説明

視聴システム、表示装置及び視聴用装置

【課題】システムの大型化及び高額化を招くことなく、複数系列の画像及び音声を含む映像コンテンツを出力し、複数系列のうちから設定した系列に対応する画像及び音声を視聴することが可能な視聴システム、表示装置及び視聴用装置を提供する。
【解決手段】表示装置は、複数系列の画像を時分割で順次表示させ、複数系列の画像に夫々対応する複数系列の音声データに同期データを付加して出力する。視聴用装置は、表示装置に表示された複数系列の画像のうちで、設定されている系列の画像を選択的に透過させると共に、表示装置から出力された音声データのうちで、設定されている系列の音声データに基づく音声を出力する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、多重化された複数系列の画像データに基づいて複数系列の画像を表示する表示装置と、該表示装置に表示された画像の視認に用いる視聴用装置とを備える視聴システム、該視聴システムにて用いられる表示装置及び視聴用装置に関する。
【背景技術】
【0002】
多数の人間が集まる広場のような公共の場所において、多数の人間に画像及び音声を含む映像コンテンツを提供するため、大型スクリーンの設置が進められている。なお、多数の人間に複数系列の映像コンテンツを見せようとすると、映像コンテンツを映し出す数だけディスプレイ画面が必要である。このような表示装置の一つとして、大型スクリーンを分割し、複数系列の映像コンテンツを表示する多画面表示装置が知られている。
【0003】
また、一つのディスプレイ画面を用いて異なる画像を視認させる方法として、左眼用の画像及び右眼用の画像を表示させることにより、両眼視差を利用して立体視可能な画像を表示させる方法がある。例えば、フレームシーケンシャル方式では、ディスプレイ画面に左眼用の画像及び右眼用の画像を交互に表示し、ユーザは、専用のシャッター眼鏡を装着して視認する。シャッター眼鏡は、画像に同期して動作し、左眼用の画像が表示されている時には、左眼に入る画像を透過させ右眼に入る画像をシャッター機能により遮断するようにし、右眼用の画像が表示されている時には、逆の動作をする。このようにスイッチング駆動することで、ユーザの右眼に右眼用の画像を視認させ、左眼に左眼用の画像を視認させることになるので、ユーザは画像を立体視することができる。
【0004】
さらに、特許文献1では、一つのディスプレイ画面を用いて複数のユーザが夫々所望の画像を視認する方法として、上述のフレームシーケンシャル方式を用いた方法が開示されている。具体的には、複数の系列の画像を時分割でディスプレイ画面に表示し、各ユーザはシャッター眼鏡を装着してディスプレイ画面を視認する。シャッター眼鏡は、ユーザが指定した系列以外の画像が表示されている期間については、シャッター機能により、視界を遮断することで一つのディスプレイ画面を用いて複数のユーザが夫々所望の画像を視認することを可能にするのである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平10−42318号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、大型スクリーンを分割して複数系列の映像コンテンツを表示させる方法では、表示すべき映像コンテンツの表示領域が小さくなり、各画面の大きさを維持しようとすれば、表示画面全体を大きくする必要があるため、システムの大型化及びそれに伴う高額化の問題がある。また、各画面の大きさを維持すべく複数のディスプレイ画面を設置する場合にも高額化の問題がある。
【0007】
さらに、音声については、複数の映像コンテンツの夫々に対応する音声を出力するために複数のスピーカを設置すると、音声が聴き取りにくくなるという問題がある。このため、画像のみの提供又は主画面についてのみ音声を提供するという様な方法を取らざるを得ないという問題がある。従って、複数の映像コンテンツの夫々について音声をも提供することは困難であるという問題がある。
【0008】
一つのディスプレイ画面に、立体視のため右眼用画像及び左眼用画像を表示する方法では、表示する画像に対応する音声は、実質的に一つであるため、音声の提供に関する問題は生じない。しかしながら、この方法を、一つの表示装置で複数系列の画像の提供に適用した場合、音声についての問題が生じることとなる。
【0009】
特許文献1に開示された方法では、音声に関しては特に触れられていないため、複数系列の画像に夫々対応する音声を出力する際の問題は解消していない。
【0010】
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、システムの大型化及び高額化を抑止しながらも、複数系列の画像及び音声を提供することが可能な視聴システム、表示装置及び視聴用装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係る視聴システムは、多重化された複数系列の画像データに基づいて複数系列の画像を表示する表示装置と、該表示装置に表示された画像の視認に用いる視聴用装置とを備える視聴システムにおいて、前記表示装置は、複数系列の画像データに夫々対応する画像を、順次表示させるべく時分割多重する多重化部と、前記複数系列の画像データに夫々対応する複数系列の音声データを、時分割多重した画像データに対応させるべく、夫々圧縮して圧縮音声データを生成する音声圧縮部と、該音声圧縮部が生成した圧縮音声データに、画像データとの同期をとる同期データを付加する同期部と、同期データを付加した圧縮音声データに基づく信号を出力する出力部とを備え、前記視聴用装置は、前記表示装置に表示された複数系列の画像のうちで、設定されている系列の画像を選択的に透過させる透過部と、前記出力部からの出力を、圧縮音声データの入力として受け付ける入力部と、該入力部から入力された圧縮音声データを伸長して、設定されている系列の音声データを生成する伸長部と、生成した音声データに基づいて、設定されている系列の音声を出力する音声出力部とを備え、前記透過部及び音声出力部は、圧縮音声データに付加されていた同期データに基づいて、設定された系列の画像の透過及び音声の出力をするようにしてあることを特徴とする。
【0012】
本発明では、一の表示装置で、複数系列の画像及び音声を提供することが可能である。
【0013】
本発明に係る視聴システムは、前記出力部は、赤外線にて前記信号を出力するようにしてあり、前記入力部は、赤外線を受け付けるようにしてあることを特徴とする。
【0014】
本発明では、赤外線にて信号を出力することにより、専用の視聴用装置を装備した場合に音声を聴き取ることが可能になる。
【0015】
本発明に係る視聴システムは、前記表示装置は、画像表示に要する液晶部及び該液晶部に対して光を照射するLEDを用いた光源と、該光源を駆動する駆動部とを更に備えることを特徴とする。
【0016】
本発明では、LEDを用いた光源を使用することにより、光源の応答性を高めることが可能である。
【0017】
本発明に係る視聴システムは、前記表示装置は、画像表示に要する液晶部及び該液晶部に対して光を照射する光源と、該光源を駆動する駆動部とを更に備え、前記出力部は、一の画像を表示後、次の画像を表示するまでの間に前記信号を出力するようにしてあり、前記駆動部は、前記出力部から出力される前記信号に基づいて前記光源を駆動するようにしてあり、前記入力部は、前記出力部からの出力に基づいて駆動する光源からの照射光を、圧縮音声データの入力として受け付けるようにしてあることを特徴とする。
【0018】
本発明では、光源からの照射光を圧縮音声データに基づいて制御することにより、照射光により音声データの伝達を実現することが可能となる。
【0019】
本発明に係る視聴システムは、一の画像の表示を終了してから所定期間経過後、前記出力部が前記信号の出力を開始するようにしてあり、前記出力部が前記信号の出力を終了してから所定期間経過後、他の画像の表示を開始するようにしてあることを特徴とする。
【0020】
本発明では、透過部の透過開始時及び終了時に、ユーザが視認する画像に圧縮音声データに基づいて制御された照射光が混じらないようにすることが可能である。
【0021】
本発明に係る視聴システムは、前記光源は、LEDを用いた光源であることを特徴とする。
【0022】
本発明では、LEDを用いた光源を使用することにより、光源の応答性を高めることが可能であり、一の画像系列に係る照射光の明滅の残光が、他の画像系列に係る照射光に影響を与えることを防止することが可能である。
【0023】
本発明に係る視聴システムは、前記表示装置は、画像の系列数に基づいて、駆動部により駆動する光源からの照射量を決定するようにしてあることを特徴とする。
【0024】
本発明では、系列数の増加に応じて照射量が高くなるように決定することが可能である。
【0025】
本発明に係る視聴システムは、前記視聴用装置は、入力された圧縮音声データを伸長して生成した音声データを、一時的に記録する一時記録部を更に備え、前記音声出力部は、前記一時記録部に記録された音声データに基づき、画像に同期させて音声を出力するようにしてあることを特徴とする。
【0026】
本発明では、音声データを一時記録部に記録しておき、画像に同期して音声を出力することが可能となる。
【0027】
本発明に係る視聴システムは、前記視聴用装置は、複数系列のうちから系列の選択を受け付ける選択部と、選択された系列を設定する設定記録部とを更に備えることを特徴とする。
【0028】
本発明では、設定した系列の画像及び音声を選択的に出力することが可能である。
【0029】
本発明に係る表示装置は、多重化された複数系列の画像データに基づいて複数系列の画像を表示する表示装置において、複数系列の画像データに夫々対応する画像を、順次表示させるべく時分割多重する多重化部と、前記複数系列の画像データに夫々対応する複数系列の音声データを、時分割多重した画像データに対応させるべく、夫々圧縮して圧縮音声データを生成する音声圧縮部と、該音声圧縮部が生成した圧縮音声データに、画像データとの同期をとる同期データを付加する同期部と、同期データを付加した圧縮音声データに基づく信号を出力する出力部とを備えることを特徴とする。
【0030】
本発明では、一の表示装置に、複数系列の画像及び音声を出力させることが可能である。
【0031】
本発明に係る表示装置は、画像表示に要する液晶部及び該液晶部に対して光を照射する光源と、該光源を駆動する駆動部とを更に備え、前記出力部は、一の画像を表示後、次の画像を表示するまでの間に前記信号を出力するようにしてあり、前記駆動部は、前記出力部から出力される前記信号に基づいて前記光源を駆動するようにしてあることを特徴とする。
【0032】
本発明では、光源からの照射光を圧縮音声データに基づいて制御することにより、照射光により音声データの伝達を実現することが可能となる。
【0033】
本発明に係る視聴用装置は、多重化された複数系列の画像データに基づいて複数系列の画像を表示する表示装置に表示された画像の視認に用いる視聴用装置において、前記表示装置に表示された複数系列の画像のうちで、設定されている系列の画像を選択的に透過させる透過部と、前記複数の画像データに夫々対応する複数系列の音声データを夫々圧縮し、画像データとの同期をとる同期データを付加した圧縮音声データの入力を受け付ける入力部と、該入力部から入力された圧縮音声データを伸長して、設定されている系列の音声データを生成する伸長部と、音声データに基づいて、設定されている系列の音声を出力する音声出力部とを備え、前記透過部及び音声出力部は、圧縮音声データに付加されていた同期データに基づいて、設定された系列の画像の透過及び音声の出力をするようにしてあることを特徴とする。
【0034】
本発明では、複数系列の画像及び音声のうちで、予め設定した系列の画像及び音声を選択的に出力させることが可能である。
【0035】
本発明に係る視聴用装置は、前記入力部は、前記表示装置が、一の画像を表示後、次の画像を表示するまでの間に、前記画像を表示する表示部から発する可視光を、圧縮音声データの入力として受け付けるようにしてあることを特徴とする。
【0036】
本発明では、表示装置からの可視光を圧縮音声データとして受け付けることが可能である。
【発明の効果】
【0037】
本発明では、表示装置が、複数系列の画像の表示及び圧縮音声データの出力を行い、視聴用装置では、設定した系列の画像を選択的に透過させると共に、圧縮音声データとして当該系列の音声を出力する。この構成により、ユーザは、複数系列のうちから設定した系列の画像及び音声を視聴することが可能である等、優れた効果を奏する。しかも、表示装置の大型化等の対策を行うことなく、複数系列の画像及び音声を提供することができるので、システムの大型化及び高額化を防止することが可能である等、優れた効果を奏する。
【0038】
本発明では、圧縮音声データを赤外線にて出力することにより、専用の視聴用装置を装備しない限り、音声を聴き取ることができないので、ユーザ以外の者が、提供される音声を傍受することを防止することが可能である等、優れた効果を奏する。
【0039】
本発明では、LEDバックライトを使用することにより、光源の応答性を高めることができるので、系列間での混信を防止し、高画質な画像を提供することが可能である等、優れた効果を奏する。また、光源の応答性が高まることにより、照射光を圧縮音声データで変調する場合に、一の画像系列に係る照射光の明滅の残光が、他の画像系列に係る照射光に影響を与えることを防止することができるため、伝達する情報量の向上及びエラー率の低下を実現することが可能である等、優れた効果を奏する。
【0040】
本発明では、光源からの照射光を圧縮音声データに基づく信号にて制御して、照射光にて音声データを伝達することにより、表示装置に新たな通信回路を付加することなく、標準的に備えている機能を用いた音声データの伝達が可能となり、システム全体として低廉化を実現することが可能である等、優れた効果を奏する。
【0041】
本発明では、画像の表示及び信号出力間に所定期間を設けることにより、透過部の透過開始及び終了時に、表示されている画像に、圧縮音声データにて変調した照射光が混じることを防止することができるので、表示画像の画質を向上させることが可能である等、優れた効果を奏する。
【0042】
本発明では、画像の系列数に基づいて照射量を決定することにより、例えば、系列数の増加に応じて照射量が高くなるよう決定することができるので、系列数の増加に応じて生じる表示時間の減少による光量の低下を防止し、明るい画像を提供することが可能である等、優れた効果を奏する。
【0043】
本発明では、音声データを一時記録部に記録しておき、画像に同期して出力することができるので、ユーザは、時差のない画像及び音声を視聴することが可能となる等、優れた効果を奏する。
【0044】
本発明では、設定した系列の画像及び音声を選択的に出力することができるので、ユーザは、所望する系列の画像及び音声を選択して視聴することが可能である等、優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明の実施の形態1に係る視聴システムの一例を概念的に示す説明図である。
【図2】本発明の実施の形態1に係る表示装置及び視聴用装置の構成例を示すブロック図である。
【図3】本発明の実施の形態1に係る表示装置及び視聴用装置の動作を示すタイミングチャートである。
【図4】本発明の実施の形態2に係る表示装置及び視聴用装置の構成例を示すブロック図である。
【図5】本発明の実施の形態2に係る表示装置及び視聴用装置の動作を示すタイミングチャートである。
【図6】本発明の実施の形態2に係る表示装置のLED光源の駆動状態を示すタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0046】
以下、本発明をその実施の形態を示す図面に基づいて詳述する。
【0047】
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1に係る視聴システムの一例を概念的に示す説明図である。本発明の視聴システムは、液晶ディスプレイ等の表示装置1と、表示装置1に表示する画像の視認に要する視聴用装置2とを備えている。表示装置1は、インフォメーション・ディスプレイ・パネル(IDP)として用いられ、画像及び音声を含む複数の系列(チャンネル)の映像コンテンツを同時に提供する。ユーザは、眼鏡一体型ヘッドフォン等の視聴用装置2を装着することにより、提供される映像コンテンツうちで所望する系列の映像コンテンツを視聴することができる。
【0048】
表示装置1は、画像及び音声を含む複数系列の映像コンテンツをユーザに対して提供する装置である。表示装置1は、多重化された複数系列の画像に基づいて複数系列の画像を時分割で表示する表示部10と、夫々の系列に対応する音声に基づくデータを赤外線等の電磁波として送信する送信部11とを備えている。
【0049】
視聴用装置2は、表示装置1にて提供される映像コンテンツの視聴に要し、ユーザは、視聴用装置2を装着することにより、表示装置1にて提供される複数系列の映像コンテンツのうちで、選択した系列の映像コンテンツを視聴することが可能となる。視聴用装置2は、表示装置1に表示される系列毎の画像に対し、選択的に透過又は遮断を行うシャッター機能を備えた眼鏡部20と、系列に応じた音声を出力するスピーカを用いた音声出力部21と、赤外線等の電磁波を受信する受信部22とを備えている。
【0050】
図1では、チャンネル00、チャンネル01、チャンネル10及びチャンネル11の4チャンネル(4系列)の映像コンテンツを提供する例を示している。一又は複数のユーザは、4系列のチャンネルのうちから夫々が所望するチャネルの映像コンテンツを同時に視聴することが可能である。図1では、4人のユーザが、夫々異なるチャンネルの映像コンテンツを同時に視聴する例を示している。
【0051】
図2は、本発明の実施の形態1に係る表示装置1及び視聴用装置2の構成例を示すブロック図である。表示装置1は、前述した画像表示部10及び送信部11の他に、画像多重化部12、音声圧縮部13、音声多重化部14、同期部15及び出力部16を備えている。また、画像表示部10は、LED光源100、光源駆動部101、液晶部102及び液晶駆動部103を有している。
【0052】
画像多重化部12は、図示しない画像データ出力部から、複数系列の画像データを受け付け、夫々の画像データに対応する画像が、画像表示部10に順次表示されるように、画像データを時分割多重する処理を実行する。時分割多重された複数系列の画像データは、画像表示部10に出力され、画像表示部10は、入力された画像データに基づいて、複数系列の画像を時分割で順次表示する。画像多重化部12に画像データを出力する画像出力部とは、有線又は無線にて外部から入力された画像データ、DVD等の記録媒体から読み取った画像データ等の画像データを出力する機構である。図2では、4チャンネルの系列の画像データの入力を受け付ける例を示している。なお、夫々の画像データは異なるデータ源の画像データ出力部からの出力であっても良く、また、予め多重化されている状態での出力であっても良い。
【0053】
音声圧縮部13は、複数系列の画像データに対応する複数系列の音声データを、図示しない音声データ出力部から受け付け、受け付けた複数系列の音声データを、夫々圧縮して圧縮音声データを生成する。そして、音声圧縮部13は、生成した圧縮音声データを音声多重化部14に渡す。音声圧縮部13に音声データを出力する音声データ出力部とは、有線又は無線にて外部から入力された音声データ、DVD等の記録媒体から読み取った音声データ等の音声データを出力する機構である。なお、夫々の音声データは異なるデータ源の音声データ出力部から出力していても良く、また、予め多重化されている状態での出力であっても良い。
【0054】
音声多重化部14は、音声圧縮部13から受け付けた複数系列の圧縮音声データを、時分割多重した画像データに対応させるべく、時分割多重し、時分割多重した圧縮音声データを出力部16に渡す。
【0055】
出力部16は、時分割多重した圧縮音声データを電気信号として送信部11に出力し、送信部11では、電気信号として入力された圧縮音声データを赤外線に重畳し、送信部11から視聴用装置2へ送信する。圧縮音声データの重畳は、例えば赤外線の振幅、周波数、位相等の要素を圧縮音声データの信号に基づいて変調することにより行われる。なお、便宜上、送信部11及び出力部16を異なる機構として記載しているが、送信部11は、出力部16の一部に含まれる一体の機構であっても良い。
【0056】
同期部15は、画像及び音声の同期をとるための同期信号を画像多重化部12及び音声多重化部14へ出力する。
【0057】
画像多重化部12は、前述したように画像表示部10に複数系列分の画像データを出力するに際し、同期部15から同期信号を受け付け、同期信号を受ける都度、受け付けた同期信号に対応する系列の画像データを画像表示部10に出力する。従って、画像表示部10では、同期信号のタイミングで異なる系列の画像を表示することになる。
【0058】
また、音声多重化部14は、前述したように圧縮音声データを時分割多重するに際し、同期部15から受け付けた同期信号に基づいて、画像データと同期を取るための同期データを圧縮音声データに付加する。圧縮音声データに付加される同期データは、例えば音声データ列に対するヘッダーとして付加される。このときヘッダーとして付加される同期データは、各系列のデータであることを判別することが可能であれば、データフォーマットは特に限定されるものではない。例えば、4系列(4チャンネル)の圧縮音声データに対しては、最小で2bit(00,01,10,11)の同期データを付加すれば良く、また外乱等の要因によるノイズを考慮するのであれば、更に冗長な符号を付加するようにしても良い。
【0059】
LED光源100は、白色LEDにて構成されるLEDバックライトであり、光源駆動部101により駆動される。光源駆動部101は、画像多重化部12から受け付けた画像データに基づいてLED光源100を駆動する。
【0060】
液晶部102は、液晶素子を用いた液晶層を有する液晶パネルであり、液晶駆動部103により駆動される。液晶駆動部103は、画像多重化部12から受け付けた画像データに基づいて液晶部102を駆動する。
【0061】
視聴用装置2は、前述した眼鏡部20及び音声出力部21の他に、受信部22、データ選択部23、データ判別部24及び伸長部25を備えている。また、眼鏡部20は、透過部200及びシャッター駆動部201を有している。さらに、伸長部25は、バッファメモリとして一時記録部250を有している。
【0062】
受信部22は、表示装置1の送信部11から送信される赤外線を受信する機構であり、時分割多重した圧縮音声データを重畳した赤外線の入力を受け付ける。そして、受信部22は、入力された赤外線から圧縮音声データを分離し、電気信号に変換して、データ判別部24に渡す。
【0063】
データ選択部23は、ユーザから系列(チャンネル)の選択を受け付けるマンマシンインターフェースであり、受け付けた系列を示す系列データをデータ判別部24に渡す。
【0064】
データ判別部24は、データ選択部23から系列データを受け付け、受け付けた系列データにて示される系列を、選択された系列として設定する。また、データ判別部24は、受信部22から、時分割多重された圧縮音声データを電気信号として受け付ける。そして、データ判別部24は、受け付けた圧縮音声データに付加されている同期データが、設定した系列を示す同期データであるか否かを判別する。
【0065】
データ判別部24は、設定された系列を示す同期データであると判別した場合、受け付けた圧縮音声データを伸長部25へ渡す。伸長部25では、受け付けた圧縮音声データを伸長して音声データを生成し、生成した音声データを一時記録部250に一時的に記録する。そして、伸長部25では、一時記録部250に記録された音声データに基づく音声信号を音声出力部21に出力することにより、音声データに基づく音声を出力させる。なお、伸長部25の機能により、圧縮音声データを伸長しながら音声出力部21に出力することが可能であれば、一時記録部250は、必ずしも必要ではない。
【0066】
また、データ判別部24は、設定された系列を示す同期データであると判別した場合、眼鏡部20に同期信号を出力する。眼鏡部20が有する透過部200は、シャッター駆動部201により駆動させるシャッターを有している。そして、眼鏡部20は、同期信号に基づいて、シャッター駆動部201に透過部200が有するシャッターを開かせ、画像表示部10に表示された画像を透過させる。即ち、透過部200は、表示部10に表示された複数系列の画像のうちで、設定されている系列の画像を選択的に透過させ、設定されている系列以外の系列の画像を遮断する。
【0067】
音声出力部21による音声の出力及び透過部200による画像の透過は、圧縮音声データに付加されていた同期データに基づいて同期がとられる。従って、ユーザは、設定された系列の音声及び画像を、時間差を感じることなく同時に認識することができる。なお、圧縮音声データの伸長に時間を要するのであれば、圧縮音声データの送信時期及び一時記録部250への記録時間を調整することで音声及び画像の同期をとるようにしてもよい。また、出力される音声については、必要に応じて音量の増幅が行われる。
【0068】
なお、データ判別部24が、設定された系列を示す同期データではないと判別した場合、設定されている系列以外の系列についての圧縮音声データに基づく音声の出力は行われない。また、同期信号に基づく画像の透過等の処理は実行されないため、透過部200はシャッターを閉じたままとなり、設定されている系列以外の系列についての画像は遮断される。
【0069】
次に、このようにして構成された本発明の実施の形態1に係る表示装置1及び視聴用装置2の動作について説明する。図3は、本発明の実施の形態1に係る表示装置1及び視聴用装置2の動作を示すタイミングチャートである。図3は、表示装置1の画像表示部10に表示される画像、LED光源100の駆動状態、並びに出力部16から出力される同期データ及び圧縮音声データを含む信号と、4台の視聴用装置2の夫々の透過部200の透過状況との時系列変化を示している。図3では、チャンネル00、チャンネル01、チャンネル10及びチャンネル11の4チャンネル(4系列)の映像コンテンツを提供する例を示しており、4台の視聴用装置2は、夫々のチャンネルに関する映像コンテンツを視聴するように設定されている。以降の説明において、チャンネル00、チャンネル01、チャンネル10及びチャンネル11の視聴に用いる夫々の視聴用装置2を、必要に応じて4台の視聴用装置2a,2b,2c,2dとして示すものとする。
【0070】
一番上のチャートは、表示装置1が備える画像表示部10に表示された画像。即ち、液晶部102に示された画像である。図3に示すように液晶部102には、チャンネル00の画像が表示され、その後、チャンネル01の画像により上書きされる。更に、チャンネル01の画像を2度書きすることにより、チャンネル01の画像が表示されることになる。そして、チャンネル10の画像により上書きされ、更に、チャンネル10の画像により2度書きされることで、チャンネル10の画像が表示される。表示装置1は、このような処理を、チャンネル00、チャンネル01、チャンネル10、チャンネル11の順に繰り返し実行することにより、各チャンネルの画像データに夫々対応する画像を画像表示部10に順次表示する。
【0071】
上から2番目のチャートは、表示装置1が備えるLED光源100の駆動状態を示している。LED光源100は、チャンネル00〜11のいずれかの画像が表示されている時に、オン状態として点灯し、画像上書き中に、オフ状態として消灯する。
【0072】
上から3番目のチャートは、表示装置1が備える出力部16から出力される信号を示している。出力部16からは、図3に示すように、右上から左下への斜線で示す同期データ及び左上から右下への斜線で示す圧縮音声データが、各チャンネルの画像表示に対応するタイミングで間欠的に順次出力される。図3に示すように、同期データは、圧縮音声データのヘッダーとして出力されている。
【0073】
下方4つのチャートは、各視聴用装置2が夫々備える透過部200の透過状況を、視聴用装置2a,2b,2c,2dの順に示している。なお、便宜上、透過部200を透過して視認可能な画像を「00」、「01」、「10」及び「11」としてチャートに記載している。視聴用装置2aは、チャンネル00が設定されており、チャンネル00の画像データが表示装置1に表示されている期間のみ、透過部200は、シャッターを開くため、チャンネル00の画像を選択的に透過させる。また、チャンネル00の圧縮音声データに基づく音声を音声出力部21から出力する。視聴用装置2b,2c,2dについても同様であり、夫々設定されているチャンネル01,10,11の画像データが表示装置1に表示されている時間のみ、透過部200のシャッターが開き、当該チャンネルの画像を選択的に透過させる。
【0074】
なお、図3のタイムチャートから明らかなように、例えば、チャンネル00の映像コンテンツを視聴するユーザは、チャンネル00の画像が表示されている間に、次のチャンネル00の画像が表示されるまでの期間分の音声データを取得する必要がある。よって、各チャンネルの圧縮音声データは、図3の例では、音声の出力時間の約1/8の時間で伝送可能な情報量にまで圧縮しなければならない。
【0075】
また、図3のタイムチャートでは、表示装置1が備えるLED光源100の駆動状態を、オン/オフのみとしているが、これはチャンネル数が一定の場合を示したものである。実装時においては、単なるオン/オフの切り替えだけでなく、出力される映像コンテンツのチャンネル数に応じてオン時の照射量が決定される。具体的には、系列数の増加に応じて照射量が高くなるように決定し、このようにすることで、系列数の増加に応じて生じる表示時間の減少による光量の低下を防止し、明るい画像を提供することが可能となる。
【0076】
以上のように本願の実施の形態1に係る視聴システムでは、多重化された複数系列の画像データに基づいて複数系列の画像を一の表示装置1にて表示し、ユーザは、視聴用装置2を装備することにより、設定された系列の画像を視認することができる。そして、赤外線等の電磁波にて圧縮音声データを出力することにより、各系列の画像に同期して、夫々の音声を聴くことができる。
【0077】
前記実施の形態1では、データ選択部23により、ユーザから系列の選択を受け付けて設定する形態を示したが、本発明はこれに限らず、系列の設定を固定するようにしてもよい。即ち、特定の系列の映像コンテンツについては、特定の表示装置1を用いた場合のみ視聴可能となるように設定することで、情報の漏洩を防止し、秘匿効果を高めることが可能である。また、圧縮音声データを赤外線に重畳していることについても、専用の装置がなければ、赤外線を受信し、圧縮音声データを分離することができないため、秘匿効果を高める要因となり得る。
【0078】
実施の形態2.
実施の形態2は、実施の形態1において、圧縮音声データをLED光源100からの照射光に重畳することにより、赤外線等の電磁波を送信する送信部を不要とする形態である。なお、以降の説明において、実施の形態1と同様の構成及び処理については、実施の形態1を参照するものとし、その説明を省略する。なお、実施の形態1と同様の構成については、実施の形態1と同様の符号を付している。
【0079】
図4は、本発明の実施の形態2に係る表示装置1及び視聴用装置2の構成例を示すブロック図である。表示装置1は、画像表示部10、画像多重化部12、音声圧縮部13、同期部15及び出力部16を備えている。また、画像表示部10は、LED光源100、光源駆動部101、液晶部102及び液晶駆動部103を有している。なお、実施の形態2では、実施の形態1と異なり、送信部11及び音声多重化部14は必ずしも必要ではない。
【0080】
音声圧縮部13は、受け付けた複数系列の音声データを圧縮する。そして、同期部15から入力される同期信号に基づいて、当該同期信号に対応する系列の圧縮音声データに同期データを付加し、出力部16に出力する。出力部16は、圧縮音声データを光源駆動部101を駆動する駆動信号として画像表示部10に出力する。画像表示部10に出力される駆動信号は、液晶部102に、一の画像を表示した後、次の画像を表示するまでの間の更新期間に、圧縮音声データが後述する可視光にて出力されるように、出力される。なお、音声圧縮部13から画像表示部10へ圧縮音声データを出力するのではなく、実施の形態1にて示した音声多重化部14を設け、音声多重化部14にて多重化した上で、同期信号に基づき画像表示部10へ圧縮音声データを出力するようにしてもよい。
【0081】
同期部15は、画像及び音声の同期をとるための同期信号を画像多重化部12及び音声圧縮部13へ出力する。
【0082】
画像多重化部は、同期部15から入力される同期信号に基づいて、画像データを画像表示部10に出力する。
【0083】
画像表示部10では、出力部16から駆動信号として入力された圧縮音声データを光源駆動部101に出力し、また、画像多重化部から受け付けた画像データを液晶駆動部103に入力する。
【0084】
光源駆動部101は、駆動信号に基づいてLED光源100を駆動するようにしてあり、駆動信号として入力された圧縮音声データ及び付加された同期データに基づいてLED光源100を駆動する。具体的には、液晶部102に画像が表示されている期間は、LED光源をオン状態とし、かつ、液晶部102が画像を切り替える期間、LED光源100を圧縮音声データに基づいて明滅させる。即ち、LED光源100の照射状態、例えばオン/オフ、照射量の調整等により、可視光にて同期データが付加された圧縮音声データを出力する。なお、便宜上、音声圧縮部13、出力部16及び光源駆動部101を異なる機構として記載しているが、音声圧縮部13及び出力部16を一体の構成としても良く、また、出力部16を画像表示部10の内部に組み込み音声圧縮部13とのインターフェースとして構成しても良い。
【0085】
液晶駆動部103は、入力された画像データに基づいて液晶部102を駆動する。
【0086】
視聴用装置2は、眼鏡部20、音声出力部21、受信部22、データ選択部23、データ判別部24、伸長部25及びクロック再生部26を備えている。また、眼鏡部20は、透過部200及びシャッター駆動部201を有している。さらに、伸長部25は、バッファメモリとして一時記録部250を有している。
【0087】
受信部22は、表示装置1の画像表示部10から発せられる可視光を受光する機構であり、LED光源100の照射光の明滅を、圧縮音声データの入力として受け付ける。そして、受信部22は、受光した可視光から圧縮音声データを分離し、電気信号に変換して、データ判別部24に渡す。
【0088】
データ判別部24は、受信部22から圧縮音声データを受け付け、受け付けた圧縮音声データに付加されている同期データが、データ選択部23からの系列データに基づいて設定した系列を示す同期データであるか否かを判別する。
【0089】
データ判別部24は、設定された系列を示す同期データであると判別した場合、受け付けた圧縮音声データをクロック再生部26へ渡す。
【0090】
クロック再生部26は、PLL(Phase Locked Loop )回路としての機能を有する機構である。クロック再生部26では、データ判別部24から受け付けた圧縮音声データに付加されている同期データに基づいてクロックを再生し、再生したクロックに基づいて、同期信号を眼鏡部20に出力する。また、クロック再生部26では、圧縮音声データを伸長部25へ渡し、かつ、再生したクロックに基づく同期信号を伸長部25に出力する。
【0091】
伸長部25では、受け付けた圧縮音声データを伸長して音声データを生成し、生成した音声データを一時記録部250に一時的に記録する。そして、伸長部25では、クロック生成部26から入力される同期信号に基づいて、一時記録部250に記録された音声データに基づく音声信号を音声出力部21に出力することにより、音声データに基づく音声を出力させる。また、眼鏡部20は、同期信号に基づいて、シャッター駆動部201に透過部200が有するシャッターを開かせ、画像表示部10に表示された画像を透過させる。
【0092】
音声出力部21による音声の出力及び透過部200による画像の透過は、クロック再生部26の処理により同期がとられる。従って、ユーザは、設定された系列の音声及び画像を、時間差を感じることなく同時に認識することができる。また、出力される音声については、必要に応じて音量の増幅が行われる。
【0093】
なお、データ判別部24が、設定された系列を示す同期データではないと判別した場合、前述の処理は実行されず、設定された系列以外の系列についての画像の透過及び音声の出力は行われない。
【0094】
次に、このようにして構成された本発明の実施の形態2に係る表示装置1及び視聴用装置2の動作について説明する。図5は、本発明の実施の形態2に係る表示装置1及び視聴用装置2の動作を示すタイミングチャートである。図5は、表示装置1の画像表示部10に表示される画像及びLED光源100の駆動状態、並びに4台の視聴用装置2の夫々の透過部200の透過状況との時系列変化を示している。なお、図5において、LED光源100の駆動状態以外のチャートについては、図3を用いて説明した実施の形態1と同様であるので、実施の形態1を参照するものとし、その説明を省略する。また、実施の形態2では、同期データ及び圧縮音声データを含む信号の出力は必要ではないため、当該データについてのチャートは記載していない。
【0095】
上から2番目のチャートが、表示装置1が備えるLED光源100の駆動状態を示している。LED光源100は、チャンネル00〜11のいずれかの画像が表示されている時には、オン状態として点灯している。また、LED光源100は、画像上書き中であっても、圧縮音声データに基づいて駆動されている。図5では、画像上書き中の駆動状態を、同期データに基づく駆動状態については右上から左下への斜線で示し、圧縮音声データに基づく駆動状態については左上から右下への斜線で示している。図5に示すように、同期データは、圧縮音声データのヘッダーとして出力されている。
【0096】
図5に示すように、一の画像の表示を終了してから所定期間経過後、LED光源100が同期データを付加された圧縮音声データに基づく駆動を開始するようにしてある。そして、同期データを付加された圧縮音声データに基づく駆動を終了してから所定期間経過後、他の画像の表示を開始するようにしてある。このように、圧縮音声データに基づく駆動と画像の表示との間には、所定期間としてガード時間が設けられているため、ユーザが視認する画像に圧縮音声データに基づいて制御された照射光が混じることを防止する。これにより、表示画像の画質を向上させることが可能である。
【0097】
図6は、本発明の実施の形態2に係る表示装置1のLED光源100の駆動状態を示すタイミングチャートである。図6では、同期データを付加された圧縮音声データに基づいてLED光源100を駆動する期間におけるタイムスロット及びLED光源100の駆動状態を時系列で示している。
【0098】
上側のチャートがタイムスロットを示し、下側の実線で示すチャートがLED光源100の駆動状態を示している。なお、期間Aは、同期データに基づいてLED光源100を駆動している期間であり、期間Bは、圧縮音声データに基づいてLED光源100を駆動している期間である。図6に示すように、タイムスロットのオン/オフに対し、同期データ及び圧縮音声データの「1」又は「0」の値に基づいて、LED光源100を駆動している。このようにして、LED光源100からの照射光を、圧縮音声データ等にて変調し、照射光に圧縮音声データを重畳する。
【0099】
なお、LED光源100を駆動する信号については、DC駆動であってもAC駆動であっても良い。LED光源100を駆動する際、DC駆動の場合は、電圧レベル又は電流レベルをアナログ的に制御する必要がある。また、AC駆動の場合は、パルス列のデューティー比を制御する必要がある。
【0100】
なお、実施の形態2では、実施の形態1と比べて、圧縮音声データの出力時間を短期間にせざるを得ない設計となり得る。よって、その期間に応じて圧縮音声データの圧縮方式及び圧縮率を調整する必要がある。
【0101】
また、実施の形態1でも述べたように、LED光源100の系列数の増加に応じて照射量を高くすることにより、系列数の増加に応じて生じる表示時間の減少による光量の低下を防止し、明るい画像を提供することが可能となる。また、圧縮音声データに基づくLED光源100の駆動については、オン/オフ、照射量の調整等により、2値化した圧縮音声データを出力するだけでなく、3段階以上の照射量を設定し、情報量を増加させることも可能である。
【0102】
以上のように本願の実施の形態2に係る視聴システムでは、多重化された複数系列の画像データに基づいて複数系列の画像を一の表示装置1にて表示し、ユーザは、視聴用装置2を装備することにより、設定された系列の画像を視認することができる。そして、LED光源からの照射光を圧縮音声データにて変調することにより、各系列の画像に同期して、夫々の音声を聴くことができる。
【0103】
前記実施の形態1及び2は、本願の無数にある実施例の一部を例示したに過ぎず、各種ハードウェア及びソフトウェア等の構成は、目的、用途等に応じて適宜設計することが可能である。例えば、実施の形態1において、赤外線以外の波長の電磁波を用いても良い。また、実施の形態2において、LED光源からの照射光が液晶部を透過しない箇所を設けるようにしてもよい。更に異なる用途としては、左眼用の画像及び右眼用の画像と音声とを含む複数組の立体視可能な映像コンテンツの提供に適用しても良く、日本語及び英語等の複数の言語で提供可能な映像コンテンツの提供に適用しても良い。即ち、本発明は、異なる複数の系列の画像及び音声を同期して提供する様々なシステムに適用することが可能である。
【符号の説明】
【0104】
1 表示装置
10 画像表示部
100 LED光源
101 光源駆動部
102 液晶部
103 液晶駆動部
11 送信部
12 画像多重化部
13 音声圧縮部
14 音声多重化部
15 同期部
16 出力部
2 視聴用装置
20 眼鏡部
200 透過部
201 シャッター駆動部
21 音声出力部
22 受信部
23 データ選択部
24 データ判別部
25 伸長部
250 一時記録部
26 クロック再生部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
多重化された複数系列の画像データに基づいて複数系列の画像を表示する表示装置と、該表示装置に表示された画像の視認に用いる視聴用装置とを備える視聴システムにおいて、
前記表示装置は、
複数系列の画像データに夫々対応する画像を、順次表示させるべく時分割多重する多重化部と、
前記複数系列の画像データに夫々対応する複数系列の音声データを、時分割多重した画像データに対応させるべく、夫々圧縮して圧縮音声データを生成する音声圧縮部と、
該音声圧縮部が生成した圧縮音声データに、画像データとの同期をとる同期データを付加する同期部と、
同期データを付加した圧縮音声データに基づく信号を出力する出力部と
を備え、
前記視聴用装置は、
前記表示装置に表示された複数系列の画像のうちで、設定されている系列の画像を選択的に透過させる透過部と、
前記出力部からの出力を、圧縮音声データの入力として受け付ける入力部と、
該入力部から入力された圧縮音声データを伸長して、設定されている系列の音声データを生成する伸長部と、
生成した音声データに基づいて、設定されている系列の音声を出力する音声出力部と
を備え、
前記透過部及び音声出力部は、圧縮音声データに付加されていた同期データに基づいて、設定された系列の画像の透過及び音声の出力をするようにしてある
ことを特徴とする視聴システム。
【請求項2】
前記出力部は、赤外線にて前記信号を出力するようにしてあり、
前記入力部は、赤外線を受け付けるようにしてある
ことを特徴とする請求項1に記載の視聴システム。
【請求項3】
前記表示装置は、
画像表示に要する液晶部及び該液晶部に対して光を照射するLEDを用いた光源と、
該光源を駆動する駆動部と
を更に備えることを特徴とする請求項1又は2に記載の視聴システム。
【請求項4】
前記表示装置は、
画像表示に要する液晶部及び該液晶部に対して光を照射する光源と、
該光源を駆動する駆動部と
を更に備え、
前記出力部は、一の画像を表示後、次の画像を表示するまでの間に前記信号を出力するようにしてあり、
前記駆動部は、前記出力部から出力される前記信号に基づいて前記光源を駆動するようにしてあり、
前記入力部は、前記出力部からの出力に基づいて駆動する光源からの照射光を、圧縮音声データの入力として受け付けるようにしてある
ことを特徴とする請求項1に記載の視聴システム。
【請求項5】
一の画像の表示を終了してから所定期間経過後、前記出力部が前記信号の出力を開始するようにしてあり、
前記出力部が前記信号の出力を終了してから所定期間経過後、他の画像の表示を開始するようにしてある
ことを特徴とする請求項4に記載の視聴システム。
【請求項6】
前記光源は、LEDを用いた光源であることを特徴とする請求項4又は5に記載の視聴システム。
【請求項7】
前記表示装置は、画像の系列数に基づいて、駆動部により駆動する光源からの照射量を決定するようにしてあることを特徴とする請求項3から6のいずれか一つに記載の視聴システム。
【請求項8】
前記視聴用装置は、
入力された圧縮音声データを伸長して生成した音声データを、一時的に記録する一時記録部を更に備え、
前記音声出力部は、前記一時記録部に記録された音声データに基づき、画像に同期させて音声を出力するようにしてある
ことを特徴とする請求項1から7のいずれか一つに記載の視聴システム。
【請求項9】
前記視聴用装置は、
複数系列のうちから系列の選択を受け付ける選択部と、
選択された系列を設定する設定記録部と
を更に備えることを特徴とする請求項1から8のいずれか一つに記載の視聴システム。
【請求項10】
多重化された複数系列の画像データに基づいて複数系列の画像を表示する表示装置において、
複数系列の画像データに夫々対応する画像を、順次表示させるべく時分割多重する多重化部と、
前記複数系列の画像データに夫々対応する複数系列の音声データを、時分割多重した画像データに対応させるべく、夫々圧縮して圧縮音声データを生成する音声圧縮部と、
該音声圧縮部が生成した圧縮音声データに、画像データとの同期をとる同期データを付加する同期部と、
同期データを付加した圧縮音声データに基づく信号を出力する出力部と
を備えることを特徴とする表示装置。
【請求項11】
画像表示に要する液晶部及び該液晶部に対して光を照射する光源と、
該光源を駆動する駆動部と
を更に備え、
前記出力部は、一の画像を表示後、次の画像を表示するまでの間に前記信号を出力するようにしてあり、
前記駆動部は、前記出力部から出力される前記信号に基づいて前記光源を駆動するようにしてある
ことを特徴とする請求項10に記載の表示装置。
【請求項12】
多重化された複数系列の画像データに基づいて複数系列の画像を表示する表示装置に表示された画像の視認に用いる視聴用装置において、
前記表示装置に表示された複数系列の画像のうちで、設定されている系列の画像を選択的に透過させる透過部と、
前記複数の画像データに夫々対応する複数系列の音声データを夫々圧縮し、画像データとの同期をとる同期データを付加した圧縮音声データの入力を受け付ける入力部と、
該入力部から入力された圧縮音声データを伸長して、設定されている系列の音声データを生成する伸長部と、
音声データに基づいて、設定されている系列の音声を出力する音声出力部と
を備え、
前記透過部及び音声出力部は、圧縮音声データに付加されていた同期データに基づいて、設定された系列の画像の透過及び音声の出力をするようにしてある
ことを特徴とする視聴用装置。
【請求項13】
前記入力部は、前記表示装置が、一の画像を表示後、次の画像を表示するまでの間に、前記画像を表示する表示部から発する可視光を、圧縮音声データの入力として受け付けるようにしてあることを特徴とする請求項12に記載の視聴用装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−119776(P2012−119776A)
【公開日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−265551(P2010−265551)
【出願日】平成22年11月29日(2010.11.29)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】