説明

角丸加工装置

【解決手段】角丸加工装置は、投入部24に、湾曲した内面を有する台板30を設け、チャック付袋26のチャック側端部がその湾曲した内面に沿うように、チャック付袋26を台板30上に立ててストックする。ストックされた多数のチャック付袋の一番内側のものを、取出し部74において、真空パッド76で取り出し、搬送部86に送る。搬送部86によってチャック付袋26が加工位置まで搬送されると、それの搬送方向先端が、加工部98に設けているストッパ100に当接して、チャック付袋26が加工位置に停止する。そして、4つの切断刃102を下降すると、チャック付袋26の4つの角が角丸加工される。
【効果】投入部において複数のチャック付袋を効率よくストックできるので、全体として小型の角丸加工装置を得ることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、角丸加工装置に関し、特に、たとえばチャック付袋のように厚みが均一ではない袋を角丸に加工する、角丸加工装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1‐3で知られているようなチャック付袋が、使用途中でも密封して保存できることから、たとえば食品やサプリメント(栄養補助剤)などを収納するために多用されている。このようなチャック付袋は、保存を確実に行なうために、たとえば防湿効果などを持つように、たとえばビニールとアルミニウム箔のラミネートフィルムのような比較的強靭な素材で製造する。その場合、鋭い角が残っていると、柔軟素材の袋とは違って、使用者がそれで怪我をするなどの事故が生じることもある。したがって、角丸にすることが望ましい。
【0003】
他方、チャック付袋においては、チャック部分が、それ以外の袋の部分に対して厚いため、重ねるとチャック部分のみが他の部分に対して、極端に高くなり、積層した上面が傾斜してしまう。そのため、本件出願人が提案しているたとえば特許文献4で示すような、ワークピースを重ねて角丸加工が可能な角丸加工装置を使用することができなかった。
【0004】
そこで、従来では、製袋後のチャック付袋を「刺身」状に並べて1枚ずつ角丸加工することが行なわれていた。この方法だと、チャック付袋を「刺身」状に並べるためのスペースが必要で、装置全体が大型のものになってしまうという欠点があった。
【0005】
他方、最近では、特許文献5に示すように、製袋工程で裁断と角丸加工を同時に行なう装置が提案されている。
【特許文献1】特開2006‐8211号公報[B65D 33/00 33/25]
【特許文献2】特開2006‐176202号公報[B65D 33/00 33/25 33/38]
【特許文献3】特開2002‐302130号公報[B65D 33/25 30/10]
【特許文献4】特開2008‐260108号公報[B23C 5/08 1/02]
【特許文献5】特開2009‐202339号公報[B31b 1/14 1/02 1/18]
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献5のような装置では、大掛かりな設備を導入する必要があるなどの問題がある。
【0007】
それゆえに、この発明の主たる目的は、新規な、角丸加工装置を提供することである。
【0008】
この発明の他の目的は、チャック付袋を効率的に角丸加工できる、比較的小型の、角丸加工装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、上記の課題を解決するために、以下の構成を採用した。なお、以下の補足説明等は、本発明の理解を助けるためのものであって、本発明を何ら限定するものではない。
【0010】
第1の発明は、チャック付袋に角丸加工を施すための角丸加工装置であって、湾曲した内面を有し、複数のチャック付袋を、チャック側の端部がその内面に沿うように、内面上に整列してストックする投入部、投入部からチャック付袋を1枚ずつ取り出す取出し部、取出し部で取り出したチャック付袋を加工位置まで搬送する搬送部、および加工位置に設けられ、チャック付袋の4つの角を角丸加工するための切断刃を備える、角丸加工装置である。
【0011】
第1の発明では、投入部に複数のチャック付袋を「立てて」ストックし、取出し手段でチャック付袋を1枚ずつ取り出すようにしたので、チャック付袋をストックしておくためのスペースが小さくてよい。したがって、比較的小型の装置でチャック付袋に角丸加工を施すことができる。
【0012】
第2の発明は、第1の発明に従属し、投入部にストックしているチャック付袋を捌く捌き手段をさらに備える、角丸加工装置である。
【0013】
第2の発明によれば、捌き手段によってストックしているチャック付袋を捌くので、取出し手段によって確実に1枚ずつチャック付袋を取り出すことができる。
【0014】
第3の発明は、第1の発明に従属し、投入部は、湾曲した内面を有する台板を含み、この台板の内面に各チャック付袋のチャック側端部が接触するようにストックする、角丸加工装置である。
【0015】
第4の発明は、第3の発明に従属し、台板上にストックしたチャック付袋に振動を与えてチャック付袋を捌くための捌き手段をさらに備える、角丸加工装置である。
【0016】
第5の発明は、第4の発明に従属し、捌き手段は、台板と同じように湾曲した内面を有し、台板とともにチャック付袋を受ける捌き板および捌き板を揺動させるための揺動手段を含む、角丸加工装置である。
【0017】
第5の発明によれば、チャック付袋が捌き板の上に載っているので、チャック付袋を確実に捌くことができる。
【0018】
第6発明は、第1ないし第5のいずれかの発明に従属し、取出し手段は、投入部にストックした複数のチャック付袋の最も内側のものを取り出す真空パッドを含む、角丸加工装置である。
【0019】
第6発明では、チャック付袋を真空パッドで取り出すので、チャック付袋に傷がつかない。
【0020】
第7の発明は、第1ないし第6またはいずれかの発明に従属し、投入部にストックした複数のチャック付袋の上に載せられる重り手段をさらに備える、角丸加工装置である。
【発明の効果】
【0021】
この発明によれば、比較的小型の装置で、チャック付袋を効率的に角丸加工できる、角丸加工装置を得ることができる。
【0022】
この発明の上述の目的,その他の目的,特徴および利点は、図面を参照して行う以下の実施例の詳細な説明から一層明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】この発明の一実施例の角丸加工装置の外観を示す図解図である。
【図2】図1実施例の角丸加工装置における内部構造の概略を示す図解図である。
【図3】図1実施例の角丸加工装置によって角丸加工できるチャック付袋の一例を示す図解図であり、図3(A)が外観図、図3(B)が断面構造図である。
【図4】図1実施例の角丸加工装置における投入部を部分的に示す斜視図である。
【図5】図4の投入部を捌き手段の動作とともに示す図解図である。
【図6】図1実施例の角丸加工装置における加工部を示す図解図である。
【図7】図1実施例の角丸加工装置における投入部の変形実施例を部分的に示す斜視図である。
【図8】図8実施例の投入部を捌き手段の動作とともに示す図解図である。
【図9】図1実施例の角丸加工装置における取出し部の変形実施例を示す図解図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
図1を参照してこの発明の一実施例の角丸加工装置10は、中空箱状のベース12およびベース12の後端に立てて設けられる後プレート14を含み、ベース12上には、このベース12の幅方向両端に、間隔を隔てて、直立して、固定された2枚の側壁板16を含む。2枚の側壁板16は同じ形状に加工され、上端縁が前下がりの階段状にまたは傾斜して形成される。その側壁板16の上端縁を塞ぐように、天板18が、蝶番17によって矢印方向に開閉可能に装着される。側壁板16の前端縁を塞ぐように、前板20が着脱可能に、装着される。したがって、もしも故障やつまりなどが発生したときには、この天板18を矢印方向に開けたり、前板20を取り外したりした後、修理し、またはつまりを除去したりすればよい。なお、前板20にはそのほぼ中央に矩形の開口22が形成される。
【0025】
なお、以下に詳細に説明する実施例においては、特に説明しない限り、各部材は基本的には鉄などの金属で形成されるものであると理解されたい。
【0026】
側壁板16の後端、つまり、最も高い部分には、この実施例の重要な特徴である投入部24が形成され、この投入部24に未加工のチャック付袋26(図3)を投入する。チャック付袋は、この投入部24において、後に詳細に説明する態様で、ストックされる。側壁板16の前端、つまり、最も低い部分には、排出部28が形成され、この排出部28は前板20の開口22に臨まされる。排出部28から加工済みのチャック付袋が排出される。
【0027】
この実施例の角丸加工装置10は、全体として比較的小型にできる。チャック付袋26の寸法(縦横)にもよるが、投入部24から排出部28までの長さがたとえば、1200mm程度以下で、幅(側壁板16間間隔)は、たとえば、600mm程度にできる。ただし、この寸法は、単なる一例である。
【0028】
図1実施例の角丸加工装置10の全体的な内部構造を示す図2を参照して、投入部24は、湾曲した内面を有する台板30を含む。複数のチャック付袋26が、チャック側の端部がその台板30の湾曲した内面に沿うように整列して、この台板30上にストックされる。
【0029】
角丸加工するワークピースは、図3に示すような、チャック付袋26である。チャック付袋26は、たとえばビニールとアルミニウム箔のラミネートフィルムのような素材で形成される。ただし、このような材料に限定されるものではない。対象とするチャック付袋26は公知の任意の製造方法で製造され得るが、典型的には、ラミネートフィルム32を2枚重ねし、開口となる1つの辺(図3の上辺)を除いて周縁を適宜の接着手段、たとえば接着剤、熱溶着などによって張り合わせる。ただし、各ラミネートフィルム32の内面には、チャック34を構成する雌雄部材34aおよび34bを、2枚重ねしたとき互いに嵌まり合う位置に、予め固着している。したがって、上記のように2枚のラミネートフィルム32を周縁で張り合わせたとき、図3のようなチャック付袋26ができ上がる。
【0030】
そして、図示では上端辺の開口を通して、チャック34を開いて、チャック付袋26内に内容物(サプリメント、薬、食品、菓子など)を収納するのであるが、当然、内容物を入れる前に角丸加工する必要がある。
【0031】
図3からよく分かるように、チャック付袋26では、チャック34が嵩高なので、その部分が他の部分に比べて肉厚になる。そのため、チャック付袋26をそのまま積み上げると積層体(チャック付袋26を積層した状態全体を指す。)上面が傾斜してしまい、特許文献4に示すような角丸加工装置では対処できない。
【0032】
そこで、実施例の角丸加工装置10では、チャック付袋26の厚みの不均一に対処するために、詳細を図4および図5で示す特徴的な構成の投入部24を設ける。
【0033】
先に説明したように、投入部24は、湾曲した内面を有する台板30を備え、台板30のその内面側に、複数のチャック付袋26を「立てて」ストックする。台板30の幅方向両端には円弧状の側壁板36が固着されている。この側壁板36の間隔が角丸加工するべきチャック付袋26の幅に合わせて可調整的に設定されることはもちろんである。したがって、必要なら、加工すべきチャック付袋26の幅にその都度合わせることができるように、側壁板36どうしの間隔を調節する機構(図示せず)を設けてもよい。
【0034】
そして、それぞれのチャック付袋26が同じ方向に向くように、台板30上に投入される。つまり、チャック付袋26のチャック34の側の端部、図3で言えば、下端(開口した辺)が台板30の湾曲した内面側に向くように、側壁板36どうしの間にチャック付袋26を投入する。ただし、チャック付袋26のチャック34とは反対の端部、図3で言えば上端部が、台板30の上方所定位置に固定的に設けた押え板38の下方に入るように、多少中に押しながら入れる。チャック付袋26の先端を押え板38の下方に押し込むことによって、チャック付袋26の素材が持つ弾性などによって、チャック付袋26が浮き上がるのが防止されている。
【0035】
このように台板30の湾曲した内面にチャック付袋26を立てて入れると、最初に投入したチャック付袋、つまり図4で最も手前に全体を見せているチャック付袋26は、ほぼ垂直に立つが、後続して投入されたチャック付袋は、チャック34の厚みの分だけ、段々傾斜し、最後に投入したチャック付袋、つまり、図4で最も上にあって全体を見せているチャック付袋26は、ほぼ水平の状態に保持される。
【0036】
そのようにストックされた最も上のチャック付袋26の上には重り板40が置かれ、この重り板40によっても、チャック付袋26の浮き上がりが防止されている。重り板40は鈍角に下向きに曲がったアーム42の先端に軸44で回動自在に取り付けられている。アーム42の基端は、軸46によって回動自在に軸支される。アーム42は矢印A方向に回動自在であり、チャック付袋26を台板30上に投入するときは、当然、図4や図5において仮想線で示す状態に持ち上げられる。チャック付袋26の投入後アーム42のその持ち上げ状態を解除すれば、重り板40などを含めた自重によって、図5の実線の位置まで下降する。したがって、押え板38および重り板40によって、それぞれのチャック付袋26の両端(図3の上下端)側がともに拘束されるので、ストックしたチャック付袋26が跳ね上がったり飛び出したりするなどの不都合は生じない。
【0037】
また、重り板40は軸42によって回動自在にされているので、もし、台板30上のチャック付袋26が少なくても、重り板40の下面は最上層のチャック付袋26の上面の傾斜の状態に追随して角度を変えることができる。したがって、重り板40はストックしたチャック付袋を効果的に押さえることができる。
【0038】
他方、台板30の湾曲した内面がチャック付袋26の肉厚の不均一に有効に対処できる。図4および図5に示すように、チャック付袋26のチャック34の側の端部が台板30の内面に向くように投入すると、ストックしているチャック付袋の全体の厚みにおいて、台板30の内面側での厚みが、反対側、たとえば押え板38の側での厚みに比べて、大きくなる。つまり、堆積しているチャック付袋26の全体の厚みにおいて、外側が大きく内側が小さくなる。したがって、積み重ねたチャック付袋26の全体の形状は、いわば、ドーナツの一部を切り取ったように湾曲した形状になる。
【0039】
そこで、この実施例では、台板30の内面を、全体の外側と内側の厚みの差に起因したチャック付袋26の積層体の湾曲に合わせて湾曲させることによって、台板30上でチャック付袋26の積層体を安定的に保持できるようにしている。つまり、台板30の内面を湾曲させることによって、肉厚が均一ではないチャック付袋26を安定的に整列してストックできる。そのため、従来であれば、たとえば「刺身」状に置くしかなかった場合に比べて、チャック付袋26をストックするための空間の長さをかなり小さくすることができる。
【0040】
このように効率的にストックするためには、チャック付袋26の積層体の曲率に合うように台板30の内面の湾曲の曲率を設計すればよい。つまり、一度にストックするチャック付袋の枚数やチャック付袋のチャック部と他の部分との厚みの差によって積層体の湾曲の程度が決まるのであるから、その枚数と肉厚差から台板30の内面の湾曲の程度(曲率)を設計すればよい。
【0041】
このような特徴的な投入部24には、積層してストックしたチャック付袋26どうしの干渉を除去して、1枚ずつ確実に取り出せるようにするために、捌き手段が設けられている。
【0042】
図1や図4からよく分かるように、台板30は、1枚の湾曲した板体ではなく、幅方向中央にスリットを形成した湾曲板体である。そして、そのスリットに、捌き板48を配置している。捌き板48の内面も台板30の内面と同じ曲率で湾曲しているので、基本的には、捌き板48も台板30と同じように、チャック付袋26をストックする機能を分担する。
【0043】
捌き板48の湾曲した内面は、布やゴムまたは樹脂のような比較的摩擦力の大きい素材を貼り付けるなどした、摩擦面50(図5)として形成される。
【0044】
捌き板48の外面には図5などからよく分かるように、固着片52が固着されていて、その固着片52には、軸54によって、長円(小判)形の連結板56が揺動自在に連結される。連結板56の他方端には孔58が形成される。一方、連結板56の下方には、同じく長円形の連結板60が設けられる。連結板60は、その長手方向中央がピン62によって軸支されているので、そのピン62を中心にして、回転または回動自在である。連結板60の両端には、孔64および66がそれぞれ形成される。連結板60の上側の孔64には連結棒68の下端が緩挿され、連結板56の下側の孔58には、連結棒68の上端が、連結板56が揺動できる程度に密に挿入される。下側の連結板60の下側の孔66には、エアシリンダ70のロッド72の先端が緩挿される。
【0045】
このような、捌き板48を含む、捌き手段において、エアシリンダ70が動作してそのロッド72が図5に示す矢印B方向に出没すると、ロッド72の先端に連結された連結板60がピン62を中心にして、図5において実線で示す位置と1点鎖線で示す位置との間で揺動する。そうすると、連結棒68の先端が矢印C方向に変位する。したがって、連結棒68に連結されている連結板56も図5で示すように変位する。そのため、連結板56に軸54を介して連結されている固着片52が動くので、それが固着されている捌き板48が、図5において矢印Dで示すように前後に変位する。捌き板48が前後に揺らされるとき、摩擦面50が台板30上のチャック付袋26の下端を上下させるので、それによって、チャック付袋26どうしが絡み合ったままの状態を防止できるのである。つまり、チャック付袋26が下流の取出し部74によって1枚ずつ確実に取り出せるように、捌き板48が積層しているチャック付袋26を捌くのである。
【0046】
図5で示すエアシリンダ70などの要素が、捌き板48を揺動させまたは振動させるための揺動手段または振動手段として機能する。
【0047】
図2に戻って、投入部24の台板30上に上述したようにストックされたチャック付袋26は、取出し部74によって、投入部24から、つまり、台板30上から1枚ずつ取り出される。
【0048】
詳しくいうと、取出し部74は、この実施例では、真空パッド76を含み、真空パッド76でチャック付袋26を1枚ずつ吸着して、投入部24から取り出す。
【0049】
真空パッド76は、軸78によって軸支されるエアシリンダ80を有する。エアシリンダ80は、たとえばモータなどの駆動手段(図示せず)によって図2の矢印E方向に所定角度(たとえば90°)の範囲で回動される。エアシリンダ80内には、ノズル82が収納される。ノズル82はエアシリンダ80内に、空気圧によって矢印F方向に出没可能(変位可能)とされている。ノズル82の先端には、たとえばシリコーンゴムのような柔軟素材からなり、内面が漏斗状に形成されている、パッド84が取り付けられている。ノズル84は真空手段(図示せず)に接続されていて、真空手段から負圧が与えられることによって、パッド84の漏斗状空間が負圧になり、正圧が与えられることによって正圧になる。
【0050】
エアシリンダ80を図2において実線で示す位置(取り出し位置)に位置させ、パッド84を矢印F方向に押し出し、投入部24の台板30上にストックされている最内側のチャック付袋26にパッド84を押し付けた状態で、パッド84内を負圧にすると、その最内側チャック付袋26がパッドに吸着される。その状態で、図示しない駆動手段によって、エアシリンダ80を矢印E方向に回して下げると、パッド84の回動軌跡に従って、パッド84に吸着されたチャック付袋26が下方へ移動する。
【0051】
真空パッド76を図2で点線で示す位置まで90°まわすと、その真空パッド76の回動に応じてチャック付袋26は、搬送部86の入り口に設けられたガイド板88(図4にも図示している。)の下方に入り込み、矢印G方向へ回転されている取込ローラ90によって、搬送ベルト92上に取り込まれる。そのタイミングでパッド84内に正圧を与えると、チャック付袋26がパッド84から離脱して搬送ベルト92によって送られる。この搬送ベルト92は、実施例ではタイミングベルトであり適宜の駆動手段(図示せず)によって、タイミングプーリのようなプーリ94を介して、矢印H方向に駆動されている。実施例では、3つのプーリ94が設けられ、そのうちの1つ94Aが駆動プーリで、他の2つ94が従動プーリである。駆動プーリ94Aは、ベース22(図1)の中空部内に配置されたモータ95のモータ軸95Aに固着される。したがって、モータ95をオンすることによって、プーリ94A、94を介して搬送ベルと92を矢印H方向に駆動することができる。そのため、取込ローラ90によってその上に取り込まれたチャック付袋26は、搬送ベルト92の表面上で矢印H方向へ搬送される。このとき、搬送ベルト92の上方に、適宜の間隔で設けられた押えローラ96で押えられるので、チャック付袋26は搬送ベルト92との相対的位置を変えることなく、搬送ベルト92の表面変位とともに移動する。
【0052】
すべての押えローラ96は図2において矢印Iで示す同じ方向に、図示しない駆動手段によって、回転されている。
【0053】
なお、最上流側の押えローラ96は、取込ローラ90によって、取込ローラ90と搬送ベルト92との間に取り込んだチャック付袋26の後端が、取込ローラ90の位置から離れるときにはチャック付袋26の先端が押えローラ96と搬送ベルト92との間に挟まれている、そのような位置に設けられる。下流側の押えローラ96は、上流側取込ローラ96と搬送ベルト92との間に挟んでいるチャック付袋26の後端が、当該上流側取込ローラ96から外れるときにはチャック付袋26の先端が下流側の押えローラ96と搬送ベルト92との間に挟まれている、そのような位置に設けられる。このような原則に従えば、押えローラ96の数を最小にすることができる。つまり、押えローラ96の配置間隔は、チャック付袋26の搬送方向長さより小さいが、チャック付袋26の大きさや材質の状態などに応じて適宜決めればよい。
【0054】
搬送ベルト92上で矢印H方向(図2)に搬送されたチャック付袋26は、加工部98に設けられたストッパ100にその搬送方向先端(実施例ではチャック付袋のチャック側端部)が当って、加工位置に停止する。このとき、図6からよく分かるように、最下流側の押さえローラ96(図2)がチャック付袋26の搬送方向後端上にあり、他の押えローラと同じように矢印I方向に回転されている。したがって、最下流の押さえローラ96は、それの回転によって、チャック付袋26の搬送方向後端からストッパ100に向かう押し力が与えられるため、チャック付袋26は、ストッパ100にその搬送方向先端が当接した状態で安定的に位置決めされ得る。
【0055】
加工部98すなわち加工位置には、図6によく示されるように、位置決めされたチャック付袋26の上方に、チャック付袋26の4つの角それぞれに対応する位置に、切断刃102が配置される。これら切断刃102は、角丸加工のためのRがつけられた、曲がった刃部104を有する。なお、各切断刃102に対応する、チャック付袋26の下方には、切断刃102と協働してチャック付袋26の角を切断するための下刃が設けられるのであるが、よく知られていることと、図面が煩雑になるのを回避するために、下刃の図示は省略した。
【0056】
また、切断刃102は図2おいて矢印J方向に昇降可能にされていて、たとえば空気圧や油圧のような駆動手段によって、すべての切断刃102が同時に昇降される。角丸加工するときチャック付袋26の4つの角に同時に切断刃102が当るようにすると、チャック付袋26がどれかの切断刃に引っ張られて位置がずれるなどの、不都合が生じない。ただし、それでもチャック付袋が動いて位置ずれが発生するときには、停止位置つまり加工位置においてチャック付袋26を軽く上から押える押さえ手段(押え板など)を併用するようにしてもよい。
【0057】
チャック付袋26が停止位置に停止した状態で切断刃102を下降すると、刃104がチャック付袋26の角を図6において点線で示すように角丸に加工する。その後、切断刃102は上昇される。
【0058】
ストッパ100も切断刃102と同じ方向、すなわち矢印K方向に昇降可能とされている。チャック付袋26を加工位置に停止させるべきときには、駆動手段(図示せず)によって下降され、角丸加工の終了後には上昇される。
【0059】
したがって、角丸加工後のチャック付袋26は、ストッパ100の位置からさらに下流に搬送され、図2において仮想線で示すようにやがて搬送ベルト92から送り出されて落下する。チャック付袋26が角丸加工後に落下する位置にシュータ106が設けられていて、角丸加工後のチャック付袋26はそのシュータ106を通って、排出部28から装置外に排出される。
【0060】
なお、加工部98において上述のようにして角丸加工すると、切断刃102で切断されたチャック付袋26の一部が「切りくず」として切り離される。この切りくずは、4つの切断刃102のそれぞれの位置に対応して搬送ベルト92の下方に設けられた切りくず入れ103(図2では2つしか図示していないが、実際には、4つの切断刃102のそれぞれの位置に設けられる。)に落下する。切りくず入れ103は上端が開放されている有底の入れ物であり、その底面を通して真空ポンプ105に連通されている。したがって、切りくずいれ103は常に負圧が掛かっており、切断刃102で切り離されたチャック付袋26の一部はその負圧に吸引されて殆どが対応する位置に設置されている切りくず入れ103内に落下し、真空ポンプ105を介して回収袋107内に回収される。したがって、切りくずが飛び散ることもなく、装置内部も周囲もきれいにしておくことができる。
【0061】
これら切りくず入れ103、真空ポンプ105および回収袋107も箱状のベース22(図1)の中空部に設けられる。
【0062】
図7は先の実施例における投入部24の変形実施例を示す部分斜視図で、図4に対応する。ただし、この図7では、こ煩雑さを回避するために、投入部24にストックされているチャック付袋の図示は省略した。
【0063】
図7実施例においても、先の実施例と同様に、投入部24は台板30の両側の側壁板36を有する。両方の側壁板36のそれぞれの外側には、水平方向に延びる支持棒108が2本ずつ固着される。これらの支持棒108の他端は、装置10のハウジング内部のフレーム(図示せず)の適宜の位置に固着されているリングに比較的密にしかしリング内を摺動可能に挿通される。左右の側壁板36の外面にはさらに、ねじ棒110Aおよび110Bがそれぞれ固着されている。ねじ棒110Aおよび110Bには雄ねじが切られていて、この雄ねじは、たとえば上記フレームの適宜の位置に固着されているナット(図示せず)の雌ねじに螺合されている。ねじ棒110Aおよび110Bの他端には、ねじ棒を軸心回りに回転させるためのハンドル(図示せず)が取り付けられている。
【0064】
したがって、ハンドル(図示せず)を時計方向または反時計方向に回すと、このハンドルが固着されているねじ棒110Aおよび110Bも応じて時計方向または反時計方向に回転される。他方、ねじ棒110Aおよび110Bの雄ねじは、所定の固定位置に設けられているナットの雌ねじ(図示せず)に螺入されている。したがって、ハンドルを時計方向または反時計方向に回すと、ねじ棒110Aおよび110Bの一端がそれらの軸心方向、図7の矢印L方向およびM方向に変位する。ねじ棒110Aおよび110Bの一端が固着されている側壁板36も同じく、図7の矢印L方向およびM方向に変位する。つまりこの実施例では、ねじ棒110Aおよび110Bをたとえばハンドルで回すことによって、側壁板36の間隔をチャック付袋26の幅に合わせて任意に調整できる。
【0065】
側壁板36がこのようにして図7の矢印L方向およびM方向に変位するのであるが、このとき、側壁板36を支持棒108で支持しているので、側壁板36はそれの変位方向に直交する方向に動くことはない。つまり、側壁番36間の間隔を調整しているときでも、支持棒108で側壁板36を安定して支持することができる。
【0066】
図7の実施例では、各側壁板36の前端に、外方に拡がる取付板112が形成される。この取付板112は、側壁板36と一体に形成されてもよく、あるいは、たとえば溶接によって取り付けられてもよい。この取付板112の前面には、取付け金具116によって、板ばね114が、それらの先端が側壁板36の内方に突出するように、取り付けられる。板ばね114は、投入部24に投入され、台板30上にストックされているチャック付袋26(図4)に接触してそれの脱落を防止するものである。同じような役目の板ばね114が別の取付け板118(図7では想像線で示す。)に取り付けられている。3つの板ばね114で最も内側のチャック付袋の左右端部と上端部とを押さえるので、チャック付袋は容易に脱落することはない。また、真空パッド76(図2)でチャック付袋を拘引して取り出すとき、真空パッド76の拘引力に応じて板ばね114が変形するので、板ばね114が真空パッド76による取り出しを邪魔することはない。
【0067】
図7の実施例ではさらに、側壁板36の上端縁に、上に向うにつれて傾斜しながら外方に広がる受け板120が形成される。この受け板120も側壁板36と一体に形成されてもよく、あるいは、たとえば溶接によって取り付けられてもよい。受け板120は下に向うにつれて内側に傾斜するので、投入部24に多少ずれてチャック付袋を投入したとしても、傾斜に沿って落下し、側壁板36の間に正しく入り込む。つまり、この受け板120は、投入部24への投入補助板として機能する。
【0068】
図8は、図7実施例に有利に適用できる捌き手段の一例を示す部分斜視図である。この図8は、投入部24を後から見た斜視図として描かれていて、先の実施例と同様に、投入部24は、両側の台板30とそれに挟まれた捌き板48を含み、捌き板48の内面には摩擦面50が形成されている。このような投入部24の後ろ側下方に、回転軸122が設けられる。この回転軸122は、図示しないフレームの所定の場所に設けられた軸受け(図示せず)によって両端が軸支されていて、矢印N方向に回転自在とされている。
【0069】
捌き板48の下部後面には、固着片124が設けられ、この固着片124は、軸126によってフレームの一部128に取り付けられる。軸126はフレームの一部128に対して固着片124を回動可能に支持するが、固着片124の位置は変わることはない。
【0070】
捌き板48の後面で、固着片124より上方には、別の固着片130(これは図4の固着片52と同等)が設けられる。固着片130には軸132によって揺動可能に、連結板134が連結される。連結板134には、回転軸122の外周にこの連結板134を固着するための固着孔136が形成される。この固着孔136の一部が開放されているので、この開放部分を通して回転軸122を固着孔136内に入れ、その開放部の連結板134をかしめることによって、回転軸122に連結版134を固着することができる。したがって、連結板134は回転軸122と一体回転する。
【0071】
回転軸122の他端には、孔138によって、連結板140が固着される。この連結板140もまた回転軸122と一体回転する。連結板140には長孔142が上下方向に延びて形成される。長孔142を通して、連結板140にエアシリンダ146のロッド144の先端が取り付けられる。
【0072】
エアシリンダ146が動作してロッド144が矢印O方向に変位すると、それの先端に固着されている連結板140が矢印P方向に揺動または回動する。応じて、連結板140がその外周に固着されている回転軸122が矢印N方向に回転する。そうすると、同じく回転軸122の外周に固着されている連結板134の上端が矢印Q方向に揺動または回動する。連結板134の上端に固着片130が固着されているので、この固着片130も同じ方向に揺動する。結果として、捌き板48が、先の実施例の場合と同様に、矢印D方向に、つまり前後方向に、変位する。捌き板48の内面の変位でその上に投入されているチャック付袋の下端を変位されるので、チャック付袋が捌き板48によって捌かれる。
【0073】
図8で示すエアシリンダ146などの要素が、捌き板48を揺動(または振動)させるための揺動(または振動)手段として機能する。
【0074】
さらに、図2や図4の実施例では、取出し部74に1つの真空パッド76を用いた。しかしながら、チャック付袋のサイズや表面の凹凸の具合によっては、1本の真空パッドだけでは確実にチャック付袋を取り込めない事態が発生するかもしれない。そのような場合には、2本またはそれ以上の真空パッドを用いることもできる。
【0075】
2つの真空パッドを用いる場合には、図9に示すように、2つの真空パッド76のエアシリンダ80を1つの取付け板148に所定の間隔を隔てて同じ方向を向くように取り付ける。そして、図9の位置で2つのパッド84によってチャック付袋(図示せず)を取り出し、その後適宜の手段によって、その板148を矢印R方向にたとえば90°回動させることによって、取り出したチャック付袋をガイド板88の下に導入することができる。
【0076】
なお、上述の実施例では搬送部86によって取り出したチャック付袋26を水平方向に搬送し、その搬送経路上で切断刃102によって角丸加工したが、搬送方向は垂直方向でもよい。その場合には、垂直に位置決めしたチャック付袋に水平方向に動く切断刃によって角丸加工すればよい。
【0077】
さらに、上述の実施例ではいずれも、捌き手段は、投入部24の台板30の間に設けられ、台板30と同じ機能を一部分担しながら、チャック付袋を動揺させまたはチャック付袋に振動を付与するものとして説明した。しかしながら、捌き手段は必ずしも実施例のような構成である必要はなく、台板30と無関係の位置に設けて、台板30上にストックされたチャック付袋に振動を与えるものであってよいし、あるいは台板30そのものを揺動させてチャック付袋に振動を与えるようにすることなども、考えられる。つまり、捌き手段は、投入部24にストックしたチャック付袋に振動を付与できれば、その構成は任意に考えられ得る。
【0078】
さらに、取り出し手段としては、上述の実施例では真空パッドを用いた。しかしながら、他の取り出し手段、たとえばチャック付袋の一部を引っ掛けて取り出すような構成も考えられる。
【符号の説明】
【0079】
10 …角丸加工装置
24 …投入部
26 …チャック付袋
30 …台板
38 …押さえ板
40 …重り板
48 …捌き板
74 …取出し部
80 …真空パッド
86 …搬送部
98 …加工部
102 …切断刃

【特許請求の範囲】
【請求項1】
チャック付袋に角丸加工を施すための角丸加工装置であって、
湾曲した内面を有し、複数のチャック付袋を、チャック側の端部がその内面に沿うように、内面上に整列してストックする投入部、
前記投入部からチャック付袋を1枚ずつ取り出す取出し部、
前記取出し部で取り出したチャック付袋を加工位置まで搬送する搬送部、および
前記加工位置に設けられ、チャック付袋の4つの角を角丸加工するための切断刃を備える、角丸加工装置。
【請求項2】
前記投入部にストックしているチャック付袋を捌く捌き手段をさらに備える、請求項1記載の角丸加工装置。
【請求項3】
前記投入部は、湾曲した内面を有する台板を含み、この台板の内面に各チャック付袋のチャック側端部が接触するようにストックする、請求項1記載の角丸加工装置。
【請求項4】
前記台板上にストックしたチャック付袋に振動を与えてチャック付袋を捌くための捌き手段をさらに備える、請求項3記載の角丸加工装置。
【請求項5】
前記捌き手段は、前記台板と同じように湾曲した内面を有し、前記台板とともに前記チャック付袋を受ける捌き板および前記捌き板を揺動させるための揺動手段を含む、請求項4記載の角丸加工装置。
【請求項6】
前記取出し手段は、前記投入部にストックした複数のチャック付袋の最も内側のものを取り出す真空パッドを含む、請求項1ないし5のいずれかに記載の角丸加工装置。
【請求項7】
前記投入部にストックした複数のチャック付袋の上に載せられる重り手段をさらに備える、請求項1ないし6のいずれかに記載の角丸加工装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−66419(P2012−66419A)
【公開日】平成24年4月5日(2012.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−211514(P2010−211514)
【出願日】平成22年9月22日(2010.9.22)
【出願人】(507122489)
【Fターム(参考)】