説明

複重型ロータリヘッドによる複数部品同時取出方法

【課題】複重型ロータリヘッドに複数の吸着ノズルを保持させ、フィーダから複数の電子回路部品を同時に取り出させる方法を改善する。
【解決手段】同軸上に重ねられ、共通の回転軸線のまわりに個々に回転可能な回転体202,204に8つずつのノズル保持軸206,207を、内,外2つずつ合計4つのノズル保持軸206,207が等間隔dを隔てて直線D上に並び、直線Dの中心線Oからの距離が互に等しく、ノズル保持軸206,207を共有しない組を4組得るように保持させる。組を成す4つのノズル保持軸206,207をそれぞれ個別昇降装置により同時に昇降させ、それら4つのノズル保持軸206,207に保持させた吸着ノズルに、4個の電子回路部品をフィーダから同時に取り出させる。組を成す4つのノズル保持軸206,207の一部に保持させた2つあるいは3つの吸着ノズルのみに同時に電子回路部品を取り出させてもよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、互いに同軸に重ねられた複数の回転体の各々に、複数ずつ保持させた複数の吸着ノズルの各々により、電子回路部品をフィーダから複数同時に取り出させる方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
下記の特許文献1には、X軸方向およびY軸方向に移動させられる移動部材上に4つの装着ヘッドがY軸方向に一列に並んで設けられた電子回路部品装着機が記載されている。これら装着ヘッドはそれぞれ、昇降部材上に鉛直軸線まわりに回転可能に設けられた回転体を備え、回転体の回転中心線を中心とする一円周上の等角度を隔てた5箇所にそれぞれ、吸着ノズルが軸方向に移動可能に保持されており、5つの吸着ノズルのうちの1つが吸着位置において他の吸着ノズルより下方へ突出させられた状態で回転体が下降させられ、電子回路部品がフィーダから取り出される。4つの装着ヘッドは、回転体の回転中心線が、部品供給装置の複数のフィーダの配設ピッチと等しい距離を隔てた状態で移動部材に搭載されており、複数の装着ヘッドのそれぞれ吸着位置に位置させられた吸着ノズルにより同時に電子回路部品を吸着して取り出すことができる。また、回転体の回転により吸着ノズルのX軸方向あるいはY軸方向の位置が補正され、電子回路部品との間の位置ずれが低減させられて吸着が精度良く行われる。
【0003】
下記の特許文献2には、X軸方向およびY軸方向に移動させられる移動部材上に2つの装着ヘッドがX軸方向に並んで設けられた電子回路部品装着機が記載されている。これら装着ヘッドはそれぞれ、ヘッド本体に回転体が鉛直軸線まわりに回転可能かつ昇降可能に設けられるとともに、回転体により、その回転中心線を中心とする一円周上に8つの吸着ノズルが軸方向に移動可能に保持され、各回転中心線がフィーダの配設ピッチの整数倍の距離を隔てた状態で移動部材に搭載されている。8つの吸着ノズルは、隣接する2つずつが、フィーダの配設ピッチに等しい間隔になるとともに、2つの装着ヘッド間において、2個ずつ、合計4個の吸着ノズルの配設ピッチがフィーダの配設ピッチの整数倍となるように配設されている。また、ヘッド本体には6つのノズル昇降装置が設けられ、2つの装着ヘッドの各2つずつ、合計4つの吸着ノズルが一列に並んだ状態で一斉に下降させられ、4個の電子回路部品が同時に吸着される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平9−270595号公報
【特許文献2】特開2005−286171公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1および2に記載の電子回路部品装着機には、未だ改善の余地がある。例えば、これら電子回路部品装着機においては、移動部材に複数の装着ヘッドを並べて設けることにより吸着ノズルの総数を多くしつつ、個々の装着ヘッドにおける吸着ノズルの数を少なくし、装着ヘッドの大形化を回避し得るのであるが、装着機全体としては大形になってしまうというように改善の余地があるのである。
本発明は、以上の事情の下に為されたものであり、複数の吸着ノズルを備えて電子回路部品を装着するロータリヘッドおよびそのロータリヘッドによる電子回路部品の取出方法の改善を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題は、複数部品同時取出方法を、(A)ヘッド本体と、(B)互いに同軸に重ねられ、共通の回転軸線のまわりに相対回転可能に前記ヘッド本体に保持された複数の回転体と、(C)それら複数の回転体の各々をそれぞれ回転させる複数の回転体駆動装置と、(D)前記複数の回転体の各々に、前記回転軸線に平行に、かつ各回転体に対して軸方向に相対移動可能に保持され、それぞれ一端部において吸着ノズルを保持する複数ずつのノズル保持軸と、(E)前記複数の回転体に保持された前記ノズル保持軸の1つを軸方向に進退させ得るとともに、複数のノズル保持軸を同時にも進退させ得る保持軸進退装置とを含む重複型ロータリヘッドの前記複数のノズル保持軸の少なくとも一部のものに保持させた複数の吸着ノズルに、部品供給装置の複数の供給部からそれぞれ1個ずつの電子回路部品を同時に吸着して取り出させる工程を含むものとすることにより解決される。
複数の回転体の各ノズル保持軸の数は同じでもよく、異なってもよい。
上記重複型ロータリヘッドとして、前記複数の回転体のすべてが設定回転位置に位置する状態で、それら回転体の各々に1つずつ設定される複数の同心円の一群である同心円群と、その同心円群の中心線からの距離が互いに等しくかつその中心線まわりの位相を互いに異にする複数の直線の各々との複数組であって、それら複数組の各々における直線と同心円群との複数の交点の互いに隣接するもの同士の間隔が一定であり、かつ、他の組と前記交点を共有しない複数組の各々に属する前記複数の交点の各々を通り、かつ、前記中心線に平行な複数の嵌合穴の複数ずつが前記複数の回転体の各々に形成され、それら嵌合穴の各々に前記複数のノズル保持軸の各々が軸方向に進退可能に嵌合されたものを使用し、複数部品同時取出方法を、前記複数の直線の1つと交差するすべてのノズル保持軸のうちの2つ以上に保持させた吸着ノズルに同時に電子回路部品を取り出させる工程を含むものとすることが特に有効である。
【0007】
前記課題は、複数部品同時取出方法を、前記重複型ロータリヘッドとして、前記複数の回転体のすべてが設定回転位置に位置する状態で、それら回転体の各々に1つずつ設定される複数の同心円の一群である同心円群と、その同心円群の中心線からの距離が互いに等しくかつその中心線まわりの位相を互いに異にする複数の直線の各々との複数組であって、それら複数組の各々における直線と同心円群との複数の交点の互いに隣接するもの同士の間隔が一定であり、かつ、他の組と前記交点を共有しない複数組の各々に属する前記複数の交点の各々を通り、かつ、前記中心線に平行な複数の嵌合穴の複数ずつが前記複数の回転体の各々に形成され、それら嵌合穴の各々に前記複数のノズル保持軸の各々が軸方向に進退可能に嵌合されたものを使用し、それら複数の回転体のすべてが上記設定回転位置である第1設定回転位置にある状態から、最も内周側の回転体である最内周側回転体に対して、その最内周側回転体より外周側に位置する1つ以上の回転体である外周側回転体を、その外周側回転体に保持されているノズル保持軸の互いに隣接する2つの、前記共通の回転軸線のまわりの中心角に等しい角度回転させて、その外周側回転体に保持されている前記ノズル保持軸の軸線が、前記最内周側回転体に保持された2つのノズル保持軸の軸線と直交する直線と直交する状態の第2設定回転位置にある状態とし、その第2設定回転位置にある重複型ロータリヘッドの1直線と軸線が直交する3つ以上のノズル保持軸に保持させた前記吸着ノズルに同時に部品を取り出させる工程を含むものとすることにより解決される。
また、前記課題は、複数部品同時取出方法を、それぞれ複数種類の電子回路部品を包含する第1部品群と第2部品群とであって、それら第1部品群と第2部品群とに属する電子回路部品の種類の一部が互いに重複する2群の電子回路部品をそれぞれ吸着して保持可能な第1種吸着ノズルと第2種吸着ノズルとの両方を、前記複数の回転体の各々に複数ずつ保持されたすべてのノズル保持軸のうちの1つ以上ずつにそれぞれ保持させ、その保持させた第1種吸着ノズルに前記互いに重複する種類の電子回路部品を保持させる工程と、その保持させた第2種吸着ノズルに前記互いに重複する種類の電子回路部品を保持させる工程とを含むものとすることにより解決される。
【0008】
また、前記課題は、複数部品同時取出方法を、前記重複型ロータリヘッドとして前記回転体を2つ有するものを使用し、前記複数の直線の各々と交差する2つずつ、合計4つのノズル保持軸のうちの一部のみのものに保持させた複数の前記吸着ノズルに部品を同時に取り出させる工程を含むものとすることによって解決される。
上記「4つのノズル保持軸のうちの一部」として2つまたは3つのノズル保持軸に保持させた吸着ノズルに同時に電子回路部品を取り出させることができ、それら2つのノズル保持軸、または3つのノズル保持軸のうちの2つは、一直線上において互いに隣接するものでも、互いに隣接しないものでもよい。
【発明の効果】
【0009】
上記課題解決手段によれば、電子回路部品装着機の大型化を回避しつつ、電子回路部品のフィーダからの取出しを能率良く行うことが可能となる。
なお、各課題解決手段によって得られる特有の効果は、後に段落〔0012〕に記載するとおりである。
【発明の態様】
【0010】
以下に、本願において特許請求が可能と認識されている発明(以下、「請求可能発明」という場合がある。請求可能発明は、特許請求の範囲に記載された発明である本願発明の下位概念発明や、本願発明の上位概念あるいは別概念の発明を含むことがある。)の態様をいくつか例示し、それらについて説明する。各態様は請求項と同様に、項に区分し、各項に番号を付し、必要に応じて他の項の番号を引用する形式で記載する。これは、あくまでも請求可能発明の理解を容易にするためであり、請求可能発明を構成する構成要素の組み合わせを、以下の各項に記載されたものに限定する趣旨ではない。つまり、請求可能発明は、各項に付随する記載,実施形態の記載,従来技術,技術常識等を参酌して解釈されるべきであり、その解釈に従う限りにおいて、各項の態様にさらに他の構成要素を付加した態様も、また、各項の態様から構成要素を削除した態様も、請求可能発明の一態様となり得るのである。
【0011】
なお、以下の各項において、(41)項が請求項1に相当し、(42)項が請求項2に、(43)項が請求項3に、(52)項が請求項4に、(53)項が請求項5に、(54)項が請求項6に、(60)項が請求項7に、(65)項が請求項8に、(66)項が請求項9に、それぞれ相当する。
【0012】
(1)複数の吸着ノズルの各々により電子回路部品を吸着保持して回路基材に装着する多ノズル装着ヘッドであって、
ヘッド本体と、
複数の同心円の一群である同心円群と、その同心円群の中心線からの距離が互いに等しくかつその中心線まわりの位相を互いに異にする複数の直線の各々との複数の組であって、それら複数組の各々における直線と同心円群との複数の交点の互いに隣接するもの同士の間隔が一定であり、かつ、他の組と前記交点を共有しない複数組の各々に属する前記複数の交点の各々を通り、かつ、前記中心線に平行な複数の嵌合穴を有し、前記中心線のまわりに回転可能に前記ヘッド本体に保持されたロータと、
そのロータを前記中心線のまわりに回転させるロータ回転駆動装置と、
前記複数の嵌合穴の各々に軸方向に相対移動可能に嵌合され、それぞれ一端部に前記吸着ノズルを保持する複数のノズル保持軸と、
それら複数のノズル保持軸のうち前記複数の直線の各々に対応するものである複数の作用保持軸を前記ロータに対して軸方向に進退させる保持軸進退装置と
を含むことを特徴とするロータリ装着ヘッド。
複数の直線の同心円群の中心線からの距離は、0でもよく、0より大きい距離でもよい。距離が0の場合、複数の直線は同心円群の中心線において交差することとなる。
保持軸進退装置は、ノズル保持軸の前進および後退の両方を強制的に行う装置としてもよく、一方を強制的に行い、他方が行われることを許容する装置としてもよい。
ロータは、1つの回転体から成るものとすることも、(3)項に記載されているように、同心状に設けられて相対回転可能な複数の回転体を含むものとすることもできる。前者の場合、全部のノズル保持軸は、同心円群の中心線まわりにおいて互いに相対移動不能であり、相対位置は不変であるが、直線と同心円群との複数の交点の互いに隣接するもの同士の間隔を、部品供給装置の複数の供給部のピッチと一致させることにより、同じ直線上に位置する少なくとも3つ(同心円群に属する同心円が2つで、直線が直径が小さい方の円と接する場合)のノズル保持軸を作用保持軸とし、同時に進退させて少なくとも3つの電子回路部品の部品供給装置からの受取りが同時に行われるようにすることができる。そして、ロータの回転により、複数の直線上にそれぞれ位置する少なくとも3つのノズル保持軸を順次作用保持軸とし、一斉に進退させ、電子回路部品の受取りが同時に行われるようにすることができる。
本項のロータリ装着ヘッドによれば、多数のノズル保持軸を備えた装着ヘッドをコンパクトに構成することができる。
(2)前記保持軸進退装置が、前記複数の作用保持軸を一斉に進退させることと、個別に進退させることとの両方が可能なものである(1)項に記載のロータリ装着ヘッド。
本項に記載の進退装置であれば、すべての作用保持軸を一斉に進退させて、それら作用保持軸に保持された複数の吸着ノズルに複数の電子回路部品を一斉に吸着させあるいは装着させることも、複数の作用保持軸の一部である複数あるいは1つの作用保持軸を進退させて電子回路部品を吸着させあるいは装着させることも可能である。
(3)前記ロータが、互いに同軸に嵌合され、それぞれ前記複数の同心円の各々に対応する前記嵌合穴を有する複数の回転体を備えた複重型回転体を含み、前記ロータ回転駆動装置が、その複重型回転体の複数の回転体を一斉に回転させることと、相対回転させることとの両方が可能なものである(1)項または(2)項に記載のロータリ装着ヘッド。
ロータを複重型回転体を含むものとすれば、(11)項に記載の複重型ロータリヘッドと同様に、ロータリ装着ヘッドの自由度を向上させることができる。例えば、複数の回転体の1つのみの回転に基づく吸着ノズルによる電子回路部品の吸着あるいは装着や、複数の回転体の相対回転による複数の作用保持軸の軸線間距離の変更を行うことが可能である。
複数の回転体は2つでもよく、3つ以上でもよい。
(11)ヘッド本体と、
互いに同軸に重ねられ、共通の回転軸線のまわりに相対回転可能に前記ヘッド本体に保持された複数の回転体と、
それら複数の回転体を回転させる回転体駆動装置と、
前記複数の回転体の各々に前記回転軸線に平行に、かつ個々に軸方向に移動可能に保持され、それぞれ一端部において吸着ノズルを保持する複数ずつのノズル保持軸と、
前記複数の回転体に保持された前記ノズル保持軸の1つを軸方向に進退させ得るとともに、複数のノズル保持軸を同時にも進退させ得る保持軸進退装置と
を含むことを特徴とする複重型ロータリヘッド。
本項の構成を採用すれば、多数のノズル保持軸を備えた装着ヘッドをコンパクトに構成することができる。
(12)前記複数の回転体のすべてが設定回転位置に位置する状態で、それら回転体の各々に1つずつ設定される複数の同心円の一群である同心円群と、その同心円群の中心線からの距離が互いに等しくかつその中心線まわりの位相を互いに異にする複数の直線の各々との複数組であって、それら複数組の各々における直線と同心円群との複数の交点の互いに隣接するもの同士の間隔が一定であり、かつ、他の組と前記交点を共有しない複数組の各々に属する前記複数の交点の各々を通り、かつ、前記中心線に平行な複数の嵌合穴の複数ずつが前記複数の回転体の各々に形成され、それら嵌合穴の各々に前記複数のノズル保持軸の各々が軸方向に進退可能に嵌合された(11)項に記載の複重型ロータリヘッド。
本項の複重型ロータリヘッドが前記 (3)項のロータリ装着ヘッドに相当する。
複数の回転体における複数ずつのノズル保持軸の配置は、複数の回転体が一斉に設定回転角度ずつ回転させられると、それら複数の回転体の各々に保持されている複数ずつのノズル保持軸のうちの2つずつが選択的に一直線に沿って並ぶように選定されることが望ましい。上記設定回転角度は1/2回転とすることも可能であるが、ロータリヘッドの特長を有効に利用するために1/3回転以下とすることが望ましい。なお、複数の回転体のうち、最も内側の回転体については、複数ずつのノズル保持軸の1つが、他の回転体の2つずつのノズル保持軸と一直線に沿って並ぶようにすることも可能である。
複数の直線の各々において一定間隔を隔てて並ぶ少なくとも3つのノズル保持軸を同時に進退させることにより、少なくとも3つの電子回路部品を部品供給装置から同時に受け取ることができる。
(13)前記回転体駆動装置が、前記複数の回転体の各々を個別に回転駆動可能な複数の個別駆動装置を含む(11)項または(12)項に記載の複重型ロータリヘッド。
回転体駆動装置は、複数の回転体の1つに設けられ、その1つの回転体に対して他の回転体を相対的に回転させる副回転駆動装置と、前記1つの回転体を回転駆動することにより、前記複数の回転体を一斉に回転させる主回転駆動装置とを含むものとすることもできる。しかし、その場合には、1つの回転体と共に回転する副回転駆動装置に駆動エネルギを供給することが必要となって、エネルギ供給装置が複雑となることを避け得ない。
それに対し、本項に記載の回転体駆動装置とすれば、各個別駆動装置はヘッド本体に固定的に保持させることができるため、上記エネルギ供給装置の複雑化を回避することができる。しかも、例えば、1つの個別駆動装置を作動させる一方、他の回転体駆動装置は停止させることにより、1つの回転体のみを回転させることができるなど、複数の回転体の回転駆動の自由度が向上する効果も得られる。
(14)前記保持軸進退装置が、前記複数のノズル保持軸の各々を個別に進退させる複数の個別進退装置と、それら複数の個別進退装置の複数を同時に作動させる同時作動制御部と個々に作動させる各個作動制御部とを含む進退装置制御装置とを含む(11)項ないし(13)項のいずれかに記載の複重型ロータリヘッド。
「複数の個別進退装置の複数」は、複数の個別進退装置の全部でもよく、一部でもよい。
(2)項に記載のロータリ装着ヘッドと同様の効果を得ることができる。
本項に記載の特徴は、(2)項に記載のロータリ装着ヘッドに適用可能であり、回転体が1つのロータリ装着ヘッドにも適用可能である。
(15)前記保持軸進退装置が、前記複数の回転体のすべてが設定回転位置に位置する状態で、それら回転体に保持された複数ずつのノズル保持軸のうち一直線に沿って並ぶものである複数の作用保持軸に対応する位置に設けられ、それら作用保持軸の各々を進退させる複数の個別進退装置を含む(11)項ないし(14)項のいずれかに記載の複重型ロータリヘッド。
本項が(14)項に従属する態様においては、同時作動制御部の制御により、複数の作用保持軸のすべてあるいは一部である複数が同時に進退させられることとなる。
(16)前記回転体駆動装置が、前記複数の回転体の2つを相対回転させることにより、それら2つの回転体に保持された2つのノズル保持軸の軸間距離を変える軸間距離変更部を含む(11)項ないし(15)項のいずれかに記載の複重型ロータリヘッド。
軸間距離変更部は、軸間距離の公称値を変更する公称値変更部と、軸間距離を微調整する微調整部との少なくとも一方を含むものとすることができる。前者によれば、複数の吸着位置あるいは装着位置の間隔が複数種類に異なる場合にも複数の電子回路部品を同時に吸着あるいは装着することができ、後者によれば、複数の吸着位置あるいは装着位置の間隔が誤差を含む場合にも複数の電子回路部品を同時に吸着あるいは装着することができる。
(17)前記回転体駆動装置が、前記複数の回転体の2つを一斉に回転させることにより、それら2つの回転体に保持された2つのノズル保持軸の軸線を結ぶ直線の向きを変える向き変更部を含む(11)項ないし(16)項のいずれかに記載の複重型ロータリヘッド。
本項が(16)項に従属する態様では、2つのノズル保持軸の軸間距離を変えるとともに、それらノズル保持軸を所定の方向において並ぶ状態とすることができる。
(18)さらに、前記複数の回転体の各々に保持された前記複数ずつのノズル保持軸を前記複数の回転体の各々に対してそれらノズル保持軸の軸線のまわりに相対回転させる保持軸回転駆動装置を含む(11)項ないし(17)のいずれかに記載の複重型ロータリヘッド。
ノズル保持軸の軸線まわりの回転により、吸着ノズルにより保持された電子回路部品の回転姿勢を調整し、あるいは変更することができる。
(19)前記保持軸回転駆動装置が、前記複数の回転体の各々に保持された複数ずつのノズル保持軸を一斉に回転させるものである(18)項に記載の複重型ロータリヘッド。
保持軸回転駆動装置は、複数のノズル保持軸の各々を個別に回転させる個別回転駆動装置の集合とすることも可能である。しかし、本項の構成を採用すれば、保持軸回転駆動装置の構成を単純化し、装置コストを低減させることができる。特に、保持軸回転駆動装置を、複数のノズル保持軸の各々に設けられた複数の被駆動部材と、それら被駆動部材の各々に共通に設けられてそれら被駆動部材と回転伝達可能に係合する共通の駆動部材と、その駆動部材を回転駆動する駆動源とを含むものとすれば、一層構成を単純化することができる。
(20)前記保持軸回転駆動装置が、前記複数の回転体のすべてに保持された複数のノズル保持軸のすべてを一斉に回転させるものである(18)項または(19)項に記載の複重型ロータリヘッド。
保持軸回転駆動装置の構成をより一層単純化することができる。
(21)前記複数の回転体の各々に、前記複数ずつのノズル保持軸に対応してそれぞれ設けられ、各ノズル保持軸に負圧と正圧とを選択的に供給する状態に切り換え可能な複数の切換弁装置を含む(11)項ないし(20)項のいずれかに記載の複重型ロータリヘッド。
(22)さらに、前記複数の回転体がそれぞれ予め設定された設定回転位置に位置する状態で、それら複数の回転体の各々に保持された前記複数ずつのノズル保持軸の1つが位置する作用位置に対応する位置に設けられ、前記複数の切換弁装置のうちその作用位置に位置するノズル保持軸に対応する切換弁装置を切り換える切換装置を含む(21)項に記載の複重型ロータリヘッド。
(23)前記複数の切換弁装置に共通に設けられ、(a)開閉弁を備えた負圧供給通路と、(b)開閉弁を備えた第一通路部とその第一通路部に並列で開閉弁と圧力制御弁とを備えた第二通路部とを有する正圧供給通路とを含む(21)項または(22)項に記載の複重型ロータリヘッド。
複数の切換弁装置の各々について負圧供給通路および正圧供給通路を設けてもよい。しかし、共通に設けた方が装置の構成を簡易にすることができる。
本項の特徴は、(11)項ないし(22)項の各特徴とは独立して採用可能である。1つの回転体に複数のノズル保持軸が保持されたロータリヘッドにおいて採用可能なのである。
(31)回路基材を保持する基材保持装置と、
それぞれ複数の電子回路部品を収容して供給部から順次供給する複数のフィーダが、前記供給部が一直線に沿って並ぶ状態で配列された部品供給装置と、
(11)項ないし(23)項のいずれかに記載の複重型ロータリヘッドと、
その複重型ロータリヘッドを保持し、前記基材保持装置と前記部品供給装置とに跨る移動平面内の任意の位置へ移動させるロータリヘッド移動装置と
を含み、前記複重型ロータリヘッドの前記複数の回転体の各々に保持された複数ずつのノズル保持軸のうちの少なくとも2つが、前記複数のフィーダのうちの少なくとも2つの前記供給部から一斉に電子回路部品を受け取り可能な電子回路部品装着機。
(1)項ないし(3)項の各々に記載のロータリ装着ヘッドも本項の電子回路部品装着機に適用可能である。
回路基材には、例えば、(a)回路基板、(b)ベアチップが搭載され、チップ付基板を構成する基材、(c)ボールグリッドアレイを備えた電子回路部品が相対される基材等が含まれる。回路基板には、例えば、プリント基板がある。プリント基板には、未だ電子回路部品が装着されていないプリント配線板、一方の面に電子回路部品が搭載されるとともに電気的に接合され、他方の面には電子回路部品が未装着であるプリント回路板が含まれる。
フィーダとしては、例えば、テープフィーダ,バルクフィーダ,スティックフィーダ等を採用可能である。
部品供給装置は、トレイによって、あるいはフィーダおよびトレイによって電子回路部品を供給する装置とされてもよい。
本項の電子回路部品装着機においては、複重型ロータリヘッドの保持軸進退装置および回転体駆動装置は、制御部を含まず、それぞれノズル保持軸を進退させる機構のみおよび複数の回転体を回転させる機構のみを含む装置とし、制御部は、複重型ロータリヘッドとは別に設けてもよい。例えば、電子回路部品装着機に設けられて部品供給装置やロータリヘッド移動装置等を制御する制御装置に保持軸進退装置および回転体駆動装置を制御する制御部を設けるのである。
(32)前記回転体駆動装置と前記ロータリヘッド移動装置とを制御することにより、前記複数の回転体の2つに保持された2つのノズル保持軸の軸線の位置を制御する保持軸位置制御部を含む(31)項に記載の電子回路部品装着機。
保持軸位置制御部は、例えば、2つの回転体の相対回転により2つのノズル保持軸の軸線間距離を制御し、2つの回転体の一体的な回転により2つのノズル保持軸の軸線を結ぶ線分の向きを制御し、その線分上の予め定められた1点の位置を制御することにより、2つのノズル保持軸の軸線の位置を制御するものとすることができる。
(33)前記ロータリヘッド移動装置が、前記複重型ロータリヘッドの前記ヘッド本体を保持して前記移動平面内の任意の位置へ移動させられる可動部材を含み、かつ、その可動部材と前記ヘッド本体との間に、ヘッド本体を可動部材に対して着脱可能に取り付けるヘッド取付装置を含む(31)項または(32)項に記載の電子回路部品装着機。
上記ヘッド取付装置は、ヘッド本体を可動部材に対して一義的に位置決めする位置決め装置と、1つの操作部の操作によりクランプ状態と解除状態とに切換え可能なクランプ装置とを含み、迅速に取付け,取外し可能なものとすることが望ましい。
例えば、ノズル保持軸の数や回転体の数を異にする複数種類の複重型ロータリヘッドを選択的に使用することができ、あるいは複重型ロータリヘッドとは別の種類の装着ヘッド、例えば、吸着ノズルを1つのみ保持した装着ヘッドや、複数の吸着ノズルが1つの回転体により保持された装着ヘッド等が選択的に使用される電子回路部品装着機において、それら装着ヘッドに代えて複重型ロータリヘッドを使用することが容易である。
(41)ヘッド本体と、
互いに同軸に重ねられ、共通の回転軸線のまわりに相対回転可能に前記ヘッド本体に保持された複数の回転体と、
それら複数の回転体の各々をそれぞれ回転させる複数の回転体駆動装置と、
前記複数の回転体の各々に、前記回転軸線に平行に、かつ各回転体に対して軸方向に相対移動可能に保持され、それぞれ一端部において吸着ノズルを保持する複数ずつのノズル保持軸と、
前記複数の回転体に保持された前記ノズル保持軸の1つを軸方向に進退させ得るとともに、複数のノズル保持軸を同時にも進退させ得る保持軸進退装置と
を含む重複型ロータリヘッドの前記複数のノズル保持軸の少なくとも一部のものに保持させた複数の吸着ノズルに、部品供給装置の複数の供給部からそれぞれ1個ずつの部品を同時に吸着して取り出させる工程を含むことを特徴とする複数部品同時取出方法。
本項に記載の複数部品同時取出方法によれば、電子回路部品装着機の大型化を回避しつつ、電子回路部品のフィーダからの取出しを能率良く行うことが可能となる。
(42)前記重複型ロータリヘッドとして、前記複数の回転体のすべてが設定回転位置に位置する状態で、それら回転体の各々に1つずつ設定される複数の同心円の一群である同心円群と、その同心円群の中心線からの距離が互いに等しくかつその中心線まわりの位相を互いに異にする複数の直線の各々との複数組であって、それら複数組の各々における各直線と同心円群との複数の交点の互いに隣接するもの同士の間隔が一定であり、かつ、他の組と前記交点を共有しない複数組の各々に属する前記複数の交点の各々を通り、かつ、前記中心線に平行な複数の嵌合穴の複数ずつが前記複数の回転体の各々に形成され、それら嵌合穴の各々に前記複数のノズル保持軸の各々が軸方向に進退可能に嵌合されたものを使用し、前記複数の直線の1つと交差するすべてのノズル保持軸のうちの2つ以上に保持させた吸着ノズルに同時に部品を取り出させる工程を含む(41)項に記載の複数部品同時取出方法。
本項ないし(45)項に記載の複数部品同時取出方法によれば、(41)項に記載の発明の効果を特に有効に享受することができる。
(43)前記複数の回転体のすべてが設定回転位置にある状態から、それらすべての回転体を前記複数の直線の前記中心線まわりの位相差ずつ間欠的に回転させ、それら間欠回転の各々において、前記複数の直線の各々と交差するすべてのノズル保持軸の少なくとも一部のものに保持させた複数の吸着ノズルに、複数の部品を同時に取り出させる工程を含む(42)項に記載の複数部品同時取出方法。
(44)前記複数の直線の各々と交差するすべてのノズル保持軸に保持させた吸着ノズルのすべてに部品を同時に取り出させる工程を含む(43)項に記載の複数部品同時取出方法。
(45)前記重複型ロータリヘッドとして、前記回転体を2つ有するものを使用し、前記複数の直線の各々と交差する2つずつ、合計4つのノズル保持軸に保持させた4つの吸着ノズルのすべてに同時に部品を取り出させる工程を含む(44)項に記載の複数部品同時取出方法。
(46)前記複数の直線の各々と交差するすべてのノズル保持軸のうちの一部のみのものに保持させた前記吸着ノズルに部品を同時に取り出させる工程を含む(43)項または(44)項に記載の複数部品同時取出方法。
本項ないし(54)項に記載の各特徴を採用すれば、複数部品同時取出方法の自由度をそれぞれ大きくし得る効果が得られる。
(47)前記重複型ロータリヘッドとして、前記回転体を2つ有するものを使用し、前記複数の直線の1つと交差する2つずつ、合計4つのノズル保持軸のうちの一部のみのものに保持させた吸着ノズルに部品を同時に取り出させる工程を含む(45)項または(46)項に記載の複数部品同時取出方法。
(48)前記合計4つのノズル保持軸のうちの一部のみのものとして、2つのものを使用する工程を含む(47)項に記載の複数部品同時取出方法。
(49)前記合計4つのノズル保持軸のうちの一部のみのものとして、互いに隣接する2つのものを使用する工程を含む(48)項に記載の複数部品同時取出方法。
(50)前記2つのものとして、前記合計4つのノズル保持軸のうちの1つおきの2つを使用する工程を含む(48)項または(49)項に記載の複数部品同時取出方法。
(51)前記2つのものとして、前記合計4つのノズル保持軸のうちの2つおきの2つを使用する工程を含む(48)項ないし(50)項のいずれかに記載の複数部品同時取出方法。
(52)前記合計4つのノズル保持軸のうちの2つとして、前記2つの回転体の各々に保持された1つずつを使用する工程を含む(48)項ないし(51)項のいずれかに記載の複数部品同時取出方法。
本項に記載の態様によれば、互いに隣接する2つのノズル保持軸、1つおきの2つののノズル保持軸、あるいは2つおきの2つののノズル保持軸の軸間距離の調節、ひいてはそれら2つのノズル保持軸に保持された2つの吸着ノズルの軸線間距離の調節を行うことができ、小形の電子回路部品の同時取出しを確実に行うことが可能になる。
(53)前記合計4つのノズル保持軸のうちの一部のみのものとして、互いに隣接する3つのものを使用する工程を含む(47)項ないし(52)項のいずれかに記載の複数部品同時取出方法。
(54)前記合計4つのノズル保持軸のうちの一部のみのものとして、互いに隣接する2つと、それら2つに隣接しない1つとの合計3つを使用する工程を含む(47)項ないし(53)項のいずれかに記載の複数部品同時取出方法。
(60)前記重複型ロータリヘッドを、前記複数の回転体のすべてが前記設定回転位置である第1設定回転位置にある状態から、最も内周側の回転体である最内周側回転体に対して、その最内周側回転体より外周側に位置するに1つ以上の回転体である外周側回転体を、その外周側回転体に保持されているノズル保持軸の互いに隣接する2つの、前記共通の回転軸線のまわりの中心角に等しい角度回転させて、その外周側回転体に保持されている前記ノズル保持軸の軸線が、前記最内周側回転体に保持された2つのノズル保持軸の軸線と直交する直線と直交する状態の第2設定回転位置にある状態とし、その第2設定回転位置にある重複型ロータリヘッドの1直線と軸線が直交する3つ以上のノズル保持軸に保持させた前記吸着ノズルに同時に部品を取り出させる工程を含む(42)項ないし(54)項のいずれかに記載の複数部品同時取出方法。
本項に記載の特徴を採用すれば、重複型ロータリヘッドの使用形態の自由度を増すことができる。例えば、最内周側回転体に対して外周側回転体を相対回転させ、あるいは複数の外周側回転体が複数ある場合にそれら相互間で相対回転させることにより、複数のノズル保持軸の各々に保持させた吸着ノズルの軸線間の距離を調節することができ、その調節と、ヘッド本体の位置の調節との組み合わせにより、複数の吸着ノズルの各々と、複数のフィーダの各供給部との相対位置を正確に合わせつつ、複数の電子回路部品を同時に受け取らせることが可能となり、小形の電子回路部品の複数同時取出しも可能となるのである。また、本項に記載の工程を繰り返し実行する際における各回転体の回転角度が、(52)項に記載の態様による場合に比較して小さくて済む利点がある。
(61)前記第2設定回転位置にある複数の回転体のすべてを、前記最内周側回転体に保持されている2つずつのノズル保持軸の軸線と直交する複数の前記直線の回転位相差ずつ間欠回転させ、それら間欠回転の各々において、前記3つ以上のノズル保持軸のうちの2つ以上に保持させた前記吸着ノズルに同時に部品を取り出させる工程を含む(60)項に記載の複数部品同時取出方法。
(65)それぞれ複数種類の電子回路部品を包含する第1部品群と第2部品群とであって、それら第1部品群と第2部品群とに属する電子回路部品の種類の一部が互いに重複する2群の電子回路部品をそれぞれ吸着して保持可能な第1種吸着ノズルと第2種吸着ノズルとの両方を、前記複数の回転体の各々に複数ずつ保持されたすべてのノズル保持軸のうちの1つ以上ずつにそれぞれ保持させ、その保持させた第1種吸着ノズルに前記互いに重複する種類の電子回路部品を保持させる工程と、前記保持させた第2種吸着ノズルに前記互いに重複する種類の電子回路部品を保持させる工程とを含む(41)項ないし(54)項,(60)項,(61)項のいずれかに記載の複数部品同時取出方法。
本項に記載の特徴を採用すれば、重複型ロータリヘッドにより複数の電子回路部品を同時に取り出し得る機会が増し、装着作業の能率が向上する効果が得られる。
(66)前記第1種吸着ノズルと前記第2種吸着ノズルとをそれぞれ保持させた複数のノズル保持軸を同時に進退させる工程を含む(65)項に記載の複数部品同時取出方法。
本項に記載の特徴は(65)項の態様の複数部品同時取出方法の実行に不可欠ではないが、採用すれば(65)項に記載の態様の効果を享受し得る機会が多くなる。
(67)前記第1種吸着ノズルと前記第2種吸着ノズルとをそれぞれ保持させたノズル保持軸を、前記重複型ロータリヘッドの1回の回転の前後において進退させる工程を含む(65)項または(66)項に記載の複数部品同時取出方法。
本項に記載の特徴は(65)項の態様の複数部品同時取出方法の実行に不可欠ではないが、採用すれば(65)項に記載の態様の効果を享受し得る機会が多くなる。
(68)前記重複する種類の電子回路部品を、前記部品供給装置において互いに隣接する2つのフィーダに供給させる(66)項または(67)項に記載の複数部品同時取出方法。
本項に記載の態様によれば複数部品同時取出しの機会がさらに多くなる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】請求可能発明の実施形態である電子回路部品装着機たる装着モジュールを複数備えた電子回路部品装着システムを示す斜視図である。
【図2】上記装着モジュールの一部を示す斜視図である。
【図3】上記装着モジュールの装着装置を示す斜視図である。
【図4】図4(a)は上記装着装置の吸着ノズルを1つ保持する装着ヘッドを示す斜視図であり、図4(b)は請求可能発明の実施形態であるロータリヘッドを示す斜視図である。
【図5】上記装着モジュールの部品供給装置のフィーダを示す側面図(一部断面)である。
【図6】図6(a)は上記フィーダにより保持される部品保持テープを示す平面図であり、図6(b)は側面図である。
【図7】上記装着ヘッドおよびヘッド移動装置の第二X軸スライドに設けられたヘッド取付装置を示す斜視図である。
【図8】図8(a)は上記ヘッド取付装置のクランプ装置を側面において断面にして示す図であり、図8(b)は図8(a)におけるA−A断面図である。
【図9】上記ロータリヘッドをカバーを外して示す斜視図である。
【図10】上記ロータリヘッドを示す正面断面図である。
【図11】上記ロータリヘッドを示す側面図である。
【図12】上記ロータリヘッドを示す平面断面図である。
【図13】上記ロータリヘッドの個別昇降装置が設けられた部分を拡大して示す側面図(一部断面)である。
【図14】上記ロータリヘッドの内回転体および外回転体の各々におけるノズル保持軸の配置を説明する図である。
【図15】外ノズル保持軸を昇降させる個別昇降装置の駆動部材を示す側面図である。
【図16】内ノズル保持軸を昇降させる個別昇降装置の駆動部材を示す側面図である。
【図17】ノズル保持軸への負圧および正圧の供給切換を行う切換弁装置を概略的に示す図である。
【図18】上記切換弁装置へ正圧および負圧を供給する通路を説明する図である。
【図19】上記切換弁装置を切り換える切換装置を示す側面図である。
【図20】上記装着モジュールを制御する制御装置を概念的に示すブロック図である。
【図21】上記内回転体および外回転体によりそれぞれ保持された8つずつのノズル保持軸のうちの1つずつの組合わせを説明する図である。
【図22】図21に示す組を成す2つのノズル保持軸による電子回路部品の同時吸着時における軸間距離の補正および位置の補正を説明する図である。
【図23】上記ロータリヘッドの一使用形態を説明するための図である。
【図24】上記ロータリヘッドの別の一使用形態を説明するための図である。
【図25】上記ロータリヘッドのさらに別の使用形態を説明するための図である。
【図26】上記ロータリヘッドのさらに別の使用形態を説明するための図である。
【図27】上記ロータリヘッドのさらに別の使用形態を説明するための図である。
【図28】上記ロータリヘッドのさらに別の使用形態を説明するための図である。
【図29】図28に示すロータリヘッドの使用形態を説明するための図である。
【図30】図28に示すロータリヘッドの使用形態を説明するための図である。
【図31】請求可能発明の別の実施形態における3重型ロータリヘッドを示す図14に相当する図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、請求可能発明の実施形態を、上記各図を参照しつつ説明する。なお、請求可能発明は、下記実施形態の他、上記〔発明の態様〕の項に記載した態様を始めとして、当業者の知識に基づいて種々の変更を施した態様で実施することができる。
【0015】
図1に、電子回路部品装着システム(以後、装着システムと略称する)の外観を示す。本装着システムは、複数の装着モジュール10が、共通で一体のベース12上に、互いに隣接して1列に配列されて固定されることにより構成されている。複数の装着モジュール10はそれぞれ、対回路基材作業機の一種である電子回路部品装着機であり、回路基材の一種である回路基板(具体的にはプリント基板)への電子回路部品の装着を分担し、並行して行う。
【0016】
装着モジュール10については、例えば、特開2004−104075公報に詳細に記載されており、本請求可能発明に関する部分以外の部分については簡単に説明する。
各装着モジュール10はそれぞれ、図2に示すように、モジュール本体18,基材搬送装置たる基板搬送装置20,基材保持装置たる基板保持装置22,部品供給装置24,装着装置26,基準マーク撮像装置28(図3参照),部品撮像装置30およびモジュール制御装置32を備えている。
【0017】
モジュール本体18は、前後方向に長いベッド36を備えている。基板搬送装置20は、本実施形態においては2つのコンベヤ40,42を備え、ベッド36の、装着モジュール10の前後方向の中央部に設けられ、回路基板44を複数の装着モジュール10が並ぶ方向と平行な方向であって、水平な方向に搬送する。本実施形態においては、回路基板44の搬送方向をX軸方向、水平な一平面内においてX軸方向と直交する方向をY軸方向とする。装着モジュール10の左右方向はX軸方向に平行であり、前後方向はY軸方向に平行である。回路基板の搬送には、コンベヤ40,42の少なくとも一方が使用される。
【0018】
基板保持装置22は2つのコンベヤ40,42の各々について設けられ、本実施形態においては、図示は省略するが、基板支持装置および一対のクランプ部材を含み、回路基板44を被装着面が水平となる姿勢で保持する。本基板支持装置は、それぞれ回路基板44を下方から支持する支持部材たる複数の支持ピンを含み、一対のクランプ部材は回路基板44の搬送方向に平行な両側縁部を保持する。
【0019】
部品供給装置24は、図2に示すように、ベッド36の基板搬送装置20に対してY軸方向の一方の側であって、装着モジュール10の前面側に設けられている。部品供給装置24は、例えば、部品供給具たるフィーダの一種である複数のテープフィーダ(以後、フィーダと略称する)50により電子回路部品を供給するものとされている。
【0020】
本フィーダ50は、図5に示すように、フィーダ本体52,送り装置54,剥離装置56,テープ保持装置としてのリール保持装置58,位置決め装置59,固定装置60および制御装置62を含んで構成され、部品保持テープ64により電子回路部品66を供給する。部品保持テープ64は、図6(a)に示すように、主テープ70およびカバーテープ72を含む。この部品保持テープ64はエンボスタイプの部品保持テープであり、図6(b)に示すように、主テープ70は、その両縁部であって、主テープ70の長手方向に延びる1対の被案内部74,76と、それら被案内部74,76の間の部分から被案内部74,76に直角に突出させられ、主テープ70の長手方向に延びる帯状の突部78とを備えている。
【0021】
突部78には、その長手方向に等間隔に並んで多数の部品収容部たる部品収容凹部80が形成され、それら部品収容凹部80の各々に電子回路部品66が1個ずつ収容されている。被案内部76に多数の送り穴82が主テープ70の長手方向に等間隔に並んで形成されている。カバーテープ72は、主テープ70の上面の送り穴82が設けられていない部分に貼り付けられ、部品収容凹部80の開口を覆って電子回路部品66の飛出しを防止している。部品保持テープ64は、図5に示すようにリール83に巻き付けられ、リール保持装置58により保持される。
【0022】
送り装置54は、図5に示すように、フィーダ本体52に、その幅方向に平行な軸線まわりに回転可能に設けられた送り部材たるスプロケット84,駆動源たる電動モータ86および電動モータ86の回転をスプロケット84に伝達する回転伝達装置88を含む。電動モータ86は、例えば、電動回転モータたるサーボモータにより構成される。サーボモータに代えてステップモータにより構成してもよい。スプロケット84は、その外周面に、部品保持テープ64の送り穴82に係合する複数の突起90を備え、部品保持テープ64は、スプロケット84が電動モータ86によって回転させられることにより所定ピッチずつ、例えば、部品収容凹部80の形成ピッチに等しい距離ずつ送られ、電子回路部品66が順次、フィーダ本体52の前端部に設定された供給部へ送られる。剥離装置56は電動モータ86を駆動源とし、送りローラ92,94の回転によりカバーテープ72は部品保持テープ62の送りと同期して送られ、主テープ70から剥がされる。
【0023】
本部品供給装置24においては、複数のフィーダ50はベッド36に設けられたフィーダ支持台96により支持される。フィーダ支持台96には、フィーダ50をX軸,Y軸方向に位置決めして固定し、保持する保持部98が複数、X軸方向において適宜の間隔を隔てて、本実施形態においては等間隔を隔てて設けられている。複数のフィーダ50はそれぞれ保持部98により保持され、各供給部がX軸方向に平行な一直線上に位置し、等間隔に並ぶ状態で支持されている。
【0024】
装着装置26は、図4に例示する装着ヘッド100,102と、その装着ヘッド100,102を移動させるヘッド移動装置103(図3参照)とを備えている。ヘッド移動装置103は、図3に示すように、X軸方向移動装置104およびY軸方向移動装置106を備えている。Y軸方向移動装置106は、モジュール本体18を構成するクラウン108に、部品供給装置24の供給部と2つの基板保持装置22とに跨って設けられたリニアモータ110を備え、可動部材としてのY軸スライド112をY軸方向の任意の位置へ移動させる。
【0025】
本実施形態においては、X軸方向移動装置104はY軸スライド112上に設けられ、Y軸スライド112に対してX軸方向に移動させられるとともに、互いにX軸方向に相対移動させられる可動部材たる第一,第二X軸スライド114,116と、それらスライド114,116をそれぞれ、X軸方向に移動させるX軸スライド移動装置118(図3には第二X軸スライド116を移動させる移動装置のみが図示されている)とを備えている。2つのX軸スライド移動装置はそれぞれ、例えば、駆動源たる電動モータ120(図20参照)と、送りねじおよびナットを含む送りねじ機構とを含むものとされ、X軸スライド114,116をX軸方向の任意の位置へ移動させる。送りねじとしてはボールねじが好適であり、電動モータとしてはサーボモータ等回転角度の制御が可能な電動モータが好適である。以下に記載の送りねじおよび電動モータについても同様である。装着ヘッド100,102はそれぞれ、第二X軸スライド116に着脱自在に搭載され、ヘッド移動装置103により、部品供給装置24の供給部と2つの基板保持装置22とに跨る移動平面内の任意の位置へ移動させられる。なお、ヘッド移動装置は、X軸スライド上にY軸方向移動装置が設けられたものとされてもよい。
【0026】
装着ヘッド100,102は、部品保持具の一種である吸着ノズルによって電子回路部品を保持する。装着装置26においては、装着ヘッド100,102を始めとし、吸着ノズルの数を異にする複数種類の装着ヘッドが用意され、電子回路部品が装着される回路基板44の種類に応じて選択的に第二X軸スライド116に取り付けられる。例えば、図4(a)に示す装着ヘッド100はノズルホルダ130を1つ備え、吸着ノズル132が1つ保持される。ノズルホルダ130は、ヘッド本体に設けられた移動装置である昇降装置134および回転装置136(図20参照)により昇降および回転させられる。吸着ノズル120への負圧の供給は、図示を省略する切換弁装置の切換えにより許容,遮断される。図4(b)に示す装着ヘッド102においては、後に詳細に説明するように吸着ノズルが複数保持され、電子回路部品が複数、保持される。
【0027】
装着ヘッド100,102は、ヘッド取付装置148により第二X軸スライド116に着脱可能に取り付けられる。ヘッド取付装置148は、例えば、特開2004−221518公報に記載の取付装置と同様に構成されており、装着ヘッド100を例に取って簡単に説明する。
【0028】
本ヘッド取付装置148は、図7に示すように、位置決め装置149およびクランプ装置150を含み、装着ヘッド100のヘッド本体151の背面部152は、図7(a)に示すように、下部に2つの脚部156を有するとともに、上部に係合ブロック158が設けられている。一方、第二X軸スライド116の正面部154は、図7(b)に示すように、下部に、脚部156を支承する脚部支承部160を有し、脚部支承部160のやや上方に、2つの下部係合ローラ164を有し、それら下部係合ローラ164の上方に、2つの上部係合ローラ167を有して係合ブロック158を入り込ませるための係合穴168が設けられている。
【0029】
脚部156は、先端が楔形状とされており、V字状とされた脚部支承部160に嵌め合わされる。これにより、ヘッド本体151の第二X軸スライド116に対する上下方向の位置およびヘッド本体151の下部の前後方向の位置が規定される。また、脚部156上部の間隔が小さくされた部分の対向する側面が、2つの下部係合ローラ164の各々の外周面にぴったりと係合するようにされており、さらに、係合ブロック158の両側面が、2つの上部係合ローラ167の間にぴったりと嵌りこむようにされており、これらによって、ヘッド本体151の第二X軸スライド116に対する左右方向の位置が規定される。
【0030】
クランプ装置150は、図7(b)に示すように、第二X軸スライド116の正面部15
4の上部であって、係合穴168より上側に設けられている。図8に、クランプ装置150の断面を示す。図8(a)は、第二X軸スライド116の左右方向の中央において切断した断面であり、図8(b)は、図8(a)におけるA−A面における断面である。クランプ装置150は、係合ブロック158の上部に回転可能に設けられた掛止ローラ170(図7参照)に掛止ピン172を掛合させる構造とされている。詳しく説明すれば、クランプ装置150は、正面部154の上部に設けられたピン穴174に上下移動可能に支持された掛止ピン172と、掛止ピン172を上下させる掛止ピン作動装置180とを含んで構成されている。
【0031】
掛止ピン作動装置180は、若干の可撓性のあるロッド182と、そのロッド182の一端部に偏心して設けられた円盤状のカム板184と、ロッド182を回転可能に支持する概ねパイプ状のロッド支持部材186と、ロッド182の他端部に設けられてロッド182を回転させるための操作部を構成するグリップ188とを含んで構成される。掛止ピン作動装置180は、ロッド支持部材186において第二X軸スライド116の正面部154の上部に取り付けられる(図7参照)。掛止ピン172の上部には、カム板184の外径より若干大きな幅の溝190が形成され、この溝190にカム板184が係合するようにされている。グリップ188を回転させれば、掛止ピン172が上下に作動する。
【0032】
装着ヘッド100の第二X軸スライド116に対する取付け,取外しは作業者により行われる。装着ヘッド100を装着する場合、作業者はグリップ188を一方向(本実施形態では正面から見て反時計回り)に回転させ、掛止ピン172を上方に移動させた状態で、脚部156を脚部支承部160および下部係合ローラ164に嵌合し、係合ブロック158を上部係合ローラ167に嵌合する。その状態で、グリップ188を反対方向(本実施形態では正面から見て時計回り)に回転させる。このグリップ188の操作により、掛止ピン172は下降し、最下降端の手前で掛止ピン172の下端部に形成された傾斜面192が掛止ローラ170の外周に当接する。さらに、グリップ188を回転させることにより、掛止ピン172は、傾斜面192の作用により、ヘッド本体151を下方に押付けるとともに後方に押し付ける状態で、掛止ローラ170を掛止する。それにより、ヘッド本体151は、その下部に加えて上部が前後方向に位置決めされるとともに、背面部152と正面部154との間に殆ど隙間のない状態で第二X軸スライド116に固定される。
【0033】
掛止ピン172によるヘッド本体151の押付け状態は、カム板184の外周と溝190の下側面との間に生じる摩擦力によって維持されるが、その状態維持をより確実なものとするため、掛止ピン作動装置180は、捻りバネ194を有して、掛止ピン172が下方に向かう方向にその捻りバネ194がロッド182を付勢する構造とされている。装着ヘッド100を第二X軸スライド116から離脱させるには、逆方向にグリップ188を回転させればよい。本実施形態においては、脚部156,脚部支承部160,係合ブロック158,2つの下部係合ローラ164,2つの上部係合ローラ167,掛止ローラ170および掛止ピン172が位置決め装置149を構成している。
【0034】
前記基準マーク撮像装置28は、図3に示すように、第二X軸スライド116に搭載され、ヘッド移動装置103により装着ヘッド100,102と共に移動させられ、回路基板44の被装着面に設けられた基準マーク(図示省略)を撮像する。基準マークは複数、例えば、2個、対角線方向に隔たって設けられている。基準マーク撮像装置28は、例えば、CCDカメラあるいはCMOSカメラにより構成されている。ヘッド移動装置103は、基準マーク撮像装置移動装置を兼ねている。
【0035】
部品撮像装置30は、図2に示すように、ベッド36の部品供給装置24と基板搬送装置20との間の部分に位置を固定して設けられている。部品撮像装置30は、本実施形態においては、装着ヘッド102により保持可能な最大数の吸着ノズルが保持された状態において、それら吸着ノズルの全部に保持された電子回路部品を同時に撮像し得るものとされている。
【0036】
前記装着ヘッド102を説明する。
装着ヘッド102はロータリ装着ヘッドの一種である複重型ロータリヘッドであり、図9および図10に示すように、ヘッド本体200,2つの回転体202,204,回転体202,204の各々に保持された複数ずつのノズル保持軸206,207,回転体駆動装置208,保持軸進退装置としての保持軸昇降装置210,保持軸回転駆動装置212およびヘッド制御装置214(図20参照)を含む。
【0037】
ヘッド本体200は、図9に示すように、装着ヘッド102が第二X軸スライド116に取り付けられた状態において鉛直方向に延びる背壁部220,背壁部220に上下方向に距離を隔てて水平に設けられた支持部222,224,226および支持部226の下方に水平に設けられた支持部228を含む。背壁部220には、前記背面部152と同様に、2つの脚部156(図11に一方の脚部156が図示されている),係合ブロック158および掛止ローラ170が設けられ、第二X軸スライド116に位置決めされて着脱可能に固定される。
【0038】
回転体202,204のうち、回転体204は横断面形状が円形のリング状を成し、図10に示すように、支持部226を上下方向に貫通して形成された嵌合穴230内に配設され、支持部226により軸受232を介して鉛直軸線まわりに回転可能に支持されている。回転体202は横断面形状が円形を成し、回転体204内に、半径方向に隙間を有し、回転体204と共通の回転軸線まわりに相対回転可能に配設されている。回転体202,204は互いに同軸状に重ねられているのであり、以後、場合によって、回転体202を内回転体202、回転体204を外回転体204と称する。
【0039】
回転体駆動装置208を説明する。
回転体駆動装置208は、図10に示すように、2つの回転体202,204の各々を個別に回転駆動可能な2つの個別駆動装置234,236を含む。以後、場合によって、個別駆動装置234を内用個別駆動装置234、個別駆動装置236を外用個別駆動装置236と称する。内用個別駆動装置234は、本実施形態においては、回転軸238および回転軸駆動装置240を含む。回転軸238は横断面形状が円形の中空の筒状を成し、軸方向の一端部である上端部を支持部224により、軸受242を介して外回転体204の回転軸線と同心の軸線まわりに回転可能に支持されている。
【0040】
回転軸238の他端部である下端部は、内回転体202の中心を軸方向に貫通して形成された貫通孔244に嵌合されている。内回転体202は、本実施形態においては、回転軸238の内回転体202から下方への突出端部に設けられた外向きのフランジ部246および内回転体202の上面上に固定された複数、本実施形態においては4個の規定部材248によって上下方向位置および回転方向位置が規定されて回転軸238に取り付けられている。
【0041】
フランジ部246は内回転体202を下方から受け、その上下方向の位置を規定する。フランジ部246は規定部たる受け部を構成する。規定部材248は板状を成し、図12に示すように、内回転体202の中心線のまわりに等角度間隔に配設され、その長手方向の一端部において内回転体202の上面に固定され、他端部は回転軸238の外周面に開口して形成された溝250(図10参照)に嵌合されている。溝250は4個、等角度間隔に形成され、規定部材248は溝250の下側の端面に係合して内回転体202の回転軸238に対する上下方向の位置を規定する。また、規定部材248の溝250への嵌合により回転軸238と内回転体202との相対回転が阻止され、回転軸238の回転が内回転体202に伝達される。規定部材248は、係合部材でもあり、回転伝達部材でもある。
【0042】
回転軸駆動装置240は、電動モータ254を駆動源とする。電動モータ254は、図10に示すように、支持部224の下面に鉛直な姿勢で取り付けられ、その支持部224から上方へ突出させられた出力軸256に取り付けられた駆動歯車258は、回転軸238の支持部224から上方への突出端部に固定された被駆動歯車260と噛み合わされている。被駆動歯車260は、本実施形態においてはシザースギヤとされ、2つの歯車262,264が、それらの間に設けられたスプリングにより互いに逆向きに付勢されて駆動歯車258と噛み合わされ、バックラッシュが除去されるものとされている。電動モータ254の回転は歯車258,260により減速されて回転軸238に伝達され、内回転体202が、回転軸238の軸線のまわりであって、外回転体204と共通の回転軸線のまわりに正逆両方向に任意の角度回転させられる。電動モータ254は、本実施形態においては、回転角度の正確な制御が可能な電動回転モータであるエンコーダ付きのサーボモータにより構成されている。電動モータ254は、パルスモータにより構成されてもよい。装着ヘッド102を構成する他の各種装置の電動モータについても同様である。
【0043】
外用個別駆動装置236は、電動モータ272を駆動源とする。電動モータ272は、支持部226の上面の、前記回転軸238に対して背壁部220側の部分に鉛直な姿勢で下向きに取り付けられ、その回転は、支持部226から下方へ延び出させられた出力軸274に固定された駆動歯車276(図11参照)と、外回転体204の支持部226から下方への突出端部に固定された被駆動歯車278との噛合によって外回転体204に伝達され、外回転体204が、内回転体202と共通の回転軸線のまわりに正逆両方向に任意の角度回転させられる。被駆動歯車278は前記被駆動歯車260と同様にシザースギヤとされ、2つの歯車280,282を含む。
【0044】
前記ノズル保持軸206,207は、本実施形態においては、図12に示すように内回転体202および外回転体204にそれぞれ8つずつ保持されている。これらノズル保持軸206,207は、回転体202,204の回転により、回転体202,204の共通の回転軸線まわりに旋回(公転)させられる。内回転体202に保持されたノズル保持軸206(以後、場合によって内ノズル保持軸206と称する)および外回転体204に保持されたノズル保持軸207(以後、場合によって外ノズル保持軸207と称する)の構成は同じであり、内ノズル保持軸206の1つを代表的に説明する。
【0045】
内ノズル保持軸206は横断面形状が円形を成し、内回転体202を回転軸線に平行な方向に貫通して形成された嵌合穴300に案内筒302を介して軸方向に移動可能に嵌合されている。内ノズル保持軸206は、図10に示すように、内回転体202から上下両側へ突出させられ、内回転体202の上面と内ノズル保持軸206の上部に設けられたばね受け部310との間に配設された付勢装置の一種である弾性部材としてのスプリングである圧縮コイルスプリング312により上方へ付勢されている。このスプリング312の付勢による内ノズル保持軸206の上昇限度は、内ノズル保持軸206の内回転体202から下方への突出部に設けられた外向きのフランジ状の係合部314が案内筒302に当接することにより規定される。この位置が内ノズル保持軸206の上昇端位置である。
【0046】
ばね受け部310の上面には、ばね受け部310より小径の首部318が突設されるとともに、首部318の上端に係合部320が設けられている。係合部320は、本実施形態においては横断面形状が円形を成し、直径は首部318より大きく、その上面は、内ノズル保持軸206の軸線と直交し、水平で上向きの係合面322とされている。
【0047】
内ノズル保持軸206の下端部にはノズル保持部330が設けられ、吸着ノズル332が軸方向に相対移動可能かつ相対回転不能に保持されている。吸着ノズル332は内ノズル保持軸206との間に配設された圧縮コイルスプリング(図示省略)により、内ノズル保持軸206から下方へ突出する向きに付勢されている。このスプリングの付勢による吸着ノズル332の突出限度は、図示を省略するストッパにより規定される。
【0048】
2つの回転体202,204の各々において8つずつのノズル保持軸206,207は、図14(a)に示すように、内回転体202および外回転体204が共に設定回転位置に位置する状態で、2つずつの内ノズル保持軸206および外ノズル保持軸207が一直線上に等間隔で並ぶ組が4組得られ、かつ、各組において重複するノズル保持軸206,207がないように設けられている。
【0049】
詳細には、内回転体202と外回転体204とに共通の回転軸線に直角な一平面上において、内回転体202と外回転体204とに上記回転軸線を中心線Oとする円Ci,Coがそれぞれ設定されるとともに、上記中心線Oからの距離Lが互いに等しくかつ中心線Oまわりの位相を互いに90度異にする4つの直線D1,D2,D3,D4が設定されている。これら直線D1,D2,D3,D4と上記2つの円Ci,Coから成る同心円群Cgとは次の条件を満たすように設定されている。すなわち、同心円群Cgと直線D1,同心円群Cgと直線D2,同心円群Cgと直線D3および同心円群Cgと直線D4とをそれぞれ1組とし、それら4組の各々において、同心円群Cgと各直線D1,D2,D3,D4との4つずつの交点P1,P2,P3,P4の互いに隣接するもの同士の間隔dが一定であり、かつ、他の組と交点を共有しないように設定されているのである。そして、上記4組の各々に属する4つずつの交点P1,P2,P3,P4の各々を通って、同心円群Cgの中心線Oに平行に前記嵌合穴300が形成され、それらにノズル保持軸206,207が軸方向に相対移動可能かつ自身の軸線まわりに回転可能に嵌合されている。なお、本実施形態においては、内回転体202,外回転体204および円Ci,Coの各直径は、上記間隔dが、前記フィーダ支持台96の保持部98の形成ピッチ(本実施形態においては12ミリ)と等しくなる大きさに設定されている。
【0050】
そのため、図14(b)に示すように、回転体202,204における8つずつのノズル保持軸206,207の配設角度間隔は等角度ではなく、1つのノズル保持軸206,207について、隣接する2つのノズル保持軸206,207の一方との間隔θ1i,θ1oは45度より小さく、他方との間隔θ2i,θ2oは45度より大きく、θ1iとθ2iとの和およびθ1oとθ2oとの和がそれぞれ90度となる間隔で設けられている。また、2つずつの内ノズル保持軸206および外ノズル保持軸207が一直線上に並ぶようにするために、内ノズル保持軸206の配設角度間隔θ1i,θ2iと、外ノズル保持軸207の配設角度間隔θ1o,θ2oとは大きさが異なっている。
【0051】
前記保持軸昇降装置210を説明する。
保持軸昇降装置210は、個別進退装置たる4つの個別昇降装置350を含む。これら個別昇降装置350は、図11および図12に示すように、ヘッド本体200の支持部224,226の背壁部220からの突出端部に、X軸方向に平行に1列に並んで設けられている。本実施形態においては、4つの個別昇降装置350のうち、内側の2つが内ノズル保持軸206を進退させる装置(以後、場合によって内用個別昇降装置350と称する)とされ、両端の2つが外ノズル保持軸207を進退させる装置(以後、場合によって外用個別昇降装置350と称する)とされている。
【0052】
外用個別昇降装置350は、本実施形態においては駆動部材352および駆動部材昇降装置354を含む。駆動部材昇降装置354は、駆動源たる電動モータ356と、送りねじ358およびナット360を含む送りねじ機構362と、電動モータ356の回転を送りねじ358に伝達する回転伝達機構364(図11参照)とを含む。
【0053】
電動モータ356は、図9および図11に示すように、ヘッド本体200の支持部224の下面に鉛直な姿勢で上向きに取り付けられ、送りねじ358は、図11に示すように、支持部224,226により、電動モータ356に隣接する位置に鉛直軸線まわりに回転可能かつ軸方向に相対移動不能に支持されている。電動モータ356の出力軸366および送りねじ358の上端部はそれぞれ、支持部224の上方へ突出させられるとともに、回転伝達機構364を構成するプーリ368,370が取り付けられ、それらに巻き掛けられたベルト372により電動モータ356の回転が送りねじ358に伝達される。本実施形態においては、プーリ368,370はタイミングプーリとされ、ベルト372はタイミングベルトとされている。
【0054】
ナット360は送りねじ358に螺合されるとともに、可動部材たるスライド378が固定されている。スライド378は、支持部224,226により鉛直な姿勢で支持された案内部材たるガイドロッド380にリニアブッシュ382(図12参照)を介して軸方向に相対移動可能かつ相対回転不能に嵌合されている。駆動部材352は、図15に示すように、スライド378の下部から外回転体204側へ水平に延び出させられ、その延出端部にカムフォロワとしてのローラ384が取り付けられている。ローラ384は、外ノズル保持軸207の旋回軌跡上に位置し、旋回軌跡に対する接線と直交する方向であって、旋回中心線と直交する水平軸線まわりに回転可能に取り付けられている。
【0055】
駆動部材352にはまた、図15に示すように、ローラ384の下方に、係合部388が設けられている。係合部388は、ローラ384が、上昇端位置に位置する外ノズル保持軸207の係合部320の僅かに上方に位置し、駆動部材352が上昇端位置に位置する状態において、首部318に対応する位置に設けられている。係合部388は板状を成し、外ノズル保持軸207側へ水平に延び出させられ、外ノズル保持軸207の旋回軸線と直交する方向において係合部320とばね受け部310との間に位置するが、首部318とは干渉しない位置まで延び出させられている。したがって、外回転体204が回転させられるとき、外ノズル保持軸207は係合部388と干渉することなく、旋回させられる。係合部388の延出端面は、外ノズル保持軸207の旋回軸線を中心線とする円筒面状を成す。
【0056】
内用個別昇降装置350は外用個別昇降装置350と同様に構成されているが、駆動部材352は、図12および図16に示すように、スライド378の上部から外回転体204を超えて内ノズル保持軸206の上方へ延び出させられた後、下方へ屈曲させられたL字形を成し、その下端部にローラ384が回転可能に取り付けられている。したがって、内用個別昇降装置350の駆動部材352の上昇端位置は、外用個別昇降装置350の駆動部材352と同じであり、ローラ384は内ノズル保持軸206の係合部320との間に僅かな隙間を有して上側に位置する位置であるが、駆動部材352とスライド378との間であって、外ノズル保持軸207の旋回軌跡の上方には、上下方向に延び、外ノズル保持軸207の旋回を許容する隙間386が形成されている。
【0057】
4つの個別昇降装置350は各ローラ384が、図12に示すように、X軸方向に平行な一直線上に、フィーダ支持台96の保持部98の形成ピッチと等しい間隔で一列に並ぶとともに、内回転体202および外回転体204が共に設定回転位置に位置し、前記4つの直線D1,D2,D3,D4のうちの2本がX軸方向に平行となる状態において、それら2本のうち、ヘッド本体200の背壁部220から遠い側の1本に沿って並ぶ内,外2つずつ、合計4つのノズル保持軸206,207の上方に位置する位置に設けられている。これら4つのノズル保持軸206,207が作用保持軸206,207であり、作用保持軸206,207の位置する位置が作用位置である。4つの作用保持軸206,207は、回転体202,204の回転軸線を含み、4つの個別昇降装置350の並び方向であるX軸方向と直角なY軸方向に平行な平面に対して2つずつが対称に位置し、4つの個別昇降装置350は、内,外2つの個別昇降装置350が上記平面に対して左右対称に設けられている。4つのノズル保持軸206,207が作用位置に位置する際の回転体202,204の各回転位置が設定回転位置であり、この設定回転位置は、本実施形態においては90度間隔で4つある。
【0058】
前記保持軸回転駆動装置212を説明する。
保持軸回転駆動装置212は、本実施形態においては、図10に示すように内ノズル保持軸回転駆動装置400および外ノズル保持軸回転駆動装置402を含み、それぞれ内ノズル保持軸206,外ノズル保持軸207を軸線まわりに回転させる。内ノズル保持軸回転駆動装置400は、電動モータ408を駆動源とし、8つの内ノズル保持軸206の全部を一斉に回転させる装置とされている。そのため、8つの内ノズル保持軸206にはそれぞれ、その内回転体202から下方へ延び出させられた部分であって、案内筒302とノズル保持部330との間の部分に被駆動部材たる歯車410が取り付けられるとともに、ヘッド本体200により鉛直軸線まわりに回転可能に保持された共通の駆動部材たる歯車412に噛み合わされている。
【0059】
歯車412は、前記回転軸238の内側に、回転軸238と同心状に、相対回転可能かつ軸方向に移動不能に嵌合された回転軸414の回転軸238から下方への突出端部に固定して設けられている。回転軸414の上端部は回転軸238から上方へ延び出させられ、支持部222により軸受416を介して内回転体202の鉛直な回転軸線と同心の軸線まわりに回転可能かつ軸方向に移動不能に支持されている。電動モータ408は、図10および図11に示すように、支持部222の下面の幅方向(左右方向)の中央部に鉛直方向に延びる姿勢で上向きに取り付けられ、その支持部222から上方へ突出させられた出力軸418に取り付けられた駆動歯車420(図11参照)が、回転軸414の上端部に取り付けられた被駆動歯車422と噛み合わされている。被駆動歯車422も、シザースギヤとされ、2つの歯車424,426を含む。回転軸414が電動モータ408により回転させられ、歯車412が回転させられることにより、8つの内ノズル保持軸206が内回転体202に対して一斉に、自身の軸線まわりにおいて同方向に同角度回転させられる。なお、歯車412の歯は上下方向(軸線方向)に長いものとされ、内ノズル保持軸206が昇降させられても、歯車410との噛合いが外れないようにされている。
【0060】
外ノズル保持軸回転駆動装置402も図10に示すように電動モータ430を駆動源とし、8つの外ノズル保持軸207の全部を外回転体204に対して一斉に自転させるものとされている。そのため、8つの外ノズル保持軸207にはそれぞれ、その外回転体204から下方へ延び出させられた部分であって、案内筒302とノズル保持部330との間の部分に被駆動部材たる歯車432が取り付けられるとともに、それら8つの歯車432に共通の駆動部材たる歯車434と噛み合わされている。
【0061】
歯車434はリング状を成し、その外周面において支持部228により軸受442を介して外回転体204の鉛直な回転軸線と同心の軸線まわりに回転可能に支持され、その内周面に形成された歯に8つの歯車432が噛み合わされている。歯車434の支持部228から上方への突出部の外側に被駆動歯車436が嵌合され、固定されている。被駆動歯車436もシザースギヤとされ、2つの歯車438,440を含み、支持部226の上面に下向きに取り付けられた電動モータ430の出力軸444に固定の駆動歯車446と噛み合わされている。したがって、電動モータ430によって被駆動歯車436が回転させられることにより歯車434が回転させられ、歯車432が回転させられて8つの外ノズル保持軸207が一斉に、自身の軸線まわりにおいて同方向に同角度回転させられる。歯車434の歯は軸線方向に長いものとされ、外ノズル保持軸207が昇降させられても歯車432との噛合いが外れないようにされている。
【0062】
吸着ノズル332は負圧によって電子回路部品を吸着し、保持するものであり、ノズル保持軸206,207内には、図示は省略する通路が形成されている。吸着ノズル332はノズル保持部330により保持された状態でノズル保持軸206,207内の通路に連通させられ、本実施形態においては負圧と正圧とが選択的に供給される。ノズル保持軸206,207への負圧および正圧の供給は、8つずつの内ノズル保持軸206および外ノズル保持軸207の各々に対応して設けられた切換弁装置450により選択的に切り換えられる。
【0063】
これら切換弁装置450は同様に構成されており、内ノズル保持軸206の1つについて設けられた切換弁装置450を例に取って説明する。
切換弁装置450は、本実施形態においてはスプール弁により構成され、図10に示すようにバルブスプール452を有する。バルブスプール452は、図12に示すように、内ノズル保持軸206に隣接する位置に、内回転体202を内ノズル保持軸206の軸線と平行な方向に貫通して形成された嵌合穴(図示省略)に軸方向に移動可能に嵌合され、図17に概略的に示すように、軸方向に隔たった2個所にそれぞれ、外周面に開口する通路454,456が形成されている。これら通路454,456は円環状を成し、内回転体202内に形成された通路458,460によって内ノズル保持軸206内の通路に接続される。
【0064】
通路454,456には、内回転体202内に形成された別の通路(この通路および上記通路458,460は、図10においては煩雑になることを避けるために図示が省略されている),回転軸414内に形成された通路464,回転軸238,414との間に形成された円環状の通路466,ヘッド本体200に設けられた負圧供給通路468および正圧供給通路470により、負圧源472および正圧源474から負圧および正圧が供給される。負圧供給通路468には、図18に概略的に示すように電磁開閉弁476が設けられ、負圧の供給が許容,遮断される。正圧供給通路470は、電磁開閉弁478を備えた通路部480と、通路部480に並列に設けられ、電磁開閉弁482および圧力制御弁484を備えた通路部486とを有する。通路464,466は、内回転体202内に形成された前記別の通路と負圧供給通路468および正圧供給通路470との間に設けられている。負圧源472および正圧源474はモジュール本体18に設けられている。負圧供給通路468および正圧供給通路470は16個の切換弁装置450に共通に設けられ、装着ヘッド102が第二X軸スライド116に取り付けられた状態で負圧源472および正圧源474に接続される。
【0065】
バルブスプール452は、図17(a)に示すように、上昇端位置に位置する状態において上側の通路456が正圧源474および通路460に接続される一方、下側の通路454が負圧源472および通路458から遮断され、図17(b)に示すように、下降端位置に位置する状態において上側の通路456が正圧源474および通路460から遮断され、下側の通路454が負圧源472および通路458に接続される。バルブスプール452の第一位置である上昇端位置が正圧供給位置であり、吸着ノズル332への正圧の供給が可能であり、第二位置である下降端位置が負圧供給位置であり、吸着ノズル332への負圧の供給が可能である。なお、図示は省略するが、バルブスプール452と回転体202,204との間の部分にはシール部材たるシールリングが複数設けられ、正圧および負圧の漏れがそれぞれ防止されている。このシールリングの摩擦力により、バルブスプール452は正圧供給位置および負圧供給位置にそれぞれ位置する状態に保たれる。
【0066】
内回転体202に設けられた切換弁装置450のバルブスプール452(以後、場合によって内切換弁装置450,内バルブスプール452と称する)の上端部は、図13に示すように、内回転体202から上方へ延び出させられ、上昇端位置および下降端位置のいずれに位置する状態においても、上昇端位置に位置する内ノズル保持軸206より上方に位置するように設けられている。バルブスプール452の上端部には、内回転体202に嵌合される嵌合部ないし通路形成部より大径の円板状の係合部492が設けられている。
【0067】
外回転体204に外ノズル保持軸207に対応して設けられた切換弁装置450のバルブスプール452(以後、場合によって外切換弁装置450,外バルブスプール452と称する)は、外回転体204から上方へ延び出させられ、上端部には係合部492が設けられているが、図13に示すように上昇端位置に位置する外ノズル保持軸207より下方において上昇端位置と下降端位置とに昇降させられるものとされている。外バルブスプール452は、外回転体204内に形成された通路458,460により外ノズル保持軸207内の通路に接続され、負圧供給通路468,正圧供給通路470,通路464,466および外回転体204内に形成された通路(図示省略)を経て負圧源472,正圧源474から負圧,正圧が供給される。
【0068】
ヘッド本体200には、図12に示すように、前記4つの作用保持軸206,207に対応する切換弁装置450をそれぞれ切り換える切換装置500が設けられている。切換装置500は、図9および図12に示すように、ヘッド本体200の支持部226の、4つの個別昇降装置350のうち両端の個別昇降装置350に隣接する箇所に2つずつ設けられ、4つの作用位置にそれぞれ対応する位置に切換装置500が設けられている。これら2つずつの切換装置500の1つは、内ノズル保持軸206により構成される作用保持軸である内作用保持軸206に対応する内切換弁装置450を切り換え、別の1つは外ノズル保持軸207により構成される作用保持軸である外作用保持軸207に対応する外切換弁装置450を切り換える。これら内,外切換弁装置450の位置を切換位置と称する。また、場合によって、内切換弁装置450を切り換える切換装置500を内切換装置500、外切換弁装置450を切り換える切換装置500を外切換装置500と称する。
【0069】
図19に基づいて内切換弁装置450を切り換える切換装置500を説明する。
本切換装置500は、リニアモータ502を駆動源とする。リニアモータ502は、本実施形態では円筒形のリニアモータであり、固定部としての固定子504および可動部としての可動子506を含む。固定子504は、本実施形態においては、磁性材製のロッドの表面に、複数のリング状の永久磁石が等ピッチで設けられたものであり、支持部224,226の間の部分に鉛直に設けられている。可動子506は複数のコイルを含み、固定子504の外側に半径方向の隙間を有して嵌合されており、固定子504の軸方向に沿って移動可能である。
【0070】
可動子506には可動部材たるスライド510が固定されるとともに、支持部224,226に固定子504に隣接して鉛直に設けられたガイドロッド512に軸方向に相対移動可能に嵌合されており、ガイドロッド512により案内されつつ上下方向に移動させられる。スライド510には係合部材514が固定されている。係合部材514は板状を成し、内バルブスプール452の係合部492の旋回軌跡内へ延び出させられている。内バルブスプール452は内ノズル保持軸206より高いものされており、係合部材514は、図19に示すように、外バルブスプール452,内ノズル保持軸206および外ノズル保持軸207を超え、それらと干渉することなく内バルブスプール452に至り、切換位置に位置する内切換弁装置450の内バルブスプール452の係合部492が位置する位置へ延び出させられている。係合部材514の延出端部はU字形とされ、その延出端面に開口させられるとともに、係合部492の旋回方向に貫通する切欠516が形成され、切欠516の上下両側にそれぞれ係合部518,520が設けられている。
【0071】
係合部材514の上昇端位置は、内バルブスプール452が上昇端位置に位置する状態において、切欠516が係合部492と同じ高さに位置する位置とされており、係合部518,520は係合部492の上下両側にそれぞれ、係合部492との間に隙間を有して位置する。内回転体202の回転により内バルブスプール452が旋回させられるとき、係合部材514は切欠516により係合部492との干渉が回避される。係合部材514の上昇端位置は上昇端側干渉回避位置である。また、係合部材514は、図12に示すように、係合部518,520が平面視において係合部492の外周部と重なるが、図19に示すように内バルブスプール452の係合部492より下側の部分には至らず、干渉することはない。
【0072】
可動子506のコイルに電流が供給され、可動子506が移動させられることにより係合部材514が昇降させられる。係合部材514の移動方向の位置は、図9に示す位置検出装置たるリニアエンコーダ522により検出される。リニアエンコーダ522は、支持部224,226に鉛直な姿勢で設けられたリニアスケール524と、可動子506に設けられ、リニアスケール524に沿って移動させられる移動検出ヘッド526とを含む。可動子506は、コイルに保持電流が加えられることにより、任意の位置において停止した状態に保たれる。
【0073】
外切換装置500は内切換装置500と同様にリニアモータ502を駆動源とし、可動子506は、内切換装置500のリニアモータ502の固定子504の下部に昇降可能に嵌合され、可動子506に固定のスライド510はガイドロッド512に移動可能に嵌合され、内切換装置500と固定子504およびガイドロッド512を共用している。外切換装置500の係合部材530は、図19に示すように、スライド510から外バルブスプール452の係合部492の旋回軌跡内へ、切換位置に位置する外切換弁装置450の外バルブスプール452の係合部492が位置する位置まで延び出させられ、切欠532および係合部534,536が設けられている。係合部材530の上昇端位置は、切欠532が、上昇端位置に位置する外バルブスプール452の係合部492に対応する位置とされており、係合部534,536は係合部492の上下両側にそれぞれ、係合部492との間に隙間を有して位置する。係合部材530の上昇端位置は上昇端側干渉回避位置である。また、係合部材530は、係合部534,536が平面視において係合部492の外周部と重なるが、外バルブスプール452の係合部492より下側の部分には至らず、干渉することはない。外バルブスプール452が内バルブスプール452より低くされることにより、内,外切換装置500が固定子504を共用する構成とされ、切換装置500の配設スペースが少なくて済む。係合部材530の移動位置もリニアエンコーダ522により検出される。このリニアエンコーダ522は、係合部材514の移動位置を検出するリニアエンコーダ522とリニアスケール524を共用する。
【0074】
前記ヘッド制御装置214は、図20に示すようにヘッド制御コンピュータ540を主体として構成され、ヘッド本体200に設けられている。ヘッド制御装置214は、駆動回路542を介して電動モータ254等、装着ヘッド102を構成する種々の装置の駆動源等を制御する。装着制御コンピュータ540の入出力インタフェースには、リニアスケール524および電動モータ254等に設けられたエンコーダ544(図20には1つが代表的に示されている)が接続されている。本実施形態においては、電動モータ254,272,408,430にそれぞれ設けられたエンコーダ544はアブソリュートエンコーダとされ、電動モータ356に設けられたエンコーダ544はインクリメンタルエンコーダとされている。ヘッド制御コンピュータ540は、装着制御コンピュータ540とも称することができる。
【0075】
前記モジュール制御装置32は、図20に示すように、モジュール制御コンピュータ550を主体として構成されており、駆動回路552を介して電動モータ120等、装着モジュール10を構成する種々の装置の駆動源等を制御する。また、モジュール制御コンピュータ550の入出力インタフェースには、基準マーク撮像装置28および部品撮像装置30の撮像により得られたデータを処理する画像処理コンピュータ554および装着制御コンピュータ540が接続されるとともに、他の装着モジュール10のモジュール制御装置32および装着システム全体を統括制御するシステム制御装置556が通信ケーブル558を介して接続されている。さらに、図示は省略するが、入出力インタフェースには、電動モータ120等に設けられたエンコーダ等が接続されている。
【0076】
以上のように構成された装着システムにおいて装着ヘッド102による回路基板44への電子回路部品の装着を説明する。
装着ヘッド102においては、2つずつの外ノズル保持軸207および内ノズル保持軸206の合計4つのノズル保持軸206,207が保持する吸着ノズル332によって電子回路部品を同時に吸着することができ、あるいは1つずつの外ノズル保持軸207および内ノズル保持軸206の合計2つのノズル保持軸206,207が保持する吸着ノズル332によって電子回路部品を同時に吸着することができ、1つずつの内ノズル保持軸206あるいは外ノズル保持軸207が保持する吸着ノズル332によっても電子回路部品を吸着することができる。装着ヘッド102においては、モジュール制御装置32からのヘッド制御装置214への指令等の伝送に基づいて回転体駆動装置208等が制御され、吸着ノズル332による電子回路部品の吸着および回路基板44への装着等が行われる。
【0077】
4つのノズル保持軸206,207が保持する吸着ノズル332による電子回路部品の同時吸着を説明する。
この場合、内回転体202および外回転体204がそれぞれ設定回転位置に位置させられ、組を成す内,外2つずつのノズル保持軸206,207が一直線上に等間隔に並ばせられる。本実施形態においては、個別駆動装置234,236の電動モータ254,272の各回転角度を検出するエンコーダ544はアブソリュートエンコーダとされており、回転体202,204の各4つの設定回転位置をそれぞれ規定するエンコーダ544の値が予め設定され、ヘッド制御コンピュータ540のRAMに設けられて記憶手段を構成する設定回転位置メモリに記憶させられている。本実施形態においては、例えば、検出値が0度,90度,180度,270度である位置がそれぞれ設定回転位置となるようにエンコーダ544が設けられている。そして、4組のうちの1組の4つのノズル保持軸206,207がそれぞれ作用位置に位置させられる。これら4つのノズル保持軸206,207の間隔は保持部98の形成ピッチと等しい12ミリであり、変更することができない。したがって、4つのノズル保持軸206,207の使用による電子回路部品の同時吸着は、吸着ノズル332との間に多少の位置ずれがあっても支障なく吸着される大きさの電子回路部品について行われる。
【0078】
また、装着ヘッド102がヘッド移動装置103により、4つの作用保持軸206,207がそれぞれ、隣接する4つのフィーダ50の各供給部の上方に位置する部品取出位置へ移動させられる。その状態で4つの個別昇降装置350の各駆動部材352が同時に下降させられ、4つの作用保持軸206,207をスプリング312の付勢力に抗して同時に押し下げる。駆動部材352は、回転体202,204の回転時には上昇端位置に位置し、組を成す4つのノズル保持軸206,207の作用位置への旋回が、それぞれフィーダ50の供給部の上方に位置する状態で行われる場合、ノズル保持軸206,207の係合部320の旋回方向において下流側の一部がローラ384の下方に至ったとき、ローラ384が係合面322に係合するタイミングで下降させられる。それにより、ノズル保持軸206,207の作用位置への移動と下降とが並行して行われ、電子回路部品の吸着に要する時間が短縮される。ノズル保持軸206,207の下降と並行した移動は、ローラ384の回転によりスムーズに行われる。
【0079】
作用保持軸206,207の下降と並行して、4つの作用保持軸206,207の各々に対応する切換弁装置450のバルブスプール452がそれぞれ、切換装置500により一斉に負圧供給位置へ下降させられる。バルブスプール452は、吸着ノズル332が電子回路部品を吸着しない状態では、図17(a)に示す正圧供給位置に位置する。電磁開閉弁478,482は閉じられ、切換弁装置450と正圧源474との連通は遮断されており、ノズル保持軸206,207に正圧は供給されない。装着ヘッド102による電子回路部品の吸着開始時に電磁開閉弁476が開かれて負圧源472から切換弁装置450へ負圧が供給される状態とされる。
【0080】
バルブスプール452はノズル保持軸206,207の作用位置への移動に伴って切換位置へ移動させられ、停止後、4つの切換装置500の各係合部材514,530が下降させられ、上側の係合部518,534が係合部492に係合し、バルブスプール452を押し下げる。それにより、通路458が負圧源472に連通させられ、ノズル保持軸206,207から吸着ノズル332に負圧が供給されて電子回路部品が吸着される。バルブスプール452は、吸着ノズル332が電子回路部品に当接する直前に吸着面に負圧が供給されるタイミングで下降させられ、切換弁装置450が負圧供給状態に切り換えられる。
【0081】
吸着ノズル332による電子回路部品の吸着後、4つの駆動部材352が一斉に上昇させられる。それに伴ってノズル保持軸206,207がスプリング312の付勢により上昇させられ、電子回路部品がフィーダ50から取り出される。本実施形態においては、個別昇降装置350は、ノズル保持軸206,207の下降は強制的に行うが、上昇は許容する装置である。但し、何らかの事情によりノズル保持軸206,207がスプリング312の付勢により上昇させられないことがあれば、駆動部材352の上昇に伴って係合部388がノズル保持軸206,207の係合部320に係合し、ノズル保持軸206,207を強制的に上昇させる。
【0082】
バルブスプール452は負圧供給位置へ下降させられたままであり、吸着ノズル332には負圧が供給された状態に保たれる。切換装置500の係合部材514,530は、バルブスプール452を下降させた後、僅かに上昇させられて係合部518,534がバルブスプール452の係合部492から離間させられ、係合部492が切欠516,532内に位置して上下の係合部518,520,534,536がいずれも係合部492に接触せず、回転体202,204の回転によるバルブスプール452の旋回を許容するようにされる。この位置を係合部材514,530の下降端側干渉回避位置と称する。係合部材514,530はまた、バルブスプール452が旋回させられ、係合部492が切欠516,532から離脱した後、上昇端位置ないし上昇端側干渉回避位置へ上昇させられ、次に電子回路部品を供給するノズル保持軸206,207に対応するバルブスプール452の係合部492が切欠516,532内へ進入するようにされる。
【0083】
そして、内回転体202および外回転体204がそれぞれ次の設定回転位置へ回転させられ、同方向へ設定回転角度(本実施形態においては90度)回転させられる。それにより、次の組の4つのノズル保持軸206,207が作用位置へ移動させられて4つの吸着ノズル332が同時に電子回路部品を吸着させられる。
【0084】
16個のノズル保持軸206,207の全部が電子回路部品を吸着したならば、装着ヘッド102は部品撮像装置30へ移動させられ、全部の電子回路部品が同時に撮像される。撮像データは画像処理コンピュータ554により処理され、吸着ノズル332による電子回路部品の保持位置誤差が算出される。保持位置誤差には、X軸,Y軸方向の各位置誤差および軸線まわりの位置誤差である回転位置誤差が含まれる。X軸,Y軸方向の各位置誤差は装着ヘッド102の移動位置の補正により打ち消されるようにされ、回転位置誤差はノズル保持軸206,207が自転させられることにより補正される。内ノズル保持軸206も外ノズル保持軸207も8つずつが一斉に回転させられるため、ノズル保持軸206の自転角度は、他のノズル保持軸206,207の自転の際にも回転させられることを考慮して設定される。この際、回路基板44に設けられた基準マークの撮像に基づいて取得される複数の部品装着位置の各位置誤差も、合わせて修正される。
【0085】
電子回路部品の回路基板44への装着は、本実施形態においては1個ずつ行われる。例えば、内ノズル保持軸206の吸着ノズル332により保持された電子回路部品が回路基板44に装着される場合には、その内ノズル保持軸206は、内回転体202の回転により、2つの内用個別昇降装置350のうちの一方、例えば、(ア)現に内ノズル保持軸206が位置する位置から近い方の内用個別昇降装置350、あるいは(イ)X軸方向において装着ヘッド102の移動距離が短くて済む方の内用個別昇降装置350により昇降させられる作用位置へ移動させられ、下降させられて電子回路部品を回路基板44に装着する。装着後、内ノズル保持軸206は上昇端位置へ上昇させられる。
【0086】
4つの個別昇降装置350は、前述のように、回転体202,204の回転軸線を含み、Y軸方向に平行な平面に対して2つずつが対称に設けられており、2つの内用個別昇降装置350はX軸方向における位置を異にするとともに、一方は回路基板44の搬送方向において下流側の端に近く、他方は上流側の端に近い。そのため、内ノズル保持軸206の昇降にいずれの内用個別昇降装置350を使用するかによって装着ヘッド102のX軸方向における移動距離を短くすることができ、また、装着時における装着ヘッド102の回路基板44から基板搬送方向において下流側あるいは上流側へのはみ出しを低減させることができる。それにより、装着ヘッド102の移動距離を短くしつつ、広い装着範囲が得られる。内用個別駆動装置234の電動モータ254の回転角度を検出するエンコーダ544はアブソリュートエンコーダとされており、8つの内ノズル保持軸206の各々について、2つの内用個別昇降装置350にそれぞれ対応する位置へ移動させた状態における回転体202の回転位置を表すエンコーダ544の値が予め取得され、ヘッド制御コンピュータ540のRAMに設けられて記憶手段を構成する部品装着時ノズル保持軸位置メモリに記憶させられている。そして、いずれの内用個別昇降装置350により昇降させられるかに応じてエンコーダ544の値が読み出され、回転体202が回転させられる。なお、装着時にも内ノズル保持軸206の旋回と下降とが並行して行われる。
【0087】
電子回路部品の装着を行う内ノズル保持軸206に対応するバルブスプール452は、切換装置500により正圧供給位置へ上昇させられる。係合部材514は、全部の内ノズル保持軸206について設けられたバルブスプール452を負圧供給位置へ下降させた後、下降端側干渉回避位置へ上昇させられており、バルブスプール452の旋回に伴って係合部492が切欠516内へ進入させられる。そして、係合部材514がリニアモータ502により上昇させられ、その下側の係合部520が係合部492に係合してバルブスプール452を上昇させる。全部の吸着ノズル332が電子回路部品を吸着した状態で電磁開閉弁482が開かれ、正圧源474から切換弁装置450に圧力が低く制御された正圧が供給される状態とされる。そのため、バルブスプール452が正圧供給位置へ上昇させられるとき、通路458が負圧源472から遮断された後、通路460が正圧源474に連通させられ、内ノズル保持軸206に正圧が供給される。それにより、吸着ノズル332から正圧が噴射されて電子回路部品が積極的に解放される。バルブスプール452は、電子回路部品が回路基板44上に載置された状態で吸着面への負圧の供給が断たれ、その後、正圧が噴射されるタイミングで上昇させられる。未だ電子回路部品を保持している吸着ノズル332については、バルブスプール452が負圧供給位置にあって負圧が供給され、電子回路部品を吸着する状態に保たれる。
【0088】
係合部材514は、バルブスプール452を正圧供給位置へ上昇させた後、僅かに下降させられて上昇端側干渉回避位置に位置させられ、係合部492から離間させられて内回転体202の回転に伴うバルブスプール452の旋回を許容する。そして、内回転体202の回転により係合部492が切欠516から離脱したならば、係合部材514は下降端側干渉回避位置へ下降させられ、次に切換えを行うバルブスプール452の係合部492が切欠516内へ進入するようにされる。
【0089】
内用個別昇降装置350の駆動部材352とスライド378との間の部分には隙間386が設けられており、駆動部材352と外ノズル保持軸207との干渉を生じることなく、外回転体204を回転させることができる。しかも、隙間386は上下方向に長くされており、内ノズル保持軸206を下降させるために駆動部材352が下降させられても、外ノズル保持軸207と干渉しない。そのため、電子回路部品を装着すべく、内ノズル保持軸206の昇降が行われる間に外回転体204を回転させ、次に電子回路部品を装着する外ノズル保持軸207を作用位置へ移動させることができ、装着能率を向上させることができる。外用個別昇降装置350の駆動部材352は内回転体202の外側にあり、外ノズル保持軸207による電子回路部品の装着中に内回転体202を回転させ、内ノズル保持軸206を作用位置へ移動させることができる。内,外8つずつのノズル保持軸206,207が保持した電子回路部品の装着は、内,外交互に行われてもよく、内,外いずれか一方について全部の電子回路部品の装着が行われた後、他方が行われてもよい。また、内,外各回転体202,204において電子回路部品の装着順は、回転体202,204の回転軸線まわりにおけるノズル保持軸206,207の並び順でもよく、任意の順序でもよい。
【0090】
8つずつの内,外ノズル保持軸206,207の全部について、吸着ノズル332が保持した電子回路部品の装着が終了すれば、電磁開閉弁476,482が閉じられ、バルブスプール452への負圧,正圧の供給がいずれも一旦、遮断される。なお、吸着ノズル332内の通路の清掃時には、電磁開閉弁478が開かれ、正圧源478から高圧のエアが吸着ノズル332に供給され、通路内の塵埃等が吹き飛ばされる。
【0091】
組を成す4つのノズル保持軸206,207を設定回転位置に位置させた状態で、それらノズル保持軸206,207のうちのいずれか3つ、あるいは2つを同時に昇降させ、3つあるいは2つのフィーダ50から同時に電子回路部品を取り出させるようにすることもでき、あるいはいずれか1つを昇降させてフィーダ50から電子回路部品を取り出させるようにすることもできる。同時に昇降させられる2つは、いずれも内ノズル保持軸206でもよく、いずれも外ノズル保持軸207でもよい。
【0092】
2つのノズル保持軸206,207が保持する吸着ノズル332による電子回路部品の同時吸着を説明する。
この同時吸着は、電子回路部品が小さいため、吸着ノズル332と電子回路部品との間に許容されるずれが小さく、部品取出時における両者の位置合わせ精度が高いことが要求される場合に行われる。内,外1つずつのノズル保持軸206,207であれば、回転体202,204の少なくとも一方を回転させることにより軸間距離を調整し、電子回路部品の位置ずれに対応することができるからである。電子回路部品の位置ずれは、送り装置54による部品保持テープ64の送り誤差,フィーダ50のフィーダ支持台96に対する取付位置誤差および取付状態におけるフィーダ50の姿勢のくずれ等による部品収容凹部80の位置ずれにより生じる。また、軸間距離は、内,外回転体202,204の少なくとも一方を、組を成す2つのノズル保持軸206,207が接近する向きに回転させることにより短くし、離間する向きに回転させることにより長くすることができる。
【0093】
2つのノズル保持軸206,207の使用による電子回路部品の同時吸着は、本実施形態においては、隣接する2つのフィーダ50、あるいはフィーダ50を1つ隔てた2つのフィーダ50について行うことができる。3つ以上の回転体が互いに同軸状に重ねられれば、フィーダ50を2つ以上隔てた2つのフィーダ50について、異なる2つの回転体にそれぞれ保持された2つのノズル保持軸により、それらの軸間距離を調整しつつ、同時に電子回路部品の取出しを行うことができる。以下、隣接する2つのフィーダ50についての電子回路部品の同時吸着を例に取って説明する。なお、フィーダ支持台96の位置ずれは出荷時に取得され、補正されている。また、説明を簡単にするために、本実施形態においては電子回路部品のY軸方向における位置誤差は送り装置54の制御により補正され、X軸方向における位置誤差が軸間距離の変更により補正されるものとする。
【0094】
2個の電子回路部品の同時吸着時には、8つずつの内ノズル保持軸206と外ノズル保持軸207とが1つずつ組にされる。本実施形態においては、図21に二点鎖線で囲んで示すように、8つずつの内ノズル保持軸206と外ノズル保持軸207とは、回転体202,204の回転軸線まわりにおいて、同じ回転方向において上流側,下流側の各ノズル保持軸206,207に対する角度間隔の大小が同じであるノズル保持軸206,207同士が組にされている。なお、ここでは説明を簡単にするために、電子回路部品を取り出すフィーダ50のフィーダ支持台96における保持位置に関係なく、4つの個別昇降装置350のうちの予め設定された2つであって、回転体202,204の回転軸線を含み、Y軸方向に平行な平面に対して左右いずれか一方の側に位置する内,外ノズル保持軸206,207の昇降に使用されるものとする。
【0095】
図21に示す組合わせは、4個の電子回路部品の同時吸着時に組み合わされる4つのノズル保持軸206,207に属するノズル保持軸206,207の組合わせとは異なっている。4個の電子回路部品の同時吸着時に組み合わされる内,外2つずつのノズル保持軸206,207のうち、回転体202,204の回転軸線を含む上記平面に対して同じ側に位置する1つずつの内,外ノズル保持軸206,207を組にしてもよい。しかし、この場合には、電子回路部品を取り出す2つのフィーダ50が変わらないとすれば、回転体202,204を90度ずつ回転させて4個の電子回路部品の同時吸着時の4つの設定回転位置に順次位置させ、組を成す4つの内,外ノズル保持軸206,207のうちの2つをそれぞれ、予め設定された内用,外用個別昇降装置350に対応する作用位置へ移動させ、電子回路部品の同時吸着動作を行わせる。そして、4組の内,外ノズル保持軸206,207の各吸着ノズル332による電子回路部品の吸着後、装着ヘッド102を移動させ、組を成す4つの内,外ノズル保持軸206,207のうちの別の2つを、電子回路部品を取り出すフィーダ50の供給部に対応する位置に位置させる。移動後、内,外回転体202,204を再度、4つの設定回転位置に順次回転させ、別の2つの内,外ノズル保持軸206,207を作用位置に位置させ、電子回路部品の同時吸着動作を行わせる。それに対し、図21に示す組合わせによれば、組を成す内,外ノズル保持軸206,207を、回転体202,204の回転軸線まわりにおける配設順に作用位置へ移動させることができ、回転体202,204のそれぞれの1回の回転角度は、ノズル保持軸206,207の配設角度間隔に応じて大小交互に変化するが、いずれも90度より小さく、回転体202,204の総回転量も少なくて済む。また、同じフィーダ50からの電子回路部品の取出し時における装着ヘッド102の移動も不要である。
【0096】
このような2個の電子回路部品の同時吸着時における内,外回転体202,204の各回転位置も設定回転位置である。2個の電子回路部品の同時吸着を、組を成す4つのノズル保持軸206,207のうちの2つのノズル保持軸206,207に行わせる場合の回転体202,204の設定回転位置は、4個の電子回路部品の同時吸着時と同じであるが、図21に示すように内,外ノズル保持軸206,207を組み合わせる場合の回転体202,204の設定回転位置は、4個同時吸着時とは異なる(図22参照)。
【0097】
また、2個の電子回路部品の同時取出し時には、4つの個別昇降装置350のうち、前述のY軸方向に平行な平面に対して左,右一方の側に位置する2つと、他方の側に位置する2つとのいずれかが使用される。組を成す4つのノズル保持軸206,207が同時に作動させられる場合、それらノズル保持軸206,207を昇降させる個別昇降装置350は一義的に決まり、4つのうちの2つが同時に作動させられる場合にも、4つ同時作動時と同じ個別昇降装置350に一義的に決まる。したがって、4つのノズル保持軸206,207のうち、右側の2つの使用時と左側の2つの使用時とにおいて回転体202,204の回転位置は変わらず、設定回転位置は同じであることとなる。
【0098】
それに対し、図21に示す組合わせによるノズル保持軸206,207は、左右いずれの側の内用,外用個別昇降装置350によっても昇降させることができる。回転体202,204の回転位置の設定により、組を成すノズル保持軸206,207を、上記Y軸方向に平行な平面に対して左側の内用,外用個別昇降装置350により昇降させられる作用位置と、右側の内用,外用個別昇降装置350により昇降させられる作用位置とに選択的に位置させることができるからであり、左右いずれの側の内用,外用個別昇降装置350を使用するかによって回転体202,204の設定回転位置が異なり、設定回転位置は2種類あることとなる。
2個の電子回路部品の同時吸着時における回転体202,204の設定回転位置がいずれであっても、個別昇降装置350および切換装置500は、回転体202,204が設定回転位置に位置する状態で、作用位置に位置し、作用保持軸であるノズル保持軸206,207に対応する位置に設けられる。
【0099】
図22に実線で示すように、組を成す1つずつの内,外ノズル保持軸206,207が12ミリの間隔を隔ててX軸方向に並び、かつ、作用位置に位置し、作用保持軸206,207となる位置を正規位置とすれば、8組の内,外ノズル保持軸206,207がそれぞれ正規位置に位置する状態における内,外回転体202,204の回転位置(以後、正規回転位置と称する。正規回転位置は設定回転位置である。)を表すエンコーダ544の値(以後、正規回転位置規定値と称する)が予め取得され、ヘッド制御コンピュータ540のRAMに設けられて記憶手段を構成する正規回転位置メモリに記憶させられている。個別駆動装置234,236の電動モータ254,272の回転角度を検出するエンコーダ544はアブソリュートエンコーダとされており、正規回転位置規定値は絶対値である。したがって、エンコーダ544の検出値が正規回転位置規定値となる位置へ回転体202,204を回転させれば、8組の内,外ノズル保持軸206,207がそれぞれ、正規位置に位置させられることとなる。
【0100】
しかし、隣接する2つの部品収容凹部80には、位置ずれが生じることがある。位置ずれにより、例えば、隣接する2つの部品収容凹部80のピッチが12ミリより短くなったとすれば、図22に二点鎖線で示すように、内,外ノズル保持軸206,207をそれぞれ、軸間距離が2つの部品収容凹部80の実際のピッチと等しくなる位置に位置させるためには、内回転体202,外回転体204の正規回転位置をそれぞれ角度α1、α2変更することが必要である。
【0101】
また、この状態では、内,外ノズル保持軸206,207はX軸方向に対して傾斜した方向に並ぶため、回転体202,204を同方向に同角度(α3)回転させ、図22に破線で示すように、内,外ノズル保持軸206,207を2つの部品収容凹部80の実際のピッチと等しい距離を隔ててX軸方向に並ばせることが必要である。そのためには、回転体202,204の正規回転位置を、内回転体202については角度(α1+α3)、外回転体204については角度(α2+α3)補正した位置とすればよいこととなる。この回転位置を補正回転位置と称する。なお、正規回転位置を補正するための角度である補正回転角度(α1+α3)および(α2+α3)はそれぞれ正,負の符号を含む値である。正,負は回転体202,204の回転方向により決められる。
【0102】
また、回転体202,204を補正回転位置へ回転させることにより、図22に示すように、組を成す内,外ノズル保持軸206,207のX軸,Y軸方向の位置が変わる。この位置変化Δx,Δyは、2つのノズル保持軸206,207の軸線を結ぶ直線の中点において算出され、装着ヘッド102の移動位置の補正により打ち消されるようにされる。それにより、組を成す1つずつの内,外ノズル保持軸206,207は、軸間距離が2つの部品収容凹部80のピッチに合わされるとともに、水平面内において2つの部品収容凹部80に対する位置が合わされる。
【0103】
本実施形態においては、隣接する2つの部品収容凹部80のピッチを設定距離ずつ、例えば、0.1ミリずつ異ならせ、そのピッチを得るために必要な回転体202,204の各補正回転角度および装着ヘッド102の移動位置の補正量が予め演算され、モジュール制御コンピュータ550のRAMに設けられて記憶手段を構成する補正データメモリに、部品収容凹部80のピッチと対応付けて記憶させられている。補正データメモリは、ヘッド制御コンピュータ540に設けられてもよい。
【0104】
また、本実施形態においては、一連の回路基板44への電子回路部品の装着開始に先立って、フィーダ支持台96に搭載された全部のフィーダ50について供給部に位置する部品収容凹部80が基準マーク撮像装置28により撮像され、そのX軸,Y軸方向の位置ずれが取得され、フィーダ50のフィーダ支持台96における保持位置と対応付けて、モジュール制御コンピュータ550のRAMに設けられた記憶手段である部品収容凹部位置ずれメモリに記憶させられている。隣接する2つのフィーダ50の各部品収容凹部80のピッチが演算され、フィーダ50の保持位置と対応付けて記憶させられてもよい。部品収容凹部位置ずれメモリは、ヘッド制御コンピュータ540に設けられてもよい。
【0105】
電子回路部品の取出し時には、電子回路部品が同時に取り出される2つのフィーダ50についてそれぞれ、部品収容凹部位置ずれメモリから部品収容凹部80のX軸方向の位置ずれが読み出され、部品収容凹部80間のピッチが算出される。そして、そのピッチに対応する補正回転角度および移動位置補正量が補正データメモリから読み出され、モジュール制御コンピュータ550からヘッド制御コンピュータ540へ送られる。正規回転位置の補正が不要であれば、個別駆動装置234,236はそれぞれ、回転体202,204を正規回転位置へ回転させ、組を成す内,外ノズル保持軸206,207を正規位置に位置させる。正規回転位置の補正が必要であれば、正規回転位置が補正回転角度に基づいて補正され、個別駆動装置234,236はそれぞれ、回転体202,204を補正回転位置へ回転させ、内,外ノズル保持軸206,207がそれぞれ、部品収容凹部80のピッチに応じた軸間距離が得られる作用位置へ移動させられる。
【0106】
また、モジュール制御コンピュータ550によりヘッド移動装置103が制御され、必要であれば装着ヘッド102の移動位置が補正されて、内,外ノズル保持軸206,207が部品収容凹部80と一致する位置へ移動させられる。そして、内,外ノズル保持軸206,207に対応する2つの個別昇降装置350が同時に作動させられ、組を成す内,外ノズル保持軸206,207が同時に下降させられ、それらノズル保持軸206,207にそれぞれ保持された吸着ノズル332が部品収容凹部80から電子回路部品を同時に取り出す。なお、算出されたピッチと同じピッチが補正データメモリにない場合には、例えば、算出ピッチより小さく、かつ、算出ピッチとの差が最小であるピッチが部品収容凹部ピッチとされ、補正回転角度等が読み出される。
【0107】
8組の全部が同じ2つのフィーダ50から電子回路部品を取り出すのであれば、装着ヘッド102が停止させられたままであり、回転位置の補正が不要であれば、回転体202,204は正規回転位置へ順次回転させられ、組を成す内,外ノズル保持軸206,207が電子回路部品の取出しを行わされる。補正が必要であれば、モジュール制御コンピュータ550から送られた補正回転角度により正規回転位置が補正され、回転体202,204は補正回転位置へ順次回転させられる。
【0108】
8組の内,外ノズル保持軸206,207の少なくとも2組について電子回路部品を取り出す2つのフィーダ50の組合わせが変わるのであれば、それらフィーダ50について記憶させられた部品収容凹部80の位置ずれが読み出されて2つの部品収容凹部80のピッチが算出される。そして、補正が必要であれば、算出されたピッチに応じた補正回転角度および移動位置補正量が読み出され、正規回転位置が補正されて回転体202,204が補正回転位置へ回転させられるとともに、装着ヘッド102が補正された位置へ移動させられる。
【0109】
前述のように、フィーダ50から取り出された電子回路部品は部品撮像装置30により撮像され、吸着ノズル332による電子回路部品の保持位置誤差が取得される。この保持位置誤差のうち、X軸,Y軸方向の位置誤差には部品収容凹部80の位置ずれおよび電子回路部品の部品収容凹部80内におけるずれが含まれる。電子回路部品の部品収容凹部80内におけるずれには、1つの部品保持テープ64の全部の部品収容凹部80に共通の傾向がある。そのため、取得されたX軸方向の位置誤差に基づいて部品収容凹部80の位置ずれデータが修正され、次の電子回路部品の取出し時における部品収容凹部ピッチの算出に使用される。電子回路部品の部品収容凹部80内における位置ずれも、部品収容凹部80の位置ずれと見なして修正されるようにするのである。部品収容凹部80の位置ずれに基づいて部品収容凹部ピッチが予め算出される場合、その部品収容凹部ピッチが取得された位置誤差に基づいて修正される。同じフィーダ50から複数の電子回路部品が取り出される場合、複数の位置誤差の平均値が算出され、部品収容凹部80の位置ずれの修正に使用される。それにより、次の電子回路部品の取出し時には、内,外ノズル保持軸206,207の電子回路部品に対する位置ずれが低減され、2つの電子回路部品がより位置ずれ少なく同時に吸着される。
【0110】
2つのノズル保持軸206,207の使用による2個の電子回路部品の同時吸着がフィーダ50を1つ隔てた2つのフィーダ50について行われる場合、それらフィーダ50の各部品収容凹部80についても位置ずれが生じることがある。この場合にも隣接する2つのフィーダ50から同時に電子回路部品を取り出す場合と同様に、部品収容凹部80のピッチを設定距離ずつ異ならせ、各ピッチ毎に回転体202,204の補正回転角度および装着ヘッド102の移動位置補正量が予め算出されて補正データメモリに記憶させられ、部品収容凹部80の実際のピッチに応じて使用される。3つ以上の回転体が同軸状に重ねられ、異なる2つの回転体にそれぞれ保持された2つのノズル保持軸の吸着ノズルによる電子回路部品の同時吸着がフィーダ50を2つ以上隔てた2つのフィーダ50について行われる場合も同様である。
【0111】
なお、組を成す1つずつの内,外ノズル保持軸206,207の昇降に使用される内用,外用個別昇降装置350は、フィーダ50のフィーダ支持台96における保持位置が、基板搬送方向において上流側の端であるか下流側の端であるかに応じて異ならせた方がよい。例えば、隣接する2個のフィーダ50から電子回路部品が同時に取り出される場合、回転体202,204の回転軸線を含み、Y軸方向に平行な平面に対して左右両側にそれぞれ位置する内用,外用個別昇降装置350のうち、基板搬送方向において、電子回路部品を供給するフィーダ50に近い側に位置する個別昇降装置350を使用する。この場合、8組のノズル保持軸206,207について正規回転位置規定値が、左右いずれの個別昇降装置350により昇降させられるかにより2種類ずつ取得されて記憶させられる。また、補正回転角度は絶対値で記憶させられ、使用される個別昇降装置350に応じて正負の符号が付けられて使用される。組を成すノズル保持軸206,207の軸間距離を変更するための回転体202,204の回転方向は、左右いずれの個別昇降装置350が使用されるかに応じて逆になるからである。個別駆動装置234,236において被駆動歯車260,278はシザースギヤとされてがたつきが除去されており、また、回転体202,204およびノズル保持軸206,207等は誤差を無視してよい程加工精度高く作られている。また、使用される個別昇降装置350に応じて、組を成す内,外ノズル保持軸206,207の基板搬送方向に平行な方向における位置が逆になり、移動位置補正量のうち、X軸方向の補正量は絶対値で記憶させられ、使用される個別昇降装置350に応じて正負の符号が付けられて使用される。内,外回転体202,204を4個の電子回路部品の同時吸着時における設定回転位置へ回転させ、組を成す4つのノズル保持軸206,207のうちの2つを電子回路部品の同時吸着に使用する場合にも同様である。4つのノズル保持軸206,207のうちの左右2つずつについて、内,外ノズル保持軸206,207の左右が逆になるからである。
【0112】
1つずつの内ノズル保持軸206あるいは外ノズル保持軸207により電子回路部品の吸着を行う場合には、回転体202,204においてそれぞれ、ノズル保持軸206,207が予め設定された順序で作用位置へ移動させられ、下降させられて電子回路部品を吸着する。この作用位置は、内,外2つずつの個別昇降装置350のうち、予め設定された一方に対応する位置にノズル保持軸が位置する位置である。
【0113】
以上の説明から明らかなように、本実施形態においては、回転体202と回転体204とが複重型回転体およびロータを構成し、回転体駆動装置208がロータ回転駆動装置を構成している。また、ヘッド移動装置103がロータリヘッド移動装置を構成している。さらに、ヘッド制御装置214の2つあるいは4つの個別昇降装置350を同時に作動させる部分が同時作動制御部を構成し、4つの個別昇降装置350を個々に昇降させる部分が各個作動制御部を構成し、これらが4つの個別昇降装置350と共に保持軸昇降装置210を構成している。さらにまた、ヘッド制御装置214の個別駆動装置234,236を制御して2つの部品収容凹部80のピッチに応じた位置へ回転体202,204を回転させ、組を成す内,外ノズル保持軸206,207の軸間距離を変更し、部品収容凹部80のピッチに応じた距離に調整する部分が軸間距離変更部たる微調整部を構成するとともに、X軸方向に並ぶ状態とする部分が向き変更部を構成し、個別駆動装置234,236と共に回転体駆動装置208を構成している。さらに、ヘッド制御装置214の個別駆動装置234,236を制御する部分およびモジュール制御装置32のヘッド移動装置103を制御する部分が保持軸位置制御部を構成している。
【0114】
図14に示した2つの回転体、すなわち内回転体202と外回転体204との各々に8つずつのノズル保持軸206,207がそれぞれ保持させられた複重型ロータリヘッドの一種である2重型ロータリヘッドによる複数部品同時取出しの代表的なものは、先に詳細に説明したとおり、4つのノズル保持軸206,207を一斉に昇降させて行われる同時4個取出しであり、作業能率向上の観点から、事情が許す限り、この形態で同時取出しを行うことが望ましい。
しかし、常にこの形態の同時取出しが可能なわけではない。前述の、電子回路部品が小さいために、同時に下降させられる2つの吸着ノズル332の軸間距離を、互いに隣接する2つのフィーダ25の供給部間の距離に合わせる必要がある場合はその一例であり、この場合には前述のように、内回転体202と外回転体204とにそれぞれ保持された1つずつのノズル保持軸206,207を同時に下降させることが必要になる。
【0115】
また、同時に取り出された電子回路部品の回路基板44上における装着位置が大きく離れていれば、かえって装着作業能率が低下してしまうので、部品供給装置24におけるフィーダ50の配列は、電子回路部品の装着位置を考慮して決定される必要がある。その上、フィーダ50から電子回路部品を取り出させるためには、2重型ロータリヘッドの各ノズル保持軸206,207に保持されている各吸着ノズル332の種類と、複数のフィーダ50の各々により供給される電子回路部品の種類(特に、寸法や被保持部の状態の違いを伴う種類)とが合致する必要がある。これらの条件が常に満たされるように、フィーダ50と吸着ノズル332との両方の配列を決定することは実際上不可能である場合が多い。したがって、実際には、同時取出しが可能な電子回路部品の数が3個以下となってしまう場合があることは避け得ない。
【0116】
また、同時取出しが可能な電子回路部品の数が3個以下の場合、先に説明したように、フィーダ50のフィーダ支持台96における保持位置が基板搬送方向において上流側の端であるか下流側の端であるかに応じて、昇降させるべきノズル保持軸206,207を、回転体202,204の回転軸線を含み、Y軸方向に平行な平面に対して左側に位置するものとするか、右側に位置するものとするかを選択することが望ましい。
そのため、図14に示した2重型ロータリヘッドは、前述のように同時4個,同時3個,同時2個および1個の形態で電子回路部品を取り出すことが可能とされているのであるが、そのうち、複数部品同時取出方法に相当する具体的な形態をまとめれば、図23ないし図27に図示するようになる。各図において同時に昇降させられるノズル保持軸206,207を斜線を施した円で表す。
【0117】
図23に示す4個同時取出しは、先に説明したとおり、内回転体202と外回転体204とを共に90度ずつ回転させて、順次直線D上に並んだ状態となる4つのノズル保持軸206,207を一斉に昇降させることにより行われる。
それに対し、2個同時取出しは、先に説明した2つのノズル保持軸206,207の軸間距離の調節が可能な形態を含んで、図24に示す(a)〜(f)の6形態と、図25に示す(a),(b)の2形態との計8形態が予定されている。図24に示す2個同時取出し形態は、(a),(b),(c)に示す互いに隣接する2つずつのノズル保持軸を一斉に昇降させる形態と、(d),(e)に示す1つおきの2つのノズル保持軸を一斉に昇降させる形態と,(f)に示す2つおきの2つのノズル保持軸を一斉に昇降させる形態とを含み、これらのうち、内回転体202と外回転体204とにそれぞれ保持された2つのノズル保持軸を一斉に昇降させる(a),(b),(d),(e)の形態が2つのノズル保持軸206,207の軸間距離、ひいては2つの吸着ノズル332の軸間距離の調節が可能な形態である。また、図25に示す(a),(b)の2形態は、互いに隣接した2つのフィーダから、電子回路部品の2個同時取出しを連続して多数回行う必要がある場合に適した形態であり、吸着ノズル332の軸間距離の調節が必要である場合に特に適している。
【0118】
また、3個同時取出しは、図26に示す(a)〜(d)の4形態と、図27に示す(a),(b)の2形態との計6形態が予定されている。図26に示す3個同時取出しには、(a),(d)に示す互いに隣接する3つのノズル保持軸が一斉に昇降させられる形態と、(b),(c)に示す互いに隣接する2つのノズル保持軸と隣接せず1つおきの状態で並ぶ3つのノズル保持軸が一斉に昇降させられる形態とがあるが、図27に示す3個同時取出しには、互いに隣接した3つのノズル保持軸が一斉に昇降させられる形態のみが予定されている。
なお、上記4個同時取出し、および3個同時取出しのいずれにおいても、必要に応じて、内回転体202と外回転体204とにそれぞれ保持される2つの吸着ノズルの軸間距離の調節が可能であることは、2個同時取出しに関して説明したとおりである。
【0119】
以上の説明は、複数個同時取出しを行う場合に、ノズル保持軸206とノズル保持軸207とに保持させられる吸着ノズル332が同じ種類のものであり、複数同時に取り出すべき電子回路部品を常に支障なく吸着,保持し得るものとの仮定の下に行ったが、実際には、吸着ノズル332(図示および説明は省略するが、吸着ノズル132についても同様である)として複数種類のものが準備され、吸着,保持すべき電子回路部品の種類に応じて自動交換される。この吸着ノズル332の自動交換のために、図2に示すように、基板保持装置22と部品供給装置24との間の位置にノズルストッカ560が設けられているが、吸着ノズル332の自動交換自体は本請求可能発明と直接関係がないため、詳細な説明は省略し、複数部品同時取出しと関係のある点のみを以下に説明する。
【0120】
回路基板44に装着されるべき電子回路部品には種々のものがある。寸法の違いはその代表的なものであり、吸着ノズル332に安定して吸着、保持させるためには、各電子回路部品の寸法に応じて適切な種類の吸着ノズル332がノズル保持軸206,207に保持させられることが望ましい。ただし、1種類の吸着ノズル332によって適切に保持可能な電子回路部品の種類は1種類ではなく、1種類の吸着ノズル332によって複数種類の電子回路部品を適切に保持し得ることが多い。1種類の吸着ノズル332により適切に保持し得る電子回路部品の種類の範囲を適合部品範囲と称することとするが、複数種類の吸着ノズル332の適合部品範囲は互いに部分的に重なりあっている。したがって、この重なり部分の電子回路部品は、その重なり部分を共有する2種類の吸着ノズル332のいずれに保持させてもよいのであり、2重型ロータリヘッドの複数のノズル保持軸206,207保持させる吸着ノズル332の種類の決定に当たって、この事実を考慮しておけば、2重型ロータリヘッドの実際上の汎用性が増し、複数部品同時取出しによる装着作業の能率向上効果を一層有効に享受し得ることとなる。
【0121】
その一例を、4個同時取出しを例として、図28(a)〜(d)と図29と図30とに基づいて説明する。この図において、符号A,B,CはそれぞれA種,B種,C種の吸着ノズル332を表し、符号1〜7は第1種〜第7種の電子回路部品を表す。
2重型ロータリヘッドの複数のノズル保持軸206,207の各々に、図28(a)に示すようにA種,B種およびC種の吸着ノズル332を保持させるものと仮定する。図29に示すように、A種吸着ノズル332の適合部品範囲は第1種のみであり、B種吸着ノズル332の適合部品範囲は第2種〜第4種であり、C種吸着ノズル332の適合部品範囲は第4種〜第7種であるものとする。そして、2重型ロータリヘッドを図28の(a),(b),(c),(d)に示すように90度ずつ回転させつつ、電子回路部品を可能である限り4個ずつ同時に保持させるとすれば、例えば、図30(a)に示す組合わせで4個同時取出しを行うことも、図30(b)に示す組合わせで4個同時取出しを行うことも可能である。すなわち、第4種の電子回路部品はB種吸着ノズル332にもC種吸着ノズル332にも適合しているため、部品供給装置24におけるフィーダ50の配列を図30(a)に示すものとしても、図30(b)に示すものとしても、支障なく4個同時取出しを行わせることができ、フィーダ50の配列の自由度が増し、結果として4個同時取出しを行い得る機会が増えて、装着作業の能率が向上するのである。なお、図30(b)における×印はいずれの種類の電子回路部品も取り出させないことを表す。
【0122】
以上の説明から明らかなように、本実施形態においては、B種およびC種の吸着ノズル332がそれぞれ第1種吸着ノズルおよび第2種吸着ノズルに相当し、第2種〜第4種の電子回路部品の群が第1部品群に相当し、第4種〜第7種の電子回路部品の群が第2部品群に相当する。また、第4種の電子回路部品が第1部品群と第2部品群とにおいて互いに重複する電子回路部品であり、図30(a)において第4種の電子回路部品をそれぞれ保持するB種吸着ノズルとC種吸着ノズルとが同時に昇降させられるようになっており、それによって4個同時取出しの機会が有効に増加する効果が得られる。
なお、図30(c)に示すように、第4種の電子回路部品をそれぞれ保持するB種吸着ノズルとC種吸着ノズルとが、2重型ロータリノズルの1回の回転の前後において昇降させられる場合にも類似の効果が得られる。
【0123】
以上は4個同時取出しを例として説明したが、3個同時取出しや2個同時取出しについても同様のことが言い得、2重型ロータリヘッドに保持させる吸着ノズル332の種類と数、および部品供給装置におけるフィーダ50の配列を互いに関連付けて決定することにより、装着作業の能率を向上させることができる。
さらに、回転体202,204を図25や図27に示した相対回転位置にした状態で2個同時取出しや3個同時取出しを行う場合にも図29に例示した保持可能な電子回路部品群に属する電子回路部品の一部が互いに重複する2種類の吸着ノズルを使用した3個同時取出しや2個同時取出しを実行することもできる。
【0124】
なお、先に説明したノズル保持軸(それに保持させた吸着ノズル)の軸間距離調節のための回転体の補正回転角度および装着ヘッドの移動位置補正量は、予め算出してメモリに記憶させておくことは不可欠ではなく、電子回路部品が同時に取り出される2つのフィーダの各部品収容凹部のピッチが取得される毎に算出され、補正に使用されるようにしてもよい。
また、回転体駆動装置の駆動源を構成する電動モータのエンコーダがアブソリュートエンコーダとされる場合、2つの部品収容凹部のピッチの取得毎に回転体の補正回転位置が算出され、回転体が回転させられるようにしてもよい。ピッチの取得が回転体の回転とは異なる時期に行われるのであれば、回転体の回転時に補正回転位置が算出されてもよい。装着ヘッドの移動位置の補正についても同様である。
【0125】
回転体駆動装置の駆動源を構成する電動モータのエンコーダは、インクリメンタルエンコーダとしてもよい。例えば、前記実施形態と同様に構成された電子回路部品装着機において2つの吸着ノズルに同時に電子回路部品を吸着させる場合、内,外回転体はそれぞれ、エンコーダの検出値が、組を成す内,外1つずつのノズル保持軸をそれぞれ部品収容凹部のピッチに応じた位置に位置させるために必要な角度分、増減した値となる位置へ回転させられる。但し、誤差が累積するため、時々0点へ戻すことが必要であり、例えば、ロータリ装着ヘッドが部品供給装置と基板保持装置との間を1往復する間に1回、例えば、ロータリ装着ヘッドが保持した全部の電子回路部品を回路基板に装着した後、部品供給装置へ移動する間に0点合わせを行う。エンコーダの最小目盛の角度にもよるが、ロータリ装着ヘッドの1往復に1回の0点合わせでは不足の場合は、ロータリ装着ヘッドによる部品供給装置からの電子回路部品の取出しの途中で行ってもよく、あるいは1組のノズル保持軸が電子回路部品を取り出す毎に行ってもよい。4つの吸着ノズルに同時に電子回路部品を吸着させる場合、例えば、エンコーダの0点位置が4つの設定回転位置の1つとなるようにエンコーダを設け、その位置から回転体を90度ずつ回転させるとともに、エンコーダを時々0点へ戻す。
【0126】
さらに、部品収容凹部の部品送り方向における位置ずれも、ノズル保持軸の位置制御により補正されるようにしてもよい。この場合、2つのノズル保持軸の軸間距離を、2つの電子回路部品が同時に取り出される2つの部品収容凹部のピッチに合わせるとともに、2つのノズル保持軸が、2つの部品収容凹部の中心を通る直線と平行に並ぶように2つの回転体を回転させる。2つの部品収容凹部の並び方向は一定ではなく、補正回転角度あるいは補正回転位置がピッチおよび方向の取得に基づいて算出される。
【0127】
また、2つのノズル保持軸の軸間距離は、2つの回転体の一方は回転させず、その回転させない回転体に保持されたノズル保持軸を基準とし、他方の回転体を回転させ、その回転体に保持されたノズル保持軸を旋回させることにより変更するようにしてもよい。
【0128】
複重型ロータリヘッドは、図31に示すように互いに相対回転可能であり、それぞれの回転体駆動装置により個別にも一体的にも回転駆動し得る回転体570,572,574を備え、それら回転体570,572,574に保持され、一直線上に並ぶ6つのノズル保持軸580,582,584のうちの任意のものを保持軸進退装置により同時に進退させ得る3重型ロータリヘッドとすることも可能であり、4重以上のロータリヘッドとすることも可能である。これらロータリヘッドも前記2重型ロータリヘッドと類似の種々の形態で使用することができる。
【0129】
さらに、複数、例えば、2個あるいは4個の電子回路部品の回路基板への装着が同時に行われるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0130】
102:装着ヘッド 202:内回転体 204:外回転体 206,207:ノズル保持軸 208:回転体駆動装置 210:保持軸進退装置 212:保持軸回転駆動装置 214:ヘッド制御装置 450:切換弁装置 500:切換装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヘッド本体と、
互いに同軸に重ねられ、共通の回転軸線のまわりに相対回転可能に前記ヘッド本体に保持された複数の回転体と、
それら複数の回転体の各々をそれぞれ回転させる複数の回転体駆動装置と、
前記複数の回転体の各々に、前記回転軸線に平行に、かつ各回転体に対して軸方向に相対移動可能に保持され、それぞれ一端部において吸着ノズルを保持する複数ずつのノズル保持軸と、
前記複数の回転体に保持された前記ノズル保持軸の1つを軸方向に進退させ得るとともに、複数のノズル保持軸を同時にも進退させ得る保持軸進退装置と
を含む重複型ロータリヘッドの前記複数のノズル保持軸の少なくとも一部のものに保持させた複数の吸着ノズルに、部品供給装置の複数の供給部からそれぞれ1個ずつの電子回路部品を同時に吸着して取り出させる工程を含むことを特徴とする複数部品同時取出方法。
【請求項2】
前記重複型ロータリヘッドとして、前記複数の回転体のすべてが設定回転位置に位置する状態で、それら回転体の各々に1つずつ設定される複数の同心円の一群である同心円群と、その同心円群の中心線からの距離が互いに等しくかつその中心線まわりの位相を互いに異にする複数の直線の各々との複数組であって、それら複数組の各々における各直線と同心円群との複数の交点の互いに隣接するもの同士の間隔が一定であり、かつ、他の組と前記交点を共有しない複数組の各々に属する前記複数の交点の各々を通り、かつ、前記中心線に平行な複数の嵌合穴の複数ずつが前記複数の回転体の各々に形成され、それら嵌合穴の各々に前記複数のノズル保持軸の各々が軸方向に進退可能に嵌合されたものを使用し、前記複数の直線の1つと交差するすべてのノズル保持軸のうちの2つ以上に保持させた吸着ノズルに同時に電子回路部品を取り出させる工程を含む請求項1に記載の複数部品同時取出方法。
【請求項3】
前記複数の回転体のすべてが設定回転位置にある状態から、それらすべての回転体を前記複数の直線の前記中心線まわりの位相差ずつ間欠的に回転させ、それら間欠回転の各々において、前記複数の直線の各々と交差するすべてのノズル保持軸の少なくとも一部のものに保持させた複数の吸着ノズルに、複数の電子回路部品を同時に取り出させる工程を含む請求項2に記載の複数部品同時取出方法。
【請求項4】
前記重複型ロータリヘッドとして、前記回転体を2つ有するものを使用し、前記複数の直線の1つと交差する2つずつ、合計4つのノズル保持軸のうち、前記2つの回転体の各々に保持された1つずつに保持させた2つの前記吸着ノズルに電子回路部品を同時に取り出させる工程を含む請求項2または3に記載の複数部品同時取出方法。
【請求項5】
前記重複型ロータリヘッドとして、前記回転体を2つ有するものを使用し、前記複数の直線の1つと交差する2つずつ、合計4つのノズル保持軸のうち、互いに隣接する3つのものに保持させた前記吸着ノズルに電子回路部品を同時に取り出させる工程を含む請求項2ないし4のいずれかに記載の複数部品同時取出方法。
【請求項6】
前記重複型ロータリヘッドとして、前記回転体を2つ有するものを使用し、前記複数の直線の1つと交差する2つずつ、合計4つのノズル保持軸のうち、互いに隣接する2つと、それら2つに隣接しない1つとに保持させた3つの前記吸着ノズルに電子回路部品を同時に取り出させる工程を含む請求項2ないし5のいずれかに記載の複数部品同時取出方法。
【請求項7】
前記重複型ロータリヘッドを、前記複数の回転体のすべてが前記設定回転位置である第1設定回転位置にある状態から、最も内周側の回転体である最内周側回転体に対して、その最内周側回転体より外周側に位置する1つ以上の回転体である外周側回転体を、その外周側回転体に保持されているノズル保持軸の互いに隣接する2つの、前記共通の回転軸線のまわりの中心角に等しい角度回転させて、その外周側回転体に保持されている前記ノズル保持軸の軸線が、前記最内周側回転体に保持された2つのノズル保持軸の軸線と直交する直線と直交する状態の第2設定回転位置にある状態とし、その第2設定回転位置にある重複型ロータリヘッドの1直線と軸線が直交する3つ以上のノズル保持軸に保持させた前記吸着ノズルに同時に電子回路部品を取り出させる工程を含む請求項2ないし6のいずれかに記載の複数部品同時取出方法。
【請求項8】
それぞれ複数種類の電子回路部品を包含する第1部品群と第2部品群とであって、それら第1部品群と第2部品群とに属する電子回路部品の種類の一部が互いに重複する2群の電子回路部品をそれぞれ吸着して保持可能な第1種吸着ノズルと第2種吸着ノズルとの両方を、前記複数の回転体の各々に複数ずつ保持されたすべてのノズル保持軸のうちの1つ以上ずつにそれぞれ保持させ、その保持させた第1種吸着ノズルに前記互いに重複する種類の電子回路部品を保持させる工程と、その保持させた第2種吸着ノズルに前記互いに重複する種類の電子回路部品を保持させる工程とを含む請求項1ないし7項のいずれかに記載の複数部品同時取出方法。
【請求項9】
前記第1種吸着ノズルと前記第2種吸着ノズルとをそれぞれ保持させた複数のノズル保持軸を同時に進退させる工程を含む請求項8に記載の複数部品同時取出方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【公開番号】特開2013−38358(P2013−38358A)
【公開日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−175623(P2011−175623)
【出願日】平成23年8月11日(2011.8.11)
【出願人】(000237271)富士機械製造株式会社 (775)
【Fターム(参考)】