説明

親油性ブドウ抽出物の製造方法

【課題】枝、幹・株もしくは根のようなブドウ(Vitis vinifera)の木質化部分から、高い物質歩留りで着色の少ない、化粧用用途に適した親油性抽出物を抽出により直接製造する。
【解決手段】該木質化部分から無極性溶媒(例、アルカン類、或いは未臨界または超臨界状態の二酸化炭素)により抽出する工程を含む方法で抽出を行う。本発明は、この方法により得られた抽出物、かかる抽出物の化粧用組成物における賦形剤としての使用、ならびにかかる抽出物を含む化粧用組成物にも関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、親油性のブドウ(vine, 学名 Vitis vinifera)抽出物(エキス)の製造方法、この方法により得られた親油性抽出物、ならびに該抽出物の化粧用組成物における賦形剤としての使用に関する。
【0002】
より具体的には、該親油性ブドウ抽出物は本植物の木質化部分、即ち、本質的に幹・株(stocks)、根、および枝からの抽出物である。
【背景技術】
【0003】
ブドウの枝および根の抽出物は多くの興味ある化粧用特性を有する。即ち、ブドウの枝の抽出物はかなりの濃度のレスベラトロールおよびε−ビニフェリン(レスベラトロールの二量体)を含んでいる。レスベラトロールは特に酸化防止特性を有し、さらに殺真菌および殺細菌特性も有している。
【0004】
乾燥ブドウ枝からレスベラトロールおよび/またはε−ビニフェリンを抽出する方法は特許文献FR2795965から公知である。ブドウの枝、茎および葉をエステルもしくはケトンのようなカルボニル基含有溶媒またはアルコール中で冷浸すると、これらの物質を高濃度で含有する抽出物が得られる。
【0005】
FR2896990は、化粧用活性剤の混合物を含む保護および再生作用のある化粧用組成物を開示する。該活性剤として、乾燥ブドウ枝抽出物が、純水なまたは水と混合した極性溶媒、特に低級C1〜C6アルコールまたはケトンによる抽出により得られる。該組成物は肌の抗老化化粧用ケアおよび活性化を可能にする。
【0006】
それらの興味ある特性にかかわらず、これらの抽出物は、それらのブドウ部分での低い抽出歩留まりのためと、それらの化粧用用途の目的にはふさわしくない着色のために化粧品にはあまり使用されていない。
【0007】
本出願の発明者らはある種のブドウ部分を無極性溶媒で、特に未臨界(subcritical)もしくは超臨界状態の二酸化炭素(CO2)で抽出することによって、混和性または共溶解性により脂肪と均質な混合物を形成することができる親油性の抽出物(エキス)を得ることが可能となることを示した。さらに、この抽出物は、化粧用組成物、特に少なくとも1種の脂肪相を含むものにおける賦形剤としてそれを使用するのに特に有利になるようなコンシステンシー(粘稠度)を有している。
【0008】
さらなる利点は、工業用途に適合しうる物質歩留まりを達成することを可能にする本発明の抽出物の製造方法があることである。
さらに、この抽出方法は、無色またはわずかに着色した形態の抽出物を直接与えるという利点があり、それによって、例えば、活性炭粒子上を通すことによる追加の脱色工程が避けられる。このような工程は物質歩留まりの低下を引き起こすかもしれない。
【0009】
実質的に着色がないことは、植物組織中に存在する多すぎる量の色素、特にクロロフィルのストリッピングが避けられる抽出溶媒の選択および抽出方法の実験条件に関係する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】FR2795965
【特許文献2】FR2896990
【発明の概要】
【0011】
従って、本発明の第1の目的は、枝、幹・株もしくは根のようなブドウ(Vitis vinifera)の木質化部分からの抽出方法であって、該木質化部分の無極性溶媒による抽出工程を含むことを特徴とする方法に関する。
【0012】
無極性溶媒は植物組織の抽出方法における溶媒として使用しうるものである。中でも、例として、特にアルカン類、特にシクロヘキサン、n−ヘキサンもしくはヘプタンのようなC6またはC7アルカン類、または二酸化炭素(CO2)を挙げることができる。
【0013】
本発明の目的は、より特定的には、抽出溶媒が超臨界または未臨界(亜臨界)状態の二酸化炭素である、木質化ブドウ部分の抽出方法である。
流体の超臨界状態とは、この流体が、加えられた温度が臨界温度(Tc)より高く、加えられた圧力が臨界圧力(Pc)より高いような温度および圧力条件にさらされている時にみられる状態であると定義される。これらの臨界値は各流体ごとに特定される。
【0014】
二酸化炭素については、臨界温度Tcは31℃に等しく、臨界圧力Pcは7.38×106Paに等しい。
未臨界状態(または亜臨界状態)とは、流体がさらされている温度が臨界温度Tc(二酸化炭素の場合、Tc=31℃)より低く、そうであれば圧力Pは臨界圧力(二酸化炭素の場合、Pc=7.38×106Pa)より極端に低くないか、またはより高い場合に流体に認められる状態であると定義される。
【0015】
温度および圧力条件は、二酸化炭素を所望の状態に置くように適合され、圧力は大気圧(1atm=0.101×106Pa)の300倍までの範囲内の値をとりうるが、超臨界状態での二酸化炭素による抽出の場合は8×106Pa〜30×106Paの範囲内の圧力が、未臨界状態での抽出の場合は6.5×106Pa〜10×106Paの範囲内の圧力が好ましくは使用される。
【0016】
有利には二酸化炭素は、7.4×106Paより高い圧力、好ましくは18×106Pa以上の圧力、より好ましくは25×106Pa以上の圧力に圧縮される。
より有利には、抽出は15℃〜80℃の範囲内の温度で行われる。
【0017】
好ましくは、この抽出は超臨界状態での二酸化炭素による抽出である。
この未臨界または超臨界二酸化炭素による抽出方法には一般に、化粧用に使用する場合には望ましくない作用(例、毒性および/または刺激)を有する有機溶媒を必要としないという利点がある。
【0018】
しかし、追加の手段として、二酸化炭素と形成された混合物の極性を変化させるため、超臨界もしくは未臨界状態の二酸化炭素中での溶解性が低いか、または全く可溶性ではない或る種の分子に対する溶媒力を強化するため、ならびに/または形成された混合物のストリッピングを促進させるために、本発明に係る抽出方法におけるストリッピング剤または共溶媒として有機溶媒を場合により使用してもよい。
【0019】
1例として、二酸化炭素と形成された混合物の極性を変化させるために使用しうる溶媒としてはエタノールを、そしてストリッピング剤として使用しうる溶媒としては、例えば、ジカプリリルカーボネート(Cetiol CCTM, Cognis GmbH)、セテアリルイソノナノエート (Cetiol SNTM, Cognis GmbH)、またはさらにカプリル酸/カプリン酸トリグリセリド (Mygliol 812TM, Huels AG) を挙げることができる。
【0020】
これらの有機溶媒の1つを抽出中に使用する場合、その濃度は抽出に使用する二酸化炭素に対して5重量%以下とする。
実際の抽出工程の最後に、圧力と場合により温度を低下させることによる膨張段階により、二酸化炭素を未臨界または超臨界状態からガス状態に移す。それにより得られた抽出物から二酸化炭素を完全に除去することが可能となる。この工程によって、ストリッピング剤または共溶媒として場合により使用された有機溶媒もまた除去される。
【0021】
任意の追加工程として、本発明に係る抽出方法により得られた抽出物中の残留する痕跡量の水を除去するための乾燥工程を行ってもよい。この乾燥工程は好ましくは得られた抽出物を凍結乾燥する操作からなる。
【0022】
本発明に係る方法の範囲内において、任意の種類のブドウ品種を使用することができる。具体例としては、メルロー、カベルネ・フラン、ガメイ、シラー、セミヨン、またはソービニョンなどの品種である。好ましくは、使用する品種はセミヨン種およびソービニョン種であり、一緒にまたは別々に処理しうる。
【0023】
本発明の方法は枝、幹・株および根のようなブドウの異なる複数の木質化部分に適用してもよく、その場合に処理は一緒にまたは別々に適用されうる。
これらの木質化ブドウ部分を好ましくは抽出工程の前に粉砕工程を受けさせる。
【0024】
第1の好ましい態様によると、本発明に係る方法はブドウの枝(vine shoots)からの抽出方法である。
好適態様によると、乾燥した枝を使用する。
【0025】
乾燥した枝とは、湿度(水分)レベルが有利には20重量%未満、好ましくは5重量%未満となるように乾燥工程を受けさせたブドウの枝を意味する。別の態様によると、枝の乾燥は、乾燥した場所での外気中での自然乾燥により、または例えば約40℃を超えない適度な温度での乾燥機による乾燥により、どちらの場合も水分レベルが20重量%未満、好ましくは5重量%未満になるまで行われる。例えば、乾燥は、特許文献WO01/03713で推奨されている乾燥方法に従って、乾燥した場所での外気中の自然乾燥により、特に少なくとも2カ月、好ましくは少なくとも4カ月の乾燥時間をかけて達成されうる。
【0026】
有利には、乾燥した枝からの抽出は、二酸化炭素の臨界温度(31℃)より低温で行われ、好ましくは18〜25℃、より好ましくは20℃で行われる。
好適態様によると、乾燥した枝からの抽出は温度20℃および圧力29×106Paで行われる。
【0027】
さらに有利には、抽出は共溶媒を全く存在させずに二酸化炭素により行われる。
最後に、得られた親油性抽出物(低クロロフィル含有量)の品質のために、本抽出方法は追加の脱色工程を全く必要としない。
【0028】
第2の好適態様によると、本発明に係る方法は、ブドウの根(vine roots)からの抽出方法である。
別の好ましい態様によると、乾燥した根が使用される。
【0029】
乾燥したブドウの根とは、先に述べた乾燥したブドウの枝と同じ特性を有する根を意味する。
有利には、乾燥したブドウの根からの抽出は二酸化炭素の臨界温度(31℃)より高温で行われ、抽出は好ましくは35〜80℃、より好ましくは60℃の温度で行われる。
【0030】
好適態様によると、乾燥した根からの抽出は温度60℃および圧力29×106Paで行われる。
さらに有利には、抽出は少なくとも1種の共溶媒の存在下で行われ、該共溶媒は好ましくはエタノールである。
【0031】
共溶媒の濃度は有利には抽出に用いる二酸化炭素に対して1重量%以上であり、好ましくは3〜5重量%の範囲内である。
本発明の第2の目的は、枝、幹・株または根のような木質化したブドウ部分から先に述べたような抽出方法により得られうる親油性抽出物に関する。
【0032】
本発明の範囲内に木質化したブドウからの親油性抽出物は、ブドウ畑で刈り取られたブドウの枝、幹・株または根からのあらゆる抽出物、好ましくはセミヨン種および/またはソーベニョン種のブドウの枝からの抽出物である。
【0033】
得られた親油性抽出物は室温で固体または半固体状態で存在する。
最後に、本発明の第3の目的は、ブドウの枝、幹・株または根のような木質化したブドウ(Vitis vinifera)部分からの親油性抽出物の化粧用組成物における賦形剤としての使用に関する。
【0034】
実際、先に述べた抽出方法により得られた抽出物は脂肪分に富み、それにより、化粧用に、特に少なくとも1種の脂肪相を含む化粧用組成物の賦形剤として特に適することになる粘稠性およびキメのある触感となり、さらに化粧用組成物に容易に同化する「淡い」色を持ち、有機溶媒をほとんど或いは全く含有しないという、さらなる利点を有する。
【0035】
先に述べた抽出方法により得られた抽出物は、特に肌、唇および皮膚のケアまたはメーキャップ用の化粧用組成物の脂肪相の中に混入するのに適している。
本発明の第4の目的は従って先に述べた親油性抽出物を含有する化粧用組成物を取り扱う。
【0036】
この抽出物は有利にはスキンケア(肌の手入れ)クリームのような水中油型エマルションの脂肪相中に、またはリップスティック(口紅)またはマスカラのような組成物の脂肪相中に含有させてもよい。
【0037】
さらに、本化粧用組成物は1種または2種以上の化粧品に許容される有効成分も含有する。
本化粧用組成物はさらに、有効成分として、下記から選ばれた分子または抽出物を含有しうる:肌を明るくする作用のある物質;やせる作用のある物質;保湿作用のある物質;平穏化、緩和化またはリラックス作用のある物質;肌、特に顔の肌のトーンの輝きを向上させるために肌の微小循環を刺激する作用のある物質;脂肪質肌のケアのための皮脂調節作用のある物質;肌を清浄化または純化するための物質;抗ラジカル(anti-radical)作用のある物質;肌組織の保持の促進ならびに/または真皮および表皮の表面層の細胞外基質の劣化の抑制ならびに/または肌に対する保護、矯正もしくは再生効果を得ることを目的とする作用によって、肌の老化、特にシワの生成の作用を和らげるか、または遅くするための物質;抗炎症作用のある物質。
【0038】
少なくとも1種の有効成分および本発明の親油性抽出物に加えて、本化粧用組成物は、本組成物の製造中に加えられる1種または2種以上の化粧品に許容される他の賦形剤を含有していてもよい。
【0039】
本発明は添付図面およびそれらの説明ならびに以下の本発明に係る抽出物の製造に関する制限を意図しない実施例について述べるさらなる説明によってさらによく理解されよう。
【実施例】
【0040】
実施例1:木質化したブドウ(Vitis vinifera)部分からの抽出方法
1)二酸化炭素によるブドウの枝からの抽出
ここではソーベニョン種のブドウの枝の刈り取り物を使用する。
【0041】
これらの枝に対する二酸化炭素による最適抽出条件を確立するために、二酸化炭素が超臨界または未臨界状態にある異なる抽出条件(圧力、温度、共溶媒の有無、共溶媒の性質)を試験する。得られた抽出物の最終的な色を記録し、内部で決めたスケールに従って、1(非常に透明)から4(非常に濃い)までの評点で評価し、抽出の物質収率を算出する。
【0042】
実施した異なる抽出条件と得られた結果を次の表1にまとめて示す。
【0043】
【表1】

【0044】
上の結果は、60℃では、共溶媒の不存在または水の使用により、クロロフィルをほとんど含有していない満足すべき(強くは着色していない)親油性抽出物を得ることができるが、抽出物質収率は低いことを示している。同じ温度で、エタノールの使用は、最終抽出物を強く着色するクロロフィルの存在を生じるので、放棄される。
【0045】
高圧(29×106Pa)未臨界条件下(T=20℃)の抽出では、満足すべき抽出歩留まり(物質収率)でクロロフィル含有量の低い抽出物を得ることができる。この親油性抽出物は、事前の「脱色」を全く行わずに化粧品にそのまま使用することができる。
【0046】
2)未臨界状態の二酸化炭素によるブドウの枝の親油性抽出物
前節で得られた結果を考慮して、乾燥し、予め粉砕されたブドウ枝450グラムを所定条件(20℃、29×106Pa、共溶媒なし)下で処理する。最終的に残留水を含んだ親油性抽出物(エキス)6.5グラム(物質収率1.4% w/w)が得られる。クロロフィル含有量が低いために色が非常に透明なこの抽出物は、室温では固体状態である。この抽出物をその後、凍結乾燥により乾燥させる。
【0047】
ここで用いた抽出条件により、肌の栄養成分に富む親油性抽出物を得ることができる。
高圧液体クロマトグラフィー(HPLC)による検討により、ここで特に選択した抽出手順では、クロロフィル含有量が低い抽出物を得ることができることが確認される。
【0048】
3)ストリッピング剤の存在下で未臨界状態の二酸化炭素によるブドウの枝からの親油性抽出物
前節で得られた結果を考慮して、乾燥し、予め粉砕されたブドウ枝450グラムを先に定めた条件(20℃、29×106Pa、共溶媒なし)下で、賦形剤のジカプリリルカーボネート(ストリッピング剤の役割を果たす)の存在下で処理する。精製の終了後にジカプリリルカーボネートは得られたワックスの95%近くを占め、それにより、収率は、抽出器に導入された植物材料およびジカプリリルカーボネートの質量に対して50%に標準化される。
【0049】
最後に、得られた抽出物に酸化防止剤として0.05質量%のdl−α−トコフェロールを添加する。得られた抽出物の分析の詳細を次の表2aおよび表2bに示す。
【0050】
【表2】

【0051】
得られた抽出物の分析は最終的に、それが脂肪酸類(オレイン酸、リノール酸、パリミチン酸、リノレン酸、ステアリン酸、ベヘン酸)ならびにステロール類(β−シトステロール、スチグマステロール、カンペステロール、スチグマスタノール)を含有していることを示した。他方、同じ分析はこの抽出物がレスベラトロール、糖類、アミノ酸類、サポニン類またはタンニン類を全く含有していないことを実証した。
【0052】
4)二酸化炭素によるブドウの根からの抽出
本試験のために、ソーベニョン種のブドウの根の刈り取り物を用いる。これらの根に対する二酸化炭素による抽出効率を調べるため、二酸化炭素が超臨界状態にある異なる抽出条件を試験する(20℃または60℃、18×106Paまたは29×106Pa、共溶媒の存在または不存在)。抽出物の最終的な色を記録し、内部で決めたスケールに従って1(非常に透明)から4(非常に濃い)までの評点で評価し、抽出の物質収率を算出する。
【0053】
試験した異なる抽出条件と得られた結果を次の表3にまとめて示す。
【0054】
【表3】

【0055】
上の結果は、共溶媒としてエタノールを使用すると、それを使用しない方法より得られる抽出物質収率がより高くなることを示している。
5)超臨界状態の二酸化炭素によるブドウの根からの親油性抽出物
上の4)で得られた結果を考慮して、事前に粉砕されたソーベニョン種の乾燥根部450グラムを所定条件(60℃、29×106Pa、二酸化炭素に対して3%のエタノールを使用)下で処理する。最終的に、共溶媒の残留痕跡量のみを含有する4.9グラムの抽出物が得られる(物質収率1.1%)。この抽出物は室温で固体である。
【0056】
これらの抽出条件により、化粧用組成物に賦形剤として使用できる脂肪分に富んだ抽出物を得ることが可能である。
実施例2:本発明に係る親油性抽出物を含有する化粧用組成物
実施例1の2)に従って得られたブドウの枝からの抽出物を、下記に詳述する処方(数字は組成物の重量%での含有量)の水中油型化粧用エマルジョンの脂肪相中に混入する。
【0057】
ワイン枝の抽出物 1
シワ防止植物エキス(抽出物) 0.1
界面活性剤(ArlacelTM 165VP) 5
セチルアルコール(95%) 1
ステアリルアルコール 1
蜜ロウ 1.5
オイル(PerleamTM) 8.5
カプリン酸/カプリル酸トリグリセリド 3
ジメチコン100CS 1
ポリマー(KeltrolTM) 0.4
水酸化ナトリウム 0.04
粉末化EDTA四ナトリウム 0.1
保存料 0.5
香料 <0.1
十分量の水を加えて 100
得られた組成物はシワ防止ケアクリームである。
【0058】
実施例3:本発明に係る親油性抽出物を含有する化粧用組成物
実施例1の5)に従って調製されたブドウの根の抽出物を、詳細を下記に述べる処方(数字は組成物の重量%での含有量)のマスカラの処方中に混入する。
【0059】
ワイン根の抽出物 1
着色剤 20.0
18-36トリグリセリド類 9.9
ステアリン酸グリセリル 12.0
蜜ロウ 4.6
カルナウバワックス 2.2
トリエタノールアミン 1.9
シェラック 1.9
ステアリン酸 1.9
パルミチン酸 1.9
水素化ロジン酸グリセリル 1.5
PVP/VAコポリマー 1.0
レシチン 1.0
保存料 0.6
キサンタンガム 0.4
フェノキシエタノール 0.2
加水分解ケラチン 0.2
EDTA四ナトリウム <0.1
香料 <0.1
十分量の水を加えて 100
得られたメーキャップ組成物はマスカラである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
枝、幹・株もしくは根のようなブドウの木質化した部分から親油性抽出物を製造する方法であって、該木質化部分の無極性溶媒による抽出工程を含むことを特徴とする方法。
【請求項2】
ブドウがメルロー、カベルネ・フラン、ガメイ、シラー、セミヨン、およびソービニョン種から選ばれた品種のブドウであることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記親油性抽出物がブドウの枝からの抽出により得られることを特徴とする、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記親油性抽出物がブドウの根からの抽出により得られることを特徴とする、請求項1または2に記載の方法。
【請求項5】
前記無極性溶媒が、シクロヘキサン、n−ヘキサンもしくはヘプタンのようなC6またはC7アルカン類、あるいは超臨界または未臨界状態の二酸化炭素(CO2)であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
前記無極性溶媒が超臨界または未臨界状態の二酸化炭素(CO2)であることを特徴とする請求項5に記載の方法。
【請求項7】
二酸化炭素が7.4×106Pa以上の圧力、好ましくは18×106Pa以上の圧力に圧縮されていることを特徴とする、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
抽出が15℃〜80℃の範囲内の温度で行われることを特徴とする、請求項6または7に記載の方法。
【請求項9】
抽出が二酸化炭素の臨界温度より低い温度で行われることを特徴とする、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
抽出が共溶媒の不存在下で行われることを特徴とする、請求項6〜9のいずれかに記載の方法。
【請求項11】
抽出が二酸化炭素の臨界温度より低い温度で行われることを特徴とする、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
該方法が乾燥ブドウ枝の抽出方法であることを特徴とする、請求項10または11に記載の方法。
【請求項13】
抽出が20℃の温度および29×106Paの圧力で行われることを特徴とする請求項12に記載の方法。
【請求項14】
二酸化炭素が超臨界状態で使用されることを特徴とする請求項6〜8のいずれかに記載の方法。
【請求項15】
抽出が少なくとも1種の共溶媒の存在下で行われ、該共溶媒が好ましくはエタノールであることを特徴とする、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
該方法が乾燥ブドウ根からの抽出方法であることを特徴とする、請求項14または15に記載の方法。
【請求項17】
抽出が60℃の温度および29×106Paの圧力で行われることを特徴とする請求項16に記載の方法。
【請求項18】
請求項1〜17のいずれかに記載の方法により得られた親油性抽出物。
【請求項19】
請求項18に記載の親油性抽出物の化粧用組成物中の賦形剤としての使用。
【請求項20】
請求項18に記載の枝、幹・株または根のようなブドウの木質化部分からの親油性抽出物を含む化粧用組成物。
【請求項21】
少なくとも1種の脂肪相を含み、該親油性抽出物がこの脂肪相内に存在することを特徴とする、請求項20に記載の組成物。
【請求項22】
該脂肪相内の請求項18に記載の親油性抽出物を含有する、水中油型エマルジョンを含むことを特徴とする、請求項21に記載の組成物。
【請求項23】
少なくとも1種の有効成分および/または着色剤をさらに含有することを特徴とする、請求項20〜22のいずれかに記載の組成物。
【請求項24】
肌、唇および皮膚のケアまたはメーキャップ用の組成物であることを特徴とする、請求項20〜22のいずれかに記載の組成物。
【請求項25】
リップスティックまたはマスカラの組成物であることを特徴とする、請求項24に記載の組成物。

【公開番号】特開2010−31010(P2010−31010A)
【公開日】平成22年2月12日(2010.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−173079(P2009−173079)
【出願日】平成21年7月24日(2009.7.24)
【出願人】(509209395)
【氏名又は名称原語表記】LVMH RECHERCHE
【Fターム(参考)】