説明

触媒組成物及びそれを用いたクロスカップリング化合物の製造方法

【課題】 有機合成学的に重要なクロスカップリング反応において、工業的に有用な触媒組成物、及びこの触媒を用いたクロスカップリング化合物の効率的製造方法を提供する。
【解決手段】 ニッケル金属源、フッ素源、及び特定構造の含窒素複素環化合物またはホスフィン化合物を含有する触媒組成物の存在下で、一般式(2)もしくは一般式(3)で表される有機金属化合物と、一般式(4)で表される化合物とを反応させる。
−MY (2)
−M−R(3)
(式中、Rは置換もしくは無置換のアリール基、置換もしくは無置換のヘテロアリール基、置換もしくは無置換の直線状、分岐状または環状のアルキル基、または置換もしくは無置換の直線状、分岐状または環状のアルケニル基を示す。Mはマグネシウム原子または亜鉛原子を示す。Yはハロゲン基を示す。)
−Y (4)
(式中、Rは置換もしくは無置換のアリール基、置換もしくは無置換のヘテロアリール基、置換もしくは無置換の直線状、分岐状または環状のアルキル基、または置換もしくは無置換の直線状、分岐状または環状のアルケニル基を示す。Yはハロゲン原子、メタンスルホナート基、トルエンスルホナート基またはトリフルオロメタンスルホナート基を示す。)

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機合成学的に重要なクロスカップリング反応に高い活性を示す触媒、及びそれを用いたクロスカップリング化合物の製造方法に関する。本発明の製造方法によれば、種々の機能性化合物、例えば、液晶材料や医薬中間体として有用な非対称ビアリール化合物等を効率的に製造することが可能となる。
【背景技術】
【0002】
非対称ビアリール化合物は、芳香環に由来する安定性と固定された分子構造により、電子材料、医薬、農薬、各種機能性化合物及びこれらの中間体として非常に有用である。
【0003】
従来、非対称ビアリール化合物を製造する方法としては、触媒存在下に、有機ハロゲン化合物と有機金属化合物をクロスカップリングさせる方法が広く知られている。
【0004】
特に、安価なクロスカップリング法として、有機マグネシウム化合物または有機亜鉛化合物のような有機金属化合物と有機ハロゲン化合物とのクロスカップリング反応が知られている(例えば、特許文献1〜2、非特許文献1参照)。
【0005】
これらの方法では、通常、触媒としてニッケル触媒またはパラジウム触媒が使用される。ところが、これらの方法において、ニッケル触媒を用いた場合には有機金属化合物もしくは有機ハロゲン化合物に由来するホモカップリング体が多量に副生する問題があり、これらの方法で合成した非対称ビアリール化合物を液晶材料や医薬中間体として使用するためには、精製操作に多大な負担を要する問題がある。一方、パラジウム触媒を用いた場合には触媒コストが高価となり、経済的に不利となるため、工業的製造法として満足できるものではない。
【0006】
一方、最近、有機金属化合物と有機ハロゲン化合物とのクロスカップリング反応において、ニッケル化合物とN−へテロサイクリック化合物とを触媒とした方法が提案された(例えば、非特許文献2参照)。しかしながら、この方法では比較的高収率で反応が進行しているものの、前述したホモカップリング体の副生問題については何ら解消されていない。さらに、本発明者らがこの方法を追試したところ、同様にホモカップリング体が多量に副生することが確認された。従って、この方法もまた非対称ビアリール化合物の工業的製造法として満足できるものではない。
【特許文献1】特開平4−173756号公報(実施例)
【特許文献2】特開2000−95713公報(実施例)
【非特許文献1】「ブレチン・オブ・ザ・ケミカル・ソサイエティー・オブ・ジャパン(Bulletin of the Chemical Society of Japan)」,(日本),1976年,第49巻,p1958−1969(表6〜7)
【非特許文献2】「アンゲバンテ・ケミー・インターナショナル・エディション(Angewandte Chemie International Edition))」,(独国),2000年,第39巻,p1602−1604(サポーティング インフォメーション 表1〜4)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、従来の方法では工業的に満足できなかったクロスカップリング反応において、高い活性を示す触媒、とりわけ、有機金属化合物もしくは有機ハロゲン化合物に由来するホモカップリング体の副生問題を生じない触媒を提供することにある。
【0008】
本発明の他の目的は、上記触媒を用いたクロスカップリング化合物の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、ニッケル金属源、フッ素源、及び特定の構造を有する含窒素複素環化合物またはホスフィン化合物を含有する新規な触媒組成物が、有機マグネシウム化合物または有機亜鉛化合物のような有機金属化合物と有機ハロゲン化合物とのクロスカップリング反応において、極めて高活性を示し、さらにホモカップリング体の副生問題を生じないことを見出した。
【0010】
すなわち本発明は、ニッケル金属源、フッ素源、及び下記式(1A)もしくは(1B)で表される含窒素複素環化合物を含有するクロスカップリング用触媒組成物、もしくは、ニッケル金属源、フッ素源、及びホスフィン化合物を含有するクロスカップリング用触媒組成物を提供する。
【0011】
【化1】

【0012】
(式中、R及びRは同一または異なっていてもよく、置換もしくは無置換のアリール基、置換もしくは無置換のヘテロアリール基、置換もしくは無置換の直線状、分岐状または環状のアルキル基、または置換もしくは無置換の直線状、分岐状または環状のアルケニル基を示す。R及びRは同一または異なっていてもよく、水素原子、置換もしくは無置換のアリール基、置換もしくは無置換のヘテロアリール基、置換もしくは無置換の直線状、分岐状または環状のアルキル基、置換もしくは無置換の直線状、分岐状または環状のアルケニル基、置換もしくは無置換のアルコキシ基、置換もしくは無置換のアリーロキシ基、または置換もしくは無置換のシリル基を示す。尚、RとRとは、これらが結合する炭素原子と共に互いに結合して環を形成してもよい。
【0013】
【化2】

【0014】
は、単結合または二重結合を示す。Xは一価の陰イオンを示す。)
【0015】
本発明は、さらに、下記式(2)または下記式(3)で表される有機金属化合物と、下記式(4)で表される化合物とを、前記触媒組成物の少なくとも1種類の存在下に、クロスカップリング反応させることを特徴とする、下記式(5)で表されるクロスカップリング化合物の製造方法を提供する。
一般式(2)または一般式(3)
−MY (2)
−M−R(3)
(式中、Rは置換もしくは無置換のアリール基、置換もしくは無置換のヘテロアリール基、置換もしくは無置換の直線状、分岐状または環状のアルキル基、または置換もしくは無置換の直線状、分岐状または環状のアルケニル基を示す。Mはマグネシウム原子または亜鉛原子を示す。Yはハロゲン基を示す。)
−Y (4)
(式中、Rは置換もしくは無置換のアリール基、置換もしくは無置換のヘテロアリール基、置換もしくは無置換の直線状、分岐状または環状のアルキル基、または置換もしくは無置換の直線状、分岐状または環状のアルケニル基を示す。Yはハロゲン原子、メタンスルホナート基、トルエンスルホナート基またはトリフルオロメタンスルホナート基を示す。)
−R (5)
(式中、R及びRは上記に同じ。)
【発明の効果】
【0016】
本発明の触媒組成物は、従来報告例のない新規な触媒組成物であって、クロスカップリング反応に高い活性を示す。すなわち、本触媒組成物を用いた場合には、望ましくないホモカップリング体の副生が大きく抑制され、目的のクロスカップリング体が、極めて高い選択率で得られる。
【0017】
本発明の触媒組成物を用いることにより、従来満足できなかったクロスカップリング反応を工業的に有利に実施することができる。特に、液晶材料や医薬中間体として有用な非対称ビアリール化合物等を高収率、高選択率で製造することが可能となる。また、本発明の触媒組成物は、パラジウムのような高価な金属元素を含まないため、経済的であり、工業的に利用価値の高いカップリング反応を提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0019】
[クロスカップリング反応用触媒組成物]
本発明の触媒組成物の1つ目の形態は、ニッケル金属源、フッ素源、及び一般式(1A)もしくは(1B)
【0020】
【化3】

【0021】
(式中、R及びRは同一または異なっていてもよく、置換もしくは無置換のアリール基、置換もしくは無置換のヘテロアリール基、置換もしくは無置換の直線状、分岐状または環状のアルキル基、または置換もしくは無置換の直線状、分岐状または環状のアルケニル基を示す。R及びRは同一または異なっていてもよく、水素原子、置換もしくは無置換のアリール基、置換もしくは無置換のヘテロアリール基、置換もしくは無置換の直線状、分岐状または環状のアルキル基、置換もしくは無置換の直線状、分岐状または環状のアルケニル基、置換もしくは無置換のアルコキシ基、置換もしくは無置換のアリーロキシ基、または置換もしくは無置換のシリル基を示す。尚、RとRとは、これらが結合する炭素原子と共に互いに結合して環を形成してもよい。
【0022】
【化4】

【0023】
は、単結合または二重結合を示す。Xは一価の陰イオンを示す。)
で表される含窒素複素環化合物(以下、単に含窒素複素環化合物(1)と示すこともある。)を含有する組成物として構成される。
【0024】
本発明の触媒組成物の有効成分の一つであるニッケル金属源は、ニッケル原子を触媒系に供給できるものである。ニッケル金属源は、特に限定されるものではないが、通常、0〜2価のニッケル塩及びニッケル塩から誘導された錯体化合物が用いられる。その具体例としては、ニッケル(0)粉末、フッ化ニッケル(II)、塩化ニッケル(II)、臭化ニッケル(II)、ヨウ化ニッケル(II)等のハロゲン化物、硫酸ニッケル(II)、硝酸ニッケル(II)、過塩素酸ニッケル(II)、硫化ニッケル(II)等の無機塩、ギ酸ニッケル(II)、シュウ酸ニッケル(II)、酢酸ニッケル(II)、フマル酸ニッケル(II)、乳酸ニッケル(II)、グルコン酸ニッケル(II)、安息香酸ニッケル(II)、ステアリン酸ニッケル(II)、スルファミン酸ニッケル(II)、アミド硫酸ニッケル(II)、炭酸ニッケル(II)、ニッケル(II)アセチルアセトナート等の有機酸ニッケル塩が挙げられる。また、ニッケル塩から誘導された錯体化合物は、特に限定されるものではないが、通常、一般式(7)
NiX (7)
(式中、Lは同一または異なっていてもよく、ホスフィン配位子、アミン配位子またはカルボニル配位子を示し、それぞれの配位子は架橋されていてもよい。cは0〜6の整数を表す。Niは0〜2価である。Xは同一または異なっていてもよく、ハロゲン原子、水素原子または炭素数1〜20の炭化水素基を示す。dはNiの価数に相当する数を表す。)
で表される。
【0025】
その具体例としては、ビス(1,5−シクロオクタジエン)ニッケル(0)、ビス(アリル)ニッケル(0)、テトラカルボニルニッケル(0)、トリカルボニル(トリフェニルホスフィン)ニッケル(0)、ジカルボニルビス(トリフェニルホスフィン)ニッケル(0)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)ニッケル(0)、二窒化ビス[ビス(トリシクロヘキシルホスフィン)ニッケル(0)]、(エチレン)ビス(トリフェニルホスフィン)ニッケル(0)、(シクロドデカトリエン)ニッケル(0)、塩化トリス(トリフェニルホスフィン)ニッケル(I)、臭化トリス(トリフェニルホスフィン)ニッケル(I)、ヨウ化トリス(トリフェニルホスフィン)ニッケル(I)、二塩化ビス(トリフェニルホスフィン)ニッケル(II)、二臭化ビス(トリフェニルホスフィン)ニッケル(II)、二ヨウ化ビス(トリフェニルホスフィン)ニッケル(II)、二塩化[1,2−ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン]ニッケル(II)、二臭化[1,2−ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン]ニッケル(II)、二ヨウ化[1,2−ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン]ニッケル(II)、二塩化[1,3−ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン]ニッケル(II)、二臭化[1,3−ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン]ニッケル(II)、二ヨウ化[1,3−ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン]ニッケル(II)、二塩化ビス(トリ−t−ブチルホスフィン)ニッケル(II)、二臭化ビス(トリ−t−ブチルホスフィン)ニッケル(II)、二ヨウ化ビス(トリ−t−ブチルホスフィン)ニッケル(II)、二塩化[1,2−ビス(ジ−t−ブチルホスフィノ)エタン]ニッケル(II)、二臭化[1,2−ビス(ジ−t−ブチルホスフィノ)エタン]ニッケル(II)、二ヨウ化[1,2−ビス(ジ−t−ブチルホスフィノ)エタン]ニッケル(II)、二塩化[1,3−ビス(ジ−t−ブチルホスフィノ)プロパン]ニッケル(II)、二臭化[1,3−ビス(ジ−t−ブチルホスフィノ)プロパン]ニッケル(II)、二ヨウ化[1,3−ビス(ジ−t−ブチルホスフィノ)プロパン]ニッケル(II)、二塩化[1,2−ビス(ジシクロヘキシルホスフィノ)エタン]ニッケル(II)、二臭化[1,2−ビス(ジシクロヘキシルホスフィノ)エタン]ニッケル(II)、二ヨウ化[1,2−ビス(ジシクロヘキシルホスフィノ)エタン]ニッケル(II)、二塩化[1,3−ビス(ジシクロヘキシルホスフィノ)プロパン]ニッケル(II)、二臭化[1,3−ビス(ジシクロヘキシルホスフィノ)プロパン]ニッケル(II)、二ヨウ化[1,3−ビス(ジシクロヘキシルホスフィノ)プロパン]ニッケル(II)、二塩化ビス(トリシクロヘキシルホスフィン)ニッケル(II)、二臭化ビス(トリシクロヘキシルホスフィン)ニッケル(II)、二ヨウ化ビス(トリシクロヘキシルホスフィン)ニッケル(II)、二塩化ビス(トリメチルホスフィン)ニッケル(II)、二臭化ビス(トリメチルホスフィン)ニッケル(II)、二ヨウ化ビス(トリメチルホスフィン)ニッケル(II)、二塩化ビス(トリエチルホスフィン)ニッケル(II)、二臭化ビス(トリエチルホスフィン)ニッケル(II)、二ヨウ化ビス(トリエチルホスフィン)ニッケル(II)、二塩化ビス(トリ−i−プロピルホスフィン)ニッケル(II)、二臭化ビス(トリ−i−プロピルホスフィン)ニッケル(II)、二ヨウ化ビス(トリ−i−プロピルホスフィン)ニッケル(II)、二塩化ビス(トリ−n−ブチルホスフィン)ニッケル(II)、二臭化ビス(トリ−n−ブチルホスフィン)ニッケル(II)、二ヨウ化ビス(トリ−n−ブチルホスフィン)ニッケル(II)、二塩化ビス(メチルジフェニルホスフィン)ニッケル(II)、二臭化ビス(メチルジフェニルホスフィン)ニッケル(II)、二ヨウ化ビス(メチルジフェニルホスフィン)ニッケル(II)、二塩化ビス(ジメチルフェニルホスフィン)ニッケル(II)、二臭化ビス(ジメチルフェニルホスフィン)ニッケル(II)、二ヨウ化ビス(ジメチルフェニルホスフィン)ニッケル(II)、塩化(フェニル)ビス(トリフェニルホスフィン)ニッケル(II)、臭化(フェニル)ビス(トリフェニルホスフィン)ニッケル(II)、ヨウ化(フェニル)ビス(トリフェニルホスフィン)ニッケル(II)、ジメチルビス(トリメチルホスフィン)ニッケル(II)、テトラメチレンビス(トリフェニルホスフィン)ニッケル(II)、塩化(シクロペンタジエニル)(トリフェニルホスフィン)ニッケル(II)、メチル(シクロペンタジエニル)(トリフェニルホスフィン)ニッケル(II)、塩化(ヒドリド)ビス(トリシクロヘキシルホスフィン)ニッケル(II)、二塩化(2,2’−ビピリジル)ニッケル(II)、二臭化(2,2’−ビピリジル)ニッケル(II)、二ヨウ化(2,2’−ビピリジル)ニッケル(II)、ジエチル(2,2’−ビピリジル)ニッケル(II)、二塩化ビス(トリエチルアミン)ニッケル、二臭化ビス(トリエチルアミン)ニッケル、二ヨウ化ビス(トリエチルアミン)ニッケル、二塩化ビス(ピリジン)ニッケル、二臭化ビス(ピリジン)ニッケル、二ヨウ化ビス(ピリジン)ニッケル、二塩化(N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン)ニッケル、二臭化(N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン)ニッケル、二ヨウ化(N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン)ニッケル等が挙げられる。
【0026】
上記した化合物は、単独または混合物として使用することができる。
【0027】
また、本発明の触媒組成物の有効成分の一つであるフッ素源は、フッ素原子を触媒系に供給できるものである。フッ素原子を供給できる化合物としては、特に限定されるものではないが、例えば、フッ素ガス、フッ化水素酸、フッ化リチウム、フッ化ナトリウム、フッ化カリウム、フッ化ルビジウム、フッ化セシウム、フッ化ベリリウム、フッ化マグネシウム、フッ化カルシウム、フッ化ストロンチウム、フッ化バリウム、フッ化スカンジウム、フッ化イットリウム、フッ化ランタン、フッ化チタン、フッ化ジルコニウム、フッ化ハフニウム、フッ化バナジウム、フッ化ニオブ、フッ化タンタル、フッ化クロム、フッ化モリブデン、フッ化タングステン、フッ化マンガン、フッ化ルテニウム、フッ化オスミウム、フッ化ロジウム、フッ化イリジウム、フッ化ニッケル、フッ化パラジウム、フッ化銅、フッ化銀、フッ化亜鉛、フッ化カドミウム、フッ化ホウ素、フッ化アルミニウム、フッ化ガリウム、フッ化インジウム、フッ化タリウム、フッ化すず、フッ化鉛、フッ化アンチモン、フッ化アンモニウム、フッ化カリウムチタン、フッ化サマリウム、フッ化水素−ピリジン、ケイフッ化水素酸、ケイフッ化ナトリウム、ケイフッ化カリウム、ケイフッ化アンモニウム、ケイフッ化マグネシウム、ホウフッ化水素酸、ホウフッ化ナトリウム、ホウフッ化カリウム、ホウフッ化鉄、ホウフッ化亜鉛、ホウフッ化銅、ホウフッ化すず、ホウフッ化アンモニウム、六フッ化リン酸リチウム等が挙げられる。
【0028】
上記した化合物は、単独または混合物として使用することができる。
【0029】
上述したニッケル金属源及びフッ素源のいずれの供給源としても使用できるフッ化ニッケルを、それら両供給源として、単独で用いることもできる。フッ化ニッケルは、経済性、反応性及び安定性に優れるため、その使用は、最も好ましい形態である。
【0030】
本発明の触媒組成物は、前記したニッケル金属源、フッ素源に加え、下記一般式(1A)もしくは(1B)で表される含窒素複素環化合物を有効成分として構成される。
【0031】
【化5】

【0032】
一般式(1A)及び(1B)において、R、R、R及びRとして表される置換もしくは無置換のアリール基は特に限定されないが、例えば、炭素数6〜18の1〜4環の置換もしくは無置換のアリール基が挙げられ、具体的にはフェニル基、ナフチル基、アントラセニル基、アズレン基、ピレン基、フェナントレニル基、フルオレニル基等が挙げられる。また、それぞれ任意の数の水素原子が、それぞれハロゲン原子、置換もしくは無置換の直線状、分岐状または環状のアルキル基、置換もしくは無置換のアリール基、置換もしくは無置換のヘテロアリール基、置換もしくは無置換の直線状、分岐状または環状のアルケニル基、水酸基、アルコキシ基、アミノ基、シアノ基、カルボニル基、カルボキシル基、エステル基、またはシリル基で置換されていてもよい。
【0033】
、R、R及びRとして表される置換もしくは無置換のヘテロアリール基は特に限定されないが、例えば、炭素数6〜18の1〜4環の置換もしくは無置換のヘテロアリール基が挙げられ、具体的にはピリジル基、ピリミジル基、ピリダジル基、ピラジル基、トリアジル基、ベンゾフラニル基、インドール基、ベンゾチオフェン基、キノリン基、イソキノリン基、カルバゾール基、アクリジン基、フェナントロリン基、フェノチアジン基等が挙げられる。また、それぞれ任意の数の水素原子が、それぞれハロゲン原子、置換もしくは無置換の直線状、分岐状または環状のアルキル基、置換もしくは無置換のアリール基、置換もしくは無置換のヘテロアリール基、置換もしくは無置換の直線状、分岐状または環状のアルケニル基、水酸基、アルコキシ基、アミノ基、シアノ基、カルボニル基、カルボキシル基、またはエステル基で置換されていてもよい。
【0034】
、R、R及びRとして表される置換もしくは無置換の直線状、分岐状または環状のアルキル基は特に限定されないが、例えば、炭素数1〜20の直線状、分岐状または環状のアルキル基が挙げられ、具体的にはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、エイコシル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロノニル基、シクロデシル基、シクロウンデシル基、シクロドデシル基、シクロトリデシル基、シクロテトラデシル基、シクロペンタデシル基、シクロヘキサデシル基、シクロヘプタデシル基、シクロオクタデシル基、シクロノナデシル基、シクロエイコシル基等が挙げられ、さらにノルボルナル基、アダマンチル基等の多環式化合物もこの範疇に含まれる。また、それぞれ任意の数の水素原子が、それぞれハロゲン原子、置換もしくは無置換の直線状、分岐状または環状のアルキル基、置換もしくは無置換のアリール基、置換もしくは無置換のヘテロアリール基、置換もしくは無置換の直線状、分岐状または環状のアルケニル基、水酸基、アルコキシ基、アミノ基、シアノ基、カルボニル基、カルボキシル基、またはエステル基で置換されていてもよい。
【0035】
、R、R及びRとして表される置換もしくは無置換の直線状、分岐状または環状のアルケニル基は特に限定されないが、例えば、炭素数2〜20のアルケニル基が挙げられ、具体的にはビニル基、プロペニル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基、ヘプテニル基、オクテニル基、ノネニル基、デセニル基、ウンデセニル基、ドデセニル基、トリデセニル基、テトラデセニル基、ペンタデセニル基、ヘキサデセニル基、ヘプタデセニル基、オクタデセニル基、ノナデセニル基、エイコセニル基、シクロプロペニル基、シクロブテニル基、シクロペンテニル基、シクロヘキセニル基、シクロヘプテニル基、シクロオクテニル基、シクロノネニル基、シクロデセニル基、シクロウンデセニル基、シクロドデセニル基、シクロトリデセニル基、シクロテトラデセニル基、シクロペンタデセニル基、シクロヘキサデセニル基、シクロヘプタデセニル基、シクロオクタデセニル基、シクロノナデセニル基、シクロエイコセニル基等が挙げられ、さらにノルボルニル基等の多環式化合物もこの範疇に含まれる。また、それぞれ任意の数の水素原子が、それぞれハロゲン原子、置換もしくは無置換の直線状、分岐状または環状のアルキル基、置換もしくは無置換のアリール基、置換もしくは無置換のヘテロアリール基、置換もしくは無置換の直線状、分岐状または環状のアルケニル基、水酸基、アルコキシ基、アミノ基、シアノ基、カルボニル基、カルボキシル基、またはエステル基で置換されていてもよい。
【0036】
及びRとして表される置換もしくは無置換のアルコキシ基は、下記式(8)
−OR (8)
(式中、Rは置換もしくは無置換の直線状、分岐状または環状のアルキル基を示す。)
で表される基であり、置換もしくは無置換の直線状、分岐状または環状のアルキル基の具体例としては、前述の例と同様のものが挙げられる。
【0037】
置換もしくは無置換のアルコキシ基としては、例えば、炭素数1〜12のアルコキシ基を挙げることができ、好ましくは炭素数1〜6のアルコキシ基が挙げられる。具体的には、メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基、t−ブトキシ基、フェノキシ基、ベンジロキシ基、2,4,6-トリメチルフェノキシ基等を挙げることができる。
【0038】
及びRとして表される置換もしくは無置換のアリーロキシ基は、下記式(9)
−OR (9)
(式中、Rは置換もしくは無置換のアリール基を示す。)
で表される基であり、ここで、置換もしくは無置換のアリール基Rは、例えば、炭素数6〜18の1〜4環の置換もしくは無置換のアリール基が挙げられ、その具体例としては、R及びRとして表される上記の置換もしくは無置換のアリール基の具体例と同様なものが挙げられる。
【0039】
式(9)で表される置換もしくは無置換のアリーロキシ基の具体例としては、フェノキシ基、2,4,6-トリメチルフェノキシ基等を挙げることができる。
【0040】
及びRとして表される置換もしくは無置換のシリル基は特に限定されるものではないが、例えば、アルキル基及びアリール基からなる群より選ばれる3個の置換基を有するシリル基が挙げられる。さらに、例えば、炭素数1〜6(好ましくは炭素数1〜4)のアルキル基及び前記例示のアリール基からなる群より選ばれる3個の置換基(3個の置換基は同じでも異なっていてもよい)を有するシリル基を挙げることができ、具体的には、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、t−ブチルジメチルシリル基、トリフェニルシリル基、トリイソプロピルシリル基等を挙げることができる。
【0041】
尚、RとRとは、これらが結合する炭素原子と共に互いに結合して環を形成してもよい。
【0042】
で表される一価の陰イオンとしては、例えば、F、Cl、Br、I、[OSOCH、[OSOCF、[OSOCH、[N(SOCF、[N(SOCH、[N(SOCH、BF、BAr、PF、AsF、SbF、C、ClO等を挙げることができる。
【0043】
一般式(1A)及び(1B)で表される含窒素複素環化合物の具体例としては、例えば、1,3−ビス(2,6−ジイソプロピルフェニル)イミダゾリニウムクロリド、1,3−ビス(2,6−ジイソプロピルフェニル)イミダゾリニウムテトラフルオロボレート、1,3−ビス(2,6−ジイソプロピルフェニル)イミダゾリジン−2−イリデン、1,3−ビス(2,6−ジイソプロピルフェニル)イミダゾリウムクロリド、1,3−ビス(2,6−ジイソプロピルフェニル)イミダゾリウムテトラフルオロボレート、1,3−ビス(2,6−ジイソプロピルフェニル)イミダゾール−2−イリデン、1,3−ビス(2,4,6−トリメチルフェニル)イミダゾリニウムクロリド、1,3−ビス(2,4,6−トリメチルフェニル)イミダゾリニウムテトラフルオロボレート、1,3−ビス(2,4,6−トリメチルフェニル)イミダゾリジン−2−イリデン、1,3−ビス(2,4,6−トリメチルフェニル)イミダゾリウムクロリド、1,3−ビス(2,4,6−トリメチルフェニル)イミダゾリウムテトラフルオロボレート、1,3−ビス(2,4,6−トリメチルフェニル)イミダゾール−2−イリデン、1,3−ジ−t−ブチルイミダゾリニウムクロリド、1,3−ジ−t−ブチルイミダゾリニウムテトラフルオロボレート、1,3−ジ−t−ブチルイミダゾリジン−2−イリデン、1,3−ジ−t−ブチルイミダゾリウムクロリド、1,3−ジ−t−ブチルイミダゾリウムテトラフルオロボレート、1,3−ジ−t−ブチルイミダゾール−2−イリデン、1,3−ビス(1−アダマンチル)イミダゾリニウムテトラフルオロボレート、1,3−ビス(1−アダマンチル)イミダゾリウムテトラフルオロボレート、1,3−ビス(1−アダマンチル)ベンズイミダゾリニウムテトラフルオロボレート等を挙げることができる。
【0044】
前記含窒素複素環化合物の中で、例えば、R及びRが置換基(好ましくは炭素数1〜6のアルキル基)を1〜3個有するアリール基(好ましくはフェニル基)またはアルキル基(好ましくは炭素数1〜6のアルキル基)であり、R及びRが水素である含窒素複素環化合物がより好ましい。
【0045】
前記含窒素複素環化合物は、いずれも公知の化合物であるか、公知の方法に準じて容易に製造できる化合物である。
【0046】
本発明の触媒組成物におけるニッケル金属源、フッ素源、及び含窒素複素環化合物の組成比は、ニッケル原子1モルに対し、フッ素原子1〜10モル、含窒素複素環化合物1〜10モルの範囲から適宜選択することができる。より好ましくは、ニッケル原子1モルに対し、フッ素原子1〜5モル、含窒素複素環化合物1〜5モルの範囲である。
【0047】
本発明のクロスカップリング反応用触媒組成物は、上述したニッケル金属源、フッ素源、及び含窒素複素環化合物をそれぞれ混合することにより得られる。触媒組成物の調製方法としては、あらかじめ全成分を混合してもよいし、後述するクロスカップリング反応溶液に各々独立して加え、反応溶液中にて触媒組成物を形成してもよい。ニッケル金属源、フッ素源、及び含窒素複素環化合物は、それぞれが個別に存在している状態のものだけでなく、これらの化合物の少なくとも一部が錯化して存在している状態のものも用いることができる。
【0048】
本発明のクロスカップリング反応用触媒組成物は、有機リン化合物をさらに含んでいてもよい。
【0049】
有機リン化合物としては、例えば、ホスフィン、ホスファイト等を挙げることができる。
【0050】
ホスフィンとしては、例えば、トリフェニルホスフィン、トリメチルホスフィン、トリシクロヘキシルホスフィン、トリ−t−ブチルホスフィン、ビスジフェニルホスフィノエタン,ビスジフェニルホスフィノプロパン等を挙げることができる。
【0051】
ホスファイトとしては、例えば、トリメトキシホスファイト、トリエトキシホスファイト、トリフェノキシホスファイト等を挙げることができる。
【0052】
有機リン化合物と含窒素複素環化合物との配合比は、有機リン化合物1モルに対して、含窒素複素環化合物が通常1〜5モル、好ましくは2〜3モルである。
【0053】
本発明のクロスカップリング反応用触媒組成物は、さらに任意成分としてアミン化合物(ピリジン、トリエチルアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン等)、典型金属ハロゲン化物(塩化亜鉛、臭化亜鉛、ヨウ化ナトリウム等)、不飽和炭化水素(エチレン、スチレン、ブタジエン、シクロオクタジエン、ノルボルナジエン,ジフェニルアセチレン等)等を含んでいてもよい。
【0054】
本発明の触媒組成物が上記任意成分を含む場合、任意成分の含有率は、触媒全体の1〜99モル%の範囲で適宜設定することができる。
【0055】
また、本発明の触媒組成物の2つ目の形態は、ニッケル金属源、フッ素源、及びホスフィン化合物を含有する組成物として構成される。
【0056】
本触媒組成物における、ニッケル金属源及びフッ素源については、前記した触媒組成物と同義である。
【0057】
また、本触媒組成物に関しても、前記触媒組成物と同様に、ニッケル金属源及びフッ素源のいずれの供給源としても使用できるフッ化ニッケルを、それら両供給源として、単独で用いることもできる。フッ化ニッケルは、経済性、反応性及び安定性に優れるため、その使用は、最も好ましい形態である。
【0058】
本触媒組成物におけるホスフィン化合物は、下記式(10)で示す化合物である。
【0059】
【化6】

【0060】
(式中、R〜R10は、置換もしくは無置換のアリール基、置換もしくは無置換のアルキルアリール基、置換もしくは無置換のアリールアルキル基、置換もしくは無置換の直線状、分岐状または環状のアルキル基を示す。)
【0061】
本触媒組成物に用いられるホスフィン化合物としては、特に限定されるものではないが、入手の観点や経済性を考慮すると、トリメチルホスフィン、トリ−t−ブチルホスフィン、トリシクロヘキシルホスフィン、トリフェニルホスフィン、トリ(p−トリル)ホスフィン、ビスジフェニルホスフィノエタン,ビスジフェニルホスフィノプロパンが好ましい。
【0062】
本触媒組成物におけるニッケル金属源、フッ素源、及びホスフィン化合物の組成比は、ニッケル原子1モルに対し、フッ素原子1〜10モル、ホスフィン化合物1〜10モルの範囲から適宜選択することができる。より好ましくは、ニッケル原子1モルに対し、フッ素原子1〜5モル、ホスフィン化合物1〜5モルの範囲である。
【0063】
本発明のクロスカップリング反応用触媒組成物は、上述したニッケル金属源、フッ素源、及びホスフィン化合物をそれぞれ混合することにより得られる。触媒組成物の調製方法としては、あらかじめ全成分を混合してもよいし、後述するクロスカップリング反応溶液に各々独立して加え、反応溶液中にて触媒組成物を形成してもよい。ニッケル金属源、フッ素源、及びホスフィン化合物は、それぞれが個別に存在している状態のものだけでなく、これらの化合物の少なくとも一部が錯化して存在している状態のものも用いることができる。
【0064】
本発明のクロスカップリング反応用触媒組成物は、有機リン化合物をさらに含んでいてもよい。
【0065】
有機リン化合物としては、例えば、ホスファイト等を挙げることができる。
【0066】
ホスファイトとしては、例えば、トリメトキシホスファイト、トリエトキシホスファイト、トリフェノキシホスファイト等を挙げることができる。
【0067】
有機リン化合物とホスフィン化合物との配合比は、有機リン化合物1モルに対して、ホスフィン化合物が通常1〜5モル、好ましくは2〜3モルである。
【0068】
本発明のクロスカップリング反応用触媒組成物は、さらに任意成分としてアミン化合物(ピリジン、トリエチルアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン等)、典型金属ハロゲン化物(塩化亜鉛、臭化亜鉛、ヨウ化ナトリウム等)、不飽和炭化水素(エチレン、スチレン、ブタジエン、シクロオクタジエン、ノルボルナジエン,ジフェニルアセチレン等)等を含んでいてもよい。
【0069】
本発明の触媒組成物が上記任意成分を含む場合、任意成分の含有率は、触媒全体の1〜99モル%の範囲で適宜設定することができる。
【0070】
さらに、これまで述べた2つの形態の触媒組成物については、触媒組成物としてさらに、鉄金属源、コバルト金属源からなる群より選ばれる少なくとも1種類を共存させることができる。
【0071】
鉄金属源としては、鉄原子を触媒系に供給できるものである。鉄金属源の具体例としては、特に限定されるものではないが、例えば、塩化鉄(II)、塩化鉄(III)、臭化鉄(II)、臭化鉄(III)、ヨウ化鉄(II)、フッ化鉄(II)、フッ化鉄(III)、酢酸鉄(II)、シュウ酸鉄(II)、シュウ酸鉄(III)、クエン酸鉄(III)、過塩素酸鉄(III)、鉄(III)アセチルアセトナート、硝酸鉄(III)、リン酸鉄(III)、硫酸鉄(II)、若しくは鉄粉等の化合物、それら化合物の水和物、或いはそれら化合物から誘導される各種錯体触媒等が挙げられる。
【0072】
また、コバルト金属源としては、コバルト原子を触媒系に供給できるものである。コバルト金属源の具体例としては、特に限定されるものではないが、例えば、塩化コバルト(II)、臭化コバルト(II)、ヨウ化コバルト(II)、フッ化コバルト(II)、酢酸コバルト(II)、酢酸コバルト(III)、ギ酸コバルト(II)、シュウ酸コバルト(II)、安息香酸コバルト(II)、ステアリン酸コバルト(II)、ホウ酸コバルト(II)、コバルト(II)アセチルアセトナート、コバルト(III)アセチルアセトナート、炭酸コバルト(II)、硫酸コバルト(II)、硝酸コバルト(II)、リン酸コバルト(II)、若しくはコバルト粉末等の化合物、それら化合物の水和物、或いはそれら化合物から誘導される各種錯体触媒等が挙げられる。
【0073】
上述した鉄金属源及びコバルト金属源の配合比は、前述した2つの形態の触媒組成物におけるそれぞれのニッケル金属源1モルに対して、0.1〜5モルの範囲である。
【0074】
[クロスカップリング化合物の製造方法]
本発明は、一般式(2)もしくは一般式(3)
−MY (2)
−M−R(3)
(式中、Rは置換もしくは無置換のアリール基、置換もしくは無置換のヘテロアリール基、置換もしくは無置換の直線状、分岐状または環状のアルキル基、または置換もしくは無置換の直線状、分岐状または環状のアルケニル基を示す。Mはマグネシウム原子または亜鉛原子を示す。Yはハロゲン基を示す。)
で表される有機金属化合物と、一般式(4)
−Y (4)
(式中、Rは置換もしくは無置換のアリール基、置換もしくは無置換のヘテロアリール基、置換もしくは無置換の直線状、分岐状または環状のアルキル基、または置換もしくは無置換の直線状、分岐状または環状のアルケニル基を示す。Yはハロゲン原子、メタンスルホナート基、トルエンスルホナート基またはトリフルオロメタンスルホナート基を示す。)
で表される化合物とを、前記触媒組成物の存在下に、クロスカップリング反応させることを特徴とする一般式(5)
−R (5)
(式中、R及びRは上記に同じ。)
で表されるクロスカップリング化合物の製造方法も提供する。
【0075】
及びRにおける置換もしくは無置換のアリール基としては、例えば、炭素数5〜18の1〜4環の置換もしくは無置換のアリール基が挙げられ、具体的にはフェニル基、ナフチル基、アントラセニル基、アズレン基、ピレン基、フェナントレニル基、フルオレニル基等が挙げられる。これらの基は、それぞれ任意の数の水素原子が、それぞれハロゲン原子、置換もしくは無置換の直線状、分岐状または環状のアルキル基、置換もしくは無置換のアリール基、置換もしくは無置換のヘテロアリール基、置換もしくは無置換の直線状、分岐状または環状のアルケニル基、水酸基、アルコキシ基、アミノ基、シアノ基、カルボニル基、カルボキシル基、またはエステル基で置換されていてもよい。
【0076】
及びRにおける置換もしくは無置換のヘテロアリール基としては、例えば、炭素数5〜18の1〜4環の置換もしくは無置換のヘテロアリール基が挙げられ、具体的にはピリジル基、ピリミジル基、ピリダジル基、ピラジル基、トリアジル基、ベンゾフラニル基、インドール基、ベンゾチオフェン基、キノリン基、イソキノリン基、カルバゾール基、アクリジン基、フェナントロリン基、フェノチアジン基等が挙げられる。また、それぞれ任意の数の水素原子が、それぞれハロゲン原子、置換もしくは無置換の直線状、分岐状または環状のアルキル基、置換もしくは無置換のアリール基、置換もしくは無置換のヘテロアリール基、置換もしくは無置換の直線状、分岐状または環状のアルケニル基、水酸基、アルコキシ基、アミノ基、シアノ基、カルボニル基、カルボキシル基、またはエステル基で置換されていてもよい。
【0077】
及びRにおける置換もしくは無置換の直線状、分岐状または環状のアルキル基としては、例えば、炭素数1〜20の直線状、分岐状または環状のアルキル基が挙げられ、具体的にはメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、エイコシル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロノニル基、シクロデシル基、シクロウンデシル基、シクロドデシル基、シクロトリデシル基、シクロテトラデシル基、シクロペンタデシル基、シクロヘキサデシル基、シクロヘプタデシル基、シクロオクタデシル基、シクロノナデシル基、シクロエイコシル基等が挙げられ、さらにノルボルナル基、アダマンチル基等の多環式化合物もこの範疇に含まれる。また、それぞれ任意の数の水素原子が、それぞれハロゲン原子、置換もしくは無置換の直線状、分岐状または環状のアルキル基、置換もしくは無置換のアリール基、置換もしくは無置換のヘテロアリール基、置換もしくは無置換の直線状、分岐状または環状のアルケニル基、水酸基、アルコキシ基、アミノ基、シアノ基、カルボニル基、カルボキシル基、またはエステル基で置換されていてもよい。
【0078】
及びRにおける置換もしくは無置換の直線状、分岐状または環状のアルケニル基としては、例えば、炭素数2〜20のアルケニル基が挙げられ、具体的にはビニル基、プロペニル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基、ヘプテニル基、オクテニル基、ノネニル基、デセニル基、ウンデセニル基、ドデセニル基、トリデセニル基、テトラデセニル基、ペンタデセニル基、ヘキサデセニル基、ヘプタデセニル基、オクタデセニル基、ノナデセニル基、エイコセニル基、シクロプロペニル基、シクロブテニル基、シクロペンテニル基、シクロヘキセニル基、シクロヘプテニル基、シクロオクテニル基、シクロノネニル基、シクロデセニル基、シクロウンデセニル基、シクロドデセニル基、シクロトリデセニル基、シクロテトラデセニル基、シクロペンタデセニル基、シクロヘキサデセニル基、シクロヘプタデセニル基、シクロオクタデセニル基、シクロノナデセニル基、シクロエイコセニル基等が挙げられ、さらにノルボルニル基等の多環式化合物もこの範疇に含まれる。また、それぞれ任意の数の水素原子が、それぞれハロゲン原子、置換もしくは無置換の直線状、分岐状または環状のアルキル基、置換もしくは無置換のアリール基、置換もしくは無置換のヘテロアリール基、置換もしくは無置換の直線状、分岐状または環状のアルケニル基、水酸基、アルコキシ基、アミノ基、シアノ基、カルボニル基、カルボキシル基、またはエステル基で置換されていてもよい。
【0079】
で表されるハロゲンとしては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子を挙げることができる。
【0080】
本発明のクロスカップリング反応時に使用する触媒組成物の使用量については、上記一般式(4)で表される化合物に対し、ニッケル原子として0.001〜0.15当量であり、好ましくは0.001〜0.05当量である。使用量が0.001当量未満の場合には反応が円滑に進行せず、0.15当量を超える場合には使用量の割には収率が向上せず、かえって経済的に不利となる。
【0081】
本発明のクロスカップリング化合物の製造方法において、前記一般式(2)もしくは(3)で表される化合物と、前記一般式(4)で表される化合物との使用割合は、前記一般式(2)もしくは(3)で表される化合物1モルに対して、前記一般式(4)で表される化合物0.5〜1モルであり、好ましくは0.7〜1モルである。
【0082】
本発明の方法におけるクロスカップリング反応は、用いる溶媒等の条件により異なるが、アルゴンまたは窒素雰囲気下で、通常0〜150℃の範囲、好ましくは60〜120℃の範囲で、通常6〜48時間、好ましくは12〜36時間行われる。
【0083】
本発明の方法には、さらに任意成分として、アミン化合物(ピリジン、トリエチルアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン等)、典型金属ハロゲン化物(塩化亜鉛、臭化亜鉛、ヨウ化ナトリウム等)、不飽和炭化水素(エチレン、スチレン、ブタジエン、シクロオクタジエン、ノルボルナジエン,ジフェニルアセチレン等)等を加えてもよい。
【0084】
本発明の方法に上記任意成分を含む場合、任意成分の含有率は、一般式(4)で示される化合物に対して、1〜10モルの範囲で適宜設定することができる。
【0085】
本発明の反応は、通常、反応に悪影響を及ぼさない慣用の溶媒、例えば、テトラヒドロフラン(THF)、ジエチルエーテル、テトラヒドロピラン(THP)、1,4−ジオキサン、ジブチルエーテル、メチルシクロヘキシルエーテル、1,2−ジメトキシエタン等のエーテル系溶媒;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、N−メチルピロリドン(NMP)、ヘキサメチルホスホルアミド(HMPA)等の非プロトン性極性溶媒;塩化メチレン、塩化エチレン、1,2-ジクロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素系溶媒;ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン等の芳香族炭化水素系溶媒または他の有機溶媒中で行うことができる。
【0086】
反応終了後は、酸洗浄、水洗浄、アルカリ洗浄を適当に組み合わせることにより、副生した無機物や未反応原料などを除去し、さらにクロマトグラフィーや蒸留、再結晶等の通常の精製技術により、目的とするカップリング化合物を得ることができる。
【0087】
(実施例)
以下に、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるものではない。
【0088】
[ガスクロマトグラフィー(GC)分析の条件]
GC分析装置:GC−17A(島津製作所製)
GCカラム:HR−1(長さ25m、内径0.25mm、膜厚0.25μm;信和化工製)
カラム温度条件:40℃で3分保持後、10℃/分で200℃まで昇温
注入部温度:300℃
検出部温度:300℃(FID)
【0089】
実施例1 4−メチルビフェニルの合成
NiF(2.90mg、0.03mmol、アルドリッチ製)及び1,3−ビス(2,6−ジイソプロピルフェニル)イミダゾリウムクロリド(25.8mg、0.06mmol、アルドリッチ製)に、アルゴン雰囲気下、0℃でクロロベンゼン(327.5mg、2.9mmol、和光純薬製)及びp−トリルマグネシウムブロミドのTHF溶液(3.18mL、1.13M、3.6mmol、東京化成製)を添加し、60℃で36時間反応させた。室温まで冷却した後、反応混合物に飽和塩化アンモニウム水溶液2.0mLを添加した。ヘキサンを3.0mL加えて有機層を分離した後、ジエチルエーテルを用いて水層を5回抽出した。合わせた有機抽出物をガスクロマトグラフィー分析したところ、標題化合物が収率96%で得られた。また、クロロベンゼン及びp−トリルマグネシウムブロミドに由来するホモカップリング体の副生率は、それぞれ0%及び3%であった。結果を表1に示す。
【0090】
【化7】

【0091】
実施例2〜15 4−メチルビフェニルの合成
実施例1で用いた触媒組成物、有機ハロゲン化合物を表1に記載の化合物にそれぞれ代えて、表1に記載した所定の反応条件下にて反応させた以外は、実施例1の方法に準じて反応を行った。結果を表1に併せて示す。
【0092】
尚、表1に略記した「acac」はアセチルアセトネート基を示し、また、SIPr・HCl、IPr・HCl、IPr・HBF、IPr、I−tBu・HCl、PPh、P(t−Bu)及びNiCl(dppp)は、それぞれ下記の化合物を示す。
【0093】
【化8】

【0094】
比較例1〜5 4−メチルビフェニルの合成
実施例1で用いた触媒組成物、有機ハロゲン化合物を表1に記載の化合物にそれぞれ代えて、表1に記載した所定の反応条件下にて反応させた以外は、実施例1の方法に準じて反応を行った。結果を表1に併せて示す。
【0095】
【表1】

【0096】
実施例16 4’−メトキシ−3,5−ジフルオロビフェニルの合成
NiF(1.45mg、0.015mmol、アルドリッチ製)及び1,3−ビス(2,6−ジイソプロピルフェニル)イミダゾリウムクロリド(12.8mg、0.03mmol、アルドリッチ製)に、アルゴン雰囲気下、0℃で1−ブロモ−3,5−ジフルオロベンゼン(589.0mg、3.05mmol、東京化成製)及びp−メトキシフェニルマグネシウムブロミドのTHF溶液(4.10mL、0.88M、3.6mmol、東京化成製)を添加し、60℃で3時間反応させた。室温まで冷却した後、反応混合物に飽和塩化アンモニウム水溶液2.0mLを添加した。ヘキサンを3.0mL加えて有機層を分離した後、ジエチルエーテルを用いて水層を5回抽出した。合わせた有機抽出物をガスクロマトグラフィー分析したところ、標題化合物が収率80%で得られた。また、1−ブロモ−3,5−ジフルオロベンゼン及びp−メトキシフェニルマグネシウムブロミドに由来するホモカップリング体の副生率は、それぞれ0%及び4%であった。
【0097】
実施例17〜26
実施例16で用いた触媒組成物を用い、有機ハロゲン化合物と有機マグネシウム化合物を表2に記載の化合物にそれぞれ代えて、表2に記載した所定の反応条件下にて反応させた以外は、実施例16の方法に準じて反応を行った。結果を表2に併せて示す。
【0098】

Ar−X + ArMgBr → Ar−Ar

【0099】
【表2】

【0100】
実施例27 4−メチルビフェニルの合成
塩化亜鉛・N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン錯体(378.8mg、1.5mmol、アルドリッチ製)に対し、アルゴン雰囲気下、0℃でp−トリルマグネシウムブロミドのTHF溶液(3.13mL、0.96M、3.0mmol、東京化成製)を添加し、NiF(2.90mg、0.03mmol、アルドリッチ製)、1,3−ビス(2,6−ジイソプロピルフェニル)イミダゾリウムクロリド(25.5mg、0.06mmol、アルドリッチ製)、及びブロモベンゼン(157.0mg、1.0mmol、和光純薬製)を加え、室温で24時間反応させた。反応混合物に飽和塩化アンモニウム水溶液3.0mL、次いでヘキサンを3.0mL加え、セライトパッドを用いて濾過した。セライトパッドをジエチルエーテルにより洗浄した後、有機層から水層を除去し、無水硫酸ナトリウムにより乾燥した。得られた有機層をガスクロマトグラフィー分析したところ、標題化合物が収率98%で得られた。また、ブロモベンゼン及びp−トリルマグネシウムブロミドに由来するホモカップリング体の副生率は、それぞれ0%及び1%であった。
【0101】
実施例28〜30
実施例27で用いた触媒組成物を用い、有機ハロゲン化合物と有機亜鉛化合物を表3に記載の化合物にそれぞれ代えて、表3に記載した所定の反応条件下にて反応させた以外は、実施例27の方法に準じて反応を行った。結果を表3に併せて示す。
【0102】

Ar−X + (ArZn → Ar−Ar

【0103】
【表3】

【産業上の利用可能性】
【0104】
本触媒組成物は、本発明の製造方法の如きグリニャール化合物を用いたカップリング反応だけでなく、その他のカップリング反応、例えば、有機ホウ素化合物を用いたカップリング、有機亜鉛化合物を用いたカップリング、有機ケイ素化合物を用いたカップリング、有機すず化合物を用いたカップリング、ヘック反応、ヘック−アミノ化反応等にも応用展開が期待できる。
【0105】
本発明の触媒化合物を用いるクロスカップリング反応により得られるクロスカップリング化合物の具体例としては、液晶材料や医薬中間体として有用な非対称ビアリール化合物が挙げられる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ニッケル金属源、フッ素源、及び下記式(1A)もしくは(1B)
【化1】

(式中、R及びRは同一または異なっていてもよく、置換もしくは無置換のアリール基、置換もしくは無置換のヘテロアリール基、置換もしくは無置換の直線状、分岐状または環状のアルキル基、または置換もしくは無置換の直線状、分岐状または環状のアルケニル基を示す。R及びRは同一または異なっていてもよく、水素原子、置換もしくは無置換のアリール基、置換もしくは無置換のヘテロアリール基、置換もしくは無置換の直線状、分岐状または環状のアルキル基、置換もしくは無置換の直線状、分岐状または環状のアルケニル基、置換もしくは無置換のアルコキシ基、置換もしくは無置換のアリーロキシ基、または置換もしくは無置換のシリル基を示す。尚、RとRとは、これらが結合する炭素原子と共に互いに結合して環を形成してもよい。
【化2】

は、単結合または二重結合を示す。Xは一価の陰イオンを示す。)
で表される含窒素複素環化合物またはホスフィン化合物を含有することを特徴とするクロスカップリング反応用触媒組成物。
【請求項2】
ホスフィン化合物が、トリ−t−ブチルホスフィンまたはトリフェニルホスフィンであることを特徴とする請求項1に記載のクロスカップリング反応用触媒組成物。
【請求項3】
ニッケル金属源及びフッ素源として、フッ化ニッケルを用いることを特徴する請求項1又は2に記載のクロスカップリング反応用触媒組成物。
【請求項4】
触媒組成物としてさらに、有機リン化合物、アミン化合物、典型金属ハロゲン化物、不飽和炭化水素からなる群より選ばれる少なくとも1種類を共存させることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のクロスカップリング反応用触媒組成物。
【請求項5】
触媒組成物としてさらに、鉄金属源、コバルト金属源からなる群より選ばれる少なくとも1種類を共存させることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載のクロスカップリング反応用触媒組成物。
【請求項6】
一般式(2)もしくは一般式(3)
−MY (2)
−M−R(3)
(式中、Rは置換もしくは無置換のアリール基、置換もしくは無置換のヘテロアリール基、置換もしくは無置換の直線状、分岐状または環状のアルキル基、または置換もしくは無置換の直線状、分岐状または環状のアルケニル基を示す。Mはマグネシウム原子または亜鉛原子を示す。Yはハロゲン基を示す。)
で表される有機金属化合物と、一般式(4)
−Y (4)
(式中、Rは置換もしくは無置換のアリール基、置換もしくは無置換のヘテロアリール基、置換もしくは無置換の直線状、分岐状または環状のアルキル基、または置換もしくは無置換の直線状、分岐状または環状のアルケニル基を示す。Yはハロゲン原子、メタンスルホナート基、トルエンスルホナート基またはトリフルオロメタンスルホナート基を示す。)
で表される化合物とを、請求項1乃至5のいずれか1項に記載の触媒組成物の存在下に、クロスカップリング反応させることを特徴とする一般式(5)
−R (5)
(式中、R及びRは上記に同じ。)
で表されるクロスカップリング化合物の製造方法。
【請求項7】
一般式(6)
−MgY (6)
(式中、Rは置換もしくは無置換のアリール基、置換もしくは無置換のヘテロアリール基、置換もしくは無置換の直線状、分岐状または環状のアルキル基、または置換もしくは無置換の直線状、分岐状または環状のアルケニル基を示す。Yはハロゲン基を示す。)
で表される有機マグネシウム化合物と、一般式(4)
−Y (4)
(式中、Rは置換もしくは無置換のアリール基、置換もしくは無置換のヘテロアリール基、置換もしくは無置換の直線状、分岐状または環状のアルキル基、または置換もしくは無置換の直線状、分岐状または環状のアルケニル基を示す。Yはハロゲン原子、メタンスルホナート基、トルエンスルホナート基またはトリフルオロメタンスルホナート基を示す。)
で表される化合物とを、請求項1乃至5のいずれか1項に記載の触媒組成物の存在下に、クロスカップリング反応させることを特徴とする一般式(5)
−R (5)
(式中、R及びRは上記に同じ。)
で表されるクロスカップリング化合物の製造方法。

【公開番号】特開2009−34672(P2009−34672A)
【公開日】平成21年2月19日(2009.2.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−179891(P2008−179891)
【出願日】平成20年7月10日(2008.7.10)
【出願人】(504132272)国立大学法人京都大学 (1,269)
【出願人】(000003300)東ソー株式会社 (1,901)
【出願人】(301005614)東ソー・ファインケム株式会社 (38)
【Fターム(参考)】