説明

触媒活性剤、同の製法並びに触媒およびオレフィンの重合におけるそれらの使用

オレフィン重合のための触媒を活性化するために有用な組成物が提供される。組成物は、少なくとも、担体、処理された有機アルミンオキシ化合物および少なくとも1個の活性プロトンを有するイオン化合物から誘導される。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
アルミンオキサン(AO)として知られる一部加水分解されたアルミニウムアルキル化合物は、オレフィン重合活性のための遷移金属を活性化するために使用される。1つのこのような化合物のメチルアルミンオキサン(MAO)は当該産業においてしばしば選択されるアルミニウム共触媒/活性剤である。オレフィンの重合のためのアルミンオキサンまたは修正アルミンオキサンの使用に基づく触媒系の効力の改善にはかなりの努力が集中されてきた。アルミンオキサン使用の分野における代表的特許および刊行物は以下:特許文献1、2、3、4、5、6、7、非特許文献1、2、特許文献8、9および非特許文献3、等を含む(特許文献1〜9および非特許文献1〜3参照)。技術的進歩にも拘わらず、多数のアルミンオキサン基剤の重合の触媒活性剤は未だ工業用適用に必要な活性および/または熱安定性に欠け、営業的に許容され得ない高いアルミニウム負荷量を必要とし、高価であり(特にMAO)、そして営業的実施に対する他の障害を有する。
【0002】
遷移金属の活性剤としてのアルミンオキサンの使用を取り囲む多数の制約的特徴、例えば活性の限界および高いアルミニウム負荷の必要性は、安定なまたは準安定なヒドロキシアルミンオキサンの使用により対処することができる。アルミンオキサンに比較して、ヒドロキシアルミンオキサンは一般的に著しく活性で、減少したレベルの灰を生成し、そしてこのような触媒組成物から形成されるポリマーに改善された透明度(clarity)をもたらす。1つの代表的ヒドロキシアルミンオキサンは、トリイソブチルアルミニウム(TIBA)の低温加水分解から誘導することができるヒドロキシイソブチルアルミンオキサン(HO−IBAO)である。ヒドロキシアルミンオキサン組成物は特許文献10、11、12、13および14中に開示されている(特徴文献10〜14参照)。
【0003】
遷移金属を活性化するためのルイス酸として働くように見えるアルミンオキサンに比較して、ヒドロキシアルミンオキサン物質(一般にHO−AOと略される)は活性プロトンを含んでなり、ブレンステッド酸として働くことにより遷移金属を活性化するように見える。本明細書で使用される活性プロトンは金属アルキルのプロトン化可能なプロトンである。典型的なヒドロキシアルミンオキサンは少なくとも1個のそのアルミニウム原子に結合されたヒドロキシル基を含んでなる。ヒドロキシアルミンオキサンを形成するためには、典型的には、適当な条件下、例えば低温で、炭化水素溶媒中で、十分量の水をアルキルアルミニウム化合物と反応させると、少なくとも1個のHO−Al基をもつ化合物が生成され、それが、d−またはf−ブロックの有機金属化合物からのヒドロカルビルリガンドをプロトン化して、炭化水素を形成することができる。従って、ヒドロキシアルミンオキサンから誘導される重合触媒は、通常、1)離脱基の喪失により、遷移、ランタニドまたはアクチニド金属化合物、例えばメタロセンから誘導されるカチオン、および2)離脱基への、安定なまたは準安定なヒドロキシアルミンオキサンからのプロトンの移動により誘導されるアルミンオキセートアニオンを含んでなる。離脱基は通常、中性の炭化水素に転化され、それにより触媒形成反応を不可逆にさせる。
【0004】
ヒドロキシアルミンオキサンの1つの特徴は、恐らくアルカン除去による活性プロトンの喪失のために、外界温度の溶液中に維持されると、それらの活性プロトンがしばしば、熱に不安定であることである。従って、ヒドロキシアルミンオキサンはしばしば、活性プロトン濃度を維持するために外界温度より低い温度に保存される。典型的な低温保存は約−20℃〜約0℃である。このような低温処理の不在時には、ヒドロキシアルミンオキサン活性は急速に減少する。特に長期間にわたる低温保存は、営業的に経費が法外にかかる。
【0005】
従って、現在利用可能なヒドロキシアルミンオキサンに比較して、熱により安定な活性プロトンを有し、そして工業用オレフィン重合に適した高い活性を示すヒドロキシアルミンオキサンタイプの組成物が必要とされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】Welborn et al.,米国特許第5,324,800号
【特許文献2】Turner,米国特許第4,752,597号
【特許文献3】Crapo et al.,米国特許第4,960,878号
【特許文献4】Crapo et al.,米国特許第5,041,584号
【特許文献5】Dall’occo et al.,国際公開出願第96102580号
【特許文献6】Turner,欧州特許第0 277 003号
【特許文献7】Turner,欧州特許第0 277 004号
【特許文献8】Hlatky and Turner,米国特許第5,153,157号
【特許文献9】Turner,Hlatky and Eckman,米国特許第5,198,401号
【特許文献10】米国特許第6,562,991号
【特許文献11】米国特許第6,555,494号
【特許文献12】米国特許第6,492,292号
【特許文献13】米国特許第6,462,212号
【特許文献14】米国特許第6,160,145号
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】Hlatky,Turner,and Eckman,J.Am.Chem.Soc.,1989,111,2728−2729
【非特許文献2】Hlatky and Upton,Macromolecules,1996,29,8019−8020
【非特許文献3】Brintzinger,et al.,Angew.Chem.Int.Ed.Engl.,1995,34,1143−1170
【発明の概要】
【0008】
本発明は、前記の必要を満たす、少なくとも、a)担体、b)処理された有機アルミンオキシ化合物、およびc)少なくとも1個の活性プロトンを有するイオン化合物、から誘導される、活性剤組成物を提供する。本発明はまた、少なくとも、a)担体、b)処理された有機アルミンオキシ化合物、およびc)1当量のN,N−ジメチルアニリンに対し少なくとも2当量のペンタフルオロフェノールがあるような量のN,N−ジメチルアニリンおよびペンタフルオロフェノール、から誘導される活性剤組成物を提供する。本発明はまた、少なくとも、a)担体、b)処理された有機アルミンオキシ化合物、およびc)1当量のN,N−ジメチルアニリンに対し少なくとも2当量のペンタフルオロフェノールがあるような量のN,N−ジメチルアニリンおよびペンタフルオロフェノールを結合させる方法を含んでなる、組成物を製造する方法を提供する。用語「少なくとも」の使用は、担体、処理された有機アルミンオキシ化合物、および1当量のN,N−ジメチルアニリン当たり少なくとも2当量のペンタフルオロフェノールがあるような量の、N,N−ジメチルアニリンおよびペンタフルオロフェノールを結合させる時、またはそれらから化合物を誘導する時に、他の成分を恐らく含む可能性があることを示す。例えば、本発明の化合物は、(i)担体、処理された有機アルミンオキシ化合物並びに、1当量の当該N,N−ジメチルアニリン当たり少なくとも2当量のペンタフルオロフェノールがあるような量のN,N−ジメチルアニリンおよびペンタフルオロフェノール、並びに(ii)更なるN,N−ジメチルアニリン、を結合させる方法を含んでなる方法から誘導または製造されることができると考えられる。本発明はまた、少なくともa)担体、b)処理された有機アルミンオキシ化合物、c)N,N−ジメチルアニリン、およびd)1当量(例えば、モル)のN,N−ジメチルアニリン当たり少なくとも2当量(例えば、モル)のペンタフルオロフェノールから誘導される活性剤組成物を提供する。前記の2:1当量の関係にあるペンタフルオロフェノールとN,N−ジメチルアニリンは、本発明に従う活性剤組成物の活性を高める、具体的には伝導性ブレンステッド酸性のイオン化合物を形成する。本発明はまた、少なくともa)担体、b)処理された有機アルミンオキシ化合物並びに、c)N,N−ジメチルアニリンおよびペンタフルオロフェノールから誘導される、少なくとも1個の活性プロトンを有するイオン化合物、から誘導される組成物を提供する。
【0009】
活性剤組成物
本発明に従う活性剤組成物は、担体、処理された有機アルミンオキシ化合物、および少なくとも1個の活性プロトンを有するイオン化合物を含んでなる。更に、いずれの順序で結合されてもよい、担体、処理された有機アルミンオキシ化合物、および少なくとも1個の活性プロトンを有するイオン化合物から誘導される活性剤組成物も提供される。
【0010】
担体、処理された有機アルミンオキシ化合物、および少なくとも1個の活性プロトンを有するイオン化合物の結合は、不活性ガス雰囲気中で、約−80℃〜約200℃の温度で、または約0℃〜約120℃で実施することができ、結合時間は1分〜約36時間、または約10分〜約24時間であることができる。活性剤組成物を製造するために使用される溶媒は、いずれも担体、処理された有機アルミンオキシ化合物および、少なくとも1個の活性プロトンを有するイオン化合物に対して不活性な、脂肪族溶媒または芳香族溶媒を含んでなることができる。結合操作の完了後の処理の例は、上澄み液の濾過、次に不活性溶媒による洗浄および減圧下または不活性ガス流中での溶媒の蒸発、を含むが、これらの処理は必須ではない。生成される活性剤組成物は、流体、乾燥、または半乾燥粉末を含むあらゆる適当な状態で重合に使用することができ、不活性溶媒中に懸濁されている状態で重合に使用することができる。処理された有機アルミンオキシ化合物との担体の結合は、外界温度で、約15分〜約48時間、または約15分〜約6時間の結合時間で実施することができ、生成される組み合わせ物はそのまま使用されるか、または、その後、約80℃〜約120℃の温度に加熱することができる。あるいはまた、処理された有機アルミンオキシ化合物との担体の結合は、約15分〜約6時間の結合時間に約80℃〜約120℃の温度で実施することができる。生成される生成物の少なくとも一部は、少なくとも1個の活性プロトンを有するイオン化合物と結合される。
【0011】
処理されたアルキルアルミンオキサンと担体を結合させることにより得られる、生成物、例えば、固形成分中の処理されたアルキルアルミンオキサン中のアルミニウム原子の量は、乾燥状態の固形成分1g中に約0.1ミリモル以上のアルミニウム原子、または約1ミリモル以上のアルミニウム原子であることができる。処理されたアルキルアルミンオキサンと担体を結合させることにより得られる固形成分が、少なくとも1個の活性プロトンを有するイオン化合物と結合される時、固形成分中のアルキルアルミンオキサンのアルミニウム原子に対する活性プロトンのモル比は約0.02〜約1、または約0.05〜約0.5、または約0.1〜約0.3であることができる。
【0012】
活性剤組成物−担体/キャリヤー
本発明に従う活性剤組成物に有用な担体は、無機担体または有機担体を含んでなる。複数の担体を混合物として使用することができ、本発明の担体は水、例えば、吸収された水としてのまたは水和物形態の水を含むことができる。本発明の担体は多孔質であってもよく、0.1ml以上/シリカ1g、または0.3ml以上/シリカ1gの微細孔容量をもつことができる。本発明の担体は約1.6ml/シリカ1gの微細孔容量をもつことができる。担体の平均粒径は約5マイクロメーター〜約1000マイクロメーター、または約10マイクロメーター〜約500マイクロメーターであることができる。
【0013】
本発明に有用な1種のシリカは多孔質で、約10m/シリカ1g〜約700m/シリカ1g、の範囲の表面積をもち、約0.1cc/シリカ1g〜約4.0cc/シリカ1gの範囲内の総孔容量、および約10マイクロメーター〜約500マイクロメーターの範囲内の平均粒径を有する。本発明に有用なシリカは、約50m/g〜約500m/gの範囲内の表面積、約0.5cc/g〜約3.5cc/gの範囲内の孔容量、および約15マイクロメーター〜約150マイクロメーターの範囲内の平均粒径をもつことができる。有用なシリカは約200m/g〜約350m/gの範囲内の表面積、約1.0cc/g〜約2.00cc/gの範囲内の孔容量、および約10マイクロメーター〜約110マイクロメーターの範囲内の平均粒径をもつことができる。
【0014】
本発明に有用な典型的な多孔質二酸化ケイ素の担体の平均孔径は約10オングストローム〜約1000オングストローム、または約50オングストローム〜約500オングストローム、または約175オングストローム〜約350オングストロームの範囲内にある。ヒドロキシル基の典型的な含量は、以下のグリニアール反応により決定されるように、遊離ヒドロキシル基の存在を伴って、または伴わないで、約0.04ミリモルのOH/シリカ1g〜約3.0ミリモルのOH/シリカ1gである。大部分のこれらの活性OH基は、塩化ベンジルマグネシウムグリニアールと容易に反応してトルエンを生成し、そしてこの反応は、特定のシリカ上の活性OH基の濃度を定量するために使用することができる。ヒドロキシル基の典型的な含量は、約0.10ミリモルのOH/シリカ1g〜約2.0ミリモルのOH/シリカ1g、または約0.4ミリモルのOH/シリカ1g〜約1.5ミリモルのOH/シリカ1gである。
【0015】
本発明に有用である可能性がある無機担体の例は、無機酸化物、マグネシウム化合物、粘土鉱物等を含む。無機酸化物はシリカ、アルミナ、シリカ−アルミナ、マグネシア、チタニア、ジルコニアおよび粘土を含むことができる。本発明に有用な無機酸化物の例は、限定はされないが、SiO、Al、MgO、ZrO、TiO、B、CaO、ZnO、BaO、ThOおよびそれらの二重酸化物、例えばSiO−Al、SiO−MgO、SiO−TiO、SiO−TiO−MgOを含む。本発明に有用なマグネシウム化合物の例は、MgCl、MgCl(OEt)等を含む。本発明に有用な粘土鉱物の例は、カオリン、ベントナイト、キブシ粘土、ギーローム(geyloam)粘土、アロファン、ヒシンゲライト(hisingerite)、ピロフィライト、タルク、雲母、モンモリロナイト、バーミキュライト、クロライト、パリゴルスカイト、カオリナイト、ナクライト、ジクカイト、ハロイサイト等を含む。
【0016】
本発明に有用な可能性のある有機担体の例は、アクリルポリマー、スチレンポリマー、エチレンポリマー、プロピレンポリマー等を含む。本発明に有用な可能性のあるアクリルポリマーの例は、アクリロニトリル、メチルアクリレート、メチルメタクリレート、メタクリロニトリル等のようなアクリルモノマーのポリマーおよび、モノマーと、少なくとも2個の不飽和結合を有する架橋重合可能な化合物のコポリマーを含む。本発明に有用な可能性のあるスチレンポリマーの例は、スチレン、ビニルトルエン、エチルビニルベンゼン等のようなスチレンモノマーのポリマーおよび、モノマーと、少なくとも2個の不飽和結合を有する架橋重合可能な化合物のコポリマー、を含む。少なくとも2個の不飽和結合を有する架橋重合可能な化合物の例は、ジビニルベンゼン、トリビニルベンゼン、ジビニルトルエン、ジビニルケトン、ジアリルフタレート、ジアリルマレエート、N,N’−メチレンビスアクリルアミド、エチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート等を含む。
【0017】
本発明に有用な有機担体は、少なくとも1個の極性官能基をもつ。適当な極性官能基の例は、第一級アミノ基、第二級アミノ基、イミノ基、アミド基、イミド基、ヒドラジド基、アミジノ基、ヒドロキシ基、ヒドロペルオキシ−基、カルボキシル基、ホルミル基、メチルオキシカルボニル基、カルバモイル基、スルホ基、スルフィノ基、スルフェノ基、チオール基、チオカルボキシル基、チオホルミル基、ピロリル基、イミダゾリル基、ピペリジル基、インダゾリル基およびカルバゾリル基を含む。有機担体が最初から少なくとも1個の極性官能基をもつ時は、有機担体はそのまま使用することができる。1種又は複数の種類の極性官能基はまた、マトリックスとしての有機担体を適当な化学処理にかけることにより導入することができる。化学処理は、有機担体中に1個または複数の極性官能基を導入することができるどんな方法であってもよい。例えば、それはアクリルポリマーと、エチレンジアミン、プロパンジアミン、ジエチレントリアミン、テトラエチレンペンタミン、ジプロピレントリアミン等のようなポリアルキレンポリアミン間の反応であってもよい。このような反応の具体的方法として、例えば、100℃以上の、例えば120℃〜150℃のエチレンジアミンと水の混合水溶液中のスラーリ状態でアクリルポリマー(例えばポリアクリロニトリル)を処理する方法がある。極性の官能基をもつ有機担体中の単位グラム当たりの極性官能基の量は、0.01〜50ミリモル/g、または0.1〜20ミリモル/gであってもよい。
【0018】
活性剤組成物−処理された有機アルミンオキシ化合物
処理された有機アルミンオキシ化合物は、有機アルミンオキシ化合物、並びに少なくとも1個の電子求引基および少なくとも1個の活性プロトンを有する成分から誘導される。有機アルミンオキシ化合物を、少なくとも1個の電子求引基および少なくとも1個の活性プロトンを有する成分と結合させると、処理された有機アルミンオキシ化合物を生成する。
【0019】
有機アルミンオキシ化合物
本発明の活性剤組成物に有用な有機アルミンオキシ化合物は、アルミンオキサンおよび修正アルミンオキサンを含む、1種又は複数の有機アルミンオキシ化合物を含むことができる。それらに限定はされないがその例は、環式アルミンオキサン、例えば、{―Al(R)―O―}および/または直線状アルミンオキサン、例えば、R(―Al(R)―O―)AlR(ここでRは水素または、1〜約20個の炭素原子をもつ炭化水素基を表し、各Rは同一でも異なってもよく、そして「a」および「b」はそれぞれ1以上の整数を表す)を含む。
【0020】
の具体例は、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、n−ペンチル、ネオペンチル等のような、1〜約20個の炭素原子を有するアルキル基を含む。「a」および「b」はそれぞれ1〜40の整数、または3〜20の整数を表す。
【0021】
本発明の有機アルミンオキシ化合物は現在知られた方法を含むあらゆる適当な方法により製造することができる。例えば、アルキルアルミンオキサンは有機溶媒(例えば、トルエン、脂肪族炭化水素、等)中に少なくとも1種のトリアルキルアルミニウム(例えばトリメチルアルミニウム、等)を溶解することにより製造することができる。有機溶媒は水性有機溶媒を含むことができる。有機溶媒に対するトリアルキルアルミニウムの適当な比率は0.01:1〜10:1(モル:モル)を含む。他の方法に従うと、アルキルアルミンオキサンは少なくとも1種のトリアルキルアルミニウム(例えばトリメチルアルミニウム、等)を金属塩水和物(例えば硫酸銅水和物、等)と結合させることにより製造することができる。金属塩水和物に対するトリアルキルアルミニウムの適当な比率は0.01:1〜10:1(モル:モル)を含む。アルキルアルミンオキサンはトリアルキルアルミニウムおよび/または、製造等の期間に生成される他の物質を含んでなることができる。
【0022】
少なくとも1個の電子求引基および少なくとも1個の活性プロトンを有する成分
少なくとも1個の電子求引基および少なくとも1個の活性プロトンを有する成分は、少なくとも1個の電子求引基を有するいずれかの成分、例えば、それらに限定はされないが、少なくとも1個の求引基および少なくとも1個の活性プロトンを有する芳香族成分または脂肪族成分を含んでなる。
【0023】
少なくとも1個の求引基および少なくとも1個の活性プロトンを有する成分は、そこで共役塩基が少なくとも1個の電子求引基に化学的に結合された単座配位子の供与体を含んでなる、少なくとも1個の活性プロトンの共役塩基を含んでなることができる。例えば、成分RXH[ここでRは1〜20個の炭素原子を有する炭化水素基を含んでなり、XはO、S、NまたはPであり、nは、XがOまたはSである時に1であり、そしてnはXがNまたはPである時に2である]は少なくとも1個の電子求引基および少なくとも1個の活性プロトンを有する適当な成分であり、ここでRXは活性プロトンHの共役塩基であり、Rは少なくとも1個の電子求引基を担持する基であり、そしてXは単座配位子の供与体である。1例において、共役塩基は単座配位子の供与体(例えば、RO)として働き、多座配位子の供与体(例えば、RCOO)としては働かず、例えば、RXH[ここでRはCであり、そしてXはOである]は本発明における使用に適する。
【0024】
電子求引基は、正であるHammett置換定数σをもつ置換基を含んでなり、その例はフルオロ基、クロロ基、ブロモ基、ヨード基、シアノ基、ニトロ基、カルボニル基、スルホ基、フェニル基等を含む。
【0025】
活性プロトンの単座配位子の共役塩基は有機アルミニウム化合物に対して化学結合を形成することができる基を含んでなり、その例は、フェノキシ基、アルコキシ基、第一級アミノ基、第二級アミノ基、イミノ基、アミド基、イミド基、チオール基等を含む。
【0026】
少なくとも1個の電子求引基および少なくとも1個の活性プロトンを有する成分は、種々のそして/または複数の電子求引基または活性プロトンを有することができる。
【0027】
少なくとも1個の電子求引基および少なくとも1個の活性プロトンを有する成分の具体的な例は、それらに限定はされないが、フェノール、ペンタフルオロフェノール、2,3,5,6−テトラフルオロフェノール、2,4,6−トリフルオロフェノール、2,3−ジフルオロフェノール、2,4−ジフルオロフェノール、2,5−ジフルオロフェノール、2,6−ジフルオロフェノール、3,4−ジフルオロフェノール、3,5−ジフルオロフェノール、2−フルオロフェノール、3−フルオロフェノール、4−フルオロフェノール、2−トリフルオロメチルフェノール、3−トリフルオロメチルフェノール、4−トリフルオロメチルフェノール、ペンタフルオロベンジルアルコール、ペンタフルオロチオフェノール、2,2,2−トリフルオロエチルアルコール、1H,1H−ペンタフルオロ−プロパノール、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロピルアルコール、ペンタクロロフェノール、ペンタブロモフェノール、2−クロロ−4−フルオロフェノール、2−ブロモ−4−フルオロフェノール、2−ブロモ−4,5−ジフルオロフェノール、テトラフルオロカテコール、テトラフルオロヒドロキノン等を含む。以上の例は、少なくとも1個の電子求引基に化学的に結合されたその共役塩基の単座配位子の供与体をもつ、少なくとも1個の電子求引基および少なくとも1個の活性プロトンを有する成分を含む。特定の実施形態において、ハロゲン化フェノール、例えば、フッ化フェノールが有用である。1つの実施形態において、ペンタフルオロフェノールが有用である。
【0028】
活性剤組成物−少なくとも1個の活性プロトンを有するイオン化合物
少なくとも1個の活性プロトンを有するイオン化合物は、少なくともルイス塩基並びに少なくとも1個の電子求引基および少なくとも1個の活性プロトンを有する成分から誘導することができる。1つの例において、少なくとも1個の活性プロトンを有するイオン化合物は、少なくともN,N−ジメチルアニリンおよび、N,N−ジメチルアニリンの1モルに対し、少なくとも2モルのペンタフルオロフェノール、から誘導される。
【0029】
ルイス塩基
ルイス塩基は第一級アミンNH、第二級アミンNHRまたは第三級アミンNRまたはそれらのあらゆる混合物を含んでなることができ、ここでそれぞれの存在におけるRは約20個までの炭素原子をもつヒドロカルビル基から独立して選択される。各Rはいずれの他のRと同一でもまたは異なってもよい。例えば、ルイス塩基は、それらに限定はされないが、NMePh、NMe(CHPh)、NEtPh、NEt(CHPh)を含む種々のアミンを含んでなることができるか、またはルイス塩基はNMe(C2n+1)(C2m+1)、NMe(C2n+1)、NEt(C2n+1)(C2m+1)またはNEt(C2n+1)(ここでnおよびmは独立して、約3〜約20の整数から選択される)のような1種又は複数の長鎖アミンを含んでなることができる。式NMe(C2n+1)(C2m+1)の長鎖アミンの例は、それらに限定はされないが、NMe(C1633、NMe(C1735、NMe(C1837、NMe(C1633)(C1735)、NMe(C1633)(C1837)、NMe(C1735)(C1837)、等のような化合物を含む。例えば、NMe(C1633は典型的には、通常、幾つかのアミンの混合物を含んでなる市販の長鎖アミン組成物中の主要物質である。ルイス塩基はNMePh、NMe(CHPh)、NEtPh、NEt(CHPh)、NMe(C1633を含んでなることができる。ルイス塩基はまたホスフィンを含んでなることができる。ルイス塩基はN,N−ジメチルアニリンを含んでなることができる。
【0030】
オレフィン重合のための触媒
本発明の活性剤組成物はオレフィン重合のための触媒中に有用である。本発明に従う活性剤組成物および遷移金属の成分はそれぞれ独立して、しかし実質的には同時に、モノマーに添加されて、重合を触媒することができる。活性剤組成物および遷移金属の成分を結合させて生成物を形成することができ、生成物の少なくとも一部はモノマーに添加して、重合を触媒することができる。遷移金属の成分の遷移金属原子に対する活性剤組成物の活性プロトンの比率は0.1〜4、または0.5〜2、またはほとんど1であってもよい。
【0031】
活性剤組成物はブレンステッド酸性により、すなわちアルキル化遷移金属の成分をプロトン化させることにより遷移金属の成分を活性化させるために適する。活性剤組成物はまた、ルイス酸性により、すなわち遷移金属の成分から少なくとも1対の電子対を受取ることにより遷移金属の成分を活性化するために適する。遷移金属の成分と結合される活性剤組成物の量は、主としてブレンステッド酸性により遷移金属の成分の活性化を許すのに十分であり、例えば30%以上、70%以上または90%以上の活性化がブレンステッド酸性により起ることができる。遷移金属の成分と結合される活性剤組成物の量は、実質的にブレンステッド酸性により遷移金属の成分の活性化を許すのに十分であることができ、例えばブレンステッド酸性により、95%以上、または98%以上の活性化が起ることができる。活性剤組成物は、モノマーと結合される前、またはモノマーとの結合と同時のいずれかに、遷移金属の成分と結合させることができる。知られた活性剤組成物および知られた遷移金属の成分を与えられると、当業者は、主としてまたは実質的にブレンステッド酸性による活性化を許すために遷移金属の成分と結合するための活性剤組成物の量を決定することができる。
【0032】
オレフィン重合のための触媒−遷移金属の成分
遷移金属の成分はオレフィン重合能を有するあらゆるアルキル化遷移金属の成分を含んでなることができる。例えば、それらに限定はされないが、遷移金属の成分は1種又は複数のメタロセン遷移金属の成分を含んでなることができる。
【0033】
遷移金属の成分はアルキル化触媒前駆体MLn−aを含んでなることができる(ここでMは元素の周期表(1993、IUPAC)の第4群またはランタニド群の遷移金属原子を表し、それらの例は、チタン原子、ジルコニウム原子およびハフニウム原子のような、周期表の第4群の遷移金属並びに、サマリウムのようなランタニド系の遷移金属を含み、Lは、シクロペンタジエニル骨格を有する基または少なくとも1個のヘテロ原子を有する基を表し、ここで少なくとも1個のLはシクロペンタジエニル骨格を有する基であり、そして複数のLは同一でもまたは異なってもよく、相互に架橋してもよく、Rは1〜約20個の炭素原子を有する炭化水素基を表し、「a」は0<a≦nの表現を満たす数値を表し、そしてnは遷移金属原子Mの原子価を表す)。
【0034】
遷移金属の成分におけるLにおいて、シクロペンタジエニル骨格を有する基は、例えば、シクロペンタジエニル基、置換シクロペンタジエニル基、またはシクロペンタジエニル骨格を有する多環式基を含んでなることができる。置換シクロペンタジエニル基の例は、1〜約20個の炭素原子を有する炭化水素基、1〜約20個の炭素原子を有するハロゲン化炭化水素基、1〜約20個の炭素原子を有するシリル基等を含む。本発明に従うシリル基はSiMe等を含むことができる。シクロペンタジエニル骨格を有する多環式基の例は、インデニル基、フルオレニル基等を含む。少なくとも1個のヘテロ原子を有する基のヘテロ原子の例は、窒素原子、酸素原子、リン原子、硫黄原子等を含む。
【0035】
置換シクロペンタジエニル基の例は、メチルシクロペンタジエニル基、エチルシクロペンタジエニル基、n−プロピルシクロペンタジエニル基、n−ブチルシクロペンタジエニル基、イソプロピルシクロペンタジエニル基、イソブチルシクロペンタジエニル基、sec−ブチルシクロペンタジエニル基、tertブチルシクロペンタジエニル基、1,2−ジメチルシクロペンタジエニル基、1,3−ジメチルシクロペンタジエニル基、1,2,3−トリメチルシクロペンタジエニル基、1,2,4−トリメチルシクロペンタジエニル基、テトラメチルシクロペンタジエニル基、ペンタメチルシクロペンタジエニル基、等を含む。
【0036】
シクロペンタジエニル基を有する多環式基の例は、インデニル基、4,5,6,7−テトラヒドロインデニル基、フルオレニル基等を含む。
【0037】
少なくとも1個のヘテロ原子を有する基の例は、メチルアミノ基、tert−ブチルアミノ基、ベンジルアミノ基、メトキシ基、tert−ブトキシ基、フェノキシ基、ピロリル基、チオメトキシ基等を含む。
【0038】
シクロペンタジエニル骨格を有する1個または複数の基、あるいはシクロペンタジエニル骨格を有する1個または複数の基および少なくとも1個のヘテロ原子を有する1個または複数の基は、(i)エチレン、プロピレン等のようなアルキレン基、(ii)イソプロピリデン、ジフェニルメチレン等のような置換アルキレン基、あるいは(iii)シリレン基または、ジメチルシリレン基、ジフェニルシリレン基、メチルシリルシリレン基等のような置換シリレン基、と架橋することができる。
【0039】
遷移金属の成分中のRは、水素または、1〜約20個の炭素原子を有する炭化水素基を含んでなる。Rの例は、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、ベンジル基等のような、1〜約20個の炭素原子を有するアルキル基を含む。
【0040】
遷移金属の成分MLn−a(ここでMはジルコニウムを含んでなる)の例は、ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジメチル、ビス(メチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジメチル、ビス(ペンタメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジメチル、ビス(インデニル)ジルコニウムジメチル、ビス(4,5,6,7−テトラヒドロインデニル)ジルコニウムジメチル、ビス(フルオレニル)ジルコニウムジメチル、エチレンビス(インデニル)ジルコニウムジメチル、ジメチルシリレン(シクロペンタジエニルフルオレニル)ジルコニウムジメチル、ジフェニルシリレンビス(インデニル)ジルコニウムジメチル、シクロペンタジエニルジメチルアミノジルコニウムジメチル、シクロペンタジエニルフェノキシジルコニウムジメチル、ジメチル(tert−ブチルアミノ)(テトラメチルシクロペンタジエニル)シランジルコニウムジメチル、イソプロピリデン(シクロペンタジエニル)(3−tert−ブチル−5−メチル−2−フェノキシ)ジルコニウムジメチル、ジメチルシリレン(テトラメチルシクロペンタジエニル)(3−tertブチル−5−メチル−2−フェノキシ)ジルコニウムジメチル等を含む。
【0041】
更なる典型的遷移金属の成分MLn−aは、前記のジルコニウム成分中で、ジルコニウムがチタンまたはハフニウムで置換されている成分を含む。
【0042】
本発明に有用な可能性のある他のアルキル化触媒前駆体は:rac−ジメチルシリルビス(2−メチル−4−フェニル−インデニル)ジルコニウムジメチル(M1)、rac−ジメチルシリルビス(2−メチル−1−インデニル)ジルコニウムジメチル(M2)、rac−ジメチルシリルビス(2−メチル−4,5−ベンゾインデニル)ジルコニウムジメチル(M3)、エチレンビス(テトラヒドロインデニル)ジルコニウムジメチル(M4)およびエチレンビス(インデニル)ジルコニウムジメチル(M5)である。アルキル化触媒前駆体は、触媒前駆体のハロゲン化バージョンとのアルキル化剤の反応によりインサイチューで生成することができる。例えば、ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウム・ジクロリドをトリイソブチルアルミニウム(TIBA)で処理し、次に活性剤組成物と結合させることができる。
【0043】
本発明の活性剤組成物を使用する重合
重合に本発明の活性剤組成物を使用する時に、2〜20個の炭素原子を有するあらゆるオレフィンまたはジオレフィンを重合用のモノマーとして使用することができる。それらの具体的例は、エチレン、プロピレン、ブテン−1、ペンテン−1、ヘキセン−1、ヘプテン−1、オクテン−1、ノネン−1、デセン−1、ヘキサデセン−1、エイコセン−1、4−メチルペンテン−1、5−メチル−2−ペンテン−1、ビニルシクロヘキサン、スチレン、ジシクロペンタジエン、ノルボルネン、5−エチリデン−2−ノルボルネン等を含むが、それらに限定はされない。本発明において、2種以上のモノマーを同時に使用して共重合を実施することができる。コポリマーを構成するモノマーの具体的例は、エチレン/プロピレン、エチレン/ブテン−1、エチレン/ヘキセン−1、エチレン/プロピレン/ブテン−1、エチレン/プロピレン/5−エチリデン−2−ノルボルネン等のようなエチレン/αオレフィン、プロピレン/ブテン−1、等を含むがそれらに限定はされない。
【0044】
重合法は限定されず、液相重合法および気相重合法の双方を使用することができる。液相重合に使用される溶媒の例は、ブタン、ペンタン、ヘプタン、オクタン等のような脂肪族炭化水素、ベンゼン、トルエン等のような芳香族炭化水素、および塩化メチレン等のようなハロゲン化炭化水素、を含む。溶媒として、重合されるオレフィンの少なくとも一部を使用することもできる。重合はバッチ様に、半バッチ様または連続法で実施することができ、そして重合は反応条件の異なる2種以上の工程で実施することができる。重合温度は約−50℃〜約200℃、または0℃〜約100℃であることができる。重合圧力は大気圧〜約100kg/cm、または大気圧〜約50kg/cmであることができる。適当な重合時間は、望ましいオレフィン重合および反応装置に従って、当業者に知られた方法により決定することができ、そして典型的には、約1分〜約20時間の範囲内にある。本発明において、水素のような連鎖移動物質を添加して、重合で得られるオレフィンポリマーの分子量を調整することができる。
【0045】
重合期間中、水のような不純物を除去するために有機アルミニウム化合物を添加することができる。本明細書で有用な有機アルミニウム化合物は、少なくとも1種の現在知られた有機アルミニウム化合物、例えば、有機アルミニウム化合物RAlY3−c(ここでRは1〜約20個の炭素原子を有する炭化水素基を表し、Yは水素原子および/またはハロゲン原子を表し、そして「c」は0〜3の整数を表す)を含む、種々の有機アルミニウム化合物を含んでなることができる。Rの具体的例は、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、n−ヘキシル基等を含む。Yに対するハロゲン基の具体的例は、フッ素原子、臭素原子およびヨウ素原子を含む。有機アルミニウム化合物RAlY3−cの具体的例は、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリ−n−プロピルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリ−n−ヘキシルアルミニウム等のようなトリアルキルアルミニウム、ジメチルアルミニウムクロリド、ジエチルアルミニウムクロリド、ジ−n−プロピルアルミニウムクロリド、ジイソブチルアルミニウムクロリド、ジ−n−ヘキシルアルミニウムクロリド等のようなジアルキルアルミニウムクロリド、メチルアルミニウムジクロリド、エチルアルミニウムジクロリド、n−プロピルアルミニウムジクロリド、イソブチルアルミニウムジクロリド、n−ヘキシルアルミニウムジクロリド等のようなアルキルアルミニウムクロリドおよび、ジメチルアルミニウム水素化物、ジエチルアルミニウム水素化物、ジ−n−プロピルアルミニウム水素化物、ジイソブチルアルミニウム水素化物、ジ−n−ヘキシルアルミニウム水素化物等のようなジアルキルアルミニウム水素化物を含む。
【実施例】
【0046】
イオン化合物の調製
乾燥箱中のバイアル中で、2.00g(0.0108モル)のCOH(ペンタフルオロフェノール)を0.657g(0.00540モル)のNMePh(N,N−ジメチルアニリン)と混合した。数時間後に、スラーリ混合物が固化して、結晶性固体を形成した。生成された固体をH−NMRにより分析し、固体が1モルのN,N−ジメチルアニリン当たり2モルのペンタフルオロフェノールの組成をもつことを確認した(構造は以下に示される)。
【0047】
【化1】

【0048】
IBAの伝導度試験
表1は幾つかのサンプルの伝導度を記載する。
【0049】
【表1】

【0050】
サンプル3および4の伝導度の増加(サンプル1および2の伝導度に対する)はイオン物質の形成を確証した。サンプル3においては、過剰なアミンが伝導度を増加したが、実質的ではなかった。1:1混合(charged)サンプル(サンプル3)中のアミン過剰量は有意により多いイオン化合物を形成しない。従って、2成分の1:1混合は0.5当量の過剰アミンにより0.5当量のイオン物質を形成するのみである。
【0051】
これらの実施例において、IBAは前記の方法に従って製造された。IBA中には2モルのCOHが存在するので、IBA:Al比率の量もCOH:Alの半分であった。実施例の1つはIBAのみを使用した(COH:アミン=2:1)(実施例4を参照されたい)、そして幾つかの実施例はIBAとアミンの混合物(COH:アミン=2.2)を使用した(実施例2および3を参照されたい)。伝導度のデータは、COH:アミン=2.2をもつ物質が、別の新物質ではなく、IBAとアミンの混合物であったことを示す。更に、反応がイソヘキサン中で実施された時は、IBAは固形の沈殿物であり、過剰アミンは単離中に洗い去られた。
【0052】
比較例(表2の実施例1):
最初にシリカを表2に示した温度で4時間(h)焼成し、室温に冷却した。トルエン中のアルミンオキサンをシリカとトルエンのスラーリに室温で緩徐に添加し、生成されたスラーリを加熱し、次に100℃で3時間撹拌した。次に固形キャリヤーを濾取し、イソヘキサンで3回洗浄し、真空乾燥した。IBAまたはIBAとアミンN,N−ジメチルアニリン混合物をトルエンに溶解し、キャリヤー/トルエンスラーリに添加した。反応物を2〜4時間震盪すると支持された活性剤を形成した。メタロセンとトルエンを固形キャリヤーに添加し、反応物を1晩震盪した。触媒を濾取し、トルエンで3回、イソヘキサンで3回洗浄し、次に真空下乾燥した(表2のデータを参照されたい、付録1)。
【0053】
発明の実施例(表2の実施例2〜4):
最初にシリカを表2に記載の温度で4時間焼成し、室温に冷却した。表2に示された量のCOHをトルエンに溶解し、室温のトルエン中アルミンオキサンに添加した。反応物を室温で数時間撹拌するかまたは85℃で1時間加熱撹拌した。トルエン中の修正アルミンオキサンをシリカとトルエンのスラーリに室温で緩徐に添加し、生成されたスラーリを加熱し、次に100℃で3時間撹拌した。次に固形キャリヤーを濾取し、イソヘキサンで3回洗浄し、真空乾燥した。IBAまたはIBAとアミンN,N−ジメチルアニリン混合物をトルエンに溶解し、キャリヤー/トルエンのスラーリに添加した。反応物を2〜4時間震盪すると、支持された活性剤を形成した。メタロセンとトルエンを支持された活性剤に添加し、反応物を1晩震盪した。触媒を濾取し、トルエンで3回、イソヘキサンで3回洗浄し、次に真空下乾燥した(表2のデータを参照されたい、付録1)。
【0054】
重合試験
4Lの反応容器を低圧窒素流下で100℃で最低15分間加熱することにより乾燥した。外気温に冷却後、反応容器をイソブタンで加圧し、3回換気して、窒素を除去した。40mlの無水1−ヘキセンおよび2mlの、本明細書に記載された有機アルミニウム化合物のような10%TIBAスカベンジャーを添加しながら、反応容器中にイソブタン(1800ml)を入れた。反応容器撹拌装置を800rpmに設定した。200mlのイソブタンで注入ラインをフラッシュ後、同時に反応容器の温度を80℃までにもたらしながら、支持されたM5に対して、反応容器に320psiまでエチレンを注入した。次に30〜100mgの固形触媒をグローブ箱中の2mlのヘキサン中にスラーリ化し、次に反応容器中に注入した。反応圧を320psiに維持し、重合を80℃で1時間実施した。エチレンおよびイソブタンを排気することにより反応を停止した。ポリマーを単離し、乾燥し、秤量した。各触媒の重合生産性および活性を計算し、表2、付録1に記載される。
【0055】
前処理されたEAO/シリカからの支持されたM5触媒は未処理のEAO/シリカからの触媒よりずっと高い生産性および活性を与えた。実施例4におけるようにZr負荷が非常に低い時ですら、触媒はまだ、高い生産性および大きい活性を示した。支持されたM1触媒(データは示されていない)に対しては、前処理サンプルは未前処理サンプルと同様な活性を有した。
【0056】
本発明は1種又は複数の好適な実施形態に関して説明されてきたが、以下の請求項に示される、本発明の範囲から逸脱せずに他の修正を実施することができることが理解できる。
【0057】
【表2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも
a)担体、
b)少なくとも有機アルミンオキシ化合物、並びに少なくとも1個の電子求引基および少なくとも1個の活性プロトンを有する成分から誘導される、処理された有機アルミンオキシ化合物、並びに
c)少なくとも1個の活性プロトンを有するイオン化合物、
から誘導される組成物。
【請求項2】
担体が無機酸化物を含んでなる、請求項1の組成物。
【請求項3】
無機酸化物が約0.3ml/g以上の微細孔容量および約10マイクロメーター〜約500マイクロメーターの平均粒径を有する、請求項2の組成物。
【請求項4】
無機酸化物がシリカ、アルミナ、シリカ−アルミナ、マグネシア、チタニア、ジルコニアまたは粘土を含んでなる、請求項2の組成物。
【請求項5】
有機アルミンオキシ化合物がアルキルアルミンオキサンを含んでなる、請求項1の組成物。
【請求項6】
アルキルアルミンオキサンがメチルアルミンオキサン、エチルアルミンオキサン、n−プロピルアルミンオキサン、イソ−プロピルアルミンオキサン、n−ブチルアルミンオキサン、イソ−ブチルアルミンオキサン、sec−ブチルアルミンオキサン、n−ペンチルアルミンオキサン、n−ヘキシルアルミンオキサン、n−ヘプチルアルミンオキサンまたはn−オクチルアルミンオキサンを含んでなる、請求項5の組成物。
【請求項7】
少なくとも1個の電子求引基および少なくとも1個の活性プロトンを有する成分が、ペンタフルオロフェノール、2,3,5,6−テトラフルオロフェノール、2,4,6−トリフルオロフェノール、2,3−ジフルオロフェノール、2,4−ジフルオロフェノール、2,5−ジフルオロフェノール、2,6−ジフルオロフェノール、3,4−ジフルオロフェノール、3,5−ジフルオロフェノール、2−フルオロフェノール、3−フルオロフェノール、4−フルオロフェノール、2−トリフルオロメチルフェノール、3−トリフルオロメチルフェノール、4−トリフルオロメチルフェノール、ペンタフルオロベンジルアルコール、ペンタフルオロチオフェノール、2,2,2−トリフルオロエチルアルコール、1H,1H−ペンタフルオロ−プロパノール、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロピルアルコール、ペンタクロロフェノール、ペンタブロモフェノール、2−クロロ−4−フルオロフェノール、2−ブロモ−4−フルオロフェノール、2−ブロモ−4,5−ジフルオロフェノール、テトラフルオロカテコールまたはテトラフルオロヒドロキノンを含んでなる、請求項1の組成物。
【請求項8】
少なくとも1個の活性プロトンを有するイオン化合物が、少なくともルイス塩基並びに少なくとも1個の電子求引基および少なくとも1個の活性プロトンを有する成分の一部から誘導される、請求項1の組成物。
【請求項9】
ルイス塩基が少なくとも1種のNR[ここで、各Rは約20個までの炭素原子を有するヒドロカルビル基であり、各Rはいずれの他のRと同一でもまたはそれらと異なってもよい]を含んでなる、請求項8の組成物。
【請求項10】
ルイス塩基が、NMePh、NMe(CHPh)、NEtPh、NEt(CHPh)、NMe(C2n+1)(C2m+1)、NMe(C2n+1)、NEt(C2n+1)(C2m+1)またはNEt(C2n+1)を含んでなり、そしてnおよびmが独立して、3〜20の整数である、請求項8の組成物。
【請求項11】
プロトン化によりアルキル化遷移金属の成分を活性化するのに適する、請求項1の組成物。
【請求項12】
少なくとも
a)担体、
b)少なくとも有機アルミンオキシ化合物、並びに少なくとも1個の電子求引基および少なくとも1個の活性プロトンを有する成分から誘導される、処理された有機アルミンオキシ化合物並びに
c)1モルのN,N−ジメチルアニリンに対し少なくとも2モルのペンタフルオロフェノールがあるような量のN,N−ジメチルアニリンおよびペンタフルオロフェノール、
から誘導される組成物。
【請求項13】
請求項1記載の組成物およびアルキル化遷移金属の成分を含んでなる、オレフィン重合のための触媒。
【請求項14】
少なくとも
a)担体、
b)少なくとも有機アルミンオキシ化合物、並びに少なくとも1個の電子求引基および少なくとも1個の活性プロトンを有する成分を結合させることにより製造される、処理された有機アルミンオキシ化合物並びに
c)少なくとも1個の活性プロトンを有するイオン化合物、
を結合させる方法を含んでなる、組成物を製造する方法。
【請求項15】
担体が無機酸化物を含んでなる、請求項14の組成物。
【請求項16】
担体、処理された有機アルミンオキシ化合物および、少なくとも1個の活性プロトンを有するイオン化合物が、組成物がプロトン化によりアルキル化遷移金属の成分を活性化するのに適するような十分な量および十分な条件下で結合される、請求項14の方法。
【請求項17】
アルキル化遷移金属の成分を、少なくとも担体、少なくとも有機アルミンオキシ化合物、並びに少なくとも1個の電子求引基および少なくとも1個の活性プロトンを有する成分から誘導される、処理された有機アルミンオキシ化合物、並びに少なくとも1個の活性プロトンを有するイオン化合物から誘導される組成物と結合させることを含んでなる、オレフィン重合のための触媒を製造する方法。
【請求項18】
請求項13の触媒とモノマーを結合させることを含んでなる、モノマーを重合する方法。
【請求項19】
請求項1の組成物、アルキル化遷移金属の成分およびモノマーを結合させることを含んでなる、モノマーを重合する方法。
【請求項20】
少なくとも
a)担体、
b)少なくとも有機アルミンオキシ化合物、並びに少なくとも1個の電子求引基および少なくとも1個の活性プロトンを有する成分から誘導される、処理された有機アルミンオキシ化合物、並びに
c)N,N−ジメチルアニリンおよびペンタフルオロフェノールから誘導される、少なくとも1個の活性プロトンを有するイオン化合物
から誘導される組成物。
【請求項21】
少なくとも
a)担体、
b)少なくとも有機アルミンオキシ化合物、並びに少なくとも1個の電子求引基および少なくとも1個の活性プロトンを有する成分から誘導される、処理された有機アルミンオキシ化合物、並びに
c)N,N−ジメチルアニリンおよびペンタフルオロフェノールから誘導される、少なくとも1個の活性プロトンを有するイオン化合物
を結合させることを含んでなる、組成物を製造する方法。

【公表番号】特表2009−543938(P2009−543938A)
【公表日】平成21年12月10日(2009.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−520885(P2009−520885)
【出願日】平成19年7月2日(2007.7.2)
【国際出願番号】PCT/US2007/072647
【国際公開番号】WO2008/011269
【国際公開日】平成20年1月24日(2008.1.24)
【出願人】(594066006)アルベマール・コーポレーシヨン (155)
【Fターム(参考)】