロドラッグを生成するために修飾され得るテトラゾールを含有する親薬物には、カンデサルタン、イルベサルタン、ロサルタン、オルメサルタン、ペミロラスト、プランルカスト、タソサルタン、トラキサノクスおよびバルサルタンが含まれる。
【0035】
本発明のプロドラッグを生成するために修飾され得るトリアゾールを含有する親薬物には、セファトリジンおよびアリザプリドが含まれる。
【0036】
本発明に従って修飾され得る特に好ましい親薬物には、ボピンドロール、ブシンドロール、カベルゴリン、カンデサルタン、セファトリジン、コニバプタン、インドラミン、イルベサルタン、ランソプラゾール、ミベフラジル、オルメサルタン、オキシペルチン、ペミロラスト、ペルゴリド、ピモベンダン、レシナミン、レセルピン、バルサルタン、スルマゾール、アザチオプリン、アテビルジン、カルモキシロールおよびレシメトールが含まれる。
【0037】
本発明の親薬物またはプロドラッグはいずれも、置換されている親薬物または親のプロドラッグが、患者に投与される場合に、インビボで化学的および/または酵素的加水分解によって切断されることにより親薬物部分を放出し、その結果、患者への送達を企図された十分な量の化合物がその所期の治療上の使用に対して持続放出方式で利用可能である限り、本明細書に用語が定義されている通り、さらに置換されていてよいことを理解されたい。置換されている親薬物または親薬物を含むプロドラッグの一例は、親薬物の薬学的に許容されるエステルである。親薬物または親のプロドラッグは、それに限定されるものではないが、プロドラッグの合成中の親の安定化および患者への投与のためのプロドラッグの安定化を含む任意の目的で、さらに置換されていてよい。
【0038】
一実施形態では、親薬物は、式III〜VIIIの1つによって表される。
【0039】
【化4】

式中、R、R、RおよびRは、組み合わさって、5員の複素芳香環に加えて親薬物の一部を形成する。例えば、R、R、RおよびRはそれぞれ、独立に、水素、必要に応じて置換されている脂肪族、芳香族、複素芳香族またはその組合せであってよい。R〜Rのいずれか2つは、それらが結合している炭素原子と一緒になって、1つまたは複数の必要に応じて置換されている縮合環系を形成することもできる。一実施形態では、R、R、RおよびRは、それぞれ独立に、水素、ハロゲン、アミノ、置換アミノ、必要に応じて置換されている脂肪族、必要に応じて置換されているアリール、および必要に応じて置換されているヘテロシクリルから選択されるか、またはRおよびR、RおよびR、もしくはRおよびRは、それらが結合している炭素原子と一緒になって、必要に応じて置換されているシクロアルケニル、アリール、ヘテロシクリルまたはヘテロアリール環を形成する。
【0040】
一実施形態では、親薬物は、式IXによって表される。
【0041】
【化5】

式中、Uは、C(R)またはNであり、RおよびRは、前述のものと同一の特徴を有し、各Rは、独立に、必要に応じて置換されている脂肪族、芳香族、複素芳香族またはその組合せである。R、RおよびRのいずれか2つは、それらが結合している炭素原子と一緒になって、1つまたは複数の必要に応じて置換されている縮合環系を形成することもできる。一実施形態では、各Rは、独立に、水素、ハロゲン、アミノ、置換アミノ、必要に応じて置換されている脂肪族、必要に応じて置換されているアリール、および必要に応じて置換されているヘテロシクリルから選択されるか、または2つの隣接するR基は、それらが結合している炭素原子と一緒になって、必要に応じて置換されているシクロアルケニル、アリール、ヘテロシクリルもしくはヘテロアリール環を形成し、mは整数0〜4である。
【0042】
一実施形態では、本発明のプロドラッグ化合物は、式X〜XVの1つによって表される化合物または薬学的に許容されるその塩であり、
【0043】
【化6】

式中、R、R、R、RおよびRは、上に定義した通りである。Rは、好ましくは、−CH(R)−OR10、−CH(R)−OC(O)OR10、−CH(R)−OC(O)R10、−CH(R)−OC(O)NR1112、−CH(R))−OPOMY、−CH(R)−OP(O)(OR11)M、−CH(R)−OP(O)(OR11)(OR12)、−[CH(R)O]−R10、−[CH(R)O]−C(O)OR10、−[CH(R)O]−C(O)R10、−[CH(R)O]−C(O)NR1112、−[CH(R)O]−POMY、−[CH(R)O]−P(O)(OR11)Mおよび−[CH(R)O]−P(O)(OR11)(OR12)から選択され、Rは、水素、脂肪族または置換脂肪族であり、R10は、C〜C24−アルキル、置換C〜C24−アルキル、C〜C24−アルケニル、置換C〜C24−アルケニル、C〜C24−アルキニル、置換C〜C24−アルキニル、C〜C12シクロアルキル、置換C〜C12−シクロアルキル、アリールまたは置換アリールであり、R11およびR12は、それぞれ独立に、水素、脂肪族、置換されている脂肪族、アリールまたは置換アリールであるが、ただしR11およびR12の少なくとも1つは水素ではなく、またはR11およびR12は、一緒になって、置換もしくは非置換アルキレン基または置換もしくは非置換アルケニレン基を形成し、これらの基は、酸素、窒素および硫黄から独立に選択される最大3個のヘテロ原子によって必要に応じて分断されていてよく、YおよびMは、同じかもしくは異なっており、それぞれは一価のカチオンであるか、またはMおよびYは、一緒になって二価のカチオンになり、nは2または3である。
【0044】
一実施形態では、本発明のプロドラッグ化合物は、式XVIによって表され、
【0045】
【化7】

式中、U、R、R、Rおよびmは、それぞれ前述のものと同一の特徴を有する。
【0046】
本発明の化合物の好ましい一実施形態では、Rは水素であり、Rは、水素、C〜C−アルキル、好ましくはメチルまたはイソプロピル、−C(O)H、−CH(OH)CHOH、−C(O)OHまたは−C(O)OEtである。特に好ましい一実施形態では、RおよびRの両方が水素である。
【0047】
本発明の化合物の一実施形態では、Rは、−CH(R)−OC(O)OR10、−CH(R)−OC(O)R10および−CH(R)−OC(O)NR1112から選択される。別の実施形態では、Rは、−CH(R)−OPOMY、−CH(R)−OP(O)(OR11)Mおよび−CH(R)−OP(O)(OR11)(OR12)から選択される。
【0048】
本発明の化合物の一実施形態では、R10、またはR11およびR12の少なくとも1つは、必要に応じて置換されているアリール、C〜C24−アルキル、C〜C24−アルケニルまたはC〜C24−アルキニルである。別の実施形態では、R10、またはR11およびR12の少なくとも1つは、分枝鎖状C〜C24−アルキル、分枝鎖状C〜C24−アルケニルまたは分枝鎖状C〜C24−アルキニル、好ましくは分枝鎖状C〜C24アルキル、分枝鎖状C〜C24−アルケニルまたは分枝鎖状C〜C24−アルキニルである。一実施形態では、R10、またはR11およびR12の少なくとも1つは、C〜C12−シクロアルキル、1−メチル−C〜C12−シクロアルキル、イソプロピル、sec−ブチル、t−ブチル、ペンタ−2−イル、ヘキサ−2−イル、ヘプタ−2−イル、シクロペンチル、ネオペンチル、3−メチルペンタ−3−イル、3−エチルペンタ−3−イル、2,3−ジメチルブタ−2−イル、1−メチルシクロペンチル、1−メチルシクロヘキシル、1−エチルシクロヘキシルまたは以下の式(i)〜(v)の1つに相当する分枝鎖状アルキル基などの、第二級もしくは第三級C〜C24−アルキル基、第二級もしくは第三級C〜C24−アルケニル基、第二級もしくは第三級C〜C24−アルキニル基、第二級もしくは第三級C〜C24−アルキル基、第二級もしくは第三級C〜C24−アルケニル基または第二級もしくは第三級C〜C24−アルキニル基である。
【0049】
【化8】

これらの基において、rは0〜21であり、sは0〜20である。tおよびuのそれぞれは、独立に0〜21であるが、ただしtおよびuの合計は0〜21である。v、wおよびxのそれぞれは、独立に0〜20であるが、ただしv、wおよびxの合計は0〜20である。zは整数1〜10であり、yは整数0〜20であるが、ただしzおよびyの合計は1〜21である。好ましくは、rは整数5〜21であり、sは整数1〜20であり、tおよびuの合計は5〜21であり、v、wおよびxの合計は4〜20であり、yおよびzの合計は5〜21である。R10は、1つまたは複数の炭素−炭素単結合を炭素−炭素二重結合または炭素−炭素三重結合で置き換えることによって式I〜vのアルキル基の1つに由来するアルケニル基またはアルキニル基であってもよい。
【0050】
本発明の化合物の一実施形態では、R10、またはR11およびR12の少なくとも1つは、必要に応じて置換されているβ−分岐のC〜C24−アルキル、C〜C24−アルケニルまたはC〜C24−アルキニル、好ましくは必要に応じて置換されているβ−分岐のC〜C24−アルキル、C〜C24−アルケニルまたはC〜C24−アルキニルである。β−分岐のアルキル基の適切な例には、2−メチルプロピル、2,2−ジメチルプロピル、2−メチルブチル、2,2−ジメチルブチル、2−メチルペンチル、2,2−ジメチルペンチルおよび2−エチル−2−メチルブチルを含む、2−メチル−C〜C23−アルキルおよび2,2−ジメチル−C〜C22−アルキルが含まれる。
【0051】
本発明の化合物の一実施形態では、R10、またはR11およびR12の少なくとも1つは、フェニル−C〜C24−アルキル基などの必要に応じて置換されているアリール−C〜C24−アルキル基である。別の実施形態では、R10は、必要に応じて置換されているC〜C24−アルキルアリール、必要に応じて置換されているC〜C24−アルケニルアリールまたは必要に応じて置換されているC〜C24−アルキニルアリールである。
【0052】
本発明の化合物の一実施形態では、Rは、−CH(R)−OPOMYまたは−CH(R)−OP(O)(OR11)Mであり、MおよびYは、それぞれ独立に、H、Na、K、NH、Csなどの一価のカチオン、またはアルギニン、リシン、ジエチルアミン、エチレンジアミンもしくはピペラジンのプロトン化カチオンを含む、有機アンモニウムイオンもしくはグアニジウムイオンなどの有機カチオンである。MおよびYは、一緒になって、Zn2+、Fe2+、Ca2+またはMg2+などの二価のカチオンを表すこともできる。好ましくは、MおよびYは、一緒になってCa2+になる。
【0053】
特定の実施形態では、Rは、下記の構造の1つによって定義される基である。
【0054】
【化9】

式中、nは1〜約1000、好ましくは1〜約100であり、R、RおよびRは、それぞれ独立に、C〜C24−アルキル、置換C〜C24−アルキル、C〜C24−アルケニル、置換C〜C24−アルケニル、C〜C24−アルキニル、置換C〜C24−アルキニル、C〜C12−シクロアルキル、置換C〜C12−シクロアルキル、アリールまたは置換アリールであり、Rは、Hまたは置換もしくは非置換C〜C−アルキルであり、Rは、H、置換もしくは非置換C〜C−アルキル、置換もしくは非置換アリール−C〜C−アルキル、または置換もしくは非置換ヘテロアリール−C〜C−アルキルであり、Rは、先に定義した通りであり、好ましくは水素である。好ましくは、R、RおよびRは、それぞれC〜C24−アルキルである。好ましくは、Rは、20個の天然に存在するアミノ酸の1つの側鎖であり、より好ましくは水素、メチル、イソプロピル、イソブチル、ベンジル、インドリルメチルおよびsec−ブチルなどの中性または疎水性側鎖である。RおよびRはまた、それらが結合している炭素原子および窒素原子と一緒になって、ヘテロシクロアルキル基、好ましくはピロリジン基を形成することができる。
【0055】
好ましい実施形態では、式I、X、XI、XII、XIII、XIV、XVおよびXVIのいずれかの可変基Rは、以下の表1に示した群から選択される。
表1
【0056】
【表1−1】

【0057】
【表1−2】

【0058】
【表1−3】

【0059】
【表1−4】

【0060】
【表1−5】

【0061】
【表1−6】

【0062】
【表1−7】

【0063】
【表1−8】

【0064】
【表1−9】

【0065】
【表1−10】

【0066】
【表1−11】

【0067】
【表1−12】

【0068】
【表1−13】

【0069】
【表1−14】

【0070】
【表1−15】

【0071】
【表1−16】

【0072】
【表1−17】

【0073】
【表1−18】

【0074】
【表1−19】

【0075】
【表1−20】

【0076】
【表1−21】

【0077】
好ましい実施形態では、式I、X、XI、XII、XIII、XIV、XVおよびXVIのいずれかの可変基Rは、以下の表2、3および4に示した群から選択される。
表2
【0078】
【表2−1】

【0079】
【表2−2】

【0080】
【表2−3】

【0081】
表3
【0082】
【表3−1】

【0083】
【表3−2】

【0084】
表4
【0085】
【表4−1】

【0086】
【表4−2】

【0087】
【表4−3】

【0088】
特定の実施形態では、式I、X、XI、XII、XIII、XIV、XVおよびXVIのいずれかの可変基Rは、以下の表5に示した群から選択される。
表5
【0089】
【表5−1】

【0090】
【表5−2】

【0091】
【表5−3】

【0092】
【表5−4】

【0093】
【表5−5】

【0094】
一実施形態では、本発明は、下記の式によって表されるプロドラッグ化合物を提供する。親薬物の名称を、各式の上に提示する。これらの式のそれぞれでは、Rは、先の表1〜5に記載のものと同一の特徴を含む前述の意味のいずれかを有することができる。
【0095】
【化10】

【0096】
【化11】

【0097】
【化12】

【0098】
【化13】

【0099】
【化14】

【0100】
【化15】

【0101】
【化16】

【0102】
好ましい一実施形態では、本発明の化合物は、生理的pHにおける水性溶媒への溶解性が親薬物よりも低い。一実施形態では、本発明の化合物は、pH7.4のリン酸緩衝液中、室温で約0.01mg/mL、0.005mg/mL、0.001mg/mL、0.0005mg/mL、0.0001mg/mL、0.00005mg/mLまたは0.00001mg/mL未満の溶解度を有する。好ましい実施形態では、プロドラッグは、親薬物と比較して約1.2〜約7.5、約3〜約7.5、約4〜約7.5、または約5〜約7.5のpH範囲における水溶液への溶解度が低い。好ましい実施形態では、プロドラッグは、pH7.4のリン酸緩衝液中でおよび/または先のpH範囲の1つにおいて室温での溶解度が、親薬物の約10分の1以下である。
【0103】
好ましい一実施形態では、本発明の化合物は、例えば経口または非経口で被験体に投与される場合には、数時間、数日、数週間または数カ月にわたる親薬物の持続的送達を提供する。例えば、化合物は、最大1、7、15、30、60、75もしくは90日間、またはそれ以上にわたる親薬物の持続的送達を提供することができる。理論に拘泥するものではないが、本発明の化合物は、非経口投与、例えば皮下、筋肉内または腹腔内注射される際には不溶性デポーを形成すると考えられる。
【0104】
別の実施形態では、本発明は、複素芳香族性NHを含有する親薬物を、それを必要としている被験体に持続的に送達する方法を提供する。該方法は、親の複素芳香族性NH基を、不安定な疎水性のアルデヒドで連結されたプロドラッグ部分で置換することによって形成されるプロドラッグの有効量を被験体に投与するステップを含み、該プロドラッグは、親薬物と比較して、生理的条件下で溶解度が低く、親薬物の投与後に観測されるレベルよりも長時間、親薬物の持続的な治療レベルを投与後に提供する。一実施形態では、親薬物は、式IIによって表され、
【0105】
【化17】

プロドラッグ化合物は、式Iによって表される。
【0106】
【化18】

本発明の化合物は、酸付加塩として調製することができる。好ましくは、酸は薬学的に許容される酸である。かかる酸は、Stahl、P.H. and Wermuth、C.G.(eds.)、Handbook of Pharmaceutical Salts: Properties、Selection and Use、Wiley VCH(2008年)に記載されている。薬学的に許容される酸には、酢酸、ジクロロ酢酸、アジピン酸、アルギン酸、L−アスコルビン酸、L−アスパラギン酸、ベンゼンスルホン酸、4−アセトアミド安息香酸、安息香酸、p−ブロモフェニルスルホン酸、(+)−ショウノウ酸、(+)−カンファー−10−スルホン酸、カプリン酸、カプロン酸、カプリル酸、炭酸、ケイ皮酸、シクラミン酸、ドデシル硫酸、エタン−1,2−ジスルホン酸、エタンスルホン酸、2−ヒドロキシエタンスルホン酸、硫酸、ホウ酸、クエン酸、ギ酸、フマル酸、ガラクタル酸、ゲンチシン酸、D−グルコヘプトン酸、D−グルコン酸、D−グルクロン酸、グルタミン酸、グルタル酸、2−オキソグルタル酸、グリセロリン酸、グリコール酸、馬尿酸、塩化水素酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、イソ酪酸、DL−乳酸、ラクトビオン酸、ラウリン酸、マレイン酸、(−)−L−リンゴ酸、マロン酸、DL−マンデル酸、メタンスルホン酸、ナフタレン−1,5−ジスルホン酸、ナフタレン−2−スルホン酸、1−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸、ニコチン酸、硝酸、オレイン酸、オロチン酸、シュウ酸、パルミチン酸、パモ酸、リン酸、プロピオン酸、(−)−L−ピログルタミン酸、サリチル酸、4−アミノサリチル酸、セバシン酸、ステアリン酸、コハク酸、(+)−L−酒石酸、チオシアン酸、p−トルエンスルホン酸およびウンデシレン酸が含まれる。
【0107】
医薬組成物
本発明の医薬組成物は、1つまたは複数の薬学的に許容される担体または添加剤と一緒に製剤化された、治療有効量の本発明の化合物を含む。
【0108】
本明細書で使用される場合、用語「薬学的に許容される担体または添加剤」は、任意の種類の、非毒性で不活性な固体、半固体または液体の充填剤、賦形剤、カプセル化材料または製剤用助剤を意味する。薬学的に許容される担体として働くことができる材料のいくつかの例は、ラクトース、グルコースおよびスクロースなどの糖類;アルファ(α)−シクロデキストリン、ベータ(β)−シクロデキストリンおよびガンマ(γ)−シクロデキストリンなどのシクロデキストリン;トウモロコシデンプンおよびジャガイモデンプンなどのデンプン;カルボキシメチルセルロースナトリウム、エチルセルロースおよび酢酸セルロースなどのセルロースおよびその誘導体;粉末化トラガント;麦芽;ゼラチン;タルク;カカオバターおよび坐剤用ワックスなどの添加剤;ピーナッツ油、綿実油、ベニバナ油、ゴマ油、オリーブ油、トウモロコシ油および大豆油などの油;プロピレングリコールなどのグリコール;オレイン酸エチルおよびラウリン酸エチルなどのエステル;寒天;水酸化マグネシウムおよび水酸化アルミニウムなどの緩衝剤;アルギン酸;発熱物質を含まない水;等張食塩水;リンゲル溶液;エチルアルコールおよびリン酸緩衝液、ならびにラウリル硫酸ナトリウムおよびステアリン酸マグネシウムなどの他の非毒性の適合性滑沢剤、ならびに着色剤、放出剤、コーティング剤、甘味剤、香味剤および賦香剤、保存剤および抗酸化剤であり、これらは薬剤師の判断に従って組成物中に存在することもできる。
【0109】
本発明の医薬組成物は、経口、非経口、吸入スプレー、局所、直腸内、経鼻、頬側、膣内または移植片リザーバーによって投与することができる。好ましい一実施形態では、投与は、注射による非経口投与である。
【0110】
本発明の医薬組成物は、任意の従来の非毒性の薬学的に許容される担体、アジュバントまたはビヒクルを含有することができる。ある場合には、製剤のpHを、薬学的に許容される酸、塩基または緩衝剤で調節して、製剤化された化合物またはその送達形態の安定性を強化することができる。非経口という用語には、本明細書で使用される場合、皮下、皮内、静脈内、筋肉内、関節内、動脈内、滑液嚢内、胸骨内、髄腔内、病巣内および頭蓋内注射または注入技術が含まれる。
【0111】
経口投与のための液体剤形には、薬学的に許容されるエマルション、マイクロエマルション、溶液、懸濁液、シロップおよびエリキシル剤が含まれる。液体剤形は、活性化合物に加えて、一般に当技術分野で使用される不活性賦形剤、例えば水、またはエチルアルコール、イソプロピルアルコール、炭酸エチル、酢酸エチル、ベンジルアルコール、安息香酸ベンジル、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、油(特に、綿実油、落花生油、トウモロコシ油、胚芽油、オリーブ油、ヒマシ油およびゴマ油)、グリセロール、テトラヒドロフルフリルアルコール、ポリエチレングリコールおよびソルビタンの脂肪酸エステルなどの他の溶媒、可溶化剤および乳化剤、ならびにその混合物を含有することができる。経口組成物は、不活性賦形剤に加えて、湿潤剤、乳化剤および懸濁化剤、甘味剤、香味剤、ならびに芳香剤などのアジュバントを含むこともできる。
【0112】
注射可能な調製物、例えば注入可能な滅菌水性または油性懸濁液は、適切な分散剤または湿潤剤および懸濁化剤を使用して公知の技術に従って製剤化することができる。注入可能な滅菌調製物は、INTRALIPID(登録商標)、LIPOSYN(登録商標)もしくはOmegavenなどの注入可能な滅菌懸濁液もしくはエマルション、または例えば1,3−ブタンジオール溶液としての、非毒性の非経口で許容される賦形剤または溶媒中溶液であってもよい。INTRALIPID(登録商標)は、10〜30%の大豆油、1〜10%の卵黄リン脂質、1〜10%のグリセリンおよび水を含有する静脈内用の脂肪エマルションである。LIPOSYN(登録商標)は、2〜15%のベニバナ油、2〜15%の大豆油、0.5〜5%の卵ホスファチド、1〜10%のグリセリンおよび水を含有する、やはり静脈内用の脂肪エマルションである。OMEGAVEN(登録商標)は、約5〜25%の魚油、0.5〜10%の卵ホスファチド、1〜10%のグリセリンおよび水を含有する注入用のエマルションである。使用してもよい許容されるビヒクルおよび溶媒には、水、リンゲル溶液、USPおよび等張食塩水が含まれる。さらに無菌固定油は、従来、溶媒または懸濁化媒体として使用されている。この目的では、合成のモノグリセリドまたはジグリセリドを含む任意の無刺激性の固定油を使用することができる。さらに、オレイン酸などの脂肪酸は、注射可能な調製物に使用される。
【0113】
注射可能な製剤は、例えば、細菌保持フィルターに通す濾過によって、または使用前に滅菌水もしくは他の注入可能な滅菌媒体に溶解もしくは分散させることができる滅菌固体組成物の形態に滅菌剤を組み込むことによって滅菌することができる。
【0114】
直腸または膣内投与のための組成物は、本発明の化合物を、周囲温度では固体であるが、体温で液体になり、したがって直腸または膣腔内で溶融し、活性化合物を放出するカカオバター、ポリエチレングリコールまたは坐剤用ワックスなどの適切な非刺激性の添加剤または担体と混合することによって調製され得る坐剤であることが好ましい。
【0115】
経口投与のための固体剤形には、カプセル剤、錠剤、丸剤、散剤および顆粒が含まれる。かかる固体剤形では、活性化合物は、クエン酸ナトリウムもしくはリン酸第二カルシウムなどの少なくとも1つの不活性な薬学的に許容される添加剤もしくは担体、ならびに/または:a)デンプン、ラクトース、スクロース、グルコース、マンニトールおよびケイ酸などの充填剤もしくは増量剤、b)例えば、カルボキシメチルセルロース、アルギネート、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、スクロースおよびアカシアなどの結合剤、c)グリセロールなどの湿潤剤、d)寒天、炭酸カルシウム、ジャガイモデンプンもしくはタピオカデンプン、アルギン酸、特定のシリケートおよび炭酸ナトリウムなどの崩壊剤、e)パラフィンなどの溶解遅延剤、f)第四級アンモニウム化合物などの吸収促進剤、g)例えば、セチルアルコールおよびグリセロールモノステアレートなどの湿潤剤、h)カオリンおよびベントナイト粘土などの吸収剤、ならびにi)タルク、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、固体ポリエチレングリコール、ラウリル硫酸ナトリウムなどの滑沢剤、ならびにその混合物と混合される。カプセル剤、錠剤および丸剤の場合、剤形は、緩衝剤を含むこともできる。
【0116】
ラクトースまたは乳糖ならびに高分子量ポリエチレングリコールなどの添加剤を使用して、類似の種類の固体組成物を、軟質および硬質充填ゼラチンカプセル剤における充填剤として使用することもできる。
【0117】
錠剤、糖衣錠、カプセル剤、丸剤および顆粒の固体剤形は、医薬製剤技術分野で周知の腸溶コーティングおよび他のコーティングなどのコーティングおよびシェルを用いて調製することができる。これらは必要に応じて乳白剤を含有することができ、腸管の特定部分だけで、またはそこで優先的に、活性成分(複数可)を必要に応じて遅延方式で放出する組成物であってもよい。使用できる包埋組成物の例には、ポリマー性物質およびワックスが含まれる。
【0118】
本発明の化合物の局所または経皮投与のための剤形には、軟膏、ペースト、クリーム、ローション、ゲル、散剤、溶液剤、スプレー剤、吸入剤またはパッチが含まれる。活性な構成成分は、無菌条件下で、薬学的に許容される担体および必要に応じて任意の必要な保存剤または緩衝剤と混和される。眼科用製剤、点耳薬、眼科用軟膏、散剤および溶液剤も、本発明の範囲に含まれるものとする。
【0119】
軟膏、ペースト、クリームおよびゲルは、本発明の活性化合物に加えて、動物性脂肪および植物性脂肪、油、ワックス、パラフィン、デンプン、トラガント、セルロース誘導体、ポリエチレングリコール、シリコーン、ベントナイト、ケイ酸、タルクならびに酸化亜鉛、またはその混合物などの添加剤を含有することができる。
【0120】
散剤およびスプレー剤は、本発明の化合物に加えて、ラクトース、タルク、ケイ酸、水酸化アルミニウム、ケイ酸カルシウムおよびポリアミド粉末、またはこれらの物質の混合物などの添加剤を含有することができる。スプレー剤はさらに、クロロフルオロ炭化水素などの通例の噴霧剤を含有することができる。
【0121】
経皮パッチは、身体への化合物の制御送達を提供するという追加の利点を有する。かかる剤形は、適切な媒体に化合物を溶解または分散させることによって生成され得る。吸収賦活薬を使用して、皮膚を横断する化合物のフラックスを増大させることもできる。速度は、速度制御膜を提供することによって、またはポリマーマトリックスもしくはゲルに化合物を分散させることによって制御され得る。
【0122】
肺送達では、本発明の治療用組成物は、固体または液体微粒子の形態で製剤化され、直接投与によって、例えば呼吸器系への吸入によって患者に投与される。本発明を実施するために調製される活性化合物の固体または液体微粒子形態は、呼吸できるサイズ、すなわち吸入時に口および喉頭を通過して気管支および肺の肺胞に到達するのに十分小さいサイズの粒子を含む。エアロゾル化治療剤、特にエアロゾル化抗生物質の送達は、当技術分野で公知である(例えば、すべて参照によって本明細書に組み込まれる、VanDevanterらの米国特許第5,767,068号、Smithらの米国特許第5,508,269号およびMontgomeryのWO98/43650参照)。抗生物質の肺送達についての議論は、参照によって本明細書に組み込まれる米国特許第6,014,969号にも見られる。
【0123】
好ましい実施形態では、本発明の化合物、または本発明の1つもしくは複数の化合物を含む医薬組成物は、例えば筋肉内、皮下または腹腔内注射によって非経口投与される。理論に拘泥するものではないが、本発明の化合物は、注射されたとき、プロドラッグ分子が経時的に放出される不溶性のまたはわずかに溶解性のデポーを形成すると考えられる。
【0124】
本発明のプロドラッグ化合物の「治療有効量」とは、任意の医学的治療に適用できる妥当な受益性/危険性割合で、治療を受ける被験体に対して治療効果をもたらす化合物の量を意味する。治療効果は、客観的(すなわち、いくつかの試験またはマーカーによって測定可能)または主観的(すなわち、被験体が効果の効用を示し、または感じる)であり得る。
【0125】
本発明によれば、本発明のプロドラッグの治療有効量は、一般に、複素芳香族性NHを含有する親薬物の標的治療用量に基づく。投与および投与頻度に関する情報は、複素芳香族性NHを含有する多くの親薬物に対して容易に利用可能であり、標的治療用量は、それぞれの本発明のプロドラッグに対して算出することができる。本発明によれば、同用量の本発明のプロドラッグは、親薬物と比較して、より長い治療効果期間を提供する。したがって、親薬物の単回用量が12時間の治療有効性を提供する場合、12時間を超えて治療有効性を提供する本発明の同じ親薬物のプロドラッグは、「持続放出」を達成するとみなされる。
【0126】
本発明のプロドラッグの正確な用量は、親薬物の性質および用量、ならびに親薬物に連結したプロドラッグ部分の化学的特徴を含むいくつかの因子に応じて決まる。最終的には、本発明のプロドラッグの有効用量および投与頻度は、担当医によって良好な医学的判断の範囲内で決定されよう。任意の特定の患者に対する具体的な治療上有効な用量レベルおよび投与頻度は、治療を受ける障害および障害の重症度;使用される具体的な化合物の活性;使用される具体的な組成物;患者の年齢、体重、全体的な健康状態、性別および食事;使用される具体的な化合物の投与時間、投与経路および排出速度;治療期間;使用される具体的な化合物と組み合わせて、または同時に使用される薬物;ならびに医療分野で周知の類似の因子を含む様々な因子に応じて決まることになる。
【0127】
本発明の好ましい化合物は、親薬物の投与と比較して、投与後に持続的な活性を示す。本発明の化合物は、例えば同じ経路によって同じ量(親薬物の当量によって測った場合に)で投与される場合、親薬物よりも著しく長い期間にわたって親薬物の持続的な治療上の血清レベルを提供する。かかる投与は経口投与であってよく、これには数時間にわたる持続的な送達、または数日、数週間もしくは数カ月にわたる持続的な送達が伴う。
【0128】
過量放出(dose dumping)は、永続的な害、さらには死亡を含む、重篤な結果を患者にもたらすおそれがある。例えば過量放出によって治療上有益な用量を超えると致死的になり得る薬物の例には、オピオイドなどの鎮痛薬、ならびに中枢神経系において活性な他の薬剤が含まれる。過量放出が致死的になり得ない状況でも、過量放出は、親薬物単独(プロドラッグ形態ではない)の投与と比較して、少なくとも患者の鎮静の増大などの副作用の原因になり得る。
【0129】
本発明は、それに限定されるものではないが鎮静の増大を含む、持続放出製剤の過量放出およびその関連する副作用の問題を、プロドラッグが投与される環境のpHに依存しない方式で低い溶解性および持続放出作用を維持するプロドラッグを提供することによって解決する。経口投与の際中、本発明のプロドラッグは、胃内の非常に低いpH(例えば、pH1〜2)から、その後腸管壁を横断して血流に入るときの高いpHを含む様々なpH条件に曝露される。注射の際中、注射部位のpHが低下し得ることも観測されている(例えば、pH6.0未満)。CRS 2009 Annual Meeting、Copenhagen Denmark、poster 242;Steen, K.H.;Steen, A.E.;Reeh, P.W. The Journal of Neuroscience(1995年)、15巻:3982〜3989頁。注射部位のpHは、短時間(1〜2時間)低下することがあるが、摂動は、pH依存性の溶解性を有する塩基性薬物を実質的に溶解させるのに十分である。本発明によれば、本発明のプロドラッグの低い溶解性は、pHのどんな変化にも影響を受けないままである。好ましい一実施形態では、本発明のプロドラッグの低い溶解性は、pH4〜pH8のpH範囲にわたって影響を受けないままである。より好ましくは、本発明のプロドラッグの低い溶解性は、pH3〜pH9のpH範囲にわたって影響を受けないままである。最も好ましくは、本発明のプロドラッグの低い溶解性は、pH1.0〜10のpH範囲にわたって影響を受けないままである。
【0130】
さらに、本発明のプロドラッグにおいて企図されるものなどのカルボキシルエステル結合の安定性は、pHに依存し、最適な安定性はpH約4〜5で生じることが公知である。注射部位のpHが、中性pHの7.4よりも低い値に変化する場合、プロドラッグの安定性は、中性pHにおける安定性と比較して高い。この安定性の増加は、化合物からの活性薬物の早期放出の危険性をさらに低減し、したがってプロドラッグの化学的切断の加速による過量放出を回避する。
【0131】
定義
本発明を説明するために使用される様々な用語の定義を、以下に列挙する。これらの定義は、具体的な事例に制限されない限り個々にまたはより大きい基の一部として、本明細書および特許請求の範囲の全体にわたって使用される通り、その用語に適用される。
【0132】
用語「脂肪族基」または「脂肪族」は、飽和していてもよく(例えば、単結合)、または1つもしくは複数の不飽和単位、例えば二重および/または三重結合を含有していてもよい非芳香族部分を指す。脂肪族基は、直鎖、有枝鎖または環式であり、炭素、水素または必要に応じて1つもしくは複数のヘテロ原子を含有することができ、置換または非置換であってよい。脂肪族炭化水素基に加えて、脂肪族基には、例えばポリアルキレングリコール、ポリアミンおよびポリイミンなどの、例えばポリアルコキシアルキルが含まれる。かかる脂肪族基は、さらに置換されていてよい。脂肪族基には、本明細書に記載のアルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、および置換または非置換シクロアルキル基が含まれ得ることを理解されたい。
【0133】
用語「アシル」は、水素、アルキル、部分的に飽和または完全に飽和のシクロアルキル、部分的に飽和のまたは完全に飽和の複素環、アリールまたはヘテロアリールで置換されているカルボニルを指す。例えば、アシルには、(C〜C)アルカノイル(例えば、ホルミル、アセチル、プロピオニル、ブチリル、バレリル、カプロイル、t−ブチルアセチル等)、(C〜C)シクロアルキルカルボニル(例えば、シクロプロピルカルボニル、シクロブチルカルボニル、シクロペンチルカルボニル、シクロヘキシルカルボニル等)、複素環式カルボニル(例えば、ピロリジニルカルボニル、ピロリド−2−オン−5−カルボニル、ピペリジニルカルボニル、ピペラジニルカルボニル、テトラヒドロフラニルカルボニル等)、アロイル(例えば、ベンゾイル)およびヘテロアロイル(例えば、チオフェニル−2−カルボニル、チオフェニル−3−カルボニル、フラニル−2−カルボニル、フラニル−3−カルボニル、1H−ピロリル−2−カルボニル、1H−ピロリル−3−カルボニル、ベンゾ[b]チオフェニル−2−カルボニル等)などの基が含まれる。さらに、アシル基のアルキル、シクロアルキル、複素環、アリールおよびヘテロアリール部分は、それぞれの定義に記載の基のいずれか1つであってよい。「必要に応じて置換されている」と示される場合、アシル基は、非置換であってよく、または「置換されている」に関する定義で以下に列挙されている置換基の群から独立に選択される1つもしくは複数の置換基(一般に、1〜3個の置換基)で必要に応じて置換されていてよく、あるいはアシル基のアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリールおよびヘテロアリール部分は、それぞれ好ましい、およびより好ましい置換基の一覧で前述の通り置換されていてもよい。
【0134】
用語「アルキル」は、特定数の炭素を有する、分枝鎖状および直鎖の置換または非置換の飽和脂肪族炭化水素ラジカル/基の両方を含むものとする。好ましいアルキル基は、約1〜約24個の炭素原子(「C〜C24」)、好ましくは約7〜約24個の炭素原子(「C〜C24」)、好ましくは約8〜約24個の炭素原子(「C〜C24」)、好ましくは約9〜約24個の炭素原子(「C〜C24」)を含む。他の好ましいアルキル基は、約1〜約6個の炭素原子(「C〜C」)または約1〜約3個の炭素原子(「C〜C」)などの約1〜約8個の炭素原子(「C〜C」)を含む。C〜Cアルキル基の例には、それに限定されるものではないが、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、ネオペンチルおよびn−ヘキシル基が含まれる。
【0135】
用語「アルケニル」は、少なくとも1つの炭素−炭素二重結合を有する直鎖または分枝鎖状基を指す。かかる基は、好ましくは、約2〜約24個の炭素原子(「C〜C24」)、好ましくは約7〜約24個の炭素原子(「C〜C24」)、好ましくは約8〜約24個の炭素原子(「C〜C24」)、好ましくは約9〜約24個の炭素原子(「C〜C24」)を含有する。他の好ましいアルケニル基は、エテニル、アリル、プロペニル、ブテニルおよび4−メチルブテニルなどの2〜約10個の炭素原子(「C〜C10」)を有する「低級アルケニル」基である。好ましい低級アルケニル基は、2〜約6個の炭素原子(「C〜C」)を含む。用語「アルケニル」および「低級アルケニル」は、「シス」および「トランス」配向、あるいは「E」および「Z」配向を有する基を包含する。
【0136】
用語「アルキニル」は、少なくとも1つの炭素−炭素三重結合を有する直鎖または分枝鎖状基を指す。かかる基は、好ましくは約2〜約24個の炭素原子(「C〜C24」)、好ましくは約7〜約24個の炭素原子(「C〜C24」)、好ましくは約8〜約24個の炭素原子(「C〜C24」)、好ましくは約9〜約24個の炭素原子(「C〜C24」)を含有する。他の好ましいアルキニル基は、プロパルギル、1−プロピニル、2−プロピニル、1−ブチン、2−ブチニルおよび1−ペンチニルなどの2〜約10個の炭素原子を有する「低級アルキニル」基である。好ましい低級アルキニル基は、2〜約6個の炭素原子(「C〜C」)を含む。
【0137】
用語「シクロアルキル」は、3〜約12個の炭素原子(「C〜C12」)を有する飽和炭素環式基を指す。用語「シクロアルキル」は、3〜約12個の炭素原子を有する飽和炭素環式基を包含する。かかる基の例には、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチルおよびシクロヘキシルが含まれる。
【0138】
用語「シクロアルケニル」は、3〜12個の炭素原子を有する部分的に不飽和の炭素環式基を指す。2つの二重結合(共役していても、共役していなくてもよい)を含有する部分的に不飽和の炭素環式基であるシクロアルケニル基は、「シクロアルキルジエニル」と呼ぶことができる。より好ましいシクロアルケニル基は、4〜約8個の炭素原子を有する「低級シクロアルケニル」基である。かかる基の例には、シクロブテニル、シクロペンテニルおよびシクロヘキセニルが含まれる。
【0139】
用語「アルキレン」は、本明細書で使用される場合、特定数の炭素原子を有する直鎖または分枝鎖状飽和炭化水素鎖に由来する二価の基を指す。アルキレン基の例には、それに限定されるものではないが、エチレン、プロピレン、ブチレン、3−メチル−ペンチレンおよび5−エチル−へキシレンが含まれる。
【0140】
用語「アルケニレン」は、本明細書で使用される場合、少なくとも1つの炭素−炭素二重結合を有する特定数の炭素原子を含有する直鎖または分枝鎖状炭化水素部分に由来する二価の基を示す。アルケニレン基には、それに限定されるものではないが、例えば、エテニレン、2−プロペニレン、2−ブテニレン、1−メチル−2−ブテン−1−イレン等が含まれる。
【0141】
用語「アルキニレン」は、本明細書で使用される場合、少なくとも1つの炭素−炭素三重結合を有する特定数の炭素原子を含有する直鎖または分枝鎖状炭化水素部分に由来する二価の基を示す。代表的なアルキニレン基には、それに限定されるものではないが、例えば、プロピニレン、1−ブチニレン、2−メチル−3−ヘキシニレン等が含まれる。
【0142】
用語「アルコキシ」は、1〜約24個の炭素原子、または好ましくは1〜約12個の炭素原子のアルキル部分をそれぞれ有する、直鎖または分枝鎖状のオキシ含有基を指す。より好ましいアルコキシ基は、1〜約10個の炭素原子、より好ましくは1〜約8個の炭素原子を有する「低級アルコキシ」基である。かかる基の例には、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシおよびtert−ブトキシが含まれる。
【0143】
用語「アルコキシアルキル」は、アルキル基に結合している1つまたは複数のアルコキシ基を有する、すなわちモノアルコキシアルキルおよびジアルコキシアルキル基を形成するアルキル基を指す。
【0144】
用語「アリール」は、単独または組合せで、1つ、2つまたは3つの環を含有する炭素環式芳香族系を意味し、かかる環は、ペンダント(pendent)方式で一緒になって結合していてよく、または縮合していてもよい。用語「アリール」は、フェニル、ナフチル、テトラヒドロナフチル、インダンおよびビフェニルなどの芳香族基を包含する。
【0145】
用語「ヘテロシクリル」、「複素環」、「複素環式」または「ヘテロシクロ」は、飽和、部分的に不飽和および不飽和のヘテロ原子を含有する環形状基を指し、これらは対応してそれぞれ「ヘテロシクリル」、「ヘテロシクロアルケニル」および「ヘテロアリール」と呼ぶこともでき、該ヘテロ原子は、窒素、硫黄および酸素から選択することができる。飽和ヘテロシクリル基の例には、1〜4個の窒素原子を含有する飽和の3〜6員の単環複素環(heteromonocyclic)基(例えば、ピロリジニル、イミダゾリジニル、ピペリジノ、ピペラジニル等);1〜2個の酸素原子および1〜3個の窒素原子を含有する飽和の3〜6員の単環複素環基(例えば、モルホリニル等);1〜2個の硫黄原子および1〜3個の窒素原子を含有する飽和の3〜6員の単環複素環基(例えば、チアゾリジニル等)が含まれる。部分的に不飽和のヘテロシクリル基の例には、ジヒドロチオフェン、ジヒドロピラン、ジヒドロフランおよびジヒドロチアゾールが含まれる。ヘテロシクリル基は、テトラゾリウム基およびピリジニウム基に見られるような五価の窒素を含むことができる。用語「複素環」は、ヘテロシクリル基がアリールまたはシクロアルキル基と縮合している基も包含する。かかる縮合した二環式基の例には、ベンゾフラン、ベンゾチオフェン等が含まれる。
【0146】
用語「ヘテロアリール」は、不飽和芳香族ヘテロシクリル基を指す。ヘテロアリール基の例には、1〜4個の窒素原子を含有する不飽和の3〜6員の単環複素環基、例えば、ピロリル、ピロリニル、イミダゾリル、ピラゾリル、ピリジル、ピリミジル、ピラジニル、ピリダジニル、トリアゾリル(例えば、4H−1,2,4−トリアゾリル、1H−1,2,3−トリアゾリル、2H−1,2,3−トリアゾリル等)、テトラゾリル(例えば、1H−テトラゾリル、2H−テトラゾリル等)等;1〜5個の窒素原子を含有する不飽和縮合ヘテロシクリル基、例えば、インドリル、イソインドリル、インドリジニル、ベンゾイミダゾリル、キノリル、イソキノリル、インダゾリル、ベンゾトリアゾリル、テトラゾロピリダジニル(例えば、テトラゾロ[1,5−b]ピリダジニル等)等;酸素原子を含有する不飽和の3〜6員の単環複素環基、例えば、ピラニル、フリル等;硫黄原子を含有する不飽和の3〜6員の単環複素環基、例えば、チエニル等;1〜2個の酸素原子および1〜3個の窒素原子を含有する不飽和の3〜6員の単環複素環基、例えば、オキサゾリル、イソオキサゾリル、オキサジアゾリル(例えば、1,2,4−オキサジアゾリル、1,3,4−オキサジアゾリル、1,2,5−オキサジアゾリル等)等;1〜2個の酸素原子および1〜3個の窒素原子を含有する不飽和縮合ヘテロシクリル基(例えば、ベンゾオキサゾリル、ベンゾオキサジアゾリル等);1〜2個の硫黄原子および1〜3個の窒素原子を含有する不飽和の3〜6員の単環複素環基、例えば、チアゾリル、チアジアゾリル(例えば、1,2,4−チアジアゾリル、1,3,4−チアジアゾリル、1,2,5−チアジアゾリル等)等;1〜2個の硫黄原子および1〜3個の窒素原子を含有する不飽和縮合ヘテロシクリル基(例えば、ベンゾチアゾリル、ベンゾチアジアゾリル等)等が含まれる。
【0147】
用語「ヘテロシクロアルキル」は、ヘテロシクロで置換されたアルキル基を指す。より好ましいヘテロシクロアルキル基は、ヘテロシクロ基内に1〜6個の炭素原子を有する「低級ヘテロシクロアルキル」基である。
【0148】
用語「アルキルチオ」は、二価の硫黄原子に結合している、1〜約10個の炭素原子の直鎖または分枝鎖状アルキル基を含有する基を指す。好ましいアルキルチオ基は、1〜約24個の炭素原子、または好ましくは1〜約12個の炭素原子のアルキル基を有する。より好ましいアルキルチオ基は、1〜約10個の炭素原子を有する「低級アルキルチオ」基であるアルキル基を有する。最も好ましいのは、1〜約8個の炭素原子の低級アルキル基を有するアルキルチオ基である。かかる低級アルキルチオ基の例には、メチルチオ、エチルチオ、プロピルチオ、ブチルチオおよびヘキシルチオが含まれる。
【0149】
用語「アラルキル」または「アリールアルキル」は、ベンジル、ジフェニルメチル、トリフェニルメチル、フェニルエチルおよびジフェニルエチルなどのアリールで置換されたアルキル基を指す。
【0150】
用語「アリールオキシ」は、酸素原子を介して他の基に結合しているアリール基を指す。
【0151】
用語「アラルコキシ」または「アリールアルコキシ」は、酸素原子を介して他の基に結合しているアラルキル基を指す。
【0152】
用語「アミノアルキル」は、アミノ基で置換されているアルキル基を指す。好ましいアミノアルキル基は、約1〜約24個の炭素原子、または好ましくは1〜約12個の炭素原子を有するアルキル基を有する。より好ましいアミノアルキル基は、1〜約10個の炭素原子を有するアルキル基を有する「低級アミノアルキル」である。最も好ましいのは、1〜8個の炭素原子を有する低級アルキル基を有するアミノアルキル基である。かかる基の例には、アミノメチル、アミノエチル等が含まれる。
【0153】
用語「アルキルアミノ」は、1つまたは2つのアルキル基で置換されているアミノ基を示す。好ましいアルキルアミノ基は、約1〜約20個の炭素原子、または好ましくは1〜約12個の炭素原子を有するアルキル基を有する。より好ましいアルキルアミノ基は、1〜約10個の炭素原子を有するアルキル基を有する「低級アルキルアミノ」である。最も好ましいのは、1〜約8個の炭素原子を有する低級アルキル基を有するアルキルアミノ基である。適切な低級アルキルアミノは、N−メチルアミノ、N−エチルアミノ、N,N−ジメチルアミノ、N,N−ジエチルアミノなどの一置換N−アルキルアミノまたは二置換N,N−アルキルアミノであり得る。
【0154】
用語「置換(されている)」は、所与の構造における1つまたは複数の水素基を、それに限定されるものではないが、ハロ、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロシクリル、チオール、アルキルチオ、アリールチオ、アルキルチオアルキル、アリールチオアルキル、アルキルスルホニル、アルキルスルホニルアルキル、アリールスルホニルアルキル、アルコキシ、アリールオキシ、アラルコキシ、アミノカルボニル、アルキルアミノカルボニル、アリールアミノカルボニル、アルコキシカルボニル、アリールオキシカルボニル、ハロアルキル、アミノ、トリフルオロメチル、シアノ、ニトロ、アルキルアミノ、アリールアミノ、アルキルアミノアルキル、アリールアミノアルキル、アミノアルキルアミノ、ヒドロキシ、アルコキシアルキル、カルボキシアルキル、アルコキシカルボニルアルキル、アミノカルボニルアルキル、アシル、アラルコキシカルボニル、カルボン酸、スルホン酸、スルホニル、ホスホン酸、アリール、ヘテロアリール、複素環および脂肪族を含む特定の置換基の基で置き換えることを指す。置換基はさらに置換されていてよいことを理解されたい。
【0155】
簡潔にするために、定義されかつ本明細書を通して言及される化学的部分は、当業者に明らかな適切な構造的環境の下では、一価の化学的部分(例えば、アルキル、アリール等)または多価の部分であり得る。例えば「アルキル」部分は、一価の基(例えば、CH−CH−)を指すことができ、または他の場合には、二価の連結部分が「アルキル」であってよく、この場合当業者は、アルキルが用語「アルキレン」に等しい二価の基(例えば、−CH−CH−)であることを理解する。同様に、二価の部分が必要とされ、「アルコキシ」、「アルキルアミノ」、「アリールオキシ」、「アルキルチオ」、「アリール」、「ヘテロアリール」、「複素環」、「アルキル」、「アルケニル」、「アルキニル」、「脂肪族」または「シクロアルキル」と記載される環境では、当業者は、用語「アルコキシ」、「アルキルアミノ」、「アリールオキシ」、「アルキルチオ」、「アリール」、「ヘテロアリール」、「複素環」、「アルキル」、「アルケニル」、「アルキニル」、「脂肪族」または「シクロアルキル」が、対応する二価の部分を指すことを理解する。
【0156】
用語「ハロゲン」または「ハロ」は、本明細書で使用される場合、フッ素、塩素、臭素およびヨウ素から選択される原子を指す。
【0157】
用語「化合物」、「薬物」および「プロドラッグ」は、本明細書で使用される場合はすべて、本明細書に記載の式を有する化合物、薬物およびプロドラッグの、薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、多形、鏡像異性体、ジアステレオ異性体、ラセミ体等が含まれる。
【0158】
様々な結合点を介して結合しているものとして示される置換基は、環構造上の任意の利用可能な位置に結合することができる。
【0159】
本明細書で使用される場合、対象となる治療方法に関する用語「対象化合物の有効量」は、所望の用量レジメンの一部として送達される場合に、疾患または障害の管理を臨床的に許容される水準にする対象化合物の量を指す。
【0160】
「治療」または「治療する」は、患者において有益なまたは所望の臨床結果を得るための手法を指す。本発明の目的では、有益なまたは所望の臨床結果には、それに限定されるものではないが以下の、症状の軽減、疾患の程度の縮小、病状の安定化(すなわち悪化させない)、疾患の拡散(すなわち転移)の予防、疾患の発生または再発の予防、疾患の進行の遅延または緩徐、病状の緩和、および寛解(一部でも全部でも)の1つまたは複数が含まれる。
【0161】
用語「不安定な」は、本明細書で使用される場合、インビボで酵素的および/または化学的切断を受けることにより親薬物を形成する、本発明のプロドラッグの能力を指す。本明細書で使用される場合、用語「プロドラッグ」は、患者に投与される場合に、インビボで化学的および/または酵素的加水分解によって切断されることにより親薬物を形成し、その結果、患者への送達を企図された十分な量の化合物が、その所期の治療上の使用に対して持続放出方式で利用可能になる、複素芳香族性NHを含有する親薬物の不安定な誘導体化合物である、本明細書に開示の化合物を意味する。
【0162】
用語「薬学的に許容されるアニオン」は、本明細書で使用される場合、薬学的に許容される酸の共役塩基を指す。かかるアニオンには、酢酸イオン、ジクロロ酢酸イオン、アジピン酸イオン、アルギン酸イオン、L−アスコルビン酸イオン、L−アスパラギン酸イオン、ベンゼンスルホン酸イオン、4−アセトアミド安息香酸イオン、安息香酸イオン、p−ブロモフェニルスルホン酸イオン、(+)−ショウノウ酸イオン、(+)−カンファー−10−スルホン酸イオン、カプリン酸イオン、カプロン酸イオン、カプリル酸イオン、炭酸イオン、ケイ皮酸イオン、シクラミン酸イオン、ドデシル硫酸イオン、エタン−1,2−ジスルホン酸イオン、エタンスルホン酸イオン、2−ヒドロキシエタンスルホン酸イオン、硫酸イオン、ホウ酸イオン、クエン酸イオン、ギ酸イオン、フマル酸イオン、ガラクタル酸イオン、ゲンチジン酸イオン、D−グルコヘプタン酸イオン、D−グルコン酸イオン、D−グルクロン酸イオン、グルタミン酸イオン、グルタル酸イオン、2−オキソグルタル酸イオン、グリセロリン酸イオン、グリコール酸イオン、馬尿酸イオン、塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオン、イソ酪酸イオン、DL−乳酸イオン、ラクトビオン酸イオン、ラウリン酸イオン、マレイン酸イオン、(−)−L−リンゴ酸イオン、マロン酸イオン、DL−マンデル酸イオン、メタンスルホン酸イオン、ナフタレン−1,5−ジスルホン酸イオン、ナフタレン−2−スルホン酸イオン、1−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸イオン、ニコチン酸イオン、硝酸イオン、オレイン酸イオン、オロチン酸イオン、シュウ酸イオン、パルミチン酸イオン、パモ酸イオン、リン酸イオン、プロピオン酸イオン、(−)−L−ピログルタミン酸イオン、サリチル酸イオン、4−アミノサリチル酸イオン、セバシン酸イオン、ステアリン酸イオン、コハク酸イオン、(+)−L−酒石酸イオン、チオシアン酸イオン、p−トルエンスルホン酸イオンおよびウンデシレン酸イオンが含まれる。薬学的に許容される好ましいアニオンには、酢酸イオン、臭化物イオン、カンシル酸イオン、塩化物イオン、ギ酸イオン、フマル酸イオン、マレイン酸イオン、メシル酸イオン、硝酸イオン、シュウ酸イオン、リン酸イオン、硫酸イオン、酒石酸イオン、チオシアン酸イオンおよびトシル酸イオンが含まれる。
【0163】
別の実施形態では、本発明は、親薬物化合物と比較して、生理的条件下で溶解性が低く、投与されたとき活性が持続する、複素芳香族性NHを含有する親薬物化合物のプロドラッグを生成する方法を提供する。該方法は、複素芳香族性NHの窒素原子上の不安定な疎水性のアルデヒドで連結されたプロドラッグ部分を置換することによって親薬物を修飾するステップを含む。好ましくは、親薬物化合物は式IIによって表され、プロドラッグ部分はRによって表され、Rは前述の意味を有し、上記プロドラッグは式Iによって表される。
【0164】
一実施形態では、複素芳香族性NHの窒素原子上の不安定な疎水性の、アルデヒドで連結されたプロドラッグ部分を置換することによって親薬物を修飾するステップは、カルボン酸、炭酸、カルバミン酸またはリン酸などの酸の存在下で、親薬物をアルデヒドと反応させるステップを含む。この方法によるプロドラッグの生成を、以下のスキーム1に例示する。
スキーム1
【0165】
【化19】

アルデヒドまたはケトンと式VIIIの化合物との反応に加えて、複素芳香族性NH基における他の置換プロセスを使用することができる。例えば、不活性な溶媒中でのアルキル化、その後のナトリウムの添加を使用することができる。
【0166】
本発明のプロドラッグ化合物を調製するための一代替法を、以下のスキーム2に例示する。この方法では、式(II)の親薬物の窒素原子は、塩基の存在下で、アルキル化剤RA(Rは前述の意味を有し、Aは脱離基である)によりアルキル化される。適切な脱離基の例には、それに限定されるものではないが、トシレート、トリフレート、p−ブロモフェニルスルホネート、塩化物、臭化物およびヨウ化物が含まれる。
スキーム2
【0167】
【化20】

以下の非限定的な実施例は、本発明を例示するものである。
【実施例】
【0168】
(実施例)
(実施例1)
ペミロラストプロドラッグ
ペミロラストのプロドラッグを、下記の一般手順を使用して調製した(nは、18(化合物1)、6(化合物2)または14(化合物3)である)。
【0169】
【化21】

(5−(9−メチル−4−オキソ−4H−ピリド[1,2−a]ピリミジン−3−イル)−1H−テトラゾール−1−イル)メチルイコサノエート(化合物1)の合成
アラキドイルクロリドの合成
塩化オキサリル(2.67ml、0.0191mol)を、ジクロロメタン(50ml)中のアラキジン酸(6.0g、0.0211mol)およびDMF(4滴)の混合物に0℃で滴下添加した。添加が完了した後、反応混合物を0℃で30分間撹拌し、次に25℃で1時間撹拌し、反応混合物をジクロロメタンと水に分配し、水層をジクロロメタンで抽出した。混合有機抽出物をブラインで洗浄し、次に硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で濃縮して、所望の生成物(6.35g、収率100%)を固体として得たが、それ以上精製しなかった。
【0170】
クロロメチルアラキデートの合成
アラキドイルクロリド(6.35g、0.0191mol)を、アルゴン下でパラホルムアルデヒド(2.58g、0.0191mol)および無水塩化亜鉛(0.0523g、0.0038mol)の混合物に0℃で滴下添加した。添加が完了した後、反応混合物を25℃で1時間撹拌し、次に90℃にして16時間加熱した。得られた固体を濾別し、ジクロロメタンで洗浄した。濾液を37℃において減圧下で濃縮して、クロロメチルアラキデート(6.7g、収率97%)を得た。生成物を活性化分子ふるい(4Å)上で保存し、次のステップで直接使用した(精製なし)。
【0171】
ヨードメチルアラキデートの合成
ヨウ化ナトリウム(8.31g、0.0555mol)を、クロロメチルアラキデート(6.7g、0.0185mol)のアセトニトリル(67ml)溶液に25℃で添加した。フラスコをアルミニウム箔で被覆して光から保護し、25℃で16時間撹拌した。反応混合物をジクロロメタンと水に分配した。水層をジクロロメタンで抽出した。混合有機抽出物を、飽和NaHCO水溶液、亜硫酸ナトリウム水溶液(10%溶液)およびブラインで洗浄し、次に硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で濃縮して、所望の生成物(5.9g、収率71%)を白色固体として得たが、それ以上精製しなかった。
【0172】
化合物1の合成
ペミロラスト(1.0g、0.0037mol)の25℃のDMF(15ml)溶液を、乾燥KCO(1.30g、0.0094mol)で処理した。30分後、反応混合物を、ヨードメチルアラキデート(2.57g、0.0056mol)で処理した。反応混合物を30分間撹拌した。反応混合物を水に注ぎ、酢酸エチルで抽出した。混合有機層を、硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で濃縮した。フラッシュカラムクロマトグラフィーによって、所望の生成物(0.023g、収率1.1%)を得た。
H NMR (DMSO, 400MHz) δ 0.810−0.844 (t, 3H),1.082−1.208 (m, 32H), 1.261−1.316 (t, 2H) , 2.214−2.251 (t, 2H), 2.598 (s, 3H), 6.487 (s, 2H), 7.511−7.546 (t, 1H), 8.112−8.129 (d, 1H), 8.735 (s, 1H), 9.051−9.068 (d, 1H). m/z (MH) 553。
【0173】
(5−(9−メチル−4−オキソ−4H−ピリド[1,2−a]ピリミジン−3−イル)−1H−テトラゾール−1−イル)メチルオクタノエート(化合物2)の合成
クロロメチルオクタノエートの合成
オクタノイルクロリド(10g、0.06mol)を、パラホルムアルデヒド(8.07g、0.06mol)および無水塩化亜鉛(0.163g、0.0012mol)の混合物に、0℃においてアルゴン下で滴下添加した。添加が完了した後、反応混合物を25℃で1時間撹拌し、次に90℃にして16時間加熱した。固体を濾別し、ジクロロメタンで洗浄した。濾液を37℃において減圧下で濃縮して、所望の生成物(9.5g、収率84%)を得た。生成物を活性化分子ふるい(4Å)上で保存し、次のステップで直接使用した(精製なし)。
【0174】
ヨードメチルオクタノエートの合成
クロロメチルオクタノエート(9.5g、0.0483mol)のアセトニトリル(100ml)溶液を、ヨウ化ナトリウム(21.7g、0.1449mol)で処理した。フラスコをアルミニウム箔で被覆して光から保護し、25℃で16時間撹拌した。反応混合物をジクロロメタンと水に分配し、水層をジクロロメタンで抽出した。混合有機抽出物を、飽和NaHCO水溶液、亜硫酸ナトリウム水溶液(10%溶液)およびブラインで洗浄し、次に硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で濃縮して、所望の生成物(8.4g、収率71%)を黄色油として得たが、それ以上精製しなかった。
【0175】
化合物2の合成
乾燥KCO(1.30g、0.0094mol)を、ペミロラスト(1.0g、0.0037mol)の25℃のDMF(15ml)溶液に添加した。30分後、反応混合物をヨードメチルオクタノエート(1.84g、0.0056mol)で処理し、次に30分間撹拌した。反応混合物を水に注ぎ、酢酸エチルで抽出した。混合有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で濃縮した。フラッシュカラムクロマトグラフィーによって、所望の生成物(0.12g、収率8.2%)を得た。
H NMR (DMSO, 400MHz) δ 0.813−0.856 (t, 3H), 1.119−1.210 (m, 8H), 1.228−1.234 (t, 2H), 1.327−1.363 (t, 2H), 2.239−2.275 (t, 2H), 2.514 (s, 3H), 6.510 (s, 2H), 7.535−7.570 (t, 1H), 8.132−8.156 (d, 1H), 8.759 (s, 1H), 9.072−9.091 (d, 1H). m/z (MH) 385。
【0176】
(5−(9−メチル−4−オキソ−4H−ピリド[1,2−a]ピリミジン−3−イル)−1H−テトラゾール−1−イル)メチルパルミテート(化合物3)の合成
クロロメチルパルミテートの合成
パルミトイルクロリド(10g、0.0363mol)を、パラホルムアルデヒド(4.9g、0.0363mol)および無水塩化亜鉛(0.99g、0.0007mol)の混合物に、0℃においてアルゴン下で滴下添加した。添加が完了した後、反応混合物を25℃で1時間撹拌し、次に90℃で16時間加熱した。固体を濾別し、ジクロロメタンで洗浄した。濾液を37℃において減圧下で濃縮して、所望の生成物(9.2g、収率83%)を得た。クロロメチルパルミテートを活性化分子ふるい(4Å)上で保存し、次のステップで直接使用した(精製なし)。
【0177】
ヨードメチルパルミテートの合成
クロロメチルパルミテート(9.2g、0.0301mol)のアセトニトリル(92ml)溶液を、ヨウ化ナトリウム(13.56g、0.0905mol)で処理した。フラスコをアルミニウム箔で被覆して光を排除し、25℃で16時間撹拌した。反応混合物を、ジクロロメタンと水に分配し、水層をジクロロメタンで抽出した。混合有機物を、飽和NaHCO水溶液、亜硫酸ナトリウム水溶液(10%溶液)およびブラインで洗浄し、次に硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で濃縮して、生成物(11g、収率91%)を白色固体として得たが、それ以上精製しなかった。
【0178】
化合物3の合成
乾燥KCO(2.61g、0.0189mol)を、DMF(30ml)中のペミロラスト(2.0g、0.0075mol)の撹拌溶液に25℃で添加した。30分後、反応混合物をヨードメチルオクタノエート(2.99g、0.0075mol)で処理し、30分間撹拌した。次に、反応混合物を水に注ぎ、酢酸エチルで抽出した。混合有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で濃縮した。フラッシュカラムクロマトグラフィーによって、所望の生成物(0.23g、収率6.2%)を得た。
H NMR (DMSO, 400MHz) δ 0.807−0.841 (t, 3H),1.063−1.238 (m, 24H), 1.297−1.331 (t, 2H), 2.228 (t, 2H), 2.595 (s, 3H), 6.484 (s, 2H), 7.508−7.544 (t, 1H), 8.108−8.126 (d, 1H), 8.730 (t, 1H), 9.048−9.066 (d, 1H). m/z (MH) 497。
【0179】
(実施例2)
サイロトロピン放出ホルモンプロドラッグ
【0180】
【化22】

サイロトロピン放出ホルモン(0.5g、1.38mmol)を、N,N−ジメチルホルムアミド(2mL)に溶解させた。次にクロロメチルドデカノエート(0.7g、2.8mmol)を添加し、反応混合物を室温(20℃)で48時間撹拌すると、約30%が変換されて所望の生成物が得られた。粗反応混合物をアセトニトリル(4mL)で希釈すると、沈殿物が形成された。混合物を濾過し、固体をアセトニトリルで洗浄した。濾液を、Gilson HPLC系(Pump306、Manometer Module 807、Dynamic Mixer 811D、Pump305、Pump306、UV/Vis−151、Eurotherm 5100e)、Macherey−Nagel NUCLEODUR 100−30 C18 ecバルクパッケージ、ならびにA(MeCN中0.05%TFA)およびB(HO中0.05%TFA)(50分で5A〜100A)の勾配を流速60ml/分で使用する分取HPLCによって精製した。画分を合わせ、酢酸エチルで抽出して、所望の生成物の2つの異性体の1:4混合物を得た。
【0181】
反応生成物を、Merck HPLC系(LaChrom、ポンプタイプL−6200、UV検出器L−7400、インターフェイスD6000、HPLCマネージャD6000)を使用して分析的HPLCにかけた。C18カラム(Nucleosil 100−5 C18 250/4mm)と共にMacherey−Nagel C8−カラム(Nucleosil 100−5 C8 250/4mm)、A(MeCN中0.05%TFA)およびB(HO中0.05%TFA)(25分で5A〜100A)の勾配を流速1ml/分で使用した。測定保持時間:16.34分[異性体1]、保持時間16.88分[異性体2];アセトニトリル(0.1%TFA)/HO(0.1%TFA)系溶媒))。
【0182】
反応生成物を、Agilent 1100 LC/MSD SL四重極質量分析計で実施したLC/MSによって分析した。Nucleosil C18−250:4 100:5カラムでHO中5〜100%MeCN/0.1%トリフルオロ酢酸(1.0ml/分、T=25C、WL:220nm)の直線勾配を使用した。両方の生成物が、MS575.3(M+H)を示した。
【0183】
異性体は、先のスキームに示したイミダゾール窒素原子のそれぞれのアルキル化から得られると考えられる。
主生成物:H NMR (CD3OD, 300MHz) δ 0.90 (t, 3H),1.22−1.35 (m, 12H), 1.57−1.67 (m, 2H), 1.92−2.07 (m, 4H), 2.22−2.48 (m, 4H), 3.14 (dd, 1H), 3.25(dd, 1H), 3.50−3.55 (m, 1H), 3.74−3.79 (m, 1H), 4.18−4.22 (m, 1H), 4.44−4.48 (m, 1H), 4.96 (t, 1H), 6.09 (s, 2H), 7.60 (s, 1H), 9.04 (s, 1H)。
【0184】
(実施例3)
ラットにおけるプロドラッグの薬物動態評価
動物:雄性Sprague−Dawleyラット(Charles River Laboratories、マサチューセッツ州ウィルミントン)を得る。約24匹のラットを、各研究で使用する。ラットは、到着時には約350〜375gである。ラットをケージ1つ当たり2匹収容し、食餌と水を自由に摂取させる。収容室の環境条件:64〜67°F、相対湿度30%〜70%、および明暗サイクル12:12時間。すべての実験は、実験動物委員会によって承認されている。
【0185】
試験化合物:本発明のプロドラッグ化合物、および試験されたプロドラッグの対応する親薬物。
【0186】
薬物動態研究:ラットに、25ゲージ5/8インチ針と1ccのシリンジを用いてIM投与する。試験化合物を入れたバイアルから懸濁液0.3mLを採取する。ラットに、イソフルランで麻酔した後、後肢筋肉に注射する。イソフルランで麻酔した後、外側尾静脈を通して血液試料を収集する。採血のために、271/2G針および1ccのシリンジを、抗凝固剤なしに使用する。投与後、6時間、24時間、および2、5、7、9、12、14、21、28、35日目の各サンプリング時点で、全血約350μLを収集する。収集したら、KEDTAを入れた管に全血をすぐに移し、10〜15回反転させ、すぐに氷上に置く。管を、室温において>14,000gで2分間、遠心分離機にかけて(11500RPM、エッペンドルフ遠心分離機5417C、F45−30−11ローターを使用)、血漿を分離する。血漿試料を、ラベルを付したプレーン管(Microtainer(登録商標);MFG#BD5962)に移し、<−70℃で凍結保存する。
【0187】
データ分析:血漿試料中の薬物濃度を、各化合物について、液体クロマトグラフィー−質量分析法によって適切なパラメータを使用して分析する。半減期、分布体積、クリアランス、最大濃度およびAUCを、WinNonlin、バージョン5.2ソフトウェアを使用することによって算出する。
【0188】
本発明を、特に、その好ましい実施形態に関して示し説明してきたが、本明細書では、添付の特許請求の範囲に包含される本発明の範囲から逸脱することなく、形態および詳細に様々な変更を加え得ることを当業者は理解する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式Iのプロドラッグ化合物
【化23】


または薬学的に許容されるその塩
[式中、X〜Xのそれぞれは、独立にNまたはCRであるが、ただしX〜Xの少なくとも1つはCRであり、
各Rは、独立に、必要に応じて置換されている脂肪族、芳香族もしくは複素芳香族であるか、または任意の2個のR基は、それらが結合している炭素原子と一緒になって縮合環を形成することもでき、
は、−C(R)(R)−OR10、−C(R)(R)−OC(O)OR10、−C(R)(R)−OC(O)R10、−C(R)(R)−OC(O)NR1112、−C(R)(R)−OPOMY、−C(R)(R)−OP(O)(OR11)(OR12)、−C(R)(R)−OP(O)(OR11)M、−[C(R)(R)O]−R10、−[C(R)(R)O]−C(O)OR10、−[C(R)(R)O]−C(O)R10、−[C(R)(R)O]−C(O)NR1112、−[C(R)(R)O]−OPOMY、−[C(R)(R)O]−P(O)(OR11)Mおよび−[C(R)(R)O]−P(O)(OR11)(OR12)から選択され、
およびRは、それぞれ独立に、水素、脂肪族または置換脂肪族であり、
10は、C〜C24−アルキル、置換C〜C24−アルキル、C〜C24−アルケニル、置換C〜C24−アルケニル、C〜C24−アルキニル、置換C〜C24−アルキニル、C〜C12−シクロアルキル、置換C〜C12−シクロアルキル、C〜C12−シクロアルケニル、置換C〜C12−シクロアルケニル、アリールまたは置換アリールであり、
11およびR12は、それぞれ独立に、水素、脂肪族または置換脂肪族であるが、ただしR11およびR12の少なくとも1つは、C〜C24−アルキル、置換C〜C24−アルキル、C〜C24−アルケニル、置換C〜C24−アルケニル、C〜C24−アルキニル、置換C〜C24−アルキニル、C〜C24シクロアルキル、置換C〜C12−シクロアルキルであるか、またはR11およびR12は、一緒になって置換もしくは非置換アルキレン基または置換もしくは非置換アルケニレン基を形成し、これらの基は、酸素、窒素および硫黄から独立に選択される最大3個のヘテロ原子によって必要に応じて分断されていてよく、
YおよびMは、同じかもしくは異なっており、それぞれ一価のカチオンであるか、またはMおよびYは、一緒になって二価のカチオンになり、
nは2または3である]。
【請求項2】
が、水素、C〜C−アルキル、−C(O)Hまたは−CH(OH)CHOHであり、Rが水素である、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
が水素である、請求項2に記載の化合物。
【請求項4】
が、−CH(R)−OC(O)OR10、−CH(R)−OC(O)R10および−CH(R)−OC(O)NR1112から選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項5】
が、−CH(R)−OPOMY、−CH(R)−OP(O)(OR11)Mおよび−CH(R)−OP(O)(OR11)(OR12)から選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項6】
10、またはR11およびR12の少なくとも1つが、必要に応じて置換されているアリール、C〜C24−アルキル、C〜C24−アルケニルまたはC〜C24−アルキニルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項7】
10、またはR11およびR12の少なくとも1つが、分枝鎖状C〜C24−アルキル、C〜C24−アルケニルまたはC〜C24−アルキニルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項8】
10、またはR11およびR12の少なくとも1つが、第二級または第三級C〜C24−アルキル基、C〜C24−アルケニル基またはC〜C24−アルキニル基である、請求項7に記載の化合物。
【請求項9】
10、またはR11およびR12の少なくとも1つが、β−分岐のC〜C24−アルキル基、C〜C24−アルケニル基またはC〜C24−アルキニル基である、請求項7に記載の化合物。
【請求項10】
10が、C〜C12−シクロアルキルまたは次式の1つによって表される基である、請求項8に記載の化合物:
【化24】


[式中、rは、0〜21であり、sは、0〜20であり、
tおよびuのそれぞれは、独立に0〜21であるが、ただしtおよびuの合計は0〜21であり、
v、wおよびxのそれぞれは、独立に0〜20であるが、ただしv、wおよびxの合計は0〜20であり、
zは整数1〜10であり、yは整数0〜20であるが、ただしzおよびyの合計は1〜21である]。
【請求項11】
が、下記の群から選択される、請求項1に記載の化合物:
【化25】


[式中、R、RおよびRは、それぞれ独立に、C〜C24−アルキル、置換C〜C24−アルキル、C〜C24−アルケニル、置換C〜C24−アルケニル、C〜C24−アルキニル、置換C〜C24−アルキニル、C〜C12−シクロアルキル、置換C〜C12−シクロアルキル、C〜C12−シクロアルケニル、置換C〜C12−シクロアルケニル、アリールまたは置換アリールであり、
は、Hまたは置換もしくは非置換C〜C−アルキルであり、
は、H、置換もしくは非置換C〜C−アルキル、置換もしくは非置換アリール−C〜C−アルキル、または置換もしくは非置換ヘテロアリール−C〜C−アルキルであるか、あるいはRおよびRは、それらが結合している炭素原子および窒素原子と一緒になって、ヘテロシクロアルキル基を形成し、
mは、1〜約1000である]。
【請求項12】
10が、2−メチル−C〜C23−アルキルまたは2,2−ジメチル−C〜C22−アルキルである、請求項9に記載の化合物。
【請求項13】
ヘテロアリールNHを含有する親薬物を、それを必要としている被験体に持続的に送達する方法であって、前記ヘテロアリールNHの窒素原子上の、NHのHと置き換わる不安定な疎水性の、アルデヒドで連結されたプロドラッグ部分を置換することによって生成されたプロドラッグ化合物の有効量を前記被験体に投与するステップを含む、方法。
【請求項14】
前記プロドラッグ化合物が、前記親薬物と比較して生理的条件下で溶解性が低い、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記ヘテロアリールNHを含有する親薬物が、式IIによって表され、
【化26】


前記プロドラッグが、式I
【化27】


によって表されるものであるかまたは薬学的に許容されるその塩である、請求項13に記載の方法:
[式中、X〜Xのそれぞれは、独立にNまたはCRであるが、ただしX〜Xの少なくとも1つはCRであり、
各Rは、独立に、必要に応じて置換されている脂肪族、芳香族もしくは複素芳香族であるか、または任意の2個のR基は、それらが結合している炭素原子と一緒になって縮合環を形成することもでき、
は、−C(R)(R)−OR10、−C(R)(R)−OC(O)OR10、−C(R)(R)−OC(O)R10、−C(R)(R)−OC(O)NR1112、−C(R)(R)−OPOMY、−C(R)(R)−OP(O)(OR11)(OR12)、−C(R)(R)−OP(O)(OR11)M、−[C(R)(R)O]−R10、−[C(R)(R)O]−C(O)OR10、−[C(R)(R)O]−C(O)R10、−[C(R)(R)O]−C(O)NR1112、−[C(R)(R)O]−OPOMY、−[C(R)(R)O]−P(O)(OR11)Mおよび−[C(R)(R)O]−P(O)(OR11)(OR12)から選択され、
およびRは、それぞれ独立に、水素、脂肪族または置換脂肪族であり、
10は、C〜C24−アルキル、置換C〜C24−アルキル、C〜C24−アルケニル、置換C〜C24−アルケニル、C〜C24−アルキニル、置換C〜C24−アルキニル、C〜C12−シクロアルキル、置換C〜C12−シクロアルキル、アリールまたは置換アリールであり、
11およびR12は、それぞれ独立に、水素、脂肪族または置換脂肪族であるが、ただしR11およびR12の少なくとも1つは、C〜C24−アルキル、置換C〜C24−アルキル、C〜C24−アルケニル、置換C〜C24−アルケニル、C〜C24−アルキニル、置換C〜C24−アルキニル、C〜C24シクロアルキル、置換C〜C12−シクロアルキルであるか、またはR11およびR12は、一緒になって置換もしくは非置換アルキレン基または置換もしくは非置換アルケニレン基を形成し、これらの基は、酸素、窒素および硫黄から独立に選択される最大3個のヘテロ原子によって必要に応じて分断されていてよく、
YおよびMは、同じかもしくは異なっており、それぞれ一価のカチオンであるか、またはMおよびYは、一緒になって二価のカチオンになり、
nは2または3である]。
【請求項16】
が、水素、C〜C−アルキル、−C(O)Hまたは−CH(OH)CHOHであり、Rが水素である、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
が水素である、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
が、−CH(R)−OC(O)OR10、−CH(R)−OC(O)R10および−CH(R)−OC(O)NR1112から選択される、請求項15に記載の方法。
【請求項19】
が、−CH(R)−OPOMY、−CH(R)−OP(O)(OR11)Mおよび−CH(R)−OP(O)(OR11)(OR12)から選択される、請求項15に記載の方法。
【請求項20】
10、またはR11およびR12の少なくとも1つが、必要に応じて置換されているアリール、C〜C24−アルキル、C〜C24−アルケニルまたはC〜C24−アルキニルである、請求項15に記載の方法。
【請求項21】
10、またはR11およびR12の少なくとも1つが、分枝鎖状のC〜C24−アルキル、C〜C24−アルケニルまたはC〜C24−アルキニルである、請求項15に記載の方法。
【請求項22】
10、またはR11およびR12の少なくとも1つが、第二級または第三級のC〜C24−アルキル基、C〜C24−アルケニル基またはC〜C24−アルキニル基である、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
10、またはR11およびR12の少なくとも1つが、β−分岐のC〜C24−アルキル基、C〜C24−アルケニル基またはC〜C24−アルキニル基である、請求項21に記載の方法。
【請求項24】
10が、C〜C12−シクロアルキルまたは次式の1つによって表される基である、請求項22に記載の方法:
【化28】


[式中、rは、0〜21であり、sは、0〜20であり、
tおよびuのそれぞれは、独立に0〜21であるが、ただしtおよびuの合計は0〜21であり、
v、wおよびxのそれぞれは、独立に0〜20であるが、ただしv、wおよびxの合計は0〜20であり、
zは整数1〜10であり、yは整数0〜20であるが、ただしzおよびyの合計は1〜21である]。
【請求項25】
10が、2−メチル−C〜C23−アルキルまたは2,2−ジメチル−C〜C22−アルキルである、請求項22に記載の方法。
【請求項26】
が、下記の群から選択される、請求項15に記載の方法:
【化29】


[式中、R、RおよびRは、それぞれ独立に、C〜C24−アルキル、置換C〜C24−アルキル、C〜C24−アルケニル、置換C〜C24−アルケニル、C〜C24−アルキニル、置換C〜C24−アルキニル、C〜C12−シクロアルキル、置換C〜C12−シクロアルキル、C〜C12−シクロアルケニル、置換C〜C12−シクロアルケニル、アリールまたは置換アリールであり、
は、Hまたは置換もしくは非置換C〜C−アルキルであり、
は、H、置換もしくは非置換C〜C−アルキル、置換もしくは非置換アリール−C〜C−アルキル、または置換もしくは非置換ヘテロアリール−C〜C−アルキルであるか、あるいはRおよびRは、それらが結合している炭素原子および窒素原子と一緒になって、ヘテロシクロアルキル基を形成し、
は、1〜約1000である]。
【請求項27】
前記複素芳香族性NHを含有する親薬物が、ピロール基、イミダゾール基、1,2,3−トリアゾール基もしくは1,2,4−トリアゾール基、テトラゾール基、ベンゾイミダゾール基、インドール基またはピラゾール基を含む、請求項15に記載の方法。
【請求項28】
複素芳香族性NHを含有する親薬物化合物のプロドラッグを生成する方法であって、前記プロドラッグは、前記親薬物化合物と比較して、生理的条件下で溶解性が低く、投与されると活性が持続し、前記方法は、前記複素芳香族性NHの窒素原子上の不安定な疎水性の、アルデヒドで連結されたプロドラッグ部分を置換することによって前記親薬物を修飾するステップを含む、方法。
【請求項29】
複素芳香族性NHを含有する親薬物化合物が、式IIによって表され、
【化30】


前記プロドラッグが、式I
【化31】


によって表されるものかまたは薬学的に許容されるその塩であり、
前記プロドラッグ部分がRである、請求項28に記載の方法:
[式中、X〜Xのそれぞれは、独立にNまたはCRであるが、ただしX〜Xの少なくとも1つはCRであり、
各Rは、独立に、必要に応じて置換されている脂肪族、芳香族もしくは複素芳香族であるか、または任意の2個のR基は、それらが結合している炭素原子と一緒になって縮合環を形成することもでき、
は、−C(R)(R)−OR10、−C(R)(R)−OC(O)OR10、−C(R)(R)−OC(O)R10、−C(R)(R)−OC(O)NR1112、−C(R)(R)−OPOMY、−C(R)(R)−OP(O)(OR11)(OR12)、−C(R)(R)−OP(O)(OR11)M、−[C(R)(R)O]−R10、−[C(R)(R)O]−C(O)OR10、−[C(R)(R)O]−C(O)R10、−[C(R)(R)O]−C(O)NR1112、−[C(R)(R)O]−OPOMY、−[C(R)(R)O]−P(O)(OR11)Mおよび−[C(R)(R)O]−P(O)(OR11)(OR12)から選択され、
およびRは、それぞれ独立に、水素、脂肪族または置換脂肪族であり、
10は、C〜C24−アルキル、置換C〜C24−アルキル、C〜C24−アルケニル、置換C〜C24−アルケニル、C〜C24−アルキニル、置換C〜C24−アルキニル、C〜C12−シクロアルキル、置換C〜C12−シクロアルキル、アリールまたは置換アリールであり、
11およびR12は、それぞれ独立に、水素、脂肪族または置換脂肪族であるが、ただしR11およびR12の少なくとも1つは、C〜C24−アルキル、置換C〜C24−アルキル、C〜C24−アルケニル、置換C〜C24−アルケニル、C〜C24−アルキニル、置換C〜C24−アルキニル、C〜C24シクロアルキル、置換C〜C12−シクロアルキルであるか、またはR11およびR12は、一緒になって置換もしくは非置換アルキレン基または置換もしくは非置換アルケニレン基を形成し、これらの基は、酸素、窒素および硫黄から独立に選択される最大3個のヘテロ原子によって必要に応じて分断されていてよく、
YおよびMは、同じかもしくは異なっており、それぞれ一価のカチオンであるか、またはMおよびYは、一緒になって二価のカチオンになり、
nは2または3である]。
【請求項30】
前記複素芳香族性NHの窒素原子上の不安定な疎水性の、アルデヒドで連結されたプロドラッグ部分を置換することによって前記親薬物を修飾するステップが、前記親薬物を式HCRのアルデヒドおよび式R10C(O)OHの酸と反応させるステップを含む、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
が、水素、C〜C−アルキル、−C(O)Hまたは−CH(OH)CHOHであり、Rが水素である、請求項29に記載の方法。
【請求項32】
が水素である、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
が、−CH(R)−OC(O)OR10、−CH(R)−OC(O)R10および−CH(R)−OC(O)NR1112から選択される、請求項29に記載の方法。
【請求項34】
が、−CH(R)−OPOMY、−CH(R)−OP(O)(OR11)Mおよび−CH(R)−OP(O)(OR11)(OR12)から選択される、請求項29に記載の方法。
【請求項35】
10、またはR11およびR12の少なくとも1つが、必要に応じて置換されているアリール、C〜C24−アルキル、C〜C24−アルケニルまたはC〜C24−アルキニルである、請求項29に記載の方法。
【請求項36】
10、またはR11およびR12の少なくとも1つが、分枝鎖状のC〜C24−アルキル、C〜C24−アルケニルまたはC〜C24−アルキニルである、請求項29に記載の方法。
【請求項37】
10、またはR11およびR12の少なくとも1つが、第二級または第三級のC〜C24−アルキル基、C〜C24−アルケニル基またはC〜C24−アルキニル基である、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
10、またはR11およびR12の少なくとも1つが、β−分岐のC〜C24−アルキル基、C〜C24−アルケニル基またはC〜C24−アルキニル基である、請求項36に記載の方法。
【請求項39】
10が、C〜C12−シクロアルキルまたは次式の1つによって表される基である、請求項37に記載の方法:
【化32】


[式中、rは、0〜21であり、sは、0〜20であり、
tおよびuのそれぞれは、独立に0〜21であるが、ただしtおよびuの合計は0〜21であり、
v、wおよびxのそれぞれは、独立に0〜20であるが、ただしv、wおよびxの合計は0〜20であり、
zは整数1〜10であり、yは整数0〜20であるが、ただしzおよびyの合計は1〜21である]。
【請求項40】
が、下記の群から選択される、請求項29に記載の方法:
【化33】


[式中、R、RおよびRは、それぞれ独立に、C〜C24−アルキル、置換C〜C24−アルキル、C〜C24−アルケニル、置換C〜C24−アルケニル、C〜C24−アルキニル、置換C〜C24−アルキニル、C〜C12−シクロアルキル、置換C〜C12−シクロアルキル、C〜C12−シクロアルケニル、置換C〜C12−シクロアルケニル、アリールまたは置換アリールであり、
は、Hまたは置換もしくは非置換C〜C−アルキルであり、
は、H、置換もしくは非置換C〜C−アルキル、置換もしくは非置換アリール−C〜C−アルキル、または置換もしくは非置換ヘテロアリール−C〜C−アルキルであるか、あるいはRおよびRは、それらが結合している炭素原子および窒素原子と一緒になって、ヘテロシクロアルキル基を形成する]。
【請求項41】
10が、2−メチル−C〜C23−アルキルまたは2,2−ジメチル−C〜C22−アルキルである、請求項38に記載の方法。
【請求項42】
前記複素芳香族性NHを含有する親薬物が、ピロール基、イミダゾール基、1,2,3−トリアゾール基もしくは1,2,4−トリアゾール基、テトラゾール基、ベンゾイミダゾール基、インドール基またはピラゾール基を含む、請求項29に記載の方法。

【公表番号】特表2013−516466(P2013−516466A)
【公表日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−548040(P2012−548040)
【出願日】平成22年12月23日(2010.12.23)
【国際出願番号】PCT/US2010/062085
【国際公開番号】WO2011/084848
【国際公開日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【出願人】(512177263)アルカーメス ファーマ アイルランド リミテッド (2)
【Fターム(参考)】